JP5571511B2 - 電源遮断装置および電気機器 - Google Patents

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Description

本発明は、電機機器に異常が発生したときに電源を遮断する技術に関する。
一般に、AC電源を入力して使用する電気機器は、AC−DC変換を行う電源装置を用いて機器内の2次側回路に電力を供給する。機器内のICなどに電力を供給する電源装置では、ICの破壊を防止するため、2次側出力電圧の異常時に電源供給を停止する制御を行っている。例えば、特許文献1に記載の技術では、2次側の電圧変動を受けて1次側の電圧を低下させて、1次側制御回路が停止した後、起動抵抗を介して自動的に電源電圧供給の復旧を行っている。
特開2009−177990号公報
AC電源を入力し、AC−DC変換を行う電源装置を有する電気機器では、2次側回路部品の保護および機器の安全のため、2次側出力電圧の異常時に何らかの方法を用いて保護動作を行うことが必要である。上記特許文献1に記載の技術では、電圧異常検出時および機器動作異常時において、1次側電圧を一時的に低下させて、2次側回路へ出力される電圧を停止させると共に起動抵抗を介して自動的に電源電圧供給の復帰を行うことが可能である。
しかしながら、特許文献1記載の技術では、自動的に電源電圧供給の復旧が可能であるが故に、別の弊害が生じる可能性がある。例えば、2次側基板内部の回路およびIC内部において、電源とグランド間で物理的なショートが発生した場合により電圧異常となった場合においても、電源電圧供給復帰し2次側回路へ電圧供給を続けてしまうことから異常原因とは異なる箇所にも弊害が及ぶ可能性がある。
また、電気機器は常にユーザがそばにいる状態でのみ動作するとは限らない。特に監視機器に至っては、無人のATM等に設置され24時間365日稼動することの方が多く想定される。このような環境下で、無人運転中の機器が電圧異常により電源復旧を繰り返した場合、ICに異常な電圧が供給され続けることで異常発熱を繰り返し、最悪の事故に繋がることも考えられる。
電気機器の半永久的な電源遮断を行う場合、一般的にヒューズが用いられることが多い。しかし、近年の電気機器の回路は、LSIやメモリといったICを中心に構成されており、機器の省電力化を図るため、ICの動作電圧の低電圧化が進んでいる。これにより、近年の電気機器の回路は、自然環境による影響、例えば、雷によるサージ電圧の流入の影響や他の機器からの外来ノイズの影響を受け易くなっている。その結果、電流値の変化に強くないヒューズでは意図せず遮断してしまうことが考えられ、機器の信頼性を高く保つことが困難である。また、ヒューズの場合、一度遮断してしまうと、復旧するには部品交換が必要となり、部品コストに加え作業に対する人件費が掛かるため、コストアップにも繋がる。
一方、監視機器、特に監視用録画再生装置は金融機関などの重要箇所に設置されることが多く、その録画データは大変貴重なものである。仮にこれらのデータを部外者が不正にアクセスし閲覧しようとした場合には、データの閲覧を禁止する必要がある。また、機器異常検出回路を備えた電気機器において、内部回路の異常で機器異常が頻発するケースでは、再起動だけではなく電源遮断を行うことも必要である。
このような事情を鑑みて、本発明の目的は、電気機器に異常が発生した場合に行う電源遮断を適切かつ安価に実現することである。
本発明に関わる電源遮断装置は、電気機器の電源装置により2次側回路に供給される電源を遮断する電源遮断装置において、前記電源装置から前記2次側回路へ印加される2次電圧を出力する2次側出力端子と、前記2次側出力端子とその後段の2次側回路との間に設けられたスイッチング素子と、前記スイッチング素子をオンオフ制御するラッチリレーと、前記2次側回路に生じた電圧レベルの異常を検出し、前記ラッチリレーに対し電圧異常を示す制御信号を出力する電圧異常検出部と、を備え、前記電圧異常検出部は、前記電圧レベルの異常を検出した場合、前記ラッチリレーに対し電圧異常を示す制御信号を出力し、前記ラッチリレーは、前記2次側出力端子から前記2次側回路への電源の供給を遮断させるように前記スイッチング素子を切り替え、前記電気機器への不正アクセス、又は当該電気機器の設計上起こり得ない動作が行われた動作異常を検出し、前記ラッチリレーに対し動作異常を示す制御信号を出力する動作異常検出部をさらに備え、前記動作異常検出部は、前記動作異常を検出した場合、前記ラッチリレーに対し動作異常を示す制御信号を出力し、前記ラッチリレーは、前記2次側出力端子から前記2次側回路の主要部への電源の供給を遮断させるように前記スイッチング素子を切り替えることを特徴とする
