JP5533851B2 - カバーガラスと表示装置 - Google Patents

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Description

本発明は、表示装置用のカバーガラスと表示装置に関し、特に、モバイル電子機器の表示部に用いられ、表示装置の最も外側(観察者側)に配して用いられるカバーガラスに関する。
近年、表示装置の普及がめざましい中、フラットディスプレイパネルとして液晶表示装置等の表示装置が広く用いられている。
例えば、液晶表示装置は、一般に、透明基板の一面に、遮光性の着色層からなるブラックマトリックス層と各色の着色層とを配設しているカラーフィルタ形成基板と、対向電極基板(TFT基板とも言う)とを所定の間隙をもたせて向かい合わせて配し、該隙部に液晶を封止した構造で、各色の着色層の画素の光透過率の制御を液晶の配向を電気的に制御することによりカラー画像を表示している。
このような表示装置においては、高い表示品質が求められている。
一方、最近では、モバイル機種であるノートパソコンや多機能端末機器(高機能端機器とも言う)の普及が盛んになってきており、なかでもタブレット型の多機能端末機器は急速な普及が見込まれるようになってきており、これらの端末機器(以下、モバイル電子機器と言う)の表示部は、高い表示品質に加えてより良い意匠性が求められている。
最近普及しているモバイル電子機器においては、これまで、高付加価値化として高精細化、省エネ化や小型化( 軽量化) などの取り組みが行われている。
モバイル電子機器の使用される環境は屋内にとどまらず、屋外での使用頻度も格段に多いため、太陽光下での視認性改善(コントラストアップ)は実施されていた。
しかしながら、意匠性の観点での改善のための取り組みはほとんどなされていない。
これらモバイル電子機器の表示装置としては、従来より、透明基板を基材としてその一面側に、表示用領域の周辺全周に渡り非表示用領域を形成するための遮光性の黒色の額縁部を設けたカバーガラスを用い、その基材側を最も外側(観察者側)に配して非表示領域を形成する形態があるが、これらモバイル電子機器の軽量化要求に対応して、このようなカバーガラスを用いずに、透明基板を基材としてその一面側に、カラーフィルタ用の各色の着色層を表示用領域に配し、且つ、該表示用領域の周辺全周に渡り非表示用領域を形成するため遮光性の黒色の額縁部を配したカラーフィルタ形成基板を用い、その基材側を最も外側(観察者側)に配して非表示領域を形成する形態もある。
しかし、いずれの形態の表示装置においても、屋内外、室内光下、太陽光下で、前記遮光性の額縁部の黒色の締りがよくなく、意匠面で、高級感のある製品に仕上げることが難しく、これが問題となっていた。
カバーガラスを用いないモバイル電子機器の表示装置の場合は、例えば、簡略化して断面構成を示すと、図6(a)に示すように、カラーフィルタ形成基板110の基材側111を外側(観察者側)にして、カラーフィルタ形成基板110、TFT基板150の順の位置関係となっている。
また、カバーガラスを用いるモバイル電子機器の表示装置の場合は、簡略化して断面構成を示すと、図6(b)に示すように、カバーガラス130を外側(観察者側)にして、カバーガラス130、カラーフィルタ形成基板110、TFT基板150の順の位置関係となっている。
また、カバーガラスを用いないイン・セル・タッチパネル型のモバイル電子機器の表示装置の場合は、例えば、簡略化して断面構成を示すと、図7(a)に示すように、カラーフィルタ形成基板110の基材側111を外側(観察者側)にして、カラーフィルタ形成基板110とタッチパネル140とを一体化した部材、TFT基板150の順の位置関係となっている。
一方、カバーガラスを用いるタッチパネル型のモバイル電子機器の表示装置の場合は、簡略化して断面構成を示すと、図7(b)に示すように、カバーガラスを外側(観察者側)にして、カバーガラス130とタッチパネル140とを一体化した部材、カラーフィルタ形成基板110、TFT基板150の順の位置関係となっている。
図6(a)、図6(b)、図7(a)、図7(b)は、簡略化して、上記各部の位置関係だけを離間して示している。
尚、スマートフォンに代表されるタッチパネル製品の多くはカバーガラスがマンサイド側(観察者側)にきており、カバーガラスの加飾部は遮光性だけでなく、意匠性も求められる。
そして、カバーガラスを用いる図6(b)、図7(b)に示すモバイル電子機器の表示装置に用いられるカバーガラスは、通常、図8に示すような形態をしている。
尚、図8(a)は、カバーガラスの平面図で、図8(b)、図8(c)は、それぞれ、図8(a)のE1−E2、E3−E4において矢印の方向に見た図である。
