JP5564640B2 - 発光性渦鞭毛藻由来青色発光酵素を用いた細胞内遺伝子転写活性測定法 - Google Patents

発光性渦鞭毛藻由来青色発光酵素を用いた細胞内遺伝子転写活性測定法 Download PDF

Info

Publication number
JP5564640B2
JP5564640B2 JP2004358650A JP2004358650A JP5564640B2 JP 5564640 B2 JP5564640 B2 JP 5564640B2 JP 2004358650 A JP2004358650 A JP 2004358650A JP 2004358650 A JP2004358650 A JP 2004358650A JP 5564640 B2 JP5564640 B2 JP 5564640B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
luminescent
dinoflagellate
gene
enzyme
activity
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2004358650A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005192565A (ja
JP2005192565A5 (ja
Inventor
克裕 近江谷
芳浩 中島
智恵 鈴木
正行 龍福
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Toyo B Net Co Ltd
Original Assignee
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Toyo B Net Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST, Toyo B Net Co Ltd filed Critical National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Priority to JP2004358650A priority Critical patent/JP5564640B2/ja
Publication of JP2005192565A publication Critical patent/JP2005192565A/ja
Publication of JP2005192565A5 publication Critical patent/JP2005192565A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5564640B2 publication Critical patent/JP5564640B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Investigating Or Analysing Materials By The Use Of Chemical Reactions (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)

