JP5594062B2 - 熱アクチュエータ、シャッター機構、及びこれを用いた冷却システム - Google Patents

熱アクチュエータ、シャッター機構、及びこれを用いた冷却システム Download PDF

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Description

本発明は、熱アクチュエータ、シャッター機構、及びこれを用いた冷却システムに関する。
熱や温度による現象の変化を利用した素子の総称であるサーモエレメントのひとつに、熱アクチュエータがある。熱アクチュエータは、温度変化を変位や力に変換して駆動力を発生する。熱アクチュエータの例として、温度変化に応じたワックス(樹脂)の溶融・固化に伴う体積変化を利用したワックスサーモエレメントが知られている。
図1(A)は、感温体としてワックスを用いたサーモエレメント100の概略構成図である。サーモエレメント100は、感温部101に内蔵されたワックス102が感知する絶対温度に応じて、変位あるいは力を発生する。ワックス102が溶融すると、体積が膨張してピストン103を左向きの矢印の方向に変位させる。温度の低下によりワックスが冷えて固まると、バネ104の力でピストン103は元の位置、すなわち右向きの矢印の方向に復帰する。このようなサーモエレメントは、車のラジエータに流れる冷媒の流量を温度に応じて調整する弁制御や、シャワーから流れる温水の温度調節などに用いられている。その特徴は、温度感知とそれによる変位あるいは力への変換を、外部の動力なしにひとつの部品で構成できることにある。
膨張体としてのワックスの熱伝導を向上させるために、ワックスに金属粉、金属箔などの金属小片と、ワックスの融点以上の融点を有する低融点合金とを融解混合して応答性を高める提案もなされている(たとえば、特許文献1参照)。
感温素子として、ワックス以外に、たとえば温度に応じてばね定数が変化する形状記憶合金ばねを用いる方法も知られている(たとえば、特許文献2参照)。図1(B)は、形状記憶合金ばね(感温コイルばね)54を用いたサーモエレメント110の構成例を示す概略図である。この構成において、感温コイルばね54は、温水の温度調節に用いられている。湯入口20から導入される湯と、水入口22から導入される水とが混ざり合う混合室36内の温度が高くなると、感温コイルばね54が図の左方向に延びて、湯側圧力室28と水側圧力室30とを隔てるピストン26を水側圧力室30側に変位させようとする。ピストン26の感温コイルばね54と反対の側に、温度に依存しないバイアスばね56が設けられている。バイアスばね56の端部は、ねじ60で固定されたばね受け58に連結されており、ピストン26は、バイアスばね56の付勢力と感温コイルばね54の付勢力とが釣り合う位置に位置決めされる。
国際公開WO2008-035393号公報 特開平6−159533号公報
図1の構成では、いずれも感温部101や感温コイルばね54が検知する絶対温度に応じた動作が行なわれる。しかし、絶対温度ではなく、2つの温度の温度差に応じた変位あるいは力を生じさせたい場合がある。たとえば、空冷により内部発熱を冷却する場合、内部温度と空冷に用いる外部の空気温度の差に応じて冷却流体の流量を調整したい場合などである。このような場合、冷却システム内部の温度と外部の空気温度とをそれぞれ別のセンサで測定し、その温度差に比例してモータなどを駆動し、風量調整弁を変位させることが考えられる。あるいは、測定した温度差に応じた熱を発生させる機構を用意し、この熱によって図1(A)のようなサーモエレメント100を駆動させることが考えられる。しかし、そのような構成を実現するには、2つの温度センサと、温度差に応じた信号を出力する装置、及びモータ又はサーモエレメントが部品として必須となり、システムが複雑になる。さらに、サーモエレメント以外の部品については、それらを駆動するための電力の供給が別途必要である。
