JP5553041B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents
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Description
内燃機関の暖機運転中、ヒータコアの作動要求があった場合、ヒータコアの温度上昇を優先して冷却水の流量を増やすと、内燃機関で発生した熱が冷却水に奪われやすくなる。そのため、内燃機関の温度が上昇しにくく、内燃機関の燃焼が不安定となり、燃費が悪化するおそれがある。また、暖機の促進を優先して冷却水の流量を減らすと、ヒータコアの温度上昇が抑制されヒータコアの性能を確保する上で不利となる。
そこで、暖機運転中、ヒータコアの作動要求がなければ、冷却水の循環を停止させて暖機運転の促進を図り、ヒータコアの作動要求があれば、ヒータコア性能を満たす最低限の流量が確保されるようにした技術が提供されている(特許文献1参照)。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、空調用熱交換手段の性能を確保しつつ暖機運転の促進および燃焼状態の安定化を図ることができる内燃機関の制御装置を提供することを目的とする。
また、冷却水の循環が停止した場合に、制御値の目標値の変化を遅延させることができるため、目標値の変化が燃料の燃焼状態に与える影響を抑制でき、燃焼状態の安定化を図る上で有利となる。
請求項2記載の発明によれば、冷却水の循環が停止した場合に、制御値の目標値が徐々に変化するため、目標値の変化が燃料の燃焼状態に与える影響を抑制でき、燃焼状態の安定化を図る上でより有利となる。
請求項3記載の発明によれば、暖機時に内燃機関に供給する燃料噴射量の制御を行うことで、燃焼状態の安定化をより的確に図ることができるとともに、特に冷却水の循環を停止させた場合の暖機時燃料増量による燃費悪化の抑制を図ることができる。
請求項4記載の発明によれば、暖機時に内燃機関に供給する内燃機関の回転数の制御を行うことで、燃焼状態の安定化をより的確に図ることができるとともに、特に冷却水の循環を停止させた場合の暖機時燃料増量による燃費悪化の抑制を図ることができる。
以下、本発明の第1の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1に示すように、車両は、走行用の駆動源である内燃機関としてのエンジン10と、ヒータコア12と、冷却装置14と、ECU16と、本発明に係る内燃機関の制御装置18とが搭載されている。
エンジン10は、ECU16によって始動、停止され、また、燃料の噴射タイミングや噴射量が制御される。エンジン10はディーゼルエンジンであってもガソリンエンジンであってもよい。
エンジン10は、シリンダブロック1002、シリンダヘッド1004を含んで構成されている。
シリンダブロック1002およびシリンダヘッド1004が互いに連結されることでピストンを収容するシリンダ室が形成される。
シリンダブロック1002には冷却水が循環するブロック側ウォータジャケット10Aが形成されている。シリンダヘッド1004には冷却水が循環するヘッド側ウォータジャケット10Bが形成されている。シリンダブロック1002およびシリンダヘッド1004が互いに連結された状態でこれら2つのウォータジャケット10A、10Bは互いに連通している。
2つのウォータジャケット10A、10Bに冷却水が流通されることでエンジン10が冷却される。
エンジン側循環路20は、2つのウォータジャケット10A、10Bを含んで構成されている。
シリンダヘッド1004には水温センサ22が設けられている。水温センサ22は、エンジン側循環路20を流通する冷却水の水温Twを検出してその検出結果をECU16に供給する。
吸気管は、吸入空気量を調整するスロットルバルブ24と、吸入空気量を検出する吸入空気量センサ26とが設けられている。
スロットルバルブ24は、スロットルアクチュエータ28によって駆動されることで開度が調整される。スロットルアクチュエータ28はECU16によって制御される。
吸入空気量センサ26は、エアフローメータなどによって構成され、吸入空気量の検出結果をECU16に供給する。吸入空気量は、エンジン10の負荷Ecを表す。
