JP5572793B2 - 凍結鋳造用鋳型の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、鋳物砂を凍結させることにより得られる凍結鋳造用鋳型の製造方法に関する。
一般的に、鋳造作業は、製品と同形状の模型(木型)を造り、この模型の周囲に鋳物砂を充填して鋳物砂を突き固めてから模型を抜き出すことにより鋳型を製作し、この鋳型に加熱溶融した金属(溶湯)を流し込んで冷却し、冷却固化した金属(製品)を鋳物砂から取り出すことにより行われる。
しかしながら、このような従来の鋳造作業は、作業環境の点で多くの改善すべき問題点があった。
例えば、高温の溶湯を鋳型に流し込む鋳込みの際に、周囲環境の温度が著しく上昇し、鋳物砂を固めるために使用されている結合剤が燃焼して異臭が発生する。また、ハンマーや振動機を使った型ばらしの際には、振動や騒音が発生し、多量の粉塵も生じる。更に、結合剤が付着した鋳物砂を再利用するためには研磨処理が必要となり、その際にも騒音や粉塵が生じる。また、研磨後には多量の産業廃棄物が発生する。
上記したような従来の鋳造法の問題点を解決するために、凍結鋳造法と呼ばれる鋳造方法が提案されている。
凍結鋳造法は、水分を含んだ鋳物砂を型枠に内蔵した模型(木型)の周囲に充填し、鋳物砂内に含まれる水分を凍結させて製作した鋳型を使用することにより、鋳物(製品)を製造する方法である。
凍結鋳造法によれば、鋳込みの際に、周囲環境の温度上昇を抑制することができるとともに、結合剤を使用しないために異臭も発生しない。また、凍結鋳型は常温に戻ると自然に崩壊するため、ハンマーや振動機を使った型ばらしの作業も不要となる。更に、使用後の鋳物砂はそのまま再利用することができるため、研磨処理が不要となり、産業廃棄物の発生量も著しく減少させることができる。
このように凍結鋳造法は、従来の鋳造法が抱える問題点の多くを解決できる点において優れているが、改善すべき問題点を有していた。
凍結鋳造法で用いられる鋳型(凍結鋳造用鋳型)の製作において、鋳物砂内に含まれる水分を凍結させる方法としては、液体窒素や液化炭酸ガスを鋳物砂内に通過させる方法(特許文献1参照)が知られている。しかしながら、液体窒素や液化炭酸ガスを鋳物砂内に通過させる方法は、作業者に液体窒素や液化炭酸ガスが接触するおそれがあるために危険性が高いという問題があった。
一方、特許文献2には、水分を含んだ鋳物砂を−40℃の冷凍庫内で凍結させることにより鋳物砂に含まれる水分を凍結させる方法が提案されている。
しかしながら、−40℃の冷凍庫内で凍結させて製造した凍結鋳造用鋳型(凍結鋳型)は、鋳造可能な材質と形状が制限されてしまうという問題があった。
先ず、材質については、溶解温度が約700℃のアルミニウム、同じく約1000℃の銅、同じく約1400℃の鋳鉄までは可能であるが、これ以上溶解温度が高い鋳鋼やステンレス等には対応できない。形状については、製品厚みで約30mm、重量で約50kgまでのものが限界である。
上記した材質及び形状以外のものを使用すると、溶湯が鋳型に充填するまでに輻射熱で鋳型壁の凍結が解除され、鋳型の損傷・崩壊が始まってしまうため、綺麗な鋳肌や高い寸法精度を有する鋳造品を得ることができない。
特開昭57−149045号公報 特開2009−202187号公報
本発明は、上記した従来技術の問題点を解決するためになされたものであって、鋳鋼やステンレス等の溶解温度が高い材料を用いた鋳造や、厚くて重量が大きい製品の鋳造が可能であり、綺麗な鋳肌や高い寸法精度を有する鋳造品を得ることができ、加えて作業者に対する危険性が低い凍結鋳造用鋳型の製造方法を提供するものである。
請求項1に係る発明は、水分を含んだ鋳物砂を型枠内に設置した模型の周囲に充填し、前記鋳物砂内に−60℃以下の冷気を通過させて水分を凍結させることにより凍結鋳型を製造する凍結鋳造用鋳型の製造方法であって、前記模型は、金属粉末を樹脂で接着することにより形成された多数の通気孔を有する多孔質材料からなることを特徴とする凍結鋳造用鋳型の製造方法に関する。