そこで、図2に示すように、従来のサーモエレメント100Aと100Bを対向させ、間に変位板201を挿入することで、感温部101Aと感温部101Bの温度差に応じた変位を得ることが考えられる。しかし、この場合、たとえば感温部101Aを変位の生じない温度に保ったまま感温部101Bの温度を高くして、ピストン103Bを左の方向へ変位させようとしても、ワックス102の弾性は固体であっても液体であっても著しく小さいので、感温部101A内のワックス102に体積変化がない以上、ピストン103Bに変位はほとんど生じない。そのため、実際には温度差に応じた変位を得ることができない。
そこで、本発明は、センサで温度差を測定してフィードバックをかけるなどの複雑な機構なしに、相対的な温度差に応じた変位を得ることのできる熱アクチュエータの構成と、シャッター機構、及びこれを用いた冷却システムを提供することを課題とする。
第1の側面として、熱アクチュエータは、
可動部材と、
前記可動部材の両側に対称配置される第1及び第2のサーモエレメントであって、第1の感温部(11-1)と前記第1の感温部で検知される温度を変位量に変換する第1の変換部材とを有する第1のサーモエレメント、及び第2の感温部と前記第2の感温部で検知される温度を変位量に変換する第2の変換部材とを有する第2のサーモエレメントと、
前記可動部材を前記第1の変換部材に接続する第1の弾性部材と、
前記可動部材を前記第2の変換部材に接続する第2の弾性部材と、
を有する。
第2の側面として、上述した熱アクチュエータを用いたシャッター機構を提供する。シャッター機構は、
上述の熱アクチュエータと、
前記熱アクチュエータの前記可動部材に接続されるシャッターと、
を備え、前記シャッターは、前記熱アクチュエータの前記可動部材の変位に応じて開閉する。
第3の側面として、上述した熱アクチュエータを用いた冷却システムを提供する。レ客システムは、
上述した熱アクチュエータと、
前記熱アクチュエータの前記可動部材に接続され、前記可動部材の動きに応じて開閉するシャッターと、
前記可動部の変位又は前記シャッターの開閉に応じて動作する冷却ファンと、
を含み、前記熱アクチュエータの前記第1又は第2のサーモエレメントのいずれか一方は発熱体に接して配置される。
センサで温度差を測定してフィードバックをかけるなどの複雑な機構を用いずに、サーモエレメントの組み合わせ程度の部品数で、相対的な温度差に応じた変位を得ることができる。また、部品の駆動のための外部からの電力供給が不要となる。
従来のサーモエレメントと適用例を説明するための図である。 本発明に至る過程で考えられる構成を示す図である。 一実施形態による熱アクチュエータの基本構成を示す図である。 サーモエレメントの動作説明図である。 実施形態の熱アクチュエータにおける温度差と変位量との関係を説明するための図である。 実施形態の熱アクチュエータをシャッター機構及び冷却システムに適用した例を示す概略平面図である。 図6の冷却システムのA−A断面図である。 図6の冷却システムのC−C断面図である。
以下、図面を参照して本発明の最適な実施形態について説明する。図3は、実施形態の熱アクチュエータ1の構成例を示す図である。熱アクチュエータ1は、可動板21と、この可動板21の両側に対称配置された第1のサーモエレメント10−1、及び第2のサーモエレメント10−2を含む。第1のサーモエレメント10−1と第2のサーモエレメント10−2は、可動板21を中心として、直線上に鏡映対称で配置されている。熱アクチュエータ1は、可動板21を鏡映軸として第1及び第2のサーモエレメント10−1、10−2の配置が左右対称であるだけではなく、その構造や特性も対称性を有する。
可動部材21は、一方の面で第1の復帰バネ15−1により第1のサーモアクチュエータ10−1に接続され、他方の面で第2の復帰バネ15−2により第2のサーモアクチュエータ10−2に接続されている。第1の復帰バネ15−1と第2の復帰バネ15−2の特性は同じである。可動部材21は、第1の復帰バネ15−1の端部と、第2の復帰バネ15−2の端部にのみ結合されており、第1及び第2の復帰バネ15−1、15−2の伸縮方向と平行な方向に変位可能である。