吸気管は吸気ポート(不図示)を介して前記のシリンダ室に接続されている。吸気ポートには、燃料を噴射するインジェクタ30が設けられている。インジェクタ30から噴射された燃料は吸気管を通過した空気と混合されて混合気となりシリンダ室に供給される。インジェクタ30はECU16によって燃料噴射量が制御される。
回転数センサ32の構成は任意である。例えば、クランクシャフトの回転位置を検出し回転位置の検出結果をECU16に供給するクランクポジションセンサを設け、ECU16によって回転位置の検出結果から回転数Neを算出してもよい。
また、本実施の形態では、エンジン10の運転状態は、水温センサ22によって検出される冷却水の水温Tw、回転数センサ32によって検出される回転数Ne、吸入空気量センサ26によって検出される負荷Ecである。
したがって、水温センサ22、回転数センサ32、吸入空気量センサ26によってエンジン10の運転状態を検出する運転状態検出手段が構成されている。
すなわち、ヒータコア12は、冷却水が流通する熱交換用水路(不図示)と、空調空気が流通する空気流路(不図示)とを備えている。
ヒータコア12は、空調装置(不図示)に組み込まれ、空調装置のファンによって空気流路に送風される空気が熱交換用水路に接触することにより冷却水で加熱された熱交換用水路によって空気が暖められ、暖められた空気が車室内に吹き出され、これにより車室内の空調がなされる。
なお、空調用熱交換手段として従来公知のさまざまな構造が採用可能である。
本実施の形態では、ウォータポンプ34は、電動ポンプで構成され、ECU16の制御により作動、非作動が切り替えられ、したがって、ウォータポンプ34の作動、非作動により冷却水の循環の実行、停止が制御される。
本実施の形態では、ウォータポンプ34によって冷却水循環手段が構成されている。
バイパス循環路38の上流端は、エンジン側循環路20の下流端およびラジエータ循環路36の上流端に接続されている。
バイパス循環路38の下流端は、後述するサーモスタット弁40を介してウォータポンプ34の吸入口34Aに接続されている。
本実施の形態では、ウォータジャケット10A、10Bと、ヒータコア12の熱交換用水路と、バイパス循環路38とを含んで冷却水循環回路が構成されている。
ラジエータ循環路36の上流端は、エンジン側循環路20の下流端およびバイパス循環路38の上流端に接続されている。
ラジエータ循環路36の下流端は、サーモスタット弁40を介してウォータポンプ34の吸入口34Aに接続されている。
ラジエータ42は、冷却水とエンジン10が搭載されたエンジンルームに流通する外気との間で熱交換を行うことで冷却水を冷却するものである。
サーモスタット弁40は、バイパス循環路38およびエンジン側循環路20を流通する冷却水が予め定められた水温以下の場合に、ラジエータ42とウォータポンプ34の吸入口34Aとの間の冷却水の流れを不能な状態とする。以下この状態をサーモスタット弁40の閉状態として説明する。この場合、ウォータポンプ34が動作することによりエンジン側循環路20による冷却水の循環がなされるが、ラジエータ循環路36による冷却水の循環はなされない。
また、サーモスタット弁40は、バイパス循環路38およびエンジン側循環路20を流通する冷却水が前記の予め定められた水温を超える場合に、ラジエータ42とウォータポンプ34の吸入口34Aとの間の冷却水の流れを可能な状態とする。以下この状態をサーモスタット弁40の開状態として説明する。この場合、ウォータポンプ34が動作することによりエンジン側循環路20およびラジエータ循環路36による冷却水の循環がなされる。
前記の予め定められた水温は、エンジン10の暖機運転が終了してエンジン10が定常運転を行っている状態での水温THに設定され、水温THは後述する暖機判定温度TAよりも高い温度である。
ECU16は、前記のCPUが前記制御プログラムを実行することにより、水温センサ22、吸入空気量センサ26、回転数センサ32からの検出結果を受け付けると共に、スロットルアクチュエータ28、インジェクタ30、ウォータポンプ34の制御を行うものである。
