JP5561891B2 - インクジェット用水性インク、インクジェット記録方法、インクカートリッジ、及びインクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェット用水性インク、インクジェット記録方法、インクカートリッジ、及びインクジェット記録装置 Download PDF

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本発明は、樹脂及び顔料を含有するインクジェット用水性インクに関する。
インクジェット記録方法で得られる画像の耐光性、耐ガス性、耐水性等の堅牢性を優れたものとするために、インクの色材として顔料を用いることが知られている。又、画像の耐擦過性や耐マーカー性を向上するために、樹脂を分散剤として顔料が分散された樹脂分散型顔料や、顔料の表面に親水性基が結合している自己分散型顔料と水溶性樹脂とをインクを用いることが知られている(特許文献1参照)。
特開平5−179183号公報
本発明者らは、インクジェット記録方法によって得られる画像の耐光性、耐ガス性、耐水性等の堅牢性、更には耐擦過性や耐マーカー性を向上することを目的として、樹脂分散型顔料を含有するインクについて詳細な検討を行った。その結果、分散剤として機能する樹脂の種類や特性によっては、インクの吐出特性に大きな影響を与えることが判明した。
そこで、本発明者らは、画像の堅牢性、耐擦過性や耐マーカー性、更にはインクの吐出特性を共に優れたものとするために、分散剤として用いる樹脂について更に詳細に検討を行った。その結果、水酸基を有する樹脂を用いて顔料が分散されたインクは、上記した課題を共に解決することができることがわかった。
しかし、水酸基を有する樹脂を用いて顔料が分散されたインクを充填したインクカートリッジをインクジェット記録装置に装着した後にインクを吐出しないで長期間放置すると、次のような新たな技術課題が発生することがわかった。即ち、記録ヘッドの吐出口からインク中の樹脂が滲み出し、吐出口の近傍に付着し、更には固着することで、吐出特性が悪化することがわかった。
従って、本発明の目的は、水酸基を有する樹脂を分散剤として顔料が分散された樹脂分散型顔料を含有するインクジェット用水性インク(以下、「インク」と呼ぶこともある)を用いた場合に、以下の課題を解決することができるインクジェット用水性インクを提供することにある。即ち、画像の耐擦過性や耐マーカー性に優れ、更には長期間保存した際にも樹脂の滲み出し現象が抑制され、吐出特性の悪化を抑制することができるインクジェット用水性インクを提供することにある。
又、本発明の別の目的は、前記インクジェット用水性インクを用いたインクカートリッジ、及びインクジェット記録方法を提供することにある。
上記の目的は以下の本発明によって達成される。即ち、本発明にかかるインクジェット用水性インクは、水酸基を有する樹脂、顔料(ただし、マイクロカプセル化顔料を除く)、及び水溶性有機溶剤を含有するインクジェット用水性インクであって、前記水酸基を有する樹脂が、水酸基を有するセグメントA及び水酸基を有さないセグメントBのAB型ブロック共重合体であり、前記セグメントBが、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、酢酸ビニル、1,3−ブタジエンからなる群から選ばれるモノマーに由来するユニットを有し、前記水酸基を有する樹脂には、前記顔料に吸着している樹脂及び前記顔料に吸着していない樹脂を含まれ、前記水溶性有機溶剤が、前記顔料に吸着していない樹脂に対して貧溶媒であり、かつ、前記セグメントBに対して良溶媒である第1の水溶性有機溶剤として、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、及び1,1,1−トリメチロールプロパンから選ばれる少なくとも1種、並びに、前記セグメントA及び前記セグメントBの両方に対して良溶媒である第2の水溶性有機溶剤として、グリセリン及びジエチレングリコールから選ばれる少なくとも1種を含み、前記第1の水溶性有機溶剤の含有量が、前記第2の水溶性有機溶剤の含有量よりも多いことを特徴とする。
又、本発明の別の実施態様にかかるインクジェット記録方法は、インクをインクジェット方法で吐出して記録媒体に記録を行うインクジェット記録方法において、前記インクが、上記構成のインクジェット用水性インクであることを特徴とする。
又、本発明の別の実施態様にかかるインクカートリッジは、インクを収容するインク収容部を備えたインクカートリッジにおいて、前記インクが、上記構成のインクジェット用水性インクであることを特徴とする。
又、本発明の別の実施態様にかかるインクジェット記録装置は、インクを収容するインク収容部と、インクを吐出するための記録ヘッドとを備えたインクジェット記録装置において、前記インクが、上記構成のインクジェット用水性インクであることを特徴とする。
本発明によれば、水酸基を有する樹脂を分散剤として顔料が分散された樹脂分散型顔料を含有するインクジェット用水性インクを用いた場合に、以下の課題を解決することができるインクジェット用水性インクを提供することができる。即ち、画像の耐擦過性や耐マーカー性に優れ、更には長期間保存した際にも樹脂の滲み出し現象が抑制され、吐出特性の悪化を抑制することができるインクジェット用水性インクを提供することができる。
又、本発明の別の実施態様によれば、前記水性インクを用いたインクカートリッジ、及びインクジェット記録方法を提供することができる。
以下に、発明を実施するための最良の形態を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
本発明者らは、インクジェット記録方法によって得られる画像の耐擦過性や耐マーカー性を向上させることを目的として、樹脂分散型顔料を含有するインクについて詳細な検討を行った。更に、顔料の親水性を高めることで、吐出特性を向上できると考え、前記樹脂分散型顔料の分散剤として、水酸基を有する樹脂を用いることについて検討を進めた。しかし、水酸基を有する樹脂を分散剤として顔料が分散された樹脂分散型顔料を含有するインクを充填したインクカートリッジをインクジェット記録装置に装着した後にインクを吐出しないで長期間放置すると、以下の課題が発生することがわかった。即ち、記録ヘッドの吐出口からインク中の樹脂が滲み出す現象が発生することを確認した。そこで、本発明者らが上記した現象が起きる原因を検討した。その結果、記録ヘッドのノズル内で、下記に述べる現象が起きていることが原因の1つであるという結論に至った。以下、図1を用いて、樹脂が滲み出すメカニズムを詳細に説明する。
図1は、水酸基を有する樹脂により顔料が分散された樹脂分散型顔料を含有するインクの状態が、ノズル内において時間と共に変化する様子を表す模式図である。
図1Aは、ヒーター2で付与される熱エネルギーによりインクが吐出口1より吐出された後の状態である。図1Aで示すように、ノズル内では、水分子4、樹脂が吸着した顔料5、水溶性有機溶剤6、更には、顔料に吸着していない状態の水酸基を有する樹脂(水酸基を有するフリー樹脂7)が均一に分布した状態で存在する。尚、本発明においては、顔料に吸着していない状態の樹脂のことを「フリー樹脂」、又、顔料に吸着していない状態の水酸基を有する樹脂のことを「水酸基を有するフリー樹脂」と呼ぶ。
