JP5562140B2 - 水性ベース塗料およびそれを用いる複層塗膜形成方法 - Google Patents

水性ベース塗料およびそれを用いる複層塗膜形成方法 Download PDF

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Description

本発明は、自動車車体等の塗膜形成に使用される水性ベース塗料およびそれを用いる複層塗膜形成方法に関するものである。
近年、環境に対する影響を考慮して、塗料中に含まれる有機溶剤の量を低減するために、塗料の水性化が検討されている。自動車用塗装においては、ベース塗膜を形成し、その上にクリヤー塗膜を形成することが一般的であるが、この系においてベース塗料を水性化することがこれまで行われてきた。
このような系に適応する水性ベース塗料として、例えば、特開昭63−193968号公報(特許文献1)には、アクリルエマルションである水分散性フィルム形成性アクリル重合体、疎水性メラミン樹脂および顔料からなる水性被覆組成物が開示されている。また、特開昭63−265974号公報(特許文献2)には、炭素数4〜12のアルキル基を有するモノマーをコア部、アクリルアミドまたはメタクリル酸を含むシェル部を有するエマルション樹脂を含む水性塗料がそれぞれ開示されている。
本発明者等は既に特開2001−240791号公報(特許文献3)において、水性ベース塗料を用いた塗装方法において、塗膜外観と作業性の改善を提案した。この技術では、水性ベースコート塗料において、特定のモノマーをアクリルエマルション樹脂の合成に用いることにより水とのなじみが改善され塗膜外観が向上し、酸価を調節して塗装作業性を改善した。この特許文献3の技術は、優れた性能を発揮するものであり、自動車塗装に十分利用できるものである。
ところで、水性ベース塗料の塗装時に、いわゆるブツと呼ばれる塗膜欠陥が起こる。ブツは、塗料に含まれている顔料や樹脂が塗料中あるいは塗装経路中で部分的に固化して塊となって、それがスプレーガンを通って塗装されることによる。ブツは以前から認識されているが、具体的な対策はあまり取られていない。
特開昭63−193968号公報 特開昭63−265974号公報 特開2001−240791号公報
本発明は、自動車用の塗膜形成に使用される水性ベース塗料の塗膜欠陥である、いわゆるブツの発生を防止する技術を提供する。
即ち、本発明は、樹脂固形分100質量%中、
(a)アクリル樹脂エマルションが固形分で10〜60質量%、
(b)水溶性アクリル樹脂が固形分で5〜40質量%、
(c)メラミン樹脂が固形分で20〜40質量%、および
(d)炭素数10〜16のαーオレフィン化合物(i)と不飽和二重結合を有するカルボン酸無水物(ii)との共重合体に、炭素数8〜22およびHLB10〜20のポリエチレングリコールモノアルキルエーテル(iii)を反応させて得られる、固形分酸価20〜60mgKOH/g、重量平均分子量10,000〜100,000のノニオン変性オレフィン樹脂が0.1〜5質量%
含有する水性ベース塗料を提供する。
本発明は、また、自動車用鋼板上に形成された中塗り塗膜上に、水性ベース塗料を塗装してベース塗膜を形成した後、有機溶剤型クリヤー塗料を塗布してクリヤー塗膜を形成し、上記ベース塗膜とクリヤー塗膜とを加熱し硬化させる複層塗膜の形成方法であって、
前記水性ベース塗料が、樹脂固形分100質量%中、
(a)アクリル樹脂エマルションが固形分で10〜60質量%、
(b)水溶性アクリル樹脂が固形分で5〜40質量%、
(c)メラミン樹脂が固形分で20〜40質量%、および
(d)炭素数10〜16のαーオレフィン化合物(i)と不飽和二重結合を有するカルボン酸無水物(ii)との共重合体に、炭素数8〜22およびHLB10〜20のポリエチレングリコールモノアルキルエーテル(iii)を反応させて得られる、固形分酸価20〜60mgKOH/g、重量平均分子量10,000〜100,000のノニオン変性オレフィン樹脂が0.1〜5質量%
含有することを特徴とする複層塗膜形成方法も提供する。
上記アクリル樹脂エマルション(a)は、好ましくは架橋性モノマーを0.2〜20質量%含んだモノマー混合物をエマルション重合して得られる。
上記架橋性モノマーは、好ましくはアリルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレートまたはジビニルベンゼンであってよい。
本発明の水性ベース塗料は、更に、光輝性顔料を含むのが好ましい。
本発明の水性ベース塗料は、更に、ポリエステル樹脂を含有するのが好ましい。
本発明者等の研究によれば、自動車の上塗塗膜の形成に用いられる水性ベース塗料の欠陥であるいわゆるブツは、スプレー塗装時に用いられるスプレーガンへの塗料の輸送時に既に生じていることを発見した。本発明者等は、スプレーガンへの水性ベース塗料の輸送時に用いられているホース、特にポリプロピレン性のホースに水性ベース塗料中の疎水性材料が顔料を伴って付着し、その付着物が剥がれて塗料中を移動して、スプレーガンから塗料と共に塗装され、欠陥となると考えている。また、水性ベース塗料は撹拌することが必要であるが、撹拌時に塗料表面に膜がはる現象がおこり、この膜が塗料中を移動してブツの原因となるとも考えている。
いずれにしても塗料中の疎水性材料の凝集あるいは固化や膜化が原因であり、本発明では、特定のノニオン変性オレフィン樹脂を水性ベース塗料中に配合すると疎水性材料の凝集や固化、若しくは膜化などの現象が有効に防止されて、水性ベース塗料の塗膜欠陥であるブツが防止できるのである。尚、本明細書において、ブツを防止する評価は、安定性(特に、耐付着安定性)として表している。ブツが生じる疎水性材料の凝集や固化などによって、塗料の安定性が低下し、顔料等の成分が固化物に付着して塗膜欠陥(即ち、ブツ)として現れるからであり、耐付着安定性と表している。
本発明の水性ベース塗料は、樹脂固形分100質量%中、
(a)アクリル樹脂エマルションが固形分で10〜60質量%、
(b)水溶性アクリル樹脂が固形分で5〜40質量%、および
(c)メラミン樹脂が固形分で20〜40質量%、
(d)炭素数10〜16のαーオレフィン化合物(i)と不飽和二重結合を有するカルボン酸無水物(ii)との共重合体に、炭素数8〜22およびHLB10〜18のポリエチレングリコールモノアルキルエーテル(iii)を反応させて得られる、固形分酸価20〜60mgKOH/g、重量平均分子量10,000〜100,000のノニオン変性オレフィン樹脂が0.1〜5質量%
含有することを特徴とするものである。
水性ベース塗料
本発明の複層塗膜形成方法に用いられる水性ベース塗料は、(a)アクリル樹脂エマルションが固形分で10〜60質量%、(b)水溶性アクリル樹脂が固形分で5〜40質量%、(c)メラミン樹脂が固形分で20〜40質量%および(d)特定のノニオン変性オレフィン樹脂、更に必要に応じて顔料を含有する。それぞれの成分について説明する。
成分(a)
