以下、図面を用いて実施形態を説明する。以下の説明では、信号が伝達される信号線には、信号名と同じ符号を使用する。
図1は、一実施形態におけるアナログ・デジタル変換器ADC(Analog-to-Digital Converter)の例を示している。図1に示したアナログ・デジタル変換器ADCは、差動タイプの逐次比較型(SAR; Successive Approximation Register)ADCであり、電荷再分配型デジタル・アナログ変換器(Capacitor Analog-to-Digital Converter)CDAC、比較器CMPおよび制御回路CONTを有している。電荷再分配型デジタル・アナログ変換器CDACは、プラス側の容量アレイCAP、プラス側のスイッチアレイSAP、マイナス側の容量アレイCANおよびマイナス側のスイッチアレイSANを有している。容量アレイCAP、CANにより容量部が形成される。スイッチアレイSAP、SANによりスイッチ部が形成される。
容量アレイCAPは、容量値が2のべき乗で重み付けされる容量C1P、C2Pと、第1補助容量C0Pおよび第2補助容量CXPとを有している。容量アレイCANは、容量値が2のべき乗で重み付けされる容量C1N、C2Nと、第1補助容量C0Nおよび第2補助容量CXNとを有している。容量C1P、C1Nにより容量対が形成され、容量C2P、C2Nにより容量対が形成される。第1補助容量C0P、C0Nにより第1補助容量対が形成され、第2補助容量CXP、CXNにより第2補助容量対が形成される。
第1補助容量C0Pおよび容量C1P、C2Pの一端は、差動アナログ出力信号線VXPを介して比較器CMPの差動入力の一方に接続されている。第1補助容量C0Nおよび容量C1N、C2Nの一端は、差動アナログ出力信号線VXNを介して比較器CMPの差動入力の他方に接続されている。第2補助容量CXP、CXNの一端は、電圧が一定に固定される固定電圧線の1つであるコモン電圧線VCMに接続されている。なお、第2補助容量CXP、CXNの一端は、コモン電圧VCM以外の固定電圧が供給される他の固定電圧線に接続されてもよい。
容量C1P、第1補助容量C0Pおよび第2補助容量CXPの容量値は、変換精度を得るために必要な最小容量値”C”である。容量C2Pの容量値は、”2C”である。容量C1N、第1補助容量C0Nおよび第2補助容量CXNの容量値は、変換精度を得るために必要な最小容量値”C”である。容量C2Nの容量値は、”2C”である。なお、第2補助容量CXP、CXNの容量値は、最小容量値”C”より大きくてもよく、容量値が大きいほどスイッチS0P、S0Nのスイッチング時のチャージインジェクションやクロックフィールドスルーの影響を緩和できる。
図1に示すアナログ・デジタル変換器ADCは、容量値が2のべき乗で重み付けされるn個の容量C1P、C2P、...、CnPと、容量値が2のべき乗で重み付けされるn個の容量C1N、C2N、...、CnNとを含んでいてもよい。容量C1P、C2P、...、CnPの容量値は、変換精度を得るための最小容量値を”C”とするとき、C、2C、...、2n−1Cである。同様に、容量C1N、C2N、...、CnNの容量値も、C、2C、...、2n−1Cである。図1では説明を簡単にするため、n=2の例を示している。
第1補助容量C0Pは、比較器CMPに接続される容量C2P、C1P、C0Pの単位容量数(最小容量値Cで表す総容量値)を2のべき乗個にし、変換誤差をなくすために設けられる。第1補助容量C0Nは、比較器CMPに接続される容量C2N、C1N、C0Nの単位容量数を2のべき乗個にし、変換誤差をなくすために設けられる。
スイッチアレイSAPは、スイッチS00P、S0P、S1P、S2P、SXPを有している。スイッチアレイSANは、S00N、S0N、S1N、S2N、SXNを有している。
スイッチS00Pは、制御回路CONTにより生成される制御信号に応じて、容量CXPの他端を差動アナログ入力信号線VINPまたは共通ノードCN0に接続する。スイッチS0Pは、制御回路CONTにより生成される制御信号に応じて、容量C0Pの他端をプラス側基準電圧線VRP、差動アナログ入力信号線VINP、マイナス側基準電圧線VRNまたは共通ノードCN0に接続する。スイッチS1Pは、制御回路CONTにより生成される制御信号に応じて、容量C1Pの他端をプラス側基準電圧線VRP、差動アナログ入力信号線VINP、マイナス側基準電圧線VRNまたは共通ノードCN1に接続する。スイッチS2Pは、制御回路CONTにより生成される制御信号に応じて、容量C2Pの他端をプラス側基準電圧線VRP、差動アナログ入力信号線VINP、マイナス側基準電圧線VRNまたは共通ノードCN2に接続する。
同様に、スイッチS00Nは、制御回路CONTにより生成される制御信号に応じて、容量CXNの一端を差動アナログ入力信号線VINNまたは共通ノードCN0に接続する。スイッチS0Nは、制御回路CONTにより生成される制御信号に応じて、容量C0Nの一端をマイナス側基準電圧線VRN、差動アナログ入力信号線VINN、プラス側基準電圧線VRPまたは共通ノードCN0に接続する。スイッチS1Nは、制御回路CONTにより生成される制御信号に応じて、容量C1Nの一端をマイナス側基準電圧線VRN、差動アナログ入力信号線VINN、プラス側基準電圧線VRPまたは共通ノードCN1に接続する。スイッチS2Nは、制御回路CONTにより生成される制御信号に応じて、容量C2Nの一端をマイナス側基準電圧線VRN、差動アナログ入力信号線VINN、プラス側基準電圧線VRPまたは共通ノードCN2に接続する。
スイッチSXPは、制御回路CONTにより生成される制御信号に応じて、プラス側の差動アナログ出力信号線VXPをコモン電圧VCMが供給されるコモン電圧線VCMに接続する。スイッチSXNは、制御回路CONTにより生成される制御信号に応じて、マイナス側の差動アナログ出力信号線VXNをコモン電圧線VCMに接続する。スイッチS00P、S0P、S1P、S2P、S00N、S0N、S1N、S2N、SXP、SXNの回路例および制御回路CONTにより生成される制御信号の例は、図3および図5に示す。
