本出願は、蛍光材料を利用するスクリーンを利用して光学励起下で発光して画像を生成する、レーザビデオディスプレイシステムなどの走査ビームディスプレイシステムを記載する。蛍光材料を有するスクリーン設計の様々な例が記載される。1以上の走査励起レーザビームの励起下で蛍光材料を有するスクリーンが詳述され、様々なシステムで、および本出願のデバイス例で、光学励起蛍光材料の特定の実装例として利用される。
一実装例においては、例えば、レーザビームにより光学的に励起され、カラー画像を形成するのに適した赤色、緑色、および青色の光をそれぞれ生成する3つの異なるカラーリン光体が、ピクセルドットとして、あるいは赤、緑、および青のリン光体ストライプとして、平行してスクリーン上に形成されうる。本出願に記載される様々な例においては、レーザベースのディスプレイの様々なフィーチャを示すべく、赤、緑、および青の光を発光する平行したカラーリン光体ストライプを有するスクリーンを利用する。
リン光体材料は、蛍光材料の一種である。例示された、リン光体を蛍光材料として利用する様々な記載されるシステム、デバイスおよびフィーチャは、他の光学的に励起可能な、発光する、非リン光体の蛍光材料から形成されるスクリーンを有するディスプレイに適応可能である。例えば、量子ドット材料は、適度な光学励起下において発光し、故に、本出願のシステムよびデバイス用の蛍光材料として利用できる。さらに詳しくは、とりわけ、CdSeおよびPbSなどの半導体化合物は、発光量子ドット材料として化合物のエキシトンボーア半径のオーダの直径を有する粒子の形状に製造することができる。異なる色の光を生成すべく、異なるエネルギーバンドギャップ構造を有する異なる量子ドット材料を利用して、同じ励起光下で異なる色を放出させてよい。量子ドットのなかには、2‐10ナノメートルの寸法であり、10‐50アトムという約数十のアトムを含むものがある。量子ドットは、様々な材料内に分散され混合されて、溶液、粒子、ゼリー状の基質(matrix)材料および固体(例えば固溶体)を形成する。量子ドットフィルムまたはフィルムストライプは、本願においてはシステムまたはデバイス用のスクリーンとして基板上に形成されてよい。例えば一実装例においては、3つの異なる量子ドット材料を設計して、光学ポンプとして走査レーザビームを利用することで光学的に励起して、カラー画像形成に適した赤色、緑色、および青色の光を生成してよい。このような量子ドットは、平行なライン(反復性の連続した赤色のピクセルドットライン、緑色のピクセルドットライン、および青色のピクセルドットライン)上に配置されたピクセルドットとしてスクリーン上に形成されてよい。
ここに記載する走査ビームディスプレイシステムの例は、少なくとも1つの走査レーザビームを利用してスクリーンに配置されたカラー発光材料を励起して、カラー画像を生成する。走査レーザビームは赤色、緑色、青色、あるいは他の可視色の画像を伝送するよう変調され、レーザビームが赤色、緑色、青色の画像により、赤色、緑色、青色のカラー発光材料を励起するよう制御される。故に、走査レーザビームは画像を伝送するが、観察者に見える可視光を直接生成はしない。スクリーン上のカラー発光蛍光材料が走査レーザビームのエネルギーを吸収して、赤色、緑色、および青色あるいはその他の色の可視光を発光して、観察者に見える実際のカラー画像を生成する。
蛍光材料に発光(to emit light)、または冷光を発させる(to luminesce)のに十分なエネルギーを有する1以上のレーザビームを利用した蛍光材料のレーザ励起は、光学的励起の形態の一種である。他の実装例においては、光学的励起は、スクリーンで利用される蛍光材料を励起するのに十分なエネルギーを有する非レーザ光源により生成されてよい。非レーザ励起光源の例には、様々な発光ダイオード(LED)、ライトランプ、および、高いエネルギーの光を可視領域の低いエネルギーの光に変換する蛍光材料を励起する波長またはスペクトル帯の光を生成する他の光源が含まれる。スクリーンの蛍光材料を励起する励起光学ビームは、蛍光材料による発光可視光の周波数より高い周波数の周波数あるいはスペクトル領域であってよい。故に、励起光学ビームは、420nmより下の波長、などの、紫色スペクトル領域および紫外線(UV)スペクトル領域であってよい。以下で記載する例においては、UV光またはUVレーザビームが、リン光体材料または他の蛍光材料の励起光の一例として利用されているが、他の波長の光であってもよい。
図1は、カラーリン光体ストライプを有するスクリーンを利用するレーザベースのディスプレイシステムの一例を示す。カラーリン光体ドットは、スクリーン上の画像ピクセルを画定することに利用されてもよい。システムは、スクリーン101に少なくとも1つの走査レーザビーム120を生成および投影するレーザモジュール110を含む。スクリーン101は、赤色のリン光体が赤色の光を発光するレーザ光を吸収し、緑色のリン光体が緑色の光を発光するレーザ光を吸収し、青色のリン光体が青色の光を発光するレーザ光を吸収する平行カラーリン光体ストライプを有する。3つの隣接するカラーリン光体ストライプは3つの異なる色である。該ストライプの1空間カラー列を図1に、赤色、緑色、および青色として示す。他のカラー列を利用することもできる。レーザビーム120はカラーリン光体の光学吸収帯域内の波長であり、通常は、カラー画像用の可視の青色、緑色、赤色より短い波長である。一例としては、カラーリン光体は、約380nm‐約420nmのスペクトル領域のUV光を吸収して望ましい赤色光、緑色光、青色光を生成するリン光体であってよい。レーザモジュール110は、ビーム120を生成するUVダイオードレーザなどの1以上のレーザ、ビーム120を水平および垂直に走査して、スクリーン101に1度に1画像フレームを描画するビーム走査機構、およびビーム120を変調して、赤色、緑色、青色の画像チャネル用の情報を伝送する信号変調機構を含みうる。このようなディスプレイシステムは、観察者とレーザモジュール110とがスクリーン101の異なる側にある背面投射型システムとして構成されてもよい。このようなディスプレイシステムは、観察者とレーザモジュール110とがスクリーン101の同じ側にある正面投射型システムとして構成されてもよい。
図2Aは、図1のスクリーン101の例示的設計を示す。スクリーン101は、走査レーザビーム120を透過する裏面基板201を含んでよく、レーザモジュール110に対面して走査レーザビーム120を受け取る。第2の正面基板202は、裏面基板201に対して固定され、裏面投影構成において観察者に対面する。カラーリン光体ストライプ層203が基板201および202の間に配置され、リン光体ストライプを含む。赤色、緑色、および青色を放出するカラーリン光体ストライプは、R、G、およびBで表される。正面基板202は、リン光体ストライプが放出する赤色、緑色、および青色を透過する。基板201および202は、ガラスあるいはプラスチックパネルを含む様々な材料から形成されうる。各カラーピクセルは、3つの水平方向に隣接するカラーリン光体ストライプの部分を含み、その垂直方向寸法はレーザビーム120の垂直方向におけるビーム拡がりにより画定される。このように、各カラーピクセルは、3つの異なる色(赤、緑、および青)の3つのサブピクセルを含む。レーザモジュール110は、左から右へ、および上から下へ、一度に一つの水平ラインをレーザビーム120で走査して、スクリーン101を充たす。レーザモジュール110はスクリーン101に対して位置的に固定され、所定の方法でビーム120の走査を制御してレーザビーム120とスクリーン101の各ピクセル位置との間に適切な配置関係を守る。
図2Aにおいては、走査レーザビーム120は、ピクセル内の緑色リン光体ストライプに方向付けられ、該ピクセルに緑色の光を生成する。図2Bではさらに、スクリーン101の表面に垂直な方向B−Bからみたスクリーン101操作が示されている。各カラーストライプは縦方向の形状なので、ビーム120の断面は、ピクセルの各カラーストライプ内のビームの充てん率を最大化すべく、ストライプの方向に沿って延びてよい。これは、レーザモジュール110のビーム整形光学素子を利用して達成されてよい。スクリーン上のリン光体材料を励起する走査レーザビームを生成するのに利用されるレーザ源は、シングルモードのレーザあるいはマルチモードのレーザであってよい。さらにレーザは、各リン光体ストライプの幅により制限されるビーム拡がりが小さくなるように、リン光体ストライプが延びる方向に垂直な方向においてシングルモードであってよい。リン光体ストライプの延びる方向において、このレーザビームは、リン光体ストライプを横切る方向のビーム拡がりよりも広い面積にわたり拡がるようなマルチプルモードであってよい。シングルモードを一方向に利用してスクリーン上に小さなビームフットプリントを残し、マルチプルモードをその垂直方向に利用してスクリーン上に大きなフットプリントを残す、というこのレーザビーム利用法により、スクリーン上に延びたカラーサブピクセルに合致する形状をビームに持たせ、マルチモードによってビームに十分なレーザ力を与えることで、スクリーンの十分な輝度を保証する。
本願の様々な例において、蛍光スクリーン101の各蛍光ストライプは、指定された色を光学励起下で放出する蛍光ストライプであり、図2Aの例で示される設計色を放出する特定の蛍光材料から形成された蛍光ストライプであってよい。あるいは、蛍光ストライプは、励起光120の光学励起下で白色光を放出する混合リン光体から形成される連続した均一な白色蛍光層の上のストライプカラーフィルタの組み合わせであってもよい。故に、赤色透過フィルタ、緑色透過フィルタ、および青色透過フィルタのストライプなどのカラーフィルタのフィルタ層は、混合リン光体層の観察者側に配設されて、白色光をフィルタにかけてカラーの出力光を生成する。蛍光ストライプの構成の詳細は、図10に関する明細書の後のセクションに記載される。本実施形態においては、蛍光層は、フィルタ層および白色光を放出する連続蛍光層の合成構造を有する。
図3Aを参照すると、図1のレーザモジュール110の例示的実装例が示されている。多数レーザを有するレーザアレイ310の利用により多数のレーザビーム312を生成することで、ディスプレイ輝度を向上させるべくスクリーン101を同時走査する。信号変調コントローラ320は、レーザアレイのレーザを制御、変調するのに提供され、レーザビーム312を変調して、スクリーン101表示用画像を伝送させる。信号変調コントローラ320は、3つの異なるカラーチャネル用にデジタル画像信号を生成するデジタル画像プロセッサを1つ、およびデジタル画像信号を伝送するレーザ制御信号を生成するレーザ駆動回路を複数、含みうる。レーザ制御信号がその後入力されて、レーザアレイ310内のレーザ(例えばレーザダイオード電流)を変調する。
ビーム走査は、垂直走査用にガルボミラーなどの走査ミラー340、水平走査用に多面(multi-facet)ポリゴンスキャナ350を利用することで行われうる。走査レンズ360を利用して、ポリゴンスキャナ350からの走査ビームをスクリーン101上に投影することができる。走査レンズ360は、スクリーン101上にレーザアレイ310の各レーザを撮像するよう設計される。ポリゴンミラー350の異なる各反射ファセットは、N個の水平ラインを同時にスキャンする(Nはレーザ数を表す)。示された例において、レーザビームが先ずガルボミラー340に方向付けられ、その後、ガルボミラー340からポリゴンスキャナ350に方向付けられる。出力走査ビーム120は、その後スクリーン101上に投影される。リレー光学モジュール330がレーザビーム312の光路に配置され、レーザビーム312の空間特性を変更し、密に固まったビーム束332を生成し、これをガルボミラー340とポリゴンスキャナー350とが走査して走査ビームとしてスクリーン101に投影し、リン光体が放出するカラー光により画像が生成される。
レーザビーム120は空間的にスクリーン101上を走査され、異なる時に異なるカラーピクセルに衝突する。故に、各変調ビーム120は、各ピクセルの青色、緑色、および青色の画像信号を、異なるときに各ピクセルに、および異なるときに異なるピクセルに伝送する。故に、ビーム120は、信号変調コントローラ320により、異なるときに異なるピクセルについての画像情報をコード化される。故にビーム走査は、ビーム120の時間領域にコード化された画像信号をスクリーン101の空間ピクセル上にマッピングする。例えば、変調レーザビーム120は、3つの異なるカラーチャネル用の3つのカラーサブピクセル用に3つの連続したタイムスロットに均等に分離される各カラーピクセルを有することができる。ビーム120の変調は、各色の望ましいグレイスケール、各ピクセルの適切な色の組み合わせ、および望ましい画像輝度を生成すべくパルス変調を利用してよい。
