JP5554592B2 - 二色性色素組成物、光吸収異方性膜、偏光子及びその製造方法、表示装置、並びにイソチアゾールアゾ化合物 - Google Patents

二色性色素組成物、光吸収異方性膜、偏光子及びその製造方法、表示装置、並びにイソチアゾールアゾ化合物 Download PDF

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Description

本発明は、新規な二色性色素及び光吸収異方性膜に関する。また、本発明は、該光吸収異方性膜を用いた偏光子及び表示装置に関する。また、本発明は、偏光子の製造方法にも関する。
レーザー光や自然光を含む照射光の減衰機能、偏光機能、散乱機能、遮光機能等が必要となった際には、従来は、それぞれの機能毎に異なった原理によって作動する装置を充当していた。それ故に、それら機能に対応する製品も、それぞれの機能別に異なった製造工程によって製造されていた。
例えば、LCD(液晶素子)では表示における旋光性や複屈折性を制御するために直線偏光板や円偏光板が用いられている。OLED(有機エレクトロルミネッセンス素子)においても外光の反射防止のために円偏光板が使用されている。従来、これらの偏光板(偏光子)にはヨウ素が二色性物質として広く使用されてきた。しかしながら、ヨウ素は昇華性が大きいために偏光子に使用した場合、その耐熱性や耐光性が十分ではなかった。また、その消光色が深い青になり、全可視スペクトル領域にわたって理想的な無彩色偏光子とは言えなかった。
そのため、有機系の色素を二色性物質に使用する偏光子が検討されている。しかし、これら有機系の色素においてはヨウ素に比べると二色性がかなり劣る程度の偏光子しか得られないなどの問題点があった。特に、光の旋光性や複屈折性を表示原理に用いているLCDにおいて偏光子は重要な構成要素であり、近年、表示性能などの向上を目的に新たな偏光子の開発が進められている。また、有機系の色素を二色性物質に使用する偏光子の一例として、ホストとなる液晶材料とゲストとなる二色性色素とを含むゲストホスト型液晶組成物を利用した偏光子があるが、ゲストホスト型では、やはり二色比が低いという問題がある。
特許文献1及び2には、液晶性二色性色素の自らの配向力を利用して形成された偏光子が提案されている。しかし、これらの特許文献には、液晶性二色性色素として、イソチアゾールアゾ色素を使用することについては開示されていない。
一方、近年、表示性能などの向上を目的に新たな偏光素子の用途開発が進められている。特許文献3では、カラーフィルタ層と液晶材料層との間に偏光層(いわゆる、インセル偏光層)を設けることにより、カラーフィルタの偏光解消を抑制することが提案されている。しかしながら、液晶セル内に配置される偏光層は、より薄い膜厚で所望の偏光度を達成する必要があり、使用される二色性色素には、より高い二色性、さらには黒色を達成するための長波長吸収特性が要求される。
なお、イソチアゾールアゾ色素については、例えば、特許文献4及び5に感熱シート用染料の一例として、また感熱転写記録用色素の一例として、種々の構造の化合物が提案されているが、二色性と配向性を兼ね備えたイソチアゾールアゾ色素については従来提供されていない。
特開平11−305036号公報 特開2005−189393号公報 特開2008−90317号公報 特開平6−143839号公報 特開平6−143838号公報
本発明は、上記の背景技術に鑑みなされたものであり、二色性の高い新規な二色性色素、光吸収異方性膜及び偏光子、並びに該光吸収異方性膜有する表示装置を提供することにある。
また、本発明は塗布型偏光膜等の作製に有用な、二色比が高く、吸収特性が長波長シフトした、新規なイソチアゾールアゾ化合物を提供することを課題とする。
前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。
<1> 下記一般式(1)で表される二色性色素の少なくとも1種を含み、非着色性の液晶化合物の占める割合が30質量%以下であることを特徴とする二色性色素組成物:
Figure 0005554592
式中、R1及びR2はそれぞれ、水素原子又は置換基を表し、互いに結合して環を形成していてもよく;Arは、置換されていてもよい2価の芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を表し;R3及びR4はそれぞれ、水素原子、又は置換されていてもよいアルキル基を表し、互いに結合して複素環を形成していてもよい。
<2> 前記二色性色素が550〜800nmの波長領域に少なくとも一つの極大吸収を有し、該極大吸収に対応する遷移双極子モーメントが分子長軸に平行であることを特徴とする<1>の二色性色素組成物。
<3> 前記二色性色素の分子長が17Å以上であることを特徴とする<1>又は<2>の二色性色素組成物。
<4> 前記二色性色素のアスペクト比が1.7以上であることを特徴とする<1>〜<3>のいずれかの二色性色素組成物。
<5> 前記二色性色素が下記一般式(2)で表されることを特徴とする<1>〜<4>のいずれかの二色性色素組成物:
Figure 0005554592
式中、R1及びR2はそれぞれ、水素原子又は置換基を表し、互いに結合して環を形成していてもよく;Arは、置換されていてもよい2価の芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を表し;A1は炭素原子又は窒素原子を表し;L1、L2、R5、及びR6は単結合又は2価の連結基を表し;Q1は、置換されていてもよい、環状炭化水素基又は複素環基を表し;Q2は、置換されていてもよい、2価の環状炭化水素基又は複素環基を表し;nは0〜3の整数を表し、nが2以上の時、複数あるL2及びQ2は互いに同一でも異なっていてもよい。
<6> 前記二色性色素が下記一般式(3)で表されることを特徴とする<1>〜<5>のいずれかの二色性色素組成物:
Figure 0005554592
式中、R1及びR2はそれぞれ、水素原子又は置換基を表し、互いに結合して環を形成していてもよく;A1は炭素原子又は窒素原子を表し;L1及びL2はそれぞれ、単結合又は2価の連結基を表し;Q1は、置換されていてもよい、環状炭化水素基又は複素環基を表し;Q2は、置換されていてもよい、2価の環状炭化水素基又は複素環基を表し;nは0〜3の整数を表し、nが2以上の時、複数あるL2及びQ2は互いに同一でも異なっていてもよい。
<7> 前記一般式(1)〜(3)中のR1及びR2が互いに結合して芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を形成していることを特徴とする<1>〜<6>のいずれかの二色性色素組成物。
<8> 前記一般式(1)〜(3)中のR1及びR2が互いに結合して形成している芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基が、6員環であることを特徴とする、<7>の二色性色素組成物。
<9> <1>〜<8>のいずれかの二色性色素組成物からなる光吸収異方性膜。
<10> 基板と、該基板上に<9>の光吸収異方性膜とを有することを特徴とする偏光子。
<11> 前記基板と前記光吸収異方性膜との間に、配向膜を有することを特徴とする<10>の偏光子。
<12> <9>の光吸収異方性膜、あるいは<10>又は<11>の偏光子を有することを特徴とする表示装置。
<13> 少なくとも次の[1]〜[3]:
[1]基板を直接、又は該基板上に形成された配向膜をラビング、もしくは光照射する工程
[2]該基板又は該配向膜上に、<1>〜<8>のいずれかの二色性色素組成物を塗布する工程
[3]該二色性色素組成物の塗布膜を50℃以上250℃以下で加熱し、配向させ偏光子とする工程
をこの順に含む<10>又は<11>の偏光子の製造方法。
<14> 一般式(2)で表されるイソチアゾールアゾ化合物。
<15> 一般式(3)で表されるイソチアゾールアゾ化合物。
本発明によれば、二色性の高い光吸収異方性膜及び偏光子、並びに該光吸収異方性膜を有する表示装置を提供することができる。
また、本発明によれば、塗布型偏光膜等の作製に有用な、二色比が高く、吸収特性が長波長シフトした、新規なイソチアゾールアゾ化合物を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において、なお、本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
1.二色性色素組成物
剛直な直線状の構造のアゾ色素はしばしば配向して高い二色比を示すため、二色性色素として好ましく、従来広く用いられてきた。しかしながら二色性アゾ色素は一般にイエロー〜マゼンダの色調を示すため、長波長領域において十分な吸収を得られていなかった。アゾ色素の吸収の長波長化は置換基や複素環の導入によって達成することができるが、この場合、直線状の構造とすることが困難となり高い二色比を得られない。長波長領域において吸収を示す二色性色素としてアントラキノン色素が知られているが、これも二色比が不十分であった。すなわち、高い二色比と長波長領域における吸収を両立した二色性色素は限られていた。
発明者らは鋭意検討した結果、下記一般式(1)のイソチアゾールアゾ色素を用いてこの課題を解決できることを見出した。
本発明は、下記一般式(1)で表される二色性色素の少なくとも1種を含む二色性色素組成物に関する。
Figure 0005554592
式中、R1及びR2はそれぞれ、水素原子又は置換基を表し、互いに結合して環を形成していてもよく;Arは、置換されていてもよい2価の芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を表し;R3及びR4はそれぞれ、水素原子、又は置換されていてもよいアルキル基を表し、互いに結合して複素環を形成していてもよい。
一般式(1)で表される化合物のHOMO→LUMO遷移に由来する吸収は、LUMOのエネルギーがイソチアゾール環の電子求引性によって安定化されるために長波長化し、550〜800nmの波長領域に極大吸収を示す。極大吸収の波長は好ましくは550〜750nmであり、より好ましくは550〜700nmであり、よりさらに好ましくは550〜650nmであり、よりさらに好ましくは580〜650nmである。該吸収の遷移モーメントの方向は分子長軸に平行であるため、一般式(1)で表される化合物はマゼンダ〜シアンの色調を示す二色性色素として好適に用いることができる。ここで分子長軸とは、化合物中で原子間距離が最大となる2つの原子を結ぶ軸を言う。また、本明細書中で、結合、遷移モーメント、分子長軸などが「平行」であるとは、なす角度が0度以上20度以下であることを意味し、好ましくは0度以上15度以下であり、より好ましくは0度以上10度以下であり、よりさらに好ましくは0度以上7度以下である。遷移モーメントの方向は分子軌道計算により求めることができ、そこから分子長軸となす角度も計算することができる。
一般式(1)で表される二色性色素は、剛直な直線状の構造であることが好ましい。具体的には、分子長は好ましくは17Å以上であり、より好ましくは20Å以上であり、さらに好ましくは25Å以上である。また、アスペクト比は好ましくは1.7以上であり、より好ましくは2以上であり、さらに好ましくは2.5以上である。これによって良好な一軸配向が達成され、偏光性能の高い光吸収異方性膜及び偏光子を得ることができる。
ここで分子長とは、化合物中で最大の原子間距離に両端の2原子のファンデルワールス半径を加えた値である。アスペクト比とは分子長/分子幅であり、分子幅とは、分子長軸に垂直な面に各原子を投影したときの最大の原子間距離に両端の2原子のファンデルワールス半径を加えた値である。
本発明の二色性色素組成物において、非着色性の液晶化合物の占める割合は30質量%以下であり、好ましくは20質量%以下であり、より好ましくは10質量%以下であり、よりさらに好ましくは5質量%以下である。ここで非着色性の液晶化合物とは、可視光の分光領域即ち400〜700nmの分光領域において吸収を示さず、かつ、ネマチック液晶相またはスメクチック液晶相を発現する化合物を言い、例えば、「液晶デバイスハンドブック」(日本学術振興会第142委員会編、日刊工業新聞社、1989年)の第154〜192頁および第715〜722頁に記載の液晶化合物が挙げられる。
