以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図3を参照して、本発明の一実施形態による携帯電話機100の構成を説明する。
本発明の一実施形態による携帯電話機100では、装置本体内部にレーザ光源60(図2参照)が実装されている。これにより、図1に示すように、携帯電話機100をテーブル10上に載置して使用することにより、プレゼンテーション用の画像12をスクリーン1などの投影領域に向けて投影するように構成されている。なお、レーザ光源60は、本発明の「プロジェクタ用光学装置」の一例である。
携帯電話機100には、装置本体の各種操作を行うための複数の操作ボタン20と、静止画像または動画を表示するための表示画面部21と、音声を出力するスピーカ22と、音声を拾うマイク23とが設けられている。
また、図2に示すように、装置本体(携帯電話機100)内部には、制御処理ブロック30と、データ処理ブロック40と、デジタル信号プロセッサ(DSP)50と、上述のレーザ光源60と、Video RAM(SD RAM)70と、ビームスプリッタ80と、拡大レンズ90とが内蔵されている。
制御処理ブロック30は、装置本体(携帯電話機100)の制御を司る制御部31と、外部ビデオ信号を受信するためのインターフェース(I/F)としてのVideo I/F32と、SD−RAM33と、外部I/F34とを含んでいる。
制御部31は、使用者の操作ボタン20の操作内容に応じた信号を受信するように構成されている。また、Video I/F32には、携帯電話機100の外部から与えられた外部ビデオ信号が入力されるように構成されている。また、外部I/F34は、たとえば、SDカード91などのメモリを装着することが可能に構成されている。そして、制御部31は、SDカード91からデータを読み出して、Video RAM70に格納する制御を行うように構成されている。
データ処理ブロック40は、データ/階調変換器41と、ビットデータ変換器42と、タイミングコントローラ43と、データコントローラ44とを含んでいる。デジタル信号プロセッサ50は、ミラーサーボブロック51と、変換器52とを含んでいる。
データ処理ブロック40では、タイミングコントローラ43は、制御部31と相互に通信することにより、制御部31から出力される信号に基づいて、データコントローラ44を介してVideo RAM70に保持されているデータを読み出すように構成されている。データコントローラ44は、読み出したデータをビットデータ変換器42に送信するように構成されている。ビットデータ変換器42は、タイミングコントローラ43からの信号に基づいて、データをデータ/階調変換器41に送信するように構成されている。
データ/階調変換器41は、ビットデータ変換器42から出力されたデータを赤色(R:Red)、緑色(G:Green)および青色(B:Blue)の3色の階調データに変換し、変換後の各データをレーザ光源60(図3参照)の赤色レーザ制御回路61と、緑色レーザ制御回路62と、青色レーザ制御回路63とにそれぞれ送信するように構成されている。
また、図3に示すように、赤色レーザ制御回路61と、緑色レーザ制御回路62と、青色レーザ制御回路63とには、それぞれ、赤色レーザ光を照射する赤色LD(レーザダイオード)61aと、緑色レーザ光を照射する緑色LD62aと、青色レーザ光を照射する青色LD63aとが接続されている。また、レーザ光源60において、赤色LD61aは、青色LD63aよりも装置の高さ方向(Z方向)の上方(矢印Z1方向)に配置されており、青色LD63aは、緑色LD62aの上方(矢印Z1方向)に配置されている。つまり、高さ方向に沿って(下方から上方に向かって)、緑色LD62a、青色LD63aおよび赤色LD61aの順序で配置されている。なお、赤色LD61a、緑色LD62aおよび青色LD63aは、それぞれ、本発明の「第2レーザ光発生部」、「第1レーザ光発生部」および「第3レーザ光発生部」の一例である。また、赤色レーザ光、緑色レーザ光および青色レーザ光は、本発明の「第2のレーザ光」、「第1のレーザ光」および「第3のレーザ光」の一例である。
