JP5598268B2 - 樹脂成形品の成形方法及び成形装置 - Google Patents

樹脂成形品の成形方法及び成形装置 Download PDF

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Description

本発明は、自動車用部品等の樹脂成形品、特に結晶性高分子樹脂を用いた成形品の成形方法及び成形装置に関し、樹脂成形品の成形技術の分野に属する。
従来、樹脂成形品の材料として、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、或いはポリ塩化ビニルなどの所謂汎用プラスチックは、安価であるとともに成形性に優れているなどの理由で、各種の分野で広く用いられているところであるが、自動車用部品や機械用部品等の工業製品用の材料としては、十分な機械的強度や耐久性等を得られないことがある。
そのため、これらの特性が要求される工業製品用材料としては、ポリエチレンテレフタレートやポリカーボネート、或いはポリアミドなどのなどの所謂エンジニアリングプラスチックが好適に用いられるが、エンジニアリングプラスチックは高価であるため、材料コストが高騰してしまう欠点がある。
このような実情に対処するものとして、特許文献1には、結晶性高分子樹脂融液の成形時における結晶化度を大幅に向上させることにより、ポリプロピレン等の汎用プラスチック材を用いながら、エンジニアリングプラスチックに相当する機械的強度や耐熱性を実現する発明が開示されている。
この発明は、結晶性高分子樹脂の融液を、融点以下、結晶化温度以上の状態、換言すれば過冷却状態で、臨界伸長ひずみ速度以上のひずみ速度で所定方向に伸長させることを特徴とするものである。このようにして伸長された融液は、高分子鎖が引き伸ばされて平行に揃えられた配向融液となると共に、結晶化の基点となる核が融液内に多数形成され、その後、短時間で且つ極めて高い割合で結晶化が起こるため、機械的強度や耐熱性に優れた成形品が得られることが期待される。
ここで、前記臨界伸長ひずみ速度とは、過冷却状態の融液を伸長させて、その伸長方向のひずみ速度を上げたときに、結晶サイズが不連続的に小さくなるときの速度であり、この速度以上で伸長させることにより、従来の方法で結晶化させた場合に比べて、結晶化度が大幅に向上するのである。
そして、前記特許文献1には、臨界速度以上の伸長ひずみ速度を実現するための方法として、上下の板の間にディスク状の高分子樹脂融液のサンプルを挟み、これを過冷却状態に保持して、一方の板を他方の板の方へ一定速度で移動させることにより押しつぶす方法、ダイの吐出口から急冷却しながら高分子樹脂融液を高速で吐出する方法、一対の引き抜きローラにより高分子樹脂融液を急冷却しながらダイから引き抜く方法などが開示されている。
国際公開WO2008/108251号公報
しかし、前記特許文献1に記載された上下の板で高分子樹脂融液のサンプルを挟む方法では、予めサンプルを作成する必要があると共に、周囲が不規則な形状となるため、周辺部を機械的に成形するなどの他の工程がさらに必要となる。
また、ダイから高分子樹脂融液を吐出する方法も、一定断面形状の長尺物が得られるだけであり、さらに、一対のローラによって高分子樹脂融液を引き抜く方法も、フィルム状のものが得られるだけで、これを積層して製品を得ようとすると再度樹脂を溶融しなければならず、結晶化によって向上させた強度が低下することになる。
これに対して、成形型を用いる通常の射出成形方法は、前記各方法に比べて製品形状の自由度は高いが、射出時にせん断ひずみが発生するだけで、成形型内に高速で射出しても臨界伸長ひずみ速度を得ることはできない。
そこで、本発明は、結晶性高分子樹脂を用い、その結晶化度を向上させる前記の方法を利用しながら、製品形状の自由度が高く、比較的容易な工程で得られる樹脂成形品の成形方法および成形装置を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明に係る樹脂成形品の成形方法は、次のように構成したことを特徴とする。
まず、本願の請求項1に記載の発明は、
成形型を構成する固定型と可動型とで囲まれたキャビティに、発泡剤を含有する結晶性高分子樹脂の融液を射出して充填させる射出工程と、
