本発明の目的は、従来のヘアードライヤーに比べてより高度のデザイン効果を発揮して外観上の印象を向上し、興趣に富むデザインのヘアードライヤーを提供することにある。
前端に吹出口8、後端に吸込口28を有する筒状の本体ケース1の内部に、送風ファン3と、送風ファン3を駆動するモーター4と、ヒーターユニット5とが、吸込口28から吹出口8へ向かって記載順に設けてあるヘアードライヤーである。本体ケース1は、光透過性素材で形成されている。ヒーターユニット5の外面が金属製のヒーターカバー13で覆われている。ヒーターカバー13の外面を覆う、本体ケース1の前部壁面が透視可能で、残る後部壁面にケース内部の視認を遮る本体遮蔽部59が形成してあることを特徴とする。
本体遮蔽部59が、本体ケース1の外面に塗装を施して形成してある。
本体遮蔽部59が、本体ケース1の外面にグラデーション塗装を施して形成されており、グラデーション塗装の色調が、本体ケース1の前部から後部へ向かって連続して徐々に濃くしてある。
本体遮蔽部59の前部境界60が、ヒーターカバー13の後端より前方に位置させてある。
本発明に係るヘアードライヤーは、本体ケース1の内部に、送風ファン3と、送風ファン3を駆動するモーター4と、ヒーターユニット5が設けてある。本体ケース1は、ケース中心軸に沿って複数に分割された分割ケース30・31を含んで構成する。本体ケース1の吹出口8に、接合された分割ケース30・31の分離を防ぐ固定リング32を装着する。固定リング32に、吹出口8から吹出される空気流を収束ないし拡散する吹出ノズル9を一体に形成することを特徴とする(図1参照)。
図3に示すように、吹出ノズル9は、固定リング32と一体に形成された第1吹出ノズル41と、第1吹出ノズル41の外面に着脱自在に装着されて、第1吹出ノズル41のノズル口45から吹出された空気流を収束ないし拡散する第2吹出ノズル42とで構成する。
第1吹出ノズル41、および第2吹出ノズル42は、それぞれ光透過性素材で形成する。
分割ケース30・31は、それぞれ光透過性素材で形成して、固定リング32で分離不能に固定する。
ヒーターユニット5の外面をヒーターカバー13で覆う。ヒーターカバー13の外面を覆う分割ケース30・31の前部壁面は透視可能とし、残る後部壁面にケース内部の視認を遮る本体遮蔽部59を形成する(図5参照)。
本体遮蔽部59は、分割ケース30・31の外面に塗装を施して形成する。
本体遮蔽部59は、分割ケース30・31の外面にグラデーション塗装を施して形成する。グラデーション塗装の色調は、分割ケース30・31の前部から後部へ向かって連続して徐々に濃くする。
本体遮蔽部59の前部境界60を、ヒーターカバー13の後端より前方に位置させる(図5参照)。
第1吹出ノズル41を、固定リング32と、固定リング32の前側に連続して設けられるノズル部44とを含んで構成する。固定リング32のノズル部44との隣接部分に、リング内部の視認を遮るリング遮蔽部62を形成する(図5参照)。
ヒーターカバー13の内面に、ヒーターユニット5を覆う絶縁筒12を配置する。絶縁筒12の前端は、ヒーターカバー13の前端より前方へ突出されて露出している。絶縁筒12の前端露出部63を、リング遮蔽部62で覆う(図1参照)。
第1吹出ノズル41のノズル部44のノズル口45を、固定リング32からノズル先端へ向かって突設される複数個の収束片46と、隣接する収束片46の間に形成される拡散凹部47とで連続波形に形成する。第2吹出ノズル42のノズル部52は、ノズル前端へ向かって前すぼまり状に形成する。
本体ケース1の吹出口8に配置した吹出グリル14の前面に、イオン発生用の放電ユニット15で生成したイオンを送出案内するイオンガイド筒22を突設する。イオンガイド筒22の前端を、第1吹出ノズル41の拡散凹部47より前方へ突出させる(図1参照)。
第1吹出ノズル41のノズル部44および第2吹出ノズル42のノズル部52を、それぞれ先すぼまり状に形成して、各ノズル41・42のノズル口45・53を長円ないし楕円状に形成する。第2吹出ノズル42は、第1吹出ノズル41に対して着脱自在に、かつ、装着状態において回転自在に装着する。