本発明の二色性色素組成物では、二色性色素分子は自らの配向能によって、又は他の色素と併用することで配向し、その状態が固定されることで、偏光膜等の光吸収異方性膜として機能するのが好ましい。例えば、二色性色素とともに、主成分として非着色性の液晶化合物を含有する組成物を利用して、液晶化合物の分子の配向に沿って、二色性色素の分子を配向させ、所定の二色比を達成している、いわゆるゲストホスト(GH)タイプの組成物として調製することもできるが、GHの態様よりも、前記態様のほうが高い二色比を達成可能であり、好ましい。ゲストホスト(GH)タイプの二色性色素組成物からなる偏光素子としては、例えば特開平11−101964号公報に、非着色性の液晶ポリマー/モノマーと二色性色素組成物の混合物を配向膜上に塗布し、配向させて偏光素子を得る旨が記載されているが、二色性色素組成物は液晶ポリマー/モノマーに対して5〜10重量%と少量である。本発明の二色性色素組成物は、非着色性の液晶化合物の占める割合が低いかあるいは全く含まないことで高い色素濃度を得ることができ、光吸収異方性膜を薄膜化することができる。
以下、一般式(1)で表される二色性色素について詳細に説明する。
一般式(1)において、R1及びR2で表される置換基としては、アルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、さらに好ましくは炭素数1〜8、よりさらに好ましくは炭素数1〜4のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8のアルケニル基であり、例えば、ビニル基、アリール基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基などが挙げられる)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8のアルキニル基であり、例えば、プロパルギル基、3−ペンチニル基などが挙げられる)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12のアリール基であり、例えば、フェニル基、2,6−ジエチルフェニル基、3,5−ジトリフルオロメチルフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基などが挙げられる)、置換もしくは無置換のアミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6のアミノ基であり、例えば、無置換アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、アニリノ基などが挙げられる)、
アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜10、特に好ましくは炭素数1〜6であり、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などが挙げられる)、オキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜15、特に好ましくは2〜10であり、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基などが挙げられる)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜10、特に好ましくは2〜6であり、例えば、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基などが挙げられる)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜10、特に好ましくは炭素数2〜6であり、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基などが挙げられる)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜10、特に好ましくは炭素数2〜6であり、例えば、メトキシカルボニルアミノ基などが挙げられる)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えば、フェニルオキシカルボニルアミノ基などが挙げられる)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜10、特に好ましくは炭素数1〜6であり、例えば、メタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基などが挙げられる)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えば、スルファモイル基、メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基などが挙げられる)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜10、特に好ましくは炭素数1〜6であり、例えば、無置換のカルバモイル基、メチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基などが挙げられる)、
アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜10、特に好ましくは炭素数1〜6であり、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基などが挙げられる)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えば、フェニルチオ基などが挙げられる)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜10、特に好ましくは炭素数1〜6であり、例えば、メシル基、トシル基などが挙げられる)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜10、特に好ましくは炭素数1〜6であり、例えば、メタンスルフィニル基、ベンゼンスルフィニル基などが挙げられる)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜10、特に好ましくは炭素数1〜6であり、例えば、無置換のウレイド基、メチルウレイド基、フェニルウレイド基などが挙げられる)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜10、特に好ましくは炭素数1〜6であり、例えば、ジエチルリン酸アミド基、フェニルリン酸アミド基などが挙げられる)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、アゾ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12のヘテロ環基であり、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を有するヘテロ環基であり、例えば、イミダゾリル基、ピリジル基、キノリル基、フリル基、ピペリジル基、モルホリノ基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基などが挙げられる)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは、炭素数3〜24のシリル基であり、例えば、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基などが挙げられる)が挙げられる。
これらの置換基はさらにこれらの置換基によって置換されていてもよい。また、置換基が二つ以上有する場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに結合して環を形成していてもよい。
1及びR2で表される基は、好ましくは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、スルホ基であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基であり、さらに好ましくは水素原子、アルキル基、シアノ基であり、よりさらに好ましくは水素原子、メチル基、シアノ基である。
1とR2は互いに連結して環を形成することも好ましい。特に芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を形成することが好ましい。芳香族複素環基としては、単環又は二環性の複素環由来の基が好ましい。芳香族複素環基を構成する炭素以外の原子としては、窒素原子、硫黄原子及び酸素原子が挙げられる。芳香族複素環基が炭素以外の環を構成する原子を複数有する場合、これらは同一であっても異なっていてもよい。芳香族複素環基として具体的には、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、キノリン環、チオフェン環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、チアジアゾール環、キノロン環、ナフタルイミド環、チエノチアゾール環などが挙げられる。
1とR2が互いに連結して形成する環状基は、好ましくはベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環であり、より好ましくはベンゼン環又はピリジン環であり、もっとも好ましくはピリジン環である。
1とR2は互いに連結して形成する環状基は置換基を有していてもよく、その範囲はR1、R2で表される基と同様であり、好ましい範囲も同様である。
前記一般式(1)で表される化合物の例には、以下の一般式(1’)で表される化合物が含まれる。
Figure 0005554592
式中、式(1)中と同一の符号は、それぞれ同義であり、好ましい範囲も同様である。A2は、N又はCHを表し、R7及びR8はそれぞれ、水素原子又は置換基を表す。R7及びR8のいずれか一方は置換基であるのが好ましく、双方が置換基であるのも好ましい。置換基の好ましい例は、R1及びR2が表す置換基の例と同様であり、即ち、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、スルホ基であるのが好ましく、より好ましくは、アルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基であり、さらに好ましくはアルキル基、シアノ基であり、最も好ましくはメチル基、シアノ基である。例えば、R7及びR8のいずれか一方が炭素原子数1〜4のアルキル基であり、他方がシアノ基である化合物例も好ましい。
一般式(1)において、Arで表される芳香族複素環基としては、単環又は二環性の複素環由来の基が好ましい。芳香族複素環基を構成する炭素以外の原子としては、窒素原子、硫黄原子及び酸素原子が挙げられる。芳香族複素環基が炭素以外の環を構成する原子を複数有する場合、これらは同一であっても異なっていてもよい。芳香族複素環基として具体的には、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、キノリン環、チオフェン環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、チアジアゾール環、キノロン環、ナフタルイミド環、チエノチアゾール環などが挙げられる。
Arで表される基は、好ましくはベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、キノリン環、チオフェン環であり、より好ましくはベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環、チオフェン環であり、もっとも好ましくはベンゼン環である。
Arは置換基を有していてもよく、その範囲は前記R1、R2で表される基と同様である。
Arが有していてもよい置換基は、好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アルコキシ基であり、よりさらに好ましくは、メチル基である。Arは無置換であるのも好ましい。
Arとアミノ基の結合は、Arとアゾ基の結合と平行であることが、分子の直線性を高め、より大きな分子長及びアスペクト比を得られるため好ましい。例えばArがアゾ基及びアミノ基と結合した6員環を含む場合、アミノ基はアゾ基に対して4位に結合していることが好ましく、アゾ基及びアミノ基と結合した5員環を含む場合、アミノ基はアゾ基に対して3位又は4位に結合していることが好ましい。
一般式(1)において、R3及びR4で表されるアルキル基の範囲は前記R1、R2で表されるアルキル基と同様である。該アルキル基は置換基を有していてもよく、当該置換基の例は、R1、R2で表される置換基の例と同様である。R3及びR4が置換されていてもよいアルキル基を表す場合、互いに結合して複素環を形成していてもよい。また、可能な場合にはArが有する置換基と結合して環を形成していてもよい。
