JP5587860B2 - 燃料噴射制御装置 - Google Patents
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Description
演算部は、算出した燃料噴射時期に基づいて噴射開始基準歯を算出し、第一歯番号の歯として、噴射開始基準歯と同じ歯番号の歯を設定してもよい。
演算部は、燃料噴射時期の特定に用いる歯間通過時間を変換する場合、欠歯した部位における欠歯の数に基づき欠歯した部位の歯間通過時間を除算してもよい。
この発明の実施の形態に係る燃料噴射制御装置を備えたディーゼルエンジンの構成を図1に示す。ディーゼルエンジン1は、V型8気筒のコモンレール型ディーゼルエンジンである。各気筒2には(図1には、1つの気筒のみが図示されている)、気筒内に燃料噴射手段であるインジェクタ3がそれぞれ設けられている。インジェクタ3にはそれぞれ、燃料の噴射をオンオフする電磁弁4が設けられている。
ピックアップ9bは、パルサ9aの回転時、区画A〜B〜C〜D〜Aの順序で各区画の歯12を検知し、各区画では、番号0から8の順序で歯12を検知する。また、燃料噴射を行う気筒2(図1参照)のTDCがある区画も、パルサ9aの回転時、区画A〜B〜C〜D〜Aの順序で変わる。
図1及び図2をあわせて参照すると、ディーゼルエンジン1の8つの気筒2それぞれへの燃料噴射量と燃料噴射を開始するタイミングである噴射開始クランク角の演算は、クランク角に基づいたタイミングで演算部15によって行われる。このタイミングは、ECU8の処理速度に応じて適宜変更可能である。
そして、演算部15は、算出した燃料噴射量、噴射開始クランク角、噴射開始基準歯、噴射開始インターバル及び燃料噴射継続時間等の演算結果を噴射用タイマ16の記憶部18に記憶させる。
このように、噴射開始基準歯を検知してから噴射開始インターバルまでの時間と、噴射開始後からの経過時間との計測に基づき、電磁弁4の開閉が制御される。なお、燃料噴射量とは、各気筒2へ噴射される燃料の総量だけを意味するのではない。各気筒2には、メイン噴射やポスト噴射等のように複数回に分割して燃料が噴射されるので、分割された噴射の回数、量(燃料噴射継続時間)が、当該燃料噴射量に含まれることとする。また、燃料噴射時期とは、各気筒2へ噴射される複数回の燃料それぞれについて噴射開始クランク角を算出することを意味する。
まず、区画CにTDCを有する気筒における燃料噴射制御を示す。また、燃料噴射量及び燃料噴射時期の演算を開始してから、実際噴射される時期が短いパイロット噴射を例に説明する。このとき、TDCである番号5の歯がある区画C及びこの区画Cよりも2つ前までの区画A及び区画Bに欠歯部13が存在していない。
記憶部18は、区画に関係なく同じ番号の歯に対して経過タイマ19が計測した歯間通過時間を、この同じ番号の歯の歯間通過時間として一括りにし、歯番号毎に設定した通過時間記憶領域に記憶する。そして、記憶部18は、経過タイマ19から新たな歯間通過時間が送られる毎に、これと同じ歯番号の通過時間記憶領域に記憶されている歯間通過時間を新たな歯間通過時間に更新し記憶する。例えば、記憶部18は、経過タイマ19から区画A〜Dにおける番号0の歯の歯間通過時間が送られる毎に、送られた歯間通過時間を歯番号0の通過時間記憶領域における新たな歯間通過時間として更新する。この歯間通過時間は、演算部15による噴射開始インターバルの算出に用いられる。
図1をあわせて参照すると、演算部15は、第一の演算として、噴射開始クランク角(燃料噴射の開始)の直前の歯である区画Cの番号1の歯に噴射開始基準歯を設定する。
演算部15は、噴射開始インターバルの算出開始時点である第一の演算終了直後の第二の演算の開始時点での、噴射用タイマ16の記憶部18における噴射開始基準歯と同じ歯番号1の通過時間記憶領域に記憶されている歯間通過時間を、取得する。さらに、演算部15は、取得した歯間通過時間から算出する機関回転数に基づき、ピックアップ9b(図2参照)が区画Cの番号1の歯を検知してから燃料噴射が開始されるまでの噴射開始インターバルを算出し、記憶部18に記憶させる。なお、演算部15が記憶部18から歯間通過時間を取得する際、記憶部18には、番号1の歯の歯間通過時間として区画Bで計測された値が記憶されている。
さらに、演算部15は、算出された機関回転数、燃料噴射量及びコモンレール圧等に基づき、噴射開始クランク角(燃料噴射の開始)からの燃料噴射継続時間を算出し、記憶部18に記憶させる。