比較器CMPは、クロックCKに応答して動作し、差動アナログ出力信号線VXPの電圧が差動アナログ出力信号線VXNの電圧より高いときに、論理1を示すデジタル信号COUTを出力する。比較器CMPは、差動アナログ出力信号線VXPの電圧が差動アナログ出力信号線VXNの電圧以下のときに、論理0を示すデジタル信号COUTを出力する。この実施形態では、比較器CMPは、4ビットのデジタル出力信号DOUTの各ビットの論理を示すデジタル信号COUTを順に出力する。
制御回路CONTは、クロックCKに応答して動作し、比較器CMPからのデジタル信号COUTに基づいてスイッチS00P、S0P、S1P、S2P、S00N、S0N、S1N、S2N、SXP、SXNの動作を制御する制御信号を生成し、デジタル出力信号DOUTを生成する。
図1に示したアナログ・デジタル変換器ADCは、単位容量の総数が10Cの容量アレイCAP、CANを用いて、差動アナログ入力信号VINP、VINNを4ビットのデジタル出力信号DOUTに変換する。一般的には、nビットのデジタル出力信号DOUTを生成するために必要な容量アレイCAP、CANの単位容量の総数は、2n−1+2個である。例えば、10ビットの変換に必要な単位容量の総数は514個である。
これに対して、第2補助容量CXP、CXNおよびスイッチS00P、S00Nを持たないアナログ・デジタル変換器ADCでは、nビットのデジタル出力信号DOUTを生成するために必要な容量アレイCAP、CANの単位容量の総数は、2n個である。例えば、10ビットの変換に必要な単位容量の総数は1024個である。また、第2補助容量CXP、CXN、スイッチS00P、S00Nおよび共通ノードCN0、CN1、CN2を持たない最も一般的なアナログ・デジタル変換器ADCでは、nビットのデジタル出力信号DOUTを生成するために必要な容量アレイCAP、CANの単位容量の総数は、2n+1個である。例えば、10ビットの変換に必要な単位容量の総数は2048個である。
図2は、図1に示したアナログ・デジタル変換器ADCに供給される信号の例を示している。差動アナログ入力信号VINPは、マイナス側基準電圧VRNとプラス側基準電圧VRPの中間値であるコモン電圧VCMを中心に、マイナス側基準電圧VRNおよびプラス側基準電圧VRPを超えない範囲で変化する。特に限定されないが、マイナス側基準電圧VRNは0Vであり、プラス側基準電圧VRPは1.2Vであり、コモン電圧VCMは0.6Vである。差動アナログ入力信号VINNは、差動アナログ入力信号VINPと位相が逆の信号である。
なお、図1に示したコモン電圧VCMは、例えば、マイナス側基準電圧VRNとプラス側基準電圧VRPとを抵抗分割して生成される。このため、差動アナログ入力信号VINP、VINNの中心電圧とコモン電圧VCMとは、一致しない場合がある。しかし、以降の説明では、差動アナログ入力信号VINP、VINNの中心電圧と、アナログ・デジタル変換器ADC側で生成されるコモン電圧VCMとが等しいものとして説明する。
図3は、図1に示した電荷再分配型デジタル・アナログ変換器CDACの回路例を示している。各スイッチS00P、S0P、S1P、S2P、S00N、S0N、S1N、S2N内のトランジスタに示した数字は、図1に示したスイッチの端子番号に対応している。ゲートに丸印を付けたトランジスタはpMOSトランジスタである。ゲートに丸印のないトランジスタはnMOSトランジスタである。
スイッチS00Pは、サンプル信号SMP、/SMPをゲートで受けるCMOSスイッチ(2)およびCMOSスイッチ(4)を有している。スイッチS00PのCMOSスイッチ(2)は、差動アナログ入力信号VINPがサンプルされるときにオンし、容量CXPの他端を差動アナログ入力信号線VINPに接続する。スイッチS00PのCMOSスイッチ(4)は、差動アナログ入力信号VINPがサンプルされるときにオフし、容量CXPの他端と共通ノードCN0との接続を解除する。
スイッチS00Nは、サンプル信号SMP、/SMPをゲートで受けるCMOSスイッチ(2)およびCMOSスイッチ(4)を有している。スイッチS00NのCMOSスイッチ(2)は、差動アナログ入力信号VINNがサンプルされるときにオンし、容量CXNの他端を差動アナログ入力信号線VINNに接続する。スイッチS00NのCMOSスイッチ(4)は、差動アナログ入力信号VINNがサンプルされるときにオフし、容量CXNの他端と共通ノードCN0との接続を解除する。サンプル信号SMP、/SMPは、相補の信号であり、図1に示した制御回路により生成される制御信号の一種である。サンプル信号SMPは、差動アナログ入力信号VINP、VINNがサンプルされるとき論理1に設定される。サンプル信号/SMPは、差動アナログ入力信号VINP、VINNがサンプルされるときに論理0に設定される。なお、スイッチS00P、S00NのCMOSスイッチ(4)は、サンプル信号SMP、/SMPとは別の制御信号で制御されてもよい。
スイッチS0Pは、CMOSスイッチ(2)、CMOSスイッチ(4)、pMOSトランジスタ(1)およびnMOSトランジスタ(3)を有している。スイッチS0PのCMOSスイッチ(2)は、差動アナログ入力信号VINPがサンプルされるときにオンし、容量C0Pの他端を差動アナログ入力信号線VINPに接続する。スイッチS0PのCMOSスイッチ(4)は、論理1の制御信号SH0Pおよび論理0の制御信号/SH0Pを受けているときオンし、容量C0Pの他端を共通ノードCN0に接続する。制御信号SH0P、/SH0Pは、相補の信号であり、図1に示した制御回路により生成される。
スイッチS0PのpMOSトランジスタ(1)は、論理0の制御信号/H0Pを受けているときオンし、容量C0Pの他端をプラス側基準電圧線VRPに接続する。スイッチS0PのnMOSトランジスタ(3)は、論理1の制御信号L0Pを受けているときオンし、容量C0Pの他端をマイナス側基準電圧線VRNに接続する。制御信号/H0P、L0Pは、図1に示した制御回路により生成される。
