以下、本発明による固体撮像素子及びその製造方法並びに撮像装置について、図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態による撮像装置としての電子カメラ1を示す概略ブロック図である。電子カメラ1には、被写体像を結像する光学系としての撮影レンズ2が装着される。この撮影レンズ2は、レンズ制御部2aによってフォーカスや絞りが駆動される。この撮影レンズ2の像空間には、撮影レンズ2により結像された被写体像を光電変換する固体撮像素子3の撮像面が配置される。
固体撮像素子3は、撮像制御部4の指令によって駆動され、信号を出力する。固体撮像素子3から出力される信号は、被写体像を示す画像信号を形成するための撮像用信号、撮影レンズ2の焦点調節状態を検出するための焦点検出用信号である。いずれにおいても信号は、信号処理部5、及びA/D変換部6を介して処理された後、メモリ7に一旦蓄積される。なお、撮像用信号は、自動露光用の信号(測光信号)として用いられる場合もある。メモリ7は、バス8に接続される。バス8には、レンズ制御部2a、撮像制御部4、マイクロプロセッサ9、焦点演算部(検出処理部)10、露光演算部14、記録部11、画像圧縮部12、画像処理部13、ストロボ発光制御部15なども接続される。ストロボ発光制御部15は、内蔵又は外付けのストロボ16の発光を制御する。本実施の形態では、ストロボ16は、プリ発光時には、赤色光の波長範囲に属する所定波長の単色光を発する。上記マイクロプロセッサ9には、レリーズ釦などの操作部9aが接続される。また、上記の記録部11には記録媒体11aが着脱自在に装着される。
図2は、図1中の固体撮像素子3の概略構成を示す回路図である。固体撮像素子3は、マトリクス状に配置された複数の画素20と、画素20から信号を出力するための周辺回路とを有している。画素20がマトリクス状に配置されている有効画素領域(撮像領域)を符号31で示している。図2において、画素数は、横に4行縦に4行の16個の画素を示している。しかし、本実施の形態では、画素数はそれよりもはるかに多くなっている。画素数は特に限定されるものではない。
本実施の形態では、固体撮像素子3は、画素として後述する撮像用画素20Aと、焦点検出用信号を生成する焦点検出用画素(以下、「AF用画素」と称する。)20R,20L,20U,20Dとを有している。図2では、それらのいずれであるかを区別することなく、符号20で示している。その具体的な回路構成や構造は、後述する。これらの画素20は、周辺回路の駆動信号に従って、撮像用信号又は焦点検出用信号を出力する。
周辺回路は、垂直走査回路21、水平走査回路22、これらと接続されている駆動信号線23,24、画素20からの信号を受け取る垂直信号線25、垂直信号線25と接続される定電流源26及び相関二重サンプリング回路(CDS回路)27、CDS回路27から出力される信号を受け取る水平信号線28、出力アンプ29等からなる。
垂直走査回路21及び水平走査回路22は、電子カメラ1の撮像制御部4からの指令に基づいて駆動信号を出力する。各画素20は、垂直走査回路21から出力される駆動信号を所定の駆動信号線23から受け取って駆動され、撮像用信号又は焦点検出用信号を垂直信号線25に出力する。垂直走査回路21から出力される駆動信号は複数あり、それに伴い駆動配線23も複数ある。
画素20から出力された信号は、CDS回路27にて所定のノイズ除去が施される。そして、水平走査回路22の駆動信号により水平信号線28及び出力アンプ29を介して外部に信号が出力される。
図3は、図1中の固体撮像素子3(特にその有効画素領域31)を模式的に示す概略平面図である。本実施の形態では、図3に示すように、固体撮像素子3の有効画素領域31には、中央に配置された十字状をなす2つの焦点検出領域32,33と、左右に配置された2つの焦点検出領域34,35と、上下に配置された2つの焦点検出領域36,37とが、設けられている。もっとも、焦点検出領域の配置は、このような例に限らない。なお、図3に示すように、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸を定義する。XY平面と平行な平面が固体撮像素子3の撮像面(受光面)と一致している。X軸方向の並びを行、Y軸方向の並びを列とする。なお、入射光は図3の紙面手前側から奥側に入射する。これらの点は、後述する図についても同様である。
図4は、図3における焦点検出領域32,33の交差部付近を拡大した概略拡大図であり、画素配置を模式的に示している。撮像用画素20Aに設けられているカラーフィルタの色を区別しないで分類すると、固体撮像素子3は、1種類の撮像用画素20Aと、4種類のAF用画素20R,20L,20U,20Dとを有している。以下の説明において、AF用画素の種類を区別しない場合は、AF用画素に符号20Fを付す場合がある。
