JP5555037B2 - 緩衝装置 - Google Patents

緩衝装置 Download PDF

Info

Publication number
JP5555037B2
JP5555037B2 JP2010092384A JP2010092384A JP5555037B2 JP 5555037 B2 JP5555037 B2 JP 5555037B2 JP 2010092384 A JP2010092384 A JP 2010092384A JP 2010092384 A JP2010092384 A JP 2010092384A JP 5555037 B2 JP5555037 B2 JP 5555037B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
piston
chamber
container
shock absorber
piston rod
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2010092384A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2011220490A (ja
Inventor
崇志 寺岡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
KYB Corp
Original Assignee
KYB Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by KYB Corp filed Critical KYB Corp
Priority to JP2010092384A priority Critical patent/JP5555037B2/ja
Publication of JP2011220490A publication Critical patent/JP2011220490A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5555037B2 publication Critical patent/JP5555037B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Fluid-Damping Devices (AREA)

Description

本発明は、緩衝装置の改良に関する。
従来、この種の緩衝装置にあっては、シリンダと、シリンダ内に移動自在に挿入されるピストンロッドと、ピストンロッドの先端に固定されるとともにシリンダ内に摺動自在に挿入されシリンダ内を上室と下室に区画するピストンと、内部に圧力室を備えてピストンロッドのピストンより先端側に螺着されるハウジングと、ハウジング内に摺動自在に挿入されて圧力室をハウジングに設けた一方流路を介して下室に連通される一方室とピストンロッドに設けた他方流路を介して上室に連通される他方室とに区画するフリーピストンと、フリーピストンを附勢するコイルバネとを備えて構成されている。
このように構成された緩衝装置は、入力周波数が低い場合には、フリーピストンの振幅が大きく、一方流路及び他方流路を通過する流量は少なく、その分、ピストンに設けた通路を通過する流量が多くなり、通路通過の際に積層された積層リーフバルブで抵抗が与えて大きな減衰力を発揮し、反対に、緩衝装置への入力周波数が高い場合には、フリーピストンの振幅が小さく、一方流路及び他方流路を通過する流量は多くなり、その分、ピストンに設けた通路を通過する流量が少なくなるので小さな減衰力を発揮することになり、車両における乗り心地を向上させることができる。
そして、この緩衝装置にあっては、ハウジングが緩衝装置のストローク長を無駄に短くしてしまうことを阻止するため、ハウジングがピストンロッドの先端に螺合される鍔付の内筒と、一端開口部を上記鍔へ加締めて内筒に固定される外筒と、外筒の他端開口部を閉塞するキャップとを備えて構成されており、このハウジングは、ピストンをピストンロッドの先端に固定するピストンナットとしての機能をも兼ね備えている(たとえば、特許文献1参照)。
特開2008−215462号公報
従来の緩衝装置の構造では、ハウジングをピストンロッドに組付ける工程において、外筒を工具で把持してピストンロッドに対して周方向に回転させることで、内筒をピストンロッドに螺合せしめるようになっている。
また、ハウジングがピストンナットとして機能するため、内筒が弛んでしまわないように、内筒を所定の締付トルクでピストンロッドに螺合させる必要があり、この組付け工程において、内筒と外筒とが周方向に相対回転しないように、ハウジングを構成する内筒の外筒が加締められる部位、つまり、鍔の外周に溝を設けてある。
しかしながら、上記したように、外筒にトルクを付加して内筒に締付トルクを伝達する構造では、内筒と外筒とが周方向に相対回転しないようにすることはできても、上記組付け工程において、外筒を内筒に対して相対回転させるようにトルクを付加するため、万が一、内筒と外筒の加締め部分にガタが生じてしまうと、緩衝装置が異音を発生してしまうといった問題があると指摘される虞がある。
そこで、本発明は上記した不具合を改善するために創案されたものであって、その目的とするところは、異音発生を防止することが可能な緩衝装置を提供することである。
上記した目的を達成するために、本発明における課題解決手段の一つは、 シリンダと、シリンダ内に移動自在に挿入されるピストンロッドと、シリンダ内に摺動自在に挿入されるとともにピストンロッドの一端に嵌合されてシリンダ内を2つの作動室に区画する環状のピストンと、内部に圧力室を備えてピストンロッドのピストンよりも一端の先端側に螺着されてピストンをピストンロッドに固定するハウジングと、上記ハウジングの圧力室内に摺動自在に挿入されて圧力室をハウジングに形成の一方側流路を介して一方の作動室に連通される一方室とピストンロッドに形成の他方側流路を介して他方の作動室に連通される他方室とに区画するフリーピストンと、フリーピストンの圧力室に対する変位を抑制する附勢力を発生するバネ要素とを備えた緩衝装置において、ハウジングは、ピストンロッドの先端に螺着されるナット部とナット部の外周から垂下されてフリーピストンが収容される筒部とを備えた容器と、容器の開口端に装着されて容器の開口端を閉塞するキャップとを備え、ナット部の肉厚を筒部の肉厚より厚肉に形成し、容器に締め付けトルクを作用させる締付工具で把持可能な把持部をナット部の外周に設けたことを特徴とする。
同じく、他の手段は、 シリンダと、シリンダ内に移動自在に挿入されるピストンロッドと、シリンダ内に摺動自在に挿入されるとともにピストンロッドの一端に嵌合されてシリンダ内を2つの作動室に区画する環状のピストンと、内部に圧力室を備えてピストンロッドのピストンよりも一端の先端側に螺着されてピストンをピストンロッドに固定するハウジングと、上記ハウジングの圧力室内に摺動自在に挿入されて圧力室をハウジングに形成の一方側流路を介して一方の作動室に連通される一方室とピストンロッドに形成の他方側流路を介して他方の作動室に連通される他方室とに区画するフリーピストンと、フリーピストンの圧力室に対する変位を抑制する附勢力を発生するバネ要素とを備えた緩衝装置において、ハウジングは、ピストンロッドの先端に螺着されるナット部とナット部の外周から垂下されてフリーピストンが収容される筒部とを備えた容器と、容器の開口端に装着されて容器の開口端を閉塞するキャップとを備え、筒部の下端に筒部の肉厚より厚肉な肉厚部を形成し、容器に締め付けトルクを作用させる締付工具で把持可能な把持部を上記肉厚部の外周に設けたことを特徴とする