また、本発明は、上記電源遮断装置を用いた電気機器である。
本発明は、AC電源を入力し、AC−DC変換を行う電源装置を備えた電気機器において、前記電源装置から2次側回路へ印加される2次電圧の出力端子と、その後段の2次側回路の主要部との間にスイッチング素子と、前記スイッチング素子をオンオフ制御するラッチリレーと、前記ラッチリレーに対し異常を示す制御信号を出力する異常検出回路とを備えることを特徴とする。2次側回路において電圧異常などの異常が発生した場合、前記スイッチング素子をオン状態にすることで、2次側回路への電圧供給を半永久的に停止する。
詳細は、後記する。
本発明によれば、電気機器に異常が発生した場合に行う電源遮断を適切かつ安価に実現することができる。
本実施形態に係る電源遮断装置を含む電気機器の一例を示す構成図である。 電圧検出回路の具体例を示す構成図である。 電源遮断時の動作フローチャートを示す図である。 電源遮断時における電源遮断回路の各部の信号波形を示す図である。 本実施形態に係る電源遮断装置を含む電気機器の他の一例を示す構成図である。
以下、本発明による実施の形態(以下、「実施形態」という。)について、図面を用いて具体的に説明する。
≪第1の実施形態≫
図1は、本実施形態に係る電源遮断装置を含む電気機器の一例を示す構成図である。
電気機器1は、例えば無人で動作することの多い監視用録画再生機器であって、主に、電源装置2、ACプラグ3、2次側回路12、ラッチリレー制御外部端子16a,16bを備える。
電源装置2は、電気機器1のACプラグ3から入力されるAC電源に対しAC−DC変換する。電源装置2は、その変換により、2次側出力端子13から2次側回路12に対し、所望の2次電圧V20を印加(供給)し、電源を供給する。
2次側回路12は、主に、電源遮断回路(電源遮断装置)11、および2次側主要動作回路15を備え、電源装置2から供給される電源により動作する。
2次側主要動作回路15は、2次側回路12の主要部であって、電源装置2から供給される電源により動作してATMなどにおける監視録画再生動作処理を実現する。ただし、本実施形態では、2次側主要動作回路15に関する詳細な説明は省略する。
電源遮断回路11は、主に、Nch_FET4、プルアップ抵抗5、ラッチリレー6、トランジスタ7、オアゲート8、電圧検出回路9、ユーザ定義回路10、プルダウン抵抗14、プルアップ抵抗20を備え、異常が発生したとき電源装置2から供給される電源を遮断する。
Nch_FET4は、電源装置2から2次側主要動作回路15に流れる電流を制御するスイッチング素子である。
Nch_FET4のソースは、2次側出力端子13と接続した回線と接続している。その回線では、2次電圧V20が印加される。
Nch_FET4のドレインは、2次側主要動作回路15と接続した回線と接続している。その回線では、電圧V21が印加される。
Nch_FET4のゲートは、ラッチリレー6と接続した回線と接続している。その回線では、電圧Vgが印加される。さらに、Nch_FET4のゲートは、プルアップ抵抗5を介して2次側出力端子13と接続した回線と接続している。
プルアップ抵抗5は、Nch_FET4のゲートに流れる電流の電流値を決定する。
ラッチリレー6は、主に、コイル6a、接点6b、およびスイッチ6cを備え、Nch_FET4をオンオフ制御する。
