〔実施形態1〕
第1の実施形態に係る半導体集積回路の識別子生成方法について、図面を参照して説明すれば以下のとおりである。
まず、本実施形態に係る識別子生成方法の識別子付与対象となる半導体集積回路の例として、アナログ出力機能を有する液晶ドライバのブロック図を図2に示す。図2に示した液晶ドライバは、液晶ディスプレイの液晶パネル(不図示)を駆動するための駆動信号(アナログ信号)を出力するための半導体集積回路である。
図2に示した液晶ドライバにおいて、ロジック部に入力されたデジタル映像入力信号は、DAC部でアナログ信号に変換され、レベルシフタ部において電圧レベル変換が施され、出力アンプ部を経て、液晶駆動信号として各アナログ出力端子から出力される。なお、図2に示した液晶ドライバはアナログ出力端子ごとに256階調のアナログ信号を出力することが可能である。
図3は、上記レベルシフタ部におけるアナログ信号のガンマ補正に用いられる基準電源回路を模式的に示したものである。VH1、VH31、・・・、VH247、VH255から電圧が入力され、抵抗分割されてガンマ特性が生成される。
以下、図2に示した液晶ドライバから出力される液晶駆動信号としての出力電圧(アナログ信号)に基づき、上記液晶ドライバ自身に付与するための識別子を生成する方法について説明する。
図4は図2に示した液晶ドライバから出力される液晶駆動信号としての出力電圧(単位:ボルト)のプロファイルを示す図である。すなわち、各端子からの第0階調(最小階調)における出力電圧値,各端子からの第1階調における出力電圧値,各端子からの第2階調における出力電圧値,...,各端子からの第255階調(最大階調)における出力電圧値を階調順に並べてプロットした図である。
なお、図2に示した液晶ドライバは414本のアナログ出力端子を有している。従って、図4に示されたプロファイルは、合計414×256=105984個の出力電圧値から構成されている。
図5の(a)は、図4のプロットの左端部付近を拡大して示したものであり、上記液晶ドライバの全アナログ出力端子からの最小階調に対応する出力電圧を示している。
より具体的には、図5の(a)は、液晶ドライバに入力されるデジタル映像入力信号をALL“0”とした場合に、上記液晶ドライバの各アナログ出力端子から出力される出力電圧の値を示したものである。なお、デジタル映像入力信号をALL“0”とした場合の出力電圧を用いるのは、他のデジタル映像入力信号を入力した場合と比べて液晶ドライバの回路動作が少なく、各アナログ出力端子から出力が安定するという利点があるためである。
以下では、上記出力電圧を用いて、上記液晶ドライバに付与するための識別子を生成する方法および当該識別子を生成する装置について説明する。
本実施形態に係る半導体識別方法は、上記出力電圧のプロファイルが各々の液晶ドライバに固有のものであることに着目する。すなわち、上記出力電圧のプロファイルは、液晶ドライバごとに異なり、また、ある一定の測定誤差の範囲で再現性を有することに着目する。
上記出力電圧のプロファイルは、主として、液晶ドライバを構成する各半導体素子の特性に応じて決まる。上記出力電圧のプロファイルが液晶ドライバごとに異なるのは、液晶ドライバを構成する半導体素子の特性に、加工寸法の不均一性や、製造工程においてドープされる不純物の濃度の不均一性などの微視的要因に基づくばらつきがあるためである。
図5の(b)〜(d)は3つの液晶ドライバのアナログ出力端子からの、最小階調における出力電圧をプロットしたものである。これらの図から明らかなように、出力電圧のプロファイルは、実際に、液晶ドライバごとに異なっている。
また、上記ばらつきは、端子ごとに見れば、複数の液晶ドライバの特定の端子から出力される出力電圧の値が液晶ドライバごとに異なっていることに起因している。
なお、本実施形態においては、アナログ出力端子からの出力電圧の測定誤差は±1mV程度である。すなわち、本実施形態における出力電圧の測定誤差は、上記出力電圧のばらつきに比べて、十分に小さい。従って、上記のばらつきは、主として、個々の液晶ドライバの特性に起因するものである。
図6の(a)〜(c)は、上記最小階調における液晶ドライバのアナログ出力端子の全端子の出力電圧を、同一条件下で、時間をおいて合計3回にわたり測定した結果を示したものであり、図6の(d)は1回目の測定値,2回目の測定値,3回目の測定値を重ねてプロットしたものである。図6の(d)から明らかなように、アナログ出力端子からの出力電圧のプロファイルは時間をおいて測定しても測定誤差の範囲で不変である。
このように、上記出力電圧のプロファイルは、同一条件下において個々の液晶ドライバごとに異なり、また、測定誤差の範囲で再現性を有する。従って、本実施形態で用いている液晶ドライバのアナログ出力端子からの出力電圧のプロファイルを液晶ドライバ自身に対する識別子として活用することが可能である。
具体的な活用の方法としては、アナログ出力端子からの出力電圧の値を直接的に識別子として利用してもよいが、アナログ出力端子からの出力電圧の値を数値処理したものを利用してもよい。
本実施形態においては、より具体的には、隣接するアナログ出力端子からの出力電圧の電位差(以下、差分電圧とよぶ)を、当該電位差の絶対値がある閾値以下であるか、または、そうでないかに応じて、「0」または「1」に2値化することにより、識別子を生成する。
図7(a)は、上記の2値化処理を行うことにより生成された識別子をバーコード表示したものであり、図7の(b)〜(d)は、それぞれ、図6の(b)〜(d)に対応する液晶ドライバの隣接アナログ出力端子からの差分電圧の絶対値を、図7の(a)を生成する際に用いた閾値と同じ閾値を用いて2値化処理を行うことにより生成された識別子をバーコード表示したものである。
上述したように、アナログ出力端子からの出力電圧のプロファイルは、各個体ごとに異なるため、生成された識別子も液晶ドライバごとに異なっている。
このように複数のアナログ出力端子からの出力電圧の電位差を用いることにより、出力電圧を測定する際の系統的な測定誤差を打ち消すことができるので、識別子生成に対する測定誤差の影響を低減することができる。
なお、一般に、識別子を生成する際に用いる閾値は、同種の液晶ドライバに対しては、同一の値であることが望ましい。また、液晶ドライバの識別子を生成する工程(生成工程)において用いた閾値と、後述する液晶ドライバの識別子を判別する工程(判別工程)において用いる閾値は、同一であることが望ましい。
また、上記のように、隣接アナログ出力端子からの差分電圧を2値化処理することによる識別子生成以外にも、各々のアナログ出力端子からの出力電圧を直接2値化処理することによる識別子生成なども可能である。
そのような場合、例えば、「全アナログ出力端子からの出力電圧の平均値±標準偏差」を2値化処理の際に閾値として用いることができる。
本実施形態においては、合計で414端子からの隣接アナログ出力端子からの差分電圧を2値化することにより識別子を生成している。従って、当該識別子は、413ビットである。すなわち、理想的には、2413個の液晶ドライバに対して異なった識別子が生成で
きる計算になる。
このように、出力端子が多数である場合、図8に示すように、出力端子のうち一本、または数本が何らかの不具合で出力電圧を出力できなくなった場合であっても、他の出力端子が正常に動作していれば、正常な端子からの出力電圧を用いて実用上何ら識別に支障のない識別子を生成することができる。例えば、上記414本のアナログ出力端子のうち、10本程度の端子に不具合が生じた場合にあっても、400ビット以上の情報を用いて、液晶ドライバの識別子の生成が可能である。
また、本実施形態において識別の対象となっている液晶ドライバの場合、図9(a)のような同色隣接回路が内蔵されており、それを利用して識別子を生成することも可能である。同色隣接回路の対となる2本はほぼ同様の特性を備えているため、図9(b)のように一方に不具合があって出力されない場合でも、もう一方を利用することにより識別子の生成が可能である。
以上が、本実施形態に係る半導体集積回路の識別子生成方法についての説明である。次に、上記識別子生成方法を実際に使用するために使用される、本発明に係る識別子生成装置1について説明する。
(識別子生成装置1)
図1は、本実施形態に係る識別子生成装置1のブロック図を示している。識別子生成装置1は、ボルテージフォロア部10と、アナログ出力選択部11と、アナログ出力測定部12と、メモリ部13と、演算部14と、比較部15と、入力信号供給部16とを備えている。識別子生成装置1は、例えば、データベース50に接続される。