図1Bは、図1Aの状態で一定期間放置した後の状態である。図1Bで示すように、ノズル内においては、時間の経過と共に、まず、吐出口1から水分が蒸発(蒸発した水分子8)する。更に時間が経過すると共に、ノズル内部の水分子4は吐出口1の方向に移動する。この際、水分子4と水素結合を形成している水酸基を有するフリー樹脂7も、水分子4と共に吐出口1の方向に移動する。
図1Cは、更に時間が経過した後の状態である。図1Cで示すように、水分子4と水素結合を形成している水酸基を有するフリー樹脂7は吐出口1から滲み出し、吐出口1を中心としてオリフィス面3に付着する。オリフィス面3に付着した直後の水酸基を有するフリー樹脂7は、結合した水分子4によって溶解した状態を保っている。しかし、時間の経過と共に結合した水分子4は蒸発するため、水酸基を有するフリー樹脂7は溶解性を失い、吐出口1周辺に固着物として付着する。
上記したメカニズムにより、記録ヘッドの吐出口からインク中の樹脂が滲み出す現象が発生し、その結果、固着物が存在することで、吐出特性が悪化すると考えられる。
尚、本発明にかかるインク中に存在する水酸基を有するフリー樹脂の全てが水分子と水素結合を形成しているかは不明である。しかし、水酸基を有する樹脂は、インク中でより安定に存在するために、その多くが水分子と水素結合を形成した状態で存在すると推測する。
上記で説明したように、滲み出す樹脂は、顔料に吸着していない状態の水酸基を有する樹脂、即ち水酸基を有するフリー樹脂である。つまり、インク中の水酸基を有するフリー樹脂の含有量を減らすことで、吐出特性の悪化を抑制することができると考えられる。
従って、吐出特性が悪化せず、且つ、耐擦過性、耐マーカー性が十分に得られる範囲で、以下のような工夫を行うことで、上記した現象を抑制することは可能であると考えられる。即ち、インク中の水酸基を有するフリー樹脂を極力減少させる、又は、分散剤を構成するモノマーの疎水性をより高いものとすることで顔料と分散剤との吸着力を高め、水酸基を有するフリー樹脂を極力発生させないようにすること等が考えられる。しかし、上記したような方法を実際に行うことは非常に困難である。そこで、本発明者らは、インク処方を工夫することで上記した現象を解決する手段について検討を行った。
その結果、以下の構成とすることで、水酸基を有するフリー樹脂が吐出口より滲みだす現象を抑制することができることがわかった。まず、水酸基を有するフリー樹脂に対して貧溶媒(詳細は後述する)であり、且つ水酸基を有するフリー樹脂を構成するセグメントを、水酸基を有するセグメントA及び水酸基を有さないセグメントBとする。尚、本発明においては、セグメントとは樹脂を構成する繰り返し単位のこととする。このときに、前記貧溶媒がセグメントA及びセグメントBのどちらか一方に対して良溶媒(詳細は後述する)である水溶性有機溶剤をインクに含有させることで、水酸基を有するフリー樹脂が吐出口より滲みだす現象を抑制することができることがわかった。吐出口から水酸基を有するフリー樹脂が滲み出す現象を抑制できる理由は明確には定かではないが、本発明者らは以下のように推測している。
水溶性有機溶剤が水酸基を有するフリー樹脂に対して良溶媒である場合、セグメントA及びセグメントBのどちらか一方に対して貧溶媒であったとしても、水酸基を有するフリー樹脂は水分子と水素結合を形成した状態でノズル内に存在する。その結果、図1A〜Cと同様の現象が起きると考えられる。
一方、水溶性有機溶剤が水酸基を有するフリー樹脂に対して貧溶媒である場合、吐出口からの水分の蒸発による貧溶媒の比率の急速な増加に伴って、水酸基を有するフリー樹脂はより安定に存在するために図1のヒーターの方向に移動する。本発明においては、この現象を「後退現象」と呼ぶ。その結果、滲み出し現象をある程度緩和することが可能であると考えられる。
しかし、本発明者らが検討したところ、滲み出し現象を十分に抑制できるのは、以下の場合のみであることがわかった。水酸基を有するフリー樹脂を構成するセグメントを、水酸基を有するセグメントA(図2における9)、水酸基を有さないセグメントB(図2における10)とする。このとき、貧溶媒がセグメントA又はセグメントBのどちらか一方に対して良溶媒である場合のみに、滲み出し現象を十分に抑制できることがわかった。
水溶性有機溶剤が水酸基を有するフリー樹脂に対して貧溶媒であり、且つセグメントA及びセグメントBの両方に対して貧溶媒である場合、吐出口からの水分の蒸発による貧溶媒の比率の急速な増加は、水酸基を有するフリー樹脂にとって不安定な環境となる。このため、水酸基を有するフリー樹脂の一部はヒーターの方向に移動する(後退現象を起こす)ことができずに、吐出口の近傍に取り残される。その結果、取り残された水酸基を有するフリー樹脂が、水分の蒸発による水分子の移動と共に吐出口の方向に移動し、滲み出し現象が起きる。
一方、水溶性有機溶剤が水酸基を有するフリー樹脂に対して貧溶媒であり、且つセグメントA及びセグメントBのどちらか一方に対して良溶媒である場合、以下のような状況となる。即ち、吐出口からの水分の蒸発による貧溶媒の比率の急速な増加は、水酸基を有するフリー樹脂にとって不安定な環境となる。しかし、上記で述べた、水溶性有機溶剤がセグメントA及びセグメントBの両方に対して貧溶媒である場合と比較して、吐出口からの水分の蒸発による貧溶媒の比率の急速な増加による環境の変化のスピードは緩やかである。その結果、水酸基を有するフリー樹脂が吐出口の近傍に取り残されることなく、水分が十分に存在する、即ち、水酸基を有するフリー樹脂が安定に存在することができるヒーターの方向に移動することができる。本発明においては、上記したようなメカニズムが起こるため、滲み出し現象を抑制することができると考えられる。
即ち、本発明者らは、滲み出し現象を抑制するためには、以下のようにすることが重要であるということを知見し、本発明を為すに至った。つまり、水酸基を有するフリー樹脂の後退現象を発現させるが、後退現象が急速に起こらないようにコントロールすることができる水溶性有機溶剤を選択して、インクに含有させることが重要である。
尚、上記した水酸基を有するフリー樹脂に対して貧溶媒であり、且つセグメントA及びセグメントBのどちらか一方に対して良溶媒である水溶性有機溶剤は、単独又は2種類以上を併用しても構わない。又、これらを添加することによる効果が得られ、且つ、本発明の目的効果を損なわない範囲で、その他の水溶性有機溶剤を用いても良い。例えば、水酸基を有するフリー樹脂に対して貧溶媒であり、且つセグメントA及びセグメントBの両方に対して貧溶媒である水溶性有機溶剤を用いても良い。
しかし、セグメントA及びセグメントBの両方に対して貧溶媒である水溶性有機溶剤を併用する場合、これらの水溶性有機溶剤の含有量によっては後退現象が急激に起こる場合がある。セグメントA及びセグメントBの両方に対して貧溶媒である水溶性有機溶剤の中でも特に、ポリエチレングリコールや下記に挙げる低級アルキルエーテル等を用いると、後退現象が急激に起こる傾向がある。前記低級アルキルエーテルは、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。又、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。これらの含有量は、セグメントA及びセグメントBの両方に対して貧溶媒であり、且つセグメントA及びセグメントBのどちらか一方に対して良溶媒である水溶性有機溶剤の含有量に対して50%以下、更には30%未満とすることが好ましい。又は、ポリエチレングリコールや上記したような低級アルキルエーテルの含有量は、インク全質量を基準として、5.0質量%以下、更には2.0質量%以下とすることが好ましい。