また、赤色レーザ制御回路61は、データ/階調変換器41から入力された赤色の階調データを赤色LD61aに送信するように構成されている。同様にして、青色レーザ制御回路63は、データ/階調変換器41から入力された青色の階調データを青色LD63aに送信するように構成されている。また、緑色レーザ制御回路62は、データ/階調変換器41から入力された緑色の階調データを緑色LD62aに送信するように構成されている。
また、レーザ光源60は、ミラー64と、4つのコリメートレンズ65a、65b、65cおよび65dと、2つのビームスプリッタ66aおよび66bと、レンズ67と、レーザ光を水平方向および垂直方向に走査するためのMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラー68と、ミラー69と、MEMSミラー68を水平方向および垂直方向に駆動させるためのアクチュエータ71とを含んでいる。なお、ミラー64は、本発明の「第1光学部材」の一例であり、ビームスプリッタ66aは、本発明の「第2光学部材」の一例である。また、MEMSミラー68は、本発明の「投影部」の一例であり、ミラー69は、本発明の「第3光学部材」の一例である。また、ミラー69は、MEMSミラー68の上方に配置されるとともに、MEMSミラー68により反射されたレーザ光をスクリーン11(図2参照)などの投影領域に照射するように構成されている。
赤色LD61aは、MEMSミラー68側(矢印Y1方向)に向けて赤色レーザ光を照射するように構成されている。ここで、本実施形態では、赤色LD61aの上端部611aの高さ位置は、ミラー69の上端部691の高さ位置と略同じになるように、赤色LD61aから照射された赤色レーザ光の光軸が、水平方向(Y方向)に対して時計回り方向(下方)に傾斜するように配置されている。
また、赤色レーザ光は、コリメートレンズ65aを透過して、ビームスプリッタ66aの赤色LD61a側(矢印Y2方向側)の入射面661aに入射されるように構成されている。なお、本実施形態では、ビームスプリッタ66aの分解能を示す指数である開口数(NA)を0.022としている。また、赤色レーザ光がビームスプリッタ66aの入射面661aに入射される際には、赤色レーザ光は、ビームスプリッタ66aの入射面661aと垂直な方向(Y方向)に対して時計回り方向に約11°以下の傾斜角度αで入射されるように構成されている。
また、赤色レーザ光は、ビームスプリッタ66aのMEMSミラー68側(矢印Y1方向側)の出射面661bと垂直な方向(Y方向)に対して時計回り方向に約11°以下の傾斜角度αで出射されるように構成されている。なお、ビームスプリッタ66aから出射されるレーザ光(赤色レーザ光、緑色レーザ光および青色レーザ光)のビームスポットの直径は、ビームスプリッタ66aの入射面661aに対して垂直に入射されるレーザ光のビームスポットの直径と比較して、ビームスポットの直径の変化量が約8.2%(1割(10%)以下)に抑制された状態で出射されるように構成されている。なお、ビームスポットの直径とは、レーザ光のMEMSミラー68の照射面(反射面)に照射されるビームスポットの直径である。
また、ビームスプリッタ66aを透過した赤色レーザ光は、コリメートレンズ65bおよびレンズ67のそれぞれの入射面に対して垂直に入射されるとともに、透過されるように構成されている。そして、レンズ67を透過したレーザ光は、MEMSミラー68およびミラー69により反射された後、スクリーン11(図2参照)に投影されるように構成されている。
また、緑色LD62aは、水平方向(矢印Y2方向)に緑色レーザ光を照射するように構成されている。この緑色レーザ光は、ミラー64により矢印Z1方向に反射されるとともに、コリメートレンズ65dおよびビームスプリッタ66bのそれぞれの入射面に対して垂直に入射されるとともに透過された後、ビームスプリッタ66aのビームスプリッタ66b側(矢印Z2方向側)の入射面661cに入射されるように構成されている。また、本実施形態では、緑色LD62aから照射され、ミラー64により反射された緑色レーザ光の光軸は、鉛直方向(Z方向)に対して反時計回り方向に傾斜するように配置されている。
