実施の形態1.
通常のSlotted ALOHAによるランダムアクセス方式では、通信端末におけるデータ送信要求は時間的にランダムに発生するので、例えば、データ送信要求が発生したスロットの次のスロットでデータを送信している。しかしながら、本願に係る通信方法、通信端末、基地局及び通信システム(衛星通信アクセス方式)が適用されると想定されるサービスは、前述の通り、大災害発生時に、基地局2からの救難サービス開始信号を通信端末3で受信した時点から、一斉に通信端末3で救難メッセージ送信要求が発生するようなサービスである。本願では、CDMA/FDMA/TDMAによるランダムアクセスを提案する。
以下、この発明の実施の形態1について図1〜9を用いて説明する。図1〜図9において、1は衛星(非静止衛星(準天頂衛星))、2は地上に設けられた基地局、3は通信端末(ショートメッセージ通信端末)であり、本願は、衛星1を経由して基地局2と複数の通信端末3とが通信を行う通信システム,衛星1を経由して基地局2へCDMA(Code Division Multiple Access;符号分割多元接続方式)拡散された送信データを送信信号(リターンリンク信号)として送信する通信端末3,衛星1を経由して複数の通信端末3と通信を行う基地局2,衛星1を経由して基地局2へCDMA拡散された送信データを送信する通信端末3に用いる通信方法に係るものである。なお、基地局2は衛星通信用アンテナ2s(基地局側衛星通信用アンテナ2s)を備えている。衛星通信用アンテナ2sの図示は後述の図13及び図14で行なう。複数の通信端末3(複数の通信端末3を「通信端末3A,通信端末3B,通信端末3C,通信端末3D・・」と称する場合や図示する場合がある)は、それぞれ、衛星通信用アンテナ3s(通信端末側衛星通信用アンテナ3s)及びGPS用アンテナ3gを備えている。4はGPS(Global Positioning System)衛星(衛星1がGPS衛星4の機能を有しているものでもよい)、5は基地局2に形成され、複数の通信端末3へフォワードリンク信号を送信する基地局送信部である。なお、基地局送信部5の図示は後述の図13及び図14で行なう。フォワードリンク信号は、後述するサービス開始信号(救難サービス開始信号)が含まれている場合があり、これをトリガとして、通信端末3が送信データを基地局2に送信することになる。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
図1〜図9において、6はフォワードリンク信号を受信する受信部、7は受信部6がフォワードリンク信号を受信したことをトリガに、生成した送信データをCDMA拡散し、このCDMA拡散された送信データを送信する時間スロットに応じて遅延させ、この遅延された送信データを周波数変換して基地局2へ送信する送信部、8は衛星1又はGPS衛星4から得られるGPS情報を取得する情報取得部である。情報取得部8は、GPS衛星4から得られる情報以外の方法で、情報を取得してもよい。例えば、通信端末3に接続された外部機器から情報を取得してもよいし、通信端末3の入力ボタン(後述の「入力手段」)から入力をうけて情報を取得してもよい。9はGPS情報から得られる時刻情報(GPS時刻情報)から生成され、複数の通信端末3間で同期した直交符号開始タイミング(拡散符号開始タイミング)により、送信部7がCDMA拡散するために用いる直交符号(拡散符号)を生成する直交符号発生部(拡散符号発生部)である。本願では、拡散符号チャネルは、直交符号チャネルを用いる場合を想定して説明するが、本願の適用範囲は、直交符号チャネルに限るものではない。拡散符号であれば、本願を実施できる。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
図1〜図9において、10は直交符号発生部9(拡散符号発生部9)が使用する直交符号チャネル(拡散符号チャネル)をランダムに選択して供給し、送信部7が送信データを遅延させる時間の基になる時間スロットチャネルをランダムに選択して供給し、送信部7が周波数変換する周波数チャネルをランダムに選択して供給するランダム選択部である。つまり、ランダム選択部10は、複数設定された直交符号チャネル(拡散符号チャネル)から一つの直交符号をランダムに選択、複数設定された時間スロットチャネルから一つの時間スロットをランダムに選択、複数設定された周波数チャネルから一つの周波数を選択するものである。複数の通信端末3は、それぞれ、受信部6,送信部7,情報取得部8,直交符号発生部9(拡散符号発生部9),ランダム選択部10を有している。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
図1〜図9において、11は送信データをCDMA拡散するCDMA拡散部である。つまり、直交符号発生部9(拡散符号発生部9)は、CDMA拡散部11がCDMA拡散するために用いる直交符号(拡散符号)を生成するものである。12はCDMA拡散部11によってCDMA拡散された送信データを送信する時間スロットに応じて遅延させるTDMA(Time Division Multiple Access;時分割多元接続)処理部、13はTDMA処理部12によって遅延された送信データを周波数変換するFDMA(Frequency Division Multiple Access;周波数分割多元接続)処理部である。つまり、ランダム選択部10は、直交符号発生部9(拡散符号発生部9)が使用する直交符号チャネル(拡散符号チャネル)をランダムに選択して供給し、TDMA処理部12が送信データを遅延させる時間の基になる時間スロットチャネルをランダムに選択して供給し、FDMA処理部13が周波数変換する周波数チャネルをランダムに選択して供給するものである。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
図1〜図9において、14は地上ネットワーク、15は衛星1の追跡を行い、地上ネットワーク14を介して衛星追跡情報を基地局2へ送る衛星追跡管制センター、16は地上ネットワーク14を介して各種情報を基地局2へ送るサービスセンター、17は基地局2が衛星通信用アンテナ2sから衛星1を介して通信端末3へフォワードリンク信号を送るフォワードリンク通信回線、18は複数の通信端末3が衛星通信用アンテナ3sから衛星1を介して基地局2へリターンリンク信号を送るリターンリンク通信回線、19は通信端末3が、GPS用アンテナ3gを介してGPS衛星4又は衛星1から受け取るGPS情報(位置情報及び時刻情報)が載ったGPS信号、20は衛星通信用アンテナ3sが受信したフォワード信号を受信部6へ送り、送信部7から送られてきた送信データ(リターンリンク信号)を衛星通信用アンテナ3sへ送るデュプレクサ(サーキュレータやフィルタなどが想定される)、21は受信部6がフォワードリンク信号から分離した受信データが出力されるデータ出力端子(受信データ)、22は送信部7へ送る送信データ信号を生成する送信データ部、23は送信データ部22が生成する送信データ信号の元となる送信データが入力されるデータ入力端子(送信データ)である。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
次に動作について説明と説明がまだの構成を説明する。なお、本願では、複数の通信端末3が通信端末3A,通信端末3B,通信端末3Cの三つの場合や代表としての通信端末3を一つ用いた場合を例に説明するがこれらに限るものではない。図1に示す実施の形態1に係る通信システムでは、通信端末3A,通信端末3B,通信端末3Cが送信する送信信号(リターンリンク信号)は、それぞれ独立したリターンリンク通信回線9により、非静止衛星1を介して、非静止衛星1にて統合され、基地局2へデータを送信するものである。
図1及び図2に示す基地局2は、フォワードリンク通信回線17により、非静止衛星1を介して、通信端末3A,通信端末3B,通信端末3Cへ送信データ(フォワードリンク信号)を配信する。また、通信端末3A,通信端末3B,通信端末3Cは、GPS衛星4からのGPS信号19を受信して、自端末の位置情報(GPS位置情報)及び時刻情報(GPS時刻情報)などのGPS情報を取得する。
図1及び図2に示す衛星追跡管制センター15は、地上ネットワーク14を介して、基地局2と接続され、基地局2が、非静止衛星1を追跡するための基地局2の監視及び制御を行うものである。サービスセンター16は、地上ネットワーク14を介して、基地局2と接続され、基地局2が受信した通信端末3A,通信端末3B,通信端末3Cからのデータを取得するとともに、通信端末3A,通信端末3B,通信端末3Cへのデータを基地局2に送信するものである。
図3を用いて、通信端末3の詳細構成を説明する。まず、通信端末3の受信側について説明する。基地局2からのフォワードリンク通信回線17の信号は、衛星通信用アンテナ3sで受信され、デュプレクサ20により送信信号から分離された後、無線受信部24で低雑音増幅などされたのち、QPSK復調部25において、QPSK変調波が復調される。QPSK復調された後の受信データは、誤り訂正復号部26で誤り訂正復号が行われて、元の情報データとなる。受信部6は、無線受信部24,QPSK復調部25,誤り訂正復号部26と後述のTDM分離部27から構成される。
ここで、フォワードリンク通信回線17の情報データ(送信データ)は、TDM(Time Division Multiplex、時分割多重)により送信され、各通信端末3宛の通信データあるいは制御データが時分割多重されている。TDM分離部27は自装置宛の受信データを分離して、受信データ出力端子21に出力する。一方、GPS衛星4からのGPS信号19は、GPS用アンテナ3g経由で、GPS受信機28で受信され、GPS信号処理部29において信号処理されて、GPS時刻信号とGPS位置情報が求められる。
次に、通信端末3の送信側について説明する。受信部4がフォワードリンク信号(フォワードリンク信号とは、受信データ出力端子21に出力されたフォワードリンク信号由来の受信データを含む)を受信したことをトリガに送信データ部22が生成した送信データを送信する。送信データ部22は、データ生成部30及び誤り訂正符号化部31から構成される。データ入力端子23に入力した送信データは、データ生成部30において、送信データに同期ビット、制御ビットなどが付加されて所定のバーストフォーマットに変換された後、誤り訂正符号化部31において誤り訂正符号化される。誤り訂正符号化部31において誤り訂正符号化された送信データは、CDMA拡散部11において、ランダム選択部10から入力される拡散符号チャネルに対応して直交符号発生部9において発生させられた直交符号系列とモジュロ2加算されて、CDMAのために拡散される。
複数の通信端末3間で同期した直交符号開始タイミングなどのタイミングを得るために、通信端末3は送信タイミング発生部32を有している。送信タイミング発生部32は、GPS信号処理部29からのGPS時刻信号に同期した各部へのクロック信号及びタイミング信号を発生する。データ生成部30及び誤り訂正符号化部31(送信データ部22)は、送信タイミング発生部32から得たクロック信号及びタイミング信号から、複数の通信端末3間で同期するように、送信データに同期ビット、制御ビットなどが付加されて所定のバーストフォーマットに変換し、誤り訂正符号化を行なう。詳しくは、送信タイミング発生部32は、データ生成部30にはデータクロック、誤り訂正符号化部31には誤り訂正符号化クロックを送る。
また、送信タイミング発生部32は、複数の通信端末3間で同期するための直交符号開始タイミングを通信端末3が得るために、送信タイミング発生部32は、直交符号発生のためのチップクロック、直交符号開始タイミングなど送信タイミング信号を生成する(前述の誤り訂正符号化クロック及び前述のデータクロックも、送信タイミング信号に含めてもよい。)。直交符号発生部9は、複数の直交符号の中から1つの直交符号をランダムに選択して、GPS時刻信号に同期したチップクロックと直交符号開始タイミングにより、選択した直交符号を発生させる。この結果、複数の通信端末3が衛星1に向けて送信するCDMA信号の直交符号のチップクロック及び直交符号開始タイミングを、複数の通信端末3間で同期させることができ、各通信端末3から衛星1までの距離がほぼ同じであれば、衛星1のトランスポンダ上で各端末が送信したCDMA信号の直交符号のチップクロックと直交符号開始タイミングが同期することになる。