本発明の緩衝装置によれば、ピストンをピストンロッドに固定する際に、ハウジングを構成する容器が締付工具で把持可能な把持部を備えていて、容器に装着されるキャップを介さず把持部を介してナット部に直接締め付けトルクを作用させることができるので、容器とキャップとの間にガタが生じることがなく、異音発生を防止することができる。
キャップには締め付けトルクが付加されることがないので、従来の緩衝装置のようにキャップの外周に溝や凹凸を設けて加締め部分において回り止めを図る必要も無くなり、キャップの構造が簡素化され、加工工数を低減できるので経済性も向上することになる。
一実施の形態における緩衝装置の縦断面図である。 一実施の形態における緩衝装置のピストン部の拡大縦断面図である。 一実施の形態の一変形例における緩衝装置のピストン部の拡大縦断面図である。 一実施の形態の他の変形例における緩衝装置のピストン部の拡大縦断面図である。 他の実施の形態における緩衝装置のピストン部の拡大縦断面図である。
以下、図に基づいて本発明を説明する。本発明の緩衝装置Dは、図1および図2に示すように、シリンダ1と、シリンダ1内に移動自在に挿入されるピストンロッド4と、シリンダ1内に摺動自在に挿入されるとともにピストンロッド4の一端4aに嵌合されてシリンダ1内を2つの作動室である上室R1および下室R2に区画する環状のピストン2と、内部に圧力室R3を備えてピストンロッド4のピストン2よりも一端4aの先端側に螺着されてピストン2をピストンロッド4に固定するハウジング15と、上記ハウジング15の圧力室R3内に摺動自在に挿入されて圧力室R3をハウジング15に形成の一方側流路5を介して一方の作動室としての下室R2に連通される一方室7とピストンロッド4に形成の他方側流路6を介して他方の作動室としての上室R1に連通される他方室8とに区画するフリーピストン9と、フリーピストン9の圧力室R3に対する変位を抑制する附勢力を発生するバネ要素10とを備えて構成され、車両における車体と車軸との間に介装されて減衰力を発生し車体の振動を抑制するものである。
そして、上室R1および下室R2さらには圧力室R3内には作動油等の液体が充満され、また、シリンダ1内の図中下方には、シリンダ1の内周に摺接して下室R2と気体室Gとを区画する摺動隔壁13が設けられている。
なお、上記した作動室たる上室R1、下室R2および圧力室R3内に充填される液体は、作動油以外にも、たとえば、水、水溶液といった液体を使用することもできる。
なお、ピストンロッド4とシリンダ1との間は図示しないシールでシリンダ1内が液密状態とされている。図示したところでは、緩衝装置Dがいわゆる片ロッド型に設定されているため、緩衝装置Dの伸縮に伴ってシリンダ1内に出入りするピストンロッド4の体積は、気体室G内の気体の体積が膨張あるいは収縮して摺動隔壁13が図1中上下方向に移動することによって補償されるようになっている。このように緩衝装置Dは、単筒型に設定されているが、摺動隔壁13および気体室Gの設置に変えて、シリンダ1の外周や外部にリザーバを設けて当該リザーバによって上記ピストンロッド4の体積補償を行ってもよい。
以下、各部について詳細に説明する。シリンダ1は、その上端がピストンロッド15を摺動自在に軸支する図示しないヘッド部材で封止され、下端もまた図示しないボトム部材によって封止されている。
ピストンロッド4は、その図2中下端となる一端4aに小径部4cが形成されて段部4dが設けられており、小径部4cの先端に螺子部4eが形成されている。
そして、ピストンロッド4には、小径部4cの先端から開口しピストンロッド4の段部4dより他端4b側に抜ける他方側流路6が形成されている。なお、図示したところでは、この他方側流路6の途中には、抵抗となる弁要素図示はしないが、絞り等の減衰力発生要素を設けるようにしてもよい。
ピストン2は、環状に形成されるとともに、ピストンロッド4の小径部4cの外周に嵌合される。また、このピストン2には、上室R1と下室R2とを連通する通路2a,2bが設けられ、通路2aの図中上端は減衰力発生要素である積層リーフバルブV1にて閉塞され、他方の通路2bの図中下端も減衰力発生要素である積層リーフバルブV2によって閉塞されている。
この積層リーフバルブV1,V2は、共に環状に形成され、ピストン2と同様に、ピストンロッド4の小径部4cの外周に嵌合される。積層リーフバルブV1の図2中上方には、外径が当該積層リーフバルブV1よりも小径な間座18が積層されており、積層リーフバルブV1の内周が固定されて外周の撓みが許容されている。積層リーフバルブV2の図2中下方には、外径が当該積層リーフバルブV2よりも小径な間座19、スペーサ17が積層されており、積層リーフバルブV2の内周が固定されて外周の撓みが許容されている。この積層リーフバルブV1の撓み量は、間座18を介して積層リーフバルブV1に積層されるとともに、ピストンロッド4の小径部4cに嵌合される環状のバルブストッパ16によって規制されるようになっている。
そして、積層リーフバルブV1は、緩衝装置Dの収縮時に下室R2と上室R1の差圧によって撓んで開弁し通路2aを開放して下室R2から上室R1へ移動する液体の流れに抵抗を与え、緩衝装置Dの伸長時には通路2aを閉塞するようになっており、他方の積層リーフバルブV2は、積層リーフバルブV1とは反対に緩衝装置Dの伸長時に通路2bを開放し、収縮時には通路2bを閉塞する。すなわち、積層リーフバルブV1は、緩衝装置Dの収縮時における圧側減衰力を発生する要素であり、他方の積層リーフバルブV2は、緩衝装置Dの伸長時における伸側減衰力を発生する要素である。このように、通路を一方通行とする場合には、緩衝装置Dのように、通路2a,2bを設けてそれぞれを緩衝装置Dの伸長時あるいは収縮時のみ液体が通過するように構成してもよく、また、通路が双方向流れを許容する場合には一つのみを設けるようにしてもよい。
そして、ピストンロッド4の小径部4cの先端側に設けた螺子部4eには、上記スペーサ17の下方から圧力室R3を形成するハウジング15が螺着されている。
このハウジング15とピストンロッド4に設けた段部4dによって、上記したピストン2、積層リーフバルブV1,V2、間座18,19バルブストッパ16およびスペーサ17が挟持されてピストンロッド4に固定されている。このように、ハウジング15は、内部に圧力室R3を形成するだけでなく、ピストン2をピストンロッド4に固定する役割をも果たしている。
このハウジング15について説明すると、ピストンロッド4の先端に設けた螺子部4eに螺着されるナット部21aとナット部21aの外周から垂下されてフリーピストン9が収容される筒部21bとを備えた容器21と、容器21の開口端21cに装着されて容器21の開口端21cを閉塞するキャップ22とを備えて構成され、この容器21とキャップ22とで下室R2内に圧力室R3を画成している。
