JP5546026B2 - 液垂れ防止バルブ - Google Patents
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Description
枚葉洗浄は、薬液をノズルから塗布して半導体ウェハを一枚一枚洗浄する方法であるので、洗浄毎にノズル先端から垂れ落ちる液垂れ現象を防止する必要がある。
そこで、例えば、特許文献1、2に、液垂れ防止に関する技術が開示されている。
また、特許文献2の技術は、流体が流れる流路上に設けられ、ダイアフラム弁体を作動させて弁座に当接又は離間させることにより流体の供給を制御する薬液弁において、ダイアフラム弁体と同期して作動するサックバック用ダイアフラム弁体を設けた技術である。
この気泡問題と、液垂れ問題を解決するために、例えば、特許文献3の技術が開示されている。
特許文献3の技術は、外周面に多数の微細孔を有し、所定の長さと微小な内径とを有する多数の中空繊維を、互いの間に隙間を設けて束にして、ハウジング内に収納した吐出ノズルの技術である。
特許文献1の技術では、戻しばね600によって排出弁300を閉じた後に、液圧に抗して弁体の一部301を液体排出通路200内に突入させて内室容積を増大させ、液体をノズル500から吸い戻すことができる。しかし、液圧に比較して、戻しばね600の付勢力が大きすぎると、次に排出弁300を開放位置に移動させることができなくなることがある。その結果、戻しばね600によって弁閉方向に作用するばね付勢力を小さくせざるを得ないので、排出弁300の弁閉スピードが遅くなり、弁閉時にノズル500内の液体に伝わる衝撃(水撃)が小さくなる傾向にあった。そして、弁閉時の水撃が小さいと、ノズル先端での慣性力を利用した液切れが適正に行われないという問題があった。結局、弁閉時におけるノズル先端での液切れが適正に行われなければ、その後に吸引を行っても、液垂れを確実に防止することができないのである。
また、特許文献1の技術では、弁体の一部301を液体排出通路200内に突入させて内室容積を増大させる構造であるので、弁体の一部301は液体排出通路200の内壁に摺接する構成をとる必要がある。そのため、弁体の構造が複雑となり、加工精度も高める必要があるので、装置のコスト高に繋がり易いという問題もあった。
さらに、特許文献1の技術では、液体が戻しばね600の螺旋形状の間を通過するので、乱流が生じやすい。そのため、乱流を層流に戻すために、戻しばね600が当接する内室端からノズル先端までのノズル内流路を所定の長さ以上確保する必要があった。その結果、バルブ装置の軸線方向のサイズが大きくなり、バルブの小型軽量化を図ることが困難であった。
さらに、特許文献3の技術では、中空繊維の充填率を30〜60%程度にする必要があり(段落〔0016〕参照)、液体を所定流量流すためには、ハウジング径を大きくせざるを得なかった。そのため、バルブの小型軽量化の要請に応えることはできないという問題があった。
(1)バルブケースと、該バルブケースの一端側に穿設され薬液を供給する入力流路と、該入力流路の出口を開閉する弁体と、該弁体を収容して前記入力流路と連通する弁室と、前記バルブケースの他端側から前記薬液を吐出する出力流路を有するノズルと、を備える液垂れ防止バルブにおいて、
前記弁体は、前記ノズルと連結または一体にされ、
前記弁体には、前記薬液が通過する弁体内流路が形成されるとともに、該弁体内流路と前記出力流路とが連通されていること、
前記バルブケースには、前記ノズルの外周部に形成したピストンを収容するシリンダ部が形成され、前記弁体は、前記シリンダ部への操作流体の供給、排出によって開閉することを特徴とする。
前記弁体内流路は、前記出力流路と軸線上で連通されていることを特徴とする。
(3)(2)に記載する液垂れ防止バルブにおいて、
前記弁体内流路は、前記弁体の中央に形成された縦流路と前記弁体の側壁に前記縦流路に対して放射状に形成された複数の横流路とが連通していることを特徴とする。
(4)(1)乃至(3)のいずれか1つに記載する液垂れ防止バルブにおいて、
前記弁室は、前記弁体の側壁外周面から延設された第1隔膜部材を隔てて密閉空間からなる気密室と隣接していることを特徴とする。
(5)(1)乃至(4)のいずれか1つに記載する液垂れ防止バルブにおいて、
前記ノズルの先端外周面には、外周縁が前記バルブケースに保持された第2隔膜部材が付設されていることを特徴とする。
