JP5604201B2 - 無駄時間補償装置及びこれを用いたx線ct装置 - Google Patents

無駄時間補償装置及びこれを用いたx線ct装置 Download PDF

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Description

本発明は、回転部に搭載された制御対象を静止部に配置された制御回路によって制御するX線CT装置において、信号伝送の無駄時間およびそのゆらぎを補償する機能に関する。
X線CT装置では、X線管およびX線検出器を回転盤に搭載し、被検体の周囲を回転させながらX線を照射および検出を行う。このため、静止側のインバータ回路から回転盤上のX線管へ電力を供給するとともに、X線検出器の検出信号を回転盤から静止側の信号処理装置に受け渡すために、回転盤と静止部との間の接触部には電力や信号の伝送手段が配置されている。例えば、スリップリングとブラシとを組み合わせた伝送手段が広く知られている。
特許文献1には、スリップリングとブラシの接触部に摩耗が生じるという問題を解決するため、回転盤と静止部との対向面にそれぞれコイルを配置し、電磁誘導作用により非接触で電力を供給する技術が開示されている。
また、特許文献1の段落0019には、スリップリングや非接触電磁誘導の他に、光や電波を用いた通信システムにより、回転盤上のX線検出器の検出信号を静止部に伝送することが記載している。
また、静止部のインバータ回路の制御回路には、回転盤上のX線管の管電圧をフィードバックさせ、所定のX線出力が得られるように制御している。このため、管電圧信号は、スリップリング、非接触電磁誘導、光や電波を用いた通信システムにより静止部に伝送される。
一方、火力発電所等のプラントにおいて、ボイラへ供給される燃料の流量等を制御する際には一般的にPID制御が用いられる。制御対象への制御量を変更した後、制御対象からその応答が検出されるまでの遅れ(無駄時間)が大きい場合、フィードバック制御が困難になるため、スミス法が用いられる。例えば、特許文献2には、ボイラの蒸気温度の制御のためにスミス予測器を用いている。特許文献2の技術は、無駄時間に変動がある場合に蒸気温度が発散してしまうことを防止するために、自己回帰モデルを用いて無駄時間を算出している。また、特許文献3には、プラント制御において制御対象の特性やゲインが変化する場合にも、スミス法の機能を十分発揮させるために、制御対象モデル手段の出力からゲイン比率の変化を求め、制御信号のゲインを修正する技術が開示されている。
ここで一般的なフィードバック制御系とスミス法について簡単に説明する。通常のフィードバック制御系を図19に示す。図19において、C(s)はコントローラ101の伝達関数、G(s)は制御対象102の伝達関数、e-sLは無駄時間要素の伝達関数、R(s)は制御指令、U(s)は操作量、D(s)は外乱、Y(s)は出力を示している。このフィードバック制御系において、制御対象102が1次遅れのみで無駄時間Lがほとんどない(L≒0)場合、PI制御によって容易に制御できる。しかし制御対象102の無駄時間が大きい場合には、制御に大きな影響を生じ、制御が難しくなっていく。そのときの図19の制御系の伝達関数は、下記(式1)のように表される。
・・・・・(式1)
ただし、外乱は考えていない(D(s)=0)。上記式1により、この制御系の特性方程式は、下記式2のように表される。
・・・・・(式2)
この特性方程式には無駄時間Lが含まれるため、Lが無視できない大きさである場合には制御性能が劣化し、コントローラ101の設計が困難のものとなる。
そこで、この無駄時間を補償するために、従来の特許文献2、3のようなプラント制御では、スミス法が用いられる。スミス法を用いた制御系の基本構成図を図20に示す。図20において、制御対象モデル103は、制御対象102の伝達関数G(s)とほぼ等しい伝達関数P(s)を持ち、無駄時間モデル104は、無駄時間要素と等しい伝達関数e-sLを持つ。制御対象モデル103と無駄時間モデル104とを併せてスミス予測器105と称する。
図20のように、スミス法を用いた制御系は、無駄時間を持つ制御対象102(伝達関数G(s)e-sL)に対して、制御対象モデル103の伝達関数P(s)のフィードバックならびに、無駄時間モデル104の伝達関数e-sLと制御対象102の伝達関数G(s)e-sLの差分をフィードバックする。すなわち、スミス法は、制御対象モデル103と無駄時間モデル104を持ち、無駄時間経過後に現れる現象を常に予測しながら制御を行う。つまり、制御量および設定値R(s)およびコントローラ101の伝達関数C(s)によって操作量U(s)が算出され、スミス予測器を用いて操作量U(s)に対する制御量の変化が予測され、さらに、この変化量に基づきコントローラC(s)内で操作量U(s)が算出される。したがって、図20のスミス予測器105を備えたフィードバック制御系の制御指令値R(s)から出力Y(s)までの伝達関数は、(式3)のようになる。
・・・・・(式3)
制御対象モデル103の伝達関数と制御対象102の伝達関数に誤差が全くない場合、すなわちP(s)=G(s)であれば、特性方程式は、(式4)のようになる。
・・・・・(式4)