図5(a)は撮像用画素20Aの主要部を模式的に示す概略平面図、図5(b)は図5(a)中のX1−X2線に沿った概略断面図である。撮像用画素20Aは、シリコン基板40に設けられた光電変換部としてのフォトダイオード41と、フォトダイオード41上にオンチップで形成されたマイクロレンズ42と、フォトダイオード41の光入射側に設けられた赤色(R)カラーフィルタ50R、緑色(G)カラーフィルタ50G又は青色(B)カラーフィルタ50Bとを備えている。図4には、各撮像用画素20Aに設けられたカラーフィルタの色を、R,G,Bとして示している。また、図5に示すように、マイクロレンズ42の略焦点面には、遮光部としての金属層等の遮光層43が形成されている。遮光層43は、必要に応じて配線層を兼ねる。遮光層43には、撮像用画素20Aにおいて、当該撮像用画素20Aのマイクロレンズ42の光軸Oに対して同心の正方形の開口43aが形成されている。画素20Aのフォトダイオード41は、開口43aを通過した光を有効に受光し得る大きさを有している。なお、基板40と遮光層43との間には、層間絶縁膜44が形成されている。層間絶縁膜44中には、遮光層43の下方において、図示しない配線層が配置されている。遮光層43とカラーフィルタ50R,50G,50Bとの間には、シリコン酸化膜等からなる平坦化層45が形成されている。カラーフィルタ50R,50G,50Bとマイクロレンズ42との間には、シリコン酸化膜等からなる平坦化層46が形成されている。
本実施の形態では、画素20Aにおいて、マイクロレンズ42の略焦点面に配置された遮光層43に前記開口43aが形成されていることによって、画素20Aのフォトダイオード41は、撮影レンズ2の射出瞳の中心から実質的に偏心していない前記射出瞳の領域(開口43aのマイクロレンズ42による投影像に相当)からの光束を受光して光電変換することになる。
図6(a)はAF用画素20Rの主要部を模式的に示す概略平面図、図6(b)は図6(a)中のX3−X4線に沿った概略断面図である。図6において、図5中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。この点は、後述する図7乃至図9についても同様である。
AF用画素20Rが撮像用画素20Aと異なる所は、以下に説明する点のみである。AF用画素20Rでは、遮光層43には、当該AF用画素20Rのマイクロレンズ42の光軸Oに対して同心の正方形(開口43aと同じ大きさの正方形)の右側(+X側)半分の大きさの長方形の開口43bが形成されている。また、AF用画素20Rでは、R,G,Bのカラーフィルタ50R,50G,50Bに代えて、所定の層(以下、説明の便宜上、「ダミー層」と呼ぶ。)50Wが形成されている。図4には、各AF用画素20R(及び各AF用画素20L,20U,20D)にダミー層50Wが設けられていることを、Wとして示している。なお、画素20Rのフォトダイオード41は、画素20Aのフォトダイオード41と同じ大きさを有している。このように本実施の形態では開口43bは開口43aの半分であるが、これに限定されず、例えば、開口43bは、当該AF用画素20Rのマイクロレンズ42の光軸Oに対して同心の正方形(開口43aと同じ大きさの正方形)の右側(+X側)40%程度又は60%程度の大きさの長方形の開口としてもよい。なお、AF用画素20Rの開口43bはAF用画素20Lの後述する開口43cと同じ大きさを有することが好ましく、AF用画素20Uの後述する開口43dはAF用画素20Dの後述する開口43eと同じ大きさを有することが好ましい。
画素20Rにおいて、遮光層43に前記開口43bが形成されていることによって、画素20Rのフォトダイオード41は、撮影レンズ2の射出瞳の中心から−X方向へ実質的に偏心した前記射出瞳の領域(部分瞳)からの光束を選択的に受光して光電変換することになる。
ダミー層50Wは、R,G,Bのカラーフィルタ50R,50G,50Bと同じレイヤに形成されている。ダミー層50Wは、カラーフィルタ50R,50G,50B上には及んでいない。
ダミー層50Wの光透過特性は、カラーフィルタ50R,50G,50Bの光透過特性と異なっている。本実施の形態では、ダミー層50Wの光透過特性は、ダミー層50Wに代えてカラーフィルタ50R,50G,50Bのいずれを配置した場合よりも、AF用画素20Rのフォトダイオード41に対する入射光量が大きくなるような光透過特性を持っている。その具体例としては、ダミー層50Wとして、透明フィルタ、シアン色フィルタ、イエローフィルタなどを採用すればよい。透明フィルタの材料例として、アクリル樹脂やフッ素系アクリル樹脂などを挙げることができる。ダミー層50Wとして透明フィルタを用いると、フォトダイオード41に対する入射光量が最も大きくなる。ダミー層50Wとしてシアン色フィルタを用いると、長波長域の成分が低減されるので、その長波長成分に起因する影響を低減することができる。ダミー層50Wとしてイエローフィルタを用いると、短波長域の成分が低減されるので、その短波長成分に起因する影響を低減することができる。
