JP5560832B2 - 電子写真用キャリアの被覆樹脂分離方法、電子写真用キャリアの製造方法、芯材及びキャリア - Google Patents

電子写真用キャリアの被覆樹脂分離方法、電子写真用キャリアの製造方法、芯材及びキャリア Download PDF

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Description

本発明は、電子写真方式に用いられる静電荷像二成分現像剤のキャリアを構成する芯材の再資源化及び再利用を行う電子写真用キャリアの被覆樹脂分離方法、電子写真用キャリアの製造方法、芯材及びキャリアに関するものである。
電子写真に用いられている二成分系乾式現像剤は、概ねトナーと電子写真用キャリア(以降、単に「キャリア」ということがある。)とで構成されている。この二成分系乾式現像剤(以降、単に「現像剤」ということがある。)は、電子写真方式の複写機、プリンタ、ファクシミリ、これらの複合機等の画像形成装置に用いられている。
比較的大きなキャリア粒子表面上に微小なトナー粒子が、両粒子の摩擦により発生した静電気的な吸引力により保持されており、静電潜像に近接すると静電潜像が形成する電界によるトナー粒子に対する潜像方向への吸引力が、トナー粒子とキヤリア粒子間の吸引力に打ち勝って、トナー粒子が静電潜像上に吸引付着されて静電潜像が可視化されるものである。
本発明が対象とする二成分系乾式現像剤に用いられるキャリアは、少なくとも磁性体粒子である芯材と樹脂とから形成されている。このキャリアも、比較的大きな磁性体粒子表面に被覆樹脂を主成分とする層を形成したコーティング型キャリアや、樹脂中に比較的小さな磁性体粒子を均一に分散した状態の分散型キャリアがあり、適宜選択して用いられるが、概ねは、コーティング型キャリアが実用上使用されることが多い。
現像剤は、画像形成装置の中で、現像によって消費されたトナーを補充しながら反復使用される。従って、キヤリアは長期間の使用中、常時にトナー粒子を所望する極性で、かつ充分な帯電量に摩擦帯電しなければならない。
しかし、従来の現像剤は、粒子間の衝突、または粒子と現像機械との衝突などの機械的衝突で、キャリアの表面状態が変化し、帯電特性が変化する傾向にある。例えば、キャリア表面の割れ、欠け、剥がれなどによる表面状態の変化が起こる場合や、摩擦作用による発熱でキヤリア表面上にトナー膜が形成され、いわゆるスぺント化が生ずる場合がある。このような場合、キャリアの帯電特性が使用時間と共に低下し、現像剤全体を取り替える必要が生じる。このようなキャリアの帯電特性の劣化に対し、様々な改良が提案されてきた。例えば、キャリア表面の割れ、欠け、剥がれというような機械的な強度を増すためには、被覆樹脂の改良や磁性体表面と被覆樹脂の接着性が改良されてきた。
被覆樹脂としては様々な樹脂が提案されているが、特に機械的な強度を増すことができる架橋性の樹脂の提案が多い。
一般的には、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、シリコーン系樹脂などが使用され、様々な架橋系や添加剤とともに用いられている。例えば、特許文献1ではポリカルボジイミド樹脂を含む樹脂を架橋する方法、特許文献2、3では特定の物性や構造を持つアクリル系樹脂を架橋する方法、特許文献4では被覆樹脂をウレタン結合及び尿素結合からなる複合架橋構造を持たせる方法、特許文献5では特定のシランカップリング剤を用いたシリコーン樹脂を用いる方法、特許文献6では被覆樹脂としてアルコール性水酸基を有する樹脂をフェノール系水酸基を持つ化合物で架橋する方法などが提案されている。
また、この他にも芯材となる磁性体の表面に直接樹脂を重合する方法なども提案されている。例えば、特許文献7では、芯材表面に被覆樹脂を界面重合する方法、更にこれを架橋する方法なども提案されている。
しかしながら、これらの提案はいずれも機械的な強度や熱ストレスに対する安定性を改良していったものであるため、一般には芯材と被覆樹脂の分離は困難である。更にスペント化を防止するために、キャリア表面に様々な樹脂を被覆する方法が提案されている。
例えば、特許文献8では、被覆するシリコーン樹脂の硬化度合いを規定しており、より高い硬化度合いを提案している。以上のように、本発明が対象とする二成分系乾式現像剤に用いられるキャリアの多くは、機械的な強度向上やスペント化防止のために被覆樹脂として架橋樹脂が用いられ、その被覆状態は芯材に対して非常に強固なものとなっている。
従来はこのような劣化した現像剤は回収・廃棄されていたが、近来、産業廃棄物による環境破壊が問題になっており、現像剤の再利用も要望されるようになっている。この現像剤の再生に関しては、キャリア表面にスペント化したトナーを除去し性能を回復させる方法と、キャリアの被覆樹脂まで剥離して芯材を得て、被覆樹脂を再度設けて性能を回復する方法が提案されている。
前者の例としては、特許文献9があり、キャリア表面にスペント化したトナーを加熱や溶剤洗浄などにより除去し、芯材をリサイクルする方法を提案している。この方法は、芯材に被覆された樹脂はそのままでリサイクルしようとする方法である。かかる方法によれば、主としてスペント化して特性が劣化したキャリアをリサイクルすることができる。
しかしながら、特性の劣化がスペント化だけではなくキャリア被覆樹脂の割れや、欠け、剥がれの場合は、スペント化したトナーを除去するだけでは特性は回復せず再利用できない。また、上記公報記載の技術でも除去の困難なスペント化したトナーもあり、より強力な除去方法が求められている。更に溶剤で洗浄する場合はこの溶剤自体の後処理を考慮するとより環境影響の少ない方法が求められている。
キャリアの被覆樹脂を剥離して芯材をリサイクルする方法としては、特許文献10が提案されている。この提案は、回収した現像剤を1000°F程度の高温で加熱し再生する方法であり、アクリル系樹脂のような熱可塑性樹脂をコーテイングしたキヤリアでは、このような熱処理により被覆樹脂も除去することが可能で、特性の劣化がスペント化だけではなくキャリア被覆樹脂の割れや、欠け、剥がれの場合でも、再使用する際に再度コーテイングをすることにより芯材を再利用することが可能である。
しかしながら、金属亜酸化物で所要の磁気特性を付与されたフェライト系キヤリアを芯材として用い、これを上記従来技術によって再生した場合、当初の芯材の特性が元に戻らないという欠点があった。また、この高温加熱による再生方法が、熱を再利用する方法であれば環境影響を多少改善できるが、キャリアを構成する物質の中で燃焼熱を発生する樹脂などの可燃物が少ないため、効率的なサーマルリサイクルは期待できない。
さらに、上記公報記載の技術を、被覆樹脂に熱硬化性樹脂を用いたキャリアに適用した場合においても、芯材からの被覆樹脂の剥離が十分に行なえないという欠点があることを本発明者等は確認した。また、さらに本発明者等は、被覆樹脂または該処理による生成物が芯材に付着したままであると、その再生した芯材に再度樹脂を被覆したものをキャリアとして用いた場合、現像剤としての性能が、非再生の新規な芯材に樹脂を被覆したものをキャリアとして用いた場合とを、現像剤としての性能を比較すると、明らかに前者の方が劣り、この性能の差は被覆樹脂が十分に剥離しているほど小さいことを検証した。