(式4)の特性方程式には、無駄時間Lが残らないので安定である。このようにスミス予測器を用いることで、システムから無駄時間による影響を排除でき、出力Y(s)を制御指令R(s)に精度よく追従させることができる。また、無駄時間がない場合と同じコントローラ101を使用できる。
スミス法は、無駄時間を制御ループから排除できるため、見かけ上制御対象に無駄時間がなくなること、フィードバック制御系の特性方程式から無駄時間が排除されるためコントローラの設計が容易になること、外乱に対しては無駄時間がそのまま残るため複雑なまま放置されること、などの特徴を有することが知られている。
特許第4008010号公報 特開昭62−248902号公報 特開平5−35306号公報
X線CT装置では、X線管の管電圧情報を光ファイバなどの通信システムでフィードバックし、これによりインバータの周波数や出力電圧を制御することでX線管への供給電力を制御している。X線管は、回転盤に搭載されているため、管電圧情報を静止側のインバータ回路へフィードバックする際には、回転盤から静止側への伝送が必要である。伝送にはスリップリング、光伝送、静電伝送、電波等が用いられるが、伝送の途中で回転盤から静止側へ伝送する構成を伴うため、1ms〜数msの時間遅延(無駄時間)が生じる。特に、デジタル伝送を行う場合、伝送データの間違い検出処理や、間違いが発見された時のエラー訂正処理等により、高精度に情報を伝送することができるが、これら処理時間により伝送に遅れ(無駄時間)が生じ、しかも伝送遅れにばらつき(無駄時間のばらつき)が生じる。
また、管電圧情報の伝送のために、独立した伝送経路を用意するのは装置の大型化やコストアップにつながる。このため、X線検出器のX線検出データの伝送経路を利用し、管電圧信号を送信することが考えられる。この場合、X線検出データの伝送タイミングを見計らい、その合間に管電圧信号を伝送する必要があるため、無駄時間および無駄時間のばらつきは大きくなる。
無駄時間の大きいプラントの制御にスミス法を用いる特許文献2、3に記載の技術を、X線CT装置に応用し、無駄時間の大きな管電圧情報を用いたインバータ回路を制御することが考えられる。しかし、スミス予測器には、上述したように、制御対象と等しい伝達関数を持つ制御対象モデル、および無駄時間と等しい伝達関数をもつ無駄時間モデルが必要である。X線CT装置のように高電圧を発生する装置では、制御対象内に非線形要素であるダイオード整流回路を含んでいるため、制御対象をスミス予測器が必要とする伝達関数または状態方程式で表現することが難しく、モデルの作成は困難である。また、無駄時間のばらつきが不明であるため、無駄時間モデルの作成も困難である。
特許文献2ではボイラへの燃料流量制御弁の制御する際の、ボイラの蒸気温度信号の無駄時間を自己回帰モデルを用いて算出する構成が開示されているが、この構成を用いて、X線管電圧のデジタルデータの伝送時の間違い検出やエラー訂正処理等に起因する無駄時間や無駄時間のばらつきを検出することはできない。
本発明の目的は、制御対象の無駄時間および無駄時間の変動を補償することができるX線CT装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明によれば以下のようなX線CT装置が提供される。すなわち、X線CT装置は、X線照射部およびX線検出部を搭載して被検体の周囲を回転する回転部と、X線照射部へ電力を供給する電力供給部および制御部を含む静止部と、回転部から静止部へ信号を伝送する伝送部とを有する。制御部は、伝送部により回転部から静止部へ伝送されたX線照射部の情報を用いて電力供給部をフィードバック制御する。制御部は、制御対象モデル回路および無駄時間モデル回路を含むスミス予測器と、X線照射部の情報の伝送部による伝送により生じる遅れ時間を算出し、無駄時間モデル回路の無駄時間を補償する遅延時間演算部とを備える。
例えば、伝送部がエラー訂正機能を備えたデジタル伝送を行う構成である場合、遅れ時間には、エラー訂正機能によるエラー訂正で生じる遅れ時間が含まれる。
例えば、回転部は、X線照射部の情報を検出して、この情報に、伝送部による伝送前の時刻を表す情報を重畳して伝送部に伝送させる回転側制御部を備える構成とする。この場合、遅延時間演算部は、伝送部により伝送された情報に重畳された時刻と、伝送後の時刻との差を求めることにより遅れ時間を算出することができる。
また例えば、回転部は、X線照射部の前記情報を検出し、この情報に、所定のタイミングで番号を表す情報を重畳して伝送部に伝送させる回転側制御部を備える構成とする。この場合、遅延時間演算部は、伝送部により伝送された情報に重畳された番号から遅れ時間を演算することができる。
また例えば、遅延時間演算部は、伝送部からエラー訂正の回数を受け取って、このエラー訂正回数と予め定められたエラー訂正に要する時間とを用いて遅れ時間を演算することができる。
制御対象モデル回路は、例えば、制御対象と等価な、オペアンプ回路、または、プロラマブル集積回路によって構成することができる。
また、本発明の別の態様によれば、無駄時間を有する制御対象をフィードバック制御する無駄時間補償装置が提供される。この無駄時間補償装置は、制御対象モデル回路および無駄時間モデル回路を含むスミス予測器と、制御対象からの信号伝送において生じる遅れ時間を算出し、無駄時間モデル回路の無駄時間を補償する遅延時間演算部とを備える。