図7(a)はAF用画素20Lの主要部を模式的に示す概略平面図、図7(b)は図7(a)中のX5−X6線に沿った概略断面図である。AF用画素20Lが撮像用画素20Aと異なる所は、AF用画素20Lにおいて、遮光層43には、当該AF用画素20Lのマイクロレンズ42の光軸Oに対して同心の正方形(開口43aと同じ大きさの正方形)のちょうど左側(−X側)半分の大きさの長方形の開口43cが形成されている点と、AF用画素20Rと同様に、R,G,Bのカラーフィルタ50R,50G,50Bに代えて、ダミー層50Wが設けられている点のみである。画素20Lにおいて、遮光層43に前記開口43cが形成されていることによって、画素20Lのフォトダイオード41は、撮影レンズ2の射出瞳の中心から+X方向へ実質的に偏心した前記射出瞳の領域からの光束を選択的に受光して光電変換することになる。
図8(a)はAF用画素20Uの主要部を模式的に示す概略平面図、図8(b)は図8(a)中のY1−Y2線に沿った概略断面図である。AF用画素20Uが撮像用画素20Aと異なる所は、AF用画素20Uにおいて、遮光層43には、当該AF用画素20Uのマイクロレンズ42の光軸Oに対して同心の正方形(開口43aと同じ大きさの正方形)のちょうど上側(+Y側)半分の大きさの長方形の開口43dが形成されている点と、AF用画素20Rと同様に、R,G,Bのカラーフィルタ50R,50G,50Bに代えて、ダミー層50Wが設けられている点のみである。画素20Uにおいて、遮光層43に前記開口43dが形成されていることによって、画素20Uのフォトダイオード41は、撮影レンズ2の射出瞳の中心から−Y方向へ実質的に偏心した前記射出瞳の領域からの光束を選択的に受光して光電変換することになる。
図9(a)はAF用画素20Dの主要部を模式的に示す概略平面図、図9(b)は図9(a)中のY3−Y4線に沿った概略断面図である。AF用画素20Dが撮像用画素20Aと異なる所は、AF用画素20Dにおいて、遮光層43には、当該AF用画素20Dのマイクロレンズ42の光軸Oに対して同心の正方形(開口43aと同じ大きさの正方形)のちょうど下側(−Y側)半分の大きさの長方形の開口43eが形成されている点と、AF用画素20Rと同様に、R,G,Bのカラーフィルタ50R,50G,50Bに代えて、ダミー層50Wが設けられている点のみである。画素20Dにおいて、遮光層43に前記開口43eが形成されていることによって、画素20Dのフォトダイオード41は、撮影レンズ2の射出瞳の中心から+Y方向へ実質的に偏心した前記射出瞳の領域からの光束を選択的に受光して光電変換することになる。
本実施の形態では、各撮像用画素20Aのカラーフィルタ50G,50B,50Gは、図4に示すように、ベイヤー配列に従って配列されている。
本実施の形態では、図3中のX軸方向に延びた各焦点検出領域32,36,37はそれぞれ一画素行の領域となっており、図3中のY軸方向に延びた各焦点検出領域33〜35はそれぞれ一画素列の領域となっている。図4には、焦点検出領域32が一画素行の領域であるとともに焦点検出領域33が一画素列の領域であることが明示されている。そして、AF用画素20R,20Lは、各焦点検出領域32,36,37において、同一の行において順次隣り合うように一直線状に配置されている。また、AF用画素20U,20Dは、各焦点検出領域33〜35において、同一の列において順次隣り合うように一直線状に配置されている。もっとも、AF用画素20R,20L,20U,20Dの配置は、このような配置に限られない。
図10は、図4中のA−A’線に沿った概略断面図である。図10も図6乃至図9と同様に断面形状を模式的に示している。しかし、図10では、カラーフィルタ50R,50G及びダミー層50Wの断面形状は、実際の形状により近い形状で記載している。
本実施の形態では、Rのカラーフィルタ50RはGのカラーフィルタ50Gよりも厚くされ、Rのカラーフィルタ50Rの厚さとBのカラーフィルタ50Bの厚さとはほぼ等しくされている。もっとも、各カラーフィルタ50R,50G,50B間の厚さの関係は、このような関係に限られない。
本実施の形態では、ダミー層50Wの厚さは、Gのカラーフィルタ50Gの厚さの±10%の範囲であることが好ましく、Gのカラーフィルタ50Gの厚さの±5%の範囲であることがより好ましく、Gのカラーフィルタ50Gの厚さと実質的に等しいことがより一層好ましい。
図11は、図1中の固体撮像素子3の2×2個の画素20を示す回路図である。図11が示す2×2個の画素20は、焦点検出領域33(図4参照)の一部を含んでおり、2個のAF用画素20F(AF用画素20UとAF用画素20D)及び2個の撮像用画素20Aである。