換言すると、通信端末3は衛星1又はGPS衛星4から得られるGPS情報を取得する情報取得部8を有し、GPS情報から得られる時刻情報から送信タイミング発生部32によって生成された直交符号開始タイミングにより、直交符号発生部9が直交符号を生成するものであるといえる。なお、通信端末3のランダム選択部10は、直交符号発生部9が使用する直交符号チャネル(拡散符号チャネル)をランダムに選択して供給するだけでなく、TDMA処理部12(送信部7)が送信データを遅延させる時間の基になる時間スロットチャネルをランダムに選択して供給し、FDMA処理部13(送信部7)が周波数変換する周波数チャネルをランダムに選択して供給するものである。
よって、通信端末3は、CDMA拡散部11からの出力であるCDMA拡散された送信データが、TDMA処理部12において、ランダム選択部10から入力される時間スロットチャネルに対応して、当該時間スロットにおいて送信されるように時間遅延された後、BPSK変調部33にてBPSK変調され、FDMA処理部13において、ランダム選択部10から入力される周波数チャネルに対応した周波数に周波数変換された後、無線送信部27にて、電力増幅などされ、デュプレクサ20を経由して衛星通信用アンテナ3sから、リターンリンク通信回線9の送信バースト信号(リターンリンク信号)として、非静止衛星1に向けて送信する。
実施の形態1に係る通信システム(通信端末)は、ランダム選択部10でランダムに設定された直交符号チャネル(拡散符号チャネル),時間スロットチャネル,周波数チャネルの組み合わせ(CDMA/FDMA/TDMAによるランダムアクセスにおける「アクセス方式の組み合わせ」)を、通信端末3ごとに使用する。図4に、実施の形態1に係る通信システム(通信端末)におけるデータを送信する通信端末3A、通信端末3B、通信端末3Cのアクセス方式の組み合わせの例を示す。
図4では、通信端末3Aは拡散符号A、周波数CH1、時間スロット1の組み合わせを選択し、通信端末3Bは拡散符号B、周波数CH3、時間スロット2の組み合わせを選択し、通信端末3Cは拡散符号C、周波数CH2、時間スロット2の組み合わせを選択している場合を示している。図4に示すように、時間スロットのタイミング及び拡散符号のチップクロックの位相は、GPS時刻信号に同期していて、通信端末3A,通信端末3B,通信端末3Cがデータを送信している。図4に示すように、通信端末3A,通信端末3B,通信端末3Cは、アクセス方式の組み合わせが一致していないので、衛星上での送信データの衝突はない。
したがって、実施の形態1に係る通信システム(通信端末)は、ランダム選択部10によってランダムに決定されるアクセス方式の組み合わせによって、衛星にアクセスするチャネルを決定するので、多数の通信端末3から同時に衛星1にアクセスしても、各通信端末が送信するデータの衝突によりスループットが落ちる可能性を低くでき、また、回線輻輳状態となって基地局2と通信ができなる可能性を極めて低くすることができる効果がある。この効果の度合いは、ランダム選択部10が選択できる直交符号チャネル(拡散符号チャネル),時間スロットチャネル,周波数チャネルのそれぞれの数と、同時にアクセスする通信端末3の数とによって変動するので、求められる「アクセス方式の組み合わせが一致しない確率」に応じて、直交符号チャネル(拡散符号チャネル),時間スロットチャネル,周波数チャネルのそれぞれの数を設定すればよい。
このような特性を実施の形態1に係る通信システム(通信端末)は有しているので、通信端末3は、準天頂衛星やGPS衛星を利用して、個人識別情報(ID情報)や位置情報を含む安否情報などの極めて短いメッセージ(短メッセージ、ショートメッセージ、ロケーション・ショートメッセージともいえる、以下、ショートメッセージと称する)を衛星1(準天頂衛星1)経由で送信するような用途に好適である。通信端末3を用いたショートメッセージを用いたサービスの一例としては、災害時などにおいて、サービスセンター16が通信端末3からの情報を得るために、基地局2がフォワードリンク信号を被災者のユーザ端末(携帯端末3)へ送信するように、サービスセンター16から基地局2へ指示(依頼)を行う。
基地局2が、フォワードリンク通信回線17を用いて送信されたフォワードリンク信号の受信をトリガに、被災者のユーザ端末(携帯端末3)がリターンリンク通信回線18を用いて、リターンリンク信号(送信信号)に載せられた位置情報を含んだ救難メッセージ、緊急メッセージ、救難信号などを基地局2へ送信することで、衛星回線を介して、サービスセンター16へ、位置情報を含んだ救難メッセージ、緊急メッセージ、救難信号などの被災者の情報が伝送することができる。また、被災者の情報がサービスセンター16へ伝送するとともに、サービスセンター16においては、受信したショートメッセージに対し、同じく衛星回線により、そのユーザ端末(通信端末3)にACK信号を含む返信メッセージを送信するサービスが考えられる。なお、サービスセンター16と基地局2との間は、地上ネットワークを介して接続されている。
図5及び図6を用いて、実施の形態1に係る通信方法を説明する。図5は実施の形態1に係る通信端末の送信動作を示すフローチャートである。換言すると、衛星1を経由して基地局2へCDMA拡散された送信データを送信する通信端末3に用いる通信方法であるといえる。図5及び図6におけるSとは処理ステップを意味しており、STEPの頭文字を表記している。なお、S104〜S108,S113は以降の実施の形態での処理ステップであるので、ここでは説明しない。
図5において、通信端末3が電源ONされると、S101でGPS信号19をGPS用アンテナ3gを介して受信し、次にS102において、通信端末3の受信系を立ち上げて、基地局2からのフォワードリンク信号衛星通信用アンテナ3sを介して受信する。通常、通信端末3の電源は常にONされている。但し、通信端末3を前述のショートメッセージを基地局2に送信するショートメッセージ通信端末3の場合、つまり、通信システムが、安否情報などのショートメッセージの送受信に用いられる場合は、必要に応じてショートメッセージ通信端末3の電源がONされるような運用としてもよい。以降は、ショートメッセージ通信端末3の場合を例示的に説明に使用する。
S103において、ショートメッセージ通信端末3がデータを送信するかどうかを判定する。データを送信するかどうかの判定は、例えば次のように行う。災害が発生したときに、サービスセンター16は、救難メッセージサービスを開始し、サービスが開始した旨を知らせる制御データ(これを「救難サービス開始信号」と称する。適用用途が救難メッセージサービスではない場合は、単に、「サービス開始信号」と称してもよい)を基地局2に地上ネットワーク14を介して送信する。基地局2は、救難サービス開始信号をフォワードリンク信号上の制御データとして、すべてのショートメッセージ通信端末3に向けて放送する。
前述のS102において、フォワードリンク信号を受信しているショートメッセージ通信端末3は、S103において、フォワードリンク信号に救難メッセージサービス開始信号(サービス開始信号)が含まれているかどうかをTDM分離部27から得た受信データから判定し、含まれている場合は、ショートメッセージ通信端末3に設けられた救難メッセージ送信ボタン(入力ボタン)が押下されたかどうかを判定する。押下されている場合は、S109へ進み、押下されていない場合は、S101へ戻る。なお、ショートメッセージ通信端末3に設けられた救難メッセージ送信ボタンは、物理的なボタンではなく、ショートメッセージ通信端末3のタッチパネル式の表示部又はショートメッセージ通信端末3に接続されたタッチパネル式の表示部に表示されるものでもよいし、ショートメッセージ通信端末3の音声入力部又はショートメッセージ通信端末3に接続された音声入力部に、救難メッセージを送信したい旨の音声が入力されること入力ボタンの押下の代用としてもよい。これらを総じて「入力手段」と称する。
ショートメッセージ通信端末3において、救難メッセージサービス開始信号を受信し、かつ、救難メッセージ送信ボタンが押された場合は、S103において、データを送信すると判定する。なお、ショートメッセージ通信端末3におけるデータ出力端子21から出力された、TDM分離部27が分離した受信データに、救難メッセージサービス開始信号が含まれているかどうかの判定は、ショートメッセージ通信端末3の制御部(通信端末3の制御部)が行なう。制御部の図示は省略する。このショートメッセージ通信端末3の制御部は、救難メッセージサービス開始信号を検出した場合、個人識別情報(ID情報)や位置情報を含む安否情報などのショートメッセージをデータ入力端子23へ送る。データ入力端子23に入力されたショートメッセージは、送信データ部22にて前述の処理が行なわれる。
S103における通信システムとしての処理は、大地震発生時に被災したショートメッセージ通信端末3は、ほぼ一斉に救難メッセージ送信ボタンを押すと考えられ、データ送信の要求は、非常に多数の端末でほぼ同時に発生すると考えられるので、S103において、救難メッセージボタン送信ボタンが押されたかどうかを判定せずに、救難メッセージサービス開始信号の受信のみで、自動的にデータを送信するとショートメッセージ通信端末3の制御部が判定してもよい。また、救難メッセージボタン送信ボタン自体を準備せずに、救難メッセージサービス開始信号の検出を以って、自動的にデータを送信する仕様としてもよい。つまり、S103がなくてもよい。
次に、S109において、ランダム選択部10が、複数の拡散符号チャネルの1つをランダムに選択する。これは、送信データをCDMA拡散するための拡散符号チャネルをランダムに選択する拡散符号チャネル選択ステップといえる。S110において、ランダム選択部10が、時間スロットチャネルの一つをランダムに選択する。これは、CDMA拡散された送信データを送信する時間スロットチャネルをランダムに選択する時間スロットチャネル選択ステップといえる。S111において、ランダム選択部10が、周波数チャネルの一つをランダムに選択する。これは、CDMA拡散された送信データを送信する周波数チャネルをランダムに選択する周波数チャネル選択ステップといえる。
S112において、ランダム選択部10が、選択した1つの拡散符号チャネル、1つの時間スロットチャネル、1つの周波数チャネルをアクセス方式の組み合わせの一つとして、ランダム選択部10が決定する。
S114において、ランダム選択部10が選択・決定したアクセス方式の組み合わせにより、データを、CDMA/FDMA/TDMA信号として、衛星1に向けて、衛星通信用アンテナ3sを介して送信する。これは、時間スロットチャネル選択ステップで選択された時間スロットチャネル、かつ、周波数チャネル選択ステップで選択された周波数チャネルに対応する周波数で、拡散符号チャネル選択ステップで選択された拡散符号チャネルでCDMA拡散された送信データを送信する送信ステップといえる。図5に示すフローチャートの一連の処理から、この送信ステップは、衛星1を介して基地局2から通信端末3へ送信されたフォワードリンク信号を通信端末3が受信したことをトリガとして、送信データをリターンリンク信号として基地局2へ送信するものともいえる。
S109〜S112及びS114の処理は、送信データ部22で処理されたショートメッセージが、ランダム選択部10と送信部7とが連携した動作によって行なわれるものである。詳細は、前述のランダム選択部10と送信部7とに関する説明によって行なっている通りである。また、S114に際しては、送信タイミング発生部32によって、CDMA拡散された送信データの送信を、複数の通信端末3同士で同期して行うための同期ステップも行なわれている。
S109〜S112及びS114を詳細な処理ステップに置き換えると、拡散符号チャネル選択ステップでランダムに選択された拡散符号チャネルを用いて送信データをCDMA拡散するCDMA拡散ステップ(CDMA拡散部11),時間スロットチャネル選択ステップでランダムに選択された時間スロットチャネルでCDMA拡散ステップによってCDMA拡散された送信データが送信されるように遅延させる遅延ステップ(TDMA処理部12),周波数チャネル選択ステップでランダムに選択された周波数チャネルに対応する周波数に前記遅延ステップで遅延された送信データを周波数変換する周波数変換ステップ(FDMA処理部13)の三つの処理ステップとなる。最後に、S114に相当する、遅延ステップで遅延され、及び、周波数変換ステップで周波数変換された送信データを送信する送信ステップ(無線処理部34)が実施されることになる。