ECU16には、前記の空調装置の制御を司る不図示の空調用ECUから空調要求信号が供給される。空調用ECUは、ユーザによって前記空調装置の操作パネルが操作されることによって前記の空調要求信号を生成する。本実施の形態では、空調装置に暖房を実行させる操作が操作パネルに対してなされると、空調用ECUからECU16に対して空調要求信号が供給される。
図2に示すように、ECU16は、前記のCPUが前記制御プログラムを実行することにより、冷却水制御手段16Aと、制御量設定手段16Bと、内燃機関制御手段16Cとを実現するものである。
本実施の形態では、運転状態検出手段によって検出される運転状態は、水温センサ22によって検出される冷却水の水温Twと、回転数センサ32によって検出されるエンジン10の回転数Neと、エンジン10の負荷Ecである。
1)暖機時にエンジン10に対して供給すべき燃料噴射量。
2)暖機時にエンジン10が回転すべきアイドル回転数であるファストアイドル回転数。
本実施の形態では、制御量設定手段16Bは、燃料増量制御マップ44と、回転数制御マップ46とを含んで構成され、これらのマップ44、46を用いて燃料噴射量およびファストアイドル回転数の目標値を決定する。なお、マップ44、46をどこに設けるかは任意である。
すなわち、非暖機時の燃料噴射量を基準燃料噴射量Aとし、暖機時の燃料噴射量を増量燃料噴射量B(B>A)としたとき、計算式B=Kwupf・Aで規定される係数Kwupfを燃料増量補正係数とする。
この場合、燃料増量制御マップ44は、水温Twと、回転数Neと、負荷Ecとをパラメータとして燃料増量補正係数Kwupfを設定したマップである。
したがって、制御量設定手段16Bは、基準燃料噴射量Aと燃料増量制御マップ44から読み取った燃料増量補正係数Kwupfとから前記の計算式に基づいて暖機時の燃料噴射量である増量燃料噴射量Bを算出し、算出した増量燃料噴射量Bを制御量の目標値として設定する。
なお、基準燃料噴射量Aは、例えば、回転数Neと、負荷Ecとをパラメータとして基準燃料噴射量Aを設定した基準燃料制御マップ45を用いて求められる。
また、暖機時(冷態時)にエンジン10に供給すべき増量燃料噴射量Bを非暖機時(温態時)の基準燃料噴射量Aよりも大とする理由は、暖機時はエンジン10の温度が低いため、燃料が蒸発しにくく、また、燃焼により生じた熱の損失が大きいことから燃焼が不安定になるため、燃料を増量して燃焼を安定化させるためである。
また、冷却水の循環の停止時に対応する増量燃料噴射量Bの第2の目標値は、冷却水の循環の実行時に対応する増量燃料噴射量Bの第1の目標値よりも小さな値となっている。
以下この理由について説明する。
図3(B)は冷却水の循環が実行された状態で暖機運転がなされた場合における、エンジン10の壁温Teと、水温センサ22で検出される水温Twとの時間経過を示す線図である。
ここで、壁温Teは、ウォータジャケット10A、10Bを形成する壁面の温度である。
図3(A)、(B)からわかるように、水温Twが同一であっても、循環が停止されている場合の壁温Teは、冷却水の循環が実行されている場合の壁温Teよりも上昇しやすい。
これは、冷却水が循環しないことでウォータジャケット10A、10Bを形成する壁面から熱が奪われにくくなるためである。
したがって、冷却水が循環していない場合は、冷却水が循環している場合と比較して増量燃料噴射量Bを小さく設定しても、燃料の燃焼の安定化を図ることができる。
なお、ファストアイドル回転数Nwupfは、非暖機時(温態時)のアイドル回転数よりも大きな値である。この理由は、暖機時は前記のようにエンジン10の燃焼が不安定になりやすいため、回転数を上げてエンジン10の燃焼を安定化させるためである。
回転数制御マップ46は、冷却水の循環の実行時に対応する第1の目標値(ファストアイドル回転数)を設定するための第1の回転数制御マップ46Aと、冷却水の循環の停止時に対応する第2の目標値(ファストアイドル回転数)を設定するための第2の回転数制御マップ46Bとで構成されている。
また、冷却水の循環の停止時に対応するファストアイドル回転数Nwupsの第2の目標値は、冷却水の循環の実行時に対応するファストアイドル回転数Nwupfの第1の目標値よりも小さな値となっている。
