以下、本発明を図示する実施形態により具体的に説明する。なお、各実施形態において、同一の部材には同一の符号を付して対応させてある。
(第1実施形態)
図1〜図4は本発明の第1実施形態のシャッター巻取装置1を示し、図1は全体の内部構造を示す正面図、図2はシャッターカーテンの巻き取り状態を示す断面図、図3はシャッターカーテンの引き出し時の断面図、図4は作動の特性を示すグラフである。
シャッター巻取装置1は、巻取筒2と、固定軸3と、回転ドラム4と、第1弾性体6と、第2弾性体7と、カラー部材13とを備えている。
巻取筒2は、図示を省略したシャッターカーテンが外面に巻き付けられるものであり、シャッターカーテンの巻き取り及び引き出しを可能とするため、正逆回転可能となっている。固定軸3は、巻取筒2の正逆回転を支持するものである。固定軸3は、巻取筒2の内部を貫通しており、巻取筒2から抜き出された両端部が取付筒(図示省略)等の外部々材に挿入されて回転止めされる。この取付筒を車庫の出入口等の建造物の開口部に装着することによりシャッター巻取装置1によるシャッターカーテンの巻き取りや引き出しが行われる。
巻取筒2は、連結部材11を介して固定軸3に支持される。連結部材11は、中央部分の筒部11aに固定軸3が貫通することにより、固定軸3に対して回転可能となっている。この連結部材11の外周面を巻取筒2の内面にねじ止め、溶接等により連結することにより巻取筒2が固定軸3回りに回転可能に支持される。
図2及び図3に示すように、カラー部材13は、固定軸3が貫通する横長の筒体となっており、固定軸3が貫通した後、固定軸3に対する軸方向への位置決めを行った後、ねじ30によって固定軸3に固定される。カラー部材13は固定軸3の軸方向に沿って延びている。このカラー部材13の外周面には、螺旋溝14が固定軸3の軸方向に沿って形成されている。螺旋溝14には、回転ドラム4の係合凸部31が係合する。
回転ドラム4は、係合凸部31が螺旋溝14に係合した状態でカラー部材13に外挿される。この実施形態において、回転ドラム4はカラー部材13に対して回転可能となっており、この回転により回転ドラム4はカラー部材13の軸方向に移動する。回転ドラム4及びカラー部材13には、相互に当接可能なストッパ爪15、18がそれぞれ設けられている。
一方のストッパ爪15は、カラー部材13に形成されたカラー部材側ストッパ爪であり、径方向外側に突出するようにカラー部材13に形成されている。他方のストッパ爪18は、カラー部材側ストッパ爪15に対応するように回転ドラム4に形成された回転ドラム側ストッパ爪である。回転ドラム側ストッパ爪18は、径方向内側に突出するように回転ドラム4に形成されている。カラー部材側ストッパ爪15及び回転ドラム側ストッパ爪18は、相互に面で当接可能となっており、ストッパ爪15、18の当接状態では回転ドラム4の回転が停止した状態となる。ストッパ爪15,18の当接は、後述するように第1弾性体6及び第2弾性体7のトルクが釣り合うまで行われる。ストッパ爪15,18の当接解除は、シャッターカーテンが引き出されて回転ドラム4が回転することにより回転ドラム4がカラー部材13(固定軸3)の軸方向に移動することにより行われる。
第1弾性体6及び第2弾性体7は、本発明に係る複数の弾性体を構成するものである。この実施形態において、第1弾性体6及び第2弾性体7は固定軸3の軸方向に沿って横並び状に配置されている。これらの第1弾性体6及び第2弾性体7は、いずれも固定軸3に外挿されるコイルばねが用いられる。
第1弾性体6は、巻取筒2に対応して設けられるものであり、一端6aがねじ32aによって連結部材11にねじ止めされている。第1弾性体6のコイル部6cは回転ドラム4に外挿されており、第1弾性体6の他端6bがねじ32によって回転ドラム4にねじ止めされている。従って、第1弾性体6は回転ドラム4と連結部材11(巻取筒2)との間に掛け渡された状態となっている。第1弾性体6の取り付けは、イニシャルトルク(初期弾性力)T2を有するようにねじられた状態で行われる。
第1弾性体6に対し、スプリングガイド20が設けられている。スプリングガイド20は第1弾性体6の他端6bを回転ドラム4に固定するねじ32によって回転ドラム4に取り付けられる。スプリングガイド20は薄肉筒状となっており、回転ドラム4から第1弾性体6のコイル部6c内に挿入されている。これにより、第1弾性体6のコイル部6cがカラー部材13に当たったり、接触したりすることを防止でき、第1弾性体6を確実に作動させることができる。このため、巻取筒2の小径化により径方向のスペースが少なくなる場合にも第1弾性体6を確実に作動させることができ有効である。
第2弾性体7は、一端7aが固定軸3側に固定されるものである。すなわち、固定軸3には、固定ドラム33が外挿された状態で固定軸3に固定されており、この固定ドラム33のフランジ部33aに第2弾性体7の一端7aがねじ32bによってねじ止めされるものである。第2弾性体7のコイル部7cは、回転ドラム4側に延びて回転ドラム4に外挿されており、第2弾性体7の他端7bが回転ドラム4の外周に密着している。第2弾性体7の他端7bは、コイル径が拡大した状態で回転ドラム4に密着しており、この密着により他端7bが締め付け状態で回転ドラム4に固定されている。このような第2弾性体7の他端7bは、回転ドラム4の外周面に形成された巻溝16に入り込んで巻溝16に巻き付けられることにより回転ドラム4に固定されるものである。このような巻き付けによる回転ドラム4への固定では、ねじを不要とするため回転ドラム4の小径化に対応することがきる。第2弾性体7は、イニシャルトルク(初期弾性力)T1を有するようにねじられた状態で取り付けられが行われる。第2弾性体7のイニシャルトルクT1は、第1弾性体6のイニシャルトルクT2よりも小さくなるように設定されている(T2>T1)。
このように第1弾性体6の一端6aが連結部材11(巻取筒2)に固定され、他端6bが回転ドラム4に固定され、第2弾性体7の一端7aが固定ドラム33(固定軸3)に固定され、他端7bが回転ドラム4に固定されることにより、第1弾性体6及び第2弾性体7は回転ドラム4を介して巻取筒2と固定軸3とを連結した状態となる。
次に、この実施形態の作動を説明する。図4は作動中における第1弾性体6及び第2弾性体7のばね定数と、シャッターカーテンの開閉によるトルク特性を示し、横軸に巻取筒2の回転数Nをプロットし、縦軸に第1弾性体6及び第2弾性体7によるトルクをプロットしてある。図4において、横軸における回転数N1は、シャッターカーテンが全て巻き取られたシャッターの全開状態であり、回転数N3はシャッターカーテンが全て引き出されたシャッターの全閉状態である。曲線Bは第2弾性体7のトルク、曲線Eはシャッターカーテンの開閉によるトルク特性である。
図2は、巻取筒2の回転数N1において、シャッターのシャッターカーテンが全て巻き取られたシャッターの全開状態を示す。シャッターの全開状態では回転ドラム側ストッパ爪18がカラー部材側ストッパ爪15に当接している。このため、回転ドラム4に対して第1弾性体6のイニシャルトルクT2が作用しても回転ドラム4は回転停止状態となっている。
