JP5580832B2 - 生分解性α−2アゴニストポリマー性インプラントおよびその治療用途 - Google Patents

生分解性α−2アゴニストポリマー性インプラントおよびその治療用途 Download PDF

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Description

関連出願
本出願は、2008年11月17日に提出した米国正規出願番号第12/272,548の利益を請求するものであって、この全ての開示は、具体的な引用により本明細書に組み込まれる。
背景技術
本発明は、生体内浸食性の、徐放性の眼球内インプラントおよび眼の疾患または症状を処置するための方法に関する。ブリモニジン(5-ブロモ-6-(2-イミダゾリジニリデンアミノ)キノキサリン)は、眼房水生成を低下させて、ぶどう膜強膜路の流出を増加させることにより、開放隅角緑内障を処置するために効果的なα-2-選択的アドレナリン作動性レセプターアゴニストである。ブリモニジンは、少なくとも2つの化学形態、ブリモニジン酒石酸塩およびブリモニジン遊離塩にて利用できる。局所眼用のブリモニジン酒石酸塩製剤、0.15% Alphagan P(登録商標)(Allergan, Irvine, CA)は、開放隅角緑内障の処置に使用されてきた。水へのブリモニジン酒石酸塩の溶解度は34 mg/mLであるが、一方でブリモニジン遊離塩の水への溶解度はごく僅かである。緑内障を処置するためにブリモニジンの局所製剤は毎日投与される。このため、α-2-選択的アドレナリン作動性レセプターアゴニスト治療剤の定期的な投薬をそれが必要な患者の眼に提供するために、1〜6ヶ月毎に1回で(即ち、強膜内注射または好適なインプラント移植により)投与することが可能なα-2-選択的アドレナリン作動性レセプターアゴニスト(例えば、ブリモニジン)の徐放性製剤とし、これにより緑内障の特徴である眼の症状、例えば上昇した眼球内圧を処置することが有利であろう。
最近の研究では、ブリモニジンは、網膜および/または視神経内でのα-2-アデレノセプターの活性化により、損傷した網膜の神経節の神経細胞の生存も促進し得ることが示唆されている。例えば、ブリモニジンは、虚血および緑内障のいくつかのモデルにおいて、さらなる損傷から、損傷した神経を保護することができる。例えば米国特許第5,856,329号;6,194,415号;6,248,741号および;6,465,464号を参照されたい。
緑内障誘導性の網膜神経節細胞変性(神経変性)は、失明の主要病因の1つである。これは、ブリモニジンを緑内障の処置に用いることができ、緑内障の処置において神経保護(神経変性の緩和により)および/または眼球内圧低下が治療方法の結果に価値があることを示す。しかし、視神経を保護するためにブリモニジンとしては、ブリモニジンを治療レベルで後眼部に到達させなければならない。このため、α-2-選択的アドレナリン作動性レセプターアゴニスト(例えば、ブリモニジン)の徐放性製剤を提供することが有利であろう、これはα-2-選択的アドレナリン作動性レセプターアゴニスト治療剤の一定用量を、それが必要な患者の眼に提供し、それによって神経変性などの眼の症状、または黄斑変性症、黄斑浮腫または他の網膜症などの別の網膜障害または症状を処置するために、1〜6ヶ月毎に1回(即ち、硝子体内注入または好適なインプラントの移殖により)投与され得る。
黄斑変性症、例えば加齢性黄斑変性(「AMD」)は、世界における失明の主要原因である。1300万人のアメリカ人が、黄斑変性の徴候を有していると推定される。黄斑変性は、読んだり運転したりするのに必要とされる鮮明な直接視に関与している網膜の光感受性部位である黄斑部の破壊をもたらす。中心視力が、特に影響を受ける。黄斑変性は、乾性(萎縮性)または湿性(滲出性)として診断される。黄斑変性の乾性形態は、黄斑変性の湿性形態より一般的であり、AMD患者の約90%が乾性AMDと診断される。該疾患の湿性形態は、一般に、より深刻な視力低下を生じる。黄斑変性は、ゆっくりした、または突然の、痛みのない視力低下を生じうる。黄斑変性の原因は明らかでない。AMDの乾性形態は、黄斑組織の老化および菲薄化(thinning)、黄斑における色素沈着、またはそれら2つの過程の組合せによって生じうる。湿性AMDの場合、新しい血管が網膜の下に成長し、血液および液体を漏出させる。この漏出は、網膜細胞を死滅させ、中心視力に盲点を生じる。
黄斑浮腫(「ME」)は、黄斑の腫脹を生じうる。浮腫は、網膜血管からの液体漏出によって生じる。血液が、弱い血管壁から漏出して、錐体(色を感知し、日中の視野が依存する神経終末)に富む黄斑の極めて狭い領域に入る。次に、中心視野の中央またはそのすぐ横に不鮮明化が生じる。視力低下は数カ月間で進行しうる。網膜血管閉塞、眼炎症、および加齢性黄斑変性は、全て黄斑浮腫と関連がある。黄斑は、白内障摘出後の腫脹によっても影響を受けうる。MEの症候は、ぼやけた中心視覚、歪んだ視覚、ピンク視(vision tinted pink)および光感受性を包含する。MEの原因は下記を包含する:網膜静脈閉塞、黄斑変性症、糖尿病性黄斑漏出、眼炎症、突発性中心性漿液性網脈絡膜症、前部または後部のブドウ膜炎、扁平部炎、網膜色素変性、放射線性網膜症、後部硝子体剥離、網膜上膜形成、突発性傍中心窩網膜毛細血管拡張症、Nd:YAG 嚢切開または虹彩切開。MEを有する患者の中には、緑内障用の局所エピネフリンまたはプロスタグランジン類似体の使用歴を有する者もある。MEの第一線治療は、一般に、局所適用される抗炎症滴剤である。
糖尿病性網膜症は、20〜74才の成人における失明の主要原因である。黄斑虚血は、糖尿病性網膜症の患者における、不可逆性視力低下および減少したコントラスト感度の主要原因である。この虚血に関与している毛細血管非灌流および減少した毛細血管血流が、蛍光眼底血管造影図において、中心窩無血管区域(FAZ)の増加またはFAZの輪郭の不規則性として臨床的に見られる。これらの所見は、他の、おそらくはより周知の、視覚をおびやかす糖尿病性網膜症の合併症(黄斑浮腫および増殖性網膜症を包含する)を予測するものである。おそらくより重大なことに、広範囲の毛細血管非灌流は、糖尿病性網膜症からの低視覚予後も予測するものである。
正常な眼球の哺乳動物の眼の外面は、結膜上皮として知られている組織層を有し、その下に、テノン筋膜と呼ばれる(結膜支質とも呼ばれる)組織層がある。眼球を超えて後方へ伸長するテノン筋膜の広がりは、テノン嚢として知られている筋膜鞘を形成している。テノン筋膜の下に、上強膜がある。集合的に、結膜上皮およびテノン筋膜は、結膜と称される。認識されるように、テノン筋膜の下に上強膜があり、その下に強膜があり、その次に脈絡膜がある。大部分のリンパ管およびそれに関連した排液系(これは、それに近接して配置された治療薬の除去に極めて有効である)は、眼の結膜に存在する。
眼の症状を治療するために、治療薬を眼に投与することができる。例えば、緑内障に特徴的な高眼圧を治療するための、降圧薬の標的組織は、毛様体および/または小柱網でありうる。残念なことに、点眼剤の形態の眼用局所降圧薬の投与は、それが毛様体および/または小柱網標的組織に到達する前に、全てではないにしても大部分の治療薬の急速な流失を生じ、それにより、高眼圧症状を有効に治療するために頻繁な再投薬を必要とする。さらに、抗緑内障薬およびその防腐剤の局所投与による患者への副作用は、眼の不快感から、視覚をおびやかす眼表面の変化(例えば、結膜充血(眼の赤味)、刺痛、減少した涙産生および機能、減少した涙液膜安定性、表存性点状角膜炎、扁平上皮細胞化生、および細胞形態の変化を含む)に及ぶ。これらの局所抗緑内障点眼薬の有害作用は、患者の投薬遵守を妨げることによって緑内障の治療を妨げ、さらに、点眼薬での長期治療は、濾過手術(filtration surgery)のより高い不成功率に関係している。Asbell P.A.ら、Effects of topical antiglaucoma medications on the ocular surface, Ocul Surf 2005 Jan;3(1):27-40;Mueller M.ら、Tear film break up time and Schirmer test after different antiglaucomatous medications, Invest Ophthalmol Vis Sci 2000 Mar 15;41(4):S283。従って、副作用である急速な薬剤流失、眼の不快感、結膜充血(眼の赤味)、刺痛、減少した涙産生および機能、減少した涙液層安定性、表存性点状角膜炎、扁平上皮細胞化生、ならびに細胞形態の変化を示さない、緑内障を処置するためのα-2アゴニストの眼内徐放性製剤を提供することが有利であろう。
後部(即ち、黄斑に近い)テノン腔下にデポー剤を投与することは知られている。例えば、米国特許第6413245号、第4欄を参照されたい。さらに、テノン腔下または脈絡膜上の位置に、ポリ乳酸インプラントを投与することも知られている。例えば、米国特許第5264188号、および米国特許出願公開第20050244463号を参照されたい。
薬物送達システムは、種々の活性剤と共に配合されている。例えば、眼内使用を意図した2-メトキシエストラジオールポリ乳酸ポリマーインプラント(ロッドおよびウエハとして)を、溶融押出法によって製造することが知られている。例えば、米国特許出願公開第20050244471号を参照されたい。さらに、眼内使用を意図したブリモニジンポリ乳酸ポリマーインプラントおよびミクロスフェアを製造することも知られている。例えば、米国特許出願公開第20050244463号および第20050244506号、および米国特許出願第11/395019号を参照されたい。さらに、眼内使用を意図したビマトプロスト含有ポリ乳酸ポリマーインプラントおよびミクロスフェアを製造することも知られている。例えば、米国特許出願公開第20050244464号および第20060182781号、および米国特許出願第11/303462号および第11/371118号を参照されたい。
ブリモニジンは、眼房水産生を減少させ、ブドウ膜強膜流出を増加させることによって、開放隅角緑内障を治療するために使用されるα2B-選択性アドレナリン作用薬である。酒石酸ブリモニジンの化学構造は、以下の通りである:
Figure 0005580832
ブリモニジン酒石酸塩についての化学式は、F,5-ブロモ-6-(2-イミダゾリジニリデンアミノ)キノキサリンタートレート、C15H16N5O6Brまたは(C11H10BrN5・C4H6O6)である。
ブリモニジン酒石酸塩は、眼科用液剤において0.2%、0.15%および0.1%の濃度で使用されている。ブリモニジンは網膜細胞において神経保護作用を有しうることが示唆されている。例えば、米国特許第5856329号、第6194415号;第6248741号および第6465464号を参照されたい。
該眼内に配置するための生体適合性インプラントは、多くの特許文献に開示されている、例えば、米国特許第4,521,210号;同第4,853,224号; 同第4,997,652号; 同第5,164,188号; 同第5,443,505号; 同第5,501,856号; 同第5,766,242号; 同第5,824,072号; 同第5,869079号; 同第6,074,661号; 同第6,331,313号; 同第6,369116号; 同第6,066,675号、および同第6,699,493号。対応する米国特許出願には、出願番号10/020,541; 09/998,718; 10/836,911; 11/119021; 11/394,765; 12/024,010; 12/024,014; 12/024,017; 10/837,143; 11/118,51911/927,613; 11/927,615; 11/395,019、および11/565,917が挙げられる。
長期間、徐放または制御された速度にて、かつ眼の疾患または症状、例えば、緑内障、神経変性、または網膜の障害または症状を処置するための負の副作用が殆ど無いかまたは全くない量で治療剤を放出できる、眼の移植可能な薬物送達システム、例えば眼球内インプラントおよびかかるシステムを用いる方法を提供することが有利である。
要旨