本実施の形態では、いずれの画素20(撮像用画素20A、AF用画素20R、AF用画素20L、AF用画素20U、AF用画素20D)も、同一の回路構成を有している。各画素は、入射光に応じた電荷を生成し蓄積する光電変換部としてのフォトダイオード41と、前述した電荷を受け取って前述した電荷を電圧に変換する電荷電圧変換部としてのフローティングディフュージョン(FD)81と、FD81の電位に応じた信号を出力する増幅部としての画素アンプ82と、フォトダイオード41からFD81に電荷を転送する電荷転送部としての転送トランジスタ83と、FD81の電位をリセットするリセット部としてのリセットトランジスタ84と、当該画素20を選択する選択部としての選択トランジスタ85と、を備えている。なお、図10において、Vddは電源である。この画素20の回路構成は、CMOS固体撮像素子の単位画素の回路構成として一般的なものである。
本実施の形態では、転送トランジスタ83、画素アンプ82、リセットトランジスタ84、選択トランジスタ85は、いずれもNMOSトランジスタで構成されている。
各画素20の転送トランジスタ83のゲート電極は、画素行ごとに共通に接続されて、垂直走査回路21から駆動配線23を介して駆動信号φTGが供給される。各画素20の選択トランジスタ85のゲート電極は、画素行毎に共通に接続されて、垂直走査回路21から駆動配線23を介して駆動信号φSが供給される。各画素20のリセットトランジスタ84のゲート電極は、画素行毎に共通に接続されて、垂直走査回路21から駆動配線23を介して駆動信号φFDRが供給される。
なお、図面には示していないが、各画素20の図11に示す回路や図2中の他の回路も、シリコン基板40に搭載されている。
図12は、固体撮像素子3の動作例を示すタイミングチャートである。この例は、ローリングシャッタの場合の例を示している。なお、ここでは、撮像用信号を出力することで説明する。しかし、焦点検出用信号を出力する場合も、読み出す領域(行、列)が限定されるだけであり、基本的に同じである。
まず、選択行のφFDRがハイとなっている間にφTGがハイ、ローとされることによりフォトダイオード41がリセットされる。所定時間経過後に、φSがハイとされて、選択行の選択トランジスタ85がオンとされる。φSがハイの開始時点から一定時間だけφFDRがハイにされてFD81のレベルが基準レベルにリセットされ、その後φFDRがローにされる。次いで、FD81の基準レベルに応じたレベル(ダークレベル)が、画素アンプ82から垂直信号線25を介してCDS回路27に蓄積される。
次いで、φTGが再度ハイ、ローとされる。これにより、フォトダイオード41に蓄積されていた電荷がFD81に転送される。その後、基準レベルとこの電荷による信号の重畳された信号に応じたレベルの信号が、画素アンプ82から垂直信号線25を介してCDS回路27に蓄積される。そして、CDS回路27によって、ここで蓄積された信号と先のダークレベルとの差分を取ることで得た撮像用信号が出力される。そして、順次各列の撮像用信号が水平信号線に出力される。
その後、次の行が選択されて同様に信号が出力されていく。
図13は、固体撮像素子3の他の動作例を示すタイミングチャートである。この例は、全画素同時に露光する場合の例を示している。まず、全行のφFDRがハイとされている状態で全行同時にφTGがハイとされる。これにより、全画素20のフォトダイオード41に蓄積されていた電荷が同時にリセットされる。なお、φTGがローにされた時点からφTGが再度ハイとされるまでの時間が、露光時間となる。
所定時間経過後、選択行のφSがハイとされる。次いで、φTGが再度ハイ、ローとされる(この動作は全行同時に行われる。)。これにより、全行同時に、フォトダイオード41に蓄積されていた電荷がFD81に転送される。選択行においては、この電荷による信号に応じたレベルの信号が、画素アンプ82から垂直信号線25を介してCDS回路27に蓄積される。ここでは、CDS回路27は、ダークレベルを利用した相関二重サンプリング処理(CDS処理)は行わず、単に、前記電荷による信号に応じたレベルの信号を一時的に蓄積する回路として用いられる。そして、順次各列の撮像用信号が水平信号線に出力される。
その後、次の行が選択されて同様に信号が出力されていく。
ここでは、簡略化のため、CDS処理を行わないものとして説明した。しかしながら、全画素同時に露光する場合であっても、CDS処理を行うことが好ましいことは、言うまでもない。この場合には、例えば、前記特許文献1(特開平11−177076号公報)に開示されているように、フォトダイオード41とFD81との間に、フォトダイオード41からの電荷を一時的に蓄積する蓄積部(容量)を設け、転送トランジスタ83の代わりに、フォトダイオード41から前記蓄積部に電荷を転送する第1の転送トランジスタ、及び、前記蓄積部からFD81に電荷を転送する第2の転送トランジスタを設ければよい。
ここで、本実施の形態による電子カメラ1の動作の一例について、説明する。