そして、表示装置の表示用領域の周辺全周に渡り非表示用領域を形成するための、カバーガラスの遮光性の額縁部112の形成は、カラーフィルタ形成基板のカラーフィルタ用の着色層と同様、遮光性の着色層の形成をフォトリソ法により行うか、あるいは、印刷法やインクジェット法により行っていた。
WO2010−150668号公報 特開2009−053893号公報
上記のように、最近では、モバイル機種であるノートパソコンや多機能端末機器(高機能端機器とも言う)の普及が盛んになってきており、なかでもタブレット型の多機能端末機器は急速な普及が見込まれるようになってきており、これらモバイル電子機器の表示部として液晶表示装置が用いられているが、高い表示品質に加えてより良い意匠性が求められている。
このような中、モバイル電子機器において、図6(b)、図7(b)に示すように、表示用領域の周辺全周に渡り非表示用領域を形成するため遮光性の黒色の額縁部を配したカバーガラスを用い、最も外側(観察者側)に配して非表示領域を形成する形態の場合において、屋内外、室内光下、太陽光下で、表示用領域の外側周辺全周に渡る非表示領域を形成する遮光性の黒色の額縁部の黒色の締りがよくないため、製品に高級感がでないという不具合があり、この対応が求められていた。
本発明は、これに対応するもので、カバーガラスを表示装置の外側(観察者側)に配して非表示領域を形成する形態のモバイル電子機器の表示装置において、屋内外、室内光下および太陽光下でも、表示用領域の外側、周辺全周に渡り非表示用領域として形成されている遮光性の額縁部の黒色の締りをよくできるようにして、製品に高級感を持たせることができるカバーガラスを提供しようとするものです。
同時に、このようなカバーガラスを表示装置の外側(観察者側)に配して非表示領域を形成する形態のモバイル電子機器の表示装置を提供しようとするものです。
本発明のカバーガラスは、モバイル電子機器の表示装置において観察者側に配して用いられるカバーガラスであって、透明基板を基材として、該基材の一面側、前記表示装置の表示用領域の外側において、遮光性の額縁部を形成しており、前記遮光性の額縁部をガラス面側から顕微分光測光装置にて垂直入射光の反射光を測定した得られた反射率の分光特性から求めたJIS Z8701のXYZ表色系における明るさYが、3.95以下で、前記遮光性の額縁部をガラス面側から分光測色計により拡散反射光を検出できる測定方式(SCE方式)で測定して得られた反射率の分光特性から求めた前記XYZ表色系における明るさYが、0.05以下であることを特徴とするものである。
そして、上記のカバーガラスであって、遮光性の額縁部は、樹脂成分にピグメント(遮光性粒子、顔料)を分散させた遮光性の樹脂層からなり、前記ピグメントとしてカーボンブラック粒子を用いていることを特徴とするものであり、前記ピグメントは、樹脂被覆を施したカーボンブラック粒子を含んでいることを特徴とするものである。
あるいはまた、上記のカバーガラスであって、遮光性の額縁部は、クロム系の反射防止膜を表面に備えた1層以上からなることを特徴とするものである。
尚、ここでは、表示装置に用いられた際に、表示領域となる領域を表示用領域とし、また、表示領域とはならない領域を非表示用領域としている。
本発明の表示装置は、上記いずれかのカバーガラスを用いて、表示部を形成していることを特徴とするものであり、該表示部が、イン・セル・タッチパネル型の表示部であることを特徴とするものである。
(作用)
本発明のカバーガラスは、このような構成にすることにより、カバーガラスを表示装置の外側(観察者側)に配して非表示領域を形成する形態のモバイル電子機器の表示装置において、屋内外、室内光下および太陽光下でも、表示用領域の外側、周辺全周に渡り非表示用領域として形成されている遮光性の額縁部の黒色の締りをよくできるようにして、製品に高級感を持たせることができるカバーガラスの提供を可能としている。
特に、モバイル電子機器のように、屋内外で用いられもので、高品質、意匠性が求められる表示部には有効としている。
具体的には、透明基板を基材として、該基材の一面側、前記表示装置の表示用領域の外側において、遮光性の額縁部を形成しており、前記遮光性の額縁部をガラス面側から顕微分光測光装置にて垂直入射光の反射光を測定した得られた反射率の分光特性から求めたJIS Z8701のXYZ表色系における明るさYが、3.95以下で、前記遮光性の額縁部をガラス面側から分光測色計により拡散反射光を検出できる測定方式(SCE方式)で測定して得られた反射率の分光特性から求めた前記XYZ表色系における明るさYが、0.05以下であることにより、これを達成している。