図3は、シャッターの全開状態からシャッターカーテンを引き出すことにより、巻取筒2を1回転した状態を示す。シャッターカーテンの引き出しによる巻取筒2の回転と共に連結部材11が回転する。連結部材11には、第1弾性体6が連結され、第1弾性体6に回転ドラム4が連結されているため、巻取筒2の回転に伴って回転ドラム4が回転する。この回転ドラム4の回転により、回転ドラム4と固定ドラム33との間に掛け渡されている第2弾性体7がねじられるため、第2弾性体7によるトルクが増加する。
巻取筒2がさらに回転して第2弾性体7がねじられることにより、第2弾性体7によるトルクが増加する。そして、巻取筒2が回転数N2となったとき、第2弾性体7によるトルクが第1弾性体6のイニシャルトルクT2と同等となる。このため、第1弾性体6によるトルクと第2弾性体7によるトルクとが釣り合った状態となる。第1弾性体6によるトルクと第2弾性体7によるトルクが釣り合い、第2弾性体7によるトルクが第1弾性体によるトルクよりも大きくなった瞬間に回転ドラム側ストッパ爪18とカラー部材側ストッパ爪15とが当接状態から離れる。そして、回転ドラム4がカラー部材13の螺旋溝14に沿って回転することにより、第1弾性体6のばね定数と第2弾性体7のばね定数とが合わせられたばね定数で作動する(図4における曲線A+B)。これ以降においては、巻取筒2に対し曲線A+Bの特性によるトルクが作用する。かかる曲線A+Bは、シャッターカーテンの開閉トルク特性Eに近づくように増加する。図4において、回転数N3は、シャッターカーテンが全て引き出されたシャッターの全閉状態であり、弾性体6,7を合わせたトルク特性(曲線A+B)がシャッターカーテンの開閉トルク特性Eに近くなっている。このため、シャッターの全閉状態からシャッターカーテンを巻き取る際には、小さな操作力でシャッターを開くことができる。
このようにシャッターの全閉状態から小さな操作力によってシャッターカーテンを巻き取ることができることから、シャッターの巻き取り、引き出しを電動モータによって行う場合、電動モータの出力を小さくすることができ、電力の消費量を削減することができる。又、曲線A+Bがシャッターカーテンの開閉トルク特性Eに近くなっていることから、シャッターカーテンの巻き取り終了時における衝撃を小さくすることができる。
このような実施形態では、回転ドラム4を回転させることによりイニシャルトルクT2を有するように第1弾性体6をねじった状態で回転ドラム側ストッパ爪18をカラー部材側ストッパ爪15に当接させることができるため、カラー部材13に対する回転ドラム4の位置決めを簡単に行うことができる。又、カラー部材13に対して回転する回転ドラム4に第1弾性体6及び第2弾性体7を連結しているため、回転ドラム4の係合凸部31がカラー部材13の螺旋溝14と噛み込むことがなく、巻取筒2を円滑に回転させることができる。
さらに、回転ドラム4の回転規制を行うストッパ爪18,15が面で相互に当接するように回転ドラム4及びカラー部材13のそれぞれに突出させているため、ストッパ爪18,15の当接を確実に行うことができ、ピン等のように係合のための植え込み深さを調整する必要がない。そして、このようにストッパ爪18,15が確実に当接するため、カラー部材13や回転ドラム4の肉厚を薄くしても確実に作動する。このため、シャッター巻取装置1を小径化することが可能となる。
(第2実施形態)
図5〜図7は本発明の第2実施形態のシャッター巻取装置1Aを示し、図5は全体の内部構造を示す正面図、図6はシャッターカーテンの巻き取り状態を示す断面図、図7はシャッターカーテンの引き出し時の断面図である。
この実施形態においては、巻取筒2の長さ方向の両端部に連結ドラム22が取り付けられている。なお、連結ドラム22は右端側のみを示し、左端側の連結ドラムは省いてある。連結ドラム22は、軸方向の貫通孔22aが形成されており、この貫通孔22aに固定軸3が貫通している。従って、連結ドラム22は固定軸3に正逆回転可能に支持されており、連結ドラム22を介して巻取筒2が固定軸3に正逆回転可能に支持された構造となっている。
第1実施形態と同様に、固定軸3の中間部分には横長の筒体からなるカラー部材13がピン30によって固定されている。カラー部材13の外周面には、固定軸3の軸方向に沿った螺旋溝14が形成されている。この螺旋溝14には、回転ドラム4の係合凸部31が係合している。
回転ドラム4は、係合凸部31が螺旋溝14に係合した状態でカラー部材13に外挿される。回転ドラム4は、カラー部材13に対して回転可能となっており、カラー部材13に対して回転ドラム4が回転することにより回転ドラム4はカラー部材13の軸方向に移動する。
この実施形態においても、カラー部材13にカラー部材側ストッパ爪15が形成されると共に、回転ドラム4に回転ドラム側ストッパ爪18が形成されている。カラー部材側ストッパ爪15は、径方向外側に突出するようにカラー部材13に形成され、回転ドラム側ストッパ爪18は径方向内側に突出するように回転ドラム4に形成されている。これらのストッパ爪15、18は、相互に面での当接が可能となっており、ストッパ爪15、18の当接状態では回転ドラム4が回転停止状態となっている。
この実施形態においては、複数の弾性体として、共にコイルばねからなる第1弾性体56及び第2弾性体57が用いられるものであり、これらの弾性体56、57は固定軸3の周囲に同心円状に配置されている。すなわち、第1弾性体56のコイル部56cが外側に、第2弾性体57のコイル部57cが内側に位置するように配置されることにより、これらの弾性体56、57が固定軸3の周囲に同心円状に配置されている。
第1弾性体56は、一端56aが回転ドラム4の外周面にねじ34によって固定され、他端56bがねじ34aによって連結ドラム22の側面に固定されており、そのコイル部56cは、第2弾性体57に外挿されている。第1弾性体56は、第1実施形態と同様に、イニシャルトルク(初期弾性力)T2を有するようにねじられた状態で取り付けられる。
第2弾性体57は、一端57aが固定軸3に固定され、他端57bが回転ドラム4に固定される。この実施形態において、固定軸3には固定ブロック24が取り付けられ、この固定ブロック24に第2弾性体57の一端57aが固定されるものである。固定ブロック24は固定軸3が軸方向に貫通しており、固定ブロック24及び固定軸3に対して軸方向と直交する方向にねじ35を貫通させて締め付けることにより固定軸3に固定される。第2弾性体57の一端57aは、このねじ35に共締めされることにより固定ブロック24に固定される。
第2弾性体57のコイル部57cは、一端57aから回転ドラム4側に延びて回転ドラム4に外挿されており、第2弾性体57の他端57bが回転ドラム4の外周に密着している。第2弾性体57の他端57bは、コイル径が拡大した状態で回転ドラム4に密着しており、この密着により他端57bが締め付け状態で回転ドラム4に固定されている。このような第2弾性体57の他端57bは、回転ドラム4の外周面に形成された巻溝16に入り込んで巻溝16に巻き付けられることにより回転ドラム4に固定される。このような巻き付けによる回転ドラム4への固定では、ねじを不要とするため回転ドラム4の小径化に対応することがきる。第2弾性体57は、イニシャルトルク(初期弾性力)T1を有するようにねじられた状態で取り付けられが行われる。第2弾性体57のイニシャルトルクT1は、第1弾性体56のイニシャルトルクT2よりも小さくなるように設定されている(T2>T1)。
