JP5589539B2 - 回転トルク検出装置 - Google Patents

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Description

本発明は、主に自動車のステアリングの回転トルクの検出等に用いられる回転トルク検出装置に関するものである。
近年、自動車の高機能化が進むなか、様々な回転トルク検出装置や回転角度検出装置を用いてステアリングの回転トルクや回転角度を検出し、パワーステアリング装置やブレーキ装置等の車両の各種制御を行うものが増えている。
このような、従来の回転トルク検出装置について、図14及び図15を用いて説明する。
図14は従来の回転トルク検出装置の断面図、図15は同分解斜視図であり、同図において、1はステアリングに連動して回転する略円筒状の第一の回転体、2はN極とS極が例えば20〜40度前後の角度間隔で形成された略円弧状の磁石、3は略円筒状の保持体で、複数の磁石2が、第一の回転体1の外周下端に固着されると共に、第一の回転体1を保持体3が覆っている。
また、4は略円筒状の第二の回転体、5は内周に複数の突起部5Aが形成された略円筒状でパーマロイ等の第一の磁性体、6は同じく内周に複数の突起部6Aが形成された第二の磁性体で、第二の回転体4が第一の回転体1の下方に配置されると共に、第一の磁性体5と第二の磁性体6がスペーサ7を介して、磁石2に対向して第二の回転体4上端に各々固着されている。
そして、8は第一の回転体1と第二の回転体4の側方に水平に配置された配線基板で、上下面に複数の配線パターン(図示せず)が形成されると共に、磁石2との対向面には、第一の磁性体5と第二の磁性体6の間に配設された、ホール素子等の磁気検出素子9が装着されている。
さらに、配線基板8にはマイコン等の電子部品によって、磁気検出素子9に接続された制御手段10が形成されると共に、第一の回転体1と第二の回転体4の間には、ピン(図示せず)等によって上端が第一の回転体1や保持体3に、下端が第二の回転体4に各々固着されたトーションバー等の略円柱状の連結体11が設けられている。
また、12は略箱状で絶縁樹脂製の上ケース、13は同じく下ケースで、この上ケース12と下ケース13内に第一の回転体1や第二の回転体4、第一の磁性体5、第二の磁性体6、配線基板8等が収納されると共に、上ケース12上面の開口孔からは第一の回転体1と保持体3上端が、下ケース13下面の開口孔からは第二の回転体4下端が各々回転可能に突出して、回転トルク検出装置が構成されている。
そして、このような回転トルク検出装置が回転角度検出装置等と共に、第一の回転体1や第二の回転体4にステアリング軸が装着されて、自動車のステアリングホイール下方に装着されると共に、制御手段10がコネクタやリード線(図示せず)等を介して自動車本体の電子回路(図示せず)に接続される。
以上の構成において、ステアリングホイールを回転すると、これに伴って第一の回転体1が回転し、連結体11が捩じれた後、第一の回転体1にやや遅れて第二の回転体4が回転するが、この時、例えば車両が走行時には回転トルクが小さいため、第一の回転体1に対する第二の回転体4の回転の遅れは少なく、停車時には回転トルクが大きいため、第二の回転体4の回転の遅れが大きくなる。
なお、この時、第一の回転体1に対する第二の回転体4の回転の遅れは、回転トルクが小さな場合には角度として1度前後、回転トルクが大きな場合には4度前後の遅れとなる。
そして、この第一の回転体1と第二の回転体4の回転に伴って、これらに固着された磁石2と、これにやや遅れて第一の磁性体5と第二の磁性体6も回転し、所定間隔で形成された磁石2のN極とS極の磁気の変化を、磁気検出素子9が第一の磁性体5と第二の磁性体6の突起部5Aと6Aを介して検出し、これが制御手段10へ入力される。
また、この時、磁気検出素子9が検出する磁気は、磁石2が固着された第一の回転体1に対し、第一の磁性体5と第二の磁性体6が固着された第二の回転体4の、回転の遅れが少ない場合には磁気が弱く、回転の遅れが大きな場合には磁気が強くなる。
そして、この第一の磁性体5と第二の磁性体6を介して検出された磁気検出素子9の磁気の強弱から、制御手段10がステアリングの回転トルクを算出して、これが自動車本体の電子回路へ出力され、電子回路がこの回転トルクやステアリングの回転角度、あるいは車体の各部に装着された速度センサ等からの様々なデータを演算して、パワーステアリング装置やブレーキ装置等の車両の様々な制御が行われる。