第1のサーモエレメント10−1は、第1の感温部11−1を有する。第1の感温部11−1は、熱により体積変化する物質を含む。この例では、第1の感温部11−1は、内部に熱膨張性ワックス12を充填した感温室として構成されている。第1のサーモエレメント10−1のケーシング14−1は、少なくとも感温部11−1に対応する部分が、熱伝導率の良好な金属で形成されている。感温部11−1は感温対象物(不図示)あるいは感温環境に配置される。感温対象物あるいは感温環境の温度上昇に応じて、感温部11−1内のワックス12の体積は膨張する。
第1のサーモエレメント10−1のケーシング14−1内に、ワックス12と接続する第1のピストン13−1が挿入されている。第1のピストン13−1は、ワックス12の体積膨張に応じてケーシング14−1内で平行移動し、ワックス12が感知した温度変化を変位量に変換する変換部材である。第1のピストン13−1のワックス12側と反対側の端部に、第1の復帰バネ15−1が接続されている。この構成により、感温部11−1においてワックス12に伝わる熱あるいは温度が高くなると、ワックス12の体積が膨張して、ピストン13−1が図の右側、すなわち第2のサーモエレメント10−2側へ押し出される。ピストン13−1の動きは、第1の復帰バネ15−1を介して可動板21に伝えられる。
第2のサーモエレメント10−2は、可動板21を中心として、第1のサーモエレメント10−1と対称配置され、その構成と特性は第1のサーモエレメント10−1と同様である。すなわち、第2のサーモエレメント10−2は、第2の感温部11−2と、第2の感温部11−2が感知する温度変化をサーモエレメントの軸方向の変位に変換する第2のピストン13−2を有する。第2の感温部11−2には、熱膨張性ワックス12が充填されている。第2のサーモエレメント10−2においても、感温部11−2が感知する温度の変化に応じて、ワックス12の体積が膨張又は収縮し、その変化はピストン13−2と復帰バネ15−2を介して可動板21に伝えられる。
可動板21は、第1のピストン13−1の変位による復帰ばね15−1の付勢力と、第2のピストン13−2の変位による復帰ばね15−2の付勢力とが釣り合う位置に移動する。したがって、熱アクチュエータ1において、第1の感温部11−1によって感知される温度と、第2の感温部11−2によって感知される温度との相対的な温度差に応じて、可動板21を変位させることができる。
仮に、第1のサーモエレメント10−1が温度変化の大きな環境にあり、第2のサーモエレメントが温度変化のほとんどない環境にあるとすると、第1の感温部11−1内のワックス12が体積膨張して、第1のピストン13−1を図面の右方向に押圧する。このとき、第2の感温部11−2内ではワックス12の体積変化はほとんど起こらない。本願発明に至る過程で考案される図2の構成を採用した場合、ワックス12自体の弾性が小さいことから、第2の感温部11−2内に体積変化がない場合に、可動板21を移動させるのは困難である。これに対し、図3の構成を採用したことにより、第2のピストン13−2がほとんど動かない場合であっても、復帰ばね15−1、15−2が同じばね定数で伸縮することにより、第1の感温部11−1で感知された温度変化に応じて可動板21を変位させることが可能になる。
図4は、図3の熱アクチュエータ1の動作を説明するための図である。図4(A)及び図4(B)に示すように、第1の感温部11−1で感知する温度と、第2の感温部11−2で感知する温度が等しい場合は、たとえその温度が変っても、可動板21の位置は変化しない。熱アクチュエータ1は、相対的な温度差に応じて変位又は駆動力を生じるものだからである。
具体的には、図4(A)のように、第1の感温部11−1で感知する温度T1Aと、第2の感温部11−2で感知する温度T2Aが等しいとき(T1A=T2A)は、用いられるワックスの特性が同じであるため、第1の感温部11−1内の体積と第2の感温部11−2内の体積は等しくなる。したがって、可動板21に印加される力が釣り合い、可動板21は等温位置にある。
次に、図4(B)のように、周囲の温度がTBに上昇した場合でも(TB>TAと)、第1の感温部11−1で感知する温度T1Bと第2の感温部11−2で感知する温度T2Bとが同じである限り、両方向から可動板21に印加される力は釣り合っている。温度上昇によりワックスの体積が膨張したことで、第1のピストン13−1は図面の右方向に移動し、第2のピストン13−2は左方向に移動する。第1の復帰ばね15−1と第2の復帰ばね15−2は同じばね定数を有し、同じ押圧力を受けて同じだけ収縮する。したがって、可動板21の位置に変化はない。
