JP5545472B2 - 近距離の映像、画像の鑑賞、読書、および高倍率両眼ルーペ観察向け視差縮小眼鏡フレーム - Google Patents

近距離の映像、画像の鑑賞、読書、および高倍率両眼ルーペ観察向け視差縮小眼鏡フレーム Download PDF

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本発明は光学部品を用いて人間の視覚能力、特に近距離の画像イメージを知覚する能力を高めることを目的とする。
画像また映像によってより多くの情報をより正確に伝えるための方法として現在に至るまで実用上、最も一般的で有効な方法として用いられているのは大画面化と画像の精細化、色彩表現の品質向上、そして画面素材の性質の改良といえる。一方で人間の視覚能力を高めるために各種の眼鏡、ルーペ、照明器具等がある。更に立体映像の技術などもあるが、これは画像の作成を含めたシステム的技術であり、数々の制約があり、あらゆる既成の画像に対応できるものではない。
大画面化は非常に効果的な方法であるが、あらゆる場合に適用できるわけではない。近年は薄型テレビ等画面の大型化の一方で携帯電話等のモバイル情報端末など、特に小画面の画像を見る機会が増加しつつある。書籍の場合は今後も従来に比べて変化するとは予想できず、画像の大きさの幅は限られている。書物を含め、机上の近距離で用いる、あるいは携帯の環境で用いる画像では大型化よりも高精細化によって対応せざるを得ない。しかし、高品質、高精細な画像を近距離で見ることによって大画面を適切な距離で見ることと同じ結果が得られることにはならない。特に迫力、臨場感と呼べるような効果では明らかに劣っている。
近距離の画像や一般の対象の観察、鑑賞能力を高める器具として、視力矯正用の眼鏡や拡大観察を可能にするルーペ等があり、広く用いられているが、通常のルーペには重要な欠点がある。レンズの拡大率を十分に発揮させるためには片目で、かつレンズを眼に近づけて見なければならないことである。大きなレンズを眼から離し、対象により近づけて見ると、大型のレンズを使用する場合には両眼で見ることができる場合もあるが、十分に倍率を上げることが出来ず、像の歪みも大きい。また、倍率によっては左右の眼で全く異なる部分を見ることになる。そのため広い範囲を見るには目が疲れることになり、対象のごく一部分のみを拡大して見る目的に限られる。
上記の単純なルーペの問題点を改良したものに眼鏡型両眼ルーペやヘッドルーペ等と呼ばれる、両眼で使用できるルーペがあり、2枚のレンズを眼鏡のように頭部に装着して用いられる。この種のものは手工芸などの手作業によく用いられているが、画像の鑑賞や読書等にはあまり用いられていない。画像を見る場合には画像に表現されているイメージそのものよりも画像の物理的表面が目立つようになるためであると思われる。また対象の細部を拡大観察するのには一定の効果があるが、全体としての画像ないし映像の品質という観点からは劣るといえる。その理由は、視対象が近距離になるほど両眼の視差が大きくなり、視差が大きくかつ絶えず変動する状態で曲率の大きな凸レンズを使用することによって常にレンズを斜め方向から使用せざるを得ず、レンズの曲率に起因する各種の収差が大きくなり、像が歪む上に左右それぞれの眼で見る二つの映像の視差が大きすぎ、両眼で合成されて見える映像は更に大きく歪んだ映像になる。また視差が大きくなること自体が両眼に緊張を強いることになり、眼の疲労が大きくなる。更に使用できる倍率も2,3倍程度が限度である。
このように両眼用ルーペは立体物を見て作業する場合に使用されているが、とくに平面画像を見る場合に画質が劣り、いずれの場合も画像のひずみや視差の大きさによる眼の疲労のため、画像を鑑賞する目的では使用される事が少ない。
特許公開平05−066361 実用新案公開平06−033119 実用新案公開平06−059819 特開昭 50-113204 IT-556927 Feb 1957 US-2295243 Sept.8, 1942
近距離にある高品質の画像を見ても遠距離の大画面を見る時のようなリアリティーが得られない原因は、近距離で見ることにより、画像の物理的表面の知覚内容、すなわち表面への距離感、表面の質感、光沢等が、視覚の大きな部分を占めるため、相対的に遠近感等、画像が表現するイメージそのものを知覚する能力が低下するためといえる。
一般に人が画像を観察する場合、そこに表現されているイメージと、画像の物理的表面との、本来無関係な2つの異なった対象を知覚することになるが、画像の物理的表面の知覚内容は、特に近距離の画像を見る際には、そこに表現されているイメージの知覚内容ないし知覚能力を妨害し、ノイズとして作用すると考えられる。この、いわば表面性ノイズを除去または軽減することにより、表現されているイメージそのものを知覚する能力を高めることが可能になる。
画像の物理的表面の知覚内容に影響を与える要素の一部は表面反射や表面の凹凸、あるいは印刷の網目などの表面の物理的性質と、眼から表面までの距離感である。そのような要素が殆ど無い環境、例えば高品質のカラーポジフィルムを適切な照明環境のもとで高倍率のルーペを用いて片目で観察する場合など、物理的表面の知覚は殆ど消え去り、従って物理的表面までの距離感も消え去り、画像の持つ遠近法的効果が妨害されることなく作用し、非常に高品質なイメージを観察することができる。
画像表面のテクスチャーやパターンなどの物理的性質以外で、画像表面の知覚に重要な影響力をもつ要素は、左右両眼の視差と輻輳角度である。画像表面そのものの知覚は画像表面の距離感と両眼視差による立体視に大きく依存するためである。したがって反射鏡等を用いて両眼の視差を縮小することにより、眼から一定の距離にある画面の物理的表面の距離感を知覚する能力が低下し、画像の持つ遠近法的効果が現実の距離感に妨害されることなく作用する。いわば画像の知覚におけるノイズが低下し、画像イメージ内容自体の知覚能力を高めることができる。いわば画像のノイズリダクションシステムと言える。同時にルーペとしての凸レンズの使用効果を高めることができる。両眼でそのまま高倍率のルーペを使用するには両眼の距離、したがって視差が大きすぎるからである。
両眼の視差を光学的に縮小することにより、画像イメージの知覚能力を高めることは比較的簡単な光学系でそれを実現することができる。しかしそのような器具は少なくとも一般には現在までのところ製品化されておらず、用いられてもいない。その原因として以下のような理由が考えられる。
まず一般にその効果が十分に認識されていないことである。これは一般には実際に体験することによってのみ解決されるがこのような現象を実際に体験する、あるいは気付く機会は通常では少ないと言える。片目で画像を鑑賞することは視差を取り除く一つの方法であり、現実にルーペを片目で使用して画像を鑑賞することは、プロの写真関連技術者などがカラーポジを見る際によく体験されていることであるが、片目で画像を鑑賞することと、両眼の視差を取り除いて、あるいは視差を縮小して画像を鑑賞することとはまた別の異なった体験と言える。これは本発明者の仮説であるが、片目で見る場合は視野の中心が身体の中心から左右何れかに偏ることになり、一種の安定感を欠くのではないかと考えられる。また当然、片側の視力を利用しないことであり、恐らく脳の利用領域も減少する可能性等も推察できる。
したがって現実にそのような光学器具を用いて体験する他はないのであるが、両眼の視差と輻輳角度を0にするシステムは誰でもすぐに体験できないという問題がある。一般に両眼を用いる光学器具は左右の瞳孔距離や両眼視機能の個人差に合わせて微調整する必要があるが、そのような機構を備えた光学器具は双眼鏡や双眼顕微鏡のように、ある程度の大きさと複雑さを持った精密機械といえる。近視等の視力矯正のための眼鏡は眼鏡の使用者の瞳孔距離とフレームに合わせてレンズをカットするので、この調整は製造工程内と考えられ、これは機構上の微調整とはいえない。
更に、双眼鏡や双眼顕微鏡は瞳孔距離の微調整はできるが、輻輳角度までも微調整する機能までは備えていない。これらの鏡筒は並行であり、輻輳角度は0度に固定されている。そのため、これらの光学器具で対象を両眼で一つの映像として見ることが困難な人も存在する。また近距離を対象にこのようなシステムを設計すると倍率は大きくはできるが、著しく視野の狭いものとなり、通常ルーペを使用するような倍率には適さない。両眼で使用する光学器具は一般にこの点で難しい問題を持っている。ある程度の大きさと重量を備えた精密光学機器である顕微鏡や望遠鏡に比べて、単純で手軽であることがメリットであるともいえるルーペや眼鏡にこのような精密で動的なメカニズムを持ち込むことに、人は意味を見出そうとしなかったと言える。
また、双眼鏡の場合は遠方を観察するためのものであるので、左右の鏡筒は並行であり、単純に瞳孔距離に合わせて移動することが出来ればよく、このメカニズムは拡大鏡の光学系影響することは少なく、事実上独立しているといえる。顕微鏡の場合、双眼顕微鏡、実体顕微鏡を含めて接眼レンズ部の鏡筒を動かすので双眼鏡と同様にレンズ付き鏡筒を動かすというメカニズムに変わりはない。
要するに視差を低減するシステムは、対物レンズと接眼レンズとの組合せで使用するシステムとは根本的に異なったシステムであり、基本的に肉眼もしくは肉眼とルーペによる範囲内での観察に特有な角度と距離との調節システムが必要になる。このような複雑な微調整を単純なルーペあるいはルーペなしでそれ自身のために用いることに意義が見出されていなかったものと考えられる。このような肉眼観察可能な範囲内での画像その他の観察能力を高める事に関しては、これまで画像の大画面化あるいは解像度の増大によってのみ対応していたのである。したがって安価で簡便軽量に上記のような調節システムが出来ればこのようなシステムに大きな存在意義が見出される可能性がある。
解決すべき技術的な課題は、可能な最大の視野が得られる光学系を求めること、および構成する反射鏡等の光学部品を確実に、かつ正確にマウントでき、必要部分の微調整が可能で使用中に狂いがなく、かつ軽量で快適に使用でき、更に安価に製造できるようなフレームの構造を見出すことにある。
上記特許文献1、2、および3は、本件の発明者が過去に出願したものである。その後の経緯で上記特許文献4、5、および6の存在が明らかになった。特許文献4、および5は基本的に特許文献1、2、3、および本件と同じ目的とシステムを持つものであり、6は目的が少々異なっているが、機構としては同種のものである。これらの4、5、および6に共通する不備は、次の3点に要約できる。
一つ目は、視野の問題が検討されていないと考えられることである。この種のシステムではその目的から、通常の眼鏡と同様に、必要最小限の視野が確保され、かつ可能な限り広い視野が求められるのである。望遠鏡や双眼鏡あるいは顕微鏡の場合、使用者の全視界のごく一部分を取り出して拡大すれば足りるのであるが、本発明の目的である画像、映像の鑑賞や読書や手作業にとっては、一定の視野がなければ用途が限られてしまうためである。
二つ目は、視対象の距離、使用者の瞳孔間距離、顔面の形状、等々の変動要素と反射鏡のサイズと位置角度との関係が考慮されていないことである。反射鏡のサイズは視野と同様、これらの要素と大きく関わってくるので、これらの要素を検討しない限り実用化は困難である。
三番目は、快適に使用できるような構造が追求されていないことである。上記の目的からも、この種の器具は可能な限り、快適に使用できる構造を追求する必要がある。
本発明者による上記特許文献1、2、および3においても、以上の3点の問題は十分に考察、追求はされていなかった。ただ、視野に関して言及はあり、特定の瞳孔間距離と反射鏡と瞳孔間の距離において、試行錯誤的作図により、36度の視野が得られるとしているが、瞳孔間距離の変化に対応しておらず、請求の範囲でも触れていなかった。
今回の課題は当該目的のシステムが原理的に可能であることを示すことではなく、実用になる具体的なシステムと構造を見いだすことであり、そのための手段が上記三つの問題を解決することにあったといえる。具体的には、1)視野と多くの変数との関係を数量的に明らかにし、各々の瞳孔距離と顔面の形状に即した必要かつ最大の視野を得るための設計条件を求めること、2)瞳孔間距離の変化に応じた調節が可能な構造を見いだすこと、および3)快適に使用できるような構造と形態とを見いだすことにあった。
まず、最大の視野を得るための基本となる反射光学系を決定しなければならない。まず特定の角度、すなわち特定の視野2αと反射鏡角度βおよびβ-xとが与えられ、それらの角度で視差を縮小する光学系が可能な場合に両反射鏡の反射面を有効に利用できる位置関係と幅を定めるための基本図が図2および図3である。この図3では基本的な要素を検討するため、視対象を実際に用いられるような近距離ではなく、遠距離として照準を合わせ、対物反射鏡と接眼反射鏡とが平行になっている。従って顔面に対する両反射鏡の角度は等しく、βで表されている。また視野は2αで表される。設計の最終段階で対物反射鏡の角度を観察対象の距離に合わせて若干(x度、1度程度)変動させることになるので対物反射鏡の角度は最終的にβ−xになるものとする。以下、視対象側の反射鏡を対物反射鏡、瞳孔側の反射鏡を接眼反射鏡と呼ぶ。
後述するように、図2のシステムで利用できる最大の視野(2α)は35度程度である。この視野で利用できる幅は大型書籍の1ページ程度であり、小型書籍の読書や携帯電話、携帯ゲーム機などには十分である。しかし机上の大型ディスプレーや大型本の見開き、机上を全体見渡すには必ずしも十分では無い。しかし机上でもある程度距離を置けば通常のPCディスプレーを対象に、実用的に使用することは可能であり、室内で中型のテレビを鑑賞する目的にも使用できるであろうと思われる。だだし、それ以上の視野を得るためには瞳孔間距離や装用距離の制限を受けないシステムを開発する必要がある。
視野が瞳孔間距離や装用距離の制限を受けるのは、左右の対物反射鏡の幅が顔の中心線を越えることができないという事と、対物反射鏡に入射する光の範囲を接眼反射鏡が妨害するためである。ハーフミラーを利用するようなシステムも前記の特許諸文献に見られるが、ミラ―の大きさや実用的な構造の事を考慮すると、それを実用化することは困難であることが判明する。一つの方策として、対物反射鏡と視対象とが作る光学系と、接眼反射鏡と瞳孔とが作る光学系とを異なった平面におき、図2および3において平面に対して直角であった両反射鏡を前後方向にも傾け、三次元的な光学系にする方法が考えられる(図8参照)。
但し、この場合も両側の対物反射鏡の幅が顔面の中央を越えて広がることはできない(左右の対物反射鏡の平面をずらせることによって可能ではあるが、左右の像の形と大きさに差ができるので実用的ではない)。この三次元的システムでは対物反射鏡の平面幅の中心は接眼反射鏡に近づくことになって視差の低減量は小さくなるが、輻輳角度を0度にすることはできる。平面画像を見る目的に関する限り、輻輳角度を0度にするだけでも大きな効果が得られるので実用価値はある。また、立体物をルーペで観察する場合には、レンズの収差を軽減する効果は変わらずに得られる。
但し、この三次元的な反射光学系は、そのメリットを生かすと大型になり、普通の顔面装着形式の眼がねにも応用はできるが、それよりはスタンド形式に適している。また倍率の高いルーペを併用するのには向かないが、他方、スタンド形式にすると通常の視力矯正眼がねをかけたままでも楽に使用できるメリットがあり、また後述するような他のメリットもある。
以上の基本型(平面型)と視野拡張型(三次元型)の両形式で、まず平面型からから考察する。まず、図2から、αおよびβが与えられている場合、何れか1つの長さが決まれば他の全ての長さも一意的に定まることが分かる。要するに、d、A、B、E、およびDの全ての長さは角度が一定である限り、正比例の関係にある。つまり、αとβを変えずに何れかの長さを変えると全体が相似形の図形に変化するのみであるからである。
図4の線acとbcはβが45度のときに、対物反射鏡の前方の光線を対物反射鏡に鏡面対称にて反転させ、接眼反射鏡から瞳孔までの部分を、やはり接眼反射鏡面に鏡面対称にて反転させたもので、反射面における反射光を単一方向に展開した図形に相当する。以後このab とbcに囲まれた図形にもとづき、それぞれの角度と長さの関係を考察する。
図5および図6は、それぞれ有効な対物反射鏡の幅A、接眼反射鏡の幅B、接眼反射鏡と瞳孔のあるべき位置との距離E、使用者の瞳孔距離d、および両反射鏡と顔面との角度βと視野を表す角度2αとの関係を考察するための図形である。但しこれがこのまま有効であるのはβが45度である場合だけであり、βが45度以外の場合は図7および図8に示すように、展開図の両反射面と中心線とのなす角度はβとは異なるので、βに相当する角度を一般化してωと表示する。また、dに相当する長さを2Dとする。ωとβとの関係およびdと2Dとの関係は後述する(パラグラフ0036)。
図5から、
Figure 0005545472
Figure 0005545472
従って
Figure 0005545472
正弦定理より
Figure 0005545472
上記数式3および数式4より
Figure 0005545472
一方
Figure 0005545472
また
Figure 0005545472
であるから数式1、数式5、および数式6から
Figure 0005545472
以上がD、A、およびBと角度α、およびωとの関係である。
次にAとBとのあいだに次の関係が成立する。
正弦定理により
Figure 0005545472
および
Figure 0005545472
以上の2式から
Figure 0005545472
参考までに付け加えると、αが15度、βが45度のときはA=2Bとなり、AはちょうどBの2倍となる。
次に図6から接眼距離(瞳孔と接眼反射鏡中心との距離)Eはα、ω、およびBとの関係で定まることが分かる。
図6において
Figure 0005545472
正弦定理により
Figure 0005545472
Figure 0005545472
ゆえに
Figure 0005545472
よって接眼距離Eと接眼反射鏡の幅B、α、およびωとはこの数式14によって表される。
ωが45度の場合、βはωに一致し、Dはd/2となるが、ωが45度以外の場合にはβの値はωとは異なってくるので、βとωとの関係、およびdとDとの関係すなわちdとA、B、α、ωとの関係を図7および図8によって算出する。
図7および図8において線 m n は顔面に平行な面と水平面との交線とすると、βは両反射鏡と顔面とのなす角度となり、dは瞳孔間距離となる。さらに図7および図8において
Figure 0005545472
また、
Figure 0005545472
また、
Figure 0005545472
したがって
Figure 0005545472
また、
Figure 0005545472
Figure 0005545472
したがって
Figure 0005545472
以上の図と数式から、瞳孔距離dと接眼距離Eおよび角度αとβが与えられた場合に(従ってαとωが与えられた場合)両反射鏡の位置と幅AとBを決定し、最大視野すなわち2αという可能な視野を完全に利用するための計算式が得られた。次に最大のαを得るためのβ(ω)を求めるための考察が必要になる。
βの変化によって影響を受ける要素はαだけではなく、5つの長さ、すなわちA、B、D、d、Eの比例関係、さらに両反射鏡と顔面との位置関係にも影響が及ぶものであるため、まずこの5つの長さにおける比例関係と諸要素の位置関係が現実の要請に適合することが条件になり、その条件の下で最大のαが得られる値を見いださなければならない。
それらの長さの中で明らかに制限があるのは瞳孔間距離dおよび接眼距離Eであるが、諸要素の位置関係で問題になるのは対物反射鏡が顔面、特にその凸部、鼻や額の位置に適合できるかということで、これは接眼距離Eとも関わる。
調節できる瞳孔間距離は、あらゆる可能性を考慮に入れるのであれば最低5 cm、最大8 cmの範囲内をカバーする必要があるが、この範囲は狭いほど無理のない設計が可能になる。したがって、一つの設計ですべてをカバーするのではなく、大小、大中小、あるいはそれ以上の何種類かで対応することも考慮に入れる必要がある。
接眼距離Eは、広い視野を確保するには近距離であるほど有利であるが、眼に近づけるには限度があり、これに相当する普通眼鏡の装用距離は、レンズまでの距離として日本では1.2 cmが標準とされている。装着方法により、可能な装用距離は変化するが、反射鏡の視野の中心までの距離として、この1.2 cmを基準として問題無いと思われる。しかし、Eはdと比例関係にあり、角度を一定に保ったままでdを変化させるとEも変化する。すなわち、dを増加させるように調節すると、Eも増加する。
最も一般的な瞳孔間距離の値とされるd値の6.2
cmに対応するEを1.2 cmとした場合、Eはdの約19パーセントに相当する。したがってdが6 cmから6.8 cmまで変化した場合、その差0.8 cmの19パーセントである0.15 cm、すなわち1.5mm程度変化することになる
一方dの調節範囲を5 cmから8 cmまで全域にとると、8 cmまでの3 cmは5 cmに対して60%の増加であり、5 cmのdに対応するEを1.2
cmとすると、dを8 cmまで動かせばEは0.72 cm増加して1.92 cmとなり、相当な移動幅になるが、こういう設計も想定する必要はある。
さらに、装着方法によっては、例えば通常眼鏡の上から使用するような設計を想定すればEを2.5
cm程度までとる場合も想定する必要がある。
また、一般日本人に比べて著しく彫りの深い顔立ちに適合させる場合にも、Eを大きくとる必要が出てくる可能性がある。
以上を考慮し、とりあえず、d値として5 cmから8 cm程度の範囲、E値として1 cmから2.5 cmまでの範囲をカバーする領域でαとβが取り得る範囲を調査することによって、殆どあらゆる成人の瞳孔間距離に対してαを最大にするβを見いだすことが可能になる。そこで、瞳孔間距離dとして5 cm〜8 cmを満足し、接眼距離Eが1.2〜2.0 cmを満足させる範囲におけるαの最大値とそれを満足させるβとを求める必要がある。
この場合、当座の一つの基準として設計の容易な角度としてαに15度、βに45度、そしてEに1.5cmを適用した場合、dは5.20 cmとなり、上記の範囲内に適合ているのでこの近辺に、すなわちEとして1.5cm近辺に対してαとして15度近辺に、かつβとして45度近辺に、dの適正値(5cm〜8cm)を満たす最適値が存在する筈である。そこで、一方でαとしての15度を固定値としてβの取り得る範囲を調査し、他方でβとして45度を固定値としてαの取り得る範囲を調査するのが便利である。
そこでまず、αを15度に固定して上記dおよびEの範囲を満足させるβの範囲を求めるため、各数値の表とグラフを作成すると、以下の表と、これに基づく図9のグラフが得られる。
Figure 0005545472
グラフではβを20度から60度まで5度刻みでプロットしているが、表ではdの最小値を与えるβを求めるために最小値付近すなわちβ=41度前後を1度刻みで表示している。グラフではβ=40度のときに特定のE値におけるdの最小値が与えられるようになっているが、この表から、特定のE値に対するdの最小値を与えるβは1度刻みでは41度であることがわかる。
つぎにβを45度に固定した上で上記dおよびEの範囲を満足させるαの最大値を求めるため、各数値の表とグラフを作成すると次の表2と図10のグラフが得られる。
Figure 0005545472
図10のグラフより、βが45度の場合、αが大きいほどグラフの直線が左の方に移動する。したがって特定のdに対してはEを小さくするほどαが増加し、視野2αが広がり、広い視野を確保することができる。
上記はβが45度の場合であるが、βが45度以外の場合でも、数式8および数式14から、同じ傾向のグラフになることが分かる。なぜなら数式14から、α+ωが90度以下である限りαが増加するにしたがってBが増加することが正弦曲線から明らかであり、したがって数式8から、同様にα+ωが90度以下である限り、αが増加すればdが増加することが明らかであるからである。すなわちα+ω<90である限り、したがって数式15より、α<βである限りαを増加することは図8の直線グラフを左に移行することになる。
したがって図9のα=15とした場合の各β値に対する何れの直線グラフについてもαを増加するとすなわちグラフの線が左に移行する。したがって満足すべきE値とd値の範囲内で右方向にある直線ほど左に移行する余地が大きく、αを増加させる余地が大きいことになる。このグラフではそれがβ=40のときであるが、表1における1度刻みのデータでは、それはβが41度のときであり、データをとった範囲内でのdの極小値はβが41度前後の場合に与えられ、グラフからは、βが35°から50°までの間のd値に大きな差が見られないことが分かり、βが大体この範囲にあればまだαを増加させる余地があることが分かる。
上記より、2αの最大値が与えられるβは40<β<42の範囲内にある。言い換えると事実上βが41度のときに視野2αの最大値が得られることが分かるが、βを制限する要素は他にもある。
パラグラフ0040でも述べたように、βの値によって両反射鏡と顔面との位置関係が異なってくる。これは図7および図8から読みとることができる。図7および図8ではβが45度以下である30°のときと、45度を超える50度のときとを図示しているが、両図で顔面に平行な線が線m nで示されている。
少なくとも顔面の平坦部、すなわち眼の両端部分は両図の線m0 n0より前に出ることはできない。したがってβが45度以下になると(b)図から、接眼反射鏡が顔面から遠ざかることが分かる。接眼反射鏡が顔面から遠ざかることは、眼と接眼反射鏡との間隔が開き、Eを増加させる必要が生じる。したがって広い視野が得られない。また対物反射鏡の角度が小さくなると鼻の位置に重なってくる可能性が大きくなり、対物反射鏡を含む光学系全体を顔面から遠ざける必要も生じてくる。この点から、事実上βを45度よりも小さくとることには無理がある。
一方、βを45度以上にすると逆の傾向になることが図8から明らかであり、接眼反射鏡が眼に近づき、反射鏡の位置が鼻の位置と重なる可能性も減少する。したがってこの点ではβを45度よりも大きくとる方が望ましい。
上記パラグラフ0054から、βが35度から50度の間にあれば事実上、同程度の視野2αが得られるのであるから、この点を考慮し、βを50度付近にとるのが実際的であると考えられる。これで、改めてβを50度にとり、表2と図8と同様のデータを作成したのが次の表3および図11である。
Figure 0005545472
図10および図11のグラフから、1度刻みのαの値それぞれに対する各系列の直線間の間隔はβが45度の場合と殆ど変わらないことが分かるが、同じE値とd値におけるαの値は50度の場合は45度の場合に比べて約0.3度小さくなることが分かる。したがってβを50度にとると45度に比べて視野の点で若干不利であるが、視野全体の2%以下であり、大きな差ではないので誰にでも使用出来るような設計を優先すれば50度はある方が望ましい。実際の対物反射鏡の角度はこの値からx度(約1度)差し引いた値になる(パラグラフ0025参照)。
以上から、βを50度にとった場合、装用距離1.2cm、瞳孔間距離6.2cmという平均的な条件ではαとして18度弱が得られ、瞳孔間距離を5cmから7cmの範囲にとれば、αとして約16度から約18度強まで変化する。一方、αを16度に固定すると、瞳孔間距離5cmから7cmの範囲で装用距離が1.2cmから1.7cmまで変化する。
図11のグラフ平面上で、調節する範囲のd値とE値とを満たす部分を通過するグラフを満たすαにもとづいた設計をすれば良いのであるが、この平面上でE値を一定に保ってdを動かす場合はこのグラフ上を縦に移動することになり、異なったα値の直線を横断する形になるが、αを一定に保ってd値を動かす場合は、そのαにおける直線に沿ってd値を変動させることになる。またその中間的な動かし方も可能である。
αを一定に保ってd値を調節する場合、E値もdに比例して変化し、両反射鏡の有効な反射面の幅A、Bも変化するのでそれに対応しなければならない。Eが増加することはそれほど支障にはならないが、AとBを含め、変化する幅を小さくするにはdの調節範囲が小さくする必要がある。またdの調節範囲を小さくとる方が、大きなd値に対しては大きな視野2αが得られるので有利である。dの範囲が5cmから8cmであるとすれば、それを3〜5段階程度に分けるのが適当であると思われる。
E値を一定に保ってd値を調節する場合、図11の各グラフ直線を横断することになるので、大きなd値に対しては大きな視野2αが得られるような設計が可能であるが、前項と同様にAとBも変化するのでそれに対応できる設計が可能であるかどうかが問題になる。また何れの場合も顔面と両反射鏡あるいは顔面と接眼反射鏡との距離に変化が生じるので、調節範囲を小さめに設計する方が実際的である。
次に現実の光学系で以上の調節を行うためのメカニズムを検討する。調節する要素は片側2つ、したがって両側で4つの反射鏡の位置関係とシステム全体と両眼、すなわち顔面との距離であるが、システム内ではそれぞれ片側両反射鏡の位置関係だけである。その中で対物反射鏡は左右両側の反射鏡が接触しているので角度を調節することは可能でも、移動することはできず、両側対物反射鏡の接触部の位置を基準として接眼反射鏡の位置を調節し、その上でシステム全体の顔面からの距離を調節する他はない。
この場合、より大きなd値に対応するために接眼反射鏡を顔面に平行な方向に移動すると、光学系を相似形に保つために光学系全体を比例して大きくする必要が出てくるが、そのためにフレーム、反射鏡を含め、すべての部品を物理的に拡大することは困難である。 この困難は、αを一定に保って調節する場合には、接眼反射鏡を顔面に平行ではなく、図5における線a cに沿って平行移動することによって避けることができる。ただしこの場合も両反射鏡の必要な反射面の幅は広がるので、それに対応できなければならない。それに対応するには、両反射鏡の幅を調節範囲の最大値に合わせ、最大値に調節されているとき以外は図5の線a
cからはみ出すことなく、線b
cからはみ出すように設計する必要がある。このはみ出しは、調節範囲が広いほど大きくなり、顔面の方に突出することになる。したがってこの意味でも調節範囲は小さい方が有利である。
次に、E値を一定に保ってd値を変化させる場合であるが、それは接眼反射鏡外端を図4の線a
cから更に内側、すなわち顔面側に寄せながらd値を増加させるように平行移動することによって可能になる。これは図12に図示されている。この図12では、ωが一定、この場合はβを45度にてDを約1.5倍に変化させる際にE値を固定し、αを変化させる場合を図示している。この場合、αは3度だけ増加している。2点鎖線にて重ねた線は上述したようなαを変化させずにEを変化させる場合であり、それぞれに付いての移動範囲は17の二重矢印線にて示されている。dを1.5倍に変化させることは、5cmから7.5cmまで調節する場合がそうであり、ほぼ瞳孔間距離全域の調節域に相当し、実用上は無理な調節範囲であるが、角度変化が約3度と分かりやすいので、この大きさに表示している。いずれの場合もdの変化に比例するか、比例に近い程度で反射鏡の必要有効幅が増大するので、それだけの増大分を見込んだ大きさの反射鏡で設計することには無理があり、実用上は最大でも1度程度にすべきであることが、この図からも読み取れる。1度程度にすると、17二重矢印で示した調節範囲は上述のαが一定の場合の調節範囲に可成り近くなる。この際の接眼反射鏡を移動させる軌跡は直線にはならないが、精度上直線と見なして差し支えないので、調節範囲のdの最大値に相当するαにおける接眼反射鏡の位置を図示し、最小値における接眼反射鏡の位置とを結んだ直線(図12の二重矢印線17)を移動させればよい。
接眼反射鏡は線a cと線a c’との中間の範囲内で移動してもよく、その場合も、dの増加に応じてαはa c’に沿って移動した場合以内の範囲で増加することになる。
これまでは対物反射鏡の角度を接眼反射鏡の角度と同一のβとして考察してきたが、これは遠方の視対象に照準を合わせた(視野の中心に合わせる)場合であって、実用に供するには近距離の視対象に合わせなければならない。そのために何れかの反射鏡の角度を変化させる必要があり、その変化量をx度とすると、対物反射鏡の角度を変化させる場合にはβ−xとなり(図13)、接眼反射鏡の角度を変化させる場合にはβ+xとなる(図15)。
図15のように接眼反射鏡の角度を変化させると対物反射鏡のあるべき位置に可成りの変化が生じ、対物反射鏡の位置をも大幅に移動する必要が生じ、結局は両方の反射鏡を動かす必要が生じる。一方、対物反射鏡の角度を変化させた場合は図13に見られるように接眼反射鏡のあるべき位置に及ぼす影響はわずかであるので、無視できる可能性があり、対物反射鏡の角度をβ−xとする調節方式が有利になる。
図13はxを3度として作図したもので、対物反射鏡の角度をβ−xとすると、当然反射光路に変化が生じ、接眼反射鏡の外側端がわずかに光路を遮ることがわかる。この場合に同じ視野2αを得ようとする場合、視野の端は図の2点鎖線b” e’ で表される。この線は図のh(接眼反射鏡の外端で線b’ eが通る)を通らず、b” e’と反射面との交点h'を通らなければならず、接眼反射鏡側にずれることになり、視野の一部が遮られるが、この図のように、βが45度、xが3度の場合はこの位置関係の変化はわずかであって無視できることが見て取れる。しかし、xが大きい場合は無視できない可能性がある。したがってこの点でもxが現実にはどの程度になるかを確定する必要があるので、次に実用上、xをどの程度の範囲に収まるかを検討する。
図2において、この角度xと顔面から視対象Oまでの距離V(正確には視対象Oと左右の視野の中心を通る光線が両側の対物反射鏡面で反射する2点pとp’を結ぶ線pp’の中点qとの距離)とは次式の関係がある。
Figure 0005545472
この式においてd1xは特定のxにおけるd1、すなわち図13におけるd1xである。また、図13から、次式が得られる。
Figure 0005545472
ある特定のV値に対するxを求めるにはVを定数とし、xとd1xを未知数とする数式23と数式24を連立方程式として解く必要が出てくるが、数式24におけるd1自体が数式5および数式17によって定まるようなα、β、ω、d、Eの関数であって非常に複雑な式になる。しかし、視対象の距離は厳密に固定しているわけでもなく、一定の範囲が問題になるのであり、xも2桁を超える精度で調節する必要はない。そこで数式23のxに一連の現実的な値を代入し、想定される範囲内のd1xとVとを縦軸と横軸にとったグラフを作成し、その範囲内で数式24を満足させる領域を確定し、一定のVに対応するxの範囲を求める方法を検討する。
グラフを作成するにあたり、範囲を設定する必要がある。実用上、机上のディスプレーや書面を見る場合、Vは25cmから80cm程度の範囲内と考えられ、平均的には40cm程度が適当であろうと思われる。しかし室内で更に遠くを見る場合などは3m程度になるであろう。更にルーペを使用する場合、明視距離である25cmを倍率で割った距離付近になるので、1.3倍のルーペでは19cm程度、1.5倍のルーペでは17cm程度、2倍のルーペでは13cm程度、5倍のルーペでは5cm程度、10倍のルーペでは2.5cm程になる。これらすべてをカバーする場合は相当広い範囲になるので、3とおりの範囲の一連のxについてVとd1の相関関係を表す表とグラフを作成すると次の各表と各グラフ(図13、14、15)が得られる。
Figure 0005545472
Figure 0005545472
Figure 0005545472
図15、16、および17がそのグラフであり、図15はVが1cmから13cmまで、図16ではVが10cmから90cmまで、図17では1mから5mまでを範囲としている。これらのグラフは見方を変えると、数式23をd1xとVとxの3軸を持つ3次元空間中の曲面で表し、その曲面に含まれる複数の直線としての各xに対するグラフをd1xとVの平面(x=0)に投影したものであるといえる。
これらのグラフと重ね合わせるべき数式24はそのままではプロットできない。d1xとd1の値はxだけではなくβによって変化するが、これまでの考察より、βが45度から50度の範囲が実用上の条件と視野確保の点で最適であることが結論づけられている。そこで45度の場合と50度の場合、それぞれd(瞳孔距離)についてのd1xは次式のようになる。
Figure 0005545472
Figure 0005545472
これら数式25および数式26を表すグラフを、上記数式23を表すグラフに重ね合わせた交点が、βがそれぞれ45度と50度のときにおけるd1x値とV値とx値とを示すことになる。
数式25と数式26はVに無関係であるので上記立体座標中ではV軸に平行な面となるが、投影図に相当する上記各グラフではそれぞれのxに対応する各直線上の特定の1点で交わるはずである。したがって、数式25と数式26にそれぞれの直線におけるxを代入して得られるd1x値をその各直線上にプロットした1点になるはずである。しかしd1xを得るにはさらにd1が確定している必要があり、数式5および数式17からd1を求めるには、α、ω、およびその他の長さが定まっている必要があるが、βが45度の場合にはωも45度であり、50度の場合、ωは40度になる。そこで最適値であるαとして17度のときをとると、βが45度の場合、図10のグラフから平均的な瞳孔間距離6.3cmのときには、接眼距離1.4cmとなり、数式14および数式11からA=3.0となり、d1は1.39cmとなる。一方βが50度の場合には図9のグラフからαが17度のとき、同じ瞳孔間距離6.3cmのときには接眼距離1.3cmとなり、数式14および数式11からAは3.3cmとなり、d1は1.64cmとなる。これらの数値は上記の図13、14、および15のグラフではそれぞれの2点鎖線で表されている。
一方、対物反射鏡の角度がβ−xであるときのd1xは対物反射鏡の角度がβであるとき、すなわちxがゼロであるときのd1を超える値でなければならない。したがってd1xはそれぞれのグラフで上記2点鎖線より若干上に来るはずであり、グラフ領域の中でこの2点鎖線より上にある直線だけに存在する。したがってこの2本の2点鎖線と交わるか少し上になる直線を与えるxについてだけd1xを求めればよいことになる。d1xはそれぞれの直線上で2点鎖線との交点より少し上に来るはずである。
以下の表にそれぞれのxに対応するd1x値を示す。
Figure 0005545472
図15、16および17の各グラフの線上にプロットした×印がそのx値に対応するd1xであり、その点に対応する横軸の値V値が対応する視対象の距離になる。したがって×印に対応するV値とx値が互いに対応することになる。
本フレームの想定する基本的な用途は手持ちあるいは机上で使用する書籍や文書、画像類やテレビ、パソコン用ディスプレー、PDAなどであり、老眼鏡程度の低倍率ルーペ併用の場合を含め、通常の視対象の距離は20cmから50cmとして差し支え無いと思われ、この範囲は図16でカバーされており、xは0.75度から2.5度の範囲に収まっている。したがって通常はこの範囲内で問題無く調節出来れば問題無く使用できると考えられる。
室内空間でテレビなどを鑑賞する場合、本装置を使用するとすれば比較的小型の画面になるので3m程度に照準を合わせると十分と考えられ、図15から、0.1〜0.2度の範囲で固定すれば問題無いと思われる。
拡大凸レンズを挿入使用する場合、倍率によって非常に視対象の距離が変化する。10倍の高倍率ルーペレンズになると視距離は2.5cm付近となり、図13から、10度を遙かに超えることがわかり、5倍のルーペの視距離に相当する5cmでも10度を超え、このとおりに対物反射鏡を調節すると、他の要素に相当な影響が及ぶ事が予想される。しかし、2倍のルーペの標準的な視距離に相当する12.5cmでは3〜4度であり、20cmの場合とそれほど変わらないと言える。また、2倍を超える高倍率のルーペを使用する場合は通常、きわめて狭い範囲を観察する場合に使用するので、必ずしも通常の距離と同じ視野を確保する必要は無いと思われる。通常は2倍程度のルーペにまで同じ視野が確保できれば問題が無いと考えると、xとして最大で3度までの範囲で一定の視野が確保できれば通常の目的での実用に問題は無いであろうと思われる。最高倍率のルーペ用に向けてはそれに応じた専用の設計にすることも可能である。
最大で3度までをxの値として確保すれば実用上に問題無いことが判明したので、パラグラフ0071の問題に戻り、xを3度以内に収めた場合に接眼反射鏡がどの程度視野を妨害するかどうかを検討する。図13に見られるように、この妨害範囲は小さく、無視できる程度であることが図から読み取れる。数値的には、この妨害範囲はつぎのようにして算出する。
妨害範囲は図13(βが45度)においても図14(βが50度)においてもh h’間でありこれは接眼反射鏡の外端からh h’の幅の範囲であり、p hとp h’との比を取れば視野の比が表されることになる。h h’はp hとp h’の差であり、p hは三角形p e h、p h’は三角形p e’ h’からそれぞれp eとp e’に対する比として正弦定理より求められ、p eとp e’の比は三角形p e e’において正弦定理より求められる。そしてp eは対物反射鏡の幅Aに相当する。そこでp e’をA’とすると、以下の各式が成立する。
正弦定理により、
Figure 0005545472
また、三角形pehから、正弦定理により、Aとphの比は次のようになる。
Figure 0005545472
また、三角形peh’から、正弦定理によりA’とph’の比は次のようになる。
Figure 0005545472
妨害される視野の範囲はph−ph’となり、妨害される割合はその値をphで割った数値である。それを関係式で表すと複雑になるので省略し、上述のようにαを17度、ωを45度および40度とし、xを3度として、この妨害範囲を計算する。
図13はβが45度であるので図5と重なり、βとωとが重なっている。しかい45度以外の場合、βとωとは重ならない。図14はβが50度の場合で、βとωとが重なっていない。この場合ωは上述の数式15より、40度である。接眼反射鏡が妨害する視野の範囲はp h−p h’間となり、妨害される視野の割合はその値をp h’で割った数値である。それを関係式で表すと複雑になるので省略し、上述のようにαを17度、βを45度および50度とし、xを3度として、この妨害範囲をA(対物反射鏡幅)に対する比として計算すると次表のようになる:
Figure 0005545472
表8から、ωが45度すなわちβが45度の場合は妨害される視野は0.3%であり、完全に無視できるのに対し、βが50度の場合は2.8%の大きさになる。これは片側であり、左右両眼では妨害される側は反対側になるので、左右で5.4%の視野が妨害される事になる。視野2αが34度の場合、34度の5.4%となり、これは1.8度であり、左右で約2度だけ視野が狭くなることになる。
但し、これはxを調節範囲の最大の3度に取った場合であり、通常の視対象の距離である50cm程度の場合には、xは1.5度程度であり、ちょうど半分程度になるので、視野の妨害はその半分、すなわち左右合わせて1度以下である。これは事実上問題無い大きさであると言える。
ある程度は接眼反射鏡の視野を妨害する部分を削ることによって一定の補正は可能である。しかし、xの最大調節範囲である3度に合わせて妨害領域を削った場合、xを3度以内に調節した場合の反射領域が削られることになるので望ましくない。従って通常使用される視対象に合わせてxを1.5度とした場合の妨害部分を削る事になるが、削った部分だけ、妨害される側と反対側の反射領域を削ることになる。この場合に反対側で減少する視野の領域は、p h’ではなく、h jに対する比で表される。p h’とh jとの比はAとBの比に大体等しく、BはAの約1/2になるので、接眼反射鏡の妨害範囲を削ると、回復できた視野の2倍が反対側で削減されることになり、左右の視野減少域はむしろ大きくなる。しかし、妨害領域の一部を削ることによって、両眼それぞれにとって左右両側が同じだけの視野が減少するようにすれば左右両眼共に両端の同一部分の視野が減少することになるので、両眼での視野減少域を少なくすることができる。そのためには反射鏡幅の妨害領域の1/3を削除することになる。こうすることで視野の妨害率は両側それぞれ削除しない場合の視野妨害率の2/3ずつとなり、合計で4/3となり、むしろ妨害範囲は増加するが、左右両眼では妨害範囲が重なり合うので2倍になることがなく、ωが50度の場合は左右で1.2度に押さえることが可能になる。視野のパーセントでは1.8パーセントであり、これはそのまま接眼反射鏡の幅を削るパーセントになり、0.3mm弱になる。
以上は視差の輻輳角度をゼロ付近に持ってくることを前提にした設計である。しかし輻輳角度を0にすると、人によっては慣れるまで時間がかかる場合もあり、照準を合わせた距離よりも遠方の対象を見るには輻輳角度が負になるので、見づらくなる可能性もある。したがって照準を合わせた距離の対象に対してある程度の輻輳角度を持たせるか調節するような設計も想定できる。ある程度の輻輳角度を持たせると、視野の中心に照準を合わせた距離よりも遠方を見る場合に輻輳角度がマイナスになることを防止できるという利点がある。しかし輻輳角度を調節する設計はさらに複雑な設計になる。
上記の設計でそのまま視対象に輻輳角度を付けるには、目的の視対象よりも遠方に視野の中心の照準を合わせることによって簡単に実現できるが、この場合には反射鏡の有効幅が減少し、左右の視野対象領域が完全に一致せず、視野の左右に無駄な部分が生じ、視野が狭くなる(図2の視野図O’参照)。この場合にも視野全域を確保し、反射鏡の有効な幅を維持するように設計するにはやや複雑な機構が必要になる。具体的には左右の接眼反射鏡の左右の外端の一部が無効になり、反対側部分が不足するため、視野を保つには両側の接眼反射鏡をその幅方向と平行にずらせる必要がある。その距離はわずかであるが、他方で対物反射鏡をも前方へ移動させる必要が生じるので対物反射鏡を前後に移動させる機構が必要になる。
あるいは、最初から一定の固定した輻輳角度を付けた設計も可能で、以上の設計手順をそのまま利用できる。たとえば図3において両眼を結ぶ線を(I)ではなく(II)とすることによってそのような設計が可能になる。しかし、この場合は接眼反射鏡が眼から遠ざかり、対物反射鏡が顔面の方に近づいて来るので、輻輳角度を大きくとることは難しい。しかし本来、輻輳角度を大きくとることは無意味であり、本システムの趣旨に反することでもあり、ごくわずかな輻輳角度を付けたい場合には利用できる方法であると思われる。
以上が問題を解決する手段としての平面型の光学系と使用者の瞳孔距離に合わせてそれを変化させる方法である。次に三次元型、すなわち視野拡張タイプを考察する。視差を低減するシステムは、基本的に両眼の間に全ての光学系を収めなければならないという問題がある。しかし、これは両眼の高さにある平面のみで考察している場合であって、両眼の高さの平面以外の平面を考慮し、三次元的なシステムにすることによって、少なくとも部分的に制約を打ち破ることが可能になり、ある程度の視野を拡張することができる。
同一平面上で視野を拡大しようとすれば図19のように、どうしても対象からの光線に対し、二つの反射鏡に重なる部分が生じ、視野が妨害される事になる。図19〜図21は二次元型の平面的反射光学系に対して垂直な反射光学系を加味したものであり、具体的には対物反射鏡を接眼反射鏡とは異なる上部の平面に持ってきた場合を図示したものである。これはこうすることによって、対物反射鏡の一端と接眼反射鏡の一端とが同一平面では重なってしまうという問題が除去される。さらに左右の対物反射鏡の光学系平面も異なる平面にすることによって、左右の視差をゼロにすることは可能であるが、こうすれば左右の対称性が損なわれ、対象から左右の眼に到達するまでの距離が可成り変化し、画質に影響する。従って左右の光学系を非対称な平面に持ってくることは避けることが望ましい。
図20において対物反射鏡と接眼反射鏡のそれぞれの平面を異なった高さに持ってくる場合の、各長さの関係を示す。この図は図5と同様、実際の反射光路を示すものではなく、反射光路を1つの方向に展開した図である。
図20において対物反射鏡の位置は図4と同一の作図により、図4と同一の条件、すなわちωが45度、αが15度の場合の対物反射鏡の反射面の位置が「対物鏡面1」で表されており、αを25度にまで拡大した場合の位置が「対物鏡面2」で表されている。一方、接眼反射鏡の位置は対物反射鏡とは異なった高さ、この場合はhだけ下方の位置とする。そうすると対物反射鏡と接眼反射鏡との距離は平面上の距離D2に上下方向の距離hをも加味する必要がある。したがって現実の両反射鏡の距離はピタゴラスの定理により次のようになる。
Figure 0005545472
この図は投影図ではなく光路の展開図であるため、接眼反射鏡面はDhだけ離れた位置である「接眼反射鏡面2」の位置に来ることになる。それ以外の主要数値、すなわち瞳孔距離に対応する長さのD、視野の1/2であるδ、対物反射鏡の反射面の下端幅A、接眼反射鏡の下端幅B、および接眼距離に対応する長さEpとの関係式は下記のようになる。
Figure 0005545472
Figure 0005545472
但し、
Figure 0005545472
また、数式5はD1をD12に、αをδに置き換える事ができ、数式14のαもδに置き換える事ができる。
いまD2を0とおくと、数式31は次のようになる
Figure 0005545472
ここで仮にEを1cm、hを2cmとすると、AはBの3倍の長さとなる。実用上、Eが1cm、hが2cmという値は最低限以下であろうと思われる。またこの場合の視野δは、すでに検討した平面型で得られる最大の18度以上を期待する場合には平面型の場合よりも大幅に大きなB値(接眼反射鏡の幅)が必要となる。一例として図19のようにδを25度とし、Eを1.2cmとすると数式14からBは約2cmとなり、A値はその3倍を超えるので6cmを大幅に超えるものとなる。また、次項で述べるように反射鏡の上端の幅は更に増加する。
これまですべての図において、視野、すなわち光路を表す線は縦に位置する反射鏡の上端と下端の中間付近、すなわち、視線の高さの平面上であるものとする。図1から図20までの視野を表すすべての図もすべて視線の高さにある平面上と見なされるが、平面型、すなわち図1から図15までの場合は投影図あるいは水平成分と考えれば両反射鏡の有効面の上端の平面であっても下端の平面であっても同じ事であるのに対し、この三次元型の場合、両反射鏡を前後方向にも、すなわち上方を前方に向けても傾けなければならない。したがって、高さ、すなわち視線の平面から上下方向に角度の付いた高さによって水平成分あるいは視線の平面と同一の平面に投影した図形は異なってくる。具体的には、上方では反射面がより前方に移動するので、それだけ前方への距離成分が加わることになる。
図21は図20で展開された光路を実際の反射面での反射光路に置き換えたものを1つの平面に投影した図である。これも実線は反射鏡中間付近の高さである視線の高さの平面における視野を表しているが、2点鎖線は反射鏡上端を通る、角度の付いた光路の水平成分を表している。この図でAuは対物反射鏡の上端の幅を表している。三次元型では両反射鏡を前のめりに傾けるため、投影すると上端面は例えばこの図のp’ e’の位置に来る。ところがp’ rは中心線を超えた左眼の領域であり、カットせざるを得ない。したがって、視野の上方で左右の視野が狭まるという欠陥が生じる。
以上のような欠点はあるが、視野を拡大する手法としての三次元型を作成することは可能である。ただし、反射鏡、特に対物反射鏡が非常に大きくなり、形も複雑になるので、眼鏡のように装着する方式では難しく、スタンド形式が向いている。
さらに、平面型と三次元型の中間的なものとして、対物反射鏡と接眼反射鏡の高さを、それぞれの反射鏡の高さ全体として異なった平面におくのではなく、若干高さをずらせることも考えられる。これは視野を拡大する目的ではなく、対物反射鏡をやや高い位置に持ってくることにより、鼻の高さなど、顔面の凹凸による障碍を避ける目的で採用できる可能性がある。この場合も上記の設計基準が適用可能である。
使用者の瞳孔間距離に合わせて事実上の最大視野が得られる方式で左右それぞれに一対の反射鏡によって両眼視差を縮小することにより、両眼でルーペを使用する際の各種収差を低減して凸レンズより得られる画質を高め、高倍率凸レンズでの両眼観察を可能にし、さらに、画像を見る場合、凸レンズを使用しない場合も含め、両眼で画像を観察する場合に使用者が画像の物理的表面を知覚する能力を低下させることにより、相対的に画像の遠近法効果を知覚する能力を高め、画像のリアリティー、臨場感を向上させ、観察能力すなわち情報読み取り能力を高めることが可能になる。画像のノイズリダクションシステムといえる効果を持つ。
外側フレームの平面投影図に内部枠、反射鏡の断面、ルーペの挿入可能位置、および右眼の視野を重ねて表現した図。外側フレーム上下の輪郭は重なり、下側プレートに刻まれた溝(または尾根)、内部枠に刻まれた溝(または尾根)は波線で表され、上下プレート間を繋ぐ支柱と補強部、上下プレート間に挟まれた対物反射鏡、上下プレート間に挟まれた内部枠と内部枠内にマウントされた接眼反射鏡、レンズの挿入可能位置はハッチングされた波線の枠で表される。また接眼反射鏡の調節範囲の両端の位置2箇所における反射鏡の反射面および視野と光学中心を表す光路は0.2mmの実線で表している。2点鎖線は視野および視野中心線の変動範囲を表す。 諸変数、すなわち視対象Oまでの距離V、対物反射鏡の幅A、接眼反射鏡の幅B、瞳孔間距離d、視野2α、および反射鏡と瞳孔間とのなす角度βとβからの変移xの定義と位置関係をあらわす図。 図2における対物反射鏡の角度β−xをβに固定し、無限遠の視対象に照準を合わせたときの諸変数の位置関係と視野を表す図。 図3における光路と、その光路をすべて1方向に展開した線を重ね合わせた図(βが45度の場合)。 変数A、B、D、およびEと角度ωおよびαとの関係式を導くための図。 変数BおよびEと角度ωおよびαとの関係式を導くための図。 ωが40度のとき(45度よりも小さい場合)のDとd(瞳孔間距離)との関係式を導くための図。 ωが60度のとき(45度よりも大きい場合)のDとd(瞳孔間距離)との関係式を導くための図。 αを15度に固定した場合の20度から60度までのβの値それぞれについて接眼距離Eに対する瞳孔間距離d値を表すグラフ。 βを45度に固定した場合の異なったαの値についての接眼距離Eに対する瞳孔間距離dの関係を示すグラフ。 βを50度に固定した場合の異なったαについての接眼距離Eに対する瞳孔間距離dの関係を示すグラフ。 dの調節範囲したがってDの調節範囲の最小値から最大値までの接眼反射鏡の反射面の位置変化。但しβが45度の場合。それぞれの長さと角度は上述の各数式から求めることができ、位置を定めることができる。 近距離の視対象に照準を合わせる(視野の中心に合わせる)ために対物反射鏡の角度βが45度の場合にβからx度減じた場合の視野の変化を示す図。 近距離の視対象に照準を合わせる(視野の中心に合わせる)ために対物反射鏡の角度βが50度の場合にβからx度減じた場合の視野の変化と視野の妨害される部分を計算するための諸変数を示す図。 近距離の視対象に照準を合わせる(視野の中心に合わせる)ために接眼反射鏡の角度をx度増加した場合の視野の変化を示す図。 1度から10度まで1度きざみのxそれぞれについての視対象の距離Vとd1x(図11参照)との関係を表すグラフ線上に数式25および26(α=17度のとき)を満足させる点を×印でプロットしたグラフ。 0.25度から2.5度まで0.25度きざみのxそれぞれについての視対象の距離Vとd1x(図11参照)との関係を表すグラフ線上に数式25および26(α=17度のとき)を満足させる点を×印でプロットしたグラフ。 0.25度から0.75度まで0.25度きざみのxそれぞれについての視対象の距離Vとd1x(図11参照)との関係を表すグラフ線上に数式25および26(α=17度のとき)を満足させる点を×印でプロットしたグラフ。図17とは横軸の数値が異なる。 対物反射鏡と接眼反射鏡とが前後に重なったと仮定した場合の視野を示す図。 対物反射鏡と接眼反射鏡のそれぞれの平面を異なった高さに持ってきた場合の各変数の関係式を導くための光路の展開図。 対物反射鏡と接眼反射鏡との2つの平面を同一平面に投影した図に上記展開図を重ね合わせ、接眼反射鏡の反射面幅を、展開図における幅から取得した事を示す図。 βが50度の場合で瞳孔間距離約6cmの場合および約7cmの場合の最適条件における原寸の位置関係を対物反射鏡の前端を一致させて重ね合わせた図この図は実寸に近い大きさで小さく込み入っているため、すべての線が0.2mmで描かれている。 図22を2倍に拡大し、さらに瞳孔間距離7cmに対してα値に最適値の17度ではなく、瞳孔間距離6cmの場合の最適α値である16度を適用した場合の位置関係を追加して重ねた図。 レンズの幅を最大に合わせた場合の最小位置における光軸のずれを示す図 全体概略の平面図と側面図との位置関係を示す図 左右の対物反射鏡だけをマウントした状態の下側プレートおよび支柱断面に対物反射鏡の角度調節スペーサーを示す図 内部枠の平面投影図と側面図との対応関係 全体の斜視図からレンズ、ストッパー、溝、鼻当て、耳かけループとの接続部等、細部と描画上の複雑な部分を省略した図。
軽量で高い強度を持つと同時に量産可能にするために、以下はプラスチック材料を用いることを前提に検討する。
すべての反射鏡を、角度と位置を調節できるようにマウントするために各種の方式が考えられるが、調節した位置で角度と位置を精度良く確実に維持できるようにするために、常に枠が反射鏡四辺の上下全体に接触して保持できるように、上下のプレートで挟まれた反射鏡をスライドさせる構造を基本型とする。これは同時に外側から見ても上下に平行か平行に近い、一定の幅を持った面を持つ事により、安定して手に持ちやすい形でもあり、付属パーツなども取り付けやすい形状になる。
対物反射鏡の調節には各種のメカニズムが考えられる。但し上下のプレートで挟んで固定すること、反射鏡前端の位置を固定した支点として両側の広がりを調節すること、及び調節範囲の角度がきわめて狭いという制約がある。調節範囲の角度がきわめて狭いために、幾つかの定められた角度のスリット差し替えることは困難である。結果的に、上下のフレームに移動できる範囲の枠を刻み、枠内で反射鏡前端の軸を支点として枠内でスライドさせる方式となる。調節の動きそのものはネジその他、各種考えられる。
対物反射鏡の調節範囲は、2〜3度と、わずかであるため、反射鏡両側前端が接触し、動きの支点となる箇所を弾力性のある接着剤で固定する方式が考えられる。また、ストッパーと反射鏡の間にスペーサーを挿入することによって調節するようにすれば、きわめて簡単なメカニズムで目的が達せられる。(図26)ただし、スペーサーは何種類かが必要になる(図26の18)。
弾性接着剤とバネを使用せず、スペーサーの構造だけでも可能である。しかし、弾性接着剤を全く使用しないと反射鏡同士の接触で、ガラスに損傷が生じる可能性がある。
接眼反射鏡は、角度を保持したまま平行移動による調節を可能にするために接眼反射鏡を個別に変形のない堅牢な内部フレームに固定した上で、対物反射鏡と共通したフレーム内で個々の内部フレームを平行移動できるようにする。この移動調節は、内部枠の上下外側と外フレーム上下の内側に移動方向に沿って凹凸でかみ合う溝を刻む事で実現が可能になる。この場合、固定方法としては、ストッパーを利用する方法も考えられるが、内部枠をフレームの上下からバネの力で押さえ込む方法も可能である。それには外フレーム上下の左右両端を結合せずに開放し、中央から両側に向けてわずかのテーパーを付け、バネとして内部フレームを押さえ込むとシンプルな構造が可能になる。
レンズの挿入位置は4とおり、すなわち接眼反射鏡の後(図1の6)、両反射鏡の中間(図1の7)、対物反射鏡の前(図1の8)、およびフレームの外部のいずれかになる。それぞれ長所と短所とがある。対物反射鏡の前に挿入する場合はサイズが大きくなり、倍率の小さなレンズに限られるうえ、重量が増加するが、プラスチックで左右を一体成形したものに出来るというメリットがある。一方、接眼反射鏡の後に持ってくる場合は小さなレンズで済むので軽量にできること、および倍率の高いレンズを使用できるというメリットがあるが、視野を妨げないためには可成り瞳孔に近づけることになる。この場合まつげが接触する可能性があり、支障を来す場合もありうる。両反射鏡の中間に持ってくる場合は、レンズの端が視野の中に入ることになり、視野が若干妨害される。以上の3とおりの位置では何れも光軸が瞳孔間距離の調節によってずれるのでレンズの位置を調節出来ることが望ましいが、調節できるためにはレンズの幅を最小(瞳孔間距離調節範囲の最小値に合わせた幅)にしなければならない。レンズの幅を最大に合わせた場合は光軸が若干ずれる(図24)が、それ程大きな問題にはならないと思われる。また使用者の瞳孔間距離に合わせた幅にカットすることも可能である。この3とおりの何れの場合もレンズは挿入位置に合わせた大きさにカットする必要がある。
またレンズは必ずしも本システムに取り付けて使用しなければならないというわけではなく、大型のレンズを視対象近くに置いても両眼で歪みの少ない高画質の画像を観察することが可能である。スタンド付大型凸レンズのルーペを併用するような用途も考えられる。常時はルーペを使用せず必要に応じて外部のルーペを使用することも、本システムにルーペを挿入した上で、外部の大型ルーペを併用する事もできる。いずれの場合も両眼でひずみの少ない画面を見ることが可能になり、ルーペそのものの価値を飛躍的に高めることにもなる。
以上の長所短所を勘案すると、老眼鏡や2倍程度までの低倍率のルーペは厚みが必要ではないので、取り付ける場合、対物反射鏡の前に持ってくることが、全視野が利用できるので有利である。老眼鏡や低倍率のルーペは比較的遠距離の、ある程度大きな画面を見る際にも使用されるので、視野が狭められないことが望まれるからである。しかし重心が前方に移動することになる。
高倍率のルーペは近距離の狭い範囲に使用する場合に用いられるので、多少は視野が狭まることは差し支えない。従って両反射鏡の中間に挿入することによって瞳孔に近くなり、レンズの拡大率を有効に使用することができる。
10倍くらいまでの更に高倍率のルーペは、有効に利用するには眼にできるだけ近づける必要がある。従って接眼反射鏡の前に挿入できればそれが望ましいが、これも両反射鏡の中間に挿入する方が、無理なく使用できると思われる。
組合せレンズの場合は接眼反射鏡の後と両反射鏡の中間の2箇所を利用できる。
対物反射鏡の前(図1の8)以外の場合、レンズを取り付ける場所は接眼反射鏡をマウントする内部枠内にするのが合理的である。またこの場合、すでに述べたように瞳孔間距離に比例してすべての長さが変わり、適合するレンズの幅も変化し、同時に光軸も幾らかずれる。反射鏡の幅を固定した上でこれらの変化に対応するには、反射鏡幅を最大の瞳孔間距離に合わせる必要があることはすでに述べたことであるが、レンズの幅の場合は最小の瞳孔間距離に合わせる必要がある。それは対物反射鏡の角度調節限度の最大の位置を超えることができないからである。この関係は図24に示されているとおりであるが、レンズ幅は使用者の瞳孔間距離に合わせてカットすれば、この問題は解決する。
このシステムは近距離で使用することが趣旨であるため、軽度の近視の場合は特に視力矯正眼鏡を使用する必要はないと考えられる。強度の近視であっても20cm程度の近距離で使用すれば通常の眼鏡を併用する必要がないものと考えられる。視差が小さくなれば通常では眼が疲れるような近距離を長時間見続けても眼の疲労は少ないと思われる。強度の近視の人がある程度離れた距離の対象を見る場合、眼鏡の上から装着できるような設計も可能ではあるが、快適に使用するには専用の近視あるいは乱視用眼鏡レンズを挿入できるようにカットする必要がある。この場合も両反射鏡の間に挿入するのが適切である。
以上の考察で得られた最適な光学系の典型的な実施例を設計するため、とりあえずβを50°とし、瞳孔間距離の調節範囲を6cm付近から〜7cm付近にとり、これら2つの瞳孔間距離に基づいた実用可能な最適設計を、上記考察を元に同一平面に重ねて作図をする。
図9のグラフより、βが50°のとき、接眼距離1.3cm〜1.4cmあたりでは瞳孔間距離7cmに対応してαとして17°が得られ、瞳孔間距離6cmに対応してはαとして16°が得られることが分かる。上記数式から正確に計算すると、この範囲で次の数値が得られる。
Figure 0005545472
この表の2つの系列から得られる2とおりの設計図を重ねたものが図22である。
図23では図22を拡大した上で、もう1つ、αを16度で一定に保った状態で瞳孔間距離を7cmに移動した場合の位置をも重ねてある。図中(3)がその際の接眼反射鏡の位置で、反射鏡が全体としては(2)の位置よりも若干右よりになり、同時にわずかに前方に移動する。前方に移動することは形態上、設計に有利ではあるが、量的にはあまり意味のない大きさであるので、(2)の位置で設計する方が有利であるといえる。また制作精度が低い場合もあまり意味がないと言える。
この図から、この瞳孔距離として6cmから7cmまでの調節が可能であることが分かる。対物反射鏡の位置は変わらないものの、瞳孔距離6cmの場合には不必要な部分が顔面側に5mmほど生じるが、かろうじて邪魔にならない位置にある。同時に、5cmから8cmまでという、ほぼあり得る瞳孔間距離全域に対応して調節可能な設計が無理であることも分かる。このように対物反射鏡の後部はかろうじて邪魔にならない程度といえるが、余裕を持たせるためには、瞳孔距離を最小の状態に調節するときに、対物反射鏡の後部が顔面に近づきすぎない方が良いので、対物反射鏡の幅をさらに小さくするため、調節範囲を狭める方が望ましい。この例では瞳孔間距離の調節幅を1cmとっているが、できれば6mm程度に収める方が望ましい。接眼反射鏡も瞳孔距離が6cmの位置では顔面側に多少余剰部分ができるが、こちらの方は問題になる長さにはならない。
