JP5598390B2 - Psk信号の適応ブラインド等化方法、イコライザ、および受信器 - Google Patents
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Description
本発明の他の目的は、PSK信号のための新しい適応ブラインド等化方法を提供することである。
本発明のさらに他の目的は、上述の方法に対応するイコライザおよびコヒーレント光受信器を提供することである。
サンプリングされた信号が与えられる受信器の適応イコライザは、LタップのFIRフィルタで構成されるものとする。Lは、1以上の整数であり、イコライザの等化処理のために考慮(又は、使用)されるべきサンプリング点の個数を表す。Xtを、時刻tTsにおけるイコライザへの入力信号とする(tは、整数)。また、Wtを、時刻tTsにおけるFIRフィルタのタップ係数とする。そうすると、Xt及びWtは、L次元のベクトルである。
Xt=[xts−2,xts−1,xts]
Xtは、イコライザへの現在の入力信号である。xts〜xts−2は、3つの連続するシンボルである。sは、シンボル当たりのサンプル数を表す正の整数である。コヒーレント光通信システムではs=2が典型的であるが、当業者であれば、本出願の記載を読むことにより、s≠2である場合にも同様の計算を行うことが出来るはずである。
がゼロに近づくことが期待されることを意味する。すなわち、ytの絶対値が特定の定数(√γ)に近づくことが期待される。なお、信号の絶対値が正規化されるときは、γの値は1である。
等化係数は、コスト関数を最適化することにより更新される。例えば、
を最小化することにより、すなわち、例えばニュートン法を利用して
を最小化するFIR係数Wtを導出することにより、等化係数が更新される。この方法は、例えばNumerical Optimization by Nocedal, Jorge & Wright, Stephen J., (1999), Springer-Verlag. ISBN 0-387-98793-2に記載されている。この文献に開示の内容は、参照により、本出願に取り込まれるものとする。したがって、複素共役積を用いて等化係数を更新するステップ106および等化係数更新器306は、上述のいずれかの方法によって実現され得る。
実際のコヒーレント光通信システムにおいては、個々の線幅Δfと共に、送信側レーザと受信器内の局部発振レーザとの間で周波数差Δωが存在する。ここで、伝送信号がmPSK信号であるときは、シンボル間干渉が完全に除去されたイコライザからの出力ytは、周波数差および位相雑音を有するmPSK信号であり、下式で表わされる。
を最適化することができる。以下でも、勾配降下法を例に説明を行う。勾配降下法に対応する場合、図5および図6の等化係数更新器306は、不図示の勾配計算器を含むようにしてもよい。係数の勾配は、例えば、下記のように定義される。なお、式(2’)においては、簡潔さのために、添え字tが省略されているが、以下の計算では添え字tが付されている。
第1および第2の実施形態においては、等化係数は、イコライザからの現在の出力および先の出力の複素共役積を利用して更新され、このアイデアに基づいて、BPSK信号を含む任意のmPSK信号に対して適用可能な異なるコスト関数の実施例が示された。
第2の実施形態に係る考察と同様に、実際のコヒーレント光通信システムにおいては、個々の線幅Δfと共に、送信側レーザと局部発振レーザとの間で周波数差Δωが存在する。したがって、BPSK信号に対しては、イコライザからシンボル間干渉が完全に除去されているときは、(1’)式から下式を導出できる。
