JP5601998B2 - 電気設備の絶縁異常診断方法および絶縁異常診断装置 - Google Patents

電気設備の絶縁異常診断方法および絶縁異常診断装置 Download PDF

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Description

本発明の実施形態は、電気設備の絶縁異常診断方法および絶縁異常診断装置に関する。
変圧器をはじめとする電気設備においては、周辺環境や設備自身の発熱などの要因により絶縁物の性能が劣化して故障や事故を引き起こすことがある。絶縁性能が劣化すると、設備表面では沿面放電が発生し、放電電流が流れると同時に電磁波、超音波、紫外線などが放射されることが知られている。そのため、従来、それら物理量を検出することで絶縁異常個所の存在の有無を診断することが行われてきた。しかし、放電に伴い発生する上記物理量は極めて微弱であるため、ノイズを含む測定信号中から放電に伴う物理量のみを如何に正確に抽出するかが課題となってきた。
図14は、放電の発生時に接地線に流れる電流波形と、その時の電気設備への印加交流電圧波形の一例とを示している。放電は放電発生個所に加わる電圧があるしきい値を超えると発生し、しきい値を下回ると停止する。このため、印加交流電圧の1サイクルの間に2度発生する特定のパターンをもつことが多い。また、放電はひとたび始まると一定時間継続することが多い。放電発生の有無は、そうした放電現象の有する特性に基づいて判断される。
上記放電発生を検出する方法としては、放電に伴う超音波を検出する方法(例えば、特許文献1、2参照)、放電に伴い接地線に流れる電流を測定する方法(例えば、特許文献3参照)、放電に伴い発生する紫外線を検出する方法(例えば、特許文献4参照)などが挙げられる。
超音波を検出する方法では、超音波センサにより捉えた信号の中から放電特有の周波数成分を抽出して包絡線検波し、その信号から印加交流電圧の2倍の周波数成分を抽出し、その成分の強弱により放電の有無を判断する。ただし、この方法は、放電が弱い場合や放電個所とセンサとの距離が離れている場合に、検出信号レベルが低くなり判断が難しくなる。
接地線に流れる電流を測定する方法では、部分放電の発生により接地線に流れる電流波形を数十サイクルにわたって測定し、そこからバックグラウンドノイズとの差が顕著な周波数成分を抽出して時系列で測定者に提示する装置が用いられる。ただし、この方法は、放電が弱い場合やインバータなどのノイズ源が近くにある場合に、本来の信号とノイズとの分離が難しくなり放電の有無の判断が難しくなる。
紫外線を検出する方法では、所定の測定時間内に紫外線信号レベルが所定のしきい値を超えたと判定された回数が所定のしきい値を超えた時に絶縁異常個所が存在すると判断する。この方法は、微弱な放電においても測定可能であり、超音波や接地線電流を検出する方法に比べて検出感度を高めることが可能であると考えられる。
特開2001−305178号公報 特開平09−127181号公報 特開2004−101418号公報 特開2007−292489号公報
そこで、紫外線を検出することにより絶縁異常個所の有無を確実に判断できる電気設備の絶縁異常診断方法および絶縁異常診断装置を提供する。
本実施形態の電気設備の絶縁異常診断方法は、稼働中の電気設備の表面で発生する沿面放電に伴って放射される紫外線を検出することにより絶縁異常個所の有無を判断する電気設備の絶縁異常診断方法であって、以下の各手順を有する。まず、所定の測定期間にわたって取得される紫外線検出回数データから、所定の時間間隔毎の紫外線検出回数を時系列で表す時系列データを互いに異なる長さの複数の上記時間間隔について算出する。算出した複数の時系列データが、それぞれ個別に設定され上記各時系列データに対応したしきい値回数以上となる時間帯をそれぞれ算出する。算出した全ての時間帯が重複する期間が存在する場合、その重複する期間が、紫外線検出回数が急増した急増期間であると判断する。また、算出した全ての時間帯が重複する期間が存在しない場合、上記急増期間が存在しないと判断する。そして、上記急増期間を用いて絶縁異常個所の有無を判断する。
第1の実施形態を示すもので、絶縁異常診断方法を示すフローチャート 絶縁異常診断装置の構成を概略的に示すブロック図 紫外線検出回数および紫外線検出時電圧位相のデータ配列を示す図 紫外線の累積検出回数および紫外線検出時電圧位相を示す図 2つの時系列データ配列の各要素をプロットしたものを示す図 図4に対して急増期間を追記した図 急増期間における紫外線検出時電圧位相データなどを示す図 急増期間における紫外線検出時電圧位相のヒストグラムを示す図 第2の実施形態を示す図1相当図 急増期間における紫外線検出時電圧位相データのヒストグラムの度数データを平滑化した平滑化度数データを示す図 規格化正規分布データ配列および規格化平滑度数データ配列を示す図。 沿面放電が発生していない場合における図4相当図 沿面放電が発生していない場合における図11相当図 従来技術の説明に用いるものであり、放電発生時における接地線電流および電気設備への印加交流電圧の波形図
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態について図1〜図8を参照しながら説明する。
図2は、絶縁異常診断装置の概略構成をブロック図で示している。絶縁異常診断装置1は、稼働中の電気設備の表面で発生する沿面放電に伴って放射される紫外線を検出することにより絶縁異常個所の有無を判断(診断)する。絶縁異常診断装置1は、紫外線センサ2(紫外線検出手段に相当)および信号処理装置3(判断手段、時系列データ算出手段、時間帯算出手段、測定手段およびヒストグラム算出手段に相当)を備えている。紫外線センサ2は、絶縁異常診断の対象である電気設備、例えば変圧器4の近傍に設置されている。紫外線センサ2は、変圧器4表面の絶縁異常個所において放電により発生する紫外線を検出する。紫外線センサ2は、紫外線を検出するとパルス状の電圧信号を出力する。