操作部9aのレリーズ釦の半押し操作が行われると、電子カメラ1内のマイクロプロセッサ9は、その半押し操作に同期して撮像制御部4を駆動する。撮像制御部4は、被写体の確認を行うために予め定めた公知の手法により、撮像用画素20Aのうちの全画素又は所定画素から被写体確認用の撮像信号を読み出し、メモリ7に蓄積する。このとき、全画素を読み出す場合は、例えば、前記図11又は図12に示す動作と同様の動作を行う。そして、画像処理部13は、その信号から、画像認識技術を利用して被写体を認識する。例えば、顔認識モードの場合、被写体として顔を認識する。このとき、画像処理部13は、被写体の位置及び形状を得る。
その後、マイクロプロセッサ9は、先に得られた被写体の位置及び形状に従って、焦点検出領域32〜37のうちから、被写体に対する焦点調節状態を精度良く検出するのに最適な焦点検出領域を設定する。また、先に得られた被写体の位置及び形状に従って、被写体に対する露光状態を精度良く検出するのに最適な測光領域(すなわち、AE(自動露光)用信号を取得する撮像用画素)を設定する。さらに、マイクロプロセッサ9は、前記認識結果等に基づいて、焦点検出のため及びAE用測光情報の取得のための、撮影条件(絞り、焦点調節状態、シャッタ時間等)を設定する。
引き続いて、マイクロプロセッサ9は、先に設定した絞り等の条件となるようにレンズ制御部2aを作動させ、先に設定したシャッタ時間等の条件でかつ先に設定した焦点検出領域のAF用画素20Fの画素列の座標及び先に設定した測光領域の撮像用画素20Aの画素列の座標に従って、撮像制御部4を駆動することで、焦点検出用信号及び測光用信号を読み出し、メモリ7に蓄積する。このとき、全画素を読み出す場合は、例えば、前述した図11又は図12に示す動作と同様の動作によって、焦点検出用信号及び測光用信号を読み出す。
次に、マイクロプロセッサ9は、先に取得されメモリ7に格納された全画素の信号のうちから、先に設定した焦点検出領域のAF用画素20Fからの焦点検出用信号をピックアップし、それらの信号に基づいて瞳分割位相差方式に従った演算(焦点調節状態の検出処理)を焦点検出演算部10に行わせることで、焦点検出演算部10にデフォーカス量を算出させる。また、マイクロプロセッサ9は、先に取得されメモリ7に格納された全画素の信号のうちから、先に設定した測光領域の撮像用画素からの信号(測光用信号)をピックアップし、それらの信号に基づいて、本撮影時に最適な露光量を露光演算部14に演算させる。
次いで、マイクロプロセッサ9は、先に算出されたデフォーカス量に応じて合焦状態となるように、レンズ制御部2aに撮影レンズ2を調節させる。また、マイクロプロセッサ9は、先に演算された露光量に応じた絞りとなるようにレンズ制御部2aに撮影レンズ2を調節させる。
次に、マイクロプロセッサ9は、操作部9aのレリーズ釦の全押し操作に同期して、本撮影のために設定したシャッタ時間等の条件で撮像制御部4を駆動することで、画像信号を読み出して本撮影を行う。このとき、前述した図11又は図12に示す動作と同様の動作によって、撮像用信号を読み出す。撮像制御部4によって、この撮像用信号は、メモリ7に蓄積される。
次いで、マイクロプロセッサ9は、必要に応じて、AF用画素20F位置に相当する撮像用信号を周囲の撮像用信号から補間処理により求める。、そして、マイクロプロセッサ9は、補間処理により求められたAF画素20F位置に相当する撮像用信号と、撮像用画素20Aから読み出された撮像用信号とを画像信号としてメモリ7に蓄積させる。
その後、マイクロプロセッサ9は、操作部9aの指令に基づき、必要に応じて画像処理部13や画像圧縮部12にて所望の処理を行い、記録部に処理後の信号を出力させ記録媒体11aに記録する。これにより、一連の動作を終了する。
前述した動作例の説明では、AE動作やAF動作を、昼間のような明るい環境下において固体撮像素子3の出力から行うものとして説明した。例えば、夜間のような暗い環境下においてストロボ発光により撮影する場合には、ストロボ16の本発光前に、ストロボ発光制御部15はストロボ16をプリ発光させる。このプリ発光時に固体撮像素子3から焦点検出用信号及び測光用信号が読み出され、読み出された焦点検出用信号に基づいて焦点検出演算部10がデフォーカス量を算出し、読み出された測光用信号に基づいて露光演算部14が最適な露光量を演算する。その後、レンズ制御部2aは、このデフォーカス量に応じて合焦状態となるように撮影レンズ2を調節するとともに、前記露光量に応じた絞りとなるように撮影レンズ2の絞りを調整する。また、撮像制御部4は露光演算部14で得られた露光量に応じたシャッタ時間を設定し、露光演算部14はこの露光量に応じたストロボ16の調光情報をストロボ発光制御部15に供給する。そして、ストロボ発光制御部15は、その調光情報に応じた調光状態となるようにストロボ16を本発光させ、その本発光時に、固体撮像素子3の撮像用画素20Aから撮像用信号が読み出され、その信号は信号処理部5及びA/D変換部6を経て画像データとしてメモリ7に格納される。