本発明のヘアードライヤーでは、光透過性素材で形成した本体ケース1の前部壁面を透視可能とし、残る後部壁面に本体遮蔽部59を設けるので、例えばモーター4やヒーターユニット5用のリード線の配線個所を本体遮蔽部59で覆って、本体ケース1の外観の印象が煩雑になるのを防ぐことができる。同時に、本体遮蔽部59より前側の透視可能な部分においては、ヒーターカバー13の表面の色、模様、金属光沢などの質感を利用して、本体ケース1の外観デザインを行うことができる。従って、本体ケース1の全体を光透過構造とする場合に比べて、より高度のデザイン効果を発揮して、ヘアードライヤーの外観上の印象を興趣に富むものとすることができる。
また、本発明のヘアードライヤーでは、本体ケース1の外面に塗装を施して本体遮蔽部59を形成するので、本体遮蔽部59を形成するための手間と時間を最小限化して、より少ないコストで本体遮蔽部59を形成できる。さらに、塗料の色相、彩度、明度、あるいはメタリック感の有無などを自由に選定できるので、本体ケース1の外観デザインを多様化できる。
また、本発明のヘアードライヤーでは、本体遮蔽部59をグラデーション塗装で形成するので、本体遮蔽部59における色調および呈色状態の変化を本体ケース1の外観デザインに取込んで、デザイン目的に応じた視覚効果を発揮することができる。また、ヒーターカバー13の表面で反射されて、本体遮蔽部59と透視可能な部分との間で視認される色の変化と、本体遮蔽部59における呈色状態の変化の複合作用によって、新規な素材感、高級感、メタリック感などを醸し出して、本体ケース1の外観の印象を向上できる。
また、本発明のヘアードライヤーでは、本体遮蔽部59の前部境界60をヒーターカバー13の後端より前方に位置させるので、ファンケース11と絶縁筒12の継ぎ目や、ケース内面のリブ構造などが視認されるのを本体遮蔽部59で遮ることができる。また、先に説明したように、電装品同士を繋ぐリード線の配線個所が視認されるのを本体遮蔽部59で遮ることができ、全体として、本体ケース1の外観の印象が煩雑になるのを解消して、外観の印象をすっきりさせることができる。
本発明のヘアードライヤーにおいては、分割ケース30・31の分離を防ぐ固定リング32を利用して、同リング32と一体に吹出ノズル9を形成するようにした。したがって、本発明のヘアードライヤーによれば、吹出ノズルを固定リングとは別に設ける従来のヘアードライヤーに比べて、本体ケース1の吹出口構造を簡素化して部品点数を削減でき、ヘアードライヤーの製造コストを削減できる。また、固定リング32と一体の吹出ノズル9を本体ケース1に固定して、分割ケース30・31の分離を防ぐので、吹出ノズル9が本体ケース1から取外されることはなく、吹出ノズル9の所在が不明になり、あるいは紛失するのを防止できる。
固定リング32を含む第1吹出ノズル41と、第1吹出ノズル41に着脱される第2吹出ノズル42とで吹出ノズル9を構成すると、第1吹出ノズル41のノズル口45から吹出された空気流を、第2吹出ノズル42で収束ないし拡散することができる。さらに、第2吹出ノズル42の装着姿勢を変更することにより、同ノズル42のノズル口53から吹出される空気流の吹出し形態を自在に変更できる。例えば、楕円状に形成したノズル口53から扁平に収束された空気流を吹出す場合には、第2吹出ノズル42を回転操作することで、扁平な空気流の収束軸の方向を自由に変更できる。したがって、髪のセットや髪の乾燥などの用途に応じて、最も適した空気流の空気流の吹出し形態(風圧、風速、吹出し方向)を選択して、効果的に髪処理を行える。
第1吹出ノズル41および第2吹出ノズル42のそれぞれを、光透過性素材で形成すると、第2吹出ノズル42を通して第1吹出ノズル41の外形および表面を視認でき、さらに第1吹出ノズル41の内部の構造を視認できる。また、吹出ノズル9を外面から見るとき、第2吹出ノズル42のみで覆われる空間と、両吹出ノズル41・42が内外に重なる部分とで、透明感や色濃度が変化して異なる視覚効果を発揮することができ、深みのあるクリスタルの印象や清涼感を醸すことができる。