次に、判定部17は、ピックアップ9b(図2参照)によって噴射開始基準歯である区画Cの番号1の歯が検知されると、経過タイマ19の計測時間と噴射開始インターバルとを比較する。さらに、判定部17は、経過タイマ19の計測時間が噴射開始インターバルを経過したタイミングを噴射用タイマ16に送る。噴射用タイマ16は、駆動回路10に対し電磁弁4を開くように命令するパルス信号を出力し、それによって、電磁弁4から燃料が噴射される。また、判定部17は、噴射用タイマ16のパルス信号の出力後から経過タイマ19の計測時間を積算し、積算した時間が燃料噴射継続時間を経過したタイミングを噴射用タイマ16に送る。それによって、噴射用タイマ16は、駆動回路10に対し燃料噴射を終了するように命令するパルス信号を出力する。
次に噴射用タイマ16の判定部17は、噴射開始基準歯とピックアップ9bにて検知した最新の歯番号とを比較する。検知した最新の歯番号が噴射開始基準歯より小さくなっている場合、判定部17は、ピックアップ9bが噴射開始基準歯を検知するまで待機し、噴射開始基準歯の検知後、経過タイマ19の計測時間が噴射開始インターバルと同じとなるタイミングを噴射用タイマ16に送る。それにより、噴射用タイマ16は駆動回路10に対し電磁弁4を開くためのパルス信号を出力する。
図5及び図6に示すように、経過タイマ19(図1参照)は、区画Dにおいて歯間通過時間を計測する際、欠歯部13では歯が存在しないことから、区画Dで番号6の歯が検知された時点から区画Aにおける番号0の歯が検知されるまでの経過時間を、区画Dの番号6の歯の歯間通過時間として記憶部18(図1参照)に記憶させる。
噴射開始インターバルの算出開始時、ピックアップ9bによる歯の検知はまだ、区画Aの番号0の歯に達しておらず、経過タイマ19は、区画Dでの番号6の歯の歯間通過時間の計測を完了していない。このため、記憶部18では、歯番号6の通過時間記憶領域の歯間通過時間として区画Dの前の区画Cで計測された値が記憶されている。
図1をあわせて参照すると、演算部15は、燃料噴射を開始するタイミングである噴射開始クランク角を算出する。このとき、算出された噴射開始クランク角は、欠歯部13の中に位置する。このため、演算部15は、噴射開始基準歯を区画Dの番号6の歯に設定し、噴射開始インターバルとして、ピックアップ9b(図2参照)が番号6の歯を検知してから、燃料噴射を開始する上記で算出した噴射開始クランク角に至るまでの経過時間を算出する。
図7は、区画Bの番号0の歯をピックアップ9b(図2参照)が検知した後に燃料の噴射が開始される場合を示している。このとき、上述の図3に示すような区画Cにおける燃料噴射量の演算の工程と同様の手順で演算が行われると共に同様の手順で燃料の噴射が行われる。
なお、区画Dにおける番号6の歯の歯間通過時間は、番号6の歯の検出時から区画Aの番号0の歯の検出時までの経過時間であり、3つの歯の歯間通過時間となっている。
よって、演算部15は、判定部17の判定結果に基づき、記憶部18から番号7の歯の歯間通過時間として区画Dにおける番号6の歯の歯間通過時間を取得した後、歯間通過時間を3で除算した値を使用することによって機関回転数を算出し、さらに噴射開始インターバルを算出する。
よって、演算部15は、判定部17の判定結果に基づき、記憶部18から番号7の歯の歯間通過時間として区画Aにおける番号6の歯の歯間通過時間を取得し、取得した歯間通過時間を3で除算せずにそのまま使用することによって機関回転数を算出し、さらに噴射開始インターバルを算出する。
なお、区画Aにおける番号8の歯が噴射開始基準歯に設定された場合も、上述の番号7の歯の場合と同様の演算及び制御が行われる。
また、区画Aにおける番号6の歯が噴射開始基準歯に設定された場合、噴射開始インターバルの算出開始時に記憶部18の歯番号6の通過時間記憶領域に記憶されている歯間通過時間は更新されずに区画Dにおける番号6の歯の歯間通過時間のままである。このため、判定部17は、算出に用いる番号6の歯の歯間通過時間が欠歯区間13aの歯間通過時間に相当すると判定し、演算部15は、判定部17の判定結果に基づき、記憶部18から番号6の歯の歯間通過時間として区画Dにおける番号6の歯の歯間通過時間を取得して、噴射開始インターバルを算出する。この場合、区画Dにおける番号6の歯の歯間通過時間は、3で除算した値が使用される。
噴射開始インターバルの算出開始時、記憶部18では、歯番号6の通過時間記憶領域の歯間通過時間として、区画Dにおける番号6の歯の歯間通過時間が記憶されており、歯番号7及び8の通過時間記憶領域の歯間通過時間として、区画Dにおける番号6の歯の歯間通過時間が記憶されている。
よって、演算部15は、判定部17の判定結果に基づき、記憶部18から番号7の歯の歯間通過時間として区画Dにおける番号6の歯の歯間通過時間を取得した後、歯間通過時間を3で除算した値を使用することによって機関回転数を算出し、さらに噴射開始インターバルを算出する。