ナット部21aは、上記のように筒部21bの上端に一体に連結されていて筒部21bより厚肉に形成され、且つ内周側に雌螺子21dを有するとともに、外周には図示しない締付工具で把持するための把持部21eが設けられている。上記した把持部21eの断面形状は、図示しない締付工具で把持可能な形状とされており、たとえば、締付工具の形状に合わせて二面幅形状や六角形状といった真円形以外の形状とされる。把持部21eは、外方から締付工具でアクセス可能であって、当該締付工具で把持可能な軸方向長さを確保されていればよい。
そして、筒部21bは、ナット部21aの図2中下端外周から垂下されており、図2中下端となる開口端21cを外周側からキャップ22の外周へ向けて加締めて、容器21とキャップ22とが一体化されている。また、キャップ22は、開口部外周に鍔22bを備えて有底筒状とされており、底22aを貫通する一方側流路5の一部を構成する固定オリフィス23が設けられている。
そして、上記した容器21およびキャップ22で形成される圧力室R3内には、フリーピストン9が摺動自在に挿入され、このフリーピストン9によって圧力室R3内は、他方側流路6によって上室R1に連通される他方室8と、固定オリフィス23によって下室R2に連通される一方室7とに区画されている。
このフリーピストン9は、内側をナット部21aに向け筒部21bの内周に摺接する摺接筒9aと、摺接筒9aの図2中下端を閉塞する底9bと、底9bに設けたキャップ22側に突出する凸部9cと、摺接筒9aの外周に軸方向に並べて設けられた反底側環状溝9dおよび摺接筒内に連通される底側環状溝9eと、反底側環状溝9d内に装着される環状の摩擦部材9fとを備えて構成されている。そして、上記底側環状溝9eは、フリーピストン9の肉厚内部を通る孔9gにて、一方室7へ連通されている。
さらに、このフリーピストン9に、フリーピストン9の圧力室R3に対する変位量に比例してその変位を抑制する附勢力を作用させるバネ要素10として、ナット部21aとフリーピストン9の底9b内側との間、および、キャップ22の底22aとフリーピストン9の底9bの外側との間にそれぞれコイルバネ25,26を介装してある。これらコイルバネ25,26によってフリーピストン9は、圧力室R3内の所定の中立位置に位置決められた上で弾性支持されている。
コイルバネ25は、フリーピストン9の筒9a内の内周によって半径方向への著しい位置ずれが防止され、また、コイルバネ26は、その内周にフリーピストン9の凸部9cが挿通されることによって、著しい位置ずれが防止されており、これによって安定的にフリーピストン9に附勢力を作用させることが可能となる。また、フリーピストン9は、有底筒状となっているので、コイルバネ25を収容しつつ筒部22との軸方向の摺動長を確保することができ、ハウジング15の軸方向の全長の長大化を招くことなく筒部22に対しての軸ぶれを防止することができ、摺動抵抗が過大とならないようになっている。
さらに、フリーピストン9は、筒9aの上端がハウジング15におけるナット部21aに当接するとそれ以上の図2中上方側への移動が規制され、反対に、底9bの外周がキャップ22の鍔22bの図2中上端に当接するとそれ以上の図2中下方側への移動が規制されるようになっている。
また、筒部21bには、下室R2と容器21内を連通する可変オリフィス24が設けられており、この可変オリフィス24は、フリーピストン9がバネ要素10によって弾性支持されて中立位置にあるときには必ず上記底側環状溝9eに対向して一方室7と下室R2とを連通するとともに、フリーピストン9がストロークエンドまで変位する、すなわち、ナット部21aあるいはキャップ22の開口端側端部に当接するまで変位するとフリーピストン9の摺接筒9aの外周に完全にオーバーラップされて閉塞されるようになっている。すなわち、この場合、一方側流路5は、底側環状溝9e、可変オリフィス24、孔9gおよび固定オリフィス23で構成されている。なお、図中では、可変オリフィス24を二つ設けているが、その数は任意である。
つまり、この緩衝装置Dの場合、フリーピストン9の中立位置からの変位量が任意の変位量となるときに、可変オリフィス24の開口全てが底側環状溝9eに対向する状況から摺接筒9aの外周に対向し始める状況に移行して徐々に可変オリフィス24の流路面積が減少し始め、一方側流路5における流路抵抗が徐々に増加する。したがって、上記任意の変位量は、底側環状溝9eの図中上下方向幅の設定および、可変オリフィス24の筒部21bの内周側の開口位置によって設定される。そして、この実施の形態では、フリーピストン9の変位量の増加に伴って徐々に可変オリフィス24の流路面積が減少し、フリーピストン9がストロークエンドに達すると、可変オリフィス24が完全に摺接筒9aに対向して閉塞され、一方側流路5における流路抵抗が最大となり一方室7が固定オリフィス23のみによって下室R2に連通されるようになっている。
このように、この実施の形態の緩衝装置Dにあっては、圧力室R3が上述した容器21とキャップ22とで形成されており、容器21のナット部21aの外周に設けた把持部21eの断面形状が円形以外の形状とされていて、当該ナット部21aを締付工具で直接に把持して回転させることで容器21をピストンロッド4の螺子部4eへ容易に螺着することができるようになっている。
緩衝装置Dは以上のように構成されるが、続いて緩衝装置Dの作動について説明する。従来の緩衝装置と同様に、緩衝装置Dへ入力される振動の周波数が低い場合には、フリーピストン9の振幅が大きく、一方側流路5および他方側流路6を通過する流量は少なく、その分、ピストン2に設けた通路2a,2bを通過する流量が多くなり、当該通路2a,2bを液体が通過する際に積層リーフバルブV1,V2で抵抗が与えて大きな減衰力を発揮し、反対に、緩衝装置Dへ入力される振動の周波数が高い場合には、フリーピストン9の振幅が小さく、一方側流路5および他方側流路6を通過する流量は多くなり、その分、ピストン2に設けた通路2a,2bを通過する液体の流量が少なくなるので小さな減衰力を発揮することになり、車両における乗り心地を向上させることができる。
また、フリーピストン9の振幅が大きくストロークエンドまで変位するような場合には、緩衝装置Dの伸縮方向が変わらなければ、フリーピストン9はストロークエンドに位置して反対方向へ変位することはなく、液体は一方側流路5および他方側流路6を通過することはないので、フリーピストン9がストロークエンドに達してからは上室R1と下室R2の液体の行き来は通路2a,2bのみを介して行われるので、緩衝装置Dは、振動周波数に関わらず積層リーフバルブV1,V2による大きな減衰力を発揮することになる。ここで、フリーピストン9がストロークエンドまで達するまでに、可変オリフィス24を徐々に閉じることになるので、フリーピストン9の変位は急激なものとならず、可変オリフィス24を閉じ始めるとフリーピストン9が変位しづらくなって液体は一方側流路5および他方側流路6を通過しづらくなる。したがって、フリーピストン9が可変オリフィス24を閉じ始めると、液体は一方側流路5および他方側流路6を通過しづらくなり、フリーピストン9がストロークエンドへ達すると、液体は通路2a,2bのみを通過するようになる。