成分(a)のアクリル樹脂エマルションは、α,βーエチレン性不飽和モノマーの混合物をエマルション重合することによって得られる。上記モノマー混合物は、酸基または水酸基を有するα,β−エチレン性不飽和モノマーをその中に含むことにより、酸価および水酸基価を有することができる。酸価や水酸基価は、水溶性や架橋性に寄与する。
上記酸基を有するα,β−エチレン性不飽和モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸二量体、クロトン酸、2−アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、イソクロトン酸、α−ハイドロ−ω−((1−オキソ−2−プロペニル)オキシ)ポリ(オキシ(1−オキソ−1,6−ヘキサンジイル))、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、3−ビニルサリチル酸、3−ビニルアセチルサリチル酸、2−アクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等を挙げることができる。これらの中で好ましいものは、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸二量体である。
一方、水酸基を有するα,β−エチレン性不飽和モノマーとしては、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、アリルアルコール、メタクリルアルコール、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルとε−カプロラクトンとの付加物を挙げることができる。これらの中で好ましいものは、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルとε−カプロラクトンとの付加物である。
さらに、上記モノマー混合物はさらにその他のα,β−エチレン性不飽和モノマーを含んでいてもよい。上記その他のα,β−エチレン性不飽和モノマーとしては、(メタ)アクリル酸エステル(例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、メタクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸t−ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタジエニル、(メタ)アクリル酸ジヒドロジシクロペンタジエニル等)、重合性アミド化合物(例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジオクチル(メタ)アクリルアミド、N−モノブチル(メタ)アクリルアミド、N−モノオクチル(メタ)アクリルアミド2,4−ジヒドロキシ−4’−ビニルベンゾフェノン、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)メタクリルアミド等)、重合性芳香族化合物(例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルケトン、t−ブチルスチレン、パラクロロスチレン及びビニルナフタレン等)、重合性ニトリル(例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等)、α−オレフィン(例えば、エチレン、プロピレン等)、ビニルエステル(例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等)、ジエン(例えば、ブタジエン、イソプレン等)、重合性芳香族化合物、重合性ニトリル、α−オレフィン、ビニルエステル、及びジエンを挙げることができる。これらは目的により選択することができるが、親水性を容易に付与する場合には(メタ)アクリルアミドを用いることが好ましい。
成分(a)のアクリル樹脂エマルションを形成するモノマー混合物は、必要に応じて、架橋性モノマーをモノマーの総量に基づいて0.2〜20質量%、好ましくは0.5〜20質量%含有する。架橋性モノマーが0.2質量%未満の場合は、塗装時の固形分が低下して、タレが発生する傾向がある。また、光輝性顔料の配向が乱れてフリップフロップ性(FF性)が低下する。架橋性モノマーが20質量%を超えると、樹脂がゲル化して、エマルションの合成が困難になる傾向がある。
架橋性モノマーは、分子内に2つ以上のラジカル重合可能なエチレン性不飽和基を有する化合物であり、例えば、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等のジビニル化合物が挙げられ、トリアリルシアヌレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等も挙げられる。架橋性モノマーは、上記のモノマーの組合せであってもよい。好ましい架橋性モノマーは、アリル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレートおよびジビニルベンゼンである。これらの架橋性モノマーは、比較的取扱が容易であるからである。なお、本明細書において「(メタ)アクリル」とはアクリルとメタクリルとの両方を意味するものとする。
アクリル樹脂エマルション(a)は、必要に応じて、酸価または水酸基価を有するのが好ましい。アクリル樹脂の酸価または水酸基価はそれが合成されるモノマー混合物の酸価または水酸基価と実質上同じである。本発明で用いるモノマー混合物は酸価が好ましくは3〜50mgKOH/gであり、より好ましくは7〜40mgKOH/gである。酸価が3mgKOH/g未満では、作業性を向上させることができず、50mgKOH/gを上回ると、塗膜の耐水性が低下する。一方、上記水性ベース塗料が硬化性を有する必要がある場合には、モノマー混合物は水酸基価が10〜150mgKOH/gであり、好ましくは20〜100mgKOH/gである必要がある。水酸基価が10mgKOH/g未満では、充分な硬化性が得られず、150mgKOH/gを上回ると、塗膜の耐水性が低下する。また、上記モノマー混合物を共重合して得られるポリマーのガラス転移温度は、−20〜80℃の間であることが、得られる塗膜の機械的物性の点から好ましい。
本発明の水性ベース塗料に含まれるアクリル樹脂エマルションは、上記モノマー混合物を乳化重合して得られるものである。ここで行われる乳化重合は、通常よく知られている方法を用いて行うことができる。具体的には、水、または必要に応じてアルコールなどのような有機溶剤を含む水性媒体中に乳化剤を溶解させ、加熱撹拌下、上記モノマー混合物および重合開始剤を滴下することにより行うことができる。乳化剤と水とを用いて予め乳化したモノマー混合物を同様に滴下してもよい。