本発明によれば、回転部から静止部への信号伝送に遅れ時間が生じ、かつ、この遅れ時間に変動が生じる場合であっても、この遅れ時間を算出し、無駄時間モデル回路の無駄時間を補償することができる。よって、X線CT装置のように、回転部と静止部との間の信号伝送が必要な装置であっても、精度の高い制御を行うことができる。
実施形態の非接触給電方式X線CT装置の概略構成を示すブロック図。 図1のX線CT装置の管電圧の制御系を示すブロック図。 図2の制御系による無駄時間の演算処理手順を示すフローチャート。 実施形態のインバータ2の出力からX線管7までの管電圧制御回路の等価回路を示す回路図。 オペアンプを用いた積分回路を示す回路図。 オペアンプを用いた微分回路を示す回路図。 図4の等価回路を3分割した等価回路を示す回路図。 図6で分割した等価回路の第1等価回路を取り出した回路図。 図7の第1等価回路をオペアンプ回路で表したモデル回路図。 図6で分割した等価回路の第2等価回路を取り出した回路図。 図9の第2等価回路をオペアンプ回路で表したモデル回路図。 図6で分割した等価回路の第3等価回路を取り出した回路図。 図11の第3等価回路のオペアンプ回路で表したモデル回路図。 図12の回路のダイオードブリッジのダイオード順方向電圧降下の補償をするためのオペアンプ回路図。 比較例の無駄時間がない理想のX線管電圧制御システムをPI制御した場合の時間応答のシミュレーション結果を示すグラフ。 比較例の無駄時間1msを持つX線管電圧制御システムをPI制御した場合の時間応答のシミュレーション結果を示すグラフ。 無駄時間1msで一定のX線管電圧制御システムに、スミス予測器80を適用した場合の時間応答のシミュレーション結果を示すグラフ。 無駄時間が変動するX線管電圧制御システムに、スミス予測器80を適用した場合の時間応答のシミュレーション結果を示すグラフ。 無駄時間が変動するX線管電圧制御システムに、本実施形態のスミス予測器80と時間遅延演算回路85を備えた管電圧制御回路8を適用した場合の時間応答のシミュレーション結果を示すグラフ。 一般的なフィードバック制御系を示すブロック図。 一般的なスミス法の制御系を示すブロック図。
以下、本発明の一実施形態のX線CT装置について説明する。
(第1の実施形態)
図1に、第1の実施形態の非接触給電方式X線CT装置概要を示す。図1のように、このX線CT装置は、電源1と、インバータ2と、非接触給電による巻線変圧器3と、主変圧器4と、整流器5と、平滑コンデンサ6と、X線管7と、管電圧制御回路8と、X線検出器12と、信号処理部22と、陽極回転駆動回路31と、フィラメント加熱回路32とを備える。
X線管7、主変圧器4、整流器5、平滑コンデンサ6、X線検出器12は、被検体の周囲を回転する回転盤(不図示)に搭載され、回転部10を構成する。電源1とインバータ2は、共に静止部9として構成される。
静止部9側の固定枠と回転部10の回転盤が対向する位置には、それぞれ第1巻線3a、第2巻線3bが互いの磁束が鎖交するように配置され、非接触給電を行う巻線変圧器3を構成している。
また、回転部10の回転盤には回転側空間伝送モジュール21が搭載され、固定部9には静止側空間伝送モジュール20が配置されている。これらは、回転部10から固定部9へと情報を送信する通信システムであり、光通信,静電伝送,または電波による通信システムを用いる。
静止部9の電源1は、直流電圧を発生する。インバータ2は、インバータ回路と、インバータ駆動回路を含み、上記電源1から出力された直流電圧を交流に変換する。インバータ回路およびインバータ駆動回路の構成については、例えば、特開2005−94913号公報等に記載された広く知られた構成であるので、詳細な回路構成の説明は省略する。インバータ駆動回路は、インバータ回路の出力電流と、管電圧検出部14が検出し、管電圧制御回路8等を介してフィードバックした管電圧に基づき、インバータ回路内の複数の半導体スイッチのオン/オフタイミングを制御することにより、インバータ回路の出力電流、出力電圧を制御し、X線管7に供給する電力を制御する。
インバータ2の出力側に、巻線変圧器3の第1巻線3aが接続されている。第2巻線3bは、回転部10の主変圧器4の入力側に接続されている。巻線変圧器3は、第1および第2巻線3a、3bの互いの磁束を鎖交させることにより電磁気的に結合させ、非接触で所要の電力を固定部9側から回転部10側に受け渡す。
主変圧器4は、上記インバータ2から出力された交流電圧を昇圧する。整流器5と平滑コンデンサ6は、主変圧器4の出力電圧を直流の高電圧にする。
回転部10の回転盤には、更に、管電圧検出部14、陽極回転駆動回路31、フィラメント加熱回路32、回転側制御回路30、回転側空間伝送モジュール21、A/D変換器11,13が搭載されている。
陽極回転駆動回路31は、X線管7の円盤型の陽極ターゲットを回転させる。これにより、陰極で発生した熱電子が、陽極ターゲットに衝突してX線が発生する際の衝突のエネルギーを分散させる。フィラメント加熱回路32は、X線管7の陰極のフィラメントを加熱し、熱電子を発生させる。
X線管7から出射されたX線は、被検体に照射され、被検体を通過したX線は、X線検出器12によって検出される。X線検出器12の検出信号は、A/D変換器13によってデジタル信号に変換され、回転側空間伝送モジュール21から固定部9の静止側空間伝送モジュール20に送信される。
静止側空間伝送モジュール20が受信したX線検出器12の検出信号は、信号処理部22により画像再構成処理等が行われ、被検体の断層画像等が再構成される。
