以下、本発明の一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図1は、本実施形態のロボットシステムを表す(一部透視)システム構成図である。
図1において、本実施形態のロボットシステム1は、アーム100を備えたロボット10と、このロボット10を制御するロボットコントローラ20とを有している。これらロボット10及びロボットコントローラ20は、ケーブルを介して相互通信可能に接続されている。なお、ロボットコントローラ20を、例えばロボット10のアーム100部分に設置する等、ロボット10側に設けてもよい。
ロボット10のアーム100は、固定部101と、複数(この例では5個)のリンク部材L1〜L5と、これら5個のリンク部材L1〜L5のうちアーム100の最も基端側に位置するリンク部材L1と固定部101、及び、これら5個のリンク部材L1〜L5のうち隣接するリンク部材同士、を屈折可能に連結する複数(この例では6個)の関節機構S1〜S6と、これら6個の関節機構S1〜S6にそれぞれ設けられ、駆動対象のリンク部材L1〜L5への駆動力を発生するアクチュエータA1〜A6と、上記6個の関節機構S1〜S6にそれぞれ設けられた弾性部材30(後述の図2参照)とを有している。
アクチュエータA1〜A6は、この例では一般産業用機械の動力源として用いられる、いわゆるACサーボモータであり、固定子31(後述の図2参照)及び回転子を有し、回転力を出力するモータと、モータの出力(回転速度)を所定の減速比で減速することにより、モータのトルクを増幅する減速機と、モータの回転軸等の回転体の回転位置を検出するエンコーダとを備えている。モータの固定子31は、固定子コア、固定子コアに設けられたボビン、ボビンに巻かれたコイル等を有しており、特許請求の範囲に記載の電機子を構成する。モータの回転子は、回転子ヨーク、モータの回転軸にトルクを発生させるための永久磁石等を有しており、特許請求の範囲に記載の界磁を構成する。
ここで、固定部101及びリンク部材L1の関係では、アクチュエータA1に備えられたモータの固定子31が連結される固定部101が、特許請求の範囲に記載の第1リンク部材に相当し、アクチュエータA1に備えられたモータの回転子が連結されるリンク部材L1が、特許請求の範囲に記載の第2リンク部材に相当する。また、隣接するリンク部材L1,L2の関係では、アーム100の基端側に位置し、アクチュエータA2に備えられたモータの固定子31が連結されるリンク部材L1が、第1リンク部材に相当し、アーム100の先端側に位置し、アクチュエータA2に備えられたモータの回転子が連結されるリンク部材L2が、第2リンク部材に相当する。同様に、隣接するリンク部材L2,L3の関係では、アクチュエータA3に備えられたモータの固定子31が連結されるリンク部材L2が、第1リンク部材に相当し、アクチュエータA3に備えられたモータの回転子が連結されるリンク部材L3が、第2リンク部材に相当する。隣接するリンク部材L3,L4の関係では、アクチュエータA4に備えられたモータの固定子31が連結されるリンク部材L3が、第1リンク部材に相当し、アクチュエータA4に備えられたモータの回転子が連結されるリンク部材L4が、第2リンク部材に相当する。隣接するリンク部材L4,L5の関係では、アクチュエータA5に備えられたモータの固定子31が連結されるリンク部材L4が、第1リンク部材に相当し、アクチュエータA5に備えられたモータの回転子が連結されるリンク部材L5が、第2リンク部材に相当する。隣接するリンク部材L5,L6の関係では、アクチュエータA6に備えられたモータの固定子31が連結されるリンク部材L5が、第1リンク部材に相当し、アクチュエータA6に備えられたモータの回転子が連結されるリンク部材L6が、第2リンク部材に相当する。なお、以下適宜、第1リンク部材に相当するリンク部材又は固定部を「第1リンク部材」と称し、第2リンク部材に相当するリンク部材を「第2リンク部材」と称する。
以下、関節機構S1〜S6の構成及びロボットコントローラ20の構成を説明する。但し、以下では、関節機構S1〜S6のうち、関節機構S1を例にとってその構成を説明し、他の関節機構S2〜S6についての説明を省略するが、他の関節機構S2〜S6についても関節機構S1とほぼ同様の構成となっている。
図2は、上記関節機構S1に備えられた各部材の位置関係を説明する説明図である。
図2において、関節機構S1は、上述したように、固定部101(ここでは第1リンク部材に相当)及びリンク部材L1(ここでは第2リンク部材に相当)を連結する関節機構であり、リンク部材L1への駆動力を発生するアクチュエータA1と、弾性部材30とを備えている。アクチュエータA1に備えられたモータの固定子31(減速機の固定部も含む)は、モータ支持部材40(後述の図4も参照)に固定されている。なお、減速機の固定部を、モータ支持部材40に固定してもよい。あるいは、モータ支持部材40が、モータの固定子又は減速機の固定部そのものであってもよい。また、アクチュエータA1に備えられた減速機の出力軸32は、リンク部材L1に固定されている。なお、モータ及び減速機を組み合わせて使用しない場合は、モータの回転軸(モータの回転子)が、リンク部材L1に固定される。