容量をさらに大きくするために、コヒーレント光通信システムの送信器において偏波多重(すなわち、互いに直交する偏波状態の双方を利用して情報が伝送される)が使用され、受信器においては、偏波ダイバーシティ方式のコヒーレント光受信器が使用される。この場合、イコライザは、各偏波に対して使用される。1組の偏波中のシンボルは、同じ偏波中の他のシンボルからの干渉および他の偏波中のシンボルからの干渉を受ける。したがって、各偏波において等化された出力(すなわち、インパルス応答フィルタの出力)のために、双方の偏波の入力がフィルタリングされる。そうすると、上述の実施形態に基づいて、各偏波のためのイコライザのインパルス応答フィルタ308は、第5の実施形態において、第1のフィルタおよび第2のフィルタとして構成してもよい。なお、偏波の水平方向および垂直方向は、相対的に定義されるものであって、互いに入れ換えることができる。この実施形態においては、水平方向の偏波に対するイコライザおよび等化方法が一例として記載される。
yh=Whh TXh+Wvh TXv (Tは、転置を表す)
さらに、図7において、周波数差に起因する位相差exp(jΔθ)および周波数差推定器604は、破線で表記されている。上述の各実施形態で記載したように、システム内で周波数差に起因する位相差が存在するかも知れないし存在しないかも知れないが、位相差が存在するときは、受信器内の周波数差推定器604から得られる位相差についての推定結果を使用することができ、或いは他の方法で周波数差(および位相差)を取得してもよい。
本発明は、さらに、上述の各実施形態において記載されたイコライザを少なくとも1つ含むコヒーレント光受信器を提供する。
(付記1)
FIRフィルタの所定時刻の出力と前記所定時刻より前の時刻の出力との複素共役積を計算し、
前記複素共役積を利用して等化係数を更新し、
前記更新された等化係数を使用するFIRフィルタで入力信号をフィルタリングする
ことを特徴とするPSK信号の適応ブラインド等化方法。
(付記2)
前記更新は、
前記複素共役積を利用して前記等化係数の勾配を取得するステップと、
前記勾配を利用して前記等化係数を更新するステップ、を含む
ことを特徴とする付記1に記載の適応ブラインド等化方法。
(付記3)
前記更新は、前記複素共役積に基づいて生成されるコスト関数を利用して前記等化係数を更新するステップを含む
ことを特徴とする付記1に記載の適応ブラインド等化方法。
(付記4)
前記コスト関数は
ことを特徴とする付記3に記載の適応ブラインド等化方法。
(付記5)
前記PSK信号はBPSK信号であり、
前記コスト関数は
ことを特徴とする付記3に記載の適応ブラインド等化方法。
(付記6)
前記コスト関数の生成において、送信側レーザと局部発振レーザとの間の周波数差に起因する、所定時刻の出力と前記所定時刻より前の時刻の出力との間の位相差を考慮する
ことを特徴とする付記3に記載の適応ブラインド等化方法。
(付記7)
前記コスト関数は
ことを特徴とする付記6に記載の適応ブラインド等化方法。
(付記8)
前記PSK信号はBPSK信号であり、
前記コスト関数は
ことを特徴とする付記6に記載の適応ブラインド等化方法。
(付記9)
偏波ダイバーシティコヒーレント光通信に適用されるものであり、
前記FIRフィルタは、
第1の偏波中の現シンボルに対する前記第1の偏波中の他のシンボルからのクロストークを除去する第1のフィルタと、
前記第1の偏波中の現シンボルに対する第2の偏波中のシンボルからのクロストークを除去する第2のフィルタ、を備え、
前記FIRフィルタの出力は、前記第1のフィルタの出力および前記第2のフィルタの出力の和であり、
前記等化係数は、前記第1のフィルタの係数および前記第2のフィルタの係数により構成されるベクトルである
ことを特徴とする付記1に記載の適応ブラインド等化方法。
(付記10)
PSK信号のためのイコライザであって、
前記イコライザの所定時刻の出力と前記所定時刻より前の時刻の出力との複素共役積を計算する複素共役計算器と、
前記複素共役積を利用して等化係数を更新する等化係数更新器と、