分割ケース30・31のそれぞれを、光透過性素材で形成すると、本体ケース1を通してヒーターカバー13やファンケース11を視認できる。したがって、ファンケース11およびヒーターカバー13をデザイン要素に加えて、本体ケース1の外観デザインを多様化することにより、外観上の印象を興趣に富むものとすることができる。例えば、ファンケース11の表面の色や模様、あるいはヒーターカバー13の表面の色、模様、金属光沢などを適宜選定することで、興趣に富むヘアードライヤーを提供できる。
ヒーターカバー13の外面を覆う分割ケース30・31の後部壁面に本体遮蔽部59を形成すると、例えばモーター4やヒーターユニット5用のリード線の配線個所を本体遮蔽部59で覆って、本体ケース1の外観の印象が煩雑になるのを防ぐことができる。同時に、本体遮蔽部59より前側の透視可能な部分においては、ヒーターカバー13の表面の色、模様、金属光沢などの質感を利用して、本体ケース1の外観デザインを行うことができる。従って、分割ケース30・31の全体を光透過構造とする場合に比べて、より高度のデザイン効果を発揮できる。
分割ケース30・31の外面に塗装を施して本体遮蔽部59を形成すると、本体遮蔽部59を形成するための手間と時間を最小限化して、より少ないコストで本体遮蔽部59を形成できる。さらに、塗料の色相、彩度、明度、あるいはメタリック感の有無などを自由に選定できるので、本体ケース1の外観デザインを多様化できる。
本体遮蔽部59をグラデーション塗装で形成すると、本体遮蔽部59において徐々に変化する色調、および呈色状態の変化を本体ケース1の外観デザインに取込んで、デザイン目的に応じた視覚効果を発揮することができる。また、ヒーターカバー13の表面で反射されて、本体遮蔽部59と透視可能な部分との間で視認される色の変化と、本体遮蔽部59における呈色状態の変化の複合作用によって、新規な素材感、高級感、メタリック感などを醸し出して、本体ケース1の外観の印象を向上できる。
本体遮蔽部59の前部境界60がヒーターカバー13の後端より前方に位置させてあると、ファンケース11と絶縁筒12の継ぎ目や、ケース内面のリブ構造などが視認されるのを本体遮蔽部59で遮ることができる。また、先に説明したように、電装品同士を繋ぐリード線の配線個所が視認されるのを本体遮蔽部59で遮ることができ、全体として、本体ケース1の外観の印象が煩雑になるのを解消して、外観の印象をすっきりさせることができる。
固定リング32にリング遮蔽部62を形成すると、本体ケース1の吹出口8の周辺構造や、固定リング32と連結筒部34の連結構造部が視認されるのを、リング遮蔽部62で遮ることができ、本体ケース1の吹出口周辺の外観の印象をすっきりさせることができる。また、固定リング32の周面が、同リング32の露出周面と、リング遮蔽部62で覆われる部分とに二分されるので、あたかも固定リング32が2個の部品で構成してあるような外観上の印象を与えることができる。とくに、リング遮蔽部62が金属箔をホットスタンプして形成してある場合には、その表面が金属光沢を呈するので、固定リング32の露出周面との質感の違いを強調でき、リング遮蔽部62が金属部品であるような印象を与えて高級感を醸すことができる。
絶縁筒12の前端を、ヒーターカバー13の前端より前方へ突出させるのは、ヒーターカバー13の前端を吹出口8から遠ざけて、両者8・13の絶縁距離を確保し感電を防ぐためである。たとえば、絶縁筒12が破損してヒーター線38とヒーターカバー13とが導通した場合には、ヒーターカバー13に触れて感電するおそれがあるが、こうした事故を避けるために、絶縁筒12の前端を、ヒーターカバー13の前端より前方へ突出させている。しかし、絶縁筒12の前端が露出していると、透視可能な固定リング32を介して前端露出部63が視認されて、煩雑な印象を与えやすい。こうした煩雑な印象を払拭して、外観をすっきりさせるために、絶縁筒12の前端露出部63の外面をリング遮蔽部62で覆って、前端露出部63が視認されるのをリング遮蔽部62で遮っている。