関節機構S1の弾性部材30は、上記モータの固定子31と、固定部101との間に配設されている。なお、上述したように、モータの固定子31には、減速機の固定部も含まれているので、弾性部材30は、上記減速機の固定部と、固定部101との間に配設されているとも言える。このような構成とすると、弾性部材30の変形量を検出するエンコーダ等を備えて固定部101とリンク部材L1との角度を検出してモータを制御した場合、仮にモータの固定子31の慣性モーメントが十分に大きいとすると、弾性部材30の剛性に関係なくリンク部材L1の位置を高帯域で制御できることになる。アーム100の先端等に外力が加わったときには、リンク部材L1に加えてモータ全体が回転するため、若干重くなるものの、減速比によってモータの回転子の慣性モーメントが2乗倍されることがなくなるため、弾性部材30を入れない場合に比べると衝突時の安全性は大幅に高められる。この構成は、モータの固定子31が弾性部材30の変形量分だけ回転するものの、回転量が小さいため、電力線の引き回しも容易である。そして、この弾性部材30は、磁場によって弾性率が変化する材料である可変弾性ソフトマテリアルで構成されている。詳細には、弾性部材30は、例えば、高分子ゲルに磁性微粒子を分散させたゲルや、力学強度に優れ水分の蒸発がないポリウレタンエラストマー等の可変弾性ソフトマテリアルを可撓性のケース内に入れて封止した部材である。
図3は、上記ロボットコントローラ20の機能的構成を説明する説明図である。
図3において、ロボットコントローラ20は、図示しない演算器、記憶装置、入力装置等を備えたコンピュータにより構成されており、剛性指令器21及び剛性制御器22を有している。剛性指令器21は、上記関節機構S1〜S6の剛性を指令する剛性指令値を、剛性制御器22に対して出力する。剛性制御器22は、状況に応じて関節機構S1〜S6に備えられた弾性部材30の弾性率を変化させて、関節機構S1〜S6の剛性を変化させるため、剛性指令器21から入力された剛性指令値に基づき、弾性部材30の弾性率を制御する。具体的には、アーム100の加減速時には、位置ずれや動作遅れを抑制するため、弾性部材30の弾性率を大きくすることで、関節機構S1〜S6の剛性を高くする。一方、アーム100の等速動作時や停止時には、衝突時の衝撃力を緩衝するため、弾性部材30の弾性率を小さくすることで、関節機構S1〜S6の剛性を低くする。本実施形態では、剛性制御器22は、関節機構S1〜S6にそれぞれ備えられたコイル42(後述の図4参照)に流す電流量を制御することにより、弾性部材30の弾性率を制御するようになっている。
図4は、上記関節機構S1の概念的な断面図である。
図4において、関節機構S1は、上記アクチュエータA1と、上記弾性部材30と、透磁率の高いケイ素鋼等の磁性材料で構成された磁路鉄芯41(第1磁路鉄芯)と、この磁路鉄芯41に巻かれたコイル42(第1コイル)とを備えている。
上記アクチュエータA1に備えられたモータの固定子31は、モータ支持部材40に固定されており、アクチュエータA1に備えられた減速機の出力軸32は、図4中紙面奥行き方向の回転軸であり、上記リンク部材L1に固定されている。モータは、上記出力軸32まわりにトルクを発生する。したがって、上記出力軸32を中心に回転可能に支持されたモータ支持部材40は、その反力を受ける。
関節機構S1の弾性部材30は、上記モータ支持部材40の突起部40aを挟み込むようにして、上記モータの固定子31と、上記固定部101との間に配設されている。すなわち、弾性部材30は、突起部40aを挟み込むことによりモータ支持部材40を支持している。したがって、この弾性部材30の剛性を変化させることにより、当該弾性部材30に支持されたモータ支持部材40の支持剛性も変化させることができる。
関節機構S1の磁路鉄芯41は、関節機構S1のコイル42に電流を流したときに発生する磁束が当該磁路鉄芯41を介して弾性部材30を通過するように構成されている。この例では、磁路鉄芯41は、断面視略コの字形状に形成されており、弾性部材30の外側を挟み込むようにして、上記固定部101に固定されている。そして、上記ロボットコントローラ20の剛性制御器22は、上記剛性指令器21から入力される剛性指令値に基づき、コイル42に流す電流量を制御することにより、弾性部材30に印加される磁場の強さを制御し、当該弾性部材30の弾性率を制御している。したがって、コイル42に電流を流すと、磁路鉄芯41に磁束が発生し、その発生した磁束が当該磁路鉄芯41を介して弾性部材30を通過するように、図4中破線で示すような磁路を形成する。
なお、図4に示す例では、上記突起部40a、弾性部材30、磁路鉄芯41、及びコイル42をモータ支持部材40の周囲に1組だけ設けているが、これに限られず、これらをモータ支持部材40の周囲に複数組設けてもよい。
以上説明したように、本実施形態のロボットシステム1は、回転子及び固定子31を有するモータを関節機構S1〜S6に備えたアーム100を有するロボット10と、このロボット10を制御するロボットコントローラ20とを備えている。ロボット10のアーム100においては、モータの固定子31は第1リンク部材に連結されており、モータの回転子は第2リンク部材に連結されている。また、関節機構S1〜S6に備えられたモータの固定子31と第1リンク部材との間には、弾性部材30が設けられている。この弾性部材30によって関節機構S1〜S6に柔軟性を与え、ロボット10のアーム100が人間や周辺の構造物と衝突した際の衝撃力を緩衝し、安全性を高めることができる。
ここで、例えば関節機構S1〜S6が常時柔軟性を有する場合、弾性部材の変形によって動作後のアーム100先端の位置が設定位置とずれたり、動作に遅れを生じる等、制御性能が低下するという問題がある。そこで本実施形態では、関節機構S1〜S6の弾性部材30を、磁場によって弾性率が変化する可変弾性ソフトマテリアルで構成し、ロボットコントローラ20の剛性制御器22で、剛性指令器21の剛性指令値に基づき弾性部材30の弾性率を制御する。これにより、ロボット10のアーム100の加減速時には弾性部材30の弾性率を大きくすることで、位置ずれや動作遅れを抑制し、ロボット10のアーム100の等速動作時や停止時には弾性部材30の弾性率を小さくすることで、衝突時の衝撃力を緩衝することができる。このように、状況に応じて関節機構S1〜S6の剛性を変化させることができるので、ロボット10の制御性と安全性を両立させることができる。