一実装例においては、多数のビーム120が、二つの隣接するビームがスクリーン101の水平ライン1本分互いに間隔を置いて垂直方向沿いに配設されるよう、スクリーン101の異なり隣接する垂直位置に方向付けられる。ガルボミラー340の任意の位置、およびポリゴンスキャナ350の任意の位置においては、ビーム120は互いにスクリーン101の垂直方向に互いに位置合わせされていなくてよく、水平方向にスクリーン101の異なる位置にあってよい。ビーム120はスクリーン101の一部のみをカバーしてよい。ガルボミラー340の固定角度位置においては、ポリゴンスキャナ350のスピンにより、レーザアレイ310のN個のレーザからのビーム120が、スクリーン101上のN個の隣接する水平ラインの1スクリーンセグメントを走査される。1スクリーンセグメント上の各水平走査の終わりに、ガルボミラー340は異なる固定角度位置に調節され、N個のビーム120全ての垂直位置が、N個の水平ラインの次に隣接するスクリーンセグメントを走査するよう調節される。このプロセスは、スクリーン101全体が走査されて全スクリーンディスプレイを生成するまで繰り返される。
図3Aに示す走査ビームディスプレイシステムの上述の例においては、走査レンズ360がビーム走査デバイス340および350の下流に配置されて、1以上の走査励起ビーム120をスクリーン101に集光する。この光学構成は、プレオブジェクティブ型(pre-objective)走査システムと称される。このようなプレオブジェクティブ型の設計においては、走査レンズ360内に方向付けられる走査ビームは直交する2方向に沿って走査される。故に、走査レンズ360は、直交する2方向に沿ってスクリーン101上に走査ビームを集光するよう設計される。直交する方向どちらにおいても適切な集光性を達成すべく、走査レンズ360は複雑になりえ、しばしば多数のレンズ部材から形成される。例えば一実装例においては、走査レンズ360は、入力ビームが走査レンズの光軸に対して垂直な直交した2つの軸各々の回りを走査されるときスクリーンの焦点スポットの位置と入力走査角(シータ)とが線形関係を有するよう設計される二次元エフシータレンズであってよい。このようなエフシータレンズにおいては、スクリーン上の焦点スポットの位置が、入力走査角(シータ)に比例する。
プレオブジェクティブ型構成におけるエフシータレンズなどの二次元走査レンズ360は、スクリーン101上のビーム位置に曲線をトレースさせる直交する2つの走査方向沿いに光学的ひずみを呈する可能性がある。故に、スクリーン101上で直線になるはずの水平走査ラインが曲線となる。二次元走査レンズ360が生じるひずみはスクリーン101上に見える可能性があるので、表示された画像の品質を低下させうる。このボーひずみ(bow distortion)という問題を軽減する方法の1つに、多数のレンズ部材を有する合成レンズ構成で走査レンズ360を設計してボーひずみを低減することである。多数の合成レンズ部材は、最後のレンズアセンブリを望ましいエフシータ条件から逸脱させて光学走査性能を妥協させうる。通常、ひずみ公差が減少すると、アセンブリ内のレンズ部材の数は増加する。しかし、合成多数レンズ部材を有するような走査レンズは、製造費用が高い。
プレオブジェクティブ型走査ビームシステム内の二次元走査レンズに関連した上述のひずみの問題を避けるべく、以下のセクションにおいては、二次元走査レンズ360を、より簡潔で安価な一次元走査レンズで置き換えるべく実装されうるポストオブジェクティブ型の走査ビームディスプレイシステムの例を説明する。2007年4月30日に出願した「POST-OBJECTIVE SCANNING BEAM SYSTEMS」なる名称の米国特許出願番号第11/742,014(米国特許公開番号_______)は、本願に記載されたリン光体スクリーンとともに利用されるのに適したポストオブジェクティブ型走査ビームシステムの例を記載しており、これを本願の明細書の一部として参照により組み込む。本出願に記載されているスクリーン設計は、ポストオブジェクティブ型走査ビームディスプレイシステムおよびプレオブジェクティブ型走査ビームディスプレイシステム双方で利用可能である。
図3Bは、図1のシステム設計に基づくポストオブジェクティブ型走査ビームディスプレイシステムの例示的実装例を示す。多数のレーザを有するレーザアレイ310を利用して、多数のレーザビーム312を生成してスクリーン101を同時に走査することで、ディスプレイの輝度を高める。レーザアレイ310内のレーザを制御および変調する目的で信号変調コントローラ320が提供され、スクリーン101に表示させる画像を伝送するようレーザビーム312を変調する。ビーム走査は、ポリゴンスキャナ350などの水平スキャナおよびガルバノメートルスキャナ340などの垂直スキャナを有する2スキャナ設計に基づく。ポリゴンスキャナ350の異なる各ファセットは、N個の水平ラインを同時に走査する(Nはレーザ数を表す)。リレー光学モジュール330は、水平走査用ポリゴンスキャナ350のファセットに広がるレーザビーム332のコンパクトな一式を形成する。ポリゴンスキャナ350の下流には、一次水平走査レンズ380があり、この次に垂直スキャナ340(例えばガルボミラー)が続くが、垂直スキャナ340は、一次走査レンズ380を介してポリゴンスキャナ350から各水平走査ビーム332を受け取り、ポリゴンスキャナ350の次のファセットによる次の水平スキャンの前であって、各水平走査の最後に各水平走査ビーム332を垂直走査する。垂直スキャナ340は、二次元走査ビーム390をスクリーン101に方向付ける。
この水平/垂直走査という光学設計下においては、一次元走査レンズ380は、ポリゴンスキャナ140の下流であって垂直スキャナ340の上流に配置されてスクリーン101上に各水平走査ビームを集光し、スクリーン101の表示画像の水平ボーひずみを許容範囲内に最小限にとどめ、これによりスクリーン101上に視覚的に「直線である」水平走査ラインを生成することができる。直線の水平走査ラインを生成することのできるこのような一次元走査レンズ380は、類似性能の二次元走査レンズに比べて簡潔であり安価である。走査レンズ380の下流に存在する垂直スキャナ340は平面反射板であり、スクリーン101に対してビームを単に反射させ垂直方向に走査することで、各垂直走査ビームをスクリーン101の異なる垂直位置に配置させて、異なる水平ラインを走査する。垂直スキャナ340の反射板の水平方向の寸法は、ポリゴンスキャナ350およびスキャンレンズ380から来る各走査ビームの空間領域をカバーするのに十分な大きさを有する。図3Bのシステムは、一次元走査レンズ380が垂直スキャナ340の上流にあることから、ポストオブジェクティブ型の設計である。この特定の例においては、垂直スキャナ340の下流にはレンズあるいは他の集光部材がない。
とりわけ、図3Bのポストオブジェクティブ型のシステムにおいては、スキャンレンズから特定のビームのスクリーン101上の位置までの距離は、垂直スキャナ340の垂直走査位置に応じて変わる。故に、長い(elongated)一次元走査レンズの中心を通る直線の水平ライン沿いに固定された焦点距離を有するよう一次元走査レンズ380を設計する場合、各ビームの焦点特性は、垂直スキャナ380の垂直走査位置に応じて変化してスクリーン101上に一貫したビーム集光を維持せねばならない。この点に関して、垂直スキャナ340の垂直走査位置に基づいて一次元走査レンズ380に向かうビームの収束を調整するように、ダイナミックフォーカス機構を実装することができる。
例えば、レーザからポリゴンスキャナ350までの1以上のレーザビームの光路においては、固定レンズとダイナミックリフォーカスレンズとを、ダイナミックフォーカス機構として利用することができる。ダイナミックフォーカスレンズを利用して固定レンズの上流位置に各ビームを集光する。レンズの焦点同士が一致する場合、レンズからの出力光はコリメートされる。レンズ同士の焦点間の逸脱の方向および量に応じて、コリメータレンズからポリゴンスキャナ350への出力光は、発散あるいは収束いずれかとなる。故に、2つのレンズ間の光軸沿いの相対位置が調節され、スクリーン101上の走査光の焦点が調節されうる。リフォーカスレンズアクチュエータは、制御信号に応じてレンズ間の相対位置を調節するのに利用されうる。この特定の例において、リフォーカスレンズアクチュエータを利用して、ポリゴンスキャナ350から光路を通り一次元走査レンズ380へ方向付けられるビームの収束を、垂直スキャナ340の垂直走査と同期して調節する。図3Bの垂直スキャナ340は、第1の垂直スキャナ350の走査レートよりもずっと小さい走査レートで走査されるので、スクリーン101上の垂直走査で生じる焦点のばらつきは、この遅い垂直走査レートでは時間により変化する。これにより、図1のシステムで実装されるべき焦点調節機構に、高い水平走査レートの代わりに、より遅い垂直走査レートにおける反応スピードの下限を持たせることができる。
図1、3Aおよび3Bの蛍光スクリーン101用の図2Bのストライプ設計は、様々な構成で実装されうる。図2Aは、2つの基板201および202間に、カラーリン光体ストライプ層を一例とする蛍光層203を配置する。リアプロジェクション方式システムにおいては、蛍光層から観察者側へと放出される光量を最大化しつつ、入射される走査励起ビーム120に対して出来る限り多くの光を導くことが望ましい。幾らかのスクリーン機構を、単独であるいは組み合わせられて、スクリーン101に実装してよく、これにより、励起光の効率的な集光、観察者側へ方向付けられる蛍光光の最大化、スクリーンコントラストの強調およびスクリーングレアの低減、などを含むスクリーン性能を向上させることができる。スクリーン101の構造および材料は、特定の用途のコストおよび他の要件に応じた制約を充たすべく設計および選択されてよい。
図4は、走査励起光の光学励起下で赤色、緑色、および青色を放出する蛍光ストライプを有する蛍光ストライプ層を有する例示的スクリーン101を示す。幾らかのスクリーンフィーチャを例として示すが、これらは特定のスクリーンに選択的に実装することができる。故に、図4に示すフィーチャの幾らかのみを有する特定の蛍光スクリーンが、特定のディスプレイ用途では十分な場合がある。
図4の蛍光スクリーン101は少なくとも1つの基板層424を含み、蛍光層400を含む様々なスクリーン部材に対して剛性な構造的支持(rigid structural support)を提供する。基板層424は薄い基板あるいは剛性のシートであってよい。図4に示すように蛍光層400の観察者側に配置される場合、基板層424は、蛍光ストライプ401、402、403が放出する可視カラー光に対して透過性または半透過性を有する材料で形成されてよい。半透過性材料は、蛍光ストライプが放出する三色を含む可視光を均一に減衰して、光学減光フィルタ(optical neutral density filter)のように機能してよい。基板層424はプラスチック材料、ガラス材料、または他の適切な誘電体材料から形成されてよい。例えば、基板層424は、アクリルの剛性を有するシートから形成されてよい。基板層424の厚みは、設計によっては数ミリメートルであってよい。さらに、基板層424は、励起ビーム120の励起光に対して反射性および不透明性を有して、励起光が観察者まで届くのを遮り、吸収されなかった励起光を蛍光層400で再生利用するよう戻してよい。
基板層424はまた、蛍光層400の他の側に配置することもできる。励起ビーム120は基板層424を透過して蛍光層400に入射せねばならないので、基板層424の材料は励起ビーム120の励起光を透過すべきである。さらに、本構成における基板層424は、蛍光層400が放出する可視光を反射して、蛍光層400から放出された可視光をいずれも観察者側へ方向付けて、表示画像の輝度を向上してよい。
蛍光層400は、赤色、緑色、青色のリン光体ストライプのような反復性のカラーパターンを有する平行な蛍光ストライプを含む。蛍光ストライプは、図1に示す走査励起ビーム120の水平走査方向に対して垂直である。図4および図2Bに示すように、スクリーン上の各ディスプレイピクセルは、隣接する赤色ストライプ401、緑色ストライプ402、および青色ストライプ402の部分である3つのサブピクセルを含む。各サブピクセルの水平方向における寸法は、各ストライプの幅により画定され、垂直方向の寸法は、垂直方向におけるビーム幅により画定される。ストライプデバイダ404は、光学的に反射性、不透明性、または光学的に吸収性を有してよく、任意の2つの隣接する蛍光ストライプ間に形成されることで、2つの隣接するサブピクセル間のクロストークを最小限に抑えるあるいは低減してよい。その結果、1つのカラーピクセル内の2つの隣接するサブピクセル間の、および2つの隣接するカラーピクセル間の境界におけるスメアを低減させることができ、およびスクリーンの解像度およびコントラストを向上させることができる。各ストライプデバイダ404の側壁は、光学的に反射性を有するよう形成されることで、各サブピクセルの輝度およびスクリーンの効率性を高めてよい。
