JP5576129B2 - マイクロ波加熱暖房機 - Google Patents

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Description

本発明は、鉱物にマイクロ波を照射することにより加熱する暖房機に関する。
従来、密閉容器内の難燃性の油を電熱器で暖めて循環させてフィン(放熱板)から放熱し、輻射熱によって部屋を暖める暖房機としてオイルヒータがある。オイルヒータは、燃焼を伴わずフィンも高温にならないため、火災等の心配がなく安全性の面からも注目されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2002−257368
しかしながら、オイルヒータは暖まるのが遅く、電気代も高くつくという問題があった。
そこで本発明は、加熱速度が速く、熱変換効率の高い暖房機を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明のマイクロ波加熱暖房機は、マイクロ波を放射するマイクロ波放射部と、前記マイクロ波によって発熱する鉱物からなる発熱部と、前記発熱部を覆う断熱部と、前記発熱部及び断熱部を内部に有すると共にマイクロ波が外部に漏れるのを防止する電磁シールド部と、前記発熱部で発生した熱を外部に放熱する放熱部と、を具備することを特徴とする。
この場合、前記鉱物は、2.45GHzのマイクロ波を加えると25℃から3分で180℃以上に達するものであることが好ましい。例えば、前記鉱物として、Fe2O3を重量比で5%以上含む玄武岩を用いることができる。また、このような鉱物の形状は、単位時間当たりの放射熱を多くしたい場合には、表面からの遠赤外線放射が大きい板状に形成すれば良く、保温性を高くしたい場合には、内容積に比し表面積が少なく、内部から均等に加熱できる円柱状に形成すれば良い。また、前記マイクロ波発生手段が発生するマイクロ波の周波数は、2.4GHz〜2.5GHzである方が好ましい。
また、本発明のマイクロ波加熱暖房機は、マイクロ波によって鉱物を発熱させ、当該熱を外部に放熱することを特徴とする。
この場合、前記鉱物は、2.45GHzのマイクロ波を加えると25℃から3分で180℃以上に達するものであることが好ましい。例えば、前記鉱物として、Fe2O3を重量比で5%以上含む玄武岩を用いることができる。また、前記マイクロ波の周波数は、2.4GHz〜2.5GHzである方が好ましい。
本発明のマイクロ波加熱暖房機は、鉱物をマイクロ波によって加熱するため、急速に加熱することができると共に熱効率が非常に高く消費電力を抑えることができる。また、鉱物は熱容量が高く、割安な時間帯の電力(深夜電力)を用いて蓄熱し、電力が割高な時間帯に熱を放出することにより、ランニングコストを削減することができる。また、従来廃棄していた鉱物を用いるので、製造コストも抑えることができる。
板状の鉱物を用いたマイクロ波加熱暖房機の正面断面図である。 板状の鉱物を用いたマイクロ波加熱暖房機の平面断面図である。 円柱状の鉱物を用いたマイクロ波加熱暖房機の正面断面図である。 円柱状の鉱物を用いたマイクロ波加熱暖房機の平面断面図である。 種々の鉱物を、2.45GHzのマイクロ波によって加熱した際の時間と温度の関係を示す図である。
本発明のマイクロ波加熱暖房機10は、図1に示すように、マイクロ波を放射するマイクロ波放射部1と、マイクロ波によって発熱する鉱物21からなる発熱部2と、発熱部2を覆う断熱部3と、発熱部2及び断熱部3を内部に有すると共にマイクロ波が外部に漏れるのを防止する電磁シールド部4と、発熱部2で発生した熱を外部に放熱する放熱部5と、で主に構成される。
マイクロ波放射部1は、マイクロ波を発生し発熱部2の鉱物21に放射するものである。例えば、図1又は図3に示すように、マイクロ波を発生するマグネトロン11と、マグネトロン11に電力を供給する電源(図示せず)と、マグネトロン11で発生したマイクロ波を出力するアンテナ(図示せず)と、出力されたマイクロ波を発熱部2へ導く導波管12とで構成される。