このように第1弾性体56の一端56aが回転ドラム4に固定され、他端56bが連結ドラム22(巻取筒2)に固定され、第2弾性体57の一端57aが固定ブロック24(固定軸3)に固定され、他端57bが回転ドラム4に固定されることにより、第1弾性体56及び第2弾性体57は回転ドラム4を介して巻取筒2と固定軸3とを連結した状態となる。
この実施形態では、パイプ部材25が設けられている。パイプ部材25は、第1弾性体56及び第2弾性体57の間に挿入されるように回転ドラム4に取り付けられており、第1弾性体56のコイル部56c及び第2弾性体57のコイル部57cが相互に接触したり、当たることを防止している。これにより、第1弾性体56及び第2弾性体57を確実に作動させることが可能となっている。このため、巻取筒2の小径化により径方向のスペースが少なくなる場合にも第1弾性体56及び第2弾性体57を確実に作動させることができ有効である。
この実施形態の作動は、第1実施形態の作動と同様に図4のグラフに沿って行われるものであり、以下、図4を参照して作動を説明する。図6は巻取筒2の回転数N1において、シャッターのシャッターカーテンが全て巻き取られたシャッターの全開状態を示し、シャッターの全開状態では回転ドラム側ストッパ爪18がカラー部材側ストッパ爪15に当接している。このため、回転ドラム4に対して第1弾性体56のイニシャルトルクT2が作用しても回転ドラム4は回転停止状態となっている。
図7は、シャッターの全開状態からシャッターカーテンを引き出すことにより、巻取筒2を1回転した状態を示す。シャッターカーテンの引き出しによる巻取筒2の回転と共に連結ドラム22が回転する。連結ドラム22には、第1弾性体56が連結され、第1弾性体56に回転ドラム4が連結されているため、巻取筒2の回転に伴って回転ドラム4が回転する。この回転ドラム4の回転により、回転ドラム4と固定ブロック24との間に掛け渡されている第2弾性体57がねじられるため、第2弾性体57によるトルクが増加する。
巻取筒2がさらに回転して第2弾性体57がねじられることにより、第2弾性体57によるトルクが増加する。そして、巻取筒2が回転数N2となったとき、第2弾性体57によるトルクが第1弾性体56のイニシャルトルクT2と同等となる。このため、第1弾性体56によるトルクと第2弾性体57によるトルクとが釣り合った状態となる。第1弾性体56と第2弾性体57によるトルクが釣り合い、第2弾性体57によるトルクが第1弾性体56によるトルクよりも大きくなった瞬間に回転ドラム側ストッパ爪18とカラー部材側ストッパ爪15とが当接状態から離れる。そして、回転ドラム4がカラー部材13の螺旋溝14に沿って回転することにより、第1弾性体56のばね定数と第2弾性体57のばね定数とが合わせられたばね定数で作動する(図4における曲線A+B)。これ以降においては、巻取筒2に対し曲線A+Bの特性によるトルクが作用する。かかる曲線A+Bは、シャッターカーテン巻き取りトルクEに近づくように増加する。図4において、回転数N3は、シャッターカーテンが全て引き出されたシャッターの全閉状態であり、弾性体56,57を合わせたトルク特性(曲線A+B)がシャッターカーテンの開閉トルク特性Eに近くなっている。このため、シャッターの全閉状態からシャッターカーテンを巻き取る際には、小さな操作力でシャッターを開くことができる。従って、シャッターの巻き取り、引き出しを電動モータによって行う場合、電動モータの出力を小さくすることができ、電力の消費量を削減することができる。又、曲線A+Bがシャッターカーテンの開閉トルクEに近くなっていることから、シャッターカーテンの巻き取り終了時における衝撃を小さくすることができる。
又、回転ドラム4を回転させることにより、イニシャルトルクT2を有するように第1弾性体56をねじった状態で回転ドラム側ストッパ爪18をカラー部材側ストッパ爪15の当接させることができるため、カラー部材13に対する回転ドラム4の位置決めを簡単に行うことができる。又、カラー部材13に対して回転する回転ドラム4に第1弾性体56及び第2弾性体57を連結しているため、回転ドラム4の係合凸部31がカラー部材13の螺旋溝14と噛み込むことがなく、巻取筒2を円滑に回転させることができる。
さらに、回転ドラム4の回転規制を行うストッパ爪18,15が面で相互に当接するように回転ドラム4及びカラー部材13のそれぞれに突出させているため、ストッパ爪18,15の当接を確実に行うことができ、ピン等のように係合のための植え込み深さを調整する必要がない。そして、このようにストッパ爪18,15が確実に当接するため、カラー部材13や回転ドラム4の肉厚を薄くしても確実に作動する。このため、シャッター巻取装置1Aを小径化することができる。
(第3実施形態)
図8〜図10は本発明の第3実施形態のシャッター巻取装置1Bを示し、図8は全体の内部構造を示す正面図、図9はシャッターカーテンの巻き取り状態を示す断面図、図10はシャッターカーテンの引き出し時の断面図である。
この実施形態のシャッター巻取装置1Bにおいては、カラー部材13が巻取筒2に取り付けられることにより巻取筒2の回転と共に回転するようになっている。カラー部材13は、横長の筒体からなる本体部26と、本体部26の軸方向の一端側から径方向に広がるフランジ部27を有しており、フランジ部27が巻取筒2の内面に当接している。そして、フランジ部27に対してねじ36を締め付けることによりカラー部材13の全体が巻取筒2に固定される。カラー部材13の本体部26の外周面には、螺旋溝14が形成されている。螺旋溝14は、固定軸3の軸方向に沿って設けられるものである。この螺旋溝14には、回転ドラム4の係合凸部31が係合する。
この実施形態において、固定軸3は巻取筒2の全体を貫通することなく、巻取筒2の一端側に設けられるものである。固定軸3は、連結ドラム22を貫通している。連結ドラム22は、固定軸3に正逆回転可能に支持されており、巻取筒2は連結ドラム22を介して固定軸3に正逆回転可能に支持されている。連結ドラム22は、巻取筒2の一端部(右端部)に取り付けられており、ねじ37を締め付けることにより巻取筒2と一体回転するように取り付けられている。
回転ドラム4は、係合凸部31が螺旋溝14に係合した状態でカラー部材13の本体部26に外挿される。回転ドラム4は、螺旋溝14との係合状態でカラー部材13の本体部26に相対回転可能となっており、この回転により回転ドラム4が本体部26の軸方向に移動する。
この実施形態においても、カラー部材13にカラー部材側ストッパ爪15が形成されると共に、回転ドラム4に回転ドラム側ストッパ爪18が形成されている。カラー部材側ストッパ爪15は、径方向外側に突出するようにカラー部材13に形成され、回転ドラム側ストッパ爪18は径方向内側に突出するように回転ドラム4に形成されている。これらのストッパ爪15、18は、相互に面での当接が可能となっており、ストッパ爪15、18の当接状態では回転ドラム4が回転停止状態となっている。
複数の弾性体としての第1弾性体66及び第2弾性体67は、共にコイルばねが用いられている。この実施形態においては、複数の弾性体として、共にコイルばねからなる第1弾性体66及び第2弾性体67が用いられるものであり、これらの弾性体66,67は固定軸3に対して同心円状に配置されている。すなわち、第1弾性体66のコイル部66cが外側に、第2弾性体67のコイル部67cが内側に位置するように配置されることにより、これらの弾性体66、67が固定軸3の周囲に同心円状に配置されている。