(1)バルブケースと、該バルブケースの一端側に穿設され薬液を供給する入力流路と、該入力流路の出口を開閉する弁体と、該弁体を収容して入力流路と連通する弁室と、バルブケースの他端側から薬液を吐出する出力流路を有するノズルと、を備える液垂れ防止バルブにおいて、弁体は、ノズルと連結または一体にされ、弁体には、薬液が通過する弁体内流路が形成されるとともに、該弁体内流路と出力流路とが連通されていること、バルブケースには、ノズルの外周部に形成したピストンを収容するシリンダ部が形成され、弁体は、シリンダ部への操作流体の供給、排出によって開閉することを特徴とするので、バルブ閉時の液切れが制御しやすく、小型軽量で層流形成が容易な液垂れ防止バルブとすることができる。
また、弁体は、ノズルと連結または一体にされ、弁体には、薬液が通過する弁体内流路が形成されるとともに、該弁体内流路と出力流路とが連通されているので、弁閉時の水撃が直接ノズル内の薬液に伝達される。そのため、弁体の閉じ速度を制御することによって、薬液の種類に適した水撃が、ノズル先端部に伝達され、ノズル先端部で、慣性力を利用した液切れが適正に行われる。その結果、バルブ閉時の液切れが制御しやすく、ノズル移動時の液垂れを確実に防止することができる。
また、弁体と連結または一体にされたノズルの外周部にピストンを形成するとともに、バルブケースにピストンを収容するシリンダ部が形成される簡単な構造であるため、バルブケースに弁体の駆動部をコンパクトに収納してバルブ全体を小型化でき、軽量化もできる。
また、特許文献1のように流路内に戻しばねを設ける必要がないので、小型軽量でありながら層流形成が容易である。
このように、薬液の乱流又は乱流と旋回流とを効果的に抑制して層流化を促進することによって、ノズル先端から吐出される薬液を、半導体ウェハ上により一層均一に供給することができる。また、ノズル内を流れる薬液を層流化することによって、弁閉時において水撃がノズル先端の薬液に均等に伝達され、液切れをより一層適正に行うことができる。
図1に示すように、液垂れ防止バルブ10は、バルブケース1と、入力流路2と、弁体3と、弁室4と、ノズル5とを備えている。
バルブケース1は、一端側から第1ケース11、第2ケース12、第3ケース13、第4ケース14の順に分割され、夫々を積層することによって全体として略矩形状をなしている。なお、バルブケース1の材質は、耐薬品性、耐熱性等からフッ素系樹脂であり、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)が適している。
第1ケース11には、第1隔膜部材34によって図面下方が封止され、入力流路2の出口と連通して薬液を通過させる弁室4が形成されている。一方、第2ケース12には、第1隔膜部材34によって図面上方が封止され、密閉空間からなる気密室6が形成されている。弁体3は、弁室4と気密室6との中に収容されている。第2ケース12には、後述するノズル5の外周面とのシール性を確保するOリング121が嵌合されている。
図3(a)に示すように、横流路32は、4個の横流路32A、32B、32C、32Dが中央の縦流路33に対して90度間隔で放射状に形成されている。各横流路32A、32B、32C、32Dは、縦流路33と軸線上で連通している。各横流路32A、32B、32C、32Dと縦流路33とによって、弁体3には、薬液が通過する弁体内流路30が形成されている。
なお、図3(b)に示すように、横流路32を3個の横流路32E、32F、32Gとして、中央の縦流路33に対して120度間隔で放射状に形成することもできる。ただし、横流路32を2個として、中央の縦流路33に対して対向するように形成する場合は、放射状に形成する場合には含まれない。後述するシミュレーション結果から明らかなように、2個の対向する横流路32から流れ込む薬液の流れは、縦流路33の内壁に沿って同じ方向に逃げる旋回流を形成しやすいからである。したがって、横流路32の間隔は、90度間隔や120度間隔等のように厳密な等間隔として設定する必要はなく、縦流路33の内壁に沿って同じ方向に逃げる旋回流を抑制できる程度の間隔を有して放射状に形成されていればよい。
一方、弁体側壁の強度が確保できる程度を限度に、横流路32の個数を4個以上に増加することは、可能である。
ノズル5の軸線上には、薬液を吐出する出力流路51が貫通して形成されている。出力流路51は、図面上下方向に同一径で形成された直線状の流路である。出力流路51の径は、弁体3に形成した縦流路33の径と略等しい大きさである。
ノズル5の先端外周面54には、第2隔膜部材55が付設されている。第2隔膜部材55の内周縁552には、雌ねじ553が形成され、ノズル5の先端外周面54に形成された雄ねじ541に螺合されている。第2隔膜部材55の外周縁551は、第3ケース13と第4ケース14とによって狭み込まれて保持されている。
