JP5602667B2 - プローブのクリーニング装置およびその装置を用いたプローブのクリーニング方法 - Google Patents
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従来より半導体デバイスのテスト工程では、プローブ先端に堆積する付着物をクリーニングシートなどによって定期的に除去することにより、プローブの延命化が図られている。
またさらに、電気特性検査の検査対象に接触させるプローブ針の先端を研磨してクリーニングするプローブ針研磨装置であって、基板上に載置されクリーニングのためにプローブ針と接触させる研磨板と、基板を通じて研磨板を上下に移動させるエアシリンダーと、基板を通じて研磨板を回転させる回転装置とを備え、回転装置により研磨板を正方向と逆方向に少なくともプローブ針径以上回転する機能と、研磨板の回転速度を可変させる機能を有することを特徴とするプローブ針研磨装置が開示されている。プローブ針に常に一定の力で連続的に押し当てるだけではなく断続的に押し当て量を変化させることによって、プローブ針へのストレスを緩和させることが示されている(例えば、特許文献3)。
また、特許文献2に示された技術は、超音波振動を用いてクリーニングシートに水平動作を与え、付着物を除去するものであるが、超音波振動の振動数が高く、プローブ先端に急激な水平方向変位量を与えるため、プローブの強度を低下させる恐れがあり、それに伴い、シート接触時にプローブ先端に作用する水平方向反力が増大し、スティックスリップする問題がある。
さらに特許文献3に示された技術は、押し込み量を変化させることによって、プローブ針へのストレスを緩和させることが示されている。この動作は押し込み量をプローブ押し込み方向に対して正負逆転させる動作であり、プローブ先端がR形状を有する場合、先端形状を維持するためプローブ先端側部の研磨が必要であり、プローブ先端がある程度沈み込むまで押し込み量を増加させる必要がある。従って、上記動作ではR形状のプローブ先端が平坦化する問題がある。
また第2の発明に係るプローブのクリーニング方法は、上記プローブのクリーニング装置を用いているので、同様の効果を奏する。
実施の形態1の詳細な説明に入る前に、従来技術のプローブのクリーニング装置およびクリーニング方法に関する課題を今一度述べる。
閉ループ状にプローブ先端部をクリーニングシート水平方向へ移動させる方式は、プローブ先端部からプローブを保持する保持部までの距離によって決まるシート水平方向のプローブばね定数と、プローブ先端部が水平方向に受ける荷重との関係により、クリーニングシート上でプローブ先端部がスティックスリップし、適正にクリーニングできないという問題がある。
例えば、プローブの保持部からプローブ先端部までが1.0mm、プローブ直径が0.11mm、材質がタングステンであるプローブを、研磨層下にクッション層を有するクリーニングシートを用いて水平移動によりクリーニングするとき、スティックスリップが発生しない押し込み範囲は0.03mm程度と小さい。従って、プローブの保持部にプローブ先端部がほぼ同一平面となるよう取り付けられた複数本のプローブを一度にクリーニングするためには、プローブ単体の長さ精度、およびクリーニング装置への取り付け精度が要求される。プローブを取り付けたプローブ治具を検査ヘッドに固定した状態で検査とクリーニングを繰り返すインラインクリーニング方式であれば、装置への取り付け精度は変化することなく、またプローブの長さもクリーニングを繰り返すと均一化されやすいが、プローブ治具の脱着が発生するオフラインクリーニング方式はクリーニング装置への取り付け精度がクリーニング毎に変化するため、プローブ先端部の仕上がり、およびクリーニング量がプローブ毎にばらつく問題がある。
さらにプローブ先端部を球面状とするR形状に維持するためのクリーニングシートは、プローブの押し込みにより研磨層が沈み込む構造であるため、水平方向移動クリーニング時にプローブ先端側部が研磨される。
プローブ先端側部のクリーニングはプローブ先端部を細く削ってしまうため、プローブ先端部の強度が低下し、プローブの折損などの問題が生じることがあった。
逆に、プローブ先端部中央の付着物を除去することに注力しすぎると、プローブ先端部のR形状が平坦形状に変わるため、ある程度のプローブ先端側部の研磨も必要であり、プローブ先端部中央を多く、プローブ先端側部を少なく研磨できるものでなければならない。
以下、図1〜図3に基づいて説明を行う。
図1は、本実施の形態1のプローブのクリーニング装置100の全体を示した斜視図である。図1において、Xステージ30は台座1の上に設置され、Xステージガイド31上をロボシリンダーなどのX方向駆動装置32によってX軸方向に直進移動する。Yステージ40はXステージ30の上に設置され、Yステージガイド41上をロボシリンダーなどのY方向駆動装置42によってY方向に直進移動する。クリーニングシート50はYステージ40の上に設置される。これらX、Y方向駆動装置32、42よりなる水平方向駆動機構によってクリーニングシート50は水平方向に駆動される。