前記更新された等化係数を使用して入力信号をフィルタリングするFIRフィルタと、
を有するイコライザ。
(付記11)
前記係数更新器は、前記複素共役積を利用して前記等化係数の勾配を取得する勾配計算器を含み、
前記勾配を利用して前記等化係数が計算される
ことを特徴とする付記10に記載のイコライザ。
(付記12)
前記係数更新器は、前記複素共役積に基づいて生成されるコスト関数を利用して前記等化係数を更新する
ことを特徴とする付記10に記載のイコライザ。
(付記13)
前記係数更新器は、前記コスト関数として
E{・}は期待値を表し、mはPSK信号のコンステレーション点の数を表し、rは複素共役積を表し、γは定数を表す
ことを特徴とする付記12に記載のイコライザ。
(付記14)
前記PSK信号はBPSK信号であり、
前記係数更新器は、前記コスト関数として
E{・}は期待値を表し、rは複素共役積を表し、γはゼロよりも大きい実定数を表し、Re(・)およびIm(・)はそれぞれ実部および虚部を計算するための演算を表す
ことを特徴とする付記12に記載のイコライザ。
(付記15)
前記係数更新器は、前記複素共役積、および送信側レーザと局部発振レーザとの間の周波数差に起因する、所定時刻の出力と前記所定時刻より前の時刻の出力との間の位相差、に基づいて生成されるコスト関数を利用して前記等化係数を更新する
ことを特徴とする付記12に記載のイコライザ。
(付記16)
前記係数更新器は、前記コスト関数として
E{・}は期待値を表し、mはPSK信号のコンステレーション点の数を表し、rは複素共役積を表し、Δθは位相差を表す
ことを特徴とする付記15に記載のイコライザ。
(付記17)
前記PSK信号はBPSK信号であり、
前記係数更新器は、前記コスト関数として
E{・}は期待値を表し、rは複素共役積を表し、Δθは位相差を表し、γはゼロよりも大きい実定数を表し、Re(・)およびIm(・)はそれぞれ実部および虚部を計算するための演算を表す
ことを特徴とする付記15に記載のイコライザ。
(付記18)
偏波ダイバーシティコヒーレント光通信に適用されるものであり、
前記FIRフィルタは、
第1の偏波中の現シンボルに対する前記第1の偏波中の他のシンボルからのクロストークを除去する第1のフィルタと、
前記第1の偏波中の現シンボルに対する第2の偏波中のシンボルからのクロストークを除去する第2のフィルタ、を備え、
前記FIRフィルタの出力は、前記第1のフィルタの出力および前記第2のフィルタの出力の和であり、
前記等化係数は、前記第1のフィルタの係数および前記第2のフィルタの係数により構成されるベクトルである
ことを特徴とする付記10に記載のイコライザ。
(付記19)
付記10〜18のいずれか1つの付記に記載のイコライザを少なくとも1つ含むコヒーレント光受信器。
Claims (8)
- FIRフィルタの所定時刻の出力と前記所定時刻より前の時刻の出力との複素共役積を計算し、
前記複素共役積を利用して等化係数を更新し、
前記更新された等化係数を使用するFIRフィルタで入力信号をフィルタリングする方法において、
前記所定時刻の出力の位相雑音と前記所定時刻より前の時刻の出力の位相雑音との間の誤差は無視できる程度に小さく、
前記複素共役積に基づいて生成されるコスト関数
E{・}は期待値を表し、mはPSK信号のコンステレーション点の数を表し、rは複素共役積を表し、γは定数を表す
ことを特徴とするPSK信号の適応ブラインド等化方法。 - PSK信号のためのイコライザであって、
前記イコライザの所定時刻の出力と前記所定時刻より前の時刻の出力との複素共役積を計算する複素共役計算器と、
前記複素共役積を利用して等化係数を更新する等化係数更新器と、
前記更新された等化係数を使用して入力信号をフィルタリングするFIRフィルタと、を有し、
前記所定時刻の出力の位相雑音と前記所定時刻より前の時刻の出力の位相雑音との間の誤差は無視できる程度に小さく、
