JP5544468B2 - 繭加工品の製造方法及び繭加工品 - Google Patents

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本発明は、繭材料に漆を塗装してなる繭加工品の製造方法及び繭加工品に関する。
従来から、例えば、特開平1−156504号公報(特許文献1)に掲載されているように、繭玉からなる繭材料を用いた繭加工品が知られている。この繭加工品は、花の形状に加工されるもので、繭玉の殻の一端部を横断して切断して除去し、次に、他端部を残して縦方向に切り込みを複数入れて花弁部を形成し、この花弁部を他端部から折り返して花形状にしている。また、繭材料は層状になっていることから、花弁部を2層,3層あるいはそれ以上に剥離して花弁の数を増やしている。これにより、この繭加工品は、繭材料の白色や質感そのものが表出した美観のある製品となる。また、適宜、これに染色を施して美観を高めることも行われる。
特開平1−156504号公報
ところで、上記従来の繭加工品においては、適宜染色が施されるものの、ほとんど繭材料そのもので形成されることから、比較的柔らかくなっているとともに、繭材料は層状になっていることから剥離し易く、そのため、形状が崩れやすく、形状の保持が不十分になっているという問題があった。また、ほとんど繭材料そのものであることから、耐水性や耐久性にも劣っている。更に、染色を施す程度なので、表出される質感にも限界があった。
本発明は上記の点に鑑みて為されたもので、形状保持機能や耐水性を向上させ、耐久性を向上させるとともに、繭材料の質感はもとよりそれ以外の質感を表出できるようにし、多様性に富んだ繭加工品の製造方法及び繭加工品を提供することを目的とする。
このような目的を達成するための本発明の繭加工品の製造方法は、繭材料に漆を塗装する塗装工程と、漆を塗装した繭材料を乾燥させる乾燥工程とを備えた構成としている。
繭材料としては、例えば、繭玉、平面繭,繭和紙などが用いられる。塗装に使用する漆としては、生漆、精製漆などを用いることができる。漆は、半透明のもの、あるいは、黒漆や朱漆のように着色漆であっても良い。また、漆は、希釈しても良く、この場合には、希釈溶剤として、塗料用シンナー、エタノール、アセトンなどが使用できる。例えば、漆の重量に対して10〜80wt%の溶剤を添加して撹拌混合したものを使用する。
これにより、繭材料に漆が塗装されると、漆の量や粘度によっても異なるが、漆が少なからず繭材料に含浸し、塗装の仕方によっては繭材料の表面に漆が塗布される。そのため、繭材料の繊維のほつれが防止されて固くなり、形状保持機能が向上させられ、また、漆は撥水性なので耐水性が向上させられる。その結果、耐久性が向上させられる。更には、漆の種類や塗装の仕方により、繭材料の質感はもとよりそれ以外の質感を表出できるようになり、そのため、多様性に富んだ繭加工品を提供することができるようになる。特に、漆であることから、高級感を表出できる。
そして、必要に応じ、上記塗装工程と乾燥工程とを繰り返し行う構成としている。初回の塗装に用いる漆は繭繊維に吸収させるため希釈させたほうが良い。希釈溶剤は塗料用シンナー、エタノール、アセトンなどが使用できる。例えば、漆の重量に対して10〜80wt%の溶剤を添加して撹拌混合したものを使用する。塗装回数は限定されるものではないが、塗装回数を増やすほど繊維のほつれが防止され形状保持機能が向上させられ、耐水性もより一層向上する。繊維の風合いを残す場合は、例えば1,2回程度塗装する。より強固な繭加工品とする場合は、例えば3回〜10回程度の塗装を行う。このように、漆の種類や塗装の仕方により、繭材料の質感はもとよりそれ以外の質感を表出できるようになり、そのため、多様性に富んだ繭加工品を提供することができるようになる。