前記キャビティに前記融液が充填され、該融液の温度が融点以下、結晶化温度以上である状態で、前記可動型を前記固定型から離間する方向に移動させて前記キャビティの容積を増大させ該キャビティ内の前記高分子樹脂を発泡させながら成形すると共に、その成形時に、少なくとも前記可動型の成形面を負圧にして該面に前記高分子樹脂の表面を吸着させることで、前記融液に臨界伸長ひずみ速度以上の速度で伸長ひずみを生じさせて、該融液を配向融液の状態にし、その状態を維持して結晶化させる結晶化工程とを備えたことを特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の発明において、前記結晶性高分子樹脂が汎用プラスチックであることを特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、前記請求項2に記載の発明において、前記汎用プラスチックがポリプロピレンであることを特徴とする。
また、請求項4に記載の発明に係る樹脂成形品の成形装置は、
固定型と可動型とを有する成形型と、
前記固定型と前記可動型とで囲まれたキャビティに、発泡剤を含有する結晶性高分子樹脂の融液を射出する射出手段と、
前記可動型を前記固定型に近接する方向へ移動させることで型締めを行い、前記可動型を前記固定型から離間する方向へ移動させることで型開きを行うか又は前記キャビティの容積を増大させながら前記高分子樹脂の発泡成形を行う成形型開閉手段と、
前記キャビティに前記融液が充填され該融液の温度が融点以下、結晶化温度以上である状態において、前記融液に臨界伸長ひずみ速度以上の速度で伸長ひずみを生じさせることで該融液を配向融液の状態にして結晶化させるための所定の速度で、前記成形型開閉手段により前記可動型を前記固定型から離間する方向へ移動させて、前記キャビティ内の高分子樹脂を発泡させながら成形するとき、少なくとも該可動型の成形面を負圧にして該面に前記高分子樹脂の表面を吸着させる吸着手段とを備えたことを特徴とする。
請求項1に記載の発明に係る樹脂成形品の成形方法によれば、先ず、成形型を構成する固定型と成形型とで囲まれたキャビティに、発泡剤を含有する結晶性高分子樹脂の融液を射出して充填させ、その後、該融液を過冷却状態(融点以下、結晶化温度以上の状態)とした上で、前記可動型を前記固定型から離間する方向へ移動させてキャビティの容積を増大させることで、該キャビティ内の高分子樹脂融液を発泡させながら可動型の移動方向に伸長させて成形する。このとき、高分子樹脂融液が臨界伸長ひずみ速度以上の速度で伸長するように可動型を高速で移動させ、この可動型の高速移動に高分子樹脂融液の伸長を追従させることができれば、該融液は、高分子鎖が引き伸ばされて平行に揃えられた配向融液となると共に、結晶化の基点となる核が融液内に多数形成され、その後、短時間で且つ極めて高い割合で結晶化が起こり、高結晶化度の樹脂成形品を得ることができる。
そこで、本発明では、上記のように可動型を移動させて樹脂を発泡成形するとき、少なくとも該可動型の成形面を負圧にして該面に高分子樹脂の表面を吸着させるようにしているため、可動型の高速移動に高分子樹脂融液の伸長を確実に追従させることができ、これにより、該融液を確実に配向融液の状態にすることができ、極めて高い割合での結晶化を実現することができる。
このように、本発明では、高分子樹脂の発泡を利用しつつ、該樹脂融液を臨界伸長ひずみ速度以上の速度で伸長させるため、高結晶化度の高分子樹脂発泡体の成形品が得られる。そのため、本発明によれば、軽量性、断熱性および衝撃吸収性等に優れた樹脂発泡体の特性と、機械的強度および耐熱性等に優れた高分子結晶体の特性とを兼ね備えた成形品を得ることができる。
また、本発明の成形方法には成形型が用いられるため、前記特許文献1に記載の方法に比べて、高い形状の自由度で成形品を得ることができる。
さらに、本発明では、樹脂の発泡、成形および結晶化を1つの工程で達成することができるため、製造作業の簡素化を図ることができる。
また、請求項2に記載の発明によれば、前記結晶性高分子樹脂として、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル等の汎用プラスチックが用いられるため、成形品を安価に製造することができる。
さらに、請求項3に記載の発明によれば、前記汎用プラスチックとして広く用いられているポリプロピレンが採用されるため、価格面及び入手面でさらに有利となる。