まず、識別すべき液晶ドライバに識別子を付与する識別子付与工程を具体的な信号の流れに沿って説明する。説明の便宜上、液晶ドライバの各アナログ出力端子には、他のアナログ出力端子と区別するための端子番号が付されているものとする。
入力信号供給部16は、一定のデジタル映像入力信号を、識別すべき液晶ドライバに供給する手段である。具体的には、ALL“0”のデジタル信号や、ALL“1”のデジタル信号を用いることができる。また、識別すべき同種の液晶ドライバに対しては、同一のデジタル映像入力信号を入力することが望ましい。
ボルテージフォロア部10は、前段の回路と後段の回路との間の干渉を防ぐための手段であり、複数のボルテージフォロアより構成されている。各々のボルテージフォロアのインプット端子には、識別すべき液晶ドライバの各アナログ出力端子が接続される。各々のボルテージフォロアは入力インピーダンスが高く、また出力インピーダンスが低いことが望ましい。
液晶ドライバの各アナログ出力端子からの出力信号は、ボルテージフォロア10を介して、アナログ出力選択部11に送られる。
アナログ出力選択部11は、ボルテージフォロア部10より入力されるアナログ信号を選択し、後段のアナログ出力測定部12に供給するための手段である。具体的には、アナログ出力選択部11はボルテージフォロア部10より入力されるアナログ信号をアナログ出力端子番号順にアナログ出力測定部12に供給する。
アナログ出力測定部12は、アナログ出力選択部11より順次供給される上記アナログ信号の電圧を測定するための手段である。具体的には、アナログ出力測定部12は、上記アナログ信号の電圧を順次測定し、測定した値をメモリ部13に順次出力する。アナログ出力測定部12は、電圧測定の誤差が小さい高精度の電圧計であることが好ましい。
メモリ部13はアナログ出力測定部12から順次入力された電圧測定値を、液晶ドライバごとに蓄積する。
演算部14は、メモリ部13に蓄積された電圧測定値を多値化するための手段である。本実施形態においては、具体的には、演算部14は、メモリ部13に蓄積された電圧測定値に基づく2値化処理を行い、液晶ドライバごとに識別子を生成する。より具体的には、メモリ部13に蓄積された各アナログ出力端子に対応する電圧測定値に基づき各隣接端子の組に対して当該隣接端子間の差分電圧を算定し、当該差分電圧の値が、あらかじめ設定された範囲の範囲内か、または、そうでないかに応じて、当該差分電圧を、それぞれ、「0」または「1」に2値化する。
演算部14は、上記2値化処理をすべての隣接アナログ出力端子からの出力電圧に対して行うことにより、個々の液晶ドライバに対して、識別子を生成する。このようにして液晶ドライバごとに生成された識別子は、データベース50に対して出力される。
データベース50は、各半導体集積回路に対して入力される識別子を、当該半導体集積回路に関する製造履歴や検査履歴等との関連付けを行い、関連付けされた情報を蓄積および管理するための手段である。
データベース50は、具体的には、入力された識別子と、当該液晶ドライバの製造履歴や検査履歴等との関連付けを行い、関連づけされたデータを液晶ドライバごとに蓄積し管理する。
このようにして、本実施形態に係る識別子生成装置1を用いることで、液晶ドライバごとに固有の識別子を生成することができ、データベース50と併用することで、個々の半導体集積回路に関する製造情報や検査情報等を蓄積および管理することができる。
本実施形態においては、演算部14は、上記のように、隣接アナログ出力端子からの差分電圧を2値化処理することによる識別子生成を行ったが、本発明はこれに限られるものではない。具体的には、上記のような隣接アナログ出力端子からの差分電圧と利用する以外にも、各々のアナログ出力端子からの出力電圧を直接2値化処理することによる識別子生成を行ってもよい。
一方で、検査工程において不良が見つかった液晶ドライバや、ユーザーから返品された液晶ドライバの製造情報や検査情報等を特定するための識別子判別工程は、以下のように行うことができる。
まず、当該液晶ドライバの各アナログ出力端子からの出力信号は、上記の信号の流れと同様に、ボルテージフォロア部10およびアナログ出力選択部11を介して、アナログ出力端子番号順に、アナログ出力測定部12に送られる。アナログ出力測定部12は、上記信号の電圧を測定し、測定した値をメモリ部13に順次出力する。
メモリ部13はアナログ出力測定部12から入力された電圧測定値を、液晶ドライバごとに蓄積する。演算部14は、メモリ部13に蓄積された電圧測定値に基づく2値化処理を行い、液晶ドライバごとに識別子を生成する。生成された識別子は、比較部15に入力される。
比較部15は、入力された識別子を、データベース50に蓄積された同種の半導体集積回路についての識別子と比較し、入力された識別子を、データベース50に蓄積された同種の半導体集積回路についての識別子のうちの1つに同定する手段である。
具体的には、比較部15は入力された識別子と、データベース50に蓄積された同種の液晶ドライバについての全ての識別子とを比較し、入力された識別子を、データベース50に蓄積された同種の液晶ドライバの識別子のいずれか1つに同定する。
上記同定作業は、データベース50に蓄積された識別子のうちいずれか1つと、上記入力された識別子とを、例えば、各々のアナログ出力端子番号順に比較することを繰り返すことにより、簡便に行うことができる。
理想的な状況においては、比較部15は、データベース50に蓄積された識別子と、入力された識別子とを比較し、すべてのビットが一致する場合に両識別子を同一の識別子と判定する。
実際上、アナログ出力測定部12における電圧の測定には、測定誤差が伴うため、データベース50に蓄積された識別子と、入力された識別子とが、完全には一致しない場合もあり得る。しかしながら、多数の出力端子を有する半導体集積回路であれば実際上十分な精度で同定が可能である。具体的には、比較部15は、測定誤差に起因して、データベース50に蓄積された識別子と、入力された識別子とが、測定誤差に起因して数ビット程度異なっていたとしても、残りのビットが一致していれば、両識別子を同一の識別子であると同定してもよく、当該同定作業は実用上全く問題のない程度に、非常に高い精度を有する。
したがって、本実施形態のように多数の出力端子を有する半導体集積回路に対しては、測定誤差を考慮しても、実用上十分な精度で、識別子の同定を行うことが可能である。
上記の説明では、最小階調における液晶ドライバの全アナログ出力端子からの出力電圧に基づいて識別子を生成する方法および装置について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。最小階調以外の階調における出力電圧に基づいて識別子を生成することも可能である。
特に、デジタル映像入力信号をALL“1”とし、各アナログ出力端子からの出力が最大階調となる場合にも識別子の生成を好適に行うことができる。これは、デジタル映像入力信号をALL“1”とする場合も、デジタル映像入力信号をALL“0”とする場合と同様に液晶ドライバの回路動作が少なく、各アナログ出力端子から出力が安定するという利点があるためである。なお、その他のデジタル映像入力信号に対する出力に対しても、本発明を適用することができることは言うまでもない。
また、識別子を付与する対象は液晶ドライバに限られるものではなく、本発明は、その他の半導体集積回路にも適用が可能である。
本実施形態においては、具体的な数値処理として、隣接アナログ出力端子からの差分電圧を2値化することにより識別子を生成したが、本発明はこれに限られるものではない。具体的な数値処理として、演算部14において複数の閾値を用いて出力電圧の多値化を行い、当該多値化したデータに基づいて識別子を生成してもよい。
また、数値処理を行わず、出力されたアナログ値をそのまま用いて識別子を生成してもよい。そのような場合には、識別子生成装置1における比較部15は、与えられた測定誤差の範囲内で、アナログ値の比較判定を適切に行うことができることが望ましい。
〔実施形態2〕
第1の実施形態においては、液晶ドライバに付与する識別子を、各端子から出力される最小階調に対応する出力電圧に基づいて生成する方法について説明したが、識別子を生成するために参照可能なアナログ信号はこれに限定されるものではない。一例として、本実施形態においては、液晶ドライバに付与する識別子を、特定端子から出力される各階調に対応する出力電圧に基づいて生成する方法について説明する。