基板層424および蛍光層400の上述の基本構造は、構築ブロックとして利用されて、1以上のスクリーン部材を追加して、スクリーンの様々な特性および性能を向上させてよい。励起波長である励起光が蛍光材料に吸収され異なる可視蛍光光に変換されて観察者に画像を表示する実施形態において、蛍光層400は光学的にアクティブな層である。この点に関して、蛍光層400は、さらに、スクリーンの「励起側」と「観察者側」との間のデバイダでもあり、2つの側の各々に望ましい光学効果を達成させてスクリーン性能を高めるべく、2つの側の光学特性は非常に異なるよう設計される。このような光学効果の例には、励起ビーム120の蛍光層への誘導を向上させること、蛍光層400に吸収されなかった反射・発散励起光を蛍光層400で再利用すべく戻すこと、蛍光層400からスクリーンの観察者側へと放出された可視光量を最大化すること、周辺光の反射により生じる観察者へのスクリーンのグレアを低減すること、励起光がスクリーンから観察者側にかけて存在することを遮ること、およびスクリーンのコントラストを強調させること、を含む。様々なスクリーン部材を構成して、これら光学効果の1以上を達成してよい。このようなスクリーン部材の幾らかの例を図4に示す。
図4を参照すると、スクリーンの励起ビーム120の入射側においては、励起ビーム120をスクリーン101に導く入射層411が配設されうる。フレネルレンズ層がこの入射層411として利用されて、走査励起ビーム120の入射方向を制御してよい。またはプリズム層または高屈折率誘電体層を入射層411の一部として利用して、励起光および蛍光層が放出する可視光を含む光をスクリーンが再利用できるよう戻してもよい。観察者に対するスクリーンの輝度を向上させるべく、第1の二色性層412(D1)を、蛍光層400の上流の励起ビーム120の経路に配置して、励起ビーム120の波長の光を透過して、蛍光層400が放出する可視光を反射してよい。第1の二色性層412は、蛍光光の光学的損失を低減させてスクリーンの輝度を高めてよい。蛍光層400の観察者側においては、第2の二色性層421(D2)を配設して、蛍光層400が放出する可視光を透過させ、励起ビーム120の波長の光を反射させてよい。故に、第2の二色性層421は、蛍光層400を透過した励起光を蛍光層400に再利用のために戻し、これにより励起光の利用効率およびスクリーン輝度を向上させてよい。
蛍光層400の観察者側には、スクリーンのコントラストを向上させるべくコントラスト強調層422を配設してよい。コントラスト強調層422は、複数のスクリーン層に垂直な方向に沿って蛍光層400の蛍光ストライプと空間的に対応するよう位置合わせされる色選択吸収性ストライプ(color-selective absorbing stripe)を含むこともできる。これにより、色選択吸収性ストライプは、蛍光ストライプの対応する色の光を透過して、他の蛍光ストライプの色の光を吸収する。または、コントラスト強調層422は、周辺光の反射に起因するスクリーンのグレアを低減すべく可視光を均一に低減する光学減光フィルタ層であってもよい。この減光フィルタ機能は、蛍光層400の観察者側の1以上の他の層(基板層424を含む)に実装することもできる。
さらに、スクリーンは、蛍光層400の観察者側にスクリーンゲイン層423を含み、スクリーンの輝度および視野角を光学的に高めてよい。ゲイン層423は、レンズ部材を有するレンズ層、回折部材の回折光学層、ホログラフィ部材を有するホログラフィ層、またはこれらおよび他の構造の組み合わせを含みうる。蛍光層400の観察者側における層423、422、および421の空間順序(spatial sequence)は、図4に示したものと異なってもよい。
さらに、励起遮蔽層425が蛍光層400の観察者側に配設されて、スクリーンから観察者側にかけて励起光が存在することを遮ってよい。この層は、可視光を透過して、励起光を吸収する材料により実装されてよい。例えば、ポリエステルベースのカラーフィルタをこの層として利用して、400‐415nmの放射であってよい励起光を遮ってよい。幾らかの実装例においては、この遮蔽フィルタは、410nm未満の透過率が0.01%未満、且つ430nmを超える透過率が50%を超えていてもよい。減光フィルタ機能をこの層に組み込むこともできる(例えば、430nm‐670nmの間の可視光を均一に減衰するようなもの)。この遮蔽機能は基板層424に組み込むこともできる。
図5は、支持基板501上に形成される例示的な蛍光層400を示す。蛍光層400は、3つの隣接するストライプが赤色、緑色、青色を放出する401、402、403である蛍光ストライプを有する。支持基板501は、平行に隆起した隆起部502をストライプデバイダとして含み、これにより表面を分離して複数の平行なチャネルにして、そこへそれぞれ蛍光材料を配設して蛍光ストライプ401、402、403などを形成する。隆起部502の側壁は、異なる蛍光ストライプを物理的に分離して、2つの隣接する蛍光ストライプ間のクロストークまたは混色を妨げるべく光学的に反射性および不透明性を有してよい。隆起部502の反射側壁は、各蛍光ストライプの発光の光損失を防ぐ。さらに、隆起部502間に形成される平行なチャネルを利用して、蛍光層の形成中に堆積される蛍光材料の量を制御することができる。
図6は、2つの二色性層412および421を有する蛍光スクリーンの一例を示す。蛍光層610は、異なる蛍光あるいはリン光体層を含み、異なる色が異なる層に形成され、互いに重複しない。示されるように、各層は、1色につき同じリン光体を有するパターン化されたリン光体領域と、透過性を有する充てん材を有する非蛍光性領域620とを含む。カラークロストークを低減するデバイダ404は、カラーのリン光体で物理的に印刷されてもよく、または、異なる層に含まれてもよい。蛍光層610の多層構造は、異なる構成に実装されてもよい。例えば、ホスト基板を利用して異なるリン光体を支持して、重複しないリン光体パターンが基板のいずれかの面に被膜されるようにしてもよい。このようなリン光体層設計を採用すると、異なる層を独立に製造して、例えば適切な光学的な粘着性、または光学的な感圧性を有するフィルムを利用することにより互いにラミネートすることができるようになる。スクリーンの様々な層を支持する基板あるいは剛性のシート630を蛍光層610の励起側に配設するが、例えばこれは、アクリル、剛性の光学プラスチック材料、延伸メンブレン、およびガラス材料から形成されてよい。反射保護(AR)層640が基板630の表面に形成されてよく、これを介して励起ビーム120がスクリーンに入射する。
図4の二色性層412および421を特に観察すると、第1の二色性層D1 412は、蛍光層400から励起側に向けて放出された光損失を妨げ、放出光を観察者側に向けて反射することができる。第2の二色性層421(D2)は、可視光を透過し、励起レーザ光120の波長の光を反射する。この2つの二色性層412および421を有するスクリーン設計は、UV光などの励起光を蛍光層400に効果的に閉じ込め、吸収されなかった励起光が、蛍光層400を通過後に、二色性層421(D2)により反射されて蛍光層400の蛍光材料と相互作用を続けることで、励起光の利用効率性が増す。さらに、蛍光層400が放出する可視光は、もともとは全ての方向に方向付けられやすいが、二色性層412(D1)によってスクリーンの観察者側に方向付けられ、スクリーンの励起側に漏れることなく、観察者に視られる。これにより、放出光の利用効率全体およびスクリーンの輝度が高まる。
図7Aおよび7Bは、上述のスクリーン設計に基づいた2つのスクリーン例を示す。基板701は、二色性層412、421、および蛍光層400を支持するよう配設される。図7Aは、放出された光がスクリーンから基板701にかけて存在するよう、基板701が二色性層421の側にある例を示している。図7Bは、基板701が二色性層412の側にあり、入射励起ビーム120が基板701からスクリーンに入射する例を示す。一例においては、励起ビーム120は405nm程度のUVレーザ光でありうる。D1層412は、430nmより長い波長を有する可視光を反射し、415nmまたは400nmより短い波長を有するUV光を透過する。本例においては、D2層421は、415nmより短い波長を有するUV光を反射し、430nmより長い波長を有する可視光を透過する。反射保護(AR)被膜を利用して、さらにスクリーンの効率性を向上してもよい。
図7Aの構成により、UV光になどの励起光の透過特性が向上され、励起側への後方反射が最小になり、基板701をユーザインタフェース側から遮蔽するシールドとして機能させる。図7Bの構成により、基板701は、光学回折素子および入射層411の他の光学フィーチャを形成するものとして取り扱うことができるようになり、励起光の誘導性および再利用性が向上する。硬い保護面(例えばラッカー層またはカプセル化層)を、スクリーンの観察者あるいは利用者側に形成して、スクリーンを接触および環境条件から守る。
表1は、スクリーンの励起側から観察者側への空間配置で第1層〜第6層と称する6層スクリーンの4例を示す。1以上のリン光体を利用して蛍光層を形成し、ラッカー層(L)などのカプセル化層を利用してスクリーン構造全体を接触および環境条件から守る。基板は、プラスチックまたはガラス材料から形成されてよく、蛍光層の観察者側に配された場合、可視光のスペクトル領域(例えば400−800nm)の光を透過可能である。反射保護(AR)被膜層をこれら例に含めてもよい。
上述の二色性層D1(412)およびD2(421)各々を様々な構成に実装してよい。大型フォーマットのディスプレイにおいては、二色性層は、比較的安価な、比較的製造し易い材料で形成されてよい。層間の屈折率および物理的厚みの値を制御することで多数の誘電体層を設計して様々な波長選択光学フィルタを構築してよい。例えば、高い屈折率と低い屈折率の誘電体層を交互に並べた多数の層を設計して、所望の波長選択反射・透過スペクトルを得ることができる。屈折率の異なる多数のフィルム同士をラミネートあるいは溶着することで、D1またはD2の二色性層として合成シートを構築してよい。幾らかの実装例においては、屈折率の異なる2材料で形成される多数の層を利用して該2つの材料を交互に並べることでD1またはD2などの合成フィルム積層を形成してよい。他の実装例においては、屈折率の異なる3以上の材料同士を積層して、D1またはD2の合成フィルム積層を形成してよい。D1層用の合成シートの類は、本質的に励起光(例えばUV光)を透過し、カラーの可視光を反射する光学干渉反射器(optical interference reflector)である。合成シートの材料は有機材料、無機材料、または剛性を有する材料あるいは可撓性を有する材料いずれであってもよい有機材料と無機材料との組み合わせであってよい。
可撓性を有する多層合成シートを、重合体材料、非重合体材料、または重合体と非重合体を合わせた材料で形成してよい。重合体と非重合体をあわせた材料を含むフィルムの例は、「Method for forming a multicolor interference coating」なる名称の米国特許番号第6,010,751号、および「Retroreflective articles having polymer multiplayer reflective coatings」なる名称の米国特許番号第6,172,810号に開示があり、これら全体を本願の明細書の部分として参照として組み込む。全てが重合体である構成の合成シートによると、製造およびコスト面の利点が得られる。高い光学透過性および高い屈折率示差(index differential)を有する高温重合体を利用すると、環境的に安定した、薄く、可撓性を有する干渉フィルタを得ることができる。「Color shifting film」なる名称の米国特許番号第6,531,230号に開示された共押し出し(coextruded)多層干渉フィルタを利用すると正確な波長選択を行うことができ、比較的低コストの大面積のフィルタフィルムとして形成することができる。米国特許番号第6,531,230号の全開示を本願の明細書の一部として参照として組み込む。高い屈折率示差を有する重合体を一対利用することで、薄く、高反射性を有し、基板の支持なしに自立でき、大型スクリーン形成時の加工も容易なミラーを構築することができる。このような合成シートは、機能的には、例えばPET層およびco−PMMA層が交互に並んだ積層である1枚の多層光学フィルムであってよく、スクリーン用途に適切な法線入射反射帯を呈してよい。一例としては、3M Corporationの多層ポリエステルベースのフィルムから形成される高度な鏡面反射鏡(ESR)を構成して、本願について望ましい二色性の反射・透過帯を生成してよい。多層フィルムの様々なフィーチャの例が「Method for making multiplayer optical films having thin optical layers」なる名称の米国特許番号第5,976,424号、「Biphenyl derivatives for photostabilization in pulsed optical darkening apparatus and method」なる名称の米国特許番号第5,080,467号、および「Backlight system with multiplayer optical film reflector」なる名称の米国特許番号第6,905,220号に記載されており、これら全てを本願の明細書の一部として参照として組み込む。
