JP5583575B2 - 感染症と関連炎症過程の治療のためのタンパク質生成物 - Google Patents

感染症と関連炎症過程の治療のためのタンパク質生成物 Download PDF

Info

Publication number
JP5583575B2
JP5583575B2 JP2010500302A JP2010500302A JP5583575B2 JP 5583575 B2 JP5583575 B2 JP 5583575B2 JP 2010500302 A JP2010500302 A JP 2010500302A JP 2010500302 A JP2010500302 A JP 2010500302A JP 5583575 B2 JP5583575 B2 JP 5583575B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
lps
rscd6
protein
binding
soluble
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2010500302A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010522728A (ja
JP2010522728A5 (ja
Inventor
フォルネス, マリア ロサ サリアス
ソト, フランシスコ ロサノ
Original Assignee
ユニベルシダード デ バルセロナ
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ユニベルシダード デ バルセロナ filed Critical ユニベルシダード デ バルセロナ
Publication of JP2010522728A publication Critical patent/JP2010522728A/ja
Publication of JP2010522728A5 publication Critical patent/JP2010522728A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5583575B2 publication Critical patent/JP5583575B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides
    • A61K38/16Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • A61K38/17Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • A61K38/177Receptors; Cell surface antigens; Cell surface determinants
    • A61K38/1774Immunoglobulin superfamily (e.g. CD2, CD4, CD8, ICAM molecules, B7 molecules, Fc-receptors, MHC-molecules)
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P29/00Non-central analgesic, antipyretic or antiinflammatory agents, e.g. antirheumatic agents; Non-steroidal antiinflammatory drugs [NSAID]
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P31/00Antiinfectives, i.e. antibiotics, antiseptics, chemotherapeutics
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P31/00Antiinfectives, i.e. antibiotics, antiseptics, chemotherapeutics
    • A61P31/04Antibacterial agents
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P31/00Antiinfectives, i.e. antibiotics, antiseptics, chemotherapeutics
    • A61P31/10Antimycotics
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P31/00Antiinfectives, i.e. antibiotics, antiseptics, chemotherapeutics
    • A61P31/12Antivirals
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P33/00Antiparasitic agents
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P5/00Drugs for disorders of the endocrine system

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Oncology (AREA)
  • Communicable Diseases (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Gastroenterology & Hepatology (AREA)
  • Cell Biology (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Endocrinology (AREA)
  • Diabetes (AREA)
  • Virology (AREA)
  • Tropical Medicine & Parasitology (AREA)
  • Pain & Pain Management (AREA)
  • Rheumatology (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)