信号処理装置3は、信号処理回路5および情報処理装置6を備えている。信号処理回路5は、検出回数データ用メモリ7、電圧位相データ用メモリ8、図示しないCPUなどを備えている。信号処理回路5には、紫外線センサ2が出力した電圧信号および印加電圧位相信号が入力される。印加電圧位相信号は、変圧器4に印加される印加電圧位相を0度から360度の範囲で表すものである。信号処理回路5は、紫外線センサ2が出力した電圧信号の回数(パルス数)を紫外線検出回数データとして検出回数データ用メモリ7に記憶する。また、信号処理回路5は、紫外線を検出した時点の変圧器4の印加電圧位相信号を紫外線検出時電圧位相データ(印加電圧位相データに相当)として電圧位相データ用メモリ8に記憶する。
情報処理装置6は、例えばパーソナルコンピュータやPDAなどである。情報処理装置6は、図示しないCPU、RAM、ROM、入出力インタフェース、それらを結ぶバス、電源装置、ハードディスク装置などを備えている。情報処理装置6は、検出回数データ用メモリ7に記憶されている紫外線検出回数データおよび電圧位相データ用メモリ8に記憶されている紫外線検出時電圧位相データを、所定の単位時間(本実施形態では1秒とする)毎に取り込む。
図3は、絶縁異常個所の有無を診断する前に準備する必要があるデータ配列の一例を示している。図3の3列目は、単位時間毎に取り込まれた紫外線検出回数データが格納されたデータ配列Uである。図3の4列目は、単位時間毎に取り込まれた紫外線検出時電圧位相データが格納されたデータ配列θである。図3の1列目は、各データ配列U、θを識別するインデックスiである。インデックスiは、「0」〜「43199」の値になっている。従って、各データ配列U、θの要素数は、いずれも43200個である。なお、図3の2列目は、インデックスiに単位時間(1秒)を掛けたものであり、各要素に対応した測定時刻[秒]を示している。
このように、データ配列Uおよびデータ配列θには、それぞれ測定期間(43200秒=12時間)にわたって取得される紫外線検出回数データおよび紫外線検出時電圧位相データが格納されている。情報処理装置6は、取り込んだ紫外線検出回数データおよび紫外線検出時電圧位相データから、図3に示したようなデータ配列U、θを作成する。情報処理装置6は、作成したデータ配列U、θを用い、自身のROMに記憶された診断プログラムに従って変圧器4の絶縁異常個所の有無を判断する絶縁異常診断を実行する。
次に、上記した構成の絶縁異常診断装置1において情報処理装置6により実行される絶縁異常診断の方法(絶縁異常診断方法)について説明する。
図4は、絶縁異常に伴う沿面放電が発生した場合における紫外線の累積検出回数および紫外線検出時電圧位相をプロットした結果の一例を示している。図4の横軸は測定時刻[秒]である。各データは、測定時刻0秒〜43200秒の範囲(=測定期間である12時間)の範囲でプロットされている。
図4中、紫外線の累積検出回数を太い実線で示し、紫外線検出時電圧位相を丸印で示している。紫外線の累積検出回数は、データ配列Uを1要素ずつ累積して加算した結果である。図4に示すように、紫外線の累積検出回数が急増した時間帯において、紫外線検出時電圧位相が特定の位相に集中していることが分かる。以降の説明では、このような図4に示したものと同一の測定結果(データ配列U、θなど)が用いられることにする。
図1は、絶縁異常診断方法の流れを示すフローチャートである。まず、ステップS1では、データ配列Uを用いて、時系列データ配列CL(時系列データに相当)が算出される。時系列データ配列CLは、所定の時間間隔ΔTL毎の紫外線検出回数を時系列で表すものである。本実施形態では、時間間隔ΔTLを1時間としている。時系列データ配列CLは、所定の抽出時刻毎に求められるものであり、その抽出時刻を中心とした前後1800秒間(±30分間)におけるデータ配列Uの各要素の和である。上記抽出時刻は、初期値が0秒であり、その後は所定の抽出時間間隔Ta毎の時刻となる。抽出時間間隔Taは、例えば、時間間隔ΔTLの1/6の時間である600秒(10分)にしている。そのため、抽出時刻の最終値は42600秒になる。
抽出時刻が0秒、600秒、1200秒、1800秒、2400秒、3000秒における時系列データCL[0]〜CL[5]は、それぞれ下記(1)〜(6)式により求められる。抽出時刻が40800秒、41400秒、42000秒、42600秒における時系列データCL[68]〜CL[71]は、それぞれ下記(7)〜(10)式により求められる。なお、抽出時刻が3600秒〜40200秒における時系列データCL[6]〜CL[67]についての式は省略する。
L[0]=U[0]+U[1]+ … +U[1798]+U[1799] …(1)
L[1]=U[0]+U[1]+ … +U[2398]+U[2399] …(2)
L[2]=U[0]+U[1]+ … +U[2998]+U[2999] …(3)
L[3]=U[0]+U[1]+ … +U[3598]+U[3599] …(4)
L[4]=U[600]+U[601]+ … +U[4198]+U[4199] …(5)
L[5]=U[1200]+U[1201]+ … +U[4798]+U[4799] …(6)
L[68]=U[39600]+U[39601]+ … +U[43198]+U[43199] …(7)
L[69]=U[40200]+U[40201]+ … +U[43198]+U[43199] …(8)
L[70]=U[40800]+U[40801]+ … +U[43198]+U[43199] …(9)
L[71]=U[41400]+U[41401]+ … +U[43198]+U[43199] …(10)