コイル6aの一端は、プルアップ抵抗20を介してトランジスタ7のコレクタと接続した回線と接続しているとともに、ラッチリレー制御外部端子16bと接続した回線と接続している。コイル6aの他端は、2次側出力端子13と接続した回線と接続しているとともに、ラッチリレー制御外部端子16aと接続した回線と接続している。
スイッチ6cの一端は、グランド(GND)へ接続され、スイッチ6cの他端は、コイル6aに電流が流れると、接点6bと接続する。
接点6bは、Nch_FET4のゲートがラッチリレー6に接続するときの接続先である。
トランジスタ7は、オアゲート8から出力される制御信号Vbに基づいて、ラッチリレー6の動作をオンオフ制御する素子である。
トランジスタ7のコレクタは、プルアップ抵抗20を介してラッチリレー6のコイル6aと接続した回線と接続している。その回線では、電圧Vcが印加される。
トランジスタ7のエミッタは、グランドへ接続される。
トランジスタ7のベースは、オアゲート8と接続した回線と接続している。その回線では、オアゲート8から出力される制御信号Vbから定まる電圧が印加される。また、その回線には、グランドへ接続されるプルダウン抵抗14が接続されている。
プルアップ抵抗20は、トランジスタ7がオン状態にあるときにコレクタ−エミッタ間に流れる電流値を決定する。
プルダウン抵抗14は、電源投入時から2次側電源供給までの僅かな時間に生じる不定期間に、電源遮断が起こらないようトランジスタ7のベース論理を固定している。
オアゲート8は、電圧検出回路9からの出力およびユーザ定義回路10から出力される信号の論理和を、制御信号Vbとして出力する論理回路である。この制御信号Vbは、トランジスタのベースに印加される電圧のレベルを定める。
電圧検出回路9およびユーザ定義回路10は、2次側回路12に生じた異常を検出する異常検出回路(異常検出部)である。本実施形態における前記異常とは、主に、2次側回路12に印加される電圧が高すぎたり(所定値以上)低すぎたり(所定値以下)する電圧異常、または電気機器1への外部からの不正なアクセスや電気機器1の設計上起こり得ない動作が行われる動作異常をいう。電圧検出回路9は、前記電圧異常を検出し、ユーザ定義回路10は、前記動作異常を検出する。なお、これらの異常以外の異常についても、例えば相応の異常検出回路を備えるようにして本発明を適用することは可能である。
電圧検出回路9およびユーザ定義回路10は、これらの異常を検出すれば、その異常を示す信号をオアゲート8に出力する。
ラッチリレー制御外部端子16aは、ラッチリレー6のコイル6aと電源装置2の2次側接続端子13とを接続する回線と接続している外部端子である。
ラッチリレー制御外部端子16bは、ラッチリレー6のコイル6aとトランジスタ7のコレクタとを接続する回線と接続している外部端子である。
電圧検出回路9およびユーザ定義回路10に異常が発生していない通常時において、ラッチリレー6のスイッチ6cはオフ状態である。このとき、Nch_FET4のゲートに印加される電圧VgはHighレベルであるため、Nch_FET4のソース−ドレイン間に電流が流れる。すると、2次側主要動作回路15には電圧V21が供給されることになり、電気機器1が動作する。
また、通常時においては、電圧検出回路9およびユーザ定義回路10の出力は、いずれもLow電圧出力とし、出力を受けて論理変換を行うオアゲート8の出力、つまり制御信号VbはLow電圧出力となる。このため、トランジスタ7のベースはオン状態にならず、トランジスタ7のコレクタ−エミッタ間に電流は流れない。結果として、トランジスタ7のコレクタの電圧VcはHigh電圧になる。
電圧検出回路9およびユーザ定義回路10のどちらか一方で異常を検出した場合、異常を検出した回路からHigh電圧が出力され、オアゲート8から出力される制御信号Vbが示す電圧はHigh電圧となる。これにより、トランジスタ7のベースがオン状態へと推移し、トランジスタ7のコレクタ−エミッタ間に電圧が流れるとともに、同時にラッチリレー6に電流が流れる。すると、ラッチリレー6内部のスイッチ6cが接点6bと接触することでスイッチ6cがオン状態へ推移するため、2次側出力端子13は、プルアップ抵抗5を介してグランドへと接続されることになる。よって、Nch_FET4のゲートへ印加される電圧VgはLow電圧となり、Nch_FET4がオフ状態になるため、Nch_FET4のソース−ドレイン間に電流が流れない。その結果、2次側主要動作回路15へ電圧V21が供給されず、電気機器1の動作が停止する。また、ラッチリレー6は、一度電流が流れれば、その電流が流れた状態を維持する特性を有するので、電源装置2から供給される電源は半永久的に遮断される。