第1吹出ノズル41のノズル口45を、複数個の収束片46と拡散凹部47とで連続波形に形成すると、吹出口8から送出された空気の一部を各収束片46で収束させながら、拡散凹部47から漏出た拡散する空気流によって、収束する空気流を包み込むことができる。つまり、第1吹出ノズル41は、吹出口8から送出された空気を、なかば収束させ、同時になかば拡散させながら、そのノズル口45から吹出すことができる。また、ノズル部52が前すぼまり状に形成してある第2吹出ノズル42は、第1吹出ノズル41のノズル口45から吹出された空気流を収束して、ノズル口53から吹出すことができる。したがって、第2吹出ノズル42を第1吹出ノズル41に着脱することで、なかば収束され、なかば拡散された空気流を吹出し供給する形態と、収束された空気流を吹出し供給する形態とに変更して、髪の乾燥やセットを適確に行うことができる。
イオンガイド筒22の前端を、第1吹出ノズル41の拡散凹部47より前方へ突出させるのは、イオンガイド筒22の存在を強調して、イオン送給機能を備えているヘアードライヤーであることをユーザーに訴求するためである。このように、イオンガイド筒22の前端を拡散凹部47より前方へ突出させると、イオンガイド筒22が他物と接当する機会が増加するが、その周囲が収束片46で囲まれているので、イオンガイド筒22が他物と接当して破損し、変形するのをよく防止できる。
第1、第2の各ノズル41・42のノズル口45・53を長円ないし楕円状に形成し、第2吹出ノズル42を第1吹出ノズル41に対して回転自在に装着すると、第2吹出ノズル42のノズル口53から吹出される空気流の収束形状を変更できる。例えば、両ノズル41・42のノズル口45・53の長軸線を一致させて2重楕円状にする場合(図7に実線で示す状態)には、広幅で扁平に収束された空気流をノズル口53から吹出すことができる。また、両ノズル41・42のノズル口45・53の長軸線を直交させて交差楕円状にする場合(図7に想像線で示す状態)には、細く絞られた高速度の空気流をノズル口53から吹出すことができる。さらに、第2吹出ノズル42のノズル口53の長軸線を斜めに傾斜させた状態では、広幅で扁平に収束された空気流と、細く絞られた高速度の空気流との中間状態の空気流をノズル口53から吹出すことができる。加えて、第2吹出ノズル42を回転操作することにより、ノズル口53で絞られた扁平な空気流の収束軸の方向を自由に変更できる。
(実施例) 図1ないし図6は本発明に係るヘアードライヤーの実施例を示す。本発明における前後、左右、上下とは、図2に示す交差矢印と、各矢印の近傍に表記した前後、左右、上下の表示に従う。図2においてヘアードライヤーは、横長筒状の本体ケース1と、本体ケース1の後部寄り下面に連結されるグリップ2とを備えている。本体ケース1の内部には、軸流型の送風ファン3と、ファン駆動用のモーター4と、送風ファン3から送給される空気流を加熱するヒーターユニット5などが配置してある。
グリップ2の前面にはスイッチノブ6が設けてあり、このスイッチノブ6をオフ位置から上向きにスライド操作することにより、ヘアードライヤーの運転モードを切り換えることができる。常温の冷風を送給するモードと、比較的低温で低速の温風を送給するモードと、高温で高速の温風を送給するモードである。必要に応じて、図示していないスイッチを切り替え操作することにより、イオン発生用の放電ユニット15を作動させてイオンを同時供給することができる。
図3に示すように、本体ケース1の内部には、送風ファン3の周囲を囲むファンケース11と、ヒーターユニット5の周囲を囲むマイカ製の絶縁筒12、および金属製のヒーターカバー13とが配置してある。絶縁筒12の前端は、ヒーターカバー13の前端より前方へ突出されて露出しており、その前端に金属板材を打抜いて形成した吹出グリル14が配置してある。ヒーターカバー13は、厚みが薄いメッキ鋼板を丸めて形成した金属製のテーパー筒体であり、その外面は鈍い光反射面になっている。ヒーターカバー13を設けることにより、ヒーター線38の熱をヒーターカバー13の熱伝導作用で分散させて、ヒーターユニット5の周りを囲む本体ケース1の壁部分が局部的に高温になるのを防止できる。さらに、ヒーター線38の輻射熱を反射して、本体ケース1が高温になるのを防ぐことができる。