図10(a)は、ある入力信号に対して、ある液晶ドライバ(以下液晶ドライバAと呼ぶ)のある特定のアナログ出力端子、すなわち、ある特定の端子番号のアナログ出力端子(以下端子番号1とする)から出力される出力電圧を、階調ごとにプロットしたものである。液晶ドライバAは、アナログ出力端子ごとに256階調の各々に対応する出力電圧を出力する。なお、図10の縦軸の単位はボルト(V)である。
以下では、液晶ドライバAの端子番号1のアナログ出力端子から出力される256階調の各々に対応する出力電圧のばらつきに基づいて、識別子を生成する方法について説明する。
図11(a)は、上記出力電圧の、理想電圧からの電位差を、256階調すべてについて階調ごとにプロットしたものである。ここで理想電圧とは、ある入力信号に対して、階調ごとに液晶ドライバが出力すべき電圧の規格値のことである。
図12(a)は、上記アナログ出力端子ごとの上記電位差をある閾値に基づいて判別し、上記電位差が当該閾値以上であれば「1」に、上記電位差が当該閾値未満であれば「0」に、上記アナログ出力端子ごとの電位差を2値化したものである。なお、本実施形態においては、上記閾値は、4mVとした。
図10(b)は、液晶ドライバAと同種かつ別の個体の液晶ドライバBの端子番号1のアナログ出力端子から出力される出力電圧を階調ごとにプロットしたものである。
図11(b)は、上記出力電圧の、理想電圧からの電位差を、階調ごとにプロットしたものである。ここで、階調ごとの理想電圧の値は、液晶ドライバAに対して用いられた理想電圧の値と同一のものである。
図11(a)と図11(b)から明らかなように、液晶ドライバAからの出力電圧と、液晶ドライバBからの出力電圧との理想電圧からの電位差は階調ごとに異なっている。この差異は、液晶ドライバごとに、階調ごとの増幅率がわずかに異なることに起因しており、各液晶ドライバを構成する半導体素子の特性の微視的要因に基づくばらつきに帰着される。
従って、上記理想電圧からのばらつきは、液晶ドライバごと、また、アナログ出力端子ごとにランダムであることは容易に理解されるであろう。
図12(b)は、図11(b)に示された電位差を、図12(a)のバーコードの生成に用いた閾値と同じ閾値、すなわち4mVの閾値を用いて、バーコードを生成したものである。図12(a)と図12(b)とから明らかなように、液晶ドライバAに対して生成されたバーコードと、液晶ドライバBに対して生成されたバーコードとは異なっている。
実際上の上記バーコードの生成は、実施形態1とほぼ同様に識別子生成装置1を用いて行うことができる。ただし、本実施形態においては、識別子生成装置1に対する入力信号は、各々の液晶ドライバに対して、階調ごとに順次供給されることが望ましい。
また、本実施形態においては、アナログ出力選択部11は、識別すべき液晶ドライバのある特定のアナログ出力端子番号を有するアナログ出力端子のみを選択すればよい。ただし、識別すべき同種の液晶ドライバに対して同一のアナログ出力端子番号を選択することが好ましい。
本実施形態においては、アナログ出力測定部12は上記特定のアナログ出力端子番号を有するアナログ出力端子から出力される電圧を階調ごとに順次測定し、測定した値をメモリ部13に順次出力する。
本実施形態においては、演算部14は、メモリ部13に蓄積された階調ごとの電圧測定値とあらかじめ定められた基準値との差分をとり、当該差分値を、当該差分の値があらかじめ決められた閾値より小さいか、または、そうでないかに応じて、それぞれ、「0」または「1」に2値化する。なお、本実施形態においては、上記閾値は4mVである。
演算部14は、上記2値化処理をすべてのアナログ出力端子からの出力電圧に対して行うことにより、個々の液晶ドライバに対して、識別子を生成する。
液晶ドライバごとに生成された識別子は、データベース50に対して出力され、データベース50において、各々の各液晶ドライバの製造履歴や検査履歴等と関連付けがおこなわれ、蓄積および管理される。
また、検査工程において不良が見つかった液晶ドライバや、ユーザーから返品された液晶ドライバの製造情報や検査情報等の特定も、実施形態1と同様に行うことができる。
本実施形態においては、階調ごとの出力電圧と当該階調における理想電圧との電位差に基づいて、識別子を生成したが、本発明はこれに限定されるものではない。たとえば、隣接する階調における出力電圧の電位差に対して、適切な閾値を設定することにより、2値化を行ってもよい。このように異なった階調に対する出力電圧の相対的な電位差を用いることにより、入力信号の系統的な誤差や、出力電圧を測定する際の測定誤差の系統的な成分を打ち消すことができるので、識別子生成に対するこれらの誤差の影響を低減することが可能になる。
〔実施形態3〕
第1及び第2の実施形態においては、液晶ドライバに付与する識別子を生成する方法について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、本発明によれば、液晶ドライバ以外の半導体集積回路に付与する識別子を生成することもできる。一例として、本実施形態においては、LEDドライバに付与する識別子を、LEDドライバからの出力電圧に基づいて生成する方法について説明する。
LEDドライバは、液晶ディスプレイのバックライトを駆動するためのLEDドライブ信号を出力するための半導体集積回路である。本実施形態におけるLEDドライバは、8つの出力端子を有している。
図13(a)は、上記LEDドライバの各出力端子からの出力電圧を32階調の入力信号に対してプロットしたものである。なお、図13(a)の縦軸の単位はmVである。
図13(b)は、階調0および階調1の入力信号に対する、全8端子の出力電圧の2値化処理の結果を表している。
図13(b)の第1列は、入力信号を示している。具体的には、00hは階調0の入力信号を表しており、01hは階調1の入力信号を表している。第2列は、各入力信号に対して上記LEDドライバの全8端子から出力される出力電圧を示している。第3列は、各入力信号に対する出力電圧の平均値を示している。第4列は、入力信号ごとの出力電圧の平均値と各々の出力電圧との差分を示している。
図13(b)の第5列は、上記出力電圧を、当該出力電圧と各入力信号毎の出力電圧の平均値との電位差の絶対値が3mV以上であれば「1」に、当該絶対値が3mV未満であれば「0」に2値化した結果を示したものである。
各出力端子および各階調に対する出力電圧のばらつきは、各LEDドライバを構成する半導体素子の特性の微視的要因に基づくばらつきに帰着される。従って、上記出力電圧のばらつきは、LEDドライバごとにランダムであることは容易に理解されるであろう。
図13(c)は、上記の2値化処理に基づいて生成したバーコードを示している。このようにして、各LEDドライバに対して、256ビットの識別子を生成することができる。
本実施形態においても、上記バーコードの生成は、実施形態1とほぼ同様に識別子生成装置1を用いて行うことができる。ただし、本実施形態においては、識別子生成装置1に対する入力信号は、各々のLEDドライバに対して、階調ごとに順次供給されることが望ましい。
また、本実施形態においては、アナログ出力選択部11は、識別すべきLEDドライバのアナログ出力端子を選択する手段である。
本実施形態においては、アナログ出力測定部12は上記アナログ出力端子から出力される電圧を階調ごとに順次測定し、測定した値をメモリ部13に順次出力する。
本実施形態においては、演算部14は、階調ごとにメモリ部13に蓄積された電圧測定値の平均値を階調ごとに算出し、当該平均値と、当該階調における各電圧測定値との差分を算出する。
また、演算部14は、上記差分を、上記差分があらかじめ定められた範囲の範囲内にあるか、または、そうでないかに応じて、「0」または「1」に2値化する処理を行う。具体的には、上記差分の絶対値が3mV以下であれば「0」に、上記差分の絶対値が3mVより大きければ「1」に2値化する。
演算部14は、上記2値化処理をすべてのアナログ出力端子からの出力電圧に対して行うことにより、また、すべての階調に対して行うことにより、個々の液晶ドライバに対して、バーコードを生成する。
液晶ドライバごとに生成されたバーコードは、データベース50に対して出力され、データベース50において、各々の各液晶ドライバの製造履歴や検査履歴等と関連付けがおこなわれ、蓄積および管理される。