一方、セグメントA及びセグメントBの両方に対して貧溶媒である水溶性有機溶剤と、セグメントA及びセグメントBの両方に対して良溶媒である水溶性有機溶剤を併用する場合、貧溶媒による後退現象の効果をより効果的に得るために、以下の構成とすることが好ましい。即ち、インク中のセグメントA及びセグメントBの両方に対する良溶媒の含有量よりも、水酸基を有するフリー樹脂に対して貧溶媒であり、且つセグメントA及びセグメントBのどちらか一方に対して良溶媒である水溶性有機溶剤の含有量が大きいことが好ましい。
本発明において用いることができる貧溶媒及び良溶媒は、樹脂の種類によっても異なるが、以下の水溶性有機溶剤が挙げられる。水酸基を有するフリー樹脂に対して貧溶媒であり、且つセグメントA及びセグメントBのどちらか一方に対して良溶媒である水溶性有機溶剤は、2−ピロリドン、N−メチルー2−ピロリドン、1,1,1−トリメチロールプロパン等が挙げられる。又、セグメントA及びセグメントBの両方に対して良溶媒である水溶性有機溶剤は、グリセリンやジエチレングリコール等が挙げられる。又、セグメントA及びセグンメントBの両方に対して貧溶媒である水溶性有機溶剤は、平均分子量1,000のポリエチレングリコール等が挙げられる。
水酸基を有するフリー樹脂に対して貧溶媒であり、且つセグメントA及びセグメントBのどちらか一方に対して良溶媒である水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、吐出口から水酸基を有するフリー樹脂が滲みだす現象を抑制することができれば特に制限はない。本発明においては、水酸基を有するフリー樹脂のインク全質量を基準とした含有量(質量%)に対して、10倍以上、更には18倍以上、特には27倍以上であることが好ましい。又、水酸基を有する樹脂のように親水性が高い樹脂は、疎水性の高い顔料表面から脱着しやすい。このため、水酸基を有する樹脂に対して貧溶媒である水溶性有機溶剤のインク全質量を基準とした含有量(質量%)は、水酸基を有する樹脂のインク全質量に対する含有量(質量)に対して、9倍以上17倍以下、更には9倍以上15倍以下であることが好ましい。
<インク>
下記に、本発明にかかるインクを構成する各成分について説明する。
(貧溶媒・良溶媒)
本発明においては、樹脂に対する溶解性が低い水溶性有機溶剤を貧溶媒、樹脂に対する溶解性が高い水溶性有機溶剤を良溶媒と定義する。具体的には、以下の方法で貧溶媒及び良溶媒を判定することができる。
水溶性有機溶剤を50質量%となるように水で希釈した水溶液に、判定する樹脂の10質量%水溶液を0.5g滴下し、室温で密閉した状態で4日間放置する。その後、初期の状態と比較して、液体が白濁する場合や、油状物質又は析出物の存在が確認される場合、その水溶性有機溶剤を貧溶媒、液体に特に変化が生じない水溶性有機溶剤を良溶媒とする。
尚、水酸基を有するフリー樹脂を構成するセグメントA及びセグメントBに対する貧溶媒・良溶媒の判定も上記と同様の方法で行うことができる。しかし、セグメントA及びセグメントBは共重合体であるので、各セグメントに対する貧溶媒・良溶媒の判定を行うためには、水酸基を有するフリー樹脂を構成するセグメントA及びセグメントBをそれぞれ個別に調製して判定を行う必要がある。
尚、複数の樹脂を含有する市販のインク等に含有される複数の樹脂に対する貧溶媒及び良溶媒を判定する際には、以下の方法で行う。まず、遠心分離等により水酸基を有するフリー樹脂を抽出した後、ガスクロマトグラフィー等を用いて、水酸基を有する樹脂を分取する。その後、水酸基を有するフリー樹脂に対する水溶性有機溶剤の貧溶媒及び良溶媒の判定を行う。又、水酸基を有するフリー樹脂に対して、熱分解ガスクロマトグラフィー等を用いて樹脂を構成するモノマー成分を分析する。得られた分析結果を元に、セグメントA及びセグメントBをそれぞれ個別に調製して、水酸基を有するフリー樹脂に対して貧溶媒であると判定した水溶性有機溶剤に対する、貧溶媒及び良溶媒の判定を行う。
(水性媒体)
本発明にかかるインクは、水、又は水と各種水溶性有機溶剤との混合溶媒である水性媒体を用いることができる。
尚、インクには、フリー樹脂に対して貧溶媒であり、且つセグメントA及びセグメントBのどちらか一方に対して良溶媒である水溶性有機溶剤を含有させる必要がある。しかし、その他の水溶性有機溶剤、例えば、フリー樹脂に対して貧溶媒であり、且つセグメントA及びセグメントBの両方に対して貧溶媒である水溶性有機溶剤と併用しても構わない。但し、他の水溶性有機有機溶剤を併用する場合は、インクを充填したインクカートリッジをインクジェット記録装置に装着した後に、インクカートリッジを記録ヘッドに装着した状態でしばらく放置しても、後退現象を発現できる量比関係とする必要がある。尚、本発明にかかるインクに用いることができる水溶性有機溶剤は、水酸基を有する樹脂によって、貧溶媒及び良溶媒の関係が変わるため、下記のものに限定される訳ではない。
水溶性有機溶剤は、水溶性であれば特に制限はなく、以下のものを用いることができる。
1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,1,1−トリメチロールプロパン等の飽和炭素原子に水酸基が結合した多価アルコール類。エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等の炭素数1〜4の1価アルキルアルコール類。ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類。アセトン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトアルコール類。テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類。ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類。ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、チオジグリコール等のアルキレン基が2〜6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類。ポリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の低級アルキルエーテルアセテート等。ビスヒドロキシエチルスルホン。エチレングリコールモノメチル(又はエチル、ブチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル、ブチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(又はエチル、ブチル)エーテル等の低級アルキルグリコールエーテル類。トリエチレングリコールジメチル(又はエチル)エーテル、テトラエチレングリコールジメチル(又はエチル)エーテル等の低級ジアルキルグリコールエーテル類。モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン類。スルホラン、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等。