本発明は、この必要性を満たし、そして眼の疾患または症状を処置するための、眼内での徐放性または持続性薬物放出のための新規薬物送達システム、かかるシステムの作成方法および使用方法を提供するものである。我々の薬物送達システムは、眼球内インプラント形態にある。本システムおよび方法は、1以上の治療剤の長期放出を有利に提供するものである。従って、該インプラントが眼内に配置された患者は、薬剤の追加投与を必要とせずに、長時間または長期間治療量の薬剤を受容する。このため、該患者は、比較的長期間にわたり、例えば、少なくとも約1週間程度、例えばインプラントを受容した後の約2〜約6ヶ月の間、眼の着実な処置に利用できる治療上有効な薬剤の一定レベルを実質的に有する。かかる長期の放出時間により処置結果の成功を促し得る。
定義
本明細書において使用されるとおり、以下の用語は以下の意味を有する。
「約」とは、規定されたような数値、パラメーターまたは特徴の±10%を意味する。
「生体適合性」とは、生体適合性物質と眼の組織との接触の際に有意でない炎症性応答が存在することを意味する。
活性薬剤に適用される「有効量」とは、一般的に患者における所望の変化を発揮するのに十分である化合物の量を意味する。
「眼球内インプラント」は、眼に配置されるように構成され、寸法設定され、またはその他の設計を施された器具または構成要素を意味する。眼球内インプラントは、一般に、眼の生理学的条件に生体適合性であり、不利な副作用を生じない。眼球内インプラントは、視覚を損なわずに眼に配置されうる。
「治療成分」は、眼の医学的症状を治療するのに使用される1つまたはそれ以上の治療薬または物質を含んで成る眼球内インプラントの部分を意味する。治療成分は、眼球内インプラントの個別の領域であってもよく、またはインプラント全体に均一に分布させてもよい。治療成分の治療薬は、一般に、眼科的に許容され、インプラントを眼に配置した際に有害作用を生じない形態で提供される。
「薬剤放出持続成分」は、インプラントの治療薬の持続放出を与えるのに有効な、眼球内インプラントのある部分を意味する。薬剤放出持続成分は、生分解性ポリマーマトリックスであってもよく、または治療成分を含んで成るインプラントのコア領域を覆う被覆物であってもよい。
「に付随する」は、「と混合する」、「に分散する」、「に結合する」、「被覆する」、または「包囲する」ことを意味する。
「眼の領域」または「眼の部位」は、眼の前区および後区を含む眼球の任意領域を一般に意味し、かつ、眼球に見出される任意の機能的(例えば、視力)または構造的組織、または眼球の内部または外部に部分的にまたは完全に並んだ組織または細胞層を一般に包含するが、それらに限定されない。眼の領域における眼球領域の具体的な例は、前眼房、後眼房、硝子体腔、脈絡膜、脈絡膜上腔、結膜、結膜下腔、強膜外隙、角膜内隙、角膜上隙、強膜、毛様体扁平部、外科的誘導無血管領域、網膜黄斑および網膜である。
「眼の症状」は、眼、または眼の部分または領域の1つを冒しているか、またはそれに関係している疾患、病気または症状である。一般に言えば、眼は、眼球、および眼球を構成している組織および体液、眼周囲筋(例えば、斜筋および直筋)、ならびに眼球の中かまたは眼球に近接した視神経の部分を包含する。
前眼症状は、水晶体嚢の後壁または毛様体筋の前方に位置する、前眼(即ち、眼の前方)領域または部位、例えば、眼周囲筋、眼瞼または眼球組織または液体を冒しているか、またはそれに関係している疾患、病気または症状である。従って、前眼症状は、結膜、角膜、前眼房、虹彩、後眼房(網膜の後ろであるが、水晶体嚢の後壁の前)、水晶体または水晶体嚢、ならびに前眼領域または部位を血管新生化するかまたは神経支配する血管および神経を、主に冒しているかまたはそれに関係している。
従って、前眼症状は、後記のような疾患、病気または症状を包含しうる:例えば、無水晶体症;偽水晶体症;乱視;眼瞼痙攣;白内障;結膜疾患;結膜炎;角膜疾患;角膜潰瘍;眼乾燥症候群;眼瞼疾患;涙器疾患;涙管閉塞;近視;老眼;瞳孔障害;屈折障害および斜視。緑内障も前眼症状と考えられるが、その理由は、緑内障治療の臨床目的が、前眼房における水性の体液の高い圧力を減少させる(即ち、眼内圧を減少させる)ことであると考えられ得るためである。
後眼症状は、後眼領域または部位、例えば、脈絡膜または強膜(水晶体嚢の後壁全体にわたる平面の後方位置)、硝子体、硝子体腔、網膜、視神経(即ち、視神経円板)、ならびに後眼領域または部位を血管新生化するかまたは神経支配する血管および神経を、主に冒しているかまたはそれに関係している疾患、病気または症状である。
従って、後眼症状は、下記のような疾患、病気または症状を包含しうる:急性斑状視神経網膜疾患;ベーチェット病;脈絡膜新生血管形成;糖尿病性ブドウ膜炎;ヒストプラス;感染症、例えば、真菌またはウイルスによる感染症;黄斑変性症、例えば急性黄斑変性症、非滲出性加齢性黄斑変性症および滲出性加齢性黄斑変性症;浮腫、例えば、黄斑浮腫、類嚢胞黄斑浮腫および糖尿病性黄斑浮腫;多病巣性脈絡膜炎; 後眼部位または領域を冒す眼の外傷;眼腫瘍;網膜障害、例えば、網膜中心静脈閉鎖症、糖尿病性網膜症(増殖性糖尿病性網膜症を含む)、増殖性硝子体網膜症(PVR)、網膜動脈閉塞症、網膜剥離、ブドウ膜炎網膜疾患;交感性眼炎;フォークト−コヤナギ−ハラダ (VKH) 症候群;ブドウ膜拡散;眼のレーザー処置によって生じたかまたは影響を受けた後眼症状;光ダイナミック療法によって生じたかまたは影響を受けた後眼症状、光凝固、放射線性網膜症、網膜上膜疾患、網膜枝静脈閉鎖症、前虚血性視神経症、非網膜症糖尿病性網膜機能不全、網膜色素変性、および緑内障。緑内障は、その治療目的が、網膜細胞または視神経細胞の損傷または損失による視力低下を予防するか、または視力低下の発生を減少させること(即ち、神経保護)であるので、後眼症状と考えることができる。
「生分解性ポリマー」は、生体内で分解する1つまたはそれ以上のポリマーを意味し、1つまたはそれ以上のポリマーの侵食(erosion)は、治療薬の放出と同時かまたはそれに続いて、経時的に起こる。特に、ポリマーの膨潤によって薬剤を放出する作用をするメチルセルロースのようなヒドロゲルは、「生分解性ポリマー」という用語から特に除外される。「生分解性」および「生体内浸食性(bioerodible)」という用語は、同義であり、本明細書において互換的に使用される。生分解性ポリマーは、ホモポリマー、コポリマー、または2種類以上のポリマー単位を有するポリマーであってよい。
「治療する」、「治療すること」または「治療」という用語は、眼症状、眼の傷害または損傷の減少または回復または予防、または傷害または損傷を受けた眼組織の治癒を促進することを意味する。
「治療有効量」は、眼または眼領域に有意な負のまたは不利な副作用を生じずに、眼症状を処置するか、眼の傷害または損傷を減少させるかまたは予防するのに必要とされる薬剤のレベルまたは量を意味する。
本明細書の開示内容に従って眼球内インプラントは、治療成分と該治療成分に付随した薬剤の徐放性成分とを含む。本発明に従って、治療成分は、α-2アドレナリン作動性レセプターアゴニストを含むか、α-2アドレナリン作動性レセプターアゴニストから主に成るか、またはα-2アドレナリン作動性レセプターアゴニストから成る。該α-2アドレナリン作動性レセプターアゴニストは、例えばα-2アドレナリン作動性レセプターへの結合によって、α-1アドレナリン作動性レセプターなどの他の型のアドレナリン作動性レセプターと比べて、α-2アドレナリン作動性レセプターを選択的に活性化するアゴニストまたは薬剤であってもよい。該選択的な活性化は、様々な条件の下で達成され得るが、好ましくは該選択的な活性化は、生理学的条件下で、例えばヒトまたは動物患者の眼に付随する条件下で決定される。この薬剤の徐放性成分は、インプラントが置かれる眼内へのある量のα-2アドレナリン作動性レセプターアゴニストの放出を持続させるように治療成分と付随される。該α-2アドレナリン作動性レセプターアゴニストの量は、インプラントが眼内に置かれた後の約一週間以上の期間、眼内に放出され、かつ眼の疾患または症状、例えば緑内障、神経変性、網膜の障害または症状、または眼の血管障害、例えば血管閉塞を、予防、低減、または処置する際に有効である。
一実施態様において、眼球内インプラントは、α-2アドレナリン作動性レセプターアゴニストおよび生分解性ポリマーマトリクスを含む。該α-2アドレナリン作動性レセプターアゴニストは、眼の血管閉塞を減少させるか、または防止するのに十分な時間、該インプラントからの該アゴニストの量の放出を持続するために効果的な速度にて分解する生分解性ポリマーマトリクスと付随される。眼球内インプラントは、生分解性または生体内浸食性であって、長期間、例えば1週間以上、例えば約3ヶ月またはそれ以上、および約6ヶ月まで、またはそれ以上の間、該α-2アドレナリン作動性レセプターアゴニストの徐放性放出を眼内で提供する。特定のインプラントにおいては、該α-2アドレナリン作動性レセプターアゴニストは、約30-35またはそれよりも少ない日数の間に放出される。他のインプラントにおいて、α-2アドレナリン作動性レセプターアゴニストは、40日または40以上の日数の間に放出される。
前述のインプラントの生分解性ポリマー成分は、生分解性ポリマーの混合物であってもよく、ここで該生分解性ポリマーの少なくとも一つは、分子量が64キロダルトン(kD)未満のポリ乳酸ポリマーである。それに加えて、またはその代わりに、前記インプラントは、第一のポリ乳酸の生分解性ポリマーおよび異なる第二のポリ乳酸の生分解性ポリマーを含み得る。さらに、前記インプラントは、異なる生分解性ポリマーの混合物を含んでおり、各々の生分解性ポリマーは、約0.2(または約0.3)デシリットル/グラム(dl/g)〜約1.0 dl/gの範囲にあるインヘレント粘度を有する。
本明細書に開示されたインプラントの該α-2アドレナリン作動性レセプターアゴニストは、眼の症状を処置する際に効果的であるキノキサリン誘導体または他のアゴニストを包含し得る。好適なキノキサリン誘導体のいくつかの例は、ブリモニジンまたはブリモニジン酒石酸塩である。さらに、本願のインプラントの治療成分には、眼の症状を処置する際に効果的であり得る1以上の追加のおよび異なる治療剤が包含され得る。
本願のインプラントを作成する方法には、該α-2アドレナリン作動性レセプターアゴニストを生分解性ポリマーまたはポリマーと組合せること、または混合することが含まれる。次いで、該混合物は、単一の組成物を形成するように、押出されるか、または圧縮されて得る。次いでこの単一の組成物は、患者の眼内の配置に好適な個々のインプラントを形成するために処理される。
インプラントを、眼の領域内に置いて、多様な眼の症状(例えば、眼の前方領域または後方の領域に影響を与える眼の血管障害をふくむ)を処置することができる。例えば、インプラントは、多くの眼の症状(血管閉塞に付随する症状を含むが、これに限定しない)を処置するために使用されてもよい。
本発明のキットは、1以上の本願のインプラントおよびインプラントを使用するための指示書を含んでいる。例えば、この指示書とは、インプラントを患者にどのように投与するか、およびインプラントにより処置することが出来る症状のタイプを説明できる。
本発明には、視力を改善するための生分解性眼球内インプラントもまた含まれる。該インプラントは、α-2アドレナリン作動性レセプターアゴニストおよび生分解性ポリマーを含み得る。該インプラントは、硝子体内のインプラントの設置により、該インプラントが置かれる眼の視力を改善するのに効果的な量にて、該ポリマーから該α-2アドレナリン作動性レセプターアゴニストを放出する。該α-2アドレナリン作動性レセプターアゴニストは、キノキサリン、例えば、(2-イミドゾリン-2-イルアミノ)キノキサリン、5-ブロモ-6-(2-イミドゾリン-2-イルアミノ) キノキサリン、およびその誘導体およびその混合物であってもよい。即ち、該α-2アドレナリン作動性レセプターアゴニストは、ブリモニジンまたはその塩またはその混合物であってもよい。例えば、該α-2アドレナリン作動性レセプターアゴニストは、ブリモニジン酒石酸塩であってもよい。
α-2アドレナリン作動性レセプターアゴニストは、インプラントの生分解性ポリマー内に分散され得る。該生分解性ポリマーは、第一のポリ乳酸の生分解性ポリマーおよび第二のポリ乳酸の異なる生分解性ポリマーの混合物、およびポリ乳酸の異なる第二の生分解性ポリマーを含む。該ポリマーは、インプラントが眼の硝子体内に置かれた時間から1ヶ月以上、または40日以上または35日未満の間、該インプラントからある量のα-2アドレナリン作動性レセプターアゴニストの放出を持続するのに効果的な速度で薬剤を放出できる。