またここで、本実施形態の効果を説明するために、関節機構の剛性を変化させる機構(以下適宜、「可変剛性機構」と称する)をロボットの関節機構に用いた比較例を説明する。
図5は、比較例(その1)における可変剛性機構の概念的な正面図である。
図5において、本比較例における可変剛性機構は、非線形弾性機構を複数個拮抗配置することにより関節機構の剛性を変化させる機構、すなわち拮抗型可変剛性機構である。本比較例における拮抗型可変剛性機構は、非線形弾性機構200を複数個(この例では2個)拮抗配置したパラレル機構となっている。各非線形弾性機構200は、モータ201、ボールねじ202、ボールねじナット203、ねじりコイルばね204、及び、テーパー形状のガイドシャフト205を備えている。ボールねじナット203には、ねじりコイルばね204の一端が固定されており、ボールねじナット203が直動動作を行うか回転動作を行うかは、外力や摩擦力により決定されるようになっている。ねじりコイルばね204の内部には、ガイドシャフト205が挿入されており、ボールねじナット203が回転動作を行うと、ねじりコイルばね204が端から順にガイドシャフト205に巻き付いていく。この結果、その巻き付いた部分が収縮しなくなり、ばね長が短くなるため、ねじりコイルばね204の剛性が高くなる。本比較例における拮抗型可変剛性機構をロボットの関節機構に用いた場合には、ボールねじナット203の直動動作及び回転動作を任意に操作することにより、関節機構の剛性及び関節角度を任意に変化させることができる。
図6は、比較例(その2)における可変剛性機構を説明する説明図である。なお、図6(a)は、本比較例における可変剛性機構の概念的な正面図であり、図6(b)は、図6(a)中VIB−VIB断面による概念的な断面図である。
図6において、本比較例における可変剛性機構は、非線形ばねを加圧部材により加圧することにより関節機構の剛性を変化させる機構、すなわち加圧型可変剛性機構である。本比較例における加圧型可変剛性機構は、突起部301bを備え、モータを支持するモータ支持部材301、突起部301bを挟み込むように配置された非線形ばね302、及び、非線形ばね302を加圧する加圧部材305等を備えている。本比較例における加圧型可変剛性機構をロボットの関節機構に用いた場合には、加圧部材305で非線形ばね302を加圧することによって、非線形ばね302の収縮量を変化させることにより、関節機構の剛性を変化させることができる。
上記比較例(その1)における拮抗型可変剛性機構をロボットの関節機構に用いた場合では、次のような課題が生じる場合がある。すなわち、関節機構の剛性の高い状態を維持する場合、複数のモータ201が拮抗するトルクを発生し続ける必要があり、エネルギーを無駄に浪費するおそれがある。また、上記比較例(その1)における拮抗型可変剛性機構は、パラレル機構となっているため、関節機構の可動範囲が小さくなるおそれがある。
一方、上記比較例(その2)における加圧型可変剛性機構をロボットの関節機構に用いた場合では、次のような課題が生じる場合がある。すなわち、非線形ばね302を加圧する加圧部材305、及び、加圧部材305を駆動する高トルクの剛性調節モータを必要とする。また、剛性調節モータが高トルクを必要とするため、その分だけ関節機構が大型化するおそれがある。さらに、関節機構の剛性を変化させる際に、加圧部材305の位置決め時間分の遅れが生じるおそれがある。
これに対し、本実施形態のロボットシステム1では、上記可変弾性ソフトマテリアルで構成された弾性部材30を設けることで関節機構S1〜S6の剛性を変化させることができるので、上記比較例(その1)における拮抗型可変剛性機構をロボットの関節機構に用いた場合のように、エネルギーを無駄に浪費したり、関節機構の可動範囲が小さくなるのを防止することができる。また、上記比較例(その2)における加圧型可変剛性機構をロボットの関節機構に用いた場合のように、加圧部材305や高トルクの剛性調節モータなどを設ける必要がない。したがって、小型且つ軽量の機構で関節機構S1〜S6の剛性を変化させることができる。
また、本実施形態では特に、関節機構S1〜S6は、モータのトルクを増幅する減速機を備えている。そして、弾性部材30は、モータの固定子31と第1リンク部材との間に設けられている。これにより、関節機構S1〜S6にモータ及び減速機を備えたロボット10において、制御性と安全性を両立させることができる。
また、本実施形態では特に、関節機構S1〜S6は、磁路鉄芯41と、この磁路鉄芯41に巻かれたコイル42と備えている。そして、磁路鉄芯41は、コイル42に電流を流したときに発生する磁束が弾性部材30を通過するように構成されている。そして、ロボットコントローラ20の剛性制御器22は、コイル42に流す電流量を制御する。これにより、コイル42の電流量に応じて弾性部材30の弾性率を制御できるので、関節機構S1〜S6の剛性を高速かつ連続的に変化させることができる。