第4ケース14の中央には、バルブケース1の他端側に向けて貫通孔141が形成されている。ノズル5の先端部542は、貫通孔141から図面下方に突出している。ノズル5の先端部542から、出力流路51を流れる薬液が半導体ウェハに向けて吐出される。
次に、本実施形態に係る液垂れ防止バルブ10の動作方法を説明する。
図2に示すように、液垂れ防止バルブ10を弁開状態にするため、第1操作ポート131から第1操作室133に操作流体を供給するとともに、第2操作ポート136から第2操作室135の操作流体を排出する。操作流体の供給、排出は、図示しない電磁弁を開閉することによって行う。
弁開状態になった弁体3は、弁座21からストロークSだけ離間するので、薬液が入力流路2から弁室4の中に流れ込む。弁室4の中に流れ込んだ薬液は、各横流路32A、32B、32C、32Dを通過して縦流路33に流れていく。
このとき、薬液は、矢印L1、L2、L3のように流れる方向を複雑に変更する。しかし、4個の横流路32A、32B、32C、32Dが中央の縦流路33に対して90度間隔で放射状に形成されているので、矢印L1の方向に一旦分散した薬液は、矢印L2の方向に向きを変えて、縦流路33において一箇所に集合する。集合するとき、途中で生じた乱流を打ち消し合うよう作用する。また、一箇所に集合するとき、薬液は互いに等間隔に離れた方向から流れてきて衝突するので、両隣の横流路からの流れによって旋回流の形成を抑制しながら、図面下方に向きを変えて矢印L3の方向の流れとなる。矢印L3の方向になった薬液の流れは、そのままノズル内の出力流路51に沿って、矢印L4のように直線的に進行する。このように、弁体内の縦流路33にて形成された矢印L3の流れは、乱流と旋回流を抑制しつつ、そのままの方向である矢印L4の流れとして出力流路51において維持されるので、薬液の層流化を促進する。
弁閉状態になった弁体3は、弁座21に当接するので、入力流路2から弁室4の中に流れ込む薬液が遮断される。
このとき、薬液の種類(例えば、粘度等)に応じて操作流体の圧力を調節することによって、弁体3の閉じ速度を制御することができる。そのため、弁閉時に、薬液の種類に適した水撃を生じさせることができる。例えば、粘度の高い薬液の場合、液切れしにくいので、弁体3を速く閉じて水撃を大きくする。弁体3を閉じたときの水撃は、弁室4から横流路32、縦流路33を経由して、ノズル5の出力流路51にある薬液に衝撃力として直接伝達される。その衝撃力によって、ノズル先端部542で薬液に慣性力が作用し、ノズル先端部542を境に薬液が分離して液切れしやすくなる。
次に、本実施形態に係る液垂れ防止バルブ10において、弁体3に形成した横流路32が2個の場合と4個の場合とで比較して、流れ解析のシミュレーションを行ったので、その結果を説明する。図4に、図1に示す液垂れ防止バルブにおいて、2個の横流路を縦流路に対して対向するように形成した時の流速分布コンタ図を示す。図5に、図1に示す液垂れ防止バルブにおいて、4個の横流路を縦流路に対して90度間隔で放射状に形成した時の流速分布コンタ図を示す。図6に、図1に示す液垂れ防止バルブにおいて、2個の横流路を縦流路に対して対向するように形成した時の流線図を示す。図7に、図1に示す液垂れ防止バルブにおいて、4個の横流路を縦流路に対して90度間隔で放射状に形成した時の流線図を示す。
本流れ解析のシミュレーションは、本実施形態の液垂れ防止バルブを用いるが、弁体3に形成する横流路32を2個で縦流路33に対して対向するように形成した場合(図4、図6)と、弁体3に形成する横流路32を4個で縦流路に対して90度間隔で放射状に形成した場合(図5、図7)とを比較して行った。いずれも、入口側の流速は、2.5リットル/分であり、出口側は大気開放としている。
これに対して、図5では、横流路32と縦流路33の交差する付近において、流速の速い領域(最大流速が5m/s程度)がV字状に左右略対称形状となって形成されている。その流速の速い領域の先端が、縦流路33の中心部に沿って延びている。縦流路内の流速は、外周部が遅く中心部が速くなっている。その結果、90度間隔で放射状に形成した4個の横流路32から来た横方向の流れが、縦流路内で衝突することで縦方向に流れの方向を変更して層流化し、そのまま出力流路51に流れていく様子を把握することができる。
なお、横流路32と縦流路33の交差する付近において、図4では最大流速が10m/s程度であるが、図5では最大流速が5m/s程度と、集合した箇所で流速に差異が生じている。図5では、縦流路33において一箇所に集合するとき、流れが衝突し合った結果であると推定できる。
これに対して、図7では、流線が弁室4内においてあまり複雑に屈曲せず、縦流路33内において直ぐに直線的になり、そのまま出口に向かって延びている。その結果、縦流路33内の層流が、そのまま出力流路51においても維持されている様子を把握することができる。