また、緑色レーザ光がビームスプリッタ66aの入射面661cに入射される際には、緑色レーザ光は、ビームスプリッタ66aの入射面661cと垂直な方向(Z方向)に対して反時計回り方向に約11°以下の傾斜角度αで入射されるように構成されている。つまり、本実施形態では、緑色レーザ光の光軸のビームスプリッタ66aの入射面661cと垂直な方向に対する傾斜角度αと、赤色レーザ光の光軸のビームスプリッタ66aの入射面661aと垂直な方向に対する傾斜角度αとが互いに一致するように、ビームスプリッタ66aの傾斜角度が調整されている。
また、ビームスプリッタ66aに入射された緑色レーザ光は、ビームスプリッタ66a内において赤色レーザ光と合成されるとともに矢印Y1方向に反射されるように構成されている。その後、緑色レーザ光は、ビームスプリッタ66aのMEMSミラー68側(矢印Y1方向側)の出射面661bと垂直な方向(矢印Y1方向)に対して約11°以下の傾斜角度αでビームスプリッタ66aから出射されるように構成されている。その後、緑色レーザ光は、コリメートレンズ65bおよびレンズ67を透過して、MEMSミラー68に入射されるように構成されている。
また、青色LD63aは、矢印Y1方向に青色レーザ光を照射するように構成されている。また、本実施形態では、青色LD63aから照射された青色レーザ光の光軸は、水平方向(Y方向)に対して反時計回り方向に傾斜するように配置されている。つまり、青色レーザ光の光軸と、赤色LD61aから照射された赤色レーザ光の光軸とは、水平方向(Y方向)に対して互いに反対方向に略同じ角度αで傾斜するように構成されている。具体的には、青色レーザ光の光軸は、水平方向(Y方向)に対して反時計回り方向に傾斜するように配置されており、赤色レーザ光の光軸は、水平方向(Y方向)に対して時計回り方向に傾斜するように配置されている。
また、青色レーザ光は、コリメートレンズ65cを透過して、ビームスプリッタ66bの入射面に対して垂直に入射されるように構成されている。このとき、青色レーザ光の光軸は、緑色レーザ光の光軸に対して垂直に入射されるように構成されている。そして、青色レーザ光は、ビームスプリッタ66b内において緑色レーザ光と合成されるとともに矢印Z1方向に反射および透過された後に、ビームスプリッタ66aの入射面661cに入射されるように構成されている。
また、青色レーザ光がビームスプリッタ66aの入射面661cに入射される際には、青色レーザ光は、緑色レーザ光がビームスプリッタ66aに入射する際と同様に、ビームスプリッタ66aの入射面661cと垂直な方向に対して反時計回り方向に約11°の傾斜角度αで入射されるように構成されている。つまり、青色レーザ光がビームスプリッタ66aに入射する際においても、青色レーザ光の光軸のビームスプリッタ66aの入射面661cと垂直な方向に対する傾斜角度αと、赤色レーザ光の光軸のビームスプリッタ66aの入射面661aと垂直な方向に対する傾斜角度αとが互いに一致するように、ビームスプリッタ66aの傾斜角度が調整されている。
そして、青色レーザ光は、ビームスプリッタ66a内において赤色レーザ光と合成されるとともに矢印Y1方向に反射および透過された後に、ビームスプリッタ66aの矢印Y1方向側の出射面661bと垂直な方向に対して約11°以下の傾斜角度αでビームスプリッタ66aから出射されるように構成されている。その後、青色レーザ光は、コリメートレンズ65bおよびレンズ67を透過して、MEMSミラー68に入射されるように構成されている。
次に、図4および図5を参照して、本実施形態によるミラー69の上端部691の高さ位置と赤色LD61aの上端部611aの高さ位置とが略同じになるように、赤色LD61aから照射された赤色レーザ光の光軸が水平方向に対して下方に傾斜するように配置されている場合と、比較例によるミラー69の上端部691の高さ位置が赤色LD61aの上端部611aの高さ位置よりも高く、かつ、赤色LD61aから照射された赤色レーザ光の光軸が水平方向に対して傾斜しないように(水平方向に)配置されている場合とについて説明する。