図4、5、および6に示すストライプデバイダは、異なるサブピクセル間の物理的分離および光分離を提供し、異なるサブピクセル間および異なるピクセル間のクロストークを低減することで画像コントラストを強調することができる。このようなクロストークは、スクリーンの内部構造に起因している。様々な外部ファクタも画像コントラストおよびスクリーンの他の性能パラメタに悪影響を与えうる。例えば、周辺光の一部がスクリーンから反射されて、放出された蛍光光が形成する表示画像とともに観察者の目に入射する。この周辺光の観察者への反射は、観察者にとってスクリーン上のグレアとして映り、観察者が認識する画像のコントラストを低減しうる。図4にあるような層422のようなコントラスト強調層を利用することでグレアを低減することができる。
図8は、蛍光層820の観察者側のコントラスト強調層810を利用するスクリーン800の一例を示す。リン光体層を一例とする蛍光層820は、リン光体の平行なストライプを含む。故に、コントラスト強調層810は、さらに、異なる材料から形成される整合する平行なストライプを含む。励起光(例えばUVあるいは紫外線光)による励起に呼応して赤色の光を放出する赤色リン光体ストライプ821については、コントラスト強調層810の整合ストライプ811は、赤色リン光体ストライプ821が放出する赤色光をカバーする赤色スペクトル帯を透過する「赤色」材料から形成されており、緑色の光および青色の光を含む他の可視光を吸収あるいは遮蔽する。同様に、UV光による励起に呼応して緑色の光を放出する緑色リン光体ストライプについては、コントラスト強調層810の整合ストライプは、緑色リン光体が放出する緑色光をカバーする緑色スペクトル帯を透過する「緑色」材料から形成されており、赤色の光および青色の光を含む他の可視光を吸収あるいは遮蔽する。UV光による励起に呼応して青色の光を放出する青色リン光体ストライプについては、コントラスト強調層810の整合ストライプは、青色リン光体が放出する青色光をカバーする青色スペクトル帯を透過する「青色」材料から形成されており、緑色の光および赤色の光を含む他の可視光を吸収あるいは遮蔽する。コントラスト強調層810内のこれら平行な整合ストライプを、それぞれ「R」「G」「B」と称する。
この例においては、コントラスト強調層810は、スクリーンに垂直な方向に沿ったそれぞれの蛍光領域に空間的に位置あわせされ整合する異なるストライプフィルタ領域を含む。各フィルタ領域は、対応する整合蛍光領域が放出する色の光を透過して、他の色の光を遮蔽する。層810の異なるフィルタ領域は、それぞれの整合蛍光領域が放出する色とは異なる他の色の光を吸収する材料から形成されてもよい。適切な材料の例としては、染料ベースの着色剤および顔料ベースの着色剤が含まれる。さらに、コントラスト強調層810内の各フィルタ領域は、所望の透過バンドを有するバンドパス干渉フィルタを実施する多層構造であってよい。様々な設計および技法を利用してこのようなフィルタを設計および構築することができる。「Three color LCD with a black matrix and red and/or blue filters on one substrate and with green filters and red and/or blue filters on the opposite substrate」なる名称の米国特許番号第5,587,818号、および「Color liquid crystal display having a color filter composed of multiplayer thin films」なる名称の米国特許番号第5,684,552号に、図8のスクリーン800の層810に利用されうる赤色フィルタ、緑色フィルタ、および青色フィルタの例が記載されている。
操作中、励起光120(例えばUV光)がリン光体層820に入り、異なるリン光体を励起して、異なる色の可視光を放出する。放出された可視光は、コントラスト強調層810を透過して、観察者に到達する。スクリーン800に入射した周辺光801が、コントラスト強調層810に入り、入射周辺光801の一部が再度コントラスト強調層810を通過して観察者側へ反射する。故に、観察者への光出力802全体は、リン光体層820が放出した画像伝送カラー可視光および周辺光の反射を含む。この周辺光の反射は画像を伝送せず、故にリン光体層820で生成される画像を洗い流してしまう傾向がある。観察者へ向かうこの周辺光の反射はコントラスト強調層810を二度も通っているのでフィルタにかけられ減衰される回数も二度になっているので、周辺光の反射の強度は、受け取られた周辺光の約2/3低減している。例えば、入射した周辺光801の緑色および青色の部分は、赤色のサブピクセルに入る周辺光801の光束の約2/3を有する。入射した周辺光801の緑色および青色の部分は、コントラスト強調層810により遮蔽される。コントラスト強調層810内にある赤色フィルタ材料透過帯内の周辺光の赤色部分のみが、層810を透過して、透過した赤色周辺光の一部が反射して観察者側に戻る。周辺光の反射のこの部分は、下にあるカラーのリン光体ストライプが生成するサブピクセルについて本質的に同じ色なので、カラーコントラストに悪影響は及ばない。
図8において、コントラスト強調層810の2つの隣接するフィルタストライプは、光学反射性および不透明性の材料、または光学吸収材料のいずれかから形成されるストライプデバイダ830により分離されうる。反射性のデバイダ830は、本願で記載する他のストライプデバイダ同様、スクリーンの光出力を最大化するのに利用されうる。例えば、硫酸バリウムまたはTiO2顔料などの反射性の白色材料を利用して、ストライプデバイダ830を形成しうる。他の均等拡散白色材料を利用してストライプデバイダ830を形成することもできる。ストライプデバイダの側壁は金属化反射層であってよい。ストライプデバイダ830用に薄く高度に効率化された反射層を得る一方法は、側壁を金属化基層で被膜して、さらに白色顔料充てん層を金属化基層の上に配することである。吸収デバイダ830を利用して色分離(color isolation)、およびピクセル分離(pixel isolation)を行ってもよいが、側壁の吸収によるスクリーン出力効率性は、フライトロス(loss of flight)のせいで反射デバイダのものに劣りうる。幾らかの実装例においては、ストライプデバイダ830は反射性部分および吸収性部分の両方を含みうる。例えば、ストライプデバイダ830は、白色反射性および不透明性を有する側壁、スクリーンの励起側に対向しサーボフィードバック用に光学反射を行う白色反射ファセット、およびスクリーンの観察者側に対向し観察者への反射を低減してコントラストを向上させる黒色吸収ファセットを有しうる。
上述したような色選択吸収性材料をコントラスト強調層810の各サブピクセルで利用してディスプレイコントラストを強調することは、コントラスト強調層を別途利用しなくても、このような材料を各サブピクセル内の発光蛍光材料と混合することでも実装されうる。一実装例においては、図6に示す重複しない多層設計における各リン光体領域は、蛍光材料と、蛍光材料が放出する光を透過し他の色の光を吸収する色選択吸収性材料との混合物から形成されうる。故に、コントラスト強調フィーチャは各サブピクセルに組み込まれ、観察者への周辺光の反射を低減する。
図9は、平行な蛍光ストライプを有する共通の蛍光層910内にそれぞれ赤色、緑色、および青色の光を放出するコントラスト強調機能が内臓された赤色、緑色、および青色の蛍光材料を利用する蛍光層910を利用する別の実装例を示す。3つの連続する赤色、緑色、および青色のリン光体ストライプ911、912、および913を例にとって説明する。この例においては、赤色リン光体ストライプ911の材料は、赤色光を放出する赤色リン光体と、赤色光を透過して緑色光および青色光を含む他の光を吸収する赤色インクまたは顔料との混合物である。同様に、緑色リン光体ストライプ912の材料は、緑色光を放出する緑色リン光体と、緑色光を透過して赤色光および青色光を含む他の光を吸収する緑色インクまたは顔料との混合物であり、青色リン光体ストライプ913の材料は、青色光を放出する青色リン光体と、青色光を透過して赤色光および緑色光を含む他の光を吸収する青色インクまたは顔料との混合物である。このコントラスト強調リン光体層910は、本願に記載される様々なスクリーン設計および構成と組み合わせが可能である。
幾らかの実装例においては、図8のコントラスト強調層810を、励起光の透過を遮蔽し蛍光層が放出する可視色の可視光を均一に減衰するフィルタ層に置き換えてもよい。故に、励起光については、このフィルタ層は不透明であり、いかなる励起光もスクリーンの観察者側に映らないようにし、可視光については、フィルタ層は、周辺光の反射を含む可視光を減衰する減光(ND)層として振舞う。観察者側へ反射する周辺光はこのフィルタ層を二度通るので、周辺光の反射の減衰は、蛍光層が生成する光の二倍となる。従って、放出された可視光が蛍光スクリーンに表示する画像のコントラストは、フィルタ層を有さない同じスクリーンに比して高まっている。このような励起光遮蔽NDフィルタ層は、カラーフィルタにより形成されるコントラスト強調層810より安価でありうる。例えば、この励起光遮蔽NDフィルタは、400nm〜415nmの放射を遮蔽し、410nm未満の光を0.01%未満透過し、430nmを超える光を50%超える量透過するポリエステル層であってよい。ポリエステル層の光学減衰は、430nm〜670nmの可視光について略均一でありうる。このフィルタ層の実際の減衰量は、特定のスクリーンがもつ特定の要件に基づいて選択されてよく、設計によっては50%を超えていてよいし、またある設計によっては50%未満であってよい。このフィルタ層の光遮蔽関数(optical blocking function)は、減光フィルタ関数とは別個に実装されうる。故に、励起光を遮蔽するよう設計された1つの励起光遮蔽層と、可視光を均一に減衰する別の減光フィルタ層という、2つの別個の層がスクリーンの蛍光層の観察者側に実装されうる。
上述の蛍光スクリーンは、異なる蛍光ストライプに異なるリン光体材料を利用して、励起光の励起下で異なる色を生成する。または、異なる蛍光ストライプが、白色光を放出する同じリン光体材料から形成されてよく、さらに蛍光光からの望ましい異なる色を生成するカラーフィルタを含みうる。図8のコントラスト強調層810を利用してこのようなカラーフィルタを実装し、これにより各カラーフィルタはコントラスト強調を達成し且つ意図したサブピクセルの色を生成することができる。
図10は、混合リン光体からなる連続および均一層1000を有する蛍光スクリーン設計の一例を示す。この混合蛍光層1000は、励起光の光学励起下で白色光を放出するよう設計および構築される。混合リン光体層1000の混合リン光体は様々な方法での設計が可能であり、白色光を放出する混合リン光体の幾らもの組成が既知であり文書化されている。白色を放出する他の非リン光体蛍光材料もまた、層1000に利用することができる。示されるように、赤色透過フィルタ、緑色透過フィルタ、および青色透過フィルタのストライプのようなカラーフィルタの層810は、混合リン光体層1000の観察者側に配設され、観察者に向けてカラー出力する。この例においては、層1000および810は、基板1001および1002の間に挟まれる。層810のカラーフィルタは、カラーLCDパネルに利用されるカラーフィルタに類似した設計のような様々な構成に実装されうる。各カラーフィルタ領域においては(例えば赤色透過フィルタ)、フィルタは赤色光を透過して、緑色光および青色光を含む他の色の光を吸収する。2つの隣接するカラーフィルタは、反射性または吸収性を有するセパレータ404などのデバイダ830により分離されてよい。
図10のスクリーン構造は、異なるリン光体ストライプを有する他のスクリーン設計よりも簡潔である、というのも図10の混合リン光体層1000はストライプの空間構造を有さない連続層だからである。この構成は、図8の層810のフィルタを層820のリン光体ストライプそれぞれと位置合わせする、という位置合わせの問題がない。基板1001は励起光を受け取るので、励起光(例えば紫外線またはUV光)に透過性を有する材料から形成されてよい。基板1002は観察者に対向しており、層810のフィルタがフィルタするカラー光に対して透過性を有する材料から形成されてよい。製造中、層810は基板1002上に製造されてよく、層1000は基板1001上に製造されうる。2つの基板1001および1002は、互いに連結されてスクリーンを形成する。第2の基板1002の出力面には、反射保護被膜(AR)が形成されて観察者への光透過を向上してよい。さらに、第2の基板102の上には硬い保護層が形成されてスクリーン面を保護してよい。