回転部10の回転盤上には、さらに、X線管7の両側の電圧(管電圧)を検出する管電圧検出部14と、A/D変換器11が搭載されている。管電圧検出部14の検出した管電圧は、A/D変換回路11でデジタル信号化され、回転側制御回路30でシリアル信号化される。このとき、本実施の形態では、回転側制御回路30は、A/D変換器11が管電圧信号のA/D変換を開始した時刻T0を記録する。
回転側空間伝送モジュール21は、A/D変換された管電圧信号と、時刻T0を示す信号を回転側制御回路30から受け取って、静止側空間伝送モジュール20に伝送する。また、回転側空間伝送モジュール21は、X線検出器12の出力するX線検出信号も静止側空間伝送モジュール20に伝送する。
静止側空間伝送モジュール20は、受信信号から管電圧信号と時刻T0の情報信号を分離し、管電圧制御回路8を介してインバータ2にフィードバックする。受信信号のうちX線検出信号は、信号処理装置22に受け渡す。
管電圧のフィードバックは、静止部9と回転部10との間を回転側空間伝送モジュール21および静止側空間伝送モジュール20により光伝送,静電伝送,または電波による空間伝送するため時間遅延をともなう。そのためインバータ制御回路8では、管電圧のフィードバックに1ms−数msの無駄時間が発生してしまう。
また、陽極回転駆動回路31、フィラメント加熱回路32などの動作開始信号や異常信号など、これら回路の動作に関する信号も回転側制御回路30を介してシリアル信号化し、回転側空間伝送モジュール30により静止側空間伝送モジュール20と送受信する。
静止側空間伝送モジュール20及び回転側空間伝送モジュール21の伝送遅延による無駄時間は、伝送時に発生するエラーの訂正プロトコルも含まれるため、一定ではなく変動する。伝送エラーの検出には例えばパリティチェック,サムチェック,CRCチェックなどの方法が用いられる。
つぎに、管電圧制御回路8は、管電圧のフィードバックに伴う無駄時間および無駄時間の変動を補償するため、本実施形態では、図2のようなスミス予測器80を用いた制御系である。
図2のように管電圧制御回路8は、PI制御を行うコントローラ82と、スミス予測器80と、時間遅延演算回路85とを備えている。管電圧制御回路8の制御対象102の主回路100は、図1で示した巻線変圧器3と主変圧器4と整流器5と平滑コンデンサ6を含んでいる。主回路100、A/D変換器11、回転側制御回路30、回転側空間伝送モジュール21、静止側空間伝送モジュール20を含む回路が、管電圧制御回路8の制御対象102である。
制御対象102の伝達関数はG(s)であるが、無視できない無駄時間L(遅れ時間、伝達関数e-sL)を含むため、制御対象102の伝達関数はG(s)e-sLと表される。しかも、この無駄時間Lは、上述したように静止側空間伝送モジュール20及び回転側空間伝送モジュール21によるエラーの訂正プロトコルも含まれるため、一定ではなく変動する。
スミス予測器80は、制御対象モデル回路81と無駄時間モデル回路84とを含む。制御対象モデル回路81は、制御対象102の伝達関数G(s)とほぼ等しい伝達関数P(s)を持ち、無駄時間モデル回路84は、無駄時間要素と等しい伝達関数e-sLをもつ。これらモデル回路81,84の具体的な構成については、後述する。
管電圧制御回路8は、スミス法により、コントローラ82(伝達関数Gc(s))に対して、制御対象モデル81の伝達関数P(s)を介したフィードバック90、および、無駄時間モデル104の伝達関数e-sLと制御対象102の伝達関数G(s)e-sLとの差分88のフィードバック86を行う。これにより、コントローラ82は、無駄時間を持つ制御対象102(伝達関数G(s)e-sL)を制御する。外乱87は、ゼロとする(d=0)。すなわち、コントローラ82は、スミス法により、制御対象モデル回路81と無駄時間モデル回路84により、無駄時間経過後に現れる現象を常に予測しながら、制御量(差分88)および設定値R(s)およびコントローラ101の伝達関数C(s)によって操作量U(s)を算出する。
制御対象モデル回路81の伝達関数P(s)が、制御対象102の伝達関数G(s)に等しく、無駄時間モデル回路84の無駄時間Lが、制御対象102の無駄時間Lに等しい場合には、管電圧制御回路8および制御対象102で構成されるフィードバック制御系の制御指令値R(s)から出力Y(s)までの伝達関数は、上述した(式3)および(式4)から明らかなように、無駄時間Lが残らないため安定である。よって、管電圧を安定してフィードバック制御することができる。
このとき、制御対象モデル回路81として、伝達関数P(s)が制御対象102の伝達関数G(s)に等しい回路を構築することが必要であり、かつ、無駄時間モデル回路84として、無駄時間Lが制御対象102の無駄時間Lに等しい値を用いることが必要である。
しかしながら、制御対象102には、非線形要素であるダイオード整流回路5が含まれるため、制御対象102の伝達関数を求めることは困難である。そこで、本実施形態では、制御対象102の主回路100と同じ応答特性を有する制御対象モデル回路81を構築し、実装する。例えば、制御対象モデル回路81は、オペアンプ回路によるアナログ計算機、または、FPGA(Field Programmable Gate Array)をはじめとするプログラマブルLSI等のハードウエア回路によって構成する。