上記(1)〜(3)式に示すように、CL[0]は測定開始時刻(0秒)から30分後までの紫外線検出回数の和であり、CL[1]は測定開始時刻から40分後までの紫外線検出回数の和であり、CL[2]は測定開始時刻から50分後までの紫外線検出回数の和である。このようなデータになる理由は、データ配列Uには、測定開始時刻である0秒以前の紫外線検出回数を示す要素が存在しないからである。また、上記(8)〜(10)式に示すように、CL[69]は測定終了時刻(43200秒)から50分前までの紫外線検出回数の和であり、CL[70]は測定終了時刻から40分前までの紫外線検出回数の和であり、CL[71]は測定終了時刻から30分前までの紫外線検出回数の和である。このようなデータになる理由は、データ配列Uには、測定終了時刻である43200秒以降の紫外線検出回数を示す要素が存在しないためである。
このように、時系列データ配列CLのうち、データ配列CL[0]〜CL[2]およびCL[69]〜CL[71]は、いずれも時間間隔ΔTL未満の時間間隔毎の紫外線検出回数を表すものになっている。ただし、時系列データ配列CLのうち、大半のデータ配列は、時間間隔ΔTL毎の紫外線検出回数を表すものになっているため、後述する各判断に及ぼす影響は無視できる程度であると言える。なお、各判断において、一層正確を期する場合、データ配列CL[0]〜CL[2]およびCL[69]〜CL[71]について、その判断対象から除外することも可能である。
ステップS2では、データ配列Uを用いて、時系列データ配列CS(時系列データに相当)が算出される。時系列データ配列CSは、所定の時間間隔ΔTS毎の紫外線検出回数を時系列で表すものである。時間間隔ΔTSは、時間間隔ΔTLよりも短い時間に設定されるものであり、本実施形態では10分としている。時系列データ配列CSは、所定の抽出時刻毎に求められるものであり、その抽出時刻を中心とした前後300秒間(±5分間)におけるデータ配列Uの各要素の和である。上記抽出時刻は、初期値が0秒であり、その後は抽出時間間隔Tb毎の時刻となる。抽出時間間隔Tbは、例えば、時間間隔ΔTSの1/10の時間である60秒(1分)にしている。そのため、抽出時刻の最終値は43140秒になる。
抽出時刻が0秒、60秒、120秒、180秒、240秒、300秒、360秒における時系列データCS[0]〜CS[6]は、それぞれ下記(11)〜(17)式により求められる。抽出時刻が42840秒、42900秒、42960秒、43020秒、43080秒、43140秒における時系列データCS[714]〜CS[719]は、それぞれ下記(18)〜(23)式により求められる。なお、抽出時刻が420秒〜42780秒における時系列データCS[7]〜CS[713]についての式は省略する。
S[0]=U[0]+U[1]+ … +U[298]+U[299] …(11)
S[1]=U[0]+U[1]+ … +U[358]+U[359] …(12)
S[2]=U[0]+U[1]+ … +U[418]+U[419] …(13)
S[3]=U[0]+U[1]+ … +U[478]+U[479] …(14)
S[4]=U[0]+U[1]+ … +U[538]+U[539] …(15)
S[5]=U[0]+U[1]+ … +U[598]+U[599] …(16)
S[6]=U[60]+U[61]+ … +U[658]+U[659] …(17)
S[714]=U[42600]+U[42601]+ … +U[43198]+U[43199] …(18)
S[715]=U[42660]+U[42661]+ … +U[43198]+U[43199] …(19)
S[716]=U[42720]+U[42721]+ … +U[43198]+U[43199] …(20)
S[717]=U[42780]+U[42781]+ … +U[43198]+U[43199] …(21)
S[718]=U[42840]+U[42841]+ … +U[43198]+U[43199] …(22)
S[719]=U[42900]+U[42901]+ … +U[43198]+U[43199] …(23)
上記(11)〜(15)式に示すように、CS[0]は測定開始時刻(0秒)から5分後までの紫外線検出回数の和であり、CS[1]は測定開始時刻から6分後までの紫外線検出回数の和であり、CS[2]は測定開始時刻から7分後までの紫外線検出回数の和であり、CS[3]は測定開始時刻から8分後までの紫外線検出回数の和であり、CS[4]は測定開始時刻から9分後までの紫外線検出回数の和である。このようなデータになる理由は、ステップS1の説明において前述したとおりである。また、上記(19)〜(23)式に示すように、CS[715]は測定終了時刻(43200秒)から9分前までの紫外線検出回数の和であり、CS[716]は測定終了時刻から8分前までの紫外線検出回数の和であり、CS[717]は測定終了時刻から7分前までの紫外線検出回数の和であり、CS[718]は測定終了時刻から6分前までの紫外線検出回数の和であり、CS[719]は測定終了時刻から5分前までの紫外線検出回数の和である。このようなデータになる理由は、ステップS1の説明において前述したとおりである。
このように、時系列データ配列CSのうち、データ配列CS[0]〜CS[4]およびCS[715]〜CS[719]は、いずれも時間間隔ΔTS未満の時間間隔毎の紫外線検出回数を表すものになっている。ただし、時系列データ配列CSのうち、大半のデータ配列は、時間間隔ΔTS毎の紫外線検出回数を表すものになっているため、後述する各判断に及ぼす影響は無視できる程度であると言える。なお、各判断において、一層正確を期する場合、データ配列CS[0]〜CS[4]およびCS[715]〜CS[719]について、その判断対象から除外することも可能である。
ステップS1、S2において算出された時系列データ配列CL、CSの各要素をそれぞれ測定期間にわたってプロットしたものを図5に示す。図5の横軸は測定時刻[秒]である。また、図5には、図4と同様に紫外線の累積検出回数データを測定時間わたってプロットしたものも示されている。図5において、しきい値回数ThLを破線で示し、しきい値回数ThSを点線で示している。しきい値回数ThLは、時系列データ配列CLに対応するものであり、例えば40回(左側の縦軸の目盛り参照)としている。しきい値回数ThSは、時系列データ配列CSに対応するものであり、例えば5回(右側の縦軸の目盛り参照)としている。