したがって、前者が後者と同等の性能を発揮するためには、再生芯材に残留樹脂が少ないほど、すなわち被覆剥離の度合いは高いことが望ましい。
以上のような理由から、従来の二成分系現像剤キャリアに関し、被覆樹脂と磁性体を分離する方法及びリサイクル方法は、環境に対する影響が少ない被覆樹脂を確実に除去できず、しかも芯材の特性を劣化させてしまうため、実用上満足できるものではない。
すなわち、化学的かつ機械的に堅牢なキャリアの被覆樹脂を除去するための条件と、所望の磁気特性を付与された磁性体の性能を損なわない条件を両立させることは、従来技術では達成し得なかったものである。特に、金属亜酸化物の所定結晶の粒子と被覆樹脂からなる粒状磁性材料に適用して、酸化物への酸化や逆の還元を伴わず、かつ結晶状態を乱さず、したがって磁気特性を劣化させずに磁気材料粒子体を回収することに関する従来技術は皆無である。
すなわち、キャリアの芯材として用いられる磁性体は、特定の結晶構造を有する亜酸化物であるため、リサイクル処理工程で、酸化などの化学変化や結晶構造に変化を生じることは避けなければならない。超臨界又は亜臨界状態の水中での樹脂の分解が、特許文献11に提案されている。これによれば、多くの樹脂が加水分解又は熱分解を受け、モノマー単位まで分解できることが示されている。また、特許文献12では、特に熱硬化性樹脂の超臨界又は亜臨界状態の水中での分解方法が示されている。特許文献13では、特に塩素含有プラスチック廃棄物の処理方法が示されている。これらは、主として大量の樹脂廃棄物をモノマー化し、無害化すると共に原材料化することを目的に行なわれ、その目的対象物に適した条件などを提案している。一方、特許文献14や特許文献15では、樹脂の分解条件を亜臨界条件に規定し、使用流体を過酸化水素水に規定した提案をしている。この方法では、特定の樹脂被膜はある程度除去できるが、過酸化水素水により酸化作用が進み金属亜酸化物の所定結晶の粒子からなる粒状磁性材料の特性が大きく損なわれる。特に、過酸化水素水による影響で粒状磁性材料の特性である抵抗が未使用芯材より高抵抗化したり、磁気特性変化(低下)があり、リサイクル化には適さない。
上記のように多くの樹脂が超臨界条件または亜臨界条件で分解することが確認されているが、全ての樹脂が分解するわけではない。非特許文献1では、いくつかの熱硬化性樹脂の分解について研究結果を報告している。例えば、熱硬化性樹脂の一種であるフェノール樹脂は、超臨界水で処理しても分解率が低く、いわゆるチャー化が起こっていることを報告している。また、その他の樹脂についても分解に適切な条件範囲があることを示唆している。
さらに、特許文献16、特許文献17では、特に船の構造材などに用いられる繊維強化プラスチックなどの樹脂と他の物質の複合材料を対象物質として、その処理方法を条件と共に提案している。これらは、特定の目的対象物に対して、その形態や利用目的に応じて処理条件や処理のプロセスを提案しているものである。しかしながら、これらの公報は、樹脂と繊維などの芯材との分離を目的としたもので、芯材のリサイクルに関連した特性変化などについては言及していない。特に金属亜酸化物の所定結晶の粒子と被覆樹脂からなる粒状磁性材料に適用して、酸化物への酸化や逆の還元を伴わず、かつ結晶状態を乱さず、したがって、磁気特性を劣化させずに磁気材料粒子体を回収するためのものであることは示されていない。さらに、電子写真用キャリアに用いられている芯材には、一定の粒子径範囲を持ち、球形に近づくように高度に形状制御した磁性体が用いられており、これらが、超臨界水または亜臨界水によりどのような変化が起こるかについては、まったく示されていない。
超臨界水または亜臨界水は、被処理物の処理に有効であるが、経済性を考慮した処理条件の設定も重要である。特に、被処理物に対して使用する水の量が多い場合、熱エネルギーコストが処理費に与える影響は大きい。反面、被処理物の有効な変化にはある程度の水の量が必要である。具体的には、現像剤キャリアに被覆された樹脂が十分に剥離する水の量が必要である。したがって、被処理物単位重量あたりに要する水の量は、多ければ多いほど確実に被覆を除去できる反面、処理費用はかさむことになり、これらを両立する適当な条件設定が必要である。
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、その課題は、電子写真用二成分現像剤のキャリアで、芯材である磁性体を強固に被覆又は含有した樹脂を磁性体から分離し、かつ、分離後も芯材の諸特性に影響しないで、再び樹脂を被覆してもキャリアとして十分な性能をもたらし、かつ、確実に除去するキャリアの被覆樹脂分離方法及びキャリアの製造方法を提供するものである。
上記課題を解決する手段である本発明の特徴を以下に挙げる。
本発明の電子写真用キャリアの被覆樹脂分離方法は、少なくとも芯材と被覆樹脂とを有する電子写真用キャリアを、電気伝導率(25℃)1μS・cm以下の純水を超臨界状態とした超臨界純水により処理して該芯材から該被覆樹脂を分離する分離工程と、微粒径の気泡を有する洗浄水で分離後の芯材を洗浄する洗浄工程と、を有することを特徴とする。
また、本発明の電子写真用キャリアの被覆樹脂分離方法は、さらに、前記洗浄工程の微粒径の気泡が、平均粒径が100μm以下の粒径であることを特徴とする。
また、本発明の電子写真用キャリアの被覆樹脂分離方法は、さらに、前記被覆樹脂が少なくともシリコーン樹脂を含むことを特徴とする。
また、本発明の電子写真用キャリアの被覆樹脂分離方法は、さらに、前記超臨界純水は、超臨界温度が385℃以上400℃以下の範囲で、かつ 超臨界圧が25MPa以上30MPa以下の範囲であることを特徴とする。
また、本発明の電子写真用キャリアの被覆樹脂分離方法は、さらに、前記芯材が、フェライト又はマグネタイトであることを特徴とする。
また、本発明の電子写真用キャリアの被覆樹脂分離方法は、さらに、前記キャリアと接触させる超臨界純水中に含まれる前記現像剤を構成する物質の分解物又は溶解物を時間とともに減少(分解)させることを特徴とする。
また、本発明の電子写真用キャリアの被覆樹脂分離方法は、さらに、前記現像剤を保持した容器に供給する超臨界純水中に含まれる該キャリアを構成する物質の分解物又は溶解物を時間とともに減少させることを特徴とする。
また、本発明の電子写真用キャリアの被覆樹脂分離方法は、さらに、前記キャリアが、電子写真用現像剤の使用済みのキャリアであることを特徴とする。
本発明の電子写真用キャリアの製造方法は、電子写真方式の画像形成装置に用いる電子写真用キャリアであって、磁性の芯材に、樹脂被覆させる電子写真用キャリアの製造方法において、上述の電子写真用キャリアの被覆樹脂分離方法により電子写真用キャリアから前記被覆樹脂を分離した芯材を回収し、洗浄・乾燥した後に、芯材に樹脂を被覆することを特徴とする。
また、本発明の電子写真用キャリアの製造方法は、さらに、前記芯材を分離する電子写真用キャリアが、使用された後の回収された電子写真用キャリアであることを特徴とする。
上記課題を解決する手段である本発明によって、以下のような特有の効果を奏する。
