JP5591182B2 - 吸収性コア、及びこれを収容するマスク - Google Patents

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本発明は、主として睡眠時に着用されるマスク、及びこれに取り付けられる吸収性コアに関する。
睡眠中には、飲食物や唾液等の嚥下がないため、咽喉が乾燥しやすくなることがある。これを防止するため、例えば、特許文献1には、次のようなマスクが開示されている。この文献に記載のマスクは、口を覆うマスク本体に水分が保持された保水部材を収納している。これにより、睡眠中に口腔へ水分が補給され、咽喉の乾燥を防止している。
特開2001−178837号公報
しかしながら、咽喉の乾燥を防止するには、睡眠時に長時間に亘って水分を保持・供給する必要があり、上記のように単に水分を保持した部材を収容するだけでは、十分に口腔に水分を供給できるとはいえず、さらなる改良が要望されていた。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、長時間に亘って水分を保持することが可能で、睡眠中の咽喉の乾燥を確実に防止できる吸収性コア、及びこれを備えたマスクを提供することを目的とする。
本発明は、マスクに取り付けられ、保水液を保持可能な吸収性コアであって、上記問題を解決するためになされたものであり、目付が、200〜1000g/mの繊維素材を有している。睡眠中に口腔に水分を供給するには、上記目付が適切であり、目付が200g/mより小さいと、水分を十分に保持することができず、1000g/mより大きいと、コアが硬くなりすぎて、着用時に不快になるおそれがある。
上記繊維素材は、パルプを有することが好ましい。パルプを用いることにより、柔軟性・保水性を担保でつつ、低コスト化を図ることができる。
上記繊維素材は、種々の方法で製造できるが、例えば、エアレイド法により製造されることが好ましい。
上記吸収性コアにおいては、繊維素材を挟む一対の不織布シートをさらに備えていることが好ましい。これにより、コアの保形性が向上するとともに、製造が容易になる。
上記一対の不織布シートのうち、一方の不織布シートが疎水性を有し、他方の不織布シートが親水性を有していることが好ましい。親水性にすると、製造時に保水液をパルプに吸収させやすくなり、製造が容易になるという利点がある。一方、疎水性にすると、着用時にぬれやべたつきを防止できるという利点がある。
上記吸収性コアは、マスク着用者の鼻に対応する領域が切り欠かれているものとすることができる。この構成によれば、切り欠かれた領域に鼻が嵌ると、鼻が吸収性コアに覆われないようにすることができるため、鼻による呼吸が楽になるとともに、吸収性コアが鼻によって位置決めされ、睡眠中に吸収性コアが移動するのを防止することができる。
睡眠中に十分な水分を口腔に供給するには、上記吸収性コアに、5〜30gの保水液が含浸されていることが好ましい。
保水液は、水であってもよく、さらに、10〜50重量%のポリオールが配合することで構成されていることが好ましい。ポリオールを配合すると、吸収性コアから水分が蒸発するのを抑制するという効果があり、睡眠中の保水液として好ましい。
本発明に係るマスクは、上記問題を解決するためになされたものであり、上述したいずれかの吸収性コアを収容している。
本発明に係る吸収性コア及びこれを備えたマスクによれば、長時間に亘って水分を保持することが可能で、睡眠中の咽喉の乾燥を確実に防止することができる。
本発明に係るマスクの正面図である。 図1の断面図である。 図1の背面図である。 図1で用いられる吸収性コアの正面図及び断面図である。
(吸収性コア)
以下、本発明に係る吸収性コアについて説明する。本発明の吸水性コアは、マスクに取り付けられ、後述の保水液を含浸し使用時に保水液を徐々に放出させ、口腔に水分を供給するためのものである。睡眠中に十分な水分を口腔に供給するには後述の保水液を5g/枚以上含浸できることが好ましい。したがって、目付けは200〜1000g/mであることが好ましく、300〜600g/mであることがさらに好ましい。これは、目付が200g/mより小さいと、水分を十分に保持することができない一方、1000g/mより大きいと、コアが硬くなりすぎて、着用時に不快になるおそれがあるからである。
また口元で使用することから、吸収性コアの面積としては、例えば、15〜80cmであることが好ましく、30〜55cmの面積であることがより好ましい。吸収性コアの寸法としては例えば横方向に4〜12cm程度、縦方向に3〜8cm程度が好ましい。さらには、例えば横方向に8〜11cm程度、縦方向に4〜6cm程度がより好ましい。
吸収性コアは、種々の繊維素材により構成が可能であるが、親水性繊維や、親水性繊維と合成繊維の混紡とすることで構成できる。繊維素材として例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、レーヨン、コットン、パルプなどが挙げられ、柔軟性・保水性の観点から好ましくはパルプである。このような吸収性コアは、製法は特に限定しないが、エアレイド法などにより製造することができ、生産性・加工性・耐久性の観点から主成分たるパルプにポリエチレンなどの熱融着性繊維を所定の割合で混紡することが好ましい。