またここで、上記可変剛性機構の中には、線形ばねの一部をロックすることにより関節機構の剛性を変化させる機構、すなわちロック型可変剛性機構がある。そして、このロック型可変剛性機構の中には、線形ばねを直列につなぎ、その一部を収縮できない状態とするロック機構として、MR流体を用いる機構がある。MR流体は、磁性を帯びた機能性流体であり、磁場を印加すると粘性が高くなり、剛体に近い状態となる性質がある。MR流体を用いるロック型可変剛性機構では、上記のようなMR流体の性質を利用して、線形ばねが収縮できないようにロックする。しかしながら、MR流体を用いるロック型可変剛性機構では、MR流体自体の剛性を連続的に変化させることができない。このため、MR流体を用いるロック型可変剛性機構をロボットの関節機構に用いた場合に関節機構S1〜S6の剛性を連続的に変化させるには、選択できる剛性値の数(分解能)を増やす必要がある。この場合、ばねやコイル、電気回路等をその分だけ増加させる必要があり、機構の大型化を招くことになる。これに対し、本実施形態のロボットシステム1では、そのような部品の追加をすることなく関節機構S1〜S6の剛性を連続的に変化させることができるため、小型で軽量な可変剛性の関節機構S1〜S6を実現できる。
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を順次説明する。
(1)永久磁石の磁束が弾性部材を通過するように構成する場合(その1)
上記実施形態においては、コイル42に電流を流したときに磁路鉄芯41に発生する磁束が弾性部材30を通過するように構成していたが、これに限られない。すなわち、永久磁石を設け、この永久磁石により発生する磁束が弾性部材30を通過するように構成してもよい。
図7及び図8は、本変形例における関節機構S1を説明する説明図であり、前述の図4に対応する図である。なお、図7は、永久磁石が高剛性位置に位置する状態での関節機構S1の概念的な断面図であり、図8は、永久磁石が低剛性位置に位置する状態での関節機構S1の概念的な断面図である。図4と同等の部分には同符号を付し説明を適宜省略する。
図7及び図8において、本変形例における関節機構S1は、前述のアクチュエータA1(図1参照)と、前述の弾性部材30と、着磁方向(図7中左右方向、図8中上下方向)と垂直な軸43aまわりに回転可能に支持され、磁束を発生する永久磁石43と、この永久磁石43の周囲に配置され、透磁率の高いケイ素鋼等の磁性材料で構成された磁路鉄芯44,46,48と、磁路鉄芯44に巻かれたコイル45(第2コイル)と、磁路鉄芯46に巻かれたコイル47(第3コイル)とを備えている。なお、磁路鉄芯44が、特許請求の範囲に記載の第2磁路鉄芯を構成し、磁路鉄芯46,48が、特許請求の範囲に記載の第3磁路鉄芯を構成する。
本変形例においても、上記実施形態と同様、アクチュエータA1に備えられたモータの固定子31(図2参照)は、前述のモータ支持部材40に固定されており、アクチュエータA1に備えられた減速機の出力軸32は、前述のリンク部材L1(図1参照)に固定されている。
関節機構S1の弾性部材30は、上記実施形態と同様、可変弾性ソフトマテリアルで構成されており、モータ支持部材40の突起部40aを挟み込むようにして、上記モータの固定子31と、前述の固定部101(図1参照)との間に配設されている。
関節機構S1の磁路鉄芯44は、関節機構S1の永久磁石43により発生する磁束が当該磁路鉄芯44を介して弾性部材30を通過するように(言い換えれば、後述の高剛性位置での磁路を形成するように)構成されている。関節機構S1の磁路鉄芯46,48は、永久磁石43により発生する磁束が当該磁路鉄芯46,48を通過して弾性部材30を通過しないように(言い換えれば、後述の低剛性位置での磁路を形成するように)構成されている。
関節機構S1のコイル45,47は、当該コイル45,47に電流を流したときに発生する磁束により、永久磁石43を上記軸43aまわりに回転駆動させる。すなわち、コイル45に電流を流すと、磁路鉄芯44に図7中破線で示すような磁路を形成する磁束が発生し、その発生した磁束によって永久磁石43が引きつけられ、当該永久磁石43を図8に示す回転位置(後述の低剛性位置)の方向へ回転駆動することができる。なお、このとき、コイル47にも反発力を生じるように電流を流して、上記永久磁石43の回転駆動を補佐するようにしてもよい。一方、コイル47に電流を流すと、磁路鉄芯46に図8中破線で示すような磁路を形成する磁束が発生し、その発生した磁束によって永久磁石43が引きつけられ、当該永久磁石43を図7に示す回転位置(後述の高剛性位置)の方向へ回転駆動することができる。なお、このとき、コイル45にも反発力を生じるように電流を流して、上記永久磁石43の回転駆動を補佐するようにしてもよい。
関節機構S1の永久磁石43は、コイル45,47により発生する磁束によって回転駆動されることによって、高剛性位置(図7に示す位置)と低剛性位置(図8に示す位置)との間を回転移動可能に構成されている。本変形例における高剛性位置は、永久磁石43により発生する磁束が磁路鉄芯44を通過する回転位置である。本変形例における低剛性位置は、永久磁石43により発生する磁束が磁路鉄芯46,48を通過する回転位置である。なお、永久磁石43自体が図7及び図8に示すような形状である必要はなく、鉄芯の表面に永久磁石を貼付したり、鉄芯の内部に永久磁石を埋め込んでもよい。そして、本変形例では、前述のロボットコントローラ20の剛性制御器22は、前述の剛性指令器21から入力される剛性指令値を、上記高剛性位置及び低剛性位置のいずれかの位置指令に換算し、これに応じてコイル45,47に流す電流量を制御して永久磁石43の位置を制御することにより、弾性部材30の弾性率を制御している。
