JP5557535B2 - アセチレンの製造装置及び製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、アセチレンの製造装置及び製造方法の改良に関するものである。
アセチレンの製造方法としては、水と炭化カルシウムとを反応させてアセチレンを生成するカーバイド法のほか、天然ガスを含む石油系炭化水素を原料とする蓄熱式熱分解法、部分燃焼法、完全燃焼法、電弧法等が知られている。
これらの中でも、カーバイド法は、原料となる水及び炭化カルシウムが比較的安価に得られること、反応機構が単純であり、製造装置を安価に建設できること、及び製造条件が他の方法と比較して穏やかであり、高い温度を用いなくても済むこと等の利点がある。したがって、カーバイド法は、古典的な方法ながらもアセチレンの製造方法として広く一般的に行なわれている。
ところで、カーバイド法によるアセチレン製造装置には、以下の4つの方式が存在する。
第1の方式である投入式製造装置は、水を入れたタンクの中に炭化カルシウムの塊を投入してアセチレンを発生させる方式である。この方式では、副生する水酸化カルシウムと化学量論的に過剰分の水との混合物が発生して、泥乳状を呈する。
第2の方式である乾式製造装置は、投入式製造装置よりも減量である水の投入量を少なくして、粉末状の水酸化カルシウムが排出されるように注水を制御する方式である。
第3の方式である浸漬式製造装置は、炭化カルシウムを入れた籠を水に浸す構造をもつものである。
第4の方式である注水式製造装置は、ガスを発生させるときに必要な水を炭化カルシウムに注ぐ構造をもつものである。
このように、カーバイド法のいずれの方式も、下記式(1)に示す反応式によって、水(HO)と炭化カルシウム(CaC)とを原料として、アセチレン(C)と副生する水酸化カルシウム(Ca(OH))とを製造する方法である。したがって、炭化カルシウムの全量を効率よく消費しつくすためには、一方の原料である水を化学量論的に過剰に加えることが望ましいとされている。
CaC+2HO→CaC+Ca(OH)+134kJ ・・・(1)
しかしながら、大量の水に少量の炭化カルシウムを反応させる場合、反応熱を水に吸収させて急激な発熱を防ぐメリットがあるが、反応残渣として水酸化カルシウムが含まれる大量の水が発生するため、汚泥処理やアルカリ排水の処理が必要となる。これにより、カーバイド法によるアセチレンの製造装置は大型化しやすいという問題があった(特許文献1を参照)。
一方で、適量の水を炭化カルシウムに反応させる場合では、反応熱により周辺温度が上がりやすい問題がある。この反応熱は、局在的に未反応の水を沸点まで上昇させるので、発生したアセチレンには多量の水蒸気が含まれる。この水蒸気を除去するために、冷却トラップ、吸着剤または反応剤などの後処理のための追加設備が必要となるという問題あった。
特開2002−348580号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、水蒸気を含まない高純度のアセチレンガスを簡便に得られるアセチレンの製造装置及び製造方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
すなわち、本発明の請求項1に係る発明は、炭化カルシウムと水との加水分解反応によりアセチレンガスを発生させるアセチレンの製造装置であって、炭化カルシウムを充填した反応管と、前記反応管の一端側に供給口が設けられた水を供給するための導管と、前記反応管の他端側に設けられた生成ガスの取り出し口と、を備えることを特徴とするアセチレンの製造装置である。
また、本発明の請求項2に係る発明は、前記供給口と前記取り出し口との間に、未反応の炭化カルシウムを存在させることを特徴とする請求項1に記載のアセチレンの製造装置である。
また、本発明の請求項3に係る発明は、前記導管が複数の供給口を有し、前記反応管の一端側から他端側に向かって所定の間隔で前記供給口が設けられるとともに、前記導管から前記反応管へ水を供給する供給口が切り替え可能とされていることを特徴とする請求項1又は2に記載のアセチレンの製造装置である。