請求項2に係る発明は、前記鋳物砂内に−80℃以下の冷気を通過させて水分を凍結させることにより凍結鋳型を製造することを特徴とする請求項1記載の凍結鋳造用鋳型の製造方法に関する。
請求項3に係る発明は、水分を含んだ鋳物砂を型枠内に設置した模型の周囲に充填し、前記鋳物砂内に−40℃以下の冷気を通過させて水分を凍結させた後、−80℃以下の雰囲気に放置することを特徴とする請求項1記載の凍結鋳造用鋳型の製造方法に関する。
請求項1に係る発明によれば、水分を含んだ鋳物砂を型枠内に設置した模型の周囲に充填し、鋳物砂内に−60℃以下の冷気を通過させて水分を凍結させることにより凍結鋳型を製造することから、従来の凍結鋳造用鋳型の製造方法に比べて、鋳鋼やステンレス等の溶解温度が高い材料を用いた鋳造や、厚くて重量が大きい製品の鋳造が可能であるとともに、綺麗な鋳肌や高い寸法精度を有する鋳造品を得ることができる。更に、液体窒素や液化炭酸ガスを鋳物砂内に通過させる方法に比べて、作業者に対する危険性を低減することができる。
更に模型は金属粉末を樹脂で接着することにより形成された多数の通気孔を有する多孔質材料からなることから、冷気を通過させるためのベントホールを設けることなく模型内に冷気を通過させることができるため、ベントホール跡が凍結鋳型壁に残ることを防ぐことができる。そのため、できあがった製品(鋳物)の表面にベントホール痕がつくことがなく、製品の品質を向上させることが可能となる。
請求項2に係る発明によれば、鋳物砂内に−80℃以下の冷気を通過させて水分を凍結させることにより凍結鋳型を製造することから、請求項1記載の発明に比べて更に溶解温度が高い材料を用いた鋳造や、厚くて重量が大きい製品の鋳造が可能となり、更に綺麗な鋳肌や高い寸法精度を有する鋳造品を得ることができる。
請求項3に係る発明によれば、水分を含んだ鋳物砂を型枠内に設置した模型の周囲に充填し、前記鋳物砂内に−40℃以下の冷気を通過させて水分を凍結させた後、−80℃以下の雰囲気に放置することから、高い冷却性能(−80℃以下の冷却性能)を備えた冷凍庫を循環路や吸引ブロワを備えていない簡易型のものとすることができ、設備コストを削減することが可能となる。また、低温(−80℃以下)での放置工程を経ることから、凍結鋳型全体の温度を均一化して確実に水分を凍結することが可能となる。
本発明に係る凍結鋳造用鋳型の製造方法及びこの方法で得られた凍結鋳型による鋳造法を工程順に説明する模式断面図である。 本発明に係る凍結鋳造用鋳型の製造方法において好適に用いることができる凍結鋳造用模型を示す図であって、(a)は模式断面図、(b)は(a)図の部分拡大図である。 本発明に係る凍結鋳造用鋳型の製造方法の比較例(冷却温度:−40℃)により得られた鋳造品の鋳肌の拡大写真である。 本発明に係る凍結鋳造用鋳型の製造方法の比較例(冷却温度:−50℃)により得られた鋳造品の鋳肌の拡大写真である。 本発明に係る凍結鋳造用鋳型の製造方法の実施例(冷却温度:−60℃)により得られた鋳造品の鋳肌の拡大写真である。 本発明に係る凍結鋳造用鋳型の製造方法の実施例(冷却温度:−70℃)により得られた鋳造品の鋳肌の拡大写真である。 本発明に係る凍結鋳造用鋳型の製造方法の実施例(冷却温度:−80℃)により得られた鋳造品の鋳肌の拡大写真である。
以下、本発明に係る凍結鋳造用鋳型の製造方法について、適宜図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係る凍結鋳造用鋳型(以下、凍結鋳型と称する)の製造方法の説明図((a)〜(c))、及びこの方法で得られた凍結鋳型による鋳造法の説明図((d)、(e))である。