主回路100に含まれる非線形要素をアナログ計算機(オペアンプ回路)等で構成することにより、非線形回路であるダイオード整流回路を直接、制御対象モデル回路81に組み込むことができる。このため、制御対象モデル回路81の出力信号の精度を高めることができる。
また、制御対象102の主回路100の応答特性をオペアンプ回路で再現しているため、制御対象モデル回路81の出力信号には、主回路100において生じる無駄時間が含まれる。これにより、主回路100において生じる無駄時間を制御対象モデル回路81によって補償することができる。また、オペアンプ回路で構成することにより、制御対象モデル回路81の演算の高速化が可能である。具体的な、制御対象モデル回路81の構成については、後述する。
なお、制御対象モデル回路81を除く管電圧制御回路8の他の構成(図2の点線枠83内のコントローラ82、無駄時間モデル回路84、時間遅延演算回路85)は、CPUとメモリによって構成され、CPUがメモリ内の所定のソフトウエアを実行することにより、上記構成の動作を実行する。
一方、無駄時間モデル回路84は、制御対象102の無駄時間Lに等しい無駄時間Lを用いて伝達関数を演算する必要がある。制御対象モデル回路81の出力信号には、主回路100において生じる無駄時間が含まれている。そのため、無駄時間モデル回路84では、図2のように、制御対象102の主回路100を除いた回路110(A/D変換器11〜静止側空間伝送モジュール20)で生じる無駄時間Lを算出すればよい。しかしながら、A/D変換器11から静止側空間伝送モジュール20の間に生じる無駄時間Lは、静止側空間伝送モジュール20及び回転側空間伝送モジュール21によるエラーの訂正プロトコルも含まれるため、一定ではなく変動する。
そこで本実施形態では、時間遅延演算回路85により、エラー訂正等による変動を含む無駄時間Lを図3のフローのように算出する。
すなわち、本実施の形態では、回転側制御回路30は、A/D変換器11が管電圧信号のA/D変換を開始した時刻T0を記録するように構成されている(ステップ501)。回転側空間伝送モジュール21は、A/D変換された管電圧信号と、時刻T0の情報を示す信号を回転側制御回路30から受け取って、静止側空間伝送モジュール20に伝送する(ステップ502)。静止側空間伝送モジュール20は、これを受信し、受信信号から管電圧信号と時刻T0を分離して管電圧制御回路8にフィードバックする(ステップ503)。
時間遅延演算回路85は、静止側空間伝送モジュール20から時刻T0を示す信号を受け取って、時間遅延演算回路85が静止側空間伝送モジュール20からの受信した時刻T1との差L0(=T1−T0)を演算する(ステップ504)。これにより、A/D変換器11〜静止側空間伝送モジュール20までの回路110で生じる無駄時間L0が算出される。
時間遅延演算回路85は、予め演算により求めておいた、制御対象モデル回路81では補償しきれない主回路100の無駄時間や、時間遅延演算回路85自身により生じる無駄時間L1(一定値)を、必要に応じてL0に加算して、無駄時間L(=L0+L1)を求める(ステップ505)。求めた無駄時間Lは、無駄時間モデル回路84に受け渡す。
無駄時間モデル回路84は伝達関数e-sLの回路であり、時間遅延演算回路85が演算した無駄時間Lをフィードバックに組み込む。
なお、回転側制御回路30と時間遅延演算回路85の参照する時刻は、同期させておく。
このように、本実施形態では、管電圧信号の伝送に伴い変動する無駄時間Lを演算により求めることができるため、スミス法を用いて、精度よく管電圧を制御することができる。
つぎに、制御対象モデル回路81の詳しい構成について以下説明する。本実施形態では、制御対象モデル回路81を、主回路100と等しい応答特性を示すオペアンプ回路によって構成する。
まず、主回路100の等価回路を図4に示す。図4に示すように管電圧制御回路の等価回路は、インバータ2の出力電圧vsからX線管7の両端の電圧vdcまでを示している。また簡単化のために、等価回路におけるX線管7部分は、抵抗Rxに置き換えている。制御対象モデル回路81を構成するために、図4の等価回路をオペアンプよるアナログ回路により構成する。
まず、図4の等価回路におけるコンデンサは、図5(a)のオペアンプのアナログ回路に、リアクトル部分は、図5(b)のオペアンプのアナログ回路にそれぞれ置き換える。
等価回路の電圧センサ600、電流センサ700の倍率を、それぞれ1/2000、1/10000とする。これにより、構成する制御対象モデル回路81と図4の等価回路とのインピーダンス比Kzが次のように計算できる。
・・・・・(式5)
このように、インピーダンス比が5となるので、図4の等価回路でのインピーダンスは、制御対象モデル回路81内で5倍となる。等価回路の入力電圧(インバータ2出力電圧)vsと入力電流is(インバータ2出力電流)は、測定可能な値であり、モデル回路81内では、これらの値を取り込んで計算を行い、最終的にX線管電圧予測値vdcを求め出力する。