また、この実施の形態では、経過タイマ19は連続して全ての歯の歯間通過時間を計測していたが、これに限定されない。前の区画(気筒)での噴射開始基準歯の歯番号、運転状態等から、次の区画(気筒)で歯間通過時間を計測する歯を限定し、経過タイマ19を断続的に計測させるようにしてもよい。
また、この実施の形態では、第一の演算の開始時期を、TDCのある区画の前区画の番号2の歯をピックアップ9bが検出した時点としていたが、これに限定されるものでなく、任意に変更することができる。
また、この実施形態では、パイロット噴射を例に説明したが、気筒内に燃料を最初に噴射するタイミングの噴射であれば、パイロット噴射に限らず用いることができる。
Claims (4)
- 複数の気筒を有し、クランク角に基づいて各気筒への燃料噴射量及び燃料噴射時期の演算を行うディーゼルエンジンの燃料噴射制御装置において、
前記ディーゼルエンジンのクランクシャフトと共に回転するパルサであって、外周縁に一部を欠歯して配置された複数の歯を有し、前記歯が各気筒に対応して複数の歯群に区画され、前記区画に含まれる前記歯には、前記区画それぞれの間で対応づけられた歯番号が設定されるパルサと、
前記歯を検知するピックアップと、
各気筒への燃料噴射量及び燃料噴射時期を算出すると共に、算出された燃料噴射量及び燃料噴射時期に基づいて、各気筒に設けられた燃料噴射手段から各気筒へ燃料を噴射する制御部とを備え、
前記制御部は、
前記ピックアップによって前記歯が検知された時点から次の歯が検知されるまでの経過時間である歯間通過時間を計測する経過タイマと、
各気筒に燃料を噴射するための燃料噴射時期を算出すると共に、燃料噴射される前記気筒よりも前に燃料噴射される前記気筒に対応する前記パルサの区画での前記歯間通過時間を用いて前記燃料噴射時期を特定する演算部と、
前記燃料噴射時期の特定に用いる歯間通過時間が、前記パルサにおける欠歯した部位の歯間通過時間に相当するか否かを判定する判定部と、
前記経過タイマが計測した前記歯間通過時間を記憶する記憶部であって、記憶している前記歯間通過時間と同じ歯番号の前記歯間通過時間が入力されると、前記入力された同じ歯番号の歯間通過時間で前記記憶している歯間通過時間を更新する記憶部と
を有し、
前記演算部は、前記燃料噴射時期の特定に用いる歯間通過時間が前記欠歯した部位の歯間通過時間に相当する場合、前記燃料噴射時期の特定に用いる歯間通過時間を前記燃料噴射時期の特定に用いる時点で前記ピックアップによって検知された最も新しい歯の歯番号に基づいて、前記燃料噴射時期の特定に用いる歯間通過時間を変換して使用し、
前記判定部は、
前記記憶部に記憶された前記燃料噴射時期の特定に用いる歯間通過時間が前記欠歯した部位の歯間通過時間に相当する場合、前記演算部による前記燃料噴射時期の特定時、前記燃料噴射時期の特定に用いる歯間通過時間に対応する歯の歯番号である第一歯番号と、前記ピックアップによって検知された前記最新の歯の歯番号である第二歯番号とを比較し、
前記第二歯番号が前記第一歯番号よりも前に検知される歯番号であれば、前記燃料噴射時期の特定に用いる歯間通過時間が前記欠歯した部位の歯間通過時間に相当すると判定し、
前記第二歯番号が前記第一歯番号と同じ番号である又は前記第一歯番号よりも後に検知される歯番号であれば、前記燃料噴射時期の特定に用いる歯間通過時間が前記欠歯した部位の歯間通過時間に相当しないと判定する燃料噴射制御装置。 - 前記演算部は、
前記判定部が前記記憶部に記憶された燃料噴射時期の特定に用いる歯間通過時間が前記欠歯した部位の歯間通過時間に相当すると判定した場合、前記欠歯した部位の歯間通過時間を用いて燃料噴射時期を特定し、
前記判定部が前記記憶部に記憶された燃料噴射時期の特定に用いる歯間通過時間が前記欠歯した部位の歯間通過時間に相当しないと判定する場合、前記記憶部における前記欠歯した部位の歯間通過時間から更新された前記第一歯番号の歯の歯間通過時間を燃料噴射時期の特定に用いる請求項1に記載の燃料噴射制御装置。 - 前記演算部は、
算出した燃料噴射時期に基づいて噴射開始基準歯を算出し、
前記第一歯番号の歯として、前記噴射開始基準歯と同じ歯番号の歯を設定する請求項1または2に記載の燃料噴射制御装置。 - 前記演算部は、前記燃料噴射時期の特定に用いる歯間通過時間を変換する場合、前記欠歯した部位における欠歯の数に基づき前記欠歯した部位の歯間通過時間を除算する請求項1〜3のいずれか一項に記載の燃料噴射制御装置。
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