電圧検出回路9の具体的な実現手段としては、例えば図2に示すように、容易に実現可能である。図2は、電圧検出回路の具体例を示す構成図である。図2に示す電圧検出回路9は、主に、低電圧検出回路91、および過電圧検出回路92を備えている。
低電圧検出回路91は、2次側回路12に印加される電圧が低すぎるという電圧異常を検出する。前記電圧異常が生じていない通常時では、各種電圧(5.0V、2.5V、1.8V)の分圧された電圧値は、1.25Vまたはおよそ1.25Vになるようにプルアップされており、コンパレータ91aの+側の電圧値よりも高くなるように設定されている。このため、ダイオード91bを介して電流が流れることは無く、コンパレータ91aの+側の電圧値は、1.2Vに維持される。その結果、コンパレータ91aの−側の電圧値0.9Vよりも高く、コンパレータ91aからの出力は、Highとなる。
もし、前記電圧異常が生じた異常時、つまり各種電圧のうちどれか一つでも低電圧になった場合には、1.2Vにプルアップされているコンパレータ91aの+側からダイオード91bを介して電流が流れる。このため、コンパレータ91aの+側の電圧値は、コンパレータ91aの−側の電圧値0.9Vよりも低くなり、コンパレータ91aからの出力は、Lowへ推移する。
過電圧検出回路92は、2次側回路12に印加される電圧が高すぎるという電圧異常を検出する。前記電圧異常が生じていない通常時では、各種電圧(5.0V、2.5V、1.8V)の分圧された電圧値は、1.25Vまたはおよそ1.25Vになるようにプルアップされており、ダイオード92bを介して電流が流れる。このため、電流が流れると、ダイオード92bの電圧Vf分だけ電圧降下し、その電圧降下した電圧値、つまりおよそ0.75Vがコンパレータ92aの+側の電圧値となる。その結果、コンパレータ92aの−側の電圧値0.9Vよりも低く、コンパレータ92aからの出力は、Lowとなる。
もし、前記電圧異常が生じた異常時、つまり各種電圧のうちどれか一つでも過電圧になった場合には、ダイオード92bを介して電流が流れ、ダイオード92bの電圧Vf分だけ電圧降下しても、その電圧値がコンパレータ92aの−側の電圧値0.9Vよりも高い値を示してしまう。このため、コンパレータ92aの+側の電圧値は、コンパレータ92aの−側の電圧値0.9Vよりも高くなり、コンパレータ92aからの出力は、Highへ推移する。
このような構成により、電圧検出回路9は、電圧異常に関する通常時または異常時を示す信号をオアゲート8に出力する。
ユーザ定義回路10の具体的な実現手段としては、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのように、ユーザが自由に論理回路を構成可能なIC(Integrated Circuit:集積回路)を用いることで容易に実現可能である。近年の電気回路の多数はFPGAが搭載されているため、使用していない空端子を使用すれば部品代を掛けずに実現することができる。
ユーザが意図して電源遮断を行う場合にヒューズなどが搭載されている回路では、意図的に大電流を発生させる必要があるため、非常に危険かつ困難であり、機器内部回路にも被害が及ぶ可能性がある。しかし、本実施形態で実現した回路は、そのような危険が生じることが無い構成になっている。
ユーザ定義回路10を用いて、ユーザが意図的に電源遮断する事象の例としては、パスワードでロックされたデータに対して何度も繰り返し不正にアクセスし、規定回数以上パスワードを間違えた動作異常がある。また、所定の動作異常検出回路を設けている機器において、前記動作異常検出回路が検出した動作異常がある。動作異常の検出が極稀に発生するのであれば、特許文献1に記載の回路を用いるなどして電源復旧を行えばよい。しかし、動作異常が頻発するケースでは機器内部回路の故障が考えられるので、特定時間内に規定回数以上の動作異常が発生したら電源遮断することが考えられる。