上述のシステムの励起ビーム120は、走査中に様々な角度でスクリーンの蛍光層に入りうる。励起ビーム120のスクリーンへの入射角度は、走査によって、スクリーンの異なる位置にわたる各水平走査中に変わる。幾らかのスクリーン構成においては、スクリーンの効率性は、励起ビーム120の入射方向に影響されやすい可能性があり、スクリーン設計によっては、蛍光層への励起光の誘導を高い効率性で行うべく、励起ビーム120の方向が法線方向に近いほうが望ましい場合がある。励起光120のリン光体層への入射角度を制御する一実装例においては、スクリーンの入射部(例えば図4の入射層411)に光学機構を実装して、入射する励起ビーム120をスクリーンに対して法線方向に向かうように、または略法線方向に向かうよう方向付けてよい。入射層411の一例は、フレネルレンズ層である。
図11は、励起ビーム120を受け取るスクリーンの全領域をカバーする、スクリーンの入射側に形成されるフレネルレンズ層1110を有するスクリーンの一例を示す。フレネルレンズ層1110は、例えばガラスまたはプラスチック材料で形成されてよい誘電体基板に形成されてよい。例えば、アクリルのプラスチック材料を利用してフレネルレンズ層1110を形成してよい。フレネルレンズ層1110とは異なる屈折率を有する誘電体層1112を、フレネルレンズ層1110とスクリーンの残りの部分との間に形成して、フレネルレンズ層1110とスクリーンの次の層(例えば、第1の二色性層412)との屈折率を異ならせてよい。層1112は空気間隙または励起光に対して透過性を有する誘電体材料であってよい。スクリーンの残りの部分には、蛍光層400およびスクリーンの他の層が含まれる。蛍光層400の励起側の二色性フィルタ層(D1)412を実装してもよい。さらに、カプセル化層1120、スクリーンゲイン層423、コントラスト強調層422、および第2の二色性層D2 421(UV遮蔽部)もスクリーンに配されてよい。反射保護層640をフレネルレンズ層1110の入射面に形成して、励起ビーム120を受け取るときの反射による損失を最小化してよい。
図11に示すスクリーンの実装例の幾らかにおいては、第1の二色性層421(D1)を、405nm〜410nmの光を約99.75%の透過率で透過し、440nm〜410nmの可視光を約95%の反射率で反射するよう設計されてよく、反射保護層640は405nmのUV光を約99.75%の透過率で透過するよう設計されてよい。スクリーンゲイン層423は、輝度を光学的に向上させてスクリーンの視野角を拡大させるべく設計されてよく、レンズ部材を有するレンズ層、回折部材の回折光学層、ホログラフィ部材を有するホログラフィ層、またはこれらおよび他の構造の組み合わせを含みうる。コントラスト強調層422は、各サブピクセル内の基本培地または基質に支持される色選択吸収性顔料または染料を含んでよく、周辺光を吸収して該サブピクセルの色の光を透過しうる。カプセル化層1120、スクリーンゲイン層423、コントラスト強調層422およびUV遮蔽二色性層421(D2)の空間配置は、スクリーン設計により変化しうる。
図12は、図11のフレネルレンズ層1110の動作を示す。フレネルレンズ層1110は、フレネルリングを有し、入射走査励起ビーム120を光学回折、屈折、または両方を介して、スクリーンに略法線方向の入射励起ビーム1210として再度方向付けるよう構成されうる。フレネルレンズ層1110は、入射走査励起ビーム120用にテレセントリック構成でありうる。
上述のフレネルレンズ層1110は、励起ビーム120の入射方向をスクリーンの残りの部分1220へと制御する。ひとたび励起ビーム120がスクリーンに入ると、励起光は完全利用されて蛍光層を励起して観察者に画像を表示する可視光を生成すべきである。スクリーン内部では、スクリーン内の様々な表面およびその他のスクリーン構造による発散および反射により、励起光の一部がスクリーンの励起側に再度方向付けられうる。このような、発散され反射された励起光は、蛍光層に再度方向付けることで再利用されるべきである。加えて、蛍光層から放出された可視光の一部はさらにスクリーンの励起側に伝播されてよく、観察者に向けて再度方向付けられない場合には画像の輝度の損失を引き起こすであろう。
図4の入射層411は、蛍光層から入射層へ伝播する伝播励起光および可視光を蛍光層へと反射し返して再度戻すプリズム層を含む。このようなプリズム層は、所定の頂点角度(例えば90度)を有する頂点をもつ平行かつ周期的なプリズムストライプを有して、受け取った励起ビーム120を屈折によりスクリーンに方向付けるべく、角度のあるファセットを形成する。各頂点は、光を屈折および反射する対向して角度を有するファセットを有するので、共通の入射方向を持つ平行な光線は2つの平行な光線グループに、さらには互いに離れた方向に屈折または反射する。プリズム層は、スクリーンの蛍光層からプリズム層へ伝播する様々な方向の光を、角度のあるファセットの反射により反射して蛍光層に戻すが、その反射には、角度のあるファセットに対する入射角度が全反射角度(total internal reflection angle)の臨界角度より大きい、角度のあるファセットに対する入射角度の光線の全反射が含まれる。励起光の反射は蛍光層に再利用のために戻され、蛍光層をさらに励起するので、励起光の可視蛍光光生成への利用が高められる。さらに、プリズム層に向けて伝播する蛍光光も蛍光層方向に反射されて、観察者が認識するスクリーン輝度を高める。
図13は、スクリーン内にプリズム層1310と隣接するスクリーン層1320とを有する蛍光スクリーンの一実装例を示す。スクリーン層1320は図示の通り蛍光層でありうるが、蛍光層の励起側の別の層であってもよい。プリズム層1310は、頂点角度が90度である角度のあるファセット1312を有するプリズムストライプのアレイを一例とするプリズム部材アレイ1311である。角度のあるファセット1312を利用して励起光120を受け取る。各プリズムストライプの幅は、励起光の波長より大きく、各蛍光ストライプの幅(つまりスクリーンの1つのサブピクセルの幅)より小さくてよい。図13の断面図は、平行なプリズムストライプが断面に対して垂直な場合を示す。
プリズム層1310は、平行構成では蛍光層1320の蛍光ストライプに対してプリズムストライプが平行になるように配列され、交差構成では蛍光ストライプに対してプリズムストライプが垂直となるよう配列される。各プリズムストライプにおいては、互いにプリズム頂点1313で交差する2つの角度のあるファセット1312が、複数の平行光線を、プリズムストライプに対する垂直平面の2つの異なる方向の2つの平行光線グループへと屈折または反射する。この交差構成においては、励起ビーム120から分離した2つの分離ビームは、同じ蛍光ストライプの2つの位置に方向付けられるので、励起光が蛍光ストライプに垂直な方向に空間的に拡がることがない。その結果、交差構成を利用して、同時に2つの隣接する蛍光ストライプに励起ビーム120の光が進入するのを妨げることができる。励起ビーム120がONにされると、蛍光ストライプの1つが照明され一度に1つのサブピクセルをアドレスすることに注意されたい。蛍光ストライプの1つをアドレスしようとする励起ビーム120の光学パルスの一部がプリズムストライプにより分離され、隣接する蛍光ストライプに方向付けられると、2つの隣接するサブピクセル間にクロストークが生じ、これにより色純度および画像解像度が劣化されうる。これは、各プリズムストライプによる励起ビーム120の分離が蛍光ストライプに対して垂直な方向に起こっている場合にプリズム層1310が平行構成にある場合に起きる可能性がある。平行構成においては、蛍光ストライプの1つで生成されプリズム層1310側に伝播する可視蛍光光もまた、角度のあるプリズムファセットから、隣接する蛍光ストライプに反射される確率が高いと見られる。
図13Aは、励起ビーム120をスクリーンに導く場合のプリズム層1310のプリズムストライプ1311の動作を示す。角度のある2つのファセット1312は、ファセット1312Aおよび1312Bにより別個に示され、頂点1313で交わる。図のxyz座標においては、プリズムストライプはy方向に平行に配置されている。励起ビーム120は、プリズム層1310に対して法線方向の入射をするよう示されているが、ファセット1312Aおよび1312Bにより2つのビーム120Aおよび120Bにそれぞれ分離される。2つの異なる方向の2つのビームは、x方向に沿った蛍光層400の2つの異なる位置x1およびx2に到着する。このプリズムストライプの特性により二重撮像が行われる。故に、プリズムストライプがy方向に、および蛍光層400の蛍光ストライプがx方向に整列している交差構成においては、位置x1およびx2は蛍光ストライプの長手方向に2つの異なる位置に配設されるので、同じ蛍光ストライプとなる。プリズムストライプおよび蛍光ストライプが平行且つ全てy方向に整列している平行構成においては、2つの位置x1およびx2は蛍光ストライプの長手方向に対して垂直な方向に沿って互いに分離されるので、2つの隣接する蛍光ストライプに存在することになる。蛍光層400における2つのビーム120Aと120Bとの間の分離量は、プリズム層1310の厚み、および蛍光層200とプリズム層1310との間の距離に依る。プリズム層1310の配列構成の両方を利用することができるが、幾らかのスクリーン設計では交差構成のほうが好まれうる。いずれの構成においても、プリズム層の厚みを最小化することで、蛍光層のプリズム層の二重撮像効果も最小化される。
プリズム層1310は、励起光120に対して透過性を有する誘電体層に形成されてよく、角度のあるファセット1312上の透過性材料の屈折率n1より大きい屈折率n2を有する。角度のあるファセット1312上の材料は、空気であってもよく、または屈折率の低い透過性材料であってもよい。プリズム層1310の材料は、角度のあるファセット1312が全反射(TIR)について小さな臨界角度θcr=arcsin(n1/n2)を達成するよう、大きな屈折率n2を持つよう選択される。角度のあるファセット1312を利用して励起光120が受け取られる。
スクリーン設計によって、プリズム層1310の次のスクリーン層は、空気間隙、プリズム層のものより低い屈折率の低屈折率層、プリズム層のものより高い屈折率の高屈折率層などの様々な層から選択されうる。図13の特定の例においては、プリズム層1310の後ろにプリズム層1310の屈折率に略等しい屈折率n3を有する層1320がある。屈折率整合条件によって、プリズム層1310と層1320とのインタフェースにおける望ましくない光学反射が低減されるので、励起光120の光学損失も低減される。層1320は、励起光120に対して透過性を有する誘電体層であってよく、スクリーンのプリズム層1310と蛍光層との間に配置される。層1320は、蛍光粒子が埋め込まれたバインダ材料の層から形成される蛍光層であってもよい。
動作中、走査励起光120は、プリズム層1310に侵入するときに、角度のあるファセットで屈折されて、屈折した励起光がスクリーンに侵入して蛍光層を励起して、これにより可視蛍光光が生成されて画像を表示する。励起光の吸収されなかった部分、および蛍光光の一部はプリズム層1310へ向けて伝播しうる。全角度のこのような光は角度のあるファセットで反射するが、この光の一部は、その全体が全反射(TIR)臨界角度より大きい入射角度を有する角度のあるファセット内の光線のTIRにより、スクリーンへと反射して戻すことができる。このようにして、またも励起光の反射がリン光体層との相互作用で再利用され、これによりリン光体が蛍光光を放射することができる。蛍光光の反射はリン光体により散乱され、その一部が観察側から出てゆく。故に、プリズム層1310は励起光の利用を高め、リン光体スクリーンの観察側の輝度を高める。
顕著なことに、プリズム頂点角度およびプリズム層1310の屈折率は、スクリーンへの、法線方向の入射の、または法線方向の入射に近い後方伝播光が、各角度のあるファセット1312の入射角度が、角度のあるファセット1312のTIR臨界角度と同じもしくは大きくなるよう、選択されうる。図示された光線1341は、このような光線の一例であり、各角度のあるファセット1312において全体が反射される。各角度のあるファセット1312の法線方向はスクリーンの法線方向と異なり、スクリーンの法線方向との間の角度はプリズム頂点角度の半分である。図示された光線1342は、スクリーン面の法線方向に対してプリズム頂点角度の半分ほどの角度で角度のあるファセット1312に入射するので、角度のあるファセット1312の法線入射に近くなる。光線1342はこのように部分的に反射され、残りの光がプリズム層を透過する。光線1342の透過した部分は損失なので、スクリーンとしては損失となる。この結果、プリズム層1310は、スクリーンへ法線入射する光線、大きな角度で入射する光線を含む、広い範囲の角度で入射する後方伝播光線全体を反射することができる。しかし、プリズム頂点角度の略半分でプリズム層1310に対して入射する光線は、全体が反射せず、部分的にしか反射されない。