また、検査工程において不良が見つかった液晶ドライバや、ユーザーから返品された液晶ドライバの製造情報や検査情報等の特定も、実施形態1と同様に行うことができる。
本実施形態においては、階調ごとの出力電圧と、当該階調における出力電圧の平均値との電位差に基づいて、識別子を生成したが、本発明はこれに限定されるものではない。たとえば、隣接する階調における出力電圧の電位差に対して、適切な閾値を設定することにより、2値化を行ってもよい。
〔実施形態4〕
第1、第2、及び第3の実施形態においては、半導体集積回路に付与する識別子を、その半導体集積回路から出力される電圧信号に基づいて生成する方法について説明したが、識別子を生成するために参照可能なアナログ信号は電圧信号に限定されない。すなわち、半導体集積回路に付与する識別子を、その半導体集積回路から出力される電流信号に基づいて生成するようにしてもよい。
図14の(a)は、ある半導体集積回路の各端子からの電流出力の一部を示したものである。図14の(a)の第1列は、出力されたアナログ電流の値を、端子ごとに示している。具体的な電流出力の測定は、各アナログ出力端子に一定の電位を印加し、各アナログ出力端子から出力される出力電圧と、当該印加電圧との電位差に基づいて流れる電流を測定することにより行う。
図14(a)の第2列は、隣接するアナログ出力端子からの電流出力の差(以下、差分電流とよぶ)を示している。第3列は、各々の差分電流を、当該差分電流の絶対値が0.05μA以下であれば「0」に、当該差分電流の絶対値が0.05μAより大きければ「1」に、2値化した結果を示している。
図14(b)は、隣接アナログ出力端子のすべての組について、上記の2値化処理を行うことにより生成されたバーコードを示している。
上記電流出力のばらつきは、各半導体集積回路を構成する半導体素子の特性の微視的要因に基づくばらつきに帰着される。従って、上記出力電圧のばらつきは、半導体集積回路ごとにランダムであることは容易に理解されるであろう。
このようにして、半導体集積回路の各端子からの電流出力に基づくことによっても、当該半導体集積回路に対する識別子を生成することが可能である。
上記識別子の具体的な生成および判別は、以下に説明する識別子生成装置2によって行うことができる。
(識別子生成装置2)
図15には、本実施形態に係る識別子生成装置2のブロック図が示されている。識別子生成装置2は、DC測定部21と、メモリ部22と、演算部23と、比較部24とを備えている。識別子生成装置2は、例えば、データベース50に接続される。
入力信号供給部25は、一定の入力信号を、識別すべき半導体集積回路に供給する手段である。識別すべき同種の液晶ドライバに対しては、同一のデジタル映像入力信号を入力することが望ましい。
DC測定部21は、半導体集積回路の各端子からの電流出力を測定するための手段である。具体的には、DC測定部20は、各アナログ出力端子に一定の電位を印加し、各アナログ出力端子から出力される出力電圧と、当該印加電圧との電位差に基づいて流れる電流を測定する。
DC測定部21において測定された各端子に対する電流値は、順次メモリ部22に送られ、半導体集積回路ごとに蓄積される。
演算部23は、メモリ部22に蓄積された電流測定値を多値化するための手段である。具体的には、演算部23は、メモリ部22に蓄積された電流測定値に基づく2値化処理を行い、半導体集積回路ごとに識別子を生成する。
より具体的には、演算部23は、メモリ部22に蓄積された各々の差分電流を、当該差分電流の絶対値が0.05μA以下であれば「0」に、当該差分電流の絶対値が0.05μAより大きければ「1」に、2値化する処理を行う。
演算部23は、上記2値化処理をすべての隣接アナログ出力端子からの差分電流に対して行うことにより、個々の半導体集積回路に対して、バーコードを生成する。
このようにして半導体集積回路ごとに生成されたバーコードは、データベース50に対して出力される。
データベース50は実施形態1と同じく、各半導体集積回路に対して入力される識別子を、当該半導体集積回路に関する製造情報や検査情報等との関連付けを行い、関連付けされた情報を蓄積および管理するための手段である。
検査工程において不良が見つかった半導体集積回路や、ユーザーから返品された半導体集積回路の製造情報や検査情報等の特定は、比較部24を用いて、実施形態1と同様に行うことができる。
本実施形態においては、隣接するアナログ出力端子からの電流出力の差に基づいて、識別子を生成したが、本発明はこれに限定されるものではない。たとえば、各アナログ出力端子からの電流出力と、全アナログ出力端子からの電流出力の平均値との電流差に対して適切な閾値を設定することにより、2値化を行ってもよい。
〔実施形態5〕
本発明に係る第5の実施形態は、半導体集積回路の電源電流を用いて、識別子を生成する方法についてである。
図16(a)は、ある半導体集積回路に供給される電源電流の値を特定の電源供給端子に対して合計1024回サンプリングした結果をプロットしたものであり、縦軸の単位はμAである。
一般に、半導体集積回路に供給される電源電流は一定ではなく、デバイス状態により変動を伴う。従って、特定の電源供給端子に対して各デバイス状態ごとの複数回のサンプリングを行うことにより、上記電源電流を利用した識別子の生成を行うことができる。
図16(b)に複数回のサンプリングにより測定された電源電流値に基づいて行われた2値化処理の結果を示す。第1列は、複数回のサンプリングによる電源電流の値に対して付与されたサンプリング番号を示している。第2列は、各サンプリングにおいて測定された電源電流の値を示している。第3列は、連続する2つのサンプリング番号に対応する電源電流値の差分電流の値を表している。
本実施形態においては、上記差分電流の値を2値化することにより、識別子を生成する。具体的には、図16(b)の第4列に示すように、図16(b)の第3列の差分電流値を、当該差分電流の絶対値が0.15μA以内であるか、または、そうでないかに応じて、それぞれ、「0」または「1」に2値化する演算処理を行う。
図16(c)は、上記のような2値化処理を行った結果をバーコード表示したものである。
このようにして、半導体集積回路の電源電流値に基づいても、当該半導体集積回路に対する識別子を生成することができる。
具体的な識別子の生成および判別は、以下に説明する識別子生成装置3に基づいて行うことができる。
(識別子生成装置3)
図17には、本実施形態に係る識別子生成装置3のブロック図が示されている。識別子生成装置2は、DC測定部31と、メモリ部32と、演算部33と、比較部34と、電源供給部35とを備えている。識別子生成装置3は、例えば、データベース50に接続される。また、図17における2重線は電源電流の経路を、実線は信号の経路を示している。
電源供給部35は識別すべき半導体集積回路に対して、電源を供給するための手段である。
DC測定部31は、電源供給部35から半導体集積回路に供給される電源電流を測定するための手段である。特に、本実施形態においては、DC測定部31は、上記電源電流を複数回サンプリングし、サンプリングごとに上記電源電流を測定する。測定された電流値は、各々のサンプリングごとに順次メモリ部32へ送られる。
メモリ部32はDC測定部31から送られてきたサンプリングごとの電源電流値を、半導体集積回路ごとに蓄積する手段である。
演算部33は、メモリ部32に蓄積された電源電流値に基づき多値化処理を行うための手段である。演算部33は、具体的には、連続する2つのサンプリング番号に対応する電源電流値の差分電流の値を算出し、当該差分電流値を、当該差分電流値の絶対値が0.15μA以下であるか、またはそうでないかに応じて、それぞれ、「0」または「1」に2値化する。
演算部33は、上記2値化処理をすべての連続する2つのサンプリング番号に対応する電源電流値の差分電流値に対して行うことにより、個々の半導体集積回路に対して、バーコードを生成する。
このようにして半導体集積回路ごとに生成されたバーコードは、データベース50に対して出力される。
データベース50は実施形態1と同じく、各半導体集積回路に対して入力される識別子を、当該半導体集積回路に関する製造情報や検査情報等との関連付けを行い、関連付けされた情報を蓄積および管理するための手段である。
検査工程において不良が見つかった半導体集積回路や、ユーザーから返品された半導体集積回路の製造情報や検査情報等の特定は、比較部34を用いて、実施形態1と同様に行うことができる。