この理由は、増量燃料噴射量Bの場合と同様であり、水温Twが同一であっても、循環が停止されている場合の壁温Teは、冷却水の循環が実行されている場合の壁温Teよりも上昇しやすいことによる。
すなわち、冷却水が循環していない場合は、冷却水が循環している場合と比較してエンジン10の回転数を小さく設定しても、燃料の燃焼の安定化を図ることができる。
本実施の形態では、内燃機関制御手段16Cは、制御量設定手段16Bによって設定された増量燃料噴射量Bの目標値に基づいてインジェクタ30から噴射する燃料を増量させる。
また、内燃機関制御手段16Cは、制御量設定手段16Bによって設定されたファストアイドル回転数Nwupfの目標値に基づいてスロットルアクチュエータ28を制御することでスロットルバルブ24の開度を調整してエンジン10の回転数を上昇させる。
ユーザの操作によりエンジン10が始動され暖機運転が開始されることにより図4の処理が開始される。
ECU16は、水温センサ22で検出される水温Twが所定の暖機判定温度TAを超えたか否かを判定する(ステップS10)。暖機判定温度TAはエンジン10の暖機が完了したことを示す水温である。
ステップS10が肯定、すなわち、エンジン10の暖機が終了していれば、ECU16は、暖機運転を終了する(ステップS12)。
ステップS10が否定、すなわち、エンジン10の暖機が終了していなければ、ECU16は、暖房要求の有無、すなわち、空調用ECUからの空調要求信号の入力の有無を判定する(ステップS14)。
空調要求信号の入力が無ければ、ECU16は、ウォータポンプ34を非作動とし、これにより冷却水の循環を停止させる(ステップS16:冷却水制御手段16A)。この場合、冷却水の循環が停止された状態でエンジン10の暖機運転がなされる。
また、ECU16は、第2の回転数制御マップ44Bから冷却水の水温Twに基づいて冷却水の循環停止時用のファストアイドル回転数Nwupsを読み取り、読み取ったファストアイドル回転数Nwupsを制御量の第2の目標値として設定する(ステップS18:制御量設定手段16B)。
なお、上述したように、増量燃料噴射量Bとファストアイドル回転数Nwupsの第2の目標値は、後述する第1の目標値よりも小さくなるように設定されている。
次いで、ECU16は、水温Twが循環停止時暖機判定温度TA1を超えたか否かを判定する(ステップS22)。なお、循環停止時暖機判定温度TA1は、暖機判定温度TAよりも高い値に設定されている。これは、循環停止時に水温センサ22で検出される水温Twが循環実行時に水温センサ22で検出される水温Twよりも早期に上昇する傾向にあるためである。
判定結果が否定であればステップS14に戻り同様の処理を繰り返し、判定結果が肯定であれば暖機運転を終了する(ステップS24)。
また、ECU16は、第1の回転数制御マップ44Aから冷却水の水温Twに基づいて冷却水の循環実行時用のファストアイドル回転数Nwupfを読み取り、読み取ったファストアイドル回転数Nwupfを制御量の第1の目標値として設定する(ステップS28:制御量設定手段16B)。
次いで、ECU16は、ステップS10に戻り水温Twが暖機判定温度TAを超えたか否かを判定し、判定結果が否定であればステップS14以降の処理を繰り返し、判定結果が肯定であれば暖機運転を終了する(ステップS12)。
したがって、暖機運転期間に、ヒータコア12による暖房の有無に応じて冷却水の循環を実行させ、あるいは、冷却水の循環を停止させた場合、何れの場合であっても、エンジン10の運転制御を適切に行うことができるため、ヒータコア12の性能を確保しつつ暖機運転の促進および燃焼状態の安定化を図ることができる。
このため、燃焼状態の安定化をより的確に図ることができるとともに、特に冷却水の循環を停止させた場合の暖機時燃料増量による燃費悪化の抑制を図ることができる。
次に第2の実施の形態について説明する。
第1の実施の形態では、エンジン10の暖機が完了する前に、ウォータポンプ34が冷却水の循環をいったん実行したのち、冷却水の循環を停止させた場合、ECU16(内燃機関制御手段16C)は、冷却水の循環が停止した時点で増量燃料噴射量Bの目標値およびファストアイドル回転数の目標値を、それぞれ第1の目標値から第2の目標値に切り替えて、エンジン10の運転制御を実施する。
