JP5555518B2 - 真空ポンプの運転制御装置及び運転制御方法 - Google Patents

真空ポンプの運転制御装置及び運転制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、真空ポンプの運転制御装置及び運転制御方法に係り、特に半導体製造装置等のチャンバ内を真空に排気するのに用いられる真空ポンプの運転制御装置及び運転制御方法に関する。
半導体製造装置では、半導体製造工程に使用されるガスをチャンバ内から排気するため、及びチャンバ内に真空環境を作り出すためなどに真空ポンプが広く使用されている。このような真空ポンプとしては、ルーツ型やスクリュー型のポンプロータを備えた容積式タイプの真空ポンプが知られている。
一般に、容積式の真空ポンプは、ケーシング内に配置された一対のポンプロータと、このポンプロータを回転駆動するためのモータとを備えている。一対のポンプロータ間及びポンプロータとケーシングの内面との間には微小なクリアランスが形成されており、ポンプロータは、ケーシングに非接触で回転するように構成されている。そして、一対のポンプロータが同期しつつ互いに反対方向に回転することにより、ケーシング内の気体が吸入側から吐出側に移送され、吸込口に接続されたチャンバなどから気体が排気される。
半導体製造工程に使用されるガスには、ガスの温度が低下すると固形化或いは液状化する成分が含まれるものがある。通常、上述した真空ポンプは、ガスを移送する過程で圧縮熱が発生するため、運転中の真空ポンプは、ある程度高温となっている。このため、真空ポンプが高温を維持している間は、上記真空ポンプを用いて上述した成分を含むガスを排気した場合でもガス中の成分が固形化又は液状化せずに良好な真空排気が行われる。
しかしながら、真空ポンプの運転を停止し、真空ポンプの温度が徐々に低下すると、ケーシング内に残留するガスに含まれる成分が固形化し、この固形化した生成物(反応生成物)がポンプロータ間やポンプロータとケーシングとの隙間に堆積する。そして、この生成物の堆積が進行すると、真空ポンプの起動が妨げられるばかりでなく、真空ポンプの運転中に真空ポンプに過剰な負荷がかかることによって、製造プロセス中に真空ポンプが停止し、製造プロセスに多大な損害を与えることになる。
出願人は、真空ポンプのロータの回転速度変化時における計測した状態変化量と正常時の状態変化量とを比較し、測定した状態変化量が正常時の状態変化量より所定量大きく又は小さくなった場合に異常とすることで、ポンプ停止となる要因を事前に予測し突然の真空ポンプ停止による半導体ウエハ等の損傷を防止するようにした真空ポンプの故障診断装置を提案している(特許文献1参照)。
また、出願人は、真空ポンプの運転停止時に、ポンプ停止開始後、所定タイミングパターンに沿ってポンプロータを正方向及び/又は逆方向に回転させた後に、該ポンプロータを停止することにより、ケーシング内で固形化又は液状化した生成物がポンプロータの回転を妨げられるような場合であっても、真空ポンプの停止時にこの生成物を効果的に排除し、真空ポンプを正常に起動させることができるようにした真空ポンプの運転制御装置及び運転停止方法を提案している(特許文献2参照)。
特開2005−9337号公報 特開2009−97349号公報
特許文献1に記載の発明は、例えばポンプ起動時の停止から定格回転に達するまでの状態変化量を測定してポンプ停止となる要因を事前に予測するようにしている。このため、ポンプ起動時にポンプの回転速度を定格回転速度まで上げる必要があるばかりでなく、ポンプの回転速度を定格回転速度まで上げるまで、ポンプ停止となる要因を予測することができない。