ここで、遮光性の額縁部をガラス面側から分光測色計により拡散反射光を検出できる測定方式で測定して得られた反射率の分光特性とは、遮光性の額縁部をガラス面側から、分光測色計により拡散反射成分を検出できる測定方式で、拡散反射光を測定して得られた反射率の分光特性のことであり、また、拡散反射成分を検出できる測定方式は、正反射光を除去して測定する測定方式で、一般には、SCE方式(Specular Components Exclude方式の略)あるいは、拡散反射測定方式、と呼ばれている。
SCE方式(拡散反射測定方式)による測定は、図5(b)に示すように、正反射光を取り除いて測定するため、同じ色でも、試料の表面状態によって測定値が異なり、目視評価の状況に近い測定結果を得ることができる。
また、分光測色計では正反射光と拡散反射光の合計を検出できる測定方式もあり、一般にはSCI方式(Specular Components Include方式の略)と呼ばれている。
SCI方式は物体色を測定する場合に広く用いられている。
尚、図5(b)においては、太線実線矢印は、光源62からの入射光62Lを示し、点線矢印は各点からの光の向きを示し、細線実線矢印は、検出器63へ入射する検出光63Lを示している。
遮光性の額縁部としては、樹脂成分にピグメント(顔料、遮光性の粒子とも言う)を分散させた遮光性の樹脂層からなる第1の形態、あるいは、クロム系の反射防止膜を表面に備えた1層以上からなる第2の形態が挙げられる。
第1の形態の場合、上記のようにJIS Z8701のXYZ表色系における明るさYを所定値以下に小さくするためには、遮光性の額縁部の正反射、拡散反射を抑えることとなるが、反射は、屈折率差の生じる透明基板(ガラス)と遮光性の樹脂層との界面で起こるため、透明基板(ガラス)との屈折率差を低減する、界面に屈折率差の大きいものを近づけない、曲率半径が大きいものを界面に近づけない等が要求される。
ピグメントの粒子(平均粒子径)が小さいほど、ピグメント濃度が小さいほど、透明基板の基材外側(観察者側)からみた遮光性の額縁部の正反射、拡散反射は小さくなり、また、ピグメントの粒子に樹脂被覆を施すことにより、前記額縁部の正反射、拡散反射を小さくすることができる。
例えば、図4(c)に示す大きな径の粒子12bCが界面11Sに接してあり、図4(a)に示す小さな径の粒子12bAが界面11Sに接してある場合、界面における粒子12bCの反射は、界面における粒子12bAの反射よりも大きくなる。
また、図4(a)に示す小さな径の粒子12bAが界面に接してあり、図4(b)に示す樹脂被覆された粒子12bBが界面に接してある場合、界面における粒子12bAの反射は、界面における粒子12bBの反射よりも大きくなる。
黒色のピグメント(顔料)としては、通常、カーボンブラック、チタン粒子等が用いられているが、屈折率や粒子径サイズから、入手し易いカーボンブラックの20〜100nm径程度が好ましく用いられ、より好ましくは50nm径以下が用いられる。
尚、透明基板がガラス基板の場合の屈折率は1.4程度で、カラーフィルタ用に用いられている樹脂の屈折率は、1.4〜1.5程度である。
また、カーボンブラックは複素屈折率の虚数項の値が大きいため、光は主に表面で反射される。
また、第1の形態において、上記のようにJIS Z8701のXYZ表色系における明るさYを所定値以下の遮光性の樹脂層は、カーボンブラックをピグメントとした場合、単位膜厚(1μm厚さ)あたりの光学濃度は3.5以下で、光学濃度を必要な値以上(通常は4以上)とするには、光学濃度にあわせた厚さとする。
第2の形態の場合、表面にクロム系の酸化膜、あるいは、酸化窒化膜を低反射層として形成したものが汎用として挙げられる。
低反射層としての膜の屈折率は、酸化度合、窒化度合いにより調整する。
そして、クロム膜と、クロム系の酸化膜あるいは酸化窒化膜とを、積層して光学濃度を必要な値以上(通常は4以上)として得ることができる。
また、絶縁性の確保の面から、遮光性の額縁部の表面抵抗値は、1×1011[Ω/cm2 □]以上であることが好ましい。
本発明の表示装置は、このような構成にすることにより、屋内外、室内光および太陽光源下において、表示用領域の周辺全周に渡り非表示用領域として遮光性の額縁部の黒色の締りをよくでき、製品に高級感を持たせることができる表示部を有する表示装置の提供を可能としている。
本発明は、このように、カバーガラスを表示装置の外側(観察者側)に配して非表示領域を形成する形態のモバイル電子機器の表示装置において、屋内外、室内光下および太陽光下でも、表示用領域の外側、周辺全周に渡り非表示用領域として形成されている遮光性の額縁部の黒色の締りをよくできるようにして、製品に高級感を持たせることができるカバーガラスの提供を可能とした。