例えば、吸収性コアをパルプで構成する場合、パルプ:熱融着繊維の割合は60:40〜80:20が挙げられる。吸水性コアは、単層または複数層で構成することができるが、耐久性・保水性の観点から、1対の不織布で挟んだ3層構成とすることが好ましい。両端に配置される層の不織布は同素材としてもよく、異なる素材としてもよい。これら不織布の素材としては、親水性繊維、疎水性繊維、合成繊維、または親水性繊維と合成繊維の混紡とすることができ、親水性繊維としてはレーヨン、コットン、ティッシュが挙げられ好ましくはレーヨンである。親水性にすると製造時に保水液をパルプに吸収させやすくなり、製造が容易になるという利点がある。疎水性繊維としてはポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、PETなどのポリエステルが挙げられ好ましくはPE、PPである。疎水性にするとぬれやべたつきを防止できるという利点がある。したがって、着用者側に向く面を疎水性繊維で構成するとともに、それとは反対側の面を親水性繊維で構成すると、好ましい。より好ましくは親水性繊維であるレーヨンを用いることができる。以上の不織布については、例えば、20〜50g/mの目付にすることが好ましい。
さらに、吸収性コアには、呼吸のための通気孔を設けることが好ましい。少なくとも着用時に口が位置する場所に設ける。マスクの着用がずれた場合にも呼吸を妨げないよう、より好ましくは吸収性コア全面に設ける。通気孔は大きさ、間隔は適宜調整できるが、例えば直径は5mm、孔同士の間隔は5〜20mmが好ましい。また、吸収性コアの形状は、矩形、円形、楕円状等、特には限定されないが、鼻が嵌るような切欠部を形成しておくことが好ましい。このような切欠部を設けるには、例えば、吸収性コアを凹型に形成すればよい。こうすることで、鼻がコアに覆われず、切り欠かれた領域に嵌るため、鼻による呼吸が楽になるとともに、吸収性コアが鼻によって位置決めされ、睡眠中に吸収性コアが移動するのを防止することができる。
この切欠部の寸法としては、鼻のサイズを考慮して例えば横方向に20〜40mm程度、縦方向に5〜30mm程度が好ましい。
(保水液)
次に、本発明に係る保水液について説明する。この保水液は、上述した吸収性コアに含浸させるためのものである。睡眠中に十分な水分を口腔に供給するには、5〜30gの保水液が、吸収性コアに含浸されていることが好ましい。より好ましくは、5〜15gである。
保水液は、水であってもよく、若しくは水を主成分とし、水に10〜50重量%のポリオールを配合することができる。ポリオールを配合すると、吸収性コアからの水分蒸発スピードが抑制される効果があり、長時間の持続を要する睡眠中の保水液としては好ましい。ポリオールとしては、グリセリンやジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ソルビトール、1,2ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオールなどが挙げられ、その中でも、グリセリンが安全性の点で好ましい。これらの他にも、メチルパラベンやフェノキシエタノールなどの防腐剤、ヒアルロン酸塩やベタインなどの保湿剤、植物エキス、キサンタンガムやヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC),ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、寒天、グアーガム、カラギーナンなどの水溶性増粘剤、ユーカリやミントなどの香料、香料を可溶化する界面活性剤(ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、アニオン性界面活性剤)などを適宜使用できる。保水液はあらかじめ吸収性コアに含浸されていてもよく、使用時に吸収性コアに含浸してもよい。予め保水液を含浸させる場合、例えば、液や香料が不透過性のアルミラミネートフィルムやアルミ蒸着PETフィルムや透明(シリカ)蒸着PETフィルムからなる袋などに収容しておくことが好ましい。
(マスク本体)
本発明に係るマスクは、口を覆うマスク本体を備えており、このマスク本体に上述した吸収性コアが取り付けられる。例えば、後述する収容体をマスク本体に固定しておき、この収容体に吸収性コアを収容することもできる。また、マスクとしての耳かけバンドも取り付けられる。耳かけバンドの素材は特に限定されないが、ポリエステルなどで構成される伸縮性のある素材がより好ましい。
マスク本体の寸法としては、顔のサイズを考慮して例えば横方向に100〜190mm程度、縦方向に50〜100mm程度が好ましい。さらには、横方向に150〜180mm程度、縦方向に70〜90mm程度がより好ましい。マスク本体は、例えば、織布、不織布で構成でき、好ましくはスパンボンド法、メルトブロー法、サーマルボンド法またはスパンレース法による不織布、より好ましくは保形性の観点からスパンボンド法による不織布で構成することができる。