電源遮断した後、サービスマンなどが外部から電源復旧をするときには、ラッチリレー制御外部端子16bに電源を接続し、ラッチリレー制御外部端子16aにGNDを接続し、電流を流すことでラッチリレー6をオフ状態にすればよい。内部回路に異常が無いことが分かっているケースにおいては勿論であるが、内部回路に異常があった場合においても、外部からの制御で電源復旧を可能にすることは有用である。なぜなら、解析作業において非常に利便性があるばかりでなく、部品代に掛かるコストや部品交換に費やす時間を省くことが可能であるからである。
以下、本実施形態の電源遮断装置の動作を詳細に説明する。
図3は、本実施形態の電源遮断時の動作フローチャートを示す図である。
図3に示すフローチャートでは、まず、ステップS301の処理が実行される。ステップS301では、電源装置2へACプラグ3からAC電源が投入される。
次に、ステップS302では、電源装置2でAC−DC変換された2次電圧が2次側回路12へ供給され電気機器1が起動する。
起動後、ステップS303では、2次側回路12内の電圧検出回路9とユーザ定義回路10はそれぞれ、電圧レベルの監視とユーザの意図と反する動作の有無を監視する。その監視により、異常が検出されると、オアゲート8から異常を示す制御信号Vbが出力される。ステップS303は、ステップS304、ステップS305、ステップS306、ステップS307から構成される。ステップS302の後、ステップS304、ステップS305、ステップS306では、異常が検出されたか否かの判定が行われる。
ステップS304では、電圧検出回路9において、規定レベルを下回る低電圧を検出したか否か、という割り込み判定が行われる。前記低電圧が検出されると(ステップS304でYes)、ステップS307に進む。
ステップS305では、電圧検出回路9において、規定レベルを上回る過電圧を検出したか否か、という割り込み判定が行われる。前記過電圧が検出されると(ステップS305でYes)、ステップS307に進む。
ステップS306では、ユーザ定義回路10において、動作異常を検出したか否か、という割り込み判定が行われる。前記動作異常が検出されると(ステップS306でYes)、ステップS307に進む。
ステップS307では、ステップS304、ステップS305、ステップS306に示されたいずれかの異常が検出されると(Yes)、電源遮断を示す制御信号Vbがトランジスタ7のベースへ出力される。
制御信号Vbの出力後、ステップS308では、制御信号Vbによりトランジスタ7のベースにHighレベルの電圧が供給されることで、ラッチリレー6を制御するスイッチング素子、つまりトランジスタ7がオンしてコレクタ−エミッタ間に電流が流れる。
次に、ステップS309では、ステップS308でトランジスタ7のコレクタ−エミッタ間に電流が流れたことと併せてラッチリレー6内部のコイル6aに電流が流れ、接点6bへとスイッチ6cが接続されることで、ラッチリレー6がオン状態になる。
次に、ステップS310では、ラッチリレー6がオン状態になったことで、2次電圧V20を受けるスイッチング素子、つまりNch_FET4のゲートにLowレベルのゲート電圧Vgが供給され、Nch_FET4がオフ状態になる。
最後に、ステップS311では、Nch_FET4がオフ状態になったことで、電源装置2から供給される2次電圧V20がNch_FET4より後段へ送られずに2次電圧V21が遮断される。
以上で、電源遮断時の動作が終了する。
図4は、電源遮断時における電源遮断回路の各部の信号波形を示す図である。図4を参照して、電源遮断回路の各部の動作タイミングについて説明する。電源遮断回路11における電源遮断の動作は、時刻t1、t2、・・・、t6、・・・といった具合に進行する。なお、この説明において適宜、図3を参照する。
