JP5539982B2 - 異常bリンパ球増殖の治療におけるhla−gの可溶型の使用 - Google Patents

異常bリンパ球増殖の治療におけるhla−gの可溶型の使用 Download PDF

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Description

本発明は、B型液状癌(cancers liquides)及びB細胞が活性化されている自己免疫疾患のような異常B細胞増殖の治療における、HLA-Gの可溶型の新規な使用に関する。
主要組織適合複合体(MHC)の抗原は、いくつかのクラス、すなわち3つの球状ドメイン(α1、α2及びα3)を有し、α3ドメインがβ2ミクログロブリンと会合するクラスI抗原(HLA-A、HLA-B及びHLA-C)、クラスII抗原(HLA-DP、HLA-DQ及びHLA-DR)、並びにクラスIII抗原(補体)に分けられる。
クラスI抗原は、上記の抗原とは別に、非古典的クラスI抗原とよばれるその他の抗原、特にHLA-E、HLA-F及びHLA-Gの各抗原を含む。
HLA-G遺伝子(HLA-6.0遺伝子)の配列は、GERAGHTYらにより記載された(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1987, 84, 9145〜9149)。これは、4396塩基対を含み、HLA-A、-B及び-C遺伝子のものと相同なイントロン/エキソン機構を示す。この遺伝子は、8つのエキソンと、7つのイントロンと、1つの非翻訳3'末端とを含む。
HLA-G遺伝子は、翻訳終結コドンが、エキソン6の2番目のコドンのレベルで同調して局在化する点で、その他のクラスI遺伝子とは異なる。その結果、このHLA-6.0遺伝子によりコードされるタンパク質の細胞質領域は、HLA-A、-B及び-Cタンパク質の細胞質領域のものより短い。
これらのアイソフォームの発現は、非病変状態の栄養膜(Kovatsら, 1990)、胸腺(Crisaら, 1997)及び膵臓(Cirulliら, 2006)のようないくつかの組織に限定される。
この非古典的クラスI抗原に関するその他の研究(ISHITANIら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1992, 89, 3947〜3951)は、HLA-G遺伝子の主な転写産物が、いくつかの様式でスプライシングされることが可能であり、少なくとも3つの異なる成熟mRNAを生成することを示した。HLA-Gの主な転写産物は、1200 bpの完全コピー(G1)と、900 bpのフラグメント(G2)と、600 bpのフラグメント(G3)とを供給する。転写産物G1は、エキソン7を含まず、ELLISら(上記)により記載される配列に相当するが、すなわち、これは、シグナル配列と、3つの外部ドメインと、膜貫通領域と、細胞質配列とを含むタンパク質をコードする。mRNA G2は、エキソン3を含まず、すなわち、これは、α1ドメインとα3ドメインとが直接連結されたタンパク質をコードする。mRNA G3は、エキソン3もエキソン4も含まず、すなわち、これは、α1ドメインと膜貫通配列とが直接連結されたタンパク質をコードする。HLA-G2抗原を得るために優勢なスプライシングは、アデニン(A) (α1をコードするドメインに由来する)を、配列AC (α3をコードするドメインに由来する)に連結することを導き、このことにより、コドンAAC (アスパラギン)がコドンGAC (アスパラギン酸)の位置に創出され、これは、HLA-G1中のα3ドメインをコードする配列の始点に出現する。HLA-G3を得るために行われるスプライシングは、スプライシング領域において新しいコドンの形成を導かない。
この文献の著者らは、発現される種々のタンパク質も分析した。3つのmRNAが、.221-G細胞系統においてタンパク質に翻訳される。彼らは、証明することなく、HLA-G分子が、母体免疫応答に対する胎児の保護において基本的な役割を有すると結論付けている(免疫寛容の誘導)。
いくらかの発明者が、この役割を確認している。栄養膜の表面で発現されるHLA-G分子は、胎児細胞を、母体ナチュラルキラー(NK)細胞による溶解から効果的に保護する(CAROSELLA E.D.ら, C.R. Acad. Sci., 1995, 318, 827〜830; CAROSELLA E.D.ら, Trends Immunol. Today, 1996, 17, 9, 407〜409)。
