以下、本発明に係るサービス提供システムの各実施形態について、図面を用いて説明する。
「第一実施形態」
本実施形態のサービス提供システムは、図1に示すように、列車10内で無線サービスを提供するものである。
このサービス提供システムは、無線サービスのデータ提供元であるサービス提供サーバ100と、このサービス提供サーバ100のデータの変更等のための管理装置200と、列車10の各車両11,12,…,14,15毎に設けられている無線基地局300と、無線基地局300と無線通信する無線通信端末400g,400m,400cと、を有している。
サービス提供サーバ100及び管理装置200は、第1車両11の運転室11a内に設置されている。この運転室11aに居る運転士は、無線通信端末400mを携帯している。また、最後尾の車両15の運転室15aに居る車掌や、各車両12,14等に居る車掌は、無線通信端末400cを携帯している。各車両11,12,…,14,15に居る乗客は、無線通信端末400gを携帯している。なお、ここでの列車10は、15車両連結であるものとする、つまり、この列車10の最後尾の車両は第15車両15であるものとする。また、この列車10の第14両目の車両14は、女性専用車両であるものとする。
サービス提供サーバ100と、各車両11,12,…,14,15毎に設けられている無線基地局300と、管理装置200とは、図2に示すように、車内LAN1により、相互に通信可能に接続されている。管理装置200は、外部から各種データ等を取得できるように、無線装置等を介して、外部ネットワーク2と接続されている。
各車両11,12,…,14,15毎に設けられている無線基地局300と、各車両11,12,…,14,15内の無線通信端末400g,400m,400cとの間の無線通信は、例えば、IEEE 802.11で規定されている無線LAN方式等に従って実行させる。なお、以下では、特に明示しない限り、乗客が携帯している無線通信端末400g、運転士が携帯している無線通信端末400m、車掌が携帯している無線通信端末400cを、単に、無線通信端末400として説明する。
サービス提供サーバ100は、図2に示すように、車内LAN1と接続されているLANインタフェース110と、各種演算処理を実行するCPU120と、このCPU120のワークエリア等になるRAM130と、予め各種データ等が格納されているROM135と、ハードディスクドライブ装置等の補助記憶装置140と、マイク151と、このマイク151からのアナログ音信号をディジタル音信号に変換等する音声入力インタフェース150と、を備えている。
補助記憶装置140には、CPU120が通信制御処理を実行するための通信プログラム141と、CPU120が各種サービス処理を実行するためのサービス処理プログラム146a,146b,…,146nと、各種サービス毎のサービスデータ147a,147b,…,147nと、無線通信端末400で各種サービスの提供を受けるために必要な各種サービス毎のサービスアプリケーションソフト148a,148b,…,148nと、CPU120がサービス環境情報の配信処理を実行するためのサービス環境情報配信プログラム149と、サービス環境情報が記憶されているサービス環境情報テーブル160と、が予め格納されている。補助記憶装置140には、以上の他、その他の各種プログラムや、自装置や車内LAN1に接続されている各種機器の構成情報等が格納されている。
なお、本実施形態において、これらのプログラムやデータ等は、いずれも、管理装置200から提供される。但し、これらのプログラムやデータ等は、管理装置200から提供される必要性はなく、例えば、このサービス提供サーバ100が外部と通信するための通信装置を備えている場合には、この通信装置を介して外部から提供されるようにしてもよいし、このサービス提供サーバがCDやDVD等のディスク型記憶媒体の再生装置を備えている場合には、この再生装置に装着されたディスク型記憶媒体を介して外部から提供されるようにしてもよい。
CPU120は、機能的に、車内LAN1による通信を制御する通信制御部121と、補助記憶装置140に対するデータの入出力を制御する記憶制御部122と、各種サービス処理を実行するサービス処理部126a,126b,…,126nと、サービス環境情報の配信処理を実行するサービス環境情報配信部129と、を有している。これらの機能部のうち、通信制御部121は、補助記憶装置140に格納されている通信プログラム141を実行することで機能する。また、記憶制御部122は、補助記憶装置140に格納されている図示されていないプログラムを実行することで機能する。また、サービス処理部126a,126b,…,126n、サービス環境情報配信部129は、それぞれ、補助記憶装置140に記憶されているサービス処理プログラム146a,146b,…,146n、サービス環境情報配信処理プログラム149を実行することで機能する。
以上のように、このサービス提供サーバ100は、各種無線サービスを提供するサービス提供サーバとしての機能の他に、各種無線サービスに関するサービス環境情報を提供するサービス環境情報提供サーバとしても機能する。なお、この実施形態では、一つのサーバ100に、サービス提供サーバとしての機能とサービス環境情報提供サーバとしての機能とを組み込んだが、後述の第二実施形態のように、各機能をそれぞれ別個のサーバで実現してもよいことは言うまでもない。
管理装置200は、車内LAN1や外部ネットワーク2と通信可能なコンピュータである。
無線基地局300は、車内LAN1と接続されているLANインタフェース310と、各種演算処理を実行するCPU320と、このCPU320のワークエリア等になるRAM330と、フラッシュROM335と、を有している。フラッシュROM335には、CPU320が通信制御部として機能するための通信プログラムや、自装置の構成情報等が格納されている。
無線通信端末400は、図3に示すように、車内LAN1と接続されているLANインタフェース410と、各種演算処理を実行するCPU420と、このCPU420のワークエリア等になるRAM430と、各種データ等が予め格納されているROM435と、各種プログラムや各種データ等が格納されているフラッシュROM440と、マイク451と、スピーカ452と、入力キー453と、ディスプレイ454と、マイク451、スピーカ452、入力キー335及びディスプレイ454のインタフェース450と、を備えている。
フラッシュROM440には、CPU420が通信制御処理を実行するための通信プログラム441と、サービス提供サーバ100からの提供されたサービスの処理をCPU420が実行するためサービスアプリケーションソフト448aと、サービス提供サーバ100からの提供されたサービス環境情報の処理をCPU420が実行するためのサービス環境情報処理プログラム449と、その他の各種プログラム444と、自装置の構成情報等とが予め格納されている。フラッシュROM440には、以上の他、自動起動するアプリケーションソフトに対応するサービスの情報が格納される自動起動サービスリスト445が設けられている。また、RAM431には、サービス環境情報処理プログラム449の実行過程で、利用予定のサービスに関する情報が格納される利用予定サービスリスト431が設けられる。
CPU420は、機能的に、車内LAN1による通信を制御する通信制御部421と、フラッシュROM440に対するデータの入出力を制御する記憶制御部422と、ディスプレイ454での表示を制御する表示制御部424と、入力キー453での入力を制御する入出力制御部425と、サービス処理部428と、サービス環境情報処理部429とを有している。これらの機能部のうち、サービス処理部428は、フラッシュROM440に格納されているサービスアプリケーションソフト448aをCPU420が実行することで機能し、サービス環境情報処理部429は、フラッシュROM440に格納されているサービス環境情報処理プログラム449をCPU420が実行することで機能する。