入射層411は、プリズム層1310の代わりに、励起光120に対する透過性を有する高屈折率材料n2から形成される平坦な層を利用して実装されうる。図14は、高屈折率層1410の一例を示す。図6の基板または剛性の層630も、このような入射層411の一例である。層1410の入射表面は平らであり、TIRを含む入射表面1412での反射は、後方伝播励起光および蛍光光両方をスクリーンに方向付けて、励起光を再利用して、より多くの蛍光光をスクリーンの観察者側に送り出す(push)することができる。この平坦な高屈折率層1410の機能は、プリズム層1310のものに類似している。平坦な層1410の屈折率n2はできるだけ高くして、入射表面1412のTIRの臨界角度をできるだけ小さくして全反射量を増加させるべきである。プリズム層1310とは異なって、入射表面1412の法線方向は、スクリーンの法線方向であるので、TIR臨界角度より小さい入射角度を有するスクリーンへの法線入射で入射する光線、または略法線入射で入射する光線は、部分的に反射され、且つ部分的に透過される。スクリーンの法線入射に対する入射角度がTIR臨界角度より大きい光線はその全体が反射される。スクリーンの入射層として描かれている図13のプリズム層1310または図14の高屈折率層1410の実装例のなかには、層1310または1410の次の屈折率整合層1320が、層1310または1410よりも屈折率が小さい低屈折率層(例えば、空気間隙または低屈折率誘電体層)で置き換えられてもよいものがある。
上述のプリズム層1310および高屈折率層1410は、TIR特性(異なる角度で入射する光を反射する際の角度応答など)が異なる。故に図13のプリズム層および図14の高屈折率層1410は、蛍光層の励起側で互いに組み合わせられて、スクリーンの光学スループットを増加してよい。一実装例においては、図13のプリズム層1310および図14の高屈折率層1410は、空気間隙または低屈折率層をスクリーンの入射層として互いから隔てられうる。プリズム層1310は、全反射によって小さい入射角度で光を反射し、高屈折率層1410は、全反射によって大きな入射角度で光を反射する。例えば、層1310および1410は、入射層の一部として利用でき、互いに低屈折率層または空気間隙により隔てられてよい。プリズム層1310は、空気間隙または低屈折率層から層1410へと透過する励起ビーム120を受け取る最初の層であってよい、または層1410が、空気間隙または低屈折率層からプリズム層1310へと透過する励起ビーム120を受け取る最初の層であってよい。層1410の表面1412は、プリズム層1310の各角度のあるファセット1312のTIR臨界角度より小さいTIR臨界角度を有するよう設計されてよく、こうすることで、プリズム層1310で部分的に反射される光線の全体が層1410で反射する。この構成においては、層1410でその全体が反射されない、スクリーンのフォーマル方向の光線またはフォーマル方向に近い光線が、その全体をプリズム層1310により反射されるようになる。従って、層1310および1410を組み合わせると、二色性層(D1)412の機能が達成される。二色性層(D1)412が干渉フィルタなどの多層構造により実装される場合に入射角度に対して敏感である場合がある。この場合、二色性機能を法線入射の光線または法線入射に近い光線、または入射角度に対して限られた角度範囲にある光線に行うことができる。これに対して、層1310および1410の上述の組み合わせは、入射角度に対して敏感ではなく、全ての角度の後方伝播光を反射する。さらに、多層干渉二色性フィルタのスペクトル的特質は限られる場合があり、ビームの入射角度に応じて変化しうる。これに対して、層1310および層1410の上述の組み合わせは、多層干渉二色性フィルタの性能上の制限を本質的に持たない。
蛍光スクリーンは、蛍光層の別の側の第2の二色性層421(D2)、または、プリズム層1310または高屈折率層1410と、第2の二色性層421(D2)と、を組み合わせて、かなりの量の励起光を閉じ込めてプリズム層1310(または高屈折率層1410)と第2の二色性層421(D2)との間で跳ね返らせることで励起光の利用性および生成される蛍光光の量を向上させてよい。
以下のセクションにおいて、上述の選択されたスクリーン部材を実装する特定の蛍光スクリーン設計の幾らかを説明する。
図15は、プリズム層1310を実装して励起光を蛍光層1570に導く多層蛍光スクリーンを示す。スクリーンは、視聴者側に対向し、視聴者に向けた画像を伝送するカラー光を透過する。不透明のサブピクセルストライプデバイダアレイ1520が、透過性基板1510の一表面に形成されて、蛍光ストライプを画定し、隣接するまたは隣の蛍光ストライプ(つまり隣接するサブピクセル)を光学的に分離する。ストライプデバイダ1520は固体不透明フィルムレジスト(solid opaque film resist)、基板1510に印刷されるインク材、または光学反射性または光学吸収性材料から形成されてよい。ストライプデバイダ1520間には、3つの隣接するフィルタが3つの異なる指定色をそれぞれ透過し、指定色とは異なる他の色の光を吸収する平行のストライプとして形成されたコントラスト強調カラーフィルタ1530が存在する。3つの隣接するフィルタ1531、1532、および1533はフィルタ1530の例であり、フィルタ1531は緑色および青色の光を吸収する赤色透過フィルタであり、フィルタ1532は赤色および青色の光を吸収する緑色透過フィルタであり、フィルタ1533は緑色および赤色の光を吸収する青色透過フィルタである。異なる蛍光色を放出する蛍光ストライプを有する蛍光層1570と組み合わせたフィルタ1530の動作および効果を、図8との関連で記載する。
図15のスクリーンは、ストライプデバイダ1520の上に形成され、それに支持され、蛍光層1570の下に形成される誘電体層1540を含む。誘電体層1540およびフィルタ1530は、誘電体層1540のものより小さい屈折率を有する低屈折率層または空気間隙1550により互いから隔てられる。ストライプデバイダ1520の高さは、10〜50ミクロンであってよい低屈折率層または空気間隙1550の厚みを制御するのに利用されうる。幾らかの実装例においては、誘電体層1540は、約50ミクロンの透明PETプラスチック層のような蛍光層1570のものより小さい屈折率を有する透過性材料であってよい。他の実装例においては、誘電体層1540は、可視光を透過し、UVまたは紫外線波長の励起光を反射する二色性層(D2)であってよい。ストライプデバイダアレイの上部であって蛍光層の下に形成されてよい。
図15の蛍光層1570は、異なる蛍光色(例えば赤色、緑色、および青色)を放出する異なる平行な蛍光ストライプの繰り返しであってよく、層1540の上に形成される。不透明サブピクセルストライプデバイダ1520に空間的に対応して、第2のストライプデバイダアレイ1560が層1540に形成され、各蛍光ストライプ1570がそれぞれのフィルタ1530に位置合わせされるように、異なる蛍光ストライプ1570間を物理的に分離する。
ストライプデバイダ1560は光学反射性または拡散性の材料で形成されて、入射励起光120の少なくとも一部をスクリーンの励起側へのフィードバック光として方向付け、ディスプレイシステムのサーボ制御用の1以上のサーボ光検出器により受け取らせてよい。ストライプデバイダ1560が生成する励起光の反射力は、蛍光ストライプ上のビームの位置によって変わるので、蛍光ストライプ上の励起ビーム120の相対位置を決定するのに利用されてよく、また水平走査中に励起ビーム120とそれぞれの蛍光ストライプとの間の光学的配列を制御するのに利用されてよい。この実施形態においては、ストライプデバイダ1560はサーボマークとして機能し、少なくともスクリーンの励起側に対向するファセットそれぞれで反射する。ストライプデバイダ1560もIR発光蛍光材料、または励起光120および蛍光層1570と同じ励起レーザ光120が励起する蛍光層1570が放出する可視光とは異なる波長の光を放出する他の蛍光材料を含みうる。散乱された励起光および蛍光層1570が生成した可視蛍光光はフィルタされて、IR光のみをサーボ制御動作用に1以上のサーボ検出器が検出するので、このような蛍光ストライプデバイダ1560は、検出信号を1以上のサーボ検出器でノイズ率にまで向上させるのに利用することができる。サーボストライプマークおよびサーボ制御のようなストライプデバイダ1560の詳細は、「Servo-Assisted Scanning Beam Display Systems Using Fluorescent Screens」なる名称のPCT出願番号第PCT/US2007/004004号に記載されており(PCT公開番号_____)、これを本願の明細書の一部として参照として組み込む。
図56の蛍光層1570の上部には、プリズム層1310が形成されて、UVまたは紫外線領域の励起レーザ光を透過して、蛍光層1570からの励起光および蛍光光両方の光を反射する。故に、プリズム層1310は、上述のように二色性層412(D1)の機能を達成し、スクリーンの励起側への蛍光光の損失を低減する。さらに、プリズム層1310は、吸収されなかった励起光を蛍光層1570に再利用のために戻す。
顕著なことに、プリズム層1310と蛍光層1570との間には、蛍光層1570のものより屈折率の小さい低屈折率透過層1580が形成されて、スクリーンの光学スループットを増やす。重合体材料または空気間隙を第2の低屈折率透過層1580として利用することができる。図13のプリズム層1310および図14の平坦な高屈折率層1410の先の説明によると、層1310および1410は組み合わせられることで、全ての角度において後方伝播光線に対して全反射を達成する。図15においては、蛍光層1570は、図14の高屈折率層1410の機能を効果的に提供する。インタフェースのTIR臨界角度より大きい入射角度における、層1570と1580間のインタフェースへの後方伝播光線は、励起光および層1570で生成される蛍光光両方を含み、その全体が反射される。このインタフェースにおけるTIR臨界角度より小さい入射角度の後方伝播光線は、部分的にインタフェースで反射され、部分的に層1580を透過して、プリズム層1310に侵入する。この後方伝播光の部分は、その後、プリズム層1310の有する角度のあるファセット1312によりその全体が反射される。
図16は、異なる蛍光材料から形成される蛍光ストライプを有する蛍光層1570を置き換えるのに利用される白色光を放出する異なる蛍光の単一の混合物から形成される同一の平行ストライプを含む蛍光層1610の図15の設計に基づく別のスクリーンを示す。色生成は、図10の設計に基づいてカラーフィルタ1530を利用して達成される。
図17は、単一のストライプデバイダアレイ1710を利用して平行ストライプカラーフィルタ1530および単一の白色光発光蛍光材料または異なる色を発光する異なる蛍光材料から形成される平行蛍光ストライプ1720両方を分離する、プリズム層1310を有するスクリーン設計の別の例を示す。図15および16の設計におけるサーボマークとしての別個のストライプデバイダアレイ1560は、スクリーン構造を単純化する目的から削除されている。単一のストライプデバイダアレイ1710は、ストライプデバイダおよびサーボマークの両方として利用され、ストライプデバイダ1560の材料から形成することができる。図15および16の設計とは異なり、この例では、各カラーフィルタ1530と蛍光層1720との間に、およびこれらに直接接触するように形成される低屈折率透過層1730が利用されている。低屈折率透過層1730は、蛍光材料のものより低い屈折率を有して、それぞれのインタフェースの全反射が引き起こす光学損失が低減されたスクリーンの各カラーフィルタ1530に対する光学スループットを増加する。層1730は、層1720と1730との間に封止されたジェル層であってよい。プリズム層1310および蛍光材料のものより小さい屈折率を持つ第2の低屈折率透過層1580が、プリズム層1310および蛍光層1720の間に形成されて、スクリーンの光学出力を増加する。重合体材料または空気間隙を第2の低屈折率透過層1580として利用することができる。
図18および19は、図14の平坦な高屈折率層1410をスクリーンの入射層として利用する2つの例示的スクリーンを示す。図3Bのスクリーンは図15および16のスクリーン構造に基づいており、プリズム層1310および低屈折率層1580の代わりに高屈折率層1410を利用する。図19においては、スクリーンは図17のスクリーン構造に基づいており、プリズム層1310および低屈折率層1580の代わりに高屈折率層1410を利用する。
図20は、図14の設計に基づいて蛍光層1720の両面に二色性層412(D1)および421(D2)が形成された蛍光スクリーン設計を示す。低屈折率透過層2010は、二色性層421と基板1510との間に形成されて、観察者への光学スループットを向上する。ストライプデバイダアレイ1560を形成して、隣接する蛍光ストライプ同士を分離して、さらに図15に示した上述のサーボフィードバック制御用のサーボマークとして機能させる。
