本発明は、物質の化学組成を決定し、一群の代謝酵素の活性を測定し、又は試料中に1種以上の検体が存在するかどうかを試験することのような、興味のある試料を用いて1種以上の手動、若しくは自動化された処理を実施するために用いることのできる、マルチチャンバー容器に関する。容器のチャンバーのうちのいくつか又は全ては、チャンバーとチャンバーとの間に物質を移動することが可能なように恒久的に、又は一時的に開放できる遮断又は密封されている通路を用いて相互接続される。容器内のチャンバーの配置は、1つの処理又は複数の処理を、非順次的に、及び/又は同時に実施できるようにすることによって複雑な処理を実施することを可能にする。
本発明の容器は、柔軟性のある、又は剛性な物質、並びにそれらを組み合わせて構成することができるが、ただし、容器はチャンバーとチャンバーとの間で物質を押し込むか、又は引き出すことを条件とする。これらのチャンバーのうちの少なくともいくつかは、試料材料を装填する前に、処理材料(例えば、試薬)があらかじめ充填されて、環境から封入又は密封する。処理及び試料材料は、液体、固体、気体、又はこれらの組み合わせから構成され得る。試料が、1つのチャンバー又は複数のチャンバーにいったん装填されると、容器を密封するか、又は他の何らかの方法で閉じて、処理実施中に容器内の全ての材料を保持するようにできる。或いは、処理の後に、試料材料の一部又は全てが容器に加えられるように処理が開始された後に試料チャンバーを開いたままにしておいてもよい。
チャンバーとチャンバーとを相互接続する通路は、隣接するチャンバーの間を物質が通過することができる可能な大きさであり、通過することができるように配置されている。物質は、好ましくは流体又は流動化された物質であり、例えば、ゲル、エマルション、懸濁液、及び固形物を含んでもよく、固形物は、単独で通路を通って、又は例えば、不活性油のような流体担体を用いて輸送してもよい。物質が通路を通って移動することを、このような移動が望ましい状況になるまで遮断しておく障壁が提供される。容器、又は自動機器と協働する容器は、1種又は複数種類の障壁を備えていてもよい。このような障壁は、容器の材料で構成されるか(例えば、開放可能なシール)、若しくは通路に隣接して配置されるか、若しくは通路内に挿入された、固定された、若しくは移動可能な、若しくは変更可能な成分若しくは物質であるか(例えば、弁、磁気応答性粒子、又は感熱ワックスプラグ)、又は可逆圧縮力を通路に付与する自動機器の構成要素としてもよい(例えば、アクチュエータ)。
隣接するチャンバーの間の障壁を変更するか、又は取り外すことにより、一方のチャンバー内に存在する物質を隣接するチャンバーの中に押し込むか、又は引き出すことができる。この移動は、例えば、圧力をチャンバーの外側に付与してチャンバーを潰すか、又は部分的に潰して材料の全部又は一部をチャンバーとチャンバーとの間に押し込むように適合されているアクチュエータ又は一群のアクチュエータのような圧力源の作用によって達成することができる。材料は、例えば、組み合わされた材料の混合が望ましい場合にチャンバーとチャンバーとの間で一方向に、又は双方向に移動させることができる。
チャンバーは、処理の工程をお互いに独立して実施するようにする少なくとも2つの非直線的経路があるように容器内に配置される。これは、2セット以上のチャンバーの物質が混合されるか、又は組み合わされてから、その結果として得られる混合若しくは組み合わせ、又は別のセットのチャンバーの基礎をなす物質がお互いに接触するようにできるという点で大きなメリットをもたらす。処理工程をお互いに独立し実施できるようにすることにより、直線的に実施できない、又は好ましくは直線的に実施されない一連の工程(すなわち、工程は順次実施される)を有する複雑な処理は、本発明の容器を用いて実施できる。
本発明の容器及びシステムのコンパクトな設計は、ポイントオブケア及び現場用途で用いるのに特に適している。処理を実施するために必要な処理材料を予め充填されたチャンバーを密封することにより、汚染及び使用者の間違いの問題が実質的に最小限に抑えられる。本発明の容器は、更に単位用量試験のためには理想的であり、容器のチャンバーは、検査を実施するために必要な正確な量の処理材料が予め装填される。
本発明は、種々の形態で具体化することができるが、以下の説明及び添付図面は、これらの形態のうちのいくつかを本発明の特定の例としてのみ開示することを意図されている。従って、本発明は、そのように説明され例示されている形態又は実施態様に限定されることを意図されていない。
定義
以下の用語は、別に明記されていない限り以下の意味を有する。「1つの」(「a」又は「an」)なる用語実体は、その実体の1以上を意味し、例えば、「1つの検体」は、1つ以上の検体を表すものと理解されることに留意されたい。従って、「1つの」「1つ以上の」及び「少なくとも1つ」なる用語は、本明細書においては交換可能に用いることができる。
隣接する/隣接して。チャンバーに関しては、「隣接する」又は「隣接して」なる用語は、言及されているチャンバーがお互いに隣接するを意味する(すなわち、これらのチャンバーが、容器内で互いに直接隣り合うように位置する)。処理が開始された時に容器の隣接するチャンバーを分離する唯一の構造はシールである。従って、隣接して配置されるチャンバーは、チャネル又は通路によって互いに接続されない。
室温。「室温」は、流体(例えば、空気又は液体)又は固体構造を含む周囲環境の温度を意味する。
増幅/増幅反応。「増幅」又は「増幅反応」は、試料中の検体の存在を示す物質の量、濃度又は検出可能性を高めるための手順を意味する。
増幅条件。「増幅条件」は、増幅反応をもたらすのに適した温度条件を意味する。
増幅オリゴヌクレオチド。「増幅オリゴヌクレオチド」は、標的核酸、又はその相補体に結合し、核酸をベースとする増幅反応に関与するオリゴヌクレオチドを意味する。
増幅産物。「増幅産物」は、検出のための標的配列を含む核酸をベースとする増幅反応で生成される核酸を意味する。
増幅試薬。「増幅試薬」は、増幅反応に必要な1種以上の成分を含む材料を意味する。核酸をベースとする幅反応においては、このような成分には、増幅オリゴヌクレオチド(例えば、プライマー及び/又はプロモーター−プライマー)、ヌクレオシド三リン酸及び/又は標的核酸配列の増幅に必要な補因子(例えば、Mg++のような二価陽イオン)が含まれる。
検体。「検体」は、分析を受ける試料又は試料の成分を意味する。
アッセイ。「アッセイ」は、1種以上の検体の定性的又は定量的分析を意味する。
障壁。「障壁」は、空間と空間との間の物質の移動を妨げるか、又は防止する構造又は材料を意味する。
遮断。「遮断」は、物質の移動に対して閉ざされていることを意味する。
結合剤。「結合剤」は、試料又は反応混合物の成分に結合できる分子又は分子複合体を意味する。結合剤は、例えば、抗体、抗原、ペプチド、タンパク質、核酸若しくはその類似体、有機分子又は前記の物質の複合体(例えば、抗体:核酸複合体)であってもよい。
破裂性シール。「破裂性シール」は、十分な圧力がシールに付与されたときに破裂又は剥離するシールを意味する。
捕捉剤。「捕捉剤」は、検体に結合することができ、また固相担体に直接又は間接的に結合され得る結合剤を意味する。
捕捉プローブ。「捕捉プローブ」は、核酸検体に結合できる結合剤を意味する。
チャンバー。「チャンバー」は、容器内の個別の区画又は空間を意味する。
チャンバーを定義する部材。「チャンバーを定義する部材」は、チャンバーの容積を決定するものの全体(例えば、ブラダー)又は一部分(例えば、壁)を意味する。チャンバーを定義する部材は、単一構成要素(例えば、1つの層)又は複数の構成要素(例えば、一緒に結合されている複数の層)からなるものであってもよい。
閉じられる/閉じる。チャンバーに関しては、「閉じられる」又は「閉じる」は、容器のチャンバーが、流体的に連通していないか、又はチャンバーが容器の他のどのチャンバーとも流体的に連通していない状態に置かれることを意味する。試料保持容器に関しては、「閉じられる」とは、容器の全チャンバーが環境に対して実質的に気密状態の環境に保持されることを意味する。試料添加前の容器に関しては、「閉じられる」とは、試料受取容器のチャンバーを除く容器の全チャンバーが環境に対して実質的に気密状態の環境に保持されることを意味する。
濃縮。「濃縮」は、チャンバー内の1種以上の成分の分散を制限することを意味する。
チャンバーの隣接経路。「チャンバーの隣接経路」は、一連の隣接して接続されているチャンバーを意味する。
直接接続。「直接接続」は、2個の言及されているチャンバーの間の接続にチャンバーが介在していないことを意味する。
個別の接続部。「個別の接続部」は、容器の他の接続部から隔てられ、重なり合わない接続部を意味する。
末端チャンバー。「末端チャンバー」は、チャンバーの直線経路の最外側のチャンバーを意味する。
酵素試薬。「酵素試薬」なる表現は、処理に関与する少なくとも1種の酵素を含む材料を意味する。核酸増幅反応においては、酵素試薬は、DNA又はRNAの既存の鎖を鋳型として用いDNA及び/又はRNAポリヌクレオチドの合成を触媒する1種以上の酵素を含んでいてもよい。このような酵素の例には、DNA依存性DNAポリメラーゼ(例えば、大腸菌由来のDNAポリメラーゼI及びバクテリオファージT7 DNAポリメラーゼ)、DNA依存性RNAポリメラーゼ又は転写酵素(例えば、大腸菌由来のDNA依存性RNAポリメラーゼ及びバクテリオファージT7、T3及びSP6)、RNA依存性DNAポリメラーゼ又は逆転写酵素、並びにRNA依存性RNAポリメラーゼ(例えば、RNAレプリカーゼ)が含まれる。
基本的に一定温度。「基本的に一定温度」は、比較的少ない量以上(即ち0.5℃以上)で、時間的に変化しない温度を意味する。
柔軟性。「柔軟性」は、引き裂いたり破いたりせずに合理的な力の作用で屈する材料の特性を意味する。
流体。「流体」は、流れる傾向を有するか、又は容器の形状に適合する傾向を有する物質(例えば、液体又は気体)を意味する。流体は、エマルションのような液体又は気体の流動化された物質又は混合物であってもよい。本明細書において用いられるように、「流体」なる用語は、その形状を変化させることによって圧力の作用に従う、ペーストのような物質をも意味する。
流動化。「流動化」は、流体特性を有する形態又は媒質となるように変更された物質を意味する。
非混和性流体。「非混和性流体」は、容器内に収納されている1種以上の液体と混合しない流体を意味する。
免疫アッセイ。「免疫アッセイ」は、抗体−抗原相互作用を伴うアッセイを意味する。
独立して組み合わせる。「独立して組み合わせる」なる表現は、容器の個別のチャンバーの中で2セット以上の物質を別々に組み合わせて、その際に物質の別々の組み合わせが互いに接触しないようにすることを意味する。
間接的に接続。「間接的に接続」は、2個の言及されているチャンバーの間の接続に1個以上のチャンバーが介在していることを意味する。
相互接続。「相互接続」なる用語は、開放可能な接続部の場合のように、流体的に接続されているか、又は接続可能であるチャンバーを意味する。
間に介在する。「間に介在する」なる表現は、参照されているチャンバーが、2つの他の識別されたチャンバーの間に、それらのチャンバーのそれぞれと同じ直線経路内で配置されているか、又は参照されているチャンバーが、2つの他の識別されたチャンバーの間に、それらのチャンバーのそれぞれと異なる直線経路内に配置されていることを意味する。
中間のチャンバー。「中間のチャンバー」は、少なくとも2つの他のチャンバーへの開放可能な接続部によって接続されているチャンバーを意味する。
分離。「分離」は、試料の1種以上の成分が、その試料の1種以上の他の成分から隔離されることを意味する。
標識。「標識」は、検出可能な特性を有する物質を意味する。
直線経路。「直線経路」は、複数の開放可能な接続部によって相互接続され、最初の末端チャンバー、最後の末端チャンバー、及び最初の末端チャンバーと最後の末端チャンバーとの間に配置されている1つ以上の中間のチャンバーによって定義される連続的に順序付けられているチャンバーの隣接経路を意味する。
非環状配置。「非環状配置」なる表現は、2つ以上の直線経路を含む相互接続されたチャンバーの、直線経路の末端チャンバーが中央にあるチャンバーを中心として環状に配置されていない、配置を意味する。
非直線的。「非直線的」は、全数未満の数のチャンバーを共有する連続的に順序付けられているチャンバーの少なくとも2つの隣接経路を意味する。
非順次的。「非順次的」は、処理の特定のいくつかの工程が、順序通りでなく、互いに独立して実施されることを意味する。
核酸をベースとする増幅。「核酸をベースとする増幅」は、核酸の存在に依存する増幅反応を意味する。
オリゴヌクレオチド。「オリゴヌクレオチド」は、少なくとも2個、一般的には約5〜約100個までの化学的サブユニットのポリマー鎖を意味し、それぞれのサブユニットはヌクレオチド塩基部分、糖部分、及び直線的空間構成でサブユニット同士を結合する結合部分を含む。一般的なヌクレオチド塩基部分 は、グアニン(G)、アデニン(A)、シトシン(C)、チミン(T)及びウラシル(U)であるが、水素結合することのできる他の微量の、又は修飾されたヌクレオチド塩基も、当業者に周知である。オリゴヌクレオチドは、適宜、糖部分、塩基部分及び骨格構成要素のうちのどれかの類似体を含んでいてもよい。本発明の好ましいオリゴヌクレオチドは、大きさに関して、約10〜約100個の残基を含む。オリゴヌクレオチドは、天然のものから精製してもよいが、好ましくは、種々の周知の酵素的又は化学的な方法を用いて合成される。
開放可能な接続部。「開放可能な接続部」は、接続部が障壁によって遮断されている「閉鎖」状態から物質が通路内の開口部を通過できるように障壁が修正又は移動している「開放」状態に、一時的又は恒久的に変更できる通路を意味する。
光透過。「光透過」なる表現は、光の通過を可能にする材料を意味し、これらの材料の一方の側で放射される光は、これらの材料の反対側に位置する光学装置によって検出可能である。
プライマー。「プライマー」は、鋳型に依存してポリメラーゼの存在下に、その3’末端を延長することのできる増幅オリゴヌクレオチドを意味する。
プローブ。「プローブ」は、反応混合物中の検体又は他の物質に結合して処理の条件下に、試料中の検体の存在を示す検出可能なプローブ:標的複合体を形成する結合剤を意味する。核酸をベースとする反応については、プローブは、検出可能なプローブ:標的複合体を形成するために標的核酸の存在を示す核酸配列に十分相補的な塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを含む。プローブは、更に固相担体上にプローブを固定化するための配列、プロモーター配列、RNA転写のための結合部位、制限エンドヌクレアーゼ認識部位、又は検出及び/又は増幅を促進するために用いることのできる、触媒活性部位若しくはヘアピン構造のような所望の二次若しくは三次構造を与える配列等の非相補的配列を含んでいてもよい。所定配列のプローブは、化学合成及び組み換え核酸分子からの インビトロ又はインビボ発現のような、当業者に公知の技術によって生成することができる。
処理。「処理」は、結果をもたらすために物質に対し実施される、又は物質とともに実施される一連の作用、変化又は機能を意味する。
精製。「精製」は、試料の1種以上の成分が、その試料の1種以上の他の成分から除去されることを意味する。
試薬。「試薬」は、化学的、生化学的又は生物学的反応における反応物、希釈剤、溶媒、洗浄材料、すすぎ材料、緩衝液等を含む、処理で用いられる非試料物質を意味する。
リアルタイム。「リアルタイム」なる表現は、反応の特性が、反応が生じて続いているときに検出されるか、又は検出できることを意味する。
容器。「容器」は、物質を収容及び/又は保持することができる複数の相互接続されたチャンバーを有する装置を意味する。
再構成試薬。「再構成試薬」は、非流体処理材料を流体又は流動化状態に変えるために用いられる試薬を意味する。
試料。「試料」は、処理に全部又は一部をさらすことができる物質を意味する。
試料処理試薬。「試料処理試薬」は、試料の元の状態を変え、又は変えるために有用な試薬を意味する。
試料収容チャンバー。「試料収容チャンバー」は、処理すべき試料を収容するために開かれているか、又は開放可能な容器のチャンバーを意味する。
シール。「シール」は、隣接するチャンバーの間に形成される障壁を意味する。シールは、例えば、対向する熱可塑性シートの間に形成されるヒートシールとすることができる。
実質的に均一な温度。「実質的に均一な温度」は、比較的少ない量以上で空間的に変化しない温度を意味する。
標的核酸。「標的核酸」は、核酸検体を意味する。
標的配列。「標的配列」は、検出アッセイにおいて増幅及び/又は検出される、標的核酸又はその相補体中に含まれる核酸配列を意味する。
水蒸気透過速度。「水蒸気透過速度」又は「WVTR」は、水蒸気が温度及び相対湿度の指定条件で材料を透過する定常状態速度を意味する。水蒸気透過速度の値は、g/m2/24時間単位で表される。ミネソタ州ミネアポリスのMOCON,Inc.から市販されているPERMATRAN−W(登録商標)水蒸気透過速度計測器(モデル3/33)は、ASTM F1249に従ってWVTRを測定するために用いることができる。
マルチチャンバー容器
本発明の容器は、1種以上の処理を実施するように、アレイ状の複数の相互接続された非直線状に配置されたチャンバーを含む。容器の正確な寸法は、チャンバーの数及び配置、並びにそれらのチャンバーに装填又は移動する物質の量に依存する。容器は、好ましくは、その厚さに関して比較的広い表面積を有するが、これは必要条件ではない。容器は、好ましくは上部及び底部から形成され、それぞれ剛性があり、及び/又は柔軟性のある材料で製造することができる。好ましい様式においは、容器の上部及び底部のうちの少なくとも一方は、少なくとも部分的に柔軟であることが好ましい。
チャンバーの非直線的な配置は、容器内の試料を非順次的に処理することを可能にする。チャンバーの正確な数、構成、大きさ及び配置は、実施される特定の1種の処理又は複数の処理に依存する。周囲の容器材料とは別に、これらのチャンバーは、剛性のある、又は柔軟な材料、又はそれらの組み合わせで構成することができる。材料の選択は、チャンバーがチャンバーとチャンバーとの間で物質を移動するための外圧の作用で屈する必要があるかどうかにもよる。これらのチャンバーは、チャンバーとチャンバーとの間の物質の移動に干渉しない任意の形状のものとすることができ、これは、半球形及び球形を含む、概して平面状の、又は気泡状の形状を含む。好ましい一実施態様においては、これらのチャンバーは、概して平坦であり、また物質を開いた接続通路を通して隣接するチャンバーに流し込む涙滴形状を有する。涙滴形状のチャンバーは、さらに、圧力を接続通路に集中させ、これによって隣接するチャンバーへの接近を一時的に遮断するために用いられるシール及び弁のような障壁をより容易に開けるため有利である。これらのチャンバーは、同じか又は異なる形状及び/又は大きさを有していてもよい。
容器のチャンバーを接続するために用いられる通路は、例えば、処理内で用いられる物質をチャンバーとチャンバーとの間で移動させることができる寸法を有する入口又は通路であってもよい。入口の場合、実質的にシール又は他の障壁のみが隣接するチャンバーを分離する。一方、通路は、チャンバーとチャンバーとの間に伸びる導管を含む。入口は、容器の設計が小型化され、種々のチャンバーの間の材料の移動距離が小さくて済むので、入口が好ましい。廃棄物チャンバーに至る通路のような通路の一部は、処理全体を通じて開いたままであってよいが、他の通路は、チャンバーとチャンバーとの間で物質を移動する必要が生じるまで障壁によって遮断されている。障壁は、物質移動接続部を形成するために「閉鎖」状態から「開放」状態に選択的に変えることができ、この物質移動接続部は、好ましくは流体及び物質を流動化形態で移動するための流体移動接続部である。障壁は、例えば締め付け装置によってもたらされる圧縮力のような外力としてもよく(例えば、締め付けパッドを有する空気圧駆動アクチュエータ)、又はチャンバーとチャンバーとの間に開口部を形成するように圧力の作用を受けて屈するか、又は機械的に作動されるか、又は例えば、熱、レーザー切断、若しくは化学的若しくは生化学的反応によって変化するシール若しくは弁としてもよく、又は外力/シールの組み合わせとしてもよい。好ましい一実施態様においては、通路は、使用時に圧縮力で強化されるV字型又は山形シールのようなヒートシールで遮断される。いくつかの障壁の遮断特性は、熱等の条件の影響を受けるように設計されるか(例えば、ワックスプラグ)、又はチャンバー内に移動するか、又は形成される化学薬剤の影響を受けるが、容器内に形成されるか、又は配置される障壁は別に環境条件又はチャンバー内に収納される物質の影響を受けるべきではない。
隣接するチャンバーを分離する障壁が取り除かれるか、又は変更されて開口部がいったん形成すると、重力等によって、物質を隣のチャンバー内に押し込むか、圧縮して入れるか、引き込むか、又は他の何らかの方法で移動させることができる。ローラー又はアクチュエータ駆動圧縮パッドのような押圧をチャンバーに作用させて、チャンバーとチャンバーとの間で物質を移動させる場合には、チャンバーは、押圧の圧力に屈する少なくとも1つの柔軟な表面を有するように形成される。他の場合には、これらのチャンバーは、パッド又は真空を用いて物質を隣接するチャンバーの中に押し込むか、又は引き込む場合のように、剛性のある材料で構成してもよい。これは、重力が収容チャンバーの上に位置するチャンバーから物質を引き出す場合に成り立つことであるが、いくつかの用途では、物質をチャンバーとチャンバーとの間で往復させて2種の物質を混合できるように少なくとも1つの柔軟な表面を両方のチャンバーに持たせることが望ましい。
チャンバーは、少なくとも2つの個別の直線経路があるように容器内に配置される。これらの経路のそれぞれは、少なくとも3つの、隣接して接続されるチャンバーを含み、これらの経路のうちの少なくとも1つは、好ましくは5つ以上、隣接して接続されるチャンバーを含む。本明細書で用いられる場合、「隣接して接続されるチャンバー」なる表現は、一方のチャンバーが次のチャンバーの後に来るように、チャンバーが次々に接続して配置されている一連の直接接続されているチャンバーを意味する。これらの経路のそれぞれは、少なくとも1つの、ただし全数未満の数のチャンバーを容器内の他の経路と共有することができる。このような、チャンバーの配置は、処理のいくつかの工程を、独立して、及び/又は同時に実施することを可能にする。この方法においては、複雑な処理において用いられる物質が準備され、組み合わせるのが望ましい状況になるまで隔離状態に置くことができる。このような独立の活動には、例えば、物質を溶解すること、希釈すること、混合すること、組み合わせること、又は反応させることが含まれる。例に過ぎないが、一セットの隣接するチャンバーは、試料中に存在する標的核酸配列を増幅する際に用いるための乾燥したプライマー含有増幅試薬、及び増幅試薬を再構成するための試薬を収納することができるが、他方の一セットの隣接するチャンバーは、標的核酸配列を増幅し、検出する際に用いるための乾燥した酵素/プローブ試薬、及び酵素試薬を再構成するための試薬を収納することができる。この特定の例において、増幅試薬及び酵素/プローブ試薬を再構成形態に組み合わせるのが早すぎた場合、標的に無関係の増幅が標的の増幅に干渉するか、又は増幅には十分でない試薬を消費してしまう可能性がある。例えば、Adamsらの「Decoy Probes」、米国特許第6,297,365号を参照されたい。従って、これらの試薬を別々に再構成し、次いで、標的核酸の存在下で組み合わせることが望ましい。
例示することのみを目的としているが、図1Cは、多数の個別の直線経路を定めるチャンバーの非直線的配置を有する容器10を示す。この容器の可能な直線経路のいくつかは、英字で識別され、直線経路のそれぞれのチャンバーは同じ英字を有し(すなわち、A、B、C又はD)、直線経路のそれぞれのチャンバーはそれぞれ別の番号を割り当てられている。経路の配置は、処理の工程が非順次的に実施され得るような構成である。例えば、試料材料は、チャンバーA2に加えられ、チャンバーA1から供給される結合剤と混合されてから、チャンバーA3内で検体を分離し精製することができる。同時、又は異なる時に、チャンバーB2内の第1の乾燥された、又は固形の処理材料が、チャンバーB1から供給された第1の再構成試薬(例えば、第1の溶媒)と一緒に再構成され得る。また、同時又は異なる時に、チャンバーB4内の第2の乾燥された、又は固形の処理材料が、チャンバーB5から供給された第2の再構成試薬(例えば、第2の溶媒)と一緒に再構成され得る。最終的に、検体を検出するために、精製された検体、並びに再構成された第1及び第2の処理材料を、チャンバーB3又はB4内で組み合わせることができる。図1Cには4つの個別の直線経路しか明示されていないが、他の可能な直線経路及び直線経路の組み合わせも利用できることは容易に明らかである。
容器内のチャンバーは非直線的に配置されることは、同じであるか、又は異なる種類の複数の処理の実施においての使用を容易にすることができる。これは、物質及び/又は処理間で共有されないチャンバーが処理の実施中に分離されたままであるように、これらのチャンバーを配置できるからである。従って、本発明は、複数の用途のために、処理材料を予め装填することを含む、単一の容器の設計及び製造が可能な「ユニバーサル」容器にも関する。この方法においては、最終使用者は、実施される処理毎に異なる容器を用意する必要も、また特定の処理の容積要件を予め予測しておく必要もない。本発明のチャンバー及び障壁を形成するために用いられる材料は、処理を実施するために用いられる、種々の物質の許容可能な安定性及び反応性のレベルを維持するように選択されるべきである。係る材料は、例えば、水分によって変化し、劣化し、又は影響を受ける物質に対する水分障壁を形成できる。他の、又は補完的アプローチにおいては、酸化カルシウムのような乾燥剤を乾燥された処理材料とともに装填し、チャンバー内の水分の影響を最小限にすることができる。容器内で処理が実施されている時に、乾燥した処理材料を伴う反応に干渉し、又は変化させることがないように乾燥剤を隔離しておくことが望ましい場合がある。乾燥剤は、例えば、乾燥した処理材料を収納するチャンバーの一区画に配置するか、又は乾燥した処理材料を保持しているチャンバーとの開いた接続部を有する隣接するチャンバー内に乾燥剤を配置することによって隔離することができる。再構成された処理材料との不要な相互作用を防止するために、乾燥した処理材料を再構成した後、この開いた接続部を遮断しておくことが望ましい場合がある。更に他のアプローチでは、水分障壁を提供し、及び/又は乾燥剤を含む1つ又は複数の材料から形成された容器内に容器を保管する。一般的な乾燥剤には、粘土、シリカゲル、酸化カルシウム及び合成モレキュラーシーブが挙げられる。モレキュラーシーブの例は、直径0.45インチ、高さ0.125インチのType 4A Molecular Sieve Multiform(登録商標)Tabletであるが、ただし、「Type 4A」は、細孔大きさ4オングストロームを示している(ニューヨーク州バッファローのMultisorb Technologies,Inc.社。製品番号02−00674AH01)。
同様に、容器の材料は、酸素又は電磁放射線にさらされたときの環境影響から物質を保護するように選択することができる。また、容器を形成するために用いられる材料は、容器内で用いることが意図されている液体、固体又は気体の透過に対する障壁を形成する材料を選択することによって、収納されている物質が互いに悪影響を生じる形で相互作用するのを防止するように選択することができる。また、物質の活性が変化することを防止するため、物質の蒸発を保護する材料を、容器の構成において用いることが望ましい場合もある。更に、使用のため選択された材料は、収納されている物質の意図された機能を著しく変化させてはならず、また、1又は複数の処理に関与する能力に著しい影響を及ぼす形で反応物に付着したり、又は他の何らかの形で反応物を結合することがあってはならない。
処理が、チャンバー内、又はチャンバーとチャンバーとの間で、磁性粒子を濃縮又は移動することを必要とする試料操作を伴う場合、容器の少なくとも一部は、隣接して位置する磁石によって発生する磁場の作用に実質的に干渉しない材料で構成される必要がある。連続的、又は正確な期間にわたって、チャンバーの全部又は一部の加熱及び/又は冷却を必要とする処理の場合、容器は、加熱及び/又は冷却を必要とするチャンバーの内容物の熱的状態に影響を及ぼすことができる容器の少なくとも一方の側にエネルギー伝達を行うことができなければならない。更に、容器は、色又は濁度のような試料の物理的特性の変化を検出するために、又は興味のある検体の存在を示す標識を検出することができるようにするために、可視、赤外線、及び/又は紫外線スペクトルの光を透過し得る光学的に透明な部分を含んでいてもよい。
本発明の容器は、ポリマー、ガラス、シリコン、金属、セラミック、及びこれらの組み合わせのような材料から構成することができる。用いられる材料は、チャンバーとチャンバーとの間で物質を移動するために選択された手段、試料中の物理的変化が視覚化されるか、又は検出された光信号でなければならないかどうか、並びに磁性粒子のような容器内に存在する物質を操作する方法にもよるであろう。容器を構成するために用いられる材料は、予想される輸送、保管、及び使用条件の下で安定していなければならない。このような条件には、温度、圧力、湿度及び保管期間が含まれる。また、容器の柔軟なチャンバーを形成するために用いられる材料は、破ったり、穿刺したり、破裂させたりすることなくチャンバーとチャンバーとの間で物質を移動するために選択された圧力の作用によって屈するべきである。
好ましい一実施態様においては、容器は、同じであるか、又は異なる材料である柔軟な上部シート及び下部シートから形成され、また多積層体である。各シートは、好ましくは、少なくとも1つの液体不浸透層を有し、これらのシートは、好ましくは、約0.05mm〜2.0mmの間の比較的均一な厚みを有する。また、多積層体の1つの所定領域は、好ましくは光学的に透明又は半透明である。シートは、例えば、箔−必要に応じて検出窓が形成されるように箔に1以上の孔を開け、−及び/又はポリプロピレン(例えば、テキサス州ダラスのRexene Corporationから市販されているReflex(登録商標)ポリオレフィン)、ポリエステル、ポリエチレン(例えば、ポリエチレンテレフタレート(「PET」)、及びポリエチレンナフタレート(「PAN」))、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート樹脂(例えば、ポリフッ化ビニルフィルム)、及びポリウレタンのような熱可塑性プラスチック材料から形成することができる。特に好ましい一実施態様においては、上部シート及び下部シートは、それぞれ多積層体であり、これの例は、Perflex(登録商標)箔層(ウィスコンシン州オシュコッシュのPerfecseal社、製品番号35786) に結合されたScotchpak(登録商標)フィルム層(ミネソタ州セントポールの3M社。カタログ番号ES−48)である。この実施態様の柔軟なシートを形成するために適している他の材料は、当業者によって理解されるであろう。例えば、Burke(1992)WAAC Newsletter 14(2):13−17を参照されたい。
例示的な積層体には:Surlyn(登録商標)ブレンド剥離層を有する箔被覆PET(4.5ミル)、共押し出し剥離層を有する低密度ポリエチレン(「LPDE」)上の透明二重AlOx被覆PET(4.5ミル)、共押出し剥離層を有する箔被覆LDPE(4.5ミル)、箔被覆LDPEシール層(3.5ミル)、剥離層を有する二軸延伸ポリアミド上の透明単一AlOx被覆PET(4ミル)、ゾーンコートで定められた壊れやすいシールを有するLDPEシール層上の透明AlOx被覆PET(2.5ミル)、剥離シーラントを有する箔障壁(3.5ミル)、LDPEシール層上の透明なAlOx被覆PET(2.5ミル)、LDPEシール層上の透明なAlOx被覆PET(4ミル)、HDPEシール層を有するPET被覆箔、EVAベースの剥離層を有する透明なAlOx被覆PET(3ミル)、及びSurlyn(登録商標)ブレンド剥離層を有する箔被覆PET(4.5ミル)、並びに不透明なポリエチレンテレフタレート(「OPET」)、インク、白色LDPE、アルミニウム箔、ポリエチレン(「PE」)、鎖状低密度ポリエチレン(「LLDPE」)、並びにナイロン及びOPETの積層体、白色PE、箔、接着剤、及びEZ Peel(登録商標)Sealantが含まれる。