スイッチS0Nは、CMOSスイッチ(2)、CMOSスイッチ(4)、pMOSトランジスタ(1)およびnMOSトランジスタ(3)を有している。スイッチS0NのCMOSスイッチ(2)は、差動アナログ入力信号VINNがサンプルされるときにオンし、容量C0Nの他端を差動アナログ入力信号線VINNに接続する。スイッチS0NのCMOSスイッチ(4)は、論理1の制御信号SH0Nおよび論理0の制御信号/SH0Nを受けているときオンし、容量C0Nの他端を共通ノードCN0に接続する。制御信号SH0N、/SH0Nは、相補の信号であり、図1に示した制御回路により生成される。
スイッチS0NのpMOSトランジスタ(1)は、論理0の制御信号/H0Nを受けているときオンし、容量C0Nの他端をプラス側基準電圧線VRPに接続する。スイッチS0NのnMOSトランジスタ(3)は、論理1の制御信号L0Nを受けているときオンし、容量C0Nの他端をマイナス側基準電圧線VRNに接続する。制御信号/H0N、L0Nは、図1に示した制御回路により生成される。
スイッチS1Pは、CMOSスイッチ(2)、CMOSスイッチ(4)、pMOSトランジスタ(1)およびnMOSトランジスタ(3)を有している。スイッチS1PのCMOSスイッチ(2)は、差動アナログ入力信号VINPがサンプルされるときにオンし、容量C1Pの他端を差動アナログ入力信号線VINPに接続する。スイッチS1PのCMOSスイッチ(4)は、論理1の制御信号SH1および論理0の制御信号/SH1を受けているときオンし、容量C1Pの他端を共通ノードCN1に接続する。制御信号SH1、/SH1は、相補の信号であり、図1に示した制御回路により生成される。
スイッチS1PのpMOSトランジスタ(1)は、論理0の制御信号/H1Pを受けているときオンし、容量C1Pの他端をプラス側基準電圧線VRPに接続する。スイッチS1PのnMOSトランジスタ(3)は、論理1の制御信号L1Pを受けているときオンし、容量C1Pの他端をマイナス側基準電圧線VRNに接続する。制御信号/H1P、L1Pは、図1に示した制御回路により生成される。
スイッチS1Nは、CMOSスイッチ(2)、CMOSスイッチ(4)、pMOSトランジスタ(1)およびnMOSトランジスタ(3)を有している。スイッチS1NのCMOSスイッチ(2)は、差動アナログ入力信号VINNがサンプルされるときにオンし、容量C1Nの他端を差動アナログ入力信号線VINNに接続する。スイッチS1NのCMOSスイッチ(4)は、論理1の制御信号SH1および論理0の制御信号/SH1を受けているときオンし、容量C1Nの他端を共通ノードCN1に接続する。制御信号SH1、/SH1は、相補の信号であり、図1に示した制御回路により生成される。
スイッチS1NのpMOSトランジスタ(1)は、論理0の制御信号/H1Nを受けているときオンし、容量C1Nの他端をプラス側基準電圧線VRPに接続する。スイッチS1NのnMOSトランジスタ(3)は、論理1の制御信号L1Nを受けているときオンし、容量C1Nの他端をマイナス側基準電圧線VRNに接続する。制御信号/H1N、L1Nは、図1に示した制御回路により生成される。
スイッチS2Pは、CMOSスイッチ(2)、CMOSスイッチ(4)、pMOSトランジスタ(1)およびnMOSトランジスタ(3)を有している。スイッチS2PのCMOSスイッチ(2)は、差動アナログ入力信号VINPがサンプルされるときにオンし、容量C2Pの他端を差動アナログ入力信号線VINPに接続する。スイッチS2PのCMOSスイッチ(4)は、論理1の制御信号SH2および論理0の制御信号/SH2を受けているときオンし、容量C2Pの他端を共通ノードCN2に接続する。制御信号SH2、/SH2は、相補の信号であり、図1に示した制御回路により生成される。
スイッチS2PのpMOSトランジスタ(1)は、論理0の制御信号/H2Pを受けているときオンし、容量C2Pの他端をプラス側基準電圧線VRPに接続する。スイッチS2PのnMOSトランジスタ(3)は、論理1の制御信号L2Pを受けているときオンし、容量C2Pの他端をマイナス側基準電圧線VRNに接続する。制御信号/H2P、L2Pは、図1に示した制御回路により生成される。
スイッチS2Nは、CMOSスイッチ(2)、CMOSスイッチ(4)、pMOSトランジスタ(1)およびnMOSトランジスタ(3)を有している。スイッチS2NのCMOSスイッチ(2)は、差動アナログ入力信号VINNがサンプルされるときにオンし、容量C2Nの他端を差動アナログ入力信号線VINNに接続する。スイッチS2NのCMOSスイッチ(4)は、論理1の制御信号SH2および論理0の制御信号/SH2を受けているときオンし、容量C2Nの他端を共通ノードCN2に接続する。制御信号SH2、/SH2は、相補の信号であり、図1に示した制御回路により生成される。
スイッチS2NのpMOSトランジスタ(1)は、論理0の制御信号/H2Nを受けているときオンし、容量C2Nの他端をプラス側基準電圧線VRPに接続する。スイッチS2NのnMOSトランジスタ(3)は、論理1の制御信号L2Nを受けているときオンし、容量C2Nの他端をマイナス側基準電圧線VRNに接続する。制御信号/H2N、L2Nは、図1に示した制御回路により生成される。
スイッチSXPは、CMOSスイッチを有している。スイッチSXPのCMOSスイッチは、差動アナログ入力信号VINPがサンプルされるときにオンし、比較器CMPの入力端子に接続された差動アナログ出力信号線VXPをコモン電圧線VCMに接続する。スイッチSXNは、CMOSスイッチを有している。スイッチSXNのCMOSスイッチは、差動アナログ入力信号VINNがサンプルされるときにオンし、比較器CMPの入力端子に接続された差動アナログ出力信号線VXNをコモン電圧線VCMに接続する。なお、スイッチSXP、SXNのCMOSスイッチは、サンプル信号SMP、/SMPとは別の制御信号で制御されてもよい。