つまり、例えば、車両が走行中でステアリングの回転トルクが小さな場合には、パワーステアリング装置の利きを緩めて、ステアリングホイールをある程度重い力で回転操作するようにし、車両が停車していてステアリングの回転トルクが大きな場合には、パワーステアリング装置を大きく利かせて、軽い力でもステアリングホイールの回転操作を行えるように構成されているものであった。
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
特開2008−82826号公報
しかしながら、上記従来の回転トルク検出装置においては、比較的高価なパーマロイ等の材料を用いた第一の磁性体5や第二の磁性体6を製作する際、先ず中央部を打抜いた後、深絞り加工等を行って全体を略円筒状に形成すると共に、内周に複数の突起部5Aや6Aを形成する必要があるため、製作に手間がかかるうえ、歩留りが悪く、装置として高価なものとなってしまうという課題があった。
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、安価な構成で、確実な回転トルクの検出が可能な回転トルク検出装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明は、以下の構成を有するものである。
本発明の請求項1に記載の発明は、磁石を磁極の異なるN極とS極を上下左右に隣接して形成し、第一の回転体の外周に放射状に所定の角度間隔で複数配列させ、第一及び第二の磁性体を略帯状でリング状に形成し、第一の磁性体と第二の磁性体が上下方向に間隙を設けて対向させ、磁石の外周と第一及び第二の磁性体の内周との間において、略矩形状で上下方向へ垂直に配列させた第三の磁性体を磁石に対向配置させて、第二の回転体に放射状に所定間隔で複数配列して回転トルク検出装置を構成したものであり、第一及び第二の磁性体が略帯状、第三の磁性体が略矩形状に各々形成されているため、切断や曲げ加工等によって、これらを歩留り良く製作することができると共に、この第一及び第二の磁性体、第三の磁性体を介して磁石の磁気を検出することによって、安価な構成で、確実な回転トルクの検出が可能な回転トルク検出装置を得ることができるという作用を有する。
請求項に記載の発明は、請求項1から4に記載の発明において、第三の磁性体を磁石よりも上方または下方へ突出形成したものであり、常に磁気を帯びた第三の磁性体を、磁石よりも上方または下方へ突出させることで、鉄粉等の異物が磁石に付着することを防ぎ、鉄粉等による磁石と各磁性体との間隔の変化や短絡を防止できるため、磁気検出素子による誤差や変動のない安定した磁気の検出を行うことができるという作用を有する。
以上のように本発明によれば、安価で確実な回転トルクの検出が可能な回転トルク検出装置を実現することができるという有利な効果が得られる。
本発明の第1の実施の形態による回転トルク検出装置の断面図 同分解斜視図 同部分斜視図 同部分側面図 同部分斜視図 同部分斜視図 同部分斜視図 同部分斜視図 本発明の第2の実施の形態による回転トルク検出装置の分解斜視図 同部分斜視図 同部分側面図 同部分斜視図 同部分分解斜視図 従来の回転トルク検出装置の断面図 同分解斜視図
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図13を用いて説明する。
なお、背景技術の項で説明した構成と同一構成の部分には同一符号を付して、詳細な説明を簡略化する。
(実施の形態1)
実施の形態1を用いて、本発明の特に請求項1記載の発明について説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態による回転トルク検出装置の断面図、図2は同分解斜視図であり、同図において、1は略円筒状でステアリングに連動して回転するポリブチレンテレフタレート等の絶縁樹脂製の第一の回転体、22は略円弧状でフェライトやNd−Fe−B合金等の磁石、3は略円筒状でポリブチレンテレフタレート等の絶縁樹脂製の保持体で、複数の磁石22が第一の回転体1の外周下端の鍔部1Aに所定間隔で固着されると共に、第一の回転体1を保持体3が覆っている。
そして、この略円弧状の磁石22は、図3の部分斜視図に示すように、上下左右に磁極の異なるN極とS極が隣接して形成されると共に、6〜10個の磁石22が所定の角度間隔で、例えば6個の場合には60度間隔で鍔部1Aに放射状に配列されている。