また、請求項4に記載の発明に係る樹脂成形品の成形装置は、先ず、射出手段により、成形型を構成する固定型と成形型とで囲まれたキャビティに、発泡剤を含有する結晶性高分子樹脂の融液を射出して充填させ、その後、該融液を過冷却状態(融点以下、結晶化温度以上の状態)とした上で、成形型開閉手段により、前記可動型を前記固定型から離間する方向へ移動させてキャビティの容積を増大させることで、該キャビティ内の高分子樹脂融液を発泡させながら可動型の移動方向に伸長させて成形する。このとき、高分子樹脂融液が臨界伸長ひずみ速度以上の速度で伸長するように可動型を高速で移動させ、この可動型の高速移動に高分子樹脂融液の伸長を追従させることができれば、該融液は、高分子鎖が引き伸ばされて平行に揃えられた配向融液となると共に、結晶化の基点となる核が融液内に多数形成され、その後、短時間で且つ極めて高い割合で結晶化が起こり、高結晶化度の樹脂成形品を得ることができる。
そこで、本発明では、上記のように可動型を移動させて樹脂を発泡成形するとき、吸着手段により、少なくとも該可動型の成形面を負圧にして該面に高分子樹脂の表面を吸着させるようにしているため、可動型の高速移動に高分子樹脂融液の伸長を確実に追従させることができ、これにより、該融液を確実に配向融液の状態にすることができ、極めて高い割合での結晶化を実現することができる。
このように、本発明に係る成形装置を用いれば、高分子樹脂の発泡を利用しつつ、該樹脂融液を臨界伸長ひずみ速度以上の速度で伸長させるため、高結晶化度の高分子樹脂発泡体の成形品が得られる。そのため、本発明によれば、軽量性、断熱性および衝撃吸収性等に優れた樹脂発泡体の特性と、機械的強度および耐熱性等に優れた高分子結晶体の特性とを兼ね備えた成形品を得ることができる。
また、本発明に係る成形装置は成形型により成形を行うため、前記特許文献1に記載の装置に比べて、高い形状の自由度で成形品を得ることができる。
さらに、本発明に係る成形装置を用いれば、樹脂の発泡、成形および結晶化を1つの工程で達成することができるため、製造作業の簡素化を図ることができる。
本発明の方法で成形される成形品の例として示す自動車のドアモジュールキャリヤの正面図である。 同じくインストルメントパネルコア部材の斜視図である。 本発明の一実施形態に係る成形装置の構成図である。 図3に示す装置の射出工程前の状態を示す図である。 同じく射出工程が完了した状態を示す図である。 同じく結晶化工程中の状態を示す図である。 射出装置によりキャビティ内の樹脂に加えられる圧力および空気通路内の圧力の経時的変化を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態について説明する。
まず、本発明の方法及び装置で形成される樹脂成形品の例を説明すると、図1に示す成形品1は、自動車のドアに内装されるドアモジュールキャリヤであり、該キャリヤ1をドア本体に取り付けるための取付部やパワウインド用モータ等の各種機器や部材の取付部等が設けられるため、高い機械的強度が要求される。また、ドアモジュールキャリヤ1は、車体全体の軽量化に貢献するために軽量であることが好ましく、車室内の快適性を向上させるために断熱性を有することが好ましく、さらに、乗員の安全性を高めるために衝撃吸収性を有することが好ましい。
また、図2に示す成形品2は、自動車のインストルメントパネルコア部材であり、メータ類やエアバッグ等の各種機器や部材が取り付けられるため、高い機械的強度が要求される。さらに、インストルメントパネルコア部材2も、ドアモジュールキャリヤ1と同様の理由により、軽量性、断熱性および衝撃吸収性を有することが好ましい。
図3は、本発明の一実施形態に係る成形装置10を示す。この成形装置10は、固定型12と可動型13を有する成形型11と、該成形型11の型締め及び型開きを行う成形型開閉装置14と、固定型12と可動型13とで囲まれたキャビティ15に樹脂の融液を射出する射出装置16とを有する。
成形型11の固定型12には、前記キャビティ15を構成する面すなわち成形面12aと外部への露出面12bとに通じる射出通路18が設けられており、該射出通路18を通して、射出装置16から射出された融液がキャビティ15に導かれるようになっている。