3とR4は互いに連結して環を形成することが好ましい。好ましくは6員環又は5員環であり、より好ましくは6員環である。該環状基は、炭素とともに、炭素以外の原子を構成原子として有していてもよい。炭素以外の構成原子としては、窒素原子、硫黄原子及び酸素原子が挙げられる。該環状基が炭素以外の環を構成する原子を複数有する場合、これらは同一であっても異なっていてもよい。
3とR4からなる環状基として具体的には、3−ピロリン環、ピロリジン環、3−イミダゾリン環、イミダゾリジン環、4−オキサゾリン環、オキサゾリジン環、4−チアゾリン環、チアゾリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環、チオモルホリン環、アゼパン環、アゾカン環などが挙げられる。
3とR4からなる環状基は、好ましくはピロリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環であり、より好ましくはピペリジン環、ピペラジン環であり、もっとも好ましくはピペラジン環である。
3とR4からなる環状基は置換基を有していてもよく、その範囲はR1及びR2で表される基と同様である。該環状基は剛直な直線状の置換基を一つ有し、該環状基と該置換基の結合は、該環状基とArの結合と平行であることが、分子の直線性を高め、より大きな分子長及びアスペクト比を得られるため好ましい。
一般式(1)で表される二色性色素のうち、特に好ましいものは、下記一般式(2)で表される二色性色素である。
Figure 0005554592
式中、R1及びR2はそれぞれ、水素原子又は置換基を表し、互いに結合して環を形成していてもよく;Arは、置換されていてもよい2価の芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を表し;A1は炭素原子又は窒素原子を表し;L1、L2、R5、及びR6は単結合又は2価の連結基を表し;Q1は、置換されていてもよい、環状炭化水素基又は複素環基を表し;Q2は、置換されていてもよい、2価の環状炭化水素基又は複素環基を表し;nは0〜3の整数を表し、nが2以上の時、複数あるL2及びQ2は互いに同一でも異なっていてもよい。
一般式(2)において、R1及びR2で表される基の範囲は、一般式(1)におけるR1及びR2と同様であり、好ましい範囲も同様である。
一般式(2)において、Arで表される2価の芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基の範囲は、一般式(1)におけるArと同様であり、好ましい範囲も同様である。
一般式(2)において、A1は好ましくは窒素原子である。
一般式(2)において、L1、L2、R5、及びR6で表される連結基としては、アルキレン基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜10、特に好ましくは炭素数1〜6であり、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、シクロヘキサン−1,4−ジイル基などが挙げられる)、アルケニレン基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜10、特に好ましくは炭素数2〜6であり、例えば、エテニレン基などが挙げられる)、アルキニレン基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜10、特に好ましくは炭素数2〜6であり、例えば、エチニレン基などが挙げられる)、アルキレンオキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜10、特に好ましくは炭素数1〜6であり、例えば、メチレンオキシ基などが挙げられる)、アミド基、エーテル基、アシルオキシ基(−C(=O)O−)、オキシカルボニル基(−OC(=O)−)、イミノ基(−CH=N−もしくは−N=CH−)、スルホアミド基、スルホン酸エステル基、ウレイド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオエーテル基、カルボニル基、−NR−基(ここで、Rは水素原子、アルキル基又はアリール基を表す)、アゾ基、アゾキシ基、又はこれらを2つ以上組合せて構成される炭素数0〜60の2価の連結基が挙げられる。
1で表される連結基としては、好ましくは単結合、アルキレン基、アルケニレン基、アルキレンオキシ基、オキシカルボニル基、アシル基、カルバモイル基であり、より好ましくは単結合、アルキレン基であり、さらに好ましくは単結合、エチレン基である。
2で表される連結基としては、好ましくは単結合、アルキレン基、アルケニレン基、オキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、イミノ基、アゾ基、アゾキシ基であり、より好ましくは単結合、オキシカルボニル基、アシルオキシ基、イミノ基、アゾ基、アゾキシ基であり、さらに好ましくは単結合、オキシカルボニル基、アシルオキシ基である。
5、R6で表される連結基としては、好ましくは単結合、アルキレン基、アルケニレン基、アルキレンオキシ基、アシル基であり、より好ましくは単結合、アルキレン基であり、さらに好ましくは単結合、メチレン基である。
一般式(2)中、窒素原子、メチレン基、R5、R6、A1で形成される環の構成原子数は、R5及びR6によって決定し、例えば、R5及びR6がいずれも単結合である場合は、4員環になり得;いずれか一方が単結合であり、他方がメチレン基である場合は、5員環になり得;さらに、R5及びR6いずれもメチレン基である場合は、6員環になり得る。
一般式(2)中、窒素原子、メチレン基、R5、R6、A1で形成される環は、好ましくは6員環又は5員環であり、より好ましくは6員環である。
一般式(2)において、Q1で表される基は、好ましくは芳香族炭化水素基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜10であり、例えば、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる)、芳香族複素環基、シクロヘキサン環基である。
1で表される芳香族複素環基としては、単環又は二環性の複素環由来の基が好ましい。芳香族複素環基を構成する炭素以外の原子としては、窒素原子、硫黄原子及び酸素原子が挙げられる。芳香族複素環基が炭素以外の環を構成する原子を複数有する場合、これらは同一であっても異なっていてもよい。芳香族複素環基として具体的には、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、キノリン環、チオフェン環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、チアジアゾール環、キノロン環、ナフタルイミド環、チエノチアゾール環などが挙げられる。
1で表される基は、好ましくはベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、チアジアゾール環、キノリン環、チエノチアゾール環、シクロヘキサン環であり、より好ましくはベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、チアジアゾール環、シクロヘキサン環であり、もっとも好ましくはベンゼン環、ピリジン環、シクロヘキサン環である。
1は置換基を有していてもよく、その範囲は前記R1、R2で表される基と同様である。
1が有していてもよい置換基は、好ましくは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアシルオキシ基、置換基を有していてもよいアシルアミノ基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニルアミノ基、置換基を有していてもよいスルホニルアミノ基、置換基を有していてもよいスルファモイル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、置換基を有していてもよいスルホニル基、置換基を有していてもよいウレイド基、ニトロ基、ヒドロキシ基、シアノ基、イミノ基、アゾ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアシルオキシ基、ニトロ基、イミノ基、アゾ基である。これらの置換基のうち、炭素原子を有するものについては、炭素原子数の好ましい範囲は、前記R1、R2で表される基についての炭素原子数の好ましい範囲と同様である。
1は置換基を一つ有し、Q1と該置換基の結合は、Q1とL1又はL2の結合と平行であることが、分子の直線性を高め、より大きな分子長及びアスペクト比を得られるため好ましい。特にn=0の場合は、Q1が前記位置に置換基を有するのが好ましい。
一般式(2)において、Q2は、置換されていてもよい、2価の環状炭化水素基又は複素環基を表す。
2で表される2価の環状炭化水素基は、芳香族性であっても、非芳香族性であってもよい。2価の環状炭化水素基の好ましい例には、芳香族炭化水素基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜10であり、例えば、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる)、及びシクロヘキサン環基が含まれる。
2で表される2価の環状複素環基も、芳香族性であっても非芳香族性であってもよい。複素環基としては、単環又は二環性の複素環由来の基が好ましい。複素環基を構成する炭素以外の原子としては、窒素原子、硫黄原子及び酸素原子が挙げられる。複素環基が炭素以外の環を構成する原子を複数有する場合、これらは同一であっても異なっていてもよい。複素環基として具体的には、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、キノリン環、チオフェン環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、チアジアゾール環、キノロン環、ナフタルイミド環、チエノチアゾール環、3−ピロリン環、ピロリジン環、3−イミダゾリン環、イミダゾリジン環、4−オキサゾリン環、オキサゾリジン環、4−チアゾリン環、チアゾリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環、チオモルホリン環、アゼパン環、アゾカン環などが挙げられる。
2で表される基は、好ましくはベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、キノリン環、チオフェン環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、チアジアゾール環、キノロン環、ナフタルイミド環、チエノチアゾール環、シクロヘキサン環であり、より好ましくはベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、チアゾール環、チアジアゾール環、シクロヘキサン環であり、よりさらに好ましくは、ベンゼン環、シクロヘキサン環、ピペラジン環である。
2は置換基を有していてもよく、その範囲は前記R1、R2で表される基と同様である。
2が有していてもよい置換基の範囲は、前記Arが有していてもよい置換基と同様であり、好ましい範囲も同様である。
2とL1及びL2、又は二つのL2との結合は、平行であることが、分子の直線性を高め、より大きな分子長及びアスペクト比を得られるため好ましい。
一般式(2)中、nは0〜3の整数を表し、好ましくは0〜2であり、より好ましくは0又は1であり、最も好ましくは1である。
一般式(2)で表される二色性色素のうち、特に好ましいものは、下記一般式(3)で表される二色性色素である。
Figure 0005554592
式中、R1及びR2はそれぞれ、水素原子又は置換基を表し;A1は炭素原子又は窒素原子を表し;L1及びL2はそれぞれ、単結合又は2価の連結基を表し;Q1は、置換されていてもよい、環状炭化水素基又は複素環基を表し;Q2は、置換されていてもよい、2価の環状炭化水素基又は複素環基を表し;nは0〜3の整数を表し、nが2以上の時、複数あるL2及びQ2は互いに同一でも異なっていてもよい。
一般式(3)において、R1、R2、L1、L2、Q1、Q2で表される基の範囲は、一般式(2)におけるR1、R2、L1、L2、Q1、Q2と同様であり、好ましい範囲も同様である。
一般式(3)において、A1は好ましくは窒素原子である。
以下に、前記一般式(1)で表される化合物の具体例を挙げるが、以下の具体例に限定されるものではない。
Figure 0005554592
Figure 0005554592