なお、例えば磁石22を第一の回転体1の回転中心に対し、角度40度分の幅に形成し、鍔部1Aの複数の突起部を角度20度分の幅に形成して、6個の磁石22を60度間隔で配列した場合、これらの全体の体積のうち複数の磁石22の占める割合は2/3ですみ、鍔部1Aの突起部の体積分だけ磁石22の体積は減り、使用量を少なくできる。
また、4は略円筒状でポリブチレンテレフタレート等の絶縁樹脂製の第二の回転体、25はパーマロイや鉄、Ni−Fe合金等の第一の磁性体、26は同じく第二の磁性体で、第二の回転体4が第一の回転体1の下方に配置されると共に、第一の磁性体25と第二の磁性体26は、略帯状の板材がリング状に巻回されて形成されている。
さらに、27はパーマロイや鉄、Ni−Fe合金等の第三の磁性体で、略矩形状の複数の第三の磁性体27が、略円筒状でポリブチレンテレフタレート等の絶縁樹脂製の基体28に、インサート成形や圧入等によって所定の角度間隔で、例えば6個の第三の磁性体27が60度間隔で放射状に配列されている。
そして、この第三の磁性体27が磁石22と、第一の磁性体25及び第二の磁性体26の間に配置されると共に、第二の回転体4上端に固着され、この複数の第三の磁性体27を介して第一の磁性体25と第二の磁性体26が、磁石22に対向して第二の回転体4上方に各々配置されている。
また、8は紙フェノールやガラス入りエポキシ等の配線基板で、上下面には銅箔等によって複数の配線パターン(図示せず)が形成されると共に、第一の回転体1と第二の回転体4の側方に水平に配置され、磁石22との対向面には、第一の磁性体25と第二の磁性体26の間に配設された、垂直方向の磁気を検出するホール素子や、水平方向の磁気を検出するGMR素子等の、磁気検出素子9が実装装着されている。
そして、配線基板8にはマイコン等の電子部品によって、磁気検出素子9に接続された制御手段10が形成されると共に、第一の回転体1と第二の回転体4の間には、ピン(図示せず)等によって上端が第一の回転体1や保持体3に、下端が第二の回転体4に各々固着されたトーションバー等の略円柱状で鋼等の連結体11が設けられている。
さらに、12は略箱状でポリブチレンテレフタレート等の絶縁樹脂製の上ケース、13は同じく下ケースで、この上ケース12と下ケース13内に第一の回転体1や第二の回転体4、第一の磁性体25、第二の磁性体26、配線基板8等が収納されると共に、上ケース12上面の開口孔からは第一の回転体1と保持体3上端が、下ケース13下面の開口孔からは第二の回転体4下端が各々回転可能に突出して、回転トルク検出装置が構成されている。
なお、以上のような回転トルク検出装置の、第一の磁性体25や第二の磁性体26、第三の磁性体27には、比較的高価なパーマロイ等の材料が用いられているが、図2や図3に示すように、例えば、第一の磁性体25や第二の磁性体26は略帯状に形成されているため、所定寸法の板材を複数の略帯状に切断した後、これらを曲げ加工によってリング状に巻回することで、短時間で歩留り良く製作することができる。
また、複数の第三の磁性体27も略矩形状に形成されているため、所定寸法の板材を複数の略矩形状に切断した後、これらを曲げ加工によって略円弧状に形成し、この複数の第三の磁性体27をインサート成形や圧入等によって、基体28に所定の角度間隔で放射状に配列することで、同じく短時間で歩留り良く製作することができる。
つまり、第一の磁性体25と第二の磁性体26を略帯状に形成すると共に、これらと磁石22の間に所定間隔で配列された、第三の磁性体27を略矩形状に形成することで、所定寸法の板材から切断や曲げ加工等によって、これらを歩留り良く、安価に製作することができるようになっている。
そして、このような回転トルク検出装置が回転角度検出装置等と共に、第一の回転体1や第二の回転体4にステアリング軸が装着されて、自動車のステアリングホイール下方に装着されると共に、制御手段10がコネクタやリード線(図示せず)等を介して自動車本体の電子回路(図示せず)に接続される。
以上の構成において、ステアリングホイールを回転すると、これに伴って第一の回転体1が回転し、連結体11が捩じれた後、第一の回転体1にやや遅れて第二の回転体4が回転するが、この時、例えば車両が走行時には回転トルクが小さいため、第一の回転体1に対する第二の回転体4の回転の遅れは少なく、停車時には回転トルクが大きいため、第二の回転体4の回転の遅れが大きくなる。
そして、この第一の回転体1の回転に伴って、これに固着された複数の磁石22が回転し、これにやや遅れて第二の回転体4も回転して、磁気検出素子9が第一の磁性体25と第二の磁性体26を介して磁石22の磁気を検出し、これが制御手段10へ入力される。