第1弾性体66は、一端66aが回転ドラム4の外周面にねじ34によって固定され、他端66bがねじ34aによって連結ドラム22の外面に固定されており、コイル部66cは、第2弾性体67に外挿されている。第1弾性体66は、第1実施形態と同様に、イニシャルトルク(初期弾性力)T2を有するようにねじられた状態で取り付けられる。
第2弾性体67は、一端67aが固定軸3に固定され、他端67bが回転ドラム4に固定される。第2弾性体67の一端67aは、軸方向と直交する方向に固定軸3を貫通するねじ38を締め付けることにより固定軸3に固定される。このような固定では、第2実施形態のように、固定ブロック24が不要となり、部品点数を少なくすることができると共にその分、径を小型化することができる。
第2弾性体67のコイル部67cは、一端67aから回転ドラム4側に延びて回転ドラム4に外挿されており、第2弾性体67の他端67bが回転ドラム4の外周に密着している。第2弾性体67の他端67bは、コイル径が拡大した状態で回転ドラム4に密着しており、この密着により他端67bが締め付け状態で回転ドラム4に固定されている。このような第2弾性体67の他端67bは、回転ドラム4の外周面に形成された巻溝16に入り込んで巻溝16に巻き付けられることにより回転ドラム4に固定されるものである。このような巻き付けによる回転ドラム4への固定では、ねじを不要とするため回転ドラム4の小径化に対応することがきる。第2弾性体67は、イニシャルトルク(初期弾性力)T1を有するようにねじられた状態で取り付けが行われる。第2弾性体67のイニシャルトルクT1は、第1弾性体66のイニシャルトルクT2よりも小さくなるように設定されている(T2>T1)。
第1弾性体66の一端66aが回転ドラム4に固定され、他端66bが連結ドラム22(巻取筒2)に固定され、第2弾性体67の一端67aが固定軸3に固定され、他端67bが回転ドラム4に固定されることにより、第1弾性体66及び第2弾性体67は回転ドラム4を介して巻取筒2と固定軸3とを連結した状態となる。
第1弾性体56及び第2弾性体57の間には、パイプ部材25が挿入される。パイプ部材25は回転ドラム4に取り付けられており、第1弾性体66のコイル部66c及び第2弾性体67のコイル部67cが相互に接触したり、当たることを防止している。これにより、第1弾性体66及び第2弾性体67を確実に作動させることができる。このため、巻取筒2の小径化により径方向のスペースが少なくなる場合にも、第1弾性体66及び第2弾性体67を確実に作動させることができ有効である。
この実施形態の作動は、第1実施形態の作動と同様に図4のグラフに沿って行われるものであり、以下、図4を参照して作動を説明する。図9は巻取筒2の回転数N1において、シャッターのシャッターカーテンが全て巻き取られたシャッターの全開状態を示し、シャッターの全開状態では回転ドラム側ストッパ爪18がカラー部材側ストッパ爪15に当接している。このため、回転ドラム4に対して第1弾性体66のイニシャルトルクT2が作用しても回転ドラム4は回転停止状態となっている。
図10は、シャッターの全開状態からシャッターカーテンを引き出すことにより、巻取筒2を1回転した状態を示す。シャッターカーテンの引き出しによる巻取筒2の回転と共にカラー部材13及び連結ドラム22が回転する。この実施形態では、連結ドラム22には、第1弾性体66が連結され、この第1弾性体66に回転ドラム4が連結されているため、巻取筒2の回転に伴って回転ドラム4が回転する。すなわち、回転ドラム4はカラー部材13と共回りする。回転ドラム4の回転により、回転ドラム4と固定軸3との間に掛け渡されている第2弾性体67がねじられるため、第2弾性体67によるトルクが増加する。
巻取筒2がさらに回転して第2弾性体67がねじられることにより、第2弾性体67によるトルクが増加する。そして、巻取筒2が回転数N2となったとき、第2弾性体67によるトルクが第1弾性体66のイニシャルトルクT2と同等となる。このため、第1弾性体66によるトルクと第2弾性体67によるトルクとが釣り合った状態となる。第1弾性体66と第2弾性体67によるトルクが釣り合い、第2弾性体67によるトルクが第1弾性体66によるトルクよりも大きくなった瞬間に回転ドラム側ストッパ爪18とカラー部材側ストッパ爪15とが当接状態から離れる。そして、回転ドラム4がカラー部材13における本体部26の螺旋溝14に沿って回転することにより、第1弾性体66のばね定数と第2弾性体67のばね定数とが合わせられたばね定数で作動する(図4における曲線A+B)。これ以降においては、巻取筒2に対し曲線A+Bの特性によるトルクが作用する。かかる曲線A+Bは、シャッターカーテンの開閉トルク特性Eに近づくように増加する。図4において、回転数N3は、シャッターカーテンが全て引き出されたシャッターの全閉状態であり、弾性体66,67を合わせたトルク特性(曲線A+B)がシャッターカーテン巻き取りトルクEに近くなっている。このため、シャッターの全閉状態からシャッターカーテンを巻き取る際には、小さな操作力でシャッターを開くことができる。従って、シャッターの巻き取り、引き出しを電動モータによって行う場合、電動モータの出力を小さくすることができ、電力の消費量を削減することができる。又、曲線A+Bがシャッターカーテンの開閉トルク特性Eに近くなっていることから、シャッターカーテンの巻き取り終了時における衝撃を小さくすることができる。
又、回転ドラム4を回転させることにより、イニシャルトルクT2を有するように第1弾性体66をねじった状態で回転ドラム側ストッパ爪18をカラー部材側ストッパ爪15の当接させることができるため、カラー部材13に対する回転ドラム4の位置決めを簡単に行うことができる。又、カラー部材13に対して回転する回転ドラム4に第1弾性体66及び第2弾性体67を連結しているため、回転ドラム4の係合凸部31がカラー部材13の螺旋溝14と噛み込むことがなく、巻取筒2を円滑に回転させることができる。
さらに、回転ドラム4の回転規制を行うストッパ爪18,15が面で相互に当接するように回転ドラム4及びカラー部材13のそれぞれに突出させているため、ストッパ爪18,15の当接を確実に行うことができ、ピン等のように係合のための植え込み深さを調整する必要がない。そして、このようにストッパ爪18,15が確実に当接するため、カラー部材13や回転ドラム4の肉厚を薄くしても確実に作動する。このため、シャッター巻取装置1Bを小径化することができる。
さらに、この実施形態では、固定軸3がカラー部材13を貫通していないため、カラー部材13を小径とすることができ、その分、シャッター巻取装置1Bを小径とすることができる。
(第4実施形態)
図11は本発明の第4実施形態のシャッター巻取装置101であり、図12は作動の特性を示すグラフである。図11はシャッターカーテンの巻き取り状態を示している。この実施形態のシャッター巻取装置101は、3つの弾性体106,107,108を備えるものである。
シャッターカーテンが外面に巻き付けられる巻取筒102が固定軸103に対して正逆回転可能となっている。すなわち、固定軸103が貫通することにより固定軸103に対して回転可能となっている連結部材110の外周面に巻取筒102がねじ止め、溶接等によって連結されることにより巻取筒102が固定軸103に回転可能に支持されるものである。