Description

本発明は、発光性渦鞭毛藻由来発光酵素を用いて真核生物細胞内の遺伝子転写活性を検出するための遺伝子構築物、該構築物を含む発現ベクター、該構築物または発現ベクターを含む形質転換された真核細胞、該真核細胞を使用するプロモーターの転写活性を単独に、或いはデュアルに測定するシステムに関する。
生命科学の分野では、細胞内で起きる遺伝子の転写活性を測定することが一般的に行われ、細胞に与える外来因子の影響の評価、細胞内情報伝達の伝播、或いは個々のタンパク群の発現解析等に用いられている。これまで、遺伝子転写活性の測定はウェスタンブロット法等で直接測定するか、或は発色タンパクや発光酵素をレポーター遺伝子として間接的に測定する方法があり、特にホタル発光酵素遺伝子を用いて発光量から転写活性を定量化することが一般化している。また、蛍光タンパク質は細胞内で発現とほぼ同時期に、補因子を必要とせず、蛍光活性を持つ。蛍光タンパク質は、細胞内で蛍光活性を指標として蛋白質の局在等に関するモニター蛋白質として利用されているが、定量化は難しく遺伝子発現レポーター遺伝子としては活用されにくい。
タンパクの遺伝子発現の定量的且つ時間的な動態変化解析を行うことが重要ではあるが、従来のレポーター技術では一つの遺伝子転写活性を解析することが中心である。
最近、ホタル発光酵素遺伝子にA転写活性領域を、同時にウミシイタケ発光酵素遺伝子にB転写活性領域を挿入、細胞内に2つの遺伝子構築物を導入することで2つの転写活性を測定するシステム(デュアルアッセイシステム、Promega社)が市販されている。しかし、この方法で用いられるウミシイタケ発光ルシフェリンはホタル発光ルシフェリンに比べて化学発光に伴うバックグラウンドが高く、わずかな転写活性の変化の正確な測定が難しい。よって、ウミシイタケ発光酵素遺伝子はコントロール発現遺伝子としては有用であるが、対象遺伝子の解析には不向きであった。
細胞内では複数の情報が行き交っており、複数の転写活性を、定量的に測定する技術の構築が必須である。細胞内の3つ以上の遺伝子転写活性を測定するシステムとしてマルチ遺伝子転写活性測定システムがある(特許文献1)。本発明は、発光酵素を基盤に、発光色の異なる(赤、緑、青色など)或は発光基質が多様であることに着目して、2つ以上、好ましくは3つ以上の発光酵素由来の光を区別して定量化できるレポーター遺伝子構築物である。各発光酵素由来の発光量は、各プロモーターの転写活性、すなわち各プロモーターが本来連結された遺伝子活性に対応するので、本発明により、2つ以上、好ましくは3つ以上の遺伝子活性を、好ましくは同時、或いは同時期に測定することができる。また、発光波長が測定条件(pHなど)によって変化しないため、正確な測定が可能である。例えば、本発明の1つの好ましい実施形態では、鉄道虫由来赤、緑色発光酵素などのレポーター遺伝子構築物を作成、また、ウミシイタケ等の青色発光酵素レポーター遺伝子を同時に用いることで、簡便且つ定量性良く、複数の遺伝子転写活性を測定するシステムである。
マルチ遺伝子転写活性測定システムでは青色発光酵素として、ウミシイタケ、ウミホタルや渦鞭毛藻発光酵素の使用を想定しているが、これまで、ウミシイタケやウミホタル発光酵素を用いた例はあるが、それぞれのルシフェリンが血清成分やその他のタンパクで酸化され発光するため、バックグラウンドが高くなりやすい。
真核生物の遺伝子転写活性を測定する発光酵素(発光甲虫、ウミシイタケ、及びウミボタル由来)の最適pHはpH7−8の中性からアルカリ性であり、酸性側に最適pHを持つ発光酵素はない。酵母など酸性pH下で生育する真核生物の遺伝子転写活性を測定する上で、最適pHが酸性である発光酵素が望ましいが適当な発光酵素はない。
青色発光酵素として渦鞭毛藻発光酵素があるが、本酵素はクローニングされ構造が決定され(特許文献1,2,非特許文献1(部分配列を記載),非特許文献2(全配列を記載);配列番号1)、原核生物である大腸菌において発現は確認されていたが、哺乳類細胞を含めた真核生物細胞での発現を確認した例はない。渦鞭毛藻ルシフェリンはテトラピロール環を基本とする構造を持ち、これまで実用化された発光システムの基質構造とは全く異なっている。また、本酵素は酸性pH下で高い酵素活性があると報告されている。しかしながら、本発光系が哺乳類細胞を含めた真核生物の遺伝子転写活性の測定に成功した例はない。
特願2003−127629 特開2002−335961 Morishita H., Ohashi S., Oku T., Nakaijma Y., Kojima S., Ryufuku M., Nakamura H. and Ohmiya Y.: Cloning and Characterization of an Active Fragment of Luciferase from a Luminescent Marine Alga, Pyrocystis lunula. Photochem. Photobiol. 75, 311-315, 2002 Okamoto, O. K., Liu, Liyun, Robertson, D. L. and Hastings, J. Woodland (2001) Members of a Dinoflagellate Luciferase Gene Family Differ in Synonymous Substitution Rates. Biochemistry 40: 15862-15868
本発明は、真核生物細胞内の遺伝子転写活性を、単独に、或いは他の発光酵素と併用することで同時期に測定、定量化できる低バックグラウンドの青色発光酵素として渦鞭毛藻発光酵素レポーター遺伝子の構築及び最適化、さらに本レポーター酵素の活性を安定に測定できる遺伝子転写活性測定システムを開発し、生命科学での細胞機能解析、更には病態の治療,検査及び新薬開発に利用することを目的とする。
本発明では、発光性渦鞭毛藻由来発光酵素を真核生物で発現させることが可能な遺伝子構築物を作製し、その酵素活性を、或いは他の発光酵素の活性と同時に測定できる反応条件を最適化する。
本発明は、以下の発光性渦鞭毛藻由来発光酵素を用いた遺伝子構築物、哺乳類細胞、該哺乳類細胞を使用する薬物のスクリーニング方法および各プロモーターの転写活性を測定するシステム及び最適反応測定条件を提供するものである。
1. 以下の(1)〜(5)のいずれかの発光酵素をコードする1以上のDNAを真核細胞で安定発現可能なように組み込んでなる遺伝子構築物:
(1)配列番号1で示される発光性渦鞭毛藻由来発光酵素をコードする遺伝子
(2)配列番号3,7および9で示される発光性渦鞭毛藻由来発光酵素の活性ドメイン1〜3のいずれかをコードする遺伝子
(3)前記(1)〜(2)のいずれかの遺伝子の相補鎖
(4)前記(1)〜(2)のいずれかの遺伝子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし得る遺伝子;および
(5)配列番号2,4,8および10のアミノ酸配列において、1または複数個のアミノ酸が置換、付加、欠失または挿入され、かつ、発光酵素活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子
2. 翻訳を効率化するエレメントおよびmRNAの安定化エレメントからなる群から選ばれる少なくとも1種のエレメントを含む項1に記載の遺伝子構築物。
3. さらに、前記発光酵素と発光波長及び発光基質の異なる少なくとも1種の発光酵素遺伝子を各々別個のプロモーターの制御下に組み込んでなる各発光を区別して測定可能である項1又は2に記載の遺伝子構築物。
4. 別個のプロモーターの制御下に組み込まれる2以上の発光酵素遺伝子が、1以上の発光性渦鞭毛藻由来の発光酵素をコードする遺伝子及び1以上の発光甲虫由来の発光酵素をコードする遺伝子を含む項3に記載の遺伝子構築物。
5. 発光酵素が分泌可能に組み込まれてなる項1〜4のいずれかに記載の遺伝子構築物。
6. 項1〜5のいずれかに記載の遺伝子構築物を含む発現ベクター。
7. 項1〜5のいずれかに記載の遺伝子構築物または項6に記載の発現ベクターで形質転換された真核細胞。
8. 渦鞭毛藻ルシフェリンを含み、発現した発光性渦鞭毛藻由来発光酵素の酵素活性を測定するためにpH5−7.5の間に調整された発光測定試薬。
9. pH5−7.5の緩衝剤を有する項8に記載の発光測定試薬。
10. 渦鞭毛藻ルシフェリン濃度を10−30μMに調整された項8または9に記載の発光測定試薬。