以上、詳細かつ具体的な説明から明らかなように、本発明の電子写真用キャリアの被覆樹脂分離方法は、被覆樹脂と磁性体からなる芯材とを分離するもので、使用後の現像剤中のキャリアを超臨界水の条件下で処理し、被覆樹脂を加水分解及び/又は熱分解により芯材と分離するもので、従来の方法に比較して環境影響の少ない方法で確実に分離を行ない、より除去率の高い処理が可能なだけでなく、芯材自身も変質させずに分離することができる。また、本発明の電子写真用キャリアの被覆樹脂分離方法は、キャリアから被覆樹脂をより完全に分離することと、熱エネルギーを有効に利用することができる。
本発明のキャリアの被覆樹脂分離方法に用いる分離装置の構成を示す図である。 本発明のキャリアの被覆樹脂分離方法に用いる洗浄装置の構成を示す図である。
以下に、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。なお、いわゆる当業者は特許請求の範囲内における本発明を変更・修正をして他の実施形態をなすことは容易であり、これらの変更・修正はこの特許請求の範囲に含まれるものであり、以下の説明はこの発明における最良の形態の例であって、この特許請求の範囲を限定するものではない。
本発明者等は、前記目的を達成のために鋭意検討を重ねた結果、超臨界水の使用がこの目的を達成するのに有効であることを見出して本発明に至った。
本発明の電子写真用キャリア(以下、単に「キャリア」と記す。)の被覆樹脂分離方法は、少なくとも磁性体からなる芯材と被覆樹脂から構成される電子写真用現像剤の該キャリアを、超臨界水の条件下で分離処理することで、芯材から被覆樹脂を分離する分離工程と被覆樹脂を分離したキャリアをマイクロバブル又はナノバブル以下の微粒径の気泡を含有した水によって洗浄する洗浄工程とによって達成される。
本発明のキャリアの被覆樹脂分離方法における分離工程では、超臨界水に用いられる水は、電気伝導率(25℃における値。以下、同じであり省略する。)が1μS・cm以下の純水が用いられる。電気伝導率が1μS・cm以上の水を使用すると、イオン等の不純物が多くなり、樹脂を分離する作用が弱くなるので好ましくない。電気伝導率は、好ましくは0.1〜1.0μS・cm、より好ましくは0.1μS・cm以下の超純水がよい。電気伝導率が低い超純水になると、イオン等の不純物は殆ど含まれないので、分離工程の超臨界処理時における芯材品質へのダメージが少ない。
一般的に水の電気伝導率は以下の様に紹介されている。
Figure 0005560832

また、過酸化水素水のように殺菌作用、分解作用の強いものを使用すると被覆樹脂膜除去・分離以外に、キャリア芯材品質も酸化作用により損なうため好ましくない。
本発明のキャリアの被覆樹脂分離方法における分離工程は、使用後の現像剤中のキャリアを超臨界水の条件下で分離処理し、被覆樹脂を加水分解及び/又は熱分解による作用と溶解作用とにより芯材と分離するものである。
また、本発明のキャリアの被覆樹脂分離方法における分離工程は、キャリアを分離処理する超臨界水の条件が温度が375℃以上、且つ圧力22Mpa以上にすることで、短時間で効率的に分離することが可能になる。さらに、超臨界水では好ましくは380℃以上、且つ圧力25Mpa以上であることが好ましい。さらに、短時間で効率的に分離することができる。
さらにまた、本発明のキャリアの被覆樹脂分離方法における分離工程は、超臨界水による分離処理が1分ないし90分間の間で行なわれる。被覆に使用されている樹脂の性質、超臨界水の温度圧力条件にもよるが、好ましくは1分ないし60分、より好ましくは2分ないし30分である。
さらにまた、本発明のキャリアの被覆樹脂分離方法における分離工程は、分離処理の対象となるキャリアが芯材に架橋された樹脂で被覆された構成であり、溶剤などでは溶解しにくい被覆樹脂を超臨界状態の水中で分離処理することにより、被覆樹脂と磁性体を確実に分離する。
さらにまた、本発明のキャリアの被覆樹脂分離方法における分離工程は、分離処理の対象となるキャリアが少なくとも磁性体からなる芯材に、熱架橋性樹脂で被覆されているキャリアを用いる。
本発明のキャリアの被覆樹脂分離方法における分離工程は、燃焼などでは容易に分解しにくい熱架橋性樹脂で被覆されたキャリアであっても、超臨界状態の水中で処理することにより、被覆樹脂と芯材とを確実に分離することができる。
また、本発明のキャリアの被覆樹脂分離方法における分離工程は、処理の対象となるキャリアが少なくとも磁性体からなる芯材に、少なくともシリコーン樹脂を主成分とした樹脂を含む樹脂の膜が被覆されたいて、溶剤、酸や塩基、燃焼などのさまざまな分離手段に対し分離が困難なシリコーン被覆樹脂を超臨界状態の水で処理することにより、被覆樹脂と芯材を確実に分離する。
さらにまた、本発明のキャリアの被覆樹脂分離方法における分離工程は、処理の対象となるキャリアが少なくとも磁性体からなる芯材としてフェライトやマグネタイトを用い、これに被覆樹脂が形成された構成である。
フェライトは超臨界水中で安定であるため、芯材自体が変質することなく分離操作を行なうことができる。この際、超臨界水による処理が、非酸性条件下で行なわれることが好ましく、また、非酸化性かつ非還元性条件下で行なわれることが磁性体の変質を防ぐ上でより好ましい。
さらに、本発明のキャリアの被覆樹脂分離方法では、被覆樹脂を分離したキャリアの洗浄は、水中に微粒径の気泡を含有する水で洗浄する洗浄工程を有する。
この微粒径の気泡を含有する水は、電気伝導度が10μS・cm以下の水が好ましい。好ましくは、1μS・cm以下のイオンを殆ど含有しない水が好ましい。電気伝導度が10μS・cmを越えている水、例えば水道水のように多くのイオンを含有すると、洗浄時被覆樹脂分離後の芯材表面にイオンが付着し芯材の有する化学的・物理的特性を損なうことがある。
また、洗浄時に、微粒径の気泡が含有されていると、洗浄時、芯材表面に分離した被覆樹脂成分や被覆樹脂中に含有されていたフィラー類の再付着物や芯材表面に分離しきれずに残留していた被覆樹脂分やフィラー類が、微粒径の気泡の破裂時に発生する衝撃力により分離される。したがって、洗浄工程では、洗浄だけではなく、ある程度の芯材表面にある樹脂、フィラー、汚れ等を分離することができる。
洗浄工程は、微粒径の気泡(マイクロバブル又はナノバブル)を含む水中に浸漬させながら、超音波振動を付加させながら洗浄し、上澄み液を除去したり、前記処理済みの芯材を含む洗浄液を吸引ろ過により除去する。
洗浄は、2〜3回洗浄するが、好ましくは3〜5回がよい。洗浄回数が増すにつれて分離された被覆樹脂成分やフィラー類の残留物が減少していく。特に、抵抗調整のために使用しているフィラー類が芯材表面に残留すると、芯材の重要特性の1つである磁気特性の低下を招き好ましくない。洗浄回数が5回を越えて多くなると、生産性が低下したり、歩留の低下を招き好ましくない。
しがって、現像剤を構成する物質で、分離し、洗浄して水に含まれるようになった樹脂、フィラー又はこれらの分解物、溶解物を取り除きながら洗浄することで、キャリアの芯材表面へ残留する物質を減らすことができ、また、磁気特性の低下を防止することができる。同様に、キャリアを構成する物質で、分離し、洗浄して水に含まれるようになった樹脂、フィラー又はこれらの分解物、溶解物を取り除いた水を、現像剤を収納し、保持する容器に供給することで、現像剤を洗浄するときの、芯材表面へ残留する物質を減らすことができ、また、磁気特性の低下を防止することができる。