本発明においては、インクが平均分子量600以上1,500以下のポリエチレングリコールを含有する場合、吐出特性、特には連続してインクを吐出する場合の吐出特性を優れたものとすることができるため、特に好ましい。特に、平均分子量600以上1,500以下のポリエチレングリコールの含有量は、インク中の顔料(固形分)の含有量に対して、0.5倍以上であることが好ましい。
水酸基を有するフリー樹脂に対して貧溶媒であり、且つセグメントA及びセグメントBのどちらか一方に対して良溶媒である水溶性有機溶剤を含めた水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、以下のようにすることが好ましい。即ち、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下、更には7.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。
又、水は脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、40.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましい。
(水酸基を有する樹脂)
本発明にかかるインクは、水酸基を有する樹脂を含有することが必須である。水酸基を有する樹脂は、アクリルエステル系モノマーを共重合して得られるアクリルエステル系ポリマーのうち、アクリルエステル系モノマーの一部に、例えば、水酸基を有するモノマーを共重合した樹脂等が挙げられる。
水酸基を有するモノマーは、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
水酸基を有するモノマーと共重合するモノマーは、汎用のものを用いることができる。例えば、アクリルエステル系モノマーは、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。又、アクリルエステル系モノマー以外にも、水酸基を有するモノマーと共重合可能な二重結合を有するモノマーを用いることもできる。例えば、スチレンモノマー、酢酸ビニルモノマー、1,3−ブタジエン等が挙げられる。
又、水酸基を有する樹脂として、アクリルエステル系モノマーと酢酸ビニルモノマーを共重合して得られる酢酸ビニル−アクリルエステル系ポリマーを、水酸化ナトリウム等の強塩基でけん化した樹脂、即ちポリビニルアルコール系樹脂を用いることもできる。
尚、水酸基を有する樹脂をインクに添加する本来の目的である画像の耐擦過性や耐マーカー性、更には吐出特性を優れたものとすることができれば、前記樹脂の形態は、直鎖、分鎖、ブロック共重合等、特に規定されるものではない。しかし、貧溶媒による後退現象をより効果的に起こすために、水酸基を有するセグメント部分の分子量は20,000以下であることが好ましい。
又、水酸基を有する樹脂が、水酸基を有するセグメント及び水酸基を有さないセグメントの共重合体である場合はブロック共重合体であることが好ましく、更には、水酸基を有するモノマーが樹脂の末端に存在するブロック共重合体であることが好ましい。これは、顔料表面と吸着する水酸基を有する樹脂の疎水部が末端に集中している場合、顔料表面への水酸基を有する樹脂の吸着力が高まるためである。
本発明にかかるインクにおける、水酸基を有する樹脂のインク中の含有量(質量%)は、本来の目的である画像の耐擦過性や耐マーカー性、更には吐出特性を優れたものとすることができれば、特に制限されるものではない。しかし、本発明においては、滲み出し現象の原因である水酸基を有するフリー樹脂の含有量を少なくするために、水酸基を有する樹脂の含有量を極力少なくすることが好ましい。従って、インク中の顔料のインク全質量を基準とした含有量(質量%)を100とした時の、水酸基を有する樹脂のインク全質量を基準とした含有量(質量%)が、5.0%以上100.0%以下、更には7.0%以上20.0%未満であることが好ましい。又、水酸基を有する樹脂の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、1.0質量%未満、更には0.8質量%未満であることが好ましい。
尚、上記で説明した貧溶媒による効果は、樹脂分散型顔料を含有したインク特有の現象ではなく、自己分散型顔料及び水酸基を有する樹脂を含有するインク、染料及び水酸基を有する樹脂を含有するインクに対しても有効であることが確認されている。しかし、上記でも述べたように、水酸基を有する樹脂は非常に親水性が高い。従って、本発明の本来の目的である耐擦過性、耐マーカー性を優れたものとするためには、単に水酸基を有する樹脂をインクに添加しただけのインクではなく、前記樹脂が顔料に吸着している樹脂分散型顔料を色材として用いたインクであることが好ましい。
尚、本発明においては、インク中の水酸基を有するフリー樹脂の含有量は、樹脂の構造や、前記樹脂と共に用いる顔料等によって多少変動するが、その際は限外ろ過等により適宜調整することができる。
(インク中の水酸基を有するフリー樹脂の含有量)
本発明における、インク中の水酸基を有するフリー樹脂の含有量は以下の方法によって測定することが可能である。勿論、本発明は下記の方法に限られるものではなく、他の方法を用いて測定した値を用いても構わない。
インクを400,000G、16時間の条件で遠心分離を行い、上澄み部分の液体を95質量%採取する。その後、得られた液体を酸析して、フリー樹脂を分取する。更に、得られたフリー樹脂を乾固して、固形分を定量する。そして、仕込み量に対する割合から、インク全質量を基準としたフリー樹脂の含有量を求める。ここで、上記した条件で遠心分離を行った後に採取する上澄み部分の液体中には微細な顔料が含まれる場合がある。しかし、その顔料の量は非常に少ないため、本発明においては、上記の手順で酸析して得られる固形分を実質的なフリー樹脂の固形分とする。ここで、インク中の樹脂が、水酸基を有する樹脂のみである場合は、このフリー樹脂の固形分が、水酸基を有するフリー樹脂の固形分であり、この値からインク全質量を基準とした水酸基を有するフリー樹脂の含有量(質量%)を求める。
又、インクが2種類以上のフリー樹脂、例えば、水酸基を有するフリー樹脂及び水酸基を有さないフリー樹脂、を含有する場合もある。このような場合には、水酸基を有するフリー樹脂の含有量を定量するためには以下のような工夫をする必要がある。即ち、MALDI−TOF/MS(マトリックス支援レーザー脱離イオン化法及び飛行時間型質量分析計の組み合わせ)を用いることや、酸析条件を工夫することや、GPC等により、水酸基を有する樹脂を分取する。更に、13C−NMRやガスクロマトグラフィー等を用いて樹脂を構成するモノマーの成分分析を行う。この分析結果を元に、インクに含有されている樹脂と同じ構造の水酸基を有する樹脂の1質量%水溶液(標準サンプル)を調製する。その後、上記で得たフリー樹脂を1質量%含有する水溶液、及び、標準サンプルを、それぞれ同じ条件として赤外吸収スペクトルの測定を行う。標準サンプル及びフリー樹脂を含有する水溶液における赤外吸収スペクトルの測定結果から質量換算を行い、インク全質量を基準とした水酸基を有するフリー樹脂の含有量(質量%)を求める。