また、必要に応じ、上記塗装工程での塗装処理は、漆の刷毛塗り、漆の吹き付け、漆液への浸漬の少なくとも何れかから選択される構成としている。何れか1つの処理でも良く、これらの組み合わせでも良い。例えば、最初は、漆液に浸漬し、次は、刷毛やスプレーなどにより漆を塗布する。漆液への浸漬の場合には、上記の希釈した漆液を容器に入れ、この漆液に繭材料を投入して漆を含浸させる。含浸後に余分な漆は除去したほうが良い。塗装手法の選択により、質感の調整ができる。
更に、必要に応じ、上記乾燥工程は、温度100℃〜200℃の環境下で、塗装した漆を硬化させる熱硬化処理を含む構成としている。放置する時間は漆の硬化特性に依存するが、例えば120℃で3時間程度、140℃で2時間程度である。通常、木材に漆を塗布する場合には、100℃を越えると木材が変形して好ましくないが、繭材料は可撓性であることから、多少の変形に対しては影響がほとんどない。200℃を越えると、漆の乾燥には影響がないが、繭材料に好ましくない。
これにより、漆を熱硬化させることができるので、繭材料を硬質のものにすることができ、そのため、より一層、形状保持機能が向上させられるとともに、耐水性が向上させられ、その結果、耐久性が向上させられる。また、乾燥温度が高いので、乾燥の時間を短縮化できるとともに、短時間で漆を硬質にすることができ、製造効率が良い。
更にまた、必要に応じ、上記乾燥工程は、温度15℃〜30℃、湿度60%〜90%の環境下で、塗装した漆を硬化させる温湿度硬化処理を含む構成としている。放置する時間は漆の硬化特性に依存するが、概ね数時間〜1日を要する。湿度の高い状態で比較的時間をかけて乾燥硬化させるので、漆の変色が防止される。
この場合、必要に応じ、上記乾燥工程は、上記温湿度硬化処理後に、温度40℃〜200℃の環境下で、塗装した漆の硬度を上げる硬度上昇処理を含む構成としている。漆の硬度を上昇させるので、より一層、形状保持機能が向上させられるとともに、耐水性が向上させられ、その結果、耐久性が向上させられる。
また、必要に応じ、上記塗装工程の前に、繭材料に染料で着色を行う着色工程を備えた構成としている。その後の、塗装工程において、例えば、希釈した漆を1,2回程度塗装し、繭の繊維の風合いを残すようにすると、染料の色と漆の色とが混合して、独特の色合いを表出できるようになり、より一層、多様性に富んだ繭加工品を提供することができるようになる。
更に、必要に応じ、繭材料を切断する切断工程を備えた構成としている。切断工程は、例えば、塗装工程の前、乾燥工程の後、あるいは、塗装工程と乾燥工程の間等、適宜に設ける。切断工程を複数設けてもよい。切断は、鋏やナイフによる切断や、ポンチによる孔開け等を含む。繭玉をそのまま用いるような場合には、切断工程は不要になる。繭材料の切断により、種々の形状に形成することができ、多様なデザインの繭加工品を提供できる。
この場合、繭材料が、外皮及び内皮からなる繭玉である場合、上記切断工程後に、内皮を除去する内皮除去工程を備えたことが有効である。柔らかい内皮を除去するので、全体を硬質のものにすることができ、より一層、形状保持機能が向上させられるとともに、耐水性が向上させられ、その結果、耐久性が向上させられる。尚、内皮があった方が、デザイン的に有効なのであれば、特に内皮除去工程を設けなくても良いことは勿論である。
更にまた、必要に応じ、繭材料を成形する成形工程を備えた構成としている。成形工程は、例えば、塗装工程の前、乾燥工程の後、あるいは、塗装工程と乾燥工程の間等、適宜に設ける。成形は、繭材料を折り曲げる折り曲げ成形、あるいは、型による型成形、繭玉のように曲面のあるものは、曲面を凹ます成形や曲面を反転させる成形等をいう。繭玉の形状をそのまま利用する場合には、成形工程は不要になる。繭材用の成形により、種々の形状に形成することができ、多様なデザインの繭加工品を提供できる。