さらに、いくらかの発明者が、HLA-G mRNAのその他のスプライス形の存在を示している。エキソン4を含まないHLA-G4転写産物;イントロン4をエキソン4と5の間に含み、よって、この転写産物の翻訳中のリーディングフレームの改変、特にイントロン4のアミノ酸21の後に停止コドンの出現を引き起こすHLA-G5転写産物;イントロン4を有するが、エキソン3を喪失したHLA-G6転写産物(KIRSZENBAUM M.ら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1994, 91, 4209〜4213; 欧州特許出願第0 677 582号; KIRSZENBAUM M.ら, Human Immunol., 1995, 43, 237〜241; MOREAU P.ら, Human Immunol. 1995, 43, 231〜236);及びイントロン2を含み、よって、この転写産物の翻訳中にリーディングフレームの改変と、イントロン2のアミノ酸2の後に停止コドンの出現を引き起こすHLA-G7転写産物。彼らは、これらの種々の転写産物が、いくつかの型の胎児及び成体ヒト細胞において、特にT及びBリンパ球において発現されることも示した(KIRSZENBAUM M.ら, Human Immunol., 1995, 前掲書中; MOREAU P. et al., Human Immunol. 1995, 前掲書中)。
よって、少なくとも7つの異なるHLA-G mRNAが存在し、これらは、4つの膜アイソフォーム(HLA-G1、G2、G3及びG4)と3つの可溶性アイソフォーム(HLA-G5、G6及びG7)を含む7つのHLA-Gアイソフォームを潜在的にコードする。
予備的な研究は、HLA-GのゲノムDNAを含み、他の転写産物の全てを潜在的に産生するベクターでの形質移入により得られる標的細胞の表面上でのHLA-G分子の発現により、上記の標的細胞を、母体子宮内膜の脱落膜層のNK細胞の溶解活性から保護できることを示している(CHUMBLEY G.ら, Cell Immunol., 1994, 155, 312〜322; DENIZ G.ら, J. Immunol., 1994, 152, 4255〜4261)。
これらの予備的な研究は、その後、確認された。つまり、膜結合アイソフォームと可溶性アイソフォームとはともに、免疫寛容である。
- これらは、NK細胞及びCTLにより媒介される細胞溶解を阻害する;
- これらは、アロ増殖性(alloproliferative)T応答を阻害する。T細胞へのHLA-Gの阻害作用は、M. CAROSELLAのグループから発表されたものを含む文献(5〜13)に記載されている;
- これらは、T細胞及びNK CD8+細胞においてアポトーシスを誘導する。
つまり、HLA-Gタンパク質は、それが細胞表面上で発現されたときと、分泌されたとき(離れた作用)とにともに、その機能を局所的に奏する。よって、これは、生物の免疫監視機構を提供する(Teyssier E.ら, Nat. Immunol., 1995, 14, 262〜270)。
その免疫寛容の特性は、HLA-Gを形質移入された多くの腫瘍系統モデルにおいてもインビトロで証明されている(6、23、24)。HLA-G抗原は、免疫担当細胞の機能を阻害することにより、免疫寛容を確立して維持することにおいて重要な役割を有する。
これらの阻害効果は、特定の阻害性受容体、すなわち、B細胞、いくつかのT細胞、いくつかのNK細胞、単球及び樹状細胞により発現されるILT-2 (免疫グロブリン様転写産物-2) (CD85j)、骨髄系の細胞により発現されるILT-4 (CD85d)、並びにNK細胞のCD56brightサブセットにより発現されるKIR2DL4/p49 (CD158d) (Cantoni C.ら, 1998; Rajagopalan S.ら, 1999; Najiら, 2007) (1〜4)とのHLA-Gの直接の結合により媒介される。
これらの特性は、全てのアイソフォームが共有する。
すなわち、HLA-G、特にHLA-G5のような可溶性アイソフォームは:
- T CD8+細胞、及びCD8受容体との結合により活性化されたNK細胞のアポトーシスと、Fas/Fas経路の刺激を誘導する;
- これらは、それを分泌するアロ反応性T CD4+細胞の増殖性応答を阻害するので、フィードバック機構によりそれらの阻害効果を奏する;