図4は、図1に示したアナログ・デジタル変換器ADCの動作の例を示している。差動アナログ入力信号VINP、VINNをデジタル出力信号DOUTに変換する変換動作は、クロックCKに同期して実施される。例えば、クロックCKは、上位のコントローラからの変換開始指示に応答して、アナログ・デジタル変換器ADCにより生成される。特に限定されないが、4ビットのデジタル出力信号DOUTを生成するために、クロックCKは4サイクル生成される。
まず、図1に示した制御回路CONTは、上位のコントローラからの変換開始指示に応答して、スイッチSXP、SXNおよびスイッチS2P、S2N、S1P、S1N、S0P、S0N、S00P、S00Nを制御するために制御信号を出力する(図4(a))。これにより、スイッチSXPがオンし、容量C2P、C1P、C0Pの一端はコモン電圧線VCMに接続される。スイッチSXNがオンし、容量C2N、C1N、C0Nの一端がコモン電圧線VCMに接続される。また、容量C2P、C1P、C0P、CXPの他端は、差動アナログ入力信号線VINPに接続される。容量C2N、C1N、C0N、CXNの他端は、差動アナログ入力信号線VINNに接続される。
これにより、図6(A)に示すように、容量C2P、C1P、C0P、CXPには、差動アナログ入力信号VINPの電圧とコモン電圧VCMとの差に対応する電荷が蓄積される。容量C2N、C1N、C0N、CXNには、差動アナログ入力信号VINNの電圧とコモン電圧VCMとの差に対応する電荷が蓄積される。
次に、図4の1番目のクロックCKの立ち上がりエッジに応答して、制御回路CONTは、スイッチSXP、SXNおよびスイッチS2P、S2N、S1P、S1N、S0P、S0N、S00P、S00Nを制御するために制御信号を出力する(図4(b))。これにより、スイッチSXPがオフし、容量C2P、C1P、C0Pの一端はフローティング状態に設定される。スイッチSXNはオフし、容量C2N、C1N、C0Nの一端はフローティング状態に設定される。また、容量C2P、C2Nの他端は共通ノードCN2に接続され、容量C1P、C1Nの他端は共通ノードCN1に接続され、容量C0P、C0N、CXP、CXNの他端は共通ノードCN0に接続される。
すなわち、図6(B)に示すように、容量C2P、C2Nの他端および容量C1P、C2Nの他端はそれぞれ短絡され、容量C0P、C0N、CXP、CXNの他端は短絡される。容量C2P、C2N、容量C1P、C1N、容量C0P、CXP、C0N、CXNに蓄積されている電荷は、それぞれ再分配される。これにより、比較器CMPの入力端子に接続された差動アナログ出力信号線VXP、VXNには、差動アナログ入力信号VINP、VINNの電圧に応じた電圧が生成される。なお、図2に示したように、アナログ入力信号VINP、VINNの値は、コモン電圧VCMを挟んで対称である。このため、各容量対”C2P、C2N”、”C1P、C1N”、”C0P、C0N”が短絡された状態で、全ての共通ノードCN0、CN1、CN2の電圧(中間電圧)は、コモン電圧VCMと同じ値になる。
電圧VINP>電圧VINNのとき、容量C2P、C1P、C0P、CXPの他端の電圧は短絡により下降し、容量C2N、C1N、C0N、CXNの他端の電圧は短絡により上昇する。このため、電圧VXP<電圧VXNになる。一方、電圧VINP<電圧VINNのとき、容量C2P、C1P、C0P、CXPの他端の電圧は短絡により上昇し、容量C2N、C1N、C0N、CXNの他端の電圧は短絡により下降する。このため、電圧VXP>電圧VXNになる。
次に、比較器CMPは、1番目のクロックCKの立ち下がりエッジに応答して、電圧VXP、VXNの比較結果を1ビットのデジタル信号COUTとして出力する(図4(c))。例えば、電圧VXP<電圧VXNのとき(すなわち、電圧VINP>電圧VINN)、デジタル出力信号DOUTの最上位ビットMSBは論理1と判定され、論理1のデジタル信号COUTが出力される。電圧VXP>電圧VXNのとき(すなわち、電圧VINP<電圧VINN)、デジタル出力信号DOUTの最上位ビットMSBは論理0と判定され、論理0のデジタル信号COUTが出力される。なお、最上位ビットMSBは、電圧VINP、VINNのどちらが高いかを示す符号ビットとしても扱われる。
制御回路CONTは、最上位ビットMSBの値であるデジタル信号COUTの論理を蓄積し、デジタル信号COUTに応じて、スイッチS2P、S2Nの動作を制御する制御信号を出力する(図4(d))。特に限定されないが、制御信号は、1番目のクロックCKの立ち下がりエッジのタイミングを遅らせた信号に応答して出力される。最上位ビットMSBが論理1のとき、図6(C)に示すように、容量C2Pの他端はプラス側基準電圧線VRPに接続され、容量C2Nの他端はマイナス側基準電圧線VRNに接続される。反対に、最上位ビットMSBが論理0のとき、図6(D)に示すように、容量C2Pの他端はマイナス側基準電圧線VRNに接続され、容量C2Nの他端はプラス側基準電圧線VRPに接続される。
次に、比較器CMPは、2番目のクロックCKの立ち下がりエッジに応答して、電圧VXP、VXNの比較結果を1ビットのデジタル信号COUTとして出力する(図4(e))。デジタル信号COUTの論理は、最上位から2番目のビット2ndMSBとして扱われる。差動アナログ出力信号線VXP、VXNの電圧の高低とデジタル信号COUTの論理との関係は、最上位ビットMSBの論理を生成するときと同じである。
制御回路CONTは、最上位から2番目のビット2ndMSBの値であるデジタル信号COUTの論理を蓄積し、デジタル信号COUTに応じて、スイッチS1P、S1Nの動作を制御する制御信号を出力する(図4(f))。特に限定されないが、制御信号は、2番目のクロックCKの立ち下がりエッジのタイミングを遅らせた信号に応答して出力される。最上位から2番目のビット2ndMSBが論理1のとき、図7(A)に示すように、容量C1Pの他端はプラス側基準電圧線VRPに接続され、容量C1Nの他端はマイナス側基準電圧線VRNに接続される。反対に、最上位から2番目のビット2ndMSBが論理0のとき、図7(B)に示すように、容量C1Pの他端はマイナス側基準電圧線VRNに接続され、容量C1Nの他端はプラス側基準電圧線VRPに接続される。