本実施形態においては、連続する2つのサンプリング番号に対応する電源電流値の差分電流の値に基づいて識別子を生成したが、本発明はこれに限定されるものではない。たとえば、電源電流値の平均値と、各サンプリングにおける電源電流の値との電流差に対して適切な閾値を設定することにより、2値化を行ってもよい。
〔実施形態6〕
本発明に係る第6の実施形態は、半導体集積回路の複数アナログ出力端子の各々から出力されるアナログ電圧値を、その値の大小に応じて並び替えたものに基づき当該半導体集積回路に対する識別子を生成する方法についてである。
以下では、本発明の第6の実施形態について、図19(a)〜(d)および図20を参照して説明する。
図19(a)は、ウエハテスト時における液晶ドライバA’の有する720本のアナログ出力端子の各々から出力される電圧値をアナログ出力端子の端子番号ごとに示す表である。図19(a)においては、特に、1から30までの端子番号を有するアナログ出力端子から出力される電圧値、および、691から720までの端子番号を有するアナログ出力端子から出力される電圧値が示されている。図19(b)は、液晶ドライバA’の各アナログ出力端子から出力される電圧値を、その値の降順に並び替えたものである。図19(b)においては、特に、電圧値が大きい順に1から30番目までの電圧値、および、電圧値が大きい順に691から720番目までの電圧値が示されている。
一方で、図19(c)は、パッケージ実装後における液晶ドライバB’の有する720本のアナログ出力端子の各々から出力される電圧値をアナログ出力端子の端子番号ごとに示す表である。図19(c)においては、特に、1から30までの端子番号を有するアナログ出力端子から出力される電圧値、および、691から720までの端子番号を有するアナログ出力端子から出力される電圧値が示されている。図19(d)は、液晶ドライバB’の各アナログ出力端子から出力される電圧値を、その値の降順に並び替えたものである。図19(d)においては、特に、電圧値が大きい順に1から30番目までの電圧値、および、電圧値が大きい順に691から720番目までの電圧値が示されている。
図19(b)および(d)において、1から30番目までの電圧値を出力する端子番号のうち、網掛けされた端子番号は、ウエハテスト時、および、パッケージ実装後の双方の測定時点において、1から30番目までの電圧値を出力する端子番号を示している。
同様に、図19(b)および(d)において、691から720番目までの電圧値を出力する端子番号のうち、網掛けされた端子番号は、ウエハテスト時、および、パッケージ実装後の双方の測定時点において、691から720番目までの電圧値を出力する端子番号を示している。
図19(b)および(d)に示すように、ウエハテスト時において1から30番目までの電圧値を出力するアナログ出力端子30本のうち、26本のアナログ出力端子は、パッケージ実装後においても、1から30番目までの電圧値を出力している。すなわち、ウエハテスト時、および、パッケージ実装後の双方の測定時点における1から30番目までの電圧値を出力するアナログ端子の端子番号の一致率は略86.7パーセントである。
また、図19(b)および(d)に示すように、ウエハテスト時において691から720番目までの電圧値を出力するアナログ出力端子30本のうち、25本のアナログ出力端子は、パッケージ実装後においても、691から720番目までの電圧値を出力している。すなわち、ウエハテスト時、および、パッケージ実装後の双方の測定時点における691から720番目までの電圧値を出力するアナログ端子の端子番号の一致率は略83.3パーセントである。
また、1から30番目まで、および、691から720番目までの電圧値を出力するアナログ出力端子60本のうち、51本のアナログ出力端子は、パッケージ実装後においても、1から30番目まで、および、691から720番目までの電圧値を出力している。すなわち、ウエハテスト時、および、パッケージ実装後の双方の測定時点における1から30番目、および、691番目から720番目までの電圧値を出力するアナログ端子の端子番号の一致率は85.0パーセントである。
本実施形態においては、電圧値が大きい順に1から30番目までの電圧値を出力するアナログ出力端子の端子番号、および、691番目から720番目までの電圧値を出力するアナログ出力端子の端子番号のリストを、液晶ドライバA’に付与する識別子とする。
換言すれば、本実施形態においては、上記複数の半導体集積回路の各々に付与する識別子を、該半導体集積回路が備えている複数の端子(アナログ出力端子)の各々に付与された端子番号を該複数の端子の各々から出力されるアナログ信号(電圧値)の値に応じて並べ替えたものに基づいて生成する。
一般に、半導体集積回路が備えている複数の端子の各々から出力されるアナログ信号は、外部の環境、および、入力信号の値などに応じて変動するオフセットを含む。
本実施形態に係る方法によれば、複数の半導体集積回路の各々に付与する識別子を、該半導体集積回路が備えている複数の端子の各々に付与された端子番号を該複数の端子の各々から出力されるアナログ信号の値に応じて並べ替えたものに基づいて生成するため、上記オフセットの影響を受けずに、識別子を生成することができる。
図20は、以上のように識別子が付与された約4800個の液晶ドライバから、特定の20個の液晶ドライバを抜き出し、当該20個の液晶ドライバに対する、上記約4800個の液晶ドライバの一致率を測定した結果を示すグラフである。
図20に示すように、上記特定の20個の液晶ドライバ各々に対する一致率は、略80パーセント以上であるのに対し、上記特定の20個以外の液晶ドライバに対する一致率は、略30パーセント以下である。
すなわち、図20から明らかなように、上記約4800個の液晶ドライバから上記特定の液晶ドライバを十分高い精度で識別することが可能である。
したがって、本実施形態に係る識別子付与方法を用いて付与された液晶ドライバは、実用上十分な精度で互いに識別することが可能である。
なお、上記の例においては、液晶ドライバA’の有する720本のアナログ出力端子のうち、電圧値が大きい順に1から30番目までの電圧値を出力するアナログ出力端子の端子番号、および、691番目から720番目までの電圧値を出力するアナログ出力端子の端子番号のリストを、液晶ドライバA’に付与する識別子とする場合について説明を行ったが、本発明はこれに限られるものではない。また、また、上記の例では、半導体集積回路として液晶ドライバを例に挙げ説明を行ったが、本発明はこれに限定されるものではない。
一般に、電圧値が大きい順にmからn番目(m、nは、半導体集積回路の有する端子数以下の整数)までの電圧値を出力するアナログ出力端子の端子番号から成るリストを識別子として付与してもよく、より一般には、複数の端子の端子番号を該複数の端子の各々から出力されるアナログ信号の値に応じて並べ替えたものを識別子として付与してもよい。
また、上記の説明では、出力されるアナログ信号の値に応じて並べ替えたものを識別子として付与する場合を例に挙げたが、出力されるアナログ信号の絶対値の大きさに応じて並べ替えたものを識別子として付与してもよい。
また、上記の例では、半導体集積回路として液晶ドライバを例に挙げ説明を行ったが、本発明はこれに限定されるものではなく、液晶ドライバ以外の半導体集積回路に対して適用することが可能である。また、上記の例では、半導体集積回路からのアナログ出力として、アナログ電圧値を例に挙げ説明を行ったが、本発明は、これに限られるものではない。例えば、半導体集積回路から出力されるアナログ電流値に対しても、同様に適用することが可能である。
〔実施形態7〕
本発明に係る第7の実施形態は、半導体集積回路が有する複数のアナログ出力端子の各々から出力されるアナログ値を測定し、測定されたアナログ値のセットから、接触不良などに起因した、他の値と有意に異なる値を除いたものに基づいて識別子を付与する方法についてである。
図21は、液晶ドライバのアナログ出力端子から出力されるドライブ電流値を端子番号順にプロットしたものである。なお、図21の縦軸の単位はミリアンペア(mA)である。
ここで、ドライブ電流値とは、半導体集積回路の各アナログ出力端子に対して接続された負荷に対して供給される電流の値のことである。
図21に示すように、実際の測定においては、接触不良などに起因して、他のデータとは明らかに値が異なるデータ(図21における丸印によって示されたデータ)が発生する。ここで、明らかに値が異なるデータ(以下、異常データと呼ぶ)とは、例えば、全データの平均値との差が、予め定められた閾値以上であるデータのことである。また、上記予め定められた閾値としては、例えば、全データの分散を用いてもよいし、全データの標準偏差を用いてもよい。