- 種々の免疫細胞(NK細胞、T細胞、B細胞及び抗原提示細胞)の表面上でさまざまに発現された阻害性受容体との相互作用により奏される免疫抑制特性を有する(Carosellaら, Trends in Immunology, 2008, 29, 3, 125〜132; フランス特許出願第2 810 047号; Najiら, 2007);
- IL-10及びインターフェロンのようなサイトカインにより媒介される効果により、それらの免疫抑制活性を奏する(フランス特許出願第2 810 047号)。
HLA-Gの免疫寛容誘発特性は、妊娠、移植及び自己免疫の障害、並びに炎症性疾患において、免疫反応を制限することにより利点を有するが、癌において及びウイルス感染の後に、腫瘍細胞又はウイルスに感染した細胞のエスケープを許容することによる有害な効果も有する。
よって、腫瘍細胞によるHLA-Gの発現が、HLA-Gと、T細胞及び腫瘍に浸潤するNK細胞により発現されるILT-2型の阻害性受容体との相互作用による抗腫瘍応答を腫瘍細胞が阻害することを可能にする負の因子であると広く認識されている(HLA-Gと癌についてのジャーナルSeminars in Cancer Biologyの特別版を参照されたい(16))。よって、HLA-Gのこの作用は、腫瘍進行を導き、HLA-Gの遮断は、現在、新しい抗腫瘍療法アプローチとして提案されている。例えば、免疫系の作用に対向する黒色腫細胞の保護におけるHLA-Gの役割を示す、M. Carosellaのチームの黒色腫についての研究に言及できる(17〜20)。この観察は、HLA-G1及びHLA-G5分子の発現による同種細胞毒性応答から保護された神経膠腫又はヒト腎癌系統のような他の型の腫瘍においても確認されている(10、21、22)。腫瘍学におけるHLA-Gの役割についての多くの概説が、これらの観察について確認している(2、14、15、25〜27)。
しかし、これらの研究は全て、固形腫瘍で発現されたHLA-G分子の作用に関する。
驚くべきことに、本発明者らは、今回、HLA-Gの可溶型が、免疫系のB細胞に対して抗増殖作用を有することを明らかにした。例えば、本発明者らは、特に、HLA-Gの可溶型の、Bリンパ球の分化、増殖及び抗体分泌の機能に対する阻害作用を明らかにした。これらの結果は、B細胞悪性血液疾患(リンパ腫、リンパ性白血病、骨髄腫、バーキット症候群、ホジキン病など)の範囲内で特に決定的な影響を有する。
よって、本発明は、B細胞悪性血液疾患、すなわち免疫系の異常B細胞増殖が観察される病変の治療又は予防用の医薬品を製造するための、HLA-Gの可溶型の使用に関する。
言い換えると、本発明は、B細胞悪性血液疾患の治療又は予防用の医薬品として用いるためのHLA-Gの可溶型に関する。
B細胞が腫瘍性である腫瘍学におけるHLA-Gのこのような使用は、特に予期できない。なぜなら、これは、腫瘍が免疫監視機構を回避する機構としてのHLA-Gの役割の現在の構想とは反対にあるからである(2、14、15)。
今回、本発明者らは、HLA-Gが、阻害性HLA-G受容体を発現する免疫系の腫瘍細胞、すなわち主にB細胞の増殖を特異的に阻害することを見出した。HLA-Gは、異常に活性化されたB細胞の増殖、形質細胞への分化及び抗体分泌能も阻害し、このことは、これらを、B細胞が異常に活性化された自己免疫疾患において用い得ることを意味する。
B Raji腫瘍系統の細胞(ATCC受入番号:CCL-86)の増殖の阻害を示す。 分裂促進剤により刺激された正常B細胞に対するHLA-G5の阻害活性を示す。B細胞増殖に対するHLA-G5の阻害作用。 分裂促進剤により刺激された正常B細胞に対するHLA-G5の阻害活性を示す。B細胞から形質細胞への分化に対するHLA-G5の阻害作用。 分裂促進剤により刺激された正常B細胞に対するHLA-G5の阻害活性を示す。抗体を分泌するB細胞の能力に対するHLA-G5の阻害作用。 種々の系統の細胞の増殖阻害を示す。Daudi腫瘍系統(ATCC受入番号: CCL-213)。 種々の系統の細胞の増殖阻害を示す。OPM-2腫瘍系統(DSMZ受入番号: ACC 50)。 種々の系統の細胞の増殖阻害を示す。RPMI 8226腫瘍系統(ATCC受入番号: CCL-155)。 悪性CD138+形質細胞への、多発性骨髄腫の患者の骨髄からのCD138-細胞の分化の阻害を示す。細胞は、HLA-G5の存在下(ビーズ-HLA-G5)又は非存在下(Φ及びビーズ)で感作した。3回の反復の1回のみを示す。ビーズを含まない培養培地を用いて感作した細胞(「Φ」)について、100個のうち17個のCD138-細胞がCD138+細胞に分化した。マイクロビーズのみを含む培養培地で感作した細胞(「ビーズ」)について、100個のうち18個のCD138-細胞がCD138+細胞に分化した。HLA-G5で被覆されたマイクロビーズを含む培養培地で感作した細胞(ビーズ-HLA-G5)について、100個のうち4個のCD138-細胞がCD138+細胞に分化した。