同時に、このようなカバーガラスを用いて、該カラーフィルタ形成基板の基材側を外側(観察者側)に配して非表示領域を形成する形態のモバイル電子機器の表示装置の提供を可能とした。
図1(a)は本発明のカバーガラスの実施形態の第1の例の平面図で、図1(b)、図1(c)は、それぞれ、A1−A2、A3−A4において、矢印の方向に見た図で、図1(d)は図1(a)のA5部の拡大図である。 図2(a)は本発明のカバーガラスの実施形態の第2の例の平面図で、図2(b)、図2(c)は、それぞれ、B1−B2、B3−B4において、矢印の方向に見た図で、図2(d)は図2(a)のB5部の拡大図である。 図1に示す本発明のカバーガラスを図1(a)のA6側からみた概略で、各部を明暗をつけて示した図である。 図4(a)〜図4(c)は、樹脂に分散されるピグメント(顔料)と透明基板(ガラス基板)と樹脂層の界面での反射光との関係を説明するための図である。 図5(a)は顕微分光測光装置による測定の仕方を説明するための概略図で、図5(b)は、分光測色計により拡散反射成分を検出できるSCE方式で測定する仕方を説明するための図である。 図6(a)は、カバーガラスを用いず、タッチパネルではないモバイル電子機器の、各部の位置関係をわかりやすく簡略化して示した断面構成図で、図6(b)は、カバーガラスを用い、タッチパネルでないモバイル電子機器の、各部の位置関係をわかりやすく簡略化して示した断面構成図である。 図7(a)は、カバーガラスを用いず、タッチパネルであるモバイル電子機器の、各部の位置関係をわかりやすく簡略化して示した断面構成図で、図7(b)は、カバーガラスを用い、タッチパネルであるモバイル電子機器の、各部の位置関係をわかりやすく簡略化して示した断面構成図である。 図8(a)は、図6(b)、図7(b)に示すカバーガラスの平面図で、図8(b)、図8(c)は、それぞれ、図8(a)のE1−E2、E3−E4において矢印の方向に見た図で、図8(d)は図8(a)のE5部の拡大図である。
先ず、本発明のカバーガラスの実施形態の第1の例を、図1に基づいて説明する。
第1の例のカバーガラスは、モバイル機種のノートパソコンや多機能端末機器(高機能端機器とも言う)等のモバイル電子機器の表示部(液晶表示装置)に用いられるカバーガラスであり、図1(a)に示すように、ガラス基板からなる透明基板を基材11として、該基材11の一面側、表示装置の表示用領域の外側において、遮光性の額縁部12を形成し、基材11の該額縁部12を形成した側とは反対側を観察者側として、図6(b)に示す形態、あるいは、図7(b)に示す形態のモバイル電子機器の表示部(表示装置)に用いられる。
図1に示す第1の例のカラーフィルタ形成基板を図1(a)のA6側から見ると、明暗は概略的には図3のように見えるが、図6(b)に示す形態、あるいは、図7(b)に示す形態のモバイル電子機器の表示部(表示装置)もほぼこのように見える。
本例では、遮光性の額縁部は、樹脂成分にピグメント(顔料)を分散させた遮光性の樹脂層からなり、前記ピグメントとして樹脂を被覆したカーボンブラック粒子を用いている。
そして、特に、前記遮光性の額縁部をガラス面側から顕微分光測光装置にて垂直入射光の反射光を測定した得られた反射率の分光特性から求めたJIS Z8701のXYZ表色系における明るさYが、3.95以下とし、前記遮光性の額縁部をガラス面側から分光測色計により拡散反射成分を検出できるSCE方式で測定して得られた反射率の分光特性から求めたXYZ表色系における明るさYが、0.05以下としている。
本例は、上記のように、JIS Z8701のXYZ表色系における明るさYを制御していることにより、ガラス基板からなる透明基板を基材として、該基材の一面側において、表示用領域にカラーフィルタ用の各色の着色層を配して表示用領域を形成し、該表示用領域の外側に遮光性の額縁部を形成し、前記基材側を最も外側(観察者側)として、モバイル電子機器の表示部(表示装置)に用いられた場合には、屋内外、室内光および太陽光源下でも、表示用領域の外側、周辺全周に渡り非表示用領域として形成されている遮光性の額縁部の黒色の締りをよくできるようにして、製品に高級感を持たせることができるものとしている。
特に、屋内外で用いられもので、高品質、意匠性が求められる表示部には有効としている。
ここでは、顕微分光測光装置としてOSP−SP2000(OLYMPUS(株)製)を用いて、図5(a)に示すようにして380nm〜780nmの波長範囲で反射率の測定を行った。
また、ここでは、分光測色計として、コニカミノルタ(株)製のCM−2500dを用いて、図5(b)に示すようにして、320nm〜740nmの波長範囲で反射率の測定を行った。