つまり、Yステージ40はXステージ30上をX方向に直進移動され、Yステージ40上のクリーニングシート50はY方向に直進移動されることになり、結果としてクリーニングシート50は、ステージ上をX方向、Y方向の双方向の水平方向に移動する。
プローブ11を鉛直方向であるZ方向に移動させる鉛直方向機構として、プローブヘッド21が台座1に設置され、プローブヘッドガイド22上をロボシリンダーなどのZ方向駆動装置23によって鉛直方向に直進移動する。プローブカセットホルダ20はプローブヘッド21に取り付けられ、このプローブカセットホルダ20にプローブ治具10を取り付ける。プローブ11はプローブ治具10の保持部10aで保持される。
このようなプローブのクリーニング装置100の構成によりプローブ11とクリーニングシート50はX、Y、Z方向について相対移動する。
図2(b)のプローブ11の拡大図に示すように、プローブ11のプローブ先端部12には曲率Rを有する球面状12cがあるいは図2(c)のプローブ11の拡大図に示すように、前記球面状12cの中途から直線で延伸する傾斜部12dが設けられている。クリーニングシート50は表層に研磨層51がある。この研磨層51は、例えばSiC系の砥粒を樹脂のバインダーで固められたものである。その下層に弾塑性体である発泡ポリウレタンのクッション層52で構成される。さらに、その下層はPETフィルム等のベース板53があり、ベース板53下部はクリーニングシート50をYステージ40に固定するための粘着層54がある。ここで図2に示す記号X1、X5はクリーニングシート50の移動する位置を示すものであり後述する図3、図4のX軸のX1、X5と一致するものである。
プローブ11はスプリングの反力を使用して接触するスプリングプローブ、ワイヤのたわみの反力を使用して接触するワイヤプローブ、プローブの曲げを横滑りの力に変換して接触するカンチレバーなどの方式があるが、プローブ11の方式によらずクリーニング可能である。
プローブ先端部12はプローブ先端部中央12aに、例えばアルミの付着物13が堆積する傾向がある。プローブ先端部12が球面状である場合、プローブ先端部12と検査対象部物の半導体デバイスとの接触エリアはプローブ先端部中央12aとなるため、通電検査によるアルミの付着物13はプローブ先端部中央12aに堆積する。
なおこの図3および後述する図4において、X方向およびY方向のプローブ軌跡の位置関係は図5のような閉ループ状である。図1に示したプローブのクリーニング装置100において、クリーニング動作はプローブ先端部12をクリーニングシート50をZ方向の所定の位置に連続的に、移動させる動作と、かつYステージ40上のクリーニングシート50をXおよびY方向の所定の位置に連続的に移動させる動作の組み合わせで実現する。
すなわちプローブ先端部12はクリーニングシート50の研磨層51近傍まで下降し、クリーニングシート50は図3の場合、(X1、Y1)→(X2、Y2)→(X3、Y3)→(X4、Y4)→(X5、Y5)→(X1、Y1)と閉ループを描くよう数ミリ程度連続的に移動する。閉ループ形状は直進、円弧運動などプローブ配置などに合わせて適宜選択できる。このように前記X1、Y1の状態から、プローブ先端部12はZ方向駆動装置23により徐々にクリーニングシート50の厚さ(深さ)方向へ移動し、クリーニングシート50のX、Y方向動作とプローブ先端部12のZ方向動作が組み合わさり、プローブ先端部12のアルミの付着物13は研磨層51との研磨により除去される。
なお、X、Y方向動作とZ方向動作の組み合わせは、プログラムされたソフトを備えた図1に示した制御装置60にてコントロールされる。
このプローブ先端部12に付着したアルミの付着物13を除去するためにはX、Y方向の水平移動量を数ミリ程度とすることで除去することが可能である。
プローブ先端部12の曲率Rが0.05mm程度の場合、プローブ11の最終押し込み量はプローブ先端部中央12aが研磨層51にタッチダウンした状態から所定の値である0.03mm〜0.05mm程度となるよう設定することが好ましい。また、タッチダウンするZ位置はZ移動量を振分けたクリーニングシートサンプルを作製し、このクリーニングシートサンプルに残された痕を顕微鏡で確認することで決定することができる。
加えて、スティックスリップを発生させないため、タッチダウンするZ位置からX、Y方向の水平移動を開始することは必要条件ではない。例えば、プローブ先端部中央12aと研磨層51が0.01mm程度離間した状態からX、Y方向の水平移動を開始して徐々に押し込み量を増加させた場合であっても、所定の値である最終押し込み量が0.03mm〜0.05mmに達していれば、同様の効果が得られることは言うまでもない。
このとき、もしプローブ先端部中央12aを研磨層51に0.05mmまで一度に押し込んで水平移動させた場合、プローブ治具10から突出する直径0.1mm、長さ0.5mmのプローブは水平移動時に発生する水平方向の反力に負けてスティックスリップしやすい。スティックスリップ後に研磨層51に残される軌跡は凹凸が激しく、プローブ先端部12のクリーニング仕上がりも悪化する。