つまり、ステアリングホイールが回転操作されず中立位置で、車両が直進状態にある場合には、例えば、図4(a)の部分側面図に示すように、磁石22と第一の磁性体25及び第二の磁性体26の間に配列された、複数の第三の磁性体27の中心が、上下左右に磁極の異なるN極とS極が隣接した磁石22の中心にあるため、これらのN極からS極への磁力が各々釣り合った状態となっている。
したがって、複数の第三の磁性体27外方の、第一の磁性体25と第二の磁性体26の間にも磁束が発生しないため、これらの間に配設された磁気検出素子9が検出する磁気は0となっている。
これに対し、ステアリングホイールが右または左方向へ回転され、磁石22が回転して、例えば、図4(b)に示すように、磁石22に対して第三の磁性体27の中心がずれた状態では、第三の磁性体27には磁石22によって、N極からS極への閉磁路となった磁束が生じる。
また、同時に、第一の磁性体25と第二の磁性体26にも、磁石22によってN極からS極への磁束が発生し、これらの磁気を磁気検出素子9が検出して、磁気の強弱に応じた電圧が制御手段10へ出力される。
なお、この時、第一の回転体1に対する第二の回転体4の回転の遅れは、回転トルクが小さな場合には角度として1度前後、回転トルクが大きな場合には4度前後の遅れ角度になると共に、磁気検出素子9が検出する磁気は、磁石22が固着された第一の回転体1に対し、第三の磁性体27が固着された第二の回転体4の、回転の遅れが少ない場合には磁気が弱く、回転の遅れが大きな場合には磁気が強いものとなる。
そして、この第一の磁性体25と第二の磁性体26、第三の磁性体27を介して検出された磁気検出素子9の磁気の強弱から、制御手段10がステアリング軸の回転トルクを算出して、これが自動車本体の電子回路へ出力され、電子回路がこの回転トルクやステアリングの回転角度、あるいは車体の各部に装着された速度センサ等からの様々なデータを演算して、パワーステアリング装置やブレーキ装置等の車両の様々な制御が行われる。
つまり、車両の走行や停車状態に合わせ、例えば、車両が走行中でステアリングの回転トルクが小さな場合には、パワーステアリング装置の利きを緩めて、ステアリングホイールをある程度重い力で回転操作するようにし、車両が停車していてステアリングの回転トルクが大きな場合には、パワーステアリング装置を大きく利かせて、軽い力でもステアリングホイールの回転操作が行えるように構成されている。
そして、この時、上述したように、第一の磁性体25と第二の磁性体26を略帯状に形成すると共に、これらと磁石22の間に略矩形状の複数の第三の磁性体27を所定間隔で配列することで、第一の磁性体25と第二の磁性体26が略帯状、第三の磁性体27が略矩形状に各々形成されているため、所定寸法の板材から切断や曲げ加工等によって、これらを短時間で歩留り良く、安価に製作することができるようになっている。
また、この第一の磁性体25と第二の磁性体26、及び第三の磁性体27を介して磁石22の磁気を磁気検出素子9が検出し、これによって制御手段10が回転トルクを検出することで、安価な構成で、確実な回転トルクの検出が行えるように構成されている。
なお、以上の説明では、上下左右に磁極の異なるN極とS極が隣接して形成された複数の磁石22を、第一の回転体1外周下端の鍔部1Aに所定間隔で放射状に配列した構成について説明したが、磁石22の体積がやや増し使用量が多くはなるが、図5の部分斜視図に示すように、上下左右に磁極の異なるN極とS極が連続して交互に隣接形成された略リング状の磁石22Aを用い、この外方に第三の磁性体27や第一の磁性体25、第二の磁性体26を配置した構成としても、本発明の実施は可能である。
また、図6(a)の部分斜視図に示すように、左右に磁極の異なるN極とS極が連続して交互に隣接形成された、二つの略リング状の磁石22Bを上下に重ねた構成や、あるいは、図6(b)に示すように、左右にN極とS極が隣接形成された二つの略円弧状の磁石22Cを上下に重ね、これを所定間隔で放射状に配列した構成、あるいは上下にN極とS極が隣接形成された二つの磁石を左右に並べた構成としてもよい。
さらに、以上の説明では、複数の略矩形状の第三の磁性体27を、基体28にインサート成形や圧入等によって、所定の角度間隔で放射状に配列した構成について説明したが、図7の部分斜視図に示すように、複数の第三の磁性体27を桟部27Aで連結し、複数の第三の磁性体27を一体に形成した構成としても、本発明の実施は可能である。
