JP5533414B2 - 端子金具および端子金具の製造方法 - Google Patents
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Description
また、アルミ電線の端末では、絶縁被膜の剥離除去により露出した芯線が、端子金具のバレル片により圧着され接続されている。
そこで、従来、電食の発生を防止した端子金具が検討されている(例えば特許文献1を参照)。
したがって、特許文献1に記載のものでは、電線接続部の端部と端子接続部の端部とが重なりあっている部分は厚みが大きくなったり、段差が形成されたりするため、曲げ加工を施しにくいという問題があった。
以上より、本発明によれば、電食の発生を防止できるとともに、曲げ加工を容易に施すことのできる端子金具を提供することができる。
前記第1の領域と、前記第2の領域との境界部分には、絶縁性材料からなる絶縁層が形成されていてもよい。
第1の領域と第2の領域との境界部分においては異種金属が存在するため、この部分に電解質を含む水分が浸入すると電食の発生が懸念される。そこで、上記のような構成とすると、異種金属が存在する第1の領域と第2の領域との境界部分に絶縁層が形成されるから、前記境界部分における電食が生じ難くなる。
端子金具を構成する金属板材の第1の領域では、第1の金属材料からなる第1の金属層が表面に配され、表面に配されている2つの第1の金属層の間には第2の金属層が接合されている。したがって、この第1の領域の端面においては第1の金属層と第2の金属層との接合部分が露出状態に配されることがある。このような第1の金属層と第2の金属層との接合部分が露出状態に配される端面に、電解質を含む水分が付着すると、電食の発生が懸念される。また、第2の金属材料が露出している第2の領域の表面や端面に電解質を含む水分が付着して、当該水分が第2の金属材料が露出する端面から芯線にかけて流れることで、電食が発生する可能性がある。
そこで、上述のような構成とすると、第1の金属層と第2の金属層との接合部分が露出状態に配される端面や、第2の領域の表面や端面に、イオン化傾向が、第2の領域を構成する第2の金属材料よりも第1の金属材料に近い第3の金属からなるめっき層が形成され、端面あるいは第2の領域と、第1の領域とのイオン化傾向の差(標準電位の差)を、めっき加工を施さないものよりも小さくすることが可能である。その結果、上述の構成によれば、電食が起こりにくくなるとともに、電食のスピードが抑制され、電食防止効果が高まる。
以上より、本発明によれば、電食の発生を防止できるとともに、曲げ加工を容易に施すことのできる端子金具の製造方法を提供することができる。
前記絶縁層を、絶縁性材料からなる絶縁フィルムを前記金属板材の表面の前記境界部分を覆うように貼付することにより形成してもよい。
このような構成とすると、絶縁層を簡易な方法により形成することができる。
打抜き工程の前にめっき工程を実行すると、打抜き工程により形成される金属板材の端面にはめっき層が形成されない。そのため、打抜き工程により形成される端面のうち、第1の金属材料と第2の金属材料の接合部分が露出状態に配される端面に、電解質を含む水分が付着すると、電食の発生が懸念される。また、打抜き工程により形成される端面のうち第2の金属材料が露出している端面や第2の金属材料からなる第2の金属層に、電解質を含む水分が付着して、当該水分が第2の金属材料が露出する端面から芯線にかけて流れると、電食が発生する可能性がある。
そこで、上述のような構成とすると、打抜き工程により形成される端面にも、イオン化傾向が第2の金属材料よりも第1の金属材料に近い第3の金属をめっきを施すことが可能である。
したがって、上述の構成によれば、打抜き工程を実行した後の金属板材の端面および第2の領域には、イオン化傾向が、第2の領域を構成する第2の金属材料よりも第1の金属材料に近い第3の金属からなる層が形成され、端面あるいは第2の領域と、第1の領域とのイオン化傾向の差(標準電位の差)を、めっき加工を施す前よりも小さくすることが可能である。その結果、上述の構成によれば、電食が起こりにくくなるとともに、電食のスピードが抑制され、電食防止効果が高まる。
本発明を具体化した実施形態1を、図1ないし図9によって説明する。以下の説明においては、図1、図2、図4〜図6における左側を前とし、図3、図7〜図9における上側を前とする。