ここで図4の等価回路を図6に示すように3つの回路部(第1等価回路201、第2等価回路202、第3等価回路203)に分割し、それぞれに対するモデル回路を設計する。図7は、等価回路の第1等価回路201を取りだしたものであり、図8は、第1等価回路201をオペアンプで構成したモデル回路を示す。まず第1等価回路201のCs、Rs、Lsrでの電圧降下vcs、vrs、vlsrをそれぞれ計算し、入力電圧(インバータ出力電圧)vsから、それらの電圧降下の和vlcrを減算することで、この第1等価回路201から出力される電圧vxを求める。例えば、Csによる電圧降下は、等価回路においては、(式6)により、そのモデル回路においては(式7)により求められる。
・・・・・(式6)
・・・・・(式7)
インピーダンス比Kzを用いて、この回路に相当するコンデンサや抵抗は、次(式8)のように計算できる。
・・・・・(式8)
(式8)より、抵抗R1は、(式9)のようになる。
・・・・・(式9)
ここで、C1=100pFとすると、図8のR1は、下の(式10)で求められる。
・・・・・(式10)
以下、同様に、オペアンプ回路の抵抗等の値を定める。図6の等価回路の第2等価回路202を取りだしたものを図9に示し、図9の第2等価回路202をオペアンプで構成したモデル回路を図10に示す。同様に、図6の等価回路の第3等価回路203を取りだしたものを図11に示し、図11の第3等価回路203をオペアンプにより構成したモデル回路を図12に示す。
図11の第3等価回路203において、非線形負荷であるダイオードブリッジ211を含む部分は、インピーダンスを5倍にしてそのままモデル回路上で用いる。そして、第3等価回路203の最終段の電圧v〜dcを制御対象モデル回路81の出力として使用する。
一方、電子回路でのダイオードには、約0.3Vの不感領域および順方向電圧降下が存在する。すなわち、アノードとカソード間に加わる順方向電圧が、0.3Vを越えるとオンとなって電流が流れ、それ以外の電圧0〜0.3V間ではオンにならないことが存在する。実際の等価回路でもダイオードの不感領域は存在するが、電子回路におけるダイオードとパワーモジュールのダイオードとではその比が大きく異なるため、モデル回路に誤差を生じる可能性がある。
そこで、電子回路におけるダイオードの不感領域の影響を無くすために、図12のモデル回路のダイオードブリッジ211から負荷までを図13のように変更する。すなわち、図12のダイオードブリッジ211の部分を、全波整流の出力電圧となる絶対値回路400に置き換え、さらに半波整流回路と電圧ホロア回路を用いたピークホールド回路を応用した負荷回路500を加えることにより、ダイオードのオン、オフを再現する。したがって、これらの補償回路により、モデル回路内では理想ダイオードとなるため、不感領域を生じない。なお、等価回路におけるパワーモジュールダイオードの順方向電圧降下分は、モデル回路の絶対値回路手前で減算することにより、補正できる。
以上により、図8、図10、図12(一部図13で置き換え)のオペアンプ回路(アナログ計算機)で構成された制御対象モデル回路81が得られる。このオペアンプ回路を図2の制御対象モデル回路81の部分に実装する。主回路100は、非線形要素であるダイオード整流回路5が含まれるため、伝達関数を求めることは困難であるが、本実施形態では、制御対象102の主回路100と同じ応答特性を有する制御対象モデル回路81をオペアンプ回路により構築することができるため、スミス法を用いた制御が可能である。
本実施形態の管電圧制御システムの性能を確認するためにシミュレーションを行った。
X線管電圧は、X線を放射している状態に近づけるため、570Vにステップ状に変化させる制御を行い、X線管電圧の制御は、位相シフト型インバータを用い、PI制御などの各ゲインは、すでに調整されているものを用いるものとしてシミュレーションした。
まず、比較例のX線管電圧制御システムのフィードバック系として、AD/DA変換器を備えず、また、空間伝送のエラー訂正も行わず、無駄時間がない理想のフィードバック(PI制御)系の時間応答シミュレーション結果を図14に示す。図14において、vdcrefは、X線管電圧設定値、vdcはX線管電圧のフィードバック値を示している。図14から明らかなように、このフィードバック系は無駄時間もないため、X線管電圧は設定値によく追従している。
次に、比較例として、制御システムに空間伝送に伴う遅延、及び、AD/DA変換器により、一定の無駄時間があるフィードバック系をスミス予測器80を用いず、通常のフィードバック制御(PI制御)で制御した場合のシミュレーションを行った。具体的には、AD/DA変換によるサンプリングは20kHz、通信遅延による無駄時間は1msと設定した。その結果を図15に示す。図15において、vdcdelayは、無駄時間要素が加わった後のX線管電圧フィードバック値である。図15から明らかなように、X線管電圧vdcは指令値vdcrefを中心に大きく振動しており、安定した制御ができていない。これは、X線管電圧制御の比例ゲインが大きいことが原因であると思われる。このように、無駄時間が大きい場合には、PI制御だけでは安定な応答を得ることはできないことが分かる。
これに対して、図15と同じ条件の一定の無駄時間1msを持つX線管電圧制御システムに、本実施形態のスミス予測器80を適用した場合の時間応答のシミュレーション結果を示す。ただし、無駄時間が一定であるため、時間遅延演算回路85は用いず、無駄時間モデル回路84の無駄時間Lはデジタル値でサンプリング毎に保持することで再現した。また、制御対象モデル回路81には、上述のアナログ計算機(オペアンプ回路)の出力を用いた。シミュレーション結果を図16に示す。スミス予測器80を用いた場合、X線管電圧の応答vdcdelayは、1msの遅れ時間は発生するが、無駄時間がない場合の理想状態の応答とほぼ同じく、X線管電圧は設定値vdcrefによく追従しており、無駄時間のあるシステムに対して有効であることがわかる。