次に、サービス提供サーバ100の補助記憶装置140に格納されているサービス環境情報テーブル160のデータ構成について、図4を用いて説明する。
サービス環境情報テーブル160は、サービス提供サーバ100が提供する各種サービスのサービス提供空間を階層的に特定するための空間階層項目が格納されている空間階層項目領域161と、この空間階層項目領域161に格納されている各空間階層項目毎の空間階層名が格納されている空間階層名領域162と、各サービスのサービス名が格納されるサービス名領域163と、無線通信端末側での各サービスの実行優先度が格納されている優先度領域164と、各サービスを実行するために必要なアプリケーションソフト名が格納されているアプリケーションソフト名領域165と、各サービスの提供元のIPアドレスが格納されているIPアドレス領域166と、各サービスの配信周期が格納されている配信周期領域167と、各サービスの対象利用者が格納されている対象利用者領域168と、各サービスに関するサービス環境情報の利用制限の有無が格納されている利用制限領域169と、サービス環境情報のセキュリティを解除するためのパスワードが格納されているパスワード領域171と、サービス環境情報として無線通信端末400に表示される表示データが格納されている表示データ領域172と、サービスの提供空間の識別子及びこのサービスを受けるために必要なアプリケーションソフトの識別子が格納されている空間/アプリ識別子領域173と、無線通信端末400に別途表示される詳細情報が格納されている詳細情報領域174と、各無線基地局300と各サービスとの対応関係を示す対応関係領域175と、を有する。
空間階層項目領域161は、6つの領域に分けられており、各領域には、「L1:地域・国」、「L2:交通機関」、「L3:運営組織」、「L4:路線」、「L5:列車」、「L6:車両」、が格納されている。
空間階層名領域162中で、「L1:地域・国」に対応する領域には「日本」が格納され、「L2:交通機関」に対応する流域には「鉄道」が格納され、「L3:運営組織」に対応する領域には「A鉄道会社」が格納され、「L4:路線」に対応する領域には「東海道」が格納され、「L5:列車」に対応する領域には「列車運行No.A14」が格納されている。また、空間階層名領域162中で「L6:車両」に対応する領域は、4つの領域に分けられており、各領域には、「車両No. 01〜15」、「車両No.01〜13,15」、「車両No.14」、「車両No.01,15」が格納されている。但し、「L6:車両」に対応する領域は、実際には、車両数である15の領域分けられており、各領域に、車両No.01〜15のいずれかが格納されている。
サービス名領域163中で、「日本」に対応する領域には「緊急通報」が格納され、「鉄道」「A鉄道会社」「東海道」に対応する領域には「―(サービス名無し)」が格納されている。サービス名領域163中で「列車運行No.A14」に対応する領域は、4つの領域に分けられており、各領域に、「緊急通報」「運行案内・降車通知」「Web」「車掌業務支援」が格納されている。また、サービス名領域163中で、「車両No.01〜15」に対応する領域には「緊急通報」が格納され、「車両No.01〜13,15」に対応する領域には「一般旅客向けエンターテインメント」が格納され、「車両No.14」に対応する領域には「女性向けエンターテインメント」が格納され、「車両No.01,15」に対応する領域には「運転支援」が格納されている。
以上のように、このサービス環境情報テーブル160では、本実施形態の列車10において、この列車10の全車両は「緊急通報(日本規模での通報」)」「緊急通報(当該列車規模での緊急通報)」「運行案内・降車通知」「Web」「車掌業務支援」のサービスが提供されるサービス空間であり、車両No.01及び車両No.15の車両は「運転支援」「一般旅客向けエンターテインメント」「緊急通報(当該車両規模での通報)」のサービスが提供されるサービス空間であり、車両No.02〜車両No.13の車両は「一般旅客向けエンターテインメント」「緊急通報(当該車両規模での緊急通報)」のサービスが提供されるサービス空間であり、車両No.14の車両は「女性向けエンターテインメント」「緊急通報(当該車両規模での緊急通報)」のサービスが提供されるサービス空間である、ことが示されている。
なお、本実施形態において、「緊急通報(日本規模での通報」)」のサービスは、例えば、広範囲な地震等の災害等、全国民レベルで緊急に知っておくべき事象が生じた場合、これを通報するサービスである。「緊急通報(当該列車規模での緊急通報)」のサービスは、列車レベルでの災害等が生じ場合、これを通報するサービスである。「緊急通報(当該車両規模での通報)」のサービスは、列車レベルで災害等が生じ場合、車両毎の乗客誘導の通報や、車両レベルでの災害等を通報するサービスである。
「車掌業務支援」のサービスは、車掌が業務を遂行するために有意義な情報等を提供するサービスで、全車両で利用できるサービスである。「運転業務支援」のサービスは、運転士が業務を遂行するために有意義な情報等を提供するサービスで、運転士が存在する最前列の第1車両及び最後列の第15車両で利用できるサービスである。
また、「運行案内・降車通知」のサービスは、停車駅や現在地の通報や、利用者個人の降車駅の近くになった時点での降車の通報を行うサービスである。「Web」のサービスは、文字通り、Webサービスであり、ここでは列車内イントラネットを利用したサービスで、全車両で利用できるサービスである。なお、このWebサービスは、インターネットを利用してもよい。
「一般旅客向けエンターテインメント」のサービスは、一般旅客向けにニュース、天気予報、娯楽情報、広告等を提供するサービスで、女性専用車両である第14車両を除く全ての車両で利用できるサービスである。一方、「女性向けエンターテインメント」のサービスは、一般的なニュースや天気予報の他に、女性向けの娯楽情報や広告等を多く提供するサービスで、女性専用車両である第14車両のみで利用できるサービスである。
サービス環境情報テーブル160の優先度領域164中で「列車運行No.A14」「車掌支援」に対応する領域、及び「車両No.01,15」「運転業務支援」に対応する領域には「A」が格納され、優先度領域164中で「日本」「緊急通報」に対応する領域、「列車運行No.A14」「緊急通報」に対応する領域、及び「車両No.01〜15」に対応する領域には、「B」が格納されている。また、優先度領域164中で「列車運行No.A14」「運行案内・降車通知」に対応する領域には「C」が格納され、優先度領域164中で「車両No.01〜13,15」「一般旅客向けエンターテインメント」に対応する領域、及び「車両No.14」「女性向けエンターテインメント」に対応する領域には「D」が格納され、「列車運行No.A14」「Web」に対応する領域には「E」が格納されている。なお、優先度領域164に格納される「A〜E」のうち、最も優先度が高いものが「A」であり、最も優先度が低いものが「E」である。
サービス環境情報テーブル160のアプリケーションソフト名領域165中で、サービス名が「緊急通報」に対応する領域には「緊急通報」が格納され、サービス名が「運行案内・降車通知」に対応する領域には「運行案内・降車通知」が格納され、サービス名が「Web」に対応する領域には「Webアプリ」が格納されている。また、アプリケーションソフト名領域165中で、サービス名が「車掌業務支援」に対応する領域には「車掌支援」が格納され、サービス名が「一般旅客向けエンターテインメント」及び「女性向けエンターテインメント」に対応する領域には「車内エンターテインメント視聴」が格納され、サービス名が「運転業務支援」に対応する領域には「運転支援」が格納されている。