本実施の形態で用いられている固体撮像素子3のAF用画素20Fには、R,G,Bのカラーフィルタ50R,50G,50Bではなく、前述した光透過特性を有するダミー層50Wが設けられている。したがって、この固体撮像素子3によれば、ダミー層50Wに代えてカラーフィルタ50R,50G,50Bのいずれを配置した場合よりも、AF用画素20Fに対する入射光量が増大し、ひいては焦点検出の精度が高まる。
また、本実施の形態で用いられている固体撮像素子3は、前述したように、AF用画素20Fにダミー層50Wが設けられているので、本発明の第2の実施の形態として説明する製造方法によって製造することができる。したがって、AF用画素20F周辺の撮像用画素20Aと他の撮像用画素20Aとの間で、Gのカラーフィルタ50G同士の厚さの差のみならず、Rのカラーフィルタ50R同士の厚さの差やBのカラーフィルタ50B同士の厚さの差も低減することができる。この点については、後述する本発明の第2の実施の形態の説明を参照されたい。その結果、この固体撮像素子3によれば、Gの撮像用画素20Aに関してのみならず、Rの撮像用画素20AやBの撮像用画素20Aに関しても、均一な輝度を持つ被写体を撮像した場合における焦点検出用画素20F周辺の撮像用画素20Aの出力と他の撮像用画素20Aの出力との差を、低減することができる。よって、この固体撮像素子3によれば、焦点検出の精度を高めつつ、高画質な画像信号を得ることができる。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態による製造方法として、前記第1の実施の形態による電子カメラ1で用いられている固体撮像素子3を製造する製造方法について、図14及び図15を参照して説明する。
図14及び図15は、本実施の形態による製造方法の主要な工程を模式的に示す概略断面図であり、図10に対応している。ただし、図14及び図15では、カラーフィルタ50R,50G及びダミー層50Wの断面形状は、図10に比べて簡略化して示している。
シリコン基板40上に、従来の固体撮像素子と同様に半導体製造プロセスを利用して、平坦化層45までの構造(カラーフィルタ50R,50G,50B、ダミー層50W、平坦化層46及びマイクロレンズ42を除いた残りの構造であって、図2及び図11に示す回路を含む。)を、複数の固体撮像素子3の分だけ一括して作製する(図14(a))。
次に、平坦化層45上に、Gの撮像用画素20Aに対応して、Gのカラーフィルタ50Gを形成する(図14(b))。このGのカラーフィルタ50Gの形成工程では、平坦化層45上にカラーフィルタ50G(ここでは、カラーレジスト)を回転塗布した後、そのカラーフィルタ50GをGの撮像用画素20Aに対応してパターニングする。このパターニングは、回転塗布したカラーフィルタ50Gに対する露光・現像により行う。
ところで、平坦化層45上に何も形成されていない状態で平坦化層45上に最初に形成される層は、いずれの箇所においても精度良く膜厚を均一にすることができる。ベイヤー配列ではカラーフィルタ50Gが市松模様状に配置されるので、Gの各画素20Aのカラーフィルタ50Gの膜厚を特に均一にすることが好ましい。そこで、本実施の形態では、カラーフィルタ50R,50G,50B及びダミー層50Wのうち、カラーフィルタ50Gを最初に形成しているのである。
次いで、平坦化層45上に、AF用画素20Fに対応して、ダミー層50Wを形成する(図14(c))。このダミー層50Wの形成工程では、図14(b)に示す状態の基板上にダミー層50Wを回転塗布した後、そのダミー層50WをAF用画素20Fに対応してパターニングする。このパターニングは、ダミー層50Wの材料が感光性材料であれば、カラーフィルタ50Gの場合と同様に、回転塗布したダミー層50Wに対する露光・現像により行う。ダミー層50Wの材料が感光性材料でなければ、フォトリソエッチング法により、回転塗布したダミー層50Wをパターニングする。
その後、図14(c)に示す状態の基板上に、カラーフィルタ50R(ここでは、カラーレジスト)を回転塗布する(図15(a))。図15(a)では、簡略化して、カラーフィルタ50Rの上面の高さはカラーフィルタ50G上やダミー層50W上でもそれらのない箇所でも同一であるものとして記載している。しかし、実際には、カラーフィルタ50R上及びダミー層50W上でのカラーフィルタ50Rの上面の高さは、カラーフィルタ50R及びダミー層50Wのない箇所でのカラーフィルタ50Rの上面の高さよりも、高くなる。
引き続いて、回転塗布したカラーフィルタ50RをRの撮像用画素20Aに対応してパターニングする(図15(b))。このパターニングは、回転塗布したカラーフィルタ50Rに対する露光・現像により行う。
以上説明したカラーフィルタ50Rの回転塗布及びパターニング(露光・現像)によって、カラーフィルタ50RをRの撮像用画素20Aに対応して形成する工程が構成されている。