Figure 0005554592
Figure 0005554592
Figure 0005554592
Figure 0005554592
Figure 0005554592
Figure 0005554592
Figure 0005554592
Figure 0005554592
Figure 0005554592
Figure 0005554592
本発明に係る前記一般式(1)で表される化合物は、Russian Journal of Organic Chemistry, 1996, vol.32, #11 p.1682-1689、Chemistry--A European Journal, 1997, vol.3, #10 p.1719-1727、及び後述する合成例に記載の方法に準じて;容易に合成することができる。
前記一般式(1)で表される二色性色素は単独で用いてもよいし、或いは二種以上を併用してもよい。前記一般式(1)で表される二色性色素とこれら以外の色素を併用しても良い。これらの例としては、アゾ系色素、シアニン系色素、アゾ金属錯体、フタロシアニン系色素、ピリリウム系色素、チオピリリウム系色素、アズレニウム系色素、スクワリリウム系色素、ナフトキノン系色素、トリフェニルメタン系色素、及びトリアリルメタン系色素等を挙げることができる。
例えば、併用可能なアゾ色素の例には、下記式(4)で表されるアゾ色素が含まれる。下記式(4)と併用すると、式(1)の化合物の配向性が改善される場合がある。
Figure 0005554592
式中、R20及びR21は置換基を表し、pは0〜5及びqは0〜4の数であり;Ar21は、単環もしくは縮合した置換されていてもよい芳香族環基(好ましくは置換されていてもよいフェニレン基又はナフタレン基)であり;nは1〜4の数であり、nが2以上のとき複数のAr21は互いに同一であっても異なっていてもよく;R22及びR23は、水素原子又は置換基を表し、互いに結合して環を形成していてもよい。
20〜R23で表される置換基の例は、上記式(1)中のR1及びR2が表す置換基の例と同様であり、また環を形成する際の環の例についても、上記と同様である。
式(4)中、pが1である場合、R20は、アゾ基に対してパラ位に置換しているのが好ましい。
本発明の二色性色素組成物の色調については特に制限はなく、用途に応じて、種々の色調の組成物として調製することができる。例えば、偏光子の作製に利用する態様では、黒色の組成物となるように、2種以上の色素を混合するのが好ましい。混合する色素の割合について特に制限はなく、所望の組成物の色調と用いる色素の色調に応じて適宜選ばれる。
前記一般式(1)で表される二色性色素以外の併用される色素は二色性色素であることが好ましい。また、前記一般式(1)で表される二色性色素と同様に、剛直な直線状の構造であることが好ましい。特にアゾ系色素が好ましい。具体的には、特開2009−244679号公報、及び特開昭58−38756号公報などに記載の色素を好適に用いることができる。
前記二色性色素組成物において、溶剤を除く全固形分における前記一般式(1)で表される二色性色素の占める割合は、10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることが特に好ましい。前記二色性色素組成物の全固形分の濃度は、0.1〜10質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることが特に好ましい。
ラジカル重合性基を有する非液晶性多官能モノマー:
本発明の光吸収異方性膜の形成に用いる二色性色素組成物は、ラジカル重合性基を有する非液晶性の多官能モノマーを含有することが好ましい。
本発明において、「ラジカル重合性基を有する非液晶性の多官能モノマー」とは、成長活性種がラジカル的に重合反応する多官能モノマーであって、非液晶性のモノマーをいう。この多官能モノマーは分子内に2個以上の二重結合を有する多官能モノマーであることが好ましく、エチレン性(脂肪族性)不飽和二重結合であることが特に好ましく、具体的には、アルケン、ジエン、アクリレート、メタクリレート、不飽和多価カルボン酸のジエステル、α、β−不飽和カルボン酸のアミド、不飽和ニトリル、スチレン及びその誘導体、ビニルエステル、ビニルエーテル等の官能基を有する多官能モノマーを挙げることができる。分子内の二重結合の数は、2〜20であることが好ましく、2〜15であることがさらに好ましく、2〜6であることがより好ましい。多官能モノマーは、分子内に2個以上のヒドロキシルを有するポリオールと、不飽和脂肪酸とのエステルであることが好ましい。不飽和脂肪酸の例には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸及びイタコン酸が含まれ、アクリル酸及びメタクリル酸が好ましい。分子内に4個以上のヒドロキシルを有するポリオールは、四価以上のアルコールであるか、あるいは三価以上のアルコールのオリゴマーであることが好ましい。オリゴマーは、エーテル結合、エステル結合又はウレタン結合により多価アルコールを連結した分子構造を有する。多価アルコールをエーテル結合で連結した分子構造を有するオリゴマーが好ましい。
上記の多官能モノマーは、有機溶媒に可溶であるものが特に好ましい。
そのようなモノマーとしては、沸点が常圧で100度以上の化合物を挙げることができる。
上記の多官能モノマーのうち、2官能(メタ)アクリレートとしては、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノキシエタノールフルオレンジアクリレートなどが挙げられ、その市販品としては、例えばアロニックスM−210、同M−240、同M−6200(東亜合成化学工業(株)製)、KAYARAD HDDA、同HX−220、同R−604(日本化薬(株)製)、ビスコート260、同312、同335HP(大阪有機化学工業(株)製)などが挙げられる。
3官能以上の(メタ)アクリレートとしては、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリ((メタ)アクリロイロキシエチル)フォスフェート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられ、その市販品としては、例えばアロニックスM−309、同M−400、同M−405、同M−450、同M−7100、同M−8030、同M−8060(いずれも商品名、東亜合成化学工業(株)製)、KAYARAD TMPTA、同DPHA、同DPCA−20、同DPCA−30、同DPCA−60、同DPCA−120(いずれも商品名、日本化薬(株)製)、ビスコート295、同300、同360、同GPT、同3PA、同400(いずれも商品名、大阪有機化学工業(株)製)などが挙げられる。
さらなるモノマー及びオリゴマーの例として、2官能又は3官能以上の(メタ)アクリレートとしては、例えばポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)シアヌレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリ((メタ)アクリロイロキシエチル)フォスフェート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパンやグリセリン等の多官能アルコールにエチレンオキシド又はプロピレンオキシドを付加した後(メタ)アクリレート化したもの等の多官能アクリレートや多官能メタクリレート;ポリエーテル系ポリオールのポリ(メタ)アクリレート、ポリエステル系ポリオールのポリ(メタ)アクリレート及びポリウレタン系ポリオールのポリ(メタ)アクリレートが含まれる。
ポリオールとアクリル酸とのエステルからなるモノマーは、三菱レーヨン(株)(商品名:ダイヤビームUK−4154)や日本化薬(株)(商品名:KYARAD・DPHA、SR355)から市販されている。
これらの2官能又は3官能以上の(メタ)アクリレートは、単独であるいは組み合わせて用いられ、単官能(メタ)アクリレートと組み合わせて用いられてもよい。
単官能の(メタ)アクリレートとしては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、カルビトール(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、エチレングリコール(メタ)アクリレートなどが挙げられ、その市販品としては、例えばアロニックスM−101、同M−111、同M−114(東亜合成化学工業(株)製)、KAYARAD TC−110S、同TC−120S(日本化薬(株)製)、ビスコート158、同2311(大阪有機化学工業(株)製)が挙げられる。
後述するように、偏光子を作成する際には、二色性色素の配向状態を固定するのが好ましく、固定する手段としては、重合反応を利用して色素の配向を固定する。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれる。
前記二色性色素組成物中、溶剤を除く全固形分における、前記式(1)の二色性色素と、非液晶性の重合性多官能モノマーの総含有量は、50質量%以上が好ましく、70質量%以上が特に好ましい。
重合開始剤:
上記ラジカル重合性多官能モノマーを含有する組成物を硬化反応させるために、重合開始剤を含有することが好ましい。
重合開始剤としては、光重合、熱重合に応じて、公知のものを好適に使用することができ、たとえば光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許3549367号明細書記載)、アクリジン及びフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許4239850号明細書記載)及びオキサジアゾル化合物(米国特許4212970号明細書記載)が含まれる。
光重合開始剤の使用量は、溶剤を除く全固形分の0.01〜20質量%であることが好ましく、1〜10質量%であることがさらに好ましい。
光重合開始剤の例、光重合開始剤の使用量、及び重合のための光照射エネルギーの値の各々については、特開2001−91741号公報の段落[0050]〜[0051]の記載も本発明に適用できる。
その他の添加剤:
前記二色性色素組成物には、前記の式(1)の二色性色素、並びに所望により添加される、非液晶性の多官能モノマー、重合開始剤、及び非液晶性バインダーポリマーの他に、有機溶媒や、任意の添加剤を配合・併用することができる。添加剤の例としては、風ムラ防止剤、ハジキ防止剤、配向膜のチルト角(光吸収異方性膜/配向膜界面での液晶性色素のチルト角)を制御するための添加剤、空気界面のチルト角(光吸収異方性膜/空気界面での色素のチルト角)を制御するための添加剤、糖類、防黴、抗菌及び殺菌の少なくともいずれかの機能を有する薬剤等である。以下、各添加剤について説明する。
界面活性剤(風ムラ防止剤):
本発明に用いる前記二色性色素組成物は、界面活性剤を含有していてもよい。界面活性剤は、当該組成物を塗布液として調製し、塗布する際に、塗布時の風ムラ等を防止することを目的として添加されるであろう。該界面活性剤としては、一般にフッ素系ポリマーを好適に用いることができる。使用するフッ素系ポリマーとしては、色素のチルト角変化や配向を著しく阻害しない限り、特に制限はない。界面活性剤として使用可能なフッ素ポリマーの例としては、特開2004−198511号公報、特許第4190275号公報、特開2004−333852号公報、特開2005−206638号公報、特願2008−193565号公報に記載がある。色素とフッ素系ポリマーとを併用することによって、ムラを生じることなく表示品位の高い画像を表示することができる。さらに、ハジキなどの塗布性も改善される。
前記二色性色素の配向を阻害しないという観点では、風ムラ防止目的で使用される界面活性剤の添加量は、前記二色性色素に対して一般に0.1〜10質量%程度であるのが好ましく、0.5〜10質量%程度であるのがより好ましく、0.5〜5質量%程度であるのがさらに好ましい。
ハジキ防止剤:
本発明で用いる前記二色性組成物中には、塗布時のハジキを防止するための材料として、高分子化合物を添加することができる。この目的で使用する高分子化合物としては、当該二色性色素と相溶性を有し、色素のチルト角変化や配向を著しく阻害しない限り、特に制限はない。ハジキ防止剤として使用可能なポリマーの例としては、特開平8−95030号公報に記載があり、特に好ましい具体的ポリマー例としてはセルロースエステル類を挙げることができる。セルロースエステルの例としては、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、ヒドロキシプロピルセルロース及びセルロースアセテートブチレートを挙げることができる。