サービス環境情報テーブル160のIPアドレス領域166中で、サービス名が「運行案内・降車通知」「Web」「車掌業務支援」「一般旅客向けエンターテインメント」「女性向けエンターテインメント」「運転業務支援」に対応する領域には、当該サービス提供サーバ100のIPアドレスである「xxx.yyy.zzz.263」が格納されている。なお、「緊急通報」のサービスは、いわゆるプッシュ型のサービスで、サービス提供サーバ100から一方的に無線通信端末400側へ提供されるサービスであり、無線通信端末400側に、このサービスの提供元を知らせる必要性がないため、IPアドレス領域166中でこのサービスに対応する領域にはIPアドレスが格納されていない。また、「運行案内・降車通知」「一般旅客向けエンターテインメント」「女性向けエンターテインメント」のサービスも基本的にはプッシュ型のサービスであるが、無線通信端末400側から何らかの要求又はデータを送りたい場合があるので、IPアドレス領域166中でこれらのサービスに対応する領域にはIPアドレスが格納されている。また、「Web」「車掌業務支援」「運転業務支援」のサービスは、サービス提供元と無線通信端末400との交信を前提としたサービスであるため、IPアドレス領域166中でこれらのサービスに対応する領域にはIPアドレスが格納されている。
サービス環境情報テーブル160の配信周期領域167中で、サービス名が「緊急通報」「車掌業務支援」「運転業務支援」に対応する領域には「2(秒)」が格納され、サービス名が「運行案内・降車通知」「Web」「一般旅客向けエンターテインメント」「女性向けエンターテインメント」に対応する領域には「1(秒)」が格納されている。
サービス環境情報テーブル160の対象利用者領域168中で、サービス名が「緊急通報」「運行案内・降車通知」「Web」「一般旅客向けエンターテインメント」「女性向けエンターテインメント」に対応する領域には「全員」が格納され、対象利用者領域168中で、サービス名が「車掌業務支援」「運転業務支援」に対応する領域には、それぞれ、「車掌」「運転士」が格納されている。
サービス環境情報テーブル160の利用制限領域169中で、サービス名が「緊急通報」「運行案内・降車通知」「Web」「一般旅客向けエンターテインメント」「女性向けエンターテインメント」に対応する領域、つまり対象利用者が「全員」に対応する領域には「開放」が格納され、セキュリティ制限領域169中で、サービス名が「車掌業務支援」「運転業務支援」に対応する領域には「制限」が格納されている。
サービス環境テーブル160のパスワード領域171中で、サービス名が「車掌業務支援」「運転業務支援」に対応する領域、つまり利用制限が「制限」に対応する領域には、セキュリティ等を解除するためのパスワードが格納されている。このパスワードは、例えば、当該列車の運転開始時等に、運転室11a内の管理装置200から入力される。なお、ここでは、一つの領域中に一つのパスワードしか格納していないが、複数のパスワードを格納してもよい。
サービス環境テーブル160の表示データ領域172中で、空間階層名が「日本」でサービス名が「緊急通報」に対応する領域には、サービス提供空間名としての「全国」とサービス名としての「緊急通報」とが格納されている。表示データ領域172中で、空間階層名が「列車運行No.A14」でサービス名が「緊急通報」に対応する領域には、サービス提供空間名としての「東海道線A14号」とサービス名としての「緊急通報」とが格納されている。表示データ領域172中でサービス名が「運行案内・降車通知」に対応する領域には、サービス提供空間名としての「東海道線A14号」とサービス名としての「運行案内・降車通知」とが格納されている。表示データ領域172中でサービス名が「Web」に対応する領域には、サービス提供空間名としての「東海道線A14号」とサービス名としての「列車内イントラ接続」とが格納されている。表示データ領域172中でサービス名が「車掌業務支援」に対応する領域には、サービス提供空間名としての「東海道線A14号」とサービス名としての「車掌業務」とが格納されている。表示データ領域172中で空間階層名が「車両No.01〜15」でサービス名が「緊急通報」に対応する領域には、サービス提供空間名としての「第02車両(又は、第01,03〜15車両のうちのいずか)」とサービス名としての「緊急通報」とが格納されている。表示データ領域172中でサービス名が「一般旅客向けエンターテイメント」に対応する領域には、サービス提供空間名としての「東海道線A14号」とサービス名としての「エンターテインメント」とが格納されている。表示データ領域172中でサービス名が「女性向けエンターテイメント」に対応する領域には、サービス提供空間名としての「東海道線A14号」とサービス名としての「女性向けエンターテインメント」とが格納されている。表示データ領域172中でサービス名が「運転業務支援」に対応する領域には、サービス提供空間名としての「東海道線A14号」とサービス名としての「運転業務」とが格納されている。
サービス環境情報テーブル160の空間/アプリ識別子領域173中で、空間階層名が「日本」でサービス名が「緊急通報」に対応する領域には、サービス提供空間の識別子としての「JP(日本)」とアプリケーションソフトの識別子としての「EMG」とが格納されている。空間/アプリ識別子領域173中で、空間階層名が「列車運行No.A14」でサービス名が「緊急通報」に対応する領域には、サービス提供空間の識別子としての「A14」とアプリケーションソフトの識別子としての「EMG」とが格納されている。空間/アプリ識別子領域173中でサービス名が「運行案内・降車通知」に対応する領域には、サービス提供空間識別子としての「A14」とアプリケーションソフトの識別子としての「INF」とが格納されている。空間/アプリ識別子領域173中でサービス名が「Web」に対応する領域には、サービス提供空間識別子としての「A14」とアプリケーションソフトの識別子としての「HTTP」とが格納されている。空間/アプリ識別子領域173中でサービス名が「車掌業務支援」に対応する領域には、サービス提供空間識別子としての「A14」とアプリケーションソフトの識別子としての「CON」とが格納されている。空間/アプリ識別子領域173中で空間階層名が「車両No.01〜15」でサービス名が「緊急通報」に対応する領域には、サービス提供空間識別子としての「ALC」とアプリケーションソフトの識別子としての「EMG」とが格納されている。空間/アプリ識別子領域173中でサービス名が「一般旅客向けエンターテイメント」に対応する領域には、サービス提供空間識別子としての「WO14(14号を除く)」とアプリケーションソフトの識別子としての「ENT」とが格納されている。空間/アプリ識別子領域173中でサービス名が「女性向けエンターテイメント」に対応する領域には、サービス提供空間識別子としての「14」とアプリケーションソフトの識別子としての「ENT」とが格納されている。空間/アプリ識別子領域173中でサービス名が「運転業務支援」に対応する領域には、サービス提供空間識別子としての「1&15」とアプリケーションソフトの識別子としての「DRV」とが格納されている。