前記係数更新器は、前記複素共役積に基づいて生成されるコスト関数
E{・}は期待値を表し、mはPSK信号のコンステレーション点の数を表し、rは複素共役積を表し、γは定数を表す
ことを特徴とするイコライザ。 - 前記係数更新器は、前記複素共役積を利用して前記等化係数の勾配を取得する勾配計算器を含み、
前記勾配を利用して前記等化係数が計算される
ことを特徴とする請求項2に記載のイコライザ。 - BPSK信号のためのイコライザであって、
前記イコライザの所定時刻の出力と前記所定時刻より前の時刻の出力との複素共役積を計算する複素共役計算器と、
前記複素共役積を利用して等化係数を更新する等化係数更新器と、
前記更新された等化係数を使用して入力信号をフィルタリングするFIRフィルタと、を有し、
前記所定時刻の出力の位相雑音と前記所定時刻より前の時刻の出力の位相雑音との間の誤差は無視できる程度に小さく、
前記係数更新器は、前記複素共役積に基づいて生成されるコスト関数
E{・}は期待値を表し、rは複素共役積を表し、γはゼロよりも大きい実定数を表し、Re(・)およびIm(・)はそれぞれ実部および虚部を計算するための演算を表す
ことを特徴とするイコライザ。 - PSK信号のためのイコライザであって、
前記イコライザの所定時刻の出力と前記所定時刻より前の時刻の出力との複素共役積を計算する複素共役計算器と、
前記複素共役積を利用して等化係数を更新する等化係数更新器と、
前記更新された等化係数を使用して入力信号をフィルタリングするFIRフィルタと、を有し、
前記所定時刻の出力の位相雑音と前記所定時刻より前の時刻の出力の位相雑音との間の誤差は無視できる程度に小さく、
前記係数更新器は、前記複素共役積、および送信側レーザと局部発振レーザとの間の周波数差に起因する、所定時刻の出力と前記所定時刻より前の時刻の出力との間の位相差、に基づいて生成されるコスト関数
E{・}は期待値を表し、mはPSK信号のコンステレーション点の数を表し、rは複素共役積を表し、Δθは位相差を表す
ことを特徴とするイコライザ。 - BPSK信号のためのイコライザであって、
前記イコライザの所定時刻の出力と前記所定時刻より前の時刻の出力との複素共役積を計算する複素共役計算器と、
前記複素共役積を利用して等化係数を更新する等化係数更新器と、
前記更新された等化係数を使用して入力信号をフィルタリングするFIRフィルタと、を有し、
前記所定時刻の出力の位相雑音と前記所定時刻より前の時刻の出力の位相雑音との間の誤差は無視できる程度に小さく、
前記係数更新器は、前記複素共役積、および送信側レーザと局部発振レーザとの間の周波数差に起因する、所定時刻の出力と前記所定時刻より前の時刻の出力との間の位相差、に基づいて生成されるコスト関数
E{・}は期待値を表し、rは複素共役積を表し、Δθは位相差を表し、γはゼロよりも大きい実定数を表し、Re(・)およびIm(・)はそれぞれ実部および虚部を計算するための演算を表す
ことを特徴とするイコライザ。 - 偏波ダイバーシティコヒーレント光通信に適用されるものであり、
前記FIRフィルタは、
第1の偏波中の現シンボルに対する前記第1の偏波中の他のシンボルからのクロストークを除去する第1のフィルタと、
前記第1の偏波中の現シンボルに対する第2の偏波中のシンボルからのクロストークを除去する第2のフィルタ、を備え、
前記FIRフィルタの出力は、前記第1のフィルタの出力および前記第2のフィルタの出力の和であり、
前記等化係数は、前記第1のフィルタの係数および前記第2のフィルタの係数により構成されるベクトルである
ことを特徴とする請求項2に記載のイコライザ。 - 請求項2〜7のいずれか1つに記載のイコライザを少なくとも1つ含むコヒーレント光受信器。
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