ステップS3では、時系列データ配列CLの各要素としきい値回数ThLとが比較される。時系列データ配列CLの全ての要素がしきい値回数ThL未満であった場合(ステップS3で「No」)、ステップS16に進む。ステップS16に進むということは、後述する急増期間が存在しないと判断されたことに相当する。そのため、変圧器4において絶縁異常個所が存在しないと判断され、その後処理が終了する。一方、図5に示すように、しきい値回数ThL以上の要素がある場合(ステップS3で「Yes」)、ステップS4に進む。ステップS4では、しきい値回数ThL以上の各要素のインデックスiLが取得される。そして、取得されたインデックスiLの最小値iLminが時間に換算されて時刻Ts’が求められる。時刻Ts’は、インデックスiLの最小値iLminに抽出時間間隔Taを掛けることにより求められる。また、取得されたインデックスiLの最大値iLmaxが時間に換算されて時刻Te’が求められる。時刻Te’は、インデックスiLの最大値iLmaxに抽出時間間隔Taを掛けることにより求められる。
時刻Ts’は、紫外線検出回数が急激に増加し始めたおおよその時刻に相当するものである。時刻Te’は、紫外線検出回数の急激な増加が終了したおおよよその時刻に相当するものである。図5に示したケースの場合、時刻Ts’は28800秒であり、時刻Te’は37200秒である。
ステップS5では、時刻Ts’から時刻Te’の範囲の時間帯について、時系列データ配列CSの各要素としきい値回数ThSとが比較される。時系列データ配列CSの上記時間帯における各要素の全てがしきい値回数ThS未満であった場合(ステップS5で「No」)、ステップS16に進む。一方、図5に示すように、しきい値回数ThS以上の要素がある場合(ステップS5で「Yes」)、ステップS6に進む。ステップS6では、しきい値回数ThS以上の各要素のインデックスiSが取得される。そして、取得されたインデックスiSの最小値iSminが時間に換算されて時刻Tsが求められる。時刻Tsは、インデックスiSの最小値iSminに抽出時間間隔Tbを掛けることにより求められる。また、取得されたインデックスiSの最大値iSmaxが時間に換算されて時刻Teが求められる。時刻Teは、インデックスiSの最大値iSmaxに抽出時間間隔Tbを掛けることにより求められる。
時刻Tsは、紫外線検出回数が急激に増加し始めた時刻(紫外線検出回数急増開始時刻)に相当するものである。時刻Teは、紫外線検出回数の急増が終了した時刻(紫外線検出回数急増終了時刻)に相当するものである。図5に示したケースの場合、時刻Tsは30000秒であり、時刻Teは36420秒である。時刻Tsから時刻Teの範囲の時間帯は、時系列データCLの各要素がしきい値回数ThL以上である時間帯と、時系列データCSの各要素がしきい値回数ThS以上である時間帯とが重複する期間に相当する。このようなことから、ステップS7において、時刻Tsから時刻Teの範囲の時間帯が、紫外線検出回数が急増した急増期間であると判断される。
図6は、図4に対し、上記急増期間を追記したものである。図6に示すように、ステップS7において判断された急増期間が、累積検出回数データが急増する期間と概ね一致していることが分かる。これは、本実施形態による急増期間の判断の精度が高いということを意味する結果である。ステップS8では、データ配列θから、急増期間(時刻Tsから時刻Teの範囲の時間帯)における各要素が抽出され、新たなデータ配列θ’に格納される。つまり、データ配列θ’には、急増期間における紫外線検出時電圧位相データが格納されることになる。
ステップS9では、データ配列θ’についてのヒストグラムが作成される。そのヒストグラムの区間は、所定の位相幅Δθ(本実施形態では10度とする)としている。そして、このようなヒストグラムの各度数(頻度)データを格納したデータ配列Xが生成される。続くステップS10では、データ配列Xの各要素(ヒストグラムの各度数データ)を平滑化することにより、データ配列Xsmoが算出される。データ配列Xsmoは、データ配列Xの各要素に対し、下記(24)式に基づく演算を行うことにより算出される。ただし、iは度数データを識別するインデックスであり、「0」〜「35」の値となっている。
Figure 0005601998
上記したように、本実施形態では、データ配列Xの各要素について、隣り合う7点の加重移動平均を求めることで平滑化する手法を採用したが、これに限らずともよい。例えば、指数関数的に重みを変化させる指数移動平均を求める手法や、重み付けの無い単純移動平均を求める手法を採用してもよい。また、平滑化に用いる要素数は7点に限らずともよく、例えば隣り合う3点、5点の要素を用いてもよい。このようにすることで、データ配列Xsmoには、データ配列Xの各要素を平滑化した要素が格納されている。
ステップS11では、データ配列Xsmoの各要素に対し、下記(25)式に示すような数値微分計算を行うことにより、データ配列Dが算出される。
Figure 0005601998
上記したように、本実施形態では、データ配列Xsmoの各要素について、5点近似公式を用いた数値微分を行う方法を採用したが、これに限らずともよい。例えば、3点近似公式、7点近似公式などの他の近似公式を用いた数値微分を行う方法を採用してもよい。このようにすることで、データ配列Dには、データ配列Xsmoの各要素の微分係数に相当する要素が格納されている。
図7は、上記した各演算により得られたデータ配列X、データ配列Xsmoおよびデータ配列Dと、後述するピーク位相とを示している。図8の棒グラフは、作成されたヒストグラムを示している。また、図8において、白抜きの丸印(○)はデータ配列Xsmoの各要素をプロットしたものを示し、黒塗りの三角印(▲)はデータ配列Dの各要素をプロットしたものを示している。
ステップS12では、データ配列Dの要素が下記(26)式および(27)式の条件をいずれも満たすときのインデックスiがインデックスiPとして抽出される。すなわち、データ配列Dの要素が正の値から負の値に変化する(ゼロクロスする)ときのインデックスiがインデックスiPとして抽出される。