好ましい容器内の上部シート及び下部シートの対向する内側熱封止層が,当該技術分野において公知の熱封止技術を用いて、結合され、これらのチャンバーの壁及び隣接するチャンバーを分離する開放可能なシール(例えば、山形シール)を形成する。チャンバーの壁を定義する結合部はチャンバーを隔てる開放可能なシールよりも強力であるので、押付力がチャンバーに付与されたときにチャンバーの壁を剥がすのではなく、むしろチャンバーとチャンバーとの間に材料が押し込まれる。チャンバーのシールに対する目標シール強度は、約9〜10lb/インチ程度であってもよく、剥離可能シールに対する目標シール強度は、2.2〜2.3lb/インチ程度であってもよい。
具体的には、チャンバー、通路、恒久的及び半恒久的(例えば、破壊可能、破裂可能、剥離可能、壊れやすい等)シールのような容器の特徴を含む柔軟な、又は半剛体の容器、又はパウチは、加熱フィラメント、熱封止ダイ、インパルス溶接機、又は超音波溶接機若しくは他の公知の技術を用いて2枚のフィルムを溶接することによって形成することができる。また、差動シール強度の結合部を形成することができる接着剤、又は他の結合技術も用いることができる。
本発明の範囲内の実施のように構成される容器は、好ましくは、結合部の剥離又はクリープを回避するためにチャンバーの周辺に形成される恒久的フィルム間の結合によって定義されるチャンバーを含む。隣接するチャンバーを相互接続する通路又は入口を最初に遮断するために用いられる半恒久的シールは、所定の、好ましくは一貫した力の作用を受けたときに破壊又は破裂して隣接するチャンバーの間に流体の連通をもたらすように構成され、配置される。チャンバーに圧縮力を与えると、力の方向に対し横断的な方向でチャンバーに収納されている流体又は他の物質を横方向に膨張させる。チャンバーを定義する恒久的及び半恒久的なフィルム間のそれぞれの結合は、好ましくは、膨張する流体は、半恒久的シールを流体圧力で剥離又は破壊するのに十分な力を生じるが、チャンバー周囲の残り部分を定義する恒久的結合部を剥離するのに十分な力を生じないような破裂圧力又はシール強度を有する。当該技術分野において周知であるように、公知の技術によって形成されたシール又は結合部の破裂圧力、又はシール強度は、結合する材料の性質、材料の界面における温度、材料に付与される圧力、並びにいわゆる滞留時間、つまり組み立てられたフィルムが高温及び高圧にさらされる時間を含む、多数の因子の関数である。
差動シール強度の結合部を有する、そのような容器を形成する方法は、当該技術分野において周知である。例示的な開示は、Johnsonら、「Analytical Test Pack and Process for Analysis」、米国特許第3,476,515号、第3段落の36〜56行、Freshourら、「Flexible Packages Containing Nonfusible High Peel Strength Heat Seals」、米国特許第3,496,061号、第2段落の6〜52行、及び第7段落の50〜59行、Farmer、「Packaging Device」、米国特許第5,131,760号、第4段落の25〜34行、Robinsonら、「Diagnostics Instrument」、米国特許第5,374,395号、第31段落の27〜58行、及びReesらの「Method and Apparatus for Forming Heat Seals with Films」、米国特許第6,342,123号(開示は、単一ダイによる差動シールの形成に関する)に見いだすことができる。
意外にも、水分透過度を容器の周辺部より大きくすることのできる領域を含むように、乾燥された処理材料のような水分の影響を受けやすい材料を保持するために設計されているチャンバーを構成することは有利であることが発見された。例えば、上述の柔軟な容器のシートは、熱可塑性及び箔で形成される層を含んでいてもよく、シートのうちの少なくとも1つは、水分の影響を受けやすい材料を収納するチャンバー周囲の箔層内に切り欠きを含む。(切り欠きは、検出又は他の目的のために光透過を必要とするチャンバーに対して必要な場合もある。)水分の影響を受けやすい材料を乾燥した状態に維持するために、容器は、密封された、乾燥剤入りの入物に配置され、水分は、水分の影響を受けやすい材料を保持するチャンバーから引き出され、入物内に引き込まれて、そこで乾燥剤によって吸収される。乾燥剤を含む入物は、デラウェア州ウィルミントンのDupont Packaging and Industrial Polymers社から市販されているMylar(登録商標)OB12ポリエステル製包装フィルムのような低水分水蒸気透過速度を有する材料で構成すべきである。
機器内に容器をセットするために、容器に、機器内の対応する取り付け支柱に位置を揃えられる取り付け用穴を設けることができる。また、容器は、フック、ループ、接着剤及び他の取り付け用材料を用いて機器内における位置を正確に決めることができる。機器が、容器を収容し、セットするためのスロットを含む場合、柔軟な材料で構成される容器は、好ましくは、機器内の容器の位置を正確に決めるために、その周囲で剛性のあるフレームで支持される。また、いくつかの実施態様においては、位置決め構造が不要になることも考えられる。
人間及び/又は機械が読み取り可能であるか認識可能な情報をもたらす1以上の標識又は装置を、試料の処理に干渉しない領域内で容器に貼り付けるか、又は他の何らかの形で関連付けることができる。この標識及び/又は装置は、試料の種類又は供給源及び/又は実施される試験プロトコール又は他の処理に関係する情報を提供し得る。標識上のマーキングは、好ましくは、走査可能なバーコードを含む。このような標識は、例えば、関連するチャート又はファイルに移すことができる剥離標識であってもよい。また、容器を構成するために用いられる材料上に、情報を印刷するか、又は材料内に形成してもよい。
容器内で用いられる物質
チャンバーに、単一の処理、同じ処理の複数の用途、又は同一若しくは異なる種類の複数の処理(例えば、核酸をベースとする試験及び又は免疫アッセイ)で用いるための試薬、化合物、組成物又は他の物質を装填することができる。チャンバー内に装填することのできる物質の種類には、液体、固体、気体、及びこれらの種々の組合せが含まれる。いくつかの処理については、例えば、容器内の試料、廃棄物、換気、混合又は検出チャンバーとして供給し得るように1以上のチャンバーを当初は空にしておくことが望ましい場合がある。複数の異なる手順のいずれか実施するために用いることのできるチャンバーの配置を有する容器は、特定の処理のいずれかを実施するために装填される処理材料の数によって、空のチャンバーを追加することができる。装填され、チャンバーとチャンバーとの間で移動し得る液体には、水性及び非水性の物質、液状物質と乳濁液との混合物のような液状物質の組み合わせ(1種又は複数の乳化剤を用いるものと用いないもの)、及び加熱して溶融した固形物又は冷却して凝縮された気体のような液化物質が含まれる。装填され、チャンバーとチャンバーとの間で移動し得る固形物には、ワックス、固形物の混合物、及び懸濁液(例えば、ゲルを含むコロイド)及びスラリーのような液体中の固形物が含まれる。固形物は、天然元素又は分子形態を含む、種々の形態であってよい。
チャンバー内に装填するときに、乾燥され、又は変化した固形となるように、液体、部分的に液状及び/又は固形の物質を調製することができる。このような物質は、例えば、カプセル化、凍結乾燥、ペレット化、粉体化、錠剤化、乾燥、チャンバーの中での同じ又は異なる物質のスポッティングを含むスポッティング (アレイパターンと同一及び/又は異なる物質の複数のスポットを含む)、粒子、繊維、網状組織又はメッシュの形成、及びチャンバーの内面を含む、担体上への吸収及び/又は乾燥の産物であってもよい。これらの物質は、安定性又は耐久性の改善、有効性の向上、製造及び取り扱いのしやすさ、物質の正確な計量、温度、水分、酸素、及び電磁放射線を含む環境及び他のストレスからの保護、チャンバーの空間的に隔てられている区画内への装填、及び試料材料と処理材料との間の意図しない相互作用を含む容器内の異なる物質の、早すぎる、また悪影響のある相互作用からの保護などの利点を提供し得る。
チャンバー内に装填されている固形物は、ろ過、固定化、捕集、乾燥、検出(例えば、プローブ試薬、クロマトグラフィー、電気泳動法等)及び増幅(例えば、増幅オリゴヌクレオチド及び酵素試薬)のような機能にとって有用な場合がある。固体は、処理の進行中も変化しないままであるか、若しくは処理を開始する前、又は処理を開始した後に変化し得る。変化の種類には、溶解、懸濁液、スラリー又はゲルの形成、溶融、若しくは化学的、生化学的又は生物学的反応が含まれる。このような変化は、例えば、隣接するチャンバー内に装填され、又は形成された流体との相互作用、チャンバーの1つ又は複数の固形物の加熱、冷却、放射線照射、超音波分解、及び/又は電流若しくは磁場へさらすことによって引き起こされ得る。
物質は、手動又は半自動化された、若しくは自動化された方法を用いて容器内に装填される。容器内に装填することのできる特定の処理材料には、例えば、結合試薬(例えば、核酸、抗体、抗原、受容体及び/又はリガンド)及び信号発生因子を含む、乾燥した、及び/又は液体の試薬、洗浄試薬及びすすぎ試薬を含む溶媒、希釈剤、懸濁液、溶液、並びに粒子、ビーズ、及びろ過材を含む固相担体が含まれる。装填は、注ぎ込み、ピペッティング、注入、スポッティング、引き込み(例えば、真空又は注射器を利用)、排出、大気交換及び同様の操作等の手段によって実施され得る。チャンバー内に存在する空気の量を最低限度に維持することは、一般に好ましく、再現性に関して、同様のチャンバー内の空気/材料比は、同一の用途に用意された容器において実質的に一定に維持すべきである。物質を柔軟な容器内に装填する場合、物質は、好ましくは、容器の1つ又は複数の縁から装填されるチャンバー内へ伸びているアクセス開口部から装填される。図1Bは、以下に更に詳細に説明されている例示的な容器10内のアクセス開口部19、21、23、25、31、33、35を示す。物質の装填をしやすくし、また部分的に密封されているチャンバー側面を液状物質が毛管作用により上昇することを制御するために、容器の互いに対向する側面は、好ましくは吸引によって引き離される。乾燥された、又は固形の物質は、好ましくは最初に装填され、そのように装填されたチャンバーは、タックシールで一時的に密封され、これは、実質的に流体密のシールを形成し、水分の存在の影響を受けやすい、又は水分の存在によって変化する物質を保護する。次いで、液状物質が装填され、装填された物質とともにチャンバーに至るすべての開口部は、ヒートシールで密封される。
いくつかの処理材料は、装填の間に、チャンバーの側面を毛管作用により上昇しやすい傾向を示し、ある場合においては、隣接するチャンバー内に移動し、そこで、他の処理材料の性質、濃度及び/又は性能を変えることができる。例えば、増幅試薬及び酵素試薬が共に混合されるのが早すぎた場合、標的核酸に接触させる前に、これらの試薬の一部を消費する意図しない相互作用が発生する。この問題に対処するために、処理材料を装填する前にチャンバーに油(例えば、シリコーンオイル)を供給することにより、毛管作用による上昇効果が著しく低減し、処理の性能が向上することがわかった。また、容量近くまで満たされているチャンバーに、シリコーンオイルが入れられる場合、密封又は閉鎖処理の実施時の材料の喪失は、活性のある処理材料ではなく不活性の油に典型的には限定される。更に、熱に不安定な処理材料(例えば、酵素試薬)の上に配置される油層は、容器を密封閉鎖する時に用いられる高温から処理材料を絶縁する。
油の使用は、他にも利点があることがわかった。例えば、処理材料が、チャンバーの側面に沿って、若しくはチャンバーとチャンバーとの間の通路に隣接して定着する傾向のある粒子又はビーズ(例えば、磁気応答性粒子)が含まれる場合、油の使用は、チャンバーの中心に向かって粒子又はビーズを集中させやすくする。そうではなければ、粒子又はビーズを完全に再懸濁するのが困難になり、又は通路を詰まらせる場合があり、そのため、チャンバーとチャンバーとの間の物質の移動を妨げるか、又は干渉する可能性がある。更に、油は、他の方法では圧力がチャンバーに付与されたときに隣接する通路内の障壁を、完全に、又は適度に開くのに処理材料の量が不十分であるチャンバーの流体容積を増やすために用いることができる。また、油は不活性であるため、組み合わされた処理材料の相対的濃度に影響を及ぼさないであろう。油の他の利点は、チャンバーからの液状物質の蒸発を妨げることである。剛性部分を含む容器については、物質を剛性部分の中に形成されている空洞に供給するために、噴霧、スポッティング、又は他の何らかの方法により物質を空洞の表面に結合又は接着する操作のような手段、又は注ぎ込み若しくはピペッティングを用いることができる。また、処理材料は、ルアー接続部、隔壁又は弁のような再密封可能な開口部を通して、全部又は一部が容器に供給される。この後者の実施態様においては、物質は、手順が進行している間に容器に加えることができる。
試料材料を除くすべての物質は、好ましくは、容器に供給され、環境に対して密封されてから、使用のため出荷される。そうすることにより、容器とともに実施される処理は、実施しやすくなり、オペレータが誤る機会が最小限になり、容器又は関連する処理材料が汚染される危険性が小さくなる。予め装填されている物質は、使用前に物質が安定する形態で供給され、またそのように安定する状態に維持されなければならない。特に、これは、チャンバーを構成するために用いられる材料が、装填される物質に悪影響を及ぼし、意図されている機能又は性能を変えることがあり得ないことを意味する。同様に、装填されている物質は、それが保管されているチャンバーの機能又は性能に実質的な影響を及ぼすべきでない。
本発明の容器を用いて試験することのできる試料材料の種類には、流体試料と固体試料のいずれもが含まれる。容器を用いて試験することのできる流体試料には、例えば、尿、血液、唾液、粘液、精液、羊水、脳脊髄液、滑液、培養液、液状化学品、凝縮気体及び水が含まれる。容器を用いて試験することのできる固体試料には、例えば、組織、排泄物、土壌、植物、粉体、結晶、食物及びろ過材が含まれる。試料材料は、未処理形態又は処理済み形態で容器に供給され得る。処理済み試料は、生試料の成分を取り除くか、又は他の何らかの方法で材料をその元の状態から変えること等の方法で修正された試料である。例えば、固体試料については、興味のある検体が容器のチャンバーとチャンバーとの間を自由に移動できるように、固体材料を試料チャンバーに加える前、又は加えた後に試料に変更を加える必要がある場合がある。変更された状態においては、固体試料は、例えば、懸濁液、スラリー又は均等質の一部になるか、又は固体試料の液化された、又は溶解された形態をとりうる。
試料材料は、好ましくは、処理を開始する直前に、入口を通して容器の1以上の試料チャンバー内に導入されるが、処理工程のうちのいくつかは、試料材料を容器に加える前に開始又は完了する場合がある。入口は、アクセス開口部であってもよく、又は例えば、注射器若しくはオスルアー接続部を有する他のものを挿入するためのルアー接続部のメス部分を備えていてもよい。試料材料が、容器内で安定している場合は、試料材料は、使用する直前に容器に加える必要がない場合もある。容器を自動的使用するためには、一般的に、手動で、又は別の装填装置で、試料材料を容器の1つの試料チャンバー又は複数の試料チャンバー内に装填することが好ましい。試料材料が、関連する測定機器によって保持されている容器内に直接装填される場合には、偽陽性又は変化した結果をもたらす可能性のある容器間の持ち越し汚染が生じる可能性が高まる。本発明の柔軟な容器を用いて使用できる、又は用いるように適合され得る、このような1つの装填装置は、FastPack(登録商標)Sample Dispenser(カリフォルニア州カールズバッドのQualigen,Inc.)である。ある用途では、試料中にもし存在する場合には、検体の検出可能な量を確保するために、比較的大量の試料材料が必要になる場合がある。本発明の容器は、試料を処理するために用いられる、後続のチャンバーに比べて大きい試料チャンバーを含むように設計され得る。手動で、又は自動的に活性化される圧力手段を用いることにより、1つ又は複数の隣接するチャンバー内で一定分量の試料を順次処理して、試料の不要な成分を除去し、チャンバーとチャンバーとの間で移動する試料の容量又は大きさを小さくすることができる。望ましくない成分は、容器内の指定された廃棄物チャンバーに移すことができる。検体を試料の他の成分から分離することは、一般的に、チャンバー内の検体を固定化し、未結合の材料を除去し、更に洗浄試薬で1回以上洗浄することによって固定化された検体を精製することを含む。
容器の内容物を操作するための機器
本発明の容器は、好ましくは、容器のチャンバーの全部又は一部に作用してその中に収納されている物質の位置又は状態に影響を及ぼすことができる自動機器と一緒に用いられるように適合されている。このような作用には、チャンバーとチャンバーとの間で、又はチャンバーの中で物質を移動すること、チャンバーとチャンバーとの間の相互接続部を開閉すること、チャンバーとチャンバーとの間の障壁を補強すること、局所的又は全体的な加熱又は冷却を行うこと、例えば、興味のある1以上の検体の存在、量又は状態を示し得る1つ又は複数の信号又は他の物理的、化学的、生化学的、又は生物学的事象に関するスクリーニングを行うことが含まれる。このような作用の他の効果は、処理物質の混合、組み合わせ、溶解、再構成、懸濁、単離、洗浄、又はすすぎ、乾燥された、又は固形物質の操作、廃棄物質の除去、及び/又は容器内の処理を容易にするための試料物質のような物質の容量の低減を行うことができる。機器は、単一の容器内で物質を処理するために用いられ、又は同時であることを含み(すなわち、並列処理)、独立して、また所望の順序で、複数の容器内の物質を処理するように適合されていてもよい。機器は、単独で、又はシステム全体の一部として、好ましくは、処理の実施中、及び/又は処理が実施された後に、データ収集、分析、及び/又は提示を実施する機能を有する。機器の動作の全部又は一部は、コントローラが管理する。
機器は、チャンバーとチャンバーとの間で、及び/又はチャンバー内で物質を移動させるために容器と連携するように設計される。物質は、線形アクチュエータ又はローラーを用いること等により、1つ又は複数の押付外力をチャンバーの1つ又は複数の柔軟な表面に付与することによって、又は選択されたチャンバーの内容物と空気で連通し、及び/又は流体的に連通するピストンチャンバーに収納されているピストンを用いること等により、押付内力を付与することによって、容器内で移動することができる。また、真空を発生させ、チャンバーとチャンバーとの間に物質を引き込むか、又はチャンバーの異なる領域に物質を引き込むことができる。チャンバー内、また、チャンバーとチャンバーとの間の磁化物質、並びにそれらに関連する物質の移動の方向を決めるために磁場を用いてもよい。チャンバーとチャンバーとの間、又はチャンバー内で、物質を移動させるための他の手段には、遠心力、重力、電気力、毛管現象、対流、超音波処理、放射線照射等が含まれる。特に好ましい実施態様においては、物質を隣接するチャンバー内に押し込むか、又はチャンバー内で物質を移動させるために、1つのアクチュエータパッド又はその組み合わせが用いられる。アクチュエータの組み合わせの使用は、隣接するチャンバー内への物質の連続移動又はチャンバー内の物質の混合を容易にする。
好ましい一様式においては、破裂性ヒートシールは、容器の隣接するチャンバーの少なくとも一部の間の接続通路を遮断し、チャンバーとチャンバーとの間の物質の移動を妨げる障壁をなす。連携する機器のアクチュエータ駆動圧縮パッドを用いて、チャンバーに圧力を付与し、それにより、シールを引き剥がし(例えば、破裂)、チャンバーの物質の一部又は全部が隣接するチャンバーの中に入るようにできる。開いたシールによって物質が双方向に流れることが可能である場合、少なくとも1つのアクチュエータを、物質の逆流防止用の締め付け装置として用いることが望ましい場合がある。アクチュエータは、シールが開くのが早すぎないようにするクランプとして用いることもできる。例えば、チャンバーは、複数の他のチャンバーに直接接続できる。物質の流れを所望のチャンバーに集中させるために、アクチュエータをクランプとして用い、不要なチャンバーとの密封されている相互接続部を補強することによって、利用されていないチャンバーを密封する。アクチュエータは、シールが備えられていない場合に物質の流れを制御するためにも用いることができる。
種々の能動的及び受動的手段によって、1つのチャンバー又は複数のチャンバー内の物質を機器内で混合することができる。物質を混合する「能動的」方法は、押付力のような機械力の付与を伴うが、物質を混合する「受動的」方法は、重力のように機械力の付与を伴わない。一つの方法においては、物質は、一方のチャンバーの物質が第2のチャンバー内に移動し、第2のチャンバーの物質と接触するときに流れの力によって混合される。他の方法においては、物質は、2つのチャンバーを連結する通路の制約空間に物質の1つが力で通されるときに乱流によって混合される。また、2つのチャンバーの物質は、2つのチャンバーの間に組み合わされた物質を押し込んで行ったり来たりさせることによって混合することができる。更に他の混合方法は、チャンバーに隣接する複数のアクチュエータを用いて、チャンバーの異なる領域の間に組み合わされた物質を押しやることを含む。この実施態様の一用途においては、アクチュエータは、対応するリング部材とスライドする形で係合する光検出装置(例えば、蛍光光度計)の移動可能な光学素子であり、この光学素子及びリング部材は、一般に、関連するチャンバーの形状に適合し、混合を行うためにチャンバーと交互に係合する。他のアプローチにおいては、混合は、第1のチャンバーから第1の物質を押し上げて第2のチャンバーに入れることによって実施され、そこで、第2の物質と組み合わされ、次いで、重力の補助により組み合わされた物質を第1のチャンバーに戻すことが可能である。この手順は、所望の程度の混合が得られるまで繰り返すことができる。他の混合手順は、例えば、加熱及び/又は冷却を行い、固体粒子を用い、又は用いずに、対流混合又は超音波処理を実施する方法が含まれる。
機器及び容器は、物質の成分を操作するために連携することもできる。例えば、容器の1個以上のチャンバーは、機器が能動的又は受動的に物質をフィルタに通すときに物質の構成要素を取り除くための1つのろ過材、又は一連のろ過材を含んでいてもよい。物質から取り除かれる構成要素は、処理に干渉する可能性のある試料材料の成分又はビーズ、粒子、ロッド、繊維等のような試料材料を処理するために用いられる固相担体を含み得る。これらの固相担体は、例えば、検体を、直接的に又は間接的に結合するために、又は試料の成分を結合するために用いることができる。他のアプローチにおいては、機器は、容器に遠心力を与えることによって材料中の固相担体又は固体物質をチャンバー内で濃縮させるように適合されている。他のアプローチにおいては、チャンバー内に存在する磁気応答性粒子は、機器の構成要素によって加えられる磁力によって操作できる。特定のチャンバー内に存在する磁性粒子を分離することによって、粒子に結合されている物質はチャンバー内に留まるが、結合していない物質は、チャンバーから取り除くことができる。不要な材料から必要な材料を分離することに加えて、試料材料の容量を減らしやすくするために、ビーズ及び粒子のような固相担体も、本発明の容器内で用いることができる。場合によっては、試料材料の初期容量は、検出及び/又は定量化のために、興味のある検体が十分にあるようにするために比較的大きなものである。しかし、ある場合には、初期容量は、容器内の試料材料の実用的な処理を行うには大きすぎる。本発明の機器及び容器は、例えば、試料収容チャンバー内の固相担体(例えば、磁気応答性粒子)上で検体を固定化し、そのチャンバー内の固相担体を分離し(例えば、粒子を磁場にさらす)、次いで試料収容チャンバーから試料材料の残留物を取り除き、それを指定された廃棄物チャンバーに捨てる力を発生させることによってこの問題に対処することができる。また、この同じ手順は、試料材料を一定分量とって徐々に移動し、分離し、別々に処理することによって試料収容チャンバーより小さい容積容量を有する容器の隣接するチャンバーで実施することができる。固相担体を小さなチャンバーに置くか、移動すると、試料材料の処理は、より効率的なものとなり、また処理材料の消費量も少なくなる。
検体を精製するために、指定された試料処理チャンバーで洗浄試薬を用いて固相担体を1回以上洗浄することができる。洗浄手順を実施するときに、機器によって1又は複数の力を加えることで、試料処理チャンバーの中で固相担体を分離されたままにするか、又は他の形で濃縮させるか、又は洗浄試薬中に再懸濁させてもよい。洗浄試薬中に固相担体を再懸濁する場合、容器を攪拌する等の混合操作、洗浄試薬チャンバーから試料処理チャンバーへの洗浄試薬の乱流による移動、又は押付力を用いる試料処理チャンバーの内容物の混合が伴ってもよい。適切な滞留時間が経過した後、固相担体は、再び、分離されるか、又は他の形で濃縮され、洗浄試薬が試料処理チャンバーから廃棄物チャンバーに移動するようにできる。この処理は、必要に応じて繰り返すことができる。
機器は、1以上のチャンバーの熱的条件を制御するか、又は機器内の温度を均一に維持するための要素を含んでいてもよい。特定の処理を実施するのに用いられる熱的制御要素の選択において考慮すべき要素には、所望の温度範囲、温度の変化率、温度の正確さ、精度及び安定性、ゾーン内の加熱及び/又は冷却若しくは均一温度が必要かどうか、並びに温度制御機能に対する外部条件、並びに機器の熱発生構成要素(例えば、モーター)の影響を決定することが含まれる。チャンバー又はチャンバーのサブセットの加熱及び/又は冷却は、1以上のチャンバーの熱的条件を変化させるために、例えば、電気的変化、放射線、マイクロ波、超音波処理、対流、伝導、強制換気、化学反応(例えば、発熱反応及び吸熱反応)、生物学的活動(例えば、熱を発生する成長)、循環流体(例えば、加熱された水又はフレオン)等を用いる熱制御要素で実施することができる。また、機器を、インキュベータ又は冷蔵庫のような温度制御環境内に配置して、 均一温度を維持してもよい。
好ましい機器は、容器が機器の中に適切に装填された場合、チャンバーの集合体、又は特定の1つのチャンバー又は1つのチャンバーの領域に配置する、銅又はアルミニウムのプレートのような熱伝導プレートを備える。各プレートの温度は、例えば、熱電素子の使用によって制御され得る。熱電素子中を流れる電流の方向に応じて、熱電素子中の異なる導体の接合部は熱を吸収するか、又は放出する。従って、熱電素子は、チャンバー又はチャンバーの領域の加熱及び/又は冷却に用いることができる。熱電素子の他の利点には、その大きさ、可動部又は振動がないこと、温度変化が速いこと、高精度の温度制御、並びにCFC又は動流体がないこと等が含まれる。
実際、熱伝導プレートは、適切に装填された容器内で加熱又は冷却されるチャンバー又はチャンバーの領域の概ね近くにあるように、好ましくは接触するように機器内に配置されている。これらのプレートは、Ultem(登録商標)ポリイミド熱可塑性樹脂又はDelrin(登録商標)アセチル樹脂のような、非伝導性材料を用いて、お互いに隔てられる。熱電素子の使用により、熱は、伝導、対流又は輻射によって伝えられる。
他の実施態様においては、熱制御要素の全部又は一部は、チャンバーの局部的加熱又は冷却を行うアクチュエータに関連付けることができる。
機器は、好ましくは、信号又は他の物理的、化学的、生化学的又は生物学的事象を検出するための少なくとも1つの検出器を含む。検出器は、1つの検体又は複数の検体が試料材料中に存在するかどうか、又は変更された状態で存在するかどうかを検出するために用いることができる。検出器は、マイクロプロセッサと連携して、試料材料中に存在する1つの検体又は複数の検体の量に関する情報を提供することもできる。本発明で考えられる検出器としては、蛍光光度計、照度計、分光光度計、赤外線検出器及び電荷結合素子が含まれる。これらの種類の各検出器又はこれらの検出器に関連付けられている信号受信構成要素は、種々の種類の信号を検出できるように検出チャンバーに隣接する位置に置くことができる。検出器は、静止している容器の異なるチャンバーに隣接する位置に置けるように可動プラットフォーム上に取り付けることができる。また、複数の種類の検出器をプラットフォーム上に移動可能なように取り付けて、異なる処理に対し異なる検出方法を実施しやすくすることができる。機器は、同時に異なるチャンバーから放射される信号を検出するために、同一又は異なる種類の複数の検出器を含んでいてもよい。また、光ファイバーは、各位置から信号を収集し、この情報を容器から離れた静止部位にある1つの検出器又は複数の検出器に伝送するために用いることができる。また、可動検出器と組み合わせた光ファイバー配置構成も考えられる。例えば、放射性標識、磁気標識、電子標識、ラマン散乱、表面プラズモン共鳴、気体、濁度、又は質量、密度、温度、電子若しくは色の変化を検出するために他の可能な検出器を用いることも可能である。
容器の使用
本発明の容器は、種々の処理を実施するために、単独で、又は連携する機器と組み合わせて用いることができる。このような処理には、例えば、試料の他の成分から興味のある検体を単離又は分離すること、試料又は試料の成分を試料を分析するために必要な試薬及び条件にさらすこと、及び/又は組成、配置、容量、量、質量、伝導性、濁度、色、温度等の変化のような検出可能な変化をもたらす化学反応、生化学的反応又は生物学的反応を実施することが含まれる。上述のように、容器は、非順次的に実施される作用を必要とする、又は利用する用途において用いるのに特に適している。これらの種類の用途としては、抗原−抗体、核酸−核酸、及び受容体−リガンドの相互作用のような検出可能な結合相互作用を伴う複雑な試験又はアッセイが含まれるが、これらに限定されない。
本発明の容器内で実施することができる、核酸をベースとするアッセイは、標的核酸の直接的検出又は試料中に標的核酸が存在することを示す増幅産物の検出に依存し得る。直接的検出は、例えば、遺伝子発現、染色体異常、又は病原体に関連する標的配列の存在を高い感度で判定するために十分な量の標的核酸が試料中にあることが要求される。非ウイルス生命体にはリボソームRNA(rRNA)の細胞量が多く、生命体の系統発生学的に一貫しているグループをお互いに区別することを可能にする配列保存があるため、rRNAは、病原体(例えば、細菌、真菌又は酵母)の存在を判定するように設計されている直接的検出アッセイのための理想的な標的である。例えば、Kohne、「Method for Detecting, Identifying,and Quantitating Organisms and Viruses」、米国特許第5,288,611号、及びHoganら、「Nucleic Acid Probes for Detection and/or Quantitation of Non−Viral Organisms」、米国特許第5,840,488号を参照されたい。標的とする核酸の種類に関係なく、直接的検出アッセイの感度は、標的核酸に結合する1つのプローブ又は複数のプローブ複合体が検出のための複数の標識を有する信号増幅手順によって改善でき、これにより、試料中の標的の量に影響を及ぼすことなくアッセイの信号を増大することができる。例えば、Hoganら、「Branched Nucleic Acids」、米国特許第5,424,413号、及びUrdeaらの「Nucleic Acid Multimers and Amplified Nucleic Acid Hybridization Assays Using the Same」、米国特許第5,124,246号を参照されたい。標的核酸配列のコピー数を増やす必要のない他の増幅の形態はプローブ増幅であり、これは、リガーゼ連鎖反応(LCR)のような処理を含む。LCRは、核酸配列の複数のコピーを生成するためにプローブのハイブリダイゼーション及びライゲーションの繰り返しサイクルを使用する。例えば、Birkenmeyerら、「Amplification of Target Nucleic Acid Using Gap Filling Ligase Chain Reaction」、米国特許第5,427,930号を参照されたい。他の考えられる信号増幅手順には、Third Wave Technology社のInvader(登録商標)化学を利用するものが含まれる。例えば、Kwiatkowskiら、 「Clinical,Genetic,and Pharmacogenetic Applications of the Invader Assay」、Mol. Diagn.(1999年)4(4):353−64を参照されたい。