以下の説明は、JIS Z 8722での表記(照射角/受光角度)でいうd/8°(dは拡散光)なる光学系に基づいて行うが、他の光学系を用いても差し支えない。
図5(b)における角度θは、ここでは、8°である。
そして、これらの測定で得られた結果をもとに、C光源を用いて測定したJIS Z8701のXYZ表色系における色度座標(x、y)、明るさYにて表したが、色度座標(x、y)は、黒色の遮光性の樹脂層であればほとんど変わらないので、明るさYをパラメータとして用いている。
ここでは、遮光性の樹脂層は黒色でほぼ全測定波長域においてほぼ同じ値を示している。
尚、ここでは、表示装置に用いられた際に、表示領域となる領域を表示用領域としており、図1(a)の額縁部12の内側の領域を意味する。
また、表示領域とはならない額縁部12の領域を非表示用領域としている。
次に各部の材料について述べる。
<基板11>
第1の例に用いられる透明基板からなる基材11としては、従来よりカバーガラスに用いられているものを用いることができ、石英ガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、合成石英板等の可撓性のない透明な無機基板、および、透明樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可撓性を有する透明な樹脂基板等を挙げることができるが、特に、無機基板を用いることが好ましく、無機基板のなかでもガラス基板を用いることが好ましい。
さらには、上記ガラス基板のなかでも化学強化処理が施されたガラス基板(以下化学強化ガラス基板と略す)を用いることが好ましい。
尚、一般的に、化学強化処理とは、アルカリ溶融塩にガラスを浸漬することにより行う。
その際にガラスに含まれる一部のイオンをより大きなイオンに置換することでガラス基板を化学強化する。
例えば、被置換イオンがリチウムイオンであれば置換するイオンはナトリウムイオンであり、被置換イオンがナトリウムイオンであれば置換するイオンはカリウムイオンである。
化学強化ガラス基板は一般的なガラス基板と比較して、撓みを抑えつつ、薄板であっても強度があるため、カバーガラスに好適に用いることができるからである。
上記基板は、通常、透明な透明基板が用いられている。
<額縁部の遮光性の着色層13M>
遮光性の着色層13Mとしては、例えば、ここでは、エポキシ樹脂等の樹脂で被覆したカーボンブラックをピグメント(顔料)としてバインダ樹脂中に分散させたものが用いられている。
カーボンブラックをピグメント(顔料)としてバインダ樹脂中に分散させたものは、膜厚を比較的薄くして遮光性の樹脂層を形成することができる。
例えば、遮光性の額縁部をガラス面側から顕微分光測光装置にて垂直入射光の反射光を測定した得られた分光特性から求めたJIS Z8701のXYZ表色系における明るさYが、3.95以下とし、前記遮光性の額縁部をガラス面側から分光測色計により拡散反射光を検出できるSCE方式で測定して得られた分光特性から求めたXYZ表色系における明るさYが、0.05以下とする場合、表1に示すように、単位厚(1μm)あたり光学濃度が3.5以下となるため、光学濃度4.0以上を得る膜厚とする。
ここでは、額縁部の遮光性の着色層13Mの形成をフォトリソグラフィー法を用いているが、この場合、バインダ樹脂としては、例えば、アクリレート系、メタクリレート系、ポリ桂皮酸ビニル系、もしくは環化ゴム系等の反応性ビニル基を有する感光性樹脂が用いられる。
この場合、黒色着色剤および感光性樹脂を含有する感光性樹脂組成物に、光重合開始剤を添加してもよく、さらには必要に応じて増感剤、塗布性改良剤、現像改良剤、架橋剤、重合禁止剤、可塑剤、難燃剤等を添加してもよい。
尚、額縁部の遮光性の着色層を印刷法やインクジェット法を用いて形成する場合もあるが、この場合には、バインダ樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ヒドロキシエチルセルロース樹脂、カルボキシメチルセルロース樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、マレイン酸樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられる。
次に、本発明のカバーガラスの実施形態の第2の例を挙げる。
第2の例は、第1の例において、遮光性の樹脂層をクロム系の遮光層としたもので、それ以外は、第1の例と同じである。
ここでは、図2(d)に示すように、クロム膜15a上にクロムの酸化窒化膜15bを低反射層として形成して遮光層15としたものであり、低反射層としての膜の屈折率は、ロムの酸化窒化膜15bの酸化度合、窒化度合いにより調整できる。