永久磁石43が図7に示す高剛性位置に存在するときには、当該永久磁石43により発生する磁束は、図7中破線で示すように、磁路鉄芯44、弾性部材30、モータ支持部材40の突起部40a、弾性部材30、磁路鉄芯44をこの順に通過して永久磁石43に戻るような磁路を形成する。すなわち、永久磁石43が高剛性位置に存在するときには、当該永久磁石43により発生する磁束が磁路鉄芯44を介して弾性部材30を通過するので、弾性部材30の弾性率は大きくなり、モータ支持部材40の支持剛性も高くなる。また、コイル45に電流を流したときに発生する磁束は、磁路鉄芯44を介して弾性部材30を通過するので、当該磁束によっても弾性部材30の弾性率は大きくなり、モータ支持部材40の支持剛性も高くなる。すなわち、このような機能に関しては、磁路鉄芯44は、特許請求の範囲に記載の第1磁路鉄芯として機能し、この磁路鉄芯44に巻かれたコイル45は、特許請求の範囲に記載の第1コイルとして機能する。つまり、永久磁石43による磁束は永久磁石43が回転移動する時間分遅れるが、コイル45による磁束を利用することにより、その遅れる時間分を当該コイル45による磁束により補うことができるので、応答を高速化できる。
一方、永久磁石43が図8に示す低剛性位置に存在するときには、当該永久磁石43により発生する磁束は、図8中破線で示すように、磁路鉄芯48、モータ支持部材40の突起部40a、モータ支持部材40の本体部、磁路鉄芯46をこの順に通過して永久磁石43に戻るような磁路を形成する。すなわち、永久磁石43が低剛性位置に存在するときには、当該永久磁石43により発生する磁束が磁路鉄芯46,48を通過して弾性部材30を通過しないので、弾性部材30の弾性率は小さくなり、モータ支持部材40の支持剛性も低くなる。なお、図8に示す例では、磁路鉄芯46は、略左右対称に2本の磁路を形成しているが、これに限られず、どちらか一方でもよい。また、上記軸43aに沿った方向(紙面奥行き方向)に磁路を形成してもよい。この場合には、磁路を短くでき、関節機構S1を軽量化できる。但し、この場合には、上記軸43aに沿った方向の厚みは大型化する。
また、永久磁石43が上記高剛性位置及び低剛性位置の中間位置に存在するときには、弾性部材30を通過する磁束は上記高剛性位置及び低剛性位置の場合の中間となるので、弾性部材30の弾性率も中間となり、モータ支持部材40の支持剛性も中間となる。
なお、本変形例では、コイル45,47により永久磁石43を回転駆動することによって、永久磁石43を高剛性位置と低剛性位置とに回転移動させているが、これに限られず、ロボット10が上記コイル45,47に代えて永久磁石43を回転駆動する剛性調節モータを備えるような構成とし、この剛性調節モータが永久磁石43を回転駆動することによって、永久磁石43を高剛性位置と低剛性位置とに回転移動させてもよい。このような構成とした場合には、既存のモータを用いて容易に可変剛性の関節機構S1〜S6を実現することができる。
以上説明した本変形例においては、関節機構S1〜S6は、磁路鉄芯44と、永久磁石43とを備えており、磁路鉄芯44は、永久磁石43により発生する磁束が当該磁路鉄芯44を介して可変弾性ソフトマテリアルで構成された弾性部材30を通過するように構成されている。これにより、永久磁石43の位置や向き等を変化させ、磁路鉄芯44を通過する磁束の有無を制御することで、弾性部材30の弾性率を制御することができる。また、永久磁石43を用いることで、コイルのような銅損によるエネルギー損失や、発熱の問題をなくすことができる。また、コイルに比べ漏れ磁束を小さくすることができるので、高剛性時と低剛性時の磁束密度の差を大きくすることができ、取りうる剛性の範囲を拡大することができる。
また、関節機構S1〜S6は、永久磁石43により発生する磁束が弾性部材30を通過しないように構成された磁路鉄芯46,48を備えており、永久磁石43は、上記高剛性位置と上記低剛性位置との間を移動可能に構成されている。永久磁石43が高剛性位置に移動した際には、磁束が磁路鉄芯44を介して弾性部材30を通過するので、弾性部材30の弾性率は大きくなる。一方、永久磁石43が低剛性位置に移動した際には、磁束が磁路鉄芯46,48を通過して弾性部材30を通過しないため、弾性部材30の弾性率は小さくなる。そして、ロボットコントローラ20の剛性制御器22は、剛性指令器21からの剛性指令値を、高剛性位置及び低剛性位置のいずれかの位置指令に換算し、永久磁石43の位置を制御する。このように、剛性制御器22が剛性指令器21からの剛性指令値に基づいて永久磁石43の位置を高剛性位置又は低剛性位置に切替制御することで、関節機構S1〜S6の剛性を確実に変化させることができる。また特に、永久磁石43は、上記軸43aまわりに回転可能に支持されており、高剛性位置と低剛性位置との間を回転移動可能に構成されている。これにより、永久磁石43の位置を高剛性位置又は低剛性位置に切替制御可能な構成を、簡易な構成で実現することができる。また、永久磁石43は軸方向へ移動しないため、関節機構S1〜S6の特に軸方向の厚みを小型化できる効果もある。
また、関節機構S1〜S6は、磁路鉄芯44に巻かれたコイル45と、磁路鉄芯46に巻かれたコイル47とを備えている。そして、コイル45,47が永久磁石43を回転駆動することにより、永久磁石43を高剛性位置と低剛性位置とに移動させる。このような構成とすることで、永久磁石43を回転駆動するためのモータを別途設ける必要がなくなり、且つ、鉄芯部を共通化できるので、関節機構S1〜S6を小型化することができる。また、磁路鉄芯44に巻かれたコイル45により生じた磁束は弾性部材30を通過するため、これを関節機構S1〜S6の剛性の制御に利用することにより、応答を高速化できる効果もある。
(2)永久磁石の磁束が弾性部材を通過するように構成する場合(その2)