そして、上記の目的を達成するための本発明の繭加工品は、上記の繭加工品の製造方法によって製造された繭加工品にある。即ち、繭材料に漆が塗装された繭加工品にある。漆の量や粘度によっても異なるが、漆が少なからず繭材料に含浸し、塗装の仕方によっては繭材料の表面に漆が塗布されているので、繭材料の繊維のほつれが防止されて固くなり、形状保持機能が向上させられ、また、漆は撥水性なので耐水性が向上させられる。その結果、耐久性が向上させられる。更には、漆の種類や塗装の仕方により、繭材料の質感はもとよりそれ以外の質感を表出できるようになり、そのため、多様性に富んだ繭加工品を提供することができるようになる。特に、漆であることから、高級感を表出できる等、上記と同様の作用,効果を奏する。
そして、必要に応じ、上記繭材料の表面の凹凸が表出するように漆を塗装した構成としている。例えば、希釈した漆を1,2回程度塗装し、繭の繊維の風合いを残すようにする。あるいは、ある程度漆を繭材料の表面に厚く塗布しても、繭材料表面の凹凸を残すようにする。繭材料の質感や表面形状を生かすことができ、多様性に富んだ繭加工品を提供することができるようになる。
また。必要に応じ、上記繭材料の表面の凹凸が表出しないように漆を塗装した構成としている。例えば、漆を繰り返し塗布し、必要に応じ、漆表面を研磨また錆付け等により凹凸を取り、漆の質感のみを表出するようにする。繭材料の質感はなくなるが、あたかも、例えば金属に漆を塗布したようにも見え、特に、繭玉の形状をそのまま利用する場合には、曲面になっているので、あたかも金属板を湾曲成形したようにも見え、そのため、多様性に富んだ繭加工品を提供することができるようになる。
本発明によれば、漆が少なからず繭材料に含浸しているので、繭材料の繊維のほつれが防止されて固くなり、形状保持機能を向上させることができ、また、漆は撥水性なので耐水性を向上させることができ、その結果、耐久性を大幅に向上させることができる。更に、漆の種類や塗装の仕方により、繭材料の質感はもとよりそれ以外の質感を表出できるようになり、特に、漆であることから、高級感を表出でき、そのため、多様性に富んだ繭加工品を提供することができるようになる。
本発明の実施の形態に係る繭加工品の製造方法を示す工程図である。 本発明の実施例1に係る繭加工品をその製造工程とともに示す図である。 本発明の実施例2に係る繭加工品をその製造工程とともに示す図であり、図中(a)は繭加工品の斜視図、(b)は繭加工品の断面図である。
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施の形態に係る繭加工品の製造方法及び繭加工品について詳細に説明する。
図1には、本発明の実施の形態に係る繭加工品の製造方法に係る工程図を示している。本発明の実施の形態に係る繭加工品の製造方法は、繭材料を加工するもので、繭材料に染料を含浸させて着色を行う着色工程(Sa)、繭材料を切断する切断工程(Sb1,Sb2)、繭材料が繭玉である場合に切断工程後に内皮を除去する内皮除去工程(Sc1,Sc2)、繭材料を成形する成形工程(Sd1,Sd2)、繭材料に漆を塗装する塗装工程(Se)、漆を塗装した繭材料を乾燥させる乾燥工程(Sf)の各工程を備えている。本製造方法において、塗装工程(Se)と乾燥工程(Sf)は必須の工程であるが、他の着色工程(Sa),切断工程(Sb1,Sb2),内皮除去工程(Sc1,Sc2)及び成形工程(Sd1,Sd2)は、繭材料の条件や得ようとする繭加工品に合わせて、適宜選択して用いられる。
繭材料としては、例えば、繭玉、平面繭,繭和紙などが用いられる。繭玉とは、熟蚕が簇に巣籠りし、糸を吐いて作るもので、円柱の両端が略半球状に形成された形状になっている。平面繭は平面絹とも呼ばれ、熟蚕が簇に巣籠りし、糸を吐いて繭を作る段階で簇から取り出し、平らな物体上に載せて、物体面上に平らにランダムに糸を吐かせ、糸を膜状に展張させた絹の不織布を言う。繭和紙とは、繭を煮て綿状にしたものを、バインダを用いて圧縮加工したものを言う。