図4に示すように、比較例によるレーザ光源160では、赤色LD61aから照射された赤色レーザ光の光軸は、水平方向(Y方向)に対して傾斜しないように配置されている。また、ミラー69の上端部691は、赤色LD61aの上端部611aの高さ位置(Z方向)よりも高い位置に配置されており、ミラー69の上端部691の高さと、赤色LD61aの上端部611aの高さとの差は、h1である。ここで、レーザ光源160の高さ(緑色LD62aの下端部からミラー69の上端部691までの最大高さ)は、h2である。
また、緑色LD62aから矢印Y2方向(水平方向)に照射された緑色レーザ光は、ミラー64により矢印Z1方向(鉛直方向)に反射され、コリメートレンズ65dおよびビームスプリッタ66bを透過して、ビームスプリッタ66aの入射面661cに対してそれぞれ垂直に入射するように構成されている。また、ビームスプリッタ66aに入射された緑色レーザ光は、ビームスプリッタ66a内において矢印Y1方向に反射および透過され、ビームスプリッタ66aの出射面661bに対して垂直にビームスプリッタ66aから出射されように構成されている。
また、青色LD63aから照射された青色レーザ光の光軸は、矢印Y1方向(水平方向)に対して傾斜しないように配置されている。そして、青色レーザ光は、コリメートレンズ65cを透過して、ビームスプリッタ66bに対して垂直に入射されるように構成されている。また、ビームスプリッタ66bに入射された青色レーザ光は、緑色レーザ光と合成されるとともに、矢印Z1方向(鉛直方向)に反射および透過され、ビームスプリッタ66aの入射面661cに対して垂直に入射するように構成されている。また、ビームスプリッタ66aに入射された青色レーザ光は、ビームスプリッタ66a内において矢印Y1方向に反射および透過され、ビームスプリッタ66aの出射面661bに対して垂直にビームスプリッタ66aから出射されように構成されている。
一方、上記比較例によるレーザ光源160の構成に対して、本実施形態によるレーザ光源60では、図5に示すように、ミラー69の上端部691の高さ位置と、赤色LD61aの上端部611aの高さ位置とを水平方向に一致させて(揃えて)いる。このため、赤色LD61aから照射された赤色レーザ光の光軸が、水平方向に対して傾斜するように配置されている。これにより、本実施形態によるレーザ光源60の最大高さは、緑色LD62aの下端部から赤色LD61aの上端部611a(ミラー69の上端部691)までの高さh4となり、比較例によるレーザ光源160の高さh2から高さh3だけ小さくすることが可能である。
次に、図6〜図10を参照して、本実施形態によるレーザ光の光軸のビームスプリッタ66aの入射面と垂直な方向に対する傾斜角度α[°]と、レーザ光のビームスプリッタ66aの透過反射後のビームスポットの直径の変化量[%]との関係について、開口数(NA)を0.012、0.022、0.033および0.042の各値に変化させた場合のシミュレーション結果について説明する。なお、レーザ光のビームスプリッタ66aの透過反射後のビームスポットの直径の変化量[%]は、各開口数(NA)における傾斜角度を0°とした場合のビームスポットの直径の大きさを基準として算出している。
図6において、横軸は、ビームスプリッタ66aに入射する赤色(緑色、青色)レーザ光の光軸のビームスプリッタ66aの入射面と垂直な方向に対する傾斜角度を示している。また、縦軸は、赤色(緑色、青色)レーザ光のビームスプリッタ66aの透過反射後のビームスポットの直径の変化量[%]を示している。