このことから、フリーピストン9がストロークエンドまで変位してしまうような高周波数で大振幅の振動が緩衝装置Dに対し入力されても、フリーピストン9の中立位置からの変位量が可変オリフィス24を閉じ始める変位量を超えるとフリーピストン9がストロークエンドに達するまでに緩衝装置Dは徐々に発生減衰力を大きくするので、低い減衰力から急激に高い減衰力に変化することが無くなる。つまり、フリーピストン9がストロークエンドに達して圧力室R3内と上室R1、下室R2との液体の交流ができなくなるときに急激に減衰力の大きさが変化してしまうことがなくなり、低減衰力から高減衰力への減衰力変化がなだらかとなる。さらに、フリーピストン9が圧力室R3における両端側のストロークエンドまで到る際に、徐々に発生減衰力を大きくするので、減衰力の急激な変化を抑制する機能は、緩衝装置Dの伸圧の両行程で発揮される。したがって、この緩衝装置Dにあっては、高周波数で振幅が大きい振動が入力されても、発生減衰力がなだらかに変化することになって、搭乗者に減衰力の変化によるショックを知覚させずにすみ、車両における乗り心地を向上することができ、特に、急激な減衰力変化によって車体が振動しボンネットが共振して異音が発生してしまう事態も防止でき、この点でも車両における乗り心地を向上することができる。
またさらに、本実施の形態のフリーピストン9の反底側環状溝9d内には、摩擦部材9fが装着されており、この摩擦部材9fが容器21の筒部21bの内周に摺接して、フリーピストン9の容器21に対する変位を抑制するようになっている。したがって、一方室7と他方室8との差圧が小さい場合には、摩擦部材9fと容器21における筒部21bとの間に生じる摩擦力によってフリーピストン9はハウジング15に対して変位せずにその場に留まろうとし、一方室7と他方室8との差圧がある程度大きくなると、摩擦部材9fが筒部21bに対してすべりはじめてフリーピストン9がハウジング15に対して変位するようになる。このようにフリーピストン9がハウジング15に対して変位せずに一方室7と他方室8の容積を変化させない状態では、緩衝装置Dは、通路2a,2bの積層リーフバルブV1,V2が液体の流れに与える抵抗のみによって減衰力を発生することになる。そして、車両の車体と車軸との間に組み込まれる緩衝装置Dでは、一方室7と他方室8の差圧が小さくなるのは、一般的に、緩衝装置Dの伸縮速度が低い場合であり、緩衝装置Dの伸縮振動の周波数も低くなる。これに対して、緩衝装置Dの伸縮振動の周波数が高い場合には、緩衝装置Dの伸縮速度が高くなって、一方室7と他方室8の差圧が大きくなることになる。よって、低周波数域の振動に対しては、摩擦部材9fがフリーピストン9のハウジング15に対する変位を抑制することになり、緩衝装置Dの減衰力が極低周波数域から落ち込んだり、低周波数域において予定していた減衰力を発生できなかったりといった虞が無く、低周波数域で減衰力が一定となって減衰力の落ち込みが解消される。すなわち、摩擦部材9fを設けることで、低周波数域の振動に対しては、フリーピストン9のハウジング15に対する変位を抑制して、緩衝装置Dは、低周波数域の振動に対して減衰力の落ち込みを阻止して確実に高い減衰力を発揮することができ、高周波数域の振動に対しては、フリーピストン9をハウジング15に対して変位させることで、低い減衰力を発生することになる。したがって、緩衝装置Dは、車両が路面の凹凸を乗り越えるような入力振動周波数が高い場面においては低い減衰力を確実に発生させることができ、また、車両が旋回中等の入力振動周波数が低い場面においては高い減衰力を確実に発生できる。
そしてさらに、上記した摩擦部材9fが弾性を備えている場合には、低周波数域の振動に対しては、基本的には上述したように摩擦力によってフリーピストン9のハウジング15に対する変位を抑制するものの、摩擦部材9fの弾性変形見合いでフリーピストン9のハウジング15に対する変位が許容されることになる。したがって、摩擦部材が弾性を備えている場合には、低周波数域において摩擦部材の弾性変形見合いでフリーピストン9のハウジング15に対する変位が許容されるため、緩衝装置のように減衰力が極低周波数域から著しく落ち込むことを回避しつつ、低周波数域の振動に対して周波数の増加に伴って減衰力が僅かに減少する減衰特性を得ることができ、減衰特性のチューニングの幅が広がってより車両に好適な減衰特性を得ることができる。
なお、上記したところでは、摩擦部材9fがOリングや角リングといったシールに適する部材で構成される場合には、フリーピストン9と筒部21bとの間の摺動隙間を介して一方室7と他方室8の液体の交流を阻止することができ、低周波振動時の減衰力の落ち込みをより確実に防止することができる。
つづいて、ピストンロッド4の一端4aにピストン2、積層リーフバルブV1,V2、間座18,19、バルブストッパ16、スペーサ17、ハウジング15を組み付ける手順について説明する。まず、ピストンロッド4の小径部4cに、バルブストッパ16、間座18、積層リーフバルブV1、ピストン2、積層リーフバルブV2、間座19およびスペーサ17(以下、「組付部材」という)を順に組付ける。
そうしておいてから、ピストンロッド4の小径部4cの先端に設けた螺子部4eにハウジング15を螺着して、組付部材をピストンロッド4の段部4dとハウジング15で挟んで仮止めする。
このように、組付部材の仮止めが終了すると、ハウジング15のナット部21aの外周に設けた把持部21eを図外の締付工具で把持して周方向へ回転させてナット部21aに締め付けトルクを作用させてハウジング15をピストンロッド4の螺子部4eに締め込む。
すると、組付部材が段部4dとナット部21aとで強く挟持され、ナット部21aにはその反力として図2中押下げる方向の押圧力が加わり、ハウジング15が螺子部4eに対して弛み止めされる。
このように、本実施の形態の緩衝装置Dにあっては、ピストン2をピストンロッド4に固定する際に、ハウジング15を構成する容器21が締付工具で把持可能な把持部21eを備えていて、容器21に装着されるキャップ22を介さずナット部21aに直接に締め付けトルクを作用させることができるので、容器21とキャップ22との間にガタが生じることがなく、異音発生を防止することができる。
キャップ22には締め付けトルクが付加されることがないので、特許文献1に開示されている従来の緩衝装置のようにキャップ22の外周に溝や凹凸を設けて加締め部分において回り止めを図る必要も無くなり、キャップ22の構造が簡素化され、加工工数を低減できるので経済性も向上することになる。
なお、容器21を直接締付工具で把持して締め付けトルクをナット部21aに作用させる構成となっていればよいので、図3に示すように、筒部21bの下端に筒部21bの肉厚より厚肉な肉厚部を形成し、容器21に締め付けトルクを作用させる締付工具で把持可能な把持部21eをこの肉厚部の外周に設けてもよい。