しかしながら、無駄時間があり、かつ、エラー訂正動作等により無駄時間が変動する場合には、スミス予測器80を用いた場合であっても、図17のように、伝送エラー訂正による無駄時間の変動によって不安定になり振動してしまう。(なお、管電圧の設定値は図15、図16とは異なり、50kVである。)このため、スミス予測器80による無駄時間補償機能だけではこれを安定化させることはできない。
そこで、本実施形態の時間遅延演算回路85を動作させ、無駄時間の変動を補償した場合には、図18に示すようになる。管電圧検出信号に生じる一定の無駄時間だけでなく,エラー訂正で発生する無駄時間の変動をも補償することができるために,管電圧vdcは常に安定に制御できることが確認できる。
また、図1に示した回転側空間伝送モジュール21と静止側空間伝送モジュール20間では、上述の管電圧の出力情報およびX線検出信号だけでなく、他の情報も送受信することが可能である。例えば、回転部10で発生した異常信号などである。
また、上述の実施形態では、PI制御を行うコントローラ82をソフトウェアで構成するとしているが、これに限らず、アナログ回路,FPGA(Field Programmable Gate Array)などを用いたハードウェアで構成することも可能である。
ここでは無駄時間補償装置をX線CT装置に備えた例について説明したが、本実施形態の時間遅延演算回路85およびスミス予測器80は、変動する無駄時間が生じる他の装置に用いることが可能である。
以上のように、本実施形態のX線CT装置は、リアルタイム性の要求される管電圧の出力情報をシリアル信号空間伝送手段を用いてインバータへフィードバックする。このシリアル信号空間伝送手段は、空間伝播遅延やエラー訂正による遅延時間(無駄時間要素e-sL)を有し、またその時間は変動するが、時間遅延演算回路85とスミス予測器80により、安定した管電圧特性を得ることができ信頼性の高いX線CT装置を提供できる。
また、非線形回路および非線形負荷を含む制御対象のモデル回路を、アナログ計算機(オペアンプ回路)で構成することで、伝達関数または状態方程式を使わなくてスミス予測器を実現することができる。よって、X線CT装置のインバータ制御システムのように、通常のスミス法による制御対象の安定化をはかることができる。
なお本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。例えば本実施例の制御対象内の非線形要素は、ダイオード整流回路に限らず、トランジスタ回路等であってもよい。
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、A/D変換開始の時刻T0と時間遅延演算回路85の受信時刻T1との差から無駄時間L0を求めたが、第2の実施形態では別の方法で無駄時間L0を求める。
空間伝送モジュール20,21の特性が予めわかっている場合には、伝送エラーに伴う再伝送回数Rの関数と、1回の再伝送に要する時間Trの関数によって無駄時間L0を求めることができる。1回の再伝送に要する時間Trは、空間伝送モジュール20,21の特性によって定まる値であり、予め求めることができる。
そこで第2の実施形態では、静止側空間伝送モジュール20が伝送エラーに伴う再伝送回数Rをカウントし、時間遅延演算回路85に受け渡す構成とする。
時間遅延演算回路85は、下記(式11)により、L0を求め、(式12)により無駄時間Lを求める。
L0=R*Tr ・・・(式11)
L=L0+L1 ・・・(式12)
ただし、(式12)において、L1は、第1の実施形態と同様に、予め演算により求めておいた、制御対象モデル回路81では補償しきれない主回路100の無駄時間や、時間遅延演算回路85自身により生じる無駄時間であり、一定値である。
他の構成は、第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
第2の実施形態の構成では、第1の実施形態のように回転側制御回路がA/D変換を開始した時刻T0を記録し、時刻T0情報を管電圧情報に重畳して伝送する必要がなく、静止側の静止側伝送モジュール20と時間遅延演算回路85の動作のみで無駄時間Lを演算できる、というメリットがある。
(第3の実施形態)
第3の実施形態では、A/D変換器11は、所定の一定のタイミングおよび間隔でA/D変換処理を行う構成とする。回転側制御回路30は、時刻T0を記録するのではなく、A/D変換された管電圧値に、連続した番号を割り当てて管電圧値データに重畳し、空間伝送モジュール20、21により伝送する。
時間遅延演算回路85では、管電圧値データに重畳された番号から、A/D変換が開始された時刻を演算により求め、現在時刻との差からL0を計算する。L0に所定のL1を加算し、無駄時間Lを演算する。L1は、第1の実施形態と同様に所定の値を用いる。
第3の実施形態の構成によれば、回転側制御回路は、時刻T0を記録するのではなく、連続した番号を割り当てるため、時刻を用いる必要がない。このため、回転側制御回路の参照する時計機能と、時間遅延演算回路の参照する時計機能の時刻を同期させる必要がなく、構成を簡略化することができるというメリットがある。