Description

この発明は、医薬品の分野、特に、感染症及びそれに関連する炎症状態を治療的及び/又は予防的に処置する医薬の製造のためのタンパク質性の化合物に関する。
全身性微生物感染及び微生物生成物の放出により、宿主免疫細胞の活性化過剰、続いて炎症反応の悪化が生じる。敗血症(sepsis)は、この炎症を制御する免疫系の無能化を引き起こすもので、組織損傷、血管透過性の増加に至るおそれがあり、多臓器不全及びショック状態(敗血症性ショック)を引き起こしうる。
敗血症は、多くの原因に由来するが、典型的には、肺炎、外傷、手術、及び火傷、又は癌もしくはAIDS等の病状により誘発されるおそれがある。敗血症は、通常、震え、熱、血圧低下(敗血症性ショック)、呼吸促迫、頻脈、及び皮膚損傷を伴って始まる。敗血症は、数時間内に、自発的な血管内での凝血、重度の低血圧、多臓器不全、ショック、壊疽、及び最終的には死に至らしめるおそれがある。敗血症は、ヒト及び他の動物における、高い罹患率及び死亡率(敗血症患者では70%までの死亡率)の原因となり得る。アメリカ合衆国及びヨーロッパでは、年間150万人の人々が敗血症を発症している。これらの患者の30%が1ヶ月後、20%が6ヶ月後に死亡している。アメリカ合衆国では、敗血症は死亡原因の第10位であり、これは、梗塞、乳癌又は肺癌により引き起こされる死亡率よりも高い。
敗血症における最も重要な治療介入は、素早い診断と処置である。敗血症の診断は困難である。その兆候のいくつか、例えば熱、頻脈、及び呼吸困難は頻繁に生じ、他の疾患によるものと混同されるおそれがある。重症の敗血症であると診断された患者は、特別な処置のために、通常は病院の集中治療室(ICU)に配される。最初の処置は、潜在する感染を同定し、抗感染剤又は手術で除去して、感染部位を取り去ることである。敗血症を処置するための現在の方法には、抗菌剤、抗体、ペプチド、及びXigris(登録商標)としてEli Lillyから市販されているドロテコギン(drotecogin)アルファと命名された遺伝子組換えヒト活性化プロテインCが含まれる。しかしながら、ドロテコギンアルファは、重症敗血症に関連した死亡率を5%低下させるのみで、全ての患者がこの薬剤に対してポジティブに反応するわけではない。また近年、ステロイド類も敗血症性ショックを患ってる患者に有益であることが示されている。さらに、医者は、血圧が低下しすぎるのを防止するために静脈内輸液を投与する。ある場合には、十分な血圧を達成するために(血管を収縮させる)昇圧剤が必要とされている。最後に、臓器不全が生じたならば、適切な対症療法(例えば、腎不全に対しては透析、呼吸器不全に対しては機械的人工呼吸等)が提供される。
敗血症反応における分子メディエイターに関する高レベルの過剰性のため、新規のアプローチは、敗血症カスケードにおける複数の点での介入に焦点があてられていると思われる。進行の初期段階でのいくつかの候補薬剤は、骨髄細胞に発現する誘発性レセプター-1(Triggering Receptor Expressed on Myeloid cells-1; TREM-1)レセプターアンタゴニスト(Merck & Co Inc and BioXell SpA);及びスーパー抗原アンタゴニスト(Atox Bio Ltd)、スーパー抗原と称されるStaphylococcus aureus(黄色ブドウ球菌)及びStreptococcus pyogenes(化膿連鎖球菌)により生成される致死性細菌毒のファミリーの作用をブロックする短鎖ペプチド;免疫調節ホルモン(IRH, Hollis-Eden Pharmaceuticals Inc.)、免疫系及び代謝機能を制御する自己免疫及び抗炎症剤;及びグラム陰性敗血症を処置するためのアデノシンA1レセプターアンタゴニスト(Endacea Inc.)である。開発下にある他の分子は、Toll様レセプター4アンタゴニスト(Takeda及びEisai);抗TNFαポリクローナル抗体断片(Protherics);ウシ腸由来のアルカリホスファターゼ(AM-Pharma);酸化窒素を中和するノラチオール(Norathiol)(Medinox);及び2006年に欧州規制機関から販売承認を受けているトランスジェニック抗トロンビンIII ATryn(登録商標)(GTC Biotherapeutics)、及びアメリカ合衆国における後期臨床試験にあるものである。
敗血症を処置するために他のアプローチが提案されており、例えば抗IL-8抗体(米国特許出願第2003021783A号)、抗IL-18抗体(米国特許第20030008822A号)、抗C5a抗体及びC末端切断C5aペプチド(米国特許第20020165138A号)、ケモカイン類及びケモカイン断片(米国特許第20020155094A号)、プロテインCとBPI抗体の併用(米国特許第20020044929A号)、COX-2インヒビター(米国特許第20020006915A号)、藻類のリポ多糖類(米国特許第6534648号)、及びTNF-αに対する抗体及び細菌性リポ多糖類(米国特許第6315999号)に対する抗体の使用等である。しかしながら、重篤な感染の処置においては、過去数十年の間にかなり進歩しているのにもかかわらず、敗血症の発生率及び敗血症による死亡率は増加し続けている。よって、感染症及びこれらの感染症に関する炎症状態を予防及び処置するための新規の方法及び組成物を提供することが所望されている。
本発明者は、主としてリンパ系の細胞により発現する細胞表面レセプターであるヒトCD6の外部ドメインが、グラム陰性菌及びグラム陽性菌由来のリポ多糖類(LPS)及びリポタイコ酸(LTA)等の保存された微生物構造に結合可能であることを見出した。驚くべきことに、LPS-CD6相互作用は、哺乳動物において最も重要なLPSレセプターのCD14とLPSとの相互作用について報告されているものと大きさが同様な比較的高い親和性を示す。CD6は、スカベンジャーレセプターシステインリッチ(SRCR)ドメインを有する他のレセプターであるSpαよりも約10倍強固にRe-LPSに結合する。これらのデータにより、CD6の組換え型の腹腔内投与は、マウスにおいてLPSにより誘発される敗血症性ショックに起因する致死効果を無効にするという発見に至っている。従って、CD6は、敗血症性ショック症候群、及び感染症に関連する他の炎症性疾患の治療介入に対する治療可能性を有している。
自然免疫反応は、微生物病原体の保存産物で、宿主に共有されず、生存に必須である、いわゆる病原体関連分子パターン(PAMPs)を認識するという複数の非多型生殖細胞系にコードされたレセプターの能力に依存している。パターン認識レセプター(PRRs)は、主として食細胞(顆粒球、マクロファージ、樹状細胞)及び上皮障壁細胞により発現する。それらのいくつかは、多様な微生物成分と直接相互作用することが示されている。ここで、本発明者は、驚くべきことに、ヒトリンパ球において発現するSRCRスーパーファミリーのメンバーであるCD6が、グラム陽性菌及びグラム陰性菌、並びに他の微生物(ウイルス、真菌)構造体に結合することを見出した。CD6の主として報告されている役割は、T細胞の活性化及び分化シグナルの調節である。さらに驚くべきことに、CD6は、微生物成分の存在を検知する能力を有している。これは、この活性がCD14及びSpα等のレセプターを発現するマクロファージに関連しているため、リンパ球の驚くべき活性である。興味あることに、競合結合実験では、CD6の細菌表面との相互作用が特異的であることが示されている。CD6とは異なり、CD5の外部ドメインを含む組換え型は、細菌又はLPSには結合しない。また、データには、CD6が、分子の独立した非重複部位を介して、LTA及びLPSに結合することが示されている。
CD6の存在により細菌凝集が誘発される。Ca2+の存在下でCD6により誘発されるLPSの凝集と併せて、細菌の凝集データには、CD6が、侵入細菌並びにLPS粒子の大きさ増加の一因である可能性が示されている。これにより、循環からの粒子排除が促進され、敗血症が致命的であり得る症例において、後に続く炎症過程を低減する。従って、LPS投与の1時間前に、マウスに単一用量(25μg)のCD6を投与すると、CD5又は生理食塩水による処置と比較して、それらの生存率を有意に向上(70%まで)させると同時に、これらのマウスにおける炎症誘発性のサイトカイン類であるTNF-α、IL-1β及びIL-6の血清レベルについて有意な減少を誘導する。
低レベルの可溶性CD6が、ELISAアッセイにより、正常なヒト血清中に見出されているが、その生化学的特徴付けは現在まで達成されていない。アフィニティークロマトグラフィー技術を使用することにより、CD6の組換え型と同様の分子量(MW)、抗体反応性、及び細胞結合特性を有し、ヒトCD6の外部ドメインのみからなる天然の可溶性CD6(nsCD6)タンパク質が、プール化ヒト血清から精製された。ELISAアッセイにおいて共有するLPSへの結合能と共に、これらのデータには、CD6がCD6の循環型の生物活性を保持しており、天然CD6(約5.27ng/mlの濃度で血清中に存在)の入手性が低いの研究では、組換えCD6の使用が有効であることが示されている。またこれらの結果によれば、患者への投与には、組換え型のCD6の潜在的使用が有効である。
従って、本発明は、ヒトを含む哺乳動物における、感染症、又は感染症に関連した炎症状態、又は感染病原体からの誘導産物の存在に関連した炎症性疾患を治療的及び/又は予防的に処置する医薬を製造するためのCD6生成物の使用に関する。
また本発明は、有効量のCD6生成物を、それを必要とする哺乳動物に投与することを含む、ヒトを含む哺乳動物における、感染症、又は感染症に関連した炎症状態、又は感染病原体からの誘導産物の存在に関連した炎症性疾患を治療的及び/又は予防的に処置するための方法として記載される。
本発明の特定の実施態様では、感染症は微生物感染である。さらなる特定の実施態様では、微生物感染は、細菌感染(グラム陰性又はグラム陽性菌)、寄生虫感染、ウイルス感染、真菌感染、及びそれらの組合せ(複数微生物感染)からなる群から選択される。
他の特定の実施態様では、感染症は敗血症である。ここで使用される場合、「敗血症(septicemia)」なる用語は、血流に任意の微生物が存在することを意味する。特に敗血症は、菌血症、ウイルス血症、真菌血症、寄生虫血症及びそれらの組合せからなる群から選択される。
生存微生物の存在は、感染症に関連した炎症状態のほとんどの場合に見出される一方、20%〜30%の患者は、任意の供給源から同定された微生物を有さないが、それらから誘導された産物を有する。よって、他の実施態様では、炎症状態は、感染病原体からの誘導産物に関する。特に、感染病原体は、細菌、寄生虫、ウイルス、真菌、及びそれらの組合せからなる群から選択される。
敗血症は、全身性炎症反応症候群(SIRS)と呼ばれる全身反応の兆候を伴う感染の存在又は存在の虞と定義される。敗血症の定義について、文献「Severe sepsis and septic shock: review of the literature and emergency department management guidelines」, H.B. Nguyenら, Ann. Emergency Med. 2006, vol. 48, pp. 28-54が参照される。敗血症は、通常、細菌感染(グラム陽性又はグラム陰性菌)に起因するが、他の病原体に起因する可能性もある。しかしながら、殆どの場合、敗血症はグラム陰性菌感染に起因する。しかしながら、この場合、敗血症に起因する損傷及び兆候は、細菌により引き起こされるばかりでなく、内毒素又はLPSとして知られている細菌細胞壁の成分によっても引き起こされる。LPS分子はグラム陽性菌の外膜に遍在する糖脂質である。LPSは、免疫系が侵入細胞を破壊する時に放出される。放出されたLPSは単球、マクロファージ、及び内皮細胞に結合し、様々なメディエイター、例えばTNF-α及びインターロイキン類(IL-1、IL-6、及びIL-8)の生成を惹起する。過剰のTNF-α、IL-1、IL-6及びIL-8の生成は、敗血症の重篤な型の主要原因である。