また、本発明の電子写真用キャリアの製造方法は、キャリアを超臨界水の条件下で処理し、被覆樹脂を加水分解及び/又は熱分解による作用と溶解作用により芯材と分離し、これと同時またはその後芯材を分離し、これと同時またはその後芯材を洗浄し、乾燥する。そして、その後、芯材を用いて電子写真用キャリアを製造する。キャリアの製造方法は、芯材表面に樹脂を被覆する。樹脂を芯材表面に被覆するための装置として、ハイブリダイザー、アトライター等の混合機を用いる。ハイブリダイザーは、分散媒体を用いずに、高速で回転させる羽根で着色剤を離型剤表面に固定させる。分散媒体の破砕物などが混入することがない。また、樹脂を有機溶媒中に溶解又は分散させて、浮遊させた芯材にスプレードライ法で噴霧することで、樹脂を表面に被覆させたキャリアを得ることができる。また、樹脂を溶解又は分散させている有機溶媒中に、浸漬して被覆されるものであっても良い。
なお、芯材を回収、洗浄、乾燥する過程では、芯材を洗浄する時、マイクロバブル又はナノバブルの微粒径の気泡を含有する水中に浸漬させ、吸引ろ過やタンク内で攪拌しながら超音波振動を付加する。乾燥後は粗目スクリーンを有する篩を通過させて、例えば被覆樹脂層を未だ分離していないか、または、所望粒径を超える大粒径の磁性体を除去し、また細目スクリーンを有する篩を通過させて、例えば摩耗、衝突など何らかの原因で所望粒径未満となった小粒径の磁性体を除去することができる。また、芯材を再びキャリア用芯材としてリサイクルする際に、無論、未使用の芯材を混合使用してもよい。
したがって、キャリアを超臨界水(純水)の条件下で分離処理し、被覆樹脂を加水分解、及び/又は熱分解により芯材と分離し、これと同時またはその後、芯材を洗浄し、乾燥の後、芯材をキャリア用のリサイクルに供することができる。
さらに、処理液中から樹脂モノマー等の有効成分を資源化することも可能である。また、本発明のキャリアの被覆樹脂と芯材を分離する方法は、被処理キャリアと接触させる超臨界水中に含まれる該現像剤を構成する物資の分解物及び/又は溶解物を時間とともに減少させることにより、特に非分解物が多い被処理物であるキャリアから、被覆樹脂を確実に分離し、かつ熱効率のよい処理が行なえる。
さらに、また、被処理物を処理系内に取り入れた初期において、既に処理に使用した超臨界水は熱水と被処理物を接触させることにより、熱エネルギーを有効に利用できる。
さらにまた、本発明に係わるキャリアの被覆樹脂と磁性体である芯材を分離する方法は、容器と配管で構成される反応装置において、記載の方法と同様の効果が得られる。
本発明が対象とするキャリアの磁性体と樹脂との複合形態は、大別して2種がある。比較的大きな磁性体の粒子表面に被覆樹脂を主成分とする層を形成した構成や、樹脂中に比較的小さな磁性体粉を均一に分散した状態の構成などである。いずれの構成においても本発明を適用することができる。
また、本発明が対象とするキャリアに含まれる芯材としての磁性体は、従来からの公知のものでよく、例えば鉄、コバルト、ニッケルなどの強磁性金属、マグネタイト、へマタイト、フェライトなどの合金や前記強磁性体微粒子と樹脂との複合体等が挙げられる。これら磁性体粒子の平均粒径は通常10〜1000μmである。ただし、磁性体によっては超臨界水のある条件下では、酸化や加水分解を受けるため、このような環境下でより安定な磁性体が好ましい。例えば、好適な対象磁性体としては金属酸化物系などが挙げられる。この中で代表的なものは、フェライト、マグネタイトなどがある。ただし、超臨界状態の水で変質を受けやすい磁性体であっても、被覆樹脂との関係で適切な温度、圧力、処理時間、添加物などを設定すれば、これを回避することが可能である。
また、本発明が対象とするキャリアの被覆樹脂も従来からの公知のものでよく、被覆層を形成する樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン、アクリル(例えばポリメチルメタクリレート)、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン等のポリビニル及びポリビニリデン系樹脂;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体;オルガノシロキサン結合からなるシリコーン樹脂またはその変成品(例えばアルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン等による変成品);ポリテトラフルオロエチレン、ポリ弗化ビニル、ポリ弗化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン等の弗素樹脂;ポリアミド;ポリエステル;ポリウレタン;ポリカーボネート;尿素−ホルムアルデヒド樹脂等のアミノ樹脂;エポキシ樹脂等が挙げられる。中でもトナースペントを防止する点で好ましいのは、シリコーン樹脂またはその変成品、弗素樹脂、特にシリコーン樹脂またはその変成品である。
シリコーン樹脂としては、従来から知られているいずれのシリコーン樹脂であってもよく、下記式で示されるオルガノシロキサン結合のみからなるストレートシリコーンおよびアルキド、ポリエステル、エポキシ、ウレタンなどで変成したシリコーン樹脂が挙げられる。
Figure 0005560832
(式中Rは水素原子、炭素原子1〜4のアルキル基またはフェニル基、RおよびRは水素基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、炭素原子数2〜4のアリケニル基、炭素原子数2〜4のアルケニルオキシ基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、エチレンオキシド基、グリシジル基または下記式で示される基である。
Figure 0005560832

(式中R、Rはヒドロキシ基、カルボキシル基、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、炭素原子数2〜4のアルケニル基、炭素原子数2〜4のアルケニルオキシ基、フェニル基、フェノキシ基、k,l,m,n,o,pは1以上の整数を示す。)
上記、各置換基は未置換のもののほか、例えばアミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、メルカプト基、アルキル基、フェニル基、エチレンオキサイド基、グリシジル基、ハロゲン原子のような置換基を有してもよい。
更に、これらの樹脂は架橋剤などが加えられ、例えば熱処理などにより架橋を進められたものでもよい。このような熱架橋樹脂の被覆は、一般に溶剤や酸・塩基に不溶であり、熱処理をした場合、炭化物などが磁性体表面に付着するため、他の方法では磁性体からの確実な除去は難しいが、本発明のキャリアの被覆樹脂分離方法では分離が確実にできる。
これらの中でもシリコーン樹脂を硬化させた樹脂皮膜は、多くの酸・塩基に対し安定であるばかりでなく、溶剤に不溶であり、かつ燃焼させてもなかなか除去できないものである。