塗装に使用する漆としては、生漆、精製漆などを用いることができる。漆は、半透明のもの、あるいは、黒漆や朱漆のように着色漆であっても良い。
次に各工程について説明する。
<着色工程(Sa)>
塗装工程の前に、繭材料に染料を含浸させて着色を行うものである(1−1,1−2)。繭材料は、繭玉そのもの、あるいは、後述の切断工程、成形工程を経た後のものであっても良い。染料としては、例えば布染め用の染料等どのようなものでも良いが、実施の形態においては、例えば、水溶性の塩基性染料を用いている。
着色は、染料の溶液を刷毛塗りし、あるいは、吹き付けし、あるいはまた、染料の溶液に浸漬し、染料を繭材料の繊維に含浸させる。その後、自然あるいは人工乾燥する。
<切断工程(Sb1,Sb2)>
切断工程は、例えば、塗装工程の前(Sb1)、乾燥工程の後(Sb2)、あるいは、図示しないが、塗装工程と乾燥工程の間等、適宜に設ける。切断工程を複数設けてもよい。塗装工程(Se)の前の切断工程(Sb1)は、着色後に行い(1−1,1−2,1−3,1−4)、あるいは、着色せずに行う(1−1NO,1−3,1−4)。また、乾燥工程(Sf)の後の切断工程(Sb2)は、乾燥した繭材料に対して行う(1−10,1−11)。
切断は、鋏やナイフによる切断や、ポンチによる孔開け等を含む。繭玉をそのまま用いるような場合には、切断工程は不要になる(1−3NO,1−10NO)。繭材料の切断により、種々の形状に形成することができ、多様なデザインの繭加工品を提供できる。
<内皮除去工程(Sc1,Sc2)>
繭材料が、外皮及び内皮からなる繭玉である場合、切断工程後に、内皮を除去する。内皮除去工程は、例えば、塗装工程の前(Sc1)、乾燥工程の後(Sc2)、あるいは、図示しないが、塗装工程と乾燥工程の間等、適宜に設ける。内皮除去工程を複数設けてもよい。塗装工程(Se)の前の内皮除去工程(Sc1)は、着色後に行い(1−1,1−2,1−3,1−4)、あるいは、着色せずに行う(1−1NO,1−3,1−4)。また、乾燥工程(Sf)の後の内皮除去工程(Sc2)は、乾燥した繭材料に対して行う(1−10,1−11)。
柔らかい内皮を除去するので、全体を硬質のものにすることができ、形状保持機能が向上させられる。尚、内皮があった方が、デザイン的に有効なのであれば、特に内皮除去工程を設けなくても良いことは勿論である。
<成形工程(Sd1,Sd2)>
成形工程は、例えば、塗装工程の前(Sd1)、乾燥工程の後(Sd2)、あるいは、図示しないが、塗装工程と乾燥工程の間等、適宜に設ける。成形工程を複数設けてもよい。塗装工程(Se)の前の成形工程(Sd1)は、着色後に行い(1−1,1−2,1−3,1−4)、あるいは、着色せずに行う(1−1NO,1−3,1−4)。また、乾燥工程(Sf)の後の成形工程(Sd2)は、乾燥した繭材料に対して行う(1−10,1−11)。
成形は、繭材料を折り曲げる折り曲げ成形、あるいは、型による型成形、繭玉のように曲面のあるものは、曲面を凹ます成形や曲面を反転させる成形等をいう。繭玉の形状をそのまま利用する場合には、成形工程は不要になる。繭材料の成形により、種々の形状に形成することができ、多様なデザインの繭加工品を提供できる。例えば、従来で示したように、花形状の繭加工品の場合、切断工程において、繭玉の殻の一端部を横断して切断して除去し、次に、他端部を残して縦方向に切り込みを複数入れて花弁部を形成し、成形工程で、この花弁部を他端部から折り返して花形状にする。また、成形工程においては、繭材料は層状になっていることから、花弁部を2層,3層あるいはそれ以上に剥離して花弁の数を増やす加工をすることもできる。