図6は実施の形態1に係る通信端末の送信動作の前処理を示すフローチャートである。換言すると、図6におけるSとは処理ステップを意味しており、STEPの頭文字を表記している。図6に記載のフローチャートは、図5に記載のフローチャートに対して、直交符号発生部9(拡散符号発生部9),TDMA処理部12,FDMA処理部13とランダム選択部10との関連性に特化したものである。
S201は図5に記載のS109に相当するもので、送信データをCDMA拡散するための拡散符号チャネルをランダムに選択する拡散符号チャネル選択ステップである。S202は図5に記載のS110に相当するもので、CDMA拡散された送信データを送信する時間スロットチャネルをランダムに選択する時間スロットチャネル選択ステップである。S203は図5に記載のS111に相当するもので、CDMA拡散された送信データを送信する周波数チャネルをランダムに選択する周波数チャネル選択ステップである。拡散符号チャネル選択ステップ(S201),時間スロットチャネル選択ステップ(S202),周波数チャネル選択ステップ(S203)の各処理ステップの順序は問わない。これは、ランダム選択部10内での処理であるためである。
S204は図5に記載のS112に相当するもので、選択した1つの拡散符号チャネル、1つの時間スロットチャネル、1つの周波数チャネルをアクセス方式の組み合わせの一つとして、ランダム選択部10が決定するものである。そして、S205にて、1つの拡散符号チャネルを直交符号発生部9(拡散符号発生部9)へ通知し、1つの時間スロットチャネルをTDMA処理部12へ通知し、1つの周波数チャネルをFDMA処理部13へ通知する。
一方、S204以降の送信部7で行なわれる処理ステップでは、まず、送信データをCDMA拡散するための拡散符号チャネルをランダムに選択する拡散符号チャネル選択ステップでランダムに選択された拡散符号チャネルを用いて送信データをCDMA拡散するCDMA拡散ステップを行なう。次に、CDMA拡散された送信データを送信する時間スロットチャネルをランダムに選択する時間スロットチャネル選択ステップでランダムに選択された時間スロットチャネルで前述のCDMA拡散ステップによってCDMA拡散された送信データが送信されるように遅延させる遅延ステップを行なう。
最後に、CDMA拡散された送信データを送信する周波数チャネルをランダムに選択する周波数チャネル選択ステップでランダムに選択された周波数チャネルに対応する周波数に前述の遅延ステップで遅延された送信データを周波数変換する周波数変換ステップを行なってから、遅延ステップで遅延され、及び、周波数変換ステップで周波数変換された送信データを送信する送信ステップを行なうという順序になる。
ここで、S201、S202、S203について、さらに詳細に説明する。S201において、拡散符号チャネルの一つをランダムに選択するが、これは、例えば、直交符号発生部9で発生可能な複数の直交符号の一つをランダムに選択することに相当し、直交符号としては、例えば非特許文献2に示されるような直交ゴールド符号が考えられ、選択可能な互いに直交する符号の数の例としては1024が考えられる。なお、直交符号発生部9で発生される直交符号は、チップレベルでGPS時刻信号に同期しており、衛星トランスポンダ上で、各通信端末3から送信された直交符号が互いに直交するように制御される。ただし、本願では、拡散符号は、特に直交符号に限定されるものではなく、ゴールド符号あるいはM系列などの非直交符号でもよいことは言うまでもない。ただし、直交符号を用いると、符号間の相互干渉はほぼ無くなるが、非直交符号を用いる場合は、符号間の相互干渉は大きくなる。
S202において、複数の周波数チャネルの一つをランダムに選択する。例えば、今、リターンリンク回線の通信端末送信データの情報速度が50bpsとし、符号化率1/2の誤り訂正符号化を行って、1024倍に拡散することを考えると、チップレートは50bps×2×1024=102.4kcpsとなる。従って、CDMA拡散後のBPSK変調波の所要帯域幅は、約200kHzとなる。すなわち、これが、一つの周波数チャネルの帯域幅となるので、例えば、利用できる全周波数帯域を、約5MHzとすると、選択できる周波数チャネルの数は25となる。S203において、複数の時間スロットの中から、1つをランダムに選択する。
図7,図8及び図9を用いて、ランダム選択部10の変形例を説明する。図7に記載の通信端末3は、ランダム選択部10が、組み合わせ選択部35及び組み合わせ設定部(テーブル記憶部)36から構成されるものである。図3に記載の通信端末3では、ランダム選択部10が、設定されたものの中から、直交符号チャネル(拡散符号チャネル),時間スロットチャネル,周波数チャネルを個別に選択しているが、図7に記載の通信端末3では、図8に示す「テーブル記憶部36(組み合わせ設定部36)が記憶するテーブル」に基づいて組み合わせ選択部35がランダムにアクセス方式の組み合わせを選択するものである。ランダム選択部10内では、組み合わせ設定部36がテーブルの情報(組み合わせ情報)を組み合わせ選択部35に送信する動作が行なわれる。
よって、図8に示す「テーブル記憶部36(組み合わせ設定部36)が記憶するテーブル」に基づく場合、実施の形態1に係る通信方法は、拡散符号チャネル選択ステップ及び周波数チャネル選択ステップ並びに時間スロットチャネル選択ステップは、予め設定され、拡散符号チャネル及び周波数チャネル並びに時間スロットチャネルの組み合わせから成るテーブルからランダムに選択するものであるといえる。
図8に示すテーブルは、行方向には、ランダム選択部10がランダムに選択する必要がある「拡散符号チャネル(直交符号チャネル)」「周波数チャネル」「時間スロットチャネル」の三つの項目が設定されている。列方向にはそれぞれの設定できるチャネルが、三つの項目で重複しない組み合わせを選択して並べられている。それぞれの組み合わせには、選択番号が付与されている。図8の中は、NNN,MMM,LLL,KKKの四つは、それぞれ正の整数を指す。また、これらの四つの正の整数は異なるものでよい。なお、時間スロットチャネルにおけるチャネル#1,チャネル#2,・・チャネル#KKKは、時間帯の早い順に並んでいる。
図7に記載の通信端末3が、フォワードリンク信号(救難メッセージサービス開始信号)を受信して、ランダム選択部10が「拡散符号チャネル(直交符号チャネル)」「周波数チャネル」「時間スロットチャネル」をランダムに選択する必要が生じたときに、組み合わせ選択部35は、組み合わせ設定部36(テーブル記憶部36)に設定(記憶)された選択番号の中から一つをランダムに選択することで、結果的に、「拡散符号チャネル(直交符号チャネル)」「周波数チャネル」「時間スロットチャネル」がランダムに選択することができる。
例えば、図1に示す通信端末3Aが選択番号004を選択し、通信端末3Bが選択番号001を選択し、通信端末CAが選択番号002を選択することで、「拡散符号チャネル(直交符号チャネル)」「周波数チャネル」「時間スロットチャネル」の三つの項目の全てが一致していないアクセス方式の組み合わせを複数の通信端末3間で選択することが可能となる。これは、選択番号NNNの数が多ければ多いほど、三つの項目の全てが一致していないアクセス方式の組み合わせを選択できる可能性が高まることはいうまでもない。
つまり、図7に記載の通信端末3は、図5に示すS109,S110,S111の三つの処理ステップを同時に行ってもよいことを意味している。換言すると、図6に示すS201,S202,S203の三つの処理ステップを同時に行ってもよいことも意味している。組み合わせ設定部36(テーブル記憶部36)に設定(記憶)されたテーブルは、複数の通信端末3間で同じものを保有していてもよいし、通信端末3ごとに異なるテーブルとしてもよい。
例えば、積極的に(通信システム全体として)通信端末3ごとに通信する時間に差を持たせたい場合は、時間スロットチャネルのうち、選択できる範囲で比較的早いものをピックアップしたものからランダムに選択できるようにテーブルを用意してもよい。これは、テーブルを使用しない場合でも同じである。つまり、ランダム選択部10(図3に記載のもの)が時間スロットチャネルを選択する際に、比較的早いものからランダムに選択すればよい。逆に、時間スロットチャネルのうち、選択できる範囲で比較的遅いものをピックアップしたものからランダムに選択できるようにテーブルを用意してもよい。これは、テーブルを使用しない場合でも同じである。つまり、ランダム選択部10(図3に記載のもの)が時間スロットチャネルを選択する際に、比較的遅いものからランダムに選択すればよい。
図9に示すテーブルは、通信端末3ごとに通信する時間に差を持たせたい場合の例である。図9(a)に示すテーブルは、図8に示すテーブルと同じものである。このテーブルから組み合わせ選択部35が選択番号を選択しても、積極的に(通信システム全体として)通信端末3ごとに通信する時間に差を持たせることにはならない。しかし、例えば、図9(b)に示すように、時間スロットチャネルが比較的早いものであるチャネル#1,チャネル#2からのみ選択できるようにテーブルを準備することで、このテーブルを持つ通信端末3は、必然的に、比較的早く通信することができる。同じく、例えば、図9(c)に示すように、時間スロットチャネルが比較的遅いものであるチャネル#3,チャネル#4からのみ選択できるようにテーブルを準備することで、このテーブルを持つ通信端末3は、必然的に、比較的遅く通信することができる。なお、図9(b)(c)では、選択できる時間スロットの数が4(つまりKKK=4の場合)で、図9(b)(c)において、それぞれ時間スロットのチャネル数を二つ選択したものを示しているが、これはあくまでも一例である。
つまり、実施の形態1に係る通信端末は、ランダム選択部10が、比較的早く通信させたい通信端末3である場合、そうで無い場合のものに対して、送信部7が送信データを遅延させる時間の基になる時間スロットを早い時間スロットチャネルから選択できる確率を高めるものといえる。同じく、ランダム選択部10が、比較的遅く通信させたい通信端末3である場合、そうで無い場合のものに対して、送信部7が送信データを遅延させる時間の基になる時間スロットを遅い時間スロットチャネルから選択できる確率を高めるものといえる。換言すると、実施の形態1に係る通信端末は、ランダム選択部10が、比較的早く通信させたい通信端末3である場合、そうで無い場合のものに対して、送信部7が送信データを遅延させる時間の基になる時間スロットを、選択できる範囲内の時間スロットチャネルのうちで早い時間側のものからランダムに選択するものともいえる。同じく、ランダム選択部10が、比較的遅く通信させたい通信端末3である場合、そうで無い場合のものに対して、送信部7が送信データを遅延させる時間の基になる時間スロットを、選択できる範囲内の時間スロットチャネルのうちで遅い時間側のものからランダムに選択するものともいえる。
ここで「拡散符号チャネル(直交符号チャネル)」「周波数チャネル」「時間スロットチャネル」の三つの組み合わせ情報(テーブルの情報)を用いた場合のランダム選択部10の動作を説明する。複数の通信端末3間で比較的早く通信させたいものがない場合、組み合わせ設定部36は、図8(図9(a))に示すテーブルの情報(組み合わせ情報)を組み合わせ選択部35へ送ればよい。また、複数の通信端末3間で比較的早く通信させたいものがある場合、該通信端末3の組み合わせ設定部36は、図9(b)に示すテーブルの情報(組み合わせ情報)を組み合わせ選択部35へ送ればよい。また、複数の通信端末3間で比較的遅く通信させたいものがある場合、該通信端末3の組み合わせ設定部36は、図9(c)に示すテーブルの情報(組み合わせ情報)を組み合わせ選択部35へ送ればよい。なお、図9(b)に示すテーブルの情報を組み合わせ選択部35へ送る場合、該通信端末3(通信端末3が複数の場合も含む)以外の通信端末3には、図9(c)に示すテーブルの情報を組み合わせ選択部35へ送らせてもよいし、通常の場合である図8(図9(a))に示すテーブルの情報を組み合わせ選択部35へ送らせてもよい。もちろん、図9(c)に示すテーブルの情報を組み合わせ選択部35へ送る場合、該通信端末3(通信端末3が複数の場合も含む)以外の通信端末3には、図9(b)に示すテーブルの情報を組み合わせ選択部35へ送らせてもよいし、通常の場合である図8(図9(a))に示すテーブルの情報を組み合わせ選択部35へ送らせてもよい。
実施の形態2.