0<D[i−1] …(26)
D[i]<0 …(27)
そして、抽出したインデックスiPを用い、下記(28)式に基づいてピーク位相Pが算出される。すなわち、インデックスiPに対応する区間の中心の位相がピーク位相Pとして算出される。
P=iP×Δθ+(Δθ/2) …(28)
図7および図8などに示す本ケースでは、ピーク位相Pとして、55度、225度、355度の3つが算出される。続くステップS13では、ステップS12で算出されたピーク位相Pのうち、対応するデータ配列Xsmoの要素(平滑化した度数データ)が1番大きいものがピーク位相P1に設定され、その次(2番目)に大きいものがピーク位相P2に設定される。ここでは、ピーク位相P1は55度になり、ピーク位相P2は225度になる。
ステップS14では、ピーク位相P1、P2の位相差が下記(29)式の条件を満たすか否かが判断される。すなわち、急増期間における紫外線検出時電圧位相の分布が放電の特徴に基づくものであるか否かが判断される。
(180−Δθ)≦|P1−P2|≦(180+Δθ) …(29)
なお、ステップS14は、ピーク位相P1、P2の位相差が180度であるか否かを判断するものであればよいが、以下のような理由から概ね180度(180度±10度)であるか否かを判断するように条件を緩和している。すなわち、ステップS14における上記判断は、ステップS14に至るまでの各ステップにおける種々の演算などの結果に基づくものである。従って、これら種々の演算に伴う誤差が存在する場合、急増期間における紫外線検出時電圧位相の分布が放電の特徴に基づくものであったとしても、演算により求められたピーク位相P1、P2の位相差が必ずしも丁度180度になるとは限らない。そのため、本実施形態では、上記位相差が概ね180度(180度±10)であるか否かを判断することで、急増期間における紫外線検出時電圧位相の分布が放電の特徴に基づくものであるか否かを判断している。また、ステップS14では、概ね180度であるか否かを判断すればよいため、式(29)における±Δθ(±10度)は適当な値に変更することができる。
図7および図8などに示す本ケースでは、ピーク位相P1、P2の位相差が170度である。このように、ピーク位相P1、P2の位相差が上記(29)式の条件を満たす場合(ステップS14で「Yes」)、ステップS15に進む。ステップS15では、変圧器4において絶縁異常個所が存在すると判断され、その後処理が終了する。一方、ピーク位相P1、P2の位相差が上記(29)式の条件を満たさない場合(ステップS14で「No」)、ステップS16に進む。ステップS16では、変圧器4において絶縁異常個所が存在しないと判断され、その後処理が終了する。
さて、放電発生時に放射される紫外線は放電強度が弱くても紫外線センサ2により検出可能である。しかし、放電発生時に放射される紫外線が検出されると同時に、宇宙線などの放電以外の原因による紫外線も検出される可能性がある。通常、沿面放電が発生している場合の所定時間内の紫外線検出回数は、沿面放電が発生していない場合の所定時間内の紫外線検出回数(すなわち外乱光による紫外線の検出回数)よりも多くなると考えられる。ところが、外乱光の種類や放電の強弱によっては、沿面放電が発生していない場合の紫外線検出回数が沿面放電発生時の所定時間内の紫外線検出回数と同程度になる場合または上回る場合がある。
また、電気設備においては、経年あるいは環境により絶縁物に塩分や塵埃等の汚損物が付着し、それら汚損物が吸湿することで絶縁物表面の電気抵抗が低下して沿面放電を発生させる原因となる。従って、電気設備の絶縁異常による沿面放電の発生は、湿度などの周辺の雰囲気に影響を受けやすい。そのため、継続していた沿面放電が突然停止してしまったり、逆に短時間に集中して沿面放電が発生したりする場合がある。このようなことから、紫外線検出回数を測定する検出時間およびしきい値の定め方によっては、検出精度を高めることが難しくなる可能性があった。
このような事情に対し、本実施形態の絶縁異常診断装置1では、上記したような方法による絶縁異常診断が行われる。すなわち、互いに異なる長さの複数の時間間隔ΔTL、ΔTS毎の紫外線検出回数を時系列で表す時系列データ配列CL、CSを算出する。そして、それら時系列データ配列CL、CSの各要素が、それぞれ個別に設定されたしきい値回数ThL、ThS以上となる時間帯を算出する。算出した全ての時間帯が重複する期間が存在する場合、その重複する期間が急増期間であると判断する。このようにすることで、紫外線の検出回数が急激に増加した時間帯(急増期間)が精度よく検出され、その急増期間の有無に基づいて変圧器4の絶縁異常個所の有無を判断するので、確実な絶縁異常診断を行うことができる。
また、絶縁異常に伴い生じる沿面放電は、電気設備への印加交流電圧が所定のレベルを超えた場合に発生する。そのため、印加交流電圧の1サイクル中において、2つの互いに180度離れた位相で観測されるという特徴がある。本実施形態によれば、急増期間における紫外線検出時電圧位相データのヒストグラムを用いて、紫外線検出時電圧位相の分布が放電の特徴に基づくものであるか否かを判断するため、絶縁異常に伴い生じた沿面放電が発生したか否かを確実に判断することができる。その際、本実施形態では、ヒストグラムに複数のピークが存在し、且つ、それら複数のピークのうちいずれか2つの位相差が概ね180度であるという条件を満たすことにより、紫外線検出時電圧位相の分布が放電の特徴に基づくものであると判断している。なお、ヒストグラムに複数のピークが存在しない場合、本実施形態の絶縁異常診断方法では絶縁異常の有無を判断することができない。ただし、そのような場合についても、後述する第2の実施形態の絶縁異常診断方法によって、絶縁異常の有無を判断することが可能である。
また、放電発生時に測定される紫外線検出電圧位相は、ばらつきが大きい。そこで、本実施形態では、上記ヒストグラムの度数データを平滑化した上で微分し、その微分した後のデータを用いてヒストグラムのピークの存在を確認する。このようにすれば、より正確にヒストグラムのピークを検出することができ、それに基づいて精度よく絶縁異常の診断を行うことができる。