また、本発明の請求項4に係る発明は、前記供給口及び前記取り出し口が設けられた複数の前記反応管を有し、前記反応管が切り替え可能とされていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のアセチレンの製造装置である。
また、本発明の請求項5に係る発明は、炭化カルシウムと水との加水分解反応によりアセチレンガスを発生させるアセチレンの製造方法であって、炭化カルシウムが充填された反応管の一端側で、供給量を制御しながら水を供給してアセチレンガスを発生させ、前記反応管内の未反応の炭化カルシウムと接触しながら当該反応管の一端側から他端側へ移動する前記アセチレンガスを、前記他端側から取り出すことを特徴とするアセチレンの製造方法である。
また、本発明の請求項6に係る発明は、アセチレンガス中の水分濃度が1ppm以下であることを特徴とする請求項5に記載のアセチレンの製造方法である。
また、本発明の請求項7に係る発明は、前記反応管内に水を供給する位置を当該反応管の一端側から他端側へ切り替えることを特徴とする請求項5又は6に記載のアセチレンの製造方法である。
また、本発明の請求項8に係る発明は、前記反応管への水の供給量に応じて、前記反応管内に水を供給する位置を切り替えることを特徴とする請求項7に記載のアセチレンの製造方法である。
また、本発明の請求項9に係る発明は、前記反応管内の反応温度に応じて、前記反応管内に水を供給する位置を切り替えることを特徴とする請求項7に記載のアセチレンの製造方法である。
以上説明したように、本発明のアセチレンの製造装置及び製造方法によれば、炭化カルシウムを充填した反応管と、反応管の一端側に供給口が設けられた水を供給するための導管と、反応管の他端側に設けられた生成ガスの取り出し口と、を備えており、炭化カルシウムが充填された反応管の一端側で、供給量を制御しながら水を供給してアセチレンガスを発生させ、反応管内の未反応の炭化カルシウムと接触しながら反応管の一端側から他端側へ移動するアセチレンガスを、他端側から取り出す構成となっている。
このため、炭化カルシウムと水との加水分解反応時の発熱によって未反応の水が水蒸気となり、アセチレンガスに同伴されて生成ガスの取り出し口に向かう際に未反応の炭化カルシウムと反応させることができる。これにより、水蒸気を効率よく除去することができる。したがって、水蒸気を含まない高純度のアセチレンガスを簡便に得られるアセチレンの製造装置及び製造方法を提供することができる。
図1は、本発明を適用した第1の実施形態であるアセチレンの製造装置を示す模式図である。 図2は、本発明を適用した第2の実施形態であるアセチレンの製造装置を示す模式図である。 図3は、本発明を適用した第3の実施形態であるアセチレンの製造装置を示す模式図である。 図4は、従来のアセチレンの製造装置を示す模式図である。
<第1の実施形態>
以下、本発明を適用したアセチレンの製造装置の第1の実施形態について、これを用いるアセチレンの製造方法とともに、図面を用いて詳細に説明する。
なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
図1は、本発明を適用したアセチレンの製造装置の第1の実施形態を示すものである。図1に示すように、本実施形態のアセチレンの製造装置(以下、単に「製造装置」という)10は、炭化カルシウム1aが充填された反応管1と、供給口2aを有する導管2と、取り出し口3aを有する取り出し経路3とを備えて概略構成されている。
反応管1は、耐薬品性及び耐圧性を備えた筒状の反応容器である。容器の形状については、特に限定されるものではない。反応管1の内部には、アセチレンの原料である炭化カルシウム1aが充填されている。また、反応管1の周壁部には、一端側1Aから他端側1Bに向かって所定の間隔を空けて複数の温度計4a〜4cが設けられており、反応管1の内部の温度を計測可能とされている。さらに、反応管1には、内部の圧力を確認するための圧力計5が設けられている。なお、反応管1の内部の圧力は、アセチレン発生時に0.2MPaゲージ程度となる。したがって、反応管1は、少なくともそれ以上の耐圧性能を有することが好ましい。