サービス環境情報テーブル160の詳細情報領域174中で、空間階層名が「日本」でサービス名が「緊急通報」に対応する領域には、全国レベル緊急情報としての具体的な簡略内容と、このサービスを受けるために必要なアプリケーションソフトの具体的な入手方法、例えば、入手先のIPアドレス等を含む情報とが格納されている。詳細情報領域174中で、空間階層名が「列車運行No..A14」でサービス名が「緊急通報」に対応する領域には、当該列車内の人員に対する具体的な非難情報等が格納されている。また、空間階層名が「車両No..01〜15」でサービス名が「緊急通報」に対応する領域には、各車両毎の人員に対する具体的な非難情報等が格納されている。つまり、「車両No.01〜15」におけるサービス「緊急通報」は、車両毎に異なっている、言い換えると、「車両No.01〜15」におけるサービス「緊急通報」のサービス提供空間は、各車両毎に異なるサービス提供空間である。なお、詳細情報領域174中で、空間階層名が「日本」でサービス名が「緊急通報」に対応する領域に関しても、アプリケーションの入手方法の情報を格納せず、全国レベル緊急情報としての具体的な簡略していない内容を格納するようにしてもよい。
詳細情報領域174中でサービス名が「運行案内・降車通知」「Web」に対応する領域には、このサービスを受けるために必要なアプリケーションソフトの具体的な入手方法が格納されている。詳細情報領域174中でサービス名が「車掌業務支援」「運転業務支援」に対応する領域には、このサービスの利用者に対する列車情報としての具体的な簡略内容が格納されている。
また、詳細情報領域174中でサービス名が「一般旅客向けエンターテインメント」「女性向けエンターテインメント」に対応する領域には、当該車両No.と、このサービスを受けるために必要なアプリケーションソフトの具体的な入手方法が格納されている。
ところで、このサービス環境情報テーブル160で示すサービス環境情報は、サービス毎で且つ当該サービスの提供空間毎に存在する。すなわち、サービス環境テーブル160中で、縦一列のデータ群が一つのサービス環境情報を構成している。そこで、このサービス環境情報テーブル160では、複数のサービス環境情報のそれぞれと複数の無線基地局300とを対応関係領域175で対応付けている。
具体的に、この対応関係領域175では、空間階層名が「日本」でサービス名が「緊急通報」のサービス環境情報、空間階層名が「列車運行No.A14」でサービス名が「緊急通報」のサービス環境情報、空間階層名が「列車運行No.A14」でサービス名が「運行案内・降車通知」のサービス環境情報、空間階層名が「列車運行No.A14」でサービス名が「Web」のサービス環境情報、空間階層名が「列車運行No.A14」でサービス名が「車掌業務支援」のサービス環境情報、空間階層名が「車両No.01〜15」の各サービス環境情報に対して、MACアドレスの最下層が「:11」の第1車両内の無線基地局300からMACアドレスの最下層が「:1F」の第15車両内の無線基地局300、つまり、全て車両内の無線基地局300を対応付けている。
また、この対応関係領域175では、空間階層名が「車両No.01〜13,15」でサービス名が「一般旅客向けエンターテインメント」のサービス環境情報に対して、MACアドレスの最下層が「:1E」の第14車両の無線基地局300を除く全ての車両内の無線基地局300を対応付け、空間階層名が「車両No.14」でサービス名が「女性向けエンターテインメント」のサービス環境情報に対して、MACアドレスの最下層が「:1E」の第14車両内の無線基地局300を対応付けている。また、この対応関係領域175では、空間階層名が「車両No. 01,15」でサービス名が「運転業務支援」のサービス環境情報に対して、MACアドレスの最下層が「:11」の第1車両内の無線基地局300とMACアドレスの最下層が「:1F」の第15車両内の無線基地局300とを対応付けている。
次に、サービス提供サーバ100の動作について説明する。
まず、図8を用いて、サービス提供サーバ100のサービス環境情報配信部129の動作について説明する。
サービス環境情報配信部129は、サービス環境情報テーブル160(図4)中の配信周期領域167を参照して、配信タイミングになったサービス環境情報があるか否かを監視している(S10)。サービス環境情報配信部129は、いずれかのサービス環境情報が配信タイミングになると、このサービス環境情報をサービス環境情報テーブル160から取得し(S11)、このサービス環境情報を含む通信フレームを通信制御部121に作成させ、この通信フレームの送信を指示する(S12)。この結果、サービス環境情報の通信フレームは、LANインタフェース110から車内LAN1を介して、この通信フレームが指定する無線基地局300からブロードキャストで無線送出される。以下、以上のステップ10〜ステップ12の処理が繰り返して実行される。
次に、サービス提供サーバ100の各サービス処理部126a,126b,…,126nの動作について説明する。なお、以下では、便宜上、サービスa処理部126aが、プッシュ型のサービスである「緊急通報」のサービス処理を行い、サービスb処理部126bが、基本的にはプッシュ型のサービスであるものの、場合によっては交信も行うサービスである「運行案内・降車通知」のサービス処理を行い、サービスn処理部126nが、無線通信端末400との交信を前提としたサービスである「運転支援」のサービス処理を行うものをとする。
プッシュ型のサービスである「緊急通報」のサービス処理を行うサービスa処理部126aは、補助記憶装置140内の「緊急通報」のサービスaデータ147aが記憶制御部122により更新されたか否かを監視しており、更新されると、補助記憶装置140から記憶制御部122を介して、この更新されたサービスaデータ147aを取得し、このサービスaデータ147aの一部又は全部を含む通信フレームを通信制御部121に作成させ、この通信フレームの送信を指示する。
次に、「運行案内・降車通知」のサービス処理を行うサービスb処理部126bの動作について説明する。
補助記憶装置140内の「運行案内・降車通知」のサービスbデータ147中には、無線通信端末400側へ配信するサービスコンテンツデータの他に、このデータを配信するタイミングを示すスケジュールも含まれている。「運行案内・降車通知」のサービス処理を行うサービスb処理部126bは、このスケジュールを参照して、サービスコンテンツデータを配信するタイミングになると、補助記憶装置140から記憶制御部122を介して、この更新されたサービスaデータ147aを取得し、このサービスbデータ147bの一部又は全部を含む通信フレームを通信制御部121に作成させ、この通信フレームの送信を指示する。この通信フレームの送信に対して、無線通信端末400側からの何らかの要求又はデータが送られてきた場合、サービスb処理部126bは、通信制御部121からこの要求又はデータを受け取り、これに対する応答処理を行い、その結果を通信制御部121により無線通信端末400へ送信させる。
次に、無線通信端末400との交信を前提としたサービスである「運転支援」のサービス処理を行うサービスn処理部126nの動作について説明する。
サービスn処理部126nは、補助記憶装置140内の「運転支援」のサービスnデータ147nが記憶制御部122により更新されたか否かを監視しており、更新されるか、無線通信端末400側からサービスデータの送信要求があると、補助記憶装置140から記憶制御部122を介して、サービスnデータ147nを取得し、このサービスnデータ147nの一部又は全部を含む通信フレームを通信制御部121に作成させ、この通信フレームの送信を指示する。また、この通信フレームの送信に対して、無線通信端末400側からの何らかの要求又はデータが送られてきた場合、サービスn処理部126nは、通信制御部121からこの要求又はデータを受け取り、これに対する応答処理を行い、その結果を通信制御部121により無線通信端末400へ送信させる。