また、図4に示すように、フリーピストン9の容器21内への挿入向きを図2の実施の形態と天地逆としてもよく、この場合には、フリーピストン9を容器21内へ組み込む際に、摩擦部材9fが可変オリフィス24を通過することが無いので、摩擦部材9fの傷付きを確実に防止することができる。さらに、この場合、コイルバネ26がフリーピストン9の摺動筒9a内に収容されてキャップ29側でコイルバネ26の収容スペースを確保せずとも済むので、キャップ29の形状は円板状に設定すれば足り、キャップ29に凸部が無いので筒部21bの加締め部分の高さ寸法を容易に計測することができ、品質チェックが容易となる。
なお、フリーピストン9の図4中上方へのストロークエンドを規制するには、筒部21bの内周に設けた段部21fをフリーピストン9に衝合させて行うようにすればよい。また、この場合、可変オリフィス24を一方室7へ連通するので、孔9gを廃してフリーピストン9の底側環状溝9eを摺動筒9aの内周から開口する孔9hで一方室7へ連通してやればよい。
つづいて、他の実施の形態の緩衝装置D1について説明する。この緩衝装置D1は、図5に示すように、ハウジング30の構造が緩衝装置Dのハウジング15と異なる。緩衝装置D1のその他の部材については、緩衝装置Dと同じ構造であり、説明が重複するので詳しい説明を省略することとし、ハウジング30について詳述する。
ハウジング30は、ピストンロッド4の先端に設けた螺子部4eに螺着される環状のナット部31aとナット部31aの外周から垂下されてフリーピストン9が収容される筒部31bとを備えた容器31と、容器31の開口端31cに装着されて容器31の開口端31cを閉塞するキャップ32とを備えて構成され、この容器31とキャップ32とで下室R2内に圧力室R3を画成している。
また、ナット部31aは、内周側に設けられた雌螺子31dと、図5中上端となるピストン側端部に設けた環状窓31eと、環状窓31eを他方室8へ連通する複数のポート31fとを備えて構成されており、環状窓31eとポート31fとで他方室8と一方の作動室としての下室R2とを連通する迂回流路Pを構成している。
そして、ハウジング30と間座19との間には、環状であってピストンロッド4の小径部4cの外周に装着されるリリーフ弁35が介装されており、当該リリーフ弁35は、ナット部31aの反容器側の端面31iをシート面としてこれに離着座して迂回流路Pを開閉するようになっており、他方室8の圧力が下室R2の圧力を所定量上回ると撓んでシート面としての端面31iから離座して迂回流路Pを開放するようになっている。
なお、ナット部31aの他方室8側の端部には、コイルバネ25の内縁より内側から径方向に伸びてポート31fに通じる複数の切欠31kが周方向に間隔を空けて複数設けられていて、ポート31fが他方室8内に収容されるコイルバネ25の図5中上端によって閉塞されないようになっている。
他方、筒部31bは、ナット部31aの図5中下端外周から垂下されており、図5中中間部から拡径されて内外周に段部31g,31hが設けられている。さらに、筒部31bの下端外周には、筒部31bの肉厚より厚肉な肉厚部を形成し、図示しない締付工具で把持するための把持部31jがこの厚肉部の外周に設けられている。上記した把持部31jの断面形状は、ハウジング15における把持部21eと同様、図示しない締付工具で把持可能な形状とされており、たとえば、締付工具の形状に合わせて二面幅形状や六角形状といった真円形以外の形状とされる。把持部31jは、外方から締付工具でアクセス可能であって、当該締付工具で把持可能な軸方向長さを確保されていればよい。
このように構成された容器31をキャップ32とは、筒部31bの図5中下端となる開口端31cを外周側からキャップ32の外周へ向けて加締めることで一体化される。この開口端31cを加締める際に、筒部31bに軸方向の荷重が作用するが、筒部31bの外周に設けた段部31gに図示しない治具を当てがって当該荷重を段部31gで受けるようにすることで、リリーフ弁35が離着座するシート面となるナット部31aの反容器側の端面31iで当該荷重を受けずに済み、ナット部31aの端面31iの変形を防止できるので、リリーフ弁35の着座時に端面31iとの間に隙間が生じることが無く、また、リリーフ圧が製品毎にばらついてしまうといった不具合も生じることがない。
また、キャップ32は、中央に容器31内側へ突出する凸部32aを備えた円盤形状をしており、凸部32aにこれを貫通する一方側流路5の一部を構成する固定オリフィス33が設けられているとともに、反容器側となる下室R2を向く端面の外周に筒部31bの加締めによる塑性変形を促すための面取部32bが設けられている。なお、キャップ32の形状は、凸部32aを廃した円板状とされてもよいが、凸部32aを設けることで注視しなくとも面取部32bの設置されている端面を容易に識別でき、組付不良の発生を未然に防止することができる。また、凸部32aは、一方室7内に収容されるコイルバネ26の内周に嵌合されて、これを位置決めすることができ、コイルバネ26の軸ずれを防止することができる。
そして、上記した容器31およびキャップ32で形成される圧力室R3内には、フリーピストン9が、図4の緩衝装置と同様に、図2に示した緩衝装置Dとは天地逆向きにして摺動自在に挿入され、このフリーピストン9によって圧力室R3内は、他方側流路6によって上室R1に連通される他方室8と、固定オリフィス23によって下室R2に連通される一方室7とに区画されている。そのため、フリーピストン9を容器31内へ組み込む際に、摩擦部材9fが可変オリフィス24を通過することが無いので、摩擦部材9fの傷付きを確実に防止することができる。なお、フリーピストン9は、図4に示したものと同様に、底側環状溝9eが孔9hでフリーピストン9内と連通される。
さらに、このフリーピストン9に、フリーピストン9の圧力室R3に対する変位量に比例してその変位を抑制する附勢力を作用させるバネ要素10として、ナット部31aとフリーピストン9の底9bの外側との間、および、キャップ32とフリーピストン9の底9bの内側との間にそれぞれコイルバネ25,26を介装してある。これらコイルバネ25,26によってフリーピストン9は、圧力室R3内の所定の中立位置に位置決められた上で弾性支持されている。
さらに、フリーピストン9は、底9bの上端が容器31の筒部31bの内周に形成の段部31hに当接するとそれ以上の図5中上方側への移動が規制され、反対に、摺接筒9aの図5中下端がキャップ32の図5中上端に当接するとそれ以上の図5中下方側への移動が規制されるようになっている。
また、筒部31bには、下室R2と容器31内を連通する可変オリフィス34が設けられており、この可変オリフィス34は、フリーピストン9がバネ要素10によって弾性支持されて中立位置にあるときには必ず上記底側環状溝9eに対向して一方室7と下室R2とを連通するとともに、フリーピストン9がストロークエンドまで変位する、すなわち、段部31hあるいはキャップ32の開口端側端部に当接するまで変位するとフリーピストン9の摺接筒9aの外周に完全にオーバーラップされて閉塞されるようになっている。すなわち、この場合、一方側流路5は、底側環状溝9e、可変オリフィス34、孔9hおよび固定オリフィス33で構成されている。なお、図中では、可変オリフィス34を二つ設けているが、その数は任意である。