成形型開閉装置14は、例えば高速油圧シリンダで構成され、例えば該シリンダの伸縮により、可動型13を固定型12に近接する方向へ移動させることで型締めを行い、可動型13を固定型12から離間する方向へ移動させることで型開きを行う。また、成形型開閉装置14は、可動型13を固定型12から離間する方向に移動(以下、「コアバック」ともいう。)させることで、キャビティ15の容積を増大させながら該キャビティ15内の樹脂を発泡成形する。
射出装置16は、シリンダ16aと、該シリンダ16aの一端部において該シリンダ16a内に樹脂材料を供給するホッパ16bと、供給された樹脂材料を加熱溶融し、該樹脂材料の融液をシリンダ16aの他端部に設けられた吐出口16cに向けて圧送するスクリュー16dとを有する。
樹脂材料の種類は特に限定されないが、価格面および入手面において、好ましくは、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル等の汎用プラスチックが用いられ、それらの中でもポリプロピレンが特に好適に用いられる。
シリンダ16aは、成形型11の固定型12に設けられた前記射出通路18の一端に吐出口16cが接続されるように、固定型12に取り付けられている。
また、シリンダ16aには、該シリンダ16a内に発泡剤を供給する発泡剤供給ユニット20が接続されている。本実施形態では、発泡剤として二酸化炭素または窒素等の物理発泡剤が用いられるが、本発明において用いられる発泡剤の種類は特に限定されるものでなく、物理発泡剤に代えて、炭酸水素ナトリウム等の化学発泡剤、又は熱膨張性マイクロカプセルを用いてもよい。
発泡剤供給ユニット20は、二酸化炭素または窒素等の不活性ガスを収容するボンベ22と、該ボンベ22から供給される不活性ガスを原料として公知の方法により発泡剤を生成する発泡剤生成装置24と、該生成装置24で生成された発泡剤をシリンダ16a内に供給する供給ノズル26とを備えている。この供給ノズル26からシリンダ16a内に供給された発泡剤は、シリンダ16a内の樹脂融液に溶解される。これにより、シリンダ16a内の樹脂融液は、発泡剤を含有した状態で前記成形型11のキャビティ15に射出される。
また、成形装置10は、樹脂を発泡成形するときに成形型11の可動型13の成形面13aを負圧にして該面13aに樹脂の表面を吸着させる吸着装置30を有する。
吸着装置30は、可動型13の内部を通って該可動型13の成形面13aに通じる空気通路36と、該空気通路36に真空槽34を介して接続された真空ポンプ32とを有する。空気通路36の成形面13a側の先端部は、複数の通路36a,36b,36cに分岐しており、各分岐通路36a,36b,36cに開閉弁38が設けられている。真空ポンプ32が作動すると、空気通路36は負圧となり、この状態でさらに開閉弁38が開くと、真空ポンプ32が空気通路36を介してキャビティ15に連通し、該キャビティ15と空気通路36との圧力差により、該キャビティ15内の樹脂の表面が成形面13aに引き込まれて吸着される。
次に、この成形装置10を用いた樹脂成形品の成形方法について説明する。
図4に示すように、先ず、成形型開閉装置14により可動型13を固定型12に当接するように移動させて、成形型11を型締めする。このように成形型11を型締めした状態において、固定型12の成形面12aと可動型13の成形面13aとの間隔は、成形品の厚みよりも小さくなり、成形品の最終形状の容積よりも小さい容積のキャビティ15’が形成されている。
また、これと並行して、射出装置16のホッパ16bに、固形の結晶性高分子樹脂材料Aを投入し、シリンダ16a内において、スクリュー16dを作動させて、これらの樹脂材料Aを融点以上まで加熱して溶融させることで融液A’を得るとともに、発泡剤供給ユニット20からシリンダ16a内に発泡剤を供給して、該発泡剤を前記融液A’に溶解させる。
さらに、これと並行して、吸着装置30の開閉弁38を閉じた状態で真空ポンプ32を作動させて、図7に示すように、空気通路36内の圧力Qを負圧にしておく。
次に、射出工程として、図5に示すように、射出装置16により、発泡剤を含有する結晶性高分子樹脂材料の融液A’をキャビティ15’内に射出して充填させる。
次に、結晶化工程として、キャビティ15’内に充填された結晶性高分子樹脂の融液A’の温度が融点以下で、結晶化温度以上になるまで冷却された時点、即ち、該融液A’が過冷却状態となった時点で、図6に示すように、前記成形型開閉装置14を作動させて可動型13を固定型12から離間する方向へ高速でコアバックさせる。これにより、キャビティ15’の容積は増大し、キャビティ15’内の高分子樹脂は発泡しながら成形される。
