JP5591373B2 - タービン用翼およびその冷却方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、これらマルチホールは、その内部を通過する冷却空気(冷却媒体)の流速をたてて必要な熱伝達率を確保させるため圧損が大きく、翼根部に高い供給圧をたてる必要がある。
一方、一般には、ガスタービン動翼の冷却空気の供給源としては圧縮機からの抽気空気が用いられるが、冷却空気の供給圧を高くするためには、冷却空気の供給源を圧縮機の後方段(高圧側)からとる必要があり、それだけ余分な動力を消費することから、ガスタービンの性能が低下してしまうといった問題点があった。また、冷却空気の供給圧が高いことから、翼根部に形成された空洞からのシール洩れ空気量が大きくなり、ガスタービンの性能が低下してしまうといった問題点があった。
本発明に係るタービン用翼は、内部に複数の第1冷却通路が翼軸方向に沿って穿設されたタービン用翼であって、前記タービン用翼の先端には、シュラウドが前記タービン用翼と一体に形成され、前記シュラウドの内部には、プラグが上面側より挿入されて、前記シュラウドの内部に、前記第1冷却通路の軸方向視で該第1冷却通路の通路面積よりも大きい開口面積を有する空間が形成されるようにキャビティが形成されており、前記キャビティには、前記複数の第1冷却通路がそれぞれ連通し、前記第1冷却通路の出口側の端部で、翼端に向かって、かつ、前記キャビティに向かって末広がりとなるように形成された第1のテーパ部が形成されている。
また、冷却媒体の供給圧を低減できることから、冷却媒体の供給源を圧縮機のより前方段側(低圧側)に移すことが可能となり、冷却媒体を昇圧するための圧縮機の動力を低減することができ、ガスタービンの性能を向上させることができる。
また、翼根部に供給される冷却媒体の供給圧が低減されることにより、翼根部に形成された空洞からのシール洩れ空気量を低減させることができる。
さらに、第1冷却通路の先端部に第1のテーパ部が形成されることにより、先端部の重量が軽減されることとなるので、翼根部に加わる遠心力を減少させることができる。
さらにまた、第1冷却通路の先端部に第1のテーパ部が形成されることにより、第1冷却通路を通って第1のテーパ部に到達したゴミ等の異物は、第1冷却通路から流出していくこととなるので、第1冷却通路の先端部におけるゴミ詰まりを防止することができ、冷却性能の低下を防止することができる。
なお、前記プラグの平面寸法は、前記キャビティの開口寸法よりも大きいことが好ましい。
また、冷却媒体の供給圧を低減できることから、冷却媒体の供給源を圧縮機のより前方段側(低圧側)に移すことが可能となり、冷却媒体を昇圧するための圧縮機の動力を低減することができ、ガスタービンの性能を向上させることができる。
また、翼根部に供給される冷却媒体の供給圧が低減されることにより、翼根部に形成された空洞からのシール洩れ空気量を低減させることができる。
さらに、第2冷却通路の先端部に第2のテーパ部が形成されることにより、先端部の重量がさらに軽減されることとなるので、翼根部に加わる遠心力をさらに減少させることができる。
さらにまた、第2冷却通路の先端部に第2のテーパ部が形成されることにより、第2冷却通路を通って第2のテーパ部に到達したゴミ等の異物は、外部に排出されることとなるので、第2冷却通路の先端部におけるゴミ詰まりを防止することができ、冷却性能の低下を防止することができる。
本発明に係るタービン用翼の冷却方法によれば、冷却通路の先端部にテーパ部が形成されており、これにより冷却通路を通過する冷却媒体の圧損が低減されることとなるので、翼根部に供給される冷却媒体の供給圧を低減させることができる。
また、翼根部に供給される冷却媒体の供給圧が低減されることにより、翼根部に形成された空洞からのシール洩れ空気量を低減させることができる。
さらに、冷却通路の先端部にテーパ部が形成されることにより、先端部の重量が軽減されることとなるので、翼根部に加わる遠心力を減少させることができる。
さらにまた、冷却通路の先端部にテーパ部が形成されることにより、冷却通路を通ってテーパ部に到達したゴミ等の異物は、外部に排出されることとなるので、冷却通路の先端部におけるゴミ詰まりを防止することができ、冷却性能の低下を防止することができる。