標的核酸増幅は、増幅オリゴヌクレオチド(例えば、プライマー)及びポリメラーゼを用いて増幅される鋳型核酸配列に相補的な、又は相同的な配列を含む核酸増幅産物(コピー)を酵素的に合成することを含む。増幅産物は、転写ベースの増幅手順で生成される伸長産物又は転写物であってもよい。増幅オリゴヌクレオチドは、溶液中に遊離した状態で、反応混合物へと供給されるか、又は増幅オリゴヌクレオチドのうちの1つ以上が、容器内の1つのチャンバー又は複数のチャンバーの内面を含む、固相担体上に固定化され得る。例えば、Adamsら、「Method for Performing Amplification of Nucleic Acid with Two Primers Bound to a Single Solid Support」、米国特許第5,641,658号、及びBrowneの「Nucleic Acid Amplification and Detection Method」、米国特許出願公開第2005−0287591A1号を参照されたい。当該技術分野において実施される核酸増幅手順の例には、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、鎖置換増幅(SDA)、ヘリカーゼ依存性増幅(HDA)、ループ媒介等温増幅(LAMP)、及び転写媒介増幅(TMA)、核酸配列をベースとする増幅(NASBA)、及び自家持続配置複製法(3SR)を含む種々の転写をベースとする増幅手順が含まれる。例えば、Mullis、 「Process for Amplifying,Detecting, and/or Cloning Nucleic Acid Sequences」、米国特許第4,683,195号、Walker、「Strand Displacement Amplification」、米国特許第5,455,166号、Kongら、「Helicase Dependent Amplification of Nucleic Acids」、米国特許第7,282,328号、Notomiら、「Process for Synthesizing Nucleic Acid」、米国特許第6,410,278号、Kacianら、「Nucleic Acid Sequence Amplification Methods」、米国特許第5,399,491号、Beckerら、「Single−Primer Nucleic Acid Amplification Methods」、米国特許第7,374,885号、Malekら、「Enhanced Nucleic Acid Amplification Process」、米国特許第5,130,238号、及びLizardiら、(1988年)BioTechnology 6:1197を参照されたい。いくつかの手順では、検出可能な増幅産物の形成は、初期抗体/抗原相互作用に依存する。例えば、Cashman、「Blocked−Polymerase Polynucleotide Immunoassay Method and Kit」、米国特許第5,849,478号を参照されたい。核酸増幅は、試料中に存在する検体(例えば、標的核酸、抗原又は抗体)の量が極めて少ない場合に特に有用である。検体に関連付けられている標的配列を増幅し、合成された増幅産物を検出することによって、アッセイの感度は、大幅に改善されるが、それは、検体の検出を確実に行うについてのアッセイの開始時に必要な検体が少なくて済むからである。
標的核酸増幅反応の条件は、実質的に等温的であるか、又はPCR温度サイクルの場合のように、周期的温度変化を必要とする場合がある。上述の機器は、一定の温度又は周囲温度を供給することができるか、又は機器内、若しくは容器の特定のチャンバーに影響を及ぼす機器の特定のゾーン内の全体的な温度を変動させるように修正され、プログラムされ得る。標的核酸増幅反応は、「リアルタイム」又は「エンドポイント」アッセイのいずれであってもよい。本発明の機器でリアルタイムアッセイを実施する際に用いるのに特に適している小型で軽量な多チャネル蛍光光度計について以下に説明する。リアルタイム増幅アッセイは、増幅反応が生じているときに標的増幅産物の量を定期的に測定することを含み、これにより試料中に存在する検体(例えば、標的核酸)に関する定性的情報を簡単に供給することができるが、エンドポイント増幅では、増幅反応が発生した後に標的増幅産物の量を測定するため、一般的には、試料中に存在する検体に関する定性的情報を供給するには有用である。増幅反応の間に、又は増幅反応の完了時に収集された信号情報に基づき試料中に元から存在していた標的核酸又は他の検体の量を算出するためのアルゴリズムには、Wittwerら、「PCR Method for Nucleic Acid Quantification Utilizing Second or Third Order Rate Constants」、米国特許第6,232,079号、Sagnerら、「Method for the Efficiency−Corrected Real−Time Quantification of Nucleic Acids」、米国特許第6,691,041号、McMillanら、「Methods for Quantitative Analysis of a Nucleic Acid Amplification Reaction」、米国特許第6,911,327号、Lightら、「Method for Determining the Amount of an Analyte in a Sample」、米国特許出願公開第US2006−0276972A1号、Chismarら、「Method and Algorithm for Quantifying Polynucleotides」、米国特許出願公開第US2006−0292619A1、及びRyderらの「Methods for Determining Pre−Amplification Levels of a Nucleic Acid Target Sequence from Post−Amplification Levels of Product」、米国特許第5,710,029号で開示されているものが含まれる。また、増幅条件及び試薬が、増幅に適していることを確認するために、一般的には、核酸増幅反応の開始時に内部対照配列を用意することが望ましい。例えば、Wangら、「Quantitation of Nucleic Acids Using the Polymerase Chain Reaction」、米国特許第5,476,774号を参照されたい。
標的核酸の検出は、インサイチュー又はインビトロであってもよい。例えば、Grayら、「Methods for Chromosome−Specific Staining」、米国特許第5,447,841号を参照されたい。インビトロアッセイについては、細胞を溶解するか、又は透過化して、最初に標的核酸を遊離させ、検出プローブとのハイブリダイゼーションに利用できるようにする必要がある場合がある。例えば、Clarkら、「Method for Extracting Nucleic Acids from a Wide Range of Organisms」、米国特許第5,786,208号を参照されたい。細胞が溶解する場合、結果として得られる溶解物の内容物は、核酸に加えて、 細胞小器官、タンパク質(プロテアーゼ及びヌクレアーゼのような酵素を含む)、炭水化物類及び脂質を含む場合があり、核酸を更に精製することが必要になる場合がある。更に、病原生物については、それらの生物の化学的又は熱的不活性が望ましい場合がある。細胞を、本発明の容器内に試料を装填する前に溶解又は透過化するか、若しくは容器の試料チャンバー又は他のチャンバーに、この機能を実施するための薬剤を予め充填してもよい。細胞は、化学的手段、機械的手段(例えば、超音波処理)、及び/又は熱的手段を含む、当業者に周知の種々の手段によって溶解又は透過化することができる。好ましい細胞融解物質の1つを、以下の実施例の項で説明する。
遊離した核酸は、標的配列の検出及び/又は増幅に干渉する阻害剤として作用しうる他の試料成分から容器内で単離又は分離され得る。潜在的に干渉する成分の存在は、試料の種類に依存して変化し、遊離した核酸及び標的にされた核酸を消化し得るヌクレアーゼのような細胞溶解物の成分を含み得る。ある種の望ましくない試料成分は、ろ過材、ビーズ、繊維、膜、ガラスウール、ろ紙、ポリマー又はゲルのような材料をチャンバーに供給することにより、沈殿又は固相捕捉を通じて標的核酸から分離することができる。適切なろ過材には、ガラス、繊維ガラス、ナイロン、ナイロン誘導体、セルロース、セルロース誘導体及び他のポリマーが含まれる。また、固相材料を用いることにより、細胞、胞子、又は微生物等を溶解するための試料成分を捕捉することができ、それらの成分は、物理的に保持することによって捕捉され得る(例えば、大きさ排除、親和性保持又は化学的選択)。
核酸を捕捉するための種々の固相方法が、当該技術分野において公知であり、本発明の容器で用いるように容易に適合され得る。これらの方法は、標的核酸に特異的である場合も、非特異的である場合もある。このような方法の1つは、固相可逆固定化であり、カルボキシル基被覆表面を有する磁性微粒子上への核酸の選択的固定化に基づくものである。Hawkins、「DNA Purification and Isolation Using Magnetic Particles」、米国特許第5,705,628号を参照されたい。他の方法においては、ポリ(dT)配列が誘導体化されている磁性粒子は、5’ポリ(dA)テール及び3’標的結合配置を有する捕捉プローブに結合する。例えば、Weisburgら、「Two−Step Hybridization and Capture of a Polynucleotide」、米国特許第6,534,273号を参照されたい。更に他の通常に用いられる方法は、細胞を溶解し、ヌクレアーゼを不活性化する薬剤として知られているチオシアン酸グアニジニウムの存在下に核酸をシリカ又はガラス粒子に結合する。更に他のアプローチは、 ChargeSwitch(登録商標)Technologyをベースとするものであり、周囲の緩衝液のpHに対し電荷依存性を有する切替可能な表面を形成して核酸の精製を容易にする磁気ビーズベースの技術である(カリフォルニア州カールズバッドのInvitrogen Corporation、カタログ番号CS12000)。低pH条件においては、ChargeSwitch(登録商標)Magnetic Beadsは、負に帯電した核酸骨格と結合する正電荷を有する。タンパク質及び結合しない他の汚染物質を洗い落とすことができる。pHを8.5に上げることにより、表面上の電荷が中性化し、結合している核酸が溶離する。
他のアプローチにおいては、標的核酸(又は標的核酸にも結合している中間オリゴヌクレオチド)に結合することができる捕捉プローブは、容器の製造時に指定された試料処理チャンバーの内面に、共有結合により、又は非共有結合により吸着する。吸着化学は当業者に周知であり、オリゴヌクレオチド及びビオチン標識オリゴヌクレオチドの共有結合のためのアミン及びカルボン酸修飾表面、並びに非共有結合のためのアビジン及びストレプトアビジン被覆表面を含む。このアプローチを用い、試料処理チャンバーに導入された標的核酸は、チャンバーの表面上に固定化され、また、液体及び他の非結合材料は、粒子又はビーズを固定化又は捕捉しないでも取り除くことができる。試料を他の材料から分離した後、標的核酸は、増幅及び検出のため表面上に固定化されたままとなるか、又は捕捉プローブから最初に溶離する。また、捕捉プローブを、試料処理チャンバーに配置されている、スポンジのような多孔質固相担体上に固定化することも可能である。
本発明で使用するのに適している捕捉プローブは、標的核酸に対し特異的であるか、又は非特異的であるものとすることができる。特異的捕捉プローブは、所定の一組の条件の下で標的核酸と結合し、試料中に存在し得る非標的核酸と結合しないように選択された標的結合領域を含む。非特異的捕捉プローブは、使用条件下で標的核酸と非標的核酸とを区別しない。縮重(wobble)捕捉プローブは、非特異的捕捉プローブの一例であり、少なくとも1個のランダム又は非ランダムポリ(K)配列を含むことができ、ただし、「K」は、グアニン塩基、チミン塩基又はウラシル塩基を表すものである。本明細書と共有を享受する Beckerら、「Methods of Nonspecific Target Capture of Nucleic Acids」、米国特許出願第11/832,367号を参照されたい。シトシンとの水素結合に加えて、そのピリミジン相補体であるグアニンは、チミン及びウラシルとも水素結合する。各「K」は、イノシン又はネブラリンのような縮重ヌクレオシド、3−ニトロピロール、5−ニトロインドール又は4−メチルインドンのようなユニバーサル塩基、又はdP若しくはdKのようなピリミジン又はプリン塩基類似体をも表わし得る。縮重捕捉プローブのポリ(K)配列は、標的核酸を非特異的に結合するのに十分な長さであり、その塩基長は好ましくは6から25塩基長である。
標的核酸、又は関連する増幅産物を検出するためのフォーマットは、不均一及び均一の2種の基本的カテゴリに分けることができる。これらの検出フォーマットは、いずれも、本発明の容器において用いるように適合され得る。不均一検定は、未結合プローブから結合プローブを分離するための工程を含むが、均一検定ではそのような物理的な分離工程は用いられない。多数の不均一及び均一の検出法が、当該技術分野において知られている。例えば、Jung、P.ら、1997、 「Labels and Detection Formats in Amplification Assays」、In Nucleic Acid Amplification Technologies、eds.Lee、H.ら、135−150、Natick、MA:BioTechnique Booksを参照されたい。
物理的分離工程を使用するアッセイ方法は、分離処理でガラス、鉱物又は高分子材料のような固相マトリクスを使用する方法を含む。この分離は、プローブ:検体複合体を固相マトリクスに優先結合することを含むが、関連していないプローブ分子を液相に残すことができる。このような結合は、例えばヒドロキシアパタイトの場合ように、非特異的であるか、又は例えば固相担体上に直接的又は間接的に固定化されている捕捉プローブと標的核酸との配列特異的相互作用を通して特異的であるものとすることができる。このような場合には、洗浄ステップの後の固相担体に結合されているプローブ残留物の量は、試料中 の検体の量に比例する。
また、アッセイは、ハイブリダイゼーションされていないプローブを優先結合することを含んでいてもよいが、プローブ:検体複合体は、液相に残される。この場合、洗浄工程の後の液相中のプローブの量は、元の試料中の検体の量に比例する。プローブが核酸又はオリゴヌクレオチドである場合、固相担体は、ヒドロキシアパタイトのような吸着剤、ポリカチオン性部分、疎水性又は「逆相」材料、DEAEのようなイオン交換マトリクス、ゲルろ過マトリクス、又はこれらの固相材料のうちの1以上の材料の組み合わせを含むが、これらに限定されない。固相担体は、1以上のオリゴヌクレオチド、又は他の特異的結合部分を含み、プローブ、標的又はその両方を、直接的又は間接的に捕捉することができる。ゲルろ過材、ポリアクリルアミドゲル又はアガロースゲルのような媒質の場合、分離は、オリゴヌクレオチドの結合によらないが、異なる大きさ又は形状の分子の分子篩によって引き起こされる。後者2つの場合において、分離は、電流をゲルに流して、二本鎖及び一本鎖の核酸等の、異なる大きさ又は形状の核酸のゲルを通る示差泳動を引き起こすことによる電気泳動法で駆動され得る。
不均一アッセイ法は、興味のある検体を含むと思われる試料を加える前にプローブを固相マトリクスに結合することを含んでいてもよい。所望の核酸が試料混合物中に存在する場合、その所望の核酸が標識されるであろう条件の下で試料を標識に接触させることができる。固相マトリクスは、プローブとマトリクスとの間に共有結合が形成されるように誘導体化又は活性化してもよい。また、プローブは、イオン性基質、疎水性基質、逆相基質、免疫結合基質、キレート基質及び酵素基質(これらに限定されない)の相互作用を含む、強い非共有結合相互作用を通じてマトリクスに結合することができる。マトリクス結合プローブが、ハイブリッドの形成を可能にする条件の下、標識された核酸にさらされた後、未結合の標識された検体を除去するように、固相マトリクスを洗浄することによって分離工程が実施される。逆に、検体を固相マトリクスに結合し、標識されたプローブに接触させて、標識の検出前に過剰な遊離プローブをマトリクスから洗い落とすことができる。
上記のように、均一検定は、固相分離ステップなしで溶液中において実施され、通常は、遊離プローブとプローブ:検体複合体との間の化学的相違を利用する。均一又は不均一フォーマットにおいて用いることのできるアッセイ系の一例は、ハイブリダイゼーション保護アッセイ(HPA)である。Arnoldら、「Homogenous Protection Assay」、米国特許第5,283,174号を参照されたい。HPAにおいては、プローブは、化学発光部分に結合し試料と接触し、次いで、 プローブ:検体複合体に結合している化学発光試薬を変えることなくハイブリダイゼーションしていないプローブに結合している化学発光試薬を変える条件の下で選択的化学分解又は安定性の検出可能な変化にさらされる。その後、化学発光反応が開始すると、ハイブリッド関連標識が光を放射する。
他の均一検定は、標的核酸の存在を示す検出可能な信号変化をもたらすために検出プローブ又は増幅プライマーに物理的変化を加えることに依存する。検出可能な物理的変化を受けることができるプローブ及びプライマーには、分子ビーコン又は分子トーチのような自己ハイブリダイゼーションプローブ、二分子プローブ、Applied Biosystems社から市販されているTaqMan(登録商標)プローブ、Invitrogen Corporationから市販されているLux(商標)プライマー、及び信号プライマーが含まれるが、これらに限定されない。例えば、Tyagiら、(1996)Nature Biotechnology14巻(3):303−308、Beckerら、「Molecular Torches」、米国特許第6,849,412号、Morrison、「Competitive Homogeneous Assay」、米国特許第5,928,862号、Tappら、(2000)BioTechniques 28(4):732〜738頁、Nazarenko(2006)Methods Mol.Biol.335:95−114、及びNazarenko(1997)Nucleic Acids Res.25(12):2516−2521頁を参照されたい。これらのプローブ及びプライマーはそれぞれ、関連するレポーター部分(例えば、蛍光分子)の検出可能な変化をもたらすために標的核酸とのハイブリダイゼーションの後のプローブ又はプライマーの立体構造変化に基づくものである。ハイブリダイゼーションの前に、レポーター部分からの信号は、関連するクエンチャー部分によって変化し、Luxプライマーの場合には、このクエンチャー部分は、プライマー配置の3’末端の近くに配置されているグアニンである。
リアルタイム増幅反応において用いるための特に好ましい検出プローブは、プローブが自己ハイブリダイゼーションしているままであるか、又は増幅産物に結合するかに応じて示差検出可能な信号を発する自己ハイブリダイゼーションプローブである。これらのプローブは、溶液中に遊離しているか、又は固相担体上に 固定化された状態で、反応混合物に供給され得る。例えば、Cassら、「Immobilized Nucleic Acid Hybridization Reagent and Method」、米国特許第6,312,906号を参照されたい。都合のよいことに、これらは、増幅反応が開始する前、開始した後、又は開始時にも反応混合物に供給してもよい。これらのプローブが、固相担体上に供給される場合、固相担体は、さらに、標的核酸配列を増幅するために1以上の固定化された増幅オリゴヌクレオチドを含むことができる。好ましい自己ハイブリダイゼーションプローブは、分子ビーコン及び分子トーチを含む。
分子ビーコンは、標的相補配列、標的核酸配列が存在しない場合の閉鎖型立体配座内にプローブを保持する親和性対(又は核酸若しくは核酸類似体のアーム若しくはステム)、及びプローブが閉鎖型立体配座内にある場合に相互作用する標識対を有する核酸分子又はその類似体を含む。Tyagiら、 「Detectably Labeled Dual Conformation Oligonucleotide Probes,Assays and Kits」、米国特許第5,925,517号を参照されたい。標的核酸のハイブリダイゼーション及び標的相補配列は、親和性対のメンバーを分離し、プローブを開放型立体配座にシフトする。開放型立体配座へのシフトは、例えば、蛍光プローブ及びクエンチャー(例えば、DABCYL及びEDANS)であってもよい、標識対の相互作用が低減されるため検出可能である。
分子トーチは、「標的結合」及び「標的閉鎖」ドメインと呼ばれる、自己相補性の明確に区別できる領域を有する。これらのドメインは、連結領域によって結合し、所定のハイブリダイゼーションアッセイ条件の下で互いにハイブリダイゼーションする十分な相補性を有する。変性条件にさらされたとき、相補領域が融解し、所定のハイブリダイゼーションアッセイ条件が復元されたときに標的配列とのハイブリダイゼーションに利用可能な標的結合ドメインが残される。また、鎖置換条件にさらされたときに、標的配列の一部は標的結合ドメインに結合し、これにより、標的閉鎖ドメインが標的結合ドメインから移動する。分子トーチは、標的結合ドメインが標的閉鎖ドメインよりもの標的配列と優先的にハイブリダイゼーションするように設計される。分子トーチの標的結合ドメイン及び標的閉鎖ドメインは、分子トーチが自己ハイブリダイゼーションされたときに、標的核酸にハイブリダイゼーションされるときと異なる信号が発生するように配置された相互作用標識を含み、そのため、存続可能な1以上の標識が関連付けられているハイブリダイゼーションされていないプローブの存在下で試験試料中のプローブ:標的複合体の検出を行うことができる。
プローブが立体構造変化を受けたかどうかを判定するために、異なる種類の相互作用部分を用いることができる。例えば、相互作用部分は、ルミネッセンス発光/クエンチャー対、ルミネッセンス発光/付加体対、フォレスターエネルギー移動対、又は色素二量体であってもよい。複数の種類の標識が、特定の分子上に存在し得る。
ルミネッセンス発光/クエンチャー対は、化学発光又は蛍光発光部分のような1以上のルミネッセンス発光部分と1以上のクエンチャーとで構成される。好ましくは、蛍光発光/クエンチャー対は、立体構造変化を受けたプローブを検出するために用いられる。蛍光発光部分は、特定の波長、又は波長帯の光を吸収し、特定の放射波長、又は波長帯を有する光を発する。クエンチャー部分は、励起された蛍光発光部分から発する信号を部分的又は完全に減衰する。クエンチャー部分は、異なる蛍光プローブから発生する信号を減衰することができる。例えば、DABCLY([4−(4’−ジメチルアミノフェニルアゾ)安息香酸])は、EDANS(5−(2’−アミノエチル)アミノアフタレン−1−スルホン酸)、ローダミン及びフルオレセインから発生する 信号の約95%をクエンチすることができる。
種々の数及び種類の蛍光発光及びクエンチャー部分を用いることができる。例えば、複数の蛍光発光部分を用いることによって、開放分子ビーコン又はトーチからの信号発生を増加させることができ、また複数のクエンチャー部分を用いることによって、標的配列が存在しない場合に、励起された蛍光発光分子が信号をほとんど、又は全く発生しないことを確実にできる。蛍光プローブの例には、アクリジン、フルオレセイン、スルホローダミン101、ローダミン、EDANS、Texas Red、Eosine、Bodipy及びルシファーイエローが含まれる。例えば、Tyagiら、(1998)Nature Biotechnology 16:49−53頁を参照されたい。クエンチャーの例には、DABCYL、タリウム、セシウム、及びp−キシレン −bis−ピリジニウムブロマイドが含まれる。
ルミネッセンス発光/付加体対は、1以上のルミネッセンス発光部分及び(複数の)ルミネッセンス発光分子と一緒に印加体を形成し、その結果、(複数の)ルミネッセンス発光分子からの信号発生を弱めることができる1以上の分子で構成される。溶液中に遊離しているリガンドを用いてルミネッセンス発光分子からの信号を変えるために印加体形成を用いることについては、Beckerら、「Adduct Protection Assay」、米国特許第5,731,148号に開示されている。
フォレスターエネルギー移動対は、2つの部分からなり、第1の部分の発光スペクトルは第2の部分の励起スペクトルと重なっている。第1の部分を励起し、第2の部分の放射特性を測定して、これらの部分が相互作用しているかどうかを判定することができる。フォレスターエネルギー移動対の例としては、フルオレセイン及びローダミン、ニトロベンズ−2−オキサ−1,3−ジアゾール及びローダミン、フルオレセイン及びテトラメチルローダミン、フルオレセイン及びフルオレセイン、IAEDANS及びフルオレセイン、並びにBODIPYFL及びBIODIPYFLを含む対が含まれる。
色素二量体は、二量体の形成により相互作用する2種の色素を含み、色素が二量体立体配座でない場合と異なる信号を発生する。例えば、Packardら(1996)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:11640−11645を参照されたい。
一般的に、均一検定は好ましいが、特異的核酸ハイブリダイゼーションを監視するために用いることのできる標識及び検出システムは、いずれも本質的に本発明の容器とともに用いることができる。有用な標識の集合体には、放射性標識、挿入色素、酵素、ハプテン、結合オリゴヌクレオチド、化学発光分子及び電子検出法に従う酸化還元活性部分が含まれる。好ましい化学発光分子には、ハイブリダイゼーション保護検定(HPA)とともに用いられる、Arnoldら、「Homogeneous Protection Assay」、米国特許第5,283,174号に開示されている種類、及び単一反応において複数の標的を定量化する検定と一緒に用いられる、Woodheadら、「Detecting or Quantifying Multiple Analytes Using Labeling Techniques」、米国特許第5,656,207号に開示されている種類のアクリジニウムエステルが含まれる。好ましい電子標識及び検出アプローチは、Meadeら、「Nucleic Acid Mediated Electron Transfer」、米国特許第5,591,578号、及びMeade、「Detection of Analytes Using Reorganization Energy」、米国特許第6,013,170号に開示されている。標識として有用な酸化還元活性部分は、Cd、Mg、Cu、Co、Pd、 Zn、Fe、及びRuのような遷移金属を含む。
レポーター部分を核酸に結合し、レポーター部分を検出する合成技術及び方法は、当階技術分野で周知である。例えば、J.SAMBROOKら、「MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL」、第10章(第2版1989年)、Beckerら、米国特許第6,361,945号、Tyagiら、米国特許第5,925,517号、Tyagiら、「Nucleic Acid Detection Probes Having Non−FRET Fluorescence Quenching and Kits and Assays Including Such Probes」、米国特許第6,150,097号、Nelsonら、米国特許第5,658,737号、Woodheadら、米国特許第 5,656,207号、Hoganら、「Nucleic Acid Probes for Detection and/or Quantitation of Non−Viral Organisms」、米国特許第5,547,842号、Arnoldら、米国特許第5,283,174号、Kourilskyら、「Method of Detecting and Characterizing a Nucleic Acid or Reactant for the Application of this Method」、米国特許第4,581,333号、及びBeckerら、米国特許第5,731,148号を参照されたい。
処理材料は、乾燥形態又は液状形態で容器のチャンバーに供給され得る。処理材料を乾燥形態で供給することは、処理材料がその液状形態では不安定であるか、生物学的又は化学的に活性であるか、温度に敏感であるか、又はお互いに化学反応する場合に特に有利であり得る。乾燥は、微生物及び酵素の活性を抑制し、処理材料の貯蔵寿命及び保管条件を改善し得る(低温貯蔵とは反対に室温で)。乾燥した処理材料は、その反応性成分に加え、凍結し、乾燥し、及び/又は再構成しているときに材料の生物活性を保存するのに役立つ凍結防止剤(例えば、ショ糖、マルトース、乳糖又はトレハロースのような二糖類)、並びに時間が経って材料の生物活性の喪失を予防又は遅延させるための安定化剤(例えば、ショ糖及びトレハロースを含む種々の糖類、糖アルコール及びタンパク質)を含み得る。与えられた凍結防止剤又は安定化剤が適しているかどうかは、乾燥する材料の性質に依存するであろう。乾燥後、処理材料は、水分の再吸収を防止するために密封すればよい。処理材料を乾燥するための方法及び装置は、当該技術分野で周知であり、凍結乾燥又は冷凍乾燥が含まれる。例えば、Priceら、「Pelletized Pregnancy Test Reagents」、米国特許第3,862,302号、Templeら、「Process for Freezing or Chilling」、米国特許第4,655,047号、Milankovら、「Cryogenic Apparatus」、米国特許第4,982,577号、Shenら、「Stabilized Enzyme Compositions for Nucleic Acid Amplification」、米国特許第5,834,254号、Buhlら、「Dried Chemical Compositions」、米国特許第6,251,684号、及びMcMillanら、「Universal and Target Specific Reagent Beads for Nucleic Acid Amplification」、米国特許出願公開第2006−0068398A1号を参照されたい。
例示的な実施態様
本発明の態様を具体化するマルチチャンバー容器の例示的な一実施態様は、図1Aにおいて参照番号10で示されている。この実施態様においては、容器10は、箔及び/又はラスチックのような薄い柔軟材料から形成された柔軟な上側シート及び下側シート、並びに使用時に容器の優先配向を示し、上方向及び下方向を定義する上側縁12と下側縁14を有する、概ね平面状の容器である。例示的な容器10は、約7.5インチ×約3.2インチの寸法を有し、厚みは約1/4インチ未満であり(試料及び処理材料が充填されている場合)、本明細書で説明されているように、手動操作又は自動化システムとの併用に適した寸法であればどのような寸法でもよい。一般に、容器の寸法は、1つの処理又は一セットの処理を実施するために必要な物質を収容できるものでなければならない。当業者であれば、種々の大きさ、立体配座、形状、及び同様の寸法が種々の処理に適合し、用いることができると考えられることを理解するであろう。
