JP5575342B1 - ガス化炉冷却構造、ガス化炉及びガス化炉のアニュラス部拡大方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】炭素質固体燃料をガス化した生成ガスが円形断面の圧力容器内に形成された矩形断面の炉壁22内を通過して流れ、生成ガスを炉壁22内に複数設置された熱交換器30の伝熱管内を流れる流体との熱交換により冷却するガス化炉冷却構造であって、炉壁22の断面形状が、矩形断面角部Cに傾斜面23を設けて多角形構造とした形状とされる。
【選択図】図1
Description
この熱交換器は、Syn Gas Cooler (SGC) と呼ばれる伝熱管により形成され、炉壁(SGC周壁)と、内部に設置された伝熱管(SGC)との集合体(伝熱管群)であり、ガス化炉の炉壁内後流部において、炉壁内部を流れる高温の生成ガスから伝熱管内部を流れる水等の流体が吸熱してガス温度を低下させるように構成されている。
なお、ガス化炉内に設置される熱交換器は、例えば矩形断面の炉壁内にバンクを配置する構造が一般的であるが、例えば下記の特許文献1に開示されているように、六角形の煙道内に配置した構造もある。
また、アニュラス部には、管寄せ及び連絡管を配置する必要がある。しかし、アニュラス部は、図2(c)に示すように、円形断面の圧力容器と正四角形断面の炉壁角部との間に形成される隙間(空間幅)yが最も狭くなる。このような最小隙間の存在は、アニュラス部に管寄せ及び連絡管を配置する際にスペース確保等を制限する制約になっている。
なお、アニュラス部を極力少なくするためには、炉壁断面形状を円形に近づける多角形の構造にすることで緩和されるが、上記の特許文献1では、管寄せが3ヶ所に配置されるなど、炉壁構造、エレメント、管寄せ及び連絡管の構造が複雑になることから、制作コスト増加の原因になって好ましくない。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、炉壁構造の複雑化を最小限に抑え、生成ガスの冷却性能を極力維持しながら管寄せ及び連絡管の配置性を向上させることができ、しかも圧力容器形状の最適化も実現できるガス化炉冷却構造、ガス化炉及びガス化炉のアニュラス部拡大方法を提供することにある。
本発明に係るガス化炉冷却構造は、炭素質固体燃料をガス化した生成ガスが円形断面の圧力容器内に形成された炉壁内を通過して流れ、前記生成ガスを前記炉壁内に複数設置された伝熱管群の管内を流れる流体との熱交換により冷却するガス化炉冷却構造であって、前記炉壁は、互いに直交する面と面の間を傾斜面で連結した多角形構造とされ、前記傾斜面の辺が互いに直交する前記面のそれぞれの辺よりも短い断面形状とされ、前記傾斜面は、正方形断面形状の角部をカットする前の辺の長さをLaとし、前部角部をカットした後の長さをLbとして、「(La−Lb)/La×100」で定義される「1辺削減率」が11.1%から33.3%の範囲内となるように設けられ、前記辺の長さLaが2〜5mの範囲内であることを特徴とするものである。
また、本発明に係るガス化炉は、上記発明のガス化炉冷却構造を備えているガス冷却部と、前記ガス冷却部の上流側に前記炭素質固体燃料をガス化するガス生成部を備えていることを特徴とするものである。
ガス化炉は、石炭等の炭素質固体燃料を加圧環境下でガス化した後、一般的な鋼管の耐熱温度まで冷却して温度低下させた生成ガスを炉外へ供給するもので、以下の説明では石炭をガス化するものとするが、特に限定されることはない。なお、石炭以外の炭素質固体燃料としては、石油コークスの他、間伐材、廃材木、流木、草類、廃棄物、汚泥、タイヤ等のバイオマス燃料を例示できる。
ガス化炉1のガス生成部2で微粉炭をガス化して得られる生成ガスは、ガス生成部2の下流側に設けたガス冷却部10に導かれ、ガス冷却部10を構成する複数の熱交換器30を通過して冷却される。ガス冷却部10で冷却された生成ガスは、ガス化炉1の外部に設けた不図示の各種装置により必要な精製処理が施された後にガスタービン運転の燃料ガスとなる。
また、ガス冷却部10は、円形断面の圧力容器Pv内に形成されて生成ガス流路となる煙道20内に、複数の熱交換器30を配置した構成となっている。
なお、図6において、図中の符号22は煙道20の炉壁、31は熱交換器30を構成する伝熱管、32は伝熱管31を連結する管寄せ、33は管寄せ32を連結する連絡管、40は圧力容器Pvの内面と炉壁22の外面との間に形成されるアニュラス部と呼ばれる空間である。
また、熱交換器30はバンクとも呼ばれ、炉壁22と同様のSGCと呼ばれる伝熱管31により構成されるエレメント構造の伝熱管集合体(伝熱管群)である。このような熱交換器30は、炉壁22の内部を流れる高温の生成ガスから伝熱管31の内部を流れる水等の流体が吸熱することにより、生成ガスのガス温度を低下させる。なお、流体が生成ガスから吸熱した熱を有効利用することで、生成ガス中の熱エネルギーを回収できる。
従って、上述した管寄せ32及び連絡管33は、圧力容器Pvの内面と炉壁22の外面との間に形成される空間であるアニュラス部40に配設されている。