次に、比較器CMPは、3番目のクロックCKの立ち下がりエッジに応答して、電圧VXP、VXNの比較結果を1ビットのデジタル信号COUTとして出力する(図4(g))。デジタル信号COUTの論理は、最下位から2番目のビット2ndLSBとして扱われる。差動アナログ出力信号線VXP、VXNの電圧の高低とデジタル信号COUTの論理との関係は、最上位ビットMSBを生成するときと同じである。
制御回路CONTは、最下位から2番目のビット2ndLSBの値であるデジタル信号COUTの論理を蓄積し、デジタル信号COUTに応じて、スイッチS0Pの動作を制御する制御信号を出力する(図4(h))。このとき、スイッチS0Nは動作せず、容量C0Nの他端と容量CXP、CXNの他端との短絡状態は維持される。すなわち、共通ノードCN0は、コモン電圧VCMを維持する。特に限定されないが、制御信号は、2番目のクロックCKの立ち下がりのエッジタイミングを遅らせた信号に応答して出力される。
最下位から2番目のビット2ndLSBが論理1のとき、図8(A)に示すように、容量C0Pの他端はプラス側基準電圧線VRPに接続される。これにより、容量C0Pの他端は、コモン電圧VCMからプラス側基準電圧VRPに上昇する。容量C0Pの一端に接続された差動アナログ出力信号線VXPの電圧は、容量C0Pのカップリング作用により上昇する。反対に、最下位から2番目のビット2ndLSBが論理0のとき、図8(B)に示すように、容量C0Pの他端はマイナス側基準電圧線VRNに接続される。これにより、容量C0Pの他端は、コモン電圧VCMからマイナス側基準電圧VRNに下降する。容量C0Pの他端に接続された差動アナログ出力信号線VXPの電圧は、容量C0Pのカップリング作用により下降する。ここで、容量C0Pの容量値(C)は、容量C1Pの容量値(C)と同じため、差動アナログ出力信号線VXPの電圧の変化量は、最下位から2番目のビット2ndLSBを判定するときと同じになる。
これに対して、容量C0Nの他端は、コモン電圧VCMに維持されているため、容量C0Nの一端である差動アナログ出力信号線VXNの電圧は変化しない。したがって、容量対C0P、C0Nの片側のみを比較器CMPの比較結果に応じてプラス側基準電圧VRPまたはマイナス側基準電圧線VRNに接続することで、差動アナログ出力信号線VXP、VXN間の電圧変化は、最下位から2番目のビット2ndLSBを判定するときの半分になる。この結果、最下位から2番目のビット2ndLSBの半分の重みを有する最下位ビットLSBの論理の判定が可能になる。
そして、比較器CMPは、4番目のクロックCKの立ち下がりエッジに応答して、差動アナログ出力信号線VXP、VXNの電圧の比較結果を1ビットのデジタル信号COUTとして出力する(図4(i))。デジタル信号COUTの論理は、最下位ビットLSBとして扱われる。差動アナログ出力信号線VXP、VXNの電圧の高低とデジタル信号COUTの論理との関係は、最上位ビットMSBを生成するときと同じである。
制御回路CONTは、比較器CMPからの最下位LSBの値であるデジタル信号COUTの論理と既に蓄積しているデジタル信号COUTの論理とを用いて、差動アナログ入力信号VINP、VINNに対応する4ビットのデジタル値を生成し、デジタル出力信号DOUTとして出力する(図4(j))。なお、特に限定されないが、今回のデジタル出力信号DOUTが出力される前、前回のデジタル出力信号DOUTが生成される。
この後、制御回路CONTは、上位のコントローラからの新たな変換開始指示に応答して、次のサンプリングを開始するために、スイッチSXP、SXNおよびスイッチS2P、S2N、S1P、S1N、S0P、S0N、S00P、S00Nを制御するために制御信号を出力する(図4(k))。
図5は、図3に示した電荷再分配型デジタル・アナログ変換器CDACのスイッチSXP、SXN、S2P、S2N、S1P、S1N、S0P、S0N、S00P、S00Nの動作の例を示している。相補の制御信号”SMP、/SMP”、”SH2、/SH2”、”SH1、/SH1”、”SH0P、/SH0P”、”SH0N、/SH0N”については、論理1が有効レベルの制御信号SMP、SH2、SH1、SH0P、SH0Nのみを示している。実線と破線が重複している波形は、比較器CMPによる比較結果に応じて、論理1または論理0に設定されることを示している。
図5に示す波形により、図4に示した変換動作が実現される。具体的には、4番目のクロックCKの立ち上がりエッジに応答して、第1補助容量C0Pに対応する制御信号SH0P、/H0P、L0Pのみを変化させる。これにより、最下位から2番目のビット2ndLSBの半分の重みを有する最下位ビットLSBの論理の判定が可能になる。
図6は、図4に示した変換動作において、デジタル出力信号DOUTの最上位ビットMSBの判定方法を示している。図6(A)は、電荷再分配型デジタル・アナログ変換器CDACにおいて、差動アナログ入力信号VINP、VINNがサンプルされるときの状態を示している。図6(B)は、電荷再分配型デジタル・アナログ変換器CDACにおいて、最上位ビットMSBの論理を判定するために差動アナログ出力信号VXP、VXNを生成する状態を示している。
図6(B)の状態で、電圧VXPが電圧VXNより低いとき、最上位ビットMSBは論理1と判定される。このとき、図6(C)に示すように、容量C2Pの他端はプラス側基準電圧VRPに設定され、容量C2Nの他端はマイナス側基準電圧VRNに設定される。一方、電圧VXPが電圧VXN以上のとき、最上位ビットMSBは論理0と判定される。このとき、図6(D)に示すように、容量C2Pの他端はマイナス側基準電圧VRNに設定され、容量C2Nの他端はプラス側基準電圧VRPに設定される。
図7は、図4に示した変換動作において、デジタル出力信号DOUTの最上位から2番目のビット2ndMSBの判定方法を示している。最上位から2番目のビット2ndMSBの論理は、容量C2P、C2Nの他端がプラス側基準電圧VRPまたはマイナス側基準電圧VRNに設定された後、電圧VXP、VXNを比較することで判定される。