このようにウォータポンプ34が冷却水の循環をいったん実行したのち、冷却水の循環を停止させる場合とは、例えば、予め空調用ECUが暖房動作を実行する状態に設定されており、空調要求信号がECU16に供給された状態で暖機運転が開始されたものの、車室内の温度が日中などで暖かい場合、空調用ECUから空調停止信号がECU16に供給され暖房動作が自動的に停止されるといったケースが考えられる。
暖機運転中、冷却水の循環が実行されている途中で冷却水の循環を停止した場合、冷却水の水流が停止されるため実際の壁温Teは時間経過と共に次第に上昇していく。
したがって、冷却水の循環が停止した時点で制御量の目標値を、第1の目標値から第2の目標値に切り替えると、実際の壁温Teの変化よりも先に目標値の切り替えがなされることになる。そのため、実際の壁温Teの変化よりも先に燃料の増量、回転数の上昇が実施されることになり、燃料の燃焼状態が一時的に影響を受けることが考えられる。
なお、第2の実施の形態では、ECU16(制御量設定手段16B)は循環フラグ(不図示)を備えている。ECU16は、冷却水の循環が実行されているときに循環フラグをセットし、冷却水の循環が停止されているときに循環フラグをリセットする。
したがって、循環フラグがセットされていると冷却水の循環が実行状態にあり、循環フラグがリセットされていると冷却水の循環が停止状態にある。
ECU16は、循環フラグをリセット(循環停止)する(ステップS50)。なお、初期状態においてウォータポンプ34は冷却水制御手段16Aの制御により非作動とされている。
次いで、ECU16は、水温センサ22で検出される水温Twが所定の暖機判定温度TAを超えたか否かを判定する(ステップS52)。
ステップS52が肯定、すなわち、エンジン10の暖機が終了していれば、ECU16は、暖機運転を終了する(ステップS54)。
ステップS52が否定、すなわち、エンジン10の暖機が終了していなければ、ECU16は、空調用ECUからの空調要求信号の入力の有無を判定する(ステップS56)。
循環フラグがリセット(循環停止)であれば、ECU16は、第2の燃料増量制御マップ44Bから冷却水の水温Twと、エンジン10の回転数Neと、エンジン10の負荷Ecとに基づいて冷却水の循環停止時用の燃料増量補正係数Kwupsを読み取り、基準燃料噴射量Aと燃料増量補正係数Kwupsとから冷却水の循環停止時用の増量燃料噴射量Bを算出し、算出した増量燃料噴射量Bを制御量の第2の目標値として設定する(ステップS60:制御量設定手段16B)。
また、ECU16は、第2の回転数制御マップ44Bから冷却水の水温Twに基づいて冷却水の循環停止時用のファストアイドル回転数Nwupsを読み取り、読み取ったファストアイドル回転数Nwupsを制御量の第2の目標値として設定する(ステップS60:制御量設定手段16B)。
次いで、ECU16は、水温Twが循環停止時暖機判定温度TA1を超えたか否かを判定する(ステップS64)。
判定結果が否定であればステップS56に戻り同様の処理を繰り返し、判定結果が肯定であれば、ECU16は、ウォータポンプ34を作動させて冷却水の循環を実行させると共に、循環フラグをセット(循環実行)して暖機運転を終了する(ステップS66、S68)。
循環フラグがリセット(循環停止)であれば、ECU16は、ウォータポンプ34を作動させて冷却水の循環を実行させると共に、循環フラグをセット(循環実行)する(ステップS72:冷却水制御手段16A)。
また、ECU16は、第1の回転数制御マップ44Aから冷却水の水温Twに基づいて冷却水の循環実行時用のファストアイドル回転数Nwupfを読み取り、読み取ったファストアイドル回転数Nwupfを制御量の第1の目標値として設定する(ステップS74:制御量設定手段16B)。
次いで、ECU16は、ステップS52に戻り水温Twが暖機判定温度TAを超えたか否かを判定し、判定結果が否定であればステップS56以降の処理を繰り返し、判定結果が肯定であれば暖機運転を終了する(ステップS54)。
ステップS58で循環フラグがセット(循環実行)と判定されると、ECU16は、ウォータポンプ34を停止させて冷却水の循環を停止させると共に、循環フラグをリセット(循環停止)する(ステップS59:冷却水制御手段16A)。