本発明の実施態様は、インプラントが置かれる眼における視力を改善するために効果的な時間、該インプラントからある量のα-2アドレナリン作動性レセプターアゴニストの放出を持続するのに効果的な速度で薬剤を放出する生分解性材料を形成するために、α-2アドレナリン作動性レセプターアゴニストおよび生分解性ポリマー成分の混合物を押し出すことにより、生分解性眼球内インプラントを製造する方法である。
本発明のさらなる実施態様は、視力を改善するための方法または維持するための方法であり、これは生分解性ポリマーに付随するα-2アドレナリン作動性レセプターアゴニストを含む生分解性眼球内インプラントを眼の硝子体内に置くことにより、視力を改善または維持するものである。この方法を使用して、次のような眼の症状を処置できる:例えば、黄斑変性症、黄斑浮腫、網膜動脈閉塞症、網膜中心静脈閉鎖、散在性脈管内凝血障害、網膜枝静脈閉鎖、高血圧眼底変化、眼虚血症候群、網膜動脈微細動脈瘤、半網膜静脈閉塞症、網膜中心動脈閉塞症、網膜動脈分枝閉塞症、頸動脈疾患(cad)、イールズ(eales)疾患、糖尿病関連血管障害、非滲出性加齢性黄斑変性症、滲出性加齢性黄斑変性症、脈絡膜新生血管形成、糖尿病性網膜症、急性黄斑神経網膜症、中心性漿液性脈絡網膜症、類嚢胞黄斑浮腫、糖尿病性黄斑浮腫、急性後部多発性斑状色素上皮症、ベーチェット疾患、散在性網脈絡膜炎(Birdshot Retinochoroidopathy)、梅毒、ライム病、結核、トキソプラズマ症、中間部ブドウ膜炎、多病巣性脈絡膜炎、多発消失性白点症候群、眼のサルコイドーシス、後部強膜炎、蛇行状脈絡膜炎、網膜下の線維症およびブドウ膜炎症候群、フォークト−コヤナギ−ハラダ症候群、コーツ病、傍中心窩毛細血管拡張症、乳頭静脈炎、樹氷状血管炎、鎌状赤血球網膜症および他の異常ヘモグロビン症、網膜色素線条症、家族性滲出性硝子体網膜症、交感性眼炎、ブドウ膜炎網膜疾患、網膜剥離、外傷、レーザー、光ダイナミック療法、光凝固、手術中の血流低下、放射線性網膜症、骨髄移植網膜症、増殖性硝子網膜症および網膜上膜、増殖性糖尿病性網膜症、眼ヒストプラスマ症、眼のトキソカラ症、推定眼ヒストプラスマ症候群、眼内炎、トキソプラズマ症、HIV感染に関連した網膜疾患、HIV感染に関連した脈絡膜疾患、HIV感染に関連したブドウ膜炎、ウイルス網膜炎、急性網膜壊死、進行性外網膜壊死、真菌性網膜疾患、眼梅毒、眼結核、広汎性片側性亜急性視神経網膜炎、ハエウジ病、網膜色素変性、網膜ジストロフィーに関連した全身障害、先天性停止性夜盲、錐体ジストロフィー、シュタルガルト病および黄色斑眼底、ベスト病、網膜色素上皮のパターンジストロフィー、X染色体性網膜分離、ソーズビー眼底ジストロフィー、良性同心性黄斑症、ビエッティ結晶性ジストロフィー、弾性線維性仮性黄色腫、網膜剥離、黄斑円孔、巨大網膜断裂、腫瘍に関連した網膜疾患、RPEの先天性肥大、後部ブドウ膜黒色腫、脈絡膜血管腫、脈絡膜骨腫、脈絡膜転移、網膜および網膜色素上皮の複合過誤腫、網膜芽細胞腫、眼底の血管増殖性腫瘍、網膜星状細胞腫、眼内リンパ系腫瘍、点状脈絡膜内層症、急性後部多発性斑状色素上皮症、近視性網膜変性、および急性網膜色素上皮炎。
インプラントは、該インプラントの硝子体内設置により、該ポリマーからα-2アドレナリン作動性レセプターアゴニストを約90日の間放出できる。重要なことは、該α-2アドレナリン作動性レセプターアゴニストを、それが硝子体内で維持されるよりも長い期間、網膜内で維持することができる。本発明の実施態様は、視力を、改善、維持、復元または修復するための方法であって、この方法は、生分解性ポリマーに付随したブリモニジンを含む生分解性眼球内インプラントを眼の硝子体内に置き、これにより視力を、改善、維持、復元または修復するステップを含んでいる。
本発明の実施態様は、α-2アドレナリン作動性レセプターアゴニストおよび生分解性ポリマーを含む生分解性眼球内インプラントであって、ここで該生分解性ポリマーは、エステル末端封鎖(end-capped)生分解性ポリマーおよび酸末端封鎖生分解性ポリマーを含む。該インプラントは、約10%〜約91%のエステル末端封鎖生分解性ポリマー、約5wt%〜約40wt%の酸末端封鎖生分解性ポリマー、および約4wt%〜約50wt%のα-2アドレナリン作動性レセプターアゴニストを含むことができる。好ましくは、該インプラントは、約45%〜約80%のエステル末端封鎖生分解性ポリマー、約10wt%〜約40wt%の酸末端封鎖生分解性ポリマー、および約10wt%〜約15wt%のα-2アドレナリン作動性レセプターアゴニストを含む。より好ましくは、該インプラントは、約88wt%のエステル末端封鎖生分解性ポリマー、約10wt%の酸末端封鎖生分解性ポリマー、および約12wt%のα-2アドレナリン作動性レセプターアゴニストを含み得る。最も好ましくは、該インプラントは、約53wt%〜約73%のエステル末端封鎖生分解性ポリマー、約15wt%〜約35wt%の酸末端封鎖生分解性ポリマー、および約9wt%〜約12wt%のα-2アドレナリン作動性レセプターアゴニストを含む。
インプラントの生分解性ポリマーは、1以上のエステル末端封鎖生分解性ポリマーを含むことができる。あるいは、インプラントの生分解性ポリマーは、1以上の酸末端封鎖生分解性ポリマーを含むことができる。このインプラントは、インプラントの眼内の設置または挿入の後、該インプラントから治療上有効量のα-2アドレナリン作動性レセプターアゴニストの放出がおこる前に、遅延時間(lag time)を殆ど有さないか、全く有し得ない。該インプラントは、4重量パーセント(重量%)に等しいか、それ以上の生物学的に活性なα-2アドレナリン作動性レセプターアゴニストを含み、該インプラントは、好ましくは任意の孔形成添加剤、放出速度調節剤または放出速度改変剤を包含しない。該インプラントは、該生分解性ポリマー性マトリクスから、少なくとも115日間にわたってα-2アドレナリン作動性レセプターアゴニストの持続性放出を示すことができる。さらに、該インプラントは、約20日〜約50日の期間にわたり該インプラントの生分解性ポリマー性マトリクスからα-2アドレナリン作動性レセプターアゴニストの実質的に直線的な放出を示すことができる。
発明の範囲内の生分解性眼球内インプラントの好ましい実施態様は、α-2アドレナリン作動性レセプターアゴニストおよび生分解性ポリマーを含んでおり、ここで該生分解性ポリマーは、エステル末端封鎖生分解性ポリマーおよび酸末端封鎖生分解性ポリマーを含み、ここで該インプラントは、約40%〜約91%の少なくとも2つの異なるエステル末端封鎖生分解性ポリマー、約5wt%〜約40wt%の酸末端封鎖生分解性ポリマー、および約4wt%〜約20wt%のα-2アドレナリン作動性レセプターアゴニストを含む。
本発明はまた、下記工程:α-2アドレナリン作動性レセプターアゴニストおよび生分解性ポリマーを混合すること、ここで該生分解性ポリマーは、エステル末端封鎖生分解性ポリマーおよび酸末端封鎖生分解性ポリマーを含む;該混合物を加熱すること;および該加熱された混合物を押出し、これにより生分解性眼球内インプラントを製造すること、による生分解性眼球内インプラントの製造方法を包含する。
本発明の範囲内にあるインプラントは、約0.5mmの直径、約6mmの長さ、および約1mgの重量を有する押出フィラメントであり得る。該α-2アドレナリン作動性レセプターアゴニストは、インプラント全体にわたり均一に分散され得る。
我々のインプラントを用いて、α-2アドレナリン作動性レセプターアゴニストおよび生分解性ポリマーを含んでいる生分解性眼球内インプラントの眼球内投与により眼の症状を処置することができる、ここで該生分解性ポリマーは、エステル末端封鎖生分解性ポリマーおよび酸末端封鎖生分解性ポリマーを含む。該α-2アドレナリン作動性レセプターアゴニストは、ブリモニジン、その塩およびその混合物からなる群から選択され得る。
本発明の別の実施態様において、生分解性眼球内インプラントは、複数形態のα-2アドレナリン作動性レセプターアゴニストおよび生分解性ポリマーを含み得る。該α-2アドレナリン作動性レセプターアゴニストはブリモニジンであり得て、該ブリモニジンは、インプラント中で2つ形態にて存在できる。該インプラント内に存在するブリモニジンの2つの形態は、ブリモニジン遊離塩およびブリモニジン酒石酸塩であることができる。かかるインプラントは、約50wt%〜約70%エステル末端封鎖生分解性ポリマー、約1wt%〜約49wt%のブリモニジン遊離塩、約1wt%〜約49wt%のブリモニジン酒石酸塩を含み得る。あるいは、該インプラントは、約50wt%〜約60%エステル末端封鎖生分解性ポリマー、約1wt% 〜約49wt% ブリモニジン遊離塩、および約1wt%〜約49wt%ブリモニジン酒石酸塩を含み得る。さらに好ましくは、該インプラントは、約50wt%〜約70%エステル末端封鎖生分解性ポリマー、約10wt%〜約30wt% ブリモニジン遊離塩、および約10wt%〜約30wt% ブリモニジン酒石酸塩を含み得る。最も好ましい実施態様において、該インプラントは、約55 wt%〜約65% エステル末端封鎖生分解性ポリマー、約15 wt%〜約20wt% ブリモニジン遊離塩および約15 wt%〜約20wt% ブリモニジン酒石酸塩を含み得る、例えば、該インプラントは、約65 wt% エステル末端封鎖生分解性ポリマー、約18 wt% ブリモニジン遊離塩および約18 wt% ブリモニジン酒石酸塩を含み得る。請求項21のインプラントは、該生分解性ポリマーが1以上のエステル末端封鎖生分解性ポリマーを含むものである。そして、インプラントは、バースト放出をもたらさず、かつ該インプラントの眼球内の移殖または挿入の後、該インプラントから治療上有効量のα-2アドレナリン作動性レセプターアゴニストの放出がおこる前に遅延時間がないか、または殆ど示さない。さらに、該インプラントは、少なくとも60日間にわたって該生分解性ポリマー性マトリクスからの該α-2アドレナリン作動性レセプターアゴニストの徐放を示し得る。さらに、インプラントは、約20日〜約50日の期間にわたって、該インプラントの生分解性ポリマー性マトリクスからのα-2アドレナリン作動性レセプターアゴニストの実質的に線形の放出を示し得る。
本発明の好ましい実施態様は、ブリモニジン遊離塩;ブリモニジン酒石酸塩、およびエステル末端封鎖生分解性ポリマーを含み、ここで該インプラントは、約50wt%〜約70%の該エステル末端封鎖生分解性ポリマー、約1wt%〜約49wt%の該ブリモニジン遊離塩、約1wt%〜約49wt%のブリモニジン酒石酸塩を含む。
本発明には、下記工程;(a)α-2アドレナリン作動性レセプターアゴニストおよび生分解性ポリマーの複数の形態を混合すること;(b)該混合物を加熱すること;および(c)加熱された混合物を押出すこと、これにより生分解性眼球内インプラントを製造することを含む、生分解性眼球内インプラントの製造方法が包含される。該インプラントは、約0.5 mmの直径、約6 mmの長さ、および約1 mgの重量を有するフィラメントとして押出され得る。該インプラントはまた、直接圧縮または溶媒押出成型方法により製造され得る。該インプラントの形状はまた、錠剤、ペレットまたはロッドとして存在してもよい。
最終的に、我々の発明には、眼の硝子体中に生分解性ポリマーに付随したα-2アドレナリン作動性レセプターアゴニストを含む生分解性眼球内インプラントを置くことにより緑内障の症状を処置する方法が包含される。緑内障の症状は、インプラントの硝子体内配置の後の少なくとも約35日の間に低下され得る。処理される緑内障の症状は、上昇した眼球内圧であり得る。
本発明の追加の局面および利点は、特に付随の図面と共に考慮された場合に、下記の詳細な説明および請求項に記載されている。