炭化カルシウム1aは、反応管1の形状に対して粒子のサイズや形状が大きいと、炭化カルシウム粒子間の空間が大きくなり、水蒸気と反応する表面積が不足して発生したアセチレンガスに同伴される水分量も多くなってしまう。これを抑制するために、反応管1内への炭化カルシウム1aの充填密度は、1.0kg/L以上であることが好ましく、1.3kg/L以上であることがより好ましい。したがって、本実施形態の炭化カルシウム1aには、上記充填密度が得られる程度の粒子のサイズ及び形状を選択することが好ましい。
しかしながら、反応管1への炭化カルシウム1aの充填密度が過多になると、反応管1中における生成したアセチレン等のガスの流れが悪くなってしまう。反応管1の他端側(出口側)1Bが閉塞していない場合であっても反応管1内部の圧力が高くなってしまうため、具体的には、アセチレン発生時において反応管1内部の圧力が0.2MPaゲージを超えないような充填密度とすることが好ましい。
導管2は、反応管1内に水を供給するために設けられた水の供給経路である。導管2の先端は、供給口2aとなっている。そして、この供給口2aは、反応管1の内部であって一端側1Aに配置されている。
なお、本実施形態において導管2の供給口2aから反応管1の内部への水分添加は、直接液体の水を添加する方法に限定されるものではなく、ガスに同伴した水蒸気を添加する方法としてもよい。
また、反応管1の形状と、導管2の供給口2aの設置状態によっては、水分を添加する位置が局所的になり、この局所的な反応だけで反応が終了してしまうおそれがある。かかる場合、さらに水を添加しても反応管1に充填された未反応の炭化カルシウム1aとの反応が進行しないため、導入した炭化カルシウムに対する量的な反応効率が低下してしまうおそれがある。このため、導管2の供給口2aの形態としては、例えば、透過膜を用いた形態とすることにより、反応管1内への水分の添加位置が局所的になることをさけることができる。これにより、反応管1内の炭化カルシウム1aと水との反応が全体的に進行するため、導入した炭化カルシウムに対する量的な反応効率を向上させることができる。
取り出し経路3は、反応管1内から生成したアセチレンガスを取り出す(排出する)ために設けられたガスの取り出し経路である。取り出し経路3の一端3aは、反応管1の他端側1Bに接続されている。また、取り出し経路3の他端3bは、アセチレンガスを取り出し可能とされている。なお、取り出し経路3の一端3aが、アセチレンガス(生成ガス)の取り出し口となる。
次に、アセチレンの製造装置10を用いた本実施形態のアセチレンの製造方法(以下、単に「製造方法」という)について説明する。
本実施形態のアセチレンの製造方法は、反応管1内に水を供給する工程と、反応管1内から生成したアセチレンガスを取り出す工程と、から概略構成されている。
(水の供給工程)
先ず、反応管1内に水を供給する。具体的には、図1に示すように、導管2の先端の供給口2aから反応管1内の一端側1Aに、水を少量ずつ制御しながら添加する。これにより、下記式に示すような加水分解反応が進行して、アセチレンガスが発生する。
CaC+2HO→CaC+Ca(OH)+134kJ
本実施形態の製造方法では、反応管1内への水の供給量は、加水分解反応での反応熱を温度計4a〜4cによってモニターし、過剰な温度上昇が起きないように制御する。加えて、反応管1の内部圧力を圧力計5によってモニターし、過剰に高くならないように制御する。具体的には、水の供給量としては、例えば300ccの反応管に対して、1〜5ml程度とし、反応による圧力上昇および温度上昇を加味しながら、供給量と時間を調整する。
(アセチレンの取り出し工程)