図21は、図17の設計に基づくスクリーン設計を示す。励起光120を透過し、蛍光層1720が放出する蛍光光を反射する二色性層412(D1)を、プリズム層1310の代わりに利用する。平行な蛍光ストライプ1720は、単一の白色光発光蛍光材料または異なる色を発光する異なる蛍光材料から形成することができる。ストライプデバイダ1710を、物理的に別個の隣接蛍光ストライプ両方に利用して、図15に関連して示した上述のサーボフィードバック制御用のサーボマークとして機能させる。
図22は、図14の設計に基づく別のスクリーン設計を示す。透過性プラスチックまたはガラス材料などの、剛性の支持基板2230をベースとして利用して、平面スクリーン積層2210を有する様々なスクリーン層を支持する。例えば光学勾配アクリル基板(optical grad acrylic substrate)を、基板2230を形成するのに利用できる。平面スクリーン積層2210は、図14に示す高屈折率層として機能するフィルムベース層2202を含んで、光をスクリーンに導き全反射に基づいてスクリーンに光を反射して戻す。DuPont Teijin filmおよびMylar DL filmなどの市販の重合体フィルムを層2202として利用することができる。保護ライナなどのフィルタ支持層2201は、ポリエステルフィルム2202に取り付けることができる。この支持層2201を利用して製造中にフィルムベース層2202を保護してよく、スクリーンが完全に組み立てられた後に除去することができる。支持層2201はさらに、製造後に保護層として維持することもできる。蛍光ストライプの層1570は、フィルムベース層2202と接触するよう形成され、ストライプデバイダ2203により分離される。デバイダ2203は、フィルムベース層2202、および蛍光層1570の蛍光ストライプと接触するファセットまたは側壁が、光学的に反射性を有する。誘電体層1540がストライプデバイダ2203の上に形成され、層1540と蛍光層1570との間の空間を形成する。この空間は、空気間隙であってもよく、または、蛍光層1570の蛍光領域のものよりも低い屈折率を有する低屈折率層1730で充てんされてもよい。異なるカラーフィルタを有するコントラスト強調層1530が層1540上に形成される。粘着層2220(例えば光学的透明ラミネート粘着剤)を利用して、平面スクリーン積層2210を基板2230に接着する。基板2230の、観察者に対向する出口表面には、反射保護層2240を形成して、周辺光の反射によるスクリーンのグレアを低減してよい。
図23は、一実装例によるストライプデバイダ2203の詳細を示す。全てのサイズはミクロンで現され、一例である。各デバイダ2202の本体は光学的に反射性を有し、光学的反射性材料から形成されてよい。オプションとしては、スクリーンの観察者側に対向するデバイダファセットを、黒色吸収性層2310で被膜して、観察者側へのいかなる反射をも低減してよい(400nm〜650nmの間で10%未満の反射および80%を超える吸収)。この特性により、スクリーンの解像度およびコントラストが向上しうる。様々な光学的反射性材料を利用してデバイダ2203を形成することができる。アルミニウムなどの金属材料を、デバイダ2203を構築すべく利用してよく、または反射性が必要な各デバイダの表面またはファセットの被膜を形成する被膜材料として利用してもよい。白色塗料材用を利用してデバイダ2203を形成して、高反射性を達成してもよい。例えば、TiO2−充てん樹脂または硫酸バリウムが充てんされた樹脂から形成される白色塗料を形成して、特に透明重合体内に反射し返された場合用などに金属被膜に優れた反射特性を持たせてよい。白色塗料材料の反射率は400nm〜650nmにおいて90%より大きくてよい。
さらに、ストライプデバイダ2203もIR発光蛍光材料、または励起光120および蛍光層1570と同じ励起レーザ光120が励起する蛍光層1570が放出する可視光とは異なる波長の光を放出する蛍光材料を含みうる。散乱された励起光および蛍光層1570が生成した可視蛍光光はフィルタされて、IR光のみをサーボ制御動作用に1以上のサーボ検出器が検出するので、このような蛍光ストライプデバイダ2203は、検出信号を1以上のサーボ検出器でノイズ率にまで向上させるのに利用することができる。各デバイダ2203の、観察者側に対向するファセットは、吸収層2310で被膜することができる。
図24および25は、カラーフィルタベースのコントラスト強調層に代わる、ディスプレイコントラストを強調すべく励起光を遮蔽し可視光を均一に減衰するフィルタ層を有する2つの例示的スクリーン設計を示す。図24においては、平面スクリーン積層2410が、図22の積層2210の代わりに利用される。積層2410は、励起光(例えば400nm〜415nmの間の光)が、観察者側に透過されるのを遮り、可視光(430nm〜670nm)を均一的に減衰するフィルタ層2413を、NDフィルタとして含む。ポリエステルフィルムをフィルム層2413として利用してもよい。2枚の光学的透明ラミネート粘着層2411および2412を利用して、フィルタ層2412の一面をストライプデバイダ2203に取り付け、片方の面を基板2230に取り付ける。
図25では、剛性の支持基板2520を利用して、励起遮蔽機能、および図24のフィルタ層2413のNDフィルタ機能を提供することでフィルタ層2413を省いている。これによりスクリーン構成が簡略化されている。本例の平面スクリーン積層2510は、ラミネート粘着層2511、ストライプデバイダ2203、蛍光ストライプ1570を有する蛍光層、蛍光層とラミネート粘着層2511との間の低屈折率層1730、および高屈折率フィルムベース層2202を含む。
スクリーン設計の幾らかにおいては、1以上の層が蛍光ストライプにわたる連続層であってよく、ストライプデバイダにより複数のストライプに分離されていなくてよい。例えば、図22、24、および25のフィルムベース層2202、および図15、16、18、および22の誘電体層1540、図4および11のカプセル化層1120、ゲイン層423、および図14、18、22、23、24、および25の高屈折率層1401が、このような連続層であってよい。このような連続層においては、蛍光光から放出された可視光が連続層の2つの表面間で反射され得て、これにより隣接するサブピクセル内に反射されることで画像のスメアを生じてしまうことがある。さらに、1つのサブピクセルを対象とした励起光が、隣接するサブピクセル内に反射されて、該隣接するサブピクセルで誤った色を励起して、望ましくないハロー効果を生じてしまうこともある。これらの悪い効果を低減する一方法は、連続層等の厚みをサブピクセルの幅未満の値(蛍光ストライプに垂直な水平方向沿いの1つのサブピクセルの10倍未満)に制限することである。
上述のスクリーン設計においては、蛍光層が放出するカラー蛍光光は、観察者への経路中に、2つの異なる層間または材料間など様々なインタフェースを通過する。このようなインタフェースの各々において、インタフェースの2面の屈折率の差異により望ましくない反射が生じる。特に、放出されたカラー光が、入射角度がインタフェースの臨界角度より大きい場合、次の層より高い屈折率を有する層から伝播する際、該インタフェースには全反射が生じうる。従って、幾らかの実装例においては、複数の光学材料を利用する際、反射を最小化するべく、なるべく近い屈折率を持つよう選択されてよい。他の実装例においては、インタフェースにおける屈折率の差異を故意に生じさせて、一定の効果を狙う場合もある。
例えば、幾らかの蛍光設計の蛍光層においては、蛍光層の観察者側に、低屈折率の低屈折率誘電体層を隣り合わせてよい。低屈折率誘電体層の屈折率は、蛍光層の屈折率および、低屈折率誘電体層に接触する別のスクリーン層の屈折率より低くてよい。図26は、蛍光スクリーンの一部としてこの構造の一例を示す。この例は、スクリーンの一部だけを示し、この構造の3つの連続スクリーン層(蛍光層2600、低屈折率誘電体層2610、およびスクリーンの観察者側外部層としてのスクリーン層2620)を示す。蛍光層2600で放出される蛍光光は、低屈折率誘電体層2610およびスクリーン層2610を透過して、スクリーンを出て観察者に到達しうる。図26の構造は、低屈折率誘電体層2610を利用して、蛍光層2600からスクリーンの観察者側への蛍光光のスループットを増加させ、蛍光層2600の観察者側への蛍光光の反射が引き起こす蛍光層2600内の2つの隣接する蛍光ストライプ間のクロストークを低減しうる。
本設計においては、蛍光層2600を層2610に向けて伝播する蛍光光の大半が、層2600と層2610との間のインタフェース2601で、一部が透過し、一部は反射する。低屈折率誘電体層2610の屈折率は蛍光層2600より小さいので、インタフェースに全反射(TIR)の臨界角度より大きい角度で到達する蛍光光の一部は、完全に反射して蛍光層2600に戻される。故に、TIR条件は、インタフェース2610において角度フィルタ機能を生成し、TIR臨界角度より小さい入射角度を有する蛍光光を透過させ、入射角度の大きい蛍光光の透過を遮蔽する。層2610および2620間のインタフェース2611においては、層2610の屈折率が層2620のものより小さいので、層2610に対する全反射がない。全ての角度の蛍光光は、一部はインタフェース2611を透過して層2620に進入し、一部は層2610へと反射により戻る。インタフェース2601のTIR条件により、層2610に進入する蛍光光の角度は、インタフェース2601のTIR臨界角度より小さく制限されるので、層2631の光線2631の透過である層2620の蛍光光線2632もまた、層2600、2610、および2620の屈折率により決定される最大角度を有する。層2620は、これもまた空気をインタフェースするスクリーン表面である出口表面2621を有する。従って、インタフェース2621のTIR臨界角度より大きい入射角度を有する層2620の光において全反射が生じうる。
しかしインタフェース2621におけるTIRは、スクリーンから観察者側へと出ていく蛍光光量を低減する。これによりスクリーン輝度が低減する。加えて、TIRによりインタフェース2621で反射される光により、1蛍光ストライプが生成する1色の蛍光光が異なる色の隣接する蛍光ストライプに進入することで、2つの隣接する蛍光ストライプ間にクロストークが生じうる。例えば、青色蛍光ストライプからの青色光が、赤色蛍光ストライプおよび緑色蛍光ストライプを励起、発光させうる。このクロストークが生じると、スクリーンの青色のスポットが、隣接する赤色および緑色のピクセルにグローを生じ得るが、これはしばしば画像のハローとして知られている。この結果、インタフェース2621のこのTIRは、色純度および画像解像度を劣化させうる。
少なくとも上述を踏まえると、層2600、2610、および2620の屈折率は、インタフェース2601においてTIR臨界角度に等しい入射角度の場合、層2610に光線2631、および層2620に光線2632を発生させる蛍光層2600の蛍光光線2630が、層2620の出口表面2621の光線2632の入射角度をインタフェース2621のTIR臨界角度以下とするよう、選択されうる。この条件下においては、蛍光層2600からインタフェース2601を透過する蛍光光は、インタフェース2621で全反射されない。顕著なことは、低屈折率層2610は、最低屈折率を有する空気間隙でありうるし、望ましい低屈折率を有する誘電体材料でもありうる。この特性は、図15、16、18、22、24、および25のスクリーンを含む、上述の例の幾らかに示されている。
上述のように、サーボ基準マークがスクリーンの蛍光領域に生成するフィードバック光は、スクリーンの個々のサブピクセルの中心に比した走査ビーム120の相対位置を検出するのに利用されうる。蛍光ストライプの周期構造、または、蛍光ストライプの周期構造上に形成される周期特性を、走査励起ビーム120の一部として散乱または反射させるサーボ基準マークとして利用することができ、このようなサーボ基準マークからの散乱光または反射光を、位置合わせ不良の存在、および位置合わせ不良の方向を計測すべく検出する。蛍光またはリン光体ストライプ間のストライプデバイダは、励起光に対して光学的反射性を持つよう形成されて励起光および個々のサブピクセルの光パルスの位置合わせに対するサーボ制御用のフィードバック光を生成しうる。
図27は、サーボフィードバック光を生成する光学反射性ストライプデバイダを有する蛍光スクリーンの一例を示す。この例においては、スクリーンは、他のスクリーン層および部材を支持する支持基板層3760を含む。示されている蛍光層は、平行に間隔を置いたストライプデバイダ3730およびストライプデバイダ3730間に蛍光ストライプ3740を含む。隣接する蛍光ストライプ3740は、異なる色(例えば赤色(R)、緑色(G)、および青色(B))の光を3つの連続したストライプで発光する異なる材料から形成される。空気間隙3750または低屈折率誘電体層は、各蛍光ストライプ3740および支持基板層3760の間に形成されて、支持基板層3760から観察者への、蛍光ストライプ3740からの可視光の透過を向上させうる。誘電体層3720は、蛍光ストライプ3740の上に形成されて、励起光120を透過させつつ蛍光ストライプ740からの可視光を反射させうるよう構成されてよい(例えば二色性材料)。支持基板層3760は蛍光ストライプ3740の観察者側に位置するので、支持基板層3760は蛍光ストライプ3740が放出する可視カラー光に対して透過性または半透過性を有する材料から形成されうる。蛍光ストライプが放出する3色を含む可視光に均一減衰を施す半透過性材料は、支持基板層3760で利用されて、光学減光(ND)フィルタのように機能してよい。加えて、支持基板層3760は、励起ビーム120の励起光に対して反射性および半透明性を有して、励起光が観察者に到達するのを遮蔽し、蛍光ストライプ3740に未吸収の励起光を再利用のために戻しうる。