本発明の特定の実施態様では、炎症状態はSIRSである。他の特定の実施態様では、炎症状態は敗血症である。SIRSは次のうちの2又はそれ以上の存在として定義される:(1)38℃を超えるか、又は36℃未満の温度;(2)90拍/分を越える脈拍数;(3)20呼吸/分を越える呼吸速度(又は32torr未満のPCO);及び(4)12000/mmを越えるか又は4000/mm未満の白血球数、又は10%を越える未熟杆状球(band)型。
他の特定の実施態様では、炎症状態は重症敗血症である。重症白血病は、一又は複数の臓器不全を伴う敗血症であると定義される。臓器不全は、急性肺損傷;凝固異常;血小板減少症;異常な精神状態;腎臓、肝臓又は心不全;又は乳酸アジドーシスを伴う低灌流と定義することができる。
最後に、他の特定の一実施態様では、炎症状態は敗血症性ショックである。敗血症性ショックは、敗血症と難治性低血圧の存在、すなわち収縮期血圧が90mmHg未満、平均動脈圧が65mmHg未満、又は20〜40ml/kgの晶質液投与に対して無反応なベースラインと比較して、収縮期血圧において40mmHgの低下と定義される。よって、敗血症性ショックは、事実上、重症敗血症の一形態である。
感染源は、体中の多くの場所の何れかでありうる。敗血症に至りうる感染の通常の部位には、次のものが含まれる:
− 虫垂の炎症(虫垂炎)、憩室炎、腸管障害、腹腔の感染(腹膜炎)、及び胆嚢又は肝臓の感染;
− 脳又は脊髄の炎症又は感染;
− 肺感染、例えば肺炎;
− 静脈内カテーテルにより生じた傷又は開口部を介した皮膚感染、蜂巣炎(皮膚の結合組織の炎症);
− 尿路感染症、特に患者が尿を排出するために導尿カテーテルを有している場合;
− 歯科及び婦人科の検査及び処置;
− 刃物による又は貫通型の外傷、手術、及び心内膜炎。
CD6生成物の定義
CD6レセプターは、胸腺細胞、成熟T細胞、及びB1a B細胞サブセットの膜で発現するリンパ系に特異的な表面糖タンパク質であるが、脳のある種の領域におけるCD6発現も報告されている。CD6レセプターは、SRCRと称されるシステインリッチ細胞外ドメインの一又はいくつかの繰り返しの存在により特徴付けられるSRCRサブファミリーに属する(M.R. Sarriasら, 「The Scavenger Receptor Cysteine-Rich (SRCR) domain: an ancient and highly conserved protein module of the innate immune system」, Crit. Rev. Immunol. 2004, vol. 24, pp. 1-37を参照)。その細胞外領域は、専ら、3つの連続したSRCRドメインからなる。機能上、それは、T(TCR/CD3)及びB(BCR)細胞に存在する抗原特異性レセプター複合体に物理的に結合し、そこでCD6は、そのレセプター複合体により送達される活性化及び分化シグナルの正又は負の調節に寄与している。CD6がその天然リガンドALCAMに結合すること(「Activated Leukocyte Cell Adhesion Molecule」、CD166としても既知) (Bowenら, 「Adhesion Molecules, Their Receptors, and Their Regulation: Analysis of CD6-Activated Leukocyte Cell Adhesion Molecule (ALCAM/CD166) Interactions」, Transplantation Proceedings, 31, 795-796を参照)、Igスーパーファミリーの広範囲に発現する接着分子であることは十分に認められている。
ここで使用される場合、「CD6生成物」なる用語は、CD6外部ドメイン又はその断片を含む生成物であることを意味する。外部ドメインは、膜から離間した柄領域と介在配列を有する3つのSRCRドメインを意味する。適切なCD6生成物には、CD6外部ドメイン又はその断片の天然、合成、又は生物学的に活性な組換えポリペプチド;ハイブリッド融合タンパク質又はその断片を含む、CD6外部ドメイン又はその断片の生物学的に活性なポリペプチド変異体;又はCD6外部ドメイン又はその断片の生物学的に活性なポリペプチド類似体が含まれる。類似体には、一又は複数のアミノ酸が種々のアミノ酸で置き換えられた生成物が含まれる。保存的アミノ酸置換が好ましい。
CD6生成物は、哺乳動物由来、好ましくはヒト由来のものである。
ヒトCD6は100〜130kDaである。GenBank受入番号NP_006716に記載されているヒト全長CD6タンパク質は、668アミノ酸を有している。外部ドメインは、3つのSRCRドメイン、介在配列、及び柄領域からなる。
特定の実施態様では、本発明のCD6生成物は、配列番号:1のアミノ酸配列を含む。この配列は、3つのSRCRドメイン、介在配列、及び柄領域を含む。他の実施態様では、CD6生成物はマウスCD6生成物である。
CD6の血漿レベルが低いため、精製血漿又は血清からCD6を得ることは、工業的には実施が難しい。よって、本発明の目的のためには、遺伝子工学的な方法でCD6生成物を生成することが好ましい。以下rCD6と称される組換えCD6を生産するために、当該分野で通常使用されている任意の方法を用いることができる。rCD6を発現及び精製するための好ましい方法は、以下の実施例に記載される。この方法により、実験目的でrCD6を生成することが可能となり、多量のrCD6を生成するためには、工業的規模にスケールアップすることが必要とされる。また、本発明のCD6を融合タンパク質として発現させてもよい。
CD6生成物が本発明の目的に適しているかどうか試験するために、微生物結合アッセイを使用しうる。適切なアッセイは実施例1に記載する。
本発明の教示に従えば、CD6生成物は、哺乳動物、好ましくはヒトに投与することができる。CD6を投与する目的は、予防(これらの疾患の発病を回避するため)及び/又は治療(これらの疾患を発病/取り込まれた場合に、それらを処置すること)でありうる。
CD6生成物は、製薬的に許容可能な形態で投与されることが理解される。当業者であれば、標準的な手順を使用し、適切な用量を確定しうる。用量は、処置される患者において炎症反応の低下が見られるという意味でのCD6生成物の有効量とすべきであることが理解される。
本発明のCD6生成物は、単独で、又は製薬的に許容可能な担体又は賦形剤との組成物として、投与されうる。当業者であれば、特定の投与方式に応じて、組成物を適合させるであろう。組成物は、感染症又はそれに関連する炎症状態に対する単剤、かかる薬剤の組合せ、又は状態に応じた他の治療剤との組合せとして、CD6生成物を含みうる。
特に定められない限りは、ここで使用される全ての技術的及び科学的用語は、この発明が属する技術分野における当業者により一般的に理解されるものと同じ意味を有する。ここに記載のものに類似した又は均等な方法及び材料を、本発明の実施に使用することができる。明細書及び請求項の全体にわたって、「含む(含有する)」なる用語及びその変形態様は、他の技術的特徴、添加剤、成分、又は工程を排除することを意図したものではない。本発明の付加的な目的、利点及び特徴は、明細書の精査により当業者には明らかであろうし、又は本発明の実施により知得することもできるであろう。以下の実施例及び図は、例証のために提供されるものであって、本発明を限定することを意図したものではない。
実施例及び図において、rsCD6は、膜に結合したCD6レセプターと区別される組換え的に得られた可溶性CD6外部ドメインを意味する。
図1は、グラム陽性及びグラム陰性菌へのrsCD6の結合性を示す。A)ストレプトアビジン-HRPを用いた、アフィニティー精製されビオチン標識されたタンパク質のウエスタンブロット分析。B)大腸菌及び黄色ブドウ球菌へのビオチン化タンパク質(BSA、rsCD5、rSpα及びrsCD6)の結合性。C)大腸菌又は黄色ブドウ球菌へのビオチン標識rsCD6及びrSpαの結合のカルシウム依存性。TPAは「付加された全タンパク質」を意味する。D)増加した濃度のLPS又はLTAの存在下における大腸菌及び黄色ブドウ球菌へのrsCD6-ビオチンの競合結合アッセイ。Cは「競合体」を意味する。 図2は、ヒト血清からアフィニティー精製された循環CD6の特徴付けを示す。A)ヒト血清からのアフィニティー精製されたnsCD6のクーマシーブルー染色。B)ビオチン標識され精製されたnsCD6及びrsCD6タンパク質、及びストレプトアビジン-HRPを用いた、表面ビオチン化HUT-78T細胞から免疫沈降された膜CD6のウエスタンブロット分析。C)CD6の細胞外領域に対して特異的なウサギポリクローナル抗血清を用いた、B)と同様のビオチン標識タンパク質のウエスタンブロット分析。D)K652及びRaji細胞と、ビオチン標識rsCD5、rsCD6、nsCD6又はBSAとの反応性のフローサイトメトリー分析。結合したタンパク質はストレプトアビジン-トリカラーを用いて検出された。F.I.は「蛍光強度」を意味し、C.N.は「細胞数」を意味する。 図3は、LPSへのrsCD6の結合性を示す。A)LPSへのアフィニティー精製nsCD6及びrsCD6の直接結合性を示すELISA。大腸菌から精製されたLPSで、96-ウェルマイクロタイタープレートをコーティングした。ついで、いくつかの濃度のビオチン標識rsCD6、nsCD6又はBSAがウェルに添加され、結合したタンパク質がストレプトアビジン-HRPを用いて検出された。Re-LPSへのrsCD6又はrsCD5の結合性は、FITC-Re-LPS蛍光特性おける変化によりモニターされた。P.a.は「添加したタンパク質」を意味する。B)rsCD5ではなく、rsCD6は、FITC-Re-LPSへの結合時、蛍光異方性(「A」と称する)における大幅な増加を誘発し、それは、rsCD6濃度の増加を伴い増加する。C)増加した量のrsCD6又はrsCD5の添加時における、520nmでのFITC-Re-LPSの蛍光発光強度(「F」と称する)の純変化。直角双曲線に対して適合させた飽和曲線から算出した、FITC-Re-LPS/sCD6複合体に対する見かけKdは、2.69±0.32×10−8Mであった。 図4は、細胞表面CD6への大腸菌由来のLPSの結合性を示す。A)親及びCD6.wt-形質移入2G5細胞への、増加した量のLPS-FITC(0、10、20μg)の直接結合性を示すフローサイトメトリー分析。C.N.は「細胞数」を意味し、F.I.は「蛍光強度」を意味する。B)比較を簡単にするために、A)の平均蛍光強度は、各細胞系に添加されたLPS-FITCの量に対してプロットされた。G.M.は「幾何平均(Geo Mean)」を意味する。C)2G5-CD6.wt形質移入体へのLPS-FITC結合性の競合実験。増加した量(0、10、20μg)のrsCD6の存在下、15μgのFITC-LPS(左)又は15μgのrsCD6又はrsCD5(右)のいずれかと共に、細胞をインキュベートした。蛍光強度はフローサイトメトリーにより分析した。 図5は、rsCD6が細菌凝集を誘発することを示している。A)FITC標識された大腸菌及び黄色ブドウ球菌の懸濁液は、5mMのCa2+の存在下、rsCD6又はrsCD5(2μM)と共に、室温(RT)で一晩インキュベートされた。それぞれ正及び負のコントロールとして、等モル濃度のrSpα及びHSAが使用された。蛍光顕微鏡における直接調査により、凝集が観察された。B)増加した濃度のrsCD6の不在下(●)及び存在下における、Ca2+依存性Re-LPS凝集の動態。Re-LPS、カルシウム及びEDTAの最終濃度は、それぞれ100μg/mL、2.5mM及び5mMであった。rsCD6の最終濃度は、0.25(○)、0.50(△)、1.0(●)、2.0(□)μg/mlであった。2つ実施したうちの一つの代表的実験を示す。時間はT(分)として示す。 図6は、LPSにより誘発される敗血症性ショック後のサイトカイン血清レベル、及び生存率におけるrsCD6及びrsCD5の効果を示す。A)生存(S)グラフ。C57BL/6Jマウス(8週)は、滅菌生理食塩水(「S」と称する)(n=26)又はrsCD5(n=10)又はrsCD6(n=16)(各25μg)のいずれかを腹腔投与した1時間後、大腸菌0111:B4からの致死量(30mg/kg)もLPSが腹腔に注射された。生存しているマウスの割合は、グラッドパス・プリズム(Gradpath prism)4.0を使用して解析され、log順位t検定P値が算出された。B)LPSが投与されたマウスにおけるサイトカインの循環レベル。TNF-α、IL-1β及びIL-6の血漿レベルが、LPS注入後、異なる時間でのELISAにより定量された。データは平均±SEMとして表される。結果における統計学的差異は、両側スチューデントt検定により評価された。、統計学的に有意な差(P<0.05)。時間はT(min)として示す。 図7は、酵母(出芽酵母:Saccharomices cerevisae)から抽出されたザイモサンへのrsCD6の結合性を示す。ELISAアッセイの結果において、Aは「吸光度」、Zは「ザイモサン」、Pは黄色ブドウ球菌から精製された「ペプチドグリカン」を意味する。大腸菌(E. coli)株O111:B4から精製されたLPS及びBSAは、正及び負のコントロールである。 図8は、HIV表面タンパク質gp120に結合する、rsCD6の結合性を示す。ELISAアッセイの結果。 図9は、ヒトサイトメガロウイルス粒子に結合する、rsCD6の結合性を示す。ELISAアッセイの結果。