容器は、自動機器に関して容器の取り付け及び/又は位置合わせを行うために自動機器のフック又はピンのような構造と、位置合わせをする1以上の取り付け若しくは位置合わせ孔74を含んでいてもよい。検査条件及びパラメータを含む、試料、患者又は興味のある他の情報の識別用の1以上の標識は、適宜、容器表面に備えるか、又は容器を構成するために用いられる材料中に埋め込むことができる。このような標識は、人間が読み取れるしるし、機械で読み取れるしるし(例えば、バーコード)、光学式文字認識(OCR)、無線識別(RFID)、又はこれらの何らかの組み合わせを含み得る。図1Aを参照すると、容器10は、一体化されたシステムの一部を形成する多数のチャンバーを含み、これらのチャンバーは、全体として選択的に開放可能な接続部を所々に配した複数の非直線的経路を定義する。入口52及び首部分51は、反応物を処理するか、試験するか、又は反応物にさらすための試料又は他の材料を収容するためのチャネルとして用いられ、試料又は他の材料を入れるための好適な構成を有するものとすることができる。試料材料は、好適な手段によって、例えば、入口52に孔を開ける針を有する注射器を用いることによって容器10に移すことができる。また、入口52は、オスルアー接続部を有する注射器又は他の容器を挿入するためのルアー接続部のメス部分、又は試料材料を注ぎ込むか、ピペットで移すか、又は他の何らかの方法で挿入できる容器の上部にある、密封されていない開口部を含んでいてもよい。入口52は、好ましくは、容器10の上側縁12に、又はその付近に配置され、移した後に、又は自動機器内に容器を配置する前に、試料材料がこぼれるという危険性が低減される。しかし、入口52は、例えば、適宜可逆的に密封されるスロット又は他の開口部として、容器10の縁、又は中央寄りの位置のうちの都合のよい位置に配置することができる。例えば、入口は、試料材料を入れた後に容器10の対向するシートをヒートシールで密封することによって閉じてもよい。
例示されている容器10の一体化されたチャンバーシステムは、11個のチャンバー、C16、C18、C20、C22、C24、C26、C28、C30、C32、C34及びC36を含む。チャンバーは、一般には、物質が隣接するチャンバーの少なくとも一部の間を流れ、更には一体化したシステムの種々のチャンバーの間を流れるように、1以上の隣接するチャンバーと(選択的、一時的又は恒久的に)接続され得る密閉された区画である。各チャンバーは、例えば、試料材料、更なる分析のための試料材料を調製するための試料処理試薬、反応物、溶媒、希釈剤、洗浄試薬等の、容器10内で処理を行うために使用される物質を含んでいてもよい。更に、チャンバーは、検体精製工程、混合、加熱/冷却、信号又は視覚的特性(例えば、色の変化)の検出、廃棄物保管、及び除去等のような、1以上の処理工程を実施する場として、手動操作を通じて、又は機器の種々の要素と連携して機能し得る。容器10が機器内に配置されるときに、いくつかのチャンバーに物質、例えば、試料、反応試薬、緩衝液等予め装填しておき、他のチャンバーは当初は空にしておいてもよいが、処理を実施するときに1以上の物質を当初は空であったチャンバー内に移動するか、又はそのチャンバーに通してもよい。いくつかのチャンバーは、容器10内で実施される特定の処理の要件によっては、全く用いなくてもよい。
容器10の例示的な使用においては、チャンバーは、免疫検定又は核酸をベースとする反応のような、結合反応を実施するために必要な物質を充填することができる。容器10のこのような用途においては、チャンバーC16は、試料材料が装填され、チャンバーC18は、試料材料中に存在する検体を結合し、固相担体上に固定するための試料処理試薬が装填され、チャンバーC26は、試料材料の他の成分から固定化された検体を分離するための試料処理チャンバーとして機能し、チャンバーC22は、乾燥した第1の処理材料が装填され、チャンバーC20は、第1の処理材料を再構成するための試薬が装填され、チャンバーC28は、乾燥した第2の処理材料が装填され、チャンバーC30は、第2の処理材料を再構成するための試薬が装填され、チャンバーC34は、洗浄試薬が装填され、チャンバーC36は、処理を実施するときに廃棄物質を移し、該廃棄物質が処理の他の態様から相対的に分離する形で保管する廃棄物チャンバーとして機能し得る。第2の処理材料を収納することに加えて、チャンバーC28は、更に、試料材料中に検体が存在することを示す反応混合物中の信号又は変化を検出するための検出チャンバーとして機能し得る。容器10の他の実施においては、チャンバーC32は、チャンバーC30に収納されている乾燥された第2の処理材料を再構成するための試薬を収納することが可能であり、次いで、チャンバーC28内に収納されている乾燥した第3の処理材料を再構成するために用いることができる。また、乾燥した第2の処理材料をチャンバーC30内に装填し、第2の処理材料を再構成するための試薬をチャンバーC32内に装填することが可能であり、その場合、第1及び第2の処理材料の再構成された形態が、チャンバーC28内の分離された検体と組み合わせることができる。
容器10の他の非限定的用途は、本開示の実施例の節において説明する。
例示されている実施態様においては、チャンバーC34は、洗浄試薬を収納するように空間的に設計され、上側部分38、下側首部40、垂直区画42及びチャンバーC26の方へ伸びる横方向区画44を備える。
また、容器10の例示されている実施態様においては、チャンバーC36は、チャンバーC26から廃棄材料を収容するため廃棄物チャンバーとして機能するように有利に構成され、チャンバーC26から伸びる初期垂直吸入口48、上側首部46及び捕集領域50を含む。垂直吸入口48は、チャンバーC26の上に位置し、チャンバーC26の上部に位置する入口70によりチャンバーC26に接続される。磁気分離手順のような検体分離手順がチャンバーC26内で実施されると、例えば、反応混合物中に存在する洗浄剤(例えば、試料に供給される洗浄剤をベースとする溶解剤又は試料処理試薬中に存在する洗浄剤)によって気泡がチャンバーC26内に形成されるか、又は移動され得る。
図1Aに示すように、容器10のチャンバーは、以下のように相互接続される:チャンバーC18は、入口54によってチャンバーC16に接続され、チャンバーC16は、入口62によってチャンバーC26に接続され、チャンバーC20は、入口56によってチャンバーC22に接続され、チャンバーC22は、入口58によってチャンバーC26に接続され、チャンバーC24は、入口60によってチャンバーC26に接続され、チャンバーC32は、入口68によってチャンバーC30に接続され、チャンバーC30は、入口66によってチャンバーC28に接続され、チャンバーC28は、入口64によってチャンバーC26に接続され、チャンバーC34は、入口72によってチャンバーC26に別々に接続され、上記のように、チャンバーC26は、入口70によってチャンバーC36に接続される。 ある実施態様においては、圧力が接続されているチャンバーに付与されたときに剥がれて開くヒートシールのような開放可能シールによって中を通る流体の流れを防ぐために、入口54、56、58、60、62、64、66、68、70、及び72のうちの1以上が一時的に閉じられる。
図1Aの実施態様においては、容器10のチャンバーC16は、適切な試料容量を保持するように構成されている。一般的に、試料は、人間又は他の動物から採取された流体試料のような、流体又は流動化した試料であり、血液又は血液製剤(すなわち、血漿又は血清)、脳脊髄液、結膜試料、呼吸器試料、鼻咽頭試料、又は尿生殖路試料を含むか、又は例えば、環境試料、工業試料、食物試料、飲料試料又は試料水であってもよい。固体又は粘性試料材料(例えば、食物、糞便及び痰)は、一般的に、試料材料をチャンバーC16に加える前に少なくとも部分的に可溶化される必要がある(しかし、そのような試料材料を直接容器内で可溶化することも可能である)。試料材料は、有機物であっても無機物であってもよく、処理若しくは分析用の材料又は化学的反応、生化学的反応、又は生物学的反応における反応物であってもよい。
チャンバーC16の容積容量は、好ましくは約10μL〜約1mL、更に好ましくは約850μL以下、最も好ましくは約625μLである。この容積容量は、チャンバーC16内に配置されることが予想される物質の全容量を収容することを意図されており、本明細書で説明されている例示的な用途においては、チャンバーC18からの試料処理試薬と組み合わせた試料材料の容量を含む。最も好ましい容積量では、これは、試料500μLと試料処理試薬125μLとを組み合わせたものである。予想される容積範囲の下限では、チャンバーC16に外部圧力を付与した後に入口62でシールを無理矢理開けるのに十分な流体がチャンバーC16内に必要である。予想される容積範囲の上限では、チャンバーC16内に置かれる容量は、容器の伸長があり、おそらくチャンバーの壁の剥離又は破裂が生じるほどに大きくなり得ない。
入口54は、チャンバーC18をチャンバーC16に接続し、選択的に開放可能なシールによって一時的に閉じられる。一例が以下で説明されている加圧機構によってチャンバーC18に十分な圧縮力を付与した後、シール閉鎖入口54が開かれ、試料処理試薬がチャンバーC18からチャンバーC16に移動し、そこで、チャンバーC16に供給される試料材料と混合される。試料処理試薬は、好ましくは、結合材及び検体を固定化するための磁気応答性粒子のような固相担体を含む。
第1の処理材料は、チャンバーC22内に含まれ、第1の処理材料用の再構成試薬は、チャンバーC20内に含まれる。一実施態様においては、第1の処理材料は、増幅試薬である。乾燥した、又は固形物の増幅試薬が好ましいが、液体増幅試薬に比べて安定しているからである。増幅試薬に適している担体は、化学的に不活性であるか、又は親和性のある材料を含み、例えば、適宜、希釈剤、結合剤、潤滑剤、溶解補助剤、保存料等を含んでいてもよい。一実施態様においては、 増幅試薬は、低温流体で冷凍され、均一の大きさのペレットを形成し、次いで、単位用量用途に用いるために凍結乾燥される。固体形態の増幅試薬は、ペレット又は錠剤に圧縮することもでき、又は粉末、顆粒、若しくは他の都合のよい安定した固形の形態をとってもよい。乾燥した増幅試薬も好ましいが、偶発的破裂が発生する確率が、液体試薬に比べて乾燥した試薬の方が低く、また固形材料は試薬の投与を非常に正確に行えるからである。
第1の処理材料が増幅試薬である場合、増幅試薬は、プライマー、プロモーター−プライマー及び/又は非伸長性プロモーター−プロバイダーオリゴヌクレオチドのような、少なくとも1つの増幅オリゴヌクレオチド、ヌクレオシド三リン酸塩及び好適な緩衝液中のマグネシウムイオンのような補因子を含んでいてもよい。増幅試薬の特異成分は、実施される増幅手順に依存する。転写ベースの増幅反応を実施するための例示的な増幅試薬は、本開示の実施例の部分において説明されている。
ある実施態様においては、チャンバーC20は空のままであるか、又は第1の処理材料が省略されるか、又はチャンバーC22内に流体形態で供給される場合にまとめて省略される。また、チャンバーC22は空のままにしておき、チャンバーC20内に液体を装填することもできる。
以下に開示されているような、加圧機構によってチャンバーC20に十分な圧縮力を付与することにより、シール閉鎖入口56が開かれ、チャンバーC20に収納されている再構成試薬が、チャンバーC22に収納されている第1の処理材料に移動する。
再構成試薬が供給されない実施態様においては(例えば、チャンバーC20が空であるか、又は例示されている容器10において省略されている)、第1の処理材料は、液体であるか、又はチャンバーC22内に装填する前に予め溶解されている固形物であってもよい。第1の処理材料が増幅試薬である場合、増幅オリゴヌクレオチドは好ましくはかなり過剰に存在する。適切な量のこれら及び他の試薬は、当業者であれば決定することができ、また検定パラメータ及び検出すべき標的の量と種類に依存する。
再構成試薬が、チャンバーC20からチャンバーC22に移された後、加圧機構が、外部圧力をチャンバーC22に与え、チャンバーC22とチャンバーC26との間のシール閉鎖入口58を開き、これにより、第1の処理材料の再構成形態をチャンバーC22からチャンバーC26に流す。ある実施態様においては、チャンバーC20及びC22の内容物は、チャンバーC20とC22との間で組み合わされた材料を複数回移動してから、第1の処理材料の再構成形態をチャンバーC26に移すことによって混合される。
すすぎが用いられる場合、すすぎは、洗浄ステップの後に行い、検体の処理に干渉する可能性のある洗浄試薬中に存在する物質を除去することが意図される。すすぎ試薬は、チャンバーC24に収納され、好ましくは、洗浄剤又は機能的に類似している材料を含む水性緩衝液を含む。すすぎ試薬は、第1の処理材料の再構成形態であってもよい(例えば、ヌクレオシド三リン酸塩なしの増幅試薬)。また、すすぎ試薬は、洗剤を含まないか、又は陰イオン洗剤を含まないか、又は洗浄試薬に比べて低い濃度の陰イオン洗剤を含むか、又は洗浄試薬中に存在する陰イオン洗剤の効果を弱める非イオン洗剤を含む緩衝液であってもよい。好ましい実施態様におけるチャンバーC24内に収納されているすすぎ試薬の容量は、約150μL〜約500μLである。適切な時点において、加圧機構が、チャンバーC24上に圧力を付与し、チャンバーC24とチャンバーC26との間の入口60を閉じるシールを開く流体圧力を発生し、すすぎ試薬をチャンバーC24からチャンバーC26に流すようにできる。
チャンバーC30は、第2の処理材料を再構成するための試薬を含む。好ましい実施態様においては、チャンバーC30内に含まれる再構成試薬の容量は、約20〜約125μL、更に好ましくは約25〜約100μLである。容器が、核酸増幅反応を実施するために用いられる場合、第2の処理材料は、標的配列の伸長及び/又は転写をもたらすためのポリメラーゼ等の1種以上の酵素、並びに場合によって、標的配列又はその相補体を含む増幅産物に特異的及び検出可能なように結合するプローブを含んでいてもよい。固相酵素及び/又はプローブ試薬に適する担体は、化学的に不活性であるか、又は親和性のある材料を含み、場合によって、例えば、希釈剤、結合剤、潤滑剤、溶解補助剤、保存料等を含んでいてもよい。酵素及び/又はプローブ試薬は、低温流体で冷凍して均一の大きさのペレットを形成することができ、次いで、単位用量用途に用いるために凍結乾燥される。固体形態の酵素及びプローブ試薬は、更に、取り扱いが容易なように好適な担体を用いたペレット若しくはタブレット状に圧縮され得るが、粉末、顆粒又は任意の好都合な安定した固形の形態をとってもよい。2種の固体組成物が、別々のペレットとして調製されるか、又は単一の固形として組み合わされてもよい。更に、乾燥されたプローブ試薬を、チャンバーC28のようなチャンバー内に、例えば、ペレット若しくは顆粒の形態で装填するか、又はチャンバーの壁に対し噴霧、印刷又は他の何らかの方法で塗布することができる。
乾燥した処理材料の再構成において、再構成試薬がチャンバーの周囲に沿って集中する傾向を有し(例えば、チャンバーの壁を定義するヒートシールで密封された領域)、従って、チャンバー内で中央寄りに配置される乾燥した処理材料は、溶解しないか、又は完全に溶解しないことが観察された。この問題を解決するため、発明者は、鉱物油(例えば、シリコン油)のような軽質油を再構成試薬と共に供給することによって、チャンバーの中央に向かって再構成試薬を送り、これにより乾燥された処理材料の再構成を改善できることを発見した。この油は、さらに、油が本質的にチャンバーの壁に沿ってさっと動いてゆく「スキージ」効果を有することも判明し、これにより、物質の全て又は実質的に全てが隣接するチャンバー内へ移動する。これは、特に、処理材料の量又は濃度の変化に敏感な単位用量用途において重要である。油は、水性物質をチャンバーの中心近くに集中させることによって物質の混じり具合をよくすることに関わることも判明しており、これがスキージ効果と一緒になり、混合される物質のより多くがチャンバーとチャンバーとの間に移動することが確実になる。油の更なる利点は被覆能力であり、これは、物質がチャンバーの表面に固着するのを妨げるか、又は干渉する。油の代わりとして、類似の利点を有する他の不活性の非混和性液も用いることができる。
ここでは、本発明の態様を具体化する容器10の利点は、チャンバーの非直線的配置による、非順次的に処理材料を再構成する能力にあることに言及すべきである。すなわち、第2の処理材料を再構成する前に、第1の処理材料を完全に再構成する必要がないということである。同時を含む、処理を実施するために必要な、又は実施するのに都合のよい時点において、第1の処理材料をチャンバーC22内で再構成し、第2の処理材料をチャンバーC28内で再構成することができる。
加圧機構は、チャンバーC30を物理的に圧力をかけ、チャンバーC30とチャンバーC28との間の入口66を閉じるシールを開ける流体圧力を発生し、チャンバーとチャンバーとの間で流体を流し、再構成試薬をチャンバーC30からチャンバーC28に移し、中に含まれている第2の処理材料を溶解することができる。チャンバーC28内に含まれる処理材料が、既に液状形態である場合−例えば、酵素試薬及び検出プローブが液体形状で調製されるか、又は容器内に装填する前に再構成される場合、チャンバーC30は空であってもよい。特定の液体処理材料においては、TRITON(登録商標)X−100(オクチルフェノールポリ(エチレングリコールエーテル)n) のような洗剤を入れて、処理材料の成分がチャンバーの壁に固着することを防止することが望ましいと思われる。更に、液体又は再構成形態で供給される処理材料が、電磁放射線の影響を受けやすい場合、これらの処理材料を保持するチャンバー(例えば、チャンバーC28)は、光遮蔽材料を用いて構成するとよい。
一方のチャンバーから隣接するチャンバーに移動した物質間の混合を行うことが望ましく、また必要になる場合がある。例えば、再構成試薬をチャンバーC30からチャンバーC28に移動して、チャンバーC28内に含まれている乾燥した処理材料を再構成する場合には、再構成試薬と乾燥した処理材料を混合することが望ましい。例示した実施態様においては、チャンバーC30及びチャンバーC28は、2つのチャンバーの組み合わされた内容物の混合が重力の補助により行いやすくなるような位置及び配向にお互い設定される。重力の補助による混合により、下方チャンバー(例えば、チャンバーC30)から上方チャンバー(例えば、チャンバーC28)へ物質(例えば、再構成試薬)を押し込むために圧力機構が用いられる。重力の補助による混合は、一般的に、(i)隣接する位置にある上方チャンバーと下方チャンバー(又は制限された区画によって接続されているチャンバーの上側領域及び下側領域)を接続する比較的狭い通路に物質が押し込まれる時に生じる、上方チャンバーと下方チャンバー(又はチャンバーの区画)内の物質が液体を含む、乱流、(ii)上方チャンバーの周囲の混合された液体の移動、及び(iii)上方チャンバーと下方チャンバーとを接続する通路を通る物質の重力による移動の3つの機構のうちの少なくとも1つに依存する。重力の補助による混合の利点の1つは、圧力機構が上方チャンバー(又はチャンバーの上側領域)に関連付けられていなくてもよいことである。
チャンバーC34は、チャンバーC26で実施される試料処理手順から不要な材料を取り除くために用いられる洗浄試薬を含む。好ましい実施態様においてチャンバーC34内に含まれる洗浄試薬の容量は、約400μL〜約5,000μL、最も好ましくは約700μL〜約2,000μLである。加圧機構は、チャンバーC34の選択された部分に圧力をかけ、その結果、入口72を閉じるシールを開く、チャンバーC26、すなわち試料処理チャンバーに洗浄試薬を力で押し込む、流体圧力を生じる。上述したように、チャンバーC34は、上側部分38、下側首部40、垂直区画42、及びチャンバーC26の方へ伸びる横方向区画44を含む。チャンバーC34の配置のため、重力が、洗浄試薬を上側部分38から下側首部40に通すのを補助すると考えられる。ある実施態様においては、機器は、上側部分38に隣接する位置にあるスポンジ又は他の圧縮可能な物体のような動的手段を備え、これにより、連続する、比較的穏やかな圧力を上側部分に付与して、物質を下側首部40に向かわせる力をさらに補助することができる。下側首部から、実施例が以下で説明されている圧力機構は、力を加えて洗浄試薬を−通常は、一度に一部分ずつ−垂直及び横方向区画42、44に通し、次いで入口72に通してチャンバーC26に送り込むために用いた。下記に一実施例が説明されている他の圧力機構は、洗浄試薬の更なる移動を選択的に停止するためのクランプとして機能するように下側首部40に配置される。
チャンバーC36は、廃棄物捕集用に用いられる場合、手順を実行する前に空であり、また例えば、試料材料を含む廃棄物、洗浄試薬、すすぎ試薬及び他の使用済み処理材料(例えば、試薬)を含む、手順によって必要になる全廃棄物容量を収納するように設計されている。一般に、チャンバーC36の好ましい容量は、廃棄物チャンバーとして用いられる場合に約2mLである。
上記で説明されているように、入口70は、チャンバーC26をチャンバーC36に接続し、チャンバーC26に対して上向きとなっている。この配向は、分離手順の実行時にチャンバーC26内に形成され得る気泡が、場合によっては洗剤ベースの溶液が存在するため、チャンバーC26の上部の近くにある入口70に隣接するところで上昇し、蓄積する自然な傾向を有するため有利であることがわかった。従って、気泡を含む廃棄物は、チャンバーC36により容易に、また効率的に移され、したがって、その後の信号検出ステップに干渉する可能性が低くなる。チャンバーC26の上部に隣接する入口70の配置もまた、廃棄物が試料処理手順、特に磁気応答性粒子の使用を伴う手順において取り除かれるときにチャンバーC26内に固相担体粒子を保持するのに役立つ。以下に更に詳細に説明するように、好ましい試料処理手順の実施時に、検体を結合するために用いられる磁気応答性粒子は、チャンバーC26の内容物に磁場が印加された場合に固定化される。試料処理時にチャンバーC26内に形成する気泡は、チャンバーC26の上部付近に集まる傾向を有し、一般的には、廃棄物がチャンバーC26からチャンバーC36に移動するときに中央寄りに配置されている磁気応答性粒子と接触しない。試料処理チャンバーと廃棄物チャンバーとの間の接続部が、試料処理チャンバーの上部とは別の場所にある場合、少なくとも一部の気泡は、廃棄物が試料処理チャンバーから廃棄物チャンバーに移動するときに試料処理チャンバー内に留まる。更に、形成される気泡の少なくとも一部は、固定化された粒子を通り過ぎる可能性が高く、またいくつかの粒子をずらす十分に強い力を及ぼすことが可能であり、これにより、粒子の一部が廃棄物とともに廃棄物チャンバーに移される。その結果、処理の感度及び繰り返し性は、例示されている容器10内のチャンバーの設計によって改善されるが、それは、固相担体粒子が、分離手順の実行時に指定された試料処理チャンバー内に保持される可能性が高いからである。
容器10を使用する、例示されている実施態様においては、チャンバーC26(試料処理チャンバー)は、6個のチャンバーに接続されており、これら6個のチャンバーは、チャンバーC16(試料チャンバー)、チャンバーC22(第1の処理材料チャンバー)、チャンバーC24(すすぎ試薬チャンバー)、チャンバーC28(第2の処理材料チャンバー)、チャンバーC34(洗浄試薬チャンバー)、及びチャンバーC36(洗浄チャンバー)を含む。容器内でアッセイ又は他の処理を実施する前に、チャンバーC26は空にすることができる。
容器10が、自動機器(後述)内に置かれると、チャンバーC26は、除去可能な磁場がチャンバーC26の領域に印加できるような向きになる。一実施態様においては、磁場は、 永久磁石をチャンバーC26に隣接する位置に移動するアクチュエータによって印加される。適切な磁石は、それぞれカンザス州ニュートンのBunting Magnets Co.からカタログ番号N50P250250で市販されているような約4.0lbsの保持力を有する磁石である。この実施態様の好ましい一態様においては、磁石は、容器が自動機器内に配置されたときに容器の平面に沿って磁石作動機構(以下に更に詳細に説明する)によって適切な位置に移動する。磁石は、容器に相対的な方向に移動され得る。磁石は、磁場が印加されている間、チャンバーC26内の磁性粒子を保持するのに十分な強度を有する磁場をチャンバーC26及びその内容物に印加する。当業者により理解されるように、永久磁石が用いられる場合、磁石は、必要なときに、試料処理チャンバーから磁場の効果を除去するためにチャンバーC26から十分に離れた場所に移動可能でなければならない。従って、磁石は、(1)磁石がチャンバーC26に隣接し、粒子保持磁場をチャンバー及びその内容物に印加できる十分な近さにある「オン」位置、及び(2)磁石が、実質的強度を有する磁場がチャンバー又はその内容物に印加されず、チャンバー内に存在する磁性粒子が、目につくほどの影響を受けることのないようにチャンバーC26から十分に離れた位置にある「オフ」位置の少なくとも2つの位置に移動できる可動磁石作動手段上に配置される。
磁場を所望の場所に印加するための他の手段は、自動機器によってアッセイ又は処理の実行時にチャンバーC26に隣接する位置に配置されるか、又は活性化される前にそのような位置に移動する電磁石の選択的活性化を含み得る。磁場を選択的に印加するための更に他の手段は、チャンバーC26への磁気的に影響を受ける近接位置に入って出る形で容器10の平面に対して横断する方向に移動可能なプラテン上に取り付けられている永久磁石を含む。任意の適切な作動機構を用いて、適切なモーター、電子線形アクチュエータ、又はソレノイドに動作可能なように連結されたネジ棒のようなプラテンを移動することができるこのような磁気分離手段は、それ自体当該技術分野において公知であり、当業者であれば、容器チャンバーの立体構造又は配向に合わせて容易に修正することができる。
上述のように、チャンバーとチャンバーとの間の通路を遮断するシールを開き、次いで、隣接して接続されているチャンバーとチャンバーとの間で物質を移動する操作は、加圧機構によって実施することができる。自動機器の加圧機構は、物理的力を容器の外側の選択された位置に、特に、コンピュータコントローラによって制御されるような所定の場合に容器の個々のチャンバーの外側に加えることができる。本発明との関連で、加圧機構なる用語は、物理的押付力を容器の(複数の)外面に加えるための手段を意味する。好ましくは、それぞれの加圧機構は、容器接触表面を有する圧縮パッドを含む。圧縮パッドはアクチュエータと結合し、アクチュエータは、容器の面に対して概ね垂直方向で、容器に対し相対的にこのパッドを移動し、パッドを容器に押し付け接触させること、及び接触から外すことを選択的に行う。また、ローラーバー又はホイールは物理的力を伝えることもできる。加圧機構は、更に、アクチュエータに隣接する領域に熱的変化をもたらす等の追加の機能をも有する。アクチュエータが圧縮パッドを含む場合、パッドは、容器を損傷することなく容器の表面に適切な力をかけるのに適した材料で構成することができる。通常は、圧縮パッドは、圧力を容器のいずれかの側面に付与するが、容器の反対側は、自動機器内にある場合には、壁で支持される。従って、加圧機構の圧縮パッドによる外力の付与によって、容器が選択された位置で締め付けられ、容器はその位置で圧縮され、それにより容器の2つの側面を互いに流体密封接触させることによってチャンバー内の流体移動が強制的に実施され、及び/又は一方のチャンバーと他方のチャンバー(又は単一のチャンバーの一方の部分と他方の部分)が一時的に引き離される。また、容器の対向する側面上に配置され、両方とも容器に向かって、又は離れる方向に移動可能である一対の圧縮パッドは、間にある容器とその内容物を締め付けることができる。
本発明の態様を具体化するシステムの機能アーキテクチャ700を、図2に概略的に示す。システムは、反応容器、又は容器が横断面で示されているかのように、一連の相互作用した長方形(すなわち、チャンバー)として図2に概略的に示されている、容器10(後述の300、図12A及び12Bを参照されたい)上で作動する。システムの操作は、システムの動作及びデータの処理を制御するようにプログラムされる、制御及び処理コンピュータ730として図2に表されている、コンピュータ又は他のマイクロプロセッサによって制御される。示されているシステムは略図的に表されており、システム全体の動作は、複数のコンピュータによって制御され得る。制御及び処理コンピュータ730は、容器を処理するため機器内に配置することができ、又は機器に動作可能なように−例えば、シリアルケーブル、ネットワーク接続、又は無線で−接続されている独立した、スタンドアロンコンピュータであってもよい。
システム700の第1の要素は、物質移動制御システム701である。物質移動制御システム701は、システム内のチャンバーからチャンバーへの物質の移動をもたらすこと、及びその移動を制御することの両方を行う。具体的には、物質移動制御システム701は、物質移動力を個別のチャンバーに、又はチャンバーの内容物に付与する物質移動部材710、入口又は個別のチャンバー間の通路を選択的に遮断し、遮断解除する通路遮断部材708、並びに例えば、縁の狭い分割部材で柔軟なチャンバーに圧力をかけ、チャンバーの狭い部分を潰し、2つの部分チャンバーを狭い潰される部分の対向する側面上に形成することによって個別のチャンバーを2つ以上の部分チャンバーに選択的に分割するチャンバー分割部材706を含んでいてもよい。物質移動部材710、通路遮断部材708及びチャンバー分割部材706は、空気圧部、空気圧式ピストン、油圧部、モーター、ソレノイド等含んでもよいアクチュエータ駆動機構704によって、移動し、又は作動される。アクチュエータ駆動機構704は、物質移動部材710、通路遮断部材708及びチャンバー分割部材706の移動、順序付け及びタイミングを調節するためアクチュエータ駆動機構704の動作を制御するようにプログラムされているコンピュータ又は他のマイクロプロセッサ装置を含むアクチュエータコントローラ702によって制御される。アクチュエータコントローラ702は、制御及び処理コンピュータ730と一緒に、物質移動部材710、通路遮断部材708及びチャンバー分割部材706を選択された順序で選択的に活性化し、容器内で実施されるアッセイ又は他の処理の実施時に容器全体を通る流体の移動を制御する。他の構成においては、アクチュエータ駆動機構704の制御機能は、制御及び処理コンピュータ730内に配置することができる。
アーキテクチャ700は、更に、加熱装置又は冷却装置の近くの容器の1つ以上のチャンバー内の内容物を選択的に加熱及び/又は冷却するための加熱装置724及び冷却装置726を含んでもよい温度制御システム720を含むことができる。加熱装置724及び冷却装置726は、ペルチェチップのような単一熱素子を含んでいてもよい。加熱装置724及び冷却装置726の動作は、例えば加熱装置724及び冷却装置726に供給される電力を調節することによって加熱装置724及び冷却装置726の動作(温度、タイミング及び順序付け)を制御するようにプログラムされたコンピュータ又は他のマイクロプロセッサ装置を含んでもよい温度コントローラ722によって制御される。温度センサー728は、加熱装置724及び冷却装置726の温度を検出し、温度データを温度コントローラ722に供給し、所望の温度が得られるように加熱装置724及び冷却装置726の動作を制御する。容器内でアッセイ又は他の処理を実施するために、温度コントローラ722は、制御及び処理コンピュータ730と一緒に、所望の温度及び一連の温度変化(例えば、温度サイクリング)が得られるように加熱装置724及び冷却装置726の動作を制御する。他の構成においては、加熱装置724及び冷却装置726の制御機能は、制御及び処理コンピュータ730内に配置してもよい。