前記二色性色素の配向を阻害しないように、ハジキ防止目的で使用されるポリマーの添加量は、前記二色性色素に対して一般に0.1〜10質量%の範囲であるのが好ましく、0.1〜8質量%の範囲にあるのがより好ましく、0.1〜5質量%の範囲にあるのがさらに好ましい。
配向膜チルト角制御剤:
前記二色性色素組成物には、配向膜側の前記二色性色素分子のチルト角を制御する添加剤を添加してもよい。この様な作用を有する添加剤の例には、分子内に極性基と非極性基の両方を有する化合物が含まれる。分子内に極性基と非極性基の両方を有する化合物としては、PO−OH、PO−COOH、PO−O−PO、PO−NH2、PO−NH−PO、PO−SH、PO−S−PO、PO−CO−PO、PO−COO−PO、PO−CONH−PO、PO−CONHCO−PO、PO−SO3H、PO−SO3−PO、PO−SO2NH−PO、PO−SO2NHSO2−PO、PO−C=N−PO、HO−P(−OPO2、(HO−)2PO−OPO、P(−OPO3、HO−PO(−OPO2、(HO−)2PO−OPO、PO(−OPO3、PO−NO2及びPO−CNならびにこれらの有機塩が好ましい例として挙げられる。ここで、有機塩としては、上記化合物の有機塩(例えば、アンモニウム塩、カルボン酸塩、スルホン酸塩等)の他、ピリジニウム塩等も好ましく採用することができる。前記分子内に極性基と非極性基の両方を有する化合物の中でも、PO−OH、PO−COOH、PO−O−PO、PO−NH2、PO−SO3H、HO−PO(−OPO2、(HO−)2PO−OPO、PO(−OPO3もしくはこれらの有機塩が好ましい。ここで、上記各POは非極性基を表し、POが複数ある場合は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
Oとしては、例えば、アルキル基(好ましくは炭素数1〜30の直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルキル基)、アルケニル基(好ましくは炭素数1〜30の直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルケニル基)、アルキニル基(好ましくは炭素数1〜30の直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルケニル基)、アリール基(好ましくは、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリール基)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシリル基)が例として挙げられる。これらの非極性基はさらに置換基を有していてもよく、置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基を含む)、アルケニル基(シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基を含む)、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アニリノ基を含む)、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリールアゾ基、ヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基等が好ましい例として挙げられる。
配向膜チルト角制御剤の添加量は、一般的には、前記二色性色素の質量に対して、0.0001質量%〜30質量%程度であるのが好ましく、0.001質量%〜20質量%程度であるのがより好ましく、0.005質量%〜10質量%程度であるのがさらに好ましい。
本発明では、特開2006−58801号公報に記載の配向膜チルト制御剤を使用することができる。
空気界面チルト角制御剤(水平配向剤):
本発明に用いる前記二色性色素組成物は、空気界面チルト角制御剤として水平配向剤を含むことが好ましい。本発明に用いられる水平配向剤は、好ましくは、
(1)下記一般式(III)で表されるフルオロ脂肪族基含有化合物;又は、
(2)一般式(IV)もしくは一般式(V)で表されるフルオロ脂肪族基含有モノマーの重合単位及び一般式(VI)で表されるアミド基含有モノマーの重合単位からなる群から選択される少なくとも一種の重合単位を含むフルオロ脂肪族基含有共重合体;である。
以下、それぞれ説明する。まず、(1)一般式(III)で表されるフルオロ脂肪族基含有化合物について説明する。
Figure 0005554592
式中、R11、R22及びR33は各々独立に、末端にCF3基又はCF2H基を有するアルコキシ基を表し、X11、X22及びX33は各々独立に、−NH−、−O−又は−S−を表し、m11、m22及びm33は各々独立に、1〜3の整数を表す。
11、R22及びR33で各々表される置換基は、末端にCF3基又はCF2H基を有するアルコキシ基であり、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、好ましくは炭素数4〜20であり、さらに好ましくは炭素数4〜16であり、特に好ましくは6〜16である。前記末端にCF3基又はCF2H基を有するアルコキシ基は、アルコキシ基に含まれる水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されたアルコキシ基である。アルコキシ基中の水素原子の50%以上がフッ素原子で置換されているのが好ましく、60%以上が置換されているのがより好ましく、70%以上を置換されているのが特に好ましい。以下に、R11、R22及びR33で表される末端にCF3基又はCF2H基を有するアルコキシ基の例を示す。
R1:n−C817−O−
R2:n−C613−O−
R3:n−C49−O−
R4:n−C817−(CH22−O−(CH22−O−
R5:n−C613−(CH22−O−(CH22−O−
R6:n−C49−(CH22−O−(CH22−O−
R7:n−C817−(CH23−O−
R8:n−C613−(CH23−O−
R9:n−C49−(CH23−O−
R10:H−(CF28−O−
R11:H−(CF26−O−
R12:H−(CF24−O−
R13:H−(CF28−(CH2)−O−
R14:H−(CF26−(CH2)−O−
R15:H−(CF24−(CH2)−O−
R16:H−(CF28−(CH2)−O−(CH22−O−
R17:H−(CF26−(CH2)−O−(CH22−O−
R18:H−(CF24−(CH2)−O−(CH22−O−
一般式(III)中、X11、X22及びX33はそれぞれ、好ましくは−NH−又は−O−を表し、最も好ましくは−NH−を表す。m11、m22及びm33はそれぞれ、好ましくは2である。
前記一般式(III)で表される化合物の具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
Figure 0005554592
次に、(2)一般式(IV)もしくは一般式(V)で表されるフルオロ脂肪族基含有モノマーの重合単位及び一般式(VI)で表されるアミド基含有モノマーの重合単位からなる群から選択される少なくとも一種の重合単位を含むフルオロ脂肪族基含有共重合体、について説明する。
Figure 0005554592
式中、R1は水素原子、ハロゲン原子又はメチル基を表し、L1は2価の連結基を表し、m1は1以上18以下の整数を表す。
Figure 0005554592
式中、R2は水素原子、ハロゲン原子又はメチル基を表し、L2は2価の連結基を表し、n1は1以上18以下の整数を表す。
Figure 0005554592
式中、R3は水素原子、ハロゲン原子又はメチル基を表し、R10及びR11はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数6〜20の芳香族基又は炭素数1〜20のヘテロ環基を表す。また、R10とR11は互いに連結して複素環を形成してもよい。
前記一般式(IV)中、R1は、水素原子、ハロゲン原子又はメチル基を表し、水素原子又はメチル基がより好ましい。L1は2価の連結基を表し、m1は1以上18以下の整数を表し、2〜12がより好ましく、4〜8が更に好ましく、4又は6であることがより好ましい。
前記一般式(V)中、R2は、水素原子、ハロゲン原子又はメチル基を表し、水素原子又はメチル基がより好ましい。L2は2価の連結基を表し、n1は1以上18以下の整数を表し、2〜12がより好ましく、4〜8が更に好ましく、4又は6であることが最も好ましい。
1及びL2はそれぞれ独立に2価の置換基であれば限定はないが、下記一般式(VII)で表される構造であることがより好ましい。ここで(a)は二重結合側に結合する位置、(b)はフルオロ脂肪族基側に結合する位置を各々示す。
一般式(VII)
(a)−X10−R20−(b)
一般式(VII)中、X10は単結合、又は*−COO−**、*−COS−**、*−OCO−**、*−CON(R21)−**、*−O−**で示される2価の連結基を表す。ここで*は二重結合側に結合する位置、**はR20に結合する位置を各々示す。
20は、置換基を有していてもよいポリメチレン基(例えばメチレン基、エチレン基、トリメチレン基など)、置換基を有していてもよいフェニレン基(例えばo−フェニレン基、m−フェニレン基、p−フェニレン基など)、及びそれらの任意の組み合わせにより形成できる基を表す。中ではポリメチレン基がより好ましく、ポリメチレン基の中でもメチレン基、エチレン基、トリメチレン基、及びテトラメチレン基が好ましく、メチレン基及びエチレン基が更に好ましい。
21は、水素原子又は炭素数1〜8の置換基を有してもよいアルキル基、あるは炭素数6〜20の置換基を有してもよいアリール基を表し、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基がより好ましく、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基が更に好ましい。
前記一般式(IV)で表されるフルオロ脂肪族基含有モノマーは、下記一般式(VIII)で表されるモノマーであることがより好ましい。
Figure 0005554592
一般式(VIII)中、X1は−O−、−S−又は−N(R222)−で表される二価基を表し、pは1〜8の整数を表す。X1は−O−又は−N(R222)−であることがより好ましく、−O−であることが最も好ましい。pは1〜6がより好ましく、1〜3であることが更に好ましい。R1及びm1は、前記一般式(IV)で説明したそれぞれと同義であり、好ましい範囲も同様である。また、R222は水素原子又は炭素数1〜8の置換基を有してもよいアルキル基、又は炭素数6〜20の置換基を有してもよいアリール基を表す。
前記一般式(V)で表されるフルオロ脂肪族基含有モノマーの中でも、下記一般式(IX)で表されるモノマーが好ましい。
Figure 0005554592
一般式(IX)中、X2は−O−、−S−又は−N(R222)−で表される置換基を表し、qは1〜8の整数を表す。X2は−O−又は−N(R222)−であることがより好ましく、−O−であることが最も好ましい。pは1〜6がより好ましく、1〜3であることが更に好ましい。R2及びn1は、前記一般式(V)で説明したそれぞれと同義であり、好ましい範囲も同様である。また、R222は一般式(VIII)で説明したものと同義である。
次に、一般式(VI)で表されるアミド基含有モノマーの重合単位について説明する。
前記一般式(VI)中、R3は水素原子、ハロゲン原子又はメチル基を表し、水素原子又はメチル基がより好ましい。R10及びR11はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数6〜20の芳香族基又は炭素数1〜20のヘテロ環基を表し、これらの置換基はさらに置換基を有していてもよい。また、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜15の芳香族基であることがより好ましく、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12の芳香族基であることがさらに好ましい。また、R10とR11が互いに連結して複素環を形成してもよく、形成されるヘテロ環の種類としては、ピロリジン環、ピペリジン環、モルホリン環などが挙げられる。