次に、図4(C)のように、第1の感温部11−1と第1の感温部11−2が感知する温度が異なるとき、たとえば、第1の感温部11−1が感知する温度がT1Cとあり、第2の感温部11−2が感知する温度がそれよりも高い温度T2Cである場合(T1C<T2C)、第2の感温部11−1内の体積膨張により、ピストン13−2は図の左方向へ移動する。他方、第1の感温部11−1内の体積は、第2の感温部11−2内の体積よりも小さく、ピストン13−1の動きも小さい。可動板21は、双方のピストン13−1、13−2の動きに応じて、2つの復帰ばね15−1、15−2の付勢力の釣り合う位置へと移動する。このときの可動板21の変位量は、2つの感温部11−1、11−2が感知する温度の相対的な温度差に比例する。
等温度位置を原点とし、第1の感温部11−1及び第1の復帰バネ15−1と、第2の感温部11−2及び第2の復帰バネ15−2が同じ熱・機械特性を有する場合、復帰バネ15−1、15−2の変位量、すなわち可動板21の変位量は、感温部11−2側のピストン13−3単独の変位量の1/2となる。
図5は、熱アクチュエータ1における感温部の温度差(℃)と可動板D変位量(mm)との関係を示すグラフである。測定に用いた熱アクチュエータ1の具体的な仕様は以下のとおりである。
・対向するケーシング14−1、14−2間の距離A:10mm
・第1及び第2の復帰バネのばね定数B1、B2(B1=B2):0.7kgf/mm
・感温部11−1、11−2の外側ケース素材E:銅製
・感温部11−1、11−2の直径Φ:12mm
・感温部11−1、11−2の長さF:10mm
・感温部内の熱膨張性材料C1、C2(C1=C2):飽和炭化水素からなる石油天然系ワックス(パラフィンワックスを含む)
・可動板D:アルミニウム製、厚さ2mm、直径20mm
上述した構成の熱アクチュエータ1では、感温部11−1と11−2の温度差が約18℃までは、温度差と変位量はほぼリニアな関係になる。感温部11−1、11−2の寸法や用いる熱膨張性部材C1、C2の材料、バネ定数B1、B2を調整することによって、温度差が30℃以上にまで変位量を正比例させることができる。たとえば、ワックスに金属粉などの金属小片と、ワックスの融点以上の融点を有する低融点合金とを融解混合して熱応答性を良くすることができる。
図5の仕様による熱アクチュエータ1では、0mm〜4mmの範囲で、温度に対してほぼ比例動作をするので、この範囲での変位を必要とする機構、たとえばシャッター機構に適用することができる。
図6は、実施形態の熱アクチュエータ1をシャッター機構30と、これを用いた冷却システム70に適用した例を示す。図6は冷却システム70を上から見たときの平面配置を示す図であり、図7は図6のA−A断面図、図8は図6のC−C断面図である。
冷却システム70は、サーバラック60に収められた複数のサーバトレイ61(図7参照)を、共通の冷却ファン72によって空冷するシステムである。図7の例では、水平に配置したサーバトレイ61が、高さ方向に複数段積み重ねられており、これらのサーバトレイ61を共通の冷却ファン72で発生させた風によって空冷している。各サーバトレイ61には、半導体チップ50(図8参照)やメモリ45などが配置された基板41が収容されている。半導体チップ50は、その動作時に大量の熱を発生する発熱体である。そのため、各半導体チップ50上にヒートシンク又は放熱フィン42が配置されている。
熱アクチュエータ1は、第1の感温部11−1と第2の感温部11−2のいずれか一方がヒートシンク42に接触し、他方がサーバラック60の外部の雰囲気中に存在するように、固定部53(図8参照)により各サーバアレイ61に固定されている。図8では、図示の便宜上サーバアレイ61の側壁は省略してあるが、熱アクチュエータ1の第2の感温部11−2は、サーバアレイ61とサーバラック60の側壁の外側に配置されている。これにより、第1の感温部11−1で半導体チップ50から発熱する熱を感知し、第2の感温部11−2で冷却ファン72による空冷に用いられる外気の温度を感知する。