これらのシリコーン樹脂は従来から知られるシリコーン樹脂で良く、例えば市販品として、信越シリコーン社製のKR261、KR271、KR272、KR275、KR280、KR282、KR285、KR251、KR155、KR220、KR201、KR204、KR205、KR206、SA−4、ES−1001、ES1001N、ES1002T、KR3093や東レダウコーニング社製のSR2100、SR2101、SR2107、SR2110、SR2108、SR2109、SR2115、SR2400、SR2410、SR2411、SH805、SH806A、SH840などが挙げられる。
また、本発明で用いられるキャリアは、その体積固有抵抗を制御するために、被覆層中に導電性付与材料を分散してもよい。分散される導電性付与剤は従来より公知のものでよく、例えば鉄、金、銅等の金属;フェライト、マグネタイト等の酸化鉄;カーボンブラック等の顔料が挙げられる。この中でも、特にカーボンブラックの一つであるファーネスブラックとアセチレンブラックの混合物を用いることにより、少量の導電性微粉末の添加で効果的に導電性の調整が可能で、更に被覆層の耐摩耗性に優れたキャリアを得ることが可能となった。これらの導電性微粉末は、粒径0.01〜10μm程度のものが好ましく、被覆樹脂100重量部に対して2〜30重量部添加されることが好ましく、さらには5〜20重量部が好ましい。このような添加物質が樹脂皮膜中にあっても本発明の処理に特に影響はない。
また、キャリア被覆層中には核体粒子との接着性を向上させたり、導電性付与剤の分散性を向上させる目的でシランカップリング剤、チタンカップリング剤等を添加してもよい。
本発明に用いるシランカップリング剤としては、下記一般式で示される化合物がある。
Figure 0005560832
(Xは、けい素原子に結合している加水分解基でクロル基、アルコキシ基、アセトキシ基、アルキルアミノ基、プロペノキシ基などがある。Yは、有機マトリックスと反応する有機官能基でビニル基、メタクリル基、エポキシ基、グリシドキシ基、アミノ基、メルカプト基などがある。Rは、炭素数1〜20のアルキル基またはアルキレン基である)
このシランカップリング剤の中でも、特に負帯電性を有する現像剤を得るには、Yにアミノ基を有するアミノシランカップリング剤が好ましく、正帯電性を有する現像剤を得るには、Yにエポキシ基を有するエポキシシランカップリング剤が好ましい。
本発明のキャリアの製造方法が対象とするキャリアは、実際には使用後の現像剤として回収される。これはトナーとキャリアの混合物であるが、この混合物の状態で超臨界処理してもよいが、容易に分離可能なトナーは予め分離する方が望ましい。
この分離方法としては、ブローオフなどの静電的な処理を行なってもよい。ただし、キャリアにスペント化したトナーは容易に分離できない。これについては、超臨界水による分離工程の前に、キャリアからトナーを分離し、または、スペントしてキャリア表面に固着しているトナーを分離除供する処理として前処理工程を組み合わせてもよい。
前処理工程としては、例えば、溶剤による洗浄や加熱処理を行なってもよい。しかし、超臨界処理の時点で多少のトナーが混入しても樹脂と磁性体の分離は問題なく行なえるため、大きな問題とはならない。
本発明のキャリアを分離工程で処理する超臨界水の場合、少なくとも温度:375〜400℃、圧力:22〜30MPaの範囲で適当に調整すればよいが、好ましくは温度:380〜390℃、圧力:25〜28MPaの範囲にある。これらの範囲の中で、更に好ましい範囲は、対象とするキャリアの被覆樹脂や芯材との構成により調整される。すなわち、被覆樹脂は迅速に分解するが、芯材の磁性体は変質しないような条件が適する。また、超臨界水の温度・圧力の条件は、できるだけ高い方が処理時間を短くできるため、可能な範囲で高温・高圧の条件が適する。この範囲は、例えば超臨界水の場合は380℃以上、25MPa以上の範囲である。
本発明のキャリアの被覆樹脂と磁性体を分離する分離工程としては、キャリアに含まれる被覆樹脂を一部分離するだけでもよい。すなわち、キャリアの劣化が表面近傍だけであれば、表面近傍の樹脂を除去するだけでもよい。
また、超臨界水よる樹脂の分解は、キャリア粒子の表面側から進行するため、この分解度も処理時間などにより制御できる。しかし、好ましい被覆樹脂の分離の割合は処理前の70%以上であり、より好ましくは80%以上、更に好ましいのは90%以上の範囲である。
これは、特に、使用済みであって処理後の芯材を未使用の芯材と混合して被覆を施す場合、芯材の差が被覆後の現像剤の性能に影響するため、特に、製造工程の安定化のためには、より高い被覆除去が望ましい。すなわち、より高い被覆除去がなされた処理後の芯材は、未使用の芯材とまったく同じような製造条件で対応できるため、処理後の芯材を用いるにあたって特に対応を必要としない。
したがって、皮膜樹脂を分離する処理時は超臨界水による分離工程に加え、処理後の芯材の洗浄工程で芯材表面に分離した付着物の再付着もなくきれいに被覆樹脂が分離できた芯材を得ることができる。これで、従来は廃棄していた芯材を再利用可能であり、地球環境保護にもで寄与できる。また、処理液中から樹脂モノマーなどの有効成分を資源化することも可能であり、これも再資源化による環境保護に繋がる。
また、キャリアを超臨界処理した後、磁性体である芯材を洗浄し付着物を除去して洗浄する洗浄工程、及び、その後乾燥する乾燥工程を経ることにより、キャリアに用いられていた磁性体は再び樹脂被覆することができる状態となる。
付着物を除去して、磁性体を洗浄する工程では、被覆樹脂を分離したキャリアの洗浄は、水中にマイクロバブル又はナノバブル以下の微粒径の気泡を含有する水で洗浄処理する。
マイクロバブル又はナノバブルの微粒径の気泡を含有する水は、電気伝導度が10μS・cm以下の水が好ましい。好ましくは、1μS・cmのイオンを殆ど含有しない水が好ましい。
電気伝導度が10μS・cm以上の水:例えば水道水のように多くのイオンを含有している水をしようしていると、洗浄時被覆樹脂分離後の芯材表面に多くのイオンが付着し芯材特性を損なう。
また、洗浄時にマイクロバブル又はナノバブルの微粒径の気泡が含有されていると、洗浄時、芯材表面に分離した被覆樹脂成分や被覆樹脂中に含有されていたフィラー類の再付着物や芯材表面に分離しきれずに残留していた被覆樹脂分やフィラー類が前記微粒径の気泡の衝撃力により分離される。
洗浄方法は、微粒径の気泡(マイクロバブル又はナノバブル)を含む水中に浸漬させながら、超音波振動を付加させながら洗浄し、上澄み液をオーバーフローさせ除去する方法や前記処理済みの芯材を含む洗浄液を吸引ろ過により除去する。
洗浄は、2〜3回洗浄するが、好ましくは3〜5回がよい。洗浄回数が増すにつれて分離された被覆樹脂成分やフィラー類の残留物が減少していく。特に抵抗調整目的で使用しているフィラー類が芯材表面に残留すると、芯材の重要特性の1つである磁気特性の低下を招き好ましくない。