次に、反応管1内から生成したアセチレンガスを取り出す。具体的には、図1に示すように、反応管1の一端側1Aで生成したアセチレンガスを当該反応管1の他端側1Bに設けられた取出し口(一端)3aから取り出し経路3を経て他端3bから回収する。
ところで、図4に示すように、従来のアセチレンガスの製造装置110は、底部側(一端側)1Aに炭化カルシウム101aを充填した反応管101と、反応管101の上部側(他端側)101Bに供給口102aが設けられた水を添加するための供給管102と、反応管101の上部側(他端側)101Bに設けられた生成ガスの取り出し口103aを有する排出管103と、を備えて概略構成されている。
そして、この製造装置110を用いた従来のアセチレンガスの製造方法は、図4に示すように、反応管101の上部側101Bに設けられた供給口102aから水を添加して炭化カルシウムと反応させ、生成するアセチレンガスを反応管101の同じく上部側101Bに設けられた取出し口103aから回収する構成となっている。
ここで、従来の製造方法では、供給口102aから反応管101へ水を添加する際、特段供給量を制御することなく、大量に添加していた。このため、水の添加とともに炭化カルシウムと激しく反応して大量の熱が発生し、反応管101の内部圧力が高くなる。したがって、従来の製造装置110に用いる反応管101は、耐熱性及び耐圧性が必要となるため、装置コストが上昇するという問題があった。
また、反応時の熱によって反応管101内の温度が上昇するため、未反応の水が水蒸気となり、アセチレンガスに同伴されて取り出し口103aから排出されてしまっていた。したがって、水分濃度が低いアセチレンガスを製造するには、製造装置110の後段に水分除去設備を設ける必要があった。
さらに、水と炭化カルシウムとの反応が、反応管101の上部側101Bにおいて局所的に進行し、反応管101の底部側101Aにおいて反応が進行しない場合が生じるため、反応管101内に導入した炭化カルシウムに対する量的な反応効率が低くなるという問題があった。
これに対して、本実施形態の製造装置10を用いた製造方法によれば、導管2の先端の供給口2aから供給量を制御しながら水を添加するため、反応管1の反応熱及び内部圧力の過剰な上昇を抑制することができる。これにより、製造装置1に用いる反応管1として簡便な容器を適用することができる。
また、図1に示すように、製造装置10では、供給口2aと取り出し口3aとを反応管1の両端側となるように離して設けることにより、供給口2aと取り出し口3aとの間に、未反応の炭化カルシウム1aを存在させる構成としている。これにより、反応管1内の未反応の炭化カルシウム1aと接触しながら当該反応管1の一端側1Aから他端側1Bへ移動するアセチレンガスを、他端側1Bから取り出すことになる。したがって、未反応の水が水蒸気となり、アセチレンガスに同伴された場合であっても、未反応の炭化カルシウムによって確実に取り除くことができ、取り出し口3aから排出されることがない。
なお、本実施形態の製造方法によれば、各種条件と調整することにより、アセチレンガス中の水分濃度を1ppm以下にすることも可能である。
さらに、本実施形態の製造方法によれば、反応管1内への水分の添加位置が局所的になることをさけることにより、反応管1内の炭化カルシウム1aと水との反応が全体的に進行させて、導入した炭化カルシウムに対する量的な反応効率を向上させることができる。
以上説明したように、本実施形態のアセチレンの製造装置10によれば、炭化カルシウム1aを充填した反応管1と、反応管1の一端側1Aに供給口2aが設けられた水を供給するための導管2と、反応管1の他端側1Bに設けられた生成ガスの取り出し口3aと、を備えた構成となっている。
また、本実施形態のアセチレンの製造方法によれば、炭化カルシウム1aが充填された反応管1の一端側1Aで、供給量を制御しながら水を供給してアセチレンガスを発生させ、反応管1内の未反応の炭化カルシウム1aと接触しながら反応管1の一端側1Aから他端側1Bへ移動するアセチレンガスを、他端側1Bから取り出す構成となっている。