次に、平坦化層45上に、Bの撮像用画素20Aに対応して、Bのカラーフィルタ50Bを形成する(図示せず)。このBのカラーフィルタ50Bの形成工程では、図15(b)に示す状態の基板上に、カラーフィルタ50B(ここでは、カラーレジスト)を回転塗布した後、そのカラーフィルタ50BをBの撮像用画素20Aに対応してパターニングする。このパターニングは、回転塗布したカラーフィルタ50Bに対する露光・現像により行う。
なお、Rのカラーフィルタ50Rの形成工程と、Bのカラーフィルタ50Rの形成工程との順序は、逆にしてもよい。
次いで、カラーフィルタ50R,50G,50B及びダミー層50Wを覆うように、平坦化層46を形成する(図15(c))。
その後、熱リフロー法やエッチバック法などによって、平坦化層46上に、各画素20に対応してマイクロレンズ42を形成する。最後に、この基板を個々のチップに分離することで、前述した固体撮像素子3が完成する(特に図10参照)。
ここで、前記固体撮像素子3と比較される比較例による固体撮像素子103について説明する。図16は、この比較例による固体撮像素子103の一部を模式的に示す概略断面図であり、図10に対応している。図16において、図10中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
この比較例による固体撮像素子103が前記固体撮像素子3と異なる所は、AF用画素20Fにはダミー層50Wが形成されておらず、ダミー層50Wが形成されていた箇所には平坦化層46が埋め込まれている点と、撮像用画素20Aのカラーフィルタ50R,50Bの断面形状である。その断面形状について説明すると、前記固体撮像素子3では、AF用画素20Fから遠い位置のR,Bの撮像用画素20Aのカラーフィルタ50R,50Bのみならず、AF用画素20Fの周辺のR,Bの撮像用画素20Aのラーフィルタ50R,50Bも、厚さがほぼ一定である。これに対し、比較例による固体撮像素子103では、AF用画素20Fから遠い位置のR,Bの撮像用画素20Aのカラーフィルタ50R,50Bの厚さはほぼ一定であるものの、AF用画素20Fの周辺のR,Bの撮像用画素20Aのカラーフィルタ50R,50Bの厚さは、AF用画素20Fに近づくにつれて薄くなっている。図10及び図16にはそれぞれ、各固体撮像素子3,103における、AF用画素20Fの両側(+Y側と−Y側)に隣接する2つのRの撮像用画素20Aのカラーフィルタ50Rの断面形状が現れている。
次に、この比較例による固体撮像素子103の製造方法について、図17を参照して説明する。図17は、この製造方法の主要な工程を模式的に示す概略断面図であり、図16に対応している。ただし、図17では、カラーフィルタ50R,50Gの断面形状は、図16に比べて簡略化して示している。
この比較例による固体撮像素子103の製造方法では、まず、固体撮像素子3の前述した製造方法で説明した図14(b)に示す状態までの工程を行う。
次に、図14(b)に示す状態の基板上に、カラーフィルタ50R(ここでは、カラーレジスト)を回転塗布する(図17(a))。この回転塗布の際に、図17(a)に示すように、カラーフィルタ50Rの厚さが均一にならない。これは、ベイヤー配列において本来Gのカラーフィルタ50Gが配置されるべき箇所のAF用画素20Fにおいて、Gのカラーフィルタ50もダミー層50Wも配置されていないことに起因する。すなわち、カラーフィルタ50Rの回転塗布の際に、ベイヤー配列において本来Gのカラーフィルタ50Gが配置されるべき箇所のAF用画素20Fにおいて、Gのカラーフィルタ50もダミー層50Wも配置されていないことから、その箇所において、カラーフィルタ50Rの材料となる薬液への抵抗が小さくなるため、図17(a)に示すように、その箇所に向けてカラーフィルタ50Rの厚さが薄くなるのである。一方、AF用画素20Fから遠いほど、AF用画素20FにおいてGのカラーフィルタ50もダミー層50Wも配置されていないことの影響が低下する。したがって、AF用画素20Fから十分に遠い位置では、回転塗布したカラーフィルタ50Rの厚さは比較的厚い一定の厚さとなる。
引き続いて、回転塗布したカラーフィルタ50RをRの撮像用画素20Aに対応してパターニングする(図17(b))。このパターニングは、回転塗布したカラーフィルタ50Rに対する露光・現像により行う。このパターニング後のカラーフィルタ50Rの断面形状は、図17(a)に示すように、カラーフィルタ50Rの回転塗布時の厚さ分布に従ったものとなる。したがって、AF用画素20Fの周辺のRの撮像用画素20Aのカラーフィルタ50Rの厚さは、AF用画素20Fに近づくにつれて薄くなっている。
次に、図17(b)に示す状態の基板上に、カラーフィルタ50B(ここでは、カラーレジスト)を回転塗布する(図示せず)。このとき、カラーフィルタ50Rの回転塗布時と同様に、カラーフィルタ50Bの厚さが均一にならない。次いで、回転塗布したカラーフィルタ50BをBの撮像用画素20Aに対応してパターニングする。このパターニングは、回転塗布したカラーフィルタ50Bに対する露光・現像により行う。