上記実施形態においては、コイル42に電流を流したときに磁路鉄芯41に発生する磁束が弾性部材30を通過するように構成していたが、これに限られない。すなわち、少なくとも1つの永久磁石が固定された磁石固定板を設け、その磁石固定板に固定された永久磁石により発生する磁束が弾性部材を通過するように構成してもよい。
図9及び図10は、本変形例における関節機構S1を説明する説明図である。なお、図9は、本変形例における関節機構S1に備えられた各部材を表す分解斜視図であり、図10(a)は、本変形例における関節機構S1の背面斜視図であり、図10(b)は、本変形例における関節機構S1の正面斜視図であり、図10(c)は、本変形例における関節機構S1の正面図であり、図10(d)は、本変形例における関節機構S1の側面図であり、図10(e)は、図10(d)中XE−XE断面による断面図である。
図9及び図10(a)〜(e)において、本変形例における関節機構S1は、前述のアクチュエータA1(図1参照)と、少なくとも1つ(この例では8つ)の弾性部材51と、固定部材50と、この固定部材50の本体部50cと一体的に設けられた少なくとも1つ(この例では8つ)の磁路鉄芯50a(第2磁路鉄芯)と、モータ支持部材60と、磁束を発生する少なくとも1つ(この例では8つ)の永久磁石71と、これら8つの永久磁石71が固定され、上記モータ支持部材60の本体部60bの外側に配置されると共に、永久磁石71の着磁方向と平行な軸AXまわりに回転可能に支持された磁石固定板70とを備えている。
関節機構S1の固定部材50は、透磁率の高いケイ素鋼等の磁性材料で構成され、本体部50cから開口部50dの内側に向かって突出した4つの突起部50bを備えており、前述の固定部101(図1参照)に固定されている。突起部50bは、上記磁石固定板70に固定された永久磁石71により発生する磁界が当該突起部50bを通過して弾性部材51を通過しないように(言い換えれば、後述の図12(b)(c)に示すような低剛性位置での磁路を形成するように)構成されている。すなわち、突起部50bは、特許請求の範囲に記載の第3磁路鉄芯を構成する。なお、固定部101の一部を図9に示す固定部材50のような形状としてもよい。
関節機構S1のモータ支持部材60は、透磁率の高いケイ素鋼等の磁性材料で構成され、本体部60bからその外側に向かって突出した4つの突起部60aを備えており、これら4つの突起部60aが固定部材50の4つ突起部50bの間に配置されるように、固定部材50の開口部50dに挿通されている。なお、この例では、固定部材50の突起部50b及びモータ支持部材60の突起部60aをそれぞれ4つずつとしているが、これに限られず、これら突起部50b,60aのうち、一方の突起部が2つ以上、他方の突起部が1つ以上あればよい。このモータ支持部材60は、上記突起部60aを除き、透磁率の低い材料で構成されている。また、このモータ支持部材60には、アクチュエータA1に備えられたモータの固定子31(図2参照。減速機の固定部も含む)が固定されている。なお、減速機の固定部を、モータ支持部材60に固定してもよい。あるいは、モータ支持部材60が、モータの固定子又は減速機の固定部そのものであってもよい。また、アクチュエータA1に備えられた減速機の出力軸32(図2参照)は、前述のリンク部材L1(図1参照)に固定されている。モータは、上記出力軸32まわりにトルクを発生する。したがって、上記出力軸32を中心に回転可能に支持されたモータ支持部材60は、その反力を受ける。
関節機構S1の弾性部材51は、図10(e)に示すように固定部材50の突起部50b及びモータ支持部材60の突起部60aを挟み込むようにして、上記モータ固定子31と、上記固定子101との間に配設されている。なお、上述したように、モータの固定子31には、減速機の固定部も含まれているので、弾性部材51は、上記減速機の固定部と、固定部101との間に配設されているとも言える。そして、この弾性部材51は、上記実施形態の弾性部材30と同様、可変弾性ソフトマテリアルで構成されている。すなわち、弾性部材51は、突起部50b,60aを挟み込むことにより固定部材50及びモータ支持部材60を支持している。例えば、モータ支持部材60が上記モータが駆動した際の反力を受けたときには、弾性部材51が収縮して固定部材50に伝わる力を和らげることができる。また例えば、衝突等によりアーム100の先端に外力を受けたときには、モータや減速機の逆伝達率が低いために生じる摩擦力は、モータ支持部材60に直接伝わるが、モータ支持部材60を介してモータの固定子31及び減速機が柔軟支持されているため、上記衝突時の衝撃力を緩和できる。すなわち、モータの固定子31及び減速機の柔軟支持の剛性は、弾性部材51の剛性によって決まる。したがって、この弾性部材51の剛性を変化させることにより、当該弾性部材51に支持された固定部材50及びモータ支持部材60の支持剛性も変化させることができる。なお、弾性部材51の剛性は、後述のように、磁石固定板70の回転方向位置によって変化する。
また、弾性部材51の上記開口部50dの径方向外側には、当該弾性部材51が上記開口部50dの周方向に収縮した際に当該弾性部材51が上記径方向に膨張するためのスペースとなる空隙80が形成されている。
関節機構S1の磁路鉄芯50aは、上記磁石固定板70に固定された永久磁石71により発生する磁界が当該磁路鉄芯50aを介して弾性部材51を通過するように(言い換えれば、後述の図11(b)に示すような高剛性位置での磁路を形成するように)構成されている。この例では、磁路鉄芯50aは、磁石固定板70に固定された永久磁石71に対して弾性部材51及び空隙80を介して対向できるように、固定部材50の本体部50cと一体的に設けられている。