細胞
ヒトリンパ芽球様B細胞系ラジ、赤骨髄細胞系K562、並びに白血病T細胞系HUT-78を、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC, Manassas, VA)から得た。CD5-及びCD6-陰性Jurkat細胞2G5を、蛍光活性化細胞選別(FACS)から得、さらに報告されている(M. Simarroら, 「The cytoplasmic domain of CD5 mediates both TCR/CD3-dependent and -independent diacylglycerol production」, J. Immunol. 1997, vol. 159, pp. 4307-4315)ようにして、Jurkat細胞をクローニングした。2G5Jurkat細胞を、pHβ-CD6.wtコンストラクトを用いて、安定して形質移入させた。簡単に述べると、野生型CD6(pHβ-CD6・wt)をコードする発現コンストラクトを、SalI/BamHI-制限pHβAPr-1-ネオ哺乳動物発現ベクター内で、それぞれCD6の細胞外及び細胞質領域に相当するSalI/EcoRI-及びEcoRI/BamHI-制限(フェルメンタス(Fermentas)MBI)をクローニングすることにより得た。CD6の細胞外部分を、5'TCTCGTCGACATGTGGCTCTTCTTCGGGAT3'(配列番号:2)及び5'AACTTCTTTGGGGATGGTGATGGG3'(配列番号:3)プライマー、及びテンプレートとしてpBJneo内にクローニングされたCD6-PB1cDNA配列を使用してPCR増幅することにより得た。CD6の細胞内領域を、5'GTCACTATAGAATCTTCTGTG3'(配列番号:4)及び5'AAAGGATCCCTAGGCTGCGCTGATGTCATC3'(配列番号:5)プライマーを用い、HUT78cDNAをPCR増幅することにより得た(I. Gimferrerら, 「The accessory molecules CD5 and CD6 associate on the membrane of lymphoid T cells」, J. Biol. Chem. 2003, vol. 278, pp. 8564-71を参照)。
特に示さない限りは、この研究で使用される全ての細胞を、100U/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシン、及び10%のFCS(GIBCO Invitrogen, Paisley, UK)が補填されたRPMI1640培地(Life Technologies, Gaithesburg, MD)中で増殖させた。ヒト胎児腎臓上皮細胞系HEK293-EBNA(Invitrogen Life Technologies, Paisley, U.K.)を、100U/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシン、250μg/mlのジェネティシン(G418)、及び10%のFCSが補填されたダルベッコ変性イーグル培地(DMEM/F12; Invitrogen Life Technologies)において増殖させた。
抗体及び試薬
mAbs Cris-1(抗CD5、IgG2a)及び161.8(抗CD6、IgG1)は、R. Vilella博士(Hospital Clinic, Barcelona, Spain)により生産された。マウス抗ヒトCD6 mAbs MAE1-C10(IgG1)及びSPV-L14.2(IgG1)は、それぞれF. Sanchez-Madrid博士(Hospital de la Princesa, Madrid, Spain)(L. Cardenasら,「Phosphorylation-Dephosphorylation of the CD6 Glycoprotein Renders 2 Isoforms of 130 and 105 Kilodaltons - Effect of Serum and Protein-Kinase-C Activators」 Journal of Immunology 1990, vol. 145, pp. 1450-55を参照)及びJo Hilders博士(Bioprobe B.V., The Netherlands)により提供された。ヒトCD6の細胞外領域に対するウサギポリクローナル抗血清を、rsCD6を用いた免疫化により研究室で生産した(I. Gimferrerら, J. Biol. Chem. 2003, vol. 278, pp. 8564-71を参照)。
次の試薬を購入した:HRP結合ストレプトアビジン(DakoCytomation, Glostrop, Denmark); FITC結合ウサギ抗マウスIg(Sigma-Aldrich, St. Louis, MO, USA); 大腸菌(O55:B5、O26:B6、O111:B4)からの精製されたLPS及び黄色ブドウ球菌からのリポタイコ酸(LTA)、並びに大腸菌0111:B4からのFITC-LPS(Sigma-Aldrich)。PBS(Roche Diagnostics, Indianapolis, USA)は、137mMのNaCl、3mMのKCl、8mMのNaHPO、1.5mMのKHPO、pH7.4であり;TBSは、140mMのNaCl、50mMのTris-HCl、pH7.4である。HSAは Grifols (Grifols, Barcelona, Spain)からのものであった。Re-LPS、Salmonella MinnesotaからのLPSのRe595変異体は、Sigmaからのものであった。フルオレセイン、及びフルオレセイン-5-イソチオシアナート(FITC、異性体I)はMolecular Probes (Eugene, OR)からのものであった。Re-LPSを溶解させるために使用されるメタノール及びクロロホルムは、HPLCグレード(Scharlau, Barcelona)であった。
可溶性組換えタンパク質の発現及びアフィニティー精製
ヒトCD6の外部ドメイン(rsCD6アミノ酸D25ないしE384、未熟タンパク質ナンバリング)を、エピソーム発現系を使用し、ヒト胎児腎臓細胞(HEK293-EBNA)において発現させた。これらの細胞は、T. Sasaki博士及び R. Timpl博士(Max Planck Institute for Biochemistry, Martinsried, Germany)からの親切な提供物であるpCEP-Puベクターのエピソーム複製を可能にする、エプスタイン・バーウイルスタンパク質EBNA-1を後続的に発現させる(E. Kohfeldtら, 「Properties of the extracellular calcium binding module of the proteoglycan testican」, 1997, FEBS Lett. Vol. 414, pp. 557-61を参照)。CD6の細胞外領域を、5'CTTCTAGATGACCAGCTCAACACCACCAGCA3'(配列番号:6)及び5'GCGGATCCCTA TTCTATAGTGACTGTCTGAACA3'(配列番号:7)、及びテンプレートとしてCD6-PB1cDNAを使用してPCR増幅させた(W.H. Robinsonら, 「Human CD6 possesses a large, alternatively spliced cytoplasmic domain」, Eur. J. Immunol. 1995, vol. 25, pp. 276を参照)。PCR生成物をpCEP-Puベクター中にクローニングした。得られたコンストラクトをHEK293-EBNA細胞に形質移入させた。簡単に述べると、10cmの培養皿中の10細胞を、20μgのプラスミドを用いたリン酸カルシウム法を使用して形質移入させた。培養培地において、1μg/mLのピューロマイシン(Sigma, St. Louis, MO)を用い、形質移入体を選択した。rsCD6を発現する細胞形質移入体を、DMEM/FCSにコンフルエンス状態になるまで増殖させ、リン酸緩衝生理食塩水(PBS, Roche Diagnostics, Indianapolis, USA)で2回洗浄し、100U/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシン、250μg/mlのG418、及び1μg/mlのピューロマイシンを含有する無血清培地(DMEM/F12)と交換した。15日以上、培地を48−72時間毎に収集した。組換えタンパク質を、mAb 168.1(抗CD6)と共有結合したCNBr活性化セファロース4Bカラム上でアフィニティー精製した。ついで、未結合のタンパク質を、0.5MのNaClと1%のNP40を含有するPBSで洗浄した。3.5MのMgClを含有するPBSでタンパク質を溶出させ、PBSで透析した。精製されたタンパク質の純度を還元条件下、SDS-PAGEにより、またクーマシーブルー染色により評価した。
タンパク質のビオチン化
タンパク質ビオチン化を、製造者の使用説明書に従い、先に記載したようにして、EZ-リンク-PEO-マレイミド活性化ビオチン(Pierce, Perbio Science, Cheshire, UK)を用いて実施した(M.R. Sarriasら, 「A role for human SP alpha as a pattern recognition receptor」, J. Biol. Chem. 2005, vol. 280, pp. 35391-8を参照)。遊離のビオチンをHiTrapTM脱塩カラム上、PBSに対してサンプルを交換することにより除去した(Amersham Pharmacia Biotech)。ビオチン化反応のモニタリングをウエスタンブロット分析により実施した。
菌種及び細菌結合研究
この研究において使用される大腸菌と黄色ブドウ球菌の菌株は、標準的な生化学手順を使用し、バルセロナ病院の微生物学部門で特徴付けられた臨床分離株である。通気しつつ、37℃でLB培地(LB)中で細菌を一晩増殖させ、ついで、10分、3500×gで遠心分離することにより収集した。細菌ペレットを、ml当たり1010菌の最終密度になるまで、TBS(140mMのNaCl、50mMのTris-HCl、pH7.4)に再懸濁させた。寒天に細菌希釈液を蒔くことにより定量を行った。細菌へのrsCD6の結合性を、以前に記載されたような方法に従い研究した(M.R. Sarriasら, J. Biol. Chem. 2005, vol. 280, pp. 35391-8を参照)。
ヒト血清からの可溶性CD6の精製