固定軸103には、その軸方向に沿って第1カラー部材111、第2カラー部材113、固定ドラム114が間隔を有して配置されている。固定軸103はこれらの部材を貫通しており、第1カラー部材111及び第2カラー部材113はねじ126及び127によって固定軸103に固定され、固定ドラム114はピンによって固定軸103に固定されている。カラー部材111,113は横長の筒体となって固定軸103の軸方向に沿って延びており、その外周面に螺旋溝111a、113aが固定軸103の軸方向に沿って形成されている。
第1カラー部材111に対して第1回転ドラム104が回転可能に外挿され、第2カラー部材113に対して第2回転ドラム105が回転可能に外挿されている。これらの回転ドラム104,105には、対応したカラー部材111,113の螺旋溝111a、113aに係合する係合凸部104a、105aが形成されており、係合凸部104a、105aが螺旋溝111a、113aに係合した状態で回転ドラム104、105が回転することにより、回転ドラム104,105がカラー部材111,113の軸方向に移動する。
それぞれのカラー部材111,113及び対応した回転ドラム104,105には、ストッパ爪115,118,120,123が形成されている。第1カラー部材側ストッパ爪115は径方向外側に突出するように第1カラー部材111に形成され、第1回転ドラム側ストッパ爪118は径方向内側に突出するように第1回転ドラム104に形成されている。また、第2カラー部材側ストッパ爪120は径方向外側に突出するように第2カラー部材113に形成され、第2回転ドラム側ストッパ爪123は径方向内側に突出するように第2回転ドラム105に形成されている。第1カラー部材側ストッパ爪115と第1回転ドラム側ストッパ爪118とは面での当接が可能となっており、この当接状態では、第1回転ドラム104が回転停止状態となる。また、第2カラー部材側ストッパ爪120と第2回転ドラム側ストッパ爪123とは面で当接が可能となっており、この当接状態では、第2回転ドラム105が回転停止状態となる。
3つの弾性体106,107,108はコイルばねが使用されており、第1弾性体106が連結部材110と第1回転ドラム104とに掛け渡され、第2弾性体107が第1回転ドラム104と第2回転ドラム105とに掛け渡され、第3弾性体108が第2回転ドラム105と固定ドラム114とに掛け渡されている。これらの3つの弾性体106,107,108は固定軸103の軸方向に沿って横並び状に配置されている。
第1弾性体106は一端106aが連結部材110にねじ128によってねじ止めされ、他端106bがねじ129によって第1回転ドラム104の外周にねじ止めされている。第1弾性体106のコイル部106cは固定軸103における連結部材110側に外挿されている。このような第1弾性体106は巻取筒102と第1回転ドラム104との間に掛け渡される。第1弾性体106はイニシャルトルク(初期弾性力)T1を有するようにねじられた状態で取り付けられる。イニシャルトルクT1はシャッターカーテンを任意のトルクで保持するように設定されるものである。
第1弾性体106に対し、スプリングガイド124が設けられている。スプリングガイド124は第1弾性体106の他端6bを第1回転ドラム104に固定するねじ129によって回転ドラム104に取り付けられる。スプリングガイド124は薄肉筒状となっており、回転ドラム104から第1弾性体106のコイル部106c内に挿入されており、第1弾性体106のコイル部106cが第1カラー部材111に当たったり、接触したりすることを防止でき、第1弾性体106を確実に作動させることができる。このため、巻取筒102の小径化により径方向のスペースが少なくなる場合にも第1弾性体106を確実に作動させることができ有効である。
第2弾性体107は一端107aのコイル径が拡大しており、この状態で一端107aが第1回転ドラム104に密着し、この密着によって一端107aが締め付き状態で第1回転ドラム104に固定されている。第2弾性体107の一端107aは第1回転ドラム104の外周面に形成された巻溝116に入り込んで巻き付けられている。第2弾性体107の他端107bは、第2回転ドラム105にねじ130によってねじ止めされている。第2弾性体107のコイル部107cは固定軸103における第1回転ドラム104及び第2回転ドラム105の間に外挿されている。第2弾性体107は第1回転ドラム104と第2回転ドラム105との間に掛け渡されており、第2弾性体107はイニシャルトルク(初期弾性力)T2を有するようにねじられた状態で取り付けられる。なお、第2弾性体107のコイル部107cには、スプリングガイド125が設けられることにより、コイル部107cが第2カラー部材113に当たったり、接触することを防止している。このため、巻取筒102の小径化により径方向にスペースが少なくなる場合にも第2弾性体107を確実に作動させることができ有効である。
第3弾性体108は一端108aのコイル径が拡大しており、この状態で一端108aが第2回転ドラム105外周面の巻溝117に入り込んで密着することにより一端108aが巻き付き状態で第2回転ドラム105に固定されている。第3弾性体108の他端108bは、固定ドラム114のフランジ部にねじ131によってねじ止めされている。第3弾性体108のコイル部108cは固定軸103における第2回転ドラム105及び固定ドラム114の間に外挿されている。このような第3弾性体108は第2回転ドラム105と固定軸103との間に掛け渡されるものである。第3弾性体108はイニシャルトルク(初期弾性力)T3を有するようにねじられた状態で取り付けられる。
図12はこの実施形態の作動の特性図であり、作動中における第1弾性体106、第2弾性体107及び第3弾性体108のばね定数と、シャッターカーテンの開閉によるトルク特性を示し、横軸に巻取筒102の回転数Nをプロットし、縦軸に第1弾性体106、第2弾性体107及び第3弾性体108によるトルクをプロットしてある。図12において、横軸における回転数N1は、シャッターカーテンが全て巻き取られたシャッターの全開状態であり、回転数N4はシャッターカーテンが全て引き出されたシャッターの全閉状態である。曲線Dは弾性体106,107,108のトルク、曲線Eはシャッターカーテンの開閉によるトルク特性である。
図11は巻取筒102の回転数N1において、シャッターカーテンが全て巻き取られたシャッターの全開状態を示している。シャッターの全開状態では、図11(b)で示すように第1回転ドラム側ストッパ爪118が第1カラー部材側ストッパ爪115に当接することにより第1回転ドラム104の回転が停止している。また、図11(c)で示すように第2回転ドラム側ストッパ爪123が第2カラー部材側ストッパ爪120に当接することにより第2回転ドラム105の回転が停止している。
シャッターの全開状態からシャッターカーテンを引き出すことにより巻取筒102が回転し、連結部材111が回転するため、第1弾性体106が回転し、第1の弾性体106によるトルクはT1から曲線Aで示すように大きくなる。巻取筒102の回転数がN2となったとき、第1弾性体106によるトルクが第2弾性体107のイニシャルトルクT2と同等となり、第1弾性体106によるトルクと第2弾性体107によるトルクが釣り合った状態となる。この釣り合い状態から第1弾性体106によるトルクが第2弾性体107によるトルクよりも大きくなった瞬間に第1回転ドラム側ストッパ爪118と第1カラー部材側ストッパ爪115とが当接状態から離れる。これにより第2弾性体107も回転し、第1弾性体106のばね定数と第2弾性体107のばね定数とが合わせられたばね定数で作動(図12における曲線A+B)し、巻取筒102に対して曲線A+Bの特性によるトルクが作用する。