また、この結晶化工程では、可動型13のコアバックの直前に吸着装置30の開閉弁38を開放し、これにより、図7に示すように、開閉弁38の開放に伴い空気通路36内の圧力が一時的に上昇した後、再び元の圧力に戻る時点でコアバックが開始されるようにする。これにより、可動型13の成形面13aはコアバックの開始と同時に負圧となり、該成形面13aにキャビティ15’内の高分子樹脂の表面が吸着される。かかる成形面13aの負圧状態はコアバックが終了するまで継続させ、これにより、コアバック中に成形面13aから樹脂が離間することを防止する。
このように、可動型13のコアバックの開始から終了までキャビティ15’内の高分子樹脂の表面は可動型13の成形面13aへの吸着状態が維持されるため、結晶化工程において、キャビティ15’の容積が可動型13の移動方向に急激に拡大されるとき、該キャビティ15’内の融液A’は、発泡しながら可動型13の高速移動に確実に追従して該移動方向に伸長する。
結晶化工程における可動型13の移動速度(コアバック速度)は、該移動方向における融液A’の伸長ひずみ速度が臨界伸長ひずみ速度以上となる速度に設定されている。したがって、結晶化工程において、融液A’は臨界伸長ひずみ速度以上の速度で伸長する。
よって、結晶化工程において、融液A’は、高分子鎖が引き伸ばされて平行に揃えられた配向融液となると共に、結晶化の基点となる核が融液A’内に多数形成され、その後、短時間で且つ極めて高い割合で結晶化が起こり、高結晶化度の樹脂発泡体が形成される。
可動型13のコアバック終了後、成形型開閉装置14により型開きを行い、これにより、高結晶化度の樹脂発泡体からなる成形品を得ることができる。
なお、本実施形態では、図7に示すように、射出工程が終了してから結晶化工程が開始されるまでの間、射出装置16によりキャビティ15’内の融液A’に与える圧力Pを、段階的に下げながら所定時間保圧した後、完全に減圧して、可動型13のコアバックを開始する。ただし、コアバック開始後も、圧力Pの保圧を所定時間継続するようにしてもよく、この場合、圧力Pによりキャビティ15’内の樹脂が可動型13の成形面13aに向かって押し込まれ、これにより、該成形面13aに対する高分子樹脂の吸着力が増大するため、可動型13の移動に対する高分子樹脂の追従性を一層確実にすることができ、結晶化度の高い成形品を確実に得ることができる。
以上の実施形態によれば、結晶化工程において、可動型13の高速移動に融液A’の伸長を確実に追従させることができるため、該融液A’に臨界伸長ひずみ速度以上の速度でのひずみ伸長を確実に生じさせることができる。そのため、確実に、該融液A’を配向融液の状態にして、高結晶化度の成形品を得ることができる。
また、この実施形態によれば、高分子樹脂融液A’のひずみ伸長に発泡を利用しているため、発泡体でありながら結晶化度の高い成形品が得られる。そのため、軽量性、断熱性および衝撃吸収性等に優れた樹脂発泡体の特性と、機械的強度および耐熱性等に優れた高分子結晶体の特性とを兼ね備えた成形品を得ることができる。また、成形型11を用いて成型するため、高い形状の自由度で成形品を得ることができる。これらのことから、例えば、図1,2に示すドアモジュールキャリヤ1やインストルメントパネルコア部材2、或いは、バンパー、フェンダー又はレインフォースメントなどといった種々の自動車部品に適した成形品を得ることができる。
さらに、この実施形態によれば、樹脂の発泡、成形および結晶化を1つの工程(前記結晶化工程)で達成することができるとともに、射出工程と結晶化工程のいずれも単一の成形装置10を用いて連続して実行できるため、製造の作業および設備を簡素化することができる。
以上、上述の実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。
例えば、上述の実施形態において、吸着装置30は、可動型13の成形面13aのみを負圧にするように構成されているが、可動型13の成形面13aに加えて、固定型12の成形面12aも負圧にして該面12aに樹脂の表面を吸着させるようにしてもよい。この場合、キャビティ15’内の樹脂の表面は、融液A’の伸長方向両側の成形面12a,13aにそれぞれ確実に吸着されるため、融液A’の伸長をキャビティ15の容積の増大に一層確実に追従させることができ、結晶化度の高い成形品を一層確実に得ることができる。