吹出グリル14に臨むヒーターユニット5の前部中央には、イオン発生用の放電ユニット15が配置してある。放電ユニット15は、針状の放電電極16と、リング状の対向電極17と、これら両者を支持する絶縁ホルダー18とからなり、放電電極16と対向電極17との対を絶縁ホルダー18の前部左右に配置して構成してある。符号19は、整流回路および高電圧のパルス電流を発生する回路が封入してある樹脂モールドである。
イオン発生用の放電ユニット15で生成したイオンを送出案内するために、吹出グリル14の前面の中央にイオンガイド筒22が装着してある。図6に示すようにイオンガイド筒22は、円形の第1筒23と、第1筒23の前面に設けられる横臥8字状の第2筒24とを一体に備えたプラスチック成形品からなり、吹出グリル14に溶着されて固定してある。
ファンケース11は円筒状に形成してあり、その内面の前部に整流翼25を有し、整流翼25で囲まれるホルダー部にモーター4が組み付けてある。ファンケース11の周面の下部には締結座26が形成してあり(図3参照)、この締結座26を後述する右ケース31にビス27で締結することにより、ファンケース11が本体ケース1と一体化してある。ファンケース11の後方の吸込口28に吸込グリル7を装着して、髪や衣服の一部が送風ファン3に吸い込まれるのを防いでいる。吸込グリル7は、パンチングメタル製のプレス成形品からなる。
図4に示すように、本体ケース1は、ケース中心軸に沿って左右に2分割された左ケース(分割ケース)30および右ケース(分割ケース)31と、両ケース30・31の前部および後部をそれぞれ分離不能に固定する、固定リング32および後部筒33とで構成する。左右のケース30・31は、ファンケース11および絶縁筒12で構成される風洞の風洞中心を通る垂直平面に沿って左右に分割されて、断面が半円状に形成してあり、その前端には先の固定リング32を装着するための連結筒部34が一体に形成してある。左右のケース30・31を接合した状態における連結筒部34の前端開口が吹出口8となり、この吹出口8の周囲に固定リング32が固定される。
左右ケース30・31の内面の3個所には、部分円弧状の受リブ35が形成してあり、左右のケース30・31を接合した状態において、これらの受リブ35と連結筒部34の内面とで、ファンケース11およびヒーターカバー13の周面を抱持している。吸込グリル7は後部筒33に固定してあり、後部筒33は、最も後方に設けた受リブ35に係合されて、右ケース31の外面からねじ込んだビス(図示していない)で固定してある。
ヒーターユニット5は、十文字状に組まれた絶縁板37と、絶縁板37の周囲に巻き付けられたヒーター線38とで構成してあり、ユニット全体が絶縁筒12の内面に嵌め込まれて、ファンケース11で遊動不能に保持固定してある。絶縁板37は、先に説明した放電ユニット15および樹脂モールド19の支持体を兼ねている。ヒーター線38はニクロム線で形成してある。以上のように、この実施例におけるヘアードライヤーにおいては、前端に吹出口8、後端に吸込口28を有する筒状の本体ケース1の内部に、送風ファン3と、送風ファン3を駆動するモーター4と、ヒーターユニット5とが、吸込口28から吹出口8へ向かって記載順に設けてある。
吹出ノズル9は、固定リング32と一体に形成される第1吹出ノズル41と、必要に応じて第1吹出ノズル41の外面に着脱される第2吹出ノズル42とで構成する。図1に示すように、第1吹出ノズル41は、円筒状の固定リング32の前部に連続して形成される円筒状の筒基部43と、筒基部43に連続して前すぼまり状に突設されるノズル部44とを一体に備えたプラスチック成形品からなる。固定リング32の周面直径は、筒基部43の周面直径より大きく設定してあり、固定リング32を連結筒部34の外面に圧入することにより、本体ケース1と一体化される。