この発明の実施の形態2について図9,図10,図11を用いて説明する。実施の形態1では、積極的に(通信システム全体として)通信端末3ごとに通信する時間に差を持たせたい場合自体の具体例は挙げていなかったが、実施の形態2では、その具体例を挙げる。よって、実施の形態2においては、実施の形態1と同様の部分に関しての説明は省略する場合がある。
図10において、37は情報取得部8から自端末の位置情報(自端末位置データ)を取得し、ランダム選択部10へ送る位置情報取得部である。位置情報取得部37は、情報取得部8(GPS信号処理部29)と接続されている。具体的には、位置情報取得部37は、GPS信号処理部が処理した位置情報(GPS位置情報)を取得するものである。38は位置情報取得部37が取得した位置情報から、その位置が所定の領域内に入っているか否かを判定して、組み合わせ設定部36(テーブル記憶部36)に通知する判断処理部である。つまり、ランダム選択部10は、外部から取得した位置情報(GPS情報から得られる位置情報)から通信端末3の位置を判断するものであるといえる。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
実施の形態2におけるランダム選択部10は、組み合わせ選択部35,組み合わせ設定部36(テーブル記憶部36),判断処理部38から構成されている。もちろん、ランダム選択部10に位置情報取得部37を取り込んでもよい。なお、位置情報取得部37は、GPS衛星4から得られる位置情報以外の方法で、自端末の位置情報を取得してもよい。例えば、通信端末3に接続された外部機器から位置情報を取得してもよいし、通信端末3の入力ボタン(前述の「入力手段」)から入力をうけて位置情報を取得してもよい。
図10に示す通信端末3では、位置情報取得部37が、GPS信号処理部29からGPS位置情報を取得して、自端末の位置情報として判断処理部38に出力する。判断処理部38は、自端末の位置が特定の範囲(所定の領域)内にあるか、あるいは範囲外にあるかの情報である自端末範囲内外情報を生成し、組み合わせ設定部36に送る。組み合わせ設定部36は、組み合わせ設定部36(ランダム選択部10)が予め保有している自端末範囲内外情報に従って、自端末の位置が特定の範囲(所定の領域)内の場合には、ランダム選択部10が、所定の領域内に該ランダム選択部10を有する通信端末3がある場合、そうで無い場合のものに対して、送信部7が送信データを遅延させる時間の基になる時間スロットを早い時間スロットチャネルから選択できる確率を高めるもの、換言すると、ランダム選択部10が、所定の領域内に該ランダム選択部10を有する通信端末3がある場合、そうで無い場合のものに対して、送信部7が送信データを遅延させる時間の基になる時間スロットを、選択できる範囲内の時間スロットチャネルのうちで早い時間側のものからランダムに選択することができるテーブルの情報(組み合わせ情報)を組み合わせ設定部36が組み合わせ選択部35に送信する。例えば、図9(b)に示すテーブルのようなものである。
組み合わせ設定部36は、組み合わせ設定部36が予め保有している自端末範囲内外情報に従って、自端末の位置が特定の範囲(所定の領域)外の場合には、通常使用しているテーブルの情報を組み合わせ選択部35に送信すればよい。例えば、図9(a)(図8)に示すテーブルのようなものである。もちろん、自端末の位置が特定の範囲(所定の領域)外の場合、選択できる範囲内の時間スロットチャネルのうちで遅い時間側のものからランダムに選択することができるテーブルの情報(組み合わせ情報)を組み合わせ設定部36が組み合わせ選択部35に送信してもよい。例えば、図9(c)に示すテーブルのようなものである。
つまり、自端末の位置が特定の範囲(所定の領域)外の場合には、ランダム選択部10が、所定の領域外に該ランダム選択部10を有する通信端末3がある場合、そうで無い場合のものに対して、送信部7が送信データを遅延させる時間の基になる時間スロットを遅い時間スロットチャネルから選択できる確率を高めるもの、換言すると、ランダム選択部10が、所定の領域外に該ランダム選択部10を有する通信端末3がある場合、そうで無い場合のものに対して、送信部7が送信データを遅延させる時間の基になる時間スロットを、選択できる範囲内の時間スロットチャネルのうちで遅い時間側のものからランダムに選択することができるテーブルの情報を組み合わせ設定部36が組み合わせ選択部35に送信することで(例えば、図9(c)に示すテーブルのようなものである)、自端末の位置が特定の範囲(所定の領域)外にある通信端末3の早期通信の可能性が低くなるので、自端末の位置が特定の範囲(所定の領域)内にある通信端末3の早期通信の可能性を高めることができる。
なお、組み合わせ設定部36が予め保有している自端末範囲内外情報とは、所定の領域の情報である。この所定の領域とは、通信端末3が、その所定の領域内に存在した場合に、その所定の領域外に存在した場合によりも、早期通信する必要性が強いものを指す。実施の形態2に係る通信端末では、所定の領域の情報をランダム選択部10(組み合わせ設定部36)が予め保有している場合を説明しているが、後述の実施の形態3では、所定の領域の情報を外部から取得する場合について説明する。
このように、判断処理部38からの自端末範囲内外情報を受けた組み合わせ設定部36が、自端末範囲内外情報に合わせて決定した上記のようなテーブルの情報(組み合わせ情報)から、組み合わせ選択部35が、拡散符号チャネル(直交符号チャネル)、周波数チャネル、時間スロットチャネルの組み合わせの1つ(図9に示すテーブルを使用する際は、選択番号)をランダムに選択する。そして、組み合わせ選択部35は、選択した拡散符号チャネル(直交符号チャネル))を拡散符号発生部9(直交符号発生部9)に送信し、選択した時間スロットチャネルをTDMA処理部12に送信し、選択した周波数チャネルをFDMA処理部13に送信する。
図11を用いて、実施の形態2に係る通信方法を説明する。図11は実施の形態2に係る通信端末の送信動作を示すフローチャートである。換言すると、衛星1を経由して基地局2へCDMA拡散された送信データを送信する通信端末3に用いる通信方法であるといえる。図11におけるSとは処理ステップを意味しており、STEPの頭文字を表記している。なお、S101,S102,S103,S109〜S112,S114は、図5に記載のものと同様であるので、詳細説明は省略する。また、S004,S005,S007,S113は以降の実施の形態での処理ステップであるので、ここでは説明しない。
S103の処理の後(S103を行なわない場合はS102の処理の後)、S106において、判断処理部38は、位置情報取得部37からの自端末位置情報と、組み合わせ設定部36(ランダム選択部10)が予め保有している自端末範囲内外情報とを比較して、自端末の位置が範囲内かどうか判断する。自端末の位置が範囲内の場合は、S108において、ランダム選択部10が、時間スロットチャネルの選択において、早い時間が選択される確率を高めるように設定する。S106において、自端末の位置が範囲外であればS108はスキップされる。なお、S106の前に、位置情報取得部37による通信端末3の所在地を取得する通信端末位置取得ステップが行われる。
次に、S109,S110が実施され、S111において、ランダム選択部10が、早い時間が選択される確率を高めるように設定された周波数チャネルの一つをランダムに選択する。これは、CDMA拡散された送信データを送信する周波数チャネルを早い時間が選択される確率を高めるように設定されたものからランダムに選択する周波数チャネル選択ステップといえる。
つまり、S111である時間スロットチャネル選択ステップは、通信端末3の所在地が所定の領域内にある場合、そうで無い場合に対して、早い時間スロットチャネルを選択できる確率を高めるものであるといえる。また、時間スロットチャネル選択ステップは、通信端末3の所在地が所定の領域内にある場合、そうで無い場合に対して、選択できる範囲内の時間スロットチャネルのうちで早い時間側のものからランダムに選択するものであるともいえる。
なお、自端末の位置が範囲外であればS108はスキップされるとしたが、この場合は、「時間スロットチャネルの選択において、遅い時間になる可能性(確率)を高めるように設定する。」というS108と逆の処理ステップを行ってもよい。この場合、この処理ステップによって、S111である時間スロットチャネル選択ステップは、通信端末3の所在地が所定の領域外にある場合、そうで無い場合に対して、早い時間スロットチャネルを選択できる確率を下げるものである。また、時間スロットチャネル選択ステップは、通信端末3の所在地が所定の領域外にある場合、そうで無い場合に対して、選択できる範囲内の時間スロットチャネルのうちで遅い時間側のものからランダムに選択するものであるともいえる。
S112において、ランダム選択部10が、選択した1つの拡散符号チャネル、1つの時間スロットチャネル、1つの周波数チャネルをアクセス方式の組み合わせの一つとして、ランダム選択部10が決定され、S114が実行されて、時間スロットチャネル選択ステップで選択された時間スロットチャネル、かつ、周波数チャネル選択ステップで選択された周波数チャネルに対応する周波数で、拡散符号チャネル選択ステップで選択された拡散符号チャネルでCDMA拡散された送信データを送信する。
S109〜S112及びS114の処理は、送信データ部22で処理されたショートメッセージが、ランダム選択部10,位置情報取得部37,送信部7が連携した動作によって行なわれるものである。詳細は、前述のランダム選択部10,位置情報取得部37,送信部7に関する説明によって行なっている通りである。
S106でYesと判定された場合のS109〜S112及びS114を詳細な処理ステップに置き換えると、拡散符号チャネル選択ステップでランダムに選択された拡散符号チャネルを用いて送信データをCDMA拡散するCDMA拡散ステップ(CDMA拡散部11),時間スロットチャネル選択ステップで、早い時間が選択される確率を高めるように設定されたものの中から、ランダムに選択された時間スロットチャネルでCDMA拡散ステップによってCDMA拡散された送信データが送信されるように遅延させる遅延ステップ(TDMA処理部12),周波数チャネル選択ステップでランダムに選択された周波数チャネルに対応する周波数に前記遅延ステップで遅延された送信データを周波数変換する周波数変換ステップ(FDMA処理部13)の三つの処理ステップとなる。最後に、S114に相当する、遅延ステップで遅延され、及び、周波数変換ステップで周波数変換された送信データを送信する送信ステップ(無線処理部34)が実施されることになる。
実施の形態3.
この発明の実施の形態3について図12〜図18を用いて説明する。実施の形態3に係る基地局(基地局2)の基本構成は、他の実施の形態に係る基地局(基地局2)と同じである。図15〜図18において示されている黒点「 ● 」は、緯度と経度とで示される点(位置)である。また、斜線で示された領域は、前述の所定の領域である。図中では、所定の領域E又は、所定の領域E1,所定の領域E2と表示している。図15(a)は中心(重心)の情報が与えられた円形の所定の領域Eを示す図、図15(b)は中心(重心)の情報が与えられた四角形の所定の領域Eを示す図、図15(c)は複数の中心(重心)の情報が与えられ、複数の円形が示す所定の領域Eを示す図、図16(a)は頂点の情報が与えられた円形の所定の領域Eを示す図、図16(b)は頂点の情報が与えられた四角形の所定の領域Eを示す図、図16(c)は円周上の3点の情報が与えられた円形の所定の領域Eを示す図、図16(d)は円周上の3点の情報が与えられた円形から、該円形に内包される円形(この円形も円周上の3点の情報が与えられたもの)が引かれた所定の領域Eを示す図、図17(a)(b)は与えられた複数の点に囲われた所定の領域Eを示す図である。
図18(a)は円周上の3点の情報が与えられた円形の所定の領域E1と所定の領域E1に内包される円形(この円形も円周上の3点の情報が与えられたもの)が引かれた所定の領域E2とを示す図、図18(b)は与えられた複数の点に囲われた所定の領域E1と所定の領域E1に内包される四角形(この四角形は頂点の情報が与えられたもの)が引かれた所定の領域E2とを示す図、図18(c)は複数の中心(重心)の情報が与えられ、複数の円形が示す所定の領域E2と中心(重心)の情報が与えられ、複数の円形が示す所定の領域E1とを示す図である。
実施の形態3は、実施の形態2に係る通信端末が、所定の領域の情報をランダム選択部10(組み合わせ設定部36)が予め保有している場合を説明していることに対して、所定の領域の情報を外部から取得する場合、特に、基地局2から取得する場合について説明する。実施の形態2及び3に係る通信端末3は、ランダム選択部10がGPS情報から得られる位置情報から通信端末3の位置を判断する。詳しくは、通信端末3が、衛星1又はGPS衛星4から得られるGPS情報を取得する情報取得部8を有し、位置情報取得部8がGPS情報から位置情報を取得するものであることは共通している。もちろん、通信端末3は、基地局2が送信するフォワードリンク信号を受信する受信部6と、リターンリンク信号を送信する送信部7とを備えたものである。
よって、実施の形態3においては、実施の形態1及び2と同様の部分に関しての説明は省略する場合がある。換言すると、実施の形態3は、実施の形態3に係る基地局を説明することといえる。つまり、実施の形態3において、基地局2は衛星1を経由して複数の通信端末3と通信を行うものであって、基地局2へ複数の通信端末3からリターンリンク信号を送信するトリガとなるフォワードリンク信号を複数の通信端末3へ送信する基地局送信部2tと、衛星1又はGPS情報から得られる時刻情報から生成され、複数の通信端末3間で同期した直交符号(拡散符号)開始タイミングにより生成された直交符号(拡散符号)によってCDMA拡散されたリターンリンク信号を複数の通信端末3から受信する基地局受信部2rとを備えたものである。なお、実施の形態3で説明する基地局2の基本動作は、他の実施の形態における基地局2と同じである。
図12〜図18において、39はTDM分離部27において受信データと分離された基地局2からの所定の領域の情報である範囲情報(領域情報)を取得し、判断処理部38に送る放送情報取得部である。所定の領域の情報である範囲情報(領域情報)は基地局2から、複数の端末3へ同じ情報が配信されることから「放送情報」と称してもよい。40は基地局2が通信端末3に送信する所定の領域の情報である範囲情報(領域情報)の元となる情報をサービスセンター16へ送る範囲情報部である。範囲情報部40からの情報をサービスセンター16が地上ネットワーク14を介して、基地局2(後述の地上インターフェース部41)へ送られる。黒点「 ● 」は、所定の領域(所定の領域E(所定の領域E1,E2))の情報である範囲情報(領域情報)となる緯度と経度を示すものである。また、範囲情報部40からの情報が、通信端末3が受け取ったときに、所定の領域の情報である範囲情報(領域情報)として使用できるものでは無い場合は、サービスセンター16に範囲情報生成部16e(範囲情報変換部16e)で、範囲情報部40からの情報を変換してから、基地局2(後述の地上インターフェース部41)へ送ればよい。基地局2側に、範囲情報生成部16e(範囲情報変換部16e)を設けてもよい。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
図12〜図18において、41はサービスセンター16から地上ネットワーク14経由で基地局2に向けて送信された各通信端末3に送信するデータを受信する基地局2の地上インターフェース部である。なお、衛星追跡管制センター15から地上ネットワーク14経由で基地局2に向けて送信されたデータ(主として衛星の軌道情報)は、同じく、基地局2の地上インターフェース部41において受信される。42は地上インターフェース部41から各通信端末3別に送信するデータを受信し、各通信端末3別に送信データを生成する基地局2のデータ生成部、43は送信された制御データ(衛星軌道情報など)とともに、送信データをTDM多重化するTDM多重化部、44はTDM多重化部43へ制御データ(衛星軌道情報など)を送信する制御情報送信部、45はTDM多重化部43で、TDM多重化されたデータを誤り訂正符号化する誤り訂正符号化部、46は誤り訂正符号化部45での処理の後、QPSK変調を行なうQPSK変調部、47はQPSK変調部46でQPSK変調された送信データをRF周波数に周波数変換後、大電力増幅する無線送信部、48は送信データが、衛星通信用アンテナ2sから、非静止衛星1に向けて、フォワードリンク通信回線17を用いたフォワードリンク信号として送信させるために経由するデュプレクサである。2tは前述の基地局送信部であり、TDM多重化部43,誤訂正符号化部45,QPSK変調部46,無線送信部(基地局側送信部)47から構成される。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