また、図8の部分斜視図に示すように、第一の磁性体25下端外周と第二の磁性体26上端外周に鍔部25Aと26Aを設けて、この間に磁気検出素子9を配設すると共に、第一の磁性体25や第二の磁性体26、第三の磁性体27を第二の回転体4上端に各々固着した構成としてもよい。
このように本実施の形態によれば、第一の磁性体25と第二の磁性体26を略帯状に形成すると共に、これらと磁石22の間に略矩形状の複数の第三の磁性体27を所定間隔で配列することによって、第一の磁性体25と第二の磁性体26が略帯状、第三の磁性体27が略矩形状に各々形成されているため、切断や曲げ加工等によって、これらを歩留り良く製作することができると共に、これらの各磁性体を介して磁石22の磁気を検出することで、安価な構成で、確実な回転トルクの検出が可能な回転トルク検出装置を得ることができるものである。
(実施の形態2)
実施の形態2を用いて、本発明の特に請求項1記載の発明について説明する。
なお、実施の形態1の構成と同一構成の部分には同一符号を付して、詳細な説明を省略する。
図9は本発明の第2の実施の形態による回転トルク検出装置の分解斜視図、図10は同部分斜視図であり、同図において、第一の磁性体25と第二の磁性体26が略帯状に形成されると共に、これらと磁石22の間に所定間隔で配列された複数の第三の磁性体27Bが略矩形状に形成されていることは、実施の形態1の場合と同様である。
また、側方に配置された配線基板8に、磁気検出素子9や制御手段10が実装装着されていることや、連結体11の上端が第一の回転体1や保持体3に、下端が第二の回転体4に各々固着されていることも、実施の形態1の場合と同様であるが、略矩形状の第三の磁性体27Bやこれが配列された基体28Bを、磁石22よりも上方や下方へ突出形成することで、外部から浸入した鉄粉等の異物が磁石22に付着することを防ぐことができるようになっている。
つまり、第三の磁性体27Bは実施の形態1で説明したように、第一の磁性体25や第二の磁性体26とは異なり、中立位置で第三の磁性体27Bの中心が磁石22の中心にある状態でも、磁石22に対して中心がずれた状態でも、いずれの状態でも常に磁気が生じているため、上ケース12や下ケース13の隙間等から鉄粉等の異物が浸入した場合、これらは磁石22に付着する前に、磁石22よりも上方や下方へ突出した第三の磁性体27Bの上端や下端に付着する。
すなわち、常に磁気を帯びた第三の磁性体27Bを、磁石22よりも上方や下方へ突出形成することによって、鉄粉等の磁石22への付着による、磁石22と第三の磁性体27Bや第一の磁性体25、第二の磁性体26との間隔の変化や短絡等を防ぎ、磁気検出素子9による誤差や変動のない安定した磁気の検出が行えるように構成されている。
なお、以上の説明では、上下左右に磁極の異なるN極とS極が隣接して形成された複数の磁石22に、上下方向に垂直に配列された第三の磁性体27や27Bを対向配置した構成について説明したが、図11(a)の部分側面図に示すように、左右方向に磁極の異なるN極とS極が連続して交互に、斜めに傾けて隣接形成された略リング状の磁石22Dを用い、これに複数の第三の磁性体27Bを対向配置した構成としても、本発明の実施は可能である。
あるいは、これとは逆に図11(b)に示すように、左右方向に磁極の異なるN極とS極が連続して交互に、上下方向に垂直に隣接形成された略リング状の磁石22Eを用い、これに斜めに傾けて配列された複数の第三の磁性体27Cを対向配置した構成としてもよい。
なお、この図11(a)や図11(b)に示す状態は、ステアリングホイールが回転操作されず中立位置で、磁石22Dや22Eの磁力が各々釣り合った状態を示しており、第三の磁性体27Bや27C外方の、第一の磁性体25と第二の磁性体26の間には磁束が発生しないため、これらの間に配設された磁気検出素子9が検出する磁気は0となっている。
そして、この状態からステアリングホイールが右または左方向へ回転され、磁石22Dや22Eが回転した後、これにやや遅れて第三の磁性体27Bや27Cが回転すると、実施の形態1の場合と同様に、第一の磁性体25と第二の磁性体26に磁束が発生し、これらの磁気を磁気検出素子9が検出して、磁気の強弱に応じた電圧が制御手段10へ出力される。
