JP5548436B2 - 血液寒天培地及びその保存方法 - Google Patents

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Description

本発明は、血液寒天培地及びその保存方法に関する。
一般的に、血液寒天培地は、血液成分が栄養リッチであること、また血液成分に含まれる赤血球を利用して、栄養要求の厳しい微生物や溶血性を有する微生物の検出に用いられている。
血液寒天培地としては、例えばCW血液寒天培地、血液加ブルセラ培地、スキロー培地、バツラ培地、プレストン培地、カンピロバクター培地、ボルデー・ジャング培地、コロンビア・CNA培地、血液加トリプトソーヤ寒天培地等が挙げられる。
しかしながら、血液寒天培地は、離水がおこり易く長期間保存することが困難であり、大量にストックすることができず、作業効率が悪かった。
ところで、トレハロースは、ほとんどの細菌によって分解されず黄色ブドウ球菌によって分解されることを利用した黄色ブドウ球菌の同定のために0.5〜5重量%で含有させたり(特許文献1)、デイメイン液体培地の色調の変化を防止するために2〜10g/培地1Lで含有させたり(特許文献2)、またカンジタ・アルビカンス鑑別用発色培地中に5g/培地Lで含有させたり(特許文献3)して、検出培地の成分として利用されている。
一方で、一般的に微生物の発育を抑制させるために食品に配合して用いられているショ糖よりも、食品の水分活性を効果的に低下させ、また離水を防ぐことができるため、優れた微生物発育抑制作用を有していることが知られている(特許文献4)。
しかしながら、微生物検出用の血液寒天培地へのトレハロースの使用については知られていなかった。
特開平5−227992号公報 特許平5−86193号公報 特開2003−310298号公報 特開平9−56342号公報
本発明の目的は、冷凍〜室温下の保存条件でも離水が抑制され、またゲル強度が強く、しかも微生物の発育も阻害されることのない血液寒天培地を提供することにある。
そこで、本発明者らは、斯かる実情に鑑み、種々検討を行った結果、全く意外にも、微生物発育抑制作用のあるトレハロースを高濃度で血液寒天培地に含有させた場合に、冷凍、低温及び室温下で一定期間保存しても血液寒天培地の離水が抑制され、かつ血液寒天培地のゲル強度が強く、しかも微生物の発育が阻害されることがないので、作業効率もよく、良好に微生物を検出することができることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、トレハロースを20〜40%(g/100mL)含有する血液寒天培地を提供するものである。
また、本発明は、トレハロースを20〜40%(g/100mL)含有する血液寒天培地を−40℃〜40℃で保存することを特徴とする血液寒天培地の保存方法を提供するものである。
本発明の血液寒天培地は、冷凍〜室温下の保存条件でも離水が抑制され、またゲル強度が強いと云う優れた効果を有するものである。更に、当該培地は、高濃度のトレハロースを含有するものの微生物の発育を阻害しないので幅広い微生物の検出に利用できるものである。
4℃保存におけるトレハロース0〜60質量%含有の羊血寒天培地の、0〜25日間の水分減量を示すものである。 6℃保存におけるトレハロース0〜60質量%含有の羊血寒天培地の、0〜25日間の水分減量を示すものである。 25℃保存におけるトレハロース0〜60質量%含有の羊血寒天培地の、0〜25日間の水分減量を示すものである。 35℃保存におけるトレハロース0〜60質量%含有の羊血寒天培地の、0〜25日間の水分減量を示すものである。 4℃保存におけるトレハロース0〜60質量%含有の牛血寒天培地の、0〜25日間の水分減量を示すものである。 6℃保存におけるトレハロース0〜60質量%含有の牛血寒天培地の、0〜25日間の水分減量を示すものである。 25℃保存におけるトレハロース0〜60質量%含有の牛血寒天培地の、0〜25日間の水分減量を示すものである。 35℃保存におけるトレハロース0〜60質量%含有の牛血寒天培地の、0〜25日間の水分減量を示すものである。 4℃保存におけるトレハロース0〜60質量%含有の馬血寒天培地の、0〜25日間の水分減量を示すものである。 