JP5536693B2 - 覆砂装置及び覆砂工法 - Google Patents
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Description
覆砂工法としては、作業船から直接、砂を水底に投下する方法が知られている。
或いは、図6に示すように、作業船eから供給した覆砂材を吐出管aを介して水底の底泥c層に向けて散布し、底泥c上面を覆砂bする方法などが従来から行われている。
また、トレミー管や管状シュートを使用して船上から水底に向けて砂を供給して覆砂する方法が、特許文献1及び2に開示されている。
そのために、底泥cを乱すことなく覆砂層を形成できるという利点を備えている。
(1)覆砂の作業時に、覆砂に含まれる微細な粒子が水中に拡散して濁りが生じやすい。
(2)既存の底泥に覆砂が着底する際に、周辺の水をかき乱すために底泥が舞い上がって周囲に拡散するおそれがある。
(3)落下速度によって覆砂材が軟弱な底泥内部に入り込むため、完全に底泥を覆砂で被覆するためには、例えば20cm以上の厚さの砂層が必要となるなど、相当量の砂層を形成する必要がある。
(4)同様の理由で、覆砂材が底泥層に潜り込んだり、底泥上面が乱流になって底泥が舞い上がり水域に濁りを生じたり、覆砂層の上に舞い上がった底泥が沈降し覆砂層の上に底泥層が形成されてしまう場合がある。
(5)水上からの施工であるため覆砂厚は不均一になりやすく、覆砂が不均一だと底泥がすべり破壊を起こしやすくなることから施工管理が難しい。
(6)不均一な層厚となることを想定して覆砂を行うため、最低必要厚さを満たすためには、大量の砂を投入する必要がある。
(7)特許文献3に示す装置でも、覆砂材料に含まれる微細な粒子が迅速に沈降せずに周囲に濁りを与えるという問題が、依然として残っている。
(8)覆砂は装置の中心付近に集中して沈降するために、均一な厚さの覆砂層を得るためには砂を供給する位置を頻繁に移動する必要があり不経済である。
(1)特に放出装置の内部にスラリーの集中移動を避けるための案内板を複数枚設置したので、広い範囲の面積に、ほぼ均等にスラリーを放出して均等に覆砂を行うことができる。
(2)底泥を乱すことなく覆砂層を形成することができる。このため、水質が悪化することがほとんどない。
(3)落下速度によって覆砂材が軟弱な底泥内部に入り込むような問題がないから、不必要に厚い層を増し打ちすることなく、確実に覆砂層を形成することができる。
(4)スラリー放出時の流速を低減することができ、水底の泥の巻き上げや覆砂材の拡散による水中の濁りを低減することができる。
(5)覆砂時の余剰水を取水することができるから、覆砂地点周辺での濁りを低減することができる。
(6)覆砂材を水と混合してスラリー状とし、水底の近くで水平に近い方向に向けて覆砂作業を行う。そのために軟弱な底泥であっても砂の潜り込みが発生しがたく、底泥の表面に薄く、均一な覆砂層を形成することが可能である。
(7)底泥上に確実に覆砂するため、汚泥の溶存酸素消費量や窒素、リンなどの栄養塩の溶出量が抑制され、湖水の富栄養化が弱まる。
(8)覆砂後の水底の表層は、砂又は砂質土からなる、均一な覆砂層となる。このため、水底の環境が砂質土系の良好な状態となることから淡水植物や底性生物の生育場として改善される。
(9)装置の放出口から落下しなかった余剰スラリーは、吸収して循環させるため、周囲への拡散がなく、濁りの発生を抑制することができる。
(10)水底に蓄積した軟弱な汚泥を砂などで薄く被覆することにより、汚濁物質の汚泥からの溶出を抑制することができる。
(11)平均的に均一な厚さに覆砂できるため、必要な覆砂厚さ以上の余盛りをする必要がなく、経済的である。
(12)覆砂装置の規模は簡単に大きくすることができるから、用途に応じて設計により効率よく短時間での覆砂作業を行うことができる。
(13)沈殿地を設置すれば、覆砂材に含まれている覆砂に適さない微細な粒子を除去することが可能で、その点でも水質の汚染を抑制することができる。
(14)同一の構造の放出装置を並列に設置すれば、広い幅の覆砂層を一度に構成できるため、きわめて経済的である。
本発明の覆砂装置、覆砂工法ではスラリーを使用する。
このスラリーは、土砂などの覆砂材に水を混合して管路を流体輸送できる材料である。
そして本発明の装置では、このスラリーを、略水平の方向の流れを与えた状態で水底に向けて放出して覆砂するものである。
ここで「略水平」とは先行技術に記載の発明における土砂の放出方向がほぼ鉛直であるのに対する意味であって、正確に水平であることを意味するものではない。