次いで、ECU16は、循環が停止した時点からの経過時間tが後述する過渡制御時間tsであるか否かを判定し(ステップS61)、判定結果が肯定であればステップS60に移行して処理を行う。
判定結果が否定であれば、ECU16は、冷却水の循環が停止した時点からの経過時間tに応じた、中途循環停止時用の増量燃料噴射量Bとファストアイドル回転数Nwuptを制御量の目標値として設定する動作を行う(ステップS78:制御量設定手段16B)。
次いで、ECU16は、ステップS78で設定された目標値に基づいてエンジン10の運転を制御する(ステップS80:内燃機関制御手段16C)。
そして、ECU16は、ステップS61に戻り、経過時間tが過渡制御時間tsとなるまでステップS78及びステップS80の処理を繰り返す。
ECU16(制御量設定手段16B)は、以下の処理を実施する。
1)ステップS74、S60と同様の手順で、冷却水の循環実行時用の燃料増量補正係数Kwupf、冷却水の循環停止時用の燃料増量補正係数Kwupsを求める。
2)ステップS74、S60と同様の手順で、冷却水の循環実行時用のファストアイドル回転数Nwupf、冷却水の循環停止時用のファストアイドル回転数Nwupsを求める。
3)以下の計算式(1)に基づいて中途循環停止時用の燃料増量補正係数Kwuptを求める。
Kwupt=Fs(ts、t)・Kwups+(1−Fs(ts、t))・Kwupf
……(1)
4)以下の計算式(2)に基づいて中途循環停止時用のファストアイドル回転数Nwuptを求める。
Nwupt=Fs(ts、t)・Nwups+(1−Fs(ts、t))・Nwupf
……(2)
図6に示すように、係数Fsは、循環が停止した時点t=0からの経過時間tと、燃料増量補正係数およびファストアイドル回転数の過渡時補正を行う過渡制御時間tsとの関数であり、係数Fsは、経過時間tに比例して増加している。
過渡制御時間tsは、制御量の目標値を第1の目標値から第2の目標値まで徐々に変化させて設定する動作を実施する期間に相当する。
過渡制御時間tsは、冷却水の循環が実行されている時点で水温センサ22で検出される水温Twoに相関して(依存して)決定されるものであり、水温Twoが高いほど過渡制御時間tsは長くなる。
したがって、水温Twoをパラメータとして過渡制御時間tsが設定された過渡制御時間決定用マップを作成しておき、制御量設定手段16Bがこのマップを用いて過渡制御時間tsを決定するようにすればよい。
6)中途循環停止時用のファストアイドル回転数Nwuptを制御量の目標値として設定する。
このような1)〜6)の処理が実施されることによって、冷却水の循環が停止した時点からの時間経過と共に制御量の目標値が第1の目標値から第2の目標値まで徐々に変化させて設定されることになる。
したがって、第1の実施の形態と同様の効果が得られることは無論のこと、冷却水の循環が停止した場合に、実際の壁温Teの変化に対応して制御値の目標値も徐々に変化するため、目標値の変化が燃料の燃焼状態に与える影響を抑制でき、燃焼状態の安定化を図る上でより有利となる。
すなわち、エンジンの暖機が完了する前に、冷却水循環手段が冷却水の循環をいったん実行したのち、冷却水の循環を停止させた場合、内燃機関制御手段16Cは、冷却水の循環が停止した時点から予め定められた遅延時間Δtが経過したのち目標値を第1の目標値から第2の目標値に切り替えてエンジンの運転を制御する。
この場合、遅延時間Δtは、冷却水の循環が実行されている時点で水温センサ22で検出される水温Twoに相関して(依存して)決定されるものであり、水温Twoが高いほど遅延時間Δtは長くなる。
したがって、水温Twoをパラメータとして遅延時間Δtが設定された遅延時間決定用マップを作成しておき、制御量設定手段16Bがこのマップを用いて遅延時間Δtを決定するようにすればよい。
このような構成によれば、演算負荷を抑制しつつ、冷却水の循環が停止した場合に、実際の壁温Teの変化に対応して制御値の目標値の変化を遅延させることができるため、目標値の変化が燃料の燃焼状態に与える影響を抑制でき、燃焼状態の安定化を図ることもできる。
例えば、冷却水循環手段として以下のような構成が採用可能である。