6℃保存におけるトレハロース0〜60質量%含有の馬血寒天培地の、0〜25日間の水分減量を示すものである。 25℃保存におけるトレハロース0〜60質量%含有の馬血寒天培地の、0〜25日間の水分減量を示すものである。 35℃保存におけるトレハロース0〜60質量%含有の馬血寒天培地の、0〜25日間の水分減量を示すものである。 4℃保存におけるトレハロース0〜60質量%含有の兔血寒天培地の、0〜25日間の水分減量を示すものである。 6℃保存におけるトレハロース0〜60質量%含有の兔血寒天培地の、0〜25日間の水分減量を示すものである。 25℃保存におけるトレハロース0〜60質量%含有の兔血寒天培地の、0〜25日間の水分減量を示すものである。 35℃保存におけるトレハロース0〜60質量%含有の兔血寒天培地の、0〜25日間の水分減量を示すものである。
本発明の血液寒天培地に含有させるトレハロースの量は、使用最終濃度で20〜40%(g/100mL)(以下、(%)とする)である。
トレハロース20%以上の場合に、血液寒天培地の離水が抑制され、かつゲル強度が強く、微生物検出の際の取り扱い及び操作が容易であり、またトレハロース40%以下の場合に、微生物の発育が抑制されることなく幅広い微生物の検出が可能である。しかも、20〜40%と云う高濃度のトレハロースを含有させても血液成分に大きなダメージを与えることなく、長期間保存した際に血液成分の変質を抑制することが可能である。
好ましいトレハロースの培地中の含有量は、寒天のゲル強度が強く、かつ微生物の発育も良好なことから、使用最終濃度で20〜30%である。
本発明の血液寒天培地に含有させる血液は、特に限定されないが、例えば、哺乳類及び鳥類の由来の血液が挙げられる。哺乳類由来の血液としては、例えば、ヒツジ、ウシ、ウマ、ウサギ、モルモット、ヤギ、イヌ、ネコ及びヒト等の血液が挙げられる。また鳥類由来の血液としては、ニワトリ、アヒル及びガチョウ等の血液が挙げられる。このうち、ヒツジ、ウシ、ウマ及びウサギの血液が好ましい。
尚、血液を1種で又は2種以上混合して血液寒天培地に含有させてもよい。
また、血液は、微生物検出の際の微生物汚染を防止するため、無菌保存血液又は脱繊維血液を使用するのが好ましい。
また、本発明の血液寒天培地に含有させる血液の量は、特に限定されないが、使用最終濃度で、好ましくは1〜20%、より好ましくは3〜10%、更に好ましくは5〜10%である。
本発明の血液寒天培地に含有させる寒天の量は、特に限定されないが、使用最終濃度で、好ましくは1〜30%、より好ましくは2〜20%、更に好ましくは2〜15%である。
本発明の血液寒天培地は、トレハロースを使用最終濃度で20〜40%含有する寒天培地組成物を水に懸濁後滅菌処理し、冷却した後、寒天が固化する前に上記動物由来の血液を加えて混合後、固化させることによって得ることができる。
上記寒天培地組成物として、トレハロースと、微生物栄養成分、無機塩類、トレハロース以外の糖類、pH調整剤、抗生物質及び検出試薬等から選ばれる少なくとも1種とを配合して調製したものを使用してもよく、またトレハロースと、一般的に使用されている血液培地から血液を除いた寒天を含む培地組成物とを配合して調製したものを使用してもよい。
微生物栄養成分としては、ペプトン、酵母エキス及び魚肉エキス等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
また、無機塩類としては、塩化ナトリウム及びチオ硫酸ナトリウム等の無機酸金属塩;クエン酸鉄アンモニウム及びクエン酸ナトリウム等の有機酸金属等が挙げられる。また、他の無機塩類は、胆汁末、コール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。このうち、塩化ナトリウムが好ましく、塩化ナトリウムの含有量は、血液寒天培地中、0.05〜10%であるのが好ましい。
また、トレハロース以外の糖類としては、単糖及びトレハロース以外のオリゴ糖等が挙げられ、例えばラクトース、シュークロース、キシロース、セロビオース及びマルトース等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