また本発明の装置では、スラリーの通路が下流に向けて拡大させてあるために、低速となって静かに放出口から落下する。
そして、放出したスラリーの量とほぼ同等の量の水を、放出した位置から吸引して、これを新たなスラリーの製造に使用する。
次に実際に機能させる装置の実施例について説明する。
図1は、本発明の覆砂装置の実施例の説明図である。
本発明の覆砂装置は、覆砂材の供給装置1と、放出装置2と、供給装置1と放出装置2を連続した給砂管3と吸水管4によって構成する。
供給装置1は、給砂管3と吸水管4を循環する水に、砂などの覆砂材cを供給する装置である。
例えば、上部開放の容器であるホッパーを使用し、このホッパーに投入した覆砂材Cを自由落下によって給砂管3に供給する。
供給する砂などの量は、供給装置1の下端にバルブを取り付け、このバルブの開放量によって砂の落下量を調整して行う。
その他、供給装置1の内部に回転翼よりなる撹拌装置を設けて、水と覆砂材cを撹拌混合して均一なスラリーを製造することもできる。
放出装置2は水底に面して配置する中空の容器である。
放出装置2の形状は、基本的にはほぼ矩形状の容器であり、下面だけに後述する放出口を開放し、他の面を密閉して構成する。
放出装置はその一部を、スラリーの移動方向に沿って徐々に断面が拡大する、断面拡大部21として構成する。
その結果、放出装置2は平面視が将棋の駒のような末広がりの形状を採用する。若しくは、放出装置2の全体にわたって、スラリーの移動方向に沿って徐々に断面が拡大する、平面視が台形の形状を採用することができる。
いずれの形状であっても、放出装置2の断面の拡大によって、内部を移動するスラリーの移動速度を低下させることができ、その結果覆砂材cの均一な放出を行うことができる。
放出装置2では、断面の小さい側の上面に開口した給砂口31を介して給砂管3に接続し、断面の広い側の上面に開口した吸水口41を介して吸水管4に接続する。
放出装置2の下面、すなわち水底面側には、スラリーの放出口22を開口する。
本実施例における放出口22は、網状に形成したものを示すが、複数個所に多数の開口部を独立して設けた多孔板を採用することもできる。
放出口22からはスラリーの落下だけではなく、鉛直方向に水が自由に出入りすることから、吸水機能を果たすこともできる。
放出口22は放出装置の下面の全面に開口するものではなく、後述する案内板の設置範囲よりも下流側の範囲に開口する。
前記した給砂口の近傍には、案内板23を設置する。
この案内板23は、鉛直に立てた板であるが、特に放出装置2の断面積拡大部21に複数枚を、平面視末広がり状に設置する。
その結果、給砂口31から吐出させたスラリーは給砂口31の近傍に位置する案内板23によって移動方向が規制されるから、集中した塊として移動することがなく、案内板23の枚数に応じて拡散させた状態で移動させることができる。
前記供給装置1と放出装置2との間をスラリーや水が連通するように給砂管3と吸水管4で接続する。
それらの管3、4のいずれかの位置にポンプ33を設け、該ポンプ33によって管3、4の内部の水に、供給装置1から給砂管3、放出装置2、吸水管4の順にめぐる一定方向の流れを与える。
このスラリーを循環させるポンプ33は、給砂管3、吸水管4中の何れの位置に設置してもよく、ポンプ33の性能に応じて設置場所を決めることができる。
給砂管31は、供給装置1と、放出装置2の上面に開口した給砂口31との間を接続して、供給装置1から放出装置2へのスラリーの供給に使用する管路である。
一方、放出装置2の吸水口41と供給装置1との間を接続して、放出装置2から供給装置1への流れに使用するのが吸水管4である。
吸水管4は、放出装置2と供給装置1との間を接続している。
そのためにポンプ33の駆動によって、放出装置2の放出口22から吸引した水を、放出時に余剰となった濁り水とともに供給装置1に返送することができる。
上記した放出装置2は、図3に示すように作業台船5からクレーン51などで吊り下げることができる。
あるいは図4に示すように、放出装置2にフローター6を取り付けて装置2自体に浮力を与えるような構成を採用することもできる。
また覆砂を供給する供給装置1は、図3に示すように作業台船5の上に設置することができるが、図4に示すように供給装置1を陸上に設置して放出装置2まで長い管路3,4で接続する構成を採用することもできる。
覆砂材に微細な粒子や比重の小さい粒子を含んでいる場合にはこれらの粒子は沈降しにくいために放出口22から落下せず管路3内を循環し続ける。