本実施形態においては、上記異常データを除いたドライブ電流値のセットに基づいて、上記半導体集積回路に付与する識別子を生成する。
このような方法をとることによって、本実施形態においては、接触不良などに起因した異常データの影響を抑制しつつ、識別子を生成することが可能となる。
なお、具体的な識別子の生成方法としては、上記実施形態において説明した方法を用いればよい。
また、本実施形態は、半導体集積回路から出力されるアナログ電流値のみならず、半導体集積回路から出力されるアナログ電圧値に対しても適用することができる。
図22〜図25は、本実施形態に係る識別子付与方法を、上述した実施形態6に適用した場合について説明するための図である。
図22は、液晶ドライバC’の有する約400本のアナログ出力端子の端子番号と、各アナログ出力端子から出力されたアナログ電圧値を示したものである。なお、図22の縦軸の単位はボルト(V)である。
図22に示すように、丸印で示しているアナログ出力端子286から305番から出力される電圧値が、接触不良のため0ボルトになっている。
図23は、液晶ドライバC’を含む複数の液晶ドライバ同士を実施形態6に示した方法によって付与された識別子に基づいて照合した結果を示す図である。
図23におけるのMAXは電圧値が大きい順に1から30番目までの電圧値を出力するアナログ出力端子の端子番号を照合していることを示し、MINは電圧値が大きい順に371から400番目までの電圧値を出力するアナログ出力端子の端子番号を照合していることを示す。また、カッコ内の数字のうち、左側に示された番号は、ウエハテスト時において各液晶ドライバに付与された識別子に1対1に対応する番号であり、カッコ内の数字のうち、右側に示された番号は、パッケージ実装後において各液晶ドライバに付与された識別子に1対1に対応する番号である。
また、ウエハテスト時において上記液晶ドライバC’に割り振られた上記番号は163番であり、パッケージ実装後において上記液晶ドライバC’に割り振られた上記番号は14番である。
また、ウエハテスト時においては、液晶ドライバC’以外の液晶ドライバには、163番以外の番号が割り当てられており、パッケージ実装後においては、液晶ドライバC’以外の液晶ドライバには、14番以外の番号が割り当てられている。また、カッコ内の2つの番号は、その番号同士を照合したことを指し、行末の数字は、照合結果を一致率(%)で示したものである。
図23に示すMAX(163、14)に対応する一致率が80.0パーセントであることから、ウエハテスト時において163番に割り当てられた液晶ドライバC’と、パッケージ実装後において、14番に割り当てられた液晶ドライバC’とは、実施形態6に示した方法によって、正しく同定されることが分かる。
一方で、電圧値が大きい順に371から400番目までを照合した結果MIN(163、14)は60.0%の一致率と低い数字になっていることがわかる。これは、液晶ドライバC’の識別子が、図22に示された端子番号286から305番までの0ボルトの出力を含むデータに基づいて生成されているためである。
図24は、図22で表示されている0ボルトのアナログ出力端子に、平均アナログ電圧値を割り当てた場合の、液晶ドライバC’のアナログ出力端子番号と各アナログ出力端子から出力されたアナログ電圧値を示す。なお、図24の縦軸の単位はボルト(V)である。
図24の丸印で示す部分が、平均アナログ電圧値に割り当てられた端子を示している。これにより、0ボルトの異常データは平均値に置き換えられるため、電圧値が大きい順に並び替えをした場合であっても、当該異常データの影響を受けることなく、識別子を生成することができる。
本実施形態においては、上記のように異常データを全データの平均値によって置き換えることにより、異常データの影響を受けることなく、識別子を生成することが可能である。
また、本実施形態において、上記のように異常データを全データの平均値によって置き換えたデータに基づいて識別子を生成することは、他の端子から出力されるアナログ信号の値からかけ離れた値のアナログ信号を除いたデータを用いて識別子を生成することと同等である。また、他の端子から出力されるアナログ信号の値からかけ離れた値のアナログ信号とは、他の端子から出力されるアナログ信号の値からの偏差の大きいアナログ信号であると捉えることができる。
このように、本実施形態においては、上記複数の半導体集積回路の各々に付与する識別子を、該半導体集積回路が備えている複数の端子から、偏差の大きいアナログ信号(異常データ)を出力する端子を除いた端子の各々に付与された端子番号を該複数の端子の各々から出力されるアナログ信号の値に応じて並べ替えたものに基づいて生成する。
本実施形態に係る方法によれば、上記複数の半導体集積回路の各々に付与する識別子を、該半導体集積回路が備えている複数の端子から、偏差の大きいアナログ信号を出力する端子を除いた端子の各々に付与された端子番号を該複数の端子の各々から出力されるアナログ信号の値に応じて並べ替えたものに基づいて生成することができるので、ノイズや接触不良などによって生じる異常な値のアナログ信号の影響を抑制しつつ識別子を生成することができる。
また、上述した実施形態1、3、および、4においても、他の端子から出力されるアナログ信号の値からかけ離れた値のアナログ信号を除いたデータを用いて識別子を生成することによって、異常データの影響を抑制しつつ、識別子を生成することが可能である。
また、上述した実施形態2においては、上記特定の端子が複数存在するような場合には、他の端子から出力されるアナログ信号の値からかけ離れた値のアナログ信号を除いたデータを用いて識別子を生成することによって、異常データの影響を抑制しつつ、識別子を生成することが可能である。
図25は、図24に示す液晶ドライバC’のアナログ電圧値に基づき、上記実施形態6を用いて識別子を付与し、図23と同様の照合を行った結果である。図25においても、図23と同様に、ウエハテスト時における液晶ドライバC’の上記番号は163番であり、パッケージ実装後における上記番号は、14番である。
図25に示すように、MIN(163、14)に対応する一致率は、86.7%であり、図23におけるMIN(163、14)に対応する一致率60.0%に比べて高い一致率を示している。
すなわち、図25から明らかなように、異常データを除いて識別子を生成することにより、異常データの影響を受けることなく識別子を生成することができるため、デバイスの一致率が向上する。
したがって、本実施形態に係る識別子付与方法を用いて付与された液晶ドライバは、実用上十分な精度で互いに識別することが可能である。
なお、上記の例では、半導体集積回路として液晶ドライバを例に挙げ説明を行ったが、本発明はこれに限定されるものではなく、液晶ドライバ以外の半導体集積回路に対して適用することが可能である。また、上記の具体例では、半導体集積回路から出力されるアナログ電圧値を例に挙げ説明を行ったが、本発明は、これに限られるものではない。半導体集積回路から出力されるアナログ電流値に対しても、同様に適用することが可能である。
また、本実施形態は、上記のように半導体集積回路から出力されるアナログ信号の値のセットから、異常データを除いたセットに基づいて識別子を生成する場合に限定されるものではない。
例えば、本実施形態においては、上記複数の半導体集積回路の各々に付与する識別子を、予め定められた2つの条件下で出力されたアナログ信号の差分に基づいて生成するようにしてもよい。
具体的には、各出力端子に対して、負荷抵抗のより小さい負荷を接続して測定したドライブ電流と、負荷抵抗のより大きい負荷を接続して測定したドライブ電流との差分に基づいて、識別子を生成してもよい。
上記の方法によれば、上記複数の半導体集積回路の各々に付与する識別子を、予め定められた2つの条件下で出力されたアナログ信号の差分に基づいて生成することができるので、ノイズや接触不良などによって生じる異常な値のアナログ信号の影響を抑制しつつ識別子を生成することができる。
また、上述した実施形態1から4においても、異なる2つの条件下で出力されたアナログ値の差分に基づいて識別子を生成することが可能である。