定義
B細胞悪性血液疾患
悪性血液疾患(又は血液癌)は、異常B細胞増殖が観察される癌又は液状腫瘍、すなわちその細胞が液体(血液又はリンパ液)中を循環する腫瘍である。これらの液状癌のうち、血液の癌(白血病)、骨髄の癌(骨髄腫、マクログロブリン血症)又は神経節の癌(リンパ腫)が特に挙げられる。よって、B細胞悪性血液疾患は:
・リンパ球前駆体(血液及び骨髄)に影響するB型急性リンパ性白血病(ALL B);
・B-1 CD5細胞(血液)に影響する慢性リンパ性白血病(CLL);
・プレB細胞(血液及び骨髄)に影響するプレB細胞白血病;
・胚中心のB細胞に影響するホジキン病(リンパ腫);
・非ホジキンリンパ腫、例えば末梢成熟記憶B細胞に影響するバーキットリンパ腫若しくは濾胞性リンパ腫、又は休止状態の末梢ナイーブB細胞に影響するマントル細胞リンパ腫;
・IgM分泌性B細胞(形質細胞)に影響するワルデンシュトレームマクログロブリン血症;並びに
・多発性骨髄腫(又はカーラー病)
を含む。
例えば、非ホジキンリンパ腫は、リンパ系の悪性腫瘍である。多数の形態が存在し、これらは、互いに非常に異なって発展する。
これらのリンパ腫は、T又はBリンパ球から開始して発達する。B細胞腫瘍は、西洋諸国における事例の75%を占め、T細胞腫瘍は、東アジアでより一般的である。
非ホジキンリンパ腫の発生率は、世界中で増加している。287000件を超える新しい事例が、主に先進国において毎年生じる。
非ホジキンリンパ腫は、先進国でより頻繁に発生し(世界中の事例の合計数の52%)、これらの発生率は過去20年間で、主に北米、西欧、オーストラリア、イスラエル、サウジアラビアにおいて増加している。リンパ腫は、AIDSの事例の5〜10%において見られる腫瘍性合併症でもある。
異常に活性化されたB細胞
B細胞は、それらが自己抗原に応答する場合に、異常に活性化されたという。
HLA-Gの可溶型
上記のHLA-Gの可溶型は、HLA-G5、HLA-G6及びHLA-G7を含む群から選択され、好ましくはHLA-G5である。これらの可溶型は、当業者に公知である。
液状癌におけるHLA-Gの使用は、代替治療又は例えばKeating M.ら(Hematology, 2003, 153〜175); Dighiero G.ら(The Lancet, 2008, 371, 1017〜1029);又はAuer R.ら(Br. J. Hematol., 2007, 139, 635〜644)に記載されるような通常用いられる治療と組み合わせた補完治療を構成する。
通常用いられるその他の抗癌製品とは根本的に異なる作用機構を有するHLA-Gの可溶型は、よって、単独又はこれらのその他の製品との組み合わせで、(i)他の治療での応答レベルが乏しい場合、(ii)他の治療への耐性が出現する場合、及び(iii)他の治療を用いて観察される望ましくない影響が大きすぎる場合において利点を提供する。
HLA-G5、より一般的にはHLA-Gの可溶型は、液状癌において、抗増殖活性を有し、腫瘍進行を制限する。
この活性は、HLA-Gの発現を遮断して固形腫瘍を除去することを狙いとする固形癌に関連して以前に記載されたこととは反対である。
本発明によると、用いられるHLA-Gの可溶型は、以下のいずれかである:
- 溶液中で2量体を任意に形成できる遊離(又は単量体)型、又は
- 多量体型、特にビーズ上での凝集型、よってHLA-Gの分子が、HLA-G分子の機能的に最適な高次構造であると記載されている多量体の形になる。実際に、HLA-Gの2量体は、単量体と比較してHLA-G受容体について大きく増加した親和性を示すと記載されている。
本発明によると、異常B細胞増殖は、精製されたビーズ上に凝集していないHLA-Gの可溶型、及びHLA-Gの可溶型の凝集形の両方により阻害される。
本発明は、HLA-Gの可溶型と、少なくとも1種の医薬的に許容され得る媒体とを含む、B細胞悪性血液疾患の治療又は予防用の医薬品として用いるための医薬組成物にも関する。
上記の組成物の有利な実施形態によると、上記の医薬的に許容され得る媒体は、非経口投与に適する。
投与は、例えば、静脈内、筋肉内又は皮下であり得る。