そして、図6と同様に、電圧VXPが電圧VXNより低いとき、ビット2ndMSBは論理1と判定され、容量C1Pの他端はプラス側基準電圧VRPに設定され、容量C1Nの他端はマイナス側基準電圧VRNに設定される(図7(A))。電圧VXPが電圧VXN以上のとき、ビット2ndMSBは論理0と判定され、容量C1Pの他端はマイナス側基準電圧VRNに設定され、容量C1Nの他端はプラス側基準電圧VRPに設定される(図7(B))。
図8は、図4に示した変換動作において、デジタル出力信号DOUTの最下位から2番目のビット2ndLSBおよび最下位ビットLSBの判定方法を示している。ビット2ndLSBの論理は、容量C1P、C1Nの他端がプラス側基準電圧VRPまたはマイナス側基準電圧VRNに設定された後、電圧VXP、VXNを比較することで判定される。
そして、図6と同様に、電圧VXPが電圧VXNより低いとき、ビット2ndLSBは論理1と判定され、容量C0Nの他端を共通ノードCN0に接続した状態で、容量C1Pの他端はプラス側基準電圧VRPに設定される(図8(A))。電圧VXPが電圧VXN以上のとき、ビット2ndLSBは論理0と判定され、容量C0Nの他端を共通ノードCN0に接続した状態で、容量C0Pの他端はマイナス側基準電圧VRNに設定される(図8(B))。さらに、図8(A)または図8(B)の状態で、電圧VXP、VXNを比較することで、最下位ビットLSBの論理が判定される。
図9は、図1に示したアナログ・デジタル変換器ADCの動作の別の例を示している。図9は、最下位ビットLSBの論理を判定するためのスイッチS0P、S0Nの動作が図4と相違している。その他の動作は、図4と同様である。
最下位から2番目のビット2ndLSBが論理1のとき、容量C0Nの他端を共通ノードCN0に接続した状態で、容量C0Pの他端はプラス側基準電圧VRPに設定される。一方、最下位から2番目のビット2ndLSBが論理0のとき、容量C0Pの他端を共通ノードCN0に接続した状態で、容量C0Nの他端はプラス側基準電圧VRPに設定される(図9(a))。この状態で、比較器CMPは、4番目のクロックCKの立ち下がりエッジに応答して、差動アナログ出力信号線VXP、VXNの電圧の比較結果を1ビットのデジタル信号COUTとして出力する(図9(b))。デジタル信号COUTの論理は、最下位ビットLSBとして扱われる。差動アナログ出力信号線VXP、VXNの電圧の高低とデジタル信号COUTの論理との関係は、最上位ビットMSBを生成するときと同じである。
図10は、図9に示した変換動作において、デジタル出力信号DOUTの最下位から2番目のビット2ndLSBおよび最下位ビットLSBの判定方法を示している。ビット2ndLSBが論理1のとき、図10(A)に示すように、容量C0Nの他端を共通ノードCN0に接続した状態で、容量C0Pの他端はプラス側基準電圧VRPに設定される。この動作は、図8(A)と同じである。
一方、ビット2ndLSBが論理0のとき、図10(B)に示すように、容量C0Pの他端を共通ノードCN0に接続した状態で、容量C0Nの他端はプラス側基準電圧VRPに設定される。これにより、容量C0Nの他端は、コモン電圧VCMからプラス側基準電圧VRPに上昇し、容量C0Nの一端である差動アナログ出力信号線VXNの電圧もカップリング作用により上昇する。容量C0Pの他端は、コモン電圧VCMに維持されているため、容量C0Pの一端である差動アナログ出力信号線VXPの電圧は変化しない。したがって、図8と同様に、差動アナログ出力信号線VXP、VXN間の電圧変化は、最下位から2番目のビット2ndLSBを判定するときの半分になる。この結果、最下位から2番目のビット2ndLSBの半分の重みを有する最下位ビットLSBの論理の判定が可能になる。すなわち、図10(A)または図10(B)の状態で、差動アナログ出力信号線VXP、VXNの電圧を比較することで、図8と同様に、最下位ビットLSBの論理が判定できる。
図11は、図1に示したアナログ・デジタル変換器ADCの動作の別の例を示している。図11は、最下位ビットLSBの論理を判定するためのスイッチS0P、S0Nの動作が図4と相違している。その他の動作は、図4と同様である。
最下位から2番目のビット2ndLSBが論理1のとき、容量C0Pの他端を共通ノードCN0に接続した状態で、容量C0Nの他端はマイナス側基準電圧VRNに設定される。一方、最下位から2番目のビット2ndLSBが論理0のとき、容量C0Nの他端を共通ノードCN0に接続した状態で、容量C0Pの他端はマイナス側基準電圧VRNに設定される(図11(a))。この状態で、比較器CMPは、4番目のクロックCKの立ち下がりエッジに応答して、差動アナログ出力信号線VXP、VXNの電圧の比較結果を1ビットのデジタル信号COUTとして出力する(図11(b))。デジタル信号COUTの論理は、最下位ビットLSBとして扱われる。差動アナログ出力信号線VXP、VXNの電圧の高低とデジタル信号COUTの論理との関係は、最上位ビットMSBを生成するときと同じである。
図12は、図11に示した変換動作において、デジタル出力信号DOUTの最下位から2番目のビット2ndLSBおよび最下位ビットLSBの判定方法を示している。この例では、図10と逆の動作が実施される。
まず、最下位から2番目のビット2ndLSBが論理1のとき、図12(A)に示すように、容量C0Pの他端を共通ノードCN0に接続した状態で、容量C0Nの他端はマイナス側基準電圧VRNに設定される。これにより、容量C0Nの他端は、コモン電圧VCMからマイナス側基準電圧VRNに下降し、容量C0Nの一端である差動アナログ出力信号線VXNの電圧もカップリング作用により下降する。容量C0Pの他端は、コモン電圧VCMに維持されているため、容量C0Pの一端である差動アナログ出力信号線VXPの電圧は変化しない。したがって、差動アナログ出力信号線VXP、VXN間の相対的な電圧変化は、図8および図10と同様になる。
一方、最下位から2番目のビット2ndLSBが論理0のとき、図12(B)に示すように、容量C0Nの他端を共通ノードCN0に接続した状態で、容量C0Pの他端はマイナス側基準電圧VRNに設定される。これにより、容量C0Pの他端は、コモン電圧VCMからマイナス側基準電圧VRNに下降し、容量C0Pの一端であるノードVXPの電圧もカップリング作用により下降する。容量C0Nの他端は、コモン電圧VCMに維持されているため、容量C0Nの一端である差動アナログ出力信号線VXNの電圧は変化しない。したがって、差動アナログ出力信号線VXP、VXN間の相対的な電圧変化は、図8および図10と同様になる。
差動アナログ出力信号線VXP、VXN間の電圧変化は、最下位から2番目のビット2ndLSBを判定するときの半分になる。この結果、最下位から2番目のビット2ndLSBの半分の重みを有する最下位ビットLSBの論理の判定が可能になる。すなわち、図12(A)または図12(B)の状態で、差動アナログ出力信号線VXP、VXNの電圧を比較することで、図8と同様に、最下位ビットLSBの論理が判定される。
以上、この実施形態では、最下位ビットLSBの論理を判定するときに、第1補助容量C0P、C0Nの一方を共通ノードCN0に接続した状態で、第1補助容量C0P、C0Nの他方をプラス側基準電圧線VRPまたはマイナス側基準電圧線VRNに接続する。これにより、重み付けの大きい容量を追加することなく、デジタル出力信号DOUTのビット数を増やすことができ、分解能を向上できる。換言すれば、同じ分解能のアナログ・デジタル変換器ADCの回路サイズを小さくでき、チップサイズを削減できる。さらに、アナログ・デジタル変換器ADCの回路サイズが小さくなることで、寄生容量は小さくなるため、低電力のアナログ・デジタル変換器ADCを実現できる。
図13は、別の実施形態におけるアナログ・デジタル変換器ADCの例を示している。上述した実施形態で説明した要素と同一の要素については、同一の符号を付し、これ等については、詳細な説明を省略する。この実施形態では、スイッチS00P、S0P、S1P、S2P、S00N、S0N、S1N、S2Nの第4端子は、共通ノードCN0に接続されている。その他の構成は、図1と同様である。
図13では、差動アナログ入力信号VINP、VINNがサンプルされた後、容量C0P、C0N、CXP、CXNだけでなく、容量C2P、C2N、C1P、C1Nに蓄積された電荷を用いて、共通ノードCN0の電圧が生成される。このため、共通ノードCN0を安定した中間電圧(すなわち、コモン電圧VCM)に設定できる。特に、容量値の大きい容量C2P、C2Nを利用して中間電圧を生成することで、容量CXP、CXNの容量値の誤差および容量C0P、C0Nの容量値の誤差により、中間電圧がコモン電圧VCMからずれることを防止できる。以上、この実施形態においても、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
図14は、別の実施形態におけるアナログ・デジタル変換器ADCの例を示している。上述した実施形態で説明した要素と同一の要素については、同一の符号を付し、これ等については、詳細な説明を省略する。この実施形態では、スイッチS00P、S00Nが図1と相違している。また、容量CXP、CXNの一端は、コモン電圧線VCMではなく、接地線に接続されている。
図2で説明したように、マイナス側基準電圧VRNは接地電圧(0V)と同じであるため、容量CXP、CXNの一端は、マイナス側基準電圧線VRNに接続されてもよい。その他の構成は、容量CXP、CXNがスイッチS00P、S00Nを介することなく共通ノードCN0に接続されていることを除き、図1と同様である。各スイッチS00P、S00Nは、制御回路CONTにより生成される制御信号に応じて、共通ノードCN0をコモン電圧線VCMに接続する。なお、スイッチS00P、S00Nのいずれかは、省略されてもよい。また、共通ノードCN1、CN2を共通ノードCN0に接続することで、図13と同様のアナログ・デジタル変換器ADCが形成されてもよい。
図15は、図14に示した電荷再分配型デジタル・アナログ変換器CDACの回路例を示している。スイッチS00P、S00Nを除く構成は、図3と同様である。スイッチS00Pは、サンプル信号SMP、/SMPをゲートで受けるCMOSスイッチを有している。スイッチS00PのCMOSスイッチは、差動アナログ入力信号VINP、VINNがサンプルされるときにオンし、共通ノードCN0をコモン電圧線VCMに接続する。スイッチS00Nは、サンプル信号SMP、/SMPをゲートで受けるCMOSスイッチを有している。スイッチS00NのCMOSスイッチは、差動アナログ入力信号VINP、VINNがサンプルされるときにオンし、共通ノードCN0をコモン電圧線VCMに接続する。
図16は、図14に示したアナログ・デジタル変換器ADCの動作の例を示している。スイッチS00P、S00Nの動作以外は、図4と同様である。
スイッチS00P、S00Nは、差動アナログ入力信号VINP、VINNがサンプルされる期間にオンし、第2補助容量CXP、CXNの他端をコモン電圧線VCMに接続する(図16(a))。第2補助容量CXP、CXNの一端は接地線に接続されている。このため、第2補助容量CXP、CXNには、コモン電圧VCMに対応する電荷が蓄積され、第2補助容量CXP、CXNの他端(すなわち、共通ノードCN0)は、コモン電圧VCMに初期設定される。
スイッチS00P、S00Nは、1番目のクロックCKの立ち上がりエッジに応答してオフする(図16(b))。スイッチS0P、S0Nは、1番目のクロックCKの立ち上がりエッジに応答して、容量C0P、C0Nの他端を共通ノードCN0に接続する。以降の動作は、図4と同様である。
なお、最下位ビットLSBの論理の判定は、図9または図11に示したように、最下位から2番目のビット2ndLSBの論理に応じて、容量C0PまたはC0Nを共通ノードCN0に接続してもよい。以上、共通ノードCN0にコモン電圧VCMを直接供給するスイッチS00P、S00Nが形成されるときにも、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