さらにシャッターカーテンの引き出しによって回転数N3となったとき、第1弾性体106によるトルクと第2弾性体107によるトルクとを合わせたトルク(A+B)が第3弾性体108のイニシャルトルクT3と釣り合った状態となる。この釣り合い状態からトルク(A+B)が第3弾性体108のトルクよりも大きくなった瞬間に第2回転ドラム側ストッパ爪123と第2カラー部材側ストッパ爪120とが当接状態から離れる。これにより第3弾性体108も回転し、第1弾性体106,第2弾性体107及び第3弾性体108のばね定数が合わせられたばね定数で作動し(図12における曲線A+B+C)、巻取筒102に対し曲線A+B+Cの特性によるトルクが作用する。このトルク(曲線A+B+C)はシャッターカーテンの開閉トルク特性Eに近づくように増加し、シャッターカーテンが全て巻き取られた回転数N4のシャッターの全閉状態では、3つの弾性体106,107,108を合わせたトルク(A+B+C)がシャッターカーテン巻き取りトルクEに近くなっている。このため、シャッターの全閉状態からシャッターカーテンを巻き取るときは、小さな操作力でシャッターを開くことができる。
このようにシャッターの全閉状態から小さな操作力によってシャッターカーテンを巻き取ることができることから、シャッターの巻き取り、引き出しを電動モータによって行う場合、電動モータの出力を小さくすることができ、電力の消費量を削減することができる。しかも、曲線A+B+Cがシャッターカーテン巻き取りトルクEに近くなっていることから、シャッターカーテンの巻き取り終了時における衝撃を小さくすることができる。
このような実施形態では、回転ドラム104、105の回転規制を行うストッパ爪118、115及び123,120が面で相互に当接するように回転ドラム104、105及びカラー部材111、113のそれぞれに突出させているため、これらのストッパ爪の当接を確実に行うことができ、ピン等のように係合のための植え込み深さを調整する必要がない。そして、このようにストッパ爪が確実に当接することから、カラー部材111,113や回転ドラム104、105の肉厚を薄くしても確実に作動する。このため、シャッター巻取装置101を小径化することが可能となる。また、第1〜第3実施形態と同様に、ストッパ爪118,115及び123,120を確実に当接させることができるため、カラー部材111,113に対する回転ドラム104、105の位置決めを簡単に行うことができる。
(第5実施形態)
図13は本発明の第5実施形態のシャッター巻取装置101Aにおけるシャッターカーテンの巻き取り状態である。この実施形態においても、第4実施形態と同様に3つの弾性体106,107,108を備えるものである。
この実施形態では、巻取筒102に一体に取り付けられる連結部材110に近接した位置に第2カラー部材113及び第2回転ドラム105が配置され、連結体110から離れた位置に第1カラー部材111及び第1回転ドラム105が配置されている。そして、これらの間に固定ドラム114が配置されている。第1カラー部材111及び第2カラー部材113は、固定軸103の軸方向に延びる円筒状に形成されており、それぞれがねじ126、127によって固定軸103に固定されている。固定ドラム114は、第1カラー部材111及び第2カラー部材113の間に位置した状態でねじ132によって固定軸103に固定されている。
第1カラー部材111には第1回転ドラム104が回転可能に外挿され、第2カラー部材113には第2回転ドラム105が回転可能に外挿されている。第1カラー部材111及び第2カラー部材113の外周面には螺旋溝111a、113aが固定軸103の軸方向に沿って形成されており、第1回転ドラム104及び第2回転ドラム105には対応した螺旋溝111a、113aに係合する係合凸部104a、105aが形成されている。係合凸部104a、105aが螺旋溝111a、113aに係合した状態で回転ドラム104、105が回転することにより、回転ドラム104、105がそれぞれのカラー部材111、113の軸方向に移動する。
それぞれのカラー部材111,113及び対応した回転ドラム104,105には、ストッパ爪115,118,120,123が形成されている。第1カラー部材側ストッパ爪115は径方向外側に突出するように第1カラー部材111に形成され、第1回転ドラム側ストッパ爪118は径方向内側に突出するように第1回転ドラム104に形成されている。また、第2カラー部材側ストッパ爪120は径方向外側に突出するように第2カラー部材113に形成され、第2回転ドラム側ストッパ爪123は径方向内側に突出するように第2回転ドラム105に形成されている。第1カラー部材側ストッパ爪115と第1回転ドラム側ストッパ爪118とは面での当接が可能となっており、この当接状態では、第1回転ドラム104が回転停止状態となる。また、第2カラー部材側ストッパ爪120と第2回転ドラム側ストッパ爪123とは面で当接が可能となっており、この当接状態では、第2回転ドラム105が回転停止状態となる。
3つの弾性体106、107、108はコイルばねが使用されており、第3弾性体108が固定軸103に接近した最も内側に位置し、第2弾性体107がその外側に位置し、第1弾性体108が最も外側に位置するように配置されている。これにより、3つの弾性体106、107、108は固定軸103の周囲に同心円状に配置される。
第1弾性体106は一端(右端)106aが第1回転ドラム104にねじ128によってねじ止めされ、他端(左端)106bがねじ129によって連結部材110にねじ止めされている。第1弾性体106のコイル部106cは第2弾性体107及び第3弾性体108が配置される領域を覆うように固定軸103の周囲に設けられている。第1弾性体106はイニシャルトルク(初期弾性力)T1を有するようにねじられた状態で取り付けられる。イニシャルトルクT1はシャッターカーテンが自然落下しないようなトルクに設定されるものである。
第2弾性体107は一端(右端)107aのコイル径が拡大しており、この状態で一端107aが第1回転ドラム104の巻溝116に入り込んで密着し、この密着によって一端107aが締め付き状態で第1回転ドラム104に固定されている。第2弾性体107の他端(左端)107bは、第2回転ドラム105にねじ130によってねじ止めされている。第2弾性体107のコイル部107cは、第1弾性体106の内側で第3弾性体108が配置される領域を覆うように固定軸103の周囲に設けられている。第2弾性体107はイニシャルトルク(初期弾性力)T2を有するようにねじられた状態で取り付けられる。
第3弾性体108は他端(左端)108bのコイル径が拡大しており、この状態で他端108bが第2転ドラム105外周面の巻溝117に入り込んで密着することにより他端108bが巻き付き状態で第2回転ドラム105に固定されている。第3弾性体108の一端(右端)108aは、固定ドラム114にねじ132にねじ止めされている。第3弾性体108のコイル部108cは同心円の最も内側で固定軸103の周囲を覆っている。第3弾性体108はイニシャルトルク(初期弾性力)T3を有するようにねじられた状態で取り付けられる。