先ず、凍結鋳造用模型(1)を定盤(5)の上面に固定し、模型(1)の周囲を囲うよう型枠(鋳枠)(6)を定盤(5)の上面に載置する。そして、型枠(6)内に設置した模型(1)の周囲に水分を含んだ鋳物砂(8)を入れ、振動及び/又は突き固めを行うことにより充填する(図1(a)参照)。
凍結鋳造用模型(1)としては、多数のベントホール(通気孔)を有する木型を使用することもできるが、金属粉末を樹脂で接着することにより形成された多数の通気孔を有する多孔質材料からなる模型を使用することが好ましい。
図2は、本発明において好適に使用される模型を示す図であって、(a)は模式断面図、(b)は(a)図の部分拡大図である。
図2(b)に示す如く、模型(1)を構成する多孔質材料は、金属粉末(2)が樹脂(3)により接着されることにより形成されている。
金属粉末(2)同士の間には微小な隙間(4)が形成されており、この隙間(4)は凍結鋳造用模型(1)内に冷気を通過させるための通気孔として機能する。
金属粉末(2)を構成する金属の種類は特に限定されないが、例えばアルミニウム、ニッケル、チタン、銅、スズ、ステンレス、鉄等が好適に使用される。本発明においては、アルミニウムが最も好適に使用される。
アルミニウムは熱伝導性に非常に優れているため、鋳型成形時の冷却時間を短縮することができ、鋳型の製造効率を向上させることが可能となる。また、他の金属粉末と比べて軽量であるために、模型の取り扱い性にも優れたものとなる。
金属粉末(2)の粒径は、20〜500μmに設定することが好ましい。粒径が大きすぎると得られる凍結鋳型の肌が粗くなり、粒径が小さすぎると模型の通気度が低くなり、いずれの場合も好ましくない。
凍結鋳造用模型(1)の通気度は、0.39〜1.72リットル/cm・minに設定することが好ましい。通気度が低すぎると鋳物砂に含まれる水分を完全に凍結できないおそれがあり、通気度が高すぎると模型の強度が低くなり、いずれの場合も好ましくない。
樹脂(3)は、金属粉末(2)同士を強固に接着することができ、耐寒性及び耐水性に優れたものであれば特に限定されないが、エポキシ樹脂が好適に使用される。
エポキシ樹脂を使用することにより、金属粉末が強固に接着されるため、高強度で耐久性に優れた模型となる。
より具体的には、エポキシ樹脂をメチレンクロライド(塩化メチレン)溶液中で分散させたものを使用して金属粉末(2)同士を接着することが好ましい。
また、エポキシ樹脂として金属フィラーを充填したものを使用してもよい。金属フィラーとしては、例えば、金属粉末(2)と同じ種類の金属(例えばアルミニウム)からなる粒径20〜500μmのものを使用することができる。
上記したような金属粉末を樹脂で接着することにより形成された多数の通気孔を有する多孔質材料からなる模型を使用した場合、冷気を通過させるためのベントホールを設けることなく模型内に冷気を通過させることができるため、ベントホール跡が凍結鋳型壁に残ることが防がれる。そのため、できあがった製品(鋳物)の表面にベントホール痕がつくことがなく、製品の品質を向上させることが可能となる。また、ベントホールを設けた木型を使用する場合に比べて、冷気の通過が円滑に行われるため、冷凍時間(冷気を通過させる時間)を短縮することができ、製造効率を向上させることが可能となる。更に、木型のように吸湿現象が起こらないため、木型を使用した場合に比べて模型の寿命を大幅に延ばすことができる。
定盤(5)及び型枠(6)は木材や金属から形成されており、定盤(5)は上面から下面に向けて冷気を通過させるための多数の導管(7)を備えている。
鋳物砂(8)としては硅砂等の公知の鋳物砂を使用することができ、鋳物砂(8)中の水分の含有量は3〜10%(重量%)とすることが好ましい。
次いで、定盤(5)上において模型(1)の周囲に鋳物砂(8)を充填した型枠(6)(以下、砂型構造物という)を冷凍庫(9)内に収容して冷凍する(図2(b)参照)。