このため、炭化カルシウムと水との加水分解反応時の発熱によって未反応の水が水蒸気となり、アセチレンガスに同伴されて生成ガスの取り出し口3aに向かう際に未反応の炭化カルシウム1aと反応させることができる。これにより、水蒸気を効率よく除去することができる。したがって、水蒸気を含まない高純度のアセチレンガスを簡便に得られるアセチレンの製造装置10及び製造方法を提供することができる。
<第2の実施形態>
次に、本発明を適用した第2の実施形態について説明する。本実施形態では、第1の実施形態のアセチレンの製造装置10とは異なる構成となっている。このため、図2を用いて本実施形態のアセチレンの製造装置及び製造方法について説明する。したがって、本実施形態のアセチレンの製造装置については、第1の実施形態と同一の構成部分については同じ符号を付すると共に説明を省略する。
図2に示すように、本実施形態のアセチレンの製造装置20では、図1に示す導管2に代えて、3つの供給口22a,22b,22cを有する導管22を備える構成となっている。したがって、それ以外の構成については、第1の実施形態と同一であるため、説明を省略する。
本実施形態の導管22は、図2に示すように、3つの供給経路に分岐されており、反応管1の一端側1Aから他端側1Bに向かってそれぞれの供給口22a,22b,22cが所定の高さに所定の間隔で配置されている。また、3つの供給経路には、それぞれ開閉バルブV〜Vが設けられており、これらのバルブの開閉状態を適宜選択することにより、反応管1に水を供給する際、任意の高さの供給口を選択可能とされている。
次に、本実施形態の製造装置20を用いたアセチレンの製造方法について説明する。先ず、導管22の開閉バルブVを開放し、開閉バルブV及びVを閉止する。これにより、反応管1の一端側1Aに設けられた供給口22aから反応管1内に水を供給する。そして、炭化カルシウムと水との加水分解反応によって生成したアセチレンを取り出し口3aから回収する。
ここで、供給口22aからの水の供給による反応管1内の局所的な加水分解反応が終了したことを、温度計4aの温度上昇を確認したら、開閉バルブVを閉止するとともに開閉バルブVを開放する。これにより、供給口22aよりも取り出し口3aに近い高さに設けられた供給口22bから、新たに反応管1内に水を供給することができる。温度計4bの温度上昇を確認した場合も同様に、開閉バルブVを閉止するとともに開閉バルブVを開放する。
このように、反応管1内に水を供給する位置を当該反応管1の一端側1Aから他端側1Bへ順次切り替えて水分添加位置を移動させることで、反応管1内に充填された炭化カルシウム1aに対する量的な反応効率を向上させることができる。
また、発生したアセチレンの流れ場に対して、上流側から水分を順に添加することで、反応熱で発生した水蒸気を下流側の炭化カルシウムで反応させて確実に除去することができる。
なお、反応管1内に水を供給する位置を切り替えるタイミングとしては、上述したように、反応管1内の反応温度に応じて行なうことが好ましい。
また、反応管1内への水の供給量に応じて、反応管1内に水を供給する位置を切り替えても良い。
以上説明したように、本実施形態のアセチレンの製造装置20によれば、反応管1の一端側1Aから他端側1Bに向かって異なる位置に複数の供給口22a,22b,22cを有する構成となっている。また、本実施形態のアセチレンの製造方法によれば、反応管1内に水を供給する位置を当該反応管1の一端側1Aから他端側1Bへ順次切り替えて水分添加位置を移動させる構成となっている。これにより、反応管1内に充填された炭化カルシウム1aに対する量的な反応効率を向上させることができる。
<第3の実施形態>
次に、本発明を適用した第3の実施形態について説明する。本実施形態では、第1及び第2の実施形態のアセチレンの製造装置10,20とは異なる構成となっている。このため、図3を用いて本実施形態のアセチレンの製造装置及び製造方法について説明する。したがって、本実施形態のアセチレンの製造装置については、第1及び第2の実施形態と同一の構成部分については同じ符号を付すると共に説明を省略する。