この実施形態では、第1弾性体106と第2弾性体107との間にパイプ部材141が挿入され、第2弾性体107と第3弾性体108との間にパイプ部材142が挿入されている。パイプ部材141は一端(右端)が第1回転ドラム104に固定されて第1弾性体106及び第2弾性体107の間に挿入され、パイプ部材142は他端(左端)が第2回転ドラム105に固定されて第2弾性体107及び第3弾性体108の間に挿入されている。パイプ部材141、142を挿入することにより同心円状で隣接する弾性体が相互に接触したり当たることを防止でき、これにより弾性体106、107、108を確実に作動させることができる。このため、巻取筒102の小径化により径方向のスペースが少なくなる場合にも第1弾性体106、第2弾性体107及び第3弾性体108を確実に作動させることができ有効である
この実施形態の作動は、第4実施形態の作動と同様に図12のグラフに沿って行われるものであり、以下、図12を参照して作動を説明する。
図13は巻取筒102の回転数N1において、シャッターカーテンが全て巻き取られたシャッターの全開状態を示している。シャッターの全開状態では、図13(b)で示すように第1回転ドラム側ストッパ爪118が第1カラー部材側ストッパ爪115に当接することにより第1回転ドラム104の回転が停止している。また、図13(c)で示すように第2回転ドラム側ストッパ爪123が第2カラー部材側ストッパ爪120に当接することにより第2回転ドラム105の回転が停止している。
シャッターの全開状態からシャッターカーテンを引き出すことにより巻取筒102が回転し、連結部材111が回転するため、第1弾性体106が回転し、第1の弾性体106によるトルクはT1から曲線Aで示すように大きくなる。巻取筒102の回転数がN2となったとき、第1弾性体106によるトルクが第2弾性体107のイニシャルトルクT2と同等となり、第1弾性体106によるトルクと第2弾性体107によるトルクが釣り合った状態となる。この釣り合い状態から第1弾性体106によるトルクが第2弾性体107によるトルクよりも大きくなった瞬間に第1回転ドラム側ストッパ爪118と第1カラー部材側ストッパ爪115とが当接状態から離れる。これにより第2弾性体107も回転し、第1弾性体106のばね定数と第2弾性体107のばね定数とが合わせられたばね定数で作動(図12における曲線A+B)し、巻取筒102に対し曲線A+Bの特性によるトルクが作用する。
さらにシャッターカーテンの引き出しによって回転数N3となったとき、第1弾性体106によるトルクと第2弾性体107によるトルクとを合わせたトルク(A+B)が第3弾性体108のイニシャルトルクT3と釣り合った状態となる。この釣り合い状態からトルク(A+B)が第3弾性体108によるトルクよりも大きくなった瞬間に第2回転ドラム側ストッパ爪123と第2カラー部材側ストッパ爪120とが当接状態から離れる。これにより第3弾性体108も回転し、第1弾性体106,第2弾性体107及び第3弾性体108のばね定数が合わせられたばね定数で作動(図12における曲線A+B+C)し、巻取筒102に対し曲線A+B+Cの特性によるトルクが作用する。このトルク(曲線A+B+C)はシャッターカーテンの巻き取りトルクEに近づくように増加し、シャッターカーテンが全て巻き取られた回転数N4のシャッターの全閉状態では、3つの弾性体106,107,108を合わせたトルク(A+B+C)がシャッターカーテン開閉トルク特性Eに近くなっている。このため、シャッターの全閉状態からシャッターカーテンを巻き取るときは、小さな操作力でシャッターを開くことができる。
このような実施形態においては、シャッターの全閉状態から小さな操作力によってシャッターカーテンを巻き取ることができることから、シャッターの巻き取り、引き出しを電動モータによって行う場合、電動モータの出力を小さくすることができ、電力の消費量を削減することができる。しかも、曲線A+B+Cがシャッターカーテン巻き取りトルクEに近くなっていることから、シャッターカーテンの巻き取り終了時における衝撃を小さくすることができる。
また、回転ドラム104、105の回転規制を行うストッパ爪118、115及び123,120が面で相互に当接するように回転ドラム104、105及びカラー部材111、113のそれぞれに突出させているため、これらのストッパ爪の当接を確実に行うことができ、ピン等のように係合のための植え込み深さを調整する必要がない。そして、このようにストッパ爪が確実に当接することから、カラー部材111,113や回転ドラム104、105の肉厚を薄くしても確実に作動する。このため、シャッター巻取装置101を小径化することが可能となる。また、第1〜第3実施形態と同様に、ストッパ爪118,115及び123,120を確実に当接させることができるため、カラー部材111,113に対する回転ドラム104、105の位置決めを簡単に行うことができる。
(第6実施形態)
図14は本発明の第6実施形態のシャッター巻取装置101Bにおけるシャッターカーテンの巻き取り状態である。この実施形態においても、第4実施形態及び第5実施形態と同様に3つの弾性体106,107,108を備えている。
この実施形態のシャッター巻取装置101Bは、第5実施形態のシャッター巻取装置101Aに対し、第1カラー部材111、第2カラー部材113が反対側に設けられるものであり、第1カラー部材111が固定軸103の軸方向における左側に、第2カラー部材が右側に配置されている。いずれのカラー部材111、113においても、固定軸103の軸方向に沿って延びるように設けられている。これらのカラー部材111、113は、径方向に延びるフランジ部111b、113bが一体に形成され、このフランジ部111b、113bが巻取筒102に当接し、ねじ134により巻取筒102に固定されている。このため、カラー部材111、113は、巻取筒102と一体となって回転するようになっている。それぞれのカラー部材111、113の外周面には、螺旋溝111a、113aが形成されている。
第1カラー部材111には、第1回転ドラム104が回転可能に外挿され、第2カラー部材113には第2回転ドラム105が回転可能に外挿されている。これらの回転ドラム104、105には、係合凸部104a、105aが形成されており、それぞれの係合凸部104a、105aが対応する螺旋溝111a、113aに係合し、この係合状態で回転ドラム104、105がカラー部材111、113に対して相対回転することにより回転ドラム104、105がカラー部材111、113の軸方向に沿って移動する。
この実施形態において、固定軸103は巻取筒102の全体を貫通することなく、巻取筒102の一側(右側)に設けられている。固定軸103は第2カラー部材113を貫通することにより、第2カラー部材113の回転を支持している。