本実施形態の端子金具10は、図1および図2に示す雌型の端子金具10であり、第1の領域4と第2の領域5を並列して備える金属板材1(詳細は後述する)から構成されている。本実施形態の端子金具10は、図3に示すような展開形状の端子金具片10Aに曲げ加工などを施すことで図1に示すような形状に成形されている。
凹部28の孔縁は電線40を圧着する前の状態において、図3の紙面を貫通する方向から見て平行四辺形状をなしている。複数の凹部28は、芯線バレル片25Bが芯線41に圧着された状態で芯線41が延びる方向について間隔を空けて配されるとともに、芯線41が延びる方向に交差する方向について間隔を空けて配されている(図8を参照)。
絶縁層29を構成する絶縁性材料29Aとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)などを用いることができる。PETはピンホールも生じにくい樹脂であり、電食防止効果が高いので好ましい。
金属板材1は、図4および図5に示すように、概ね厚みが一定の平板状をなしている。金属板材1は、第1の金属材料(アルミニウムまたはアルミニウム合金)と第2の金属材料(銅または銅合金)とを冷間圧接により一体化して得られるクラッド材である。金属板材1は、第2の金属材料[銅または銅合金、「銅(合金)」ともいう]からなる領域5(第2の領域5)と、表面にアルミニウム(合金)からなる層8(第1の金属材料を含む第1の金属層8)が形成された第1の領域4とを並列して備える。
本実施形態では、金属板材1の図4に示す上側面1A(電線載置面)と下側面1Bのそれぞれにおいて、絶縁層29は、アルミニウム(合金)からなる第1の領域4よりも、銅(合金)からなる第2の領域5を多く覆うように形成されている。
まず、端子金具10の材料となる金属板材1を作製する(板材作製工程)。具体的には、アルミニウム(合金)を含む第1の金属材料と、銅(合金)からなる第2の金属材料とを冷間圧接により一体化することにより、図5に示すような、第2の金属材料からなる第2の金属層9の両側面に第1の金属材料からなる第1の金属層8が接合された第1の領域4と、第2の金属材料からなる第2の領域5と、を並列して備える平板状のクラッド材を作製する。
めっき工程においては、連鎖端子30の両面をめっきするだけでなく、連鎖端子30(金属板材1)の板厚方向の面(端面3)についてもめっきを施す。
めっき工程では、イオン化傾向が、第2の領域5を構成する第2の金属材料[銅(合金)]よりも大きい第3の金属(例えば、スズやニッケル)をめっきする。本実施形態において、第3の金属としてはスズが好ましい。
めっき工程を経ると端子金具10を構成する金属板材1の両面1A,1Bならびに端面3にメッキ層が形成される。
本実施形態においては、芯線接続部24を含む電線接続部23が第1の金属材料からなる第1の金属層8を表面に備える第1の領域4に形成される。したがって、電線40の端末40Aにおいて露出する芯線41は、表面に芯線41と同じ金属材料からなる第1の金属層8を備える芯線接続部24に接続されるので、芯線41と端子金具10とが接触する部分に電解質を含む水分などが付着しても電食が生じない。
その結果、本実施形態によれば、電食の発生を防止できるとともに、曲げ加工を容易に施すことのできる端子金具10の製造方法を提供することができる。
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、電線接続部のほぼ全域が金属板材の第1の領域に形成されるように、打抜き工程を実行したが、電線接続部のうち芯線接続部のみが第1の領域に形成されるように打抜き工程を実行してもよい。
(2)上記実施形態では、絶縁層を、第1の領域よりも第2の領域を多く覆うように形成したが、図10で示すように、絶縁層29を第1の領域4と第2の領域5とを均等に覆うように形成してもよい。また、絶縁層29の形成面積は金属板材1の上下面1A,1Bにおいて相違していてもよい。
(3)上記実施形態においては、絶縁層を金属板材の両面にPET製フィルムを貼り付けることにより形成したが、絶縁層を形成しないものであってもよいしポリブチレンテレフタレート(PBT)などの別の絶縁材料を用いたものであってもよい。また、金属板材の表側と裏側において、相違する絶縁性材料により絶縁層を形成してもよいし、液状の絶縁性材料を塗布して熱処理を施す方法などにより絶縁層を形成してもよい。