つまり、この緩衝装置D1の場合、フリーピストン9の中立位置からの変位量が任意の変位量となるときに、可変オリフィス34の開口全てが底側環状溝9eに対向する状況から摺接筒9aの外周に対向し始める状況に移行して徐々に可変オリフィス34の流路面積が減少し始め、一方側流路5における流路抵抗が徐々に増加する。したがって、上記任意の変位量は、底側環状溝9eの図中上下方向幅の設定および、可変オリフィス34の筒部31bの内周側の開口位置によって設定される。そして、この実施の形態では、フリーピストン9の変位量の増加に伴って徐々に可変オリフィス34の流路面積が減少し、フリーピストン9がストロークエンドに達すると、可変オリフィス34が完全に摺接筒9aに対向して閉塞され、一方側流路5における流路抵抗が最大となり一方室7が固定オリフィス33のみによって下室R2に連通されるようになっている。
このように、この実施の形態の緩衝装置D1にあっては、圧力室R3が上述した容器31とキャップ32とで形成されており、容器31の筒部31bの外周に設けた把持部31jの断面形状が円形以外の形状とされていて、当該ナット部31aを締付工具で直接に把持して回転させることで容器31をピストンロッド4の螺子部4eへ容易に螺着することができるようになっている。
緩衝装置D1は以上のように構成されるが、緩衝装置Dと同様に、緩衝装置D1への入力される振動の周波数が低い場合には、大きな減衰力を発揮し、反対に、緩衝装置D1へ入力される振動の周波数が高い場合には、小さな減衰力を発揮することになり、車両における乗り心地を向上させることができる。
また、緩衝装置Dと同様に、フリーピストン9がストロークエンドまで変位すると閉塞される可変オリフィス34を備えているので、この緩衝装置D1にあっても、高周波数で振幅が大きい振動が入力されても、発生減衰力がなだらかに変化することになって、搭乗者に減衰力の変化によるショックを知覚させずにすみ、車両における乗り心地を向上することができ、特に、急激な減衰力変化によって車体が振動しボンネットが共振して異音が発生してしまう事態も防止でき、この点でも車両における乗り心地を向上することができる。
またさらに、フリーピストン9には摩擦部材9fが装着されており、低周波数域の振動に対しては、摩擦部材9fがフリーピストン9のハウジング15に対する変位を抑制することになり、高周波数域の振動に対しては、フリーピストン9をハウジング15に対して変位させることで、低い減衰力を発生することになるから、この緩衝装置D1にあっても、緩衝装置Dと同様に、車両が路面の凹凸を乗り越えるような入力振動周波数が高い場面においては低い減衰力を確実に発生させることができ、また、車両が旋回中等の入力振動周波数が低い場面においては高い減衰力を確実に発生できる。
さらに、この緩衝装置D1にあっては、ピストン速度が高々速となり固定オリフィス33、可変オリフィス34における流路抵抗が大きくなりすぎて一方側流路5を液体が通過し難くなる場合であって、緩衝装置D1が伸長行程にあると、圧縮される上室R1に他方側流路6に連通される他方室8の圧力が高圧となり、リリーフ弁35の外周が初期荷重に打ち勝って撓み、迂回流路Pを開放するようになる。
すると、液体は、通路2bのみならず、他方側流路6、他方室8および迂回流路Pをも介して、上室R1から下室R2へ移動するようになり、緩衝装置D1の発生する伸側減衰力を低下させることができる。
このように緩衝装置D1にあっては、たとえば、車両が比較的高い速度で走行中に路面の凹凸を通過するようなピストン速度が高々速となる場面では、リリーフ弁35が開弁してピストン速度に対する減衰力の勾配を小さくさせて、減衰力を確実に低下させることができ、緩衝装置Dのように減衰力が高止まりしてしまって、車軸から車体への振動の伝達を絶縁する効果が消失してしまうといった不具合を解消でき、車両における乗り心地を向上することができる。
なお、ピストンロッド4の一端4aに組付部材を組付ける手順については緩衝装置Dと同様であり、緩衝装置D1にあっても、筒部31bの外周に設けた把持部31jを図外の締付工具で把持して周方向へ回転させてハウジング30をピストンロッド4の螺子部4eに締め込む。
すると、組付部材が段部4dと容器31とで強く挟持され、ナット部31aにはその反力として図5中押下げる方向の押圧力が加わり、ハウジング30が螺子部4eに対して弛み止めされる。
このように、本実施の形態の緩衝装置D1にあっても、ピストン2をピストンロッド4に固定する際に、ハウジング30を構成する容器31が締付工具で把持可能な把持部31jを備えていて、容器31に装着されるキャップ32を介さずナット部31aに直接に締め付けトルクを作用させることができるので、容器31とキャップ32との間にガタが生じることがなく、異音発生を防止することができる。
キャップ32には締め付けトルクが付加されることがないので、特許文献1に開示されている従来の緩衝装置のようにキャップ32の外周に溝や凹凸を設けて加締め部分において回り止めを図る必要も無くなり、キャップ32の構造が簡素化され、加工工数を低減できるので経済性も向上することになる。
以上で、本発明の実施の形態についての説明を終えるが、必要なければ可変オリフィス24,34とこれに連通される底側環状溝9e、孔9g,9hを廃止してもよく、また、ハウジング15,30のナット部21a,31aおよび筒部21b,31b、フリーピストン9の形状や構造についても適宜設計変更することができる。
さらに、緩衝装置Dにあっても、他方側流路6から分岐して下室R2へ通じるかあるいはナット部21aを貫いて他方室8と下室R2を連通する迂回流路を設けておき、当該迂回流路に他方室8から下室R2への流れを許容し上流側の圧力が所定圧となるとリリーフするリリーフ弁を設けるようにしてもよい。このようにすることで、車両が路面上の大きな突起などに乗り上げるような場合に、緩衝装置Dに入力される過大振幅の振動入力があっても、リリーフ弁がバイパスを開放して上室R1と下室R2とを連通させて減衰力を低下させることで、乗り心地を向上させることができる。
最後に、本発明の範囲は図示されまたは説明された詳細そのものには限定されないことは勿論である。
本発明の緩衝装置は、車両の制振用途に利用することができる。
1 シリンダ
2 ピストン
2a,2b 通路
4 ピストンロッド
4a ピストンロッドにおける一端
4b ピストンロッドにおける他端
4c 小径部
4d 段部
4e 螺子部
5 一方側流路
6 他方側流路
7 一方室
8 他方室
9 フリーピストン
9a 摺接筒
9b 底
9c 凸部
9d 反底側環状溝
9e 底側環状溝
9f 摩擦部材
9g,9h 孔
10 バネ要素
13 摺動隔壁
15,30 ハウジング
16 バルブストッパ
17 スペーサ
18,19 間座
21,31 容器
21a,31a ナット部
21b,31b 筒部
21c,31c 開口端
21d,31d 雌螺子
21e,31j 把持部
22,29,32 キャップ
22a 底
22b 鍔
23,33 固定オリフィス
24,34 可変オリフィス
25,26 バネ要素たるコイルバネ
31e 環状窓
31f ポート
31g,31h 段部
31i 端面
31k 切欠
32a 凸部
32b 面取部
35 リリーフ弁
D,D1 緩衝装置
G 気体室
P 迂回流路
R1 他方の作動室たる上室
R2 一方の作動室たる下室
R3 圧力室
V1,V2 積層リーフバルブ