励起光120は、走査レンズ360を介してスクリーンに方向付けられ、少なくとも1つのサーボ光学検出器3710が、主にストライプデバイダ3730によるフィードバック光としての励起光の反射を検出するべく提供される。図27の例では、2つのサーボ光学検出器3710が走査レンズ360付近に配置されると示されている。1以上のサーボ検出器が他の位置に配置されて(例えば、スクリーン101付近)、フィードバック光を受け取ってもよい。
図28は、図23および27の設計を含む、本願の様々なスクリーン設計の反射性ストライプデバイダの一例を示す。各反射性ストライプデバイダ3730は、ビーズ3821およびビーズバインダ材料3822の混合物で形成され、ここでビーズバインダ材料3822はビーズ3821を分散、支持する基質を提供している。ビーズ3821は、ビーズバインダ材料3822の屈折率よりも高い屈折率を有する誘電体材料から形成されて光学反射を達成しうる。例えば、ビーズ3821は、2.0以上の屈折率を有するガラスまたは他の透過性材料から形成されてよく、ビーズバインダ材料3822は、屈折率が1.5の樹脂または他の材料から形成される。ビーズ3821は、数ミクロンから数十ミクロン、または数百ミクロンという様々なサイズであってよい。例えば10ミクロンのガラスビーズをビーズ3821として利用しうる。
動作においては、各ビーズ3821が光学反射器となって、ビーズ3821に進入する励起光120の少なくとも一部を反射する。ビーズバインダ材料3922の屈折率はビーズ3821のものより小さいので、ビーズバインダ材料3822からビーズ3821に入射する励起光は、少なくとも部分的にバインダとビーズとの間のインタフェースで屈折して、全反射なしにビーズ3821に進入する。ビーズ3821内の励起光の少なくとも一部がフィードバック光3770として反射されて戻る。ビーズ3821とビーズバインダ材料3822との混合物が、2つの隣接する蛍光ストライプ3740を隔てて、ディスプレイの画像品質を劣化させうるクロストークを避けることを目的としてさらに光に対して不透明性を呈してよい。不透明性の程度は、ディスプレイにおけるクロストークの公差(tolerance)要件によって変化する。
ビーズ3821およびビーズバインダ材料3822の混合物の、光学反射性および光学不透明性両方を具備するという特性は、混合物の様々な設計により達成されてよい。図29Aおよび29Bは、図28のストライプデバイダ3720で利用されるビーズ3821のビーズ設計の2例を示す。
図29Aは、外面全体上を被膜する、半透過性および半反射性の層3920で被膜されるビーズ3910を示す。被膜層3920の半透過性により、励起光120の進入および光のエクスポートが許可され、被膜層3920の半反射性により、ビーズバインダ材料3822のインタフェースにおいてビーズ3910の内部またはビーズ2910の外部いずれかにおける光の反射を許可する。このような被膜されたビーズを利用して、フィードバック光3770を生成するのに望ましい反射とし、ストライプデバイダ3730の不透明性を望ましい程度とする。一例としては、透明ガラス、プラスチックまたは重合体ビーズを、半透過性金属層に対して被膜層3920として被膜することができる。
図29Bは、露出している外面の残りを残しつつ、反射性被膜3930で被膜される外面の一部を有するビーズ3910を示す。例えば、各ビーズ3910の半球を反射性被膜3930で被膜してよい。一実装例においては、反射性被膜3930は、全反射性金属被膜であってもよい。このような部分的被膜ビーズが、樹脂のような適切なビーズバインダ材料に混合されると、ビーズは互いに対して全方向に向かう。故に、このような混合物で形成されるストライプデバイダ3730においては、幾らかのビーズが理想的な方位を有し、該ビーズの非被膜部分はスクリーンの励起側に対向して励起光を受け取り受け取った励起光を反射し返しつつ、同時に、他のビーズは他の方位にあって、そのうち幾らかのビーズがスクリーンの励起側に対向するビーズのそれぞれの被覆部分を有していてよい。
ビーズの方位のランダムな特性によって、少なくとも光の一部が再帰反射(retro-reflected)されて、再帰反射しない光の一部が混合物を貫通するのを妨げるので、これにより各ストライプデバイダ内に望ましいレベルの不透明性がもたらされる。
ビーズおよびバインダ材料は、各ビーズの再帰反射を最適化するよう選択されうる。図29Bを参照すると、空気に配置されるビーズの球状の内面の焦点距離fは、1/f=(nbead‐1)/2rで表され、ここでnbeadはビーズの屈折率を表す。従って、ビーズの屈折率が2である場合、焦点距離は2rであり、ビーム3910の内面の単一の反射が生じるビーム反射3770は、入射光ビーム120に対して平行である(「逆反射」ビーム)。
図30は、図27の反射ストライプデバイダ3730の一例を示し、ここで、プリズムストライプは、各ストライプデバイダ3730の上の誘電体層3720の上部に配置されて、反射フィードバック光を生成すべく下にあるストライプデバイダ3730と重複する。図30は、スクリーンの3つの異なる位置にある3つのこのようなプリズムストライプ4010、4020、および4030を示す(それぞれスクリーンの左側付近、スクリーンの中央、スクリーンの右側付近)。このようなプリズムストライプとしては様々なプリズム設計を利用しうる。図示された例においては、各プリズムストライプは、直角のプリズムであり、プリズムの直角をなす一面が誘電体層3720に配置されている。3つのプリズム4010、4020、および4030の各々の光線が示すように、各プリズムは望ましい反射フィードバック光4040を生成する。直角のプリズムを利用する場合、スクリーンの中央から右側および左側のプリズムの方位は、示されているのと逆方向になる。
図23および27を参照すると、スクリーン101のスクリーン層は、平坦なパネルベース2202およびベース2202上のストライプデバイダ2203で形成されうる(図23)。蛍光材料は、ストライプデバイダ2203間のストライプとして堆積されうる。または、光学励起下の異なるリン光体材料または他の発光材料から形成される平行な蛍光ストライプを有する蛍光スクリーン101を設計して、蛍光ストライプを平坦な表面にまず形成して、次にストライプデバイダを2つの隣接する蛍光ストライプ間に形成することにしてもよい。
図31A、31B、および31Cは、金属化ストライプデバイダを有するスクリーン設計および製造工程の一例を示す。
図31Aにおいては、スクリーン基板またはフィルム4110が、蛍光ストライプを支持すべく提供される。基板またはフィルム4110は、さまざまな材料から形成されうる(例えば、ポリエステルフィルム(例えばMylar)または多層誘電体材料を有する合成フィルム、蛍光ストライプが配された平坦な表面を有するプリズムフィルム、およびプリズムストライプを有する構造表面)。一実装例においては、基板またはフィルム4110の厚みは、約25ミクロ以下であってよい。蛍光ストライプは基板4110に直接、印刷工程により印刷されてよい。または、ストライプ型を利用して、リン光体材料をまず型に塗布してリン光体ストライプを形成し、成形されたリン光体ストライプをその後基板4110に転写してもよい。分離ストライプ間隙を2つの隣接するストライプ間に用いて異なるリン光体ストライプ間を分離する。
次に、金属層を基板4101およびリン光体ストライプの上に堆積させて、リン光体ストライプを完全にカバーする(図31B)。2つの隣接するリン光体ストライプ間の別個の間隙は、金属層の金属材料で部分的に、または完全に充てんされる。その後、研磨工程を行い、リン光体ストライプの上部の金属材料の一部およびリン光体ストライプの一部を除去して、各リン光体ストライプの中央部分を露出させる(図31C)。中央の露出した部分の他の部分では、金属材料はリン光体ストライプ上に残存する。研磨面は、露出したリン光体ストライプおよび金属層により形成される。2つの隣接するリン光体ストライプの間の中間は、空の窪み(void dip)であってよく、または研磨金属で充てんされてよい。顕著なことに、2つの隣接するリン光体ストライプが、金属層材料である不透明性のおよび反射性の金属材料により分離されることで、あるストライプからの光が隣接するストライプに進入することを妨げる。図31Cは、空の窪みが、2つの隣接するリン光体ストライプの中間の金属の上に形成されていることを示す。
様々な技法を利用して、被膜金属およびリン光体材料の一部を除去することができる。例えば、研磨、ラップ仕上、または切断法(cutting process)を利用して、頂上から金属およびリン光体材料を除去することができる。印刷線の断面形状は略半球状なので、各色の発光幅はさらなるラップ仕上によって広くなる。ラップ仕上工程の進行に応じた表面積の急激な増加に依り、材料除去の自然停止点として機能するような工程を開発してもよい。微構造のなかには平坦化面に残るものもあり、これにより次のラミネーションにおける空気間隙を形成し、テクスチャにより完全な表面接触なしに接着用の「ハイライト(high spot)」が形成される。
図31Cに示すスクリーン構造をその後利用して、様々な構成のスクリーン101を構築してよい。特定の例を以下に示す。
図32は、基板またはフィルム4110が励起側で利用される1つの設計を示す。金属層の2つの隣接するリン光体ストライプの間の空隙(void)は、観察者に対向しており、黒色塗料などの半透明黒色フィルタ材料で充てんされて観察者への光の反射を低減しうる(例えば、周辺光または他の迷光)。
図33は、基板またはフィルム4110が観察者側に対向して光を観察者に対して透過させる別の設計を示す。第2の基板またはフィルムは、リン光体ストライプの励起側の研磨された上面に連結される。2つの隣接するリン光体ストライプ間の金属層に空隙がある場合、反射性充てん材料を空隙に充てんして、光をサーボ制御用のフィードバック光として励起側に反射し返す。このような反射性充てん材料を反射性白色塗料または反射性ビーズを有する反射性材料として利用することができる。この設計は、図28および30の設計とは異なっており、観察者側に対向する各リン光体ストライプにおいてより大きな領域を提供し、各ストライプで残りの金属層を利用して、観察者側に発光されたカラー光を反射する。この設計は、観察者に対する光スループットを向上させるのに利用されうる。
図34は、反射性ビーズを含有する金属化ストライプデバイダを有するスクリーンの一例を示す。リン光体ストライプが形成される基板またはフィルム4110を、励起側に対向させて利用する。このスクリーンの製造法は、図31A−31Cに示す工程とは異なっている。図34のスクリーンの製造法においては、リン光体ストライプを図31Aに示すスクリーンの層4110に形成した後、反射性ビーズまたは反射性白色塗料(例えばBaSO4)を含有する反射性充てん材料を異なるリン光体ストライプ間の間隙に充てんしうる。次に、金属層をリン光体ストライプ上に堆積させ、間隙内の反射性充てん材料および間隙に、リン光体ストライプを完全にカバーさせる。続いて、研磨工程を行い、リン光体ストライプの上部の金属材料の一部およびリン光体ストライプの一部を除去して、各リン光体ストライプの中央部分を露出させる。反射性充てん材料は、堆積された金属材料によりカバーされ続ける。図29Aおよび29Bに戻ると、上述の反射性ビーズは、ビーズおよびビーズバインダ材料の混合物として実装されてよく、ここではビーズバインダ材料はビーズが分散され支持される基質として提供される。
本明細書は多数の詳細を含むが、これら詳細は本発明の範囲の限定として、または請求されうるものに対する限定として捉えられるべきではなく、むしろ本発明の特定の実施形態に特有のフィーチャの記載として捉えられるべきである。本明細書で記載した、別の実施形態において記載したあるフィーチャは、単一の実施形態で組み合わせられて実施されてもよい。また逆に、単一の実施形態において記載された様々なフィーチャを多数の実施形態で別個に、または任意の適切なサブコンビネーションとして実施してもよい。さらには、上述の記載においてはフィーチャはあるコンビネーションにおいて機能しているかもしれないし、当初はそのように請求されるかもしれないが、請求されたコンビネーションから1以上のフィーチャを幾らかの場合に除去して、請求されたコンビネーションをコンビネーションのなかのサブコンビネーション、又はサブコンビネーションの変形例としてもよい。
幾らかの実装例のみを開示した。しかし、変形例および改善例も行うことができる。