(顔料)
本発明にかかるインクに用いることができる顔料は、例えば、カーボンブラックや有機顔料等が挙げられる。顔料の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。
〔カーボンブラック〕
カーボンブラックは、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラックを用いることができる。勿論、本発明は下記に限定されるものではない。
レイヴァン:1170、1190ULTRA−II、1200、1255、1250、1500、2000、3500、5000、5250、5750、7000等(コロンビア製)。ブラックパールズL、リーガル:330R、400R、660R、モウグルL、モナク:700、800、880、900、1000、1100、1300、1400、ヴァルカンXC−72R等(キャボット製)。カラーブラック:FW1、FW2、FW2V、FW18、FW200、S150、S160、S170、プリンテックス:35、U、V、140U、140V、スペシャルブラック:4、4A、5、6等(デグッサ製)
No.25、No.33、No.40、No.47、No.52、No.900、No.2300、MCF−88、MA7、MA8、MA100、MA600等(三菱化学製)。
上記以外でも従来公知のカーボンブラックを用いることができる。又、マグネタイト、フェライト等の磁性体微粒子やチタンブラック等を黒色顔料として用いてもよい。
〔有機顔料〕
有機顔料は、具体的には、以下のものが挙げられる。
トルイジンレッド、トルイジンマルーン、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、ピラゾロンレッド等の不溶性アゾ顔料。リトールレッド、ヘリオボルドー、ピグメントスカーレット、パーマネントレッド2B等の水溶性アゾ顔料。アリザリン、インダントロン、チオインジゴマルーン等の建染染料からの誘導体。フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等のフタロシアニン系顔料。キナクリドンレッド、キナクリドンマゼンタ等のキナクリドン系顔料。ペリレンレッド、ペリレンスカーレット等のペリレン系顔料。イソインドリノンイエロー、イソインドリノンオレンジ等のイソインドリノン系顔料。ベンズイミダゾロンイエロー、ベンズイミダゾロンオレンジ、ベンズイミダゾロンレッド等のイミダゾロン系顔料。ピランスロンレッド、ピランスロンオレンジ等のピランスロン系顔料。
インジゴ系顔料。縮合アゾ系顔料。チオインジゴ系顔料。フラバンスロンイエロー、アシルアミドイエロー、キノフタロンイエロー、ニッケルアゾイエロー、銅アゾメチンイエロー、ペリノンオレンジ、アンスロンオレンジ、ジアンスラキノニルレッド、ジオキサジンバイオレット等。
又、有機顔料をカラーインデックス(C.I.)ナンバーにて示すと、以下のものが挙げられる。勿論、下記以外でも従来公知の有機顔料を用いることができる。
C.I.ピグメントイエロー:12、13、14、17、20、24、74、83、86、93、109、110、117、120、125、128、137、138、147、148、151、153、154、166、168等。C.I.ピグメントオレンジ:16、36、43、51、55、59、61等。C.I.ピグメントレッド:9、48、49、52、53、57、97、122、123、149、168、175、176、177、180、192、215、216、217、220、223、224、226、227、228、238、240等。C.I.ピグメントバイオレット:19、23、29、30、37、40、50等。C.I.ピグメントブルー:15、15:3、15:1、15:4、15:6、22、60、64等。C.I.ピグメントグリーン:7、36等。C.I.ピグメントブラウン:23、25、26等。
(分散剤)
本発明にかかるインクには、耐擦過性や耐マーカー性、更には吐出特性を考慮して、水酸基を有する樹脂を分散剤として用いることが必須である。更に、本発明にかかるインクには、これらを添加することによる効果が得られ、且つ、本発明の目的効果を損なわない範囲で、その他の樹脂を分散剤として併用しても構わない。
その他の分散剤は、アニオン性基の作用によって顔料を水性媒体に安定に分散させることのできるものが好適に用いられる。例えば、以下のものを用いることができる。
スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体又はこれらの塩等。スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体又はこれらの塩等。スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体又はこれらの塩等。スチレン−マレイン酸ハーフエステル共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸−マレイン酸ハーフエステル共重合体又はこれらの塩等。
本発明において用いる分散剤の重量平均分子量は、1,000以上30,000以下、更には3,000以上15,000以下、特には8,000以上14,000以下であることが好ましい。
(その他の添加剤)
本発明で使用するインク中には、上記の成分のほかに、更に必要に応じて保湿剤を添加することは勿論、所望の物性値を持つインクとするために、界面活性剤、消泡剤、防腐剤、防黴剤等を添加してもよい。
但し、本発明のように色材として樹脂分散型顔料を用いる場合、界面活性剤は顔料表面の疎水面に吸着する傾向がある。このため、分散剤として、水酸基を有する樹脂のように、親水性が高く、顔料表面から脱着しやすい樹脂を用いる場合には、インク中の界面活性剤の含有量をできるだけ小さくすることが好ましい。具体的には、インク中の顔料(固形分)の含有量(質量%)を100としたときに、界面活性剤の含有量(質量%)を25%以下、更には12.5%以下とすることが好ましい。
<インクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット、及びインクジェット記録装置>
インクジェット記録装置の一例について以下に説明する。まず、熱エネルギーを利用したインクジェット記録装置の主要部である記録ヘッドの構成の一例を図3及び図4に示す。図3は、インク流路に沿った記録ヘッド13の断面図であり、図4は図3のA−B線での切断面図である。記録ヘッド13はインク流路(ノズル)14を有する部材と発熱素子基板15とで構成される。発熱素子基板15は、保護層16、電極17−1及び17−2、発熱抵抗体層18、蓄熱層19、基板20で構成される。
記録ヘッド13の電極17−1及び17−2にパルス状の電気信号が印加されると、発熱素子基板15のnで示される領域が急速に発熱し、この表面に接しているインク21に気泡が発生する。そして、気泡の圧力でメニスカス23が突出し、インク21はインク滴24として、ノズル14の吐出口22から記録媒体25に向かって吐出される。
図5は、図3に示した記録ヘッドを多数並べたマルチヘッドの一例の外観図である。マルチヘッドは、マルチノズル26を有するガラス板27と、図3と同様の記録ヘッド28で構成される。