11. 発現した1以上の発光性渦鞭毛藻由来の発光酵素及び1以上の発光甲虫由来の発光酵素を同時に測定するために渦鞭毛藻ルシフェリン及び発光甲虫ルシフェリンを共存させた発光測定試薬。
12. 項7に記載の真核細胞を培養し、該培養真核細胞またはその破砕液を項8〜11のいずれかに記載の発光測定試薬の存在下に発光活性を測定することを特徴とする、発光酵素遺伝子に連結されたプロモーターの遺伝子転写活性の測定方法。
本発明の特に好ましい実施形態では、渦鞭毛藻由来青色発光酵素は真核生物でも発現が可能であり、適切な測定条件で最大の発光量を得ることができる。本システムを使用することで、真核細胞内の転写活性を、また、マルチ遺伝子発現検出システムの青色発光酵素として転写活性を同時に測定することができる。これらは病態の治療,検査及び新薬開発に利用が可能である.
本発明の遺伝子構築物は、酵母やヒトを含む哺乳類細胞などの真核細胞に導入されて、プロモーターアッセイ系に使用することができる。
酵母はその遺伝的性質が詳細に明らかにされ、多くの翻訳修飾が行われることが知られ、単細胞の真核生物として規定された培養液で速やかに増殖でき、他の真核生物より作業が簡単且つ容易であることから、最近では環境ホルモンの細胞の影響評価、薬剤の細胞毒性評価やスクリーニングに積極的に用いられている。
従って、本発明によれば、環境ホルモンの細胞の影響評価、薬剤の細胞毒性評価やスクリーニングなどをヒトなどの哺乳類細胞を用いて精密に行えるだけでなく、酵母を使用して簡便な評価をすることもできる。
本発明において、真核細胞としては、細菌およびシアノバクテリアを除く細胞を広く包含し、例えば酵母や、植物、動物(哺乳類、鳥類、昆虫など)などの真核生物の細胞が挙げられる。好ましい真核生物は、ヒト、ウシ、ウマ、ヒツジ、サル、ブタ、マウス、ラット、ハムスター、モルモット、ウサギ、イヌなどの哺乳類細胞および酵母が挙げられ、好ましくはヒトである。
渦鞭毛藻発光酵素は、その全遺伝子配列および全アミノ酸が非特許文献2に記載されている。渦鞭毛藻発光酵素は、その全アミノ酸配列でも発光するが、ドメイン1〜3のいずれか1つのドメインであっても発光酵素としての性質を有している。好ましくは、特開2002−335961に記載されているドメイン3の遺伝子である。
ドメイン1〜3をコードする遺伝子は、各々90%程度以上の相同性を有している。発光酵素の由来となる渦鞭毛藻としては、Gonyaulaceae科のGonyaulax polyedraとPyrocytanceae科のPyrocystis lunulaが挙げられ、これら由来の発光酵素またはその発光ドメインのいずれを用いてもよい。
具体的には、渦鞭毛藻発光酵素遺伝子として、以下の(1)〜(5)の遺伝子を使用することができる
(1)配列番号1で示される発光性渦鞭毛藻由来発光酵素をコードする遺伝子
(2)配列番号3,7および9で示される発光性渦鞭毛藻由来発光酵素の活性ドメイン1〜3のいずれかをコードする遺伝子
(3)前記(1)〜(2)のいずれかの遺伝子の相補鎖
(4)前記(1)〜(2)のいずれかの遺伝子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし得る遺伝子;および
(5)配列番号2,4,8および10のアミノ酸配列において、1または複数個のアミノ酸が置換、付加、欠失または挿入され、かつ、発光酵素活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子。
本明細書において「ストリンジェントな条件」とは,特異的なハイブリダイゼーションのみが起き,非特異的なハイブリダイゼーションが起きないような条件をいう。このような条件は,通常,「1xSSC,0.1%SDS,37℃」程度であり,好ましくは「0.5xSSC,0.1%SDS,42℃」程度であり,更に好ましくは「0.2xSSC,0.1%SDS,65℃」程度である。ハイブリダイゼーションによって得られるDNAは配列番号1、3,7または9記載の塩基配列により表わされるDNAと通常高い相同性を有する。高い相同性とは,60%以上の相同性,好ましくは75%以上の相同性,更に好ましくは90%以上の相同性、特に95%以上の相同性を指す。
置換、付加、欠失または挿入により変異したアミノ酸の数は,発光酵素作用が失われない限り,その個数は制限されないが,好ましくは20アミノ酸以下であり,より好ましくは15アミノ酸以下,更に好ましくは10アミノ酸以下,最も好ましくは5アミノ酸以下である。
1つの好ましい実施形態において、本発明者は様々な発現系を検討することにより、発光酵素の真核細胞(例えば哺乳類細胞、酵母)での安定発現のためには、翻訳を効率化するエレメントおよびmRNAの安定化エレメントからなる群から選ばれる少なくとも1種のエレメントを遺伝子構築物に導入することが有用であることを見出した。翻訳を効率化するエレメントとしては、kozak配列(Ko)などが例示され、mRNAの安定化エレメントとしては、β-globin intron IIなどが例示される。
真核細胞(例えば哺乳類細胞、酵母)での発現プロモーターとしては、SV40、CMV、CAG、TK、GAL1などが例示され、好ましくは発光酵素の発現量の高いCAGが挙げられる。
1つの好ましい実施形態において、本発明の遺伝子構築物は、発光性渦鞭毛藻由来発光酵素を分泌可能に組み込む。また、該遺伝子構築物が発光性渦鞭毛藻由来発光酵素とともに、ウミシイタケ・ルシフェラーゼ、ホタルルシフェラーゼ、発光甲虫ルシフェラーゼをコードする遺伝子を組み込む場合には、これらのルシフェラーゼ又は発光酵素を分泌可能に組み込むことが好ましい。これらの発光酵素、ルシフェラーゼを分泌させることで、真核細胞を破砕することなく、これらの酵素量を定量することができるので好ましい。ルシフェラーゼ又は発光酵素は、分泌のためのリーダー配列をその前に連結すればよく、例えば哺乳動物細胞ではウミボタル発光酵素分泌シグナル(Nakajima Y, Kobayashi K, Yamagishi K, Enomoto T and Ohmiya Y: cDNA cloning and characterization of a secreted luciferase from the luminous Japanese ostracod, Cypridina noctiluca. Biosci. Biotechnol. Biochem. 68, 565-70, 2004)が挙げられ、酵母では、酵母分泌シグナル(Clements M. J., Catlin G. H., Price M. J., Edwards R. M. (1991): Secretion of human epidermal growth factor from Saccharomyces cerevisiae using synthetic leader sequences. Gene. 106, 267-272)が挙げられる。
渦鞭毛藻発光酵素を真核細胞中で発現されると以下のような特徴を有する:
(i) 真核細胞への導入遺伝子(発現プラスミド)量に相関して発光活性が増加する定量性を有するレポーター酵素である:
(ii) 一定量の渦鞭毛藻ルシフェリンの存在下における発光活性が渦鞭毛藻発光酵素濃度に比例する:
(iii) pH5.0〜7.5において、発光活性が大腸菌で発現させた発光酵素の2倍前後高い
(iv) ウミシイタケ発光酵素等の従来の発光酵素と比較して、バックグラウンドが極めて低い
渦鞭毛藻発光酵素は、細胞内のpHが5〜7.5の中性(弱アルカリ性)から弱酸性の領域において、高い発光活性を有し、かつ、バックグラウンドも極めて低いため、異なる2種以上の遺伝子転写活性を測定するためのレポーター酵素として有用である。
真核細胞で発現可能な渦鞭毛藻以外に由来する発光酵素として、ウミシイタケ・ルシフェラーゼ、ホタルルシフェラーゼ、発光甲虫ルシフェラーゼなどが例示される。
本明細書において、「発光酵素」は、ルシフェラーゼなど、ルシフェリン光化学反応を触媒する発光タンパク群を意味し、発光酵素にはエクオリンのような発光タンパク質も含まれる。
渦鞭毛藻由来の発光酵素遺伝子を含む形質転換された真核細胞は、適切な培養培地で培養された後、超音波等により破砕され、渦鞭毛藻ルシフェリンなどのルシフェリンを添加した後、発光活性を測定する。発光酵素として、渦鞭毛藻由来の発光酵素遺伝子の他にウミシイタケ・ルシフェラーゼ遺伝子、ホタルルシフェラーゼ遺伝子などの他の発光酵素遺伝子を同時に発現させた場合には、ウミシイタケ・ルシフェリン、ホタルルシフェリンなどの対応するルシフェリンを添加することができる。