また、クロム膜15aの厚さを調整して遮光膜としての光学濃度を必要な値以上(通常は4以上)とし得ることができる。
尚、低反射層を有する遮光性の額縁部の形成は、マスキングしてスパッタリングや蒸着等により行うことができるが、フォトリソ法を用いてパターン形成しても良い。
ここでも、図2(a)のB6側から見ると、明暗は概略的には図3のように見えるが、図6(b)に示す形態、あるいは、図7(b)に示す形態のモバイル電子機器の表示部(表示装置)もほぼこのように見える。
本発明のカバーガラスは、上記形態に限定はされない。
四角形状に限定はされない。
場合によっては、コーナー部を丸くした形状としても良い。
第2の例において、遮光性の額物部をクロム系の層で3層以上とした形態も挙げられる。
第1の例、第2の例は、表示部を液晶表示装置とするものであるが、これに限定はされない。
例えば、表示部を有機EL表示装置とする形態も挙げられる。
[実施例]
実施例を挙げて、本発明を更に説明する。
(実施例1)
実施例1は、図1に示す第1の実施形態例を作製したもので、以下のように、光硬化性の硬化性樹脂組成物Aを調製して作製し、作製された硬化性樹脂組成物Aを用いて、額縁部形成用の硬化性樹脂組成物を作製し、該硬化性樹脂組成物を用いてフォトリソ法を行い、額縁部形成用の着色層13Mを形成したカバーガラスを作製した。
(硬化性樹脂組成物Aの調製)
重合槽中にメタクリル酸メチル(MMA)を63重量部、アクリル酸(AA)を12重量部、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル(HEMA)を6重量部、ジエチレングリコールジメチルエーテル(DMDG)を88重量部仕込み、攪拌し溶解させた後、2、2’ーアゾビス(2−メチルブチロニトリル)を7重量部添加し、均一に溶解させた。
その後、窒素気流下、85℃で2時間攪拌し、更に100℃で1時間反応させた。
得られた溶液に、更にメタクリル酸グリシジル(GMA)を7重量部、トリエチルアミンを0.4重量部、及びハイドロキノンを0.2重量部添加し、100℃で5時間攪拌し、共重合樹脂溶液(固形分50%)を得た。
次に下記の材料を室温で攪拌、混合して硬化性樹脂組成物とした。
・ 上記共重合樹脂溶液(固形分50%) :16重量部
・ ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(サートマー社 SR399)
:24重量部
・ オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社 エピコート180S70) :4重量部
・ 2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン :4重量部
・ ジエチレングリコールジメチルエーテル :52重量部
(額縁部の遮光性の着色層13Mの形成)
まず、下記分量の成分を混合し、ビーズミルにて十分に分散し、黒色顔料分散液を調整した。
・ 樹脂被覆カーボンブラック(三菱化学社製MS18E) :20重量部
・ 高分子分散材(ビックケミー・ジャパン株式会社 Disperbyk 163) :5重量部
・ 溶剤(ジエチレングリコールジメチルエーテル) :75重量部
次に、下記分量の成分を十分混合して、遮光性の着色層用組成物を得た。
・ 上記黒色顔料分散液 :43重量部
・ 硬化性樹脂組成物A :19重量部
・ ジエチレングリコールジメチルエーテル :38重量部
化学強化ガラス基板上に上記遮光性の着色層用組成物をスピンコーターで塗布し、100℃で3分間乾燥させ、遮光性の着色層を形成した。
当該遮光性の着色層を塗布膜から100μmの距離にフォトマスクを配置してプロキシミティアライナにより、2.0kWの超高圧水銀ランプで遮光パターンに露光した後、0.05wt%水酸化カリウム水溶液で現像し、その後、基板を230℃の雰囲気下に30分間放置することにより加熱処理を施して遮光性の着色層13Mを表示用領域および額縁部12領域に形成した。
ここでは、上記調整した着色層を全領域上に形成し、フォトリソ法により、額縁部の遮光性の樹脂層形成した。
加熱処理後の形成膜厚は1.3μmとなった。
尚、上記の樹脂被覆カーボンブラック(三菱化学社製MS18E)は、平均粒径25nmである。
粒径は、例えば、日機装社製のレーザードップラー散乱光解析粒度分析計(商品名「Microtrac934UPA」)を用い、通常は、着色組成物に含まれる溶剤(希釈溶剤と呼ぶ)で希釈し、着色組成物の顔料粒径の累積が50%を占める粒径を50%平均粒径とし、その値を測定して求める。
(実施例2)