図6は、記録ヘッドを組み込んだインクジェット記録装置の一例を示す斜視図である。ブレード61はワイピング部材であり、その一端はブレード保持部材によって保持されており、カンチレバーの形態をなす。ブレード61は記録ヘッド65による記録領域に隣接した位置に配置され、記録ヘッド65の移動経路中に突出した形態で保持される。
62は記録ヘッド65の吐出口面のキャップであり、ブレード61に隣接するホームポジションに配置され、記録ヘッド65の移動方向と垂直な方向に移動して、インク吐出口面と当接し、キャッピングを行う構成を備える。63はブレード61に隣接して設けられるインク吸収体であり、ブレード61と同様に、記録ヘッド65の移動経路中に突出した形態で保持される。吐出回復部64は、ブレード61、キャップ62、及びインク吸収体63で構成される。ブレード61及びインク吸収体63によって吐出口面の水分、塵埃等の除去が行われる。
65は、吐出エネルギー発生手段を有し、吐出口を配した吐出口面に対向する記録媒体にインクを吐出して記録を行う記録ヘッド、66は記録ヘッド65を搭載して記録ヘッド65の移動を行うためのキャリッジである。キャリッジ66はガイド軸67と摺動可能に係合し、キャリッジ66の一部はモーター68によって駆動されるベルト69と接続(不図示)している。これによりキャリッジ66はガイド軸67に沿った移動が可能となり、記録ヘッド65による記録領域及びそれに隣接した領域の移動が可能となる。
51は記録媒体を挿入する紙給部、52は不図示のモーターにより駆動される紙送りローラーである。これらの構成により記録ヘッド65の吐出口面と対向する位置へ記録媒体が給紙され、記録の進行につれて排紙ローラー53を有する排紙部へ排紙される。記録ヘッド65による記録が終了して、記録ヘッドがホームポジションへ戻る際に、吐出回復部64のキャップ62は記録ヘッド65の移動経路から退避しているが、ブレード61は移動経路中に突出している。このようにして、記録ヘッド65の吐出口がワイピングされる。
キャップ62が記録ヘッド65の吐出口面に当接してキャッピングを行う際には、キャップ62は記録ヘッドの移動経路中に突出するように移動する。記録ヘッド65がホームポジションから記録開始位置へ移動する際には、キャップ62及びブレード61は、上記したワイピングの際と同一の位置にある。この結果、この移動においても記録ヘッド65の吐出口面がワイピングされる。記録ヘッドのホームポジションへの移動は、記録終了時や吐出回復時ばかりでなく、記録ヘッドが記録のために記録領域を移動する間にも、所定の間隔で記録領域に隣接したホームポジションへ移動し、この移動に伴ってもワイピングが行われる。
図7は、記録ヘッドにインク供給部材、例えば、チューブを介して供給されるインクを収容したインクカートリッジの一例を示す図である。ここで40は供給用インクを収納したインク収容部、例えば、インク袋であり、その先端にはゴム製の栓42が設けられている。この栓42に針(不図示)を挿入することにより、インク袋40中のインクを記録ヘッドに供給可能にする。44は廃インクを受容するインク吸収体である。
記録ヘッドとインクカートリッジとが別体となったものに限らず、図8に示すように、それらが一体になったものも好適に用いることができる。図8において、70は記録ユニットであり、この中にはインクを収容したインク収容部、例えば、インク吸収体が収納されており、インク吸収体中のインクが複数の吐出口を有する記録ヘッド部71からインク滴として吐出される。又、インク吸収体を用いず、インク収容部が内部にバネ等を仕込んだインク袋であるような構造でもよい。72はカートリッジ内部を大気に連通させるための大気連通口である。この記録ユニット70は図6に示す記録ヘッド65に換えて用いられるものであって、キャリッジ66に対して着脱自在になっている。
次に、力学的エネルギーを利用したインクジェット記録装置について説明する。複数のノズルを有するノズル形成基板、圧電材料と導電材料で構成される圧力発生素子、圧力発生素子の周囲を満たすインクを備え、印加電圧により圧力発生素子を変位させ、インク滴を吐出口から吐出する記録ヘッドを有することが特徴である。図9は記録ヘッドの構成の一例を示す模式図である。記録ヘッドは、インク室に連通するインク流路80、オリフィスプレート81、インクに圧力を作用させる振動板82、振動板82に接合されて電気信号により変位する圧電素子83、オリフィスプレート81や振動板82等を支持固定する基板84で構成される。圧電素子83にパルス状の電圧を与えることで発生した歪み応力は、圧電素子83に接合された振動板を変形させ、インク流路80内のインクを加圧することで、オリフィスプレート81の吐出口85からインク滴を吐出する。このような記録ヘッドは、図4と同様のインクジェット記録装置に組み込んで用いることができる。
次に、実施例、参考例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、下記実施例によって限定されるものではない。尚、文中「部」、及び「%」とあるのは、特に断りのない限り質量基準である。
<顔料分散液の調製>
以下の顔料分散液の調製において、カーボンブラック及び樹脂は、下記のものを用いた。勿論、本発明はこれに限られるものではない。
・カーボンブラック:比表面積が210m/gでDBP吸油量が74ml/100gであるもの。
・樹脂A:重量平均分子量が8,000であるポリ(2−ヒドロキシエチルアクリレート)−b−ポリ(スチレン−co−アクリル酸)(組成(モル)比20:60:20)を10質量%水酸化カリウム水溶液で中和して得られた樹脂。
・樹脂B:重量平均分子量が14,000であるポリ(ベンジルメタクリレート−co−アクリル酸)(組成(モル)比70:30)を、10質量%水酸化カリウム水溶液で中和して得られた樹脂。
(ブラック顔料分散液1の調製)
カーボンブラック10部、樹脂A2部、イオン交換水88部を混合し、バッチ式縦型サンドミルを用いて3時間分散させた。得られた分散液を遠心分離処理することで粗大粒子を除去した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧ろ過して、樹脂分散型ブラック顔料1を調製した。更に、上記で得られた樹脂分散型ブラック顔料1に水を加えて顔料濃度が10質量%となるように分散させ、分散液を調製した。上記の方法により、ブラック顔料分散液1を得た。得られたブラック顔料分散液1を限外濾過して、水酸基を有するフリー樹脂の含有量を調整した。ブラック顔料分散液1中の、顔料の含有量及び樹脂Aの含有量の質量比率(顔料:樹脂A)は、100:19であった。
(ブラック顔料分散液2の調製)
カーボンブラック10部、樹脂A2部、樹脂B2部、イオン交換水86部を混合し、バッチ式縦型サンドミルを用いて3時間分散させた。得られた分散液を遠心分離処理することで粗大粒子を除去した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧ろ過して、樹脂分散型ブラック顔料2を調製した。更に、上記で得られた樹脂分散型ブラック顔料2に水を加えて顔料濃度が10質量%となるように分散させ、分散液を調製した。上記の方法により、ブラック顔料分散液2を得た。得られたブラック顔料分散液2を限外ろ過して、水酸基を有するフリー樹脂の含有量を調整した。ブラック顔料分散液2中の顔料の含有量及び樹脂Aの含有量の質量比率を求めるために、以下の操作を行った。上記で得られたブラック顔料分散液2を乾固した後、この固体をテトラヒドロフラン中に溶解させて溶液を得た。その後、得られた液体をポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧ろ過して、顔料と樹脂を含む溶液を分離した。更に、樹脂を含む溶液についてGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)を行い、樹脂A及び樹脂Bをそれぞれ分取した。ブラック顔料分散液2中の、顔料の含有量及び樹脂Aの含有量の質量比率(顔料:樹脂A)は、100:18であった。