まず、図6および図7に示すように、NA=0.012の場合について説明する。傾斜角度が0°の場合には、ビームスポットの直径が507[μm]であり、変化量が0.0[%]である。傾斜角度が4°の場合には、ビームスポットの直径が516[μm]であり、変化量が1.8[%]であった。傾斜角度が8°の場合には、ビームスポットの直径が516[μm]であり、変化量が1.8[%]であった。傾斜角度が12°の場合には、ビームスポットの直径が515[μm]であり、変化量が1.6[%]であった。傾斜角度が16°の場合には、ビームスポットの直径が516[μm]であり、変化量が1.8[%]であった。傾斜角度が20°の場合には、ビームスポットの直径が516[μm]であり、変化量が1.8[%]であった。なお、本実施形態では、ビームスポットの直径の変化量が10[%]以下である場合を実用上問題がない許容範囲内と判断した。これにより、NA=0.012の場合では、傾斜角度が20°以下の範囲において、傾斜角度に関係なくビームスポットの直径の変化量が10[%]以下であるので、実用上問題がない許容範囲内であることが判明した。
次に、図6および図8に示すように、NA=0.022の場合について説明する。傾斜角度が0°の場合には、ビームスポットの直径が427[μm]であり、変化量が0.0[%]である。傾斜角度が4°の場合には、ビームスポットの直径が461[μm]であり、変化量が8.0[%]であった。傾斜角度が8°の場合には、ビームスポットの直径が461[μm]であり、変化量が8.0[%]であった。傾斜角度が11°の場合には、ビームスポットの直径が462[μm]であり、変化量が8.2[%]であった。傾斜角度が12°の場合には、ビームスポットの直径が463[μm]であり、変化量が8.4[%]であった。傾斜角度が16°の場合には、ビームスポットの直径が465[μm]であり、変化量が8.9[%]であった。傾斜角度が17°の場合には、ビームスポットの直径が466[μm]であり、変化量が9.1[%]であった。傾斜角度が18°の場合には、ビームスポットの直径が468[μm]であり、変化量が9.6[%]であった。傾斜角度が19°の場合には、ビームスポットの直径が472[μm]であり、変化量が10.5[%]であった。傾斜角度が20°の場合には、ビームスポットの直径が475[μm]であり、変化量が11.2[%]であった。これにより、NA=0.022の場合では、傾斜角度が18°以下の範囲において、傾斜角度に関係なくビームスポットの直径の変化量が10[%]以下であるので、実用上問題がない許容範囲内であることが判明した。また、傾斜角度が19°以上の範囲において、ビームスポットの直径の変化量が10[%]よりも大きいため、実用上問題が発生すると考えられる許容範囲外であることが判明した。
次に、図6および図9に示すように、NA=0.033の場合について説明する。傾斜角度が0°の場合には、ビームスポットの直径が436[μm]であり、変化量が0.0[%]である。傾斜角度が4°の場合には、ビームスポットの直径が464[μm]であり、変化量が6.4[%]であった。傾斜角度が8°の場合には、ビームスポットの直径が458[μm]であり、変化量が5.0[%]であった。傾斜角度が12°の場合には、ビームスポットの直径が468[μm]であり、変化量が7.3[%]であった。傾斜角度が15°の場合には、ビームスポットの直径が477[μm]であり、変化量が9.4[%]であった。傾斜角度が16°の場合には、ビームスポットの直径が480[μm]であり、変化量が10.1[%]であった。傾斜角度が17°の場合には、ビームスポットの直径が484[μm]であり、変化量が11.0[%]であった。傾斜角度が18°の場合には、ビームスポットの直径が492[μm]であり、変化量が12.8[%]であった。傾斜角度が20°の場合には、ビームスポットの直径が507[μm]であり、変化量が16.3[%]であった。これにより、NA=0.033の場合では、傾斜角度が15°以下の範囲において、傾斜角度に関係なくビームスポットの直径の変化量が10[%]以下であるので、実用上問題がない許容範囲内であることが判明した。また、傾斜角度が16°以上の範囲において、ビームスポットの直径の変化量が10[%]よりも大きいため、実用上問題が発生すると考えられる許容範囲外であることが判明した。