図1は、日数(X軸)経時で、実施例1の方法に従って製造された3つの異なるポリマーインプラントからインビトロでのブリモニジン遊離塩("BFB")(y軸)の累加全放出を示すグラフである。図中の凡例は、3つのインプラント各々について、7つの数字をハイフンで結んだ製剤番号、その後に該インプラント中のBFBの重量パーセント(即ち、"35-API"は35 wt%のBFBを意味する)を示し、次いで提示された3つのインプラント各々を製造するのに用いた3種のポリマー各々の重量%を示した。 図2は、BFBのみのポリマーインプラントと比較した2種のBFB+BTポリマーインプラント製剤のインビトロでの累加全放出を示すグラフであり、軸および凡例は図1のとおりの形式である。 図3aは棒状インプラントの図であり、図3bはディスク形状のインプラントの図であって、実施例3にて説明した例示的なインプラントの寸法を示している。 図4は、実施例3に記載したとおりの3種のBFB棒状形態のインプラントのインビトロでの累加全放出を示す図グラフである。 図5は、実施例3に記載したとおりのBFBディスク形状のインプラントからのインビトロでの累加全放出を示すグラフである。 図6は、実施例3に記載したとおりの6種の400 ug BT 棒(2400μg ブリモニジン酒石酸塩)のテノン下投与を受容したウサギにおいて0日時のベースラインIOPからの63日間にわたるIOPの変化を示すグラフである。
説明
本発明は、1以上の形態のα-2-選択的アドレナリン作動性レセプターアゴニスト治療剤および生分解性ポリマーの新規製剤および構造を基にしており、これは一旦熱間押出されるか、あるいは射出成型により製造されて、眼の疾患および症状を処置するために眼球内投与に好適なインプラントを形成する。本発明の実施形態は、実質的に線形の治療剤の放出特徴および/またはインプラント中での高い(50重量%以上)薬物担持を示す。
インプラントは、医薬上許容し得るポリマー組成物を含み、かつ長時間にわたり1以上の医薬上活性な薬剤、例えばα-2アドレナリン作動性レセプターアゴニストを放出するように処方される。該インプラントは、1以上の望ましくない眼の症状を処置または防止するために、目の領域に直接的に該薬剤または複数の薬剤の治療上有効な投薬量を提供するのに有効である。このように、1回の投与で、治療薬は、患者に繰り返し注射されるよりも、または、自己投与点眼剤の場合には、活性薬剤または薬剤(複数を含む)に対する暴露の非常に限定されたバーストによる効果的ではない処置よりも、必要な部位で利用可能になり、長期間持続される。
本明細書の開示に従う眼球内インプラントは、該治療成分に付随する治療成分および薬剤の徐放性成分を含む。本発明に従って、治療成分は、α-2アドレナリン作動性レセプターアゴニストを含むか、α-2アドレナリン作動性レセプターアゴニストから主に成るか、またはα-2アドレナリン作動性レセプターアゴニストからなる。薬物徐放性成分は、治療成分に付随しており、該インプラントが置かれる眼内での治療上有効量のα-2アドレナリン作動性レセプターアゴニストの放出を持続させる。治療量のα-2アドレナリン作動性レセプターアゴニストは、該インプラントが眼内に置かれた後の約一週間以上の期間の間眼内で放出される。
種々の期間にわたり薬剤担持物を放出することができる眼球内インプラントを開発した。眼、例えば眼の硝子体に挿入された場合に、これらのインプラントは、長時間の間(例えば、約1週間以上の間)、α-2アドレナリン作動性レセプターアゴニストの治療レベルを提供する。開示されたインプラントは、眼の症状、例えば後眼症状を処置する際に有効である。
本発明の一実施態様において、眼球内インプラントは、生分解性ポリマーマトリクスを含む。該生分解性ポリマーマトリクスは、一つのタイプの薬剤徐放性成分を含む。該生分解性ポリマーマトリクスは、生分解性眼球内インプラントを形成する際に効果的である。生分解性眼球内インプラントは、該生分解性ポリマーマトリクスに付随するα-2アドレナリン作動性レセプターアゴニストを含む。マトリクスは、該インプラントが眼の領域または眼の部位(例えば、眼の硝子体)内に置かれた時から約一週間以上の期間、ある量のα-2アドレナリン作動性レセプターアゴニストの放出を持続するのに効果的な速度で分解する。
該インプラントのα-2アドレナリン作動性レセプターアゴニストとは、通常、α-1 アドレナリン作動性レセプターに比してα-2アドレナリン作動性レセプターを選択的に活性化する薬剤である。特定のインプラントにおいて、該α-2アドレナリン作動性レセプターアゴニストは、α-2アドレナリン作動性レセプターのサブタイプを選択的に活性化する。例えば、該アゴニストは、1以上のα-2a、α-2b、またはα-2cレセプター、特定の条件下で、例えば、生理学的条件の下で選択的に活性化できる。他の条件の下では、該インプラントのアゴニストは、α-2アドレナリン作動性レセプターサブタイプに対して選択的でないかもしれない。該アゴニストは、該レセプターへの結合またはその他任意のメカニズムにより、該レセプターを活性化できる。
特定のインプラントにおいて、該α-2アドレナリン作動性レセプターアゴニストは、キノキサリン誘導体である。本願のインプラントにおいて有用な該キノキサリン誘導体は、下記式;
Figure 0005580832

を有するキノキサリン誘導体、その医薬上許容し得る酸付加塩、およびその混合物である。R1およびR2は、各々独立して、H、1〜4個の炭素原子を含有するアルキル基および1〜4個の炭素原子を含有するアルコキシ基からなる群から選択される。R2は、好ましくはメチル基である。2-イミダゾリン-2-イルアミノ基は、キノキサリン核の5-、6-、7-および8-位置、好ましくは6−位置のいずれかにおいて存在し得る。R3、R4およびR5は、各々残っている5−、6−、7−または8−位置のキノキサリン核のいずれか一つに位置し、Cl、Br、Hおよび1〜3個の炭素原子を含有するアルキル基からなる群から独立して選択される。R3は、好ましくは該キノキサリン核の5−位置にあり、R4およびR5は、両方Hであるのが好ましい。特に有用な実施態様において、R3はBrである。
少なくとも一つのインプラントにおいて、R1はHであり、R2は1〜4個の炭素原子を含有するアルキル基から選択される。R3は、有利には該キノキサリン核の5位に有利に存在し得て、Hおよび1〜3個の炭素原子を含有するアルキルラジカルから選択される。1以上の現在有用な化合物の拘束(constraint)に従う全てのステレオアイソマー、互変異性体およびその混合物は、本発明の範囲内に含まれる。
本発明の化合物の医薬上許容し得る酸付加塩は、医薬的に許容されるアニオンを含有する非毒性付加塩を形成する酸から形成されるもの、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、または硫酸水素酸塩、リン酸塩または酸リン酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、シュウ酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、グルコン酸塩、サッカレートおよびp−トルエンスルホン酸塩である。
より具体的なインプラントにおいて、キノキサリン誘導体は、下記式を有する。
Figure 0005580832
別のインプラントにおいて、該α-2アドレナリン作動性レセプターアゴニストは、下記式を有する塩として提供される;
Figure 0005580832
前記塩は、ブリモニジン酒石酸塩[AGN 190342-F, 5-ブロモ-6-(2-イミダゾリジニリデンアミノ)キノキサリン酒石酸塩]として知られており、商標名 Alphagan-P(登録商標)としてAllergan, Inc.から公的に利用できる。ブリモニジン、有機塩は、ブリモニジン酒石酸塩またはブリモニジン遊離塩のいずれかとして公的に利用できる。該酒石酸塩は、様々な水性媒体中で遊離塩よりも高い溶解度である。酒石酸塩および遊離塩の両方は化学的に安定であり、かつ200℃以上の高い融点を有するので、両形態は本願のインプラントを形成する際に好適である。
従って、該インプラントは、ブリモニジン塩(例えば、ブリモニジン酒石酸塩)、ブリモニジン遊離塩、またはその混合物を、含むか、主に構成されるか、またはからなる治療成分を含むことができる。
α-2アドレナリン作動性レセプターアゴニストは、粒子状または粉末状であってよく、生分解性ポリマーマトリックスに封入されていてもよい。通常、α-2アドレナリン作動性レセプターアゴニスト粒子は、約3000ナノメートル未満の有効平均サイズを有する。特定のインプラントでは、該粒子は、3000ナノメートルよりも小さい桁の有効平均粒子サイズを有し得る。例えば、該粒子は約500ナノメートル未満の有効平均粒子サイズを有してもよい。さらなるインプラントでは、該粒子は、約400ナノメートル未満の有効平均粒子サイズを有してもよく、また別の態様では、約200ナノメートル未満の有効平均粒子サイズを有してもよい。
インプラントのα-2アドレナリン作動性レセプターアゴニストは、好ましくはインプラントの約10〜90重量%である。より好ましくは、α-2アドレナリン作動性レセプターアゴニストは、インプラントの約20〜約80重量%である。好ましい実施態様において、α-2アドレナリン作動性レセプターアゴニストは、約20重量%のインプラント(例えば、15%-25%)を含む。別の実施態様において、α-2アドレナリン作動性レセプターアゴニストは、インプラントの約50重量%を含む。
インプラントにおいて使用するための好適なポリマー材料または組成物には、眼の機能または生理機能を実質的に阻害しないような、眼と適合性のある(すなわち、生体適合性の)材料が挙げられる。かかる材料は、好ましくは少なくとも部分的に、さらにより好ましくは実質的に完全に生分解性または生体内浸食性である。
有用なポリマー材料の例示には、次のものに限定するものではないが、分解された際に生理学的に許容される分解生成物(モノマーを含む)を生じる有機エステルおよび有機エーテルから得られる材料ならびに/または分解された際に生理学的に許容される分解生成物(モノマーを含む)を生じる有機エステルおよび有機エーテルを含む材料が挙げられる。また、酸無水物、アミド、オルトエステルなどから、それら自体または他のモノマーと組み合わせて得られるポリマー材料および/または酸無水物、アミド、オルトエステルなどをそれら自体または他のモノマーと組み合わせて含むポリマー材料も、使用され得る。ポリマー材料は、付加ポリマーまたは縮合ポリマーであってよく、有利には縮合ポリマーである。ポリマー材料は、架橋または非架橋であってよく、例えば、せいぜい架橋度が小さい、例えば、ポリマー材料の約5%未満、または約1%未満が架橋されていてもよい。ほとんどの場合、ポリマーは、炭素および水素以外に少なくとも1つの酸素および窒素のを含有しており、有利には酸素を含有する。酸素は、オキシ、例えばヒドロキシ、またはエーテル、カルボニル、例えば非オキソ−カルボニル(例えば、カルボン酸エステルなど)として存在していてよい。窒素は、アミド、シアノおよびアミノとして存在しうる。ポリマーは、Heller, Biodegradable Polymers in Controlled Drug Delivery, In: CRC Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems, Vol. 1, CRC Press, Boca Raton, FL 1987, pp 39-90に記載されており、この文献には、本発明のインプラントにおいて採用し得る、制御された薬剤送達のためのカプセル化が記載されている。
さらに興味深いのは、ホモポリマーまたはコポリマーのいずれかのヒドロキシ脂肪族カルボン酸のポリマー、および多糖類である。興味深いポリエステルとしては、D−乳酸、L−乳酸、ラセミ体乳酸、グリコール酸、ポリカプロラクトンのポリマー、およびその組合せ物が挙げられる。一般的に、L-ラクテートまたはD−ラクテートを用いることによってゆっくりと浸食するポリマーまたはポリマー材料が達成され、一方でラクテートのラセミ化合物により、浸食は実質的に促進される。
有用な多糖類の中には、これに限定しないが、アルギン酸カルシウムおよび官能化セルロースがあり、特に、不溶性であって、分子量が約5 kD〜500 kDを特徴とするカルボキシメチルセルロースエステルが挙げられる。
興味深い他のポリマーには、これに限定しないが、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリエーテルおよびその組合せが挙げられ、これは生体適合性であり、生分解性および/または生体分解性であってよい。
本発明において使用するためのポリマーまたはポリマー材料のいくつかの好ましい特徴としては、生体適合性、治療成分との適合性、本発明の薬剤送達系の製造におけるポリマーの使用容易性、少なくとも約6時間(好ましくは約1日を超える時間)の生理学的環境における半減期、硝子体の粘度が顕著に上昇しないこと、および水不溶性を挙げることができる。