ノズル部44のノズル口45は、筒基部43からノズル先端へ向かって突設される花弁状の4個の収束片46と、隣接する収束片46の間に形成される拡散凹部47とで連続波形に形成してある。径方向に対向する収束片46・46は、それぞれ前すぼまり状に傾斜させてあり、したがって、吹出口8を通過した空気の一部は各収束片46で収束され、拡散凹部47から漏れ出て拡散する空気流によって包み込まれる。
筒基部43の後端内面には、吹出グリル14を装着するための段部48が形成してある。固定リング32を連結筒部34の周面に嵌合し固定した状態において、段部48に嵌込んだ吹出グリル14の前後面は筒基部43と連結筒部34の前端面とで挟持固定される。筒基部43の周面後部には、筒基部43に装着した第2吹出ノズル42を抜止めするためのリブ49が周回状に形成してある。先に説明したイオンガイド筒22の前端は、第1吹出ノズル41の拡散凹部47より、寸法aの分だけ前方へ突出してある(図1参照)。
図2、図3において、第2吹出ノズル42は、筒基部43の周面に装着される円筒状の装着筒部51と、装着筒部51に連続して先すぼまり状に形成されるノズル部52を一体に備えたプラスチック成形品からなり、前端のノズル口53が楕円状に形成してある。ノズル口53の長軸中心に臨むノズル部52の周壁には、外部空気を導入するための空気導入口54が開口され、ノズル周面の後部から導入口54へ向かって浅い案内溝55が凹み形成してある。空気導入口54を設けることにより、第2吹出ノズル42を通過する空気流によるベンチュリー作用で外気をノズル内に導入することができる。これにより、ヒーターユニット5で加熱されて乾燥した状態の空気流に対して、水分を含んだ外部空気を空気導入口54から導入して、濡れた髪を乾燥する際に髪が過度に乾燥するのを防止できる。
装着筒部51の内面の複数個所には突起56が形成してあり、これらの突起56が先に説明したリブ49を乗越えることにより、第2吹出ノズル42を第1吹出ノズル41に着脱できる。また、突起56がリブ49と係合する装着状態においては、第2吹出ノズル42を回転変位して、ノズル口53から吹出される収束された空気流の収束方向を自由に変更することができる。
ヘアードライヤーの主要構造は以上の通りであるが、そのデザイン効果を高め、外観上の印象を興趣に富むものとするために、本体ケース1および吹出ノズル9の各部材を次のように構成した。まず、左ケース30および右ケース31のそれぞれを光透過性素材で形成し、さらに、第1吹出ノズル41、および第2吹出ノズル42のそれぞれを光透過性素材で形成して、本体ケース1の内部および吹出ノズル9の内部を透視できるようにした。具体的には、光透過性素材としてはポリカーボネイト、アクリル、透明なABS樹脂などの透明樹脂が好適であり、例えば透明なポリカーボネイトに着色剤を混入して、左右ケース30・31、および両吹出ノズル41・42を、呈色状態が淡い有彩色となる状態で射出成形した。
また、ヒーターカバー13の外面を覆う左ケース30および右ケース31の外面にグラデーション塗装を施して本体遮蔽部59を形成した。グラデーション塗装の色調は、図5に示すように、左ケース30および右ケース31の中途部から後部へ向かって連続して徐々に濃くなるようにした。これにより、ヒーターカバー13の後半部より後方において、ケース内部が視認されるのを本体遮蔽部59で阻止できる。具体的には、本体遮蔽部59の前部境界60をヒーターカバー13の後端より前方に位置させることにより、ファンケース11と絶縁筒12の継ぎ目や、ケース内面に設けた受リブ35が視認されるのを阻止できる。なお、図5においては、内部に透けて見えるヒーターカバー13や、第1吹出口41の外郭線などを細線で表示している。グリップ2の外面にも、本体遮蔽部59と同じ色の塗装が施してある。