図3に示すように、本実施形態のアセチレンの製造装置30では、図2に示した導管2を備えた反応管1と、同様の構成を有する反応管1’とを2筒備える構成となっている。さらに、図3に示すように、この反応管1,1’同士を接続する経路L1〜L10と、開閉バルブV〜V16とを備える構成となっている。したがって、それ以外の構成については、第1及び第2の実施形態と同一であるため、説明を省略する。
次に、本実施形態の製造装置30を用いたアセチレンの製造方法について説明する。
先ず、第2の実施形態の製造方法と同様に、導管22の開閉バルブVを開放し、開閉バルブV及びVを閉止する。これにより、反応管1の一端側1Aに設けられた供給口22aから反応管1内に水を供給する。そして、炭化カルシウムと水との加水分解反応によって生成したアセチレンを取り出し口33aから回収する。
次に、供給口22aからの水の供給による反応管1内の局所的な加水分解反応が終了したことを、温度計4aの温度上昇を確認したら、開閉バルブVを閉止するとともに開閉バルブVを開放する。これにより、供給口22aよりも取り出し口33aに近い高さに設けられた供給口22bから、新たに反応管1内に水を供給することができる。
さらに、温度計4bの温度上昇を確認した場合も同様に、開閉バルブVを閉止するとともに開閉バルブVを開放する。これにより、供給口22bよりも取り出し口33aに近い高さに設けられた供給口22cから、新たに反応管1内に水を供給することができる。
ここで、反応管1に水を供給する際に、供給口22a〜22cへと切り替えていくと、生成するアセチレンガスに同伴される水蒸気の除去及び反応管1内に充填された炭化カルシウム1aに対する量的反応を効率よく実施することができる。
しかしながら、供給口22a及び供給口22bから水を供給する際に、他端側1Bの炭化カルシウムは水蒸気との反応が進み、ついには反応管1内の未反応の炭化カルシウムが完全に消費されて無くなってしまう。よって反応管1内で発生したアセチレンからは時間が経過するにしたがい、水蒸気の同伴が多くなってしまうおそれがある。
したがって、本実施形態の製造装置30は、反応管を2筒以上用意して、一方の反応管1から発生させたアセチレンを他方の反応管1’を通気させて、反応管1’内に充填されている未反応の炭化カルシウムによって水蒸気を除去する構成となっている。
具体的には、反応管1における導管22の開閉バルブV及びVを閉止し、開閉バルブVを開放すると同時に、装置30において開閉バルブV〜Vを開放状態とし、開閉バルブV11〜V16を閉止状態とする。これにより、反応管1で生成したアセチレンは取り出し口33aから経路L1〜L4を経て反応管1’の底部となる一端側1A’から当該反応管1’に供給される。そして、反応管1’内でアセチレンガスに同伴される水蒸気が反応管1’内に充填されている炭化カルシウム1a’と反応することとなる。水蒸気が除去されたアセチレンガスは、反応管1’の上部となる他端側1B’に設けられた取り出し口33a’から経路L5〜L7を経て装置外へと供給する。
以上説明したように、本実施形態のアセチレンの製造装置30及び製造方法によれば、一方の反応管1で発生させたアセチレンを他方の反応管1’に通気させることで、アセチレンの発生箇所と取り出し口33a’との間に未反応の炭化カルシウムを十分確保することができる。これにより、一方の反応管1に充填された炭化カルシウムの全てをアセチレンの発生に用いることができる。したがって、反応管1内に充填された炭化カルシウム1aに対する量的な反応効率をさらに向上させることができる。
また、一方の反応管1での加水分解反応が収束し、十分な量の炭化カルシウムがなくなった時点で、他方の反応管1’での水分添加を開始する。これにより、アセチレンの発生を止めることなく反応管を切り替えることができる。