さらにまた、本発明のキャリアの被覆樹脂と芯材とを分離する電子写真用キャリアの被覆樹脂分離方法は、処理の対象となるキャリアが少なくとも磁性体からなる芯材に少なくともシリコーン樹脂を主成分とした樹脂で構成された樹脂膜が被覆された構成であり、溶剤、酸や塩基、燃焼などのさまざまな分離手段に対し分離が困難なシリコーン被覆樹脂を超臨界状態の水で処理することにより磁性体を確実に分離する。
図1は、本発明のキャリアの被覆樹脂分離方法に用いる分離装置の構成を示す図である。
(a)に示すように、分離装置1は、反応容器11を収納する加熱装置12を備えている。この加熱装置12は、反応容器11を収納する収納部15に、アルミナ粉末を含む流動砂33が設けられている。そして、この収納部15を加熱するためのヒータ13が、収納部15の周囲に設けられている。さらに、この収納部15に温めて空気34を送風するためのコンプレーサー14と加熱するためのヒータ13が設けられている。
また、(b)に示すように、収納部15に収納する反応容器11の内筒111には、液体31と処理される現像剤32とが納められている。液体31は、水又はアルコール等の溶媒が入れられている。用いる液体としては、水31が好ましい。超臨界水、亜臨界水を形成することができ、また、表面張力が大きく微粒径の気泡を形成することが、他の溶媒に比較して容易である。
この反応容器11、内筒111は、SUS316等のオーステナイト系のステンレス鋼で形成されている。オーステナイト系は、錆にくく、また、強度が高く、さらに、磁性を有しないことから、磁性体を含む現像剤32の処理に適している。一つの反応容器11は、内径8.5mm、肉厚2.1mmで、現像剤32等を収納できる内容量は109cmである。また、反応容器11は上下を、内圧が変動しないようにねじ止めされ固定化する。
この反応容器11に現像剤32を納めておいて、アルゴン等で空気を置換して加圧する。複数の反応容器11を加熱装置12の収納部15に収納する。この加熱装置12で、加熱して、さらに、空気34を送風して粒動砂33を回動させることで、一様に加熱することができる。流動砂33が設定温度になったら流動砂33の中に、反応容器11を所定の時間投入する。
したがって、この反応容器11内に、高温、高圧の超臨界水を形成することで、納められているキャリアを、樹脂と芯材とに分離することができる。
ここでは、そして、加温設定時間になったら、氷等の入った冷却槽へ入れ急冷させ、常温常圧へ戻し、分離した芯材等を取り出す。これによって、キャリアで、その芯材と被覆樹脂とを分離することができる。
図2は、本発明のキャリアの被覆樹脂分離方法に用いる洗浄装置の構成を示す図である。
洗浄装置2は、マイクロバブル〜ナノバブル発生器(以下、「バブル発生器」と記す。)201と水槽202とを備えている。
バブル発生器201は、加圧した水を供給する加圧液供給部22と加圧した空気を供給する加圧空気供給部23とをから供給された水と空気とを混合する気液混合部24を備えている。したがって、ここで、加圧した水と空気により、微粒径の気泡を含む水を形成する。この気液混合液(マイクロ〜ナノバブル液)を送液ポンプ25によって、スットクタンク26にストックする。
一方、水槽202には、水を収納し、さらに、その中に分離装置2で樹脂が分離された芯材を収納する。さらに、芯材表面に機械的な摩擦を与える超音波発信器27と、より確実に付着物を除去するために分離した樹脂等を芯材表面から引き離すための攪拌羽根28とを設けている。
したがって、水と芯材とを収納した水槽202に、スットクタンク26から微粒径の気泡を含む気液混合液を噴出部28から噴出させて、芯材を洗浄する。
本発明に用いる処理液の水は、マイクロバブル水と呼ばれる100μm以下の気泡を使用する。気泡の平均粒径は、レーザー回折/散乱式の粒度測定装置(東日アプリケーションズ株製 LDSA3400A)にて測定する。
気泡の直径は、芯材粒径が小径時はマイクロバブルよりも小さい気泡を含有するナノバブルであって、1μm以下の気泡がこのましい。気泡の直径が小さくなると、芯材窪み部に付着した残留物もより効果的に洗浄できる。反対に気泡の直径が大きいと窪み部の内部に残留した付着物は効果的に洗浄できなくなる。また、洗浄時にナノバブル又はマイクロバブルを含む水に浸漬した被覆樹脂分離後の芯材に超音波振動の振動を与え、攪拌羽根で攪拌すると更に洗浄効果が上がる。攪拌羽根で攪拌しないと芯材に付着していた付着物が芯材近傍に浮遊し離れきれずにそのまま芯材上に残留するものもあり好ましくない。
攪拌しながら芯材表面に機械的な摩擦を与えると、より確実に付着物を除去できる。その後、さらに超音波洗浄機などを用いてもよく限定されるものではない。
以下、実施例と比較例によって本発明を説明する。
<実施例1>
本発明が対象とするキャリアの製造例を示す。
(キャリアの製造)
シリコーン樹脂(SR2400;東レダウコーニング社製) 45重量部
トルエン 125重量部
アルミナ(酸化アルミニウム;住友化学工業株式会社製) 5重量部
この被覆層形成液を平均粒径50μmの球状フェライト1000重量部の表面に流動床型塗布装置を用いて被覆層を形成し、キャリア粒子Aを得た。
これにキャリア粒子Aを97重量部と市販トナー(RICOHimagioトナータイプ7)7重量部を混合して現像剤Aを得た。
複写機imagioMPC5000(リコー社製)でこの現像剤を用いて、100万回の複写操作を行ない、使用後の現像剤を得た。
この現像剤を複写機から取り出し、まず、ブローオフにより静電的にトナーを除去した。このときキャリア表面へのトナースペント量はごくわずかであった。これを処理サンプルAとした。
(超臨界水による分離処理)
SUS316製の耐圧製の反応容器(内容積9ml)に、処理サンプルA:2.0重量部、電気伝導率が0.91μS・cmの純水3.0重量部を投入し、反応容器上部から1Mpaの加圧アルゴンガスを供給し加圧、1分放置後、約30秒かけて大気圧まで脱圧した。
この加圧脱圧操作を3回繰り返し、反応容器内の気体をアルゴンガスに置換したのち反応容器を密閉した。ついで385℃に加熱された流動砂浴にこの反応容器を投入した。
これにより、反応容器中の温度は385℃、圧力は25MPaに達する。1時間後取り出し、氷水中に投入し急冷却した。
反応容器を開け反応物をガラス容器に取り出した。ガラス容器に取り出した反応物は、灰黒色の比較的大きな粒子が沈降しており、これがフェライト粒子であった。
また、純水は白濁色に懸濁した状態であり、これがコート膜及びコート膜中のフィラーの粒子が溶出したものであった。また、ガラス壁面にわずかに油状成分が付着していた。
(被覆樹脂分離後の洗浄方法)
反応物中から沈降している灰黒色粒子を取り出し、マイクロバブルを含有した純水(気泡粒径:2.5μm)中に浸漬させ、超音波振動を10minかけながら攪拌羽根を回した。
その時、マイクロバブル水は、常に供給させオーバーフローさせ、付着物も層外へ排出させるようにした。その処理を3回繰返し、その後100℃の恒温乾燥機で1時間乾燥し、評価サンプルAを得た。被覆樹脂除去率は90%であった。磁気特性は、使用前のキャリア芯材からの変化率は0.6%であった。
(磁性体と被覆樹脂の分離の評価)
<SEMによる表面観察>
評価サンプルに白金蒸着を行なった。次いで、走査型顕微鏡S−2400(日立製作所社製)で観察した。観察の条件は、加速電圧15kV、倍率2000倍である。