図4(a)では、電源装置2から供給される2次電圧V20の信号波形が示されている。図4(a)によれば、電源遮断回路11が働いて2次側主要動作回路15への電源供給が停止しても、いずれのタイミングにおいても電圧レベルが低下していないことがわかる。
図4(b)では、オアゲート8から出力される制御信号Vbの信号波形が示されている。図4(b)によれば、電圧検出回路9およびユーザ定義回路10の少なくとも一つが、異常を検出したため、時刻t1からt2までにおいて、制御信号VbがLowレベルからHighレベルへ推移することがわかる。この検出および推移は、図3のステップS303に対応する。
また、図4(b)によれば、時刻t5からt6までにおいて、2次電圧V21がLowレベルへ推移し、動作電力を失ったことで((f)参照)、時刻t6以降、制御信号VbがHighレベルからLowレベルへ推移することがわかる。
図4(c)では、トランジスタ7のコレクタの電圧Vcの信号波形が示されている。図4(c)によれば、トランジスタ7がオン状態になりコレクタ−エミッタ間に電流が流れたことで、時刻t2からt3までにおいて、コレクタ電圧VcがHighレベルからLowレベルへ推移することがわかる。この推移は、図3のステップS308に対応する。
また、図4(c)によれば、2次電圧V21がLowレベルへ推移し、動作電力を失ったことで((f)参照)、時刻t6以降、コレクタ電圧VcがLowレベルからHighレベルへ推移することがわかる。
図4(d)では、ラッチリレー6の動作状態の信号波形が示されている。図4(d)によれば、ラッチリレー6内部のコイル6aに電流が流れたことで、時刻t3からt4までにおいて、オフ(OFF)状態からオン(ON)状態へ推移することがわかる。この推移は、図3のステップS309に対応する。このとき、スイッチ6cは接点6bへ接続される。
図4(e)では、Nch_FET4のゲート電圧Vgの信号波形が示されている。図4(e)によれば、ラッチリレー6がオン状態になり、スイッチ6cが接点6bへ接続されたことで、時刻t4からt5までにおいて、ゲート電圧VgがHighレベルからLowレベルへ推移することがわかる。この推移は、図3のステップS310に対応する。
図4(f)では、2次側主要動作回路15へ供給される2次電圧V21の信号波形が示されている。図4(f)によれば、ゲート電圧VgがLowレベルへ推移し、時刻t5においてNch_FET4がオフ状態になったことで、時刻t5からt6までにおいて、2次電圧V21の供給が遮断され、2次電圧V21がHighレベルからLowレベルへ推移することがわかる。この推移は、図3のステップS311に対応する。
以上の説明から、本実施形態によれば、電気機器に異常が発生した場合に行う電源遮断を適切かつ安価に実現することができる。電気機器に電圧異常が発生した場合およびユーザが意図しない動作が発生した場合に、ユーザの手間をかけることなく自動でかつ安全に電気機器の2次側への電源供給を半永久的に停止することができる。また、ヒューズを用いているわけではないため、外来ノイズなどにより不必要に遮断されることは無く、機器の信頼性を高く保つことができる。
更には、ラッチリレー制御外部端子16a、16bを備え、ラッチリレー6を電気機器1の外部から制御できるため、部品交換や機器外装の開閉などに余計な費用や時間を掛ける必要もなく、機器における遮断回路の復旧作業時に容易に復旧することができる。
≪第2の実施形態≫
図5は、本実施形態に係る電源遮断装置を含む電気機器の他の一例を示す構成図である。本実施形態の構成の大半は、第1の実施形態のそれと同じである。よって、第1の実施形態と共通する構成については、同一の符号を付し、その説明は、基本的には省略する。
本実施形態において第1の実施形態と異なる点は、主に2つある。つまり、1点目は、電源遮断回路11に出力される電圧が2系統である点である。電源装置2には、2次側出力端子13a、13bが備えられている。電源装置2から生成して、2次側出力端子13a、13bを通して電源遮断回路11に出力される電圧はそれぞれV20、V20´とする。