上述してきた第1〜第3の実施形態では、インバータ2を主回路100に含めていないが、インバータ2を主回路100に含め、インバータ2を含む主回路100の等価回路をオペアンプ回路で構成した制御対象モデル回路81を用いることも可能である。インバータ2は、ダイオード整流回路などの非線形要素と複数の制御モードを持つ能動回路部分を有するため、伝達関数を定義することは困難であるが、本実施形態のようにオペアンプ回路を用いることにより制御対象モデル回路81を構成することが可能である。
また、本実施形態の無駄時間補償の構成は、X線CT装置に限らず、A/D変換回路、D/A変換回路、サンプリング回路、又は通信遅延回路などの無駄時間を有する産業用システムでよく用いられるデジタル制御系に適用することができる。
1:電源(直流電圧)、2:インバータ、3:非接触給電による巻線変圧器、4:主変圧器、5:整流器、6:平滑コンデンサ、7:X線管、8:管電圧制御回路、9:静止部、10:回転部、11、13:A/D変換回路、14:管電圧検出部、20:静止側空間伝送モジュール、21:回転側空間伝送モジュール、30:回転側制御回路、80:スミス予測器、81:制御対象モデル回路、82:コントローラ、84:無駄時間モデル回路、85:時間遅延演算回路、100:主回路、101:コントローラ、102:制御対象、103:制御対象モデル、104:無駄時間モデル、105:スミス予測器、201:第1等価回路、202:第2等価回路、203:第3等価回路、400:絶対値回路(全波整流回路)500:負荷回路、600:電圧センサ、700:電流センサ

Claims (5)

  1. X線照射部およびX線検出部を搭載して被検体の周囲を回転する回転部と、前記X線照射部へ電力を供給する電力供給部および制御部を含む静止部と、前記回転部から静止部へ信号を伝送する伝送部とを有し、
    前記制御部は、前記伝送部により前記回転部から静止部へ伝送された前記X線照射部の情報を用いて前記電力供給部をフィードバック制御するために、制御対象モデル回路および無駄時間モデル回路を含むスミス予測器と、前記X線照射部の情報の前記伝送部による伝送により生じる遅れ時間を算出し、前記無駄時間モデル回路の無駄時間を補償する遅延時間演算部とを備え、
    前記回転部は、前記X線照射部の前記情報を検出し、該情報に、前記伝送部による伝送前の時刻を表す情報を重畳して前記伝送部に伝送させる回転側制御部を備え、
    前記遅延時間演算部は、前記伝送部により伝送された前記情報に重畳された前記時刻と、伝送後の時刻との差を求めることにより遅れ時間を算出することを特徴とするX線CT装置。
  2. X線照射部およびX線検出部を搭載して被検体の周囲を回転する回転部と、前記X線照射部へ電力を供給する電力供給部および制御部を含む静止部と、前記回転部から静止部へ信号を伝送する伝送部とを有し、
    前記制御部は、前記伝送部により前記回転部から静止部へ伝送された前記X線照射部の情報を用いて前記電力供給部をフィードバック制御するために、制御対象モデル回路および無駄時間モデル回路を含むスミス予測器と、前記X線照射部の情報の前記伝送部による伝送により生じる遅れ時間を算出し、前記無駄時間モデル回路の無駄時間を補償する遅延時間演算部とを備え、
    前記回転部は、前記X線照射部の前記情報を検出し、該情報に、所定のタイミングで番号を表す情報を重畳して前記伝送部に伝送させる回転側制御部を備え、
    前記遅延時間演算部は、前記伝送部により伝送された前記情報に重畳された前記番号から遅れ時間を演算することを特徴とするX線CT装置。
  3. X線照射部およびX線検出部を搭載して被検体の周囲を回転する回転部と、前記X線照射部へ電力を供給する電力供給部および制御部を含む静止部と、前記回転部から静止部へ信号を伝送する伝送部とを有し、
    前記制御部は、前記伝送部により前記回転部から静止部へ伝送された前記X線照射部の情報を用いて前記電力供給部をフィードバック制御するために、制御対象モデル回路および無駄時間モデル回路を含むスミス予測器と、前記X線照射部の情報の前記伝送部による伝送により生じる遅れ時間を算出し、前記無駄時間モデル回路の無駄時間を補償する遅延時間演算部とを備え、
    前記伝送部は、エラー訂正機能を備えたデジタル伝送を行い、
    前記遅れ時間は、エラー訂正機能によるエラー訂正で生じる遅れ時間を含み、
    前記遅延時間演算部は、前記伝送部からエラー訂正の回数を受け取って、エラー訂正回数と予め定められたエラー訂正に要する時間とを用いて遅れ時間を演算することを特徴とするX線CT装置。
  4. 請求項1または2に記載のX線CT装置において、前記伝送部は、エラー訂正機能を備えたデジタル伝送を行い、
    前記遅れ時間は、エラー訂正機能によるエラー訂正で生じる遅れ時間を含むことを特徴とするX線CT装置。
  5. 請求項1ないしのいずれか1項に記載のX線CT装置において、前記制御対象モデル回路は、制御対象と等価な、オペアンプ回路、または、プロラマブル集積回路によって構成されていることを特徴とするX線CT装置。
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