ここで、マグネトロン11やアンテナは、使用するマイクロ波の波長により自由に選択できるが、他の電子機器に電波障害が発生するのを防止する観点からは、国際規格で定められたISMバンド(2.4〜2.5GHz)のマイクロ波を発生・出力できるものが良い。例えば、電子レンジで一般的に使われる2.45GHzのマイクロ波を発生するマグネトロンを用いることができる。
発熱部2には、マイクロ波放射部1から放射されたマイクロ波によって内部加熱を生じる鉱物21が用いられる。当該鉱物21としては、2.45GHzのマイクロ波を発生する600Wの電子レンジで18℃、300gの鉱物21を加熱した際に、3分で150℃以上、好ましくは180℃以上、更に好ましくは200℃以上に達するものが良い。
このような鉱物21としては、所定の玄武岩を用いることができる。例えば、六晶石(登録商標)は、凝灰岩質玄武岩で、短冊状の斜長石とその間を充填する単斜輝石・不透明鉱物・少量の橄欖石、球状又は不定形のセラドナイトからなり、いわゆる紫水晶の周辺岩石中で取り囲む分布をする鉱物である。成分としては、Fe2O3を重量比で5%以上含むものが好ましく、特に7%以上含むものが好ましい。
次に、18℃、300gの種々の鉱物を、2.45GHzのマイクロ波を発生する600Wの電子レンジで加熱した際の時間と温度を表1、図5に示す。鉱物としては、黒色の六晶石(玄武岩)、茶色の六晶石(玄武岩)、麦飯石、黒曜石、虎眼石、紫水晶、紅水晶、白水晶を用いた。
Figure 0005576129
表1から明らかなように、六晶石(登録商標)のような所定の玄武岩は、マイクロ波によって極めて速やかに加熱されることがわかる。
鉱物21の形状は、単位時間当たりの放射熱を多くしたい場合には、図1及び図2に示すように、表面からの遠赤外線放射が大きい板状に形成すれば良い。また、保温性を高くしたい場合には、図3及び図4に示すように内容積に比し表面積が少なく、内部から均等に加熱できる円柱状に形成すれば良い。この際、鉱物21は、単体からなるものであっても、複数を板状又は円柱状等に配置したものであっても良い。
表1から選択した鉱物についてX線回折によりFe2O3の重量%を解析した(表2)。その結果、六晶石はいずれもFe2O3含量が高いことが判明した。
Figure 0005576129
発熱部2には、複数種類の鉱物を配置するようにしても良い。例えば、マイクロ波による発熱効率の高い鉱物21と、熱容量の大きい鉱物とを組み合わせることにより、加熱速度が早く、蓄熱量の大きい暖房器具を製造することができる。
なお、鉱物21は、熱容量が大きく熱を蓄熱することができるが、当該蓄熱量は、外気温を測定する温度センサー(図示せず)や日時などの情報に基づいて、コンピュータ(制御手段6)により制御しても良い。これにより、無駄な蓄熱を減らして省エネを図ったり、割安な時間帯の電力(例えば深夜電力)を用いてコストを削減することができる。
断熱部3は、発熱部2を覆う断熱材31からなる。この場合、断熱材31は、少なくとも600℃以上の耐熱性を有すると共に、マイクロ波を透過するものが良い。断熱材31としては、例えば、グラスウール等を用いることができる。
電磁シールド部4は、発熱部2及び断熱部3を内部に収納する。また、マイクロ波が外部に漏れるのを防止する電磁シールド機能を有する材料で形成される。具体的には、金属板や金網(ワイヤーメッシュ、エキスパンドメタル、パンチングメタル等)、金属膜(金属箔、蒸着、メッキ等)、金属溶射、導電塗装、導電性プラスチックなどで、漏洩マイクロ波が0.5mW/cm以下とすることができるものを用いることができる。これにより、電磁波障害等を防止することができる。この電磁シールド部4の形状及び大きさは発熱部2及び断熱部3を収納できるものであれば任意で良いが、好ましくは、マイクロ波放射部1で発生したマイクロ波を共振させる寸法が良い。