マスク本体の構造としては、1層又は2層以上とすることができ、例えばS層(スパンボンド単層)、SS層(スパンボンド−スパンボンドの2層構造)、SMS層(スパンボンド−メルトブロー−スパンボンドの3層構造)が挙げられ、より好ましくはS層、SS層、さらに好ましくはSS層とすることができる。
上記織布及び不織布を構成する繊維素材は公知のものを選択することができ、例えば紙、レーヨン・コットン等の天然繊維、ポリプロピレン・ポリエチレン・ポリエステル等合成繊維とすることができる。また、生産性の観点から好ましくはポリプロピレン、ポリエチレンであり、保形性の観点からさらに好ましくはポリプロピレンを選択することができる。
マスク本体を2枚以上の織布または不織布で形成する場合、これらは、縫製、超音波溶着、熱融着により形成することができる。また、折り目により、少なくとも1つのプリーツ(襞)を形成することができ、これによってマスク本体が上下方向に伸張し、種々の顔の大きさに対応する。さらに、マスク本体には、例えばその上辺に沿っては、ポリエチレンのようなプラスチック樹脂や生分解性樹脂等からなる線状のノーズピースを取り付けることができる。このノーズピースにより、マスク本体が顔にフィットし、鼻とマスク本体との隙間が開くのが防止される。
(収容体)
本発明に係る収容体は、マスク本体に取り付けられ、吸収性コアを収容するものである。収容体は、袋状に形成することができ、また、織布、不織布で構成できる。より詳細には、通気性の観点から好ましくはスパンボンド法、サーマルボンド法またはスパンレース法による不織布で構成することができる。また、肌触りの観点からより好ましくはサーマルボンド法、スパンレース法、特に好ましくはスパンレース法を用いて不織布を形成してもよい。収容体の寸法としては、吸収性コアの入る大きさを考慮して例えば横方向に5〜13cm程度、縦方向に4〜10cm程度が好ましい。さらには、例えば横方向に9〜12cm程度、縦方向に6〜8cm程度がより好ましい。
このような織布または不織布を用いて、1層又は2層以上の層からなる袋とすることができるが、通気性・柔軟性・防濡性の観点から着用者の口側を2層としマスク本体側を1層とすることが好ましい。繊維素材は公知のものを選択することができるが、通気性・柔軟性・防濡性・生産性の観点からポリプロピレン・ポリエチレン・PET等のポリエステル等の合成繊維が好ましく、PP芯/PE鞘などの芯鞘繊維や中空繊維も好ましく使用できる。収容体は、これら繊維素材のうち単一の繊維素材でできていてもよいし、2種以上の繊維素材でできていてもよい。
このような収容体は、縫製、超音波溶着、熱融着など公知の方法でマスク本体に取り付けられる。収容体はマスク本体と全面または一部で取り付けてもよく、好ましくは収容体上部のみもしくは収容体左右部のみで取り付ける。より好ましくは収容体上部のみで取り付ける。上部のみで取り付けることにより、プリーツを有するマスクを広げて着用する際の妨げにならない。
以下、本発明の実施例について説明する。なお、本発明は、この実施例に限定されるものではない。ここでは、本発明に係るマスクの実施例及び比較例について図面を参照しつつ説明する。図1は本実例及び比較例に係るマスクの正面図、図2は断面図、図3は背面図である。
図1〜図3に示すように、このマスクは、口を覆うマスク本体1と、このマスク本体1を顔に固定するための一対の耳かけバンド2とを備えている。また、マスク本体1の背面には、ポケット状の収容体3が取り付けられており、この収容体3に保水液が含浸された吸収性コア4が収容されている。
マスク本体1は、複数の不織布シート11から構成されている(縦90×横180mm)。これら不織布シート11は、重ねられて矩形状に形成され、周囲が超音波溶着されている(図中のSで示された点線)。そして、マスク本体1の両側には、上記耳かけバンド2が超音波溶着されている。また、中央には、横方向に延びる3つの折り目が形成され、この折り目がプリーツ12を形成している。さらに、マスク本体1の上辺に沿っては、プラスチック樹脂からなる線状のノーズピース13が埋め込まれており、マスク本体1において、このノーズピース13の上下が超音波溶着されて位置を固定している。
次に、収容体及び吸収性コアについて図4も参照しつつ説明する。図4は吸収性コアの正面図及び断面図である。図2及び図3に示すように、収容体3は、矩形の袋状に形成され、その上辺がマスク本体背面のノーズピース13の下方に超音波溶着されている。
図4に示すように、収容体3(内径:縦75×横110mm)に収容される吸収性コア4(縦55×横90mm)は、上辺に切り欠き部41を有する平面視凹型に形成されており(切欠部:縦19×横30mm)、保水液が含浸されている。また、複数の通気孔45が形成されている(直径5mm)。
そして、上述した形態で、材料を変えて以下に示す4種類のマスク、つまり本発明の実施例に係る3種類のマスクと、1種類の比較例に係るマスクを作成した。
(実施例1)