各サーバトレイ61を構成する筐体の冷却ファン72と対向する面に、シャッター31が設置されている。具体的には、サーバトレイ61の冷却ファン72と対向する面にあらかじめ所定の幅、間隔の開口又はスリット61Aが形成されており、冷却ファン72との対向面に沿って、シャッター31が水平移動する構成となっている。シャッター31にはあらかじめ所定の幅、間隔の開口又はスリット31Aが形成されており、連結部32を介して、熱アクチュエータ1の可動板21に連結されている。サーバトレイ61の対向面に形成されたスリット61Aと、シャッター31に形成されたスリット31Aとの重なり具合によってシャッター機構の開口30Aの幅が変化する。
可動板21は、第1の感温部11−1が感知するヒートシンク42の温度と、第2の感温部11−2が感知する外気の温度との温度差に応じて変位する。可動板21の変位に応じて、連結部32で連結されたシャッター31も水平移動する。シャッター31の初期位置を、シャッター機構30の開口30Aが閉じているとき、すなわち、熱アクチュエータ1が感知する温度差が0のときの可動部材21の位置に対応する位置だとすると、熱アクチュエータ1の第1の感温部11−1と第1の感温部11−2が感知する温度の温度差が大きくなるほど、シャッター機構30の開口30Aが大きくなるように設計されている。
たとえば、シャッター31がプラスチック製で重量が60g、全開時の開口30Aの幅(すなわち、サーバトレイ61の対向面に設けられたスリット61Aとシャッターに形成されたスリット31Aの開口幅)を3.5mmとする。これを動かすのに必要な最大荷重(静摩擦力)は、600gfである。図5に規定される仕様の熱アクチュエータ1を用いた場合、可動板21の変位が0.5mm相当の駆動力でシャッター31を動かすことができる。(可動板21が変位すると、復帰バネ15−1、15−2の双方が同量だけ変位するところ、復帰バネ15−1、15−2のばね定数は0.7kgf/mmであるから、変位量を0.5mmとすると、必要な発生力は、(0.7kgf/mm)×0.5mm×2=700gfとなる。)
図5と関連して説明したように、熱アクチュエータ1は、変位量が0〜4mmの間で、温度差に対してほぼ比例動作をするので、この範囲で使用することができる。シャッターの開口31Aの幅を3.5mmとすると、700gfの荷重を発生しながら、最大3.5mm(4mm−0.5mm)の変位を確保することができる。第1の感温部11−1と第2の感温部11−2の温度差の範囲が0℃〜17℃である場合、シャッター31を全閉と全開の間で動かすことができる。このように、熱アクチュエータ1、連結部32、及び開口31Aを有するシャッター31とで、熱駆動のシャッター機構30を構成することができる。
サーバに用いられる空冷型の冷却システム70は、一般に、想定される最大負荷に対応した風量がすべてのトレイ61に同量流れるように設計してある。したがって、サーバラック60内のサーバトレイ61の中に最大負荷がかかっていないものがあっても、最大風量が流れることになり、そのサーバトレイ61に対しては冷却のしすぎになる。これはファン電力の無駄遣いとなる。
そこで、サーバラック60内の個々のサーバトレイ61の負荷に応じて、各サーバトレイ61に最適な風量を流せるように、各サーバトレイ61に温度センサを設けて温度検出し、検出した温度に応じてシャッターをモータ駆動することが考えられるが、モータのための外部電力の供給が必要となる。
これに対して、図6〜図8に示す構成では、ヒートシンク42の温度がサーバラック60の外の雰囲気温度よりも高くなると、その温度差に応じて自動的にシャッター31の開口31Aが開き、サーバトレイ61内を流れる風が多くなるように設計されている。もっとも、図7に示すように、各サーバトレイ61において半導体チップ50の動作は様々であるから、発熱量に応じてシャッター31の開口量も異なり、各サーバトレイ61を流れる風の流量も様々となる。そこで、サーバラック60に圧力センサ75を設け、各サーバアレイ61のシャッター31の開度の総和から決まるサーバラック60内の圧力の変化を検出する。検出した圧力をファン回転数制御装置76にフィードバックすることにより、無駄のない最適な回転数で冷却ファン72を駆動することができる。