マトリックスを形成するために含まれる生分解性ポリマー材料は、望ましくは、酵素不安定性または加水分解不安定性を有する。水溶性ポリマーは、有用な水不溶性ポリマーを提供するために、加水分解性または生分解性の不安定な架橋により架橋されてよい。安定度は、モノマーの選択、ホモポリマーまたはコポリマーのいずれが使用されるか、ポリマーの混合物が使用されるか、ポリマーが末端酸基を含むか否かに依存して、広範囲に変化することができる。
ポリマーの生分解性、従ってインプラントの持続性放出プロフィールを制御することに対して同様に重要なのは、インプラント中で使用されるポリマー組成物の相対平均分子量である。異なる分子量を有する同じまたは異なるポリマー組成物が、放出プロフィールを調節するためにインプラント中に含まれていてもよい。特定のインプラントにおいて、ポリマーの相対平均分子量は、約9〜約64kDの範囲、一般に約10〜約54kD、より一般には約12kD〜約45kDの範囲である。
いくつかのインプラントでは、グリコール酸および乳酸のコポリマーが使用され、ここで、生分解速度は、グリコール酸対乳酸の比によって制御される。最も迅速に分解するコポリマーは、ほぼ同量のグリコール酸および乳酸を含む。等しい比以外の比を有するホモポリマーまたはコポリマーは、分解に対してさらに耐性である。グリコール酸対乳酸の比率はさらに、インプラントの脆弱性に影響を与え、より可とう性のインプラントは、さらに大きい幾何形状のために望ましい。ポリ乳酸ポリグリコール酸(PLGA)コポリマー中のポリ乳酸の割合(%)は0〜100%であることができ、好ましくは約15〜85%、さらに好ましくは約35〜65%である。いくつかのインプラントでは、50/50のPLGAコポリマーが使用される。
眼球内インプラントの生分解性ポリマーマトリックスは、2種以上の生分解性ポリマーの混合物を含んでもよい。例えば、インプラントは、第1の生分解性ポリマーと異なる第2の生分解性ポリマーとを含んでもよい。生分解性ポリマーの1種以上は、末端酸基を有していてもよい。
浸食性(erodible)ポリマーからの薬剤の放出は、いくつかのメカニズムまたはメカニズムの組み合わせの結果である。これらのメカニズムのいくつかは、インプラント表面からの脱離、溶解、水和ポリマーの多孔性チャンネルを介した拡散および侵食を含む。侵食は、バルクまたは表面またはそれら両方の組み合わせであってよい。本明細書に記載されているように、眼球内インプラントのマトリックスは、眼に移植された後の1週間を超える期間、ある量のα-2アドレナリン作動性レセプターアゴニストの放出を持続するのに効果的な速度で薬剤を放出し得る。特定のインプラントでは、治療量のα-2アドレナリン作動性レセプターアゴニストが、移植後わずか約30-35日の期間放出される。例えば、インプラントは、ブリモニジン酒石酸塩を含み得て、該インプラントのマトリクスは、眼内に置かれた後の約1ヶ月の間、治療上有効量のブリモニジン酒石酸塩の放出を持続するのに効果的な速度で分解する。別の例において、該インプラントは、ブリモニジン酒石酸塩を含み得て、また該マトリクスは、40日を超える期間、例えば約6ヶ月の間、治療上有効量のブリモニジン酒石酸塩の放出を持続するのに有効な速度で薬物を放出する。
生分解性眼球内インプラントの一実施態様は、生分解性ポリマーマトリクスに付随するα-2アドレナリン作動性レセプターアゴニストを含み得て、これは異なる生分解性ポリマーの混合物を含む。少なくとも1つの該生分解性ポリマーは、約40-約80 kDの分子量を有するポリラクチドであり得る。第二の生分解性ポリマーは、約10-20 kDの分子量を有するポリラクチドであってもよい。かかる混合物は、該インプラントが眼内に置かれた時間から約1ヶ月を超える期間、治療上有効量の該α-2アドレナリン作動性レセプターアゴニストの持続性放出に効果的である。
生分解性眼球内インプラントの別の実施態様は、異なる生分解性ポリマー、即ち、約0.16 dl/g〜約1.0 dl/gのインヘレント粘度を有する各々の生分解性ポリマーの混合物を含む生分解性ポリマーマトリクスに付随するα-2アドレナリン作動性レセプターアゴニストを含む。例えば、生分解性ポリマーの1つは、約0.3 dl/gのインヘレント粘度を有してよい。第二の生分解性ポリマーは、約1.0 dl/gのインヘレント粘度を有してよい。上記したインヘレント粘度は、25℃で0.1% クロロホルムにおいて決定され得る。
ある特定のインプラントは、2つの異なるポリラクチドポリマーの組み合わせに付随したブリモニジン酒石酸塩を含む。ブリモニジン酒石酸塩は、インプラントの約60重量%まで存在できる。あるポリラクチドポリマーは、約14 kDの分子量および約0.3 dl/gのインヘレント粘度を有し、もう一方のポリラクチドポリマーは、約63.3 kDの分子量および約1.0 dl/gのインヘレント粘度を有し得る。2つポリラクチドポリマーは、該インプラント内に1:1の比率にて存在し得る。かかるインプラントは、本明細書に記載されるように、インビトロで2ヶ月以上の間、ブリモニジンの放出を提供する。該インプラントは、押出または射出成型法により製造されたロッド状、棒状またはディスク状または繊維状の形態にて提供される。
生分解性ポリマーマトリクスを含む眼球内インプラントからのα-2アドレナリン作動性レセプターアゴニストの放出は、放出の初期バーストに続いて放出されたα-2アドレナリン作動性レセプターアゴニストの量の漸増を含んでもよく、または該放出とは、α-2アドレナリン作動性レセプターアゴニストの放出における初期遅延に続いて放出の増加を含んでもよい。インプラントが実質的に完全に分解された場合、放出されたα-2アドレナリン作動性レセプターアゴニストの%は約100である。既存のインプラントと比較して、本明細書に開示されるインプラントは、眼に置かれてから約1週間経過するまでに完全には放出しないか、または約100%のα-2アドレナリン作動性レセプターアゴニストを放出する。
インプラントの寿命全期間にわたって、インプラントからのα-2アドレナリン作動性レセプターアゴニストの比較的一定速度の放出を提供することが望ましいことがある。例えば、インプラントの寿命の間、α-2アドレナリン作動性レセプターアゴニストが約0.01μg〜約2μg/日の量で放出されることが望ましいことがある。しかし、放出速度は、生分解性ポリマーマトリックスの組成に依存して増加するかまたは減少するかのいずれかに変化する場合がある。それに加えて、α-2アドレナリン作動性レセプターアゴニストの放出プロフィールは、1つ以上の線形部分および/または1つ以上の非線形部分を含んでもよい。好ましくは、放出速度は、一旦インプラントが分解または侵食し始めると、ゼロより大きい。
インプラントは、一体型(すなわち、ポリマー性マトリックス内に均一に分散した活性薬剤または複数の薬剤を含有)であってもよいか、あるいはポリマー性マトリクスにより、またはインプラントのコア・シェル型としてカプセル化されていてもよい(ここで、活性薬剤の貯蔵部がポリマー性マトリックスによってカプセル化されている)。製造の容易性の故に、通例、カプセル化形態よりも一体型インプラントが好ましい。しかし、カプセル化貯蔵部型インプラントによって与えられるより高い制御性は、ある環境において利点を有することがあり、この場合、薬剤の治療レベルは狭い範囲にある。加えて、α-2アドレナリン作動性レセプターアゴニストを含む治療成分は、マトリックス中の非均一パターンで分布してもよい。例えば、インプラントは、インプラントの第2の部分に比べ、より高濃度のα-2アドレナリン作動性レセプターアゴニストを有する部分を含んでいてもよい。
本明細書に開示される眼球内インプラントは、針を用いて投与するために約5μm〜約2mm、または約10μm〜約1mmの寸法、外科移植による投与のために1mmを超える、または2mmを超える、例えば3mmまたは10mmまでの寸法を有し得る。ヒトの硝子体腔は、種々の幾何形状を有する、例えば1〜10mmの長さを有する比較的大きなインプラントを収容することができる。インプラントは、約2mm×0.75mm直径の寸法を有する円筒状ペレット(例えばロッド)であってもよい。あるいは、インプラントは、約7mm〜約10mmの長さ、約0.75mm〜約1.5mmの直径を有する円筒状ペレットであってもよい。
インプラントはさらに、眼(例えば硝子体)内へのインプラントの挿入およびインプラントの収容を容易にするために、少なくともいくらか可撓性であってもよい。インプラントの全重量は、通常約250〜5000μg、さらに好ましくは500〜1000μgである。例えば、インプラントは約500μg、または約1000μgであってもよい。非ヒト個体について、インプラントの寸法および全重量は、個体の種類に依存して、より大きくてもより小さくてもよい。例えば、ウマの約30ml、ゾウの約60〜100mlと比較して、ヒトの硝子体体積は、約3.8mlである。ヒトに使用するために寸法設計されたインプラントは、他の動物についてのインプラントに応じて寸法を大きくするかまたは小さくしてもよく、例えば、ウマに対するインプラントは約8倍、または、例えばゾウについてのインプラントは約26倍大きい。
インプラントは、中心が1つの材料から成り、表面が同じまたは異なる組成の1つ以上の層を有するように調製することができ、これらの層は、架橋されているか、または異なる分子量を有するか、または異なる密度または多孔度などを有することができる。例えば、薬剤の初期のボーラスを迅速に放出することが望ましい場合、中心は、初期分解速度を高めるために、ポリアセテート−ポリグリコレートコポリマーでコーティングされたポリアセテートであってもよい。あるいは、中心は、ポリアセテートの分解の際に、中心の外側が溶解し、眼から迅速に洗い流されるため、ポリアセテートでコーティングされたポリビニルアルコールであってもよい。
インプラントは、繊維、シート、フィルム、微小球、球、円板、平板などを含む任意の幾何形状であってよい。インプラントの寸法の上限は、インプラントの許容性、挿入の際の寸法制限、取扱いの容易性などの因子によって決定される。シートまたはフィルムを使用する場合、シートまたはフィルムは、取扱いの容易性のために、約0.1〜1.0mの厚みを有して、少なくとも約0.5mm×0.5mm、通常は約3〜10mm×5〜10mmの範囲である。繊維を使用する場合、繊維の直径は一般に約0.05〜3mmの範囲であり、繊維の長さは一般に約0.5〜10mmの範囲である。球は、他の形状の粒子に匹敵する体積を有し、その直径は約0.5μm〜約4mmの範囲であってよい。
インプラントの寸法および形状はさらに、放出速度、治療期間および移植部位での薬剤濃度を制御するために使用することができる。より大きなインプラントは、比例して大きな用量を送達するが、質量比に対する表面に依存して、よりゆっくりとした放出速度を有する。インプラントの特定の寸法および幾何形状は、移植部位に適するように選択される。
α-2アドレナリン作動性レセプターアゴニスト、ポリマー、および任意の他の改質剤の割合は、種々の割合を有するいくつかのインプラントを処方することにより経験的に決定され得る。USP承認の溶解または放出試験方法を使用して、放出速度を測定することができる(USP 23;NF 18(1995), p.1790-1798)。例えば、無限沈下法(infinite sink method)を使用して、秤量したインプラント試料を、水中に0.9%NaClを含有する測定容量の溶液に添加すると、該溶液容量は、放出後の薬剤濃度が飽和の5%未満であるような容量になる。混合物を37℃に維持し、ゆっくり撹拌して、インプラントを懸濁状態に維持する。時間の関数としての溶解薬剤の外観を、当分野で既知の種々方法、例えば、分光光度的に、HPLC、質量分析等によって、吸収が一定になるまでか、または90%を超える薬剤が放出されるまで、追跡しうる。
本明細書に開示される眼球内インプラントに含まれるα-2アドレナリン作動性レセプターアゴニストまたはα-2アドレナリン作動性レセプターアゴニストに加えて、眼球内インプラントは、1つまたはそれ以上の付加的な眼科的に許容される治療剤も含有しうる。例えば、インプラントは、1つまたはそれ以上の抗ヒスタミン薬、1つまたはそれ以上の抗生物質、1つまたはそれ以上のβ遮断薬、1つまたはそれ以上のステロイド、1つまたはそれ以上の抗新生物薬、1つまたはそれ以上の免疫抑制薬、1つまたはそれ以上の抗ウイルス薬、1つまたはそれ以上の酸化防止剤、およびそれらの混合物を含有しうる。