冷凍庫(9)には庫内の冷気を庫外に取り出して再び庫内に戻す循環路(10)が接続されている。循環路(10)には、庫内の冷気を吸引して庫外に排出する吸引ブロワ(11)と、吸引ブロワ(11)にて庫外に排出された冷気を冷却する冷却ユニット(12)が設けられている。
吸引ブロワ(11)の駆動により、定盤(5)の導管(7)に吸引力が生じ、庫内の冷気は模型(1)内の隙間(通気孔)及び鋳物砂(8)内を通過する。このときの吸引力(真空圧)は例えば、0〜−100kPaの範囲(例えば−4〜−16kPa)に設定することが好ましい。冷気が模型(1)内の隙間(通気孔)及び鋳物砂(8)を通過することにより、鋳物砂(8)に含まれる水分が急速に凍結される。
鋳物砂(8)内に通過される冷気の温度は−60℃以下に設定される。
鋳物砂(8)内に通過される冷気の温度を−60℃以下に設定することにより、従来の凍結鋳造用鋳型の製造方法(−40℃の冷気を使用する方法)に比べて、鋳鋼やステンレス等の溶解温度が高い材料を用いた鋳造や、厚くて重量が大きい製品の鋳造が可能であるとともに、綺麗な鋳肌や高い寸法精度を有する鋳造品を得ることができる。
後述する実施例において、鋳物砂(8)内に通過される冷気の温度を−60℃に設定した場合には目が細かく綺麗な鋳肌をもつ製品(鋳造品)が得られるのに対して、−50℃に設定した場合は粗い鋳肌をもつ製品(鋳造品)しか得られないことが示されている。
鋳物砂(8)内に通過される冷気の温度は、好ましくは−80℃以下に設定される。
鋳物砂(8)内に通過される冷気の温度を−80℃以下に設定することにより、−60℃や−70℃の冷気を使用した場合に比べて、更に溶解温度が高い材料を用いた鋳造や、厚くて重量が大きい製品の鋳造が可能となるとともに、綺麗な鋳肌や高い寸法精度を有する鋳造品を得ることができる。
後述する実施例において、鋳物砂(8)内に通過される冷気の温度を−80℃に設定した場合には、目が細かくて綺麗な鋳肌をもち、角部はエッジが立っており、上型面に砂落ちによる凹みも見られない製品(鋳造品)が得られるのに対し、−60℃及び−70℃に設定した場合には、目が細かくて綺麗な鋳肌をもち、角部はエッジが立っているが、上型面に砂落ちや異物噛み込みによる凹みが見られたことが示されている。つまり、冷気の温度を−80℃に設定することにより、上型面の凹みの発生を防止することが可能となる。
鋳物砂(8)内に冷気を通過させる時間(冷却時間)は冷気の温度に応じて適当に設定される。例えば、冷気の温度が−60℃の場合は13分以上(好ましくは13〜26分)、−70℃の場合は15分以上(好ましくは15〜30分)、−80℃の場合は17分以上(好ましくは17〜34分)、−90℃の場合は18分以上(好ましくは18〜36分)、−100℃の場合は20分以上(好ましくは20〜40分)に設定することが好ましい。
本発明においては、鋳物砂(8)内に−40℃以下の冷気を通過させて水分を凍結させた後、−80℃以下(好ましくは−100℃以下)の雰囲気に1時間以上(好ましくは2時間以上)放置する方法を採用してもよい。
この場合、先ず図1(c)に示すように冷凍庫(9)内に収容した砂型構造物の鋳物砂(8)内に−40℃以下の冷気を通過させて水分を凍結させた後(この時の冷却時間は、上記した温度毎に設定された時間とすることが好ましい)、別の冷凍庫(第二の冷凍庫)(図示略)内に砂型構造物を収容して−80℃以下(好ましくは−100℃以下)の雰囲気に1時間以上(好ましくは2時間以上)放置すればよい。尚、第二の冷凍庫内での冷却時間(放置時間)は、冷凍庫(9)内での冷却時間よりも長く設定することが好ましい。
以上は型枠(金枠)(6)の厚みが125mmの例であって、型枠厚みを増すとそれに比例して冷却時間を延ばす事は言うに及ばない。
このような構成を採用した場合、高い冷却性能(−80℃以下、好ましくは−100℃以下の冷却性能)を備えた冷凍庫(第二の冷凍庫)を循環路や吸引ブロワを備えていない簡易型のものとすることができるため、設備コストを削減することが可能となる。また、低温(−80℃以下、好ましくは−100℃)での放置工程を経ることから、凍結鋳型全体の温度を均一化して確実に水分を凍結することが可能となる。
上記したように鋳物砂内に冷気を通過させて水分を凍結させた後、砂型構造物を冷凍庫(9)から取り出し、模型(1)と共に定盤(5)を取り外すことにより、型枠(6)で囲繞された凍結した鋳物砂(8)からなる凍結鋳型(13)が得られる(図1(c)参照)。
上記の方法により上下一対(又は左右一対)の凍結鋳型(13)を夫々製造し、これら一対の凍結鋳型(13)を重ね合わせて内部にキャビティ(14)を形成し、このキャビティ(14)内に溶融した金属を流し込んで固化させる(図1(d)参照)。
時間が経過すると、凍結した水分が融解及び蒸発することにより凍結した鋳物砂(砂型)は自然に崩壊するので、固化した金属を鋳造品(C)として取り出すことができる(図1(e)参照)。
以下、本発明に係る凍結鋳造用鋳型の製造方法の実施例及び比較例を示すことにより、本発明の効果をより明確なものとなる。但し、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。
凍結鋳造用模型(1)として、アルミニウム粉末(粒径200μm)をエポキシ樹脂で接着することにより形成された多数の通気孔を有する多孔質材料からなる模型(通気度:1リットル/cm・min)を使用し、図1(a)〜(c)に示す工程により凍結鋳造用鋳型を製造した。
鋳物砂(8)中の水分の含有量は5%(重量%)とし、図1(b)に示す工程における吸引ブロワ(11)による吸引力(真空圧)は−10kPaに設定し、鋳物砂(8)内に−40℃の冷気を通過させて水分を凍結させた鋳型に加えて、同様に−40℃の冷気を通過させた鋳型を更に別の冷凍庫内に収容し、それぞれ−50℃、−60℃、−70℃、−80℃の温度で2時間放置した合計5種類の鋳型を製造した。
図1(a)〜(c)に示す工程により得られた凍結鋳型(13)内に、図1(d)に示すように低合金鋼の溶湯を鋳込み温度1650℃で注入し、製品厚み40mm、重量2.8kgの鋳造品(鋳物)を得た。
冷却温度を−40℃として得られた鋳造品をサンプル1、−50℃として得られた鋳造品をサンプル2、−60℃として得られた鋳造品をサンプル3、−70℃として得られた鋳造品をサンプル4、−80℃として得られた鋳造品をサンプル5とした。
サンプル1〜5の鋳造品の鋳肌の状態を目視評価し、鋳鋼品鋳肌標準(日本鋳鍛鋼会発行資料に基づく)に基づいて以下の基準により判定した。
◎・・・鋳鋼品鋳肌標準特級又は1級に相当
○・・・鋳鋼品鋳肌標準2級又は3級に相当
△・・・鋳鋼品鋳肌標準4級に相当
×・・・鋳鋼品鋳肌標準5級に相当
サンプル1〜5の鋳造品の鋳肌の拡大写真(倍率1.75〜2.4倍)を図3〜図7に夫々示し、評価及び判定結果を表1に示す。
サンプル1〜5の鋳造品について、表面粗さを測定した。
測定は、以下の手順にて行った。
(1)3次元形状の測定
レーザースキャナ(Shape Grabber社製、非接触三次元計測システム ガンドリー式(LMシリーズ) スキャナーヘッド:型式SG-102、処理ソフト(Polyworks IMAlign(InnovMetric Software社製))を用いて、各サンプル表面の80mm×80mmの範囲の3次元形状を測定し、この測定データを3次元CAD(クボテック株式会社製、KEY CREATOR ver8.5 ソフト名)に取り込んだ。
(2)投影凹み深さ座標の計測
3次元CADにより、取り込まれた3次元形状の測定データに基づいて上記範囲を横断する横断線(長さ:L=80mm)に沿って投影形状(断面形状)を表す投影ラインを作成し、この投影ライン上に設定した原点から前記横断線の方向に1mmピッチで測定点を設定し、各測定点における凹み深さを目測して記録した。本測定では、L=80mmに設定したため、測定点は80点である。
(3)表面粗さ計算
各測定点における凹み深さに基づいて、最大山高さ(R)、最大谷深さ(R)、最大高さ(R=R+R)、算術平均粗さ(Ra=(1/L)×ΣAR)を、所定の計算式を用いて計算した。
粗さ計算は、具体的には以下の方法により行った。
上記投影ライン上において予め暫定的に深さ方向の座標の基準点(z座標ゼロ位置)を設定し、上記各測定点においてこの基準点からのz軸方向(深さ方向)の距離を算出し、この算出値の平均値をz座標平均値(A)として求めた。
上記各測定点において、[凹み深さ(D)]−[z座標平均値(A)]を計算し、D−Aが正の場合は山高さとして算出し、負の場合は谷深さとして算出した。算出された山高さの最大値を最大山高さ(R)とし、算出された谷深さの最大値を最大谷深さ(R)とし、この2つの値から最大高さ(R=R+R)を算出した。
隣り合う測定点の間の区間において、各測定点でのz座標(隣り合う2つの測定点のz座標)とz座標平均値(A)との差で囲まれる部分(台形領域)の面積値(AR)を求めて、この面積値(AR)を用いて算術平均粗さ(Ra=(1/L)×ΣAR)を算出した。
表面粗さの計算結果(測定結果)を表2に示す。尚、表中の数値の単位はμmであり、各値はJIS0601に準拠している。
図3〜7及び表1に示される結果から、冷却温度を−60℃以下とすることにより、鋳鋼等の溶解温度が高い材料を用いた鋳造においても、目が細かい鋳肌や高い寸法精度を有する鋳造品が得られることが確認された。また、冷却温度を−80℃以下とすることにより、異物噛み込みや砂落ちによる凹凸が無い、より綺麗な鋳肌を有する鋳造品が得られることが確認された。
また、表2に示される結果から、冷却温度−40℃の場合は表面粗さが非常に大きく、冷却温度が低下するに従って表面粗さが小さくなることが分かる。しかしながら、表面粗さの減少の程度は冷却温度には比例せず、−40℃〜−60℃の範囲では急激に減少する(約80%減少)が、−60℃〜−80℃の範囲では緩やかに減少する(約22%減少)という傾向が明確にみられる。このことから、表面粗さを小さくするためには、少なくとも冷却温度を−60℃以下とすることが有効であることが確認された。
本発明に係る凍結鋳造用鋳型の製造方法は、自動車産業や機械製造業等の様々な分野において幅広く利用することができ、従来の凍結鋳造法の適用範囲を大きく拡大することが可能である。
1 凍結鋳造用模型
2 金属粉末
3 樹脂
4 隙間(通気孔)
5 定盤
6 型枠
7 導管
8 鋳物砂
9 冷凍庫
10 循環路
11 吸引ブロワ
12 冷却ユニット

Claims (3)

  1. 水分を含んだ鋳物砂を型枠内に設置した模型の周囲に充填し、
    前記鋳物砂内に−60℃以下の冷気を通過させて水分を凍結させることにより凍結鋳型を製造する凍結鋳造用鋳型の製造方法であって、
    前記模型は、金属粉末を樹脂で接着することにより形成された多数の通気孔を有する多孔質材料からなることを特徴とする凍結鋳造用鋳型の製造方法。
  2. 前記鋳物砂内に−80℃以下の冷気を通過させて水分を凍結させることにより凍結鋳型を製造することを特徴とする請求項1記載の凍結鋳造用鋳型の製造方法。
  3. 水分を含んだ鋳物砂を型枠内に設置した模型の周囲に充填し、
    前記鋳物砂内に−40℃以下の冷気を通過させて水分を凍結させ、
    該水分を凍結させた鋳物砂を−80℃以下の雰囲気に放置して更に冷却することを特徴とする請求項1記載の凍結鋳造用鋳型の製造方法。
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