pH調整剤としては、シュウ酸、炭酸水素ナトリウム、塩酸及び水酸化ナトリウム等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
抗生物質としては、カナマイシン、ポリミキシン、ノボビオシン及びゲンタマイシン等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
検出試薬としては、5-Bromo-6-chloro-3-indoxyl-beta-D-glucuronide、5-Bromo-6-chloro-3-indoxyl-beta-D-galacto-pyranoside、6-Chloro-3-indoxyl-beta-D-galacto-pyranoside、N-Methylindoxyl-beta-D-galacto-pyranoside、4-Methylumbelliferyl-beta-D-galacto-pyranoside、2-Nitrophenyl-beta-D-galacto-pyranoside、5-Bromo-4-chloro-3-indoxyl-beta-D-galacto-pyranoside、5-Bromo-4-chloro-3-indoxyl-N-acety-beta-D-galactosaminide、5-Bromo-4-chloro-3-indoxyl-N-acetyl-beta-D-glucosaminide、4-Methylumbelliferyl-beta-D-glucuronide、5-Bromo-6-chloro-3-indoxyl-beta-D-gluco-pyranoside、5-Bromo-6-chloro-3-indoxyl-phosphate、5-Bromo-4-chloro-3-indoxyl-caprylate-nonanoate、5-Bromo-4-chloro-3-indoxyl-myo-inositol-1-phosphate及び5-Bromo-3-indoxyl-phosphate等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
また、上記一般的に使用されている血液培地としては、特に限定されないが、例えばCW血液寒天培地、血液加ブルセラ培地、スキロー培地、バツラー培地、プレストン培地、カンピロバクター培地、ボルデー・ジャング培地、コロンビア・CNA培地及び血液添加のトリプトソーヤ寒天培地等が挙げられる。
かようにして得られた本発明の上記血液寒天培地は、一定の保存温度下で一定期間保存することができ、その後検体を培地に接種して培養し、微生物のコロニーや血液寒天培地の状態を観察することによって微生物を検出できる。
保存の温度条件としては、特に限定されず、冷凍(−40℃〜0℃未満)、低温(0℃〜10℃未満)、室温(10〜40℃)のいずれでもよく、具体的には保存温度が−40℃〜40℃であるが好ましい。長期間保存可能な冷凍保存の場合、トレハロースを20%以上含有させることによって血液寒天培地のゲル強度が微生物検出に使用できる程度にまで保持することができ、また、低温〜室温保存の場合であっても、血液寒天培地の離水抑制と共に血液寒天培地の品質劣化を抑制することができる。特に、4〜35℃保存の際に血液寒天培地の離水抑制効果が高い。
保存期間は、特に限定されないが、微生物検出の作業効率及びロットの均一化を考慮すると、大量に調製された血液寒天培地を長期間ストックすることが望ましく、一方で血液寒天培地の品質劣化が少ない状態が望ましいので、血液寒天培地調製後、1時間〜100日間、より1時間〜30日間、更に6時間〜3日間、より更に15時間〜48時間であるのが好ましい。
検体は、特に限定されず、例えば、水道水、食品等から採取したものであり、原液又はこれを希釈(例えば10〜100倍希釈)したものを使用すればよい。
培養は、検出する微生物に適した条件で行えばよく、例えば嫌気や好気条件で30〜40℃で6時間〜7日間行う。
検出可能な微生物としては、特に限定されないが、嫌気又は好気の細菌、酵母及びカビ等が挙げられる。細菌としては、例えば、Bacillus属菌、Staphylococcus属菌、Escherichia属菌及びEnterobacter属菌、Bordetella属菌、Neisseria 属菌及びBranhamella属菌等が挙げられる。