また、特許文献2に記載の発明は、真空ポンプの停止時に、ケーシング内部に堆積した生成物を効果的に排除することで、真空ポンプを正常に起動できるようにしたものであって、真空ポンプの起動時に真空ポンプの故障を予知して、メンテナンス信号を出力するようにしたものではない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、真空ポンプのケーシング内に生成物が堆積している状況を真空ポンプの起動時に検出し、この状況に応じて、ユーザに真空ポンプのメンテナンスを喚起するメンテナンス信号を出力することによって、製造プロセス中に真空ポンプが停止することを防止するようにした真空ポンプの運転制御装置及び運転制御方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、ケーシング内に回転自在に配置されたポンプロータを備えた真空ポンプの運転を制御する運転制御装置において、前記ポンプロータの回転速度を制御する周波数変換器を備え、前記周波数変換器は、モータ出力トルクを積分して積分値を演算する演算部と、該積分値に対応する基準値と予め設定した閾値とをそれぞれ格納する記憶部とを有し、真空ポンプの運転開始後、真空ポンプの回転速度を所定回転速度に維持して真空ポンプを所定時間に亘って運転し、この真空ポンプが所定回転速度で回転している間における前記モータ出力トルクの積分値と該積分値に対応する基準値を比較し、両者の差と前記閾値との差に応じて、メンテナンス信号を出力することを特徴とする真空ポンプの運転制御装置である
本発明の好ましい態様は、真空ポンプの運転開始直後から真空ポンプの回転速度が所定回転速度に到達するまでの間における前記モータ出力トルクの積分値と該積分値に対応する基準値とを比較し、両者の差と前記閾値との差に応じて、メンテナンス信号を出力することを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記演算部は、前記真空ポンプのモータに供給される電流の値を元に前記モータ出力トルクを計算することを特徴とする。
モータ出力トルクは、例えばモータに供給される電流から求められる。これにより、トルク計算の元になる電流信号が、ノイズ等の影響によって瞬間的に変動する場合でも、計算結果を一定時間積分することで、電流信号の変動の影響を抑えてメンテナンス信号を出力することができる。
本発明の他の態様は、ケーシング内に回転自在に配置されたポンプロータを備えた真空ポンプの運転を制御する運転制御方法において、真空ポンプの運転開始後、真空ポンプの回転速度を所定回転速度に維持して真空ポンプを所定時間に亘って運転し、この真空ポンプが所定回転速度で回転している間にモータ出力トルクを積分して積分値を演算し、前記積分値と前記積分値に対応する基準値を比較して両者の差を求め、前記両者の差と予め設定して記憶部に格納していた閾値との差に応じてメンテナンス信号を出力することを特徴とする真空ポンプの運転制御方法である
本発明の好ましい態様は、真空ポンプの運転開始直後から真空ポンプの回転速度が所定回転速度に到達するまでの間における前記モータ出力トルクの積分値と該積分値に対応する基準値とを比較し、両者の差と前記閾値との差に応じて、メンテナンス信号を出力することを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記真空ポンプのモータに供給される電流の値を元に前記モータ出力トルクを計算することを特徴とする。
本発明によれば、真空ポンプのケーシング内に生成物が堆積している状況を真空ポンプの起動時に検出し、この状況に応じて、ユーザに真空ポンプのメンテナンスを喚起するメンテナンス信号を出力することによって、製造プロセス中に真空ポンプが停止することを防止することができる。