次に、上記実施形態に係る方法および装置による成形を実施した実施例について説明する。
この実施例では、株式会社日本製鋼所製、型締力220トンの成形型と射出装置とを備えた成形装置を用い、結晶性高分子樹脂材料として、日本ポリプロ株式会社製のポリプロピレン樹脂材料(商品名:ノバテック)を用いた。また、吸着装置の真空ポンプとして、日本真空技術株式会社製のPVD−150を使用した。
そして、射出装置における樹脂材料の溶融温度を200℃、型温度を150℃に設定し、まず、可動型を固定型に当接させた状態、すなわち型締めした状態にして、両型の間に厚み1mmのキャビティを形成した。
次に、射出工程として、物理発泡剤としての窒素ガスを含有する前記結晶性高分子樹脂材料の融液をキャビティに3秒間射出して充填させ、その後、該融液の温度が160℃に低下するまで約30秒間待機した。この温度は、該樹脂の融点よりも低く、結晶化温度よりも高い温度であり、これにより、融液は過冷却状態となった。
次に、結晶化工程として、吸着装置により成形型の可動型の成形面に樹脂の表面を吸着させながら、該可動型をキャビティの厚みが4mmになるまで200mm/秒でコアバックさせ、前記高分子樹脂を発泡成形した。
その後、成形型を50℃になるまで冷却した後、型開きし、成形品を取り出した。
これにより、結晶化が促進されたことによる高い機械的強度や耐熱性と、発泡成形されたことによる優れた軽量性、断熱性および衝撃吸収性とを兼ね備えた成形品が得られた。
以上のように、本発明により得られる成形品は、機械的強度や耐熱性等に優れた高分子結晶体の特性と、軽量性、断熱性および衝撃吸収性に優れた樹脂発泡体の特性とを兼ね備えるとともに、該成形品が成形型を用いて製造されることにより形状の自由度が確保されることから、それら種々の特性が要求される例えば自動車用部品等の製造技術分野において好適に利用される可能性がある。
1,2 成形品
10 成形装置
11 成形型
12 固定型
13 可動型
14 成形型開閉装置
16 射出装置
30 吸着装置

Claims (4)

  1. 成形型を構成する固定型と可動型とで囲まれたキャビティに、発泡剤を含有する結晶性高分子樹脂の融液を射出して充填させる射出工程と、
    前記キャビティに前記融液が充填され、該融液の温度が融点以下、結晶化温度以上である状態で、前記可動型を前記固定型から離間する方向に移動させて前記キャビティの容積を増大させ該キャビティ内の前記高分子樹脂を発泡させながら成形すると共に、その成形時に、少なくとも前記可動型の成形面を負圧にして該面に前記高分子樹脂の表面を吸着させることで、前記融液に臨界伸長ひずみ速度以上の速度で伸長ひずみを生じさせて、該融液を配向融液の状態にし、その状態を維持して結晶化させる結晶化工程とを備えたことを特徴とする樹脂成形品の成形方法。
  2. 前記結晶性高分子樹脂は汎用プラスチックであることを特徴とする請求項1に記載の樹脂成形品の成形方法。
  3. 前記汎用プラスチックはポリプロピレンであることを特徴とする請求項2に記載の樹脂成形品の成形方法。
  4. 固定型と可動型とを有する成形型と、
    前記固定型と前記可動型とで囲まれたキャビティに、発泡剤を含有する結晶性高分子樹脂の融液を射出する射出手段と、
    前記可動型を前記固定型に近接する方向へ移動させることで型締めを行い、前記可動型を前記固定型から離間する方向へ移動させることで型開きを行うか又は前記キャビティの容積を増大させながら前記高分子樹脂の発泡成形を行う成形型開閉手段と、
    前記キャビティに前記融液が充填され該融液の温度が融点以下、結晶化温度以上である状態において、前記融液に臨界伸長ひずみ速度以上の速度で伸長ひずみを生じさせることで該融液を配向融液の状態にして結晶化させるための所定の速度で、前記成形型開閉手段により前記可動型を前記固定型から離間する方向へ移動させて、前記キャビティ内の高分子樹脂を発泡させながら成形するとき、少なくとも該可動型の成形面を負圧にして該面に前記高分子樹脂の表面を吸着させる吸着手段とを備えたことを特徴とする樹脂成形品の成形装置。
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