興味のある検体の存在及び/又は量を示し得る、1以上のチャンバーの内容物からの出力信号を検出するために、検出器システム712が備えられている。検出器システム712は、励起信号を発生するための励起源714を含む、蛍光検出器又は蛍光光度計を含んでいてもよい。励起信号は、光学系及びフィルタ718を通過し、所定の波長又は他の光学特性を有する、結果として得られる励起信号が、1以上のチャンバー向けて送られる。チャンバーの内容物からの放射は、光学系及びフィルタ718(必ずしも励起信号が通過する同じ光学素子というわけではない)を通過し、検出器要素716に入り、そこで、光学系及びフィルタ718は、検出器要素716によって検出される、所定の波長の放射信号のみを通すことができる。検出器システム712の動作の制御、更には検出器システムによって収集されるデータの処理は、制御及び処理コンピュータ730によって実行され得る。
本発明の態様を具体化する、容器10のようなマルチチャンバー容器と連携して試料に計測手順を実施するための自動機器は、図3において参照番号100で示されている。
単一のマルチチャンバー容器において処理工程の複数の工程ステップのうちの全て又は一部を実施するために、処理又は複数の処理の操作中に技術者による直接的な作用なしで、自動機器100を用いることができる。図3に示される機器は、処理ユニット102及びドアアセンブリ200を含む。特定の構成要素及び表面パネルは、処理ユニット102から省略されており、また基礎となる構成要素及び特徴が観察しやすいように例示されている実施態様においては、ドアアセンブリ200から覆いが除去されている。
処理ユニット102は、筺体104を含む。筺体の上部パネルは、図では省略されていることに留意されたい。筺体104は、機器100を動作させるための電子機器、電気回路、及び空気圧部を含む。バーコードリーダーブラケット106及び108は、バーコードリーダー(図示せず)を保持する。一実施態様においては、バーコードラベルが容器10に設置されており、機器上に配置されているバーコードリーダーは、このバーコードを読み取り、処理命令、期限切れ情報、較正情報、及び試料識別のような情報を提供する。ブラケット106及び108は、手で持ったまま容器のバーコードラベルを読み取るためのバーコードリーダーを保持する。
ディスプレイパネル110は、筺体104から上方に突き出しており、使用者がパネル上に取り付けられている制御スイッチに簡単にアクセスすることができ、パネル上に取り付けられているディスプレイを容易に見られるように配置され、配向されている。
筺体104は、更に処理ユニット102の機能構成要素の多くを有する前部120を含む。筺体104の前部120は、Delrin(登録商標)又はアルミニウムから形成され(例えば、機械加工により)、Teflon(登録商標)(PTFE)でコーティングされ得る、アクチュエータプレート124とともに取り付けられている圧力機構クラスタ180(以下で更に詳細に説明する)を含む。アクチュエータプレート124内に形成された陥凹部130は、ドアアセンブリ200を閉じる前に計器ユニット100内に配置されている容器10を受け入れ、保持するための開口部を形成する。ドアアセンブリには蝶番が取り付けられる、又は筺体の前部120に対して何らかの方法で取り付けられ、容器受容開放位置及び閉鎖位置の間でドアアセンブリ200が移動するようになっている。掛け金又は他の類似の機構(図示せず)は、筺体104に対して閉鎖位置に解放可能な形でドアアセンブリ200を保持するように供給され得る。具体的には、掛け金又は他の機構は、ドアアセンブリ200を閉鎖位置に保持するように形成され、ドアを解放し、適度な量のドア開放力を付与した後に開放位置に移動するように適合される。
処理を開始するために、容器10は、機器100内に配置され、次いでドアアセンブリ200が閉じられる。容器10は、位置合わせ孔74及び75のような、1以上の位置合わせ特徴を含んでもよく、機器の容器受容開口部とともに容器の位置決め及び配向を適切に行うために機器100内に設けられているフック又は位置合わせピン(図示せず)のような機器内の嵌合特徴と連携する。図に例示されている実施態様に代え、本発明の態様を組み入れた機器は、容器が動作可能なように配置される溝又は他の開口部を含んでもよく、また枢動するドアアセンブリは、省略してもよい。試料材料は、好ましくは、機器内に配置する前に容器に移される。機器内の容器の位置を決める前に試料材料を容器に追加することで、こぼれた試料材料で機器が汚染される機会を最小限にする。
ドアアセンブリ200の詳細を図3及び5に示す。図において、覆い、又は筺体、好ましくはドアアセンブリの被覆部分は、ドアアセンブリの基礎となる構成要素を見えるようにするために図に示さない。
図5は、ドアアセンブリ200の前側、すなわち、ドアアセンブリが閉じられたときの処理ユニット102及び容器に面するドアアセンブリ200の側面を示す。ドアアセンブリ200は、熱ゾーンに近接する容器の加熱及び/又は冷却領域用の1以上の熱ゾーンを含んでいてもよい。図5に示される例示的なドアアセンブリ200は、5つの熱ゾーン260、262、264、266、及び268を含む。熱ゾーンは、容器の1以上の特定のチャンバーに対する加熱及び/又は冷却を行うように特別な配置にある。例示されている実施態様においては、熱ゾーン260は、チャンバーC16及び首部分51を覆っている。熱ゾーン262は、チャンバーC18及びC20を覆う。熱ゾーン264は、チャンバーC34、C32、C30を、及びC36のほとんどを覆う。熱ゾーン266は、チャンバーC28を覆う。熱ゾーン268は、磁石並進機構208(以下で更に詳細に説明する)上に配置され、チャンバーC26と、チャンバーC22及びC24の一部とを覆う。
1以上の熱ゾーンは、容器の1つ以上の特定のチャンバーに対し、局部加熱及び/又は冷却を実施し、又は機器内の周囲温度を制御し、安定させるために用いてもよい。周囲温度は、上述のように、処理又は処理の特定の工程を最適に実施するために都合のよい温度であってもよい。例えば、周囲温度は、約20℃〜約40℃の範囲、又は約25℃〜約37℃の範囲であってもよい。
熱ゾーンは、好ましくは、容器の一領域及びその内容物を急速に加熱(及び/又は適宜急速冷却)して、所望の温度にするように設計される。PCR増幅反応のような、温度サイクリングを必要とする処理には、急速な温度変化が必要である場合がある。理想的には、熱ゾーンは、実施される処理の間の変動に対応できる高い温度範囲を有する。従って、熱ゾーンの温度範囲は、好ましくは、水ベースの流体に対しては約5℃〜約95℃であり、油を含有するもののような、非水性流体に対してはかなり高い温度になる場合がある。
図5に示される熱ゾーン260、262、264、266及び268の一部分は、ペルチェ熱電装置のような熱エネルギー源から容器10に熱エネルギー(加熱及び/又は冷却)を伝えるための銅又はアルミニウムのような、熱伝導性材料から製造された伝導体プレートである。図5に示すように、それぞれの伝導体プレートの露出面は、熱ゾーンの影響を受けるようになっている容器の領域に適合する大きさ及び形状を有する。各伝導体プレートは、伝導性プレートの間を熱分離する非伝導性材料の複数のブロックで形成された適合する開口部の中に取り付けられる。好ましくは、熱ゾーン260、262、264、266及び268に対する伝導体プレートのうちの各プレートの露出面及び分離ブロックの露出面は同一平面上にあり、これらが一緒になって、ドアアセンブリ200が閉鎖位置にあるときに容器10の側面と接触する平坦な表面が形成される。
各熱ゾーンの伝導体プレートは、熱エネルギー源と熱的に接触し、その熱エネルギー源から加熱又は冷却エネルギーをプレートの露出面に、次いで容器に伝える。一実施態様においては、熱エネルギー源は、熱電モジュールであるが、別にペルチェ装置としても知られている。好ましい一実施態様においては、熱電ユニットは、熱ゾーンと熱的に接触しているドアアセンブリ200内に取り付けられる。好適なペルチェ装置は、熱ゾーン264に対してはTEC1−12708T125、熱ゾー ン260及び262に対してはTEC1−12705T125、並びに熱ゾーン266及び268に対してはTES1−12704T125を含み、全て、タイ、バンコクPacific Supercool Ltd.社から入手可能である。
発泡断熱材のような断熱材を、熱電モジュールの周囲及び伝導体プレートの部分の間に備えてもよい。当業者に一般に知られているように、ドアアセンブリ200内に、(複数の)ヒートシンクに対して対流空気流を発生するための1以上のファン機構と組み合わせることができる1以上の熱伝導性ヒートシンクのような熱エネルギー源から過剰熱を放散するための手段を備えてもよい。
熱ゾーン260、262、264、266及び268は、熱ゾーンの影響を受け、支持されている場合には温度サイクリングを含む、熱的条件の大きさ及び持続時間を制御するためマイクロプロセッサの制御下に置かれる。また、1以上の熱ゾーンは、不活性状態の(複数の)熱ゾーンの領域内の加熱及び/又は冷却が不要な試験のときには不活化され得る。従って、熱ゾーンの制御は、種々の異なる処理要件に応じられるように構成することができる。
特定のチャンバーへの熱伝達を改善するために、油又は他の不活性物質を用いることによりチャンバーの中の空気(熱伝導性が非常によくない伝導体)の容量が低減され、それと同時に、チャンバーの圧力を高めることができることがわかった。チャンバーの圧力を高めると、チャンバーと対応する伝導体プレートとの間の接触を高めやすくなり、チャンバーの内容物は、より完全に、かつ急速に加熱される。
磁石並進機構208は、この説明のために、磁気分離チャンバーと呼ばれる、磁気分離手順が実施されるチャンバー(例えば、チャンバーC26)に対して磁石−単一の永久磁石、永久磁石のクラスタ、及び/又は1以上の電磁石を含む−を移動するように構成され、配置される。具体的には、磁石並進アセンブリ208は、磁気分離チャンバーに対して磁石を(1)磁石によって発生した磁場が磁気分離チャンバー内で磁気応答性材料を実質的に固定化するのに十分な効果を磁気分離チャンバーの内容物に対してもたらすように磁石が磁気分離チャンバーに十分に近い「オン」位置と、(2)磁石によって発生した磁場が磁気分離チャンバー内で磁気応答性材料を実質的に固定化するのに十分でない効果を磁気分離チャンバーの内容物に対してもたらすように磁石が磁気分離チャンバーから十分に離れている「オフ」位置との間で移動するように構成され、配置される。
図5に示す実施態様においては、磁石並進機構208は、磁石又は磁石のクラスタを支持する磁性キャリア及びオン位置とオフ位置との間でドアアセンブリ200に対してキャリアを上下に移動するためにキャリアに結合しているアクチュエータを含む。例示されている実施態様においては、磁石並進機構208は、3つの磁石210からなるクラスタを有し、磁石は機構208上の頂部又は「12時」の位置から除かれている。12時の位置は、磁気分離チャンバー210を廃棄物チャンバーC36の入口48と接続する入口70に最も近い。この位置から磁石を除くことによって、この位置の磁性粒子の蓄積が回避される。これは、磁気分離手順のすすぎ工程及び洗浄工程の際に廃棄物チャンバーC36に不用意に運び込まれる磁性粒子の数を最小限にする。
図4を参照すると、圧力機構クラスタ180の圧縮パッドは、図1に示す例示的な容器10のチャンバー及び流体経路の配置に適合するパターンで配置され、本明細書において説明される処理関係の機能のうちの種々の機能を実施するように成形される。自動機器は、適切な圧力機構、磁石、及び/又は熱ゾーンを、 内部マイクロプロセッサコントローラによって制御される通りに、適切な順序で活性化する。
圧力機構クラスタ180は、アクチュエータプレート124内に設置され、図4に概略的に示す。クラスタ180は、外面アクチュエータプレート124に対して横方向に往復移動して圧力を容器10の選択された部分に選択的に与えるように構成され、配置されている複数の個々の圧縮パッドを含む。圧力機構クラスタ180は、容器10の種々のチャンバー及び入口と位置を合わせるように成形され、配置されている複数の圧縮パッドを含む。各圧縮パッドは、パッドを移動して容器10の対応する部分と圧縮係合させ、収容位置に戻すために往復運動する空気圧式アクチュエータ、磁気アクチュエータ、ソレノイド、又は他の適切な機械的、電気機械的、又は他のアクチュエータ (図示せず)に動作可能なように取り付けられているヘッドを含む。
圧縮パッドP51−1は、容器10の首部51の上部と位置を合わせるように配置される。圧縮パッドP51−2は、容器10の首部51の下側部分と位置を合わせるように配置され、首51はチャンバーC16の中に入っている。圧縮パッドP16−1、P16−2、P16−3及びP16−4は、全て容器10のチャンバーC16の異なる部分と位置を合わせるように配置されている。圧縮パッドP16−1は、チャンバーC16に対する底部圧縮パッドであり、圧縮パッドP16−2は、チャンバーC16に対する上部圧縮パッドであり、圧縮パッドP16−3は、チャンバーC16に対する仕切りであり、圧縮パッドP16−4は、チャンバーC16に対する前部圧縮パッドである。
複数のパッドP16−1、P16−2、P16−3及びP16−4を、試料チャンバーとして用いることのできる大きなチャンバーC16と組み合わせ、アッセイされる試料の大きさを柔軟に変えることが可能である。仕切りパッドP16−3はチャンバーC16を用い、2つの更に小さなチャンバーに分割することができる。チャンバーC26及びC28はチャンバーC16に比べてかなり小さく、その結果、チャンバーC16の内容物全体は、実質的に最大容量まで充填されているのであれば、チャンバーC26及び/又はチャンバーC28内に収まりきらないことは明らかであることに留意されたい。ある用途では、検体が試料中に存在すれば、その検体の検出可能な量があることを確認するために、比較的大量の試料材料が必要になることがあり、試料の処理のためのチャンバーC26及びC28のような後続のチャンバーは、試料材料のそのような大きな容量を受容することができない。チャンバーC16の異なる部分を圧縮するように適合されている複数のパッドを用い、試料をチャンバーC16からチャンバーC26に、一度に1つの部分ずつ、又は一定量ずつ移動することができる。
圧縮パッドP18−1及びP18−2はチャンバーC18に位置を合わせるように配置される。圧縮パッドP18−1はチャンバーC18に対する後部圧縮パッドであり、圧縮パッドP18−2はチャンバーC18に対する前部圧縮パッドである。
圧縮パッドP20はチャンバーC20に位置を合わせるように配置される。圧縮パッドP22は、チャンバーC22に位置を合わせるように配置される。圧縮パッドP24は チャンバーC24に位置を合わせるように配置される。圧縮パッドP30はチャンバーC30に位置を合わせるように配置される。圧縮パッドP32はチャンバーC32に位置を合わせるように配置される。
例示されている実施態様においては、チャンバーC28に関連付けられている、又はチャンバーC36の領域50若しくはチャンバーC34の領域38に関連付けられている圧縮パッドがないことに留意されたい。しかし、機器は、以下で更に詳細に説明するように、チャンバー又はその一部に力を加えるための他の機構を含んでいてもよい。更に、例示されている実施態様は、例であり、本発明のいくつかの態様を包含する他の実施態様、チャンバーC28、更には領域50及び/又は38に対する圧縮パッドを形成できるか、又は他のチャンバー及び/又はその領域に対する圧縮パッドを省略することができる。
圧縮パッドP34−1、P34−2及びP34−3は、チャンバーC34の横区画44に位置を合わせる。圧縮パッドP34−1は#1洗浄圧縮パッドであり、圧縮パッドP34−2は#2洗浄圧縮パッドであり、圧縮パッドP34−3は、#3洗浄圧縮パッドである。
圧縮パッドP34−4は、#4洗浄圧縮パッドであり、洗浄試薬チャンバーC34の垂直区画42に位置を合わせる。
圧縮パッドP34−5は#5洗浄圧縮パッドであり、洗浄試薬チャンバーC34の下側首部40に位置を合わせる。#5洗浄パッドP34−5は、更に、圧縮パッド上に広がる平行な隆起したリブP34−5aを含む。リブP34−5aは容器10の首部40を閉鎖し、流体が洗浄試薬チャンバー34の上側部分38からチャンバー34の垂直区画42及び横区画44内に流れ込むことを防止するための密封圧縮シールを形成する。圧縮パッドP36−1、P36−2及びP36−3は、チャンバーC36の垂直吸入口48に位置合わせされている。圧縮パッドP36−3は、圧縮パッドP36−3の一部がチャンバーC36の首部46を覆うように圧縮パッドP36−1及びP36−2よりも広くなっていることに留意されたい。圧縮パッドP36−1は#1廃液圧縮パッドであり、圧縮パッドP36−2は#2廃液圧縮パッドであり、パッドP36−3は#3廃液圧縮パッドである。
圧縮パッドP72は入口72に位置を合わせたクランプである。同様に、圧縮パッドP70は入口70に位置を合わせたクランプであり、圧縮パッドP62は入口62に位置を合わせたクランプであり、圧縮パッドP58は入口58に位置を合わせたクランプであり、圧縮パッドP60は入口60に位置を合わせたクランプであり、圧縮パッドP66は入口66に位置を合わせたクランプであり、圧縮パッドP68は入口68に位置を合わせたクランプであり、圧縮パッドP56は入口56に位置を合わせたクランプであり、圧縮パッドP54は入口54に位置を合わせたクランプである。圧縮パッドP64は入口64に位置合わせされたクランプである。
圧縮パッドヘッドは、デラウェア州ウィルミントンのDuPont社によりブランド名Delrin(登録商標)で販売されている黒色アセタール樹脂を用いて形成することができる。
圧縮パッドP26は、チャンバーC26に位置を合わせるように配置される。好ましい一実施態様においては、パッドP26は、スクリューアクチュエータ又は他の比較的移動速度が遅いアクチュエータに結合する。スクリューアクチュエータは、空気圧作動圧縮パッドによって生じる、急激に付与される圧縮力ではなく、ゆっくりとした一様な圧縮力を加える。この制御された動作には、いくつかの利点がある。例えば、スクリューアクチュエータは、使用者が、圧縮パッドP26が移動する速度及び範囲を制御し、その結果、圧縮されるチャンバー内の乱流を制限又は防止することが可能になる。乱流の回避は、例えば、乱流条件の下で気泡を生じる傾向がある洗剤ベースの試薬を用いたとき、又は磁気分離洗浄手順の実行時にチャンバーから洗浄試薬を除去するときに望ましい。洗浄試薬が、固定化した磁気応答性粒子を含むチャンバーから除去されているときに、チャンバー内の乱流が粒子をずらし、粒子を廃棄物チャンバーに洗い流してしまう可能性がある。圧縮パッドP26の制御された移動は、結果としてチャンバーの壁を剥がしたり、又は裂いてしまったりする可能性のある、チャンバーの過剰圧縮を防ぐのに役立つ。
図12A及び12Bは、本発明による他の容器300を示す。前述の容器10と同様、容器300は、箔及び/又はプラスチックのような薄い柔軟な材料から形成された柔軟な上部及び底部シートを有し、袋状の容器を定義する略平面状の容器を含む。容器300は、使用時に容器の好ましい向きを示し、上方向及び下方向を定義する上縁302及び下縁304を有する。図12Aに示す種類の例示的な容器は、約5.5インチ×約3.4〜4.0インチの寸法を有し、厚みは約0.4インチであり(試料及び処理材料が充填されている場合)、本明細書で説明されているものと同様、手動操作又は自動化システムとの併用に適した寸法であればどのような寸法であってもよい。容器300を構成するための好ましい材料は、容器10について前記で説明されているものと同じである。容器300は、試料材料又は他の物質を、容器300に装填するための入口306を含む。容器300は、9個のチャンバーC320、C322、 C324、C328、C332、C334、C336、C338、及びC340を含む。
図12Aに示すように、容器300は、垂直部分381及び383、上部水平部分384及び底部水平部分385を含む剛体フレーム380を含んでいてもよい。パネル382は、バーコード又は人間若しくは機械が読み取れる他のしるしのような識別標識を受け取ることができる。このような標識が有する情報には、ロット番号、シリアル番号、アッセイの種類、有効期限等が含まれる。
突出タブ386は上部384の上に突き出し、袋300をつかみ、それを機器内に挿入し、機器内から取り出すための付加物を形成する。試料を吸入チャネルC328Cに通し試料チャンバーC328A内に導入するための入口カバー388(例えば、一方向弁)が備えられている。突出タブ386及び試料カバー388を含むフレーム380は、好ましくは、プラスチックのような適度の剛性を持つ材料から形成される。
容器300の更なる詳細は、容器の分解図である図12Bに示す。フレーム380は、後部フレーム構成要素380a及び前部フレーム構成要素380bを含み、これらの間に、柔軟な袋301がサンドイッチ状に挟まれている。後部フレーム構成要素380aは、垂直部分381a、383a、上部水平部分384a、底部水平部分385及び突出タブ386aを含む。前部フレーム構成要素380bは、垂直部分381b、383b、上部水平部分384b及び突出タブ386bを含むが、底部水平部分を含まない。
各フレーム構成要素380a及び380bは射出成型され、2つの構成要素は、超音波溶接によってフレームアセンブリに互いに接続され得る。容器300の柔軟な袋部分301は、袋の周囲に形成された孔を貫通するフレーム構成要素380a、380b上のピンでフレーム380内に配置され固定される。
容器300の例示的な使用においては、チャンバーは、結合反応を実施するのに必要な物質を充填することができる。例えば、試料材料は、入口306を通じてチャンバーC328内に装填され得る。チャンバーC328は、下側領域が上側領域から隔離されるように加圧機構によって閉鎖できる制限された区画364により接続される上側領域C328Aと下側領域C328Bとからなる。チャンバーC332は、固相担体上の試料材料中に存在する検体を結合し固定化するための試料処理試薬が装填されており、チャンバーC328の下側領域C328Bは、試料材料を収容することに加えて、試料材料の他の成分から固定化された検体を分離するためのチャンバーC328の試料処理領域として機能し、チャンバーC334には、乾燥した第1の処理材料が装填され、チャンバーC340には、第1の処理材料を再構成するための試薬が装填され、チャンバーC322には、乾燥した第2の処理材料が装填され、チャンバーC324には、第2の処理材料を再構成するための試薬が装填され、チャンバーC336には、洗浄試薬が装填され、チャンバーC338には、洗浄試薬の阻害成分を除去するためのすすぎ試薬が装填され、チャンバーC320には、反応の他の態様から相対的に分離する形で廃棄物質が収容され、保管するための廃棄物チャンバーとして機能しうる。第2の処理材料を含むことに加えて、チャンバーC322の下側領域C322Bは、更に試料材料中に、興味のある少なくとも1種の検体が存在することを示す反応混合物中の信号又は変化を検出するためのチャンバーC322の検出領域として機能することができる。
チャンバーC320は、チャンバーC328からの廃棄材料を受け取るように構成されており、チャンバーC328から延長している最初の概ね垂直の入口370、上側首部372及び捕集領域374を含む。垂直入口370は、一般的にチャンバーC328の下側領域C328Bの上に位置し、チャンバーC328の下側領域C328Bの上部の近くに位置する入口360を用いてチャンバーC328に接続される。チャンバーC328に対するチャンバーC320の配置は、廃棄材料がチャンバーC328からチャンバーC320に移動するときにチャンバーC328に入っている気泡をチャンバーC320に直接移すことを可能にする。更に、上側首部372は、チャンバーC320の捕集領域374の上に位置しているため、廃棄材料は、上側首部372を密封するためにクランプ又は他の手段を用いずに、重力によって捕集領域374内に保持できる。
図12に示すように、容器300の相互接続されたチャンバーシステム内で、チャンバーC324は、入口350によってチャンバーC322の下側領域C322Bに接続し、チャンバーC322の下側領域C322Bは、入口356によってチャンバーC328に接続し、チャンバーC340は、入口344によってチャンバーC334に接続し、チャンバーC334は、入口346によってチャンバーC328の下側領域C328Bに接続し、チャンバーC332は、入口348によってチャンバーC328の下側領域C328Bに接続し、チャンバーC338は、入口362によってチャンバーC328の下側領域C328Bに接続し、チャンバーC336は、入口342によってチャンバーC328の下側領域C328Bに接続する。洗浄手順実行時にチャンバーC336の上側部分に捕集された気泡が入口342を通ってチャンバーC328内に移動するのを防止するために、壁376は、チャンバーC336内に斜めに突き出している。一実施態様においては、入口342、344、346、348、350、356、360及び362のそれぞれは、解放可能なシール又は他の障壁によって一時的に閉じられ、流体が流れ込むことが防止される。容器10と同様に、容器300は、試料の非順次的処理を必要とし、又はそのような処理が有利である複合手順を実行するために用いられるチャンバーの非直線的配置を定義する。
チャンバーC322は、上述の下側領域C322B及び制限されている区画358によって接続している上側領域C322Aを含む。例示された配置においては、チャンバーC324及びC322の組み合わされた物質(チャンバーC328からの物質と組み合わせる前又は後)は、物質がチャンバーC324及びC328内に移動することを防止するために入口350及び356のそれぞれが加圧機構によって締め付けられている間に、チャンバーC322の上側領域C322Aと下側領域C322Bとの間で、組み合わされた物質を前後に動かすことによってチャンバーC322内で混合することができる。チャンバーC322の上側領域C322A及び下側領域C322Bの相対的な方向により、下側領域C322Bに付与される圧力が除かれたときに、組み合わされた物質が上側領域C322Aから下側領域C322B内に移動することを重力が補助する。従って、示されている実施態様においては、チャンバーC322の上側領域C322Aから下側領域C322Bに物質を移動するのに外部圧力を必要としない。
容器300は、チャンバーとチャンバーとの間で物質を選択的に移動し、1つ以上の選択されたチャンバーに対して加熱及び/又は冷却を選択的に行うため加圧機構−圧縮パッド等−及び容器300のチャンバーに適合するように大きさ、形状及び位置が定められた熱ゾーンの配置を有する機器(図示せず)内で処理される。
本発明の態様を具体化する、図12A及び12Bに示すような、容器300を処理するように構成されている機器の第2の実施態様は、図13において参照番号1000によって示される。機器1000は、上部1002及び底部1002bを有する筺体1002を含む。筺体1002は、更にハンドル1004を含む。ハンドル1004は、調製の際に容器300を保持するための対向する溝1009を含む。機器1000は、更に、好ましくは適切なろ過材により覆われている空気取り入れ口1008及び排気口1010を含む。
ステータス画面1012は、ステータス、及びオペレータにとって有用な他の情報を表示し、操作ボタンは、例えば図に示すように、画面1012の下に備えてもよい。筺体の上部1002aの容器挿入溝1014は、図13に示すように、容器300を受け入れるように構成されている。容器挿入溝1014は、こぼれた液体が溝の中に入るよりも、むしろ筺体1002から流れ出るようにするため、好ましくは凸状である。溝カバースライド1016は、溝1014の上を塞ぐように容器300が溝1014内に挿入された後に手動で操作され、容器300を取り出せるように再度開くことができる。ファン1011は、電子部品及び筺体1002の内部にある他の構成要素に冷却用空気を送る。
図14及び15の筺体1002の内部を見ると、機器1000は、空気圧縮機1020及び空気だめ1024を含む。機器は、更に、蛍光光度計500(以下で更に詳細に説明する)のような検出器、及び磁石を容器に対して動作可能な位置に移動すること、及び動作可能な位置から移動することを選択的に行うための磁石アクチュエータ1090を含む。
機器1000は、更に、空気分流板1082及びアクチュエータプレート1080を含む。機器1000は、更に、合体エアフィルタ1022を含んでいてもよい。温度制御システムの態様が知られており、熱的分離フレーム1048と、ファン1070、覆い1068、及びヒートシンク1064を含む、熱放散システムとを含む。ファン1070は、空気取り入れ口1008から空気を機器内に引き込み、加熱した空気が、ヒートシンク1064の上を流れた後、排気口1010を通って筺体1002から出る。
図9に示す容器300に選択的に圧力を与えるための機器1000の圧力機構クラスタを図16に示す。クラスタは、Teflon(登録商標)(PTFE)で被覆してもよい、Delrin(登録商標)又はアルミニウムで形成できる(例えば、機械加工により)、アクチュエータプレート1080内に取り付けられる。上述のクラスタ180の場合と同様に、図16のクラスタは、アクチュエータプレート1080に対して横方向に往復移動し、圧力を容器300の選択された部分に選択的に与えるように構成され、配置されている複数の個々の圧縮パッドを含む。圧力機構クラスタは、容器300の種々のチャンバー及び入口と位置を合わせるように成形され、配置されている複数の圧縮パッドを含む。各圧縮パッドは、パッドを移動して容器300の対応する部分と圧縮係合させ、次いで収容位置に戻すために往復運動する空気圧式アクチュエータ、磁気アクチュエータ、ソレノイド又は他の適切な機械的、電気機械的、若しくは又は他のアクチュエータ(図示せず)に動作可能なように取り付けられているヘッドを備える。
一実施態様においては、各圧縮パッドは、加圧された空気をパッドに送り、パッドを伸長位置に移動する、分流板1082内に形成されている空気導管と結合する。具体的には、それぞれの圧縮部材は、係合したときに加圧されたシステム空気を圧力調節器(図示せず)が取り付けられている入口に向かう経路に接続するソレノイド弁によって制御され、調節器の出力は、分流板1082上の他の入口に戻される形で接続され、現在調節され加圧されている空気を圧縮部材に供給する。システム内の圧力を監視するために、圧力センサーを備えていてもよい。
圧縮パッドP328−1及びP328−2は、容器300の試料チャンバーC328Aの下側部分及び上側部分にそれぞれ位置合わせされる。圧縮パッドP328−3は上側首部C328Cに位置合わせされる。圧縮パッドP364は、チャンバーC328AとチャンバーC328Bとの間の制限された領域P364に位置合わせされ、チャンバーC328AとC328Bとの間の流体流を制御するため制限部364を選択的に開閉するための手段を形成する。
圧縮パッドP338−2は、すすぎチャンバーC338の上側部分に位置合わせされた円形パッドであり、圧縮パッドP338−1は、チャンバーC338の下側部分に位置合わせされる。圧縮パッドP362は、C338を含むすすぎチャンバーを磁気分離チャンバーC328Bと接続する入口362と位置合わせされ、チャンバーとチャンバーとの間の流体流を制御するための入口362を選択的に開閉する(最初に閉じられている破裂性シールが開放された後)手段を形成する。
圧縮パッドP320−1、P320−2及びP320−3は、廃棄物チャンバーC320の異なる部分に位置合わされる。圧縮パッドP320−1及びP320−2は、チャンバーC328Bを廃棄物チャンバーC320に接続する吸入口通路の下側部分及び上側部分にそれぞれ位置合わせされ、流体が、通路を上に行き、チャンバーC320の上側首部372内に移動するように適合されている。圧縮パッドP320−3は上側首部372を通る流体の移動を制御し、特に、流体が廃棄物チャンバーC320からチャンバーC328Bへ逆流することを防止する。圧縮パッド360は、廃棄物チャンバーC320をチャンバーC328Bに接続する入口360に位置合わせされ、チャンバーとチャンバーとの間の流体流を制御するための入口360を選択的に開閉するための手段を形成する。