本発明に係る真空ポンプの運転制御装置及び運転制御方法が適用される真空ポンプの構成例を示す縦断正面図である。 図1の縦断側面図である。 運転制御装置の回路構成図である。 図4(a)は、真空ポンプの運転開始時にポンプロータの回転速度を直線的に増加させる時のポンプロータの回転速度と時間との関係を示すグラフで、図4(b)は、ポンプロータの回転速度を図4(a)に示すように増加させた時の正常時と生成物堆積時におけるポンプ出力トルクと時間との関係を示すグラフで、図4(c)は、ポンプロータの回転速度を図4(a)に示すように増加させた時の正常時と生成物堆積時におけるポンプ出力トルクの積分値(トルク積分値)と時間との関係を示すグラフである。 図5(a)は、真空ポンプの運転開始後、ポンプロータの回転速度を所定回転速度に維持してポンプロータを所定時間に亘って運転する時のポンプロータの回転速度と時間との関係を示すグラフで、図5(b)は、ポンプロータの回転速度を図5(a)に示すように増加させた時の正常時と生成物堆積時におけるポンプ出力トルクと時間との関係を示すグラフで、図5(c)は、ポンプロータの回転速度を図5(a)に示すように増加させた時の正常時と生成物堆積時におけるポンプ出力トルクの積分値(トルク積分値)と時間との関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本実施形態では、半導体製造装置のチャンバ内のガスを排気するために使用される真空ポンプの運転制御装置及び運転制御方法について説明するが、本発明に係る運転制御装置及び運転制御方法を適用する真空ポンプは、これに限定されるものではない。
図1は、本発明に関わる真空ポンプの運転制御装置及び運転制御方法が適用される真空ポンプの構成例を示す縦断正面図で、図2は、図1の縦断側面図である。図1及び図2に示すように、真空ポンプは、一対のポンプロータ1と、ポンプロータ1が収容される排気室7を持つケーシング2と、ポンプロータ1を回転駆動させるモータ3から主に構成されている。ケーシング2は、ガスを吸入する吸入口(図示せず)と、ガスを吐出する排気口(図示せず)とを備えている。各ポンプロータ1は、軸受5により回転自在に支持された2本の回転軸4にそれぞれ固定されている。
一方の回転軸4にはモータロータ(図示せず)が固定されており、このモータロータの周りにはモータステータ(図示せず)が配置されている。そして、このモータロータとモータステータによりモータ3が構成されている。この実施形態では、モータ3として誘導電動機が使用されている。2本の回転軸4の端部には、互いに噛み合うタイミングギア6が固定され、このタイミングギア6により、一対のポンプロータ1が互いに同期しつつ反対方向に回転するようになっている。一対のポンプロータ1の間及びポンプロータ1とケーシング2の排気室7の内面との間には微小な隙間が形成されており、各ポンプロータ1は、ケーシング2に非接触で回転するようになっている。
上記構成の真空ポンプにおいて、モータ3を駆動して一対のポンプロータ1を回転させることにより、ケーシング2の吸込口(図示せず)から吸入されたガスが各ポンプロータ1の回転に伴って排気側に移送され、ケーシング2の排気口(図示せず)から排気される。そして、吸入側から排気側にガスが連続して移送されることにより、ケーシング2の吸込口に接続されたチャンバ内のガスが真空排気される。このチャンバは、例えば半導体製造装置に組み込まれたチャンバである。
真空ポンプには、モータ3のモータロータの回転速度を制御するため、周波数変換器11を有する運転制御装置8が備えられている。この運転制御装置8は、三相電源9とモータ3との間に配置される。
図3に示すように、運転制御装置8は、三相電源9を周波数変換器11に接続する漏電遮断機(ELB)10を備えている。漏電遮断器(ELB)に代えて、サーキットブレーカ(CB)を用いてもよい。周波数変換器11は、漏電遮断機(ELB)10を介して三相電源9に接続される整流器12と、モータ3のモータロータを回転させるための駆動電力をモータ3に供給するパワートランジスタ部13と、モータ3のモータステータに供給される電流を検出する電流検出器17と、周波数変換器11を制御する周波数変換制御部16とを備えている。周波数変換制御部16は、モータ出力トルクを演算するための演算部14と、基準値や閾値を格納するための記憶部15と、電流検出器17の信号を演算部14に取り込むためのA/D変換器18とを備えている。
これにより、真空ポンプの運転開始スイッチ(図示せず)が操作されて真空ポンプの運転が開始されると、周波数変換器11は、モータ3に対して、駆動電力の供給を開始し、モータ3のモータロータが回転を始める。このモータ3のモータロータが回転に伴って、一対のポンプロータ1が同期して互いに逆方向に回転する。この真空ポンプの運転開始と同時に、モータ3に供給される電流は、電流検出器17及びA/D変換器18を経由して演算部14に取り込まれる。
ここで、ケーシング2の内面に生成物が堆積している時(以下、生成物堆積時という)にポンプロータ1を回転させると、ケーシング2の内面に堆積した生成物とポンプロータ1との間の摩擦力が生じる。このため、ケーシング2の内面に生成物が堆積していない時(以下、正常時という)にポンプロータ1を回転させる場合と比較して、ポンプロータ1を回転させるためにより大きなモータ出力トルクが必要となる。
例えば、図4(a)に示すように、真空ポンプの運転開始時に、ポンプロータ1の回転速度を直線的に増加させると、図4(b)に示すように、ポンプ起動時tにおいて、正常時のポンプ出力トルクTよりも生成物堆積時のポンプ出力トルクTの方が大きく(T>T)なり、ポンプロータ1の回転速度が所定回転速度Nに達した時間tにおいても、正常時のポンプ出力トルクよりも生成物堆積時のポンプ出力トルクの方が大きくなる。このため、図4(c)に示すように、ポンプロータ1の回転速度が所定回転速度Nに達した時間tにおいて、ポンプ起動時tから演算した正常時のポンプ出力トルクの積分値(トルク積分値)Iよりも生成物堆積時のポンプ出力トルクの積分値(トルク積分値)Iの方が大きく(I>I)なり、両者の間に差異ΔI(=I−I)が生じる。
そこで、この例では、正常時の真空ポンプを駆動させて、図4(a)に示すように、ポンプロータ1の回転速度を所定回転速度Nまで上げたときのポンプ起動時から演算したポンプ出力トルクの積分値(トルク積分値)を基準値として記憶部15に記憶し、更に正常時のポンプ出力トルクの積分値と生成物堆積時のポンプ出力トルクの積分値との間の差異ΔIに応じた閾値、例えば第1閾値Vと該第1閾値Vより大きな第2閾値V(>V)を予め設定して記憶部15に記憶しておく。
そして、チャンバ内の真空排気に使用される真空ポンプの運転開始時に、ポンプロータ1の回転速度を、図4(a)に示す直線に沿って上昇させる。この時、演算部14は、電流検出器17から取り込まれた電流値を元にモータ出力トルクの計算を行い該モータ出力トルクの積分値をポンプ起動時tから逐次演算する。そして、ポンプロータ1の回転速度が予め定められた所定回転速度Nに到達した時間tにおいて、記憶部15に記憶されている基準値、この例では、正常時のポンプ出力トルクの積分値(トルク積分値)Iと、演算部14で演算されたモータ出力トルクの積分値、例えばこの演算部14で演算されたモータ出力トルクの積分値が図4(c)に示す生成物堆積時のポンプ出力トルクの積分値と等しければ、積分値(トルク積分値)Iとの比較を行い、両者の差異ΔI(I−I)を求める。
そして、この差異ΔIが第1閾値V以下である場合(ΔI≦V)には、真空ポンプのケーシング2内に堆積している生成物の量は真空ポンプの運転に支承がない程度であるとして、真空ポンプのポンプロータ1の回転速度を定格回転速度まで上昇させる。差異ΔIが第1閾値Vを超えているが第2閾値V以下である場合(V<ΔI≦V)には、真空ポンプのケーシング2内に堆積している生成物の量は真空ポンプの運転に支承がない程度であるが、メンテナンスを行った方が良いとして、ユーザにメンテナンス信号を出してメンテナンスの喚起を促し、真空ポンプのポンプロータ1の回転速度を定格回転速度まで上昇させる。差異ΔIが第2閾値Vを超えている場合(ΔI>V)には、真空ポンプのケーシング2内に堆積している生成物の量は真空ポンプの運転に支承があるとして、真空ポンプの運転を停止させる。
このように、真空ポンプのケーシング内に生成物が堆積している状況を真空ポンプの起動時に検出し、この状況に応じて、ユーザに真空ポンプのメンテナンスを喚起するメンテナンス信号を出力することによって、製造プロセス中に真空ポンプが停止することを防止することができる。
また、モータ出力トルクをモータ3に供給される電流から求め、計算結果を一定時間積分することで、トルク計算の元になる電流信号がノイズ等の影響によって瞬間的に変動する場合でも、電流信号の変動の影響を抑えてメンテナンス信号を出力することができる。
この例では、閾値を2つ設けているが、第1閾値のみを設けるようにしても良く、閾値を3つ以上設けて、真空ポンプのケーシング2内に堆積している生成物の量(段階)に応じた信号を出力するようにしても良い。また、メンテナンス信号も、信号出力に限らず、表示装置へ表示したり、RS232Cなどの通信によって出力したりするようにしてもよい。更に、電流検出器17でモータ出力トルクの電流を測定するようにしているが、パワートランジスタ部13への入力電流を測定するようにしても良い。このことは、下記の例においても同様である。
一方、図5(a)に示すように、真空ポンプの運転開始後、ポンプロータ1の回転速度を所定回転速度Nに維持して、ポンプロータ1を所定時間Tに亘って運転すると、図5(b)に示すように、ポンプ起動時tにおいて、正常時のポンプ出力トルクTよりも生成物堆積時のポンプ出力トルクTの方が大きく(T>T)なり、ポンプロータ1を所定回転速度Nで回転させている間(t〜t)においても、正常時のポンプ出力トルクよりも生成物堆積時のポンプ出力トルクの方が大きくなる。このため、図5(c)に示すように、ポンプロータ1の回転速度を所定時間Tに亘って所定回転速度Nに維持した時間tにおいて、ポンプロータ1の回転速度が所定回転速度Nに達した時間tから演算した正常時のポンプ出力トルクの積分値(トルク積分値)Iよりも生成物堆積時のポンプ出力トルクの積分値(トルク積分値)Iの方が大きく(I>I)なり、両者の間に差異ΔI(=I−I)が生じる。
このため、正常時の真空ポンプを駆動させて、図5(a)に示すように、真空ポンプの運転開始後、ポンプロータ1の回転速度を所定回転速度Nに維持して、ポンプロータ1を所定時間Tに亘って運転したときの、ポンプ出力トルクのポンプロータ1の回転速度が所定回転速度Nに達した時から演算した積分値(トルク積分値)を基準値として記憶部15に記憶し、更に正常時のポンプ出力トルクの積分値と生成物堆積時のポンプ出力トルクの積分値との間の差異ΔIに応じた閾値、例えば第1閾値Vと該第1閾値Vより大きな第2閾値V(>V)を予め設定して記憶部15に記憶しておくようにしてもよい。
この場合、チャンバ内の真空排気に使用される真空ポンプを駆動して、ポンプロータ1の回転速度を、図5(a)に示すように、真空ポンプの運転開始後、所定時間Tに亘って所定回転速度Nに維持する。この時、演算部14は、電流検出器17から取り込まれた電流値を元にモータ出力トルクの計算を行い該モータ出力トルクの積分値をポンプロータ1の回転速度が所定回転速度Nに達した時間tから逐次演算する。そして、ポンプロータ1の回転速度を所定時間Tに亘って一定に維持した時点tにおいて、記憶部15に記憶されている基準値、この例では、正常時のポンプ出力トルクの積分値(トルク積分値) と、演算部14で演算されたモータ出力トルクの積分値、例えばこの演算部14で演算されたモータ出力トルクの積分値が図5(c)に示す生成物堆積時のポンプ出力トルクの積分値と等しければ、積分値(トルク積分値)Iとの比較を行い、両者の差異ΔI(I−I)を求める。