前記水平配向剤として用いるフルオロ脂肪族基含有共重合体は、フルオロ脂肪族基含有モノマー及びアミド基含有モノマーの両方を重合単位として含み、それぞれのモノマーは重合単位として2種以上含まれていてもよく、また、それ以外に共重合可能な他のモノマーを一種以上重合単位として含む共重合体であってもよい。このような共重合可能な他の種類のモノマーとしては、Polymer Handbook 2nd ed.,J.Brandrup,Wiley lnterscience(1975)Chapter 2 Page1〜483記載のものを用いることができる。例えば、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、メタクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類等から選ばれる付加重合性不飽和結合を1個有する化合物等を挙げることができる。
前記水平配向剤として用いられるフルオロ脂肪族基含有共重合体の好ましい質量平均分子量は、2000〜100,000であり、より好ましくは3000〜80,000であり、さらに好ましくは4,000〜60,000である。ここで、質量平均分子量及び分子量は、TSKgel GMHxL、TSKgel G4000HxL、TSKgel G2000HxL(何れも東ソー(株)製の商品名)のカラムを使用したGPC分析装置により、溶媒THF、示差屈折計検出によるポリスチレン換算で表した分子量である。
以下、前記水平配向剤として本発明に使用可能なフルオロ脂肪族基含有共重合体の具体的な構造の例を示すが、以下の具体例に制限されるものではない。なお式中の数字は各モノマー成分の質量比率を示す。Mwは質量平均分子量を表す。
Figure 0005554592
Figure 0005554592
Figure 0005554592
Figure 0005554592
Figure 0005554592
Figure 0005554592
Figure 0005554592
その他、特開2005−99248号公報、特開2005−134884号公報、特開2006−126768号公報、特開2006−267183号公報記載の水平配向剤を選択してもよい。
本発明においては、前記水平配向剤を1種のみ用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。前記水平配向剤の前記二色性色素組成物中における添加量は、前記二色性色素の添加量に対して、0.1質量%〜10質量%であるのが好ましく、0.5質量%〜10質量%であることがさらに好ましく、0.5質量%〜5質量%であることが特に好ましい。
糖類:
本発明で用いる前記二色性色素組成物には、糖類を添加してもよい。糖類を添加することにより色素会合体の会合度を向上させ、その結果として色素の分子配向を高めることができる。
使用可能な糖類としては、単糖、二糖、多糖、及び糖アルコール類などの糖の誘導体が挙げられる。糖類の中でも、本発明の効果を奏するにあたり、分子会合性の点から、水酸基が通常2以上、好ましくは3以上で、好ましくは18以下、更に好ましくは12以下であるものが良い。水酸基が多過ぎると色素との相互作用が強すぎて析出して色素膜の配向性を損ねてしまうので好ましくなく、少な過ぎると色素との相互作用が不十分であり配向性を向上させることができないので好ましくない。
使用する糖類の分子量としては、1,000以下が好ましく、更に好ましくは700以下である。糖類の分子量が大きすぎると色素と相分離してしまい、色素膜の配向性を損ねてしまうおそれがあり好ましくない。
使用する糖類の炭素数としては、通常36以下、好ましくは24以下である。糖類の炭素数が多過ぎると、糖類の分子量が大きくなることにより、アゾ色素と相分離してしまい、色素膜の配向性を損ねてしまうおそれがあり好ましくない。
本発明において用いる糖類は、中でも、単糖、オリゴ糖、単糖アルコールが、前述の最適な水酸基数、分子量範囲を満たすので好ましい。
単糖としては、例えばキシロース、リボース、グルコース、フルクトース、マンノース、ソルボース、ガラクトースなどが挙げられる。
オリゴ糖としては、例えばトレハロース、コウジビオース、ニゲロース、マルトース、マルトトリオース、イソマルトトリオース、マルトテトラオース、イソマルトース、ソホロース、ラミナリビオース、セロビオース、ゲンチオビオース、ラクトース、スクロース、メリビオース、ルチノース、プリメベロース、ツラノース、パノース、イソパノース、セロトリオース、マンニノトリオース、ソラトリオース、メレジトース、プランテオース、ゲンチアノース、ウンベリフェロース、ラフィノース、スタキオースなどが挙げられる。
糖アルコールとしては、例えばトレイトール、キシリトール、リビトール、アラビトール、ソルビトール、マンニトールなど前述の単糖及びオリゴ糖を還元した化合物が挙げられる。
糖類としては、特に好ましくはキシロース、マンノース、マルトース、マルトトリオース、アラビトールが挙げられる。
なお、これらの糖類、糖アルコール類は各々光学異性体が存在するが、本発明で用いる組成物中にはそれぞれを単独で用いてもよく、両方を含んでいてもよい。また、糖類は、本発明の組成物中に、1種が単独で用いられていてもよく、2種以上が組み合せて用いられていてもよい。
前記二色性色素組成物中における、前記二色性色素に対する糖類の含有量は、質量比で0.1以上、1以下の範囲であることが好ましい。更に好ましくは0.2以上、特に好ましくは0.3以上、更に好ましくは0.7以下、特に好ましくは0.6以下である。糖類の含有量が上記範囲であると、会合体の配向度を低下させずに、色素会合体の会合度を上げることができる。
防黴剤、抗菌剤及び殺菌剤:
前記二色性色素組成物には、防黴、抗菌及び殺菌の少なくともいずれかの機能を有する薬剤を添加してもよい。これらの添加剤を添加することにより、当該組成物の保存安定性を向上させることができる。
なお、本明細書では、「防黴、抗菌及び殺菌の少なくともいずれかの機能を有する薬剤」とは、カビの発生・生育・増殖を抑制する防黴能、微生物を死滅される殺菌能、微生物の発生・生育・増殖を抑制する抗菌能の少なくともいずれかの機能を有する薬剤を意味する。公知の防黴剤、殺菌剤、抗菌剤が使用できる。ただし、前記組成物から形成される偏光子の光学特性を低下させないものであることが好ましい。本発明に使用可能なる防黴、抗菌及び殺菌の少なくともいずれかの機能を有する薬剤としては、例えば、従来の2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシジフェニルなどのフェノール系、二酸化塩素などの塩素系、ヨウ素などのヨウ素系、塩化ベンザルコニウムなどの第4級アンモニウム塩系等が挙げられる。
また、1,2-benzisothiazoline-3-oneを有効成分とするものとして、Proxel BDN、Proxel BD20、Proxel GXL、Proxel LV、Proxel XL、Proxel XL2、Proxel Ultra10(以上、Avecia社製、商品名)、polyhexametylene biguanide hydrochlorideを有効成分とするものとして、Proxel IB、(Avecia社製、商品名)、Dithio-2,2'-bis(benzmethylamide)を有効成分とするものとしてDensil P(Avecia社製、商品名)等も挙げられる。
また、下記化合物は、特に極微量で抗菌効果を示すことから特に好ましい。
No. 化合物名
1. 2−クロロメチル−5−クロロ−3−イソチアゾロン
2. 2−シアノメチル−5−クロロ−3−イソチアゾロン
3. 2−ヒドロキシメチル−5−クロロ−3−イソチアゾロン
4. 2−(3−メチルシクロヘキシル)−3−イソチアゾロン
5. 2−(4−クロロフェニル)−4,5−ジクロロ−3−イソチアゾロン
6. 2−(4−エチルフェニル)−3−イソチアゾロン
7. 2−(4−ニトロフェニル)−5−クロロ−3−イソチアゾロン
8. 2−クロロメチル−3−イソチアゾロン
9. 2−メトキシフェニル−4−メチル−5−クロロ−3−イソチアゾロン
10. 2−モルフォリノメチル−5−クロロ−3−イソチアゾロン
これらの化合物は、例えば特開平2−278号公報等を参考に合成することが可能であるが、商品名:トリバクトラン(ヘキスト社製)等の市販品を利用することも可能である。
また、本発明で用いることのできる防黴、抗菌及び殺菌の少なくともいずれかの機能を有する薬剤は、これを単独で又は2種以上組み合わせて使用することもできる。
上記の防黴、抗菌及び殺菌の少なくともいずれかの機能を有する薬剤の、前記組成物中の含有量は特に限定されないが、通常0.01質量%以上、好ましくは0.001質量%以上であり、一方、通常0.5質量%以下、好ましくは0.3質量%以下である。防黴、抗菌及び殺菌の少なくともいずれかの機能を有する薬剤の含有量が前記範囲であると、薬剤の析出や、成膜の際の相分離等を生じさせることなく、充分な防黴、抗菌又は殺菌効果が得られる。
Electron-Deficient盤状化合物及びElectron-Rich化合物:
本発明の方法によって得られる偏光子が高い偏光度を有するために、前記組成物は、電子不足である(Electron-Deficient)盤状化合物及び電子リッチである(Electron-Rich)化合物を含有するのが好ましい。電子不足である(Electron-Deficient)盤状化合物及び電子リッチである(Electron-Rich)化合物としては、例えば、特開2006−323377に記載のものを用いることができる。
前記組成物中の電子不足である(Electron-Deficient)盤状化合物の割合は、組成物全体を100質量部とした場合に、通常0.1質量部以上、好ましくは0.2質量部以上、また、通常50質量部以下、好ましくは40質量部以下の範囲である。前記化合物の割合がこの範囲であると、組成物の溶液としての粘度を過剰に増大させることなく、添加効果を得られる。
また、前記組成物中の電子リッチである(Electron-Rich)化合物の割合は、組成物全体を100質量部とした場合に、通常50質量部以下、好ましくは40質量部以下の範囲である。前記化合物の割合がこの範囲であると、組成物の溶液としての粘度を過剰に増大させることなく、添加効果を得られる。
非液晶性の高分子(バインダーポリマー):
前記二色性色素組成物は、非液晶性高分子を含有していてもよい。非液晶性高分子は、モノマーを含む前記二色性色素組成物を基板又は配向膜上に塗布した後、モノマーを重合して形成さる高分子であってもよい。
前記二色性組成物中に添加可能なバインダーポリマーの例としては、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリルアミド等のアクリル系樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセトアセタール、ポリビニルブチラールなどのポリビニルアセタール系樹脂、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース、酢酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、硝酸セルロース等の変性セルロース系樹脂ニトロセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース及びエチルセルロースなどのセルロース系樹脂や、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、フェノキシ樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、各種エストラマー等が挙げられる。これらは単独で用いる他、これらを混合、又は共重合して用いることも可能である。
非液晶性のバインダーポリマーとしては、特にアクリル系ポリマー(アクリル系共重合体、スチレン系共重合体を主鎖とする樹脂)が好ましく、有機溶剤に可溶であることが特に好ましい。
アクリルポリマーの製造には、例えば、公知のラジカル重合法による方法を適用することができる。ラジカル重合法で製造する際の温度、圧力、ラジカル開始剤の種類及びその量、溶媒の種類等々の重合条件は、当業者において容易に設定可能であり、実験的に条件を定めるようにすることもできる。