圧縮パッドP356は、チャンバーC322BとチャンバーC328Bとを接続する入口356に位置合わせされ、チャンバーとチャンバーとの間の流体流を制御するための入口を開閉するための手段を形成する。圧縮パッドP322−1はチャンバーC322Aに位置合わせされ、圧縮パッドP358は、チャンバーC322の領域C322AとC322Bとを接続する制限された区画358に位置合わせされる。圧縮パッドP358は、チャンバーとチャンバーとの間の流体流を制御するため制限された区画358を開閉するための手段を形成する。
圧縮パッドP322−2はチャンバーC322Bに位置合わせされる。一実施態様においては、チャンバーC322の下側領域C322Bは、試料材料中に、興味のある少なくとも1種の検体が存在することを示す反応混合物中の信号又は変化を検出するための検出チャンバーとして機能する。従って、ある実施態様においては、圧縮パッドP322は、圧縮パッドを光が透過することができ、その結果、チャンバー領域C322Bの内容物によって放射される光信号を検出できるように構成される。
圧縮パッドP324−1及びP324−2は、チャンバーC324の上側部分及び下側部分にそれぞれ位置合わせされる。圧縮パッドP350は、チャンバーC324とチャンバーC322Bとを接続する入口350に位置合わせされ、チャンバーとチャンバーとの間の流体流を制御するための入口を開閉するための手段を形成する。
圧縮パッドP332−1及びP332−2は、チャンバーC332の上側部分及び下側部分にそれぞれ位置合わせされる。圧縮パッドP348は、チャンバーC332とチャンバーC328Bとを接続する入口348に位置合わせされ、チャンバーとチャンバーとの間の流体流を制御するための入口348を選択的に開閉するための手段を形成する。
圧縮パッドP340はチャンバーC340に位置合わせされ、圧縮パッドP334はチャンバーC334に位置合わせされる。圧縮パッドP344は、チャンバーC340とチャンバーC334とを接続する入口344に位置合わせされ、チャンバーとチャンバーとの間の流体流を制御するための入口344を選択的に開閉するための手段を形成する。圧縮P346は、チャンバーC334とチャンバーC328Bとを接続する入口346に位置合わせされ、チャンバーとチャンバーとの間の流体流を制御するための入口346を開閉するための手段を形成する。
圧縮パッドP336−1は洗浄チャンバーC336の一部に位置合わせされ、圧縮パッドP336−2は洗浄チャンバーP336の他方の部分に位置合わせされる。圧縮パッドP336−2は、チャンバーC336の斜めの壁376及び周側壁の端部から伸びる洗浄チャンバーP336の一部と位置を合わせ、チャンバーC336を2つの部分チャンバーに分割するための手段を形成する。圧縮パッドP342は、チャンバーC336とチャンバーC328Bとを接続する入口342に位置合わせされ、チャンバーとチャンバーとの間の流体流を制御するための入口342を選択的に開閉するための手段を形成する。
圧縮パッドP336−3は洗浄チャンバーC336の一部に位置合わせされ、アクチュエータプレート1080内に形成された陥凹部の縁のところで固定された、柔軟で比較的無孔の材料のシートによって形成された空気袋である。空気袋P336−3は、分流した1082内に形成されている空気導管と連通しており、 調節器によって制御することができる。空気が充填されると、空気袋P336−3は膨らみ(膨張し)、圧力をチャンバーC336の一部に付与し、チャンバーから洗浄流体を押し出す。空気袋P336−3は、この配置について往復運動する圧縮パッドに優先するが、空気袋の膨張が、チャンバーC336のゆっくりとした一様な変位を生じさせるように制御できるからである。
空気袋P336−3の機能は、一定量の洗浄緩衝液試薬を入口342に隣接するチャネル領域内に移動できるよう十分穏やかに洗浄チャンバーC336を加圧することである。
圧縮パッドP336−2は、チャンバーC328Bに移動するまで一定量の洗浄液を適切な位置に保持するため単一の盛り上がった薄い表面を有する。空気袋P336−3は、係合したときに加圧されたシステム空気を圧力調節器が取り付けられている入口に向かう経路に接続するソレノイド弁によって制御される、他の圧縮部材とほとんど同じように作動し、調節器の出力は、分流板1082上の他の入口に戻される形で接続され、現在調節され加圧されている空気を空気袋に供給する。空気袋P336−3の適切な動作圧力は約10psiである。
圧力機構クラスタは、圧縮パッドが動作できるように伸長し、圧縮パッドを覆い、例えば、こぼれた流体から圧縮パッドを保護する弾性シールド(図18及び図19の参照番号1081を参照されたい)で覆ってもよい。シールドは、1つの開口部を含み、開口部を通して検出器(例えば、蛍光光度計500) は開口部に隣接して配置されているチャンバーの内容物から放射される光信号を検出することができる。シールドは、処理後に機器1000からの容器300の挿入及び取り外しが容易に行えるように、こびり付かない特性を備えていてもよい(例えば、こびり付かないコーティング)。
図17Aに示すように、空気分流板1082は、アクチュエータプレート1080に取り付けられている。空気だめ1024は、磁石アクチュエータ1090及び検出器500のように、分流板1082に接続されている。窓1086を通して、容器300のパネル382に設けられているバーコード又は他の標識を見ることができ(図12Aを参照)、バーコードリーダー1088は、容器上のバーコードを読み取るように構成され、配置される。弁1084(例えば、ソレノイド弁)は、分流板の種々の導管への圧力分配を制御し、これらの導管は、それぞれ、図16に示す空気圧式圧縮パッドのうちの1つに接続される。
具体的には、図17Bは、機器1000の空気圧システムの回路図を示す。図17Bに示すシステムは、図17Aに示す構造といくらか異なる。例えば、図17Bに示すシステムは空気だめを欠いている。空気圧システムは、逆止弁1030、水トラップ1032及び空気乾燥機1034(例えば、圧縮空気から水分を除去するための乾燥装置)に接続されているポンプ1020を含む。弁1028(例えば、ソレノイド弁)は、ポンプを大気「ATM」に通気することによって空気圧システムとポンプの接続を選択的に切断するように構成され、配置される。圧力センサー1036は、システム内の圧力を検出し、制御及び処理コンピュータ730と通信することができる(図2を参照されたい)。システムは、更に、アキュムレータ1038を備えてもよい。次いで、システムは、弁1084及び圧縮部材を含む(例えば、図16に示すように)。図17Bには、3つの弁1084a、1084b、1084cのみと3個の関連する圧縮部材P332−2、P332−1及びP348が示される。図からわかるように、各弁1084a、1084b、1084cは、選択的に、関連する圧縮パッドを圧力源(ポンプ1020又はアキュムレータ1038)に接続し、関連する圧縮パッドを大気「ATM」に接続して圧縮パッドを通気し(圧縮パッドの完全な引き込みを阻害するおそれのある圧力を取り除くため)、又は空気圧回路の残り部分からの圧縮部材の分岐を遮断することができる。
図19における、断面が示されている磁石アクチュエータ1090は、送りネジ1096に結合しているシャフト1094を介して磁石1132、1134を保持する磁石ホル ダー1136を移動するモーター1092を含む。磁石アクチュエータ1090は、更に、圧縮カップ1130を往復運動させるためのアクチュエータフィッティング1140に結合しているシリンダー1110、1112を含む。モーター1092及びシリンダー1110、1112は、分流板1082に取り付けられた取り付けブロック1120の上に装着される。
具体的には、モーター1092は、ベアリング1100、1102内に回転可能なように取り付けられているカプラー1098によって送りネジ1096と結合しているシャフト1094を含む。送りネジ1096は、カプラー1098内で軸方向にスライドすることができ、図に示す磁石1132、1134を含む、多数の磁石を保持する磁石ホルダー1136と螺合している。好ましい一実施態様においては、磁石ホルダー1136は、そのような磁石を3個保持する。磁石ホルダー1136は、アクチュエータプレート1080を横方向に貫通するように形成された円形の孔の中に配置している、圧縮カップ1130の中空部分の中に配置される。カプラー1098内に挿入された送りネジ1096の端部は、正方形又は他の形状の断面を有し、送りネジ1096がカプラー1098に対して回転するのを防止する。更に、磁石ホルダー1136は、磁石ホルダー1136が圧縮カップ1130内で回転するのを防止するために中空の圧縮カップ1130の内壁に適合する、突出するリッジ又は非円形周形状を有する。その結果、モーター1092による送りネジ1096の回転で、磁石ホルダー1136の対応する平行移動が生じる。
更に、オン位置とオフ位置との間で磁石ホルダー1136を単に移動し、磁石ホルダー1136がオン位置からオフ位置に移動し、その逆に移動する速度を変化させ、更にはオン位置とオフ位置とを変えるようにモーター1092を制御することができる。当業者は、速度と位置の組み合わせを用い、磁場強度及びその変化率を最適化し、磁性粒子の保持を最大にすることができる。
シリンダー1110、1112は、それぞれ、往復運動するピストン1116が配置されているシリンダー筺体1114を含む。(注意:シリンダー1110及び1112は同一であり、それ故、図においてはシリンダー1110の特徴のみに番号が振られている。)シリンダー1110を空気圧源に結合するために空気口1118が備えられている。シリンダー1110、1112、それぞれのピストンは、アクチュエータフィッティング1140と結合する。
アクチュエータフィッティング1140は、圧縮カップ1130が嵌め込まれる同じ孔の一部に嵌る円形中心部、及び圧縮カップ1130を受容する円形開口部に隣接するアクチュエータプレート1080内に形成された、開口部1146、1148にそれぞれ嵌め込まれる2つの半径方向突出部1142、1144を含む。ピストン1116は、径方向突出部1142、1144と結合している。
図に示すように、磁石ホルダー1136が有する磁石1132、1134は、「オン」位置にある。すなわち、磁石は、アクチュエータプレート1080を覆う弾性シールド1081に近接しており、その結果、磁気分離手順が実施される容器のチャンバーに近接している。磁石は、モーター1092を介して送りネジ1096を回転することによって「オフ」位置に移動し、磁石ホルダー1136が平行移動し圧縮カップ1130の中空部分内のシールド1081から離れるようになっている(図中、右へ)。モーター1092及び送りネジ1096の回転を逆転し、磁石ホルダー1136は圧縮カップ1130の末端の「オン」位置まで伸びる。送りネジ1096の回転を続けると、磁石ホルダー1136及び圧縮カップ1130は押し出されて(図中、左へ)弾性シールド1081に当たり、圧縮力を圧縮カップ1130に隣接するチャンバーに付与する。従って、例えば、磁気分離手順のすすぎ工程の再に、磁石が「オン」位置にある間にチャンバーが圧縮されてチャンバーから液体が押し出され、チャンバー内に磁性粒子を保持し維持する。
圧縮カップ1130が、送りネジ1096及び磁石ホルダー1136によって伸長されると、圧縮カップに強く取り付けられている(例えば、2つの構成要素が螺合している)アクチュエータフィッティング1140も、伸長位置まで移動する(図中、右へ)。シリンダー1110、1112のピストン1116は、アクチュエータフィッティング1140と一緒に受動的に移動する。磁石ホルダー1136が、送りネジ1096によって引っ込められる場合、シリンダー1110、1112内のバネ(図示せず)は、アクチュエータフィッティング1140及び圧縮カップ1130を図に示す後退位置まで戻す。
磁石アクチュエータ1090は、更に、磁石が「オフ」位置にあるときに圧縮力を容器のチャンバーに付与し、チャンバーから流体内容物を押し出すための圧縮パッドとしても機能する。これは、送りネジ1096を回転させて磁石ホルダー1136を「オフ」位置まで引き出し(図中、右へ)、次いで、シリンダー1110、1112のピストン1116に圧力を加えてピストンを伸長し、これによりアクチュエータフィッティング1140及び圧縮カップ1130を延ばして(図中、左へ)、カップ1130の往復する突出に応じて伸長及び偏向を生じるシールド1081に当て、圧縮カップ1130に隣接するチャンバーを圧縮することによって行われる。アクチュエータフィッティング1140が伸長すると、(右へ)引き戻されてアクチュエータフィッティング1140と接触した磁石ホルダー1136も、伸長方向に移動する。この、磁石ホルダー1136の移動に対応するために、送りネジ1096の端部は、カプラー1098と共にスライドし得る(すなわち、送りネジ1096は、カプラー1098内で「浮いている」)。シリンダー1110、1112内のバネは、圧力がピストン1116から取り除かれるとアクチュエータフィッティング1140及び圧縮カップ1130を引っ込める。
機器1000の温度制御システムは、図20に示し、熱的分離フレーム1048内に配置される熱伝導要素1040、1042、1044を含む。熱伝導要素は、好ましくは、銅又はアルミニウムのような熱伝導性材料から製造され、分離フレーム1048は、好ましくは、Ultem(登録商標)又はDelrin(登録商標)のような断熱材料から形成される。例示されている実施態様においては、伝導性要素1040、1042、1044は、それぞれ、複数のチャンバーを包含する容器300の領域と熱で連通するような大きさ及び形状を有する。更に、各伝導性要素1040、1042、1044の少なくとも一部は、1つの伝導性要素によって包含されるチャンバーが隣接する伝導性要素によって包含されるチャンバーに近接するように隣接する伝導性要素の少なくとも一部に近接し、これら2つのチャンバーは、2つのチャンバー間に伸びる通路を有しない入口によって接続される。隣接する伝導性要素の間に熱漏れのない隣接する伝導性要素の間のこのような近接近は、分離フレーム1048によってもたらされる断熱によって容易になる。
容器300は、アクチュエータプレート1080と分離フレーム1048との間の機器1000内の動作可能な位置に保持される(図14及び15を参照されたい)。機器1000内に分離フレーム1048とアクチュエータプレート1080とを配置し、その間に容器を受容するギャップが生じ、そのギャップは、伝導性要素1040、1042、1044のうちの1つに隣接する容器のチャンバーに流体が充填されたときに、チャンバーが膨張してチャンバーの表面と隣接する導電性要素との間の熱的接触が高まるように容器300に対して寸法が決定される。
ペルチェ装置1050、1052、1054は、それぞれ伝導性要素1040、1044、1042と熱的接触する位置に置かれる。温度センサー1056、1058、1060は、それぞれ、熱伝導性要素の温度を感知するように、それぞれ伝導性要素1040、1042、1044と熱的接触する位置に置かれる。センサー1056、1058、1060は、RTDセンサーを含んでいてもよく、ペルチェ装置の動作を制御するためのコントローラ(例えば、温度コントローラ722)と結合している。箔抵抗発熱体のようなペルチェ装置以外の加熱素子も使用することができる。
ペルチェ装置1050、1052、1054(又は他の加熱若しくは冷却素子)は、好ましくは、第1の平面状側部にペルチェ装置が取り付けられている第1の部分1064と対向する側から突き出している放熱フィン1066を有するアルミニウムブロックを含んでいてもよいヒートシンク1062上に取り付けられる。覆い1068は、ヒートシンク1062の放熱フィン1066を部分的に覆い、ファン筺体1070内に取り付けられている冷却ファンは、空気を覆い1068内に引き込み、放熱フィン1066が通り過ぎる位置に置かれる。
ペルチェ装置1050、1052、1054は、伝導性要素1040、1044、1042を加熱又は冷却し、その結果、任意のチャンバー及び各伝導性要素に近接する容器300のチャンバーの一部の内容物を加熱又は冷却するように選択的に動作可能である。伝導性要素1040、1042、1044、並びにフレーム1048は、袋300に対して固定された位置にある。袋300が、機器1000の溝1014内に挿入されると、袋300は、伝導性要素1040、1042及び1044に非常に近い位置に配置される。
チャンバーに物質が充填されると、軟質の袋のチャンバーが膨張して伝導性要素の中に入り、その結果、そのチャンバーに隣接する位置にある伝導性要素とより完全な物理的、更に熱的接触をする。
容器10又は300、並びに機器100又は1000で実施された分析手順の結果は、蛍光発光又はルミネッセンス発光のような、試料の光出力を測定することによって測定される。従って、光検出器は、処理ユニット102の前部120内に形成された開口部176を通って突き出すレンズを備える。例示される実施態様においては、光検出器は、蛍光光度計500である。他の検出器は、電気的変化又は質量、色、又は濁度のような物理的特性の変化を感知する検出器を含む、例示されている機器とともに用いるように容易に適合され得る。
本発明の態様を具体化する蛍光光度計の詳細を、図6、7、8a〜c、及び9a〜cに示す。蛍光光度計500は、基部580に一緒に取り付けられている前部筺体502及び後部筺体520を含む。
前部筺体502は、内部レンズチャンバー506を部分的に取り囲み、略円柱状の形状を有する上側バレル504を含む。上側バレル504は、機器100内のアクチュエータプレート124(図3を参照されたい)内に形成された開口部176内に伸びるか、又は機器3000(図14、18を参照されたい)の分流板1082内に形成された開口部上に伸びる。前部筺体502は、更に、蛍光光度計500を機器100内のアクチュエータプレート124に、又は機器1000の分流板1082に固定するための3個の取付脚部510を含む。
後部筺体520は、前部筺体502の下で、機械的留め具等によって基部580に取り付けられる。例示される実施態様においては、後部筺体520は、一方の端部からその対向する端部に伸びている4つの光導管を含む。特に、後部筺体は、第1の放射導管522、第2の放射導管524、第1の励起導管526及び第2の励起導管528を含む。筺体520は例示であり、蛍光光度計500は、1以上の複数の放射導管及び1以上の励起導管を含んでいてもよい。
後部筺体520の更なる詳細を、図6及び7a〜cに示す。筺体520内では、2つの励起導管526及び528は同一のものであり、2つの放射導管522及び524も同一のものである。
各励起導管526、528は、角丸及び凸状に丸い斜辺を有する直角三角形の一般的形状の断面を有する第1の部分532を含む。この形状の目的は、後部筺体520の重量を制限することである。この形状は単に好ましいだけであり、他の断面形状も、導管の特徴が光の通過に干渉しない限り導管−円形又は矩形を含む−のために用いることができる。励起導管526、528は、更に、略円筒形状の第2の部分534を含む。円形の通路536は、第1の部分532を第2の部分534と接続し、通路536の直径は、第2の部分534の直径より小さく、その結果、第2の部分534内に環状のレンズ棚540を形成する。最後に、励起導管526、528は、第2の部分534の端部に形成されたO−リング座538を含む。
各放射導管522、524は、角丸と凸状に丸い斜辺を持つ直角三角形の一般的形状の断面を有する第1の部分552を含む。放射導管522、524は、更に略円筒形状の第2の部分554を含む。円形の通路556は、第1の部分552を第2の部分554に接続し、通路556の直径は、第2の部分554の直径より小さく、その結果、第2の部分554内に環状のレンズ棚560を形成する。放射導管522、524も、第2の部分554の端部に形成されたO−リング座558を含む。最後に、円形のフォトダイオード座562は、放射導管522、524のそれぞれの第1の部分552の端部内に重ね合わされる。
前部筺体502及び後部筺体520は、好ましくは6061 T6アルミニウムから機械加工で形成され、黒色陽極酸化仕上げされる。また、前部及び後部の筺体は、機器内の温度環境に耐えることができる材料から別々に、又は単一の一体化ユニットとして、成形又は鋳造することができ、中断のない光導管を形成する。
基部580は、前部プリント基板(PCB)582及び後部プリント基板(PCB)586を含む。前部PCB 582及び後部PCB 586は、円筒状のスペーサー要素584を貫通する機械的留め具(例えば、ボルト、ネジ)によって固定され相隔てて並ぶ関係を維持しながら一緒に保持される。PCB 582、584に対する例示的な回路の詳細について、以下に説明する。
図9bを参照すると、後部筺体520の第1の励起導管526内に、第1の励起光学素子が取り付けられている。第1の励起光学素子は、第1の励起導管526の第1の部分532の一方の端部に配置されており、基部580の前部PCB 582に取り付けられている第1の発光ダイオード(LED)616を含む。照準レンズであってもよい、第1の励起レンズ618は、第1の励起導管526の第2の部分534内のレンズ座540上に固定される。第1の励起フィルタ622は、第1の励起導管526の端部に配置され、第1の励起レンズ618と直列に並ぶように(そのレンズの光軸に沿って)位置合わせされる。第1の励起フィルタ622及び第1の励起レンズ618は、好ましくは黒色陽極酸化仕上げによりアルミニウムから製造されるスペーサー620で互いから隔てられる。第1の励起導管526は、関連する光学素子と共に第1の励起チャネルと総称される。
同様に、第2の励起光学素子は、後部筺体520の第2の励起導管528内に取り付けられている。第2の励起光学素子は、第2の励起導管528の第1の部分532の一方の端部に配置され、基部580の前部PCB 582に取り付けられている第2のLED 632を含む。照準レンズであってもよい、第2の励起レンズ634は、第2の励起導管528の第2の部分534のレンズ座540上に固定される。第2の励起フィルタ638は、第2の励起導管528の端部に配置され、第2の励起レンズ634と直列に並ぶように(そのレンズの光軸に沿って)位置合わせされる。第2の励起フィルタ638及び第2の励起レンズ634は、好ましくは黒色陽極酸化仕上げによりアルミニウムから製造されたスペーサー636で互いから隔てられる。第2の励起導管528は、関連する光学素子と共に、第2の励起チャネルと総称される。
図9cを参照すると、第1の放射光学素子が、後部筺体520の第1の放射導管522内に取り付けられている。第1の放射光学素子は、第1の放射導管522の第1の部分552内のフォトダイオード座562に配置されているフォトダイオード取付部648内に取り付けられ、基部580の前部PCB 582に取り付けられている第1のフォトダイオード660を含む。照準レンズであってもよい、第1の放射レンズ650は、第1の放射導管522の第2の 部分554のレンズ座560上に固定される。第1の放射フィルタ654は、第1の放射導管522の端部の近くに配置され、第1の放射レンズ650と直列に並ぶように(そのレンズの光軸に沿って)位置合わせされる。第1の放射フィルタ654及び第1の放射レンズ650は、好ましくは黒色陽極酸化仕上げによりアルミニウムから製造されたスペーサー652で互いから隔てられる。更に、第1の放射フィルタ654も、好ましくは黒色陽極酸化仕上げによりアルミニウムから製造された追加のスペーサー656で第1の放射導管522の端部から隔てられる。第1の放射導管522は、関連する光学素子と共に、第1の放射チャネルと総称される。
同様に、第2の放射光学素子は、後部筺体520の第2の放射導管524内に取り付けられている。第2の放射光学素子は、第2の放射導管524の第1の部分552内のフォトダイオード座562に配置されているフォトダイオード取付部668内に取り付けられ、基部580の前部PCB 582に取り付けられている第2のフォトダイオード662を含む。照準レンズであってもよい、第2の放射レンズ670は、第2の放射導管524の第2の部分554のレンズ座560上に固定される。第2の放射フィルタ674は、第1の放射導管524の端部の近くに配置され、第2の放射レンズ670と直列に並ぶように(そのレンズの光軸に沿って)位置合わせされる。第2の放射フィルタ674及び第2の放射レンズ670は、好ましくは黒色陽極酸化仕上げによりアルミニウムから製造されたスペーサー672で互いから隔てられる。更に、第2の放射フィルタ674も、好ましくは黒色陽極酸化仕上げによりアルミニウムから製造された追加のスペーサー676により第2の放射導管524の端部から隔てられる。第2の放射導管524は、関連する光学素子と共に、第2の放射 チャネルと総称される。
前部筺体カバーディスク600は、前部筺体502と後部筺体520との間に配置される(図6を参照されたい)。前部筺体カバーディスク600は、上側筺体502のレンズチャンバー506内にわずかに突き出す、盛り上がった円形リッジ602を含む(図8b、8cを参照されたい)。前部筺体カバーディスク600は、更に4つの円形光開口部606を含み、各円形光開口部はカバーディスク600が取り付けられるときに後部筺体520内に形成された光導管522、524、526及び528のうちの1つに位置合わせされる。
共通レンズ680は、前部筺体502のレンズチャンバー506内に収納される。一実施態様においては、蛍光光度計500は、励起導管及び放射導管の外にある蛍光光度計の唯一の光学素子を含む単一の分割されていない共通レンズ680のみを含む。これに関連し、「分割されていない」とは、共通レンズが専ら光透過材料(例えば、ガラス)から製造されており、レンズを物理的又は光学的に2以上の部分に分割するためにレンズの表面に埋め込まれた、及び/又は施された光学的に不透明な構造の光の方向を変える、又は光を妨げる構造をいっさい含まないことを意味する。
O−リング682は、レンズチャンバー506の端部に固定され、前部筺体カバーディスク600の盛り上がった円形リッジ602は、レンズチャンバー506内に突き出し、O−リング682に圧力をかけ、確実に、前部筺体502と前部筺体カバーディスク600との間の光を通さない接続部を形成する。O−リング624は、第1の励起導管526の端部におけるO−リング座538内に備えられ、前部筺体カバーディスク600の後側に圧力をかけて、光を通さない接続部を形成する。同様に、O−リング640は、 第2の励起導管のO−リング座538内に設けられ、O−リング658は、第1の放射導管522のO−リング座558内に備えられ、O−リング678は、第2の放射導管524のO−リング座558内に設けられる。O−リング624、640、658、678は、それぞれ光導管526、528、522、524内への光の侵入を妨げる。O−リングは、指定された許容誤差範囲内で機械加工されたパーツの寸法変動を補正し、温度要因によってもたらされる変形を補正することにより光の侵入を防ぐ。
動作において、励起光信号が、発光ダイオード616及び632によって放射される。信号は、好ましくは検出される色素に対応する規定の波長のものである。ダイオード616からの光は、第1の励起導管526を透過して、光の少なくとも一部を第1の励起フィルタ622に集束させるレンズ618に衝突する。第1の励起フィルタ622は、所定の波長(又は波長の規定された範囲)のみの光を通し、透過光から所望でない波長を除去する。フィルタを通った光は、 光の少なくとも一部を前部筺体502の上側バレル504を通して集束させる共通レンズ680を通って進行し、そこで、励起光が機器100内の容器10のチャンバー(例えば、チャンバーC28)に衝突する。そのチャンバー内に第1の検体又は検体のグループが存在すると仮定すると、試料と混合され、第1の検体の存在を検出するように適合された第1の結合剤又は結合剤のグループの色素が蛍光発光する。蛍光発光の一部は、上側バレル504の中に入り、次いで、蛍光発光の少なくとも一部を第1の放射導管522内に送り込む共通レンズ680を透過する。第1の放射導管522に入った光は、第1の放射フィルタ654を通過し、このフィルタは放射光の望ましくない波長を除去する。次いで、フィルタを通った放射光はレンズ650を通過し、最終的にフォトダイオード660上に当たり、所定の波長の光の存在を検出する。
同様に、ダイオード632から出た励起光信号は、第2の励起導管528を透過し、光の少なくとも一部を第2の励起フィルタ638に集束させるレンズ634に衝突する。第2の励起フィルタ638は、所定の波長(又は波長の規定された範囲)のみの光を通し、透過光から所望でない波長を除去する。フィルタを通った光は、光の少なくとも一部を前部筺体502の上側バレル504を通して集束させる共通レンズ680を通って進行し、そこで、励起光が機器100内の容器10のチャンバー(例えば、チャンバーC28)に衝突する。そのチャンバー内に第2の検体又は検体のグループが存在すると仮定すると、試料と混合され、検体の存在を検出するように適合された第2の結合剤又は結合剤のグループの色素が蛍光発光する。蛍光発光の一部は、上側バレル504の中に入り、次いで、蛍光発光の少なくとも一部を第2の放射導管524内に送り込む共通レンズ680を透過する。第2の放射導管524に入った光は、第2の放射フィルタ674を通過し、このフィルタは放射光の所望でない波長を除去する。次いで、フィルタを通った放射光は、レンズ670を通過し、最終的に、フォトダイオード662上に衝突し、所定の波長の光の存在を検出する。
フォトダイオードによって検出された光放射は、公知のアルゴリズムを用いて試料中の1以上の検体の存在又は量に関する定性的又は定量的情報を提供できる信号に変換される。定量化アルゴリズムの実施例は、上記の「使用」の節に特定されている。
例示されている実施態様においては、励起導管526、528は、互いに対向する形で配置され、放射導管522、524は、放射フィルタを通過する励起光からの暗雑音を最小限にするように後部筺体520内で互いに対向する形で配置される。しかし、励起導管526、528及び放射導管522、524は、お互いの隣に配置することが可能である。
蛍光光度計500は、2つの励起チャネルと2つの放射チャネルを含み、蛍光光度計は異なる波長で励起される2つの色素又はレポーター部分を示差検出することができる。これらの異なる色素から出る光放射は、一般的に標的(例えば、検体、コントロール、又はいずれかの存在を表す増幅産物)が存在しない場合に抑制される。このような色素には、例えば、N,N,N’N’−テトラメチル−6−カルボキシローダミン(TAMRA)及び6−カルボキシフルオレセイン(FAM)又は6−カルボキシ−X−ローダミン(ROX)及び2’7’−ジメトキシ−4’5−ジクロロ−6−カルボキシフルオレセイン(JOE)が含まれる。DABCYLは、標的が存在しない場合にこれらの色素のいずれかからの光放射のクエンチングを行うために有用なクエンチャー部分である。従って、機器は、2種の異なる検体又は一群の検体を区別するか、又は内部制御から1種の検体又は一群の検体を区別することができる。しかし、本発明の態様を具体化する蛍光光度計は、2種より多いか、又は少ない励起チャネル及び放射チャネ
ルを含んでいてもよく、励起チャネルの数と放射チャネルの数は等しいと考えられる。
励起及び放射チャネルについて選択される特定の光学構成要素は、検出される色素蛍光の波長に依存する。色素FAMについては、例えば、励起チャネルに適したLEDは、カリフォルニア州ブレアのKingbright Corporationが部品番号L7113PBCHとして市販しており、同じ色素に適した励起フィルタは、ニューヨーク州ロチェスターのSemrock社が部品番号FF01−485/20−9.0−Dとして市販している。同じ色素については、放射チャネルに適した光検出器は、カリフォルニア州ホーソーンのOSI Optoelectronics,Inc.社がモデル番号PIN−44DIとして市販しており、適切な放射フィルタは、Semrock社が部品 番号FF01−531/22−9.0−Dとして市販している。色素TAMRAについては、例えば、励起チャネルに適したLEDは、カリフォルニア州トランスのNichia America Corporationがモデル番号NSPG500Sとして市販しており、適切な励起フィルタは、Semrock社が部品番号 FF01−543/22−9.0−Dとして市販している。同じ色素については、放射チャネルに適した光検出器は、OSI Optoelectronics,Inc.社がモデル番号PIN−44DIとして市販しており、好適な放射フィルタは、Semrock社が部品番号FF01−587/11−9.0−Dとして市販している。