このように、異なる2つの条件下で出力されたアナログ値の差分に基づいて識別子を生成することによって、接触不良の影響を打ち消すことができる。したがって、このような方法によって生成された識別子が付与された半導体集積回路は、実用上十分な精度で互いに識別することが可能である。
〔実施形態8〕
本発明に係る第8の実施形態は、半導体集積回路に供給される電源電流の値のセットから、ノイズ、または、接触不良などに起因した、他の値と有意に異なる値を除いたものに基づいて識別子を生成する方法についてである。
図26は、液晶ドライバのある特定の電源供給端子に対して供給される電源電流値を、当該液晶ドライバのデバイス状態を変化させながら測定した結果をプロットしたものである。また、図26における濃淡の異なる複数のグラフは、異なるアナログ出力に対する電源電流値を示している。また、図26において丸印で囲まれた部分は、他のサンプリングポイントにおける測定値と大きく異なる異常値を示している。なお、図26の縦軸の単位はミリアンペア(mA)である。
一般に、半導体集積回路に供給される電源電流は一定ではなく、デバイス状態により変動を伴う。従って、特定の電源供給端子に対してデバイス状態ごとの複数回のサンプリングを行うことにより、上記電源電流を利用した識別子の生成を行うことができる。
図26に示すように、実際の測定には、実施形態7においても説明したように、ノイズの影響や測定系の接触不良により異常データが発生する。
本実施形態においては、上記異常データ(すなわち、他のサンプリングポイントにおける電源電流値からかけ離れた電源電流値)を除いた電源電流値のセットに基づいて、上記半導体集積回路に付与する識別子を生成する。ここで、上記異常データとは、他のサンプリングポイントにおける電源電流値からの偏差の大きい電源電流値と捉えることができる。
このような方法をとることによって、本実施形態においては、ノイズや接触不良などに起因した異常データの影響を抑制しつつ、識別子を生成することが可能となる。
このように、本実施形態においては、上記複数の半導体集積回路の各々に付与する識別子を、該半導体集積回路に供給される電源電流値の時系列から、偏差の大きい電源電流値(異常データ)を除いた時系列に基づいて生成する。
上記の方法によれば、上記複数の半導体集積回路の各々に付与する識別子を、該半導体集積回路に供給される電源電流値の時系列から、偏差の大きい電源電流値を除いた時系列に基づいて生成することができるので、ノイズや接触不良などによって生じる異常な値の電源電流の影響を抑制しつつ識別子を生成することができる。
なお、具体的な識別子の生成方法としては、上記実施形態において説明した方法を用いればよい。また、データが異常データであるか否かは、例えば、実施形態7において説明した方法によって判別することができる。
また、上述した実施形態5においても、異常データを除いた電源電流値のセットに基づいて、上記半導体集積回路に付与する識別子を生成することが可能である。
また、本実施形態は、上記のように半導体集積回路に供給される電源電流の値のセットから、異常データを除いたセットに基づいて識別子を生成する場合に限定されるものではない。
例えば、本実施形態においては、上記複数の半導体集積回路の各々に付与する識別子を、予め定められた2つの条件下に置かれた該半導体集積回路に供給される電源電流の値の差分に基づいて生成するようにしてもよい。
具体的には、各出力端子に対して、負荷抵抗のより小さい負荷を接続して測定した電源電流値と、負荷抵抗のより大きい負荷を接続して測定した電源電流値との差分に基づいて、識別子を生成してもよい。
上記の方法によれば、上記複数の半導体集積回路の各々に付与する識別子を、予め定められた2つの条件下に置かれた該半導体集積回路に供給される電源電流の値の差分に基づいて生成することができるので、ノイズや接触不良などによって生じる異常な値の電源電流の影響を抑制しつつ識別子を生成することができる。
また、上述した実施形態5においても、異なる2つの条件下に置かれた半導体集積回路に対して供給される電源電流の値の差分に基づいて識別子を生成することが可能である。
このように、異なる2つの条件下において供給される電源電流値の差分に基づいて識別子を生成することによって、接触不良の影響を打ち消すことができる。したがって、このような方法によって生成された識別子が付与された半導体集積回路は、実用上十分な精度で互いに識別することが可能である。
〔まとめ〕
上記の課題を解決するために、本発明に係る識別子生成方法は、同一の構成を有する複数の半導体集積回路を互いに識別するための識別子を生成する識別子生成方法であって、上記複数の半導体集積回路の各々に付与する識別子を、同一条件下で該半導体集積回路から出力されるアナログ信号に基づいて生成する、ことを特徴としている。
一般に、半導体集積回路を構成する各半導体素子は、加工寸法の僅かな不均一性や、ドープされる不純物の僅かな不均一性などの微視的要因に起因して、同種の半導体素子であってもそれらの特性は互いに異なる。従って、同種の半導体素子により構成された同一の構成を有する半導体集積回路であっても、同一条件下において出力される出力信号は半導体集積回路ごとに異なる。
また、半導体集積回路を構成する各半導体素子の特性は、時間が経過してもほとんど変化することはない。従って、同一条件下で或る半導体集積回路から出力される出力信号の値は、ほとんど変化することがない。
それゆえ、同一条件で半導体集積回路から出力される出力信号の値を各半導体集積回路に固有の識別子として利用することが可能である。
上記識別子生成方法によれば、複数の半導体集積回路の各々に付与する識別子を、同一条件下で該半導体集積回路から出力されるアナログ信号に基づいて生成することができるので、チップ面積を増加させることなく識別子の生成を行う方法を実現することができるという効果を奏する。
上記識別子生成方法は、上記複数の半導体集積回路の各々に付与する識別子を、該半導体集積回路から出力されるアナログ信号の値を2値化又は多値化することにより生成する、ことが好ましい。
上記識別子生成方法によれば、上記アナログ信号の値を2値化又は多値化することにより、上記アナログ信号の値を直接的に識別子として利用する場合に比べて少ないデータ量を用いて識別子を生成することができるという効果を奏する。
従って、上記識別子生成方法によれば、生成された識別子を半導体集積回路の製造履歴や検査履歴と関連付けしてデータベース上に蓄積および管理を行うことが容易になるという効果を奏する。
上記識別子生成方法は、上記複数の半導体集積回路の各々に付与する識別子を、該半導体集積回路が備えている複数の端子の各々から出力されたアナログ信号の値を2値化又は多値化することにより生成する、ことが好ましい。
上記識別子生成方法によれば、半導体集積回路が備えている複数の端子の各々から出力されたアナログ信号の値を2値化又は多値化することにより識別子を生成するため、桁数の大きい、多数の半導体集積回路を識別可能な識別子を生成することができるという効果を奏する。
上記識別子生成方法は、上記複数の半導体集積回路の各々に付与する識別子を、該半導体集積回路が備えている複数の端子の各々から出力されるアナログ信号の値と、該複数の端子の何れかから出力されるアナログ信号の値との差を2値化又は多値化することにより生成する、ことが好ましい。
一般に、半導体集積回路から出力されるアナログ信号の値を測定する際には、測定誤差が付随する。当該測定誤差は、生成される識別子に含有されているため、当該測定誤差の影響が大きくなると、生成される識別子の同一性(再現性)が害されるという問題を招来する。
しかしながら、上記識別子生成方法によれば、上記複数の半導体集積回路の各々に付与する識別子を、該半導体集積回路が備えている複数の端子の各々から出力されるアナログ信号の値と、該複数の端子の何れかから出力されるアナログ信号の値との差を2値化又は多値化することにより生成するため、測定誤差の系統的な成分が打ち消し合うという効果を奏する。従って、上記識別子生成方法によれば、識別子に含有される測定誤差の影響を低減させることができるという効果を奏する。
また、2値化又は多値化を行っているため、識別子として扱うべきデータ量が、2値化又は多値化を行わない場合に比べて小さくなるという効果を奏する。従って、上記識別子生成方法によれば、生成された識別子を半導体集積回路の製造履歴や検査履歴と関連付けしてデータベース上に蓄積および管理を行うことが容易になるという効果を奏する。