図1は本実施形態に係るタービン用翼の縦断面図、図2は図1のA−A矢視断面図、図3は図1のB−B矢視断面図、図4は図3のC−C矢視断面図、図5は本実施形態に係るタービン用翼の作用効果を説明するための図であって、(a)は従来のマルチホールに生じる圧損を説明するための図、(b)は本実施形態に係るマルチホールに生じる圧損を説明するための図である。
ここで、マルチホール4Aの入口端、出口端、マルチホール4の入口端、およびテーパ部15の入口端における断面積をA1、テーパ部15の出口端における断面積をA2、マルチホール4Aおよびマルチホール4の入口端における冷却空気13の流速をV0、マルチホール4Aの出口端およびテーパ部15の入口端における冷却空気13の流速をV1、テーパ部15の出口端における冷却空気13の流速をV2とする。
また、マルチホール4A,4の中間部における冷却空気13の流速をVmidとし、マルチホール4A,4の入口端における冷却空気13の密度をγ0、マルチホール4Aの出口端およびテーパ部15の入口端における冷却空気13の密度をγ1、マルチホール4A,4の中間部における冷却空気13の密度をγmidとする。
さらに、ζinは、マルチホール4A,4の入口端における圧損係数であり、ζoutは、マルチホール4A,4の出口端における圧損係数であり、1.0である。ζmidは、マルチホール4A,4の管摩擦圧損係数である。
これより、マルチホール4A,4の全体の圧力損失(入口圧損+管摩擦圧損+出口圧損)をそれぞれΔPA、ΔPとすると、近似的に次の[数1]および[数2]で表すことができる。
また、冷却空気13の供給圧を低減できることから、冷却媒体の供給源を圧縮部のより低圧側に移すことが可能となり、冷却空気13を昇圧するための圧縮部の動力を低減することができ、ガスタービンの性能を向上させることができる。
また、翼根部9に供給される冷却空気13の供給圧が低減されることにより、翼根部に形成された空洞からのシール洩れ空気量を低減させることができ、ガスタービンの性能をさらに向上させることができる。
さらに、マルチホール4の先端部にテーパ部15が形成されることにより、先端部の重量が軽減されることとなるので、翼根部9に加わる遠心力を減少させることができる。
さらにまた、マルチホール4の先端部にテーパ部15が形成されることにより、マルチホール4を通ってテーパ部15に到達したゴミ等の異物は、キャビティ10,11内にスムーズに流入していくこととなるので、マルチホール4の先端部におけるゴミ詰まりを防止することができ、冷却性能の低下を防止することができる。
本実施形態に係るタービン動翼21は、図6に示すような冷却通路14、すなわち、先端部(出口側の端部:出口部)にテーパ部(第2のテーパ部)22を有する冷却通路23を備えているという点で上述した第1実施形態のものと異なる。その他の構成要素については上述した第1実施形態のものと同じであるので、ここではそれら構成要素についての説明は省略する。
また、冷却空気13の供給圧を低減できることから、冷却媒体の供給源を圧縮部のより低圧側に移すことが可能となり、冷却空気13を昇圧するための圧縮部の動力を低減することができ、ガスタービンの性能をさらに向上させることができる。
また、翼根部9に供給される冷却空気13の供給圧が低減されることにより、翼根部に形成された空洞からのシール洩れ空気量を低減させることができ、ガスタービンの性能をさらに向上させることができる。
さらに、冷却通路23の先端部にテーパ部22が形成されることにより、先端部の重量がさらに軽減されることとなるので、翼根部9に加わる遠心力をさらに減少させることができる。
さらにまた、冷却通路23の先端部にテーパ部22が形成されることにより、冷却通路23を通ってテーパ部22に到達したゴミ等の異物は、外部に排出されることとなるので、冷却通路23の先端部におけるゴミ詰まりを防止することができ、冷却性能の低下を防止することができる。
これにより、シュラウド2のRの位置における肉厚を増加させることなく、シュラウド2のRの位置における機械的強度を確保することができる。
また、上述した実施形態では、マルチホール4とテーパ部15とが、冷却通路23とテーパ部22とが、角部を介して接続されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、丸みを帯びたR部(または面取部)を介して滑らかに接続させることもできる。