使用者の瞳孔間距離に合わせてカットした幅の反射鏡に差し替える、あるいは最初から固定した使用者の瞳孔間距離に合わせてカットした反射鏡を挿入する方法をとれば、上記の問題は解決する。この場合、外枠のプレートを幅の狭い反射鏡に合わせて小さめに設計し、幅の広い反射鏡を挿入した場合に枠からはみ出すような設計も可能であり、枠そのものをも調節出来る設計も可能である。
むしろ、瞳孔の適正な位置が前後することが問題になる。接眼反射鏡と瞳孔との適正な距離Eそのものは、表8のとおり、1.46cmと1.44cmで殆ど変わらないが、接眼反射鏡の位置がスライドするため、フレームとの位置関係が前後に変化する。この前後差は、図22の下部に書かれているように0.5cm程度である。従って眼鏡として装着する場合、何らかの方法で、調節することが望ましい。瞳孔距離6cmの場合の適正位置が最前部になり、瞳孔距離7cmの場合の適正位置が最後部になるが、これは瞳孔距離6cmの場合に、さらに対物反射鏡の余剰部分が邪魔になる可能性が出てくる。この意味からも、瞳孔間距離の調節範囲を狭くする方が望ましいことが分かる。この適正な瞳孔位置の前後の変動は、眼鏡形式フレームにて対応するには鼻当ての構造で対応することが適当である。
ただ、瞳孔の位置が適正位置よりも反射鏡面に近づくこと、すなわち接眼距離がE値よりも小さくなることは特に重要な障碍にはならない。この場合は視野の外側に不必要な映り込み、いわばノイズが入り込むことになるだけであり視野が狭まることにはならない。したがって瞳孔位置の前後の調節機構は不可欠の要素ではなく、望ましい要素である。
接眼反射鏡をスライドさせて調節する際、この両位置の間を直線的に移動させれば問題 はない。厳密には直線的にならないが、精度的に直線で全く問題にならない。また、すでに述べたように線acに沿ってスライドさせた場合にはαが16°に保たれる。この場合は移動距離が若干長くなる。あえて保つ必要はないが、実質的にはそれでも殆ど変わらないと言える。
以上を総合し、すべての反射鏡とレンズをマウントする外部枠と内部枠の形態を検討した結果を平面に投影した図が図1である。この図において、太い実線の曲線で表現した符号1が対物反射鏡と接眼反射鏡およびレンズをマウントした内部枠とをマウントする上下のプレート状の外部枠であり、支柱兼ストッパー(符号5)である。内部枠は外部枠からはみ出た部分は実線で、外部枠に隠れた部分が破線で表示されている。
外枠となる上下のプレートは単純な四辺形では顔面にフィットしない。各反射鏡、特に対物反射鏡との接触部に平行に近くなる様に、対物反射鏡の裏側部分を削ることで、ちょうど鼻が突出した顔面にフィットさせることができる。図1および図25、26、28のような曲線にすれば上下のプレートを同一の形にして差し支えないが、下側のプレートには鼻当てを付けられることが望ましい。
フレームの高さは対物反射鏡にとって必要な高さにフレームプレート上下の厚さを加えた数値になる。この高さは長いほど上下に広い視野が得られるが、本発明の本来の目的からは、3cmあれば十分である。しかし、顔面の凹凸によって制約される面があり、上端は額の下部よりも下側、すなわち眉毛の下端よりも下に来ることが望ましく、下端は鼻の高さによる影響があり、あまり下の方までは伸ばすことができない。普通の日本人の場合は上下3cmの高さは十分とることができると思われる。接眼反射鏡は内部枠にマウントするためこれよりも高さは小さくなるが、光学系からも対物反射鏡に対応する接眼反射鏡の高さの有効範囲は狭まるため、このことに問題はなく、3cmの対物反射鏡に対しては2.5cmあれば十分である。
装着方法には各種の可能性が考えられるが、普通の眼鏡に比べて装用距離が安定することが望ましいところに加え、普通の眼鏡に比べて重心が前方に傾くため、通常の眼鏡に使用されるテンプルと呼ばれる耳掛け型では安定性が不足する可能性が高く、さらに確実に固定できる方法が望ましい。ヘッドバンド方式でも良いと思われるが、衛生マスクのように柔軟で伸縮性あるいは調節性のある紐のループを耳に掛ける方法が向いていると考えられる(図28)。この方法であれば、鼻当てで装用距離を調節する場合にそれに応じて長さを調節することばかりではなく、装用角度(傾き)も簡単に安定して調節出来るからである。
比較的小画面、すなわち一般の写真や書籍、あるいはデスクトップ型ディスプレーや中型のテレビ、ノートパソコン、および小画面の各種モバイル機器の画像を見る際に画像のリアリティーを高め、鑑賞、観察能力を向上させること、また読書時における情報読み取り能力向上、さらにルーペを使用する種々の観察、作業、等々を目的に広く適用可能である。特に近年普及が著しいモバイル機器すなわちPDA、携帯ゲーム機、スマートフォンなどの屋内における個人的な使用の際に効果を上げるものと考えられる。
1 外枠上下のプレート部
2 接眼反射鏡をマウントする内部枠
3
接眼反射鏡
4
対物反射鏡
5
外枠の上下プレートを結合する支柱兼反射鏡ストッパー
6
レンズ挿入可能位置1
7
レンズ挿入可能位置2
8
レンズ挿入可能位置3
9
接眼反射鏡をマウントする内部枠をスライド移動させるための溝または尾根
10 外枠下側プレート上の対物反射鏡ストッパー
11 調節範囲の最小瞳孔距離における接眼反射鏡の反射面の位置
12 調節範囲の最大瞳孔距離における接眼反射鏡の反射面の位置
13 接眼反射鏡をマウントした内部枠の移動方向と範囲を表す矢印
14 無限遠に照準を合わせた場合において最小瞳孔距離に調節時に得られる視野範囲
15 無限遠に照準を合わせた場合において最大瞳孔距離に調節時に得られる視野範囲
16 近距離に照準を合わせた場合において最大瞳孔距離に調節時に得られる視野範囲
17 接眼反射鏡をマウントする内部枠の上下プレートを結合する支柱
18 対物反射鏡スペーサー
19 弾性接着剤
20 対物反射鏡前端ストッパー
21 耳掛けループ

Claims (8)

  1. 目前(10倍程度までのルーペを使用できる距離)から住居室内全域程度の近距離の対象を見る際の左右両眼の視差と輻輳角度を縮小する効果を持ち、図2において定義される角度2αの視野を持つ光学系において、視野の1/2に相当する角度α、角度β、βの余角ω、顔面の左右両眼の瞳孔間を結ぶ線に対して瞳孔高さの平面上で角度β−xを持つ対物反射鏡の有効反射面の幅A、同様に角度βを持つ接眼反射鏡の有効反射面の幅B、瞳孔間距離d、および想定瞳孔位置と接眼反射鏡との視野中心線上の距離(接眼距離)E、以上の諸数値の関係が数式11、15、16、および22で表される反射光学系を搭載するフレーム。ただしそれぞれの長さの比例関係には、数式で得られる値から10%の誤差は許容できるものとする。その理由は製作上の精度、xの値が大きくなると、視野に妨害される部分が生じること、一定の範囲内で瞳孔距離による位置調節が可能な設計を行う場合に誤差の発生が避けられないこと、および、10%程度の変化があっても実用は可能であることによる。
  2. 瞳孔間距離の調節が可能な上記請求項1の光学系において、dの調節範囲の最大値に対応する光学系平面図と最小値に対応する光学系平面図とを、その平面図におけるそれぞれの対物反射鏡の反射面前端(図12におけるf点)が一致するように重ね合わせた場合の両方(調節範囲の最大値と最小値)の接眼反射鏡の反射面前端の位置を結ぶ直線(図12における符号17の両端矢印)と平行に(図1における符号9の溝または尾根に沿って)移動することによって使用者の瞳孔間距離に応じた調節を可能にする構造を持フレーム構造。この場合の調節範囲両端のそれぞれの光学系は必ずしも相似形である必要はなく、αの値はdの最大値と最小値それぞれにおいて最適な、異なった値でも差し支えない。
  3. 上記請求項2における左右の対物反射鏡を支柱(図1および26における符号5)で結合された上下2枚のプレート(図1および25における符号1)によって挟んで固定し、同様に当該2枚のプレートの内部に挟んでスライドできる左右一対の内部枠(図1、25、および26における符号2)それぞれに、左右各1枚の接眼反射鏡を固定し、内部枠とプレート外部枠にスライド移動用の溝または尾根の構造(図1および26における符号9)を設けることにより、請求項2のメカニズムを実現するフレーム。
  4. 上記請求項1、2、および3のフレームにおいて、それぞれの対物反射鏡の両側にストッパー(図1、26における符号10および符号5、この場合符号5は支柱と兼用)を設け、反射鏡の両側にスペーサー(図26における符号18)を差し込むことにより対物反射鏡の角度調節(x度調節)を実現するフレーム。
  5. 上記請求項1、2、3、および4のフレームにおいて左右の対物反射鏡の前端の内側接触部に弾性接着剤を貼付し、角度調節の際の強度と柔軟性を実現するフレーム。
  6. 上記請求項1、2、3、4、および5のフレームにおいて接眼反射鏡の内部枠内の符号6、および7、および外部枠の符号8の何れか又は複数の位置にレンズ挿入用の溝、ストッパー等を設けたフレーム。
  7. 上記請求項1、2、3、4、5、および6のフレームにおいて、使用者の瞳孔間距離に合わせた幅の反射鏡を後から挿入できるか、それらに差し替えることが可能なシステム。
  8. 上記請求項1における光学系を平面成分とし、当該光学系における対物反射鏡の高さと接眼反射鏡の高さに差を与え、図19、20、および21に定義された諸要素すなわち対物反射鏡の反射面幅A、接眼反射鏡の反射面幅Bおよび接眼距離Eの関係が数式30および数式31で表される値の近辺になる光学系を搭載したフレーム。
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