また、サーバルームは通常、空調が効いているが、サーバラック60の外の雰囲気温度は、季節変化などにより、一般に数度の温度変化がある。この場合でも、サーバトレイ61を冷却するのに必要な風量は、半導体チップ50(すなわちヒートシンク42)の温度と、ラック外の雰囲気温度との温度差で決まるので、ラック外の雰囲気温度が変動する場合であっても、常に最適な風量を流すためのシャッター開度が得られることになる。
以上、特定の実施例に基づいて説明してきたが、本発明はこれらに限定されない。シャッター31の材質、開口幅は任意であるし、熱アクチュエータ1に用いる熱膨張性の材料も適切なものを選択することができる。また、複数のサーバトレイ61を垂直に配置した縦型のサーバラックを冷却する冷却システムにも熱アクチュエータ1とシャッター機構30を適用することができる。
また、冷却ファン72の回転数を制御するために、シャッター機構30の開口30Aから流れ出る空気圧を検出するかわりに、開口30Aの幅を検出する位置センサを用いてフィードバックをかけてもよい。あるいは、熱アクチュエータ1の可動板21の位置または変位量を検出するセンサを用いてフィードバックをかけてもよい。いずれの場合も、単一のセンサのみで、サーバラック60内の温度に応じた回転数で冷却ファン72を駆動することができる。
以上の説明に対して、以下の付記を提示する。
(付記1)
可動部材と、
前記可動部材の両側に対称配置される第1及び第2のサーモエレメントであって、第1の感温部と前記第1の感温部で検知される温度を変位量に変換する第1の変換部材とを有する第1のサーモエレメント、及び第2の感温部と前記第2の感温部で検知される温度を変位量に変換する第2の変換部材とを有する第2のサーモエレメントと、
前記可動部材を前記第1の変換部材に接続する第1の弾性部材と、
前記可動部材を前記第2の変換部材に接続する第2の弾性部材と、
を有する熱アクチュエータ。
(付記2)
前記可動部材は、前記第1の感温部で検知される第1温度と前記第2の感温部で検知される第2温度の相対的な温度差に応じて移動することを特徴とする付記1に記載の熱アクチュエータ。
(付記3)
前記第1の弾性部材及び前記第1の感温部は、前記第2の弾性部材及び前記第2の感温部と同じ熱・機械応答特性を有することを特徴とする付記1又は2に記載の熱アクチュエータ。
(付記4)
前記第1の弾性部材は、一方の端部が前記可動部材の第1の面に結合される復帰バネであり、前記第2の弾性部材は、一方の端部が前記可動部材の第2の面に結合される復帰バネであることを特徴とする付記1〜3のいずれかに記載の熱アクチュエータ。
(付記5)
前記感温部は、温度により体積変化する物質を含むことを特徴とする付記1〜4のいずれかに記載の熱アクチュエータ。
(付記6)
付記1〜5のいずれかに記載の熱アクチュエータと、
前記熱アクチュエータの前記可動部材に接続されるシャッターと、
を備え、前記シャッターは、前記熱アクチュエータの前記可動部材の変位に応じて開閉することを特徴とするシャッター機構。
(付記7)
前記熱アクチュエータの前記第1又は第2のサーモエレメントのいずれか一方は発熱体に接しており、
前記発熱体に接触する前記一方のサーモエレメントの前記感温部が感知する第1温度と、他方のサーモエレメントの前記感温部が感知する第2温度の差に比例して、前記シャッター機構の開口が大きくなることを特徴とする付記6に記載のシャッター機構。
(付記8)
付記1〜5のいずれかに記載の熱アクチュエータと、
前記熱アクチュエータの前記可動部材に接続され、前記可動部材の動きに応じて開閉するシャッターと、
前記可動部の変位又は前記シャッターの開閉に応じて動作する冷却ファンと、
を含み、前記熱アクチュエータの前記第1又は第2のサーモエレメントのいずれか一方は発熱体に接して配置されることを特徴とする冷却システム。
(付記9)
前記熱アクチュエータの前記第1又は第2のサーモエレメントの他方は、前記発熱体を収容するラックの外部の雰囲気中に位置することを特徴とする付記8に記載の冷却システム。