好適に用いうる重合開始剤としては、アゾ系の油性化合物(例えば、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)および2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)など)、および水性化合物(例えば、アニオン系の4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2−アゾビス(N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジンおよびカチオン系の2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン));並びにレドックス系の油性過酸化物(例えば、ベンゾイルパーオキサイド、パラクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイドおよびt−ブチルパーベンゾエートなど)、および水性過酸化物(例えば、過硫酸カリおよび過硫酸アンモニウムなど)が挙げられる。
乳化剤には、当業者に通常使用されているものを用いうるが、反応性乳化剤、例えば、アントックス(Antox)MS−60(日本乳化剤社製)、エレミノールJS−2(三洋化成工業社製)、アデカリアソープNE−20(旭電化社製)およびアクアロンHS−10(第一工業製薬社製)などが特に好ましい。
また、分子量を調節するために、ラウリルメルカプタンのようなメルカプタンおよびα−メチルスチレンダイマーなどのような連鎖移動剤を必要に応じて用いうる。
反応温度は開始剤により決定され、例えば、アゾ系開始剤では60〜90℃であり、レドックス系では30〜70℃で行うことが好ましい。一般に、反応時間は1〜8時間である。モノマー混合物の総量に対する開始剤の量は、一般に0.1〜5質量%であり、好ましくは0.2〜2質量%である。
上記乳化重合は多段階で行うことができ、例えば、二段階で行うことができる。すなわち、まず上記α,β−エチレン性不飽和モノマー混合物のうちの一部(モノマー混合物1)を乳化重合し、ここに上記α,β−エチレン性不飽和モノマー混合物の残り(モノマー混合物2)をさらに加えて乳化重合を行うものである。
ここでクリヤー塗膜とのなじみ防止の点から、モノマー混合物1はアミド基を有するα,β−エチレン性不飽和モノマーを含有していることが好ましい。またこの時、モノマー混合物2は、アミド基を有するα,β−エチレン性不飽和モノマーを含有していないことがさらに好ましい。なお、モノマー混合物1および2を一緒にしたものが、上記モノマー混合物であるため、先に示した上記α,β−エチレン性不飽和モノマー混合物の要件は、モノマー混合物1および2を一緒にしたものが満たすことになる。
上記アクリル樹脂エマルションの粒子径は0.01〜1.0μmの範囲であることが好ましい。粒子径が0.01μm未満であると作業性の改善の効果が小さく、1.0μmを上回ると得られる塗膜の外観が悪化する恐れがある。この粒子径の調節は、例えば、モノマー組成や乳化重合条件を調整することにより可能である。
上記アクリル樹脂エマルションは、必要に応じて塩基で中和することにより、pH5〜10で用いることができる。これは、このpH領域における安定性が高いからである。この中和は、乳化重合の前または後に、ジメチルエタノールアミンやトリエチルアミンのような3級アミンを系に添加することにより行うことが好ましい。
成分(a)のアクリル樹脂エマルションは、水性ベース塗料中に10〜60質量%、好ましくは15〜50質量%の量で配合する。10質量%未満では、高固形分化と良好なFF性が得られない。60質量%を超えると、塗着時の粘度上昇が速すぎ、得られる塗膜の色ムラが発生する。
成分(b)
本発明の水性ベース塗料は、水溶性アクリル樹脂(b)を含有する。水溶性アクリル樹脂は、水性ベース塗料中に5〜40質量%、好ましくは10〜30質量%の量で含有する。5質量%より少ないと、塗着時の粘度上昇が速すぎ、得られる塗膜の色ムラが発生する。40質量%を超えると、良好なFF性が出なくなる。
水溶性アクリル樹脂は、数平均分子量3000〜50000、好ましくは6000〜30000であることが好ましい。3000より小さいと作業性および硬化性が十分でなく、50000を越えると塗装時の不揮発分が低くなりすぎ、かえって作業性が悪くなる。なお、本明細書中、数平均分子量および重量平均分子量は、ポリスチレン標準サンプル基準を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定し決定することができる。
また、水溶性アクリル樹脂は10〜100mgKOH/g、更に20〜80mgKOH/gの酸価を有することが好ましく、上限を越えると塗膜の耐水性が低下し、下限を下回ると樹脂の水分散性が低下する。また、20〜180mgKOH/g、更に30〜160mgKOH/gの水酸基価を有することが好ましく、上限を越えると塗膜の耐水性が低下し、下限を下回ると塗膜の硬化性が低下する。
この水溶性アクリル樹脂は、先のモノマー混合物のところで述べた酸基を有するα,β−エチレン性不飽和モノマーを必須成分とし、それ以外のα,β−エチレン性不飽和モノマーとともに溶液重合を行うことにより得ることができる。
なお、上記水溶性アクリル樹脂は、通常、塩基性化合物、例えばモノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン及びジメチルエタノールアミンのような有機アミンで中和し、水に溶解させて用いるが、この中和は、水溶性アクリル樹脂そのものに対して行っても、後述する水性ベース塗料の製造時に行ってもよい。
成分(c)
本発明の水性ベース塗料は、メラミン樹脂(c)を硬化剤として含有する。メラミン樹脂は、水溶性であっても、非水溶性であってもよい。メラミン樹脂のなかでも水トレランスが3.0以上のものを用いることが、安定性上好ましい。ここで用いる水トレランスとは、親水性の度合を評価するためのものであり、その値が高いほど親水性が高いことを意味する。水トレランス値の測定方法は、25℃において、100mlビーカー内で、サンプル0.5gをアセトン10mlに混合して分散させ、ビュウレットを用いてイオン交換水を徐々に加え、混合物が白濁を生じるまでに要するイオン交換水の量(ml)を測定し、このイオン交換水の量(ml)を水トレランス値としたものである。
メラミン樹脂の含有量は水性ベースコート組成物中の樹脂固形分に対し、20〜40質量%であることが好ましい。20質量%未満では硬化性が低下し、40質量%を超えると塗料の安定性が低下するおそれがある。
成分(d)
本発明では、系中の疎水性材料に対する乳化安定化能を確保するために、水性ベース塗料中に炭素数10〜16のαーオレフィン化合物(i)と不飽和二重結合を有するカルボン酸無水物(ii)との共重合体に、炭素数8〜22およびHLB10〜20のポリエチレングリコールモノアルキルエーテル(iii)を反応させて得られる、固形分酸価20〜60mgKOH/g、重量平均分子量10,000〜100,000のノニオン変性オレフィン樹脂が0.1〜5質量%、好ましくは0.5〜3質量%の量で添加される。添加量が0.1質量%より少ないと、塗料の安定性(特に、耐付着安定性)が低下して、ブツが発生する。5質量%を超えると、塗料のチクソトロピックインデックス値(TI値)が低下して、塗装品質が悪くなる。
炭素数10〜16のα−オレフィン化合物と不飽和二重結合を有するカルボン酸無水物との共重合体における、炭素数10〜16のα−オレフィンとしては1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセンおよびその混合物が挙げられる。
αーオレフィン化合物(i)と共重合する不飽和二重結合を有するカルボン酸無水物(ii)は、マレイン酸、マレイン化ポリブテンまたはそれらの混合物が挙げられる。好ましくは、マレイン酸である。
α−オレフィン化合物(i)と不飽和二重結合を有するカルボン酸無水物(ii)との共重合方法は無溶剤でも溶剤を併用して行ってもよい。また不飽和二重結合を有するカルボン酸無水物(ii)はα−オレフィン化合物(i)と共に一度に仕込んでもよく、あるいは重合系に徐々に添加してもよい。これらの重合方法に関しては特に制限されるものではない。この際用いる重合開始剤としてはアゾビスイソブチロニトリル、アゾビス2,4−ジメチルバレロニトリル等のアゾビス化合物、キュメンヒドロパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、ジt−ブチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過酸化物等が挙げられる。特にこれらに限定されるものではないが、好ましくは有機過酸化物、有機アゾ化合物を使用する方が望ましい。
上記共重合体に特定のポリエチレングリコールモノアルキルエーテル(iii)を反応させて所定のノニオン変性オレフィン樹脂(d)を形成する。ポリエチレングリコールモノアルキルエーテルは、炭素数8〜22、好ましくは10〜20で、HLB10〜20、好ましくは12〜18である。HLBは、(親水性部分の分子量)÷(全分子量)×20で表される親水性を表す指標である。炭素数が上記範囲外であると、耐付着安定性が低下する。また、HLBが所定範囲外であっても、耐付着安定性が悪くなる。
反応は、α−オレフィン化合物(i)と不飽和二重結合を有するカルボン酸無水物(ii)との共重合体と特定のポリエチレングリコールモノアルキルエーテル(iii)を反応釜に仕込み、約70℃から180℃の温度範囲で数時間反応させれば目的のものが得られる。溶媒は必要に応じて添加してもよい。また、最終の固形分酸価としては好ましくは20〜60mgKOH/g、好ましくは25〜50であり、重量平均分子量は10,000〜100,000、好ましくは20000〜80000である。酸価が上記範囲外であると耐付着安定性が悪くなる。重量平均分子量が10,000未満であると、塗膜の諸性能が低下し、100,000を超えると、耐付着安定性が低下する。
さらに水性化する場合には得られた反応物にアルカリ性成分、例えば、水酸化物、有機アミンなどで中和することにより容易に水性化できる。具体的には水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、アンモニア水、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、などが挙げられるが必ずしもこれらに限定されるものではない。
その他の成分
本発明の水性ベース塗料は、顔料を含む。顔料としては、光輝性顔料および着色顔料が挙げられる。光輝性顔料としては、形状は特に限定されず、また着色されていてもよいが、例えば、平均粒径(D50)が2〜50μmであり、かつ厚さが0.1〜5μmであるものが好ましい。また、平均粒径が10〜35μmの範囲のものが光輝感に優れ、さらに好適に用いられる。具体的には、アルミニウム、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、スズ、酸化アルミニウム等の金属または合金等の無着色あるいは着色された金属製光輝剤およびその混合物が挙げられる。この他に干渉マイカ顔料、ホワイトマイカ顔料、グラファイト顔料などもこの中に含めるものとする。
一方、着色顔料としては、例えば有機系のアゾキレート系顔料、不溶性アゾ系顔料、縮合アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、インジゴ顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、ジオキサン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、金属錯体顔料等が挙げられ、無機系では黄鉛、黄色酸化鉄、ベンガラ、カーボンブラック、二酸化チタン等が挙げられる。
本発明の水性ベース塗料中の全顔料濃度(PWC)としては、0.1〜50質量%であることが好ましい。さらに好ましくは、0.5〜40質量%であり、特に好ましくは、1.0〜30質量%である。上限を越えると塗膜外観が低下する。また、光輝性顔料が含まれる場合、その顔料濃度(PWC)としては、一般的に18.0質量%以下であることが好ましい。上限を越えると塗膜外観が低下する。さらに好ましくは、0.01〜15.0質量%であり、特に好ましくは、0.01〜13.0質量%である。
またさらに、本発明の水性ベース塗料には、上塗り塗膜とのなじみ防止、塗装作業性を確保するために、その他の粘性制御剤を添加することができる。粘性制御剤としては、一般にチクソトロピー性を示すものを使用でき、例えば、架橋あるいは非架橋の樹脂粒子、脂肪酸アマイドの膨潤分散体、アマイド系脂肪酸、長鎖ポリアミノアマイドの燐酸塩等のポリアマイド系のもの、酸化ポリエチレンのコロイド状膨潤分散体等のポリエチレン系等のもの、有機酸スメクタイト粘土、モンモリロナイト等の有機ベントナイト系のもの、ケイ酸アルミ、硫酸バリウム等の無機顔料、顔料の形状により粘性が発現する偏平顔料等を挙げることができる。
本発明に用いられる水性メタリックベース塗料中には、上記成分の他に塗料に通常添加される添加剤、例えば、表面調整剤、増粘剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、消泡剤等を配合してもよい。これらの配合量は当業者の公知の範囲である。
上記水性ベース塗料は、成分(c)のメラミン樹脂硬化剤の他に、他の硬化剤を含んでもよい。そのような硬化剤としては、塗料一般に用いられているものを使用することができる。このようなものとして、ブロックイソシアネート、エポキシ化合物、アジリジン化合物、カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物、金属イオン等が挙げられる。得られた塗膜の諸性能、コストの点からブロックイソシアネート樹脂が一般的に用いられる。
上記ブロックイソシアネート樹脂としては、トリメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等のポリイソシアネートに活性水素を有するブロック剤を付加させることによって得ることができるものであって、加熱によりブロック剤が解離してイソシアネート基が発生するものが挙げられる。
本発明の水性ベース塗料には、更に必要に応じて、ポリエステル樹脂を配合してもよい。ポリエステル樹脂は酸成分およびアルコール成分を縮重合して得られる。上記酸成分としては特に限定されず、アジピン酸、セバシン酸、イソフタル酸、無水フタル酸等の多価カルボン酸化合物およびそれらの無水物を挙げることができる。さらに、酸成分として、ジメチロールプロピオン酸等の1分子中にカルボン酸基と水酸基とを有する化合物を用いることができる。また、上記アルコール成分としては特に限定されず、エチレングリコール、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコール等の多価アルコール化合物を挙げることができる。上記ポリエステル樹脂は、好ましくは、樹脂固形分酸価20〜80mgKOH/g、および数平均分子量1000〜15000を有する。ポリエステル樹脂は、得られる塗膜の色ムラを抑制するために添加される。ポリエステル樹脂の塗料中の配合量は、5〜30質量%、好ましくは10〜20質量%である。5質量%より少ないと、色ムラ抑制の効果が小さく、30質量%より多いと、FF性が低下するおそれがある。
本発明に用いられる塗料の製造方法は、後述するものを含めて、特に限定されず、顔料等の配合物をニーダーまたはロール等を用いて混練、分散する等の当業者に周知の全ての方法を用い得る。
本発明の水性ベース塗料は、主として自動車用の上塗り塗料、特に自動車用鋼板上に形成された中塗り塗膜上に、水性ベース塗料を塗装してベース塗膜を形成した後、有機溶剤型クリヤー塗料を塗布してクリヤー塗膜を形成し、上記ベース塗膜とクリヤー塗膜とを加熱し硬化させる、いわゆる2コート1ベークの複層塗膜形成方法に用いられる。従って、水性ベース塗料を塗装した後に、クリヤー塗料を塗装する複層塗膜形成方法について説明する。
有機溶剤型クリヤー塗料
上記有機溶剤型クリヤー塗料は、特に限定されず、塗膜形成性樹脂および硬化剤等を含有するクリヤー塗料を利用できる。更に下地の意匠性を妨げない程度であれば着色顔料を含有することもできる。
上記有機溶剤型クリヤー塗料の好ましい例としては、透明性あるいは耐酸エッチング性等の点から、アクリル樹脂および/またはポリエステル樹脂とアミノ樹脂及び/またはイソシアネート樹脂との組合わせ、あるいはカルボン酸・エポキシ硬化系を有するアクリル樹脂および/またはポリエステル樹脂系等が挙げられる。
更に、上記有機溶剤型クリヤー塗料には、塗装作業性を確保するために、粘性制御剤が添加されていることが好ましい。粘性制御剤は、一般にチクソトロピー性を示すものを使用できる。このようなものとして、例えば、上述の水性ベースコート組成物のところで述べたものを使用することができる。また必要により、硬化触媒、表面調整剤等を含むことができる。
被塗物
本発明の塗膜形成方法は、種々の基材、例えば金属、プラスチック、発泡体等、特に金属表面、および鋳造物に有利に用い得るが、カチオン電着塗装可能な金属製品に対し、特に好適に使用できる。
上記金属製品としては、例えば、鉄、銅、アルミニウム、スズ、亜鉛等およびこれらの金属を含む合金が挙げられる。具体的には、乗用車、トラック、オートバイ、バス等の自動車車体および部品が挙げられる。これらの金属は予めリン酸塩、クロム酸塩等で化成処理されたものが特に好ましい。
上記化成処理された鋼板上に電着塗膜が形成されていても良く、この電着塗料としては、カチオン型及びアニオン型を使用できるが、カチオン型電着塗料組成物が防食性において優れた複層塗膜を与えるため好ましい。
上記プラスチック製品としては、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂等のものが挙げられる。具体的には、スポイラー、バンパー、ミラーカバー、グリル、ドアノブ等の自動車部品等が挙げられる。これらのプラスチック製品は、トリクロロエタンで蒸気洗浄または中性洗剤で洗浄されたものが好ましく、また、さらに静電塗装を可能にするためのプライマー塗装が施されていてもよい。
上記基材上にはさらに必要に応じて、中塗り塗膜が形成されていてもよい。中塗り塗膜の形成には中塗り塗料が用いられる。この中塗り塗料には、塗膜形成性樹脂、硬化剤、有機系や無機系の各種着色顔料及び体質顔料等が含有される。
上記中塗り塗料に含まれる塗膜形成性樹脂は、特に限定されるものではなく、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等の塗膜形成性樹脂が利用でき、これらは、先の水性ベースコート組成物のところで挙げた硬化剤と組み合わせて用いられる。得られた塗膜の諸性能、コストの点からアミノ樹脂および/またはイソシアネート樹脂が一般的に用いられる。
上記中塗り塗料に含まれる着色顔料としては、先の水性ベースコート組成物の記載で挙げたものを同様に用いることができる。標準的には、カーボンブラックと二酸化チタンとを主要顔料としたグレー系中塗り塗料や上塗りとの色相を合わせたセットグレーや各種の着色顔料を組み合わせた、いわゆるカラー中塗り塗料を用いることが好ましい。更に、アルミニウム粉、マイカ粉等の扁平顔料が添加されていても良い。これらの中塗り塗料中には、上記成分の他に塗料に通常添加される添加剤、例えば、表面調整剤、酸化防止剤、消泡剤等が配合されていてもよい。
複層塗膜形成方法
本発明の複層塗膜形成方法では、必要により電着塗膜および中塗り塗膜を形成した被塗物上に、水性ベース塗料によるベース塗膜及び有機溶剤型クリヤー塗料によるクリヤー塗膜を、順次形成することができる。
本発明で、水性ベース塗料を、自動車車体に塗装する場合は、外観を高めるために、エアー静電スプレー塗装による多ステージ塗装、好ましくは2ステージで塗装するか、或いは、エアー静電スプレー塗装と、通称「μμ(マイクロマイクロ)ベル」、「μ(マイクロ)ベル」あるいは「メタベル」等と言われる回転霧化式の静電塗装機とを組み合わせた塗装方法等により塗膜を形成する方法を用いることができる。
本発明における、水性ベース塗料による塗装時の塗膜の膜厚は所望の用途により変化するが、多くの場合10〜30μmが有用である。上限を越えると、鮮映性が低下したり、塗装時にムラあるいは流れ等の不具合が起こることがあり、下限を下回ると、下地が隠蔽できず膜切れが発生する。
本発明の複層塗膜形成方法では、未硬化のベース塗膜の上にさらにクリヤー塗料を塗布し、クリヤー塗膜を形成すること(ウェット・オン・ウェット塗装)が焼き付け乾燥炉を省略することができ、経済性及び環境面からも好ましい。なお、良好な仕上がり塗膜を得るために、クリヤー塗料を塗布する前に、未硬化のベース塗膜を40〜100℃で2〜10分間加熱しておくことが望ましい。
本発明の塗膜形成方法において、上記ベース塗膜を形成した後に塗装されるクリヤー塗膜は、上記ベース塗膜に起因する凹凸、チカチカ等を平滑にし、保護するために形成される。塗装方法として具体的には、先に述べたμμベル、μベル等の回転霧化式の静電塗装機により塗膜を形成することが好ましい。
上記クリヤー塗料により形成されるクリヤー塗膜の乾燥膜厚は、一般に10〜80μm程度が好ましく、より好ましくは20〜60μm程度である。上限を越えると、塗装時にワキあるいはタレ等の作業性の不具合が起こることもあり、下限を下回ると、下地の凹凸が隠蔽できない。
上述のようにして得られたクリヤー塗膜は、先に述べたように未硬化のベース塗膜とともに焼き付ける、いわゆる2コート1ベークによって塗膜形成を行うことが好ましい。焼き付け温度を80〜180℃、好ましくは120〜160℃に設定することで高い架橋度の硬化塗膜が得られる。上限を越えると、塗膜が固く脆くなり、下限未満では硬化が充分でない。硬化時間は硬化温度により変化するが、120〜160℃で10〜30分が適当である。
本発明で形成される複層塗膜の膜厚は、多くの場合30〜300μmであり、好ましくは50〜250μmである。上限を越えると、冷熱サイクル等の膜物性が低下し、下限を下回ると膜自体の強度が低下する。
以下、具体的な実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例により限定されるものではない。なお、以下「部」とあるのは「質量部」を意味する。
製造例1 アクリル樹脂エマルション1の製造
反応容器に脱イオン水126.5部を加え、窒素気流中で混合撹拌しながら80℃に昇温した。次いで、アクリル酸メチル27.61部、アクリル酸エチル53.04部、スチレン4.00部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル9.28部、メタクリル酸3.07部およびメタクリル酸アリル3.00部のモノマー混合物100部、アクアロンHS−10(ポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテル硫酸エステル、第一工業製薬社製)0.7部、アデカリアソープNE−20(α−[1−[(アリルオキシ)メチル]−2−(ノニルフェノキシ)エチル]−ω−ヒドロキシオキシエチレン、旭電化社製)0.5部、および脱イオン水80部からなるモノマー乳化物と、過硫酸アンモニウム0.3部、および脱イオン水10部からなる開始剤溶液とを2時間にわたり並行して反応容器に滴下した。滴下終了後、2時間同温度で熟成を行った。次いで、40℃まで冷却し、400メッシュフィルターで濾過した後、脱イオン水70部およびジメチルアミノエタノール0.32部を加えpH6.5に調整し、平均粒子径150nm、不揮発分25%、固形分酸価20mgKOH/g、水酸基価40mgKOH/gの単層のアクリル樹脂エマルション1を得た。
製造例2 アクリル樹脂エマルション2の製造
製造例1において、アクリル酸メチルの配合量を30.61部に変更し、メタクリル酸アリルを配合しない以外は、製造例1と同様に処理して、平均粒子径150nm、不揮発分25%、固形分酸価20mgKOH/g、水酸基価40mgKOH/gの単層のアクリル樹脂エマルション2を得た。
製造例3 水溶性アクリル樹脂の製造
反応容器にトリプロピレングリコールメチルエーテル23.89部およびプロピレングリコールメチルエーテル16.11部を加え、窒素気流中で混合撹拌しながら105℃に昇温した。次いで、メタクリル酸メチル13.1部、アクリル酸エチル68.4部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル11.6部およびメタクリル酸6.9部を含むモノマー混合物を作成し、そのモノマー混合物100部、トリプロピレングリコールメチルエーテル10.0部およびターシャルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート1部からなる開始剤溶液を3時間にわたり並行して反応容器に滴下した。滴下終了後、0.5時間同温度で熟成を行った。
さらに、トリプロピレングリコールメチルエーテル5.0部およびターシャルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート0.3部からなる開始剤溶液を0.5時間にわたり反応容器に滴下した。滴下終了後、2時間同温度で熟成を行った。
脱溶剤装置により、減圧下(70torr)110℃で溶剤を16.1部留去した後、脱イオン水204部およびジメチルアミノエタノール7.1部を加えて水溶性アクリル樹脂溶液を得た。得られた水溶性アクリル樹脂溶液の不揮発分は30%であり、固形分酸価40mgKOH/g、水酸基価50mgKOH/g、粘度は140ポイズ(E型粘度計1rpm/25℃)であった。
製造例4 ポリエステル樹脂の製造
攪拌機、コンデンサー、温度計を具備した反応容器にジメチルテレフタル酸372部、ジメチルイソフタル酸380部、2−メチル−1,3−プロパンジオール576部、1,5−ペンタンジオール222部、テトラブチルチタネート0.41部を仕込み、160℃から230℃まで昇温しつつ4時間かけてエステル交換反応を行った。次いで系内を徐々に減圧していき、20分かけて5mmHgまで減圧し、さらに0.3mmHg以下の真空下まで減圧して、260℃にて40分間重縮合反応を行った。窒素雰囲気下、220℃まで冷却し、無水トリメリット酸を23部投入し、220℃で30分間反応を行ってポリエステル樹脂を得た。得られたポリエステル樹脂は、NMRの組成分析の結果、カルボン酸成分がモル比でテレフタル酸/イソフタル酸/トリメリット酸:48/49/3であり、ポリオール成分がモル比で2−メチル−1,3−プロパンジオール/1,5−ペンタンジオール:65/35であった。つまりポリカルボン酸成分、ポリオール成分のそれぞれの合計量を100モル%としたとき、芳香族ジカルボン酸が97モル%、イソフタル酸が49モル%、所定のジオールの合計量が65モル%、エチレングリコールは0モル%であった。
得られた樹脂について、以下の通り、特性値を測定した。
(1)数平均分子量:ポリスチレン標準サンプル基準を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定したところ、12000であった。
(2)酸価:試料0.2gを精秤し20mlのクロロホルムに溶解した後、0.01Nの水酸化カリウム(エタノール溶液)で滴定したところ、16.1mgKOH/gであった。
このポリエステル樹脂100部に、ブチルセロソルブ40部、トリエチルアミン2.7部を投入した後、80℃で1時間攪拌を行って溶解させた。次いで、イオン交換水193部をゆるやかに添加し、不揮発分30%のポリエステル樹脂を含んだポリエステルの水分散体1を得た。平均粒子径を測定するために、専用セルにイオン交換水だけを入れ、この分散体を1滴添加しかき混ぜ、樹脂固形分濃度0.1質量%に調整して動的光散乱式粒径測定装置LB−500(堀場製作所社製)によって、20℃で測定したところ、35nmであった。
製造例5 リン酸基含有アクリル樹脂の合成
攪拌機、温度調整器、冷却管を備えた1リットルの反応容器にエトキシプロパノール40部を仕込み、これにスチレン4部、n−ブチルアクリレート35.96部、エチルヘキシルメタアクリレート18.45部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート13.92部、メタクリル酸7.67部、エトキシプロパノール20部に、ホスマーPP(ユニケミカル社製アシッドホスホオキシヘキサ(オキシプロピレン)モノメタクリレート)20部を溶解した溶液40部、及びアゾビスイソブチロニトリル1.7部からなるモノマー溶液121.7部を120℃で3時間滴下した後、1時間さらに攪拌を継続した。得られた樹脂は、酸価105mgKOH/g、うちリン酸基による酸価55mgKOH/g、水酸基価60mgKOH/g、数平均分子量6000のアクリルワニスで、不揮発分が63%であった。
製造例6 ノニオン変性オレフィン樹脂1の合成
リニアレン16(出光興産株式会社から市販のαーオレフィン混合物;炭素数16の含有率99.4%)390gをジーt−ブチルパーオキサイド1.4gとトルエン10gをフラスコに仕込み、窒素ガス置換した後、150℃に加熱、撹拌しながら無水マレイン酸110gを2分毎に3.7gずつ、またジーtーブチルパーオキサイド1.4gを20分毎に0.7gずつ添加した。添加終了後、160℃に保ち、2時間反応させた。その後、HLB=16.6のエマルゲン420(花王株式会社から市販のポリエチレングリコールモノアルキルエーテル;アルキル炭素数18)を944g添加し、さらに2時間反応させた。その後、100℃以下まで冷却し、3−メチル−3−メトキシブタノールにて固形分濃度50%になるように希釈した。得られたノニオン変性オレフィン樹脂1の酸価は、44mgKOH/gで、重量平均分子量は48,000であった。表1に配合と、得られたノニオン変性オレフィン樹脂1の酸価と重量平均分子量を記載した。
製造例7 ノニオン変性オレフィン樹脂2〜5の合成
下記表1に記載の配合を用いる以外は製造例6と同様に処理して、ノニオン変性オレフィン樹脂2〜5を合成した。得られたノニオン変性オレフィン樹脂2〜5の酸価と重量平均分子量も表1に記載した。
Figure 0005562140
実施例1
水性メタリックベース塗料の製造
先の製造例1で得られたアクリル樹脂エマルション1を160部、10質量%ジメチルアミノエタノール10部、製造例3の水溶性アクリル樹脂33部(樹脂固形分30%)、製造例4のポリエステル樹脂33部(樹脂固形分30%)、メラミン樹脂としてサイメル204(三井サイテック社製混合アルキル化型メラミン樹脂、固形分80%、水トレランス3.6ml)を38部、プライムポールPX−1000(三洋化成工業社製2官能ポリエーテルポリオール)10部、製造例6で得られたノニオン変性オレフィン樹脂1を2部、光輝性顔料としてアルペーストMH8801(旭化成社製アルミニウム顔料)21部(固形分65%、PWC12%)、リン酸基含有アクリル樹脂5部、ラウリルアシッドフォスフェート0.3部を添加し、さらに、2−エチルヘキサノール30部、アデカノールUH−814N3.3部(ADEKA社製増粘剤、固形分30%)を均一分散することにより水性メタリックベース塗料を得た。
得られた塗料について、安定性(ポリプロピレンカップへの耐付着安定性)を以下の方法で評価した。耐付着安定性の結果を表2に示す。また、チクソトロピックインデックス(TI値)を以下の方法で測定して、その結果も表2に示す。表2には、アクリル樹脂
エマルションとノニオン変性オレフィン樹脂の配合量も記載する。
耐付着安定性の評価方法
得られた水性メタリックベース塗料300gをポリプロピレンカップに仕込み、マグネチックスターラーで1週間撹拌した。ポリプロピレンカップに入った塗料を別の容器に200メッシュ網で濾過しながら移した。ポリプロピレンカップを水で洗浄して、壁面のアルミニウム顔料の付着状態を目視で観察した。また、濾過残渣の有無も確認した。結果を以下の基準に従って評価をした。
ランク5:ポリプロピレンカップの壁面にアルミニウム顔料の付着がなく、濾過残渣も全くない。
ランク4:ポリプロピレンカップの壁面にアルミニウム顔料の付着がないが、濾過残渣が若干観察される。
ランク3:ポリプロピレンカップの壁面にアルミニウム顔料の付着が若干観察され、濾過残渣も若干観察される。
ランク2:ポリプロピレンカップの壁面にアルミニウム顔料の付着が多く観察され、濾過残渣も若干観察される。
ランク1:ポリプロピレンカップの壁面にアルミニウム顔料の付着が多く観察され、濾過残渣も多く観察される。
チクソトロピックインデックス値(TI値)
得られた水性メタリックベース塗料をデジタル表示型回転式粘度計ビスコベーシックプラス(ビスコテック社製B型粘度計)にて、25℃における回転数6rpmの時の粘度を3500〜4500mPa・sとなるように純水にて粘度調整した後、さらに25℃における回転数60rpmの時の粘度を測定し、(回転数6rpmの時の粘度)/(回転数60rpmの時の粘度)を計算してチクソトロピックインデックス値(TI値)とした。TI値5以上が優れていると評価した。
実施例2
上記実施例1において、ノニオン変性オレフィン樹脂1の代わりにノニオン変性オレフィン樹脂2を2部用いる以外は実施例1と同様に処理して、水性メタリックベース塗料を形成した。得られた水性メタリックベース塗料について、実施例1と同様に耐付着安定性評価およびTI値を求めた。結果を表2に示す。
実施例3
上記実施例1において、ノニオン変性オレフィン樹脂1の代わりにノニオン変性オレフィン樹脂3を2部用いる以外は実施例1と同様に処理して、水性メタリックベース塗料を形成した。得られた水性メタリックベース塗料について、実施例1と同様に耐付着安定性評価およびTI値を求めた。結果を表2に示す。
実施例4
上記実施例1において、ノニオン変性オレフィン樹脂1の代わりにノニオン変性オレフィン樹脂2を0.5部用いる以外は実施例1と同様に処理して、水性メタリックベース塗料を形成した。得られた水性メタリックベース塗料について、実施例1と同様に耐付着安定性評価およびTI値を求めた。結果を表2に示す。
実施例5
上記実施例1において、ノニオン変性オレフィン樹脂1の代わりにノニオン変性オレフィン樹脂2を2部用い、アクリル樹脂エマルション1を製造例2で得られたアクリル樹脂エマルション2を160量部用いる以外は実施例1と同様に処理して、水性メタリックベース塗料を形成した。得られた水性メタリックベース塗料について、実施例1と同様に耐付着安定性評価およびTI値を求めた。結果を表2に示す。