このような本実施形態によれば、発生頻度、発生時間間隔、発生パターン、発生時期などが予測できない沿面放電に伴い生じる紫外線と、自然界で生じる紫外線や人為的に生じる紫外線などのノイズとを識別し易くなる。そのため、所定の測定期間内に所定のしきい値を超える紫外線を検出した場合に沿面放電が発生したと判断するといった従来の手法に比べ、確実な絶縁異常個所の有無の判断が可能になる。
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態について図9〜図13を参照しながら、第1の実施形態と異なる部分を主体に説明する。
図9は、第1の実施形態における図1相当図であり、本実施形態の絶縁異常診断方法の流れを示すフローチャートである。本実施形態の絶縁異常診断方法は、第1の実施形態の絶縁異常診断方法に対し、図1のステップS14に代えて図9のステップT1〜T14が実行されるという点が異なっている。
次に、このような本実施形態の絶縁異常診断方法について図9に示すフローチャートに沿って説明する。なお、以下の説明では、第1の実施形態と同一の測定結果が用いられているということを前提としている。そして、図1のステップS1〜S13が実行されることにより、ピーク位相P1、P2が算出されているものとする。
図1のステップS13に続いて実行される図9のステップT1では、ピーク位相P1から90度減算することにより位相P1-が求められ、ピーク位相P1に90度加算することにより位相P1+が求められる。そして、位相P1-から位相P1+までの範囲が特定位相範囲P1-〜P1+として設定される。すなわち、ピーク位相P1を中心とした180度の位相範囲が特定位相範囲P1-〜P1+として設定される。ステップT2では、特定位相範囲P1-〜P1+が0度〜360度の範囲内にあるか否かが判断される。特定位相範囲P1-〜P1+が0度〜360度の範囲内にあると判断された場合(ステップT2で「Yes」)、ステップT3に進む。ステップT3では、特定位相範囲P1-〜P1+が正規分布相似判定位相範囲Pβ-〜Pβ+に設定され、ステップT7に進む。一方、特定位相範囲P1-〜P1+が0度〜360度の範囲内にないと判断された場合(ステップT2で「No」)、ステップT4に進む。
ステップT4では、ピーク位相P2から90度減算することにより位相P2-が求められ、ピーク位相P2に90度加算することにより位相P2+が求められる。そして、位相P2-から位相P2+までの範囲が特定位相範囲P2-〜P2+として設定される。すなわち、ピーク位相P2を中心とした180度の位相範囲が特定位相範囲P2-〜P2+として設定される。ステップT5では、特定位相範囲P2-〜P2+が0度〜360度の範囲内にあるか否かが判断される。特定位相範囲P2-〜P2+が0度〜360度の範囲内にあると判断された場合(ステップT5で「Yes」)、ステップT6に進む。ステップT6では、特定位相範囲P2-〜P2+が正規分布相似判定位相範囲Pβ-〜Pβ+に設定され、ステップT7に進む。一方、特定位相範囲P2-〜P2+が0度〜360度の範囲内にないと判断された場合(ステップT5で「No」)、ステップS16に進む。ステップS16では、変圧器4において絶縁異常個所が存在しないと判断され、その後処理が終了する。
図10は、急増期間(30000秒〜36420秒の期間)における紫外線検出時電圧位相データのヒストグラムの度数データを平滑化したデータ配列Xsmoを示している。すなわち、図8におけるデータ配列Xsmoのプロット結果と同じものを示している。ただし、図10では、白抜きの丸印(○)に代えて黒塗りの丸印(●)によりデータ配列Xsmoをプロットしている。この場合、ピーク位相P1は、55度であるため、特定位相範囲P1-〜P1+の上限側P1+(145度)は0〜360度の範囲に収まるものの、下限側P1-(−35度であり、図10では表示されない)は0〜360度の範囲から外れている。従って、特定位相範囲P1-〜P1+は、0度〜360度の範囲から外れていると言える。
一方、ピーク位相P2は、225度であるため、特定位相範囲P2-〜P2+の上限側P2+(315度)および下限側P2-(135度)のいずれも0〜360度の範囲に収まる。従って、特定位相範囲P2-〜P2+は、0度〜360度の範囲に収まっていると言える。そのため、本ケースにおいては、上記したステップT1〜T6が実行される結果、正規分布相似判定位相範囲Pβ-〜Pβ+は、特定位相範囲P2-〜P2+である135度〜315度に設定される。
ステップT7では、データ配列θ’から、正規分布相似判定位相範囲Pβ-〜Pβ+の範囲内の各要素が抽出され、新たなデータ配列βに格納される。つまり、データ配列βには、急増期間における紫外線検出時電圧位相データのうち、正規分布相似判定位相範囲Pβ-〜Pβ+の範囲内のデータが格納されることになる。ステップT8では、データ配列βの各要素の平均μおよび標準偏差σが算出される。ステップT9では、正規分布の式を用いて、平均μ、標準偏差σなどから正規分布データ配列Nβが算出される。なお、正規分布の式は、下記(30)式のとおりである。
Figure 0005601998
ステップT10では、正規分布データ配列Nβの各要素について、各要素の最大値で割り算し、その割り算後の各要素が新たなデータ配列である規格化正規分布データ配列Nβ’に格納される。このように規格化(正規化)を行う理由としては、後述するステップT13において元々単位の異なるもの(位相[度]および度数[回])同士の比較を行う(偏差を求める)からである。なお、規格化を行う際、各要素の最大値で割り算を行う代わりに、各要素の所定の代表値で割り算を行ってもよい。