さらに、翼内部の冷却通路をマルチホール以外の構成、例えば、サーペンタイン冷却通路やピンフィン冷却構造などのその他の冷却構造としても良く、本実施例に限定されるものではない。
また、上述した実施形態では、冷却媒体を圧縮部からの抽気空気としたが、他の冷却媒体、例えば蒸気を冷却媒体とする蒸気冷却方式のガスタービンにおいても本発明は適用できる。例えばコンバインドプラントにおいて、ガスタービンの排熱によって蒸気を発生する排熱蒸気発生器からの蒸気を冷却媒体として使用する場合、使用する蒸気の圧力を低減できると共に、蒸気の使用量も低減できることから、プラント効率を向上させることができる。
2 シュラウド
4 マルチホール(複数の第1冷却通路)
13 冷却空気(冷却媒体)
15 テーパ部(第1のテーパ部)
21 タービン用翼
22 テーパ部(第2のテーパ部)
23 冷却通路(第2冷却通路)
Claims (10)
- 内部に複数の第1冷却通路が翼軸方向に沿って穿設されたタービン用翼であって、
前記タービン用翼の先端には、シュラウドが前記タービン用翼と一体に形成され、
前記シュラウドの内部には、プラグが上面側より挿入されて、前記シュラウドの内部に、前記第1冷却通路の軸方向視で該第1冷却通路の通路面積よりも大きい開口面積を有する空間が形成されるようにキャビティが形成されており、
前記キャビティには、前記複数の第1冷却通路がそれぞれ連通し、
前記第1冷却通路の出口側の端部で、翼端に向かって、かつ、前記キャビティに向かって末広がりとなるように形成された第1のテーパ部が形成されていることを特徴とするタービン用翼。 - 前記プラグの平面寸法は、前記キャビティの開口寸法よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載のタービン用翼。
- 翼端に、前記第1のテーパ部を通過し前記キャビティに流入し、前記キャビティから冷却媒体を周囲に流出させる複数の第2冷却通路を有するシュラウドが設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のタービン用翼。
- 前記第2冷却通路の出口側の端部に、前記シュラウドの端面に向かって末広がりとなるように形成された第2のテーパ部が形成されていることを特徴とする請求項3に記載のタービン用翼。
- 前記第1冷却通路の出口側の端部における圧損係数が1.0であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のタービン用翼。
- 前記第1のテーパ部は電解加工またはドリル加工によって施工されることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のタービン用翼。
- 前記タービン用翼の先端部と前記シュラウドの本体とを接続する領域に前記テーパ部が形成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のタービン用翼。
- 前記第1冷却通路は、マルチホール、サーペンタイン冷却通路およびピンフィン冷却構造からなる群より選ばれた一つの冷却構造であることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載のタービン用翼。
- 請求項1から8のいずれか一項に記載のタービン用翼を備えてなることを特徴とするガスタービン。
- 内部に複数の第1冷却通路が翼軸方向に沿って穿設され、
前記タービン用翼の先端には、シュラウドが前記タービン用翼と一体に形成され、
前記シュラウドの内部には、プラグが上面側より挿入されて、前記シュラウドの内部に、前記第1冷却通路の軸方向視で該第1冷却通路の通路面積よりも大きい開口面積を有する空間が形成されるようにキャビティが形成されており、
前記キャビティには、前記複数の第1冷却通路がそれぞれ連通するタービン用翼において、
前記第1冷却通路に冷却空気を流す工程と、
前記第1冷却通路の出口の端部で、翼端に向かって、かつ、前記キャビティに向かって末広がりとなるよう第1のテーパ部に冷却空気を流す工程と、
前記第1のテーパ部から、前記キャビティに冷却空気を流す工程と、を含み、
前記第1冷却通路の出口のテーパ部における出口圧損を低減することを特徴とするガスタービン用翼の冷却方法。
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