JP5546964B2 - 電磁継電器 - Google Patents

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本発明は電磁継電器に関し、特に車載等用として好適な、基板に表面実装される電磁継電器の構造に関する。
従来よりリレー等の電子部品を、箱体に収容して封止剤により密封した電磁継電器が提案されている。
例えば、特許文献1には、リレー等の電子部品を、開口部を有する箱体状ベースと箱体状カバーを接合した箱体に収容して密封した電磁継電器が提案されている。これは、接合面に溝部が設けられた箱体状ベースと箱体状カバーに電子部品を収容し、溝部に封止剤を充填した構造であった。
この構造の電磁継電器は、箱体状ベースと箱体状カバーの2つの部材を用いて密封するものである。
また、特許文献2には、リレー回路が実装されてなるリレー本体部を箱体状ケースと箱体状ベースを組み合わせた箱体に収容するのではなく、リレー本体部を開口部を有する箱体状カバーに収容し、開口部をシール材で密封する構造の電磁継電器が提案されている。
この構造においては、箱体状カバーの開口部において側壁の端面の内側から厚み方向へ向けて溝部を備え、この溝部にもシール材が充填される構造になっている。この溝部を設けることによって、シール剤が箱体状カバーの内側だけでなく、開口部に設けた溝部にも充填されるので接着面積を増大した構造となっている。
更に、特許文献3には、リレー本体部を箱体状カバーに収容し、開口部から封止剤を注入して密封する構造の電磁継電器において、箱体状カバーの開口部の側壁に複数の切り欠きを設け、切り欠きにも封止剤が注入されることによってさらに接着面積を増大した構造の電磁継電器も提案されている。
図4は、特許文献3に記載の電磁継電器における密封前の状態を示す斜視図である。図5は、特許文献3に記載の電磁継電器の斜視図である。この電磁継電器は、一つのリレー回路が密封された構造で、プリント配線板の孔に端子を挿入して実装される形状である。
図4に示したように、従来の電磁継電器は、リレー本体部14、端子13、箱体状カバー12から構成されている。リレー本体部14は、ベースの裏面から端子13が延びるように一つのリレー回路が前記ベースに実装された形態である。リレー本体部14は、端子13が箱体状カバー12の開口部の外側になるように箱体状カバー12に収容されている。箱体状カバー12の開口部には、各側壁に2箇所ずつの切り欠き15が設けられている。切り欠き15における箱体状カバー開口部の端面に平行な部分(平坦部)は、箱体状カバー12の側壁の厚みと同じ幅で矩形状となっている。
次いで図5に示したように、箱体状カバー12の開口部から封止剤6が注入されると、箱体状カバー12の開口部まで封止剤6が充填されることによって、開口部から外側に延びた端子13以外は箱体状カバー12内に密封された電磁継電器11となる。
実公昭61−31473号公報 特開2007−294371号公報 特開2004−342398号公報
一般に電磁継電器への要求条件として、基板実装される前の輸送環境を想定し、−40℃から+125℃の冷熱ストレスを繰り返し作用させ、さらに表面実装部品搭載用のリフロー熱ストレスを加え、密閉性を確認しなければならない。
冷熱ストレスを繰り返すと構成部品である箱体状カバーも伸縮を繰り返す。このとき箱体状カバーと封止剤の熱膨張係数の違いからその界面間に応力が発生する。その応力に対して箱体状カバーと封止剤間の接着強度が耐え切れなくなると、この界面間に微小な剥離が生じる。さらに冷熱ストレスを繰り返し作用させると剥離が成長し、最終的には密閉性を保つことができなくなるといった問題があった。
そこで、特許文献2に記載された技術によれば、冷熱ストレスによる箱体状カバーの内側の壁面と封止剤の熱膨張係数の違いによる界面間の剥離の発生を、開口面に設けた溝部へ封止剤が充填されることによって箱体状カバーの内側の壁面と溝部にも封止剤が充填されて接着面積を増すことにより接着強度を確保している。
ところが、例えば側壁の厚みが0.5mmの箱体状カバーに封止剤を注入する場合に外径0.8mm、内径0.6mmの注入ノズルを用いたとすると、溝部に封止剤を注入しようとして、注入ノズルを接近させると、側壁と接触してしまい箱体状カバーの側壁の開口部に封止剤を付着させる等の不具合を発生させるという問題があった。
図5に示した従来の電磁継電器11においては、箱体状カバー12の四面の側壁には、各側壁の開口部に切り欠き15が、2箇所設けられているので、開口部まで封止剤6が充填されると、切り欠き15にも封止剤が充填される。
図4に示した従来の電磁継電器の箱体状カバー12の開口部の側壁に設けた切り欠き15は、側壁と同じ厚みの幅の平坦部を有している。切り欠き15に封止剤が充填されると、特許文献2に記載された溝部よりも広い面積に封止剤が充填されるので、より強固に密封され冷熱ストレスによる剥離を防止することができる。
しかしながら、従来の電磁継電器11を表面実装しようとすると、基板搭載時に過酷なリフロー熱がさらに加わることになる。箱体状カバー12の開口部の側壁に設けられた切り欠き15に封止剤6が充填されたとしても、リフロ−熱が加わることで従来の電磁継電器11内の圧力上昇に箱体状カバー12と封止剤6間の接着強度が耐え切れなくなり、接着部分に剥離が発生し、最終的には密閉性を保つことができなくなるといった問題があった。
本発明は、表面実装によるリフロー熱にも耐えられ封止剤に剥離の生じない、信頼性が高く、製造が容易な電磁継電器を提供することである。
上記の課題を解決するために、本発明は、電磁継電器の箱体状カバーの構造を検討した結果なされたものである。すなわち本発明によれば、裏面から端子が延びるようにリレー回路がベースに実装されたリレー本体部を、前記端子が開口部の外側になるように一面が開口した箱体状カバー内に収容し、封止剤を充填して前記リレー本体部を前記箱体状カバー内に密封してなる電磁継電器であって、前記箱体状カバーの開口部における四面の側壁のうち隣り合う二面の前記側壁にて形成されたコーナー部に、内部に前記開口部の端面に平行な平坦部が形成された複数の切り欠きを備え、前記平坦部のみに溝部を形成し、前記切り欠き及び前記溝部まで前記封止剤充填たことを特徴とする電磁継電器が得られる。
また、本発明によれば、前記平坦部は、前記側壁の厚みと同じ寸法の幅を有することを特徴とする上記の電磁継電器が得られる。
また、本発明によれば、前記溝部は、前記平坦部の幅の中心線に沿って前記平坦部と同一の長さで設けられていることを特徴とする上記の電磁継電器が得られる。
また、本発明によれば、前記溝部の幅と深さの寸法は、前記側壁の厚みの三分の一以下であることを特徴とする上記の電磁継電器が得られる。
本発明の電磁継電器によれば、箱体状カバーの開口部の側壁の平坦部に溝部を有する複数の切り欠きを設けることによって、内壁面と切り欠きばかりではなく、溝部にも封止剤を充填することができるので、接着面積を増やし、封止剤の接着強度を高めることができるのでより強固に固着することが可能となる。
また、本発明の箱体状カバーの開口部の側壁に設けた複数の切り欠きの平坦部の溝部を平坦部の幅の中心線に沿って平坦部と同一の長さで設けて、溝の幅と深さを側壁の厚みの三分の一以下とすることにより、箱体状カバーの加工がしやすく、かつ、溝部に封止剤が充填されやすい構造を実現できる。
箱体状カバーの開口部における各コーナー部の切り欠きと側壁切り欠きを一定間隔で設けることによって、箱体状カバーとの接着強度が偏ることなく、リレー本体部を固着することができる。
また、切り欠きの長さは、封止剤注入ノズルの直径より長くすることにより、切り欠きの平坦部に設けた溝部に封止剤を充填する場合に、従来の構造のように、封止剤注入ノズルが接触する側壁が存在しなくなり容易に溝部に封止剤を注入することができる。
箱体状カバーの熱ストレスによる応力が集中するコーナー部にR面取りを施すことにより応力の集中を弱めると共に、コーナー部に平坦部に溝部を有する切り欠きを設けて、封止剤を充填することにより接着面積を増やして接着強度を高めることができる。
したがって、本発明によれば、冷熱ストレス試験に対して、箱体状カバーの伸縮変形を抑制することができ、かつ表面実装部品搭載用のリフロー熱ストレス試験に対しても内圧上昇に耐え、接着強度を保つことができ、箱体状カバーと封止剤界面間の剥離を防ぎ密閉性が向上した信頼性の高い電磁継電器を容易に提供することができる。
本発明の電磁継電器における密封前の状態を示す斜視図。 本発明の電磁継電器における密封前の状態を示す拡大斜視図。 本発明の電磁継電器の斜視図。 特許文献3に記載の電磁継電器における密封前の状態を示す斜視図。 特許文献3に記載の電磁継電器の斜視図。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。図1は、本発明の電磁継電器における密封前の状態を示す斜視図である。図2は、本発明の電磁継電器における密封前の状態を示す拡大斜視図である。図3は、本発明の電磁継電器の斜視図である。この電磁継電器は、二つのリレー回路が密封され、回路基板に表面実装できるようにL字型の端子構造となっている。
密封前の本発明の電磁継電器は、図1に示したようにリレー本体部4、端子3、箱体状カバー2から構成されている。リレー本体部4は、ベースに二つのリレー回路が実装された形態であり、リレー回路に接続された端子3がベースの裏面から延びるように実装されている。端子3は、回路基板に表面実装する場合に実装時のバランスを考慮し、片側に八本ずつ設けられている。回路基板上で電気回路と接続される端子は太く、回路基板に実装されるが電気回路とは接続されない端子は細い形状となっている。リレー本体部4は、端子3が箱体状カバー2の開口部の外側になるように箱体状カバー2に収容されている。箱体状カバー2は、底面と四面の側壁からなる立方体で、コーナー部はR面取りがなされている。
箱体状カバー2の開口部において、コーナー部には切り欠き5aと、各壁の中央部には切り欠き5bが設けられている。切り欠き5aと5bは、箱体状カバー2の側壁の開口部を側壁の垂直方向から打ち抜いた形態である。切り欠き5aは、コーナー部を形成する隣り合う二面の側壁の端部から形成され、平坦部は箱体状カバー2の側壁の厚みと同じ幅で箱体状カバー2のR面取りされたコーナー部に沿って湾曲した弓形形状となっている。切り欠き5bの平坦部は、箱体状カバー2の側壁の厚みと同じ幅の矩形状となっている。
次に本発明の電磁継電器は、密封前の本発明の電磁継電器の拡大斜視図である図2に示したように、切り欠き5a、5bにおける平坦部には溝部7a、7bを有している。溝部7aは、コーナー部に形成された切り欠き5aの湾曲した弓形形状の平坦部の幅の中心線に沿って平坦部と同一の長さで湾曲した形態で設けられている。溝部7bは、側壁の中央部に形成された切り欠き5bの平坦部の幅の中心線に沿って平坦部と同一の長さで設けられている。
ここで溝部7a、7bの幅については、例えば箱体状カバー2の側壁の厚みを0.5mmとすると、広い幅の溝部を形成すると溝部の両側の肉厚が薄くなり、箱体状カバー2の側壁の加工ができなくなることがあり、また強度が保てなくなるため、溝部の幅は箱体状カバー2の側壁の厚みの三分の一以下であることが望ましい。すなわち、0.5mm幅の壁に対して溝部7a、7bの幅は0.16mm程度までの幅であることが望ましい。
また、溝部7a、7bの深さについては、例えば箱体状カバー2の側壁の厚みが0.5mm程度とすると、深い溝部を設けた場合には溝部の両側の薄い壁部の面積が大きくなり、箱体状カバー2の側壁の強度が保てなくなる、また溝部を封止剤で充填する作業が難しくなるために溝の深さは箱体状カバー2の側壁の厚みの3分の1以下であることが望ましい。すなわち、0.5mm幅の側壁に対して溝の深さは0.16mm程度までの深さであることが望ましい。
切り欠き5a、5bの長さについては、箱体状カバー2に封止剤を注入する場合に用いる封止剤注入ノズルの寸法を例えば外径0.8mm、内径0.6mmとすると、切り欠き5a、5bにも、封止剤を充填するために、封止剤ノズルが入る寸法とするために0.8mmよりも長いことが望ましい。したがって溝部7a、7bの長さについても0.8mmよりも長いことが望ましい。
ここで、図1に示した箱体状カバー2において、外形寸法を長さ21mm、幅15mm、高さ8mm、とした場合に片側の壁面に八本の端子が配置されている。端子3において太い端子の幅は0.8mmで端子の間隔は1mm以上必要である。したがって、片側においてコーナー部の切り欠き5aと壁面中央部に切り欠き5bが配置され、その間に端子3を四本ずつ配置するためには、切り欠き5bの長さは2mm以下であることが望ましい。したがって溝部7bの長さについても2mm以下であることが望ましい。
図1、図2に示したようにリレー本体部が収容された箱体状カバー2の開口部から封止剤6を注入し、充填することによって図3に示した本発明の電磁継電器1が得られる。
箱体状カバー2の開口部まで封止剤6が充填されると、開口部から外側に延びた端子3以外は箱体状カバー2内に密封される。切り欠き5a、5bの内部にも封止剤6が充填されるので、それぞれに形成された溝部7a、7bにも封止剤6が充填される。溝部7a、7bにも封止剤を充填することができるので、従来の電磁継電器よりも接着面積を増やし、封止剤の接着強度をさらに増やすことができるのでより強固に固着することが可能となる。
したがって、本発明の電磁継電器1によれば、封止剤6の接着強度を高めることができるので、リフロー熱にも耐えられ信頼性の高い構造が容易に得られる。
1、11 電磁継電器
2、12 箱体状カバー
3、13 端子
4、14 リレー本体部
5a、5b、15 切り欠き
6 封止剤
7a、7b 溝部

Claims (4)

  1. 裏面から端子が延びるようにリレー回路がベースに実装されたリレー本体部を、前記端子が開口部の外側になるように一面が開口した箱体状カバー内に収容し、封止剤を充填して前記リレー本体部を前記箱体状カバー内に密封してなる電磁継電器であって、前記箱体状カバーの開口部における四面の側壁のうち、隣り合う二面の前記側壁にて形成されたコーナー部に、内部に前記開口部の端面に平行な平坦部が形成された複数の切り欠きを備え、前記平坦部のみに溝部を形成し、前記切り欠き及び前記溝部まで前記封止剤充填たことを特徴とする電磁継電器。
  2. 前記平坦部は、前記側壁の厚みと同じ寸法の幅を有することを特徴とする請求項1に記載の電磁継電器。
  3. 前記溝部は、前記平坦部の幅の中心線に沿って前記平坦部と同一の長さで設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の電磁継電器。
  4. 前記溝部の幅と深さの寸法は、前記側壁の厚みの三分の一以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の電磁継電器。
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