健康な献血者からプール化された1リットルのヒト血漿を、バルセロナ病院の血液銀行から得た。血漿を15分、10000gで遠心分離し、0.22μmフィルターで濾過した(Millipore, Billerica, MA, USA)。ついで、血漿を、2mg/mlのアプロチニン及びロイペプチン(leupeptin)、1mMのPMSF、0.02%のアジ化ナトリウム、及び0.5%のNP-40の存在下、4℃で30分、20%(w/v)の(NH)SOを用いて沈殿させ、ついで、4℃で30分、10000gで遠心分離した。得られた上清を、4℃で30分、70%(w/v)の(NH)SOにし、ついで4℃で30分、10000gで遠心分離した。ペレットをPBSに再懸濁させ、1mMのPMSF及び0.02%のアジ化ナトリウムが補填されたPBSに対し、4℃で透析にかけた。透析されたタンパク質を、CNBr-活性化セファロース-4Bカラム(Amersham Pharmacia Biotech)上でアフィニティー精製し、抗CD6 mAb SPV-L14.2に吸着させた。溶出したフラクションにおけるCD6の存在性を、特定のmAbsを用い、サンドイッチELISA(M. Ramos-Casalsら, 「High circulating levels of soluble scavenger receptors (sCD5 and sCD6) in patients with primary Sjogren's syndrome」 Rheumatology 2001, vol. 40, pp. 1056-9を参照)及びウエスタンブロットにより評価した。純度をSDS-PAGE及びクーマシーブルー染色により評価した。
LPS結合ELISAアッセイ
大腸菌O55:B5、O111:B4又はO26:B6(Sigma)から精製された12μgのLPSを使用し、4℃で一晩、PBSにおいて、96-ウェルマイクロタイタープレート(Nunc, Roskilde, Denmark)をコーティングした。室温で1時間、1%のBSAを含有するPBSを添加することにより、ウェルへの非特異的結合を防止した。ついで、いくつかの濃度のビオチン標識BSA、rsCD6又はnsCD6をウェルに添加し、室温で1時間インキュベートした。1:1000希釈のHRP標識ストレプトアビジン(DAKO, Glostrup, Denmark)を添加することにより結合したタンパク質を検出し、室温で30分インキュベートした。各インキュベート工程の間、未結合のタンパク質又はHRP-ストレプトアビジンを、0.01%のトゥイーン-20が添加されたPBSで3回洗浄した。3,3',5,5'-テトラメチルベンジジン液状基質(Sigma)を添加することにより発色させ、吸光度を405nmで読み取った。同様の結果のアッセイを3回繰り返した。
FITC-Re-LPSに対する可溶性タンパク質の結合アッセイ
蛍光Re-LPS誘導体(FITC-Re-LPS)を調製し、ここで、Re-LPSのホスホエタノールアミン基をFITCに結合させ、以前に記載された方法により調製した(R.R. Skellyら, 「Stimulation of T-independent antibody responses by hapten-lipopolysaccharides without repeating polymeric structure」, Infect. Immun.1979, vol. 23, pp. 287-93を参照)。5×5mm路長の石英キュベットを使用し、温度制御されたキュベットホルダー(±0.1℃)を具備するSLM-アミンコ(Aminco)AB-2蛍光光度計を用いて蛍光測定を実施した。FITC-Re-LPS(0.5μg/ml)の蛍光発光スペクトルを、100mMのNaCl、2mMのEDTA、5mMのTris-HClバッファー(pH8)において、15℃にて、rsCD6又はrsCD5のいずれかの存在下又は不在下にて測定した。ブランク(タンパク質単独)及びFITC-Re-LPSサンプル(タンパク質を有する又は有さない)を470nmで励起させ、発光スペクトルを500〜650nmで記録した。15℃で、0.5μg/mlのFITC-Re-LPSが種々の濃度のrsCD6又はrsCD5と反応した場合の、蛍光変化の時間依存性を分析することにより、FITC-Re-LPS/タンパク質複合体の見かけKdを得た。蛍光発光を520nmで30分モニターした。LBP、CD14、表面タンパク質A、及びrSpαとRe-LPSとの相互作用のKd測定にについては、以前に記載されたようにして、これらの実験を2回実施した(M.R. Sarriasら, J. Biol. Chem. 2005, vol. 280, pp. 35391-8; P.S. Tobiasら, 「Lipopolysaccharide binding protein-mediated complexation of lipopolysaccharide with soluble CD14」, J. Biol. Chem. 1995, vol. 270, pp. 10482-8; 及びI. Garcia-Verdugoら, 「Interaction of SP-A (surfactant protein A) with bacterial rough lipopolysaccharide (Re-LPS), and effects of SP-A on the binding of Re-LPS to CD14 and LPS-binding protein」, Biochemical Journal 2005, vol. 391, pp. 115-24を参照)。
以前に記載されたようにして、蛍光発光異方性測定をグラン・プリズム偏光子を用いて得た(I. Garcia-Verdugoら, Biochemical Journal 2005, vol. 391, pp. 115-24を参照)。励起及び発光波長を、それぞれ470及び520nmに設定した。
細菌及びLPS凝集アッセイ
細菌凝集アッセイを、以前に記載されたようにして実施した(M.R. Sarriasら, J. Biol. Chem. 2005, vol. 280, pp. 35391-8を参照)。rsCD6により誘発されるLPS凝集を、記載されているように、ベックマン(Beckman)DU-640分光光度計において、400nmの吸光度の変化を測定することにより15℃で調査した(I. Garcia-Verdugoら, Biochemical Journal 2005, vol. 391, pp. 115-24を参照)。簡単に述べると、まず、サンプル及び参照キュベットに、5mMのTris-HClバッファー(pH7.4)、150mMのNaCl、0.2mMのEDTAにRe-LPS(100μg/ml、最終濃度)が入ったものを充填した。15℃で10分の平衡期間後、示した濃度のrsCD6をサンプルキュベットに添加し、400nmの吸光度の変化をモニターした。次に、Ca2+(2.5mM)を、サンプル及び参照キュベットの双方に添加し、再度、吸光度の変化をモニターした。EDTA(5mM、最終濃度)を添加することにより、Ca2+依存性LPS凝集を逆行させた。
フローサイトメトリーアッセイ
可溶性タンパク質の細胞結合特性を、以前に記載されたようにして評価した(J. Calvoら, 「Identification of a natural soluble form of human CD5」 Tissue Antigens 1999, vol. 54, pp. 128-37を参照)。細胞表面CD6へのLPSの結合性を、2G5-CD6.wt細胞系を使用することにより評価した。簡単に述べると、2×10の細胞を、ブロック用バッファー(PBSと、10%のヒトAB血清、2%のFCS、及び0.02%のアジ化ナトリウム)の存在下、種々の量の、大腸菌0111:B4(Sigma)からのLPS-FITCと共にインキュベートした。4℃でインキュベートして1時間後、洗浄用バッファー(PBSと、 2%のFCS及び0.02%のアジ化ナトリウム)で、細胞を2回洗浄した。競合研究用に、15μgのFITC-LPSを、種々の量のrsCD5又はrsCD6の存在下、2×105の2G5-CD6.wt細胞と共に、氷上で30分インキュベートした。
CD6免疫沈降
細胞表面に結合したCD6(mCD6)の免疫沈降については、1×10のHUT-78T細胞を、製造者の使用説明書に従い、EZ-リンク-PEO-マレイミド活性化ビオチン(Pierce, Perbio Science, Cheshire, UK)を用いて表面標識した。ついで、膜をトリトンX-100洗浄剤で可溶化させ、1μgの抗CD6mAb(161.8)と20μlの50%プロテインAセファロースCL-4Bビーズ(Amersham Biosciences)を用い、4℃で2時間、タンパク質を免疫沈降させた。免疫複合体をウエスタンブロットにより、記載されたようにして分析した(I. Gimferrerら, J. Biol. Chem. 2003, vol. 278, pp. 8564-71を参照)。
LPSにより誘発される内毒素性ショック
C57BL/6Jマウス(8週)に、250μl容量の滅菌生理食塩水に致死量(30mg/kg)の大腸菌O111:B4からのLPS(Sigma, St. Louis, MO)が入ったものを、腹腔注射した。rsCD5(10匹のマウス)又はrsCD6(16匹のマウス)のいずれかを25μg、LPSチャレンジの1時間前に投与した。対照マウスに同容量の滅菌生理食塩水(26匹のマウス)を受容させた。生存しているマウスのパーセンテージを、グラッドパス・プリズム4.0を使用して分析し、log順位t検定P値を算出した。
実験手順はムルシアの大学の倫理委員会が承認しており、実験動物の世話と使用についての、スペイン(RD 1201/2005)、欧州(86/609)及び国立保険指針研究所(National Institutes of Health's Guide)の規定と適合する施設動物の世話のガイドラインに従い実施した。
サイトカイン血清レベルの測定
各グループの6匹のマウスからのプールした血清サンプルにおいて、TNF-α、IL-1β及びIL-6サイトカインの全身性放出性を、製造者の使用説明書(R&D Systems, Minneapolis, MN)に従い、ELISAにより測定した。データを平均±SEMとして表す。結果における統計的差異を両側スチューデントt検定により評価した。
実施例1:rsCD6はグラム陽性及びグラム陰性菌に結合する
ヒトCD6の外部ドメインが、全細菌の表面に直接結合可能であるかどうかを決定するために、D.W. Dunneら, 「The Type-I Macrophage Scavenger Receptor Binds to Gram-Positive Bacteria and Recognizes Lipoteichoic Acid」, Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 1994, vol. 91, pp. 1863-7に記載されたアプローチを使用した。よって、ヒトCD5、CD6及びSpαの外部ドメインを含むビオチン標識された可溶性組換えタンパク質(rsCD5、rsCD6、及びrSpα)を細菌懸濁液と共にインキュベートし、それらの細菌ペレットへの結合性を、SDS-PAGE及びストレプトアビジン-HRPに対するウエスタンブロットによりさらにアッセイした。結果は、rsCD6がグラム陽性及び陰性菌に結合する(図1B)ことを示し、このタンパク質が細菌結合活性を有していることが示された。これに対し、rsCD5も負のコントロールBSAのいずれも細菌懸濁液に結合しなかった。図1Cに示されているように、ビオチン標識されたrsCD6の存在は、EDTAの存在下で、大腸菌及び黄色ブドウ球菌細胞ペレットにおいて大きく低減した。これは、rsCD6が、グラム陽性及び陰性菌由来の細胞壁成分のCa2+依存性認識を媒介することを示している。
細菌へのrsCD6の観察された結合性が特異的であるかどうかを決定するため、またどの細菌細胞の表面構造が認識されているかを同定するために、競合実験を設定し、そこで、ビオチン標識rsCD6を、大腸菌又は黄色ブドウ球菌(5×10細胞)のいずれかの懸濁液の添加前に、増加する濃度の精製LPS又はLTAと共にインキュベートした。LPS及びLTAは、これらがこれらの微生物の遍在する細胞表面成分であるためにアッセイした。図1Dに示されるように、大腸菌へのビオチン標識rsCD6の結合性は、用量に依存する形で、LPS(大腸菌由来)とは競合するが、LTA(黄色ブドウ球菌由来)とは競合しなかった。これに対して、黄色ブドウ球菌へのrsCD6の結合性を研究した場合、LPSはこのような相互作用に影響を及ぼさなかった。興味深いことに、この結合は、用量に依存する形で、黄色ブドウ球菌由来のLTAと競合した。
実施例2:ヒト血清からのnsCD6の精製