1)電動のウォータポンプ34に代えて、エンジン10の出力軸から供給される動力により回転駆動されることで動作するウォータポンプを設けると共に、冷却水循環回路(バイパス循環路38)にECU16の制御により開閉動作することで冷却水循環回路における冷却水の循環を実行、停止させる冷却水弁を設ける。
このように構成した冷却水循環手段においても、冷却水制御手段16Aによってヒータコア12による冷却水の温熱の利用要求の有無に応じて冷却水弁の開閉を行うことで冷却水循環手段による冷却水の循環を実行または停止させることができる。
2)電動のウォータポンプ34に代えて、前記と同様にエンジン10の出力軸から供給される動力により回転駆動されることで動作するウォータポンプを設ける。ウォータポンプには、ECU16の制御により駆動力の供給と切断とが制御されるクラッチが設けられている。
このように構成した冷却水循環手段においても、冷却水制御手段16Aによってヒータコア12による冷却水の温熱の利用要求の有無に応じて前記のクラッチの作動、非作動を制御することで冷却水循環手段による冷却水の循環を実行または停止させることができる。
しかしながら、制御量の第1、第2の目標値を設定するために、これらマップに代えて計算式を用いてもよい。
すなわち、第1、第2の燃料増量制御マップ44A、44Bに代えて、水温Twと、回転数Neと、負荷Ecとをパラメータとして燃料増量補正係数を算出する第1、第2の計算式をそれぞれ作成しておき、これら計算式の算出結果に基づいて燃料増量補正係数の第1、第2の目標値を設定するようにしてもよい。
同様に、第1、第2の回転数制御マップ46A、46Bに代えて、水温Twをパラメータとして暖機時に回転すべきアイドル回転数であるファストアイドル回転数を算出する第1、第2の計算式をそれぞれ作成しておき、これら計算式の算出結果に基づいてファストアイドル回転数の第1、第2の目標値を設定するようにしてもよい。
Claims (4)
- 車両に搭載された内燃機関のウォータジャケットと前記車両の車室内の空調を行う空調用熱交換手段の熱交換用水路とを含んで構成された冷却水循環回路と、
前記冷却水循環回路に冷却水を循環させる冷却水循環手段と、
前記内燃機関の暖機が完了する前に、前記空調用熱交換手段による前記冷却水の温熱の利用要求の有無に応じて前記冷却水循環手段による前記冷却水の循環を実行または停止させる冷却水制御手段と、
前記内燃機関の運転状態を検出する運転状態検出手段と、
前記内燃機関の暖機運転期間、前記運転状態検出手段により検出された運転状態に基づいて前記内燃機関の運転に関わる制御量の目標値を設定し、かつ、前記目標値として、前記冷却水の循環の実行時に対応する第1の目標値と、前記冷却水の循環の停止時に対応する第2の目標値とを設定する制御量設定手段と、
前記目標値に基づいて前記内燃機関の運転を制御する内燃機関制御手段と、を備え、
前記暖機運転期間、前記冷却水制御手段により前記冷却水の循環を実行から停止に変更させた場合、
前記内燃機関制御手段は、前記冷却水の循環が停止した時点から予め定められた所定時間が経過したのち、前記目標値が前記第2の目標値となるように制御する
ことを特徴とする内燃機関の制御装置。 - 前記制御量設定手段は、前記冷却水の循環が停止した時点からの時間経過と共に前記目標値を前記第1の目標値から前記第2の目標値まで徐々に変化させ、
前記内燃機関制御手段は、前記変化される目標値に基づいて前記内燃機関の運転を制御する、
ことを特徴とする請求項1記載の内燃機関の制御装置。 - 前記制御量は、前記暖機運転期間に前記内燃機関に対して供給すべき燃料噴射量であり、
前記第2の目標値は、前記第1の目標値よりも小さな値として設定される
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の制御装置。 - 前記制御量は、前記暖機運転期間に前記内燃機関が回転すべきアイドル回転数であるファストアイドル回転数であり、
前記第2の目標値は、前記第1の目標値よりも小さな値として設定される
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の内燃機関の制御装置。
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