上記のアクリル系ポリマーの具体的な共重合成分については、不飽和カルボン酸(例、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸及びフマル酸)、芳香族ビニル化合物(例、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、N−ビニルイミダゾールなど)、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(例、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレートなど)、(メタ)アクリル酸アルキルアリールエステル(例、ベンジル(メタ)アクリレートなど)、(メタ)アクリル酸置換アルキルエステル(例、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなど)、カルボン酸ビニルエステル(例、酢酸ビニル及びプロピオン酸ビニル)、シアン化ビニル(例、(メタ)アクリロニトリル及びα−クロロアクリロニトリル)、及び脂肪族共役ジエン(例、1、3−ブタジエン及びイソプレン)を挙げることができる。これらの中で、不飽和カルボン酸、芳香族ビニル化合物、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸アルキルアリールエステル及びカルボン酸ビニルエステルが好ましい。ここで(メタ)アクリル酸はアクリル酸とメタクリル酸を合わせた総称であり、以下も同様に(メタ)アクリレートはアクリレートとメタクリレートの総称である。
更に側鎖に(メタ)アクリロイル基を有するアクリル系ポリマーや共重合成分としてマクロモノマー(例えばポリスチレンマクロモノマー、ポリメチルメタクリレートマクロモノマー、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートなど)を含むアクリル系グラフトポリマーも好ましいものとして挙げられる。
これらは、1種単独で或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記二色性色素組成物において、溶剤を除く全固形分における前記非液晶性高分子の含有量は、0.5〜90質量%であることが好ましく、1〜80質量%であることがより好ましく、5〜70質量%であることが特に好ましい。
溶剤:
前記二色性色素組成物は、塗布液として調製するのが好ましい。該塗布液の調製に用いる溶剤は、有機溶媒が好ましい。使用可能な有機溶媒の例には、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が含まれる。炭化水素、アルキルハライド及びケトンが好ましい。2種類以上の有機溶媒を併用してもよい。
上記二色性色素組成物の塗布液の調製方法については特に制限はない。前記1種以上の二色性色素、及び所望により添加される1種以上の上記添加剤(例えば、界面活性剤、水平配向剤等)を、溶剤で溶解することによって調製される。なお、塗布液は各成分が完全に溶解していなくても、分散等した状態であってもよい。
前記二色性色素組成物は、全固形分の濃度が、0.1〜10質量%程度の塗布液として調製されるのが好ましく、0.5〜5質量%程度とするのがより好ましい。この濃度範囲の塗布液として調製すると、安定的に湿式製膜法により、偏光層を形成することができる。
2.光吸収異方性膜
本発明は、本発明の二色性色素組成物からなる光吸収異方性膜にも関する。
本発明の光吸収異方性膜の製造方法の一例は、以下の通りである。
塗布液として調製した前記二色性色素組成物を、表面に塗布して塗膜を形成する。塗布法としては、スピンコーティング法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、インクジェット法、ダイコーティング法、スリットダイコーティング法、キャップコーティング法、ディッピング等、公知慣用の方法を行うことができる。通常は、有機溶剤で希釈した溶液を塗布するので、塗布後は乾燥させ、塗膜を得る。
前記二色性色素組成物の塗膜から有機溶媒等の溶質を蒸発させて、前記二色性色素組成物を配向させる。好ましくは室温において自然乾燥することが好ましい。塗布により形成された当該アゾ色素分子の配向状態を乱さない(熱緩和等を避ける)ようにするのが好ましい。なお、減圧処理において、溶媒を蒸発させ、より低温で乾燥することも好ましい。
ここでいう減圧処理とは、塗膜を有する基板を減圧条件下におき、溶媒を蒸発除去することを言う。このとき、膜を有する基板は高部から底部に流れないよう、水平にしておくことが好ましい。
塗布後、塗膜の減圧処理を始めるまでの時間は、短ければ短いほどよく、好ましくは1秒以上30秒以内である。
減圧処理の方法としては、例えば以下の様な方法が挙げられる。塗布液を塗布して得られた塗膜を、その基板とともに減圧処理装置に入れて減圧処理する。例えば特開2006−201759の図9や図10のような減圧処理装置を使用することができる。減圧処理装置の詳細については、特開2004−169975号公報に記載されている。
減圧処理の条件としては、塗膜の存在する系内の圧力が、好ましくは2×104Pa以下、さらに好ましくは1×104Pa以下、特に好ましくは1×103Pa以下である。また、好ましくは1Pa以上、更に好ましくは1×101Pa以上である。通常、系内が最終的に到達する圧力が前記の通りであることが好ましい。上限を上回ると乾燥できず配向が乱れる恐れがあり、下限を下回ると乾燥が急速過ぎて欠陥が発生する恐れがある。
また、減圧処理時間は、好ましくは5秒以上180秒以内である。上限を上回ると配向緩和前に急速に塗膜を乾燥できず配向が乱れる恐れがあり、下限を下回ると乾燥できず配向が乱れる恐れがある。
また、減圧処理する際の系内の温度は、好ましくは10℃以上60℃以下である。上限を上回ると乾燥時に対流が起こり塗膜に不均一性の発生の恐れがあり、下限を下回ると乾燥できず配向が乱れる恐れがある。
前記塗膜を乾燥させて、二色性色素組成物を配向させるとき、配向を促進させるために加温してもよい。温度は、好ましくは50℃以上200℃以下であり、特に好ましくは70℃以上180℃以下である。この配向温度を低下させるために、二色性色素組成物に可塑剤等の添加剤を併用してもよい。
例えば、前記二色性色素組成物を、前記光配向膜表面に塗布すると、1種以上の二色性色素の分子は、配向膜との界面では配向膜のチルト角で配向し、空気との界面では空気界面のチルト角で配向する。高い偏光度の偏光層を製造するためには、いずれの界面においてもアゾ色素を水平配向させ、その配向状態に固定するのが好ましい。
なお、本明細書では、「チルト角」とは、アゾ色素の分子の長軸方向と界面(配向膜界面あるいは空気界面)のなす角度を意味する。偏光性能の観点から、好ましい配向膜側のチルト角は0°〜10°、さらに好ましくは0°〜5°、特に好ましいのは0°〜2°、よりさらに好ましくは0°〜1°である。また、好ましい空気界面側のチルト角は0°〜10°、さらに好ましくは0〜5°、特に好ましいのは0〜2°である。
前記二色性色素の分子の空気界面側のチルト角を上記範囲まで減少させるために、前記組成物は、(1)一般式(III)で表されるフルオロ脂肪族基含有化合物;又は、(2)一般式(IV)又は(V)で表されるフルオロ脂肪族基含有モノマーの重合単位、及び一般式(VI)で表されるアミド基含有モノマーの重合単位からなる群から選択される少なくとも一種の重合単位を含むフルオロ脂肪族基含有共重合体;を含有しているのが好ましい。これらの少なくとも1種の存在下で、二色性色素分子を配向させることにより、空気界面側のチルト角を、上記範囲まで軽減することができる。
なお、配向膜側チルト角は、空気界面側チルト角と比較して、配向膜の作用により低減される傾向があるが、前記組成物中に上記した配向膜チルト制御剤を添加することで、配向膜側チルト角をより軽減して、アゾ色素分子を安定的に水平配向状態にすることができる。
前記二色性色素組成物が、前記非液晶性のラジカル重合性多官能モノマー、及び前記重合開始剤、等の硬化性成分を含有する態様では、アゾ色素分子を所望の配向状態とした後、光照射(好ましくは紫外線照射)又は加熱、或いはこれらの組合せにより重合硬化を進行させるのが好ましい。
なお、重合のための光照射エネルギーの値等については、特開2001−91741号公報の段落[0050]〜[0051]の記載を参照することができる。
以上のようにして偏光層を形成することができる。該偏光層の厚さは、0.01〜2μmであることが好ましく、0.05〜2μmであることがさらに好ましい。
本発明の光吸収異方性膜の製造には、配向膜を利用するのが好ましい。本発明に利用される配向膜は、当該配向膜上で、前記液晶性アゾ色素の分子を所望の配向状態とすることができるのであれば、どのような層でもよい。有機化合物(好ましくはポリマー)の膜表面へのラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログルーブを有する層の形成、あるいはラングミュア・ブロジェット法(LB膜)による有機化合物(例、ω−トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモニウムクロライド、ステアリル酸メチル)の累積のような手段で、設けることができる。さらに、電場の付与、磁場の付与あるいは光照射により、配向機能が生じる配向膜も知られている。中でも、本発明では、配向膜のプレチルト角の制御し易さの点からはラビング処理により形成する配向膜が好ましく、配向の均一性の点からは光照射により形成する光配向膜が好ましい。
・ラビング処理配向膜
ラビング処理により形成される配向膜に用いられるポリマー材料としては、多数の文献に記載があり、多数の市販品を入手することができる。本発明の配向膜ではポリビニルアルコール又はポリイミド、及びその誘導体が好ましく用いられる。配向膜についてはWO01/88574A1号公報の43頁24行〜49頁8行の記載を参照することができる。
配向膜の厚さは、0.01〜10μmであることが好ましく、0.01〜1μmであることがさらに好ましい。
ラビング処理は、一般にはポリマー層の表面を、紙や布で一定方向に数回擦ることにより実施することができるが、特に本発明では「液晶便覧」(丸善社発行、平成12年10月30日)に記載されている方法により行うことが好ましい。
ラビング密度を変える方法としては、「液晶便覧」(丸善社発行)に記載されている方法を用いることができる。ラビング密度(L)は、下記式(A)で定量化されている。
式(A) L=Nl(1+2πrn/60v)
式(A)中、Nはラビング回数、lはラビングローラーの接触長、rはローラーの半径、nはローラーの回転数(rpm)、vはステージ移動速度(秒速)である。
ラビング密度を高くするためには、ラビング回数を増やす、ラビングローラーの接触長を長く、ローラーの半径を大きく、ローラーの回転数を大きく、ステージ移動速度を遅くすればよく、一方、ラビング密度を低くするためには、この逆にすればよい。
ラビング密度と配向膜のプレチルト角との間には、ラビング密度を高くするとプレチルト角は小さくなり、ラビング密度を低くするとプレチルト角は大きくなる関係がある。
・光配向膜
光照射により形成される配向膜に用いられる光配向材料としては、多数の文献等に記載がある。本発明の配向膜では、例えば、特開2006−285197号公報、特開2007−76839号公報、特開2007−138138号公報、特開2007−94071号公報、特開2007−121721号公報、特開2007−140465号公報、特開2007−156439号公報、特開2007−133184号公報、特開2009−109831号公報、特許第3883848号、特許第4151746号に記載のアゾ化合物、特開2002−229039号公報に記載の芳香族エステル化合物、特開2002−265541号公報、特開2002−317013号公報に記載の光配向性単位を有するマレイミド及び/又はアルケニル置換ナジイミド化合物、特許第4205195号、特許第4205198号に記載の光架橋性シラン誘導体、特表2003−520878号公報、特表2004−529220号公報、特許第4162850号に記載の光架橋性ポリイミド、ポリアミド、又はエステルが好ましい例として挙げられる。特に好ましくは、アゾ化合物、光架橋性ポリイミド、ポリアミド、又はエステルである。
上記材料から形成した光配向膜に、直線偏光又は非偏光照射を施し、光配向膜を製造する。
本明細書において、「直線偏光照射」とは、前記光配向材料に光反応を生じせしめるための操作である。用いる光の波長は、用いる光配向材料により異なり、その光反応に必要な波長であれば特に限定されるものではない。好ましくは、光照射に用いる光のピーク波長が200nm〜700nmであり、より好ましくは光のピーク波長が400nm以下の紫外光である。
光照射に用いる光源は、通常使われる光源、例えばタングステンランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、キセノンフラッシュランプ、水銀ランプ、水銀キセノンランプ、カーボンアークランプ等のランプ、各種のレーザー(例、半導体レーザー、ヘリウムネオンレーザー、アルゴンイオンレーザー、ヘリウムカドミウムレーザー、YAGレーザー)、発光ダイオード、陰極線管などを挙げることができる。