上記の組成物の有利な実施形態によると、上記の医薬的に許容され得る媒体は、吸入による投与に適する。
皮下投与に用いられる液剤又は懸濁剤は、典型的に、1つ以上の以下の化合物を含む:滅菌希釈剤、例えば注射用調製物のための水、等張及び緩衝生理食塩水、油、ポリエチレングリコール、グリセロール、ポリプロピレングリコール若しくはその他の合成溶媒;抗菌剤、例えばベンジルアルコール若しくはメチルパラベン;抗酸化剤、例えばアスコルビン酸若しくは重亜硫酸ナトリウム;キレート化剤、例えばエチレンジアミン四酢酸;緩衝剤、例えばアセテート、シトレート若しくはホスフェート;及び浸透圧調整剤、例えば塩化ナトリウム若しくはブドウ糖。pHは、酸又は塩基、例えば塩酸又は水酸化ナトリウムを用いて調整できる。
これらの調製物は、アンプル、ディスポーザブルシリンジ又はガラス若しくはプラスチックで作製された複数回用量の瓶の形態であり得る。
注射に適する医薬組成物は、滅菌水性液剤、滅菌分散剤又は滅菌注射用液剤若しくは分散剤の即時調製物のための散剤を含む。
静脈内投与のために、好ましい媒体は、生理食塩水、静菌水、Cremophor ELTM (BASF, Parsippany, NJ)又はPBSバッファーを含む。全ての場合において、組成物は滅菌で流体でなければならない。これは、調製及び貯蔵の条件下で安定でなればならず、細菌若しくは真菌のような微生物の汚染作用に対する防腐剤を含まなければならない。
例えば、媒体は、例えば水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール又は液体ポリエチレングリコール)及びこれらの化合物の混合物を含有する溶媒又は分散媒であり得る。
適当な流動性は、例えばレシチン又は界面活性剤を用いることにより維持できる。微生物の作用は、種々の抗菌剤及び抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸及びチメロサールの使用により防ぐことができる。上記の組成物は、等張剤、例えば糖類又はマンニトール、ソルビトールのようなポリアルコール類又は塩化ナトリウムも含み得る。
注射用組成物の持続作用は、モノステアリン酸アルミニウム又はゼラチンを製剤に加えることにより得ることができる。
本発明は、B細胞悪性血液疾患の癌の治療又は予防における同時、別々又は逐次的な使用のための組み合わせ調製物としての、HLA-Gの可溶型と抗癌製品とを含有する製品にも関する。
上記の構成とは別に、本発明は、本発明による方法を用いることの実施例と添付の図面とに言及する以下の記載から明らかになるその他の構成をさらに含む。
しかし、これらの実施例は、本発明の目的を説明するためだけに与えられ、本発明の限定をいずれにせよ構成するものでないことが理解されなければならない。
実施例1:材料及び方法
- 細胞及び細胞培養
バーキット症候群の患者から得られたバーキットリンパ腫の2つのヒト腫瘍系統(Raji、ATCC受入番号: CCL-86及びDaudi、ATCC受入番号: CCL-213)、及び2つの骨髄腫細胞系統(RPMI 8226、ATCC受入番号: CCL-155及びOMP-2、DSMZ受入番号: ACC 50)を得た。
全ての細胞を、10%の胎児ウシ血清、2 mMのL-グルタミン、ファンギゾン及びゲンタマイシンを含有するRPMI培地で培養する。
末梢血単核細胞(PBMC)を、健常なボランティアドナーから単離する(French Blood Establishment, St Louis Hospital, Paris, France)。健常ドナーからのヘパリン処理した全血からのPBMCを、Ficoll-histopaque 1077 (Sigma)での密度勾配遠心分離により得る。
CD138-細胞画分は、Pasteur-Cerba (Cergy, France)により供給された。これらの細胞画分は、CD138+形質細胞を、抗ヒトCD138磁気マイクロビーズ(Miltenyi Biotech)を用いてそこから除去した多発性骨髄腫の患者から得られた試料から単離された骨髄(BM)からの単核細胞に相当する。インフォームドコンセントを、ヘルシンキ宣言に従って全ての患者から得て、研究は倫理委員会に承認された。
- 抗体
・W6/32:β2ミクログロブリン(β2m)と会合するクラスI HLA分子に特異的なIgG2a (Sigma-Aldrich)。