また、以上の説明では、略円弧状の磁石22や略リング状の磁石22D等を用い、これらに第三の磁性体27や27Bを対向配置した構成について説明したが、図12(a)の部分斜視図に示すように、略台形柱状の磁石22Fや、図12(b)に示すように略矩形柱状の磁石22Gを用いることで、磁石22Fや22Gを比較的安価に形成することが可能となる。
さらに、図13の部分分解斜視図に示すように、第一の回転体1外周下端の鍔部1Aに、複数の凹部1Bを所定間隔で形成すると共に、この凹部1B内周に略円筒状で鉄等の支持体1Cをインサート成形等によって設け、凹部1B内に複数の磁石22を挿入すると共に、磁石22の内周を支持体1Cに磁力によって仮止めするように構成することで、例えば接着剤等を凹部1B内に塗布して、第一の回転体1に磁石22を固着する際に、磁石22をがたつきや傾き等のない、精度の良い間隔で第一の回転体1に固着することができる。
また、上述したように、第一の磁性体25と第二の磁性体26の間に配設する、磁気検出素子9は一つであっても本発明の実施は可能であるが、例えば二つの磁気検出素子9を設け、この複数の磁気検出素子9で磁石22等の磁気を検出することで、万が一、一方の磁気検出素子9に破損や故障が生じた場合でも、回転トルクの検出が可能になると共に、制御手段10がこれらの検出した磁気の比較を行うことで、こうした破損や故障を検出することも可能となる。
このように本実施の形態によれば、第一の磁性体25と第二の磁性体26を略帯状に形成すると共に、これらと磁石22の間に配列された複数の第三の磁性体27Bを略矩形状に形成することで、安価な構成で、確実な回転トルクの検出が行えると共に、第三の磁性体27Bを磁石22よりも上方または下方へ突出形成することによって、鉄粉等の異物が磁石22に付着することを防ぎ、鉄粉等による磁石22と各磁性体との間隔の変化や短絡を防止できるため、磁気検出素子9による誤差や変動のない安定した磁気の検出を行うことができるものである。
本発明による回転トルク検出装置は、安価で確実な回転トルクの検出が可能なものを実現することができ、主に自動車のステアリングの回転トルクの検出等に有用である。
1 第一の回転体
1A 鍔部
1B 凹部
1C 支持体
3 保持体
4 第二の回転体
8 配線基板
9 磁気検出素子
10 制御手段
11 連結体
12 上ケース
13 下ケース
22、22A、22B、22C、22D、22E、22F、22G 磁石
25 第一の磁性体
25A、26A 鍔部
26 第二の磁性体
27、27B、27C 第三の磁性体
27A 桟部
28、28B 基体

Claims (5)

  1. ステアリングに連動して回転する第一の回転体と、前記第一の回転体に固着された磁石と、前記第一の回転体の下方に配置された第二の回転体と、前記磁石に対向して配置された第一及び第二の磁性体と、前記第一及び第二の磁性体の間に配設された磁気検出素子と、上端が前記第一の回転体に、下端が前記第二の回転体に固着された連結体からなり、前記磁石を磁極の異なるN極とS極を上下左右に隣接して形成し、前記第一の回転体の外周に放射状に所定の角度間隔で複数配列させ、前記第一及び第二の磁性体を略帯状でリング状に形成し、前記第一の磁性体と前記第二の磁性体が上下方向に間隙を設けて対向させ、前記磁石の外周と前記第一及び第二の磁性体の内周との間において、略矩形状で上下方向へ垂直に配列させた第三の磁性体を前記磁石に対向配置させて、前記第二の回転体に放射状に所定間隔で複数配列した回転トルク検出装置。

  2. 前記磁石を上下左右に磁極の異なるN極とS極が連続して交互に隣接させ略リング状に形成した請求項1に記載の回転トルク検出装置。
  3. 請求項1に記載の回転トルク検出装置において、磁極の異なるN極とS極を上下左右に隣接して形成した前記磁石に代えて、磁石を磁極の異なるN極とS極を左右方向に連続して交互に、上下方向に対し斜めに傾けて隣接させ略リング状に形成した回転トルク検出装置。
  4. 請求項1に記載の回転トルク検出装置において、磁極の異なるN極とS極を上下左右に隣接して形成した前記磁石に代えて、磁石を磁極の異なるN極とS極を左右方向に連続して交互に、上下方向へ垂直に隣接させ略リング状に形成すると共に、略矩形状で上下方向へ垂直に配列させた前記第三の磁性体に代えて、略矩形状の第三の磁性体を前記磁石に対し斜めに傾けて配列させた回転トルク検出装置。
  5. 前記第三の磁性体を前記磁石よりも上方または下方へ突出形成した請求項1から4に記載の回転トルク検出装置。
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