その結果、評価サンプルAの表面からほぼシリコーン樹脂皮膜が除去分離され、芯材表面にはカス状の残留物は認められなかった。
評価基準は、コート前の芯材表面に近い状態のものを◎、やや樹脂カス状物が残存しているものを○、被覆樹脂が半分程度残留している状態のものを△、芯材表面が僅かに見える状態のものを△×、被覆樹脂が殆ど除去できず芯材表面が見えていない状態のものを×として評価した。
<純水の電気伝導率計測>
純水の電気伝導率は電気伝導率計ES−51ハンディタイプ(HORIBA製)にて計測した。
実施例1で使用した純水の電気伝導率は、0.91μS・cmであった。
<コート膜除去確認>
X線マイクロアナライザーEMAX2700(堀場製作所社製)により評価サンプルAの表面の元素分析を行なった。このときのSi元素の検出量と、キャリア粒子Aの検出量を比較し、次のような式でシリコーン樹脂の除去率を計算した。
Figure 0005560832

評価は、被覆樹脂が90%以上分離できているものを◎、80%以上分離できているものを○、被覆樹脂が70%以上分離できているものを△、被覆樹脂が30〜65%剥離できているものを△×、被覆樹脂の分離が30%以下のものを×として評価した。
その結果、除去率は90%であった。
<磁気特性評価>
膜除去処理による磁気特性変化を確認するため、磁気特性計測を実施した。測定器は、小型全自動振動試料型磁力計:VSM−C7−10A(東英工業株式会社製)にて飽和磁化、残留磁化、保持力の計測を行なった。
また、評価サンプルの磁気特性結果は、使用前のキャリア芯材の物性とほぼ同等値であった。
磁気特性評価は、コート前の芯材の飽和磁化値(1kOe印加時)に対し、変化率が3%以下のものを◎、変化率が3〜5%のものを○、変化率が5〜7%のものを△、変化率が7〜10%のものを△×、変化率が10%以上のものを×として評価した。
<マイクロバブル/ナノバブル粒径計測>
気泡の平均粒径は、レーザー回折/散乱式の粒度測定装置(東日アプリケーションズ株製:LDSA3400A)にて測定した。粒径はヒストグラム法により算出した。
<実施例2>
実施例1と同等の超臨界処理の条件を次のような条件で行なった以外は、実施例1と同様にして、評価サンプルBを得た。
反応器内の温度と圧力はそれぞれ、395℃、30MPaと高く設定した。その結果、評価サンプルBの電子顕微鏡写真からはかなりシリコーン樹脂が除去されていた。また、膜除去率は85%であった。磁気特性は、使用前のキャリア芯材からの変化率はやや変動し1.36%であった。
<実施例3>
実施例1と同様の超臨界処理の流体の純水を再精製した超純水(電気伝導率:0.08μS・cm)に替えて行なった。このような条件で反応容器内の温度・圧力は、それぞれ380℃、25MPaに達する。ついで反応容器からビーカーに取り出し、上澄み液を除去した。次にこのビーカーにナノバブル水(気泡平均粒径:0.9μm)を含有した純水100mlを加え、攪拌羽根を回しながら超音波洗浄機中で10分間洗浄した後、沈降した粒子のみを取り出した。これを実施例1と同様に乾燥し、評価サンプルCを得た。
この走査型顕微鏡の観察結果は、粒子の表面はほぼ評価サンプルAと同様にほぼシリコーン樹脂は除去されていた。磁気特性は、使用前のキャリア芯材からの変化率は0.3%であった。また、膜除去率は87%であった。得られたサンプルCを用いて、実施例にしめされる処方、コート方法により、再被覆キャリアC1を得た。このC1を用いてキャリア粒子C1を97重量部と市販トナー(RICOHimagioトナータイプ7)7重量部を混合して現像剤C2を得た。この時の現像剤物性は、リコー内の出荷時基準を満たしており、問題なかった。
ついで複写機imagioMPC5000(リコー社製)でこの現像剤を用いて、100万回の複写操作を行ない、使用後の現像剤を得た。この現像剤を複写機から取り出し、まず、ブローオフにより静電的にトナーを除去した。このときキャリア表面へのトナースペント量はごくわずかであり、耐久特性を含め問題となる品質事項はなかった。
<実施例4>
実施例1と同様にして超臨界処理条件で被覆膜除去処理し、洗浄工程ではマイクロバブルより大きめの気泡(平均粒径:250μm)を含む純水で実施例1と同様にして、評価サンプルDを得た。その結果、評価サンプルDの走査型電子顕微鏡写真から、被覆樹脂はキャリア芯材の表面にはシリコーン樹脂が完全に除去されずかなり残っていた。また、除去率は49%と悪かった。磁気特性は、使用前のキャリア芯材からの変化率は4.5%であった。
<実施例5>
平均粒径50μmの球状フェライトを芯材として用いる代わりに、平均粒径50μmの球状マグネタイトを芯材として用いた製品:機種名Spirio1510(現像剤名:RICOHDEVTYPE3)の市場から回収した現像剤を使用した以外は、実施例1と同様にしてキャリア芯材Eを得た。
その結果、評価サンプルEの走査型電子顕微鏡写真からはほとんどシリコーン樹脂が除去されていた。また、除去率は90%であった。磁気特性は、使用前のキャリア芯材からの変化率は1.5%であった。尚、市場から回収したRICOHDEVTYPE3に使用していたキャリアのコート膜は、出荷時の65%まで劣化したものであった。
<実施例6>
実施例1と同様にして超臨界処理条件を次のような条件で行なった以外は、実施例1と同様にして、評価サンプルFを得た。
反応器内の温度と圧力はそれぞれ、410℃、25MPaと高く設定した。その結果、評価サンプルFの電子顕微鏡写真からは、まだシリコーン樹脂が部分的に除去されていない部分があった。また、膜除去率は75%であった。磁気特性は、使用前のキャリア芯材からの変化率はやや変動し2.41%であった。
<実施例7>
実施例1と同様にして超臨界処理条件を次のような条件で行なった以外は、実施例1と同様にして、評価サンプルGを得た。
反応器内の温度と圧力はそれぞれ、370℃、20MPaとやや低く設定した。その結果、評価サンプルGの電子顕微鏡写真からは、シリコーン樹脂が半分近く残留していた。また、膜除去率は64%であった。磁気特性は、使用前のキャリア芯材からの変化率はやや変動し1.51%であった。
<比較例1>
反応容器に処理サンプルAを1.4重量部仕込み、純水を過酸化水素水(濃度3%)に替えた以外は、実施例1と同様にして評価サンプルHを得た。この評価サンプルFの走査型顕微鏡の観察結果は、粒子の表面はシリコーン樹脂は除去されていた。しかし、磁気特性結果は、使用前のキャリア芯材の物性に比べ10%以上低下していた。膜除去率は、95%と良好であったが、磁気特性は、使用前のキャリア芯材からの変化率は11.7%非常に大きく低下していた。
<比較例2>
実施例1と同様にして得た処理サンプルAを、実施例1の条件で超臨界処理を行なった。このような条件で反応容器内の温度・圧力は、それぞれ400℃、30MPaに達する。ついで反応容器からビーカーに取り出し、上澄み液を除去した。次にこのビーカーにマイクロバブルを含有しない純水100mlを加え超音波洗浄機で振動を与え攪拌羽根を回さず10分間洗浄した。この処理を3回繰返した後、沈降した粒子のみを取り出した。これを実施例1と同様に乾燥し、評価サンプルGを得た。この走査型顕微鏡の観察結果は、粒子の表面にはまだシリコーン樹脂とまたはフィラーの残留物と思われる残渣が残存していた。また、膜除去率は78%であった。磁気特性は、使用前のキャリア芯材からの変化率は4.8%と低下が大きかった。