*吸水性コア ・・・ 厚さ 6mm
保水液の成分は以下の通りである。

表2の保水液を表1の吸収性コアに約15g含浸させ、表1のマスク本体に取り付けた表1の収容体に収容し使用した。
(実施例2)

*吸水性コア ・・・ 厚さ 4mm
表2の保水液を表3の吸収性コアに約10g含浸させ、表3のマスク本体に取り付けた表3の収容体に収容し使用した。
(実施例3)

*吸水性コア ・・・ 厚さ 4mm
表2の保水液を表4の吸収性コアに約10g含浸させ、表4のマスク本体に取り付けた表4の収容体に収容し使用した。
(比較例)

*吸水性コア ・・・ 厚さ 4mm
表2の保水液を表5の吸収性コアに約10g含浸させたが、充分に保持できなかったために約3g含浸させ、表5のマスク本体に取り付けた表5の収容体に収容し使用した。
使用後の結果は、以下の通りである。
以上のように構成された実施例1から3によれば、保水液10gを充分に保持できる吸水性コアが得られ、就寝時を想定した10時間装着でも保水液は充分に残存することが出来た。なお、比較例では、10時間装着後の残存率が22重量%であったが、これはグリセリン等の難揮発性物質が残っているだけであり、水は全て蒸発していた。
1 マスク本体
2 耳かけバンド
3 収容体
4 吸収性コア
41 切り欠き部

Claims (7)

  1. マスクに取り付けられ、保水液を保持可能な吸収性コアであって、
    目付が、300〜1000g/mの繊維素材を有し、
    前記繊維素材は、パルプに熱融着繊維を、パルプと熱融着繊維の割合を60:40〜80:20で混紡してなる、吸収性コア。
  2. 前記繊維素材は、エアレイド法により製造されている、請求項に記載の吸収性コア。
  3. 前記繊維素材を挟む一対の不織布シートをさらに備えている、請求項1または2に記載の吸収性コア。
  4. 前記一対の不織布シートのうち、一方の不織布シートが疎水性を有し、他方の不織布シートが親水性を有している、請求項に記載の吸収性コア。
  5. 5〜30gの保水液が含浸されている、請求項1からのいずれかに記載の吸収性コア。
  6. 前記保水液は、水に、ポリオールが10〜50重量%配合されてなる、請求項に記載の吸収性コア。
  7. 請求項1からのいずれかに記載の吸収性コアを収容したマスク。
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