本発明のシステムに使用しうる薬理学的または治療的薬剤は、米国特許第4474451号第4〜6欄、および同第4327725号第7〜8欄に開示されている薬剤を包含するが、それらに限定されない。
抗ヒスタミン薬の例は、ロラダチン、ヒドロキシジン、ジフェンヒドラミン、クロルフェニラミン、ブロムフェニルアミン、シプロヘプタジン、テルフェナジン、クレマスチン、トリプロリジン、カルビノキサミン、ジフェニルピラリン、フェニンダミン、アザタジン、トリペレナミン、デクスクロルフェニラミン、デクスブロムフェニラミン、メトジラジン、およびトリメプラジン、ドキシラミン、フェニラミン、ピリラミン、キオルシクリジン、トンジラミン、ならびにそれらの誘導体であるが、それらに限定されない。
抗生物質の例は、セファゾリン、セフラジン、セファクロール、セファピリン、セフチゾキシム、セフォペラゾン、セフォテタン、セフトキシム(cefutoxime)、セフォタキシム、セファドロキシル、セフタジジム、セファレキシン、セファロチン、セファマンドール、セフォキシチン、セフォニシド、セフォラニド、セフトリアキソン、セファドロキシル、セフラジン、セフロキシム、アンピシリン、アモキシリン、シクラシリン、アンピリシン、ペニシリンG、ペニシリンVカリウム、ピペラシリン、オキサシリン、バカンピシリン、クロキサシリン、チカルシリン、アズロシリン、カルベニシリン、メチシリン、ナフシリン、エリスロマイシン、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、アズトレオナム、クロラムフェニコール、塩酸シプロフロキサシン、クリンダマイシン、メトロニダゾール、ゲンタマイシン、リンコマイシン、トブラマイシン、バンコマイシン、硫酸ポリミキシンB、コリスチメテート、コリスチン、アジスロマイシン、オーグメンチン、スルファメトキサゾール、トリメトプリム、およびそれらの誘導体であるがそれらに限定されない。
β遮断薬の例は、アセブトロール、アテノロール、ラベタロール、メトプロロール、プロプラノロール、チモロール、およびそれらの誘導体である。
ステロイドの例は、コルチコステロイド、例えば、コルチゾン、プレドニゾロン、フルオロメトロン、デキサメタゾン、メドリゾン、ロテプレドノール(loteprednol)、フルアザコート、ヒドロコルチゾン、プレドニゾン、ベタメタゾン、プレドニゾン、メチルプレドニゾロン、リアムシノロンヘキサカトニド、酢酸パラメタゾン、ジフロラゾン、フルオシノニド、フルオシノロン、トリアムシノロン、それらの誘導体、ならびにそれらの混合物である。
抗新生物薬の例は、アドリアマイシン、シクロホスファミド、アクチノマイシン、ブレオマイシン、ジュアノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、マイトマイシン、メトトレキサート、フルオロウラシル、カルボプラチン、カルムスチン(BCNU)、メチル−CCNU、シスプラチン、エトポシド、インターフェロン、カンプトテシンおよびその誘導体、フェネステリン、タキソールおよびその誘導体、タキソテールおよびその誘導体、ビンブラスチン、ビンクリスチン、タモキシフェン、エトポシド、ピポスルファン、シクロホスファミド、およびフルタミド、ならびにそれらの誘導体である。
免疫抑制薬の例は、シクロスポリン、アザチオプリン、タクロリムスおよびそれらの誘導体である。
抗ウイルス薬の例は、インターフェロンガンマ、ジドブジン、塩酸アマンタジン、リバビリン、アシクロビル、バルシクロビル、ジデオキシシチジン、ホスホノ蟻酸、ガンシクロビルおよびそれらの誘導体である。
抗酸化剤の例は、アスコルベート、α−トコフェロール、マンニトール、還元型グルタチオン、種々のカロテノイド、システイン、尿酸、タウリン、チロシン、スーパーオキシドジスムターゼ、ルテイン、ゼアキサンチン、クリプトキサンチン、アスタザンチン(astazanthin)、リコペン、N−アセチル−システイン、カルノシン、γ−グルタミルシステイン、ケルセチン、ラクトフェリン、ジヒドロリポ酸、シトレート、イチョウエキス、茶カテキン、ビルベリーエキス、ビタミンEまたはビタミンEのエステル、レチニルパルミテート、およびそれらの誘導体である。
他の治療薬は、スクアラミン、炭酸脱水酵素阻害薬、αアゴニスト、プロスタミド、プロスタグランジン、駆虫薬、抗真菌薬、およびそれらの誘導体を包含する。
個々にまたは組み合わせてインプラントに使用される1つのまたは1以上の活性剤の量は、必要とされる有効投与量、およびインプラントからの所望放出速度に依存して広く変化する。通常、薬剤は、インプラントの少なくとも約1wt%、より一般的には少なくとも約10wt%であり、かつ、一般に約80wt%以下、より一般的には約40wt%以下である。
本明細書に開示する眼球内インプラントは、治療成分に加えて、有効量の緩衝剤、防腐剤等も含有しうる。好適な水溶性緩衝剤は、アルカリおよびアルカリ土類炭酸塩、燐酸塩、炭酸水素塩、クエン酸塩、ホウ酸塩、酢酸塩、琥珀酸塩等、例えば、燐酸、クエン酸、ホウ酸、酢酸、炭酸水素、炭酸等のナトリウム塩を包含するが、それらに限定されない。これらの緩衝剤は、システムのpHを約2〜約9、より好ましくは約4〜約8に維持するのに充分な量で存在するのが好都合である。従って、緩衝剤は、全インプラントの約5wt%もの量で存在する場合もある。好適な水溶性防腐剤は、亜硫酸水素ナトリウム、硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、アスコルベート、塩化ベンザルコニウム、クロロブタノール、チメロサール、酢酸フェニル水銀、ホウ酸フェニル水銀、硝酸フェニル水銀、パラベン、メチルパラベン、ポリビニルアルコール、ベンジルアルコール、フェニルエタノール等、およびそれらの混合物を包含する。これらの防腐剤は、0.001〜約5wt%、好ましくは0.01〜約2wt%の量で存在しうる。少なくとも1つの本願のインプラントにおいて、純粋な保存剤はインプラント内で提供される(例えば、α-2アドレナリン作動性レセプターアゴニストがブリモニジンである場合)。このように、これらのインプラントは、治療上有効量のAlphagan-P(登録商標)を含有してもよい。
ある場合には、同じかまたは異なる薬理学的物質を用いて、インプラントの混合物を使用することができる。
この場合、単回投与によって二相または三相放出を与える放出プロフィールの組み合わせが得られ、放出のパターンがかなり変化しうる。
さらに、米国特許第5869079号に記載されているような放出調節剤もインプラントに含有させてよい。使用される放出調節剤の量は、所望の放出プロフィール、調節剤の活性、および調節剤の不存在下のα-2アドレナリン作動性レセプターアゴニストの放出プロフィールに依存する。電解質、例えば塩化ナトリウムおよび塩化カリウムも、インプラントに含有させてよい。緩衝剤または促進剤が親水性である場合、それは放出促進剤としても作用しうる。親水性添加剤は、薬剤粒子を囲んでいる材料のより速い溶解(これは、露出した薬剤の表面積を増加させ、それによって薬剤の生体内分解速度を増加させる)によって、放出速度を増加させる作用をする。同様に、疎水性緩衝剤または促進剤は、よりゆっくり溶解し、薬剤粒子の露出を遅くし、それによって薬剤の生体内分解速度を遅くする。
特定のインプラントにおいて、ブリモニジンまたはブリモニジン酒石酸塩および生分解性ポリマーマトリクスを含む1つのインプラント(または複数の、6までのインプラント)は、眼への移殖約3-6ヶ月後に約0.1 mg〜約2.4 mgの間のブリモニジン量を放出または送達することができる。該インプラントは、ロッド状、棒状、板状またはウエハとして設定されてもよい。ロッド形状のインプラントを、720μmのノズルから押出されて、1 mgの寸法に切断された繊維から得ることができる。ウエハ形状のインプラントは、直径が約2.5 mm、厚さが約0.127 mm、および重量が約1 mgの円盤状ディスクであってもよい。
提案される3ヶ月の放出製剤は、PLA マトリクスまたはPOE マトリクスにおいてブリモニジン酒石酸塩を含有するロッド、ウエハまたはミクロスフェアの形状の滅菌および生体内浸食性であってもよい。インプラントは、薬剤のクリアランスを遅らせるように、かつ3ヶ月にわたって、移植の反復についての必要性を減少させるように設計され、これにより合併症のリスクが低下する。
種々の方法を使用して、本明細書に記載するインプラントを製造できる。有用な方法は、溶媒蒸発法、相分離法、界面法、成形法、射出成形法、押出法、同時押出法、カーバープレス(カーバープレス)法、ダイ打抜き法、熱圧縮法、それらの組合せ等であるが、必ずしもそれらに限定されない。
特定の方法が、米国特許第4997652号に記載されている。押出法を使用して、製造時の溶媒の必要性を回避することができる。押出法を使用する場合、ポリマーおよび薬剤は、製造に必要とされる温度(一般に、低くとも約85℃)にて安定であるように選択される。押出法は、約25℃〜約150℃、より好ましくは約65℃〜約130℃の温度を使用する。インプラントは、薬剤/ポリマー混合のために、約0〜1時間、0〜30分間、または5〜15分間にわたって、温度を約60℃〜約150℃、例えば約130℃にすることによって製造しうる。例えば、時間は、約10分間、好ましくは約0〜5分間であってよい。次に、インプラントを、約60℃〜約130℃、例えば約75℃の温度で押し出す。
さらに、インプラントを同時押出してもよく、それによってインプラントの製造の間に、コア領域に被膜を形成しうる。
圧縮法を使用してインプラントを製造してもよく、圧縮法は、一般に、押出法より速い放出速度のインプラントを生じる。圧縮法は、約50〜150psi、より好ましくは約70〜80psi、さらに好ましくは約76psiの圧力を使用し、約0℃〜約115℃、より好ましくは約25℃の温度を使用する。
本発明のインプラントは、2〜3mmの強膜切開後の鉗子またはトロカールによる配置を包含する種々の方法によって、眼、例えば眼の硝子体腔に挿入しうる。インプラントを眼に挿入するのに使用しうる器具(デバイス)の1つの例は、米国特許出願公開第2004/0054374号に開示されている。配置方法は、治療成分または薬剤放出速度論に影響を与えうる。例えば、トロカールでのインプラントの送達は、鉗子による配置より、硝子体内に深くインプラントを配置し、それによって、インプラントを硝子体の縁により近づけうる。インプラントの位置は、構成要素の周囲の治療成分または薬剤の濃度勾配に影響を与える場合があり、従って、放出速度に影響を与えうる(例えば、硝子体の縁の近くに配置するほど、より遅い放出速度を生じうる)。
本願のインプラントは、眼の血管閉塞、例えば網膜の血管閉塞を最小となるように、ある期間中に眼内である量のα-2アドレナリン作動性レセプターアゴニストを放出するよう構成される。網膜の血管閉塞は、多様な疾患、例えば、網膜動脈閉塞症、網膜中心静脈閉鎖、散在性脈管内凝血障害、網膜枝静脈閉鎖、高血圧眼底変更、眼の虚血症候群、網膜微細動脈瘤、半網膜静脈閉塞、網膜中心動脈閉塞、網膜動脈分枝閉塞症、頸動脈疾患(cad)、イールズ疾患および糖尿病関連血管障害をもたらし得る。α-2アドレナリン作動性レセプターアゴニスト含有インプラントを眼の硝子体内に移植することにより、該眼内にある血管内の閉塞を減少させるのに有効であると考えられる。
さらに、本願のインプラントは、ある期間、患者の緑内障を処置するために有効な、治療上有効量のα-2アドレナリン作動性レセプターアゴニストを放出するように構成される。
本明細書に開示するインプラントは、下記のような疾患または症状を予防するために、前記の別の治療薬を放出するように構成してもよい:
黄斑症/網膜変性:黄斑変性症(加齢性黄斑変性(ARMD)、例えば非滲出性加齢性黄斑変性および滲出性加齢性黄斑変性症を含む)、脈絡膜新生血管形成、網膜症(糖尿病性網膜症を含める)、急性および慢性斑状視神経網膜疾患、中心性漿液性脈絡網膜症、および黄斑浮腫(類嚢胞黄斑浮腫、糖尿病性黄斑浮腫を含む)。ブドウ膜炎/網膜炎/脈絡膜炎:急性多発性斑状色素上皮症、ベーチェット病、バードショット網膜脈絡膜症、感染症(梅毒、ライム病、結核、トキソプラズマ症)、中間部ブドウ膜炎(扁平部炎)および前部ブドウ膜炎を含むブドウ膜炎、多病巣性脈絡膜炎、多発消失性白点症候群(MEWDS)、眼類肉腫症、後強膜炎、蛇行状脈絡膜炎、網膜下線維症、ブドウ膜炎症候群およびフォークト−コヤナギ−ハラダ(VKH)症候群。血管疾患/滲出性疾患:網膜動脈閉塞症、網膜中心静脈閉鎖、散在性脈管内凝血障害、網膜枝静脈閉鎖、高血圧眼底変化、眼の虚血症候群、網膜微細動脈瘤、コーツ病、傍中心窩細血管拡張症、半網膜静脈閉塞、乳頭静脈炎、網膜中心動脈閉塞、網膜動脈分枝閉塞症、頸動脈疾患(CAD)、樹氷状血管炎、鎌状赤血球網膜症および他の異常ヘモグロビン症、網膜色素線条症、家族性滲出性硝子体網膜症およびイールズ疾患。外傷性/外科性:交感神経性眼炎、ブドウ膜炎網膜疾患、網膜剥離、外傷、レーザー、PDT、光凝固、手術時の血流低下、放射線性網膜症、骨髄移植網膜症。増殖性疾患:増殖性硝子体網膜症および網膜上膜、増殖性糖尿病性網膜症。感染性疾患:眼ヒストプラスマ症、眼トキソカラ症、推定眼ヒストプラスマ症症候群(POHS)、眼内炎、トキソプラスマ症、HIV感染に関連した網膜疾患、HIV感染に関連した脈絡膜疾患、HIV感染に関連したブドウ膜炎、ウイルス網膜炎、急性網膜壊死、進行性外網膜壊死、真菌性網膜疾患、眼梅毒、眼結核、広汎性片側性亜急性視神経網膜炎、およびハエウジ病。遺伝性疾患:網膜色素変性、網膜ジストロフィー関連全身性疾患、先天性停止性夜盲、錐体ジストロフィー、シュタルガルト病および黄色斑眼底、ベスト病、網膜色素上皮のパターンジストロフィー、X染色体性網膜分離、ソーズビー眼底ジストロフィー、良性同心性黄斑症、ビエッティ結晶性ジストロフィー、弾性線維性仮性黄色腫。網膜断裂/円孔:網膜剥離、斑状円孔、巨大網膜断裂。腫瘍:腫瘍に関連した網膜疾患、RPEの先天性肥大、後部ブドウ膜黒色腫、脈絡膜血管腫、脈絡膜骨腫、脈絡膜転移、網膜および網膜色素上皮の複合過誤腫、網膜芽細胞腫、眼底の血管増殖性腫瘍、網膜星状細胞腫、眼内リンパ系腫瘍。その他の疾患(Miscellaneous):点状脈絡膜内層症、急性後多発性斑状色素上皮症、近視性網膜変性、急性網膜色素上皮炎等。
一実施態様において、インプラント、例えば、本明細書に開示するインプラントを、ヒトまたは動物患者、好ましくは生きているヒトまたは動物の眼の後区に投与する。少なくとも1つの態様において、眼の網膜下腔に接近せずに、インプラントを投与する。例えば、患者の治療法は、後眼房に直接的にインプラントを配置することを含みうる。他の態様において、患者の治療法は、硝子体内注入、結膜下注入、テノン下注入、眼球後注入および脈絡膜上注入の少なくとも1つによって、患者にインプラントを投与することを含みうる。
少なくとも一実施態様において、患者における網膜の血管閉塞を低下する方法は、本明細書に開示する1つまたはそれ以上のα-2アドレナリン作動性レセプターアゴニストを含有する1つまたはそれ以上のインプラントを、硝子体内注入、結膜下注入、テノン下注入、眼球後注入および脈絡膜上注入の少なくとも1つによって、患者に投与することを含んで成る。適切な太さの針、例えば、27ゲージ針または30ゲージ針を含む注入器具を効果的に使用して、ヒトまたは動物の眼の後区に組成物を注入することができる。インプラントからのα-2アドレナリン作動性レセプターアゴニストの長期間放出により、反復注入が必要でない場合が多い。
本発明の他の態様において、下記を含んで成る眼症状の治療用キットを提供する:a)α-2アドレナリン作動性レセプターアゴニスト、例えばブリモニジン遊離塩またはブリモニジン酒石酸塩(例えば、Alphagan-P)、を含有する治療成分および薬剤放出持続成分を含む持続性放出インプラントを含有する容器、およびb)使用説明書。使用説明書は、インプラントの取扱い方法、眼領域へのインプラントの挿入方法、およびインプラントの使用により予期される事柄を含みうる。
下記の実施例は、本発明の実施形態を説明するものである。以下の実施例に記載した製剤を、かなりの難易度でもって開発した。即ち、後記する実施例に記載した具体的に有用な製剤に到達するまでに、100種を超える製剤を試験した。約35重量%よりも多く薬剤(即ち、ブリモニジン)を担持することにより、高いバーストおよびその後の低い薬剤放出プロフィールが確保されることを決定した。即ち、我々は、多くのブリモニジン遊離塩(BFB)の製剤がインビトロにて遅延放出期間を示したが、一方多くのブリモニジン酒石酸塩(BT)製剤は初期バースト放出を示したことを決定した。加えて、多くの50:50(BT:BFB)製剤が、バーストおよび後の段階での低い薬剤放出(非常に遅いかまたは最小の薬剤放出速度)を提示したことを決定した。
しかし、我々は、特定のBT、BFB、およびポリマー(PLAおよびPLGA)の組合せにより、図1に示されるような所望の放出プロフィールが達成されることを、粘り強く取り組んで見出した。我々は、低分子量の酸末端封鎖ポリ(D,L-ラクチド-コ−グリコリド)ポリマー(RG502H)の添加および低い割合のBTが所望の放出特徴を得るために重要であること、そして2種のエステル末端封鎖ポリ(D,L-ラクチド)ポリマー(R203およびR208)のみが製剤中に存在することは所望の放出プロフィールを示さないことを決定した。従って、特定の親水性と疎水性ポリマーのバランスが、正確な放出プロフィールを達成するために重要であった。
かねてより、低分子量(約20,000ダルトン未満の分子量、好ましくは全て15,000 ダルトン未満の分子量)の親水性ポリマーの使用により、製造された押出薬剤インプラントが顕著な初期バースト放出をもたらすと考えられた。これに反して、我々は、例えば、2つエステル末端封鎖ポリ(D,L-ラクチド)ポリマー(即ち、R203およびR208)との組合せにおける、特定の量、比率および低分子量ポリマー:エステル末端封鎖ポリ(D,L-ラクチド)の割合を使用することにより、所望の線形放出プロフィールおよび非バースト放出プロフィールがもたらされることを決定した。
実施例1
改善された放出プロフィールを有する高担持ブリモニジンインプラント
先に記載したように、該α-2アドレナリン作動性レセプターアゴニストブリモニジンの局所適用は、開放隅角緑内障および高眼圧症を処置するために局所投与される場合に効果的であることは知られる。ブリモニジンは硝子体内に施与された場合、神経保護および視力増強特性もあたえる。我々は、徐放性ポリマーインプラントが、それぞれ前眼または後眼症状を処置するために、テノン嚢(即ち、テノン下腔)および/または硝子体内で長期間にわたってブリモニジンの治療投与量を効果的に送達できることを決定した。それは、インプラントにとって、治療薬剤の投薬期間を増大させる(投与されたインプラントから治療剤を放出する一定の期間により)ことができるような活性な薬剤の量を送達するのに(即ち、担持される)非常に有利である。本実施例において、驚くべきとことに、ブリモニジン酒石酸塩(BT)に代えてブリモニジン遊離塩(BFB)を使用することにより、特定の生体内浸食性ポリマーから構成されたインプラントが、同一のポリマーを含み、かつ同じ方法により製造された同重量のインプラントに対して、BTとは対照的に51%以上のモルのBFBを送達することができたことを我々は決定した。しかし、BFBは、BT(ブリモニジンの酒石酸塩)ほど水溶性ではないため、インプラントの投与により、BFB放出プロフィールにおいて実質的な遅延時間が存在し得る。さらに、BTのより高い担持量を有するインプラントは、BTの高い溶解度のために、「バースト」放出を示すことが多い(BFBと比較した場合に)。このため、我々は、さらに特定のポリマーを有する新規製剤を開発し、ならびに、有意に高いBFB薬剤担持量(薬剤としてBTと共に担持可能な重量%の薬剤量と比べて)の許容により、我々が可能なポリマーの無限の組合せ物から発見した特定のポリマーの新規製剤の徐放性ポリマーインプラントからのブリモニジン遊離塩の実質的に線形の放出プロフィールを示すものである。
特に、我々は、初期「バースト」または「遅延」期間を示さない改善された放出プロフィールを示す高担持ブリモニジン遊離塩を含有する徐放性ポリマーインプラントを開発し、我々の新規製剤は生分解性ポリマーマトリクス中に分散したブリモニジン遊離塩(BFB)を含有する。この実施例において、ポリマーマトリクスは、2種のポリ(D,L-ラクチド)(PLA)ポリマーおよび一種のポリ(D,L-ラクチド-コ−グリコリド)(PLGA)ポリマーからなる。ブリモニジン遊離塩は水難溶性であり、該インプラントを高い疎水性にする、そのため、通常、移殖すると初期の水透過性が遅延され、結果としてBFBの放出および「遅延」が観察される。驚くべきことに、我々が開発した高担持インプラントは60重量%程度のBFBを含み、それにもかかわらずバーストや遅延期間がないほぼ線形の放出プロフィールを示す。
実施態様として、我々の発明の範囲内において、我々は、50wt% (高担持) BFB、20wt% R203S(PLA ポリマー)、20wt% R208 (同様にPLA ポリマー)、および10wt% RG502H (PLGA ポリマー)を含有する熱間押出インプラント(heat extruded implant)(製剤 R-2007-8933-028)を製造した。我々の発明の別の実施態様は、60wt% (非常に高担持) BFB、16 wt% R203S、16 wt% R208、および8 wt% RG502Hを含む熱間押出インプラント(製剤 R-2007-8933-060)であった。ポリマーは、Boehringer Ingelheim [Resomer(登録商標)]から受領したものを使用した。ブリモニジン遊離塩およびブリモニジン酒石酸塩をAsh Stevens, Inc.(Riverview, MI)から得た。
この実験においてポリマーインプラントを、二軸マイクロコンパウンダー/押出機(例えば、DSMにより製造)を使用する溶融(加熱)押出法により製造したが、それらはまた直接圧縮または溶媒一体成型によっても製造できる。製造したインプラントは、棒形状(1.0 mm x 0.5 mmの平均寸法を有する)であった、それらを押出または圧縮ダイを変えて、その他の任意の幾何学的形状とすることもできる。
選択されたポリマーおよびBFBを、2つの10mm ステンレス鋼ボールを含有するステンレス鋼容器内で合わせて、Turbulaミキサーにおいて15分間混合した。該容器をミキサーから取出し、粉末混合物をスパチュラで攪拌した。該粉末混合物を、均一性について検査し、この混合方法を反復した。
DSM二軸マイクロコンパウンダー/押出機を製造指示書に従って設定した。押出機の出力(output)は、押出される棒の厚さを制御するためのレーザーマイクロメーターおよびプラーにより適合される。DSM二軸マイクロコンパウンダー/押出機を、押出温度(85℃から110℃の間)と平衡とし、次いで該粉末混合物を、手動で2 g/分の速度で押出スクリューに供給する。この速度は一定の処理量およびトルクを維持した。
次いで、押出された繊維を2mgの棒(おおよそ3mm長)に切断し、リン酸塩生理緩衝液(pH 7.4、0.01M)中の薬剤放出をHPLCにより追跡した。この実施例1で製造したサンプル製剤から得たインビトロでの放出データを図1に示した。様々なポリマー比率にてBFBを60%担持する他の一連の製剤群は、この放出速度効果を同様に示した。製造した製剤の例示を表1に要約した。
Figure 0005580832
1.エステル末端封鎖ポリ(D,L-ラクチド)ポリマー
2.末端封鎖ポリ(D,L-ラクチド-コ−グリコリド)ポリマー

驚くべきことに、高担持BFBインプラントは、図1のインプラントに示されるように(例えば、60wt%BFBについて5〜50日間にわたり)実質的に線形の放出速度(即ち、直線状の経時的放出)にて、製造できたことがこの実験から示された。

実施例2
線形放出速度を有するブリモニジンインプラント
ブリモニジン酒石酸塩は、ブリモニジン遊離塩よりも水溶性が高く、そのためBTを含有するインプラントは、表面のブリモニジン酒石酸塩の効果により「バースト」放出を示すことが多い。一方、ブリモニジン遊離塩は水溶性ではなく、インプラントの疎水性が高くなる。この場合には、初期水透過性が遅延されて、結果としてブリモニジンの放出はBFB放出プロフィールにおける「遅延」として観察される。