(9)上記実施形態では、複数の凹部を打抜き加工の後に形成する方法を示したが、複数の凹部を打抜き加工の前に形成してもよいし、打抜き加工と同時に形成してもよい。
1A,1B…(金属板材の)表面
3…(金属板材の)端面
4…第1の領域
5…第2の領域
6…境界部分
7…接合部
8…第1の金属層
8A…(上側の)第1の金属層
8B…(下側の)第1の金属層
9…第2の金属層
10…端子金具
23…電線接続部
23A…電線載置面
24…芯線接続部
25A…絶縁被膜バレル片
25B…芯線バレル片
29…絶縁層
29A…絶縁性材料
40…電線
40A…(電線の)端末
41…芯線
41A…(芯線の)端末
42…絶縁被膜
Claims (9)
- 芯線を絶縁被膜で被覆してなる電線を載置して電気的に接続する電線接続部を有する端子金具であって、
前記芯線に含まれる金属材料と同じ金属を含む第1の金属材料と、前記第1の金属材料とは相違する金属からなる第2の金属材料とを冷間圧接して一体化することにより得られ、前記第2の金属材料からなる第2の金属層、及び前記第2の金属層の両側面にそれぞれ接合されるとともに表面に配される前記第1の材料からなる第1の金属層を有する第1の領域と、前記第2の金属材料からなる第2の領域とを並列して備える金属板材から構成され、
前記電線接続部のうち、少なくとも前記電線の端末から露出する前記芯線が接続される芯線接続部が、前記第1の領域に形成されていることを特徴とする端子金具。 - 前記第1の領域と、前記第2の領域との境界部分には、絶縁性材料からなる絶縁層が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の端子金具。
- 前記絶縁層は、前記第1の領域よりも前記第2の領域を多く覆うように形成されていることを特徴とする請求項2に記載の端子金具。
- イオン化傾向が、前記第2の金属材料よりも前記第1の金属材料に近い第3の金属によるめっきが施されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の端子金具。
- 前記芯線はアルミニウム製またはアルミニウム合金製であり、前記第2の金属材料が銅または銅合金であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の端子金具。
- 芯線を絶縁被膜で被覆してなる電線を載置して電気的に接続する電線接続部を有する端子金具の製造方法であって、
前記芯線に含まれる金属材料と同じ金属を含む第1の金属材料と、前記第1の金属材料とは相違する金属からなる第2の金属材料とを冷間圧接して一体化することで、前記第2の金属材料からなる第2の金属層、及び前記第2の金属層の両側面にそれぞれ接合されるとともに表面に配される前記第1の材料からなる第1の金属層を有する第1の領域と、前記第2の金属材料からなる第2の領域とを並列して備える金属板材を作製する板材作製工程を実行した後に、
前記第1の領域と前記第2の領域との境界部分に絶縁層を形成する絶縁層形成工程を実行し、
前記絶縁層形成工程を実行した後の金属板材を、前記電線接続部のうち、少なくとも前記電線の端末から露出する前記芯線が接続される芯線接続部に相当する部分が、前記金属板材の前記第1の領域に形成されるように打ち抜く打抜き工程を実行することを特徴とする端子金具の製造方法。 - 前記絶縁層を、絶縁性材料からなる絶縁フィルムを前記金属板材の表面の前記境界部分を覆うように貼付することにより形成することを特徴とする請求項6に記載の端子金具の製造方法。
- 前記打抜き工程を実行した後、イオン化傾向が、前記第2の金属材料よりも前記第1の金属材料に近い第3の金属をめっきするめっき工程を実行することを特徴とする請求項6または請求項7に記載の端子金具の製造方法。
- 前記芯線はアルミニウム製またはアルミニウム合金製であり、前記第2の金属材料が銅または銅合金であることを特徴とする請求項6ないし請求項8のいずれか一項に記載の端子金具の製造方法。
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