実施例1において、着色組成物に添加する黒色顔料分散体の量を以下のように変更して、額縁部形成用の着色層を形成したカバーガラスを作製したもので、それ以外は実施例1と同様にした。
・ 上記黒色顔料分散液 :42重量部
・ 硬化性樹脂組成物A :20重量部
・ ジエチレングリコールジメチルエーテル :38重量部
(実施例3)
実施例1において、着色組成物に添加する黒色顔料分散体の量を以下のように変更して、額縁部形成用の着色層を形成したカバーガラスを作製したもので、それ以外は実施例1と同様にした。
・ 上記黒色顔料分散液 :40重量部
・ 硬化性樹脂組成物A :22重量部
・ ジエチレングリコールジメチルエーテル :38重量部
(実施例4)
実施例3において、黒色顔料分散液の材料を以下のように変更し、額縁部形成用の着色層を形成したカバーガラスを作製したもので、それ以外は実施例3と同様にした。
・ 樹脂被覆カーボンブラック(三菱化学社製MS18E) :20重量部
・ 高分子分散材(ビックケミー・ジャパン株式会社 Disperbyk 182) :7重量部
・ 溶剤(ジエチレングリコールジメチルエーテル) :75重量部
(実施例5)
実施例3において、黒色顔料分散液の材料を以下のように変更し、額縁部形成用の着色層を形成したカバーガラスを作製したもので、それ以外は実施例3と同様にした。
・ 樹脂被覆カーボンブラック(三菱化学社製MS18E) :20重量部
・ 高分子分散材(ビックケミー・ジャパン株式会社 Disperbyk 167) :7重量部
・ 溶剤(ジエチレングリコールジメチルエーテル) :75重量部
(比較例1)
実施例1において、黒色顔料分散液の材料を以下のように変更して、黒色顔料分散液を得た。
・ チタンブラック(三菱化学社製) :60重量部
・ 高分子分散材(ビックケミー・ジャパン株式会社 Disperbyk 163) :7重量部
・ 溶剤(ジエチレングリコールジメチルエーテル) :33重量部
そして、下記の成分を十分混合して、遮光性着色組成物を得た。
得られた遮光性着色組成物以外は実施例1と同様にして額縁部形成用の着色層を形成したカバーガラスを作製したものである。
・ 上記黒色顔料分散液 :40重量部
・ 硬化性樹脂組成物A :22重量部
・ ジエチレングリコールジメチルエーテル :38重量部
(比較例2)
実施例1において、黒色顔料分散液の材料を以下のように変更し、黒色顔料分散液を得た。
・ カーボンブラック(R−1060 コロンビヤン社製) :30重量部
・ 高分子分散材(ビックケミー・ジャパン株式会社 Disperbyk 163) :7重量部
・ 溶剤(ジエチレングリコールジメチルエーテル) :63重量部
そして、下記の成分を十分混合して、遮光性着色組成物を得た。
得られた遮光性着色組成物それ以外は実施例1と同様にして額縁部形成用の着色層を形成したカバーガラスを作製したものである。
・ 上記黒色顔料分散液 :39重量部
・ 硬化性樹脂組成物A :19重量部
・ ジエチレングリコールジメチルエーテル :42重量部
尚、上記のカーボンブラック(R−1060 コロンビヤン社製)は、平均粒径30nmである。
(比較例3)
実施例1において、表面に親水性官能基を導入したカーボンブラックを用いた黒色顔料分散液の材料を以下のように変更し、黒色顔料分散液を得た。
・ 親水処理を実施したカーボンブラック :20重量部
・ 高分子分散材(ビックケミー・ジャパン株式会社 Disperbyk 163) :5重量部
・ 溶剤(ジエチレングリコールジメチルエーテル) :75重量部
そして、下記の成分を十分混合して、遮光性着色組成物を得た。
得られた遮光性着色組成物以外は実施例1と同様にして額縁部形成用の着色層を形成したカバーガラスを作製したものである。
・ 上記黒色顔料分散液 :42重量部
・ 硬化性樹脂組成物A :20重量部
・ ジエチレングリコールジメチルエーテル :38重量部
上記実施例1〜実施例5、比較例1〜比較例3のようにして作製されたカバーガラスを、それぞれ、サンプルS1〜S8として、各サンプルについて、遮光部を形成した側とは反対側ガラス基板面側から、顕微分光測光装置にて垂直入射光の反射光を測定し、得られた反射率の分光特性からJIS Z8701のXYZ表色系における明るさYを求めた。

また、遮光部を形成した側とは反対側ガラス基板面側から、分光測色計により拡散反射測定方式(SCE方式)で測定し、得られた反射率の分光特性からXYZ表色系における明るさYを求めた。
ここでは、顕微分光測光装置としてOSP−SP2000(OLYMPUS(株)製)を用いて380nm〜780nmの波長範囲で反射率の測定を行った。
また、ここでは、分光測色計として、コニカミノルタ(株)製のCM−2500dを用いて、320nm〜740nmの波長範囲で反射率の測定を行った。