それぞれのカラー部材111,113及び対応した回転ドラム104,105には、ストッパ爪115,118,120,123が形成されている。第1カラー部材側ストッパ爪115は径方向外側に突出するように第1カラー部材111に形成され、第1回転ドラム側ストッパ爪118は径方向内側に突出するように第1回転ドラム104に形成されている。また、第2カラー部材側ストッパ爪120は径方向外側に突出するように第2カラー部材113に形成され、第2回転ドラム側ストッパ爪123は径方向内側に突出するように第2回転ドラム105に形成されている。第1カラー部材側ストッパ爪115と第1回転ドラム側ストッパ爪118とは面での当接が可能となっており、この当接状態では、第1回転ドラム104が回転停止状態となる。また、第2カラー部材側ストッパ爪120と第2回転ドラム側ストッパ爪123とは面で当接が可能となっており、この当接状態では、第2回転ドラム105が回転停止状態となる。
3つの弾性体106、107、108はコイルばねが使用されており、第1弾性体106が固定軸103に接近した最も内側に位置し、第2弾性体107がその外側に位置し、第3弾性体108が最も外側に位置するように配置されている。これにより、3つの弾性体106、107、108は固定軸103の周囲に同心円状に配置される。
第1弾性体106は一端(右端)106aがねじ15によって固定軸103にねじ止めされ、他端(左端)106bのコイル径が拡大しており、この状態で他端106bが第1回転ドラム104の巻溝116に入り込んで密着し、この密着によりよって他端106bが巻き締め状態で第1回転ドラム104に固定されている。第1弾性体106のコイル部106cは、固定軸103の延長仮想線の周囲に設けられている。第1弾性体106は第1弾性体106はイニシャルトルク(初期弾性力)T1を有するようにねじられた状態で取り付けられる。イニシャルトルクT1はシャッターカーテンが自然落下しないようなトルクに設定されるものである。
第2弾性体107は一端(右端)107aのコイル径が拡大しており、この状態で一端107aが第2回転ドラム105の巻溝117に入り込んで密着し、この密着によって一端107aが締め付き状態で第2回転ドラム105に固定されている。第2弾性体107の他端(左端)107bは、第1回転ドラム104にねじ136によってねじ止めされている。第2弾性体107のコイル部107cは、第1弾性体106の外側の領域を覆うように固定軸103及びその延長仮想線の周囲に設けられている。第2弾性体107はイニシャルトルク(初期弾性力)T2を有するようにねじられた状態で取り付けられる。
第3弾性体108は一端(右端)108a及び他端(左端)108bがねじ137、138によってそれぞれ第2回転ドラム105、第1回転ドラム104にねじ止めされている。第3弾性体108のコイル部108cは同心円の最も外側で固定軸103及びその延長仮想線の周囲に設けられている。第3弾性体108はイニシャルトルク(初期弾性力)T3を有するようにねじられた状態で取り付けられる。
第1弾性体106と第2弾性体107との間にはパイプ部材141が挿入され、第2弾性体107と第3弾性体108との間にパイプ部材142が挿入されている。パイプ部材141、142を挿入することにより同心円状で隣接する弾性体が相互に接触したり当たることを防止でき、これにより弾性体106、107、108を確実に作動させることができる。このため、巻取筒102の小径化により径方向のスペースが少なくなる場合にも第1弾性体106、第2弾性体107及び第3弾性体108を確実に作動させることができ有効である。
この実施形態の作動は、第4実施形態の作動と同様に図12のグラフに沿って行われるものであり、以下、図12を参照して作動を説明する。
図14は巻取筒102の回転数N1において、シャッターカーテンが全て巻き取られたシャッターの全開状態を示している。シャッターの全開状態では、図14(b)で示すように第1回転ドラム側ストッパ爪118が第1カラー部材側ストッパ爪115に当接することにより第1回転ドラム104の回転が停止している。また、図14(c)で示すように第2回転ドラム側ストッパ爪123が第2カラー部材側ストッパ爪120に当接することにより第2回転ドラム105の回転が停止している。
シャッターの全開状態からシャッターカーテンを引き出すことにより巻取筒102が回転し、連結部材111が回転するため、第1弾性体106が回転し、第1の弾性体106によるトルクはT1から曲線Aで示すように大きくなる。巻取筒102の回転数がN2となったとき、第1弾性体106によるトルクが第2弾性体107のイニシャルトルクT2と同等となり、第1弾性体106によるトルクと第2弾性体107によるトルクが釣り合った状態となる。この釣り合い状態から第1弾性体106によるトルクが第2弾性体107によるトルクよりも大きくなった瞬間に第1回転ドラム側ストッパ爪118と第1カラー部材側ストッパ爪115とが当接状態から離れる。これにより第2弾性体107も回転し、第1弾性体106のばね定数と第2弾性体107のばね定数とが合わせられたばね定数で作動(曲線A+B)し、巻き取る筒102に対して曲線A+Bの特性によるトルクが作用する。
さらにシャッターカーテンの引き出しによって回転数N3となったとき、第1弾性体106によるトルクと第2弾性体107によるトルクとを合わせたトルク(A+B)が第3弾性体108のイニシャルトルクT3と釣り合った状態となる。この釣り合い状態からトルク(A+B)が第3弾性体108のトルクよりも大きくなった瞬間に第2回転ドラム側ストッパ爪123と第2カラー部材側ストッパ爪120とが当接状態から離れる。これにより第3弾性体108も回転し、第1弾性体106,第2弾性体107及び第3弾性体108のばね定数が合わせられたばね定数で作動(曲線A+B+C)し、巻取筒102に対して曲線A+B+Cの特性によるトルクが作用する。このトルク(曲線A+B+C)はシャッターカーテンの開閉トルク特性Eに近づくように増加し、シャッターカーテンが全て巻き取られた回転数N4のシャッターの全閉状態では、3つの弾性体106,107,108を合わせたトルク(A+B+C)がシャッターカーテン巻き取りトルクEに近くなっている。このため、シャッターの全閉状態からシャッターカーテンを巻き取るときは、小さな操作力でシャッターを開くことができる。
このような実施形態においては、シャッターの全閉状態から小さな操作力によってシャッターカーテンを巻き取ることができることから、シャッターの巻き取り、引き出しを電動モータによって行う場合、電動モータの出力を小さくすることができ、電力の消費量を削減することができる。しかも、曲線A+B+Cがシャッターカーテン巻き取りトルクEに近くなっていることから、シャッターカーテンの巻き取り終了時における衝撃を小さくすることができる。
また、回転ドラム104、105の回転規制を行うストッパ爪118、115及び123,120が面で相互に当接するように回転ドラム104、105及びカラー部材111、113のそれぞれに突出させているため、これらのストッパ爪の当接を確実に行うことができ、ピン等のように係合のための植え込み深さを調整する必要がない。そして、このようにストッパ爪が確実に当接することから、カラー部材111,113や回転ドラム104、105の肉厚を薄くしても確実に作動する。このため、シャッター巻取装置101を小径化することが可能となる。また、第1〜第3実施形態と同様に、ストッパ爪118,115及び123,120を確実に当接させることができるため、カラー部材111,113に対する回転ドラム104、105の位置決めを簡単に行うことができる。
本発明は、以上の実施形態に限定されることなく種々変形が可能である。例えば、弾性体は固定軸103またはその軸方向の延長仮想線に4以上を配置してもよい。