図17は、別の実施形態におけるアナログ・デジタル変換器ADCの例を示している。上述した実施形態で説明した要素と同一の要素については、同一の符号を付し、これ等については、詳細な説明を省略する。この実施形態のアナログ・デジタル変換器ADCは、カップリング容量CSP、CSN、容量対”C3P、C3N”、”C4P、C4N”およびスイッチS3P、S4P、S3N、S4Nを図1の構成に追加している。すなわち、プラス側の容量アレイCAPは、容量CXP、C0P、C1P、C2P、C3P、C4Pを含む。マイナス側の容量アレイCANは、容量CXN、C0N、C1N、C2N、C3N、C4Nを含む。プラス側のスイッチアレイSAPは、スイッチS00P、S0P、S1P、S2P、S3P、S4Pを含む。マイナス側のスイッチアレイSANは、スイッチS00N、S0N、S1N、S2N、S3N、S4Nを含む。
容量C0P、C1P、C2Pの一端は、カップリング容量CSPを介して比較器CMPの入力ノードVXPに接続されている。容量C0N、C1N、C2Nの一端は、カップリング容量CSNを介して比較器CMPの入力ノードVXNに接続されている。スイッチSXPは、入力ノードVXPおよび容量C0P、C1P、C2Pの一端をコモン電圧線VCMに接続する。スイッチSXNは、入力ノードVXNおよび容量C0N、C1N、C2Nの一端をコモン電圧線VCMに接続する。
差動アナログ出力信号線VXPには、容量C3P、C4Pの一端が接続されている。容量C3P、C4Pの容量値は、”C”、”2C”である。容量C3P、C4Pの他端は、スイッチS3P、S4Pにそれぞれ接続されている。差動アナログ出力信号線VXNには、容量C3N、C4Nの一端が接続されている。容量C3N、C4Nの容量値は、”C”、”2C”である。容量C3N、C4Nの他端は、スイッチS3N、S4Nにそれぞれ接続されている。
スイッチS3P、S4Pは、図3に示したスイッチS2Pと同様である。スイッチS3N、S4Nは、図3に示したスイッチS2Nと同様である。但し、スイッチS3P、S3Nは、容量対C3P、C3Nの他端を共通ノードCN3に接続する機能を有する。スイッチS4P、S4Nは、容量対C4P、C4Nの他端を共通ノードCN4に接続する機能を有する。
この実施形態では、差動アナログ入力信号VINP、VINNは、6ビットのデジタル出力信号DOUTに変換される。デジタル出力信号DOUTへの変換動作は、最上位から3番目のビット3rdMSBと最下位から3番目のビット3rdLSBの判定が加わり、6クロックサイクルで実行されることを除き、図4と同様である。
変換動作では、まず、差動アナログ入力信号VINP、VINNが、プラス側の容量アレイCAPおよびマイナス側の容量アレイCANにそれぞれサンプリングされる。この後、容量対”C4P、C4N”、”C3P、C3N”、”C2P、C2N”、”C1P、C2N”、”C0P、C0N”、”CXP、CXN”をそれぞれ短絡することで、最上位ビットの論理(符号ビット)が判定される。
次に、容量対C4P、C4Nの他端が、判定結果に応じてプラス側基準電圧VRPまたはマイナス側基準電圧VRNに順に接続され、ビット2ndMSBの論理が判定される。この後、容量対”C3P、C3N”、”C2P、C2N”、”C1P、C1N”の他端が、判定結果に応じてプラス側基準電圧VRPまたはマイナス側基準電圧VRNに順次接続され、ビット3rdMSB、3rdLSB、2ndLSBの論理が判定される。次に、容量C0Nの他端を共通ノードCN0に接続したまま、容量C0Pの他端が、判定結果に応じてプラス側基準電圧VRPまたはマイナス側基準電圧VRNに接続される。そして、最下位ビットLSBの論理が判定される。
なお、最下位ビットLSBの論理の判定は、図9または図11に示したように、最下位から2番目のビット2ndLSBの論理に応じて、容量C0PまたはC0Nを共通ノードCN0に接続してもよい。さらに、図13または図14に示したアナログ・デジタル変換器ADCに、カップリング容量CSP、CSN、容量対C3P、C3N、容量対C4P、C4NおよびスイッチS3P、S4P、S3N、S4Nを追加してもよい。以上、スプリット型のアナログ・デジタル変換器ADCにおいても、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
図18は、上述した実施形態のいずれかのアナログ・デジタル変換器ADCが搭載されるシステムSYSの例を示している。システムSYSは、送信回路から出力される差動アナログ入力信号VINP、VINNを受ける受信回路RCVを有している。受信回路RCVは、アナログ・デジタル変換器ADC、クロック生成器CKGENおよび論理回路LOGICを有している。
クロック生成器CKGENは、差動アナログ入力信号VINP、VINNをデジタル出力信号DOUTに変換する変換開始指示に応答して、外部からのクロックに基づいてアナログ・デジタル変換器ADCに供給するクロックCKを生成する。論理回路LOGICは、アナログ・デジタル変換器ADCからのデジタル出力信号DOUTを受けて動作し、デジタル出力信号DOUTの信号処理等を実施する。プラス側基準電圧VRP、マイナス側基準電圧VRNおよびコモン電圧VCMは、受信回路RCV内で生成されてもよく、受信回路RCVの外部で生成されてもよい。また、送信回路は、システムSYSに含まれてもよい。
以上の詳細な説明により、実施形態の特徴点および利点は明らかになるであろう。これは、特許請求の範囲がその精神および権利範囲を逸脱しない範囲で前述のような実施形態の特徴点および利点にまで及ぶことを意図するものである。また、当該技術分野において通常の知識を有する者であれば、あらゆる改良および変更に容易に想到できるはずであり、発明性を有する実施形態の範囲を前述したものに限定する意図はなく、実施形態に開示された範囲に含まれる適当な改良物および均等物に拠ることも可能である。