・5A6G7: IgG1抗HLA-G5及びG6 (Le Rondら, Eur. J. Immunol., 2004, 34, 649〜660; Menierら, Blood, 2004に記載される)。
- HLA-G5の生成
タンパク質HLA-G5及びその核酸配列は、欧州特許出願第0 677 582号に記載される。HLA-Gのアイソフォームの可溶型の、バキュロウイルスにおける生成は、欧州特許出願第1 189 627号の実施例1に詳細に記載される。
簡単に、組換えタンパク質HLA-G5を、5%の胎児ウシ血清(Invitrogen)を含有するTNMFH培地で培養し、HLA-G5をコードする配列を含有するバキュロウイルスに感染させた(HLA-G5バキュロウイルス)か、又はHLA-G5バキュロウイルスと、ヒトβ2mをコードするバキュロウイルス(Appligene)とに感染させ、5% CO2の存在下で27℃にて5日間培養したSF9昆虫細胞において生成する。
非発熱性タンパク質HLA-G5を、感染SF9細胞の培養上清から、W6/32モノクローナル抗体を用いるイムノアフィニティークロマトグラフィー(Sigma-Aldrich)により精製する。
- マイクロビーズ上に吸着された組換えHLA-G5の生成
簡単に、磁気マイクロビーズは、300 nmの直径の単分散粒子であり、それらの表面に共有結合したヤギ抗マウスIgGで被覆されている(Bio-Adembeadsヤギ抗マウス、Ademtech)。
これらのマイクロビーズを、4℃にて1晩、HLA-G5に特異的な5A6G7モノクローナル抗体(Exbio)とインキュベートする。
洗浄した後に、5A6G7抗体で被覆されたマイクロビーズを、HLA-G5を含む培地と4℃にて2時間インキュベートする。
HLA-Gの捕捉は、ウェスタンブロット分析により、Le Rondら, Eur. J. Immunol., 2004, 前掲書中、に記載される条件下で確認する。
- 細胞増殖の試験
腫瘍細胞系統を、3つのウェルに、HLA-G5で被覆されたマイクロビーズ又はマイクロビーズ単独(陰性対照)のいずれかの漸増量を含有する培地100μlあたり104細胞で播種する。
24時間後に、培養物を、3H-チミジン(1μCi/ウェル、Amersham, Biosciences)でパルスする。
細胞を18時間後に回収し、DNAへのチミジンの取り込みを、βカウンタ(Wallac 1450, Pharmacia)で定量する。
末梢血単核細胞(PBMC) (105細胞/ウェル)を、ヤマゴボウマイトジェン(2μg/ml)により、HLA-G5ビーズ若しくはビーズ単独(2.103ビーズ/細胞)の非存在下又は存在下において活性化する。
5日後に、培養物を、3H-チミジン(1μCi/ウェル、Amersham, Biosciences)でパルスする。細胞を18時間後に回収し、DNAへのチミジンの取り込みを、βカウンタ(Wallac 1450, Pharmacia)で定量する。
- 細胞周期の分析
Raji細胞を、HLA-G5ビーズ又はビーズ単独(5.104ビーズ/細胞)のいずれかで処理する。24時間後に、Raji細胞を、PBSバッファー中70% (v/v)のエタノール中で固定し、4℃にて1晩インキュベートする。洗浄した後に、細胞を、40μg/mlのヨウ化プロピジウム(Sigma)及び100μg/mlのRNアーゼA非含有DNアーゼを含有するPBSバッファー中、氷中で、少なくとも10分間インキュベートする。
細胞周期のパラメータは、LSR (商標)フローサイトメーター及びソフトウェアCell Quest (商標) (Becton Dickinson)を用いて得る。
細胞周期の分布は、ソフトウェアModFit LT (商標)を、AutoDebris (商標)及びAutoAggregates (商標)とともに用いる自動化分析により決定する。細胞周期の各段階(G0/G1、S及びG2)にある細胞のパーセンテージは、Menier C.ら(Leukemia, 2008, 22, 578〜584)に記載されるようにして計算する。
- 細胞質内免疫グロブリンの免疫蛍光染色
PBMC (106細胞/ml)を、ヤマゴボウマイトジェン(2μg/ml)により、HLA-G5ビーズ若しくはビーズ単独(2.103ビーズ/細胞)の非存在下又は存在下において活性化する。
5日後に、細胞を、培養物から、サイトスピン法(superfrost/plus (登録商標)プレート(Merck, Strasbourg))及びCytospin 3 (登録商標) (Shandon)により採集する。