天然sCD6を1lのプール化血漿からアフィニティー精製した。これにより、SDS-PAGE分析及びクーマシーブルー染色から推定されるように、80kDaの分子量(MW)の6μgの単一タンパク質が生じた(図2A)。観察されたMWは、研究室で生産された可溶性組換えCD6(rsCD6)のものに非常に類似しており、CD6の3つの細胞外SRCRドメインから専らなり、CD6の膜形態のもの(mCD6)とは対照的であり、そのリン酸化の度合いに応じて、105〜130kDaの範囲である。3つの異なるCD6形態、すなわちヒトHUT-78T細胞から免疫沈降させたrsCD6、nsCD6及びmCD6の観察されたMWを図2Bに示す。精製nsCD6タンパク質を、ヒトCD6の細胞外領域に対して産生されたポリクローナル抗血清を用い、ウエスタンブロットアッセイによりCD6として同定した(図2C)。細胞結合実験において、CD6リガンド(ALCAM/CD166)の差次的発現に従い、ビオチン標識rsCD6及びnsCD6は双方ともRajiB細胞に結合したが、K562赤白血病細胞には結合しなかった(図2D)。
実施例3:LPSへのrsCD6の結合性及びrsCD6-LPS相互作用の動態
3種の異なる大腸菌株(O55:B5、O111:B4、又はO26:B6)から精製したLPSでプレートをコーティングし、ビオチン標識されたrsCD6、nsCD6、又はBSAの結合性についてアッセイする直接結合ELISAから、rsCD6-LPS相互作用のさらなる確認を得た。図3Aに提示した結果には、図1における細菌結合実験に従い、天然及び組換えの可溶性CD6形態の双方が、用量に依存する形でLPSに結合したことが示されている。BSA-LPSの相互作用は観察できなかった。
次に、溶液中における、LPS(Re-LPS)のrough型変異体(Re595)へのrsCD6及びrsCD5の結合性を、異方性及び強度のようなFITC-Re-LPSの蛍光特性における変化を分析することにより研究した。図3Bには、標識されたLPS分子の蛍光異方性を測定することによる、FITC-Re-LPSへのrsCD6及びrsCD5の結合性が示されている。蛍光異方性測定は、励起状態の存続期間中、フルオロフォアの回転運動の速度及び程度に依存する。種々の量のrsCD6をFITC-Re-LPSに添加することで、FITC-Re-LPSの異方性値のタンパク質濃度依存性増加が引き起こされ、Re-LPSへのrsCD6への結合により、染料の回転運動性の機械的制限が引き起こされることが示された。コントロール実験を遊離のフルオレセインを用いて実施し、これら全ての変化が染料(フルオレセイン)とrsCD6との相互作用の結果によるのではなく、LPS分子(データを図示せず)との相互作用によるものであることが示された。遊離のフルオレセインの蛍光発光異方性は非常に低く、3倍過剰のrsCD6を添加することにより、影響を受けなかった(データは示さず)。他方、rsCD5はFITC-Re-LPSの蛍光異方性に何の変化も引き起こさず、このタンパク質がRe-LPSに結合しないことが示された。
また溶液中のFITC-Re-LPSに、rsCD5ではなくrsCD6を添加することにより、蛍光LPSの全蛍光発光強度の増加が生じた。FITC-Re-LPSが、増加した量のrsCD6又はrsCD5のいずれかと反応した場合の520nmでの蛍光発光強度における変化の時間依存性を測定した。図3Cには、rsCD5の濃度ではなく、rsCD6の濃度の関数として、蛍光強度変化の大きさが増加しており、また飽和性であったことが示されている。これらの結果から、LPSへのrsCD6の結合親和性を測定することができた。直角双曲線に対して適合させた飽和曲線から算出したFITC-Re-LPS/sCD6複合体に対する見かけKdは、2.69(±0.32)10−8Mであった。
実施例4:細胞表面CD6へのLPSの結合性
LPS-CD6相互作用が、細胞表面に発現するレセプターと同様に生じるかどうかを測定するために、欠損したCD5及びCD6発現で選択されたJurkat細胞誘導体の2G5細胞のFITC標識LPSを用いた染色により、研究を実施した。図4A及び4Bに示したフローサイトメトリー研究により示されるように、形質移入されていない親2G5細胞と比較して、野生型CD6を安定して発現する2G5細胞(2G5-CD6.wt)では、蛍光強度がより高かった。競合結合実験から、これらの結果をさらに確認した。増加した量のrsCD6の存在下、単一量のFITC-LPSで2G5-CD6.wt細胞を染色した。これらの実験において、2G5-CD6.wt細胞へのFITC-LPSの結合は、負のコントロールとして使用されたrsCD5ではなく、rsCD6により、用量に依存する形で阻害され(図4C)、阻害が特異的であることが示された。これらのデータから、LPSは、細胞表面のCD6と相互作用が可能であることが結論付けられた。
実施例5:rsCD6の結合が細菌及びLPS双方の凝集に至る
図5Aは、rsCD6の存在が、グラム陰性(大腸菌)並びにグラム陽性(黄色ブドウ球菌)細菌の凝集を誘発したことを示している。細菌への結合能力がないことに一致して、それが負のコントロールHSAがなさないように、rsCD5はそれらの凝集を誘発させることができなかった。
グラム陰性菌全体へのrsCD6の結合性は、結合バッファーにCa2+が存在することで高められるため(図1を参照)、Ca2+の存在下でrsCD6により誘発されるRe-LPS凝集のプロセスをさらに探求した。これは、400nmでの光吸光度の変化を測定することにより分析した(図5B)。これらの実験は、400nmで検出可能な吸光度を生じさせるためには、200倍高いCa2+並びにRe-LPS濃度が必要であったことを除き、蛍光LPSを用いた結合研究と同じイオン条件下で実施された。図5Bには、LPS分子がCa2+を含むバッファーにおいて凝集可能であり、低濃度のrsCD6により、LPSのさらなる凝集が誘発されることが示されている。併せて、これらのデータには、Ca2+の存在下で、rsCD6が細菌凝集体並びにLPSの凝集体のサイズの増加に寄与していることが示唆されている。
実施例6:rsCD6はマウスにおいてLPS誘発性敗血症性ショックを予防する
図5のデータから、循環CD6(nsCD6)がLPS分子のクリアランスに寄与し得、それらの炎症効果を低下させうるという考えに至る。よって、循環rsCD6の量が増加すると、過剰のLPSが致死に至らしめるおそれのある状況で保護効果を有するかもしれない。これを試験するために、マウスにrsCD6を投与すると、LPS誘発性敗血症性ショックの前で生存性が改善されるかどうかを評価した。図6Aで観察されるように、腹腔へのLPS投与の1時間前に、マウスに、rsCD5ではなくrsCD6を単独用量で25μg腹腔に投与すると、生理食塩水のコントロールと比較して、生存率が有意に上昇した(70%まで)。このデータによれば、rsCD6の投与は、これらマウスにおける炎症誘発性のサイトカイン類のTNF-α、IL-1β及びIL-6の血漿レベルの有意な低下を誘導した(図6B)。
実施例7:酵母(Saccharomices cerevisae:出芽酵母)から抽出されたザイモサンに結合するrsCD6
12μgの大腸菌O111:B4(Sigma)から精製されたLPS、出芽酵母(Sigma)からのザイモサン、黄色ブドウ球菌(Fluka)から精製されたペプチドグリカン、又はウシ血清アルブミン(BSA)を使用し、4℃で一晩、PBS中で96ウェルマイクロタイタープレート(Nunc, Roskilde, Denmark)をコーティングした。室温で1時間、1%のBSAを含むPBSを添加することにより、ウェルへの非特異的結合を防止した。ついで、いくつかの濃度のrsCD6をウェルに添加し、室温で3時間インキュベートした。室温で1時間、1:200希釈のビオチン標識mAb抗CD6(MAE)、続いて1:1000希釈のHRP標識されたストレプトアビジン(DAKO, Glostrup, Denmark)を添加することにより、結合したタンパク質を検出し、室温で30分インキュベートした。各インキュベート工程の間、未結合タンパク質又はHRP-ストレプトアビジンを、0.01%のトゥイーン-20が添加されたPBSで3回洗浄した。3,3',5,5'-テトラメチルベンジジン液状基質(Sigma)を添加することにより発色させ、吸光度を405nmで読み取った。同様の結果のアッセイを3回繰り返した。
図7に表された結果には、rsCD6が、用量に依存する形で、ザイモサン、ペプチドグリカン及びLPSに結合したことが示されている。BSA-rsCD6相互作用は観察することができなかった。このELISA実験には、グラム陽性菌の表面からの十分豊富な構造体のペプチドグリカンがrsCD6によりまた認識されることが示されている。興味あることに、rsCD6はまた酵母ザイモサンに結合可能である。
実施例8:rsCD6はヒトサイトメガロウイルス粒子に結合する
1マイクログラムのポリクローナル抗CMV抗体(BiosPacific, Emeryville, CA, USA)を使用し、4℃で一晩、PBS中で、96ウェルマイクロタイタープレート(Nunc, Roskilde, Denmark)をコーティングした。室温で1時間、3%のBSAを含むPBSを添加することにより、ウェルへの非特異的結合を防止した。ついで、1マイクログラムのCMV粒子の懸濁液(ABI Advanced Biotechnologies, Maryland, USA)をウェルに添加し、室温で1時間インキュベートした。ついで、種々の濃度のrsCD6タンパク質をウェルに添加し、室温で3時間インキュベートした。室温で1時間、1:200希釈のビオチン標識mAb抗CD6(MAE)、続いて1:1000希釈のHRP標識ストレプトアビジン(DAKO, Glostrup, Denmark)を添加することにより、結合したタンパク質を検出し、これを室温で30分インキュベートした。各インキュベート工程の間、未結合のタンパク質又はHRP-ストレプトアビジンを、0.01%のトゥイーン-20が添加されたPBSで3回洗浄した。3,3',5,5'-テトラメチルベンジジン液状基質(Sigma)を添加することにより発色させ、吸光度を450nmで読み取った。同様の結果のアッセイを3回繰り返した。
に表された結果には、rsCD6が、用量に依存する形で、CMV粒子に結合したことが示されている。抗体でコーティングされたウェルに対するCD6の非特異的結合のバックグラウンドは差し引いた。これらの結果には、rsCDがヒトサイトメガロウイルスの表面に結合可能であることが示唆されている。
実施例9:rsCD6はHIV表面タンパク質gp120に結合する
rsCD6を発現する細胞形質移入体からの100μlの血清フリー培養上清を使用し、4℃で一晩(o/n)、96-ウェルマイクロタイタープレート(Nunc, Denmark)をコーティングした。室温で1時間、3%のBSAを含むPBSを添加することにより、ウェルへの非特異的結合を防止した。ついで、種々の濃度の、HIV由来の組換えgp120タンパク質(Immunodiagnostics, through the NIH AIDS Research and Reference Reagent Program, Germantown, Maryland, USA)をウェルに添加し、室温で1時間インキュベートした。室温で1時間、2%の熱不活化ヒト血清に500ngの抗gp120mAb(hm Ab 2G12、免疫診断)、ついで1:200希釈のHRP標識抗ヒトIgG抗体(DAKO, Glostrup, Denmark)を添加することにより、結合したタンパク質を検出し、これを室温で30分インキュベートした。各インキュベート工程の間、未結合のタンパク質又はHRP-ストレプトアビジンを、0.01%のトゥイーン-20が添加されたPBSで3回洗浄した。3,3',5,5'-テトラメチルベンジジン液状基質(Sigma)を添加することにより発色させ、吸光度を450nmで読み取った。同様の結果のアッセイを3回繰り返した。
に表された結果には、rgp120が、用量に依存する形で、rsCD6に結合したことが示されている。ウェルにおけるブロック用バッファーへのrsgpの非特異的結合バックグラウンドは差し引いた。これらの結果には、rsCD6が、ヒト免疫不全ウイルスの主要な外部タンパク質のrgp120に結合可能であることが示唆されている。