(ブラック顔料分散液3の調製)
カーボンブラック10部、樹脂A2部、イオン交換水88部を混合し、バッチ式縦型サンドミルを用いて3時間分散させた。得られた分散液を遠心分離処理することで粗大粒子を除去した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧ろ過して、樹脂分散型ブラック顔料3を調製した。更に、上記で得られた樹脂分散型ブラック顔料3に水を加えて顔料濃度が10質量%となるように分散させ、分散液を調製した。上記の方法により、ブラック顔料分散液3を得た。得られたブラック顔料分散液3を限外ろ過して、水酸基を有するフリー樹脂の含有量を調整した。ブラック顔料分散液3中の、顔料の含有量及び樹脂Aの含有量の質量比率(顔料:樹脂A)は、100:17であった。
(ブラック顔料分散液4の調製)
カーボンブラック10部、樹脂A3部、イオン交換水87部を混合し、バッチ式縦型サンドミルを用いて3時間分散させた。得られた分散液を遠心分離処理することで粗大粒子を除去した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧ろ過して、樹脂分散型ブラック顔料4を調製した。更に、上記で得られた樹脂分散型ブラック顔料4に水を加えて顔料濃度が10質量%となるように分散させ、分散液を調製した。上記の方法により、ブラック顔料分散液4を得た。得られたブラック顔料分散液4をブラック顔料分散液1と同じ条件で限外ろ過を行い、水酸基を有するフリー樹脂の含有量を調整した。ブラック顔料分散液4中の、顔料の含有量及び樹脂Aの含有量の質量比率(顔料:樹脂A)は、100:20であった。
<インクの調製>
下記表1及び表2に示した各成分を混合し、十分撹拌した後、ポアサイズ1.0μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧ろ過を行い、インク1〜14を調製した。
<水酸基を有するフリー樹脂の定量>
インク中の、顔料に吸着していない状態の水酸基を有する樹脂(水酸基を有するフリー樹脂)の含有量(質量%)を、下記の方法により定量した。結果を表1及び表2に示す。
インクを400,000G、16時間の条件で遠心分離を行い、上澄み部分の液体を95質量%採取した。その後、得られた液体を酸析して、フリー樹脂を分取した。得られたフリー樹脂を乾固して、固形分を定量した。そして、仕込み量に対する割合から、インク全質量を基準としたフリー樹脂の含有量を求めた。
尚、インク中に2種類の樹脂を含有するインク2は、上記の手順に加えて、以下の操作を行うことで、インク中の水酸基を有するフリー樹脂の含有量を求めた。即ち、樹脂Aの構造を常法により決定して、樹脂Aの1質量%水溶液(標準サンプル)を調製した。その後、上記で得たフリー樹脂を1質量%含有する水溶液、及び、標準サンプルを、それぞれ同じ条件として赤外吸収スペクトルの測定を行った。標準サンプル及びフリー樹脂を含有する水溶液における赤外吸収スペクトルの測定結果から質量換算を行い、インク全質量を基準とした水酸基を有するフリー樹脂の含有量(質量%)を求めた。
Figure 0005561891
Figure 0005561891
<貧溶媒・良溶媒の判定>
インクの調製に用いた各水溶性有機溶剤について、貧溶媒・良溶媒の判定を行った。水溶性有機溶剤を50質量%となるようにイオン交換水で希釈した水溶液に、樹脂Aの10質量%水溶液を0.5g滴下し、室温で密閉した状態で4日間放置した。その後、初期の状態と比較して、液体が白濁した場合や、油状物質又は析出物の存在が確認された場合、該水溶性有機溶剤を貧溶媒と判定し、液体に特に変化が生じなかった場合、該水溶性有機溶剤を良溶媒と判定した。
更に、樹脂Aを構成する、ポリ(2−ヒドロキシエチルアクリレート)10質量%水溶液(セグメントA10質量%水溶液)、及びポリ(スチレン−co−アクリル酸)10%質量%水溶液(セグメントB10質量%水溶液)をそれぞれ調製した。又、水溶性有機溶剤を50質量%となるようにイオン交換水で希釈した水溶液に、上記で得られた2種の樹脂水溶液0.5g滴下し、室温で密閉した状態で4日間放置した。その後、初期の状態と比較して、液体が白濁した場合や、油状物又は析出物の存在が確認された場合、該水溶性有機溶剤を貧溶媒と判定し、液体に特に変化が生じなかった場合、該水溶性有機溶剤を良溶媒と判定した。結果を表3に示す。尚、表3中、貧溶媒である場合を○、良溶媒である場合を×で示した。
Figure 0005561891
<評価>
(滲み出し現象)
上記で得られたインクをインクカートリッジに充填し、インクジェット記録装置PIXUS 860i(キヤノン製)を改造したもののシアンインクのポジションに搭載した。その後、ヘッドクリーニング操作を2回行い、インクが吐出口まで到達していることを確認した後、インクジェット記録装置の主電源を切った。この状態でインクジェット記録装置を室温で2週間放置した。その後、インクジェット記録装置の主電源を入れることなく、インクカートリッジが搭載されたままの状態で記録ヘッドを本体から取り外し、顕微鏡を用いて吐出口(ノズル)付近の状態を観察した。その後、再び記録ヘッドをインクジェット記録装置に搭載して主電源を入れ、ヘッドクリーニング動作を1回行った。その後、ノズルチェックパターンを記録した。ノズルの状態及びノズルチェックパターンにより、滲み出し現象の評価を行った。滲み出し現象の基準は以下の通りである。評価結果を表4に示す。
〔滲み出し現象の評価基準〕
A:全てのノズルにおいて、滲み出し現象が確認されず、ノズルチェックパターンに記録不良は確認されない。
B:全ノズルの1%未満で滲み出し現象が確認されたが、ノズルチェックパターンに記録不良は確認されない。
C:全ノズルの1%以上5%未満で滲み出し現象が確認され、一部のノズルでノズルチェックパターンに記録不良が確認される。
D:全ノズルの5%以上で滲み出し現象が確認され、更に、ノズルチェックパターンに記録不良が確認される。
Figure 0005561891
参考例のうち、滲み出し現象の評価結果がBとなった参考例1〜3、7、及び10〜12のインクについて、上記と同様の手順で滲み出し現象の評価を5回繰り返して行った。その結果、参考例2及び11のインクは上記の評価基準のCとなることが1回起きた。つまり、参考例2及び11のインクは、参考例1、3、7、10、及び12のインクと比較して、滲み出し現象を抑制する効果がやや低下する。
(耐擦過性)
上記で得られたインク1〜3、8、及び9をそれぞれインクカートリッジに充填し、インクジェット記録装置PIXUS 860i(キヤノン製)を改造したもののブラックインクのポジションに搭載した。その後、記録媒体(PB Paper;キヤノン製)に2cm×2cmのベタ部及び文字の記録を行い、記録物を作製した。尚、インク1ドットあたりの吐出量は、30ng±10%以内である。