次に、図6を用いて、サービス提供サーバ100から送出されるサービス環境情報の通信フレームの構成について説明する。
サービス環境情報の通信フレーム20は、MACヘッダ21とMACボディ23とを有している。MACヘッダ21には宛先アドレス22等が格納され、MACボディ23にはIPパケットが格納される。
このIPパケットのヘッダ24には、宛先アドレス25等が格納され、ペイロード30には、制御情報a31と、サービス環境情報中の空間情報40と、制御情報b31bと、サービス環境情報中のサービス情報50とが格納される。
制御情報a31は、タイプ32とサブタイプ33とデータ形式34とデータ長35とを有している。タイプ32には、ペイロード30内のデータがサービス環境情報であることを示す「1」が格納される。なお、ペイロード30内のデータがサービスデータである場合、タイプ32には「2」が格納される。サブタイプ33には、空間の階層数(この例では「6」)が格納される。データ形式34には、データの表現形式が格納され、具体的には、空間識別情報やサービス識別情報を示す文字や記号がいかなる表現形式(日本語漢字、日本語カタカナ、ローマ字、英語)か、空間識別情報が経度緯度や専用IDで表されるか、等が格納される。データ長35には空間情報40のデータ長が格納される。なお、データ形式34に関するデータは、図4に示すサービス環境情報テーブル160中に存在していないが、サービス環境情報テーブル160が補助記憶装置140中に格納される時点で、この補助記憶装置140に格納される。
空間情報40は、サービス提供空間に関する情報であり、空間識別情報41と空間識別子44とを有する。空間識別情報41は、サービス提供空間を示す6つの階層の各空間階層名42a〜42fと、無線通信端末400側で表示される、このサービス提供空間の名称を示す表示データ43と、を有する。具体的に、空間識別情報41中の各空間階層名42a〜42fには、例えば、サービス提供空間が第2車両である場合、L1:日本、L2:鉄道、L3:A鉄道会社、L4:東海道、L5:列車No.A14、L6:車両No.02が格納される。なお、サービス提供空間が列車全体である場合には、第六階層目の空間階層名42fには、何も格納されない、又は「−」が格納される。空間識別情報41の表示データ43には、サービス環境情報テーブル160中の表示データ領域172に格納されているデータのうちで、サービス提供空間を特定するデータが格納される。具体的に、サービス環境情報テーブル160中の表示データ領域172に「東海道線A14号/エンターテインメント」が格納されている場合、「東海道線A14号」のみが空間識別情報41の表示データ43に格納される。空間識別子44には、サービス環境情報テーブル160中の空間/アプリ識別子領域173に格納されている空間識別子が格納される。
制御情報b31bは、タイプ32bとサブタイプ33bとデータ長35bとパスワード36とFlag37を有している。タイプ32bには、サービス情報50が有ることを示す「1」又はサービス情報50が無いことを示す「0」が格納される。サブタイプ33bには、利用制限の有無が格納される。この利用制限の有無は、サービス環境情報テーブル160中の利用制限領域169に格納されているものである。データ長35bには、サービス情報50のデータ長が格納される。パスワード36には、サービス環境情報テーブル160のパスワード領域171に格納されているパスワードが格納される。Flag37は、後述の詳細情報58のデータが大きくて、1パケットに収められない場合に継続シンボル(1)が格納される。
サービス情報50は、提供するサービスに関する情報であり、サービス識別情報51と、このサービスの提供元のIPアドレス54と、このサービスの優先度55と、このサービスを実行するために必要なアプリケーションソフト名56と、このアプリケーションソフトの識別子57と、詳細情報58とを有する。サービス識別情報51は、サービス名と、無線通信端末400側で表示されるこのサービス名の表示データ53と、を有する。サービス情報50のサービス名52には、サービス環境情報テーブル160中のサービス名領域163に格納されているサービス名が格納され、サービス情報50の表示データ53には、サービス環境情報テーブル160中の表示データ領域172に格納されている表示データのうちのサービス名に関する表示データが格納される。また、サービス情報50のIPアドレス54には、サービス環境情報テーブル160中のIPアドレス領域166に格納されているIPアドレスが格納され、サービス情報50の優先度55には、サービス環境情報テーブル160中の優先度領域164に格納されている優先度が格納される。また、サービス情報50のアプリケーションソフト名56、アプリケーションソフトの識別子57、詳細情報58は、それぞれ、サービス環境情報テーブル160中のアプリケーションソフト名領域165に格納されているアプリケーションソフト名、空間/アプリ識別子領域173に格納されているアプリ識別子、詳細情報領域174に格納されている詳細情報が、格納される。
以上で説明したサービス環境情報の通信フレーム20は、通信制御部121が作成するが、この通信フレーム中のIPペイロード30内のデータは、全て、図8のステップ11,12でのサービス環境情報配信部129よる処理で、このサービス環境情報配信部129から通信制御部121に与えられる。
次に、図7を用いて、サービス提供サーバ100から送出されるサービスデータの通信フレームの構成について説明する。
サービスデータの通信フレーム70は、MACヘッダ71とMACボディ73とを有している。MACヘッダ71には宛先アドレス72等が格納され、MACボディ73にはIPパケットが格納される。
このIPパケットのヘッダ74には、宛先アドレス75等が格納され、ペイロード70には、制御情報81とサービスデータ90とが格納される。
制御情報81は、タイプ82とサブタイプ83とデータ形式84とデータ長85とパスワード86とFlag87を有している。タイプ82には、ペイロード90内のデータがサービスデータであることを示す「2」が格納される。サブタイプ83には、利用制限の有無が格納され、データ形式84には、サービスコンテンツデータの表現形式が格納される。また、データ長35には、サービスデータ90のデータ長が格納され、パスワード86には、サービスデータのセキュリティを解除するためのパスワード86が格納される。Flag87は、後述のサービスコンテンツデータ93のデータが大きくて、1パケットに収められない場合に継続シンボル(1)が格納される。
サービスデータ90は、空間識別子91とアプリケーションソフトの識別子92とサービスコンテンツデータ93とを有する。空間識別子91及びアプリケーションソフトの識別子92は、サービス環境情報テーブル160の空間/アプリ識別子領域173に格納されている空間識別子及びアプリ識別子である。また、サービスコンテンツデータ93は、補助記憶装置140に格納されている複数のサービスデータ148a,148b,…,148nのうちの該当サービスのサービスデータに含まれているデータである。
以上で説明したサービスデータの通信フレームは、サービス環境情報の通信フレームと同様、通信制御部121が作成するが、この通信フレーム中のIPペイロード30内のデータは、全て、サービス処理部126a,126b,…,126nのうち、該当サービスの処理を実行するサービス処理部から通信制御部121に与えられる。なお、このサービス処理部は、この通信フレーム中の制御情報81、空間識別子91及びアプリケーションソフトの識別子92をサービス環境情報テーブル160から取得してもよいが、サービスデータを補助記憶装置140に格納する際に、このサービスデータ中にサービスコンテンツデータと共に制御情報81中のデータ等を含めておき、このサービスデータから取得するようにしてもよい。