図12〜図18において、49は複数の通信端末3が送信した信号が非静止衛星1経由(中継)で、衛星通信用アンテナ2sで受信され、デュプレクサ48を経由して送られてきた受信信号を低雑音増幅する無線受信部、50は無線受信部49による低雑音増幅の後、IF周波数信号に周波数変換された受信信号を(受信CDMA信号)からチップクロック及び直交符号開始タイミングを捕捉して、CDMA逆拡散を行うCDMA逆拡散部、51は基地局2のCDMA逆拡散部51において逆拡散された信号をBPSK復調するBPSK復調部、52はBPSK復調部52によるBPSK復調の後、誤り訂正復号を行なう誤り訂正復号部、53は誤り訂正復号部52による誤り訂正復号の後、サービスセンター16に出力するデータを形成して、地上インターフェース部41に送信するデータ処理部である。データ処理部53から処理されたデータは地上インターフェース部41から、地上ネットワーク14経由でサービスセンター16に送信される。2rは前述の基地局受信部であり、無線受信部(基地局側受信部)49,CDMA逆拡散部50,BPSK復調部51,誤り訂正復号部52から構成される。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
図13及び図14に記載の基地局2(基地局送信部2t)は、所定の条件に基づいて設定された所定の領域の情報をフォワードリンク信号に加えて送信し、通信端末3の位置情報(位置情報取得部37が得た位置情報、つまり、自端末の位置(所在地))と所定の領域とを比較して、所定の領域内に通信端末3がある場合と、そうで無い場合とで、リターンリンク信号を送信する時間スロットの選択範囲を複数の通信端末3間で通信端末3の位置に応じて変更させるものである。所定の領域の情報である範囲情報(領域情報)は送信データとして、データ生成部42及び基地局送信部2tにより処理されて衛星通信用アンテナ2sから衛星1を経由して通信端末3へフォワードリンク信号として送信される。
このフォワードリンク信号を受信した通信端末3(受信部6)は、受信したフォワードリンク信号から所定の領域の情報を取得し、通信端末3のランダム選択部10が、所定の領域内に該ランダム選択部10を有する通信端末3がある場合、そうで無い場合のものに対して、送信部7が送信データを遅延させる時間の基になる時間スロットを早い時間スロットチャネルから選択できる確率を高める。なお、通信端末3のランダム選択部10は、所定の領域外に該ランダム選択部10を有する通信端末3がある場合、そうで無い場合のものに対して、送信部7が送信データを遅延させる時間の基になる時間スロットを早い時間スロットチャネルから選択できる確率を下げてもよい。
そして、通信端末3のランダム選択部10が設定(決定)したアクセス方式の組み合わせ(1つの拡散符号チャネル、1つの時間スロットチャネル、1つの周波数チャネル)で、リターンリンク信号を衛星通信用アンテナ3sから衛星1を経由して基地局2へ送信する。リターンリンク信号は、基地局2の衛星通信用アンテナ2sで受信され、基地局受信部2r及びデータ処理部53により処理されて、地上インターフェース部41から地上ネットワークを介してサービスセンター16に送られる。したがって、サービスセンター16は複数の通信端末3から情報を得ることができる。実施の形態3に係る通信システム(基地局,通信端末)を個人識別情報(ID情報)や位置情報を含む安否情報などのショートメッセージを衛星1(準天頂衛星1)経由で送信することに適用した場合は、サービスセンター16は通信端末3又はその使用者の個人識別情報(ID情報)や位置情報を含む安否情報を得ることができる。
なお、実施の形態3に係る通信システム(基地局,通信端末)を個人識別情報(ID情報)や位置情報を含む安否情報などのショートメッセージを衛星1(準天頂衛星1)経由で送信することに適用した場合、所定の領域とは、災害時などの被災地域を指すことなる。したがって、範囲情報部40は被災地の情報を所定の領域である範囲情報(領域情報)として、サービスセンター16へ送信することになる。しかし、この被災地の情報が、通信端末3が受け取ったときに、所定の領域の情報である範囲情報(領域情報)として使用できるものでは無い場合、例えば、単に、被災地の地名だけの場合は、図14に示すサービスセンター16に範囲情報生成部16e(範囲情報変換部16e)で、範囲情報部40からの情報を変換してから、基地局2(後述の地上インターフェース部41)へ送る必要がある。ここで、範囲情報生成部16e(範囲情報変換部16e)で変換される情報を、所定の条件に基づいて設定された所定の領域の情報という。
所定の条件とは、例えば、「範囲情報部40からサービスセンター16(範囲情報生成部16e)へ送られる情報が地名である場合、その地名が指す地域に存在する役所やランドマークなどの著名な建物の住所や位置を緯度と経度とで示される一つの点で表される位置情報に変換する。」,「範囲情報部40からサービスセンター16(範囲情報生成部16e)へ送られる情報が地名である場合、その地名が指す地域に存在する役所やランドマークなどの著名な建物の住所が示す領域を緯度と経度とで示される複数の点で表される位置情報に変換する。」などが挙げられる。
前者の場合は、著名な建物の住所や位置を緯度と経度とで示される一つの点で表される位置情報に変換された「一つの点で表される位置情報」は、地上インターフェース部41を介して、データ生成部42で「一つの点で表される位置情報」を含む送信データとして生成されて、基地局送信部2tが、位置の情報として一点の位置情報がフォワードリンク信号として各通信端末3へ送信する。そして、フォワードリンク信号を受信した通信端末3が、TDM分離部27によって位置の情報を分離して、放送情報取得部39へ送る。そして、一点の位置情報から所定の条件に基づいて設定された所定の領域を算出する。
この算出、つまり、一点の位置情報から所定の条件に基づいて設定された所定の領域を算出する場合は、図15(a)に示すような一点を円の中心(重心)とした所定の領域Eや図15(b)に示すような一点を四角形の重心(中心)とした所定の領域E(一点を多角形の重心(中心)とした所定の領域Eでもよい)などを通信端末3の判断処理部38又は放送情報取得部39が算出する。なお、所定の領域Eの半径や頂点の座標又は面積の情報は事前に決めておき、通信端末3の判断処理部38又は放送情報取得部39が記憶させておいてもよいし、所定の領域Eの半径や頂点の座標又は面積の情報を範囲情報部40又は範囲情報生成部16e(範囲情報変換部16e)で設定して、フォワードリンク信号で位置の情報と合わせて送信してもよい。
後者の場合は、著名な建物の住所が示す領域を緯度と経度とで示される複数の点で表される位置情報に変換された「複数の点で表される位置情報」は、地上インターフェース部41を介して、データ生成部42で「複数の点で表される位置情報」を含む送信データとして生成されて、基地局送信部2tが、位置の情報として複数の点の位置情報がフォワードリンク信号として各通信端末3へ送信する。そして、フォワードリンク信号を受信した通信端末3が、TDM分離部27によって位置の情報を分離して、放送情報取得部39へ送る。そして、複数の点の位置情報から所定の条件に基づいて設定された所定の領域を算出する。
この算出、つまり、複数の点の位置情報から所定の条件に基づいて設定された所定の領域を算出する場合は、図15(c)に示すような一点を円の中心(重心)とした複数の円形で示される所定の領域E,図16(a)に示すような複数の点(三点)を三角形の頂点とした所定の領域E及び図16(b)に示すような複数の点(四点)を四角形の頂点とした所定の領域E(与えられた点を頂点とする多角形の形状の所定の領域Eでもよい),図16(c)に示すような複数の点(三点)が円周を通る円形の所定の領域E,図16(d)に示すような複数の点(三点)が円周を通る円形から該円形に内包される円形(この円形も円周を通る複数の点(三点)が与えられる)を除いた所定の領域E,図17(a)(b)示すような複数の点で囲われた所定の領域Eなどを通信端末3の判断処理部38又は放送情報取得部39が算出する。なお、所定の領域Eの半径や面積の情報は事前に決めておき、通信端末3の判断処理部38又は放送情報取得部39が記憶させておいてもよいし、所定の領域Eの半径や面積の情報を範囲情報部40又は範囲情報生成部16e(範囲情報変換部16e)で設定して、フォワードリンク信号で位置の情報と合わせて送信してもよい。
このようにして決められた所定の領域(所定の領域E)から判断処理部38は、実施の形態2と同様に、実施の形態3に係る通信端末3においても、自端末の位置が特定の範囲(所定の領域(所定の領域E))内にあるか、あるいは範囲外にあるかの情報である自端末範囲内外情報を生成し、組み合わせ設定部36に送る。組み合わせ設定部36は、組み合わせ設定部36(ランダム選択部10)が予め保有している自端末範囲内外情報に従って、自端末の位置が特定の範囲(所定の領域(所定の領域E))内の場合には、ランダム選択部10が、所定の領域(所定の領域E)内に該ランダム選択部10を有する通信端末3がある場合、そうで無い場合のものに対して、送信部7が送信データを遅延させる時間の基になる時間スロットを早い時間スロットチャネルから選択できる確率を高めるもの、換言すると、ランダム選択部10が、所定の領域(所定の領域E)内に該ランダム選択部10を有する通信端末3がある場合、そうで無い場合のものに対して、送信部7が送信データを遅延させる時間の基になる時間スロットを、選択できる範囲内の時間スロットチャネルのうちで早い時間側のものからランダムに選択することができるテーブルの情報を組み合わせ設定部36が組み合わせ選択部35に送信する。
また、自端末の位置が特定の範囲(所定の領域(所定の領域E))外の場合には、ランダム選択部10が、所定の領域(所定の領域E)外に該ランダム選択部10を有する通信端末3がある場合、そうで無い場合のものに対して、送信部7が送信データを遅延させる時間の基になる時間スロットを遅い時間スロットチャネルから選択できる確率を高めるもの、換言すると、ランダム選択部10が、所定の領域(所定の領域E)外に該ランダム選択部10を有する通信端末3がある場合、そうで無い場合のものに対して、送信部7が送信データを遅延させる時間の基になる時間スロットを、選択できる範囲内の時間スロットチャネルのうちで遅い時間側のものからランダムに選択することができるテーブルの情報を組み合わせ設定部36が組み合わせ選択部35に送信することで、自端末の位置が特定の範囲(所定の領域(所定の領域E))外にある通信端末3の早期通信の可能性が低くなるので、自端末の位置が特定の範囲(所定の領域)内にある通信端末3の早期通信の可能性を高めることができる。
よって、実施の形態3に係る通信装置がこのような動作を行なうので、実施の形態3に係る基地局は、基地局送信部2t(基地局2)が、所定の領域(所定の領域E)内に通信端末3がある場合と、そうで無い場合とで、リターンリンク信号を送信する時間スロットの選択範囲を複数の通信端末3間で変更させるものといえる。また、所定の領域Eは、「フォワードリンク信号で位置の情報が送信され、該位置の情報が示す一点の位置情報から所定の条件に基づいて設定された領域」又は「フォワードリンク信号で位置の情報が送信され、該位置の情報が示す二点以上の位置情報から所定の条件に基づいて設定された領域」であるといえる。
これまでの実施の形態2及び3では、通信端末3が所定の領域(所定の領域E)の内外にいずれかにいるかで、時間スロットの選択可能な範囲を変更する通信方法、通信端末、基地局及び通信システムを説明してきたが、所定の領域の内部であっても、さらに、時間スロットの選択可能な範囲を変更してもよい。例えば、所定の領域Eを所定の領域E1と所定の領域E2に分ける。
そして、自端末の位置が所定の領域E1内にあるか、あるいは所定の領域E2内にあるかの情報である自端末範囲内外情報を生成し、組み合わせ設定部36に送る。組み合わせ設定部36は、組み合わせ設定部36(ランダム選択部10)が予め保有している自端末範囲内外情報に従って、自端末の位置が所定の領域E1内の場合には、ランダム選択部10が、所定の領域E1内に該ランダム選択部10を有する通信端末3がある場合、所定の領域E2内にある場合のものに対して、送信部7が送信データを遅延させる時間の基になる時間スロットを早い時間スロットチャネルから選択できる確率を高めるもの、換言すると、ランダム選択部10が、所定の領域E1内に該ランダム選択部10を有する通信端末3がある場合、所定の領域E2内にある場合のものに対して、送信部7が送信データを遅延させる時間の基になる時間スロットを、選択できる範囲内の時間スロットチャネルのうちで早い時間側のものからランダムに選択することができるテーブルの情報を組み合わせ設定部36が組み合わせ選択部35に送信する。なお、所定の領域E1及び所定の領域E2は、所定の領域Eを分割しているものなので、時間スロットチャネルのランダム選択に関して、所定の領域E1及び所定の領域E2と所定の領域E1及び所定の領域E2外との関係は、所定の領域Eと所定の領域E外の関係と同じである。
次に、図18を用いて所定の領域E1と所定の領域E2との設定の仕方も「フォワードリンク信号で位置の情報が送信され、該位置の情報が示す二点以上の位置情報から所定の条件に基づいて設定された領域」であることを説明する。図18(a)は、複数の点(三点)が円周を通る円形から該円形に内包される円形(この円形も円周を通る複数の点(三点)が与えられる)を除いた所定の領域E2として、内包される円形を所定の領域E1とした場合の例である。図18(b)は複数の点で囲われた領域から該領域に内包される四角形(この四角形も頂点(四点)が与えられる)を除いた所定の領域E2として、内包される円形を所定の領域E1とした場合の例である。図18(c)は、一点を円の中心(重心)とした複数の円形で示される所定の領域のうち、一つを所定の領域E1とし、残りの円形で示されるものを所定の領域E2とした場合の例である。なお、所定の領域E1,所定の領域E2の半径や面積の情報は事前に決めておき、通信端末3の判断処理部38又は放送情報取得部39が記憶させておいてもよいし、所定の領域E1,所定の領域E2の半径や面積の情報を範囲情報部40又は範囲情報生成部16e(範囲情報変換部16e)で設定して、フォワードリンク信号で位置の情報と合わせて送信してもよい。
なお、図16(c)(d)図18(a)では、三点(緯度と経度と規定された座標)が分かれば、円(円形)が分かるとしたが、その理由は、下記の数式である数1及び数2で示す円の方程式のいずれか一方のxとyとにそれぞれ、三点(例えば、(X1,Y1)(X2,Y2)(X3,Y3))をそれぞれ代入してできる連立方程式を解くことで、円の中心の座標(a,b)と半径rとが、容易に求められるためである。
したがって、実施の形態3に係る通信端末は、実施の形態3に係る基地局から送信されたフォワードリンク信号を受信した通信端末3の受信部6が、フォワードリンク信号から得られる位置の情報が示す一点の位置情報から所定の条件に基づいて設定された領域を「所定の領域(所定の領域E(所定の領域E1,所定の領域E2))」とするものであるともいえる。もちろん、実施の形態3に係る通信端末は、実施の形態3に係る基地局から送信されたフォワードリンク信号を受信した通信端末3の受信部6が、フォワードリンク信号から得られる位置の情報が示す二点以上の位置情報から所定の条件に基づいて設定された領域を「所定の領域(所定の領域E(所定の領域E1,所定の領域E2))」とするものであるともいえる。
図15〜図18は、基地局2からフォワードリンク通信回線17により通信端末3に配信する、「範囲情報」の位置範囲指定方法を示す図である。図に示すように、範囲情報は、1点の(緯度,経度)か、2点以上の(緯度,経度)の組み合わせで構成される。黒点「 ● 」が(緯度,経度)を示す。放送情報取得部39は、その囲まれた範囲を、範囲情報と認識する。このような位置範囲指定方法を使用することによって、指定したい位置範囲の形状に即したきめ細かな範囲指定が可能となる。ここで、指定したい位置範囲とは、例えば、実際に災害が発生していると思われる位置範囲あるいは、被災してショートメッセージを送信したい端末が多数存在すると思われる地域などである。
実施の形態4.