このようなクリーニング動作においてプローブ先端部中央12aはプローブ先端側部12bより長時間研磨されるため、プローブ先端部12の球面状12cの形状が維持されやすい。
また、徐々に押し込む動作はプローブ先端部12と研磨層51の間で作用するX、Y、Z方向の急激な反力の変化を抑止するため、プローブ先端部12が研磨層51上でスティックスリップすることを防止できる。
以上より、この実施の形態1によるクリーニングはプローブ先端部12が球面状、および球面状の中途から直線で延伸した傾斜部を有する場合において効果的にアルミの付着物を除去できる。
次に、実施の形態2について説明する。
図4は、ステップ状の連続的な押し込み増加におけるX方向とZ方向のプローブ先端部12の軌跡を示したグラフ図である。
実施の形態1ではプローブ先端部12をZ方向に連続的に微小増加させながらクリーニングシート50をX、Y方向に移動させるものであったが、Z方向移動の増加を連続的に微小増加からステップ状に増加するようにしてもよい。
例えば、実施の形態1で示したプローブ先端部12をクリーニングする場合、研磨層51に一度の0.05mm押し込んだ状態で水平方向へ移動させると、保持部10aから突出するプローブ11が水平方向移動時の反力に負けてスティックスリップしやすいが、0.01mmずつ段階的にかつ連続的に押し込み量を増加させることでスティックスリップを防止できる。
このようにプローブ先端部12が研磨層51から受ける反力が急激に変化することがない押し込み量で増加させていけば、プローブ先端部12のアルミの付着物13の除去に対して同様の効果が得られる。
次に、実施の形態3を説明する。
図6は、アタッチメント14取り付け時を説明するプローブ治具10およびアタッチメント14の断面図である。図6(a)は、アタッチメント14を取り付けた状態を示し、図6(b)はアタッチメント14の取り付け無しの状態を示している。
実施の形態1、2では図1および図6(b)のようにプローブ11をプローブ治具10に取り付けた状態のままでプローブカセットホルダ20に固定する方法であった。従って図6(b)において、例えばプローブ11の直径0.1mmに対して保持部14aからの突出量が0.5mm以上と長い場合には、スティックスリップしやすい。このスティックスリップ防止のため、保持部14aからプローブ先端部12までの距離を短くする目的でアタッチメント14を取り付けてもよい。このアタッチメント14はプローブ治具10のプローブ11の配置と同様の位置に穴が空けられたプレート形状のものであり、プローブ11の水平方向の変位を規制する。
このアタッチメント14によりプローブ先端部12から保持部14aまでの距離は短くなり、クリーニング動作時にプローブ11のスティックスリップやプローブ11の湾曲の発生を防止する効果がある。
13 付着物、14 アタッチメント、23 Z方向駆動装置、30 Xステージ、
32 X方向駆動装置、40 Yステージ、42 Y方向駆動装置、
50 クリーニングシート、51 研磨層、100 クリーニング装置。
Claims (5)
- 電気特性検査に用いられるプローブのクリーニング装置であって、
前記クリーニング装置には、曲率Rで形成された球面状の先端部が設けられたプローブ、あるいは前記球面状の先端部の中途から直線で延伸する傾斜部が設けられたプローブを装着する鉛直方向駆動機構と、前記プローブの先端部に付着した異物を除去するためのクリーニングシートを固定するステージと、前記ステージの水平方向駆動機構と、前記鉛直および水平方向駆動機構を制御する制御装置とが設けられており、前記プローブが前記ステージの表面に対して垂直となるよう装着され、前記制御装置は前記鉛直方向駆動機構を前記プローブの先端部の前記クリーニングシートへの押し込みが複数回でその押し込み量が連続的に増加して所定の値となるまで駆動制御するとともに、前記水平方向駆動機構を前記クリーニングシートの前記プローブの先端部に対する移動軌跡が、連続的な閉ループとなるよう駆動制御することを特徴するプローブのクリーニング装置。 - 前記クリーニングシートには表面に研磨層、その下層に弾塑性体が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のプローブのクリーニング装置。
- 前記制御装置は、前記プローブの先端部の前記クリーニングシートへの押し込みが複数回でその押し込み量が連続的に増加して所定の値となるまで、ステップ状に増加するよう駆動制御することを特徴とする請求項1に記載のプローブのクリーニング装置。
- 前記鉛直方向駆動機構には、前記クリーニングシートとプローブ治具の保持部との鉛直方向の距離を調整するアタッチメントが設けられ、該アタッチメントに前記プローブが装着されていることを特徴とする請求項1に記載のプローブのクリーニング装置。
- 前記請求項1のプローブのクリーニング装置を用いたことを特徴とするプローブのクリーニング方法。
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