従って、本発明の態様を具体化する蛍光光度計は、試料に関して移動することなく、又はお互いに関して異なる励起及び放射チャネルが移動することなく、複数の異なる信号(異なる波長等)を励起し、検出することができる。更に、アクチュエータプレート、及び機器内で伝わる容器の検出チャンバーに関する蛍光光度計の配置によって、蛍光光度計は光ファイバーを用いずに励起信号を検出チャンバーに向け、検出チャンバーからの放射を検出することができる。更に、蛍光光度計によって定義された光チャネル(励起及び放射)は、その範囲全体にわたって平行であり、その結果、励起光は試料に向けて伝えられ、試料からの放射は、要素に当たった実質的にすべての光の方向を変える反射要素(例えば、鏡)又は第1の光学特性(例えば、波長)を有する光信号の一部の方向を変え、2色性ビームスプリッタのような第2の光学特性を有する光信号の他の部分を伝える光学特性分離要素を使用せずに検出され得る。
図21〜26は、適切な回路の一実施態様を説明している。この回路は、選択された動作モード、実施された測定、及びシリアルインターフェースを介して離れた場所から伝達されたマクロコマンドに対する応答として報告される結果を用いて蛍光光度計500の局所的制御を行う。
図21は、相互接続手段及び多数の電源回路を含む回路を表す。図22は、制御、処理及び伝達手段を備える回路、プロセッサをプログラムし、デバッグするための手段を含む回路、並びに安定した電圧基準を供給する回路を表す。図23は、電圧測定回路を含む回路並びにLED強度及び変調をプロセッサで制御するための手段を表す。図24は、励起手段(LED)、RFシールド、及び高感度前置増幅器回路用の補助電源フィルタリング機能を含む回路を表す(次の図で説明する)。図25A及び図25Bは、チャンバーの内容物からの変調された光信号を変調された電圧に変換するフロントエンド前置増幅器回路の2つの類似の実施態様(違いについては、以下に説明する)を表す。図26は、変調され、増幅された信号を変調された光信号の振幅に比例するアナログ電圧に変換する復調回路を表す。
この実施態様は、フォトダイオードD1(660)(図25A)及びD2(662)(図25B)と、問い合わせが行われているチャンバーとの間に物理的に置かれている光学フィルタのバンドパス範囲内に収まる波長を有する背景周辺光を変化させる効果を回路で除去できるようにする変調/復調方式を組み込んでいる。マイクロプロセッサU4(図22)は、アナログスイッチU7(図26)の極性を制御しながら、LED1(616)とLED2(632)とを交互に変調するために用いられるクロック(この実施態様では275Hzに設定される)を生成する。同じ周波数において、LED(LED1(616)又はLED2(632)のいずれか)の変調と同相となるようにアナログスイッチU7の極性を交互に切り替えることによって、整合送信機/受信機対が形成される。同じ周波数において、このクロックと同相となるように到着した光信号のみが、フルゲインで増幅され、全ての周辺光及び異なる周波数で変調された他の光信号は抑制される。
図21においては、J1は、回路との主相互接続手段を提供する。装置D1及びD6は、外部回路とのこの接続を介して回路に印加される過渡電圧を吸収することによって回路を保護する。集積回路U1及び関連する構成要素(C1、C3〜C5、及びR4〜R7)は、この回路用の正のアナログ電源となる調節可能電圧調整器を形成する。集積回路U16及び関連する構成要素(C2、C51〜C52、及びR58〜R59)は、この回路用の負のアナログ電源となる調節可能電圧調整器を形成する。別個の+5V電源(U2及び関連する構成要素C7、並びにC10〜C11)は、デジタル電源を形成する。最後に、各電源からの電圧レベルをマイクロプロセッサ(U4)に見られるA/Dコンバータの変換範囲内の電圧に変えるため、複数の抵抗分圧回路対が備えられる(R4/R5、 R8/R9、R10/R11、及びR56/R57)。
図22においては、マイクロプロセッサU4が、回路用の一次制御及び処理手段を提供する。多数のキャパシタ(C15〜C19)が、この装置用の電源バイパス形成を実現する。回路のパワーオンリセットは、マイクロプロセッサ内に組み込まれている回路によって実行されるが、マイクロプロセッサは、プッシュボタンスイッチSW1を(プルアップレジスタR15と組み合わせて)用いることにより手動でリセットすることができる。リセットスイッチとの接地されていない接触に関連する潜在的静電放電から回路を保護するために、ダイオードD3が備えられる。水晶Y1及び関連する構成要素(C20及びC21)は、回路に安定したタイムベース及びクロックを供給する。マイクロプロセッサ(U4)と外部回路との間の通信は、マイクロプロセッサに送り込まれ、マイクロプロセッサから送り出されるTTLレベルのシリアル信号をRS−232規格に準拠する信号に変換する、集積回路U5及び関連する構成要素(C23〜C25)を用いることにより実現される。回路のプログラミング及びデバッギングは、PROGRAMMING INTERFACE(構成要素J2、C22、及びD4〜D5)を用いることにより実現される。「パワーオン」(構成要素LED1及びR13)及び「ステータス」(マイクロプロセッサU4によってオン/オフ制御が行われる構成要素LED2及びR14)を示す可視的表示器が備えられる。
最後に、A/Dコンバータ(マイクロプロセッサU4内に組み込まれている)用の安定した基準を確定し、外部A/DコンバータU11及びD/AコンバータU12に供給するために高精度電圧基準回路(構成要素U3、C9、及びC12〜C13)が備えられる。
図23においては、集積回路U11及びU12は、装置のアナログ回路及びマイクロプロセッサU4の間のインターフェースを形成している。これらの装置は、いずれもシリアル周辺インターフェース(SPI)を介してマイクロプロセッサU4によって制御され、マイクロプロセッサU4と通信する。A/D CONVERTER U11は、DEMODULATOR FILTER(図26)からの差分アナログ信号を24ビット分解能のデジタル結果(符号付き、1ビット当たり約0.5μAの分解能)に変換する。D/A CONVERTER U12は、マイクロプロセッサからのデジタル設定を受け取り、対応するアナログ電圧をその出力上に設定し、次いでこの電圧を使用してLED電流を調節する。DAC出力電圧は、この出力制御電圧を下げる低域通過フィルタを持つ抵抗分圧器(構成要素C45及びR37〜R38)に接続され、その結果、回路は20μA/ビットの分解能により0〜80mAの範囲でLED電流を制御することができる。2つの同一回路が続き、一方はFAM LED DRIVE用、他方はTAM LED DRIVE用である。
図23及び24においては、励起LED(LED1(616)及びLED2(632))を通る電流の流れを直接調節し、変調する回路が備えられている。LEDへの電力は、+12V電源から供給される。LED電流は、最初に電源の電位を下げるレジスタR3を通って流れ、キャパシタC3と組み合わせて、変調されたLEDへ切り替えられた電流負荷のフィルタリングを行う。次いで、電流は、LED(LED1(616)又はLED2(632))を通り、次いでFETトランジスタのドレインソースチャネル(Q3又はQ4)を通って流れる。最後に、LED電流は、LEDを通る電流に比例する電圧を発生するフィードバックレジスタ(R53又はR54)を通過する。
図23を参照すると、LEDを通る電流の制御は、演算増幅器(U13又はU14)、FETトランジスタ(Q3又はQ4)、及びフィードバックレジスタ(R53又はR54)を含む従来のフィードバック回路を用いることによって実現される。制御は、電位が演算増幅器の両方の入力と等しくなったときに行われる。演算増幅器の反転入力の電圧が非反転入力の電圧より低くなった場合に、演算増幅器の出力の電圧は高くなる。このように出力電圧が高くなるのは、FETトランジスタのゲートで発生しがちであり、その後、さらに電流が流れ始める。フィードバックレジスタを通る電流が増大すると、その結果、そのレジスタにかかっている電圧が高くなり、それに対応して、演算増幅器の反転入力の電圧が高くなり、フィードバックループが完了する。
更に、LEDのスイッチング(変調又はパワーオン/オフ)を制御するために、演算増幅器を強制的に飽和させたり飽和をなくしたりする回路が備えられ(Q1又はQ2、並びに関連する構成要素)、その結果、それぞれ、制御FETトランジスタ(Q3又はQ4)のオン及びオフを切り替える。LED電流を「抑制」するために、FETトランジスタ(Q1又はQ2)のゲートの電位は、FETのソース端子の電圧より数ボルト引き下げられる。これによって、電流がFETを通って、演算増幅器の反転入力のところに形成されている回路ノード内に流れ込み、その結果、電圧がそのノードにおいて約2.5Vまで上昇する。
その後、演算増幅器の出力電圧はゼロボルトまで低下し、FETトランジスタ(Q3又はQ4)は、各LEDとともに、オフになる。LED電流を「有効に」するために、FETトランジスタ(Q1又はQ2)のゲート電位は、トランジスタのソースの電圧に等しい電圧、又はわずかに低い電圧に維持される。これは、トランジスタをオフにしたままとし、FETを通り増幅器の反転入力のところの回路ノード内に流れ込む電流がなくなる。演算増幅器の反転入力の電圧は、フィードバックレジスタ(R53又はR54)にかかる電圧と等しくなり、そこで、この電圧は、DAC回路によって演算増幅器の非反転入力に印加される電圧に追随する。LED電流は、この付与電圧に比例するように制御される。
図23においては、LEDが正常に動作するかは、LEDにかかっている電圧及びLEDを通る電流を調べる回路を用いて監視される。レジスタR51及びR52は、マイクロプロセッサU4(図22を参照されたい)のA/Dコンバータと各フィードバックレジスタ(R53及びR54)との間にローインピーダンス経路を形成し、これらのレジスタにかかるA/D 回路によって測定される電圧は、LED電流に比例する。更に、LED電圧は、演算増幅器U15及び関連する構成要素によって形成される電圧緩衝回路を用いて決定され得る。抵抗分割回路(R47/R49又はR48/R50)は、緩衝増幅器の後に続き、電圧をA/Dコンバータの変換範囲内のレベルに引き下げる。LED電圧は、緩衝増幅器からの下げられた電圧と各フィードバックレジスタにかかっている測定された電圧(ドロッピングレジスタR3にかかる電圧と等しい)をとり、これらを+12V電源の測定された値から引いて(測定毎に特定の重みを付けて)算出される。
図23においては、過渡的刺激(内部発生及び外部発生の両方)の回路除去を改善する追加の特徴が例示されている。図25A及び25Bに示されている回路を電磁及び無線周波数干渉から保護するRFシールドE1が備えられている。LED(LED1(616)及びLED2(632))に電流を流す導体と、図25A及び25Bに示す高感度回路との間の漏電を防ぐために、2つの保護回路(E8及びE9)が備えられる。これらの保護回路は、LEDに接続されている露出パッド及びトレースに隣接し、取り囲む、ボードの外側層上の露出グランドトレースからなる。最後に、前置増幅器(U1及びU2、図25A及び25B)について用いられる電源上の電源ノイズを更に減衰させるために、4つの低域通過フィルタ(R1/C1、R2/C2、R26/C20、及びR27/C21)が用いられる。
図25A及び25Bを参照すると、フォトダイオード(D1(660)又はD2(662))は、入射光(背景照明と調べられるチャンバーの内容物から出る変調された蛍光信号の両方)を演算増幅器(U1又はU2)の反転入力に接続されている回路ノードに供給される電流に変換する。構成要素D3及びR4〜R6(図25A、並びに図25BのD4及びR7〜R9)は、このフォトダイオードのアノードにバイアス電圧を発生し、バイアス電圧が高ければ高いほどダイオードを通る暗電流が増え、その一方でフォトダイオードノイズは減少する。次いで、周辺光に起因するフォトダイオードからの電流に相当するオフ セット電流を発生する補償回路(U3A及びU4A、並びに関連する構成要素)が備えられる。この補償は、周辺光が変調された蛍光信号に起因する電流より何桁も大きいフォトダイオードからの電流を発生させることができるので重要である。補償がないと、周辺光のレベルが変動し、その結果、測定に対するオフセットが生じ得る。更に、補償がないと、周辺光に関連するフォトダイオードから出る電流は、前置増幅器回路の出力を飽和させる可能性を高くする。最後に、フォトダイオードから更に電流を吐き出し/吸い込むのに十分な電圧を発生するトランスインピーダンス増幅器回路(U1又はU2、並びに関連する 構成要素)が形成される。この増幅器(U1又はU2)からの電圧は、調べられるチャンバーの内容物からの変調された光信号に起因するフォトダイオードからの電流に比例する。更に、周辺背景光(後続の復調器回路によって除去される)の変化に関連する信号が少量存在する。
トランスインピーダンス前置増幅器の増幅率が高く、小さい信号が測定されるため、前の段落で説明された回路は、温度及び湿度が変化する結果生じるドリフトの影響を非常に受けやすい。これらの影響を最小限にするために、回路基板582、586を準備する際に、多くの設計及び処理の規定事項が実行される。第1に、全ての回路トレース及び構成要素は、他の回路からできる限り離されて配置される。第2に、プリント回路ソルダーマスクは、構成要素R12〜R15及びC16〜C17の下から取り除かれる。これは、回路基板と構成要素との間のクリアランスを広げ、試料処理手順実行時に洗浄及びすすぎ試薬をそこに通すことを可能にする。第3に、R12〜R15で用いるためシリンダー状レジスタ(MELF型)が選択される(ここでも、構成要素と回路基板との間のクリアランスを最大にする)。最後に、組み立て後に回路基板上に残る汚染物質及び残留フラックスの量を最小限にするため、最初に基板をハンダ付け処理において用いられるハンダ/フラックスに適している鹸化剤で洗浄し、その後、脱イオン水ですすぐ。フォトダイオードD1(660)及びD2(662)は、好ましくは、「無洗浄フラックス」コアハンダで(上記組み立て処理の完了後に)回路基板にハンダ付けする。この最後のハンダ付け処理 の後に回路基板上に残っている残留フラックスは、保護障壁を形成し、その結果、好ましくは取り除かれない。
図25A及び25Bを参照すると、増幅器U3B及びU4B(並びに関連する構成要素)は、信号の追加増幅を行う。更に、フィードバック構成要素R22及びC18は、その増幅器回路内に単純な低域通過フィルタを形成する(34KHzより高い信号を減衰する)。補償フィードバック回路(図25A及び25Bにおいて「SERVO FEEDBACK」と特定されている)に関しては、演算増幅器U3A及びU3B(並びに関連する構成要素)は、約5Hzの遮断周波数を持つ積分増幅器として構成される。これらの増幅器の出力電圧は、回路内の背景周辺光及び他の自然なDCオフセットに起因するフォトダイオード(D1(660)又はD2(662))からの電流のその部分を無効にするDCバイアス電流を発生する。これは、出力信号(U3B又はU4Bの)はゼロのDC電圧成分を持つことをもたらし、すなわち、この信号は0Vを中心とする。
図25Aにおいては、構成要素R28及びC22(マイクロプロセッサからのデジタル制御信号「SERVO_ENABLE」と組み合わせる)は、TAM回路(図25B)が使用されている時に補償増幅器(U3Aのみ)が何回も積分するのを無効にするために用いられる。これは、LED2(632)(TAM)の出力スペクトルがフォトダイオードD1(660)の前にある光学フィルタのバンドパスと重なるからである。この無効化機能がないと、FAM検出器/増幅器回路(図25A)は、TAM回路(図25B)について用いられる励起信号を積分することになり、その結果、FAM応答を測定するために回路がスイッチバックされた時に回路静定時間が長くなる。FAM補償回路(U3A及び関連する構成要素)内の積分機能の無効化は、マイクロプロセッサU4からの「SERVO_ENABLE」出力をアクティブグランドに設定することによって実施される。他の場合には、マイクロプロセッサからの、このデジタル信号は、トライステートであり、構成要素R28及びC22は、回路の動作に影響を及ぼさない。
図26を参照すると、回路全体が、各LEDと同じ周波数で変調される、入力AC信号を受け取り、この信号を、最大振幅のAC電圧の6倍の振幅を有するDC電圧(回路グランドを基準とする)に変換する。2つの信号「PREAMP A」及び「PREAMP B」(それぞれ図25A及び25B内の回路からの出力)は、固体、単極、双投アナログスイッチ(U6)の2つの接点に接続される。「FE SEL」は、信号「PREAMP A」又は「PREAMP B」がスイッチU6を通じてその後のアナログスイッチU7に接続されるかどうかを決定する論理信号である。アナログスイッチU7は、一種のバッファ/インバータとして作用し、その2つの入力(選択された前置増幅器出力及び回路グランド)を復調器フィルタの正の入力及び負の入力(演算増幅器U8、U9、並びに関連する構成要素)のいずれかに交互に切り替える。この実施においては、DEMODULATOR SWITCH(U7)は、LEDと同相で切り替えられ、LEDが通電すると、前置増幅器から出る、より正の信号は、復調器フィルタの正の入力に切り替えられ(R20を通じて)、より負の信号は、復調器フィルタの負の入力に切り替えられる(R21を通じて)。DEMODULATOR FILTERへの接続は、LEDがオフにされると逆になる。このようにして、復調器及びフィルタ回路から最大の正増幅率が得られる。
図26を続けると、アナログスイッチU7の出力は、遮断周波数が約9Hzである低域通過フィルタ(構成要素R20、R21及びC30からなる)に接続される。このフィルタのキャパシタC30は、アナログスイッチU7を通じて前置増幅器信号の切り替えの結果として前置増幅器から出る変調された信号の最大振幅の約1/2の振幅のDC電圧まで充電される。後のアクティブフィルタ(演算増幅器U8A/B及びU9A/B、並びに関連する構成要素)は、増幅率が約12である多極低域通過フィルタを含む。このフィルタの第1の部分においは、演算増幅器U8A/B(並びに関連する構成要素)は、DC増幅率が4である差動増幅器を形成する。このフィルタの出力は、遮断周波数が約3Hzである低域通過フィルタ(構成要素R24、R25及びC35)を通る。このフィルタの第2のアクティブステージは、演算増幅器U9A/B(並びに関連する構成要素)からなり、DC増幅率が3である差動増幅器を形成する。構成要素R32及びC36は、このフィルタの正側に対しフィードフォワード補償経路を形成し、構成要素R33及びC37は、このフィルタの負側に対しフィードフォワード補償経路を形成する。このフィルタは、LEDの動作周波数(この実施例では275Hz)を中心とする10Hz範囲を外れる前置増幅器からのあらゆる信号を減衰するために用いられる。
最後に、図26においては、DEMODULATOR FILTERの出力は、単位増幅率を有する差動増幅器回路(U10)に送られる。この機能は、差動フィルタからの2つの信号の電圧差を、回路グランドを基準とする正電圧に変換することである。2つの出力信号「FLUORO+」及び「FLUORO−」は、上述のA/Dコンバータに接続される。
特定の状況においては、容器の検出チャンバーから物質を外に出す必要があるか、又はそのようにすることが望ましい。このような状況下では、上述の蛍光光度計500のような検出器を備えるチャンバー圧縮部材を組み込むことが必要になる場合がある。検出器とともに組み込まれる圧縮部材のこのような一実施態様を、図10A及び10Bに示す。圧縮機構、又は検出器アクチュエータは、参照番号1150で示され、アクチュエータプレート124に接続され、アクチュエータプレート124から突き出しているブラケット1152を含む。検出器500のレンズの前に圧縮チューブ1154が配置され、アクチュエータプレート内の開口部を貫通する。圧縮チューブ1154は、検出器500に対する遠位端に透明窓1164を取り付けておいてもよい。作動バー1156は、圧縮チューブ1154から反対方向に横へ伸びている。作動機構、例えば、空気圧管路1160によって圧力源に接続されているロッド1162によって代表される空気圧ピストンはブラケット1152上に固定しており、圧縮チューブ1154を移動するように作動バー1156と係合する。ガイドロッド1158は、アクチュエータプレート124から作動バー1156の下側端部内の開口部を貫通して伸びている。
作動機構1162を延ばして作動バー1156に当てると、圧縮チューブ1154が伸長位置(図10bに示されているように左)に移動し、チャンバーCをドアアセンブリ200に圧接する。作動バー1156を貫通するガイドロッド1158は、圧縮チューブ1154をまっすぐな方向に維持することを補助し、作動機構1162によってチューブが移動しているときに圧縮チューブ1154が斜めになることを防ぐのを補助する。ガイドロッド1158は、圧縮チューブ1154が斜めになるのが問題にならない場合には省略することができる。
検出器と共に圧縮部材を組み込むための他の機構を図11に示す。図11においては、検出器500は、ガイドピン1176及び1178がそれぞれ長手方向溝1184及び1182を貫通している基部1174を有する平行移動する取り付けプラットフォーム又はそり状部1172上に取り付けられている。ピストン(例えば、空気圧ピストン)1180は、そり状部1172及び検出器 500の往復運動をもたらし、検出器全体を動かして容器チャンバーと係合させたり、係合を外したりするための手段を実現する。
図18は、信号検出器500と一体化している圧縮パッド1242の他の一実施態様の横断面を示す。圧縮パッド1242は、アクチュエータプレート1080を通じて形成される開口部1083内に配置されるアクチュエータカップ1244を含む。透明窓又は検出レンズ1246は、弾性シールド1081内に形成されている開口部内のアクチュエータ1244の前に配置される。アクチュエータカップ1244の対称軸に対して中心から外れる位置でカップ1244を通して略円形の貫通孔1186が形成され、これにより、カップ1244の下側部分1190より厚いアクチュエータカップ1244の上側部分1188が形成される。中心から外れる位置とする理由は、チャンバーとチャンバーとに隣接して配置される発熱素子との間の熱的接触を高めやすくするために検出処理において検出チャンバー内に余分な空気があってもよく、液体の量が少ないチャンバーからの流体移動に役立つからである。余分な空気があると、液体は「アクチュエータ領域」の底部の方へ下って溜まる(空気が上部に上昇する)ので、蛍光光度計500の中心外れ検出レンズ及び焦点は、液体が多量に集まっている(従って、蛍光発光が多い)検出領域の下側部分の蛍光発光を読み取るように構成される。他の実施においては、例えば、検出チャンバーが液体で完全に満たされている場合に、アクチュエータカップ1244の中心を通して孔1186を形成してもよい。
アクチュエータカップ1244は、更に、アクチュエータカップ1244上の対角線上で対向する位置から伸びる第1の放射状ラグ1192及び第2の放射状ラグ1194を含む。放射状ラグ1192は、開口部1083から伸びる放射状開口部1196内に備えられ、放射状ラグ1194は、開口部1083から伸びる放射状開口部1198内に備えられている。円形止まり穴1200は、放射状開口部1196から伸び、また円形止まり穴1202は、放射状開口部1198から伸びている。止まり穴1200及び1202は、図に示されているように、後退位置で放射状ラグ1192及び1194を押し付けてカップ1244にバイアスをかける圧縮コイルバネ(図示せず)を保持する。
検出器500は、分流板を通じて形成されている開口部1085を超えて分流板に取り付けられる。第1及び第2の円筒状突出部1204及び1206は、開口部1085の対向する側部上の分流板1082から伸びている。Oリング1208は、円筒状突出部1204上に位置し、Oリング1210は、円筒状突出部1206上に位置する。円筒状突出部1204は、放射状ラグ1192内に形成されたカップ状止まり穴内に貫入し、円筒状突出部1206は、放射状ラグ1194内に形成されたカップ状止まり穴内に貫入する。空気圧導管1212は円筒状突出部1204内に貫入し、突出部の上部に出る。同様に、空気導管1214は円筒状突出部1206内に貫入し、突出部の上部から出る。アクチュエータカップ1244は、導管1212及び1214に圧力を与えることによって、図18に示す後退位置から伸長位置(図に示されているように左)に移動し、これにより、放射状突出部1192及び1194が上へ押されてそれぞれ放射状開口部1196及び1198内に入り、アクチュエータ1244が左に移動する。円形止まり穴1200及び1202の深さは、圧縮されたバネ(図示せず)の長さが収まる程度であり、放射状ラグ1192、1194は放射状開口部1196、1198の端部に完全に移動する。
前述の配置においては、熱ゾーン266(又は1044)が、アクチュエータプレート1080及び検出器500に対向する容器の一方の側に配置されている。従って、熱エネルギーが容器の一方の側にのみ加えられている状態で、熱ゾーン266に接近しているか、又は接触しているチャンバー側面と、弾性シールド1081に備えられたレンズ1246と接触しているチャンバーの反対の側面との間のチャンバー(例えば、チャンバーC28)内に温度勾配を形成することができる(図18を参照されたい)。チャンバー28内で実施される特定の反応は、容器がまさに一方の側面から加熱され、このような熱勾配が形成される時に達成困難な最適性能温度を有する。例えば、TMA反応は、約42℃±0.5℃の最適性能温度を有する。従って、容器の内容物の全体にわたる最大温度勾配は、好ましくは約0.5℃であり、更に好ましくは、約0.1℃、0.2℃又は0.3℃である。
このような潜在的な熱勾配を最小限にするため、本発明の一態様は、伝送要素自体により容器に熱エネルギーを加えることができるように、容器と検出器との間に配置された信号伝送要素に熱エネルギーを加える。従って、熱エネルギーは、その結果、容器内のどのような左右の熱勾配をも最小するために、容器の両側に加えられる加えられる。本発明の一実施態様は、容器内に含まれる試料から検出器に電磁放射線を伝送するのに適応する伝送要素と熱で連通する熱素子を含み、熱素子は、検出器に十分な信号を伝送する伝送素子の能力を妨げずに、容器に接近又は接触する伝導素子の少なくとも一部に熱エネルギーを加えるように配置され、構成されている。
図32及び33は、その中に熱素子1218が組み込まれた伝送要素1244の一実施態様を示す。図32に示す一実施態様においては、容器(図32においては図示せず)と検出器500との間に配置される伝送要素は、図18に示し、前述したような、圧縮パッド1242のアクチュエータカップ1244である。しかし、熱素子を伝送要素と組み合わせるために、伝送要素は移動可能な圧縮パッドである必要はないが、透過性の媒体から形成される、固定され、移動しない要素を含んでいてもよく、検出器500と容器との間に配置される。伝送要素は、電磁放射線を検出器により検出されるように伝送するように構成され、配置されている。例えば、伝送要素は、蛍光又は化学発光のような光信号を伝送するのに適合する光学素子であってもよい。このような光学伝送要素は、アクリルを含む、透明又は半透明のガラス又はプラスチックのような、光を伝送するであろう、任意の適切な材料から製造することができる。
図32に示す実施態様においては、一般に弾性シールド1081を有するように、熱素子は、穴1186の端部内に配置されたレンズ1216に対するアクチュエータカップ1244の穴1186内に配置されたパススルーヒーター1218を含む。この構成は、アクチュエータカップ1244の左側端部がシールド1081に対して位置しており、シールド1081を通して伸長せず、シールド1081内に配置されたレンズ1246を含む点で、図18に示すものとはいくらか異なっている。レンズ1216は、アクチュエータカップ1244の全体部分を含んでいてもよく、又は穴1186に対して固定され、若しくは穴1186の端部内に固定された別個の要素を含んでいてもよい。パススルーヒーター1218は、Mylar(登録商標)(2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(boPET))又はKapton(登録商標)ポリイミドを含む、変異ポリエステルのような、適切なフィルム材料内に埋め込まれ、又はその上に配置される1以上の抵抗性導体を組み込んだ抵抗性ヒーターである。パススルーヒーター1218は、好ましくは、適切な、温度安定性接着剤により、レンズ1216に固定されている。
例示された、図32及び33の実施態様においては、パススルーヒーター1218は、好ましくは、伝送要素(例えば、アクチュエータカップ1244)が通過して電磁放射線が伝送される、中央開口部1220を有する環状の形状である。一実施態様においては、パススルーヒーター1218は、5mmの内径及び12mmの外形を有する。他の実施態様においては、パススルーヒーター1218は、閉じた環状である必要はないが、弧を形成する一部環状の形状であってもよく、レンズ1216の一部に付着するが、電磁放射線がそこを通って伝送することが可能なように、覆われていないレンズ1216の十分な部分を残している。
パススルーヒーター1218は、適切なコネクタ、例えばワイヤー(図示せず)によって、電源及び制御機構を有する回路に連結されている。制御機構は、例えば、温度コントローラ722のような機器コントローラの一部、又は制御機構は抵抗性温度検出器(RTD)又はサーミスタである。
パススルーヒーター1218が活性化される時、温度変化及び温度における変化、例えば加熱は、レンズ1216を通じて伝送される。従って、ヒーター1218により生成された熱エネルギーは、レンズ1216に近接している、又は接触している容器に加えられる加えられるであろう。
熱素子が連結されていてもよい、電源/制御回路の実施態様は、一般的に図38において参照番号1230により示される。示される実施態様においては、熱素子1238は、コネクタ要素1236を用いて、電源1232及びRTD1240に連結している。回路1230はヒューズ1234を含んでいてもよい。RTDは、固定抵抗レベルを用い、RTDの抵抗と比較することによって機能する。抵抗レベルが、熱素子1238の温度が正確な設定値でないことを示す場合、トランジスタは回路に接近し、熱素子1238のスイッチを入れる。本発明の一実施態様においては、100−白金RTDが、0.1パーセントの所望の正確度をもたらすために用いられる。適切なRTDコントローラは、ミネソタ州、ミネアポリスのMincoから、部品番号CT325PD2C1として市販されている。
制御回路は、好ましくは、熱素子の温度を制御するため、直線又はパルス幅変調を使用し得るクローズドループコントローラである。機器の電源を入れるとき、熱素子は固定温度に設定することができ、又は機器の操作の間調製し、その結果、それは必要な限りで所望の温度変化に影響し得る。操作の間、熱素子の温度を調整することにより、容器内に含まれるかもしれない温度感受性試薬への影響を制限し、エネルギーを保存することのような、特定の利点を有し、機器がバッテリー電源である時に、より重大となる。また、熱素子の一定温度を維持することにより、機器内の熱の蓄積をもたらすかもしれない。
他の熱素子の構成を図34に示す。図34においては、熱素子は、圧縮パッド1242のアクチュエータカップ1244の穴1186によって定義されるチャンバーの内部表面の部分に沿って配置されるヒーターフィルム1222内で具体化される。一方、図34に示す配置は例示である。ヒーターフィルム1222は、移動可能な圧縮パッド1242内に組み込まれる必要はないが、固定された、移動しない伝送要素内に定義されるチャンバーの内部表面に配置することができる。適切なヒーターフィルムは、ポリイミドのサーモフォイルの柔軟なヒーター、又はKapton(登録商標)ポリイミドフィルムヒーターを含む。ヒーターフィルム1222は、適切な導体(図示せず)によって、図38に示す回路1230のような、電源/制御回路に連結される。ヒーターフィルム1222がオンになっている時、穴1186によって定義されるチャンバー内の空気又は他の媒体の温度は、フィルム1222を活性化することによる熱エネルギーを加えることに応じて変化し、温度の変化の一部は、レンズ1216に接近するか接触する容器に加えられる加えられるために、レンズ1216を通して実施される。