Claims (6)

  1. シリンダと、シリンダ内に移動自在に挿入されるピストンロッドと、シリンダ内に摺動自在に挿入されるとともにピストンロッドの一端に嵌合されてシリンダ内を2つの作動室に区画する環状のピストンと、内部に圧力室を備えてピストンロッドのピストンよりも一端の先端側に螺着されてピストンをピストンロッドに固定するハウジングと、上記ハウジングの圧力室内に摺動自在に挿入されて圧力室をハウジングに形成の一方側流路を介して一方の作動室に連通される一方室とピストンロッドに形成の他方側流路を介して他方の作動室に連通される他方室とに区画するフリーピストンと、フリーピストンの圧力室に対する変位を抑制する附勢力を発生するバネ要素とを備えた緩衝装置において、ハウジングは、ピストンロッドの先端に螺着されるナット部とナット部の外周から垂下されてフリーピストンが収容される筒部とを備えた容器と、容器の開口端に装着されて容器の開口端を閉塞するキャップとを備え、ナット部の肉厚を筒部の肉厚より厚肉に形成し、容器に締め付けトルクを作用させる締付工具で把持可能な把持部をナット部の外周に設けたことを特徴とする緩衝装置。
  2. シリンダと、シリンダ内に移動自在に挿入されるピストンロッドと、シリンダ内に摺動自在に挿入されるとともにピストンロッドの一端に嵌合されてシリンダ内を2つの作動室に区画する環状のピストンと、内部に圧力室を備えてピストンロッドのピストンよりも一端の先端側に螺着されてピストンをピストンロッドに固定するハウジングと、上記ハウジングの圧力室内に摺動自在に挿入されて圧力室をハウジングに形成の一方側流路を介して一方の作動室に連通される一方室とピストンロッドに形成の他方側流路を介して他方の作動室に連通される他方室とに区画するフリーピストンと、フリーピストンの圧力室に対する変位を抑制する附勢力を発生するバネ要素とを備えた緩衝装置において、ハウジングは、ピストンロッドの先端に螺着されるナット部とナット部の外周から垂下されてフリーピストンが収容される筒部とを備えた容器と、容器の開口端に装着されて容器の開口端を閉塞するキャップとを備え、筒部の下端に筒部の肉厚より厚肉な肉厚部を形成し、容器に締め付けトルクを作用させる締付工具で把持可能な把持部を肉厚部の外周に設けたことを特徴とする緩衝装置。
  3. フリーピストンは、容器の筒部に摺接する摺接筒と、摺接筒のナット部側の端部を閉塞する底と、摺接筒の外周に軸方向に並べて設けられた反底側環状溝および摺接筒内に連通される底側環状溝と、反底側環状溝内に装着される環状の摩擦部材とを備え、一方側流路は、フリーピストンの底側環状溝と、上記容器の筒部に形成されてフリーピストンが中立位置にあるときにフリーピストンの底側環状溝に対向し当該底側環状溝を介して一方の作動室を一方室へ連通する可変オリフィスと、上記キャップに形成されて一方の作動室と一方室とを連通する固定オリフィスとで形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の緩衝装置。
  4. ナット部を軸方向に貫通して他方室と一方の作動室とを連通する迂回流路と、ピストンロッドに装着されるとともに当該ナット部の作動室側に積層されて他方室の圧力をパイロット圧として迂回流路を開閉する環状のリリーフ弁を設けたことを特徴とする請求項1、2または3に記載の緩衝装置。
  5. 容器の筒部の開口端をキャップの外周へ向けて加締めることでキャップと容器とが一体化されるとともに、容器の筒部の外周に上記開口端を加締める際の軸方向荷重を支持するための段部を設けたことを特徴とする請求項4に記載の緩衝装置。
  6. キャップの軸芯部に、容器内側へ向けて凸となる凸部を設けたことを特徴とする請求項1、2、3、4または5に記載の緩衝装置。
JP2010092384A 2010-04-13 2010-04-13 緩衝装置 Active JP5555037B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010092384A JP5555037B2 (ja) 2010-04-13 2010-04-13 緩衝装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010092384A JP5555037B2 (ja) 2010-04-13 2010-04-13 緩衝装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2011220490A JP2011220490A (ja) 2011-11-04
JP5555037B2 true JP5555037B2 (ja) 2014-07-23

Family

ID=45037720

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010092384A Active JP5555037B2 (ja) 2010-04-13 2010-04-13 緩衝装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5555037B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5907707B2 (ja) * 2011-11-30 2016-04-26 日立オートモティブシステムズ株式会社 緩衝器
JP5878840B2 (ja) * 2012-08-06 2016-03-08 Kyb株式会社 緩衝装置
JP6781557B2 (ja) * 2016-03-23 2020-11-04 Kyb株式会社 ショックアブソーバ

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4726049B2 (ja) * 2005-06-06 2011-07-20 カヤバ工業株式会社 緩衝装置
JP4768648B2 (ja) * 2007-03-02 2011-09-07 カヤバ工業株式会社 緩衝装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2011220490A (ja) 2011-11-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5132590B2 (ja) 緩衝装置
WO2011071120A1 (ja) 緩衝装置
JP4909767B2 (ja) 緩衝装置
JP6108550B2 (ja) 緩衝装置
JP4996952B2 (ja) 緩衝装置
JP5876806B2 (ja) 緩衝器
JP4768648B2 (ja) 緩衝装置
JP6688899B2 (ja) 緩衝器
JP5503473B2 (ja) 緩衝装置
WO2017047623A1 (ja) 緩衝器
JP5555037B2 (ja) 緩衝装置
JP5878840B2 (ja) 緩衝装置
JP5438487B2 (ja) 緩衝装置
JP5564368B2 (ja) リヤクッションユニット
JP5142971B2 (ja) 緩衝装置
JP5690179B2 (ja) 緩衝装置
JP5443227B2 (ja) 液圧緩衝器
JP2011220491A (ja) 緩衝装置
JP2010196842A (ja) 緩衝装置
JP5878841B2 (ja) 緩衝装置
JP5831977B2 (ja) 緩衝装置
JP5166334B2 (ja) 緩衝装置
JP6093599B2 (ja) 緩衝装置
JP2013113306A (ja) 緩衝装置
WO2023037713A1 (ja) 緩衝器

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20120925

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130731

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130806

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20131003

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140513

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140530

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5555037

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350