直線偏光を得る手段としては、偏光板(例、ヨウ素偏光板、二色色素偏光板、ワイヤーグリッド偏光板)を用いる方法、プリズム系素子(例、グラントムソンプリズム)やブリュースター角を利用した反射型偏光子を用いる方法、又は偏光を有するレーザー光源から出射される光を用いる方法が採用できる。また、フィルタや波長変換素子等を用いて必要とする波長の光のみを選択的に照射してもよい。
照射する光は、直線偏光の場合、配向膜に対して上面、又は裏面から配向膜表面に対して垂直、又は斜めから光を照射する方法が採用される。前記光の入射角度は、前記光配向材料によって異なるが、例えば、0〜90°(垂直)、好ましくは40〜90である。
非偏光を利用する場合には、斜めから非偏光を照射する。その入射角度は、10〜80°、好ましくは20〜60、特に好ましくは30〜50°である。
照射時間は好ましくは1分〜60分、さらに好ましくは1分〜10分である。
パターン化が必要な場合には、フォトマスクを用いた光照射をパターン作成に必要な回数施す方法や、レーザー光走査によるパターンの書き込みによる方法を採用できる。
前記二色性色素組成物から形成される本発明の光吸収異方性膜の厚さは、0.01〜2μmであることが好ましく、0.05〜2μmであることがさらに好ましい。
3.偏光子、表示装置
(1)偏光子
本発明は、基板と、該基板上に本発明の光吸収異方性膜とを有する偏光子にも関する。
基板:
本発明に使用可能な基板は、偏光子の用途に応じて選択されるであろう。例えば、液晶表示素子、OLED素子等に用いられる無アルカリガラス、ソーダガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、石英ガラス;固体撮像素子等に用いられる光電変換素子基板;シリコン基板;プラスチック基板;並びに、これらに透明導電膜、カラーフィルタ膜、電極、TFT等の機能層を形成した基板が挙げられる。これらの基板上には、各画素を隔離するブラックマトリクスが形成されていたり、密着促進等のために透明樹脂層を設けたりしていてもよい。プラスチック基板には、その表面にガスバリヤー層及び/又は耐溶剤性層を有していることも好ましい。
本発明に使用する基板の光透過率は、80%以上であるのが好ましい。また、プラスチック基板は光学的等方性のポリマーフィルムを用いるのが好ましい。ポリマーの具体例及び好ましい態様は、特開2002−22942号公報の段落番号[0013]の記載を適用できる。また、従来知られているポリカーボネートやポリスルホンのような複屈折の発現しやすいポリマーであっても国際公開WO00/26705号公報に記載の分子を修飾することで該発現性を低下させたものを用いることもできる。
その他の機能層:
本発明の偏光子は、基板と前記光吸収異方性膜との間に配向膜を有していてもよい。配向膜の例、形成に利用される材料、及び形成方法については、上記の通りである。
また、本発明の偏光子は、基板と前記光吸収異方性膜との間に、カラーフィルタ層を有しているのが好ましい。カラーフィルタ層の他、透明導電膜、カラーフィルタ膜、電極、TFT等の他の機能層を有していてもよい。また、各画素を隔離するブラックマトリクスが形成されていてもよい。
また、本発明の偏光子は、光吸収異方性膜の上に、透明樹脂硬化層を有していてもよい。透明樹脂硬化層の形成に利用される材料、及び形成方法については、上記の通りである。
(2)表示装置
本発明は、本発明の光吸収異方性膜又は偏光子を少なくとも一つ具備する表示装置にも関する。その構成等については特に制限はない。具体的には、TN、STN、VA、ECB、IPS、もしくはOCB等の種々のモードの透過型、反射型、又は半透過型の液晶表示装置、OLEDなどが挙げられる。特に好ましくは、本発明の光吸収異方性膜を、基板の内面側に設置してなる、いわゆる、インセル偏光子、として有する表示装置であり、さらに好ましくは、カラーフィルタ基板に、本発明の光吸収異方性膜を積層してなる表示装置である。かかる構成にすることにより、カラーフィルタ層による偏光解消に起因して生じる散乱光によるコントラストの低下を軽減することができる。
次に、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以下の実施例中、「部」は、特に記載なければ、「質量部」を意味するものとする。
尚、以下の実施例中、光吸収異方性膜の光学特性に関する測定は下記の通り実施した。
<二色比>
二色比は、ヨウ素系偏光子を入射光学系に配した分光光度計で光吸収異方性膜の吸光度を測定した後、次式により計算した。
二色比:D=Az/Ay
Az:色素膜の吸収軸方向の偏光に対する吸光度
Ay:色素膜の偏光軸方向の偏光に対する吸光度
(合成例)
以下の合成スキームにより、下記構造の二色性色素No.120を合成した。
Figure 0005554592
化合物S−1の合成:
1−フェニルピペラジンを16.2部、1,2−ジブロモエタンを9.4部、DMAc150mlに溶解し、これに炭酸カリウムを27.6部加え、100℃で6時間攪拌した。水150mlを加え、析出した固体をろ過し、水及びメタノールで洗浄した。乾燥後、15.3部の化合物S−1を白色粉末として収率87%で得た。なお、1H‐NMR(CDCl3)の詳細は、7.28(m,4H)、6.93(m,4H)、6.84(m,2H)、3.22(t,8H)、2.70(t,8H)、2.63(s,4H)であった。
二色性色素No.120の合成:
化合物S−2を1.9部、リン酸19mlに溶解し、これを0℃に氷冷したものに対し、亜硝酸ナトリウムを0.83部、5℃以下の温度を保ちながら少しずつ添加した。温度を保った状態で30分間攪拌し、ジアゾニウム塩の生成を確認した後に、化合物S−1を0.42部、クロロホルム50mlに溶解し、0℃に氷冷したものの中に5℃以下の温度を保ちながら少しずつ滴下した。滴下終了後、反応液を室温まで昇温し、反応液を水700ml中に注ぎ、析出した固体をろ過した。固体をクロロホルム200ml、メタノール20mlに溶解し、トリエチルアミンと炭酸水素ナトリウム水溶液で中和した後、カラムクロマトグラフィーにて精製し、1.84部の二色性色素No.120を黒色粉末として収率33%で得た。
No.120のN-メチルピロリドン溶媒中での極大吸収波長λmaxは600.8nmであった。なお、1H‐NMR(CDCl3)の詳細は、8.88(s,1H)、7.94(d,2H)、7.28(m,3H)、6.93(m,4H)、3.55(m,4H)、3.21(m,4H)、2.89(s,3H)、2.70(m,8H)、2.64(s,4H)であった。
MOPAC(Version 6.03)およびMOS−F(Version 5.0A)で分子軌道計算を行なったところ、分子長:29.8Å、アスペクト比:2.88、分子長軸と遷移モーメントのなす角:6.0°であった。
(実施例1)
クロロホルム98質量部に前記二色性色素120(極大吸収波長(NMP溶液):601nm、分子長:29.8Å、アスペクト比:2.88、分子長軸と遷移モーメントのなす角:6.0°)を1質量部、下記二色性色素Aを1質量部加え、撹拌溶解後、濾過して二色性色素組成物塗布液を得た。次に、ガラス基板上に形成しラビングした配向膜上に、前記塗布液を塗布し、この後、150℃で1分間加熱してクロロホルムを乾燥した。配向膜としては、ポリイミド(日産化学社製SE−150)を使用した。
得られた光吸収異方性膜は可視波長領域全域に渡って吸収を示し、黒色を呈した。二色比は18であった。
Figure 0005554592
(実施例2)
二色性色素No.120を、前記二色性色素No.33(極大吸収波長(NMP溶液):600nm、分子長:24.6Å、アスペクト比:2.38、分子長軸と遷移モーメントのなす角:3.9°)に変更した以外、実施例1と同様に光吸収異方性膜を作製した。
得られた光吸収異方性膜は可視波長領域全域に渡って吸収を示し、黒色を呈した。二色比は14であった。
(実施例3)
二色性色素No.120を、前記二色性色素No.21(極大吸収波長(NMP溶液):630nm、分子長:17.7Å、アスペクト比:1.71、分子長軸と遷移モーメントのなす角:5.1°)に変更した以外、実施例1と同様に光吸収異方性膜を作製した。
得られた光吸収異方性膜は可視波長領域全域に渡って吸収を示し、黒色を呈した。二色比は11であった。
(比較例1)
二色性色素No.120を、下記化学式B−1の化合物(極大吸収波長(DMF溶液):620nm、分子長:14.5Å、アスペクト比:1.65、分子長軸と遷移モーメントのなす角:5.2°)に変更した以外、実施例1と同様に光吸収異方性膜を作製した。
得られた光吸収異方性膜は可視波長領域全域に渡って吸収を示し、黒色を呈した。二色比は3であった。
Figure 0005554592
(比較例2)
二色性色素No.120を、下記化学式B−2の化合物(極大吸収波長(EtOH溶液):488nm、分子長:18.4Å、アスペクト比:2.65、分子長軸と遷移モーメントのなす角:3.2°)に変更した以外、実施例1と同様に光吸収異方性膜を作製した。
得られた光吸収異方性膜は長波長領域の光を透過し、赤色を呈した。二色比は8であった。
Figure 0005554592

Claims (10)

  1. 基板と、該基板上に下記一般式()で表される二色性色素の少なくとも1種を含み、非着色性の液晶化合物の占める割合が30質量%以下である二色性色素組成物からなる光吸収異方性膜とを有することを特徴とする偏光子
    Figure 0005554592
    式中、R 1 及びR 2 はそれぞれ、水素原子又は置換基を表し、互いに結合して環を形成していてもよく;Arは、置換されていてもよい2価の芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を表し;A 1 は炭素原子又は窒素原子を表し;L 1 、L 2 、R 5 、及びR 6 は単結合又は2価の連結基を表し;Q 1 は、置換されていてもよい、環状炭化水素基又は複素環基を表し;Q 2 は、置換されていてもよい、2価の環状炭化水素基又は複素環基を表し;nは0〜3の整数を表し、nが2以上の時、複数あるL 2 及びQ 2 は互いに同一でも異なっていてもよい。
  2. 前記二色性色素が550〜800nmの波長領域に少なくとも一つの極大吸収を有し、該極大吸収に対応する遷移双極子モーメントが分子長軸に平行であることを特徴とする請求項1に記載の偏光子
  3. 前記二色性色素の分子長が17Å以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の偏光子
  4. 前記二色性色素のアスペクト比が1.7以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の偏光子
  5. 前記二色性色素が下記一般式(3)で表されることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の偏光子
    Figure 0005554592
    式中、R1及びR2はそれぞれ、水素原子又は置換基を表し、互いに結合して環を形成していてもよく;A1は炭素原子又は窒素原子を表し;L1及びL2はそれぞれ、単結合又は2価の連結基を表し;Q1は、置換されていてもよい、環状炭化水素基又は複素環基を表し;Q2は、置換されていてもよい、2価の環状炭化水素基又は複素環基を表し;nは0〜3の整数を表し、nが2以上の時、複数あるL2及びQ2は互いに同一でも異なっていてもよい。
  6. 前記一般式(2)又は(3)中のR1及びR2が互いに結合して芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を形成していることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の偏光子
  7. 前記一般式(2)又は(3)中のR1及びR2が互いに結合して形成している芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基が、6員環であることを特徴とする、請求項に記載の偏光子
  8. 前記基板と前記光吸収異方性膜との間に、配向膜を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の偏光子。
  9. 求項1〜8のいずれか1項に記載の偏光子を有することを特徴とする表示装置。
  10. 少なくとも次の[1]〜[3]:
    [1]基板を直接、又は該基板上に形成された配向膜をラビング、もしくは光照射する工程
    [2]該基板又は該配向膜上に、請求項1〜8のいずれか1項に記載の二色性色素組成物を塗布する工程
    [3]該二色性色素組成物の塗布膜を50℃以上250℃以下で加熱し、配向させ偏光子とする工程
    をこの順に含む請求項1〜8のいずれか1項に記載の偏光子の製造方法。
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