伝送要素に組み込まれる熱素子の更に他の実施態様を図35に示す。図35においては、
伝達可能な熱素子1224は、好ましくは、レンズ1216に接触し、アクチュエータカップ1244の穴1186内に固定される。要素1224は、伝達可能な材料から形成されるフィルム(例えば、Mylar(登録商標)スクリーン)内に配置されるか、又は埋め込まれる抵抗性要素を含んでいてもよい。例えば、要素1224は、光信号(例えば、化学発光又は蛍光)が伝送されるように、透明又は半透明の材料から形成することができる。具体的には、適切な伝送性ヒーター要素には、Mincoから市販されている、Thermal−Clear(登録商標)Transparent Heatersが含まれる。伝送性ヒーター要素1224は、適切な導体(図示せず)によって、図38に示す回路1230のような、電源/制御回路に連結される。要素1224がスイッチオンになっているとき、その温度は変化し、温度変化の一部は、レンズ1216に接近するか接触する容器に加えられるように、レンズ1216を通して実施される。
熱素子がレンズ1216と直接接触する、図32、33及び35に示す配置は、熱素子がレンズ1216に接触しているときに、熱素子の温度変化がレンズ1216を通して、より迅速に実施され、その結果、効率及び応答時間を改善するので、一般的に、伝送要素内に定義されるチャンバー周辺に熱素子が配置している図34に示す配置よりも好ましい。
図36は、チャンバーC328Bが、アクチュエータカップ1244の端部に位置するレンズ1216と、反対側の温度制御システムの熱伝導性要素1044の間に位置するように、蛍光光度計500と結合し、熱素子(パススルーヒーター1218)及び配置された反応容器300を組み入れた、信号伝送要素(圧縮パッド1242の移動可能なアクチュエータカップ1244)の部分横断面図である。圧縮パッド1242は、図18に対応する開示において前述したような、後退位置と、伸長位置との間の軸方向に移動可能である。図36においては、圧縮パッド1242のアクチュエーターカップ1244は、容器300のチャンバーC328Bを圧縮しない、第一の後退位置にある。図37は、熱伝導性要素300に対する反応容器300のチャンバーC328Bを圧縮する、第二の伸長位置にしめされる、圧縮パッド1242のアクチュエータカップ1244を有する、図36の信号伝送要素の部分横断面図である。第二の位置においては、レンズ1216はチャンバーC328Bと接触し、その結果、ヒーター1218とチャンバーC328Bを含むアクチュエータカップ1244の間の熱伝導をもたらす。
本明細書に記載した容器及びシステムの用途の一部を説明する実施例を以下に示す。当業者は、これらの実施例は、本発明を本明細書で説明されている特定の用途に限定することを意図していないことを理解するであろう。更に、当業者は、他の種類の反応、処理、又は検査を実施する際に用いることができるように本明細書で記載されている容器及びシステムを容易に適合させることが可能であろう。
以下の実施例は、液状又は乾燥増幅及び酵素試薬のいずれかを用いて、手動のリアルタイム転写媒介増幅(TMA)反応の感度、及び自動化されたリアルタイムTMA反応の感度を比較するように実施された多数の実験を提供する。TMA反応は、アンチセンスプライマー又はプロモーター−プライマーを備える相補的DNA伸長産物を生成した後にRNA鋳型を消化するRNaseのH活性をもたらす逆転写酵素に依存する2種の酵素転写ベースの増幅反応である。TMA反応の例は、McDonoughら、米国特許第5,766,849号、Kacianら、米国特許第5,824,518号、及びBeckerら、米国特許第7,374,885号に開示されている。本実験の目標は、クラミジアトラコマチス23SリボソームRNAであり、これは、以下において「標的核酸」と呼ばれる。
各実験においては、試験試料中の標的核酸を非特異的に結合するために縮重(Wobble)捕捉プローブを使用した。縮重捕捉プローブは、30個のデオキシアデニン残基(ポリ(dA)30)を有する5’テールに結合している18個の2’−メトキシグアニン及び2’−メトキシウリジン残基(ポリ(K)18)を無作為に配置した3’領域からなっていた。縮重捕捉プローブ及び結合した標的核酸を含む複合体を、誘導体化された14個のデオキシチミン残基(ポリ(dT)14)からなるオリゴヌクレオチドテールを有する磁気応答性粒子上に固定化し、次いで、洗浄手順を実施して、試験試料から妨害物質を除去した。
洗浄手順を実施した後、標的核酸をTMA試薬及び条件にさらし、蛍光標識された分子ビーコンプローブを用い、得られた増幅産物をリアルタイムで検出した。Kacianら、米国特許第5,824,518号を参照されたい、また、Tyagiら、米国特許第5,925,517号も参照されたい。増幅に用いられるプライマーは、3’標的結合配列及び5’T7プロモーターシーケンサー及びセンスプライマーを有するアンチセンスプロモーター−プライマーを含んでいた。分子ビーコンプローブは、2’−O−メチルリボヌクレオチドからなり、標的核酸配列に結合するための内部配列を有していた。フルオレセインホスホラミダイト(カリフォルニア州サンラモンのBioGenex社、カタログ番号BTX−3008)及び3’−DABCYL CPG(ペンシルバニア州アストンのPrime Synthesis,Inc.社、カタログ番号CPG 100 2N12DABXS)を用い、相互作用するFAM及びDABCYLレポーター、並びにクエンチャー部分を含むように分子ビーコンプローブを合成した。本実験のプローブ及びプライマーを合成するのに、Expedite(登録商標)8909 DNA Synthesizer(マサチューセッツ州フレーミングハムのPerSeptive Biosystems社)を用いる、種々の方法が当該技術分野において周知である、標準的なホスホラミダイト化学を用いた例えば、 Carruthersら、154 Methods in Enzymology、287(1987)を参照されたい。
実施例1:手動増幅反応
本実験のために、12×75mmのポリプロピレン反応チューブ(カリフォルニア州サンジエゴのGen−Probe Incorporated社、カタログ番号2440)において手動TMA反応をセットアップし、各反応管に、ポリ(dT)14で誘導体化され、pH7.5に調整された250mM HEPES、310mM LiOH、1.88M LiCI、100mM EDTA、及び縮重捕捉プ ローブの1反応あたり10pmolを含む溶液中に懸濁された1ミクロンの磁性粒子Sera−Mag(登録商標)MG−CM修飾カルボン酸塩(インディアナ州インディアナポリスのSeradyn,Inc.社、カタログ番号24152105−050450)160μg/mLを含む標的捕捉試薬125μLを入れた。各反応チューブに、試料輸送媒体(pH7.5に調整された、150mM HEPES、294mM ラウリル硫酸リチウム(LLS)、及び100mM 硫酸アンモニウム)と水を1対1の割合で含む混合物 500FLを入れた。この混合物は、105個の標的核酸のコピーを含むか(試験試料)、又は標的核酸を全く含まなかった(陰性コントロール試料)。反応チューブを密封カードで覆って、その内容物を15秒間ボルテックスして混合し、次いで、水槽中、25℃で5分間インキュベートし、標的核酸への縮重捕捉プローブの結合を促進した。(縮重捕捉プローブは、標的捕捉試薬が調製されるときに誘導体化されたポリ(dT)14に結合する。)
結合している標的核酸を精製するために、DTS(登録商標)400標的捕捉システム(Gen−Probe社、カタログ番号5210)を用いて、磁性粒子を分離及び洗浄した。DTS 400標的捕捉システムは、反応チューブを位置決めし、磁場を付与するための試験管ベイ(test tube bay)を有する。反応チューブを、磁場の存在下に約3分間試験管ベイ内に置いておき、反応チューブ内で磁性粒子を分離し、その後、浮遊物を吸引した。次いで、各反応チューブに、洗浄緩衝液(pH7.5に調整した10mM HEPES、6.5mM NaOH、1mM EDTA、0.3%(v/v)エタノール、0.02%(w/v)メチルパラベン、0.01%(w/v)プロピルパラベン、150mM NaCl、及び0.1%(w/v)ラウリル硫酸ナトリウム)1mLを入れ、密封カードで覆い、15秒間ボルテックスして磁性粒子を再懸濁させた。反応管を試験管ベイに戻し、3分間室温に置いてから、洗浄緩衝液を吸引した。洗浄工程を1回繰り返した。
標的核酸の精製の後、11.9pmolのT7プロモーター−プライマー/反応、9.35pmolの非T7プライマー/反応、及び10pmolの分子ビーコンプローブ/反応を含む増幅/検出試薬(23℃においてpH7.7に調整した、44.1mM HEPES、2.82%(w/v)トレハロース、33mM KCl、0.01%(v/v) TRITON(登録商標)X−100洗剤、30.6mM MgCl2、0.3%(v/v)エタノール、0.1%メチルパラベン、0.02%(w/v)プロピルパラベン、dATP、dCTP、dGTP、dTTP、それぞれ0.47mM、rCTP及びUTP、それぞれ1.76mM。9.41mM rATP及び11.76mM rGTP)75FLを各反応チューブに加えた。反応チューブを密封カードで覆い、ボルテックスで15秒間混合した。混合した後、反応チューブの内容物を、白色96ウェルマイクロプレート(マサチューセッツ州ウォルサムのThermo Electron Corporation、製品番号9502887)の別々の反応ウェルに移し、各反応ウェルは油試薬(シリコーン油(ペンシルバニア州ブリストルのUnited Chemical Technologies,Inc.社、カタログ番号PS038))75μLを含む。マイクロプレートを、ThermalSealフィルム(ミズーリ州セントルイスのSigma−Aldrich Co.、カタログ番号Z369675)で覆い、Solo HTマイクロプレートインキュベータ(Thermo Electron社、カタログ番号5161580)内で60℃で5分間インキュベートし、次いで、Soloマイクロプレートインキュベータ(Thermo Electron社、カタログ番号WI036)内で42℃で5分間インキュベートした。第2のインキュベータ内にある間に、密封カードをマイクロタイタープレートから取り外し、酵素試薬(pH7.0に調整された、58mM HEPES、50mM N−アセチル−L−システイン、1.0mM EDTA、10%(v/v) TRITON(登録商標)X−100洗剤、3%(w/v)トレハロース、120mM KCl、20%(w/v)グリセロール、120RTU/μLのモロニーマウス白血病ウイルス逆転写酵素(「MMLV−RT」)及び80U/μLのT7 RNAポリメラーゼ)25μを各反応ウェルに加えた。(MMLV−RTに対する活性の1逆転写酵素単位(「RTU」)は、(ポリ(rA)−p(dT)12−18)を基質として用い、37℃で20分以内に1ナノモルのdTMPをDE81フィルタ結合産物を組み込むものとして定義され、T7 RNAポリメラーゼについては、活性の1単位(「U」)は、37℃の温度で20分以内に5.0fモルのRNA転写物を生成するものとして定義される。)酵素試薬を追加した直後に、8チャネルマルチピペッターによって係合し、酵素試薬をマイクロタイタープレートに移すために用いられる標準200μLピペットの先端で反応ウェルの内容物を混合した。次いで、マイクロタイタープレートを透明密封カードで再密封した。
密封されたプレートを、予め42℃に加温しておいたFluoroskan Ascent(登録商標)100マイクロプレート蛍光光度計(Thermo Electron社、製品番号5210480)内に置き、30秒間隔で50分間にわたって蛍光読み取り、反応ウェル内の増幅産物の存在を検出した。検出は、分子ビーコンプローブが増幅産物にハイブリダイゼーションされるときの分子ビーコンプローブの立体構造変化に依存し、その結果、検出可能な蛍光信号が放射された。分子ビーコンプローブがヘアピン形状を維持している限り、すなわち、標的核酸の増幅産物にハイブリダイゼーションされない限り、フルオレセインレポーター部分からの蛍光発光は、全般的にDABCYLクエンチャー部分によってクエンチされた。しかし、分子ビーコンプローブが反応ウェル内で単位複製配列にハイブリダイゼーション したので、検出可能な蛍光信号が増大した。従って、時間の経過とともに増大する蛍光発光が、標的核酸の標的領域の増幅活性化の指標となった。この実験結果を図27に示し、そこでは、蛍光光度計からの生データが、それぞれの反応ウェルについて蛍光発光単位をy軸にとり、時間(分)をx軸にとってプロットされている。標的核酸を含む試料は、背景から約15分間にわたって反応内に出現する強い蛍光信号を発したが、コントロール試料は、背景よりも高い有意な信号は発生しなかった。
実施例2:液体試薬を用いる、マルチチャンバー型柔軟容器内の自動化増幅反応
本実験においては、図1A及び3に例示されている容器10及び機器100を用いて、本実施例の1項のTMA反応を実施した。以下の手順により、図1Bに示す容器10に試薬を予め装填した、(i)標的捕捉試薬125μLをチャンバーC18に加え、(ii)洗浄緩衝液3mLをチャンバーC34に加え、(iii)油試薬25μL、次いで、増幅/検出試薬85μLをチャンバーC20に加え、(iv)油試薬35μL、次いで、酵素試薬25μLをチャンバーC32に加えた。試薬を装填した後、ヒートシールでチャンバーC16を除く容器10の全てのチャンバーを閉じた。105個の標的核酸のコピーを有する試験試料500μLを、上記実施例1で記載したように、チャンバーC16、すなわち試料チャンバー内にピペットで入れ、その後、ヒートシールで閉じた。
初期セットアップのために、密封容器10を筺体104の前部分120上に取り付け、ドアアセンブリ200を閉じて、容器10のチャンバーをドアアセンブリ200の圧力機構クラスタ180と熱ゾーン260、262、264、266及び268との間でサンドイッチ状に挟んだ。30℃で、熱ゾーンを、隣接するチャンバーを加熱するように設定した。容器10のチャンバーとチャンバーとの間における材料の移動を、後述の圧力機構クラスタ180を構成する圧縮パッドによって制御した。試験開始前に、圧縮パッドP72、P70、P62、P51−1、P56、P58、P60、P64、P66及びP68を全て活性化し、入口(又は首部)72、70、62、51、56、58、60、64、66及び68に関連する対応するシールがそれぞれ開くのが早すぎないように、又は漏れないように締め付けて保護した。チャンバーC34、すなわち洗浄緩衝液チャンバーの垂直及び横区画42、44から洗浄緩衝液及び気泡を取り除き、(i)圧縮パッドP34−1及びP36−1、(ii)圧縮パッドP34−2及びP36−2、(iii)圧縮パッドP34−3及びP36−3、(iv)圧縮パッドP34−4、並びに(v)圧縮パッドP34−5の指示された順序で圧縮パッドを係合させることにより、チャンバーC36、すなわち洗浄チャンバーの垂直吸入口48を同時に閉じた。
初期セットアップの後に、圧縮パッドP68を引き込んで、圧縮パッドP32及びP68を順次活性化し、チャンバーC32及び入口68に圧力をかけ、これにより、密封されている入口68を押し開き、チャンバーC32からチャンバーC30へ酵素及び油試薬を移動した。同時に、圧縮パッドP56を引き込んで、圧縮パッドP20及びP56を順次活性化し、チャンバーC20及び入口56に圧力をかけ、その結果、密封されている入口56を押し開き、チャンバーC20からチャンバーC22へ増幅/検出及び油試薬を移動した。圧縮パッドP68及びP56は、それぞれ入口68及び56を締め付けるように活性化されたままであり、その結果、酵素及び増幅/検出試薬がチャンバーC32及びC20に逆流することを防止した。
酵素及び増幅/検出試薬を移動した後、圧縮パッドP18−1、P18−2及びP54を順次活性化し、チャンバーC18及び入口54に圧力をかけ、これにより、密封されている入口54を押し開き、チャンバーC18からチャンバーC16へ標的捕捉試薬(「TCR」)を移動した。チャンバーC16及びC18に関連付けられている圧縮パッドを用い、組み合わされた内容物をチャンバーC16とC18との間で前後に2回移動することによって、TCR及び試料を混合した。混合が完了した後、圧縮パッドP54を活性化し、入口54を締め付け、これにより、TCR/試料混合物をチャンバーC16内に保持し、そこで、5分間、熱ゾーン260を30℃の温度に加熱することによってインキュベートした。このインキュベーション工程は、標的核酸の縮重捕捉プローブへの非特異的結合及びTCR中に存在する磁気応答性粒子上の縮重捕捉プローブの固定化を促進するために実施された。
標的核酸を試験試料中の他の材料から分離するために、磁石並進機構208を活性化し、磁石をチャンバーC26、初期セットアップ時の磁気分離チャンバー102に隣接する位 置(本明細書においては「オン」位置と称する)に移動した。圧縮パッドP62を引き込み、圧縮パッドP16−3、P16−4及びP62を順次活性化し、チャンバーC16の一部に圧力をかけ、これにより、密封されている入口62を押し開き、チャンバーC16からチャンバーC26へ第1の一定分量のTCR/試料混合物を移動した。第1の一定量のTCR/試料混合物をチャンバーC26に移動した後、圧縮パッドP62は、入口62を締め付けるため活性化されたままであり、これにより、チャンバーC16とC26との間で材料が移動するのを防止し、圧縮パッドP16−3及びP16−4を順次引っ込めた。チャンバーC26内で、磁気応答性粒子に、熱ゾーン268によってもたらされる30℃の温度で1分間磁石による磁場をかけた。磁石が「オン」位置に留まっている間に、圧縮パッドP26、P70、P36−1、P36−2及びP36−3を順次活性化して、チャンバーC26、入口70及びチャンバーC36、すなわち廃棄物チャンバーの垂直吸入口48に圧力をかけ、チャンバーC26からチャンバーC36に液体を移動した。
チャンバーC16及びC18に関連付けられている圧縮パッドの異なる配置構成を活性化することによって、チャンバーC16及びC18からチャンバーC26に、3つの追加の一定量のTCR/試料混合物を移動した。チャンバーC26に移動した第2の一定量のTCR/試料混合物については、圧縮パッドの順序動作は、以下の通り、すなわち:P18−1(+)、P18−2(+)、P18−2(−)、P62(−)、P16−3(+)、P16−4(+)、P62(+)、P16−3(−)及び16−4(−)であった。チャンバーC26に移動した第3の一定量のTCR/試料混合物については、圧縮パッドの順序動作は、以下の通り、すなわち、P51−2(+)、P18−1(−)、 P16−4(+)、P16−3(+)、P16−2(+)、P16−1(+)、P16−1(−)、P16−2(−)、P16−3(−)、P16−4(−)、P18−1(+)、P18−2(+)、P54(+)、P62(−)、P16−3(+)、P16−4(+)、P62(+)、P16−3(−)及びP16−4(−)であった。また、チャンバーC26に移動した第4の一定量のTCR/試料混合物については、圧縮パッドの順序動作は、以下の通り、すなわち、P16−2(+)、P16−1(+)、P62(−)、P16−3(+)、P16−4(+)、P16−3(−)及びP16−4(−)であった。指示記号(+)は、参照されている圧縮パッドが、チャンバーの対応する入口又は部分に圧力をかけるように活性化されたことを示し、指示記号(−)は、参照されている圧縮パッドが、チャンバーの対応する入口又は部分から引っ込められたことを示す。全てのTCR/試料混合物が処理され、試料が容器10内で更に処理できる管理可能な大きさにまで縮小されるまで、一定分量を加える毎に固定化及び液状廃棄物除去工程を繰り返した。
次いで、洗浄手順を開始して、磁石が「オン」位置に留まっている間に、固定化した核酸から、不要な、又は干渉する可能性のある材料を除去した。洗浄手順の開始時に、圧縮パッドP34−5、P34−4、P34−3、P34−2及びP34−1を動作させて、チャンバー34の垂直及び横の区画42、44(首部領域)のプライミングを行い、圧縮パッドP72を引き込んだ後に、チャンバー34の首部領域に圧力をかけ、密封されている入口72を開き、チャンバーC34から洗浄緩衝液約200μLをチャンバーC26に移動した。次いで、圧縮パッドP72で入口72を締め付け、圧縮パッドP62、P16−4及びP26の作用によって洗浄緩衝液をチャンバーC26とチャンバーC16の圧縮パッドP62及びP16−4によって覆われている領域との間で前後に3回移動し、開いた入口62に滞留している残りのTCR/試料混合材料を除去し、結合している核酸を精製した。この工程においては、P26は、圧縮パッドP62及びP16−4によって覆われているチャンバーC16の領域を過剰に充填することを防止し、泡立ちを最小限度にするように部分的にのみ活性化される。全ての液体は、最終的に、チャンバーC26内に集められ、磁気応答性粒子を固定化するために約30℃の温度で1分間磁石による磁場にさらされた。次いで、洗浄緩衝液が、圧縮パッドP26、P70、P36−1、P36−2及びP36−3の作用によってチャンバーC26からチャンバーC36内に移動した。チャンバーC34の首部領域に関連付けられている圧縮パッドを動作させて、更なる一定量約200μLの洗浄緩衝液をチャンバーC34からチャンバーC26に移動し、圧縮パッドP72を活性化して、開いた入口72を締め付け、洗浄緩衝液が圧縮パッドP62によって覆われているチャンバーC16の部分内に移動するだけであり、チャンバーC26とチャンバーC16との間の移動が2回だけ実行されることを除く、洗浄処理を繰り返した。最後に、チャンバーC34の首部領域に関連付けられている圧縮パッドを動作させて、圧縮パッドP72を活性化し、開いた入口72を締め付け、第3の一定量約200μLの洗浄緩衝液をチャンバーC34からチャンバーC26に移動し、除去された磁気応答性粒子を固定化するために磁気応答性粒子を30℃の温度で1分間磁石の磁場にさらした。その後、圧縮パッドP70、P36−1、P36−2及びP36−3の作用によって液体をチャンバーC26からチャンバーC34に移動した。洗浄手順が完了した後、磁石をチャンバーC26との配置から外し(「オフ」位置)、熱ゾーン268をチャンバーC26と配置するように移動した。
標的核酸を分離した後、圧縮パッドP22及びP58を順次活性化し、チャンバーC22及び入口58に圧力をかけ、この結果、密封されている入口58を押し開き、チャンバーC22からチャンバーC26へ増幅/検出試薬を移動した。磁性粒子が、増幅/検出試薬中に完全に懸濁されることを確実にするために、圧縮パッドP26、P58及びP22を動作させて増幅/検出試薬をチャンバーC22とC26との間で2回移動した。チャンバーC26内で、62℃で5分間(例えば±1.5℃の許容誤差で)の熱ゾーン268を使用して増幅/検出試薬をインキュベートして、プロモーター−プライマーと標的核酸との結合を促進した。同時に、熱ゾーン264及び266で、チャンバーC28及びC30の温度を、TMAの最適な温度である42℃(例えば、±0.45℃の許容誤差で)にした。62℃でインキュベートした後、チャンバーC26の内容物を42℃で更に5分間インキュベートし、その後、圧縮パッドP26及びP64を順次活性化し、チャンバーC26及び入口64に圧力をかけ、その結果、密封されている入口64を押し開き、チャンバーC26からチャンバーC28へ加熱された増幅/検出試薬と磁性粒子の混合物を移動した。いったんチャンバーC28内に入ったら、圧縮パッドP30及びP66を順次活性化し、チャンバーC30及び入口66に圧力をかけ、その結果、密封されている入口66を押し開き、チャンバーC30からチャンバーC28へ加熱された酵素試薬を移動した。酵素試薬をチャンバーC28に移動した後、熱ゾーン266の温度を38℃±1℃に調節した。増幅/検出試薬、酵素試薬、及び磁性粒子を混合するために、重力の補助により、チャンバーC28の内容物を開かれている入口66を通してチャンバーC30内に排出し、次いで、圧縮パッドP30及びP66を使ってチャンバーC30及び入口66に順次圧力をかけることによって内容物をチャンバーC28内に戻した。この処理を3回繰り返し、試薬の混合が標的配列の増幅に適したものとなるようにし、その後、混合圧縮パッドP66を活性化し、開いた入口66を締め付け、開いた入口66からチャンバーC28に残留試薬を移動した。
この混合物中で生成した増幅産物を検出するために、チャンバーC28の透明窓に隣接して配置されている蛍光光度計500が27分間にわたって5秒間隔で蛍光発光の読み取り値を取得し、各読み取りは平均して4秒を少し超えるくらいであった。この実験結果を図28に示し、これはチャンバーC28から検出された蛍光発光単位をy軸にとり、時間(分)をx軸にとったグラフである。これらの結果から、本明細書に記載されている機器100及び容器10を用いて実施されたリアルタイムTMA反応から、上記実施例1の手動でフォーマットされたリアルタイムTMA反応と同等の結果が得られたことがわかる。
実施例3:液体試薬及び尿試料を用いる、マルチチャンバー型柔軟容器内の自動化増幅反応
本実験は、105個の標的核酸のコピーを添加した尿試料を用いてリアルタイムTMA反応を評価するように設計された。本実験の材料及び方法は、(i)チャンバーC18には、水100μLと併せて10pモルの縮重捕捉プローブを含む標的捕捉試薬150μLを装填したこと、(ii)チャンバーC34に、洗浄緩衝液2mLを装填したこと、(iii)増幅/検出及び酵素試薬をチャンバーC20又はチャンバーC32に装填する前に、油試薬をチャンバーC20又はチャンバーC32に装填しなかったこと、(iv)試験試料に、健常人ドナーからの尿250μL及び試料輸送媒体250μLを入れたこと、(v)磁性粒子を固定化しながらチャンバーC16からTCR/試料混合物をチャンバーC26に移動し、チャンバーC26内に収納されている磁性粒子を磁石の磁場にさらし、チャンバーC26から液体をチャンバーC36に移動する工程を2回だけ繰り返したことを除き、実施例2に記載したリアルタイムTMA反応と同じであった。この実験の結果を図29に示し、これはチャンバーC28から検出された蛍光発光単位をy軸にとり、時間(分)をx軸にとったグラフである。この実験のこれらの結果から、リアルタイムTMA反応で、本明細書で記載されている機器100及び容器10を用いて尿試料中に供給された標的核酸を検出したことがわかる。
実施例4:乾燥試薬を用いる、マルチチャンバー型柔軟容器内の自動化増幅反応
本実験の目的は、乾燥形態の増幅及び酵素/プローブ試薬を用いて、実施例2の自動化されたリアルタイムTMA反応を評価することであった。容器10に、以下の試薬を予め装填した。すなわち(i)標的捕捉試薬125μLをチャンバーC18に加え、(ii)洗浄緩衝液3mLをチャンバーC34に加え、(iii)油試薬25μL、次いで、増幅再構成試薬(04%(v/v)エチルアルコール(無水)、0.10%(w/v)メチルパラベン、0.02%(w/v)プロピルパラベン、33mM KCl、30.6mM MgCl2及び0.003%のフェノールレッド)、85μLをC−20 に加え、(iv)増幅試薬ペレット(250mM HEPES、16%(w/v)トレハロース、53.4mM ATP、10mM CTP、66.6mM GTP、10mM UTP、pH7.0に調整された2.66mMの各dATP、dCTP、dGTP、及びdTTP、アンチセンスT7プロモーター−プライマー 0.6nモル/L、及びセンス非T7プライマー 0.47nモル/Lを含む液滴14μLから形成)(ここで、この液滴を液体窒素中に分注し、得られた凍結ペレットを凍結乾燥した)をチャンバーC22に加え、(v)油試薬35μL、次いで、酵素/プローブ再構成試薬(pH7.0 に調整した50mM HEPES、1mM EDTA、10%(v/v) TRITON(登録商標)X−100洗剤、及び120mM KCI)25μLをチャンバーC32に加え、(vi)酵素/プローブ試薬ペレット(20mM HEPES、125mM N−アセチル−L−システイン、0.1mM EDTA、0.01%(v/v) TRITON(登録商標)X−100洗剤、20%(w/v)トレハロース、412MR/L MMLV−RT(透析)、687MU/L T7 RNAポリメラーゼ(透析)、(ここで、「M」は、100万を表す)、及び分子ビーコンプローブ 2.20nmol/Lを含む液滴7.28μLから形成された)をチャンバーC30に加えた。試薬を装填した後、ヒートシールでチャンバーC16を除く容器10の全てのチャンバーを閉じた。105個の標的核酸のコピーを有する試験試料500μLを、上記実施例1に記載されているように、チャンバーC16内にピペットで入れ、次いで、ヒートシールで閉じた。初期セットアップは、上記実施例2と同じであった。
初期セットアップの後に、圧縮パッドP32及びP68を順次活性化し、チャンバーC32及び入口68に圧力をかけ、これにより、密封されている入口68を押し開き、チャンバーC32からチャンバーC30へ酵素/プローブ再構成試薬及び油試薬の混合物を移動し、酵素/プローブ試薬ペレットを2分かけて酵素/プローブ再構成試薬中に溶解させた。次いで、圧縮パッドP20及びP56を順次活性化して、チャンバーC20及び入口P20に圧力をかけ、これにより、密封されている入口56を押し開き、チャンバーC20からチャンバーC22に増幅再構成試薬及び油試薬の混合物を移動し、圧縮パッドP20及びP22を活性化して、チャンバーC22の内容物をチャンバーC20とC22との間で4回前後に移動し、増幅試薬を完全に再構成し、その後、圧縮パッドP56を活性化して入口56を締め付けた。チャンバーC30内に2分間滞留させた後、圧縮パッドP30及びP32を活性化し、チャンバーC30の内容物をチャンバーC30とC32との間で2回前後に移動して、酵素/プローブ試薬を完全に再構成し、その後、圧縮パッドP68を活性化して入口68を締め付けた。残りの工程は実施例2と同じであった。
この実験結果を図30に示し、これはチャンバーC28から検出された蛍光発光単位をy軸にとり、時間(分)をx軸にとったグラフである。これらの結果から、オンボードで再構成されるペレット状の増幅及び酵素/プローブ試薬を用いる、リアルタイムTMA反応は、本明細書に記載している機器100及び容器10を用いて標的転写物を検出したことがわかる。
実施例5:油試薬の存在又は不在下において、液体試薬を用いる自動化増幅反応
本実験は、TMA反応を実施するために液体試薬を装填するのに先立ちマルチチャンバー型容器のチャンバーを開くために非混和性液を用意する利点を評価することを目的として設計された。本実験のために、図4に示すタイプの容器を、以下のように、すなわち(i)コントロールにおいては、増幅/検出試薬を収納するチャンバー(チャンバーC20)又は酵素試薬を収納するチャンバー(チャンバーC32)に油試薬を加えず、(ii)酵素試薬を加える前に、油試薬25μLをチャンバーC32に加え、チャンバーC20には油試薬を加えず、(iii)増幅/検出及び酵素試薬を加える前に、油試薬25μLをチャンバーC20及びC32のそれぞれ加え、2コピー分用意した。チャンバーC18には、10pモルの縮重捕捉プローブ及び水100μLを含む標的捕捉試薬250μLを装填した。本実験の材料及び方法は、他の点では、増幅反応を40分間かけて約40℃の温度で実施したことを除き、実施例2に記載されている反応のものと実質的に同じであった。図31は、チャンバーC28から検出された蛍光発光単位をy軸にとり、時間(分)をx軸にとった、本実験の結果を示すグラフである。これらの結果から、この実験のリアルタイムTMA反応は、増幅/検出及び酵素試薬のうちの少なくとも1つを油試薬と組み合わせたときに著しくよい成果をもたらしたことがわかる。
本発明は、いくつかの例示的な実施態様を参照しつつ、かなり詳しく説明し、示したが、当業者であれば、本発明の他の実施態様を容易に思い付くであろう。従って、本発明は、添付する請求の範囲の精神及び範囲内に包含される全ての修正形態及び変更形態を含むと判断される。