<比較例3>
実施例1と同様にして得た処理サンプルAを、実施例1の条件を亜臨界処理、流体:蒸留水(電気導電率5.6μS・cm)に替えて行なった。このような条件で反応容器内の温度・圧力は、それぞれ270℃、5.5MPaに達する。ついで反応容器からビーカーに取り出し、上澄み液を除去した。次にこのビーカーに純水100mlを加え攪拌羽根を回しながら超音波洗浄機で振動を与えながら10分間洗浄した。この処理を3回繰り返した後、沈降した粒子のみを取り出した。これを実施例1と同様に乾燥し、評価サンプルGを得た。この走査型顕微鏡の観察結果は、粒子の表面にはまだ多くのシリコーン樹脂が残存している。膜除去率は、66%と悪かった。磁気特性は、使用前のキャリア芯材の物性からの変化率は4.5%であった。
<比較例4>
実施例1と同様にして得た処理サンプルAを、実施例1の条件で行なった。この条件で反応容器内の温度・圧力は、それぞれ385℃、25.0MPaに達する。ついで反応容器からビーカーに取り出し、上澄み液を除去した。次にこのビーカーに水道水(電気伝導率:126μS・cm)100mlを加え攪拌羽根は回さず超音波洗浄機中で10分間洗浄した。この処理を3回繰り返した後、沈降した粒子のみを取り出した。これを実施例1と同様に乾燥し、評価サンプルGを得た。この走査型顕微鏡の観察結果は、粒子の表面にはまだ多くのシリコーン樹脂が残存している。膜除去率は、81%と比較的良かった。磁気特性は、使用前のキャリア芯材の物性からの変化率は5.6%とやや大きく低下していた。
(キャリア芯材及びキャリアの物性評価結果)
Figure 0005560832

なお、総合評価は、評価全項目で判断し直ぐにリサイクル化できる芯材を◎、若干の再処理が必要なものを○、再処理が必要なものを△、条件を含めた再処理が必要なものを△×、条件変動、再処理をしてもリサイクル化が困難なものを×として評価した。
表1から明らかなように、実施例1ないし7では、いずれも、総合評価で△以上であり、実用上問題が無く、使用済みのキャリアでも、樹脂を分離することができ、再度の使用に用いることができることがわかった。それに対して、比較例1ないし4では、再度の使用に用いることができないことがわかった。
1 分離装置
11 反応容器
111 内筒
12 加熱容器
13 ヒータ
14 コンプレッサー
15 収納部
2 洗浄装置
201 マイクロバブル/ナノバブル発生器
202 水槽
22 加圧液(水)供給部
23 加圧空気供給部
24 気液混合部
25 気液混合液(マイクロ/ナノバブル液)送液ポンプ
26 気液混合液(マイクロ/ナノバブル液)スットクタンク
27 超音波発振器
28 気液混合液(マイクロ/ナノバブル液)噴出部
29 攪拌羽根
31 水
32 現像剤
33 流動砂
34 空気
35 樹脂分離後芯材
特開平05−127432号公報 特開平05−216282号公報 特開平05−216283号公報 特開平05−197211号公報 特開平07-114221号公報 特開平08−87137号公報 特開平06−194881号公報 特公昭62−61948号公報 特開平6−149132号公報 特開昭47−12286号公報 特開平05−53000号公報 特開平10−24274号公報 特開平9−111249号公報 特開平2007−206614号公報 特許第4244197号 特開平10−80674号公報 特開平10−87872号公報
平成9年度「ニューサンシャイン計画」先導研究開発新エネルギー・産業技術総合開発機構委託超臨界流体利用技術先導研究開発成果報告書

Claims (10)

  1. 少なくとも芯材と被覆樹脂とを有する電子写真用キャリアを、
    電気伝導率(25℃)1μS・cm以下の純水を超臨界状態とした超臨界純水により処理して該芯材から該被覆樹脂を分離する分離工程と、
    微粒径の気泡を有する洗浄水で分離後の芯材を洗浄する洗浄工程と、を有する
    ことを特徴とする電子写真用キャリアの被覆樹脂分離方法。
  2. 請求項1に記載の電子写真用キャリアの被覆樹脂分離方法において、
    前記電子写真用キャリアの被覆樹脂分離方法は、
    前記洗浄工程の使用する水は、微粒径の気泡の平均粒径が100μm以下のマイクロバブル水である
    ことを特徴とする電子写真用キャリアの被覆樹脂分離方法。
  3. 請求項1又は2に記載の電子写真用キャリアの被覆樹脂分離方法において、
    前記被覆樹脂が少なくともシリコーン樹脂を含む
    ことを特徴とする電子写真用キャリアの被覆樹脂分離方法。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載の電子写真用キャリアの被覆樹脂分離方法において、
    前記超臨界純水は、
    超臨界温度が385℃以上400℃以下の範囲で、かつ
    超臨界圧が25MPa以上30MPa以下の範囲である
    ことを特徴とする電子写真用キャリアの被覆樹脂分離方法。
  5. 請求項1ないし4のいずれかに記載の電子写真用キャリアの被覆樹脂分離方法において、
    前記芯材が、フェライト又はマグネタイトである
    ことを特徴とする電子写真用キャリアの被覆樹脂分離方法。
  6. 請求項1ないし5のいずれかに記載の電子写真用キャリアの被覆樹脂分離方法において、
    前記キャリアと接触させる超臨界純水中に含まれる前記現像剤を構成する物質の分解物又は溶解物を時間とともに減少(分解)させる
    ことを特徴とする電子写真用キャリアの被覆樹脂分離方法。
  7. 請求項1ないし6のいずれかに記載の電子写真用キャリアの被覆樹脂分離方法において、
    前記現像剤を保持した容器に供給する超臨界純水中に含まれる該キャリアを構成する物質の分解物又は溶解物を時間とともに減少させる
    ことを特徴とする電子写真用キャリアの被覆樹脂分離方法。
  8. 請求項1ないし7のいずれかに記載の電子写真用キャリアの被覆樹脂分離方法において、
    前記キャリアが、電子写真用現像剤の使用済みのキャリアである
    ことを特徴とする電子写真用キャリアの被覆樹脂分離方法。
  9. 電子写真方式の画像形成装置に用いる電子写真用キャリアであって、磁性の芯材に、樹脂被覆させる電子写真用キャリアの製造方法において、
    前記電子写真用キャリアの製造方法が、
    請求項1〜8のいずれかに記載の電子写真用キャリアの被覆樹脂分離方法により電子写真用キャリアから前記被覆樹脂を分離した芯材を回収し、洗浄・乾燥した後に、芯材に樹脂を被覆する
    ことを特徴とする電子写真用キャリアの製造方法。
  10. 請求項9に記載の電子写真用キャリアの製造方法において、
    前記電子写真用キャリアが、使用された後の回収された電子写真用キャリアである
    ことを特徴とする電子写真用キャリアの製造方法。
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