2点目は、第1の実施形態のNch_FET4に代わってPch_FET19が用いられているとともに、プルアップ抵抗5に代わってプルダウン抵抗17およびプルアップ抵抗18が用いられている点である。このような変更に伴い、第1の実施形態にてスイッチ6cに接続されていたグランドは用いられない。
Pch_FET19はゲート電圧VgがLowレベルでオンするFET素子である。
Pch_FET19のソースは、2次側出力端子13aと接続した回線と接続している。その回線では、2次電圧V20が印加される。
Pch_FET19のドレインは、2次側主要動作回路15と接続した回線と接続している。その回線では、電圧V21が印加される。
Pch_FET19のゲートは、ラッチリレー6のスイッチ6cが通常時に接続されている接点と接続した回線と接続している。その回線では、電圧Vgが印加される。
プルダウン抵抗17は、電源投入時から2次側電源供給までの僅かな時間に生じる不定期間に、電源遮断が起こらないようPch_FET19のゲート論理を固定している。
プルアップ抵抗18は、ラッチリレー6の接点6bおよび2次側出力端子13bと接続し、異常時におけるPch_FET19のゲートに流れる電流値を決定する。
電圧検出回路9およびユーザ定義回路10によって異常が検出されると、ラッチリレー6がオン状態へ推移する。これにより、プルアップ抵抗18とプルダウン抵抗17で分圧された電圧値が、Pch_FET19のゲート電圧Vgとなる。ラッチリレー6のスイッチ6cがオン状態へ推移した際、Pch_FET19がオフ状態へ推移するためには、ゲート電圧VgがPch_FET19の仕様上でHighレベルになる必要がある。そのため、プルアップ抵抗18とプルダウン抵抗17の抵抗値の関係は、計算により算出して決定する必要がある。
前記抵抗値の関係は、例えば、電圧V20が5.7 Vであり、電圧V20´が12.0 Vであるとき、プルアップ抵抗18の抵抗値を5.6kΩとし、プルダウン抵抗17の抵抗値を10.0kΩとすればよい。
通常時では、ラッチリレー6がオフ状態にあるため、Pch_FET19のゲート電圧Vgは0Vである。このとき、Pch_FET19のソース電圧は5.7 Vであるため、Pch_FET19はオン状態となり、2次側主要動作回路15に電流が流れる。
異常時では、ラッチリレー6がオン状態になるため、電圧V20´は、プルアップ抵抗18とプルダウン抵抗17により分圧され、Pch_FET19のゲート電圧Vgはおよそ7.5Vとなる。よって、ゲート電圧Vgがソース電圧よりも高い電圧値を示すことになり、Pch_FET19はオフ状態となり、2次側主要動作回路15に電流が流れなくなる。
なお、本実施形態の構成では、2次側出力端子13bから供給される電圧V20´が、2次側出力端子13aから供給される電圧V20よりも早いタイミングで供給されるものとする。これはラッチリレー6のスイッチ6cがオン状態になった際に、接点6b部分の電圧レベルが不定であっては、すぐにPch_FET19をオフ状態にすることができず、異常な電圧が2次側主要動作回路15へ供給されてしまうことを避けるためである。このようなタイミングの設定は、例えば、電源装置2に専用の回路を備えるようにすればよい。
ちなみに、本実施形態における電源遮断時における電源遮断回路の各部の信号波形は、図4に示した第1の実施形態における信号波形と一部を除いて同じである。図4の信号波形と異なる点は、Nch_FET4の代わりにPch_FET19を用いているため、図4(e)において、時刻t4からt5までにおいて、ゲート電圧VgがLowレベルからHighレベルへ推移する点である。
また、2次電圧V20´の信号波形は、図4(a)に示した2次電圧V20の信号波形と同じく、電源遮断時であっても、いずれのタイミングにおいても電圧レベルは低下しない。
本実施形態によれば、スイッチング素子としてPch_FETを用いているため、電源遮断の制御の精度を高めることができる。よって、電気機器自体の信頼性を向上させることができる。
≪その他≫
なお、前記実施形態は、本発明を実施するために好適のものであるが、その実施形式はこれらに限定されるものでなく、本発明の要旨を変更しない範囲内において種々変形することが可能である。