したがって、層流を形成するためには、複数の横流路32を縦流路33に対して均等間隔で放射状に形成すると効果的であることが判明した。
以上、詳細に説明したように、本実施形態の液垂れ防止バルブ10によれば、以下の作用効果を奏することができる。
具体的には、第3ケース13には、ノズル5の外周部に形成したピストン53を収容するシリンダ部130が形成され、弁体3は、シリンダ部130への操作流体の供給、排出によって開閉するので、薬液の種類(例えば、粘度等)に応じて操作流体の圧力を調節することによって、弁体3の閉じ速度を制御することができる。そのため、弁閉時に、薬液の種類に適した水撃を生じさせることができる。
また、特許文献1のように流路内に戻しばねを設ける必要がないので、小型軽量でありながら層流形成が容易である。
さらに、バルブを小型軽量にすることで、特に固定構造がなくても、配管施工のみで保持できる。また、施工工数の低減を図ることもできる。
また、直線的な流路を形成することで、薬液の流れをスムーズにして層流形成に寄与できる。薬液の流れを層流化することによって、ノズル先端部542から吐出される薬液を、半導体ウェハ上に均一に供給することができる。また、ノズル5内を流れる薬液を層流化することによって、弁閉時の水撃がノズル先端部542の薬液に均等に伝達され、液切れをより一層適正に行うことができる。
このように、薬液の乱流又は乱流と旋回流とを効果的に抑制して層流化を促進することによって、ノズル先端542から吐出される薬液を、半導体ウェハ上により一層均一に供給することができる。また、ノズル内を流れる薬液を層流化することによって、弁閉時において水撃がノズル先端542の薬液に均等に伝達され、液切れをより一層適正に行うことができる。
上述した実施形態では、弁体3とノズル5とを別体で成形して両者をねじにより連結したが、弁体3とノズル5とを一体に成形してもよい。縦流路33と出力流路51とを連続流路とすることが容易になり、一層、層流化を促進できるからである。
また、上述した実施形態では、4個の横流路32A、32B、32C、32Dの断面を円形状とし、軸線と直交する水平方向に形成したが、断面は矩形、楕円形、多角形等任意の形状とし、傾斜方向に形成してもよいことは、勿論である。
2 入力流路
3 弁体
4 弁室
5 ノズル
6 気密室
10 液垂れ防止バルブ
11 第1ケース
12 第2ケース
13 第3ケース
14 第4ケース
20 入力ポート
21 弁座
30 弁体内流路
31 頭部
32 横流路
33 縦流路
51 出力流路
52 ノズル基端部
53 ピストン
130 シリンダ部
542 ノズル先端部
Claims (5)
- バルブケースと、該バルブケースの一端側に穿設され薬液を供給する入力流路と、該入力流路の出口を開閉する弁体と、該弁体を収容して前記入力流路と連通する弁室と、前記バルブケースの他端側から前記薬液を吐出する出力流路を有するノズルと、を備える液垂れ防止バルブにおいて、
前記弁体は、前記ノズルと連結または一体にされ、
前記弁体には、前記薬液が通過する弁体内流路が形成されるとともに、該弁体内流路と前記出力流路とが連通されていること、
前記バルブケースには、前記ノズルの外周部に形成したピストンを収容するシリンダ部が形成され、前記弁体は、前記シリンダ部への操作流体の供給、排出によって開閉することを特徴とする液垂れ防止バルブ。 - 請求項1に記載する液垂れ防止バルブにおいて、
前記弁体内流路は、前記出力流路と軸線上で連通されていることを特徴とする液垂れ防止バルブ。 - 請求項2に記載する液垂れ防止バルブにおいて、
前記弁体内流路は、前記弁体の中央に形成された縦流路と前記弁体の側壁に前記縦流路に対して放射状に形成された複数の横流路とが連通していることを特徴とする液垂れ防止バルブ。 - 請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載する液垂れ防止バルブにおいて、
前記弁室は、前記弁体の側壁外周面に延設された第1隔膜部材を隔てて密閉空間からなる気密室と隣接していることを特徴とする液垂れ防止バルブ。 - 請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載する液垂れ防止バルブにおいて、
前記ノズルの先端外周面には、外周縁が前記バルブケースに保持された第2隔膜部材が付設されていることを特徴とする液垂れ防止バルブ。
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