以上で説明したサービス環境情報の通信フレーム20及びサービスデータの通信フレーム70は、いずれも、サービス提供サーバ100から複数の無線基地局300のうち、特定の無線基地局300へ送られ、そこからブロードキャストで無線送出される。
このため、各通信フレーム20,70のMACヘッダ21,71中の宛先アドレス22,72には、特定の無線基地局300のMACアドレスが格納され、各通信フレーム20,70のIPヘッダ24,74中の宛先アドレス25,75には、全ての無線通信端末300を宛先とするブロードキャストアドレスが格納される。
複数の無線基地局300は、これらの通信フレーム20,30を受け取ると、IPヘッダ24,74中の宛先アドレス25,75に従って、この通信フレームをブロードキャストで無線送出する。
サービス環境情報の通信フレームは、図8を用いて説明したように、各サービス環境情報毎に予め定められた周期で、サービス提供サーバ100から送出され、サービスデータの通信フレームは、前述したように、各サービスに応じたタイミングで、サービス提供サーバ100から送出される。
ここで、図14を用いて、サービス環境情報の通信フレーム及びサービスデータの通信フレームに関する無線基地局300からの送出タイミングについて説明する。同図中で、横軸は時間であり、縦軸は、単に、信号種の違いを明確にするために便宜上のものにすぎない。
サービス環境情報1,2,…の通信フレームSI1,SI2,…は、周期100msで送出されるビーコンBとの関係から理解できるように、当該サービス環境情報に対して予め定められた周期で送出される。但し、サービス環境情報1,2,…の通信フレームSI1,SI2,…の送出タイミングは、ビーコンBの送出タイミングと関連する必然性はない。また、サービス環境情報1,2,…の通信フレームSI1,SI2,…は、キャリアセンスCAの実行に優先して、無線基地局300から送出されるように、この通信フレームSI1,SI2,…の送出タイミングは無線基地局300で調整される。一方、サービス1,2,…のサービスデータSD1,SD2,…は、サービス1によっては周期的に送出されるが、サービス2よっては不定期に送出される。
次に、図9〜図13に示すフローチャートに従って、無線通信端末400のサービス環境情報処理部429の動作について説明する。
無線通信端末400の通信制御部421は、通信フレームを受信すると、これを分解し、この通信フレームがビーコンである場合には、このビーコンから無線基地局300の存在を認識する。また、この通信フレームがビーコンでない場合には、この通信フレームに含まれているIPパケット中のデータをサービス環境情報処理429に渡す。
サービス環境情報処理部429は、IPパケット内のデータを取得すると(S20)、このデータ中に含まれている制御情報31,81(図6及び図7)中のタイプ32,82を参照して、このデータがサービス環境情報であるか否かを判断する(S21)。このデータがサービス環境情報でないと判断すると、図13中のステップ60に進む。また、サービス環境情報処理部429は、このデータがサービス環境情報であると判断すると、このサービス環境情報はRAM430に記憶されているサービス環境情報と同じであるか否かを判断する(S22)。同じであれば、ステップ20に戻る。つまり、通信制御部421から通信フレームが渡されるのを待つ。また、異なれば、このサービス環境情報をRAM430に記憶する(S23)。
サービス環境情報処理部429は、次に、RAM430に記憶したサービス環境情報から、空間識別情報51の表示データ53(図6)を呼び出す(S24)。そして、このサービス環境情報の制御情報b31b中のタイプ32b(図6)を参照して、このサービス環境情報中にサービス情報50が含まれているか否かを判断する(S25)。サービス情報50が含まれていない場合には、ステップ24で呼び出した表示データ53を表示制御部423に渡して、これをディスプレイ454に表示させてから(S26)、ステップ20に戻る。
また、サービス環境情報中にサービス情報50が含まれている場合、サービス環境情報処理部429は、このサービス環境情報に含まれている制御情報b31b中のサブタイプ33b(図6)を参照して、サービス情報の利用制限の有無を判断する(S27)。利用制限が無ければ、図10中のステップ33に進む。また、利用制限があれば、表示制御部423によりディスプレイ454にパスワードの受付画面を表示させて、パスワードを受け付ける(S28)。サービス環境情報処理部429は、パスワードを受け付けると、RAM430に記憶されているサービス環境情報からパスワード36(図6)を呼び出し、このパスワードと受け付けたパスワードとが一致しているか否かを判断する(S30)。一致していなければ、ステップ20に戻り、一致していれば、このパスワードを用いて、RAM430に記憶されているサービス環境情報中のサービス情報50(図6)に対するセキュリティの解除処理を行ってから、図10中のステップ33に進む。
サービス環境情報処理部429は、ステップ33で、サービス情報50中にサービス識別情報51(図6)が含まれているか否かを判断する(S33)。サービス識別情報51が含まれていなければ、ステップ24で呼び出した表示データ53(図6)を表示制御部423に渡して、これをディスプレイ454に表示させてから(S34)、ステップ20に戻る。また、サービス識別情報51が含まれていれば、サービス環境情報処理部429は、RAM430に記憶されているサービス環境情報からサービス識別情報51の表示データ53を呼び出し(S35)、このサービス名の表示データとステップ24で呼び出した空間名の表示データとを、表示制御部423に渡して、図15に示すように、空間名/サービス名画面461をディスプレイ454に表示させる(S36)。
次に、サービス環境情報処理部429は、サービス情報50中にアプリケーションソフト名56(図6)が含まれているか否かを判断する(S37)。アプリケーションソフト名56が含まれていなければ、図11中のステップ48に進む。また、アプリケーションソフト名56が含まれていれば、サービス環境情報処理部429は、このアプリケーションソフト名56を呼び出し(S38)、呼び出したアプリケーションソフト名と同じアプリケーションソフトがフラッシュROM440に記憶されているか否かを判断する(S39)。アプリケーションソフトが記憶されていなければ、図11中のステップ48に進む。また、アプリケーションソフトが記憶されていれば、サービス環境情報処理部429は、RAM430に記憶されているサービス環境情報から優先度55を呼び出し(S40)、この優先度が自動起動の対象である“B”以上であるか否かを判断する(S41)。優先度が自動起動の対象でない場合には、サービス環境情報処理部429は、フラッシュROM440に格納されている自動起動サービスリスト445を参照して、当該サービス環境情報が示すサービスに対するアプリケーションソフトが自動起動の対象として設定されているか否かを判断する(S42)。
ここで、自動起動サービスリスト445のデータ構成及について、図5を用いて説明する。
自動起動サービスリスト445は、空間識別情報が格納される空間識別情報領域445と、サービス識別情報が格納されるサービス識別情報領域445bとを有している。