Claims (9)

  1. ヒトを含む哺乳動物における、グラム陽性菌及び/又はグラム陰性菌及び/又は内毒素によって誘発される敗血症を治療的及び/又は予防的に処置するための医薬であって、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む可溶性CD6(sCD6)タンパク質を含有してなる医薬。
  2. 敗血症が重症敗血症である請求項1に記載の医薬。
  3. 重症敗血症が敗血症性ショックである請求項2に記載の医薬。
  4. 可溶性CD6タンパク質が組換え可溶性CD6タンパク質である請求項1から3のいずれか一項に記載の医薬。
  5. 可溶性CD6タンパク質が合成可溶性CD6タンパク質である請求項1から3のいずれか一項に記載の医薬。
  6. 可溶性CD6タンパク質が天然可溶性CD6タンパク質である請求項1から3のいずれか一項に記載の医薬。
  7. 可溶性CD6タンパク質がヒト可溶性CD6タンパク質である請求項1から5のいずれか一項に記載の医薬。
  8. 前記哺乳動物がヒトである請求項1からのいずれか一項に記載の医薬。
  9. 敗血症性ショックが内毒素誘導性敗血症性ショックである請求項3からのいずれか一項に記載の医薬。
JP2010500302A 2007-03-28 2008-03-27 感染症と関連炎症過程の治療のためのタンパク質生成物 Expired - Fee Related JP5583575B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
ES200700893 2007-03-28
ESP200700893 2007-03-28
PCT/ES2008/000177 WO2008119851A1 (es) 2007-03-28 2008-03-27 Producto proteico para el tratamiento de enfermedades infecciosas y procesos inflamatorios relacionados