<塗装工程(Se)>
繭材料に対して漆を塗装する(1-5)。詳しくは、漆は、適正な粘度に調整される(2−1,2−2)。高粘度の場合、希釈して良い。希釈溶剤として、塗料用シンナー、エタノール、アセトンなどが使用できる。例えば、漆の重量に対して10〜80wt%の溶剤を添加して撹拌混合したものを使用する。また、低粘度の場合、粘度の高い漆を混合して調整する。
この塗装工程(Se)での塗装処理は、漆の刷毛塗り、漆の吹き付け、漆液への浸漬の少なくとも何れかから選択される(2−3)。漆液への浸漬の場合には、上記の希釈した漆液を容器に入れ、この漆液に繭材料を投入して漆を含浸させる。含浸後に余分な漆は除去したほうが良い。塗装手法の選択により、質感の調整ができる。
これにより、繭材料に漆が塗装されると、漆の量や粘度によっても異なるが、漆が少なからず繭材料に含浸し、塗装の仕方によっては繭材料の表面に漆が塗布される。そのため、繭材料の繊維のほつれが防止されて固くなり、形状保持機能が向上させられ、また、漆は撥水性なので耐水性が向上させられる。その結果、耐久性が向上させられる。更には、漆の種類や塗装の仕方により、繭材料の質感はもとよりそれ以外の質感を表出できるようになり、そのため、多様性に富んだ繭加工品を提供することができるようになる。特に、漆であることから、高級感を表出できる。
この場合、塗装工程(Se)と後述の乾燥工程(Sf)とを繰り返し行うことができる(1−5,1−6,1−7YES)。初回の塗装に用いる漆は繭繊維に吸収させるため希釈させたほうが良い。希釈溶剤は塗料用シンナー、エタノール、アセトンなどが使用できる。例えば、漆の重量に対して10〜80wt%の溶剤を添加して撹拌混合したものを使用する。塗装回数は限定されるものではないが、塗装回数を増やすほど繊維のほつれが防止され形状保持機能が向上させられ、耐水性もより一層向上する。繊維の風合いを残す場合は、例えば1,2回程度塗装する。より強固な繭加工品とする場合は、例えば3回〜10回程度の塗装を行う。このように、漆の種類や塗装の仕方により、繭材料の質感はもとよりそれ以外の質感を表出できるようになり、そのため、多様性に富んだ繭加工品を提供することができるようになる。
また、漆の刷毛塗り、漆の吹き付け、漆液への浸漬の塗装処理は、何れか1つの処理でも良く、繰り返し行う場合には、これらの組み合わせでも良い。例えば、最初は、漆液に浸漬し、次は、刷毛やスプレーなどにより漆を塗布する。
更に、漆の塗装においては、繭材料の表面の凹凸が表出するように漆を塗装することができる。例えば、希釈した漆を1,2回程度塗装し、繭の繊維の風合いを残すようにすることができる。塗装工程の前に、着色工程を設けて繭材料に染料で着色を行う場合には、塗装工程では、例えば、希釈した漆を1,2回程度塗装し、繭の繊維の風合いを残すようにすると、染料の色と漆の色とが混合して、独特の色合いを表出できるようになる。また、ある程度漆を繭材料の表面に厚く塗布しても、繭材料表面の凹凸を残すようにすることができる。
これにより、繭材料の質感や表面形状を生かすことができ、多様性に富んだ繭加工品を提供することができるようになる。
更にまた、漆の塗装においては、繭材料の表面の凹凸が表出しないように漆を塗装することができる(1−8,1−9)。例えば、漆を繰り返し塗布し、必要に応じ、漆表面を研磨また錆付け等により凹凸を取り(図1中(Sg)の処理)、漆の質感のみを表出するようにする。繭材料の質感はなくなるが、あたかも、例えば金属に漆を塗布したようにも見え、特に、繭玉の形状をそのまま利用する場合には、曲面になっているので、あたかも金属板を湾曲成形したようにも見え、そのため、多様性に富んだ繭加工品を提供することができるようになる。
<乾燥工程(Sf)>
漆を塗装した繭材料を乾燥させる(1−6)。自然乾燥によっても良いが、下記の処理をしても良い。
乾燥工程(Sf)においては、温度100℃〜200℃の環境下で、塗装した漆を硬化させる熱硬化処理(Ka)を行うことができる(3−1,3−2)。放置する時間は漆の硬化特性に依存するが、例えば120℃で3時間程度、140℃で2時間程度である。通常、木材に漆を塗布する場合には、100℃を越えると木材が変形して好ましくないが、繭材料は可撓性であることから、多少の変形に対しては影響がほとんどない。200℃を越えると、漆の乾燥には影響がないが、繭材料に好ましくない。
これにより、漆を熱硬化させることができるので、繭材料を硬質のものにすることができ、そのため、より一層、形状保持機能が向上させられるとともに、耐水性が向上させられ、その結果、耐久性が向上させられる。また、乾燥温度が高いので、乾燥の時間を短縮化できるとともに、短時間で漆を硬質にすることができ、製造効率が良い。
また、乾燥工程(Sf)においては、温度15℃〜30℃、湿度60%〜90%の環境下で、塗装した漆を硬化させる温湿度硬化処理(Kb)を行うことができる(3−1,3−3)。放置する時間は漆の硬化特性に依存するが、概ね数時間〜1日を要する。湿度の高い状態で比較的時間をかけて乾燥硬化させるので、漆の変色が防止される。
この場合、必要に応じ、温湿度硬化処理(Kb)後に、温度40℃〜200℃の環境下で、塗装した漆の硬度を上げる硬度上昇処理(Kc)を行うことができる(3−4,3−5)。漆の硬度を上昇させるので、より一層、形状保持機能が向上させられるとともに、耐水性が向上させられ、その結果、耐久性が向上させられる。
そして、このようにして製造された繭加工品は、漆の量や粘度によっても異なるが、漆が少なからず繭材料に含浸し、塗装の仕方によっては繭材料の表面に漆が塗布されているので、繭材料の繊維のほつれが防止されて固くなり、形状保持機能が向上させられ、また、漆は撥水性なので耐水性が向上させられる。その結果、耐久性が向上させられる。更には、漆の種類や塗装の仕方により、繭材料の質感はもとよりそれ以外の質感を表出できるようになり、そのため、多様性に富んだ繭加工品を提供することができるようになる。特に、漆であることから、高級感を表出できる等、上述した作用,効果を奏する。
そのため、このような繭加工品は、そのまま、あるいはさらに二次加工を施すなどして、ブローチ,ペンダント等の身飾り品、あるいは、造花等の装飾品、置物、人形等種々の用途に利用できる。
次に実施例を示す。
<実施例1>
図2に示すように、実施例1は、花形状の繭加工品Tである。これは、繭玉からなる繭材料Mを用い、先ず、着色工程(Sa)で、この繭材料Mに染料を含浸させて着色を行う。染料は水溶性の塩基性染料を用いる。この染料の溶液に繭材料Mを浸漬し、染料を繭材料Mの繊維に含浸させる。その後、自然若しくは人工乾燥させる。
次に、この繭玉の状態の繭材料Mを、塗装工程(Se)において、例えば、容器に入れられた希釈した漆液へ、この漆液に繭材料を投入して漆Lを含浸させる。含浸後に余分な漆は除去し、乾燥工程(Sf)において、熱硬化処理(Ka)により、含浸させた漆Lを硬化させる。この塗装工程(Se)及び乾燥工程(Sf)を順次例えば2回行う。繭材料Mは、硬化するが、可撓性を損なうことはないように漆を含浸させる。
それから、切断工程(Sb2)において、繭玉の殻の一端部を横断して切断して除去し、次に、他端部を残して縦方向に切り込みを複数入れて花弁部を形成する。それから、内皮除去工程(Sc2)で、柔らかい内皮を除去するとともに、成形工程(Sd2)で、この花弁部を他端部を反転させて花形状にする。これにより繭加工品T(完成品)とする。繭の繊維の風合いが残り、染料の色と漆の色とが混合して、独特の色合いが表出される。