放熱部5は、発熱部2の熱を外部へ放熱するもので、例えば、発熱部2と外部とをつなぐ放熱器(図示せず)を設けることができる。放熱器としては、ラジエター等を用いることができる。また、自然対流による放熱でも良いが、例えばラジエター(放熱板)に空気を送風するファン等の送風手段(図示せず)を設けても良い。
また図2に示すように、放熱部5は電磁シールド部4の上方部に設ける方が好ましく、吸気口51は電磁シールド部4の下方に設けるのが好ましい。
また、放熱部5に開閉可能な蓋52を設けても良い。この場合、外気温を測定する温度センサーや日時などの情報に基づいて、当該蓋52の開閉をコンピュータ(制御手段6)によって制御すれば、暖房温度を調節することができる。
このように形成されたマイクロ波加熱暖房機10は、電源からの電力でマグネトロン11が駆動し、マイクロ波が発生する。このマイクロ波はアンテナから出力され、導波管12を介して電磁シールド部4内の鉱物21へと導かれる。鉱物21内の荷電粒子や電気双極子は、マイクロ波による振動電磁場の影響で回転又は振動し、熱が発生する。鉱物21は断熱材31で覆われているため熱は鉱物21に蓄熱され、放熱部5から放熱されることになる。
マイクロ波加熱暖房機10は、暖房目的であればどのようなものにも適用でき、例えば、植物温室用に用いることができる。この場合、気温が最も下がる時間帯が深夜から明け方にかけてであるため、深夜電力を使用することによりランニングコストを大幅に節約することができる。
1 マイクロ波放射部
2 発熱部
3 断熱部
4 電磁シールド部
5 放熱部
6 制御手段
10 マイクロ波加熱暖房機
11 マグネトロン
21 鉱物
31 断熱材
51 吸気口
52 蓋

Claims (10)

  1. マイクロ波を放射するマイクロ波放射部と、
    前記マイクロ波によって発熱する鉱物からなる発熱部と、
    前記発熱部を覆う断熱部と、
    前記発熱部及び断熱部を内部に収納すると共にマイクロ波が当該内部から外部に漏れるのを防止する電磁シールド部と、
    前記発熱部で発生した熱を外部に放熱する放熱部と、
    を具備することを特徴とするマイクロ波加熱暖房機。
  2. 前記マイクロ波放射部は、前記電磁シールド部の内部に収納された発熱部に前記マイクロ波を導く導波管を有することを特徴とする請求項1記載のマイクロ波加熱暖房機。
  3. 前記放熱部を開閉可能な蓋を具備することを特徴とする請求項1又は2記載のマイクロ波加熱暖房機。
  4. 前記蓋の開閉を制御する制御手段を具備することを特徴とする請求項3記載のマイクロ波加熱暖房機。
  5. 前記放熱部は、前記電磁シールド部の上方に設けられると共に、前記電磁シールド部の下方に設けられた吸気口を有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のマイクロ波加熱暖房機。
  6. 前記発熱部の蓄熱量を制御する制御手段を具備することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のマイクロ波加熱暖房機。
  7. 前記断熱部は、600℃以上の耐熱性を有する断熱材からなることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のマイクロ波加熱暖房機。
  8. 前記鉱物は板状に形成されることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載のマイクロ波加熱暖房機。
  9. 前記鉱物は円柱状に形成されることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載のマイクロ波加熱暖房機。
  10. マイクロ波によって発熱する鉱物からなる発熱部及び当該発熱部を覆う断熱部を内部に収納すると共にマイクロ波が当該内部から外部に漏れるのを防止する電磁シールド部内にマイクロ波を放出し、当該マイクロ波によって前記鉱物を発熱させ、当該熱を外部に放熱することを特徴とするマイクロ波加熱暖房方法。
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