上記識別子生成方法は、上記複数の半導体集積回路の各々に付与する識別子を、該半導体集積回路が備えている複数の端子の各々から出力されるアナログ信号の値と、該複数の端子から出力されるアナログ信号の値の平均値との差を2値化又は多値化することにより生成する、ことが好ましい。
一般に、半導体集積回路から出力されるアナログ信号の値を測定する際には、測定誤差が付随する。当該測定誤差は、生成される識別子に含有されているため、当該測定誤差の影響が大きくなると、生成される識別子の同一性が害されるという問題を招来する。
しかしながら、上記識別子生成方法によれば、上記複数の半導体集積回路の各々に付与する識別子を、該半導体集積回路が備えている複数の端子の各々から出力されるアナログ信号の値と、該複数の端子から出力されるアナログ信号の値の平均値との差を2値化又は多値化することにより生成するため、測定誤差の系統的な成分が打ち消し合うという効果を奏する。従って、上記識別子生成方法によれば、識別子に含有される測定誤差の影響を低減させることができるという効果を奏する。
また、2値化又は多値化を行っているため、識別子として扱うべきデータ量が、2値化又は多値化を行わない場合に比べて小さくなるという効果を奏する。従って、上記識別子生成方法によれば、生成された識別子を半導体集積回路の製造履歴や検査履歴と関連付けしてデータベース上に蓄積および管理を行うことが容易になるという効果を奏する。
上記識別子生成方法は、上記複数の半導体集積回路の各々に付与する識別子を、出力信号の値が最も安定する条件下で該半導体集積回路から出力されるアナログ信号の値を2値化又は多値化することにより生成する、ことが好ましい。
上記識別子生成方法によれば、上記複数の半導体集積回路の各々に付与する識別子を、出力信号の値が最も安定する条件下で該半導体集積回路から出力されるアナログ信号の値を2値化又は多値化することにより生成するため、より再現性の高い識別子を生成することができるという効果を奏する。
上記識別子生成方法は、上記複数の半導体集積回路の各々に付与する識別子を、複数の条件下で該半導体集積回路が備えている特定の端子から出力されたアナログ信号の値を2値化又は多値化することにより生成する、ことが好ましい。
上記識別子生成方法によれば、複数の半導体集積回路の各々に付与する識別子を、同一条件下で該半導体集積回路から出力されるアナログ信号に基づいて生成することができるので、チップ面積を増加させることなく識別子の生成を行う方法を実現することができるという効果を奏する。
また、上記識別子生成方法は、上記複数の半導体集積回路の各々に付与する識別子を、該半導体集積回路が備えている複数の端子の各々に付与された端子番号を該複数の端子の各々から出力されるアナログ信号の値に応じて並べ替えたものに基づいて生成する、ことが好ましい。
一般に、半導体集積回路が備えている複数の端子の各々から出力されるアナログ信号は、外部の環境、および、入力信号の値などに応じて変動するオフセットを含む。
上記の方法によれば、上記複数の半導体集積回路の各々に付与する識別子を、該半導体集積回路が備えている複数の端子の各々に付与された端子番号を該複数の端子の各々から出力されるアナログ信号の値に応じて並べ替えたものに基づいて生成するため、上記オフセットの影響を受けずに、識別子を生成することができるという更なる効果を奏する。
また、上記識別子生成方法は、上記複数の半導体集積回路の各々に付与する識別子を、該半導体集積回路が備えている複数の端子から、偏差の大きいアナログ信号を出力する端子を除いた端子の各々に付与された端子番号を該複数の端子の各々から出力されるアナログ信号の値に応じて並べ替えたものに基づいて生成する、ことが好ましい。
ここで、偏差の大きいアナログ信号とは、例えば、上記複数の端子の各々が出力するアナログ信号の平均値との差が予め定められた閾値よりも大きいアナログ信号のことを指す。あるいは、上記複数の端子が出力するアナログ信号の値を母集団として、偏差値が予め定められた閾値よりも大きいアナログ信号のことを指す。
上記の方法によれば、上記複数の半導体集積回路の各々に付与する識別子を、該半導体集積回路が備えている複数の端子から、偏差の大きいアナログ信号を出力する端子を除いた端子の各々に付与された端子番号を該複数の端子の各々から出力されるアナログ信号の値に応じて並べ替えたものに基づいて生成することができるので、ノイズや接触不良などによって生じる異常な値のアナログ信号の影響を抑制しつつ識別子を生成することができるという更なる効果を奏する。
また、上記識別子生成方法は、上記複数の半導体集積回路の各々に付与する識別子を、予め定められた2つの条件下で出力されたアナログ信号の差分に基づいて生成する、ことが好ましい。
上記の方法によれば、上記複数の半導体集積回路の各々に付与する識別子を、予め定められた2つの条件下で出力されたアナログ信号の差分に基づいて生成することができるので、ノイズや接触不良などによって生じる異常な値のアナログ信号の影響を抑制しつつ識別子を生成することができるという更なる効果を奏する。
また、上記半導体集積回路は、液晶ドライバであってもよい。
液晶ドライバは多数のアナログ出力端子を有し、各端子からは多数の階調に対応したアナログ信号が出力されるため、上記識別子生成方法を好適に用いることができるという効果を奏する。
また、上記アナログ信号は、出力アンプから出力される電圧信号であることが好ましい。
出力アンプから出力される電圧信号を上記アナログ信号とすることにより、上記識別子生成方法を好適に用いることができるという効果を奏する。
上記アナログ信号は、対となる同色隣接回路の何れか一方から出力される電圧信号であることが好ましい。
同色隣接回路の対となる2本はほぼ同様の特性を備えているため、一方に不具合があって出力されない場合でも、もう一方を利用することにより識別子の生成が可能になるという効果を奏する。
上記識別子生成方法は、上記複数の半導体集積回路の各々に付与する識別子を、当該半導体集積回路に供給される電源電流の値のデバイス状態による変化に基づいて生成する、ことを特徴としている。
一般に、半導体集積回路に供給される電源電流の値はデバイス内部状態による変化を伴うため、該電源電流の値のデバイス内部状態による変化に基づき識別子の生成が可能であるため、チップ面積を増加させることなく識別子の生成を行う方法を実現することができるという効果を奏する。
また、上記識別子生成方法は、上記複数の半導体集積回路の各々に付与する識別子を、該半導体集積回路に供給される電源電流値の時系列から、偏差の大きい電源電流値を除いた時系列に基づいて生成する、ことが好ましい。
ここで、偏差の大きい電源電流値とは、例えば、上記時系列における電源電流値の平均から、予め定められた閾値以上離れている電源電流値のことを指す。
上記の方法によれば、上記複数の半導体集積回路の各々に付与する識別子を、該半導体集積回路に供給される電源電流値の時系列から、偏差の大きい電源電流値を除いた時系列に基づいて生成することができるので、ノイズや接触不良などによって生じる異常な値の電源電流の影響を抑制しつつ識別子を生成することができるという更なる効果を奏する。
また、上記識別子生成方法は、上記複数の半導体集積回路の各々に付与する識別子を、予め定められた2つの条件下に置かれた該半導体集積回路に供給される電源電流の値の差分に基づいて生成する、ことが好ましい。
上記の方法によれば、上記複数の半導体集積回路の各々に付与する識別子を、予め定められた2つの条件下に置かれた該半導体集積回路に供給される電源電流の値の差分に基づいて生成することができるので、ノイズや接触不良などによって生じる異常な値の電源電流の影響を抑制しつつ識別子を生成することができるという更なる効果を奏する。
本発明に係る識別子生成装置は、同一の構成を有する複数の半導体集積回路を互いに識別するための識別子を生成する識別子生成装置であって、記複数の半導体集積回路の各々に付与する識別子を、同一条件下で該半導体集積回路から出力されるアナログ信号に基づいて生成する、ことを特徴としている。
上記識別子生成装置によれば、複数の半導体集積回路の各々に付与する識別子を、同一条件下で該半導体集積回路から出力されるアナログ信号に基づいて生成することができるので、チップ面積を増加させることなく識別子の生成を行う装置を実現することができるという効果を奏する。
また、本発明は上述した各実施の形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項で示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。