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2010522728A JP2010522728A (ja) 2010-07-08
JP2010522728A5 JP2010522728A5 (ja) 2011-05-06
JP5583575B2 true JP5583575B2 (ja) 2014-09-03

Family

ID=39807834

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010500302A Expired - Fee Related JP5583575B2 (ja) 2007-03-28 2008-03-27 感染症と関連炎症過程の治療のためのタンパク質生成物

Country Status (6)

Country Link
US (1) US8691752B2 (ja)
EP (1) EP2143436B1 (ja)
JP (1) JP5583575B2 (ja)
CA (1) CA2681828A1 (ja)
ES (1) ES2550389T3 (ja)
WO (1) WO2008119851A1 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008119851A1 (es) * 2007-03-28 2008-10-09 Universidad De Barcelona Producto proteico para el tratamiento de enfermedades infecciosas y procesos inflamatorios relacionados
CA2837346A1 (en) 2011-05-26 2012-11-29 Universitat De Barcelona Soluble protein cd5 or cd6 for the treatment of cancer or tumor or for use as an adjuvant
EP3541407A1 (en) 2016-11-18 2019-09-25 Universitat de Barcelona Combined cd6 and imipenem therapy for treatment of infectious diseases and related inflammatory processes
HRP20230984T1 (hr) * 2018-03-13 2023-12-08 Sepsia Therapeutics, S.L. Peptidi koji vežu bakterije, za liječenje zaraznih bolesti i povezanih upalnih procesa

Family Cites Families (17)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6315999B1 (en) 1989-08-10 2001-11-13 Solvay, S.A. Pharmaceutical product for the treatment of sepsis
EP0634935A4 (en) 1992-04-06 1996-01-31 North Shore Univ Hospital A NEW THERAPY OF SEPSIS BY MEANS OF A SOLUBLE FORM OF RECOMBINANT CD14 MYELOMONOCYTIC ANTIGEN.
WO1995012614A1 (en) 1993-11-02 1995-05-11 Duke University Cd6 ligand
US6290948B1 (en) 1996-05-14 2001-09-18 Smithkline Beecham Corporation Method of treating sepsis and ARDS using chamohine beta-10
AU3048797A (en) * 1996-10-22 1998-05-15 Chugai Seiyaku Kabushiki Kaisha Sepsis remedy comprising anti-il-8 antibody as active ingredient
US6172220B1 (en) * 1997-01-21 2001-01-09 Board Of Regents Of University Of Nebraska Isolated algal lipopolysaccharides and use of same to inhibit endotoxin-initiated sepsis
IL142248A0 (en) 1998-10-22 2002-03-10 Lilly Co Eli Methods for treating sepsis
US20030114377A1 (en) * 1998-11-18 2003-06-19 Kirkland Theo N. Inhibition therapy for septic shock with mutant CD14
US6673346B1 (en) 1999-08-31 2004-01-06 The Regents Of The University Of Michigan Compositions and methods for the treatment of sepsis
US20020006915A1 (en) 2000-02-15 2002-01-17 Mack Strong Vivian E. Use of COX-2 inhibitors to treat sepsis, complications thereof, and EP receptor modulation
DE60108626T2 (de) * 2000-04-25 2005-12-22 Bristol-Myers Squibb Co. Verwendung von 5-thio, sulfinyl- und sulfonylpyrazolo 3,4-b] pyridinen als cyclin-abhängige kinase-hemmer
US20030008822A1 (en) 2001-05-16 2003-01-09 Charles Dinarello Use of IL-18 inhibitors for the treatment or prevention of sepsis
US6729735B2 (en) 2001-06-28 2004-05-04 Plx, Inc. Lateral transfer retroreflector assembly and method of assembling the same
WO2005019258A2 (en) * 2003-08-11 2005-03-03 Genentech, Inc. Compositions and methods for the treatment of immune related diseases
GB0426146D0 (en) 2004-11-29 2004-12-29 Bioxell Spa Therapeutic peptides and method
WO2008119851A1 (es) * 2007-03-28 2008-10-09 Universidad De Barcelona Producto proteico para el tratamiento de enfermedades infecciosas y procesos inflamatorios relacionados
ES2336752B1 (es) * 2008-06-20 2011-05-11 Hospital Clinic I Provincial De Barcelona Composiciones farmaceuticas de cd5.

Also Published As

Publication number Publication date
ES2550389T3 (es) 2015-11-06
US20100105622A1 (en) 2010-04-29
EP2143436A4 (en) 2013-11-20
EP2143436B1 (en) 2015-07-29
JP2010522728A (ja) 2010-07-08
US8691752B2 (en) 2014-04-08
CA2681828A1 (en) 2008-10-09
EP2143436A1 (en) 2010-01-13
WO2008119851A1 (es) 2008-10-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Schleicher et al. Platelets induce apoptosis via membrane-bound FasL
US6562784B1 (en) Indications of mannan-binding lectin (MBL) in the treatment of immunocompromised individuals
Heideman et al. Terminal complement complexes and anaphylatoxins in septic and ischemic patients
US9649357B2 (en) Treatment of chronic nephropathies using soluble complement receptor type I (sCR1)
KR20180094913A (ko) 보체 활성의 조절인자
King et al. Truncated and full-length thioredoxin-1 have opposing activating and inhibitory properties for human complement with relevance to endothelial surfaces
JP2018524402A (ja) 合成ペプチド化合物及び使用方法
JP5583575B2 (ja) 感染症と関連炎症過程の治療のためのタンパク質生成物
JP2022547050A (ja) 治療用融合タンパク質
US20140249087A1 (en) Use of hemopexin to sequester hemoglobin
US10975131B2 (en) Factor H-Fc immunotheraphy
Bierschenk et al. C4b-binding protein inhibits particulate-and crystalline-induced NLRP3 inflammasome activation
US11324804B2 (en) Combined CD6 and imipenem therapy for treatment of infectious diseases and related inflammatory processes
JP6288815B2 (ja) 肺炎等を治療するための医薬組成物
KR20110124060A (ko) Wta를 유효성분으로 함유하는 백신 조성물
JP2020524144A (ja) 微生物性炎症を処置するための方法および組成物
JP7358695B2 (ja) 血栓性微小血管症治療における使用のためのクラスタリン
US11814414B2 (en) Synthetic peptide compounds and methods of use
JP2005523879A (ja) Sirs/sepsisを治療及び予防するための組成物及び方法
Nusbaum et al. Workshop 1: Phagocyte biology: from gene to function
De Novo Acute Kidney Injury et al. TH-FC001
WO2011038537A1 (zh) 败血症以及败血症休克的预测、预防和治疗方法及试剂盒

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110318

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110318

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20130415

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20130423

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130508

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130524

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130820

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20131119

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20131128

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20131219

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140325

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140428

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140624

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140716

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5583575

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees