本発明の実施の形態について、図面を用いて以下に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の主旨及びその範囲から逸脱することなく、その形態及び詳細を様々に変更しうることは、当業者であれば容易に可能である。したがって、本発明は以下に示す実施の形態及び実施例の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する本発明の構成において、同じものを指す符号は異なる図面間で共通して用いる場合がある。
(実施の形態1)
本発明の発光素子は、一対の電極間に、発光層とキャリアの移動を制御する制御層を有する。制御層は、第1の有機化合物と第2の有機化合物とを含み、第1の有機化合物は第2の有機化合物よりも多く含まれており、第2の有機化合物は、第1の有機化合物のキャリア輸送性と同極性のキャリアをトラップするキャリアトラップ性を有する。
本実施の形態では、第1の有機化合物が正孔輸送性を有し、第2の有機化合物が正孔トラップ性を有する場合について、詳細に説明する。つまり、陽極として機能する第1の電極と陰極として機能する第2の電極との間に、発光層と制御層とを有し、制御層は第1の有機化合物と第2の有機化合物を含み、第1の有機化合物は第2の有機化合物よりも多く含まれており、第1の有機化合物は正孔輸送性の有機化合物であり、第2の有機化合物の最高被占分子軌道準位(HOMO準位)は、第1の有機化合物の最高被占分子軌道準位(HOMO準位)よりも高い発光素子について説明する。
なお、本明細書中においてHOMO準位又はLUMO準位が低いとは、そのエネルギーレベルが小さいことを意味し、HOMO準位又はLUMO準位が高いとは、そのエネルギーレベルが大きいことを意味する。例えば、−5.5eVのHOMO準位を有する物質Aは、−5.2eVのHOMO準位を有する物質BよりHOMO準位が0.3eV低く、−5.7eVのHOMO準位を有する物質CよりHOMO準位が0.2eV高いと言うことができる。
図1に、本発明に係る発光素子のバンド図の一例を示す。本発明に係る発光素子は、第1の電極102と第2の電極104との間に、発光層111と制御層121を有する。図1においては、第1の電極102と制御層121との間に正孔輸送層112を、第2の電極104と発光層111との間に電子輸送層113を設けていた場合について示している。
図1のような発光素子に電圧を印加すると、第2の電極から注入された電子は、電子輸送層を通り、発光層に注入される。一方、第1の電極から注入された正孔は、正孔輸送層を通り、制御層に注入される。制御層に注入された正孔は、正孔トラップ性を有する第2の有機化合物によりその移動速度が小さくなるが、最終的には発光層に注入され、電子と再結合して発光する。
もし制御層を設けない従来の発光素子であれば、トラップによる移動速度の減少は生じることなく正孔は発光層に注入される。したがって、発光層が正孔輸送性を有する場合、正孔は電子輸送層と発光層の界面付近まで容易に到達することができる。そのため、キャリアの再結合領域(発光領域)は電子輸送層と発光層との界面近傍に形成される。その場合、正孔が電子輸送層にまで達してしまい、電子輸送層を劣化させる恐れがある。そして、電子輸送層が劣化し、経時的に電子輸送層にまで達してしまう正孔の量が増えていくと、経時的に発光層内での再結合確率が低下していくことになる。このことは、素子寿命の低下(輝度の経時劣化)を意味する。
一方、本発明の発光素子においては、先に述べた通り、制御層に注入された正孔はその移動速度が小さくなるため、発光層への正孔注入が制御される。その結果、従来の発光素子では電子輸送層と発光層との界面近傍で形成されたはずの再結合領域(発光領域)が、本発明の発光素子においては、発光層の内部全体に広がることになる。より具体的には、発光層内部から、発光層と制御層との界面付近にかけて形成されることになる。したがって、正孔が電子輸送層にまで達してしまい、電子輸送層を劣化させる可能性が低くなる。
さらに、本発明においては、制御層において、単に正孔移動度の遅い物質を適用するのではなく、正孔輸送性を有する第1の有機化合物に正孔をトラップする機能を有する第2の有機化合物を添加している点が重要である。このような構成とすることで、単に発光層への正孔注入を制御するだけではなく、その制御された正孔注入量が経時的に変化するのを抑制することができる。以上のことから本発明の発光素子は、発光素子において経時的にキャリアバランスが悪化して再結合確率が低下していく現象を防ぐことができるため、素子寿命の向上(輝度の経時劣化の抑制)に繋がる。
ここで重要なことは、制御層における第1の有機化合物と第2の有機化合物との組み合わせと、第2の有機化合物の濃度である。このことは以下のように説明できる。
例えば、制御層において、正孔トラップ性が低い(すなわち、第1の有機化合物のHOMO準位に比べ、第2の有機化合物のHOMO準位が若干高い程度の)組み合わせの場合、ある程度第2の有機化合物の濃度を高くしなければ、制御層における正孔の移動速度が小さくならず、従来の発光素子と同様の状態になってしまう。したがって、長寿命化の効果は得られない。逆に、正孔トラップ性が高い(すなわち、第1の有機化合物のHOMO準位よりも第2の有機化合物のHOMO準位が非常に高い)組み合わせの場合、第2の有機化合物の濃度を高くしすぎると、制御層における正孔の移動速度が小さくなりすぎ、制御層の内部にまで再結合領域が及んでしまう。この場合、今度は制御層での再結合が寿命に悪影響を及ぼす。
すなわち、直感的な解釈としては、正孔トラップ性が低い組み合わせの場合、第2の有機化合物の濃度は高めに、正孔トラップ性が高い組み合わせの場合、第2の有機化合物の濃度は低めに設定することで、最も長寿命の効果が得られる状態が得られるわけである。しかし、このことはあくまで直感的な解釈であり、材料の組み合わせ(言い換えれば正孔トラップの深さ)によって濃度の最適値は様々に変化し、そしてその最適値を予測することも困難であった。
ここで本発明者らは、制御層の最適な構成に、ある一定の法則が存在することを見出した。すなわち、正孔トラップの深さΔE(第1の有機化合物のHOMO準位と第2の有機化合物のHOMO準位とのエネルギー差)、第2の有機化合物の濃度C、および制御層の膜厚Lで決定される下記式(1)で表されるパラメータXが、ある一定の範囲の時に、素子の長寿命化の効果が得られることを見出したのである。
(ΔEは第1の有機化合物のHOMO準位と第2の有機化合物のHOMO準位とのエネルギー差[eV]、Cは第2の有機化合物のモル分率[無次元]、Lは制御層の膜厚[nm]、kはボルツマン定数(=8.61×10−5[eV・K−1])、Tは温度(=300[K])、を表す。)
この式は、以下のような理論にて導出される。
まず、本発明の発光素子中において、正孔はn回ホッピングすることにより、制御層中を通過するものとする。換言すれば、n個の分子間をホッピングすることにより、制御層を通過するものとする。この時、制御層中における正孔トラップの存在確率(すなわち第2の有機化合物の存在確率)をpとすると、n回のホッピングの最中に正孔トラップに遭遇する期待値Enは、En=npで表される。例えば、存在確率pが0.1(10%)でn=10回のホッピングを行う場合は、np=10×0.1=1となり、統計的には、制御層を通過する際に1回程度トラップに遭遇するという意味合いとなる。つまり、期待値En=npは、n回ホッピングする最中にトラップに遭遇する回数の、統計的な平均値と言える。
次に、正孔がトラップに遭遇して捕獲された後に、そのトラップから離脱することができる確率をKとする。ここで、上述の期待値En=npはトラップに遭遇する回数(の平均値)であるから、最終的に正孔がn回ホッピングして制御層を通過できる確率Kallは、KのEn乗である。すなわち、下記式(2)が導出される。この式の意味は、例えば、En=np=2であれば、制御層中で平均して2回トラップされることになるため、Kall=K2になることを示している。なお、トラップがない場合(p=0の場合)のKallは1となり、規格化している。
そして、Kallは正孔がn回ホッピングして制御層を通過する確率であるから、1回のホッピングあたり、正孔が通過できる平均確率Kaveは、Kallのn乗根で表される。したがって式(2)から、下記式(3)が得られる。
ここで、平均確率Kaveがどのような物理量に影響するかを考えてみる。量子的には、Kaveが0.5であれば、注入された2個の正孔のうち1個は前に進めないということになる(正孔が移動するかしないかの議論となる)。しかし、式(2)からわかるように、上述の議論は期待値をベースとしているため、平均的な挙動を考えなければならない。例えば、分子間の距離をL0とし、Kaveが0.5とすると、注入された2個の正孔のうち1個の移動距離はL0であり、もう1個の移動距離は0であるから、移動距離の平均値は(L0+0)/2=0.5L0である。すなわち、Kaveは正孔の移動距離、換言すれば正孔のドリフト速度に正比例すると考えられる。したがって、制御層中の正孔のドリフト速度をv、第1の有機化合物の正孔のドリフト速度をv0とすると、下記式(4)を仮定することができる。
次に、式(4)におけるKとpが、どのような物理量で表されるかを考える。まずpは、正孔トラップの存在確率(すなわち第2の有機化合物の存在確率)であるから、単純に第2の有機化合物の濃度である。ただし、本発明で開示しているような発光素子の場合、正孔の移動は拡散よりも電界方向のドリフトが支配的となるため、素子の膜厚方向のみのモデル、すなわち一次元モデルで正孔の移動を考える必要がある。したがって、第2の有機化合物の濃度(モル分率)をCとすると、Cは単位体積当たりのモル分率(つまり3次元)であるから、下記式(5)が得られる。
一方、Kは正孔がトラップから離脱することができる確率であるから、速度論的には下記のボルツマン分布そのものである。よって、下記式(6)で表すことができる。
(ΔEは第1の有機化合物のHOMO準位と第2の有機化合物のHOMO準位とのエネルギー差[eV]、kはボルツマン定数(=8.61×10−5[eV・K−1])、Tは温度[K]を表す。)
式(5)と式(6)を式(4)に代入することにより、本発明において非常に重要な下記式(7)を導くことができる。
(ΔEは第1の有機化合物のHOMO準位と第2の有機化合物のHOMO準位とのエネルギー差[eV]、Cは第2の有機化合物のモル分率[無次元]、kはボルツマン定数(=8.61×10−5[eV・K−1])、Tは温度、を表す。)
ここで、制御層の膜厚をL[nm](本発明の発光素子の膜厚のスケールを考慮するとnmが扱いやすいので、単位をnmとした)、制御層を通過する時間をt[s]とすると、t[s]=L[nm]/v[nm/s]である。また、t[s]の逆数をx[s−1]=1/t[s]とすると、xは制御層を通過する正孔の速度定数(制御層を通過する正孔の個数の比例定数がxとなる)と見ることができる。この速度定数xは、式(7)を用いて、下記式(8)で表される。
(ΔEは第1の有機化合物のHOMO準位と第2の有機化合物のHOMO準位とのエネルギー差[eV]、Cは第2の有機化合物のモル分率[無次元]、Lは制御層の膜厚[nm]、kはボルツマン定数(=8.61×10−5[eV・K−1])、Tは温度を表す。)
上述したように、制御層による長寿命化の効果は、制御層において正孔を通過させすぎても、正孔をトラップしすぎても得られない。すなわち、この速度定数xを適正な範囲に保たなければ、長寿命化の効果が得られないことになる。
そして本発明者らは、実際に速度定数xがある一定の範囲内である場合に、長寿命化の効果が得られることを実験的に見出したのである。
なお、v0は第1の有機化合物の種類によって変化しうる数値であり、さらに言えば移動度と電界強度に影響を受ける数値である(ドリフト速度=移動度×電界強度)。しかしながら、式(8)においては指数関数の項が支配的であると考えられるため、実験的には規格化(v0=1)して考えた。また、実験は室温で行ったため、T=300[K]である。
すなわち、v0=1、T=300[K]とした時の速度定数xをパラメータX(下記式(1))とし、このパラメータXと素子寿命の関係を実験的に照らし合わせた。その結果、実際にパラメータX=1×10−8〜1×10−2の範囲にある場合、より好ましくは、1×10−5〜1×10−3の範囲にある場合に、長寿命化の効果が得られることが判明したのである。
(ΔEは第1の有機化合物のHOMO準位と第2の有機化合物のHOMO準位とのエネルギー差[eV]、Cは第2の有機化合物のモル分率[無次元]、Lは制御層の膜厚[nm]、kはボルツマン定数(=8.61×10−5[eV・K−1])、Tは温度(=300[K])、を表す。)
なお、上述の式(1)では、第1の有機化合物のドリフト速度v0を規格化しているが、実際にはこのドリフト速度が何桁も変化すると、パラメータXに誤差が生じ得る。ドリフト速度は移動度と電界強度の積であり、電界強度は実用輝度領域で桁が異なることはない。しかし、移動度が何桁も変化してしまえば、ドリフト速度も何桁も変化するため、パラメータXに誤差が生じ得る可能性もあり得る。
そこで、例えば、第1の有機化合物として用いることのできるNPBの移動度は10−4[cm2/Vs]程度と報告されており、かつパラメータXの範囲が2桁程度の範囲に渡ることを考慮すると、第1の有機化合物の移動度は、NPBの移動度10−4[cm2/Vs]を中心として±2桁程度の範囲に収まっていることが好ましい。したがって、第1の有機化合物の移動度は、10−6〜10−2[cm2/Vs]の範囲が好ましく、より好ましくは10−5〜10−3[cm2/Vs]である。
また、制御層の膜厚LもパラメータXに影響を与える。制御層の膜厚Lは、1〜100[nm]であることが好ましく、特に、5〜20[nm]であることが好ましい。
また、第1の有機化合物のHOMO準位と第2の有機化合物のHOMO準位とのエネルギー差ΔEが大きいと、第2の有機化合物の濃度が低くてもトラップの効果が大きくなるため、制御層における第2の有機化合物の濃度の精密な制御が必要となる。一方、エネルギー差ΔEが小さいと、第2の有機化合物のトラップの効果が小さくなるため、第2の有機化合物の濃度の制御が容易となる。よって、発光素子を作製する上では、第1の有機化合物のHOMO準位と第2の有機化合物のHOMO準位とのエネルギー差ΔEは、0.2〜0.6[eV]の範囲であることが好ましい。
上述の制御層に用いることができる物質としては種々の有機化合物を用いることができる。このとき、式(1)で表されるパラメータXが1×10−8〜1×10−2の範囲となるように、適宜材料を選択し、濃度を調整することが重要である。
例えば、第1の有機化合物としては、正孔輸送性を有する有機化合物を用いることができる。つまり、電子輸送性よりも正孔輸送性の方が高い物質である。具体的には、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPBまたはα―NPD)、4,4’−ビス[N−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DFLDPBi)、N,N’−ビス(スピロ−9,9’−ビフルオレン−2−イル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(略称:BSPB)、4,4’−ビス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:TPD)、1,3,5−トリス[N,N−ジ(m−トリル)アミノ]ベンゼン(略称:m−MTDAB)、4,4’,4’’−トリス(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン(略称:TCTA)、N,N−ジフェニル−9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:CzA1PA)、9−フェニル−9’−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−3,3’−ビ(9H−カルバゾール)(略称:PCCPA)、4−(10−フェニル−9−アントリル)トリフェニルアミン(略称:DPhPA)、4−(9H−カルバゾール−9−イル)−4’−(10−フェニル−9−アントリル)トリフェニルアミン(略称:YGAPA)、N,9−ジフェニル−N−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:PCAPA)、N,9−ジフェニル−N−{4−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]フェニル}−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:PCAPBA)、N,9−ジフェニル−N−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCAPA)、6,12−ジメトキシ−5,11−ジフェニルクリセン、N,N,N’,N’,N’’,N’’,N’’’,N’’’−オクタフェニルジベンゾ[g,p]クリセン−2,7,10,15−テトラアミン(略称:DBC1)、4,4’−(キノキサリン−2,3−ジイル)ビス(N,N−ジフェニルアニリン)(略称:TPAQn)、N,N’−(キノキサリン−2,3−ジイルジ−4,1−フェニレン)ビス(N−フェニル−1,1’−ビフェニル−4−アミン)(略称:BPAPQ)、N,N’−(キノキサリン−2,3−ジイルジ−4,1−フェニレン)ビス[ビス(1,1’−ビフェニル−4−イル)アミン](略称:BBAPQ)、4,4’−(キノキサリン−2,3−ジイル)ビス{N−[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−N−フェニルアニリン}(略称:YGAPQ)、N,N’−(キノキサリン−2,3−ジイルジ−4,1−フェニレン)ビス(N,9−ジフェニル−9H−カルバゾール−3−アミン)(略称:PCAPQ)、4−(9H−カルバゾール−9−イル)−4’−(3−フェニルキノキサリン−2−イル)トリフェニルアミン(略称:YGA1PQ)、N,9−ジフェニル−N−[4−(3−フェニルキノキサリン−2−イル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:PCA1PQ)、N,N,N’−トリフェニル−N’−[4−(3−フェニルキノキサリン−2−イル)フェニル]−1,4−フェニレンジアミン(略称:DPA1PQ)などの芳香族アミン化合物や、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)のような縮合芳香族化合物を用いることができる。なお、TPAQn、BPAPQ、BBAPQ、YGAPQ、PCAPQ、YGA1PQ、PCA1PQ、DPA1PQのようなキノキサリン骨格と芳香族アミンを組み合わせた化合物はバイポーラ性であるが、比較的高い正孔輸送性を有するので好ましく用いることができる。また、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(略称:PVK)、ポリ(4−ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)、ポリ[N−(4−{N’−[4−(4−ジフェニルアミノ)フェニル]フェニル−N’−フェニルアミノ}フェニル)メタクリルアミド](略称:PTPDMA)、ポリ[N,N’−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジジン](略称:Poly−TPD)などの高分子化合物を用いることもできる。また、先に述べたように、第2の有機化合物のHOMO準位は、第1の有機化合物のHOMO準位よりも高いことが好ましい。したがって、用いる第2の有機化合物の種類に応じて、そのような条件を満たすように適宜第1の有機化合物を選択すればよい。例えば、実施例にて後述するように、第2の有機化合物として4,4’,4’’−トリス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:1’−TNATA)や3−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA1)などを用いる場合、第1の有機化合物としてNPBやBPAPQを用いることで、上述の条件を満たすようになる。
また、第2の有機化合物は、第1の有機化合物のHOMO準位よりも高いHOMO準位を有する有機化合物である。したがって、用いる第1の有機化合物の種類に応じて、そのような条件を満たすように適宜第2の有機化合物を選択すればよい。
よって、第2の有機化合物としては、HOMO準位の高い物質が好ましく、例えば上述の1’−TNATAやPCzPCA1の他、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)、1,3,5−トリス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ベンゼン(略称:DPA3B)、N,N’−ビス(4−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン(略称:DTDPPA)、4,4’−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、4,4’−ビス(N−{4−[N’−(3−メチルフェニル)−N’−フェニルアミノ]フェニル}−N−フェニルアミノ)ビフェニル(略称:DNTPD)などが挙げられる。また、トリス(2−フェニルピリジナト−N,C2’)イリジウム(III)(略称:Ir(ppy)3)などの燐光材料を用いることもできる。なお、上述した化合物は、発光素子に用いられる化合物の中でもHOMO準位が高い化合物であり、上述した第1の有機化合物に添加することで良好な正孔トラップ性を示す。
以上で述べたように、本実施の形態で示す発光素子は、キャリアの移動を制御する層を有している。キャリアの移動を制御する層は、2種類以上の物質を含むため、物質の組み合わせや混合比、膜厚などを制御することにより、キャリアバランスを精密に制御することが可能である。
また、物質の組み合わせや混合比、膜厚などの制御でキャリアバランスを制御することが可能であるので、従来よりも容易にキャリアバランスの制御が可能となる。つまり、用いる物質そのものの物性を変化させなくても、混合比や膜厚等により、キャリアの移動を制御することができる。よって、用いる材料の選択肢や設計の自由度が広がる。
また、キャリアの移動を制御する層に含まれる2種類以上の物質のうち、少なく含まれている有機化合物を用いてキャリアの移動を制御している。つまり、キャリアの移動を制御する層に含まれている成分のうち少ない成分でキャリアの移動を制御することが可能であるので、経時変化に強く、発光素子の長寿命化を実現することができる。つまり、単一物質によりキャリアバランスを制御する場合に比べ、キャリアバランスの変化が起きにくい。例えば、単一物質により形成された層でキャリアの移動を制御する場合には、部分的にモルフォロジーが変化することや、部分的に結晶化が起こることなどが生じると、層全体のバランスが変化してしまう。そのため、経時変化に弱い。しかし、本実施の形態で示すように、キャリアの移動を制御する制御層に含まれている成分のうち少ない成分でキャリアの移動を制御することにより、モルフォロジーの変化や結晶化、凝集等の影響が小さくなり、経時変化が起きにくい。よって、経時的なキャリアバランスの低下、ひいては経時的な発光効率の低下が起こりにくい長寿命の発光素子を得ることができる。
(実施の形態2)
本発明に係る発光素子の一態様について図2〜図4を用いて以下に説明する。本発明に係る発光素子は、実施の形態1で示したキャリアの移動を制御する制御層を有する。
本発明に係る発光素子は、一対の電極間に複数の層を有する。当該複数の層は、電極から離れたところに発光領域が形成されるように、つまり電極から離れた部位でキャリアの再結合が行われるように、キャリア注入性の高い物質やキャリア輸送性の高い物質からなる層を組み合わせて積層されたものである。
本実施の形態において、発光素子は、第1の電極102と、第2の電極104と、第1の電極102と第2の電極104との間に設けられたEL層103とから構成されている。なお、本形態では第1の電極102は陽極として機能し、第2の電極104は陰極として機能するものとして、以下説明をする。つまり、第1の電極102の方が第2の電極104よりも電位が高くなるように、第1の電極102と第2の電極104に電圧を印加したときに、発光が得られるものとして、以下説明をする。
基板101は発光素子の支持体として用いられる。基板101としては、例えばガラス、またはプラスチックなどを用いることができる。なお、発光素子の作製工程において支持体として機能するものであれば、これら以外のものでもよい。
第1の電極102としては、仕事関数の大きい(具体的には4.0eV以上であることが好ましい)金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などを用いることが好ましい。例えば、酸化インジウム−酸化スズ(ITO:Indium Tin Oxide)、珪素若しくは酸化珪素を含有した酸化インジウム−酸化スズ、酸化インジウム−酸化亜鉛(IZO:Indium Zinc Oxide)、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム(IWZO)等が挙げられる。これらの電気伝導性金属酸化物膜は、通常スパッタにより成膜されるが、ゾル−ゲル法などを応用して、インクジェット法、スピンコート法などにより作製しても構わない。例えば、酸化インジウム−酸化亜鉛(IZO)は、酸化インジウムに対し1〜20wt%の酸化亜鉛を加えたターゲットを用いてスパッタリング法により形成することができる。また、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム(IWZO)は、酸化インジウムに対し酸化タングステンを0.5〜5wt%、酸化亜鉛を0.1〜1wt%含有したターゲットを用いてスパッタリング法により形成することができる。この他、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、チタン(Ti)、または金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン等)等が挙げられる。
また、第1の電極と接する層として、後述する複合材料を含む層を用いた場合には、第1の電極として、仕事関数の大小に関わらず、様々な金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などを用いることができる。例えば、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、アルミニウムを含む合金(AlSi)等を用いることができる。また、仕事関数の小さい材料である、元素周期表の第1族または第2族に属する元素、すなわちリチウム(Li)やセシウム(Cs)等のアルカリ金属、およびマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)等のアルカリ土類金属、およびこれらを含む合金(MgAg、AlLi)、ユウロピウム(Eu)、イッテルビウム(Yb)等の希土類金属およびこれらを含む合金等を用いることもできる。アルカリ金属、アルカリ土類金属、これらを含む合金の膜は、真空蒸着法を用いて形成することができる。また、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を含む合金はスパッタリング法により形成することも可能である。また、銀ペーストなどをインクジェット法などにより成膜することも可能である。
第2の電極104を形成する物質としては、仕事関数の小さい(具体的には3.8eV以下であることが好ましい)金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などを用いることができる。このような陰極材料の具体例としては、元素周期表の第1族または第2族に属する元素、すなわちリチウム(Li)やセシウム(Cs)等のアルカリ金属、およびマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)等のアルカリ土類金属、およびこれらを含む合金(MgAg、AlLi)、ユウロピウム(Eu)、イッテルビウム(Yb)等の希土類金属およびこれらを含む合金等が挙げられる。アルカリ金属、アルカリ土類金属、これらを含む合金の膜は、真空蒸着法を用いて形成することができる。また、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を含む合金はスパッタリング法により形成することも可能である。また、銀ペーストなどをインクジェット法などにより成膜することも可能である。
また、第2の電極104と接する層として、後述する電子注入層115を設けることにより、仕事関数の大小に関わらず、Al、Ag、ITO、珪素若しくは酸化珪素を含有した酸化インジウム−酸化スズ等様々な導電性材料を第2の電極104として用いることができる。これら導電性材料は、スパッタリング法やインクジェット法、スピンコート法等を用いて成膜することが可能である。
第1の電極102と第2の電極104との間にはEL層103が設けられている。EL層は、発光層と、キャリアの移動を制御する層を有する。本実施の形態では、キャリアの移動を制御する層として、正孔の移動を制御する制御層121を有する場合について説明する。
正孔の移動を制御する制御層121は、発光層111と陽極として機能する第1の電極102との間に設けられている。正孔の移動を制御する制御層121の構成としては、実施の形態1で示した構成を適用することができる。
発光層111は、発光性の高い物質を含む層であり、種々の材料を用いることができる。例えば、発光性の高い物質としては、蛍光を発光する蛍光性化合物や燐光を発光する燐光性化合物を用いることができる。
発光層に用いることのできる燐光性化合物としては、例えば、青色系の発光材料として、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)テトラキス(1−ピラゾリル)ボラート(略称:FIr6)、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)ピコリナート(略称:FIrpic)、ビス[2−(3’,5’ビストリフルオロメチルフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)ピコリナート(略称:Ir(CF3ppy)2(pic))、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:FIracac)などが挙げられる。また、緑色系の発光材料として、トリス(2−フェニルピリジナト−N,C2’)イリジウム(III)(略称:Ir(ppy)3)、ビス(2−フェニルピリジナト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(ppy)2(acac))、ビス(1,2−ジフェニル−1H−ベンゾイミダゾラト)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(pbi)2(acac))、ビス(ベンゾ[h]キノリナト)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(bzq)2(acac))などが挙げられる。また、黄色系の発光材料として、ビス(2,4−ジフェニル−1,3−オキサゾラト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(dpo)2(acac))、ビス[2−(4’−パーフルオロフェニルフェニル)ピリジナト]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(p−PF−ph)2(acac))、ビス(2−フェニルベンゾチアゾラト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(bt)2(acac))などが挙げられる。また、橙色系の発光材料として、トリス(2−フェニルキノリナト−N,C2’)イリジウム(III)(略称:Ir(pq)3)、ビス(2−フェニルキノリナト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(pq)2(acac))などが挙げられる。また、赤色系の発光材料として、ビス[2−(2’−ベンゾ[4,5−α]チエニル)ピリジナト−N,C3’]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(btp)2(acac))、ビス(1−フェニルイソキノリナト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(piq)2(acac))、(アセチルアセトナト)ビス[2,3−ビス(4−フルオロフェニル)キノキサリナト]イリジウム(III)(略称:Ir(Fdpq)2(acac))、2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H,23H−ポルフィリン白金(II)(略称:PtOEP)等の有機金属錯体が挙げられる。また、トリス(アセチルアセトナト)(モノフェナントロリン)テルビウム(III)(略称:Tb(acac)3(Phen))、トリス(1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオナト)(モノフェナントロリン)ユーロピウム(III)(略称:Eu(DBM)3(Phen))、トリス[1−(2−テノイル)−3,3,3−トリフルオロアセトナト](モノフェナントロリン)ユーロピウム(III)(略称:Eu(TTA)3(Phen))等の希土類金属錯体は、希土類金属イオンからの発光(異なる多重度間の電子遷移)であるため、燐光性化合物として用いることができる。
発光層に用いることのできる蛍光性化合物としては、例えば、青色系の発光材料として、N,N’−ビス[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−N,N’−ジフェニルスチルベン−4,4’−ジアミン(略称:YGA2S)、4−(9H−カルバゾール−9−イル)−4’−(10−フェニル−9−アントリル)トリフェニルアミン(略称:YGAPA)などが挙げられる。また、緑色系の発光材料として、N−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−N,9−ジフェニル−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCAPA)、N−[9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−2−イル)−2−アントリル]−N,9−ジフェニル−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCABPhA)、N−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン(略称:2DPAPA)、N−[9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−2−イル)−2−アントリル]−N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン(略称:2DPABPhA)、9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−2−イル)−N−[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−N−フェニルアントラセン−2−アミン(略称:2YGABPhA)、N,N,9−トリフェニルアントラセン−9−アミン(略称:DPhAPhA)などが挙げられる。また、黄色系の発光材料として、ルブレン、5,12−ビス(1,1’−ビフェニル−4−イル)−6,11−ジフェニルテトラセン(略称:BPT)などが挙げられる。また、赤色系の発光材料として、N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)テトラセン−5,11−ジアミン(略称:p−mPhTD)、7,13−ジフェニル−N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)アセナフト[1,2−a]フルオランテン−3,10−ジアミン(略称:p−mPhAFD)などが挙げられる。
なお、発光層としては、上述した発光性の高い物質(ゲスト材料)を他の物質(ホスト材料)に分散させた構成としてもよい。発光性の物質を分散させるための物質としては、種々の物質を用いることができ、発光性の物質よりも最低空分子軌道準位(LUMO準位)が高く、最高被占分子軌道準位(HOMO準位)が低い物質を用いることが好ましい。
特にホスト材料としては、実施形態1で述べた原理から正孔輸送性の化合物が好ましく、例えば、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPBまたはα―NPD)、4,4’−ビス[N−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DFLDPBi)、N,N’−ビス(スピロ−9,9’−ビフルオレン−2−イル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(略称:BSPB)、4,4’−ビス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:TPD)、1,3,5−トリス[N,N−ジ(m−トリル)アミノ]ベンゼン(略称:m−MTDAB)、4,4’,4’’−トリス(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン(略称:TCTA)、N,N−ジフェニル−9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:CzA1PA)、9−フェニル−9’−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−3,3’−ビ(9H−カルバゾール)(略称:PCCPA)、4−(10−フェニル−9−アントリル)トリフェニルアミン(略称:DPhPA)、4−(9H−カルバゾール−9−イル)−4’−(10−フェニル−9−アントリル)トリフェニルアミン(略称:YGAPA)、N,9−ジフェニル−N−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:PCAPA)、N,9−ジフェニル−N−{4−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]フェニル}−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:PCAPBA)、N,9−ジフェニル−N−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCAPA)、6,12−ジメトキシ−5,11−ジフェニルクリセン、N,N,N’,N’,N’’,N’’,N’’’,N’’’−オクタフェニルジベンゾ[g,p]クリセン−2,7,10,15−テトラアミン(略称:DBC1)、4,4’−(キノキサリン−2,3−ジイル)ビス(N,N−ジフェニルアニリン)(略称:TPAQn)、N,N’−(キノキサリン−2,3−ジイルジ−4,1−フェニレン)ビス(N−フェニル−1,1’−ビフェニル−4−アミン)(略称:BPAPQ)、N,N’−(キノキサリン−2,3−ジイルジ−4,1−フェニレン)ビス[ビス(1,1’−ビフェニル−4−イル)アミン](略称:BBAPQ)、4,4’−(キノキサリン−2,3−ジイル)ビス{N−[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−N−フェニルアニリン}(略称:YGAPQ)、N,N’−(キノキサリン−2,3−ジイルジ−4,1−フェニレン)ビス(N,9−ジフェニル−9H−カルバゾール−3−アミン)(略称:PCAPQ)、4−(9H−カルバゾール−9−イル)−4’−(3−フェニルキノキサリン−2−イル)トリフェニルアミン(略称:YGA1PQ)、N,9−ジフェニル−N−[4−(3−フェニルキノキサリン−2−イル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:PCA1PQ)、N,N,N’−トリフェニル−N’−[4−(3−フェニルキノキサリン−2−イル)フェニル]−1,4−フェニレンジアミン(略称:DPA1PQ)などの芳香族アミン化合物や、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)のような縮合芳香族化合物を用いることができる。なお、TPAQn、BPAPQ、BBAPQ、YGAPQ、PCAPQ、YGA1PQ、PCA1PQ、DPA1PQのようなキノキサリン骨格と芳香族アミンを組み合わせた化合物はバイポーラ性であるが、比較的高い正孔輸送性を有するので好ましく用いることができる。また、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(略称:PVK)、ポリ(4−ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)、ポリ[N−(4−{N’−[4−(4−ジフェニルアミノ)フェニル]フェニル−N’−フェニルアミノ}フェニル)メタクリルアミド](略称:PTPDMA)、ポリ[N,N’−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジジン](略称:Poly−TPD)などの高分子化合物を用いることもできる。
また、例えば、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Alq)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Almq3)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(II)(略称:BeBq2)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(III)(略称:BAlq)、ビス(8−キノリノラト)亜鉛(II)(略称:Znq)、ビス[2−(2−ベンゾオキサゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnPBO)、ビス[2−(2−ベンゾチアゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnBTZ)、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ01)、2,2’,2’’−(1,3,5−ベンゼントリイル)トリス(1−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール)(略称:TPBI)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)、9−[4−(5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CO11)、9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CzPA)、3,6−ジフェニル−9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:DPCzPA)、9,10−ビス(3,5−ジフェニルフェニル)アントラセン(略称:DPPA)、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、9,9’−ビアントリル(略称:BANT)、9,9’−(スチルベン−3,3’−ジイル)ジフェナントレン(略称:DPNS)、9,9’−(スチルベン−4,4’−ジイル)ジフェナントレン(略称:DPNS2)、3,3’,3’’−(ベンゼン−1,3,5−トリイル)トリピレン(略称:TPB3)のような電子輸送性の化合物を用いてもよい。
また、発光性の物質を分散させるための物質は複数種用いることができる。例えば、結晶化を抑制するためにルブレン等の結晶化を抑制する物質をさらに添加してもよい。また、発光性の物質へのエネルギー移動をより効率良く行うためにNPB、あるいはAlq等をさらに添加してもよい。
発光性の高い物質を他の物質に分散させた構成とすることにより、発光層111の結晶化を抑制することができる。また、発光性の高い物質の濃度が高いことによる濃度消光を抑制することができる。
また、発光層111として高分子化合物を用いることができる。具体的には、青色系の発光材料として、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)(略称:POF)、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−co−(2,5−ジメトキシベンゼン−1,4−ジイル)](略称:PF−DMOP)、ポリ{(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−co−[N,N’−ジ−(p−ブチルフェニル)−1,4−ジアミノベンゼン]}(略称:TAB−PFH)などが挙げられる。また、緑色系の発光材料として、ポリ(p−フェニレンビニレン)(略称:PPV)、ポリ[(9,9−ジヘキシルフルオレン−2,7−ジイル)−alt−co−(ベンゾ[2,1,3]チアジアゾール−4,7−ジイル)](略称:PFBT)、ポリ[(9,9−ジオクチル−2,7−ジビニレンフルオレニレン)−alt−co−(2−メトキシ−5−(2−エチルヘキシロキシ)−1,4−フェニレン)]などが挙げられる。また、橙色〜赤色系の発光材料として、ポリ[2−メトキシ−5−(2’−エチルヘキソキシ)−1,4−フェニレンビニレン](略称:MEH−PPV)、ポリ(3−ブチルチオフェン−2,5−ジイル)(略称:R4−PAT)、ポリ{[9,9−ジヘキシル−2,7−ビス(1−シアノビニレン)フルオレニレン]−alt−co−[2,5−ビス(N,N’−ジフェニルアミノ)−1,4−フェニレン]}、ポリ{[2−メトキシ−5−(2−エチルヘキシロキシ)−1,4−ビス(1−シアノビニレンフェニレン)]−alt−co−[2,5−ビス(N,N’−ジフェニルアミノ)−1,4−フェニレン]}(略称:CN−PPV−DPD)などが挙げられる。
上述のように、本実施の形態で示すEL層103は、発光層111と正孔の移動を制御する制御層121を有する。その他の層の積層構造については特に限定されず、電子輸送性の高い物質または正孔輸送性の高い物質、電子注入性の高い物質、正孔注入性の高い物質、バイポーラ性(電子及び正孔の輸送性の高い物質)の物質等を含む層と、キャリアの移動を制御する制御層および発光層とを適宜組み合わせて構成すればよい。例えば、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層等を適宜組み合わせて構成することができる。各層を構成する材料について以下に具体的に示す。
正孔注入層114は、正孔注入性の高い物質を含む層である。正孔注入性の高い物質としては、モリブデン酸化物やバナジウム酸化物、ルテニウム酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物等を用いることができる。この他、低分子の有機化合物としては、フタロシアニン(略称:H2Pc)、銅(II)フタロシアニン(略称:CuPc)、バナジルフタロシアニン(略称:VOPc)等のフタロシアニン系の化合物、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)、4,4’−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、4,4’−ビス(N−{4−[N’−(3−メチルフェニル)−N’−フェニルアミノ]フェニル}−N−フェニルアミノ)ビフェニル(略称:DNTPD)、1,3,5−トリス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ベンゼン(略称:DPA3B)、3−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA1)、3,6−ビス[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA2)、3−[N−(1−ナフチル)−N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)アミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCN1)等の芳香族アミン化合物等が挙げられる。
また、正孔注入層114として、正孔輸送性の高い物質にアクセプター性物質を含有させた複合材料を用いることができる。なお、正孔輸送性の高い物質にアクセプター性物質を含有させたものを用いることにより、電極の仕事関数に依らず電極を形成する材料を選ぶことができる。つまり、第1の電極102として仕事関数の大きい材料だけでなく、仕事関数の小さい材料を用いることができる。これらの複合材料は、正孔輸送性の高い物質とアクセプター物質とを共蒸着することにより形成することができる。
なお、本明細書中において、複合とは、単に2つの材料が混合している状態だけでなく、複数の材料を混合することによって材料間での電荷の授受が行われ得る状態になることを言う。
複合材料に用いる有機化合物としては、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、芳香族炭化水素、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)など、種々の化合物を用いることができる。なお、複合材料に用いる有機化合物としては、正孔輸送性の高い有機化合物であることが好ましい。具体的には、10−6cm2/Vs以上の正孔移動度を有する物質であることが好ましい。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。以下では、複合材料に用いることのできる有機化合物を具体的に列挙する。
複合材料に用いることのできる有機化合物としては、例えば、MTDATA、TDATA、DPAB、DNTPD、DPA3B、PCzPCA1、PCzPCA2、PCzPCN1、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPBまたはα−NPD)、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(略称:TPD)等の芳香族アミン化合物や、4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、1,3,5−トリス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]ベンゼン(略称:TCPB)、9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CzPA)、1,4−ビス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]−2,3,5,6−テトラフェニルベンゼン等のカルバゾール誘導体や、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、2−tert−ブチル−9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン、9,10−ビス(3,5−ジフェニルフェニル)アントラセン(略称:DPPA)、2−tert−ブチル−9,10−ビス(4−フェニルフェニル)アントラセン(略称:t−BuDBA)、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)、2−tert−ブチルアントラセン(略称:t−BuAnth)、9,10−ビス(4−メチル−1−ナフチル)アントラセン(略称:DMNA)、9,10−ビス[2−(1−ナフチル)フェニル]−2−tert−ブチル−アントラセン、9,10−ビス[2−(1−ナフチル)フェニル]アントラセン、2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン、2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン、9,9’−ビアントリル、10,10’−ジフェニル−9,9’−ビアントリル、10,10’−ビス(2−フェニルフェニル)−9,9’−ビアントリル、10,10’−ビス[(2,3,4,5,6−ペンタフェニル)フェニル]−9,9’−ビアントリル、アントラセン、テトラセン、ルブレン、ペリレン、2,5,8,11−テトラ(tert−ブチル)ペリレン、ペンタセン、コロネン、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル(略称:DPVBi)、9,10−ビス[4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル]アントラセン(略称:DPVPA)等の芳香族炭化水素化合物を挙げることができる。
また、アクセプター性物質としては、7,7,8,8−テトラシアノ−2,3,5,6−テトラフルオロキノジメタン(略称:F4−TCNQ)、クロラニル等の有機化合物や、遷移金属酸化物を挙げることができる。また、元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物を挙げることができる。具体的には、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化レニウムは電子受容性が高いため好ましい。中でも特に、酸化モリブデンは大気中でも安定であり、吸湿性が低く、扱いやすいため好ましい。
また、正孔注入層114としては、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)を用いることができる。例えば、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(略称:PVK)、ポリ(4−ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)、ポリ[N−(4−{N’−[4−(4−ジフェニルアミノ)フェニル]フェニル−N’−フェニルアミノ}フェニル)メタクリルアミド](略称:PTPDMA)ポリ[N,N’−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジジン](略称:Poly−TPD)などの高分子化合物が挙げられる。また、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)、ポリアニリン/ポリ(スチレンスルホン酸)(PAni/PSS)等の酸を添加した高分子化合物を用いることができる。
また、上述したPVK、PVTPA、PTPDMA、Poly−TPD等の高分子化合物と、上述したアクセプター性物質を用いて複合材料を形成し、正孔注入層114として用いてもよい。
正孔輸送層112は、正孔輸送性の高い物質を含む層である。正孔輸送性の高い物質としては、低分子の有機化合物としては、NPB(またはα−NPD)、TPD、4,4’−ビス[N−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DFLDPBi)、4,4’−ビス[N−(スピロ−9,9’−ビフルオレン−2−イル)−N―フェニルアミノ]ビフェニル(略称:BSPB)などの芳香族アミン化合物を用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm2/Vs以上の正孔移動度を有する物質である。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。なお、正孔輸送性の高い物質を含む層は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものとしてもよい。
また、正孔輸送層112として、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(略称:PVK)、ポリ(4−ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)、ポリ[N−(4−{N’−[4−(4−ジフェニルアミノ)フェニル]フェニル−N’−フェニルアミノ}フェニル)メタクリルアミド](略称:PTPDMA)ポリ[N,N’−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジジン](略称:Poly−TPD)などの高分子化合物を用いることもできる。
電子輸送層113は、電子輸送性の高い物質を含む層である。例えば、低分子の有機化合物として、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Alq)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Almq3)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(II)(略称:BeBq2)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(III)(略称:BAlq)、ビス(8−キノリノラト)亜鉛(II)(略称:Znq)、ビス[2−(2−ベンゾオキサゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnPBO)、ビス[2−(2−ベンゾチアゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnBTZ)などの金属錯体を用いることができる。さらに、金属錯体以外にも、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ01)、2,2’,2’’−(1,3,5−ベンゼントリイル)トリス(1−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール)(略称:TPBI)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)などの複素環化合物も用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm2/Vs以上の電子移動度を有する物質である。なお、正孔よりも電子の輸送性の高い物質であれば、上記以外の物質を電子輸送層として用いても構わない。また、電子輸送層は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものとしてもよい。
また、電子輸送層113として、高分子化合物を用いることができる。例えば、ポリ[(9,9−ジヘキシルフルオレン−2,7−ジイル)−co−(ピリジン−3,5−ジイル)](略称:PF−Py)、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−co−(2,2’−ビピリジン−6,6’−ジイル)](略称:PF−BPy)などを用いることができる。
また、電子注入層115は、電子注入性の高い物質を含む層である。電子注入性の高い物質としては、フッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF2)等のようなアルカリ金属又はアルカリ土類金属又はそれらの化合物を用いることができる。例えば、電子輸送性を有する物質からなる層中にアルカリ金属又はアルカリ土類金属又はそれらの化合物を含有させたもの、例えばAlq中にマグネシウム(Mg)を含有させたもの等を用いることができる。なお、電子注入層として、電子輸送性を有する物質からなる層中にアルカリ金属又はアルカリ土類金属を含有させたものを用いることにより、第2の電極104からの電子注入が効率良く行われるためより好ましい。
EL層103の形成方法としては、乾式法、湿式法を問わず、種々の方法を用いることができる。例えば、真空蒸着法、インクジェット法またはスピンコート法など用いても構わない。また各電極または各層ごとに異なる成膜方法を用いて形成しても構わない。
例えば、上述した材料のうち、高分子化合物を用いて湿式法でEL層を形成してもよい。または、低分子の有機化合物を用いて湿式法で形成することもできる。また、低分子の有機化合物を用いて真空蒸着法などの乾式法を用いてEL層を形成してもよい。
また、電極についても、ゾル−ゲル法を用いて湿式法で形成しても良いし、金属材料のペーストを用いて湿式法で形成してもよい。また、スパッタリング法や真空蒸着法などの乾式法を用いて形成しても良い。
例えば、本発明の発光素子を表示装置に適用し、発光層を塗り分ける場合には、発光層は湿式法により形成することが好ましい。発光層をインクジェット法を用いて形成することにより、大型基板を用いた場合であっても発光層の塗り分けが容易となる。
以上のような構成を有する本発明の発光素子は、第1の電極102と第2の電極104との間に電圧を印加することにより、電流が流れ、EL層103において正孔と電子とが再結合し、発光するものである。
発光は、第1の電極102または第2の電極104のいずれか一方または両方を通って外部に取り出される。従って、第1の電極102または第2の電極104のいずれか一方または両方は、透光性を有する電極である。第1の電極102のみが透光性を有する電極である場合、図4(A)に示すように、発光は第1の電極102を通って基板側から取り出される。また、第2の電極104のみが透光性を有する電極である場合、図4(B)に示すように、発光は第2の電極104を通って基板と逆側から取り出される。第1の電極102および第2の電極104がいずれも透光性を有する電極である場合、図4(C)に示すように、発光は第1の電極102および第2の電極104を通って、基板側および基板と逆側の両方から取り出される。
なお第1の電極102と第2の電極104との間に設けられる層の構成は、上記のものには限定されない。発光領域と金属とが近接することによって生じる消光を防ぐように、第1の電極102および第2の電極104から離れた部位に正孔と電子とが再結合する発光領域を設けた構成であり、キャリアの移動を制御する層を有する構成であれば、上記以外のものでもよい。
つまり、層の積層構造については特に限定されず、電子輸送性の高い物質または正孔輸送性の高い物質、電子注入性の高い物質、正孔注入性の高い物質、バイポーラ性(電子及び正孔の輸送性の高い物質)の物質等から成る層と、本実施の形態で示すキャリアの移動を制御する制御層および発光層を適宜組み合わせて構成すればよい。
また、正孔の移動を制御する制御層は、正孔の移動を制御するものであるため、発光層と陽極として機能する電極との間に設けることが好ましい。図2(A)に示すように、正孔の移動を制御する制御層は発光層と接するように設けることがより好ましい。正孔の移動を制御する制御層を発光層と接するように設けることにより、発光層への正孔注入を直接制御できるため、発光層内におけるキャリアバランスの経時変化をより抑制することができ、素子寿命向上に関してより大きな効果が得られる。また、プロセス的にも簡便となる。
また、正孔の移動を制御する制御層は発光層と接するように設けるのが好ましく、その場合には、正孔の移動を制御する制御層に含まれる第1の有機化合物と、発光層に多く含まれている有機化合物とは、異なる種類の有機化合物であっても、同じ種類の有機化合物であってもよい。
ただし、図2(B)に示すように、発光層111と正孔の移動を制御する制御層121との間に層が形成されていてもよい。図2(B)では、正孔の移動を制御する制御層121と正孔注入層114との間に第1の正孔輸送層112Aを設け、発光層111と正孔の移動を制御する制御層121との間に第2の正孔輸送層112Bを設けた構成を示した。
また、図3に示すように、基板101上に、陰極として機能する第2の電極104、EL層103、陽極として機能する第1の電極102とが順に積層された構成としてもよい。図3(A)では、第2の電極104上に、電子注入層115、電子輸送層113、発光層111、正孔の移動を制御する制御層121、正孔輸送層112、正孔注入層114が順に積層された構成を示している。図3(B)では、第2の電極104上に、電子注入層115、電子輸送層113、発光層111、第2の正孔輸送層112B、正孔の移動を制御する制御層121、第1の正孔輸送層112A、正孔注入層114が順に積層された構成を示している。
なお、本実施の形態においては、ガラス、プラスチックなどからなる基板上に発光素子を作製している。一基板上にこのような発光素子を複数作製することで、パッシブマトリクス型の発光装置を作製することができる。また、ガラス、プラスチックなどからなる基板上に、例えば、薄膜トランジスタ(TFT)を形成し、TFTと電気的に接続された電極上に発光素子を作製してもよい。これにより、TFTによって発光素子の駆動を制御するアクティブマトリクス型の発光装置を作製できる。なお、TFTの構造は、特に限定されない。スタガ型のTFTでもよいし、逆スタガ型のTFTでもよい。また、TFT基板に形成される駆動用回路についても、N型およびP型のTFTからなるものでもよいし、若しくはN型のTFTまたはP型のTFTのいずれか一方からのみなるものであってもよい。また、TFTに用いられる半導体膜の結晶性についても特に限定されない。非晶質半導体膜を用いてもよいし、結晶性半導体膜を用いてもよい。また、単結晶半導体膜を用いてもよい。単結晶半導体膜は、スマートカット法などを用いて作製することができる。
以上で述べたように、本実施の形態で示す発光素子は、正孔の移動を制御する制御層121を有している点が特徴である。制御層における第2の有機化合物の濃度およびキャリアトラップ性が一定の条件を満たすようにすることにより、劣化が少なく、長寿命の発光素子を得ることができる。
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることが可能である。
(実施の形態3)
本実施の形態は、本発明に係る複数の発光ユニットを積層した構成の発光素子(以下、積層型素子という)の態様について、図5を参照して説明する。この発光素子は、第1の電極と第2の電極との間に、複数の発光ユニットを有する積層型発光素子である。各発光ユニットの構成としては、実施の形態1〜実施の形態2で示した構成と同様な構成を用いることができる。つまり、実施の形態1〜実施の形態2で示した発光素子は、1つの発光ユニットを有する発光素子である。本実施の形態では、複数の発光ユニットを有する発光素子について説明する。
図5において、第1の電極501と第2の電極502との間には、第1の発光ユニット511と電荷発生層513と第2の発光ユニット512が積層されている。第1の電極501と第2の電極502は実施の形態2と同様なものを適用することができる。また、第1の発光ユニット511と第2の発光ユニット512は同じ構成であっても異なる構成であってもよく、その構成は実施の形態2と同様なものを適用することができる。
電荷発生層513は、第1の電極501と第2の電極502に電圧を印加したときに、一方の側の発光ユニットに電子を注入し、他方の側の発光ユニットに正孔を注入する層であり、単層でも複数の層を積層した構成であってもよい。複数の層を積層した構成としては、正孔を注入する層と電子を注入する層とを積層する構成であることが好ましい。
正孔を注入する層としては、酸化モリブデン、酸化バナジウム、酸化レニウム、酸化ルテニウム等の半導体や絶縁体を用いることができる。あるいは、正孔輸送性の高い物質に、アクセプター物質が添加された構成であってもよい。正孔輸送性の高い物質とアクセプター性物質を含む層は、実施の形態2で示した複合材料であり、アクセプター物質として、7,7,8,8−テトラシアノ−2,3,5,6−テトラフルオロキノジメタン(略称:F4−TCNQ)や、酸化バナジウムや酸化モリブデンや酸化タングステン等の金属酸化物を含む。正孔輸送性の高い物質としては、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、芳香族炭化水素、高分子化合物、オリゴマー、デンドリマー、ポリマーなど、種々の化合物を用いることができる。なお、正孔輸送性の高い物質としては、正孔移動度が10−6cm2/Vs以上であるものを適用することが好ましい。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。正孔輸送性の高い物質とアクセプター性物質を含む複合材料は、キャリア注入性、キャリア輸送性に優れているため、低電圧駆動、低電流駆動を実現することができる。
電子を注入する層としては、酸化リチウム、フッ化リチウム、炭酸セシウム等の絶縁体や半導体を用いることができる。あるいは、電子輸送性の高い物質に、ドナー性物質が添加された構成であってもよい。ドナー性物質としては、アルカリ金属またはアルカリ土類金属または希土類金属または元素周期表における第13族に属する金属およびその酸化物、炭酸塩を用いることができる。具体的には、リチウム(Li)、セシウム(Cs)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、イッテルビウム(Yb)、インジウム(In)、酸化リチウム、炭酸セシウムなどを用いることが好ましい。また、テトラチアナフタセンのような有機化合物をドナー性物質として用いてもよい。電子輸送性の高い物質としては、実施の形態2で示した材料を用いることができる。なお、電子輸送性の高い物質としては、電子移動度が10−6cm2/Vs以上であるものを適用することが好ましい。但し、正孔よりも電子の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。電子輸送性の高い物質とドナー性物質とを有する複合材料は、キャリア注入性、キャリア輸送性に優れているため、低電圧駆動、低電流駆動を実現することができる。
また、電荷発生層513として、実施の形態2で示した電極材料を用いることもできる。例えば、正孔輸送性の高い物質と金属酸化物を含む層と透明導電膜とを組み合わせて形成しても良い。なお、光取り出し効率の点から、電荷発生層は透光性の高い層とすることが好ましい。
いずれにしても、第1の発光ユニット511と第2の発光ユニット512に挟まれる電荷発生層513は、第1の電極501と第2の電極502に電圧を印加したときに、一方の側の発光ユニットに電子を注入し、他方の側の発光ユニットに正孔を注入するものであれば良い。例えば、第1の電極の電位の方が第2の電極の電位よりも高くなるように電圧を印加した場合、電荷発生層513は、第1の発光ユニット511に電子を注入し、第2の発光ユニット512に正孔を注入するものであればいかなる構成でもよい。
本実施の形態では、2つの発光ユニットを有する発光素子について説明したが、同様に、3つ以上の発光ユニットを積層した発光素子についても、同様に適用することが可能である。本実施の形態に係る発光素子のように、一対の電極間に複数の発光ユニットを電荷発生層で仕切って配置することで、電流密度を低く保ったまま、高輝度の発光が可能であり、そのため長寿命素子を実現できる。また、照明を応用例とした場合は、電極材料の抵抗による電圧降下を小さくできるので、大面積での均一発光が可能となる。また、低電圧駆動が可能で消費電力が低い発光装置を実現することができる。
また、それぞれの発光ユニットの発光色を異なるものにすることで、発光素子全体として、所望の色の発光を得ることができる。例えば、2つの発光ユニットを有する発光素子において、第1の発光ユニットの発光色と第2の発光ユニットの発光色を補色の関係になるようにすることで、発光素子全体として白色発光する発光素子を得ることも可能である。なお、補色とは、混合すると無彩色になる色同士をいう。つまり、補色の関係にある色を発光する物質から得られた光を混合すると、白色発光を得ることができる。また、3つの発光ユニットを有する発光素子の場合でも同様であり、例えば、第1の発光ユニットの発光色が赤色であり、第2の発光ユニットの発光色が緑色であり、第3の発光ユニットの発光色が青色である場合、発光素子全体としては、白色発光を得ることができる。
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることが可能である。
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の発光素子を有する発光装置について説明する。
本実施の形態では、画素部に本発明の発光素子を有する発光装置について図6を用いて説明する。なお、図6(A)は、発光装置を示す上面図、図6(B)は図6(A)をA−A’およびB−B’で切断した断面図である。この発光装置は、発光素子の発光を制御するものとして、点線で示された駆動回路部(ソース側駆動回路)601、画素部602、駆動回路部(ゲート側駆動回路)603を含んでいる。また、604は封止基板、605はシール材であり、シール材605で囲まれた内側は、空間607になっている。
なお、引き回し配線608はソース側駆動回路601及びゲート側駆動回路603に入力される信号を伝送するための配線であり、外部入力端子となるFPC(フレキシブルプリントサーキット)609からビデオ信号、クロック信号、スタート信号、リセット信号等を受け取る。なお、ここではFPCしか図示されていないが、このFPCにはプリント配線基板(PWB)が取り付けられていても良い。本明細書における発光装置には、発光装置本体だけでなく、それにFPCもしくはPWBが取り付けられた状態をも含むものとする。
次に、断面構造について図6(B)を用いて説明する。素子基板610上には駆動回路部及び画素部が形成されているが、ここでは、駆動回路部であるソース側駆動回路601と、画素部602中の一つの画素が示されている。
なお、ソース側駆動回路601はNチャネル型TFT623とPチャネル型TFT624とを組み合わせたCMOS回路が形成される。また、駆動回路は、種々のCMOS回路、PMOS回路もしくはNMOS回路で形成しても良い。また、本実施の形態では、画素部が形成された基板と同一基板上に駆動回路を形成したドライバ一体型を示すが、必ずしもその必要はなく、画素部が形成された基板上ではなく駆動回路を外部に形成することもできる。
また、画素部602はスイッチング用TFT611と、電流制御用TFT612とそのドレインに電気的に接続された第1の電極613とを含む複数の画素により形成される。なお、第1の電極613の端部を覆って絶縁物614が形成されている。ここでは、ポジ型の感光性アクリル樹脂膜を用いることにより形成する。
また、被覆性を良好なものとするため、絶縁物614の上端部または下端部に曲率を有する曲面が形成されるようにする。例えば、絶縁物614の材料としてポジ型の感光性アクリルを用いた場合、絶縁物614の上端部のみに曲率半径(0.2μm〜3μm)を有する曲面を持たせることが好ましい。また、絶縁物614として、光の照射によってエッチャントに不溶解性となるネガ型、或いは光の照射によってエッチャントに溶解性となるポジ型のいずれも使用することができる。
第1の電極613上には、EL層616、および第2の電極617がそれぞれ形成されている。ここで、第1の電極613に用いる材料としては、さまざまな金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物を用いることができる。第1の電極を陽極として用いる場合には、その中でも、仕事関数の大きい(仕事関数4.0eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などを用いることが好ましい。例えば、珪素を含有した酸化インジウム−酸化スズ膜、酸化インジウム−酸化亜鉛膜、窒化チタン膜、クロム膜、タングステン膜、Zn膜、Pt膜などの単層膜の他、窒化チタンとアルミニウムを主成分とする膜との積層、窒化チタン膜とアルミニウムを主成分とする膜と窒化チタン膜との3層構造等の積層膜を用いることができる。なお、積層構造とすると、配線としての抵抗も低く、良好なオーミックコンタクトがとれ、さらに陽極として機能させることができる。
また、EL層616は、蒸着マスクを用いた蒸着法、インクジェット法、スピンコート法等の種々の方法によって形成される。EL層616は、実施の形態1〜実施の形態2で示したキャリアの移動を制御する制御層を有している。また、EL層616を構成する材料としては、低分子化合物、または高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマーを含む)を用いてもよい。また、EL層に用いる材料としては、有機化合物だけでなく、無機化合物を用いてもよい。
また、第2の電極617に用いる材料としては、さまざまな金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物を用いることができる。第2の電極を陰極として用いる場合には、その中でも、仕事関数の小さい(仕事関数3.8eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などを用いることが好ましい。例えば、元素周期表の第1族または第2族に属する元素、すなわちリチウム(Li)やセシウム(Cs)等のアルカリ金属、およびマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)等のアルカリ土類金属、およびこれらを含む合金(MgAg、AlLi)等が挙げられる。なお、EL層616で生じた光を第2の電極617を透過させる場合には、第2の電極617として、膜厚を薄くした金属薄膜と、透明導電膜(酸化インジウム−酸化スズ(ITO)、珪素若しくは酸化珪素を含有した酸化インジウム−酸化スズ、酸化インジウム−酸化亜鉛(IZO)、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム(IWZO)等)との積層膜を用いることも可能である。
さらにシール材605で封止基板604を素子基板610と貼り合わせることにより、素子基板610、封止基板604、およびシール材605で囲まれた空間607に発光素子618が備えられた構造になっている。なお、空間607には、充填材が充填されており、不活性気体(窒素やアルゴン等)が充填される場合の他、シール材605が充填される場合もある。
なお、シール材605にはエポキシ系樹脂を用いるのが好ましい。また、これらの材料はできるだけ水分や酸素を透過しない材料であることが望ましい。また、封止基板604に用いる材料としてガラス基板や石英基板の他、FRP(Fiberglass−Reinforced Plastics)、PVF(ポリビニルフロライド)、ポリエステルまたはアクリル等からなるプラスチック基板を用いることができる。
以上のようにして、本発明の発光素子を有する発光装置を得ることができる。
本発明の発光装置は、実施の形態1〜実施の形態2で示した発光素子を有する。そのため、劣化が少なく、寿命の長い発光装置を得ることができる。
以上のように、本実施の形態では、トランジスタによって発光素子の駆動を制御するアクティブマトリクス型の発光装置について説明したが、この他、パッシブマトリクス型の発光装置にも本発明を適用することができる。図7には本発明を適用して作製したパッシブマトリクス型の発光装置を示す。なお、図7(A)は、発光装置を示す斜視図、図7(B)は図7(A)をX−Yで切断した断面図である。図7において、基板951上には、電極952と電極956との間にはEL層955が設けられている。電極952の端部は絶縁層953で覆われている。そして、絶縁層953上には隔壁層954が設けられている。隔壁層954の側壁は、基板面に近くなるに伴って、一方の側壁と他方の側壁との間隔が狭くなっていくような傾斜を有する。つまり、隔壁層954の短辺方向の断面は、台形状であり、底辺(絶縁層953の面方向と同様の方向を向き、絶縁層953と接する辺)の方が上辺(絶縁層953の面方向と同様の方向を向き、絶縁層953と接しない辺)よりも短い。このように、隔壁層954を設けることで、陰極をパターニングすることができる。また、パッシブマトリクス型の発光装置においても、劣化が少なく、寿命の長い本発明の発光素子を含むことによって、寿命の長い発光装置を得ることができる。
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることが可能である。
(実施の形態5)
本実施の形態では、実施の形態3に示す発光装置をその一部に含む本発明の電子機器について説明する。本発明の電子機器は、実施の形態1〜実施の形態2で示した発光素子を有し、寿命の長い表示部を有する。
本発明の発光装置を用いて作製された電子機器として、ビデオカメラ、デジタルカメラ等のカメラ、ゴーグル型ディスプレイ、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、オーディオコンポ等)、コンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話、携帯型ゲーム機または電子書籍等)、記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはDigital Versatile Disc(DVD)等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうる表示装置を備えた装置)などが挙げられる。これらの電子機器の具体例を図8に示す。
図8(A)は本実施の形態に係るテレビ装置であり、筐体9101、支持台9102、表示部9103、スピーカー部9104、ビデオ入力端子9105等を含む。このテレビ装置において、表示部9103は、実施の形態1〜実施の形態2で説明したものと同様の発光素子をマトリクス状に配列して構成されている。当該発光素子は、劣化が少なく、長寿命であるという特徴を有している。その発光素子で構成される表示部9103も同様の特徴を有するため、このテレビ装置は画質の劣化が少ない。このような特徴により、テレビ装置において、劣化補償用の機能回路を大幅に削減、若しくは縮小することができるので、筐体9101や支持台9102の小型軽量化を図ることが可能である。本実施の形態に係るテレビ装置は、高画質及び小型軽量化が図られているので、それにより住環境に適合した製品を提供することができる。
図8(B)は本実施の形態に係るコンピュータであり、本体9201、筐体9202、表示部9203、キーボード9204、外部接続ポート9205、ポインティングデバイス9206等を含む。このコンピュータにおいて、表示部9203は、実施の形態1〜実施の形態2で説明したものと同様の発光素子をマトリクス状に配列して構成されている。当該発光素子は、劣化が少なく、長寿命であるという特徴を有している。その発光素子で構成される表示部9203も同様の特徴を有するため、このコンピュータは画質の劣化が少ない。このような特徴により、コンピュータにおいて、劣化補償用の機能回路を大幅に削減、若しくは縮小することができるので、本体9201や筐体9202の小型軽量化を図ることが可能である。本実施の形態に係るコンピュータは、高画質及び小型軽量化が図られているので、環境に適合した製品を提供することができる。
図8(C)は本実施の形態に係るカメラであり、本体9301、表示部9302、筐体9303、外部接続ポート9304、リモコン受信部9305、受像部9306、バッテリー9307、音声入力部9308、操作キー9309、接眼部9310等を含む。このカメラにおいて、表示部9302は、実施の形態1〜実施の形態2で説明したものと同様の発光素子をマトリクス状に配列して構成されている。当該発光素子は、劣化が少なく、長寿命であるという特徴を有している。その発光素子で構成される表示部9302も同様の特徴を有するため、このカメラは画質の劣化が少ない。このような特徴により、カメラにおいて、劣化補償用の機能回路を大幅に削減、若しくは縮小することができるので、本体9301の小型軽量化を図ることが可能である。本実施の形態に係るカメラは、高画質及び小型軽量化が図られているので、携帯に適した製品を提供することができる。
図8(D)は本実施の形態に係る携帯電話であり、本体9401、筐体9402、表示部9403、音声入力部9404、音声出力部9405、操作キー9406、外部接続ポート9407、アンテナ9408等を含む。この携帯電話において、表示部9403は、実施の形態1〜実施の形態2で説明したものと同様の発光素子をマトリクス状に配列して構成されている。当該発光素子は、劣化が少なく、長寿命であるという特徴を有している。その発光素子で構成される表示部9403も同様の特徴を有するため、この携帯電話は画質の劣化が少ない。このような特徴により、携帯電話において、劣化補償用の機能回路を大幅に削減、若しくは縮小することができるので、本体9401や筐体9402の小型軽量化を図ることが可能である。本実施の形態に係る携帯電話は、高画質及び小型軽量化が図られているので、携帯に適した製品を提供することができる。
図9には、図8(D)とは異なる構成の携帯電話の一例を示す。図9(A)が正面図、図9(B)が背面図、図9(C)が展開図である。図9に示す携帯電話は、電話と携帯情報端末の双方の機能を備えており、コンピュータを内蔵し、音声通話以外にも様々なデータ処理が可能な所謂スマートフォンである。
図9に示す携帯電話は、筐体1001及び1002二つの筐体で構成されている。筐体1001には、表示部1101、スピーカー1102、マイクロフォン1103、操作キー1104、ポインティングデバイス1105、カメラ用レンズ1106、外部接続端子1107等を備え、筐体1002には、イヤホン端子1108、キーボード1201、外部メモリスロット1202、カメラ用レンズ1203、ライト1204等を備えている。また、アンテナは筐体1001内部に内蔵されている。
また、上記構成に加えて、非接触ICチップ、小型記録装置等を内蔵していてもよい。
表示部1101には、実施の形態3で示した発光装置を組み込むことが可能であり、使用形態に応じて表示の方向が適宜変化する。表示部1101と同一面上にカメラ用レンズ1106を備えているため、テレビ電話が可能である。また、表示部1101をファインダーとしカメラ用レンズ1203及びライト1204で静止画及び動画の撮影が可能である。スピーカー1102及びマイクロフォン1103は音声通話に限らず、テレビ電話、録音、再生等が可能である。操作キー1104では、電話の発着信、電子メール等の簡単な情報入力、画面のスクロール、カーソル移動等が可能である。更に、重なり合った筐体1001と筐体1002(図9(A))は、スライドし図9(C)のように展開し、携帯情報端末として使用できる。この場合、キーボード1201、ポインティングデバイス1105を用い円滑な操作が可能である。外部接続端子1107はACアダプタ及びUSBケーブル等の各種ケーブルと接続可能であり、充電及びコンピュータ等とのデータ通信が可能である。また、外部メモリスロット1202に記録媒体を挿入しより大量のデータ保存及び移動に対応できる。
また、上記機能に加えて、赤外線通信機能、テレビ受信機能等を備えたものであってもよい。
図10は音響再生装置、具体例としてカーオーディオであり、本体701、表示部702、操作スイッチ703、704を含む。表示部702は実施の形態3の発光装置(パッシブマトリクス型またはアクティブマトリクス型)で実現することができる。また、この表示部702はセグメント方式の発光装置で形成しても良い。いずれにしても、本発明に係る発光素子を用いることにより、車両用電源(12〜42V)を使って、寿命が長い表示部を構成することができる。また、本実施の形態では車載用オーディオを示すが、携帯型や家庭用のオーディオ装置に用いても良い。
図11は、その一例としてデジタルプレーヤーを示している。図11に示すデジタルプレーヤーは、本体710、表示部711、メモリ部712、操作部713、イヤホン714等を含んでいる。なお、イヤホン714の代わりにヘッドホンや無線式イヤホンを用いることができる。表示部711として、実施の形態3の発光装置(パッシブマトリクス型またはアクティブマトリクス型)で実現することができる。また、この表示部711はセグメント方式の発光装置で形成しても良い。いずれにしても、本発明に係る発光素子を用いることにより、二次電池(ニッケル−水素電池など)を使っても表示が可能であり、寿命が長い表示部を構成することができる。メモリ部712は、ハードディスクや不揮発性メモリを用いている。例えば、記録容量が20〜200ギガバイト(GB)のNAND型不揮発性メモリを用い、操作部713を操作することにより、映像や音声(音楽)を記録、再生することができる。なお、表示部702及び表示部711は黒色の背景に白色の文字を表示することで消費電力を抑えられる。これは携帯型のオーディオ装置において特に有効である。
以上の様に、本発明を適用して作製した発光装置の適用範囲は極めて広く、この発光装置をあらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。本発明を適用することにより、劣化が少なく、長寿命の表示部を有する電子機器を作製することが可能となる。
また、本発明を適用した発光装置は、照明装置として用いることもできる。本発明を適用した発光素子を照明装置として用いる一態様を、図12を用いて説明する。
図12には、本発明の係る発光装置を用いた照明装置として用いた電子機器の一例として、本発明を適用した発光装置をバックライトとして用いた液晶表示装置を示す。図12に示した液晶表示装置は、筐体901、液晶層902、バックライト903、筐体904を有し、液晶層902は、ドライバIC905と接続されている。また、バックライト903は、本発明を適用した発光装置が用いられており、端子906により、電流が供給されている。
本発明に係る発光装置は薄型で長寿命であるため、本発明に係る発光装置を液晶表示装置のバックライトとして用いることにより、表示装置の薄型化、長寿命化も可能となる。また、本発明に係る発光装置は、面発光の照明装置であり大面積化も可能であるため、バックライトの大面積化が可能であり、液晶表示装置の大面積化も可能になる。
図13は、本発明を適用した発光装置を、照明装置である電気スタンドとして用いた例である。図13に示す電気スタンドは、筐体2001と、光源2002を有し、光源2002として、本発明の発光装置が用いられている。本発明の発光装置は長寿命であるため、電気スタンドも長寿命である。
図14は、本発明を適用した発光装置を、室内の照明装置3001として用いた例である。本発明の発光装置は大面積化も可能であるため、大面積の照明装置として用いることができる。また、本発明の発光装置は、長寿命であるため、長寿命の照明装置として用いることが可能となる。このように、本発明を適用した発光装置を、室内の照明装置3001として用いた部屋に、図8(A)で説明したような、本発明に係るテレビ装置3002を設置して公共放送や映画を鑑賞することができる。このような場合、両装置は長寿命であるので、照明装置やテレビ装置の買い換え回数を減らすことができ、環境への負荷を低減することができる。
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることが可能である。
本実施例では、後述の実施例で作製した発光素子の正孔の移動を制御する制御層に用いた、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPBまたはα―NPD)、N,N’−(キノキサリン−2,3−ジイルジ−4,1−フェニレン)ビス(N−フェニル−1,1’−ビフェニル−4−アミン)(略称:BPAPQ)、4,4’,4’’−トリス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:1’−TNATA)、3−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA1)の酸化反応特性について、サイクリックボルタンメトリ(CV)測定によって調べた。また、その測定から、NPB、BPAPQ、1’−TNATA、PCzPCA1のHOMO準位を求めた。測定には、電気化学アナライザー(ビー・エー・エス(株)製、型番:ALSモデル600Aまたは600C)を用いた。
CV測定における溶液は、溶媒として脱水ジメチルホルムアミド(DMF)((株)アルドリッチ製、99.8%、カタログ番号:22705−6)を用い、支持電解質である過塩素酸テトラ−n−ブチルアンモニウム(n−Bu4NClO4)((株)東京化成製、カタログ番号:T0836)を100mmol/Lの濃度となるように溶解させ、さらに測定対象を2mmol/Lの濃度となるように溶解させて調製した。ただし、溶解性が低く、2mmol/Lの濃度で溶解できないものに関しては、溶け残りを濾別した後、ろ液を用いて測定を行った。また、作用電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、PTE白金電極)を、補助電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、VC−3用Ptカウンター電極(5cm))を、参照電極としてはAg/Ag+電極(ビー・エー・エス(株)製、RE7非水溶媒系参照電極)をそれぞれ用いた。なお、測定は室温(20〜25℃)で行った。また、CV測定時のスキャン速度は、0.1V/secに統一した。
(参照電極の真空準位に対するポテンシャルエネルギーの算出)
まず、本実施例で用いる参照電極(Ag/Ag+電極)の真空準位に対するポテンシャルエネルギー(eV)を算出した。つまり、Ag/Ag+電極のフェルミ準位を算出した。メタノール中におけるフェロセンの酸化還元電位は、標準水素電極に対して+0.610[V vs. SHE]であることが知られている(参考文献:Christian R.Goldsmith et al., J.Am.Chem.Soc., Vol.124, No.1,83−96, 2002)。一方、本実施例で用いる参照電極を用いて、メタノール中におけるフェロセンの酸化還元電位を求めたところ、+0.11V[vs.Ag/Ag+]であった。したがって、本実施例で用いる参照電極のポテンシャルエネルギーは、標準水素電極に対して0.50[eV]低くなっていることがわかった。
ここで、標準水素電極の真空準位からのポテンシャルエネルギーは−4.44eVであることが知られている(参考文献:大西敏博・小山珠美著、高分子EL材料(共立出版)、p.64−67)。以上のことから、本実施例で用いる参照電極の真空準位に対するポテンシャルエネルギーは、−4.44−0.50=−4.94[eV]であると算出できた。
(測定例1:NPB)
まず、本測定例で、CV測定からのHOMO準位の算出について詳述する。NPBの酸化反応特性のCV測定結果を図16に示す。なお、酸化反応特性の測定は、参照電極に対する作用電極の電位を−0.32Vから1.00Vまで走査した後、1.00Vから−0.32Vまで走査した。
図16に示すように、酸化ピーク電位Epaは、0.48Vであった。また、還元ピーク電位Epcは0.40Vであった。したがって、半波電位(EpaとEpcの中間の電位)は0.44Vと算出できる。このことは、NPBは0.44[V vs.Ag/Ag+]の電気エネルギーにより酸化されることを示しており、このエネルギーはHOMO準位に相当する。ここで、上述した通り、本実施例で用いる参照電極の真空準位に対するポテンシャルエネルギーは、−4.94[eV]であるため、NPBのHOMO準位は、−4.94−0.44=−5.38[eV]であることがわかった。
(測定例2:BPAPQ)
BPAPQの酸化反応特性のCV測定結果を図17に示す。なお、酸化反応特性の測定は、参照電極に対する作用電極の電位を0.15Vから1.00Vまで走査した後、1.00Vから0.15Vまで走査した。
図17に示すように、酸化ピーク電位Epaは、0.75Vであった。また、還元ピーク電位Epcは0.53Vであった。したがって、半波電位(EpaとEpcの中間の電位)は0.64Vと算出できる。このことは、BPAPQは0.64[V vs.Ag/Ag+]の電気エネルギーにより酸化されることを示しており、このエネルギーはHOMO準位に相当する。ここで、上述した通り、本実施例で用いる参照電極の真空準位に対するポテンシャルエネルギーは、−4.94[eV]であるため、BPAPQのHOMO準位は、−4.94−0.64=−5.58[eV]であることがわかった。
(測定例3:1’−TNATA)
1’−TNATAの酸化反応特性のCV測定結果を図18に示す。なお、酸化反応特性の測定は、参照電極に対する作用電極の電位を−0.35Vから0.60Vまで走査した後、0.60Vから−0.35Vまで走査した。
図18に示すように、酸化ピーク電位Epaは、0.08Vであった。また、還元ピーク電位Epcは0.00Vであった。したがって、半波電位(EpaとEpcの中間の電位)は0.04Vと算出できる。このことは、1’−TNATAは0.04[V vs.Ag/Ag+]の電気エネルギーにより酸化されることを示しており、このエネルギーはHOMO準位に相当する。ここで、上述した通り、本実施例で用いる参照電極の真空準位に対するポテンシャルエネルギーは、−4.94[eV]であるため、1’−TNATAのHOMO準位は、−4.94−0.04=−4.98[eV]であることがわかった。
(測定例4:PCzPCA1)
PCzPCA1の酸化反応特性のCV測定結果を図19に示す。なお、酸化反応特性の測定は、参照電極に対する作用電極の電位を−0.08Vから0.45Vまで走査した後、0.45Vから−0.08Vまで走査した。
図19に示すように、酸化ピーク電位Epaは、0.28Vであった。また、還元ピーク電位Epcは0.21Vであった。したがって、半波電位(EpaとEpcの中間の電位)は0.25Vと算出できる。このことは、PCzPCA1は0.25[V vs.Ag/Ag+]の電気エネルギーにより酸化されることを示しており、このエネルギーはHOMO準位に相当する。ここで、上述した通り、本実施例で用いる参照電極の真空準位に対するポテンシャルエネルギーは、−4.94[eV]であるため、PCzPCA1のHOMO準位は、−4.94−0.25=−5.19[eV]であることがわかった。
以上の測定結果から、1’−TNATAのHOMO準位はNPBに比べて0.40[eV]高いことがわかった。また、1’−TNATAのHOMO準位はBPAPQに比べて0.60[eV]高く、PCzPCA1のHOMO準位はBPAPQに比べて0.39[eV]高いこともわかった。
本実施例では、本発明の発光素子について、図15を用いて説明する。本実施例で用いた材料の構造式を以下に示す。本実施例では、制御層2113における第1の有機化合物として4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPBまたはα―NPD)を、第2の有機化合物として4,4’,4’’−トリス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:1’−TNATA)を用いた発光素子に関し、1’−TNATAの濃度を変化させた場合の素子の寿命について検証した。
まず以下に、本実施例の発光素子の作製方法を示す。
(発光素子1)
まず、ガラス基板2101上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(略称:ITSO)をスパッタリング法にて成膜し、第1の電極2102を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。
次に、第1の電極2102が形成された面が下方となるように、第1の電極2102が形成された基板を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定した。成膜室を10−4Pa程度まで減圧した後、第1の電極2102上に、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)と酸化モリブデン(VI)とを共蒸着することにより、有機化合物と無機化合物とを複合してなる複合材料を含む層2111を形成した。その膜厚は50nmとし、NPBと酸化モリブデン(VI)との比率は、重量比で4:1(=NPB:酸化モリブデン)となるように調節した。なお、共蒸着法とは、一つの処理室内で複数の蒸発源から同時に蒸着を行う蒸着法である。
次に、抵抗加熱を用いた蒸着法により、複合材料を含む層2111上にNPBを10nmの膜厚となるように成膜し、正孔輸送層2112を形成した。
次に、NPBと4,4’,4’’−トリス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:1’−TNATA)とを共蒸着することにより、正孔輸送層2112上に10nmの膜厚の正孔の移動を制御する制御層2113を形成した。ここで、NPBと1’−TNATAとの重量比は、1:0.005(=NPB:1’−TNATA)となるように調節した。
次に、N,N’−(キノキサリン−2,3−ジイルジ−4,1−フェニレン)ビス(N−フェニル−1,1’−ビフェニル−4−アミン)(略称:BPAPQ)と(アセチルアセトナト)ビス[2,3−ビス(4−フルオロフェニル)キノキサリナト]イリジウム(III)(略称:Ir(Fdpq)2(acac))とを共蒸着することにより、正孔の移動を制御する制御層2113上に30nmの膜厚の発光層2114を形成した。ここで、BPAPQとIr(Fdpq)2(acac)との重量比は、1:0.06(=BPAPQ:Ir(Fdpq)2(acac))となるように調節した。
次に、抵抗加熱を用いた蒸着法により、発光層2114上に、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Alq)を10nmの膜厚となるように成膜し、電子輸送層2115を形成した。
次に、抵抗加熱を用いた蒸着法により、Alqとリチウム(Li)とを共蒸着することにより、電子輸送層2115上に50nmの膜厚の電子注入層2116を形成した。ここで、AlqとLiとの重量比は、1:0.01(=Alq:Li)となるように調節した。
最後に、抵抗加熱による蒸着法を用い、電子注入層2116上にアルミニウムを200nmの膜厚となるように成膜することにより、第2の電極2104を形成することで、発光素子1を作製した。
(発光素子2)
発光素子1の素子構造において、正孔の移動を制御する制御層2113における1’−TNATAの濃度を変化させた。つまり、NPBと1’−TNATAとの重量比が、1:0.01(=NPB:1’−TNATA)となるように調節し、発光素子2を作製した。制御層2113以外は発光素子1と同様に作製した。
(発光素子3)
発光素子1の素子構造において、正孔の移動を制御する制御層2113における1’−TNATAの濃度を変化させた。つまり、NPBと1’−TNATAとの重量比が、1:0.05(=NPB:1’−TNATA)となるように調節し、発光素子3を作製した。制御層2113以外は発光素子1と同様に作製した。
(発光素子4)
発光素子1の素子構造において、正孔の移動を制御する制御層2113における1’−TNATAの濃度を変化させた。つまり、NPBと1’−TNATAとの重量比が、1:0.1(=NPB:1’−TNATA)となるように調節し、発光素子4を作製した。制御層2113以外は発光素子1と同様に作製した。
(発光素子5)
発光素子1の素子構造において、正孔の移動を制御する制御層2113における1’−TNATAの濃度を変化させた。つまり、NPBと1’−TNATAとの重量比が、1:0.2(=NPB:1’−TNATA)となるように調節し、発光素子5を作製した。制御層2113以外は発光素子1と同様に作製した。
(発光素子6)
発光素子1の素子構造において、正孔の移動を制御する制御層2113における1’−TNATAの濃度を変化させた。つまり、NPBと1’−TNATAとの重量比が、1:0.5(=NPB:1’−TNATA)となるように調節し、発光素子6を作製した。制御層2113以外は発光素子1と同様に作製した。
(比較発光素子7)