サービス環境情報処理部429は、前述のステップ42において、このリスト445中に、当該サービス環境情報に含まれている空間識別情報及びサービス識別情報と一致するレコードが存在するか否かを判断し、一致するレコードが存在すれば、当該サービス環境情報が示すサービスに対するアプリケーションソフトが自動起動の対象として設定されているとする。なお、ここでは、自動起動の対象になっているか否かの判断に、空間識別情報及びサービス識別情報を用いたが、この替わりに空間識別子及びアプリケーション識別子を用いるようにしてもよい。この場合、自動起動サービスリスト445は、空間識別子格領域とアプリケーション識別子格納領域とを有して構成される。
サービス環境情報処理部429は、ステップ42で、当該サービス環境情報が示すサービスに対するアプリケーションソフトが自動起動の対象として設定されていないと判断すると、図12中のステップ51に進む。
また、サービス環境情報処理部429は、ステップ41で、優先度が自動起動の対象であると判断した場合、さらに、ステップ42で、当該サービス環境情報が示すサービスに対するアプリケーションソフトが自動起動の対象として設定されていると判断した場合には、ステップ38で呼び出したアプリケーションソフト名と同じアプリケーションソフトを起動させ(S43)、図11のステップ45に進む。
サービス環境情報処理部429は、ステップ45で、当該サービス環境情報に含まれているサービス情報50中にIPアドレス54(図6)が在るか否かを判断する。IPアドレスがなければ、ステップ47に進み、IPアドレスが在れば、サービス環境情報処理部429は、ステップ43で起動させたアプリケーションソフトにIPアドレスを設定した後(S46)、ステップ47に進む。
サービス提供サーバ100から提供されるサービスには、前述したように、サービス提供元と無線通信端末400との交信を前提としたサービスと、基本的にはプッシュ型サービスであるものの、場合によってサービス提供元との交信が必要になるサービスと、サービス提供元から一方的に無線通信端末400側へ提供されるプッシュ型サービスと、の三種類がある。サービス提供元と交信するケースがある前二者のサービスのサービス環境情報には、図4を用いて前述したように、サービス提供元であるサービス提供サーバ100のIPアドレスが含まれている。そこで、ステップ46では、サービス提供元と交信するケースがある前二者のサービスのアプリケーションソフトに、サービス環境情報に含まれているIPアドレスを設定している。
ステップ47では、サービス環境情報処理部429は、RAM430に記憶されているサービス環境情報から空間識別子44及びアプリケーション識別子57(図6)を呼び出し、RAM430上に、図5に示す利用予定サービスリスト431を設けて、このリスト431中に空間識別子44及びアプリケーション識別子57を登録する。
次に、サービス環境情報処理部429は、サービス環境情報中に詳細情報58(図6)があるか否かを判断する(S48)。詳細情報58があれば、図15に示す空間名/サービス名画面461中の詳細ボタン462が選択されたか否かを判断する(S49)。サービス環境情報処理部429は、詳細ボタン462が選択されると、表示制御部423によりディスプレイ454に詳細情報を表示させて、図9中のステップ20に戻る。
また、ステップ48で詳細情報がないと判断した場合、ステップ49で詳細ボタン462が選択されたかった場合には、図9中のステップ20に戻る。
なお、詳細情報には、図4を用いて説明したように、アプリケーションソフトの入手方法を含む場合がある。このため、ステップ39で、呼び出したアプリケーションソフト名と同じアプリケーションソフトが記憶されていないと判断し、ステップ48、ステップ49を経て、ステップ50に至り、このステップ50で表示された詳細情報中にアプリケーションソフトの入手方法が含まれている場合、当該無線通信端末400の利用者は、必要に応じて、このアプリケーションソフトの入手方法に従って、アプリケーションソフトを入手することになる。
前述したように、サービス環境情報処理部429は、図10のステップ42で、当該サービス環境情報が示すサービスに対するアプリケーションソフトが自動起動の対象として設定されていないと判断すると、図12中のステップ51に進む。
ステップ51では、サービス環境情報処理部429は、表示制御部423により、図15に示す空間名/サービス名画面461中に選択ボタン463及び非選択ボタン464を表示させる。
そして、サービス環境情報処理部429は、この選択ボタン463が選択されたか否かを判断する(S52)。選択ボタン463が選択されなかった場合、つまり、非選択ボタン464が選択された場合には、図10中のステップ43に進み、アプリケーションソフトを起動させる。また、選択ボタン463が選択された場合、サービス環境情報処理部429は、表示制御部423によりディスプレイに、図15に示す自動化登録条件画面465を表示させる(S53)。この自動化登録条件画面465には、自動化の案内466と、自動化登録条件467と、登録ボタン468と、非登録ボタン469とが表示される。
次に、サービス環境情報処理部429は、非登録ボタン469が選択されたか否かを判断する(S54)。非登録ボタン469が選択された場合、図10中のステップ43に進み、アプリケーションソフトを起動させる。また、非登録ボタン469が選択されなかった場合、さらに、登録ボタン468が選択されたか否かを判断する(S55)。登録ボタン468が選択されたかった場合、登録条件の変更を受け付けてから(S56)、ステップ54に戻る。また、登録ボタンが選択された場合、登録条件をフラッシュROM440に記憶してから(S57)、図10中のステップ43に進み、アプリケーションソフトを起動させる。
なお、登録条件の変更とは、例えば、図15に示す自動化登録条件画面465中のサービス提供空間が当初「日本/鉄道/A鉄道会社/東海道線/A14号/第03車両」であった場合、サービス名「運行案内・降車通知」のサービスを東海道線全線で利用したい場合、サービス提供空間を「日本/鉄道/A鉄道会社/東海道線」に変更することである。
前述したように、サービス環境情報処理部429は、図10のステップ21で、IPパケット内のデータは、サービス環境情報ではないと判断すると、図13中のステップ60に進む。
ステップ60で、サービス環境情報処理部429は、IPパケット内のデータ中に含まれている制御情報31,81(図6及び図7)中のタイプ32,82を参照して、このデータがサービスデータであるか否かを判断する。このデータがサービスデータでないと判断すると、図9中のステップ20に戻る。このデータがサービスデータであると判断すると、サービス環境情報処理部429は、IPペイロード内の制御情報81及びサービスデータ90(図7)をRAM430に記憶する(S61)。
次に、サービス環境情報処理部429は、RAM430に記憶された制御情報81からサブタイプ83(図7)を呼び出し(S62)、このサブタイプ83を参照してデータ利用制限の有無を判断する(S63)。利用制限が無ければ、ステップ68に進み、利用制限があれば、表示制御部423によりディスプレイ454にパスワードの受付画面を表示させて、パスワードを受け付ける(S64)。サービス環境情報処理部429は、パスワードを受け付けると、RAM430に記憶されている制御情報81からパスワード86(図7)を呼び出し(S65)、このパスワード86と受け付けたパスワードとが一致しているか否かを判断する(S66)。一致していなければ、図9中のステップ20に戻り、一致していれば、このパスワードを用いて、RAM430に記憶されているサービスデータ90(図7)に対するセキュリティの解除処理を行ってから(S67)、ステップ68に進む。
ステップ68で、サービス環境情報処理部429は、サービスデータ90中の空間識別子91及びアプリケーション識別子92を呼び出す。続いて、RAM430に格納されている利用予定サービスリスト431からも空間識別子及びアプリケーション識別子を呼び出す(S69)。そして、サービス環境情報処理部429は、サービスデータ90中の空間識別子91及びアプリケーション識別子92と、利用予定サービスリスト431中の空間識別子及びアプリケーション識別子とが一致しているか否かを判断する(S70)。