第1吹出ノズル41においては、固定リング32の周面のノズル部44との隣接部分にリング遮蔽部62を形成して、リング内部に設けられる吹出口8の周辺構造が視認されるのを避けるようにした。同時に、ヒーターカバー13の前端より前方へ突出する絶縁筒12の前端露出部63が視認されるのを、リング遮蔽部62で遮るようにした(図1参照)。リング遮蔽部62は、固定リング32の前半周面に金属箔をホットスタンプ法で周回状に固定して形成してあり、その表面は金属光沢を呈して、リング遮蔽部62で囲まれた部分が金属部品で構成してあるような印象を与えることができる。
以上のように、第1吹出ノズル41を固定リング32と一体に形成したヘアードライヤーによれば、吹出ノズル9を別途設ける場合に比べて、本体ケース1の吹出口構造を簡素化して部品点数を削減できる。また、第2吹出ノズル42を回転操作することで、そのノズル口53から吹出される、収束された空気流の収束軸方向を自由に変更できるので、髪のセットや乾燥を効果的に行うことができる。
また、各部材を光透過性素材で形成して、左右ケース30・31にグラデーション塗装を施し、固定リング32の周面に金属光沢を呈するリング遮蔽部62を形成するので、従来にはない、高いデザイン効果を発揮できるヘアードライヤーが得られる。具体的には、本体ケース1の前半部においては、淡い色のケース壁を介してヒーターカバー13の金属表面および外郭線を視認できるので、深みのあるクリスタルの印象や、清涼感を醸すことができる。また、ヒーターカバー13の表面で反射される金属表面の鈍い反射光と、本体ケース1の表面で反射される反射光と、リング遮蔽部62で反射される鋭い反射光とによって質感の違いを強調でき、同時にヒーターカバー13の表面の奥行き感を強調できる。
吹出ノズル9においては、第1吹出ノズル41を介してイオンガイド筒22を明確に視認できるので、イオンガイド筒22の存在感を強調して、イオン送給機能を備えているヘアードライヤーであることをユーザーに訴求できる。さらに、第2吹出ノズル42を装着した状態では、同ノズル42を通して第1吹出ノズル41の表面、および内部のイオンガイド筒22を視認できる。したがって、深みのあるクリスタルの印象や、清涼感を醸すことができ、全体として興趣に富むヘアードライヤーとすることができる。
図7は吹出ノズル9の別の実施例を示す。そこでは、第1吹出ノズル41のノズル部44を、第2吹出ノズル42のノズル部52と同様に先すぼまり状に形成して、そのノズル口45を楕円状に形成した。第1吹出ノズル41に装着した第2吹出ノズル42を回転することにより、両ノズル41・42のノズル口45・53の長軸線を一致させて、実線で示すように2重楕円状にでき、この状態では広幅で扁平に収束された空気流をノズル口53から吹出すことができる。また、両ノズル41・42のノズル口45・53の長軸線を直交させて、想像線で示す交差楕円状にでき、この状態では細く絞られた高速度の空気流をノズル口53から吹出すことができる。他は先の実施例と同じであるので、同じ部材に同じ符号を付してその説明を省略する。
上記のように構成したヘアードライヤーは、以下の実施形態で実施することができる。
前端に吹出口8、後端に吸込口28を有する筒状の本体ケース1の内部に、送風ファン3と、送風ファン3を駆動するモーター4と、ヒーターユニット5とが、吸込口28から吹出口8へ向かって記載順に設けてあるヘアードライヤーであって、
本体ケース1は、光透過性素材で形成されており、
ヒーターユニット5の外面が金属製のヒーターカバー13で覆われており、
ヒーターカバー13の外面を覆う、本体ケース1の前部壁面が透視可能で、残る後部壁面にケース内部の視認を遮る本体遮蔽部59が形成してあるヘアードライヤー(実施形態1)。
本体遮蔽部59が、本体ケース1の外面に塗装を施して形成してあるヘアードライヤー(実施形態2)。
本体遮蔽部59が、本体ケース1の外面にグラデーション塗装を施して形成されており、
グラデーション塗装の色調が、本体ケース1の前部から後部へ向かって連続して徐々に濃くしてあるヘアードライヤー(実施形態3)。