発光素子1の素子構造において、正孔の移動を制御する制御層2113における正孔トラップ性を示す材料(1’−TNATA)を添加しない構成とした。つまり、正孔の移動を制御する制御層2113において、NPBのみを10nmの膜厚となるように成膜した。換言すれば、正孔輸送層2112としてNPBを20nm成膜し、正孔の移動を制御する制御層2113が設けられていない素子構造である。その他は発光素子1と同様に作製した。
以上により得られた発光素子1〜発光素子6および比較発光素子7を、窒素雰囲気のグローブボックス内において、発光素子が大気に曝されないように封止する作業を行った後、これらの発光素子の動作特性について測定を行った。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
発光素子1〜発光素子6および比較発光素子7を1000[cd/m2]の輝度で発光させた時の電圧[V]、電流効率[cd/A]およびパワー効率[lm/W]の数値を下記表1に示す。また、各素子における制御層の1’−TNATAの濃度(モル分率)も併せて載せた。
表1からわかるように、制御層における正孔トラップ性のドーパント1’−TNATAの濃度を上昇させるとやや駆動電圧が上昇しており、トラップとして機能していることがわかる。比較発光素子7は駆動電圧は低いものの、電流効率が悪い。これは、制御層に正孔トラップ性のドーパントを添加していないため、正孔が発光層を通過して電子輸送層にまで達してしまい、Alqが発光してしまっているためである。発光素子1〜6および比較発光素子7に1mAの電流を流した際の発光スペクトルを図20に示す。また、図20(a)の拡大図を図20(b)に示す。図20からわかるように、いずれの素子もIr(Fdpq)2(acac)に由来する赤色発光(〜650nm)が得られているが、比較発光素子7はAlqの緑色発光(〜540nm)もはっきりと観測できる。一方、発光素子1〜6では、正孔トラップ性のドーパント1’−TNATAの濃度を上昇させるに従い、Alqの発光が抑えられていることがわかる。すなわち、正孔が発光層を通過するのを抑制できていることがわかる。
次に、これらの発光素子を初期輝度1000[cd/m2]の条件で定電流駆動し、連続点灯試験を行った。結果を図21に示す。横軸は時間、縦軸は規格化輝度(1000[cd/m2]を100%とした)である。この試験結果を基に、素子の寿命の指標として、250時間後の輝度劣化率D250hr[%]を読み取り、下記表2にまとめた。表2には、モル分率C、実施例1から算出されるΔE(=0.40[eV])、および制御層の膜厚L(=10[nm])を式(1)に代入して得られるパラメータXの値も同時に記載してある。なお、輝度劣化率D250hr[%]とは、250時間後に輝度が10%減衰していれば(すなわち初期輝度の90%になっていれば)D=10となる量である。
表2を用いて、横軸にパラメータX、縦軸にD250hrをとったグラフを図24に示す。1’−TNATAを添加しない比較発光素子7(パラメータX=0.1)に比べ、1’−TNATAを添加した発光素子1〜6の寿命は改善されていることがわかる。また図24から、X=2×10−4付近をピークに、寿命向上効果を得るための濃度の最適範囲が存在することがわかる。
本実施例では、本発明の発光素子について、図15を用いて説明する。本実施例では、制御層2113における第1の有機化合物としてN,N’−(キノキサリン−2,3−ジイルジ−4,1−フェニレン)ビス(N−フェニル−1,1’−ビフェニル−4−アミン)(略称:BPAPQ)を、第2の有機化合物として実施例2と同様4,4’,4’’−トリス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:1’−TNATA)を用いた発光素子に関し、1’−TNATAの濃度を変化させた場合の素子の寿命について検証した。以下に、本実施例の発光素子の作製方法を示す。なお、用いた化合物の分子構造は実施例2にて開示しているため、省略する。
(発光素子8)
制御層2113の構成を以下のようにした以外は、実施例2の発光素子1と同様にして作製した。すなわち発光素子8においては、N,N’−(キノキサリン−2,3−ジイルジ−4,1−フェニレン)ビス(N−フェニル−1,1’−ビフェニル−4−アミン)(略称:BPAPQ)と4,4’,4’’−トリス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:1’−TNATA)とを共蒸着することにより、正孔輸送層2112上に10nmの膜厚の正孔の移動を制御する制御層2113を形成した。ここで、BPAPQと1’−TNATAとの重量比は、1:0.005(=BPAPQ:1’−TNATA)となるように調節した。
(発光素子9)
発光素子8の素子構造において、正孔の移動を制御する制御層2113における1’−TNATAの濃度を変化させた。つまり、BPAPQと1’−TNATAとの重量比が、1:0.01(=BPAPQ:1’−TNATA)となるように調節し、発光素子9を作製した。制御層2113以外は発光素子8と同様に作製した。
(発光素子10)
発光素子8の素子構造において、正孔の移動を制御する制御層2113における1’−TNATAの濃度を変化させた。つまり、BPAPQと1’−TNATAとの重量比が、1:0.05(=BPAPQ:1’−TNATA)となるように調節し、発光素子10を作製した。制御層2113以外は発光素子8と同様に作製した。
(発光素子11)
発光素子8の素子構造において、正孔の移動を制御する制御層2113における1’−TNATAの濃度を変化させた。つまり、BPAPQと1’−TNATAとの重量比が、1:0.1(=BPAPQ:1’−TNATA)となるように調節し、発光素子11を作製した。制御層2113以外は発光素子8と同様に作製した。
(発光素子12)
発光素子8の素子構造において、正孔の移動を制御する制御層2113における1’−TNATAの濃度を変化させた。つまり、BPAPQと1’−TNATAとの重量比が、1:0.2(=BPAPQ:1’−TNATA)となるように調節し、発光素子12を作製した。制御層2113以外は発光素子8と同様に作製した。
(発光素子13)
発光素子8の素子構造において、正孔の移動を制御する制御層2113における1’−TNATAの濃度を変化させた。つまり、BPAPQと1’−TNATAとの重量比が、1:0.5(=BPAPQ:1’−TNATA)となるように調節し、発光素子13を作製した。制御層2113以外は発光素子8と同様に作製した。
以上により得られた発光素子8〜発光素子13を、窒素雰囲気のグローブボックス内において、発光素子が大気に曝されないように封止する作業を行った後、これらの発光素子の動作特性について測定を行った。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
発光素子8〜発光素子13を1000[cd/m2]の輝度で発光させた時の電圧[V]、電流効率[cd/A]およびパワー効率[lm/W]の数値を下記表3に示す。また、各素子における制御層の1’−TNATAの濃度(モル分率)も併せて載せた。表3からわかるように、制御層における正孔トラップ性のドーパント1’−TNATAの濃度を上昇させるに従って、やや駆動電圧が上昇しており、トラップとして機能していることがわかる。なお、実施例2の発光素子1〜6と同様、いずれの発光素子からもIr(Fdpq)2(acac)に由来する赤色の発光が得られており、かつAlqの緑色の発光はほとんど観測されなかった。
次に、これらの発光素子を初期輝度1000[cd/m2]の条件で定電流駆動し、連続点灯試験を行った。結果を図22に示す。横軸は時間、縦軸は規格化輝度(1000[cd/m2]を100%とした)である。この試験結果を基に、素子の寿命の指標として、250時間後の輝度劣化率D250hr[%]を読み取り、下記表4にまとめた。表4には、モル分率C、実施例1から算出されるΔE(=0.60[eV])、および制御層の膜厚L(=10[nm])を式(1)に代入して得られるパラメータXの値も同時に記載してある。なお、輝度劣化率D250hr[%]とは、250時間後に輝度が10%減衰していれば(すなわち初期輝度の90%になっていれば)D=10となる量である。
表4を用いて、横軸にパラメータX、縦軸にD250hrをとったグラフを図25に示す。発光素子8〜13は、いずれも劣化が小さいが、X=9×10−4付近をピークに、寿命向上効果を得るための濃度の最適範囲が存在することがわかる。
本実施例では、本発明の発光素子について、図15を用いて説明する。本実施例では、制御層2113における第1の有機化合物として実施例3と同様N,N’−(キノキサリン−2,3−ジイルジ−4,1−フェニレン)ビス(N−フェニル−1,1’−ビフェニル−4−アミン)(略称:BPAPQ)を、第2の有機化合物として3−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA1)を用いた発光素子に関し、PCzPCA1の濃度を変化させた場合の素子の寿命について検証した。以下に、本実施例の発光素子の作製方法を示す。
本実施例で用いた材料の構造式を以下に示す。なお、すでに構造式を示した材料については省略する。
(発光素子14)
制御層2113の構成を以下のようにした以外は、実施例2の発光素子1と同様にして作製した。すなわち発光素子14においては、N,N’−(キノキサリン−2,3−ジイルジ−4,1−フェニレン)ビス(N−フェニル−1,1’−ビフェニル−4−アミン)(略称:BPAPQ)と3−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA1)とを共蒸着することにより、正孔輸送層2112上に10nmの膜厚の正孔の移動を制御する制御層2113を形成した。ここで、BPAPQとPCzPCA1との重量比は、1:0.005(=BPAPQ:PCzPCA1)となるように調節した。
(発光素子15)
発光素子14の素子構造において、正孔の移動を制御する制御層2113におけるPCzPCA1の濃度を変化させた。つまり、BPAPQとPCzPCA1との重量比が、1:0.01(=BPAPQ:PCzPCA1)となるように調節し、発光素子15を作製した。制御層2113以外は発光素子14と同様に作製した。
(発光素子16)
発光素子14の素子構造において、正孔の移動を制御する制御層2113におけるPCzPCA1の濃度を変化させた。つまり、BPAPQとPCzPCA1との重量比が、1:0.05(=BPAPQ:PCzPCA1)となるように調節し、発光素子16を作製した。制御層2113以外は発光素子14と同様に作製した。
(発光素子17)
発光素子14の素子構造において、正孔の移動を制御する制御層2113におけるPCzPCA1の濃度を変化させた。つまり、BPAPQとPCzPCA1との重量比が、1:0.1(=BPAPQ:PCzPCA1)となるように調節し、発光素子17を作製した。制御層2113以外は発光素子14と同様に作製した。
(発光素子18)
発光素子14の素子構造において、正孔の移動を制御する制御層2113におけるPCzPCA1の濃度を変化させた。つまり、BPAPQとPCzPCA1との重量比が、1:0.2(=BPAPQ:PCzPCA1)となるように調節し、発光素子18を作製した。制御層2113以外は発光素子14と同様に作製した。
(発光素子19)
発光素子14の素子構造において、正孔の移動を制御する制御層2113におけるPCzPCA1の濃度を変化させた。つまり、BPAPQとPCzPCA1との重量比が、1:0.5(=BPAPQ:PCzPCA1)となるように調節し、発光素子19を作製した。制御層2113以外は発光素子14と同様に作製した。
以上により得られた発光素子14〜発光素子19を、窒素雰囲気のグローブボックス内において、発光素子が大気に曝されないように封止する作業を行った後、これらの発光素子の動作特性について測定を行った。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
発光素子14〜発光素子19を1000[cd/m2]の輝度で発光させた時の電圧[V]、電流効率[cd/A]およびパワー効率[lm/W]の数値を下記表5に示す。また、各素子における制御層のPCzPCA1の濃度(モル分率)も併せて載せた。表5からわかるように、制御層における正孔トラップ性のドーパントPCzPCA1の濃度を上昇させるに従って、やや駆動電圧が上昇しており、トラップとして機能していることがわかる。なお、実施例2の発光素子1〜6と同様、いずれの発光素子からもIr(Fdpq)2(acac)に由来する赤色の発光が得られており、かつAlqの緑色の発光はほとんど観測されなかった。
次に、これらの発光素子を初期輝度1000[cd/m2]の条件で定電流駆動し、連続点灯試験を行った。結果を図23に示す。横軸は時間、縦軸は規格化輝度(1000[cd/m2]を100%とした)である。この試験結果を基に、素子の寿命の指標として、250時間後の輝度劣化率D250hr[%]を読み取り、下記表6にまとめた。表6には、モル分率C、実施例1から算出されるΔE(=0.39[eV])、および制御層の膜厚L(=10[nm])を式(1)に代入して得られるパラメータXの値も同時に記載してある。なお、輝度劣化率D250hr[%]とは、250時間後に輝度が10%減衰していれば(すなわち初期輝度の90%になっていれば)D=10となる量である。
表6を用いて、横軸にパラメータX、縦軸にD250hrをとったグラフを図26に示す。発光素子14〜19は、いずれも劣化が小さいが、X=6×10−5付近をピークに、寿命向上効果を得るための濃度の最適範囲が存在することがわかる。
本実施例では、上述の実施例2〜実施例4で得られたデータを元に、パラメータXの妥当性と有効範囲を検証した。
実施例2〜実施例4では、パラメータXと減衰時間D250hrとの関係をプロットして議論したが、その全てのデータを同じグラフ上に載せたものが図27である。図27から、全てのプロットを集めると、D250hrの値を小さくするためのパラメータXの最適範囲が、どの素子においても共通して存在することは明らかである。実施例2〜実施例4は、物質の種類、濃度を様々に変化させたデータであるにも関わらず、このような法則性が見出されたのは本発明者の驚きとするところである。図27から、パラメータXが1×10−8〜1×10−2の範囲において、素子の長寿命化に有効であることがわかる。
また特に、D250hrが10%を切るパラメータXの範囲は、1×10−3以下であることがわかる。D250hrが10%を切ると、輝度劣化曲線の形状にもよるが、概ね1万時間からそれ以上の輝度半減期が得られると考えられ、実用的になる。ただし、実施例2〜実施例4の表1〜表6からわかるように、パラメータXが大きくなりすぎると駆動電圧が高くなる傾向にあるため、パラメータXは1×10−5以上であることが好ましい。したがって、パラメータXの好ましい範囲は1×10−5〜1×10−3である。
以上のことから、パラメータXは非常に妥当なパラメータであり、かつ、その有効な範囲も実験的に示すことができた。