次に、図6および図10に示すように、NA=0.042の場合について説明する。傾斜角度が0°の場合には、ビームスポットの直径が449[μm]であり、変化量が0.0[%]である。傾斜角度が4°の場合には、ビームスポットの直径が453[μm]であり、変化量が0.9[%]であった。傾斜角度が8°の場合には、ビームスポットの直径が456[μm]であり、変化量が1.6[%]であった。傾斜角度が12°の場合には、ビームスポットの直径が467[μm]であり、変化量が4.0[%]であった。傾斜角度が13°の場合には、ビームスポットの直径が472[μm]であり、変化量が5.1[%]であった。傾斜角度が14°の場合には、ビームスポットの直径が479[μm]であり、変化量が6.7[%]であった。傾斜角度が15°の場合には、ビームスポットの直径が507[μm]であり、変化量が12.9[%]であった。傾斜角度が16°の場合には、ビームスポットの直径が533[μm]であり、変化量が18.7[%]であった。傾斜角度が20°の場合には、ビームスポットの直径が864[μm]であり、変化量が92.4[%]であった。これにより、NA=0.042の場合では、傾斜角度が14°以下の範囲において、傾斜角度に関係なくビームスポットの直径の変化量が10[%]以下であるので、実用上問題がない許容範囲内であることが判明した。また、傾斜角度が15°以上の範囲において、ビームスポットの直径の変化量が10[%]よりも大きいため、実用上問題が発生すると考えられる許容範囲外であることが判明した。なお、上記シミュレーションでは、開口数(NA)に関係なく14°以下の傾斜角度において、ビームスポットの直径の変化量が10[%]以下であることが確認されるとともに、実用上問題がない許容範囲内であることが判明した。
本実施形態では、上記のように、ミラー69の高さ位置が赤色LD61aの高さ位置と重なるように、赤色LD61aからMEMSミラー68に向けて照射された赤色レーザ光の光軸を水平方向(Y方向)に対して下方(矢印Z2方向)に傾斜するように配置することによって、ミラー69および赤色LD61aをレーザ光源60内の高さ方向(Z方向)において適切な位置に配置することができるので、レーザ光源60の高さを小さくしやすくすることができる。これにより、レーザ光源60の高さが小さくなる分、レーザ光源60の薄型化を図ることができる。
また、本実施形態では、上記のように、ミラー64により反射された緑色レーザ光の光軸のビームスプリッタ66aの入射面と垂直な方向に対する第1傾斜角度(約11°)と、赤色LD61aからビームスプリッタ66aに向けて照射された赤色レーザ光の光軸のビームスプリッタ66aの入射面と垂直な方向に対する第2傾斜角度(約11°)とが互いに略一致するように、ビームスプリッタ66aの水平方向(Y方向)に対する傾斜角度(約11°)を調整することによって、ビームスプリッタ66aにより反射された緑色レーザ光の光軸と、ビームスプリッタ66aにより透過された赤色レーザ光の光軸とを正確に一致させてMEMSミラー68に向けて照射させることができる。
また、本実施形態では、上記のように、ビームスプリッタ66aの入射面661cおよび入射面661aと垂直な方向から緑色レーザ光および赤色レーザ光がビームスプリッタ66aに入射する場合のビームスポット径に対する、ビームスプリッタ66aに第1傾斜角度(約11°)で入射する緑色レーザ光およびビームスプリッタ66aに第2傾斜角度(約11°)で入射する赤色レーザ光のビームスポットの直径の変化量が1割以下になるように、ビームスプリッタ66aの水平方向(Y方向)に対する傾斜角度を調整することによって、ビームスプリッタ66aにより反射された緑色レーザ光およびビームスプリッタ66aにより透過された赤色レーザ光のビームスポットの直径の変化量を実用上問題のない1割以下に抑制した状態で、緑色レーザ光および赤色レーザ光をMEMSミラー68に向けて照射させることができる。