この直後に反応終了後の反応管1を新しい炭化カルシウムが充填された反応管と交換し、その後他方の反応管1’で発生させているアセチレンガスを新しい反応管に通気することで、水蒸気を除去したアセチレンを連続的に発生させることができる。
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば、上記第1〜第3の実施形態では、水の供給口を反応管の底部に、ガスの取り出し口を上部に設ける構成としているが、反対側であっても構わない。
また、上記第1〜第3の実施形態では、水の供給口及びガスの取り出し口を反応管の上下方向となるように縦置きに設置しているが、水の供給口及びガスの取り出し口を反応管の左右方向となるように横置きに設置しても構わない。
以下、具体例を示す。
(実施例)
図3に示すアセチレンの製造装置を用いてアセチレンガスを発生させた。そして、発生させたアセチレンのスペクトルを、フーリエ変換赤外分光光度計を用いて測定した。
その結果、発生させたアセチレンガスからは、水分は検出されなかった。
なお、測定に用いたフーリエ変換赤外分光光度計の水分の検出下限は、およそ1ppm程度であった。
(比較例)
図4に示すアセチレンの製造装置を用いてアセチレンガスを発生させた。そして、発生させたアセチレンのスペクトルを、フーリエ変換赤外分光光度計を用いて測定した。
その結果、発生させたガスには、およそ4000ppm程度の水蒸気が含まれていることを確認した。
1,1’・・・反応管
1A・・・一端側
1B・・・他端側
1a・・・炭化カルシウム
2,22・・・導管
2a・・・供給口
3・・・取り出し経路
3a・・・取り出し口
4a〜4c・・・温度計
5・・・圧力計
10,20,30・・・アセチレンの製造装置

Claims (9)

  1. 炭化カルシウムと水との加水分解反応によりアセチレンガスを発生させるアセチレンの製造装置であって、
    炭化カルシウムを充填した反応管と、
    前記反応管の一端側に供給口が設けられた水を供給するための導管と、
    前記反応管の他端側に設けられた生成ガスの取り出し口と、を備えることを特徴とするアセチレンの製造装置。
  2. 前記供給口と前記取り出し口との間に、未反応の炭化カルシウムを存在させることを特徴とする請求項1に記載のアセチレンの製造装置。
  3. 前記導管が複数の供給口を有し、
    前記反応管の一端側から他端側に向かって所定の間隔で前記供給口が設けられるとともに、
    前記導管から前記反応管へ水を供給する供給口が切り替え可能とされていることを特徴とする請求項1又は2に記載のアセチレンの製造装置。
  4. 前記供給口及び前記取り出し口が設けられた複数の前記反応管を有し、
    前記反応管が切り替え可能とされていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のアセチレンの製造装置。
  5. 炭化カルシウムと水との加水分解反応によりアセチレンガスを発生させるアセチレンの製造方法であって、
    炭化カルシウムが充填された反応管の一端側で、供給量を制御しながら水を供給してアセチレンガスを発生させ、
    前記反応管内の未反応の炭化カルシウムと接触しながら当該反応管の一端側から他端側へ移動する前記アセチレンガスを、前記他端側から取り出すことを特徴とするアセチレンの製造方法。
  6. アセチレンガス中の水分濃度が1ppm以下であることを特徴とする請求項5に記載のアセチレンの製造方法。
  7. 前記反応管内に水を供給する位置を当該反応管の一端側から他端側へ切り替えることを特徴とする請求項5又は6に記載のアセチレンの製造方法。
  8. 前記反応管への水の供給量に応じて、前記反応管内に水を供給する位置を切り替えることを特徴とする請求項7に記載のアセチレンの製造方法。
  9. 前記反応管内の反応温度に応じて、前記反応管内に水を供給する位置を切り替えることを特徴とする請求項7に記載のアセチレンの製造方法。
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