この場合に図4に示すように給砂管3あるいは吸水管4の途中に沈砂池、沈殿槽7を設置して、そこに沈降させてこれらの微細粒子を取り除くこともできる。
上記の装置2を用いて行う覆砂工程を図2を参照しながら説明する。
まず供給装置1に覆砂材cを投入する。
同時にポンプ33を作動して給砂管3、放出装置2、吸水管4の順で水を循環させる。
循環のための水は、放出装置2の放出口22から管3,4内に供給される。
覆砂材cは自重により給砂管3内に供給されて水と混合してスラリーとなり、給砂口31を通って放出装置22に至る。
給砂口31から放出装置2に流入したスラリーは、鉛直方向の流れの方向が水平方向に変わる。
その際にスラリーは、給砂口31に接近して位置している案内板23によって流れる方向を振り分けられる。
したがってスラリーは、流れの方向を水平に変え、かつ複数の方向へ拡散した状態で移動する。
そのためにスラリーは、塊の状態で移動することがなく、複数の方向へ分散し、かつ流速が大幅に低減した状態で放出口22へ到達する。
給砂口31から案内板23で移動方向を規制された覆砂材cを含むスラリーは放出装置2の放出口22に至る。
その際に前記したように案内板23で移動方向を規制しているから、スラリーは分散しており、かつ低速で放出口22に至り、その後に放出口22から自重により沈降して、水底に向けて落下して薄い均一な厚さの覆砂層Bとなる。
この時に放出装置2は水底に平行した状態で配置してあるから、スラリーにはほぼ水平方向の小さな流れが与えられた状態で放出口22から落下してゆく。
そのために従来の装置のような鉛直方向からの投入と異なり、底泥Aへの貫入力が小さいので覆砂材cが泥内へ侵入しがたく、かつ底泥Aの微細な泥粒子を巻き上げにくい。
そのため、底泥Aの舞い上がりや拡散を抑制することができる。
さらに、前記したように水平に近い方向に向けて覆砂材cが放出されるから、薄い水平の覆砂層Bを形成しやすく、従来のような鉛直方向に落下させる装置、方法と比較して精度のよい薄い覆砂層Bを形成することができる。
放出口22から放出したスラリーの量とほぼ同等の水が放出口22から放出装置2の内部に吸引される。
そのために、放出口22からの影響で濁りが生じやすい水域の水を放出装置2の内部に吸引することができる。
その結果、覆砂材cの放出時の濁りの発生を抑制することができる。
また放出口22から落下しなかった、すなわち落下しきれなかった覆砂材cは新たに吸引した水とともに吸水管4を循環させて、供給装置1を通って再度放出口22から落下させることができる。
上記で説明した放出装置2を複数基製作し、図5に示すように隣接させて一体化して構成することもできる。
そのような装置を台船5から吊り下げて作業を行えば、2地点間を1回移動するだけで幅の広い範囲の覆砂を行うことができる。
2 放出装置
22 放出口
23 案内板
3 給砂管
31 給砂口
4 吸水管
41 吸水口
5 作業台船
6 フローター
7 沈砂池
Claims (4)
- 水底を覆砂するための覆砂装置であって、
覆砂材の供給装置と、
水底面に面するように配置する放出装置と、
前記供給装置と放出装置とを繋ぐ給砂管と、
前記放出装置と供給装置を繋ぐ吸水管と、から構成し、
給砂管と放出装置を繋ぐ給砂口の近傍に断面拡大部を設け、
その断面拡大部には、スラリーの流れ方向を案内する案内板を設け、
案内板は、平面視末広がり状に鉛直に立てた板であり、
前記放出装置の水底面側には、案内板の設置範囲を除いて、覆砂材と水とを混合したスラリーの放出口を設け、
給砂管、吸水管の内部の水を循環させて、前記放出口からスラリーを水底に向けて放出することを特徴とする、
覆砂装置。 - 前記管路の途中に沈砂池を設置したことを特徴とする、請求項1に記載の覆砂装置。
- 前記供給装置を台船上あるいは陸上に設置し、前記放出装置を台船あるいはフローターから吊り下げてなる、請求項1又は2に記載の覆砂装置。
- 請求項1乃至3の何れか1項に記載の覆砂装置を使用する覆砂工法であって、
覆砂材と水とを混合したスラリーを、
前記放出装置の内部において案内板で分散させるとともに、略水平方向の流れを与えて、案内板の設置範囲よりも下流側の範囲に開口した放出口から水底に向けて放出し、
放出したスラリーの量とほぼ同等の量の水をスラリーの放出箇所から吸引して、新たなスラリーの製造に使用することを特徴とする、
覆砂工法。
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