例えば、本実施形態では、異常が生じたときに電源を遮断するように制御した。しかし、異常が生じる前に、異常が生じるおそれがあるかどうかを判定し、おそれがある場合に所定の警告出力をするように制御してもよい。例えば、電圧異常の場合には、低電圧または過電圧になるおそれがある電圧値を設定し、電圧検出回路9がその設定した電圧値を検出したときに警告出力するとよい。また、動作異常の場合には、動作異常とみなせる条件を複数個定め、ユーザ定義回路10が、その定めた条件の一部が満たされたと判定したときに警告出力するとよい。例えば、パスワード入力を3回間違えた場合には動作異常とみなすときに、2回間違えたときには警告出力をする、という方法がある。
前記警告出力は、例えば、画面や点灯による警告表示を行ったり、所定の警告音を発したり、電気機器の管理センタに異常のおそれの状態を通知するものがある。電源遮断回路11には警告出力を行う手段を備えるようにする。
また、第1の実施形態では、スイッチング素子としてNch_FETを用い、第2の実施形態では、Pch_FETを用いるようにした。しかし、必要に応じて回路の設計変更を行うようにして、第1の実施形態においてPch_FETを用いるようにしてもよいし、第2の実施形態においてNch_FETを用いるようにしてもよい。
また、本実施形態の電源遮断装置は、ヒューズを用いることの無い回路設計が施されている。しかし、電源遮断装置において、ヒューズを備えない構成を除外するものではなく、何らかの目的で、電源遮断装置にヒューズを備えるように設計してもよい。
また、本実施形態で説明した種々の技術を適宜組み合わせた技術を実現することもできる。
その他、回路設計、各フローチャート等の具体的な構成について、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
1電気機器
2電源装置
3ACプラグ
4Nch_FET(スイッチング素子)
5プルアップ抵抗
6ラッチリレー
6a コイル
6b 接点
6c スイッチ
7 トランジスタ
8 オアゲート
9 電圧検出回路(電圧異常検出部)
10 ユーザ定義回路(動作異常検出部)
11 電源遮断回路(電源遮断装置)
12 2次側回路(2次側)
13,13a,13b 2次側出力端子
14 プルダウン抵抗
15 2次側主要動作回路
16a,16b ラッチリレー制御外部端子(外部端子)
17 プルダウン抵抗
18 プルアップ抵抗
19 Pch_FET(スイッチング素子)
20 プルアップ抵抗

Claims (2)

  1. 電気機器の電源装置により2次側回路に供給される電源を遮断する電源遮断装置において、
    前記電源装置から前記2次側回路へ印加される2次電圧を出力する2次側出力端子と、
    前記2次側出力端子とその後段の2次側回路との間に設けられたスイッチング素子と、
    前記スイッチング素子をオンオフ制御するラッチリレーと、
    前記2次側回路に生じた電圧レベルの異常を検出し、前記ラッチリレーに対し電圧異常を示す制御信号を出力する電圧異常検出部と、を備え、
    前記電圧異常検出部は、前記電圧レベルの異常を検出した場合、前記ラッチリレーに対し電圧異常を示す制御信号を出力し、前記ラッチリレーは、前記2次側出力端子から前記2次側回路への電源の供給を遮断させるように前記スイッチング素子を切り替え
    前記電気機器への不正アクセス、又は当該電気機器の設計上起こり得ない動作が行われた動作異常を検出し、前記ラッチリレーに対し動作異常を示す制御信号を出力する動作異常検出部をさらに備え、
    前記動作異常検出部は、前記動作異常を検出した場合、前記ラッチリレーに対し動作異常を示す制御信号を出力し、前記ラッチリレーは、前記2次側出力端子から前記2次側回路の主要部への電源の供給を遮断させるように前記スイッチング素子を切り替える
    ことを特徴とする記載の電源遮断装置。
  2. 請求項に記載の電源遮断装置を用いた電気機器。
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