この発明の実施の形態4について図19〜図22を用いて説明する。実施の形態1〜3では、ランダムにアクセス方式の組み合わせを選択する組み合わせ選択部35が、組み合わせ設定部36(テーブル記憶部36)に記憶された「拡散符号チャネル」「周波数チャネル」「時間スロットチャネル」の三つの組み合わせごとに、一括りされて付与された選択番号からなるテーブルから前述の選択番号を選択することにより、ランダムに「拡散符号チャネル」「周波数チャネル」「時間スロットチャネル」を決定していたが、実施の形態4では、「時間スロットチャネル」のみを別テーブルにしたものを説明する。よって、実施の形態4においては、実施の形態1〜3と同様の部分に関しての説明は省略する場合がある。
図19〜図22において、54は組み合わせ選択部35が「時間スロットチャネル」をランダムに選択することができるテーブルを設定(記憶)している時間スロット設定部(第2テーブル記憶部)である。よって、実施の形態4において、組み合わせ設定部36(テーブル記憶部36)は「拡散符号チャネル(直交符号チャネル)」「周波数チャネル」をランダムに選択することができるテーブルを設定(記憶)しているものとなる。また、実施の形態4では、位置情報取得部37からの自端末位置データ(自端末の位置情報)は、ランダム選択部10の時間スロット設定部54(第2テーブル記憶部54)へ送られる。なお、実施の形態1〜3において、組み合わせ設定部36(テーブル記憶部36)は「拡散符号チャネル(直交符号チャネル)」「周波数チャネル」「時間スロットチャネル」をランダムに選択することができるテーブルを設定(記憶)しているものといえる。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
図19に記載の通信端末3は、実施の形態2に係る通信端末に時間スロット設定部54(第2テーブル記憶部54)が追加されたものを示しており、図20に記載の通信端末3は、実施の形態3に係る通信端末に時間スロット設定部54(第2テーブル記憶部54)が追加されたものを示している。図21及び22に示すテーブルは、行方向には、ランダム選択部10がランダムに選択する必要がある「拡散符号チャネル(直交符号チャネル)」「周波数チャネル」「時間スロットチャネル」の三つの項目のいずれかが設定されている。列方向にはそれぞれの設定できるチャネルが、三つの項目で重複しない組み合わせを選択して並べられている。それぞれの組み組み合わせには、選択番号が付与されている。図21及び22の中は、NNN,MMM,LLL,KKKの四つは、それぞれ正の整数を指す。また、これらの四つの正の整数は異なるものでよい。なお、時間スロットチャネルにおけるチャネル#1,チャネル#2,・・チャネル#KKKは、時間帯の早い順に並んでいる。
また、図21(a)図22(a)に記載のテーブルは、組み合わせ設定部36(テーブル記憶部36)が記憶する選択可能な「拡散符号チャネル(直交符号チャネル)」「周波数チャネル」のテーブルである。図21(b)図22(b)に記載のテーブルは、時間スロット設定部54(第2テーブル記憶部54)が記憶する選択可能な「時間スロットチャネル」のテーブルである。図21(c)は図21(b)(図22(b))に示す「時間スロットチャネル」のテーブルから時間スロットチャネルが比較的早いものであるチャネル#1,チャネル#2からのみ選択できるようにしたテーブルである。図21(d)は図21(b)(図22(b))に示す「時間スロットチャネル」のテーブルから時間スロットチャネルが比較的遅いものであるチャネル#3,チャネル#4からのみ選択できるようにしたテーブルである。図22(c)は図21(c)記載のテーブルにおいて選択番号数を選択可能な「時間スロットチャネル」数だけにしたものである。同じく、図22(d)は図21(d)記載のテーブルにおいて選択番号数を選択可能な「時間スロットチャネル」数だけにしたものである。
よって、図21及び22に示す「テーブル記憶部36(組み合わせ設定部36)が記憶するテーブル」に基づく場合、実施の形態4に係る通信方法は、拡散符号チャネル選択ステップ及び周波数チャネル選択ステップは、予め設定され、拡散符号チャネル及び周波数チャネルの組み合わせから成るテーブルからランダムに選択するものであるといえる。
実施の形態4におけるランダム選択部10は、組み合わせ選択部35,組み合わせ設定部36(テーブル記憶部36),判断処理部38,時間スロット設定部54(第2テーブル記憶部54)から構成されている。図19に示す通信端末3では、位置情報取得部37が、GPS信号処理部29からGPS位置情報を取得して、自端末の位置情報として判断処理部38に出力する。判断処理部38は、自端末の位置が特定の範囲(所定の領域)内にあるか、あるいは範囲外にあるかの情報である自端末範囲内外情報を生成し、時間スロット設定部54に送る。
時間スロット設定部54は、時間スロット設定部54(ランダム選択部10)が予め保有している自端末範囲内外情報に従って、自端末の位置が特定の範囲(所定の領域)内の場合には、ランダム選択部10が、所定の領域内に該ランダム選択部10を有する通信端末3がある場合、そうで無い場合のものに対して、送信部7が送信データを遅延させる時間の基になる時間スロットを早い時間スロットチャネルから選択できる確率を高めるもの、換言すると、ランダム選択部10が、所定の領域内に該ランダム選択部10を有する通信端末3がある場合、そうで無い場合のものに対して、送信部7が送信データを遅延させる時間の基になる時間スロットを、選択できる範囲内の時間スロットチャネルのうちで早い時間側のものからランダムに選択することができるテーブルの情報を時間スロット設定部54が組み合わせ選択部35に送信する。例えば、図21(c)に示すテーブルのようなものである。
組み合わせ設定部36は、「拡散符号チャネル(直交符号チャネル)」「周波数チャネル」の組み合わせを組み合わせ選択部35に送信する。例えば、図22(a)に示すテーブルのようなものである。時間スロット設定部54は、時間スロット設定部54が予め保有している自端末範囲内外情報に従って、自端末の位置が特定の範囲(所定の領域)外の場合には、通常使用しているテーブルの情報を時間スロット設定部54が組み合わせ選択部35に送信すればよい。例えば、図21(b)に示すテーブルのようなものである。
また、自端末の位置が特定の範囲(所定の領域)外の場合には、ランダム選択部10が、所定の領域外に該ランダム選択部10を有する通信端末3がある場合、そうで無い場合のものに対して、送信部7が送信データを遅延させる時間の基になる時間スロットを遅い時間スロットチャネルから選択できる確率を高めるもの、換言すると、ランダム選択部10が、所定の領域外に該ランダム選択部10を有する通信端末3がある場合、そうで無い場合のものに対して、送信部7が送信データを遅延させる時間の基になる時間スロットを、選択できる範囲内の時間スロットチャネルのうちで遅い時間側のものからランダムに選択することができるテーブルの情報を時間スロット設定部54が組み合わせ選択部35に送信することで(例えば、図22(d)に示すテーブルのようなものである)、自端末の位置が特定の範囲(所定の領域)外にある通信端末3の早期通信の可能性が低くなるので、自端末の位置が特定の範囲(所定の領域)内にある通信端末3の早期通信の可能性を高めることができる。
このように、判断処理部38からの自端末範囲内外情報を受けた時間スロット設定部54が、自端末範囲内外情報に合わせて決定した上記のようなテーブルの情報(組み合わせ情報)から、組み合わせ選択部35が、時間スロットチャネルを1つ(図21に示すテーブルを使用する際は、選択番号)をランダムに選択する。そして、組み合わせ選択部35は、選択した選択した時間スロットチャネルをTDM処理部12に送信する。また、自端末範囲内外情報に関係なく、組み合わせ設定部36から得られる情報から、組み合わせ選択部35が、拡散符号チャネル(直交符号チャネル)、周波数チャネルの組み合わせの1つ(図21(a)に示すテーブルを使用する際は、選択番号)をランダムに選択する。そして、組み合わせ選択部35は、選択した拡散符号チャネル(直交符号チャネル))を拡散符号発生部9(直交符号発生部9)に送信し、選択した周波数チャネルをFDM処理部13に送信する。
なお、時間スロット設定部54が予め保有している自端末範囲内外情報とは、所定の領域の情報である。この所定の領域(所定の領域E(所定の領域E1,E2))とは、前述の通り、通信端末3が、その所定の領域内に存在した場合に、その所定の領域外に存在した場合によりも、早期通信する必要性が強いものを指す。図19に記載の通信端末3では、所定の領域の情報をランダム選択部10(組み合わせ設定部36)が予め保有している場合を説明しているが、図20に記載の通信端末3では、所定の領域の情報を外部から取得する場合を示している。なお、図20に記載の放送情報取得部39や放送情報取得部39及び判断処理部38の連携に関しては、実施の形態3における説明と同じであるので説明は省略する。
次に、図22に示すテーブルを説明する。図22に示すテーブルは、図21に示すテーブルの代用となるものである。組み合わせ設定部36が保有するテーブルである図21(a)と図22(a)とは共通である。また、時間スロット設定部54が保有するテーブルである図21(b)と図22(b)とは共通である。
異なる点は、図21(c)(d)においては、選択番号を図21(a)(b)にあわせて「NNN」として、「NNN」中から組み合わせ選択部35にランダムに判断させていたが、判断処理部38の判断によって、時間スロットを早い時間スロット又は遅い時間スロットチャネルから選択できる確率を高めるために、選択できる時間スロット数を減らしている場合は、選択できる時間スロット数と選択番号数とを一致させても支障がない。
そのため、図22(c)(d)では、選択できる時間スロット数と選択番号数とを一致させたものを示している。なお、図22(c)(d)においては、選択できる時間スロット数を二つとしているので、図示されている選択番号は「001」「002」の二つだけになっているが、これに限るものではない。
実施の形態4では、条件によって選択する幅が変わってしまう時間スロットに関してだけ変更可能である構成として、時間スロット設定部54(第2テーブル記憶部54)を設けたので、「拡散符号チャネル(直交符号チャネル)」「周波数チャネル」「時間スロットチャネル」の三つのテーブルをまとめて作成するよりも、自由度が高い「時間スロットチャネル」の設定が可能となる。もちろん、「拡散符号チャネル(直交符号チャネル)」「周波数チャネル」「時間スロットチャネル」のテーブル作成自体が容易となる。
実施の形態5.