本体遮蔽部59の前部境界60が、ヒーターカバー13の後端より前方に位置させてあるヘアードライヤー(実施形態4)。
実施形態1のヘアードライヤーでは、光透過性素材で形成した本体ケース1の前部壁面を透視可能とし、残る後部壁面に本体遮蔽部59を設けるので、例えばモーター4やヒーターユニット5用のリード線の配線個所を本体遮蔽部59で覆って、本体ケース1の外観の印象が煩雑になるのを防ぐことができる。同時に、本体遮蔽部59より前側の透視可能な部分においては、ヒーターカバー13の表面の色、模様、金属光沢などの質感を利用して、本体ケース1の外観デザインを行うことができる。従って、本体ケース1の全体を光透過構造とする場合に比べて、より高度のデザイン効果を発揮して、ヘアードライヤーの外観上の印象を興趣に富むものとすることができる。
実施形態2のヘアードライヤーでは、本体ケース1の外面に塗装を施して本体遮蔽部59を形成するので、本体遮蔽部59を形成するための手間と時間を最小限化して、より少ないコストで本体遮蔽部59を形成できる。さらに、塗料の色相、彩度、明度、あるいはメタリック感の有無などを自由に選定できるので、本体ケース1の外観デザインを多様化できる。
実施形態3のヘアードライヤーでは、本体遮蔽部59をグラデーション塗装で形成するので、本体遮蔽部59における色調および呈色状態の変化を本体ケース1の外観デザインに取込んで、デザイン目的に応じた視覚効果を発揮することができる。また、ヒーターカバー13の表面で反射されて、本体遮蔽部59と透視可能な部分との間で視認される色の変化と、本体遮蔽部59における呈色状態の変化の複合作用によって、新規な素材感、高級感、メタリック感などを醸し出して、本体ケース1の外観の印象を向上できる。
実施形態4のヘアードライヤーでは、本体遮蔽部59の前部境界60をヒーターカバー13の後端より前方に位置させるので、ファンケース11と絶縁筒12の継ぎ目や、ケース内面のリブ構造などが視認されるのを本体遮蔽部59で遮ることができる。また、先に説明したように、電装品同士を繋ぐリード線の配線個所が視認されるのを本体遮蔽部59で遮ることができ、全体として、本体ケース1の外観の印象が煩雑になるのを解消して、外観の印象をすっきりさせることができる。
吹出ノズル9は、第1吹出ノズル41のみで構成することができ、その場合のノズル口45の構造は連続波形である必要はなく、図7で説明した楕円形状あるいは長円形状であってもよい。吹出ノズル9は、空気流を収束する機能と、空気流を拡散する機能の少なくともいずれか一方を備えていればよく、実施例で説明したノズル構造に限定するものではない。
上記の実施例では、本体遮蔽部59をグラデーション塗装で形成したがその必要はなく、本体ケース1の内面あるいは外面のいずれか一方に通常の塗装を施し、あるいは透視不能なフィルムを貼り付けて形成することができる。また、必要があれば本体ケース1の成形素材に透視不能な着色剤を混入して本体遮蔽部59を形成することができる。リング遮蔽部62は、金属蒸着法で形成することができ、必要があれば、メッキ処理された金属リングで形成して、固定リング32の外嵌する状態で装着することができる。
第1吹出ノズル41と第2吹出ノズル42は、それぞれ異なる色に着色することができる。第1吹出ノズル41のノズル口45と、第2吹出ノズル42のノズル口53は、楕円状に形成する以外に、長円形、菱形、扁平な六角形などに形成することができる。本体ケース1は、風洞中心を通る水平面に沿って上下に2分割した、上ケース(分割ケース)と下ケース(分割ケース)を接合して構成することができる。必要があれば、上ケースと下ケースの少なくとも一方を左右に分割するなどにより、3個以上の分割ケースで本体ケース1を構成することができる。
本発明は、グリップ2を備えていないヘアードライヤーにも適用でき、その場合には本体ケース1がグリップを兼ねることとなる。ヒーターユニット5の熱源は、ニクロム線などの電気式の抵抗発熱線である必要はなく、ガス式のヒーターであってもよい。