関節機構S1の永久磁石71は、上記磁石固定板70の回転により、高剛性位置(後述の図11(b)に示す位置)と低剛性位置(後述の図12(b)(c)に示す位置)との間を移動可能に構成されている。本変形例における高剛性位置は、永久磁石71により発生する磁束が上記固定部材50の磁路鉄芯50aを通過する位置である。本変形例における低剛性位置は、永久磁石71により発生する磁束が上記固定部材50の突起部50bを通過する位置である。そして、本変形例では、前述のロボットコントローラ20の剛性制御器22は、前述の剛性指令器21から入力される剛性指令値を、上記高剛性位置及び低剛性位置のいずれかの位置指令に換算し、これに応じて磁石固定板70の回転方向位置を制御して永久磁石71の位置を制御することにより、弾性部材51の弾性率を制御している。
なお、ロボット10に磁石固定板70を回転駆動する剛性調節モータを備えさせ、この剛性調節モータが磁石固定板70を回転駆動することにより、永久磁石71を高剛性位置と低剛性位置とに移動させてもよい。あるいは、上記(1)の変形例と同様に、関節機構S1にコイルを備えさせることにより、永久磁石71を高剛性位置と低剛性位置とに移動させてもよい。この場合、固定部材50の磁路鉄芯50aにコイル(第2コイル)を巻き付け、固定部材50の突起部50bに別のコイル(第3コイル)を巻き付けておく。そして、磁路鉄芯50aのコイルに電流を流せば、磁石固定板70を高剛性位置に回転駆動させることができ、突起部50bのコイルに電流を流せば、磁石固定板70を低剛性位置に回転駆動させることができる。
図11(a)は、永久磁石71が高剛性位置に位置する状態での本変形例における関節機構S1の正面図であり、図11(b)は、図11(a)中XIB−XIB断面による断面図である。
図11(a)(b)において、磁石固定板70が図11(a)に示す回転位置に存在するときには、当該磁石固定板70に固定された永久磁石71は、図11(b)に示す高剛性位置に存在している。永久磁石71が高剛性位置に存在するときには、当該永久磁石71により発生する磁束は、図11(b)中破線で示すように、弾性部材51、固定部材50の磁路鉄芯50a、固定部材50の本体部50c、磁石固定板70をこの順に通過して永久磁石71に戻るような磁路を形成する。すなわち、永久磁石71が高剛性位置に存在するときには、当該永久磁石71により発生する磁束が磁路鉄芯50aを介して弾性部材51を通過するので、弾性部材51の弾性率は大きくなり、固定部材50及びモータ支持部材60の支持剛性も高くなる。
なお、弾性部材51を通過する磁束を増加させるには、できるだけ図11(b)中破線で示すような磁路以外の磁路を生じないように配慮する必要がある。上記空隙80が存在すると、永久磁石71が高剛性位置に存在するときに、図11(b)中破線で示す領域の外側方向に磁路が形成されないため、弾性部材51を通過する磁束を増加させる効果がある。また、本変形例では、モータ支持部材60は、上記突起部60aを除き、透磁率の低い材料で構成されているが、そうでない場合には、モータ支持部材60の本体部60bを通過する磁路が生じてしまうので、弾性部材51とモータ支持部材60の本体部60bとの間にも空隙を設けてもよい。また、弾性部材51から固定部材50の突起部50b及びモータ支持部材60の突起部60aへすぐに抜けてしまう周方向の磁路を生じないようにするために、弾性部材51と突起部50b,60aとの間に透磁率の低い材料を設けてもよい。
図12(a)は、永久磁石71が低剛性位置に位置する状態での本変形例における関節機構S1の正面図であり、図12(b)は、図12(a)中XIIB−XIIB断面による断面図であり、図12(c)は、図12(a)中XIIC−XIIC断面による断面図である。
図12(a)〜(c)において、磁石固定板70が図12(a)に示す回転位置に存在するときには、当該磁石固定板70に固定された永久磁石71は、図12(b)(c)に示す高剛性位置に存在している。永久磁石71が低剛性位置に存在するときには、モータ支持部材60の突起部60aと対向する永久磁石71により発生する磁束は、図12(b)中破線で示すように、モータ支持部材60の突起部60a、固定部材50の本体部50c、磁石固定板70をこの順に通過して永久磁石71に戻るような磁路を形成する。また、固定部材50の突起部50bと対向する永久磁石71により発生する磁束は、図12(c)中破線で示すように、固定部材50の突起部50b、固定部材50の本体部50c、磁石固定板70をこの順に通過して永久磁石71に戻るような磁路を形成する。すなわち、永久磁石71が低剛性位置に存在するときには、当該永久磁石71により発生する磁束がモータ支持部材60の突起部60a又は固定部材50の突起部50bを通過して弾性部材51をほとんど通過しないので、弾性部材51の弾性率は小さくなり、固定部材50及びモータ支持部材60の支持剛性も低くなる。
以上説明した本変形例によれば、上記実施形態や上記(1)の変形例と同様の効果を得ることができる。また、本変形例においては、関節機構S1〜S6は、8つの永久磁石71が固定され、永久磁石71の着磁方向と平行な軸AXまわりに回転可能に支持された磁石固定板70を備えている。そして、永久磁石71が、磁石固定板70の回転により高剛性位置と低剛性位置との間を移動可能に構成されている。これにより、磁石固定板70に複数の永久磁石71を固定することで、複数の永久磁石71の位置を一度に高剛性位置又は低剛性位置に切替可能な構成を実現することができる。また、複数の永久磁石71を集約配置できるので、関節機構S1〜S6の体積を小型化できる効果もある。