尚、繭材料の切断,内皮除去及び成形は、塗装工程前(Sb1,Sc1,Sd1)に行っても良い。繭加工品Tは、各種の装飾品に用いることができる。
<実施例2>
図3に示すように、実施例2は、涙形状の繭加工品Tであり、ブローチに供される。これは、繭玉からなる繭材料Mを用い、先ず、切断工程(Sb1)において、繭玉の殻を縦に半分に切断し、内皮除去工程(Sc1)で、柔らかい内皮を除去する。更に、切断工程(Sb1)において、涙形状に切断して輪郭を整える。また、止めピンの金具が通される挿通孔1を開ける。更に、中央にデザインとしての貫通孔2を開ける。
この状態の繭材料Mを、塗装工程(Se)において、例えば、容器に入れられた希釈した漆液へ、この漆液に繭材料を投入して漆Lを含浸させる。含浸後に余分な漆は除去し、乾燥工程(Sf)において、熱硬化処理(Ka)により、含浸させた漆Lを硬化させる。次に、再び、塗装工程(Se)において、例えば刷毛により、比較的粘度の高い漆Lを塗布する。それから、乾燥工程(Sf)において、熱硬化処理(Ka)により、硬化させる。そして、この刷毛塗りの塗装工程(Se)及び乾燥工程(Sf)を順次繰り返し例えば4回行う。これにより繭加工品T(完成品)とする。この繭加工品Tによれば、繭の表面に漆Lが塗布されるが、繭の細かい凹凸に倣って漆が塗布されているので、凹凸が表出される。尚、挿通孔1及び貫通孔2を、乾燥工程後の切断工程(Sb2)で行っても良い。
(Sa) 着色工程
(Sb1,Sb2) 切断工程
(Sc1,Sc2) 内皮除去工程
(Sd1,Sd2) 成形工程
(Se) 塗装工程
(Sf) 乾燥工程
(Sg) 研磨等
M 繭材料
L 漆
T 繭加工品

Claims (13)

  1. 繭材料に漆を塗装する塗装工程と、漆を塗装した繭材料を乾燥させる乾燥工程とを備えたことを特徴とする繭加工品の製造方法。
  2. 上記塗装工程と乾燥工程とを繰り返し行うことを特徴とする請求項1記載の繭加工品の製造方法。
  3. 上記塗装工程での塗装処理は、漆の刷毛塗り、漆の吹き付け、漆液への浸漬の少なくとも何れかから選択されることを特徴とする請求項1または2記載の繭加工品の製造方法。
  4. 上記乾燥工程は、温度100℃〜200℃の環境下で、塗装した漆を硬化させる熱硬化処理を含むことを特徴とする請求項1乃至3何れかに記載の繭加工品の製造方法。
  5. 上記乾燥工程は、温度15℃〜30℃、湿度60%〜90%の環境下で、塗装した漆を硬化させる温湿度硬化処理を含むことを特徴とする請求項1乃至3何れかに記載の繭加工品の製造方法。
  6. 上記乾燥工程は、上記温湿度硬化処理後に、温度40℃〜200℃の環境下で、塗装した漆の硬度を上げる硬度上昇処理を含むことを特徴とする請求項5記載の繭加工品の製造方法。
  7. 上記塗装工程の前に、繭材料に染料で着色を行う着色工程を備えたことを特徴とする請求項1乃至6何れかに記載の繭加工品の製造方法。
  8. 繭材料を切断する切断工程を備えたことを特徴とする請求項1乃至7何れかに記載の繭加工品の製造方法。
  9. 繭材料が、外皮及び内皮からなる繭玉である場合、上記切断工程後に、内皮を除去する内皮除去工程を備えたことを特徴とする請求項8記載の繭加工品の製造方法。
  10. 繭材料を成形する成形工程を備えたことを特徴とする請求項1乃至9何れかに記載の繭加工品の製造方法。
  11. 上記請求項1乃至10記載の繭加工品の製造方法によって製造されたことを特徴とする繭加工品。
  12. 上記繭材料の表面の凹凸が表出するように漆を塗装したことを特徴とする請求項11記載の繭加工品。
  13. 上記繭材料の表面の凹凸が表出しないように漆を塗装したことを特徴とする請求項11記載の繭加工品。
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