利用予定サービスリスト431中の空間識別子及びアプリケーション識別子は、サービス環境情報処理部429が、ステップ43(図10)でアプリケーションソフトを起動させた後、ステップ47(図11)でこのアプリケーションソフトに関連する空間識別子及びアプリケーション識別子として登録したものである。従って、ここでの識別子相互が一致しているか否かの判断は、ステップ43で起動させたアプリケーションソフトに対して、サービスデータ90中のサービスコンテンツデータ93が対応したものであるか否かを判断することを意味する。
サービス環境情報処理部429は、ステップ70で識別子相互が一致していないと判断すると、図9中のステップ20に戻り、識別子相互が一致していると判断すると、サービスデータ90中のサービスコンテンツデータ93を呼び出して、このサービスコンテンツデータ93を起動中のアプリケーションソフトにインプットする(S71)。つまり、サービス環境情報処理部429は、起動中のアプリケーションソフトにより、サービスコンテンツデータの処理を開始させる。そして、図9中のステップ20に戻る。
以上、本実施形態によれば、以下の(1)〜(6)の効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、無線サービスを提供している無線基地局300からサービス環境情報も提供されるため、その場での無線基地局300のSSIDを把握しておらず、しかも、その場でどのような無線サービスが提供されるかを知らない場合でも、その場での無線サービスの提供空間名又はサービス名を把握できる結果、利用者は、その場での無線サービスの提供を効率的に受けることができる。
(2)本実施形態では、空間識別情報を世界レベルで階層化し、この空間識別情報でサービス提供空間を特定しているので、利用者は、世界中のどこへ行っても、サービス提供空間の誤認識を回避することができる。
(3)本実施形態では、特定の無線サービスのアプリケーションソフトが無線通信端末400に搭載されていれば、この特定の無線サービスの優先度が高い場合、又は、この特定の無線サービスのアプリケーションソフトの自動起動が予め設定されている場合には、このアプリケーションソフトが自動起動するので、利用者は、このアプリケーションソフトを起動させるための手間を省くことができる。しかも、本実施形態では、この特定の無線サービスが、このサービスの提供元であるサーバ100と無線通信端末400との交信が必要である場合、この特定のサービスに関するサービス識別情報中のサービス提供元IPアドレスが起動したアプリケーションソフトに自動設定されるため、利用者は、サービス提供元のIPアドレスの設定の手間を省くことができる。
(4)本実施形態では、無線通信端末400で、無線サービスを処理するアプリケーションソフトが起動されると、この無線サービスに関する空間識別子とアプリケーション識別子とがRAM430に保持される。このため、仮に、同一の無線サービスを提供する複数の無線基地局300の間で、この無線通信端末400が移動し、一時的に、いずれの無線基地局300からのサービスデータを受信できなくなった場合等、何らかの原因で現在提供を受けているサービスデータを受信できなくなった場合でも、再び、このサービスデータを受信できるようになれば、利用者は、再設定の手間をかけずに、直ちに、この無線サービスの提供を受けることができる。
(5)本実施形態では、特定の無線サービスのアプリケーションソフトが無線通信端末400に搭載されていない場合でも、サービス環境情報中の詳細情報を参照することで、このアプリケーションソフトの入手方法を把握できるので、簡単に、アプリケーションソフトを無線通信端末400に搭載することができる。
(6)本実施形態では、サービス環境情報中に、空間識別情報を簡略化した空間識別子と、アプリケーション識別情報を簡略化したアプリケーション識別子とを関連付けて含めているので、実際のサービスデータの配信にあたり、サービス提供空間を世界レベルで階層化して定義したり、詳細なサービスの情報をサービスデータに付加する必要がなく、無線資源の有効活用を図ることができる。しかも、無線通信端末400側では、空間識別子とアプリケーション識別子とを関連付けた状態で保持するので、仮に、利用者が、あるサービスの提供空間から、このサービスの実行に必要なアプリケーションソフトで実行される他のサービスの提供空間に移動した場合でも、利用者が意図しない他のサービスの提供を受けてしまうことを回避することができる。
「第二実施形態」
本実施形態のサービス提供システムは、図16に示すように、デパート内で無線サービスを提供するものである。
このサービス提供システムは、無線サービスのデータ提供元であるサービス提供サーバ600と、無線サービスに関するサービス環境情報を提供する情報提供サーバ500と、デパートの各フロワーに複数台設置されている無線基地局300と、無線基地局300と無線通信する複数の無線通信端末400と、を有している。
サービス提供サーバ600は、第一実施形態のサービス提供サーバ100と基本的に同じであるが、サービス環境情報を提供しない点で異なる。このため、このサービス提供サーバ600は、第一実施形態のサービス提供サーバ100に搭載されているサービス環境配信プログラム149及びサービス環境情報160が搭載されていない。この関係で、このサービス提供サーバ600は、第一実施形態のサービス提供サーバ100のサービス環境配信部129を有していない。また、情報提供サーバ500は、第一実施形態のサービス環境配信プログラム149及びサービス環境情報テーブル160が搭載されたサーバである。
すなわち、本実施形態のサービス提供サーバ600及び情報提供サーバ500は、第一実施形態のサービス提供サーバ100のサービス提供機能と情報提供機能を、それぞれが実行するものである。
サービス提供サーバ600と情報提供サーバ500と複数の無線基地局300とは、ハブ5を介して、相互に有線接続されている。
本実施形態で、複数の無線基地局300のうち、6階に設置されている2台の無線基地局300のそれぞれのサービス空間を合わせたものが、サービスAを提供するサービス提供空間Aを形成している。また、6階に設置されている他の2台の無線基地局300の各サービス空間は、それぞれ、サービスBを提供するサービス提供空間B、サービスCを提供するサービス提供空間Cを形成している。また、7階に設置されている3台の無線基地局300のそれぞれのサービス空間を合わせたものが、サービスDを提供するサービス提供空間Dを形成し、残りの1台の無線基地局300のサービス空間は、サービスEを提供するサービス提供空間Eを形成している。
本実施形態で情報提供サーバ500に搭載されているサービス環境情報テーブルの空間階層項目は、L1:地域・国、L2:都道府県、L3:市町村、L4:丁目・番地、L5:建物、L6:階、L7:売り場、である。例えば、サービス提供空間Dは、この空間階層項目に従い、L1:日本、L2:a県、L3:b市、L4:1丁目3番地5号、L5:CCデパート、L6:7階、L7:女性服売り場、として表される。
本実施形態は、以上で説明したように、第一実施形態に対して、サービスデータを提供するサーバ600とサービス環境情報を提供するサーバ500とが分離している点、サービスデータ及びサービス環境情報の提供空間が固定空間である点を除いて、同じである。したがって、本実施形態でも、第一実施形態と同様、利用者は、その場での無線サービスの提供を効率的に受けることができる等の効果が得られる。