<測定条件:顕微分光測光装置>
測定器 : OLYMPUS(株)製、顕微分光測光装置
照明範囲 : 直径60μmの円形
<測定条件:分光測色計>
測定器 : コニカミノルタ( 株) 製、分光測色計「CM−2500d」
照明の受光条件 : d/8°( JIS Z8722条件c)
第1の照射領域 : 測定径=直径11mmの円形
第2の照射領域 : 第1の照射領域と同じ測定径=直径11mmの円形
測定領域 : 照射領域中の8mmの円形(重心位置は照射領域、直径11mmの円形と同じ)
上記実施例1〜実施例5、比較例1〜比較例3のようにして作製されたカバーガラス(S1〜S8)について、額縁部の黒色の締りについて視認性の合否判定を行った。
判定結果は、表1のようになった。
Figure 0005533851
尚、縁部の黒色の締りについて視認性の評価は、遮光部を形成した側とは反対側ガラス基板面側から、GENTOS SuperFire X((株)サンジェルマン製)を光源として照射して、その反射散乱光を、目視し、目視による視認性で額縁部の黒色の締りを判断したもので、良いとされるものを○印で、良くないとされるものを×印で示している。
光源は上記のものに限定されるものではなく、太陽光下と同じ結果が得られるものであればよい。
表1より、上記のように、前記遮光性の額縁部をガラス面側から顕微分光測光装置にて垂直入射光の反射光を測定した得られた反射率の分光特性から求めたJIS Z8701のXYZ表色系における明るさYが、3.95以下であり、且つ、上記のように、前記遮光性の額縁部をガラス面側から分光測色計によりSCE方式(拡散反射測定方式)で測定して得られた反射率の分光特性から求めたXYZ表色系における明るさYが、0.05以下であるものが、額縁部の黒色の締りが良いと判断される。
10 カラーフィルタ形成基板
11 基材(透明基板)
11S 界面
12 額縁部
12A、12B、12C 額縁部
12a 樹脂成分
12b ピグメント(顔料)
12bA、12bB、12bC ピグメント(顔料)
12b1 レア顔料粒子部
12b2 被覆部
13S 表示用領域
13A (測定用の)着色層
13M 遮光性の着色層
15 遮光層
15a クロム膜
15b クロムの酸化窒化膜
20 屈折率調整用オイル
30 黒色の板
40 検出器
45 検査光
61 積分球
62 光源
62L 入射光
63 検出器
63L 検出光
64 トラップ
θ 角度
110 カラーフィルタ形成基板
110a (カラーフィルタ形成基板の額縁部)
111 基材(透明基板)
112 額縁部
113 着色層
113S 表示用領域
113R 赤色の着色層
113G 緑色の着色層
113B 青色の着色層
113M 遮光性の着色層
130 カバーガラス
130a (カバーガラスの)額縁部
140 タッチパネル
150 TFT基板

Claims (6)

  1. モバイル電子機器の表示装置において観察者側に配して用いられるカバーガラスであって、
    透明基板を基材として、該基材の一面側であって、前記表示装置の表示用領域を周状に取り囲み当該表示領域の外側となる領域に、遮光性の額縁部を形成しており、
    前記遮光性の額縁部をガラス面側から顕微分光測光装置にて垂直入射光の反射光を測定し得られた反射率の分光特性から求めたJIS Z8701のXYZ表色系における明るさYが、3.95以下で、
    前記遮光性の額縁部をガラス面側から分光測色計により拡散反射光を検出できる測定方式(SCE方式)で測定して得られた反射率の分光特性から求めた前記XYZ表色系における明るさYが、0.05以下であることを特徴とするカバーガラス。
  2. 請求項1に記載のカバーガラスであって、遮光性の額縁部は、樹脂成分にピグメント(遮光性粒子、顔料)を分散させた遮光性の樹脂層からなり、前記ピグメントとしてカーボンブラック粒子を用いていることを特徴とするカバーガラス。
  3. 請求項2に記載のカバーガラスであって、前記ピグメントは、樹脂被覆を施したカーボンブラック粒子を含んでいることを特徴とするカバーガラス。
  4. 請求項1に記載のカバーガラスであって、遮光性の額縁部は、クロム系の反射防止膜を表面に備えた1層以上からなることを特徴とするカバーガラス。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項に記載のカバーガラスを用いて、表示部を形成していることを特徴とする表示装置。
  6. 請求項5記載の表示装置であって、前記表示部が、イン・セル・タッチパネル型の表示部であることを特徴とする表示装置。
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