プリンタドライバはデフォルトモードを選択した。
・用紙の種類:普通紙
・印刷品質:標準
・色調整:自動
上記で得られた記録物を室温にて1分間放置した後、記録部を指で擦り、ベタ部と文字及び指の汚れの程度を目視で確認して、耐擦過性の評価を行った。耐擦過性の基準は以下の通りである。評価結果を表5に示す。
〔耐擦過性の評価基準〕
A:ベタ部及び文字共に記録部の削れがほとんど目立たず、指も汚れていない。
B:ベタ部又は文字部が削れ、指が汚れている。
(耐マーカー性)
上記で得られたインク1〜3、8、及び9をそれぞれインクカートリッジに充填し、インクジェット記録装置PIXUS 860i(キヤノン製)を改造したもののブラックインクのポジションに搭載した。その後、記録媒体(PB Paper;キヤノン製)に2cm×2cmのベタ部及び文字の記録を行い、記録物を作製した。尚、インク1ドットあたりの吐出量は、30ng±10%以内である。
プリンタドライバはデフォルトモードを選択した。
・用紙の種類:普通紙
・印刷品質:標準
・色調整:自動
上記で得られた記録物を室温にて1時間放置した後、イエローの蛍光ペン(スポットライター;パイロット製)を用いて文字の部分を通常の筆圧で1度マークし、記録物及びペン先の汚れの程度を目視で確認して、耐マーカー性の評価を行った。耐マーカー性の基準は以下の通りである。評価結果を表5に示す。
〔耐マーカー性の評価基準〕
A:記録物の滲みや白地部分の汚れが認められず、ペン先も汚れていない。
B:記録物に白地部分の汚れが認められないが、ペン先がやや汚れている。
C:記録物に白地部分の汚れが認められる。
(吐出特性)
上記で得られたインク1〜3、8、及び9をそれぞれインクカートリッジに充填し、インクジェット記録装置PIXUS 860i(キヤノン製)を改造したもののブラックインクのポジションに搭載した。その後、記録媒体(PB Paper;キヤノン製)に、駆動周波数を100Hz、1kHz、5kHz、10kHzと変化させて、2cm×8cmで記録密度100%のベタ部をそれぞれ記録し、記録物を作製した。尚、インク1ドットあたりの吐出量は、30ng±10%以内である。
プリンタドライバはデフォルトモードを選択した。
・用紙の種類:普通紙
・印刷品質:標準
・色調整:自動
上記で得られた記録物のベタ画像の画像濃度やムラの様子、及び記録する際の不吐出の様子を目視で観察し、吐出特性の評価を行った。吐出特性の基準は以下の通りである。評価結果を表5に示す。
〔吐出特性の評価基準〕
A:10kHzまでは不吐出がなく、又、10kHzと100Hzの記録で得られたベタ画像を比較すると、画像濃度やムラが同程度である。
B:10kHzまでは不吐出はないが、10kHzと100Hzの記録で得られたベタ画像を比較すると、10kHzのベタ画像における画像濃度やムラの様子が劣る。
C:不吐出が発生する。
Figure 0005561891
インクの状態がノズル内において時間と共に変化する様子を表す模式図である。 水酸基を有するフリー樹脂を表わす模式図である。 記録ヘッドの縦断面図である。 記録ヘッドの縦横面図である。 図1に示した記録ヘッドをマルチ化した記録ヘッドの斜視図である。 インクジェット記録装置の一例を示す斜視図である。 インクカートリッジの縦断面図である。 記録ユニットの一例を示す斜視図である。 記録ヘッドの構成の一例を示す模式図である。
符号の説明
1 吐出口
2 ヒーター
3 オリフィス面
4 水分子
5 樹脂が吸着した顔料
6 水溶性有機溶剤
7 水酸基を有するフリー樹脂
8 蒸発した水分子
9 水酸基を有するセグメント
10 水酸基を有さないセグメント
13 記録ヘッド
14 ノズル
15 発熱素子基板
16 保護層
17−1、17−2 電極
18 発熱抵抗体層
19 蓄熱層
20 基板
21 インク
22 吐出口
23 メニスカス
24 インク滴
25 記録媒体
26 マルチノズル
27 ガラス板
28 記録ヘッド
40 インク袋
42 栓
44 インク吸収体
45 インクカートリッジ
51 紙給部
52 紙送りローラー
53 排紙ローラー
61 ブレード
62 キャップ
63 インク吸収体
64 吐出回復部
65 記録ヘッド
66 キャリッジ
67 ガイド軸
68 モーター
69 ベルト
70 記録ユニット
71 記録ヘッド
72 大気連通口
80 インク流路
81 オリフィスプレート
82 振動板
83 圧電素子
84 基板
85 吐出口

Claims (6)

  1. 水酸基を有する樹脂、顔料(ただし、マイクロカプセル化顔料を除く)、及び水溶性有機溶剤を含有するインクジェット用水性インクであって、
    前記水酸基を有する樹脂が、水酸基を有するセグメントA及び水酸基を有さないセグメントBのAB型ブロック共重合体であり、
    前記セグメントBが、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、酢酸ビニル、1,3−ブタジエンからなる群から選ばれるモノマーに由来するユニットを有し、
    前記水酸基を有する樹脂には、前記顔料に吸着している樹脂及び前記顔料に吸着していない樹脂が含まれ
    記水溶性有機溶剤が、前記顔料に吸着していない樹脂に対して貧溶媒であり、かつ、前記セグメントBに対して良溶媒である第1の水溶性有機溶剤として、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、及び1,1,1−トリメチロールプロパンから選ばれる少なくとも1種、並びに、前記セグメントA及び前記セグメントBの両方に対して良溶媒である第2の水溶性有機溶剤として、グリセリン及びジエチレングリコールから選ばれる少なくとも1種を含み、
    前記第1の水溶性有機溶剤の含有量が、前記第2の水溶性有機溶剤の含有量よりも多いことを特徴とするインクジェット用水性インク。
  2. 前記第1の水溶性有機溶剤のインク中の含有量が、前記顔料に吸着していない樹脂の含有量に対して、10倍以上である請求項1に記載のインクジェット用水性インク。
  3. 前記セグメントAが水酸基を有するモノマーに由来するユニットを有し、前記水酸基を有するモノマーが、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートからなる群から選ばれるものである請求項1又は2に記載のインクジェット用水性インク。
  4. インクをインクジェット方法で吐出して記録媒体に記録を行うインクジェット記録方法において、前記インクが、請求項1〜の何れか1項に記載のインクジェット用水性インクであることを特徴とするインクジェット記録方法。
  5. インクを収容するインク収容部を備えたインクカートリッジにおいて、前記インクが、請求項1〜の何れか1項に記載のインクジェット用水性インクであることを特徴とするインクカートリッジ。
  6. インクを収容するインク収容部と、インクを吐出するための記録ヘッドとを備えたインクジェット記録装置において、前記インクが、請求項1〜の何れか1項に記載のインクジェット用水性インクであることを特徴とするインクジェット記録装置。
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