そして、この差異ΔIが第1閾値V以下で有る場合(ΔI≦V)には、真空ポンプのケーシング2内に堆積している生成物の量は真空ポンプの運転に支承がない程度であるとして、真空ポンプのポンプロータ1の回転速度を定格回転速度まで上昇させる。差異ΔIが第1閾値Vを超えているが第2閾値V以下である場合(V<ΔI≦V)には、真空ポンプのケーシング2内に堆積している生成物の量は真空ポンプの運転に支承がない程度であるが、メンテナンスを行った方が良いとして、ユーザにメンテナンス信号を出してメンテナンスの喚起を促し、真空ポンプのポンプロータ1の回転速度を定格回転速度まで上昇させる。差異ΔIが第2閾値Vを超えている場合(ΔI>V)には、真空ポンプのケーシング2内に堆積している生成物の量は真空ポンプの運転に支承があるとして、真空ポンプの運転を停止させる。
これによっても、真空ポンプのケーシング内に生成物が堆積している状況を真空ポンプの起動時に検出し、この状況に応じて、ユーザに真空ポンプのメンテナンスを喚起するメンテナンス信号を出力することによって、製造プロセス中に真空ポンプが停止することを防止することができる。
このときの所定回転速度N及び所定時間Tは、例えば実験等により最適な値として事前に定められる。
これまで本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことはいうまでもない。例えば、モータ3として、直流モータを使用しても良い。
1 ポンプロータ
2 ケーシング
3 モータ
4 回転軸
7 排気室
8 運転制御装置
11 周波数変換器
13 パワートランジスタ部
14 演算部
15 記憶部
16 周波数変換制御部
17 電流検出器

Claims (6)

  1. ケーシング内に回転自在に配置されたポンプロータを備えた真空ポンプの運転を制御する運転制御装置において、
    前記ポンプロータの回転速度を制御する周波数変換器を備え、
    前記周波数変換器は、モータ出力トルクを積分して積分値を演算する演算部と、該積分値に対応する基準値と予め設定した閾値とをそれぞれ格納する記憶部とを有し、
    真空ポンプの運転開始後、真空ポンプの回転速度を所定回転速度に維持して真空ポンプを所定時間に亘って運転し、この真空ポンプが所定回転速度で回転している間における前記モータ出力トルクの積分値と該積分値に対応する基準値を比較し、両者の差と前記閾値との差に応じて、メンテナンス信号を出力することを特徴とする真空ポンプの運転制御装置。
  2. 真空ポンプの運転開始直後から真空ポンプの回転速度が所定回転速度に到達するまでの間における前記モータ出力トルクの積分値と該積分値に対応する基準値とを比較し、両者の差と前記閾値との差に応じて、メンテナンス信号を出力することを特徴とする請求項1記載の真空ポンプの運転制御装置。
  3. 前記演算部は、前記真空ポンプのモータに供給される電流の値を元に前記モータ出力トルクを計算することを特徴とする請求項1または2に記載の真空ポンプの運転制御装置。
  4. ケーシング内に回転自在に配置されたポンプロータを備えた真空ポンプの運転を制御する運転制御方法において、
    真空ポンプの運転開始後、真空ポンプの回転速度を所定回転速度に維持して真空ポンプを所定時間に亘って運転し、この真空ポンプが所定回転速度で回転している間にモータ出力トルクを積分して積分値を演算し、
    前記積分値と前記積分値に対応する基準値を比較して両者の差を求め、
    前記両者の差と予め設定して記憶部に格納していた閾値との差に応じてメンテナンス信号を出力することを特徴とする真空ポンプの運転制御方法。
  5. 真空ポンプの運転開始直後から真空ポンプの回転速度が所定回転速度に到達するまでの間における前記モータ出力トルクの積分値と該積分値に対応する基準値とを比較し、両者の差と前記閾値との差に応じて、メンテナンス信号を出力することを特徴とする請求項4記載の真空ポンプの運転制御方法。
  6. 前記真空ポンプのモータに供給される電流の値を元に前記モータ出力トルクを計算することを特徴とする請求項4または5に記載の真空ポンプの運転制御方法。
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