(付記10)
前記シャッターの開口部から流れ出る流体の圧力を検出する圧力センサをさらに含み、
前記冷却ファンは、前記圧力センサにより検出される流体の圧力に応じて動作することを特徴とする付記9に記載の冷却システム。
(付記11)
前記シャッターの開口幅を検知する位置センサをさらに含み、
前記冷却ファンは、前記シャッターの開口幅に応じて動作することを特徴とする付記9に記載の冷却システム。
(付記12)
前記可動部の位置または変位量を検出する位置センサをさらに含み、
前記冷却ファンは、前記可動部の位置または変位量に応じて動作することを特徴とする付記9に記載の冷却システム。
相対的な温度差に応じた駆動が必要とされる熱アクチュエータ又はサーモエレメントに適用することができる。また、温度差を利用して開閉するシャッター機構や冷却機構に適用することができる。
1 熱アクチュエータ
10−1 第1のサーモエレメント
10−2 第2のサーモエレメント
11−1 第1の感温部
11−2 第2の感温部
13−1 第1のピストン(変換部材)
13−2 第2のピストン(変換部材)
15−1 第1の復帰バネ(弾性部材)
15−2 第2の復帰バネ(弾性部材)
21 可動板(可動部材)
30 シャッター機構
31 シャッター
31A 開口
32 連結部
70 冷却システム
72 冷却ファン
75 センサ
76 回転数制御装置

Claims (7)

  1. 第1面および前記第1面と反対側の第2面を有する可動と、
    前記可動の両側に対称配置される第1及び第2のサーモエレメントであって、第1の感温部と前記第1の感温部で検知される温度を変位量に変換する第1の変換部材とを有する第1のサーモエレメント、及び第2の感温部と前記第2の感温部で検知される温度を変位量に変換する第2の変換部材とを有する第2のサーモエレメントと、
    一方の端部が前記可動板の前記第1面に結合され、他方の端部が前記第1の変換部材に接続される第1の弾性部材と、
    一方の端部が前記可動板の前記第2面に結合され、他方の端部が前記第2の変換部材に接続される第2の弾性部材と、
    を有する熱アクチュエータ。
  2. 前記可動は、前記第1の感温部で検知される第1温度と前記第2の感温部で検知される第2温度の相対的な温度差に応じて移動することを特徴とする請求項1に記載の熱アクチュエータ。
  3. 前記第1の弾性部材及び前記第1の感温部は、前記第2の弾性部材及び前記第2の感温部と同じ熱・機械応答特性を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の熱アクチュエータ。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の熱アクチュエータと、
    前記熱アクチュエータの前記可動に接続されるシャッターと、
    を備え、前記シャッターは、前記熱アクチュエータの前記可動の変位に応じて開閉することを特徴とするシャッター機構。
  5. 前記熱アクチュエータの前記第1又は第2のサーモエレメントのいずれか一方は発熱体に接しており、
    前記発熱体に接触する前記一方のサーモエレメントの前記感温部が感知する第1温度と、他方のサーモエレメントの前記感温部が感知する第2温度の差に比例して、前記シャッター機構の開口が大きくなることを特徴とする請求項4に記載のシャッター機構。
  6. 請求項1〜3のいずれかに記載の熱アクチュエータと、
    前記熱アクチュエータの前記可動に接続され、前記可動の動きに応じて開閉するシャッターと、
    前記可動部の変位又は前記シャッターの開閉に応じて動作する冷却ファンと、
    を含み、前記熱アクチュエータの前記第1又は第2のサーモエレメントのいずれか一方は発熱体に接して配置されることを特徴とする冷却システム。
  7. 前記熱アクチュエータの前記第1又は第2のサーモエレメントの他方は、前記発熱体を収容するラックの外部の雰囲気中に位置することを特徴とする請求項6に記載の冷却システム。
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