渦鞭毛藻ルシフェリンなどのルシフェリンの濃度は、通常1〜40μM程度、好ましくは10〜30μM程度である。
細胞破砕液などの渦鞭毛藻発光酵素を含むサンプルは、好ましくはpH5.0〜7.5、より好ましくはpH5.5〜6.5の範囲で測定するのが、発光活性が高いために好ましい。
以下、本発明を実施例に基づきより詳細に説明する。
実施例1
発光性渦鞭毛藻2種Lingulodinium polyedrnm及びPyrocystis lunulaより発光酵素がクローン化されている。発光性渦鞭毛藻発光酵素は酵素活性部位をそれぞれ含むドメインが3つ並んだ分子量約140万の蛋白質(配列番号1)である。このうち大腸菌での発現が確認されているドメイン3を含むpTH-PlL(Morishita H., Ohashi S., Oku T., Nakaijma Y., Kojima S., Ryufuku M., Nakamura H. and Ohmiya Y.: Cloning and Characterization of an Active Fragment of Luciferase from a Luminescent Marine Alga, Pyrocystis lunula. Photochem. Photobiol. 75, 311-315, 2002)より渦鞭毛藻ルシフェラーゼ・ドメイン3をコードした1.1Kbpのフラグメント(配列番号5)をBglIIとEcoRIサイトで切り出し、CMVプロモーターを持つpcDNA3.1/HisC (インビトロジェン)のBamHI・EcoR1サイトに挿入したpcDNA3.1-DLを作製した。NIH3T3細胞・COS7細胞・A549細胞を10% FBS入りのDMEM中にて、37℃、CO2 5%で培養し、細胞を24ウエルプレートに6×104細胞数/ウエルに播き1日培養した後、200ng/ウエルのpcDNA3.1-DLをリポフェクタミンプラス試薬 (インビトロジェン)を用いてトランスフェクションした。トランスフェクション後2日間培養し、細胞を500μl PBSで一度洗浄、300μlの0.1M リン酸バッファー(pH6.0)中で超音波破砕し、ライゼートを回収した。回収したライゼート50μlに0.1M リン酸バッファー(pH6.0)中の1μM渦鞭毛藻ルシフェリン 10μlを加え、LB9506(ベルトールド)にて20秒間発光活性を測定した。同時に、BCA タンパク定量試薬(ピアス)を用いて各ライゼートの蛋白質量を測定し、蛋白質量あたりの発光量を算出した。NIH3T3細胞及びCOS7細胞において高い発光活性が確認された(図1)。また、NIH3T3細胞を24ウエルプレートに6×104細胞数/ウエル播き1日培養した。50, 100, 200, 400ng/ウエルのpcDNA3.1-DLを、10ng/ウエルの pGV-C2(東洋インキ)を内部標準としてリポフェクタミンプラス試薬 (インビトロジェン)を用いてコトランスフェクションした。トランスフェクション後1日間培養し、細胞を500μl PBSで一度洗浄、300μlの0.1M リン酸バッファー(pH6.0)中で超音波破砕し、ライゼートを回収した。回収したライゼート50μlに0.1M リン酸バッファー(pH6.0)で1μM渦鞭毛藻ルシフェリン10μlを加え、LB9506(ベルトールド)にて20秒間発光活性を測定した。得られた渦鞭毛藻発光酵素の発光値は、共発現させたホタル発光酵素の発光値をコントロールとして標準化した。発光活性は用いたpcDNA3.1-DLプラスミドの量に相関して増加(図2)、本結果は渦鞭毛藻発光酵素が導入遺伝子量に依存して発光量が変化する定量性を持つレポーター酵素であることを示している。
実施例2
NIH3T3細胞を48ウエルプレートに3×104細胞数/ウエル播いた。1日培養した後、250ng/ウエルのpcDNA3.1-DLをリポフェクタミンプラス試薬 (インビトロジェン)を用いてトランスフェクションした。トランスフェクション後2日間培養し、細胞を150μl PBSで一度洗浄、150μlの0.1M リン酸バッファー(pH6.0)中で超音波破砕し、ライゼートを回収した。回収したライゼート50μlに1μM渦鞭毛藻ルシフェリン50μlを加え、アトー社製ルミネッセンサAB2100で30分間の発光活性を測定した(図3)。
測定開始約1分間は安定な発光を示した後、漸次活性は低下し約5分間で半減した。また、得られたライゼートを50, 40, 30, 20, 10, 5μl/50μlになるよう0.1M リン酸バッファー(pH6.0)にて希釈した。各希釈溶液50μl に0.1M リン酸バッファー(pH6.0)で1μM渦鞭毛藻ルシフェリン10μlを加え、LB9506(ベルトールド)にて20秒間の発光活性を測定し、渦鞭毛藻発光酵素濃度に対してプロットした(図4A)。発光活性は渦鞭毛藻発光酵素濃度に依存して直線的に変化、発光酵素としての定量性を示した。さらに得られたライゼートを1, 10-1, 10-2, 10-3, 10-4, 10-5倍になるよう0.1M リン酸バッファー(pH6.0)にて希釈した。各希釈溶液50μl に0.1M リン酸バッファー(pH6.0)で2μM渦鞭毛藻ルシフェリン10μlを加え、LB9506(ベルトールド)にて20秒間の発光活性を測定し、渦鞭毛藻発光酵素濃度に対してプロットした。ライゼートは、より大きな発光活性を示し、広いレンジで定量性があることを示した(図4B)。
実施例3
NIH3T3細胞を24ウエルプレートに6×104細胞数/ウエル播いた。1日培養した後、200ng/ウエルのpcDNA3.1-DLをリポフェクタミンプラス試薬 (インビトロジェン)を用いてトランスフェクションした。トランスフェクション後1日培養し、シクロヘキサイミド (シグマ)を最終濃度250μMになるよう培地中に加えた。シクロヘキサイミド添加30分後、細胞を300μl PBSで一度洗浄した時間を処理時間0時間として順次細胞を300μlの20mM トリスバッファー(pH7.5)中で超音波破砕し、ライゼートとして回収した。回収したライゼート50μlに20mMトリスバッファー (pH7.5)で2μM渦鞭毛藻ルシフェリン50μlを加え、LB9506(ベルトールド)にて20秒間発光活性を測定した(図5)。その結果、発現した渦鞭毛藻発光酵素の生細胞内での半減期は約45分である。
実施例4
哺乳類細胞で発現した渦鞭毛藻発光酵素の酵素活性の測定条件を検討した。渦鞭毛藻ルシフェリンの持つバックグラウンドを確認するため、血清濃度を0〜10%になるよう20mMトリスバッファー(pH7.5)で希釈した。各希釈液50μlに5μM ウミシイタケルシフェリン(セレンテラジン) 50μlまたは、0.1M リン酸バッファー(pH6.0)で1μM渦鞭毛藻ルシフェリン50μlを加え、LB9506(ベルトールド)にて20秒間発光活性を測定した。ウミシイタケルシフェリンは血清濃度に依存して発光活性が上昇するが、渦鞭毛藻ルシフェリンは発光しなかった(図6)。よって、発光性渦鞭毛藻発光酵素の活性を測定する際には、血清が1−10%でも酵素活性の測定は可能であり、従来コントロール発光酵素として用いられているウミシイタケ発光酵素より測定におけるバックグラウンドが低いことが確認できた。
NIH3T3細胞を35mmディッシュに2.5×105細胞数/ウエル播き1日培養した後、1μg/ウエルのpcDNA3.1-DLをリポフェクタミンプラス試薬 (インビトロジェン)を用いてトランスフェクションした。トランスフェクション後2日間培養し、細胞を1μl PBSで一度洗浄、0.1Mリン酸バッファー(pH6.0)中で超音波破砕し、ライゼートを回収した。回収したライゼート50μlに、最終濃度が1, 5, 10, 15, 20, 25, 30μMになるよう 0.1M リン酸バッファー(pH6.0)で希釈した 渦鞭毛藻ルシフェリン 50μlを加え、LB9506 (ベルトールド)にて20秒間の発光活性を測定した(図7)。ルシフェリン濃度20μM前後で高い活性を示した。よって、最適なルシフェリン濃度は10−30μM程度である。