ステップT11では、データ配列Xsmoから、正規分布相似判定位相範囲Pβ-〜Pβ+の範囲内の各要素が抽出され、新たなデータ配列である平滑度数データ配列Sβに格納される。つまり、平滑度数データ配列Sβには、上記ヒストグラムの度数データを平滑化したもののうち、正規分布相似判定位相範囲Pβ-〜Pβ+の範囲内のデータが格納されることになる。ステップT12では、平滑度数データ配列Sβの各要素について、各要素の最大値で割り算し、その割り算後の各要素が新たなデータ配列である規格化平滑度数データ配列Sβ’に格納される。このように、規格化を行う理由としては、規格化正規分布データ配列Nβ’の場合と同じ理由である。
図11は、規格化正規分布データ配列Nβ’および規格化平滑度数データ配列Sβ’の各要素をプロットした結果を示している。図11では、規格化正規分布データ配列Nβ’の各要素を白抜きの三角印(△)で示し、規格化平滑度数データ配列Sβ’の各要素を黒塗りの丸印(●)で示している。ステップT13では、規格化正規分布データ配列Nβ’の各要素に対する規格化平滑度数データ配列Sβ’の各要素の偏差の絶対値が算出される。そして、それら偏差の絶対値の平均値Eβが算出される。
ステップT14では、ステップT13で算出された平均値Eβと、所定のしきい値Eth(本実施形態では例えば「0.1」とする)とが比較される。その結果、平均値Eβがしきい値Ethよりも小さいと判断された場合(ステップT14で「Yes」)、規格化平滑度数データ配列Sβ’が正規分布曲線に相似していると判断され、ステップS15に進む。ステップS15では、変圧器4において絶縁異常個所が存在すると判断され、その後処理が終了する。一方、平均値Eβがしきい値Eth以上であると判断された場合(ステップT14で「No」)、規格化平滑度数データ配列Sβ’が正規分布曲線に相似していないと判断され、ステップS16に進む。ステップS16では、変圧器4において絶縁異常個所が存在しないと判断され、その後処理が終了する。
図11などに示した本ケースの場合、平均値Eβは「0.039」となる。従って、平均値Eβがしきい値Eth(0.1)より小さい(ステップT14で「Yes」になる)ため、平滑度数データ配列Sβ’が正規分布曲線に相似していると判断される。そのため、ステップS15に進み、変圧器4において絶縁異常個所が存在すると判断されることになる。
これに対し、沿面放電が発生していない場合には次のように判断される。図12および図13は、沿面放電が発生していない場合における図4および図11相当図である。これら図12および図13に示したケースの場合、平均値Eβは「0.281」となる。従って、平均値Eβがしきい値Eth(0.1)以上(ステップT14で「No」になる)ため、平滑度数データ配列Sβ’が正規分布曲線に相似していないと判断される。そのため、ステップS16に進み、変圧器4において絶縁異常個所が存在しないと判断されることになる。
さて、絶縁異常に伴い生じる沿面放電は、変圧器4に印加される交流電圧の1サイクルにおいて特定の位相に集中して発生する特徴を有している。すなわち、沿面放電時の印加交流電圧位相は正規分布するという特徴がある。本実施形態では、このような放電の特徴を利用し、急増期間における紫外線検出時電圧位相のヒストグラムの少なくとも一部が正規分布曲線と相似するという条件を満たすことにより、絶縁異常個所が存在すると判断するので、確実な絶縁異常診断を行うことができる。
また、本実施形態では、上記ヒストグラムの度数データ配列Xを平滑化した後の平滑度数データ配列Xsmoを用いて正規分布曲線と相似するか否かの判断を行うので、ヒストグラムのばらつきなどによる誤診断を未然に防止し、精度のよい絶縁異常診断を行うことが可能になる。
なお、本実施形態において、紫外線検出時電圧位相データのヒストグラムを作成した結果、ピーク位相が一つしか得られなかった場合、その一つのピーク位相を中心とした特定位相範囲の平滑度数データ配列Xsmoについて正規分布曲線との比較を行えばよい。すなわち、ステップS12において算出されたピーク位相が一つである場合、ステップS13においてそのピーク位相をピーク位相P1に設定し、ステップT4〜T6を省略すればよい。ただし、この場合、ピーク位相P1の特定位相範囲P1-〜P1+が0度〜360度の範囲内にない場合(ステップT2で「No」)、ステップS16に進むことになる。このようにすれば、ピーク位相が一つしか得られない場合であっても、そのピーク位相を中心とした特定位相範囲が0〜360度の範囲内にあれば、絶縁異常個所の有無を正確に判断することができる。
(その他の実施形態)
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これら実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
変圧器4の使用状況、変圧器4周辺の外乱光の発生状況などに応じて、絶縁異常診断に用いる各要素を適宜変更してもよい。例えば、測定期間、時系列データ配列CLの算出条件である時間間隔ΔTLおよび抽出時間間隔Ta、時系列データ配列CSの算出条件である時間間隔ΔTSおよび抽出時間間隔Tb、ヒストグラムの区間を設定するための位相幅Δθ、正規分布曲線との相似判断に用いるしきい値Ethなどを適宜変更してもよい。
また、紫外線検出回数を時系列で表す時系列データ配列を、互いに異なる長さの3つ以上の時間間隔について算出してもよい。すなわち、データ配列Uを用いて、時間間隔ΔTL、ΔTSとは異なる長さの時間間隔毎の紫外線検出回数を時系列で表す時系列データを算出してもよい。その場合、新たに求めた時系列データが、それに対応したしきい値回数以上となる時間帯も算出する。そして、算出した全ての時間帯が重複する期間が存在する場合、その重複する期間が急増期間であると判断し、算出した全ての時間帯が重複する期間が存在しない場合、急増期間が存在しないと判断すればよい。このように時系列データ配列を3つ以上の時間間隔について算出すれば、2つの時間間隔について算出した上記実施形態に比べ、さらに急増期間の特定精度が向上し、ひいては、絶縁異常の診断精度を高めることができる。