微生物の検出は、各微生物のコロニー状態(発色や形状等)や検出試薬等による蛍光、発色や呈色状態等の観察や計測により行う。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
試験例1:離水抑制試験
〔培地組成〕
トレハロース: トレハロース100(Lot No.8H061)(株)林原生物化学研究所
基礎培地:トリプトソーヤ寒天培地(100mL組成)
カゼインペプトン 1.5g、ダイズペプトン 0.5g、 塩化ナトリウム 0.5g、寒天 1.5g、 pH 7.3±0.2
血液:馬、兎、牛、綿羊
〔各トレハロース含有の血液寒天培地の調製〕
使用最終濃度が0%,20%,30%,40%,50%,60%及び70%になるようにトレハロースを各トリプトソーヤ寒天培地に添加し、オートクレーブ滅菌(121℃、15分間)した後、50℃のウォーターバスで保温した。この加熱滅菌培地に各動物由来の脱繊維血液を5%の割合で添加攪拌後、各滅菌シャーレへ分注し、トレハロース含有量及び由来血液が異なる各血液寒天培地を各3枚ずつ作製した。
〔試験方法〕
作製した各血液寒天培地を、4℃、6℃、25℃及び35℃の保存温度条件に調整した各インキュベーター内に置いて保存し、0日目(作製直後)、7日目、12日目、18日目及び25日目毎に、各血液寒天培地を科学天秤にて測定し、「作製直後の血液寒天培地の質量−測定時の血液寒天培地の質量」から「各血液寒天培地の水分減量」を算出した。
図1〜16に、各血液寒天培地の水分減量の結果を示す。
何れの保存温度条件においても、トレハロース無添加の血液寒天培地の水分減量に比し、トレハロース20〜60%含有の血液寒天培地の水分減量が少なかった。すなわち、トレハロースを最終濃度20〜60%で血液寒天培地に含有させることによって、血液寒天培地の保水性が向上したこと、言い換えれば、血液寒天培地の離水が抑制されたことが認められた。
特に、保存温度25℃のような室温条件において、トレハロース無添加のものとトレハロース20〜60%含有のものとの差が大きかった。
血液寒天培地において、培地の離水が抑制されると、保水状態が製造直後と変わりなく培地表面が滑らかになり、微生物の検出がスムーズにできることから、微生物検出用培地の保存において培地の離水抑制が重要となる。更に、離水により培地表面が濡れている状態にならないために敢えて培地表面を乾燥させる必要がないことから、取り扱いも容易となる。
また、トレハロースを60%含有させた、何れの血液寒天培地でも、トレハロースの析出は認められなかったので、微生物の検出培地としては有効である。
試験例2:解凍後の物性変化試験
〔培地組成〕
トレハロース: トレハロース100(Lot No.8H061)(株)林原生物化学研究所
基礎培地:トリプトソーヤ寒天培地(試験例1と同様)
血液:羊脱繊維血液
〔各トレハロース含有の血液寒天培地の調製方法〕
試験例1と同様にして、各濃度(0,10,20,30,40,50及び60%)のトレハロース含有の羊血液寒天培地を、それぞれ3枚作製した。
〔試験方法〕
作製した各血液寒天培地を−20℃と−40℃の冷凍庫へ一晩(15h)放置し、凍結された血液寒天培地を調製した。凍結された血液寒天培地を室温に放置し、培地を完全に凍結がなくなった状態にし、レオメーター(装置名レオテックス:SD-700DP、会社名株式会社サン科学)で1mm侵入する強度を比較した。また、凍結前の血液寒天培地の強度も同様に測定した。このとき培地中のpHも測定した。
Figure 0005548436
凍結(−20℃及び−40℃)後解凍した場合、トレハロースを含有してない血液寒天培地を用いると、その表面全体がボソボソになっており、白金耳を培地表面に押し付けた際に抵抗なく培地地中にめり込み、作業効率が低下したのに対し、トレハロースを10〜60%で含有させた血液寒天培地を用いると、その表面がボソボソになっておらず、白金耳で画線塗抹がスムーズにでき、作業効率が向上した。
このことから、従来の血液寒天培地は長期間冷凍保存には適していなかったにも拘わらず、トレハロースを20〜60%で含有させることによって、長期間冷凍保存も可能となったことは、極めて重要である。
なお、何れの培地中のpHは約7付近で、トレハロース含有量の影響は少なく、安定的であった。