NIH3T3細胞を24ウエルプレートに6×104細胞数/ウエル播いた。1日培養した後、400ng/ウエルのpcDNA3.1-DLをリポフェクタミンプラス試薬 (インビトロジェン)を用いてトランスフェクションした。トランスフェクション後2日間培養し、細胞を500μl PBSで一度洗浄、300μlの純水中で超音波破砕し、ライゼートを回収した。回収したライゼート50μlに、0.1M リン酸バッファー(pH5.0, 5.5, 6.0, 6.5, 7.0, 7.5)で希釈した2μM渦鞭毛藻ルシフェリン50μlを加え、LB9506(ベルトールド)にて20秒間発光活性を測定した(図8)。また、大腸菌で発現させた発光性渦鞭毛藻発光酵素の発光活性も同様な条件で測定した。その結果、大腸菌で生産した発光酵素ではpH5.5にて最大発光量を示すが、哺乳類細胞で作られた渦鞭毛藻発光酵素は最大発光を示す最適pHは6.0であり、pH5〜6.5の間で約60%以上の酵素活性が保持されている。従来、ホタル、ウミシイタケ発光酵素の最適pHが7−8であることに対して、酸性側で発光活性を測定することができることを示している。
実施例5
哺乳類細胞での活性を持つ蛋白質の発現について、発現を調節する挿入プロモーター領域の違いが及ぼす発光活性の違いを検討した。pcDNA3.1-DLをテンプレートに、5’末端にNcoIサイト・KoZ配列・開始コドンを付加したプライマーPlD3-F-NcoI+Koz(5’-AAG CCA CCA TGG CCT TCG CCG ATG TTT GTG AG-3’;配列番号11)、3’末端にXbaIサイトを付加したプライマーPlD3-R-XbaI(5’-CCT CTA GAT CAT GCT TTA AAG CTT GTG GCC AC-3’;配列番号12)を用いてDLフラグメント(配列番号3)をPCRにて増幅した。
このPCR産物をpCR2.1-TOPO(インビトロジェン)にサブクローニングした後、NcoI・XbaIサイトでホタルルシフェラーゼを切り出したpGV-C2(東洋インキ)のNcoI・XbaIサイトにPCR産物であるDLを挿入したSV40プロモーターを持つpGC2-DLを作製した。pGC2-DLをテンプレートに5’末端にXbaIサイト・KoZ配列を付加したプライマーPlD3-F-XbaI+Koz (5’-GCT CTA GAC CAC CAT GGC CTT CGC CGA TG-3’ ’;配列番号13)、3’末端にEcoRIサイトを付加したプライマーPlD3-R-EcoRI(5’-GGA TTC TCA TGC TTT AAA GCT TGT GGC-3’ ’;配列番号14)を用いてDLフラグメントをPCRにて増幅した。一方、pMK10よりBlnI・BspT104Iサイトで切り出しセルフライゲーションしてIRESの一部とNeomyinを除き、さらにXbaI・EcoRIサイトに、PCR産物をXbaI・EcoRIで制限酵素処理し挿入したpCAG-DLを作製した(CAGプロモーターを持つ)。さらに、pGC2-DLをテンプレートに5’末端にXbaIサイト・KoZ配列を付加したプライマーPlD3-F-NheI+Koz (5’-CTA GCT AGC CAC CAT GGC CTT CGC CGA TG-3’ ’;配列番号15)、3’末端にXbaIサイトを付加したプライマーPlD3-R-XbaI(5’-CCT CTA GAT CAT GCT TTA AAG CTT GTG GCC AC-3’ ’;配列番号16)を用いてDLフラグメントをPCRにて増幅した。このPCR産物をpCR2.1-TOPO(インビトロジェン)にサブクローニングした後、NheI・XbaIサイトで切り出しウミシイタケルシフェラーゼRLを除いたphRL-TK(プロメガ)のNheI・XbaIサイトに挿入したTKプロモーターを持つpTK-DLを作製した。NIH3T3細胞を24ウエル プレートに6×104細胞数/ウエル播いた。1日培養した後、CMVプロモーターをもつpcDNA3.1-DL、SV40プロモーターをもつpGC2-DL、CAGプロモーターをもつpCAG-DL、TKプロモーターをもつpTK-DL 各200ng/ウエルを リポフェクタミンプラス試薬 (インビトロジェン)を用いてトランスフェクションした。トランスフェクション後2日間培養し、細胞を500μl PBSで一度洗浄、300μlの滅菌水中で超音波破砕し、ライゼートを回収した。回収したライゼート50μlに20μM 渦鞭毛藻ルシフェリン(1M リン酸バッファー(pH6.0))50μlを加え、LB9506 (ベルトールド)にて20秒間発光活性を測定し、ウエルあたりの発光量を算出した。4つのプロモーター共に発光活性が検出でき、特にCAGプロモーターにおいて、高い発光活性が検出できた(図9)。これらの結果、渦鞭毛藻発光酵素遺伝子は異なる遺伝子転写活性を測定できるレポーター酵素であることを示している。
実施例6A
NIH3T3細胞を48ウエルプレートに4.5×104細胞数/ウエル播いた。1日培養した後、レポーター E54TK-FL(PerプロモーターのE54エレメント+ホタル発光酵素)40ng, E54TK-DL (PerプロモーターのE54エレメント+渦鞭毛藻発光酵素)40ng、と時計遺伝子hBMAL1、hCLOCK、mCRY1各50ngと、インターナルコントロールphRL-TK (ウミシイタケ発光酵素)2ng, pCAG-DL 20ngをリポフェクタミンプラス試薬 (インビトロジェン)を用いてコトランスフェクションした。トランスフェクション後1日培養し、細胞を200μl PBSで一度洗浄後200μlのDW中で超音波破砕し、ライゼートを回収した。回収したライゼート50μlにDL活性は0.1M リン酸バッファー(pH6.0)で希釈した20μM渦鞭毛藻ルシフェリン(1M リン酸バッファー(pH6.0)) 50μl、ホタル発光酵素活性はピッカジーン発光試薬(東洋インキ)50μl、ウミシイタケ発光酵素活性は10mM トリスバッファー(pH7.4)で希釈した500nM セレンテラジン 50μlを加え、LB9506(ベルトールド)にて20秒間発光活性を測定した(図10)。Aはホタル発光酵素をレポーター遺伝子としてウミシイタケ発光酵素遺伝子をコントロール遺伝子とした結果、Bはホタル発光酵素をレポーター遺伝子として渦鞭毛藻発光酵素遺伝子をコントロール遺伝子とした結果、さらにCは渦鞭毛藻発光酵素をレポーター遺伝子としてウミシイタケ発光酵素遺伝子をコントロール遺伝子とした結果である。どの組み合わせにおいても遺伝子転写活性を評価できることが明らかとなった。これらの結果より、渦鞭毛藻発光酵素はホタル及びウミシイタケ発光酵素のインターナルコントロール酵素として、或いはホタル及びウミシイタケ発光酵素をインターナルコントロール酵素とし渦鞭毛藻発光酵素がレポーター酵素として活用できることを示している。
実施例6B
NIH3T3細胞を24ウエルプレートに2.5×104細胞数/ウエル播いた。1日培養した後、レポーター E54TK-FL(マウスPer1プロモーターのE54エレメント+ホタル発光酵素)20ng、RORE-RL (マウスBmal1プロモーター内のREV-ERV/RORエレメント+ウミシイタケ発光酵素)20ngと、時計遺伝子ヒトBMAL1、ヒトCLOCK、マウスRORα各50ngと、インターナルコントロールpCAG-DL 20ngをリポフェクタミンプラス試薬 (インビトロジェン)を用いてコトランスフェクションした。トランスフェクション後2日培養し、細胞を500μl PBSで一度洗浄後300μlのDW中で超音波破砕し、ライゼートを回収した。回収したライゼート50μlに、DL活性は0.1M リン酸バッファー(pH6.0)で希釈した14μM渦鞭毛藻ルシフェリン 50μl、ホタル発光酵素活性はピッカジーン発光試薬(東洋インキ)50μl、ウミシイタケ発光酵素活性は20mM トリスバッファー(pH7.4)で希釈した70nM セレンテラジン 50μlを加え、LB9506(ベルトールド)にて20秒間発光活性を測定した。そして、レポーターのホタル発光酵素とウミシイタケ発光酵素の活性値をインターナルコントロールの渦鞭毛藻発光酵素の活性値で標準化した。これまで個別の実験において、ヒトBMAL1及びヒトCLOCKタンパクはE54エレメントに連結したプロモーターを活性化し、RORエレメントに連結したプロモーターを不活性化するのに対して、マウスRORαはE54エレメントに連結したプロモーターを不活性化し、RORエレメントに連結したプロモーターを活性化することが知られているが、本実験において、同一細胞のライゼートを測定することでも同様の転写活性の違いを測定できた(図6B)。本結果は、渦鞭毛藻発光酵素が他の2つの異なる基質で発光するレポーター遺伝子を組み合わせることで、同一細胞での3つ以上の遺伝子転写活性測定が可能であることを示している。
実施例7
NIH3T3細胞を24ウエルプレートに6×104細胞数/ウエル播き1日培養した後、400ng/ウエルのpcDNA3.1-DL、pGV-C2をそれぞれ単独でリポフェクタミンプラス試薬 (インビトロジェン)を用いてトランスフェクションした。トランスフェクション後2日間培養し、細胞を500μl PBSで一度洗浄、渦鞭毛藻発光酵素は0.1M リン酸バッファー (pH6.0)300μl、ホタル発光酵素は10mMトリスバッファー(pH7.5)中で超音波破砕し、ライゼートを回収した。回収した渦鞭毛藻発光酵素ライゼート20μlにホタル発光酵素ライゼート 0.35μlを混ぜ、10μM渦鞭毛藻ルシフェリン1μlとピッカジーン発光試薬 10μlを加えて高感度スペクトルメーター(アトー)を用いて発光スペクトルを測定した(図11A)。また、渦鞭毛藻発光酵素ライゼート15μlにホタル発光酵素ライゼート 1μlを混ぜ、同様な条件で測定した(図11B)。渦鞭毛藻発光酵素は約470nmを最大発光波長とした青色を、ホタル発光酵素は約610nmを最大発光波長とした赤色を示し、色識別可能な発光スペクトルである。ホタル発光酵素は測定溶液が酸性pH下にあるため、黄緑色から赤色に変化している。一方、加えた渦鞭毛藻発光酵素及びホタル発光酵素量に依存してスペクトルが変化することから個々の酵素活性量を発光スペクトルから算出可能である。
さらに、NIH3T3細胞を24ウエルプレートに5×104細胞数/ウエル播き1日培養した後、プラスミドDNA量比がDL:FL=1:1, 2:1, 4:1, 8:1となるようpCAG-DL 250ngとpGV-C2 0, 31, 63, 125, 250ngをリポフェクタミンプラス試薬 (インビトロジェン)を用いてコトランスフェクションした。トランスフェクション後2日間培養し、細胞を500μl PBSで一度洗浄後、DW中で超音波破砕し、ライゼートを回収した。回収したライゼート15μlに、0.05Mリン酸バッファー(pH6.0)で希釈した7μM渦鞭毛藻ルシフェリン、470μMホタルルシフェリン、530μM ATP、4mM MgSO4、270μM CoA、33.3mM DTTを加えて高感度スペクトルメーター(アトー)を用いて発光スペクトルを測定し、渦鞭毛藻の最大発光波長470nmの値を用いて標準化した(図12A)。渦鞭毛藻発光酵素は約470nmを最大発光波長とした青色を、ホタル発光酵素は、酸性pH下で長波長側に移行した約615nmを最大発光波長とした赤色を示し、色識別可能な発光スペクトルである。また、相対発光強度(発光強度615nm/発光強度470nm)を、ホタル発光酵素のプラスミドDNA量に対してプロットしたところ、発光活性とプラスミド量が直線的に変化しており、ホタル発光酵素の発現量を標準化、定量できることが確認できた(図12B)。本結果は、異なる渦鞭毛藻ルシフェリン及びホタルルシフェリンを混在させた条件下で、2つの発光酵素活性を定量的に同時測定できることを示している。
実施例8
酵母発現系において、渦鞭毛藻発光酵素の発光活性を確認した。pSV40-DLをテンプレートに、5’末端にEcoRIサイト・酵母KoZ配列・開始コドンを付加したプライマーDL-F-EcoRI+s.Koz,ATG(5’-GGA ATT CTA AAA ATG TCT GTT TGT GAG AAG GGA TTC G -3’;配列番号17)、3’末端にXbaIサイトを付加しHindIIIサイトを削除したプラマーDL-R-XbaI(ΔHindIII)(5’-GCT CTA GAT CAT GCT TTA AAA CTT GTG GCC AC-3’;配列番号18)を用いてDLフラグメント(配列番号3)をPCRにて増幅した。このPCR産物をpCR2.1-TOPO(インビトロジェン)にサブクローニングした後EcoRI・XbaIサイトで切り出し、酵母発現用ベクターpYES2/CTベクター(インビトロジェン)のEcoRI・XbaIサイトに挿入、GAL1プロモーターをもつpYES2/CT -DLを作製した(発現するタンパクの遺伝子配列は配列番号19、そのアミノ酸配列は配列番号20)。このベクターを酵母INVSc1(インビトロジェン)にエレクトロポレーション法によりトランスフェクションしSD寒天培地にて4日間培養した。pYES2/CT -DL導入株をBMD液体培地にて1日培養した後、15%グリセロールを加えて発現誘導を行い、誘導後5時間と8時間に回収を行った。回収した酵母は、滅菌水にて洗浄した後に、1mM EDTA, 50mM KCl, 5%グリセロール,インヒビターカクテルComplate Mini(ロッシュ)含むを20mM トリスバッファー(pH7.5)中でガラスビーズを用いて破砕し、ライゼートを回収した。回収したライゼート50μlに14μM 渦鞭毛藻ルシフェリン(1M リン酸バッファー(pH6.0))50μlを加え、AB2200 (アトー)にて20秒間発光活性を測定した(図13)。渦鞭毛藻発光酵素は5時間後より酵母で発現し発光活性を有していた。本結果は、酵母において、渦鞭毛藻発光酵素がレポーター酵素として有用であることを示している。
また、GAL1プロモーターをもつpYES2/CT -DL酵母分泌シグナル(Clements M. J., Catlin G. H., Price M. J., Edwards R. M. (1991): Secretion of human epidermal growth factor from Saccharomyces cerevisiae using synthetic leader sequences. Gene. 106, 267-272)を導入した遺伝子(遺伝子配列は配列番号21、そのアミノ酸配列は配列番号22)のpYES2/CT -SDLベクターを構築した。このベクターについて、上記と同様に酵母INVSc1(インビトロジェン)にエレクトロポレーション法によりトランスフェクションすることで、分泌特性を有する酵母発現系を構築することが可能であろう。
各種哺乳類細胞に導入した渦鞭毛藻発光酵素遺伝子構築体pcDNA3.1-DLの転写活性量。 哺乳類細胞NIH3T3における渦鞭毛藻発光酵素遺伝子構築体pcDNA3.1-DL量と発光量の相関。 哺乳類細胞NIH3T3産生渦鞭毛藻発光酵素の反応速度曲線。 濃度の異なる哺乳類細胞NIH3T3産生渦鞭毛藻発光酵素と発光量の相関。 濃度の異なる哺乳類細胞NIH3T3産生渦鞭毛藻発光酵素と発光量の相関。 哺乳類細胞NIH3T3生細胞内における渦鞭毛藻発光酵素の安定性。 渦鞭毛藻由来発光基質ルシフェリン及び生ウミシイタケルシフェリンの自家発光の血清濃度依存性。 哺乳類細胞NIH3T3において時計遺伝子Per1プロモーター内のE54エレメントの転写活性をホタル発光酵素、Bmal1プロモーター内のRORエレメントの転写活性をウミシイタケ発光酵素、インターナルコントロールを渦鞭毛藻発光酵素によって測定、標準化した例。 哺乳類細胞NIH3T3産生渦鞭毛藻発光酵素発光活性のルシフェリン濃度依存性。 哺乳類細胞NIH3T3及び大腸菌産生渦鞭毛藻発光酵素発光活性のpH依存性。 哺乳類細胞NIH3T3における異なる転写因子を挿入した渦鞭毛藻発光酵素遺伝子構築体と発光量の相関。 哺乳類細胞NIH3T3において時計遺伝子Perの転写活性をTKプロモーターのインターナルコントロールによって測定、標準化した例。(レポーター遺伝子+コントロール遺伝子)A:ホタル発光酵素+ウミシイタケ発光酵素遺伝子、B:ホタル発光酵素+渦鞭毛藻発光酵素遺伝子をコントロール遺伝子、C:渦鞭毛藻発光酵素+ウミシイタケ発光酵素遺伝子。 哺乳類細胞NIH3T3において産生したホタル発光酵素及び渦鞭毛藻発光酵素遺伝子を2つのルシフェリンを混ぜ、同時に測定した例。A:渦鞭毛藻発光酵素ライゼート20μlにホタル発光酵素ライゼート 0.35μl、B:渦鞭毛藻発光酵素ライゼート15μlにホタル発光酵素ライゼート 1μl。 哺乳類細胞NIH3T3において共発現させた渦鞭毛藻発光酵素とホタル発光酵素の発光スペクトルを測定、標準化した例。A:プラスミドDNA量比が異なる渦鞭毛藻発光酵素とホタル発光酵素の発光スペクトル、B:ホタル発光酵素発現ベクター量と標準化したホタル発光酵素の最大発光波長での発光強度の相関。 酵母における回収時間毎の渦鞭毛藻発光酵素の活性。

Claims (3)

  1. 以下の(1)〜(
    (1)配列番号1で示される発光性渦鞭毛藻由来発光酵素をコードする遺伝子、
    (2)配列番号3,7および9で示される発光性渦鞭毛藻由来発光酵素の活性ドメイン1〜3のいずれかをコードする遺伝子
    いずれかの発光酵素のDNAを哺乳類細胞で安定発現可能なように組み込んでなる遺伝子構築物を含む発現ベクターで形質転換された哺乳類細胞を培養し、該培養哺乳類細胞またはその破砕液を、最終濃度1〜30μMの渦鞭毛藻ルシフェリンの存在下にpH5〜で発光活性を測定することを特徴とする、発光酵素遺伝子に連結されたプロモーターの遺伝子転写活性の測定方法。
  2. pH5.5−6.5で発光活性を測定することを特徴とする、請求項1に記載の測定方法。
  3. 渦鞭毛藻ルシフェリンの最終濃度が10〜30μMである、請求項1又は2に記載の測定方法。
JP2004358650A 2003-12-10 2004-12-10 発光性渦鞭毛藻由来青色発光酵素を用いた細胞内遺伝子転写活性測定法 Active JP5564640B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004358650A JP5564640B2 (ja) 2003-12-10 2004-12-10 発光性渦鞭毛藻由来青色発光酵素を用いた細胞内遺伝子転写活性測定法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003411489 2003-12-10
JP2003411489 2003-12-10
JP2004358650A JP5564640B2 (ja) 2003-12-10 2004-12-10 発光性渦鞭毛藻由来青色発光酵素を用いた細胞内遺伝子転写活性測定法

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2005192565A JP2005192565A (ja) 2005-07-21
JP2005192565A5 JP2005192565A5 (ja) 2005-10-06
JP5564640B2 true JP5564640B2 (ja) 2014-07-30

Family

ID=34828963

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004358650A Active JP5564640B2 (ja) 2003-12-10 2004-12-10 発光性渦鞭毛藻由来青色発光酵素を用いた細胞内遺伝子転写活性測定法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5564640B2 (ja)

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002513775A (ja) * 1998-05-06 2002-05-14 トランジェーヌ、ソシエテ、アノニム 細胞の中へのポリヌクレオチドのトランスフェクションを改良する治療組成物を調製するためのヌクレアーゼインヒビターまたはインターロイキン−10(il−10)の使用、および遺伝子治療に有用な組成物
EP1092780A1 (en) * 1999-10-13 2001-04-18 Boehringer Ingelheim International GmbH Recombiant, replication defective CELO virus and CELO virus DNA
JP2002335961A (ja) * 2001-05-22 2002-11-26 Toyo B-Net Co Ltd 渦鞭毛藻ルシフェラーゼ及びそれをコードする遺伝子
AU2002353426A1 (en) * 2001-12-14 2003-06-30 Transgene S.A. Use of a lysolipid for the preparation of a composition for transfection of a polynucleotide into a cell

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005192565A (ja) 2005-07-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9757478B2 (en) Mutant protease biosensors with enhanced detection characteristics
JP5295206B2 (ja) ルシフェラーゼ発現カセットおよび使用法
RU2251571C2 (ru) РЕКОМБИНАНТНАЯ ТЕРМОСТАБИЛЬНАЯ ЛЮЦИФЕРАЗА, СПОСОБ ЕЕ ПОЛУЧЕНИЯ, ИЗОЛИРОВАННАЯ НУКЛЕИНОВАЯ КИСЛОТА, ЭКСПРЕССИРУЮЩИЙ ВЕКТОР, НАБОР ДЛЯ ИСПОЛЬЗОВАНИЯ В БИОЛЮМИНЕСЦЕНТНОМ АНАЛИЗЕ, АНАЛИТИЧЕСКИЙ ТЕСТ ДЛЯ ОПРЕДЕЛЕНИЯ ПРИСУТСТВИЯ В ОБРАЗЦЕ СоА
US20140186918A1 (en) Luciferase mutant
JP5701505B2 (ja) 分泌型ルシフェラーゼを用いた生物発光アッセイ
WO2018139956A1 (ru) Новые люциферазы и способы их использования
WO2006096735A2 (en) Enhancing a luminescent signal
JP4385135B2 (ja) マルチ遺伝子転写活性測定システム
JP5564640B2 (ja) 発光性渦鞭毛藻由来青色発光酵素を用いた細胞内遺伝子転写活性測定法
US20060024773A1 (en) Method for measuring intracellular gene transcription using blue luciferase from dinoflagellate
US8378086B2 (en) Luciferases and methods for making and using the same
US20100068739A1 (en) PH Tolerant Luciferase
US7544484B2 (en) Nucleic acids encoding membrane-binding proteins and methods of using same
WO2017209700A1 (en) Fusion bacterial luciferase gene, reporter vector, and assay kit
Alam et al. Reporter genes for monitoring gene expression in mammalian cells
JP2011050258A (ja) バイオイメージングに特化した変異型赤色発光ルシフェラーゼ

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050308

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050816

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20071205

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20071203

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080226

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100914

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20101115

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20110315

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110615

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20110627

A912 Re-examination (zenchi) completed and case transferred to appeal board

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912

Effective date: 20110805

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140325

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5564640

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250