また、本実施形態では、上記のように、赤色LD61aの上端部611aの高さ位置と、ミラー69の上端部691の高さ位置とを、略同じにすることによって、レーザ光源60の高さを緑色LD62aの下端部から赤色LD61aの上端部611a(ミラー69の上端部691)までの高さ(厚み)にすることができるので、レーザ光源60のZ方向の高さをより小さくすることができる。
また、本実施形態では、上記のように、青色LD63aから照射された青色レーザ光の光軸と、赤色LD61aから照射された赤色レーザ光の光軸とを、各々水平方向(Y方向)に対して互いに反対の方向に略同じ角度(約11°)で傾斜させることによって、ビームスプリッタ66aにより投影部に向けて反射された青色レーザ光の光軸と、ビームスプリッタ66aにより投影部に向けて透過された赤色レーザ光の光軸とを正確に一致させることができる。
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
たとえば、上記実施形態では、本発明のプロジェクタ用光学装置を携帯電話機に適用する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、PDA(Personal Digital Assistant)やPC(Personal Computer)などに適用してもよい。
また、上記実施形態では、赤色LDの上端部の高さ位置とミラー69の上端部の高さ位置とを略同じにする場合を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、水平方向から見て赤色LDの高さ位置がミラー69の高さ位置と重なる(オーバラップする)ように赤色LDおよびミラーを配置してもよい。
また、上記実施形態では、赤色レーザ光の光軸がビームスプリッタの入射面と垂直な方向に対して時計回り方向に約11°以下の傾斜角度で入射される例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、図6に示した上記シミュレーション結果に基づき、開口数(NA)が0.012の場合には、約20°以下の範囲内において赤色レーザ光の光軸を傾斜させてもよい。また、開口数(NA)が0.022の場合には、約18°以下の範囲内において赤色レーザ光の光軸を傾斜させてもよい。また、開口数(NA)が0.033の場合には、約15°以下の範囲内において赤色レーザ光の光軸を傾斜させてもよい。また、開口数(NA)が0.042の場合には、約14°以下の範囲内において赤色レーザ光の光軸を傾斜させてもよい。この変形例のように構成しても、ビームスポットの直径の変化量を1割以下にすることが可能である。
また、上記実施形態では、本発明の第1のレーザ光を照射する第1レーザ光発生部の一例として緑色レーザ光を照射する緑色LDを示し、本発明の第2のレーザ光を照射する第2レーザ光発生部の一例として赤色レーザ光を照射する赤色LDを示し、本発明の第3のレーザ光を照射する第3レーザ光発生部の一例として青色レーザ光を照射する青色LDを示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、第1のレーザ光を照射する第1レーザ光発生部に緑色以外のレーザ光発生部を適用してもよいし、第2のレーザ光を照射する第2レーザ光発生部に赤色以外のレーザ光発生部を適用してもよいし、第3のレーザ光を照射する第3レーザ光発生部に青色以外のレーザ光発生部を適用してもよい。
また、上記実施形態では、本発明の第1光学部材の一例として、ミラーを適用する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、レーザ光を反射することが可能であれば、ミラー以外のビームスプリッタまたはダイクロイックミラーなどの光学部材でも適用可能である。
また、上記実施形態では、本発明の第2光学部材の一例として、ビームスプリッタを適用する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、レーザ光を反射および透過することが可能であれば、ビームスプリッタ以外のダイクロイックミラーなどの光学部材でも適用可能である。