この実験において、我々は、実施例1のインプラントにて得られた以上に、より実質的な線形放出速度を有し、かつインプラントから観察される有意な「バースト」または「遅延」ブリモニジン放出のいずれも示さないインプラント製剤を見出した。こうして、我々は、いくつかの異なるポリマーを含む生分解性マトリクス中に分散されたブリモニジン遊離塩(BFB)およびブリモニジン酒石酸塩(BT)の組合せ物として、これら新規の実施例3の製剤を開発した。この実施例において、最も好ましい製剤 (R-2007-8933-035)は、2つの異なるエステル末端封鎖PLAおよび1つの酸末端封鎖PLA、ならびにBFBおよびBTの混合物であるポリマーマトリクスからなる。このように、この実施例において、我々は構造的に安定であって、かつ初期バースト効果または遅延がないゼロオーダー(直線)の放出速度を提供する徐放性薬剤送達製剤を開発した。製造した製剤を表2に要約し、放出プロフィールを図2に示した。
RG502Hは(50:50)ポリ(D,L-ラクチド-コ−グリコリド)であり、RG752sは(75:25)ポリ(D,L-ラクチド-コ−グリコリド)であり、R202Hは酸末端基または末端酸基を有する100% ポリ(D, L-ラクチド)であり、R203およびR206は、両方100% ポリ(D, L-ラクチド)である。RG502、RG752、R202H、R203、およびR206のインヘレント粘度は、各々0.2、0.2、0.2、0.3および1.0 dL/g。RG502HおよびRG752sのインヘレント粘度は、0.16と0.24 dl/gの間である。R203sのインヘレント粘度は、0.25から0.35 dl/gの間である。RG502、RG752、R202H、R203、およびR206の平均分子量は、各々11700、11200、6500、14000、および63300ダルトンである。
Figure 0005580832
1エステル末端封鎖ポリ (D,L,-ラクチド) ポリマー
2酸末端封鎖ポリ (D,L,-ラクチド-コ−グリコリド) ポリマー
3酸末端封鎖ポリ (D,L,-ラクチド) ポリマー
製造した実施例2の製剤は、ブリモニジン遊離塩、ブリモニジン酒石酸塩、2つ疎水性のエステル末端封鎖ポリ(D,L-ラクチド)ポリマー (PLA)、および酸末端封鎖ポリ(D,L-ラクチド-コ−グリコリド) ポリマー(PLGA)を含有する。1つの製剤(R-2007-8933-035)は、40% BFB、10% BT、20% R203S (PLA)、20% R208 (第二のPLA)、および10% R202H (また、第三のPLA)を含有し、ほぼ完全な線形の放出速度、即ち図2におけるこの点線は完全な線形の放出を示した。さらに、図2は、製造した実施例2の新規製剤である3種のポリマー製剤と実施例1の高担持BFBインプラントの比較を示す。異なるポリマー比率を有するが同じBFB:BT比率を有する我々の製造した他の製剤は、同じゼロオーダーの放出速度を示すことが出来なかった。
インプラントを、実施例1に記載した同じ熱間押出方法を用いて作成し、インビボでの放出データもまた、実施例1に記載した方法により得た。
実施例3
眼の徐放性ポリマーインプラントのための高担持の押出成型された棒および射出成型されたディスク
この実験において、我々は、棒形状の徐放性ポリマーインプラントおよびディスク形状の徐放性ポリマーインプラントを、治療目的(IOPを低下させる)のために、眼の縁の後方部分にてインビボでテノン嚢の下および強膜上部に挿入した。我々は、薬剤のインビボ放出を制御し、眼球内の投与部位から解剖学的に離れた部位で少量の薬剤にて長期間維持したことを見出した。
この実施例において製造したインプラントの異なる形状(棒またはディスク)は、上強膜領域(強膜内)へのインプラントの接触表面を最大にし、これはこの拡散を基にしたインプラントシステムにとって望ましい。また、我々は、棒の形状をしたインプラント長軸上の丸くなった縁を有することにより、円柱形状を有するロッド状またはフィラメント状のインプラントと比較して、結膜びらん(conjunctival erosions)を覆う可能性および投与部位からのインプラントの押し出しについての可能性を低下することを見出した。有利には、これらの低いプロフィール、フラットなインプラント(棒またはディスク)は、該インプラントの長軸とテノン嚢下腔内の縁と平行に置く。また、これらのインプラントは注入されてもよく、これは外科的に移植されるインプラントよりも重要な利点である。また、棒状インプラント(対してロッド形状)は、瞬きの作用により転がることも少ない傾向にあり、この事はかかるインプラントに安定性を高め、患者にとっての異物感を軽減させる。結果として、棒状インプラントが、2つの異なるフラットな側面(1つの側面を、結膜側に対して薬剤の拡散を低下させ得るポリマーで被覆することができ、そして強膜側に対してより薬剤放出を促進できるポリマーによって被覆することができる)を有することによって提供される。結膜二重層内のリンパ管の豊富な供給はテノン嚢下腔から薬剤を排出する時に非常に有効であるので、結膜への薬剤暴露を低下させることは有利であり、結果として標的組織(即ち、毛様体領域)への薬剤暴露を低下させる。
ディスク状のインプラント形状は、1.0 mm未満または1.0 mmに等しい好ましい高さを有するが、好ましくは0.5 mm未満または0.5 mmに等しい高さを有しており、これは結膜びらんについての可能性を低下できる。ディスク形状のインプラントは、多量の薬剤を保持する利点を有し、テノン嚢下腔から浸食する傾向が低いという利点を有する。
この試験において、棒状のインプラントを、二軸マイクロ押出機での溶融押出により製造したが、しかしそれらを直接圧縮または溶媒一体成型によっても製造することができる。
溶融押出によって製造した棒形状の製剤(R-2007-8933-059)の一実施態様は、図4に示したインビボでの放出特徴を有する生分解性ポリマーマトリクス内に分散されたブリモニジン遊離塩(BFB)を含有した。この059 製剤において、ポリマーマトリクスは、2つポリ(D,L-ラクチド)PLA ポリマーおよび1つのポリ(D,L,-ラクチド-コ−グリコリド)ポリマーからなる。BFBを60%担持するが、異なるポリマー比率を有するその他の一連の製剤は、同様にこの線形放出効果を示した。製造したBFB製剤を表3に要約する。
Figure 0005580832

1エステル末端封鎖ポリ (D,L,-ラクチド) ポリマー
2酸末端封鎖ポリ (D,L,-ラクチド-コ−グリコリド) ポリマー
組合せた二軸マイクロ押出機および射出成型系を使用して、ディスク形状のインプラントを製造した。二軸マイクロ押出機からのメルトストリーム(melt stream)はダイ開口部を通過し、直ちに加熱されたトランスファーシリンダーに入る。該溶融物(melt)がシリンダーに充填された場合に、プランジャーをシリンダーから押し出した。次に、シリンダーを、射出成型ユニットの成型クレードル中に納めた。空気圧ラムにより、溶融物を、冷却して固化する型に溶融物を送り込むプランジャーが押された。成型サンプルを、必要であれば、圧縮空気の助力を用いて成型型から取り出した。ディスク形状インプラントはおおよそ3.5 mgの重量であって、そのインビボ薬剤放出をリン酸塩生理緩衝液(pH 7.4)中でHPLCにより追跡した。
図5は、射出成型により製造したディスク形状製剤の放出プロフィールを示す。この製剤(R-2007-8933-064)は、50% BFB、18% R203S、18% R208、8% RG752s、および6% PEG-3350を含む。BFBの類似した担持を有するが、異なるポリマー比率を有する他の一連の製剤は、同様にこの効果を示す。製造したディスク形状製剤を表4に要約する。
Figure 0005580832

1エステル末端封鎖ポリ (D,L,-ラクチド) ポリマー
2酸末端封鎖ポリ (D,L,-ラクチド-コ−グリコリド) ポリマー
3酸末端封鎖ポリ (D,L,-ラクチド) ポリマー
テノン嚢下に移植された棒形状のインプラントにより、ウサギにおけるIOP低下が示された。即ち、4匹のNZW ウサギを麻酔し、眼の手術のために準備した。眼瞼鏡を置き、結膜の切開を上耳側(superotemporal)四分円内でWescott鋏を使用して行った。テノン嚢下ポケットを作成し、4つのブリモニジン酒石酸塩の棒状インプラント(製剤番号: R-2007-8931-008G、60%薬剤、20% R203s、20% R208)(各々600μgのBTを含有する)を上強膜に置いた。結膜を、90 ビクリル縫合糸を用いて縫合した。眼は、テノン嚢下の棒状インプラントにより数週間にわたって持続性のIOP低下を示した。IOPの平均低下(ベースラインからの%変化を測定した)は、7日間まで25%であった。その後、IOP低下は25〜42%の範囲にわたり、8週間までにベースラインまで戻った。棒状のインプラントは十分に耐用性であって、該動物は任意の不快症状を示さなかった。臨床試験は、インプラントにわたり結膜びらんの兆候は示さず、またインプラントの押し出しのいずれの兆候もなかった。経時的なIOP%の低下を図6に示す。
実施例4
生分解性ポリマーマトリクスに付随するブリモニジンを含有する眼球内インプラントによる緑内障の処置
68齢メスを、上昇した眼球内圧レベルにて診断し、そして緑内障と診断する。ブリモニジン酒石酸塩 (実施例1の製剤 8933-060)(1,200μg)を含有する棒形状のインプラント(2 mg)を、トロカールを用いて女性の両眼の硝子体に置いた。あるいは、該インプラントをテノン腔下に投与できる。約2日数後に、眼球内圧はベースラインより40-50%低下した。
上記実施例にある本発明の実施形態は、次の利点を有する:(1)α-2-選択的アドレナリン作動性レセプターアゴニストの徐放性製剤を提供すること、例えば、投与され得る(即ち、好適なインプラントの強膜内注射または移植により)ブリモニジンを1〜6ヶ月毎に1回投与して、α-2-選択的アドレナリン作動性レセプターアゴニスト治療剤の定期的な投薬を、それが必要な患者の眼に提供して、眼の症状(例えば、緑内障の特徴である上昇した眼球内圧)を処置する;(2) α-2-選択的アドレナリン作動性レセプターアゴニスト(例えば、ブリモニジン)の徐放性製剤を提供すること、これは、1〜6ヶ月毎に1回投与され得て(即ち、好適なインプラントの硝子体内注射または移殖により)、α-2-選択的アドレナリン作動性レセプターアゴニスト治療剤の定期的な投薬を、それが必要な患者の眼へ提供して、眼の症状、例えば神経変性の別の網膜の障害または症状、例えば黄斑変性症、黄斑浮腫または他の網膜症を処置する、および(3) 急速な薬剤洗浄の副作用、眼の不快症状、結膜充血 (眼の赤み)、刺痛、痛み、低下した涙生成および機能、低下した涙液層安定性、表存性点状角膜炎、扁平上皮細胞化生、および細胞形態学の変化を示さないか、または低下する、緑内障を処置するためのα-2アゴニストの眼球内の徐放性製剤を提供する。
前記の全ての文献、論文、特許、出願および刊行物は、それらの全内容が参照により本明細書に組み入れられる。
従って、以下の特許請求の範囲の精神および範囲を、前記の推奨実施形態の記載に限定すべきでない。
本発明は、様々な特定態様および実施形態に関して説明しているが、本発明は、それらに限定されるべきではなく、以下の特許請求の範囲の範囲内において様々に実施され得るものであると理解されたい。

Claims (5)

  1. 下記のものを含んでいる、眼球内の使用に好適な生分解性インプラント:
    (a)40重量%のブリモニジン遊離塩
    (b)10重量%のブリモニジン酒石酸塩
    (c20重量%の、0.25〜0.35dl/gのインヘレント粘度を有する第一のエステル末端封鎖ポリ(D,L-ラクチド)ポリマー、
    (d)20重量%の第二のエステル末端封鎖ポリ(D,L-ラクチド)ポリマー、および
    (e)10重量%の、0.2dl/gのインヘレント粘度を有する酸末端封鎖ポリ(D,L-ラクチド)ポリマー。
  2. 第一および第二のエステル末端封鎖ポリ(D,L-ラクチド)ポリマーが異なるエステル末端封鎖ポリ(D,L-ラクチド)ポリマーである、請求項1記載のインプラント。
  3. インプラントが棒またはディスク形状である、請求項1または2記載のインプラント。
  4. 内障の処置のための、請求項1〜3のいずれかに記載のインプラント。
  5. 眼球内への移植または挿入後、20〜50日間にわたってブリモニジンを直線的に放出する、請求項1〜4のいずれかに記載のインプラント。
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