比較例1
上記実施例1において、ノニオン変性オレフィン樹脂1を添加しない以外は実施例1と同様に処理して、水性メタリックベース塗料を形成した。得られた水性メタリックベース塗料について、実施例1と同様に耐付着安定性評価およびTI値を求めた。結果を表2に示す。
比較例2
上記実施例1において、ノニオン変性オレフィン樹脂1の代わりにノニオン変性オレフィン樹脂4を2部用いる以外は実施例1と同様に処理して、水性メタリックベース塗料を形成した。得られた水性メタリックベース塗料について、実施例1と同様に耐付着安定性評価およびTI値を求めた。結果を表2に示す。
比較例3
上記実施例1において、ノニオン変性オレフィン樹脂1の代わりにノニオン変性オレフィン樹脂5を2部用いる以外は実施例1と同様に処理して、水性メタリックベース塗料を形成した。得られた水性メタリックベース塗料について、実施例1と同様に耐付着安定性評価およびTI値を求めた。結果を表2に示す。
比較例4
上記実施例1において、ノニオン変性オレフィン樹脂1を6部用いる以外は実施例1と同様に処理して、水性メタリックベース塗料を形成した。得られた水性メタリックベース塗料について、実施例1と同様に耐付着安定性評価およびTI値を求めた。結果を表2に示す。
Figure 0005562140
注)アクリル樹脂エマルションおよびノニオン変性オレフィン樹脂は固形分質量で表示している。
上記実施例から明らかなように、本発明のノニオン変性オレフィン樹脂を所定量添加すると耐付着安定性が高く、TI値も高い。一方、比較例1はノニオン変性オレフィン樹脂を添加しない例であるが、耐付着安定性が非常に悪い。比較例2は、ノニオン変性オレフィン樹脂の固形分酸価が17と本発明の範囲外にあるものを使用した例であるが、耐付着安定性が非常に悪くなる。比較例3は、ノニオン変性オレフィン樹脂の固形分酸価が62と本発明の範囲外にあるものを使用した例であるが、耐付着安定性が上昇してきているが、TI値が5より小さくなってきている。比較例4は、ノニオン変性オレフィン樹脂の添加量が6質量部と、本発明の所定配合量より高い例であり、耐付着安定性は優れているものの、TI値が許容できる値ではなくなった。
<複層塗膜形成方法(2コート・1ベーク)>
リン酸亜鉛処理した厚み0.8mm、縦30cm、横40cmのダル鋼板に、カチオン電着塗料「パワートップU−50」(日本ペイント社製)を、乾燥膜厚が20μmとなるように電着塗装し、160℃で30分間焼き付けた塗板に、25秒(No.4フォードカップを使用し、20℃で測定)に、予め希釈されたグレー中塗り塗料「オルガOP−30」(日本ペイント社製ポリエステル・メラミン系塗料)を、乾燥膜厚35μmとなるようにエアスプレーで2ステージ塗装し、140℃で30分間、焼き付けた。
冷却後、先の製造例の水性メタリックベース塗料を、脱イオン交換水を用いて6000mPa・s(B型粘度計を使用し、6rpmの条件にて、20℃で測定)に希釈した。室温23℃、湿度68%の条件下で乾燥膜厚15μmになるように「カートリッジベル」で2ステージ塗装した。2回の塗布の間に、1分30秒間のインターバルセッティングを行った。2回目の塗布後、1分30秒間のインターバルをとって、セッティングを行った。その後、80℃で5分間のプレヒートを行った。
プレヒート後、塗装板を室温まで放冷し、クリヤー塗料としてマックフロー−O−1810(日本ペイント社製溶剤型クリヤー塗料)、乾燥膜厚35μmとなるように1ステージ塗装し、7分間セッティングした。ついで、塗装板を乾燥機で140℃で30分間焼き付けを行うことにより、複層塗膜を得た。いずれも塗膜外観は良好であった。
本発明の複層塗膜形成方法は、自動車車体等の高外観塗膜を形成する際に利用することができる。

Claims (10)

  1. 樹脂固形分100質量%中、
    (a)アクリル樹脂エマルションが固形分で10〜60質量%、
    (b)水溶性アクリル樹脂が固形分で5〜40質量%、
    (c)メラミン樹脂が固形分で20〜40質量%、および
    (d)炭素数10〜16のαーオレフィン化合物(i)と不飽和二重結合を有するカルボン酸無水物(ii)との共重合体に、炭素数8〜22およびHLB10〜20のポリエチレングリコールモノアルキルエーテル(iii)を反応させて得られる、固形分酸価20〜60mgKOH/g、重量平均分子量10,000〜100,000のノニオン変性オレフィン樹脂が0.1〜5質量%
    含有する水性ベース塗料。
  2. アクリル樹脂エマルション(a)が、架橋性モノマーを0.2〜20質量%含んだモノマー混合物をエマルション重合して得られる請求項1記載の水性ベース塗料。
  3. 架橋性モノマーが、アリルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレートまたはジビニルベンゼンである請求項2記載の水性ベース塗料。
  4. 水性ベース塗料が、更に、光輝性顔料を含む請求項1記載の複層塗膜の形成方法。
  5. 水性ベース塗料が、更に、ポリエステル樹脂を含有する請求項1記載の複層塗膜の形成方法。
  6. 自動車用鋼板上に形成された中塗り塗膜上に、水性ベース塗料を塗装してベース塗膜を形成した後、有機溶剤型クリヤー塗料を塗布してクリヤー塗膜を形成し、上記ベース塗膜とクリヤー塗膜とを加熱し硬化させる複層塗膜の形成方法であって、
    前記水性ベース塗料が、樹脂固形分100質量%中、
    (a)アクリル樹脂エマルションが固形分で10〜60質量%、
    (b)水溶性アクリル樹脂が固形分で5〜40質量%、
    (c)メラミン樹脂が固形分で20〜40質量%、および
    (d)炭素数10〜16のαーオレフィン化合物(i)と不飽和二重結合を有するカルボン酸無水物(ii)との共重合体に、炭素数8〜22およびHLB10〜20のポリエチレングリコールモノアルキルエーテル(iii)を反応させて得られる、固形分酸価20〜60mgKOH/g、重量平均分子量10,000〜100,000のノニオン変性オレフィン樹脂が0.1〜5質量%
    含有することを特徴とする複層塗膜形成方法。
  7. アクリル樹脂エマルション(a)が、架橋性モノマーを0.2〜20質量%含んだモノマー混合物をエマルション重合して得られる請求項6記載の複層塗膜の形成方法。
  8. 架橋性モノマーが、アリルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレートまたはジビニルベンゼンである請求項7記載の複層塗膜の形成方法。
  9. 水性ベース塗料が、更に、光輝性顔料を含む請求項6記載の複層塗膜の形成方法。
  10. 水性ベース塗料が、更に、ポリエステル樹脂を含有する請求項6記載の複層塗膜の形成方法。
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