この発明の実施の形態5について図23,図24,図25を用いて説明する。実施の形態5では、実施の形態2〜4にて説明を行なった自端末位置データを用いた判断処理部38を確率分布特性の観点から考察した構成を説明する。実施の形態5に係る通信端末は、確率分布特性に支配されてランダムに時間スロットチャネルを選択することが、他の実施の形態に係る通信端末との相違点である。よって、実施の形態5に係る通信端末は時間スロットの選択範囲の変更が必要となった場合でも、ランダム選択部10は、図9に示すようなテーブルを保持して参照先の表を切り替える必要はない。なお、拡散符号チャネル(直交符号チャネル)及び周波数チャネルの選択に関しては、実施の形態5に係る通信端末と実施の形態1〜4に係る通信端末とは基本的な動作は同じである。つまり、拡散符号チャネル(直交符号チャネル)及び周波数チャネルは、ランダム選択部10(組み合わせ選択部35)によってランダムに選択される。
図23,図24,図25において、55は確率分布特性(例えば、図25に記載のもの)の情報を組み合わせ選択部35へ送る確率分布記憶部、56は判断処理部38からの自端末範囲内外情報に基づき、確率分布記憶部55に確率分布選択情報を送信する確率設定部である。実施の形態5におけるランダム選択部10は、組み合わせ選択部35,組み合わせ設定部36(テーブル記憶部36),判断処理部38,確率分布記憶部55,確率設定部56から構成されている。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
図23に記載の通信端末3は、実施の形態2に係る通信端末に対応するもの(自端末が範囲内に存在するかどうかを通信端末3のみで判断するもの)であり、図24に記載の通信端末3は、実施の形態3に係る通信端末に対応するもの(自端末が範囲内に存在するかどうかを通信端末3が基地局2から情報を受けて判断するもの)である。図25は、確率分布記憶部55に記憶されている、時間スロットチャネルに対する確率分布の特性図である。図25(a)の特性は、時間スロットチャネルが相対的に早いほど確率が高くなる分布であり、図25(b)の特性は、時間スロットチャネルに係らず、確率が一様の分布であり、図25(c)の特性は、時間スロットチャネルが相対的に遅いほど確率が高くなる分布である。
前述のとおり、通常のSlotted ALOHAによるランダムアクセス方式のように、送信要求が発生したスロットの次のスロットでデータを送信するというスロット選択方法は本願では使用できない。そのため、一斉に通信端末3で救難メッセージ(ショートメッセージ)送信要求が発生するようなサービスに対応できるCDMA/FDMA/TDMAによるランダムアクセスにおいて、異なるスロットを選択するための手法を以下に説明する。
例えば、次のようにして、データを送信するスロットを選択する。すなわち、各通信端末3は、送信要求が発生した時間からT時間経過するまでの多数のスロットの中から、ランダムに一つのスロットを選択する。各通信端末3は、スロットのタイミングを、GPS時刻信号から得られる絶対時刻を用いて、送信タイミング発生部32が発生させたチップクロック及び直交符号開始タイミング(拡散符号開始タイミング)とともに同期させているので、各通信端末3間のスロットの同期は取れている。
今、ショートメッセージのデータバースト長を情報ビット125ビットとする。ショートメッセージに必要な最低限の情報は、遭難者(通信端末3保持者)のIDと位置情報であるので、このような少ないビット数でもメッセージを構成できる。したがって、1つのバーストの時間長は125ビット/50bps=2.5秒となる。今、仮にT=30分とすると、スロットの数は720となる。
次に、CDMA/FDMA/TDMAによるランダムアクセスにおいて、「アクセスする通信端末3の数をN個とし、N個の通信端末3のうちのある1つの通信端末3が、ランダムに一つの拡散符号チャネルと周波数チャネルとスロットチャネルの組み合わせを選択してメッセージ送信に成功する確率Ps」を求める。
上記確率Psは、「ある一つの通信端末3が、ランダムに一つの拡散符号チャネルと周波数チャネルとスロットチャネルの組み合わせを選択したときに、全体でN個の通信端末3がある場合(Nは正の整数)、他のN−1個の通信端末3が、前述のある一つの通信端末3と同じ組み合わせを選択しない確率」に等しい。この確率は、二項分布の「N回の独立な試行を行ったときの成功回数がkとなる確率」において、k=0にした場合に等しいので、二項分布は、nが大きい場合に、ポアソン分布に従うとすると、結局、この確率はポアソン分布のk=0の場合に等しくなる。すなわち、N:端末数、Nc:拡散符号チャネル数、Nf:周波数チャネル数、Nt:スロットチャネル数とし、
とすると、送信メッセージ成功確率Psは、
となる。ここで、Nc=1024、Nf=25、Nt=720とし、仮に同時アクセスする通信端末数N=100万として、上式に代入すると、λ=0.1356、Ps=0.947となり、約95%の端末がショートメッセージの送信に、衝突なしで、1回で成功すると考えられる。
次に、通信端末3がショートメッセージを送信した場合、通信端末3が、衛星回線での往復遅延時間(約0.5秒)と基地局2での処理時間を考慮した時間待っても、基地局2からACK信号がフォワードリンク通信回線17を通じて返ってこなかった場合(すなわち、通信端末3においてタイムアウトした場合)、最も近い次のスロットでショートメッセージを再送する場合を考える。以下で、再送は、さらに再々送まで考慮する。今、メッセージが衝突する確率をPcとすれば、
であるので、
が成り立つ。しかしながら、再送および再々送がある場合は、同時アクセスする通信端末3の数N(すなわち総トラフィック数)が、増加することを考慮しなければならない。すなわち、メッセージの最初の送信でNの総トラフィック数は、1回目の衝突により、N/(1−Pc)に増加し、再送があると、さらに、総トラフィック数は、N/[(1−Pc)(1−Pc^2)]に増加し、再々送があると、さらに、総トラフィック数はN/[(1−Pc)(1−Pc^2)(1−Pc^3)]に増加すると考えられる。したがって、再送、再々送がある場合は、
が成り立つと考えることができる。数7を書き換えると
となり、これは、再送、再々送を行った場合に、1回のメッセージ送信での衝突の確率をPcとするために必要なλ=N/(Nc*Nf*Nt)を求めるための式と考えられる。数8において、例えば、仮にPc=0.2とすると、λ=0.152となる。したがって、λ=0.152とすれば、1つの通信端末がメッセージの再々送を行ってもメッセージが衝突する確率はPc^3となるので、Pc^3=0.2^3=0.008より、前記通信端末は0.8%のメッセージ損失率で、ランダムアクセスによりメッセージを送ることができると考えられる。
このとき、同時アクセス可能な端末数Nは、前記の具体的なパラメータNc=1024、Nf=25、Nt=720を上式に代入すると、N=0.152*(1024*25*720)=2801,664となり、約280万台の通信端末3が、メッセージ損失率0.8%で同時アクセス可能となる。次に、通信端末3のランダム選択部10がランダムに一つの拡散符号チャネルと一つの周波数チャネルと一つの時間スロットチャネルの組み合わせを選択する具体的方法を示す。
まず、0から1の間の一様乱数Rndを発生させる。拡散符号チャネルの総数をNcとすると、[Nc*Rnd+1]を計算し、その整数部分を取って、ランダムに選択した一つの拡散符号チャネルとする。周波数チャネル、時間スロットチャネルについても同様である。
確率設定部56は、他の実施の形態と同様に、判断処理部38から得られる自端末範囲内外情報に従って、自端末の位置が特定の範囲(所定の領域)内の場合には、相対的に早い時間スロットチャネルの選択確率を高める設定情報(確率分布選択情報)を確率分布記憶部55を介して、確率分布特性として組み合わせ選択部35に送信するが、そのとき、組み合わせ選択部35(ランダム選択部10)は、時間スロットチャネルを選択するための乱数生成の方法として、例えば、逆変換法を用いることができる。逆変換法は得られた乱数(例えば前述の一様乱数Rnd)をさらに関数で変換することによって、望みの確率分布に従う乱数を得る方法であり、世の中でよく知られている。なお、ここで、試行の結果によって,その値をとる確率が定まる変数を確率変数としたとき、確率変数とその値をとる確率との対応を示したものを確率分布と言っている。
相対的に早い時間スロットチャネルの選択確率を高めるような確率分布の例として、全時間スロットチャネルのうち、例えば、時間の早い方から半分の前半のスロットチャネルで確率が一様で、残りの後半のスロットチャネルで、確率が0となるような確率分布であってもよい。このような場合、前半の早い時間スロットチャネルの中からのみ、時間スロットチャネルがランダムに選択される。
前述の図8及び図9を用いて、通信端末3からのアクセス方式における、組み合わせ設定部36での、拡散符号チャネル、周波数チャネル、時間スロットチャネルの組み合わせを1つ又は2以上、ランダムに選択する方式において、実施の形態5に係る通信端末のランダム選択部10と実施の形態1〜4に係る通信端末のランダム選択部10との違いと類似点を説明する。なお、2以上のチャネル組み合わせ数n(nは正の整数)に関しては、後述の実施の形態6にて詳細を説明する。図8に示すテーブルには、拡散符号チャネル、周波数チャネル、時間スロットチャネルの全組み合わせが記憶(設定)されており、それぞれの組み合わせには、選択番号が付されている。なお、図9はテーブル記憶部36の内容を示しており、図9(a)のテーブルには、拡散符号チャネル、周波数チャネル、時間スロットチャネルの全組み合わせが記憶されており、それぞれの組み合わせには、選択番号が付されている。また、図9(b)のテーブルには、拡散符号チャネル、周波数チャネルは図9(a)と同じであるが、時間スロットチャネルは相対的に時間の早いチャネル#1とチャネル#2のみ、テーブルに含まれているが、時間の遅いチャネル#3とチャネル#4はテーブルに含まれていない。図9(c)のテーブルには、拡散符号チャネル、周波数チャネルは図9(a)と同じであるが、時間スロットチャネルは相対的に時間の遅いチャネル#3とチャネル#4のみ、テーブルに含まれているが、時間の早いチャネル#1とチャネル#2はテーブルに含まれていない。
実施の形態1〜4に係る通信端末では、ランダム選択部10がテーブル記憶部36を参照し、その中からランダムに選択番号を選択することによって、チャネルの組み合わせをランダムに選択する。この方法を用いることにより、各チャネルをランダムに選択できる。そして、通信端末3ごとに選択できる時間スロットの時間差をつける必要がある場合は、予め設定された図9(b)(c)に示すようなテーブルの情報(組み合わせ情報)を組み合わせ設定部36が組み合わせ選択部35へ送ればよい。つまり、前述の図9(b)(c)を用いた通信端末3のアクセス方式のランダム選択方式は、予め設定されたテーブル切り替えているので、ランダム選択部10自体が時間スロットの時間帯の早さや遅さを直接判断しているわけではない。対して、実施の形態5に係る通信端末では、確率分布記憶部55及び確率設定部56における自端末範囲内外情報に従った、相対的に早い時間スロットチャネルの選択確率を高める設定方法に関するもの、又は、確率分布記憶部55及び確率設定部56における自端末範囲内外情報に従った、相対的に遅い時間スロットチャネルの選択確率を高める設定方法に関するものである点が異なる。よって、時間スロットチャネルに関して、実施の形態1〜4に係る通信端末は、ランダムに選択するものであるといえる。テーブルを用いる場合もテーブルに記載されたチャネルの中からランダムに選択されるといえる。一方、実施の形態5に係る通信端末は、確率分布特性によって時間スロットの選択の範囲に制限を受けた中でランダムに選択するものであるといえる。なお、拡散符号チャネル(直交符号チャネル)及び周波数チャネルに関して、実施の形態1〜4及び実施の形態5に係る通信端末ともに、ランダムに選択されるものである。テーブルを用いる場合もテーブルに記載されたチャネルの中からランダムに選択されるといえる。