(3)弾性部材を減速機の出力軸と第2リンク部材との間に設ける場合
上記実施形態においては、弾性部材30をモータの固定子31と第1リンク部材との間に設けていたが、これに限られず、弾性部材30を減速機の出力軸32と第2リンク部材との間に設けてもよい。
図13は、本変形例における関節機構S1に備えられた各部材の位置関係を説明する説明図であり、前述の図2に対応する図である。
図13に示すように、本変形例における関節機構S1においては、アクチュエータA1に備えられたモータの固定子31(減速機の固定部も含む)が、固定部101(ここでは第1リンク部材に相当)に固定されている。そして、弾性部材30が、アクチュエータA1に備えられた減速機の出力軸32と、リンク部材L1(ここでは第2リンク部材に相当)との間に配設されている。なお、モータ及び減速機を組み合わせて使用しない場合は、弾性部材30は、モータの回転子と、リンク部材L1との間に配設される。アーム100の先端などに外力が加わったときには、弾性部材30が収縮して緩衝される。このような構成とした場合、弾性部材30よりもアーム100の先端側が第2リンク部材だけとなり、軽量で安全性が高くなるので、直列弾性駆動のロボットではこの構成が最も一般的に用いられる。このような構成とした場合も、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。また、モータに減速機などを用いて摩擦など予測しにくい外乱があったとしても、弾性部材30の収縮量を検出するセンサを備えることで、第2リンク部材にかかっている外力を正しく知ることができるため、これを用いてインピーダンス制御をすることもできる。このような構成は、モータの固定子31に電力を供給する電力線が第1リンク部材側にあるので引き回しが容易というメリットもある。また、特に図示はしていないが、弾性部材30を、減速機の出力軸32(モータ及び減速機を組み合わせて使用しない場合はモータの回転子)とリンク部材L1との間、及び、モータの固定子31と固定部101との間の両方に配設してもよい。
(4)弾性部材をモータの固定子と第2リンク部材との間に設ける場合
上記実施形態においては、弾性部材30をモータの固定子31と第1リンク部材との間に設けていたが、これに限られず、弾性部材30をモータの固定子31と第2リンク部材との間に設けてもよい。
図14は、本変形例における関節機構S1に備えられた各部材の位置関係を説明する説明図であり、前述の図2及び図13に対応する図である。
図14に示すように、本変形例における関節機構S1においては、アクチュエータA1に備えられた減速機の出力軸32が、固定部101(ここでは第1リンク部材に相当)に固定されている。なお、モータ及び減速機を組み合わせて使用しない場合は、モータの回転子が、固定部101に固定される。そして、弾性部材30が、アクチュエータA1に備えられたモータの固定子31(減速機の固定部を含む)と、リンク部材L1(ここでは第2リンク部材に相当)との間に配設されている。なお、モータの固定子31には、減速機の固定部も含まれているので、弾性部材30は、減速機の固定部と、リンク部材L1との間に配設されているとも言える。このような構成とした場合も、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。また、このような構成とした場合、上記(3)の変形例と同様、弾性部材30よりもアーム100の先端側が第2リンク部材だけとなり、軽量で安全性を高くすることができる。また、特に図示はしていないが、弾性部材30を、モータの固定子31とリンク部材L1との間、及び、減速機の出力軸32(モータ及び減速機を組み合わせて使用しない場合はモータの回転子)と固定部101との間の両方に配設してもよい。
(5)弾性部材を減速機の出力軸と第1リンク部材との間に設ける場合
上記実施形態においては、弾性部材30をモータの固定子31と第1リンク部材との間に設けていたが、これに限られず、弾性部材30を減速機の出力軸32と第1リンク部材との間に設けてもよい。
図15は、本変形例における関節機構S1に備えられた各部材の位置関係を説明する説明図であり、前述の図2、図13、及び図14に対応する図である。
図15に示すように、本変形例における関節機構S1においては、アクチュエータA1に備えられたモータの固定子31(減速機の固定部を含む)が、リンク部材L1(ここでは第2リンク部材に相当)に固定されている。そして、弾性部材30が、アクチュエータA1に備えられた減速機の出力軸32と、固定部101(ここでは第1リンク部材に相当)との間に配設されている。なお、モータ及び減速機を組み合わせて使用しない場合は、弾性部材30は、モータの回転子と、固定部101との間に配設される。このような構成とした場合も、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。また、特に図示はしていないが、弾性部材30を、減速機の出力軸32(モータ及び減速機を組み合わせて使用しない場合はモータの回転子)と固定部101との間、及び、モータの固定子31とリンク部材L1との間の両方に配設してもよい。
(6)その他
以上においては、固定子31が電機子、回転子が界磁であるモータを例にとって説明したが、反対に、固定子が界磁、回転子が電機子であるモータに本発明を適用してもよい。
また、以上においては、減速機を搭載したモータに本発明を適用した場合を例にとって説明したが、これに限られず、減速機を搭載しないモータ単体に対しても適用可能であり、この場合も同様の効果を得る。
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。