染色のために、細胞をエタノール中で固定し、FITC (フルオレセイン5-イソチオシアネート)で標識されたヤギ抗IgG、抗IgA及び抗IgMのヒト抗体、又はFITCで標識された対照抗体と30分間インキュベートする。
核は、ヨウ化プロピジウムを用いて赤色に標識する。
プレートを、蛍光顕微鏡(Biorad MRC 1024)を用いて分析する。細胞質内Igについて陽性の形質細胞のパーセンテージを、蛍光細胞質を有する細胞を計数することにより確立する。
- ELISA
PBMC (106細胞/ml)を、ヤマゴボウマイトジェン(2μg/ml)により、HLA-G5ビーズ若しくはビーズ単独(2.103ビーズ/細胞)の非存在下又は存在下において活性化する。PBMCの培養物からの上清中に分泌されたヒトIgA及びIgGを、製造業者の使用説明に従って、IgG ELISA及びIgA ELISA定量キット(Bethyl, Montgomery, TX)により測定する。
- 細胞分化の試験
多発性骨髄腫の患者からの骨髄試料から得られたCD138-細胞画分を、インビトロにて、18〜24時間、HLA-G5で被覆されたマイクロビーズ若しくはマイクロビーズ単独のいずれかを含有する培養培地、又はマイクロビーズを含有しない培養培地で感作した。細胞を、次いで回収し(マイクロビーズなしで)、21日間培養した。
培養3週間後に、CD45+細胞の集団のうちの細胞の表面上のCD138の発現を、フローサイトメトリーにより決定した。
- フローサイトメトリー
フローサイトメトリーの分析に用いた抗体は、FITC、PE (フィコエリスリン)、DPE (ジニトロフェニル)又はPC5 (フィコエリスリン-シアニン5)と複合していた(Beckman Coulter及びBD Pharmingen)。簡単に、細胞を、4℃にて30分間、20%ヒト血清中でインキュベートし、次いで抗体で標識した。アイソタイプ対照は、非特異的シグナルを評価して打ち消すためにたびたび用いた。細胞を、Expo32ソフトウェアを用いるEPIC XL4フローサイトメーター(Beckman Coulter)にて分析した。
- 統計解析
全てのデータは、少なくとも3回行った実験の代表である。有意性は、独立t検定により評価し、p<0.05を有意とみなした。
実施例2:B腫瘍細胞(B Raji腫瘍系統)の増殖の阻害
実施例1に記載されるRaji腫瘍細胞系統を、ビーズ単独又は可溶型HLA-G5で被覆したビーズで処理した。24時間後に、B Raji腫瘍細胞の増殖を、トリチウム化チミジンの取り込みにより分析した。増殖のパーセンテージ阻害を図1に示し、これは、4回の実験により得られた平均値に相当する。
バーキット症候群の患者に由来するB Raji腫瘍系統を用いたこれらの結果を、図1に示し、これについて、可溶型HLA-G5で処理した後に、増殖が有意に用量依存的に減少する。HLA-G5によるB Raji腫瘍細胞の増殖のこの阻害は、細胞周期のG1期における休止を通り抜ける(表I)。
Figure 0005539982
細胞周期中の分布は、Raji細胞を、ヨウ化プロピジウムで、50 ng/mlのHLA-G5に相当する50000ビーズ/細胞の割合でのビーズ-HLA-G5又はビーズ単独での処理の24時間後に標識することにより規定した。結果は、周期の各段階にある細胞のパーセンテージとして表す。
実施例3:B腫瘍細胞(DAUDI系統、OPM-2系統及びRPMI 8226s系統)の増殖の阻害
実施例2のものと同様の結果が、別のバーキットB腫瘍系統であるDaudi系統、及び別の型のリンパ球増殖、すなわち骨髄腫に由来する系統を用いて得られた。
実施例1に記載されるDaudi、OPM-2及びRPMI 8226の細胞系統を、ビーズ単独又は可溶型HLA-G5で被覆されたビーズで処理するか、又は処理しなかった。24時間後に、これらのB腫瘍細胞の増殖を、トリチウム化チミジンの取り込みにより分析した。試験に導入された腫瘍細胞の数は、ウェルあたり10000〜30000細胞で変動する。ビーズの数は固定し、細胞あたり50000ビーズである。
タンパク質HLA-G5で被覆したビーズは、これらのB腫瘍細胞の増殖を、全ての場合において阻害する(図5、6及び7)。
この実験は、3回の独立した実験の代表である。
実施例4:分裂促進剤(ヤマゴボウマイトジェン又はPansorbine)により刺激した正常B細胞に対するHLA-G5の阻害活性
- B細胞増殖に対するHLA-G5の阻害作用(図2)
健常な個体からの血液試料から単離された末梢血単核細胞(PBMC)を、分裂促進剤であるヤマゴボウマイトジェン(PWM)により、可溶型HLA-G5で被覆されたビーズの存在下(ビーズ-HLA-G5)又は非存在下(ビーズ)で刺激した。5日後に、刺激B細胞の増殖を、トリチウム化チミジンの取り込みにより分析した。これらの結果は、6回の独立した実験で得られた平均値を表す。HLA-G5での処理に関連する増殖の阻害は、統計的に有意である。これらの結果を、図2に示す。
- 形質細胞へのB細胞の分化に対するHLA-G5の阻害活性(図3)
健常な個体からの血液試料から単離された末梢血単核細胞(PBMC)を、分裂促進剤であるヤマゴボウマイトジェン(PWM)により、可溶型HLA-G5で被覆されたビーズの存在下(ビーズ-HLA-G5)又は非存在下(ビーズ)で刺激した。5日後に、細胞質内免疫グロブリン(IgIC)を有する形質細胞に分化したB細胞のパーセンテージを、免疫蛍光により決定した。HLA-G5での処理に関連する分化の阻害は、統計的に有意である。これらの結果を、図3に示す。
- 抗体を分泌するB細胞の能力に対するHLA-G5の阻害作用(図4)
健常な個体からの血液試料から単離された末梢血単核細胞(PBMC)を、分裂促進剤であるヤマゴボウマイトジェン(PWM)により、可溶型HLA-G5で被覆されたビーズの存在下(ビーズ-HLA-G5)又は非存在下(ビーズ)で刺激した。5日後に、培養上清中の免疫グロブリンIgA及びIgGのレベルを、免疫酵素法により測定した。HLA-G5での処理に関連する抗体の分泌の阻害は、統計的に有意である。これらの結果を、図4に示す。
実施例5:悪性形質細胞CD138+への多発性骨髄腫の患者の骨髄からのCD138-細胞の分化の、HLA-G5によるエクスビボでの阻害
多発性骨髄腫の患者の骨髄から得られたCD138-細胞画分を、18時間〜24時間、HLA-G5で被覆されたビーズ若しくはマイクロビーズ単独のいずれかを含有する培養培地、又はマイクロビーズを含有しない培養培地で感作した。マイクロビーズを含まない培養3週間後に、CD138+細胞へのCD138-細胞の分化を、フローサイトメトリーにより分析した。
結果を図8に示し、ここから、HLA-G5が、68%のレベルで((17×4)/100)、CD138-前駆細胞がCD138+癌細胞へ分化する能力を阻害することが観察できる。これとは対照的に、HLA-G5の非存在下では(Φ及びビーズ)、著しく多数のCD138-前駆細胞が、CD138+悪性形質細胞に分化する(それぞれ17/100及び18/100)。
Figure 0005539982
Figure 0005539982

Claims (9)

  1. HLA-Gの可溶型と、少なくとも1種の医薬的に許容され得る媒体とを含前記HLA-Gの可溶型がB腫瘍細胞の増殖を阻害する、B細胞悪性血液疾患の治療又は予防用の医薬品として用いるための医薬組成物。
  2. B細胞悪性血液疾患が、B型急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、プレB細胞白血病、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症および多発性骨髄腫からなる群より選択されることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
  3. 前記HLA-Gの可溶型が、HLA-G5、HLA-G6及びHLA-G7からなる群より選択されることを特徴とする請求項1または2に記載の組成物。
  4. 前記HLA-Gの可溶型が、HLA-G5であることを特徴とする請求項3に記載の組成物。
  5. 前記可溶型が、遊離又は単量体の形態にあることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
  6. 前記可溶型が、多量体の形態にあることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
  7. 前記医薬的に許容され得る媒体が、非経口投与に適することを特徴とする請求項のいずれか1項に記載の組成物。
  8. 前記医薬的に許容され得る媒体が、吸入による投与に適することを特徴とする請求項のいずれか1項に記載の組成物。
  9. B細胞悪性血液疾患の癌の治療又は予防における同時、別々又は逐次的な使用のための組み合わせ調製物としての、HLA-Gの可溶型と抗癌製品とを含む製品。
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