実施の形態5に係る通信端末(図23又は図24に記載の通信端末3)は、テーブル記憶部36(組み合わせ設定部36)は、図8(図9(a))に示すテーブルの情報(組み合わせ情報)を組み合わせ選択部35に送る。組み合わせ選択部35は、テーブルの情報(組み合わせ情報)から時間スロットを確率分布記憶部55から送られる確率分布特性の情報(図25に記載のもの)に基づいてランダムに選択することで、実施の形態5に係る通信端末においても、図9(a)(b)に示すテーブルをテーブルの情報としてテーブル記憶部36が記憶するランダム選択部10を有する実施の形態1〜4に係る通信端末と同様の機能を得ることができる。その一方で、実施の形態5に係る通信端末は、図9(a)と図9(b)(c)とのテーブルを切り替える他の実施の形態のよりも、時間スロットチャネル)をランダムに選択する範囲変更の自由度が高い。その理由は、図25に示す確率分布を示す直線の傾きの変更が計算により容易に行なえるためである。このため、実施の形態5では、実施の形態1〜4における組み合わせ設定部36のように、基本のテーブル以外のテーブルを用意する必要がないので、通信端末3のメモリの大幅な削減にもつながる。もちろん、実施の形態5に係る通信端末は、実施の形態3で説明した所定の領域E1及び所定の領域E2における時間スロットチャネルのランダム選択にも適用できる。
確率設定部56は、判断処理部38からの自端末範囲外情報に基づいて、自端末が範囲内にある場合は、時間スロットを、選択できる範囲内の時間スロットチャネルのうちで早い時間側のものからランダムに選択できるようにするための確率分布を選択するための確率分布選択情報を確率分布記憶部55へ送る。確率分布記憶部55は図25(a)の特性確率分布特性として選択して、組み合わせ選択部35へ送る。自端末が範囲外にある場合は、時間スロットを、選択できる範囲内の時間スロットチャネルのうちで遅い時間側のものからランダムに選択できるようにするための確率分布を選択するための確率分布選択情報を確率分布記憶部55へ送る。確率分布記憶部55は図25(c)の特性確率分布特性として選択して、組み合わせ選択部35へ送る。なお、自端末が範囲外にある場合は、時間スロットを、選択できる範囲内の時間スロットチャネルからランダムに選択できるようにするための確率分布(図8又は図9(a)に示すテーブルからランダムに選択することに相当)を選択するための確率分布選択情報を確率分布記憶部55へ送ってもよい。この場合は、確率分布記憶部55は図25(b)の特性確率分布特性として選択して、組み合わせ選択部35へ送ることなる。
前述のように、確率分布記憶部55は、確率設定部56から送られてきた確率分布選択情報から、確率分布特性の情報を組み合わせ選択部35へ送る。このような動作を行なうので、組み合わせ選択部35は、確率設定部56からの確率分布特性の情報により、チャネル(時間スロットチャネル)をランダムに選択する範囲をテーブル(図8又は図9(a))から変更することができる。この方法を用いることにより、自端末である通信端末3が所定の領域内(例えば、災害地域内)に存在する場合などに、時間スロットの相対的に早いスロットチャネルを優先的に選択して、ショートメッセージを送信することが可能となることは図25に示す確率分布特性から明らかである。つまり、他の実施の形態における組み合わせ設定部36(テーブル記憶部36)単体の機能(時間スロット設定部54(第2テーブル記憶部54)の機能を含む)は、実施の形態5における確率分布記憶部55及び確率設定部56と実施の形態5におけるテーブル記憶部36(つまり、記憶しているテーブル自体は、図8又は図9(a)に記載のものだけのテーブル記憶部36)とで構成し、さらに高機能としてものと解釈することができる。
整理して説明すると、実施の形態5に係る通信端末は、確率設定部56に加え、確率分布記憶部55を備えている。確率設定部56は、判断処理部38からの自端末範囲内外情報に基づき、確率分布記憶部55に確率分布選択情報を送信する。例えば、確率設定部56は、自端末が範囲内の場合は図25(a)の特性を選択し、自端末が範囲内外に存在するか区別が不明な場合は、図25(b)を選択し、自端末が範囲内に存在しない場合は、図25(c)を選択する。確率分布記憶部55は確率設定部56からの確率分布選択情報に従って、時間スロットチャネルに対する確率分布の特性を送信する。組み合わせ選択部35は、確率分布記憶部55からの確率分布の特性に従って、時間スロットチャネルを選択する。これによって、例えば、自端末が範囲内に存在する場合には、相対的に早い時間スロットチャネルの選択確率を高めることができる。
基本のテーブルに図8(図9(a))を用いて確率分布特性に支配されて時間スロットを選択する場合は、時間スロットが選択されることが選択番号を選択されることになるので、自ずと、拡散符号チャネル(直交符号チャネル)と周波数チャネルとが決定される。つまり、組み合わせ選択部35が、拡散符号チャネル、周波数チャネル、時間スロットチャネルの組み合わせの1つランダムに選択することになる。さらに、組み合わせ選択部35は、選択した拡散符号チャネルを直交符号発生部9に送信し、選択した周波数チャネルをFDM処理部13に送信し、選択した時間スロットチャネルをTDM処理部12に送信する。一方、基本のテーブルに図21(b)(図22(b))を用いて確率分布特性に支配されて時間スロットを選択する場合は、拡散符号チャネル(直交符号チャネル)及び周波数チャネルが、テーブル上、時間スロットと分離されているので、拡散符号チャネル(直交符号チャネル)及び周波数チャネルは、図21(a)(図22(a))からランダムに選択すればよい。
実施の形態5に係る通信端末(特に、図24に記載の通信端末3)も、受信部6が、受信したフォワードリンク信号から所定の領域の情報を取得し、ランダム選択部10は、所定の領域内に該ランダム選択部10を有する通信端末3がある場合、そうで無い場合のものに対して、送信部7が送信データを遅延させる時間の基になる時間スロットを、選択できる範囲内の時間スロットチャネルのうちで早い時間側のものからランダムに選択し、ランダム選択部10は、所定の領域外に該ランダム選択部10を有する通信端末3がある場合、そうで無い場合のものに対して、送信部7が送信データを遅延させる時間の基になる時間スロットを、選択できる範囲内の時間スロットチャネルのうちで遅い時間側のものからランダムに選択するものであるといえる。
実施の形態6.
この発明の実施の形態6について図27を用いて説明する。実施の形態1〜5では、通信端末3(通信システム)において、再送や再々送に必要が無い場合は、一度だけリターンリンク信号を送信することを前提としたものあったが、実施の形態6では、通信端末3(通信システム)が、最初から複数回に亘って、リターンリンク信号を送信するものを説明する。よって、実施の形態6においては、実施の形態1〜5と同様の部分に関しての説明は省略する場合がある。このため、実施の形態6に係る通信方法として、図26及び図27のフローチャートを用いて説明を行うので、実施の形態6に係る通信端末、基地局及び通信システムの構成の説明は省略する。
実施の形態6に係る通信端末、基地局及び通信システムの構成は、実施の形態1〜5に係る通信端末、基地局及び通信システムの構成と同じであるので、前述の通り、実施の形態6に係る通信方法を中心に説明を行う。詳しくは、実施の形態1〜5に係る通信方法では、図5及び図11を用いて説明したS101,S102,S103,S109〜S112及びS114の各処理ステップを説明したが、実施の形態6に係る通信方法は、さらに、S107,S108,S113の処理ステップを追加したものとなる。通信端末3の動作としては、基本的に、ランダム選択部10の動作が中心となる。図26及び図27におけるSとは処理ステップを意味しており、STEPの頭文字を表記している。
図26に示すS104において、判断処理部38は、位置情報取得部37からの自端末位置情報から、自端末の位置が範囲内かどうか判断する、又は、位置情報取得部37からの自端末位置情報と放送情報取得部39からの範囲情報から、自端末の位置が範囲内かどうか判断する。次に、S105において、ランダムアクセスにより、ショートメッセージのデータを送信する時間スロットチャネル、拡散符号チャネル、周波数チャネルの組の数、すなわち、チャネル組み合わせ数n(nは正の整数)を1に設定する。これは、自端末の位置が範囲外、つまり、所定の領域内に入っている通信端末3ではないので、通信成功の可能性が、自端末の位置が範囲内、つまり、所定の領域内に入っている通信端末3よりも高くする必要がないためである。なお、チャネル組み合わせ数とは、アクセス方式の組み合わせ(1つの拡散符号チャネル、1つの時間スロットチャネル、1つの周波数チャネル)の数を意味する。例えば、ランダム選択部10にて、図8に示すテーブルを用いた場合、チャネル組み合わせ数nであれば、図8に示す選択番号をn個選択することになる。
S106において、自端末の位置が範囲内の場合は、通信成功の可能性を高めるために、S107においてチャネル組み合わせ数nを複数に設定し、かつ、S108で、時間スロットチャネルの選択において、早い時間になる確率を高めるように設定する。S106において、自端末の位置が範囲外であればS107、S108はスキップされる。
次に、S109〜S112の処理ステップを経た後に、S113において、拡散符号チャネル、周波数チャネル、時間スロットチャネルのチャネル組み合わせを、チャネル組み合わせ数n分選択したか判定し、選択していなければS109に戻る。また、選択していればS114に進む。
S114において、ランダム選択部10が選択・決定したアクセス方式のn個の組み合わせにより、データを、CDMA/FDMA/TDMA信号として、衛星1に向けて、衛星通信用アンテナ3sを介して送信する。送信回数は、組み合わせ数であるn回送信することになる。これは、時間スロットチャネル選択ステップで選択された時間スロットチャネル、かつ、周波数チャネル選択ステップで選択された周波数チャネルに対応する周波数で、拡散符号チャネル選択ステップで選択された拡散符号チャネルでCDMA拡散された送信データを送信する送信ステップがn回行なわれるといえる。
このように、実施の形態6では、組み合わせ設定部36が、自端末範囲内外情報に従って、自端末の位置が特定の範囲(所定の領域)内の場合には、組み合わせ数を複数に設定する情報を組み合わせ選択部35に送信するが、これは、自端末が災害地域などに存在する場合は、複数のチャネルの組み合わせで、同じメッセージを複数回送信してショートメッセージが確実にサービスセンターに届くようにするためである。また、組み合わせ選択部35(実施の形態5では確率設定部56)は、自端末範囲内外情報に従って、自端末の位置が特定の範囲(所定の領域)内の場合には、相対的に早い時間スロットチャネルの選択確率を高める設定情報を組み合わせ選択部35に送信するが、これは、自端末が災害地域などに存在する場合は、相対的に早い時間スロットが選択できる確率を高めて、できるだけ早くショートメッセージをサービスセンターに届くようにするためである。
図27は、通信端末3のランダム選択部10での、拡散符号チャネル、周波数チャネル、時間スロットチャネルの組み合わせの1つまたは、組み合わせ設定部36が設定したチャネル組み合わせ数n分、ランダムに選択する方式を示す図である。S201,S202,S203は図6と共通である。図27に示すS201において、ランダム選択部10は複数の拡散符号チャネルの中から1つをランダムに選択する。また、S202において、複数の周波数チャネルの中から一つをランダムに選択する。さらに、S203において、複数の時間スロットチャネルの中から一つをランダムに選択する。
図27に示すS304において、ランダム選択部10は、選択された拡散符号チャネル、周波数チャネル、時間スロットチャネルの1つの組を、アクセス方式の一つの組み合わせとして、図示しないメモリに記憶する。S305において、ランダム選択部10は、S201〜S203,S304を組み合わせ設定部36から設定されるチャネル組み合わせ数n回繰り返す。ここで、nとは、図26で説明したものと同じである。S306において、ランダム選択部10は、メモリに記憶されたアクセス方式の1つまたは複数の組み合わせを、各部に通知する。具体的には、拡散符号チャネルは直交符号発生部9に、周波数チャネルはFDM処理部13に、また、時間スロットチャネルは、TDM処理部12に通知される。
以上、本願には、通信端末3が拡散符号チャネル、周波数チャネル、時間スロットチャネルの組み合わせをランダムに選択して、送信データをCDMA/FDMA/TDMA信号として衛星1に向けて送信することにより、多数の通信端末3が同時に送信するデータの衝突を抑制し、通信の成功確率すなわちスループットを高めることができる。また、通信回線が輻輳状態に陥ることを防ぐことができる通信方法、通信端末、基地局及び通信システムを得ることができる。