すなわち、トレハロースを10〜60%で血液寒天培地に含有させることによって、冷凍による血液寒天培地の品質劣化が抑制され、冷凍しても微生物検出用培地としての品質を維持できることが認められた。
そして、試験例1の結果も考慮すると、トレハロースを10〜60%で血液寒天培地に含有させることによって、冷凍、低温及び室温の何れの保存温度条件でも保存が可能であると考えた。
更に、微生物検出の作業効率、ロットの均一化及び血液寒天培地の品質劣化を考慮すると、培地調製後1〜100日内に使用するのがよいと考えられる。
また、凍結(−20℃及び−40℃)後解凍したトレハロース20〜40%含有血液寒天培地に、細菌Bacillus cereusStaphylococcus epidemidisStaphylococcus aureusEscherichia coliEnterobacter intermedium(原液:トリプトソイ液体培地)を接種し、35℃、24時間培養した結果、微生物の発育に影響がなかったので、冷凍による血液成分の品質劣化も抑制されたと考えた。 よって、輸送中に凍結したとしても、これによって寒天の劣化をきたし製品を廃棄することがないため経済効果も大きい。
試験例3:微生物発育試験
〔使用する微生物〕
(1)Bordetella septica ATCC 19395;Neisseria meningitidis 4;Branhamella catarrhalis ATCC 25238
(2)Bacillus cereusStaphylococcus epidemidisStaphylococcus aureusEscherichia coliEnterobacter intermedium
これら各微生物を、トリプトソイ液体培地に接種し、 35℃、48時間、前培養し、これを種菌とした。
〔使用する血液寒天培地〕
上記製造例1と同様にして、各濃度のトレハロースを含有する5%羊血寒天培地を調製し、25℃で3日間常温保存したものを使用した。
〔培養条件〕
各血液寒天培地に、上記種菌を「原液又はこの10倍希釈液を植菌後、好気培養又は嫌気条件下で、35℃、2日間培養して、コロニー数を目視にて測定した。
好気条件とは、窒素80%、酸素20%、嫌気条件とは、窒素80%、二酸化炭素10%、水素10%である。
微生物発育の評価基準は、微生物のコロニー数を計測し、コロニー数10以上の場合は「+」で示し、コロニー数1〜9の場合はコロニー数を「数」で示し、更に1未満の場合には「−」で示した。また、種菌の原液を「原液」と示し、原液の10倍希釈液を「−1」と示した。
Figure 0005548436
Figure 0005548436
Figure 0005548436
Figure 0005548436
表2〜5に示すように、トレハロース濃度が50%以上になると微生物の発育阻害が認められるものの、トレハロース10〜40%の高濃度でも微生物の発育阻害は認められず、幅広い微生物を検出することができた。
以上の結果から、優れた血液寒天培地の離水抑制効果及びゲル強度を有しつつ、幅広い微生物が検出可能なトレハロースの含有量は、20〜40%であり、特に20〜30%であるのが好ましいと考えられた。
また、本発明の血液寒天培地の保存温度条件は、血液寒天培地の品質劣化の抑制の点から、冷凍、低温及び室温の何れでもよいと考え、室温条件(特に20〜30℃)で血液寒天培地の離水抑制効果が高かった。また保存期間は、作業効率やロットの均一化の点から、1〜100日間であるのがよいと考えられた。

Claims (5)

  1. トレハロースを20〜40%(g/100mL)で含有する血液寒天培地。
  2. トレハロースの含有量が、20〜30%(g/100mL)である請求項1記載の血液寒天培地。
  3. トレハロースを20〜40%(g/100mL)で含有する血液寒天培地を−40℃〜40℃で保存することを特徴とする血液寒天培地の保存方法。
  4. 保存温度が、4〜35℃である請求項3記載の血液寒天培地の保存方法。
  5. 保存期間が、1〜100日間である請求項3又は4記載の血液寒天培地の保存方法。
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