ヒストグラムのピークを求める方法は、上記実施形態において説明した方法(微分係数のゼロクロスにより求める方法)に限らない。例えば、ヒストグラムの度数データのばらつきが問題にならなければ、度数データそのもののピークを検出してもよいし、度数データを平滑化した後の平滑度数データのピークを検出してもよい。
これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
図面中、1は絶縁異常診断装置、2は紫外線センサ(紫外線検出手段)、3は信号処理装置(判断手段、時系列データ算出手段、時間帯算出手段、測定手段およびヒストグラム算出手段)、4は変圧器(電気設備)を示す。

Claims (10)

  1. 稼働中の電気設備の表面で発生する沿面放電に伴って放射される紫外線を検出することにより絶縁異常個所の有無を判断する電気設備の絶縁異常診断方法であって、
    所定の測定期間にわたって取得される紫外線検出回数データから、所定の時間間隔毎の紫外線検出回数を時系列で表す時系列データを、互いに異なる長さの複数の前記時間間隔について算出し、
    複数の前記時系列データが、それぞれ個別に設定され前記各時系列データに対応したしきい値回数以上となる時間帯をそれぞれ算出し、
    前記算出した全ての時間帯が重複する期間が存在する場合、その重複する期間が、前記紫外線検出回数が急増した急増期間であると判断し、
    前記算出した全ての時間帯が重複する期間が存在しない場合、前記急増期間が存在しないと判断し、
    前記急増期間を用いて絶縁異常個所の有無を判断することを特徴とする電気設備の絶縁異常診断方法。
  2. 紫外線を検出した時点の電気設備の印加電圧位相を測定し、
    前記測定期間にわたる前記印加電圧位相を0度から360度の範囲で表す印加電圧位相データから、前記急増期間における前記印加電圧位相のヒストグラムを算出し、
    前記ヒストグラムを用いて前記印加電圧位相の分布が放電の特徴に基づくものであるか否かを判断し、その判断結果を用いて絶縁異常個所の有無を判断することを特徴とする請求項1に記載の電気設備の絶縁異常診断方法。
  3. 前記ヒストグラムに複数のピークが存在し、且つ、当該複数のピークのうちいずれか2つの位相差が180度であるという条件を満たすことにより、前記絶縁異常個所が存在すると判断することを特徴とする請求項2に記載の電気設備の絶縁異常診断方法。
  4. 前記ヒストグラムの度数データを平滑化した上で微分し、その微分した後のデータを用いて前記ヒストグラムのピークの存在を確認することを特徴とする請求項3に記載の電気設備の絶縁異常診断方法。
  5. 前記急増期間における前記印加電圧位相データから算出した正規分布データを規格化した規格化正規分布データと、前記ヒストグラムの度数データを平滑化した規格化平滑度数データと、において、
    前記規格化正規分布データの各要素に対する前記規格化平滑度数データの各要素の偏差の絶対値の平均値が所定のしきい値よりも小さい場合に、前記絶縁異常個所が存在すると判断することを特徴とする請求項2〜4のいずれか一つに記載の電気設備の絶縁異常診断方法。
  6. 稼働中の電気設備の表面で発生する沿面放電に伴って放射される紫外線を検出する紫外線検出手段と、前記紫外線検出手段によって紫外線を検出することにより絶縁異常個所の有無を判断する判断手段とを備えた電気設備の絶縁異常診断装置であって、
    所定の測定期間にわたって取得される紫外線検出回数データから、所定の時間間隔毎の紫外線検出回数を時系列で表す時系列データを、互いに異なる長さの複数の前記時間間隔について算出する時系列データ算出手段と、
    前記時系列データ算出手段により算出された複数の前記時系列データが、それぞれ個別に設定され前記各時系列データに対応したしきい値回数を超えた時間帯をそれぞれ算出する時間帯算出手段と、
    を備え、
    前記判断手段は、
    前記時間帯算出手段により算出された全ての時間帯が重複する期間が存在する場合、その重複する期間が、前記紫外線検出回数が急増した急増期間であると判断し、
    前記算出した全ての時間帯が重複する期間が存在しない場合、前記急増期間が存在しないと判断し、
    前記急増期間を用いて絶縁異常個所の有無を判断することを特徴とする電気設備の絶縁異常診断装置
  7. 前記紫外線検出手段が紫外線を検出した時点の電気設備の印加電圧位相を測定する測定手段と、
    前記測定手段により前記測定期間にわたって測定された前記印加電圧位相を0度から360度の範囲で表す印加電圧位相データから、前記急増期間における前記印加電圧位相のヒストグラムを算出するヒストグラム算出手段と、
    を備え、
    前記判断手段は、前記ヒストグラムを用いて前記印加電圧位相の分布が放電の特徴に基づくものであるか否かを判断し、その判断結果を用いて絶縁異常個所の有無を判断することを特徴とする請求項6に記載の電気設備の絶縁異常診断装置。
  8. 前記判断手段は、前記ヒストグラムに複数のピークが存在し、且つ、当該複数のピークのうちいずれか2つの位相差が180度であるという条件を満たすことにより、前記絶縁異常個所が存在すると判断することを特徴とする請求項7に記載の電気設備の絶縁異常診断装置。
  9. 前記判断手段は、前記ヒストグラムの度数データを平滑化した上で微分し、その微分した後のデータを用いて前記ヒストグラムのピークの存在を確認することを特徴とする請求項8に記載の電気設備の絶縁異常診断装置。
  10. 前記判断手段は、前記急増期間における前記印加電圧位相データから算出した正規分布データを規格化した規格化正規分布データと、前記ヒストグラムの度数データを平滑化した規格化平滑度数データと、において、前記規格化正規分布データの各要素に対する前記規格化平滑度数データの各要素の偏差の絶対値の平均値が所定のしきい値よりも小さい場合に、前記絶縁異常個所が存在すると判断することを特徴とする請求項7〜9のいずれか一つに記載の電気設備の絶縁異常診断装置。
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