このようなガス化炉冷却構造において、本実施形態では、炉壁22の断面形状が、正方形の矩形断面角部を面取りするようにカットした形状、すなわち、矩形断面角部Cに傾斜面23を設けて多角形の断面形状とされる。具体的には、図1に想像線で示す4カ所の角部Cを除去し、実線表示の傾斜面23により隣接する炉壁22間を連結した構造となっている。なお、傾斜面23についても、炉壁22と同様に、複数の伝熱管21を用いた炉壁構造となっている。
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、連絡管の配置によって必ずしも多角形に限定されるものではない。例えば長方形の角部を面取りするなど、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び変更を加え得るものである。
図2に示す1辺削減率は、正方形断面形状とした煙道20の炉壁22について、角部Cをカットする前の辺の長さをLaとし、角部Cをカットした後の辺の長さをLbとすれば、下記の数式により定義される。
1辺削減率(%)=(La-Lb)/La×100
カットする前の辺の長さLaは2〜5mとし、設計値により、設計寸法、ピッチは決定されるものとする。
実効的にコスト削減が可能な1辺削減率は、図3に示すケースA〜ケースDのように、11.1%から33.3%の範囲内である。また、より好ましい範囲は、14.0〜28.0%の範囲である。
また、炉壁22の矩形断面角部Cのみを面取りするようにカットするので、炉壁22の製作に要する作業工数の増加や、熱交換器30の伝熱面減少を最小限に抑えることができる。
図5に示すように、管寄せ32と他の熱交換器との間を連結する連絡管33は、平面視で略90度の方向転換をアニュラス部40で行うことが望ましい。このため、炉壁22に傾斜面23を設けない(a)の煙道20では、連絡管33の湾曲部33aと管寄せ32との間に、角部Cを避けて方向転換するため直管部33bが必要となる。すなわち、この直管部33bは、湾曲部33aの湾曲始点を角部Cの方向へ移動させることにより、湾曲部33aの湾曲中心が煙道20の対角線を延長した線上に略位置するようにして、連絡管33と角部Cとの干渉を回避している。なお、この場合の圧力容器Pvは、その直径がD´である。
こうして直管部33bが不要になると、連絡管33は、圧力容器Pvの直径DをD´より小さくしたアニュラス部40であっても、同様の曲率のまま平面視で略90度の方向転換を行うことが可能になり、連絡管33が煙道20の炉壁23と干渉することもない。このような圧力容器Pvの小径化は、小型軽量化が可能になるなど利点が多い。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、その要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更することができる。
2 ガス生成部
10 ガス化冷却部
20 煙道
21,31 伝熱管(SGC)
22 炉壁(SGC周壁)
23 傾斜面
30 熱交換器(伝熱管群)
32 管寄せ
33 連絡管
33a 湾曲部
33b 直管部
40 アニュラス部
C 角部
Claims (4)
- 炭素質固体燃料をガス化した生成ガスが円形断面の圧力容器内に形成された炉壁内を通過して流れ、前記生成ガスを前記炉壁内に複数設置された伝熱管群の管内を流れる流体との熱交換により冷却するガス化炉冷却構造であって、
前記炉壁は、互いに直交する面と面の間を傾斜面で連結した多角形構造とされ、前記傾斜面の辺が互いに直交する前記面のそれぞれの辺よりも短い断面形状とされ、
前記傾斜面は、正方形断面形状の角部をカットする前の辺の長さをLaとし、前部角部をカットした後の長さをLbとして、「(La−Lb)/La×100」で定義される「1辺削減率」が11.1%から33.3%の範囲内となるように設けられ、前記辺の長さLaが2〜5mの範囲内であることを特徴とするガス化炉冷却構造。 - 前記伝熱管群の管寄せ及び前記伝熱管群間を連結する連絡管が前記圧力容器と前記炉壁との間に形成される空間のアニュラス部に配置され、前記連絡管の平面視における略90度の方向転換が前記傾斜面の領域で行われることを特徴とする請求項1に記載のガス化炉冷却構造。
- 請求項1または2に記載のガス化炉冷却構造を有するガス冷却部と、
前記ガス冷却部の上流側に前記炭素質固体燃料をガス化するガス生成部を備えていることを特徴とするガス化炉。 - 炭素質固体燃料をガス化した生成ガスが円形断面の圧力容器内に形成された炉壁内を通過して流れ、前記生成ガスが前記炉壁内に複数設置された伝熱管群の管内を流れる流体との熱交換により冷却され、かつ、前記伝熱管群の管寄せ及び前記伝熱管群間を連結する連絡管が前記圧力容器と前記炉壁との間に形成される空間のアニュラス部に配置されているガス化炉のアニュラス部拡大方法であって、
前記炉壁は、互いに直交する面と面の間を傾斜面で連結した多角形構造とされ、前記傾斜面の辺が互いに直交する前記面のそれぞれの辺よりも短い断面形状とされ、
前記傾斜面は、正方形断面形状の角部をカットする前の辺の長さをLaとし、前部角部をカットした後の長さをLbとして、「(La−Lb)/La×100」で定義される「1辺削減率」が11.1%から33.3%の範囲内となるように設けられ、前記辺の長さLaが2〜5mの範囲内であることを特徴とするガス化炉のアニュラス部拡大方法。
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