次いで、カラーフィルタ50R,50G,50B、及び平坦化層45の露出部分を覆うように、平坦化層46を形成する(図17(c))。
その後、熱リフロー法やエッチバック法などによって、平坦化層46上に、各画素20に対応してマイクロレンズ42を形成する。最後に、この基板を個々のチップに分離することで、前述した比較例による固体撮像素子103が完成する(特に図16参照)。
本発明者は、このような製造方法によって、前記比較例による固体撮像素子103を実際に製造した。そして、本発明者は、製造した固体撮像素子103を、図3中のA−A’線に相当する断面で切断し、その断面をSEM(走査型電子顕微鏡)で観察した。これにより、R,Gのカラーフィルタ50R,50Gの断面形状が図16に示すような形状であることが確認された。さらに、本発明者は、製造した固体撮像素子103について、図3中のA−A’線の延長線に相当する断面における各Rの撮像用画素20AのRのカラーフィルタ50Rの膜厚(中央部の膜厚)を測定した。図18はその測定結果を示す。図18の横軸は、AF用画素20Fからの各Rのカラーフィルタ50Rの距離(画素数)を示している。ここで、左側は+Y側、右側は−Y側を示している。例えば、「左側3行目」は、AF用画素20Fから+Y側に3個目の撮像用画素20AのRのカラーフィルタ50Rを示している。図18の縦軸は、各Rのカラーフィルタ50Rの規格化後の膜厚を示している。図18は、AF用画素20Fの周辺のRの撮像用画素20AのRのカラーフィルタ50Rの厚さがAF用画素20Fに近づくにつれて薄くなることを示しており、先ほどの説明を裏付けている。
この比較例による固体撮像素子103では、以上のように、AF用画素20Fから遠い位置のR,Bの撮像用画素20Aのカラーフィルタ50R,50Bの厚さはほぼ一定であるものの、AF用画素20Fの周辺のR,Bの撮像用画素20Aのカラーフィルタ50R,50Bの厚さは、AF用画素20Fに近づくにつれて薄くなっている。そして、カラーフィルタ50R,50Bの厚さが薄くなるほど、カラーフィルタ50R,50Bによる光の減衰量が少なくなる。したがって、比較例による固体撮像素子103では、均一な輝度を持つ被写体を撮像したにも拘わらずに、AF用画素20F周辺のR,Bの撮像用画素20Aの出力が、他のR,Bの撮像用画素の出力よりも大きくなってしまうという現象が生じ、これにより画質が低下してしまうのである。
これに対し、本発明の第2の実施の形態による製造方法では、前記固体撮像素子3を製造するに際し、前述したように、Gの撮像用画素20Aに対応してGのカラーフィルタ50Gを形成した(図14(b))後に、AF用画素20Fに対応してダミー層50Wを形成し(図14(c))、その後に、Rの撮像用画素20Aに対応してRのカラーフィルタ50Rを形成する(図15(a)(b))とともにBの撮像用画素20Aに対応してBのカラーフィルタ50Bを形成している。
したがって、本実施の形態によれば、ダミー層50Wによって、R,Bのカラーフィルタ50R,50Bの回転塗布時におけるカラーフィルタ50R,50Bの材料となる薬液への抵抗が、AF用画素20Fの付近から、AF用画素20Fから離れた箇所に渡って、前述した比較例に比べて均一化される。このため、本実施の形態によれば、AF用画素20F周辺の撮像用画素20Aと他の撮像用画素20Aとの間で、Gのカラーフィルタ50G同士の厚さの差のみならず、Rのカラーフィルタ50R同士の厚さの差やBのカラーフィルタ50B同士の厚さの差も低減することができる。その結果、本実施の形態により製造された固体撮像素子3では、Gの撮像用画素20Aに関してのみならず、Rの撮像用画素20AやBの撮像用画素20Aに関しても、均一な輝度を持つ被写体を撮像した場合における焦点検出用画素20F周辺の撮像用画素20Aの出力と他の撮像用画素20Aの出力との差を、低減することができ、高画質な画像信号を得ることができる。なお、図15(a)(b)は、ダミー層50Wによる前記抵抗の均一化によって、Rのカラーフィルタ50Rに、比較例の図17(a)(b)に示すような厚さの傾きが生じないことを示している。
なお、ダミー層50WによるR,Bのカラーフィルタ50Bの回転塗布時の薬液に対する抵抗の均一化効果を高めるためには、形成するダミー層50Wの厚さは、Gのカラーフィルタ50Gの厚さに近いほど好ましい。したがって、形成するダミー層50Wの厚さは、Gのカラーフィルタ50Gの厚さの±10%の範囲であることが好ましく、Gのカラーフィルタ50Gの厚さの±5%の範囲であることがより好ましく、Gのカラーフィルタ50Gの厚さと実質的に等しいことがより一層好ましい。
本実施の形態による製造方法は、例えば、次のように変形してもよい。すなわち、Gのカラーフィルタ50Gの形成→Bのカラーフィルタ50Bの形成→ダミー層50Wの形成→Rのカラーフィルタ50Rの形成の順序で、これらを行ってもよい。この場合には、ダミー層50WによるBのカラーフィルタ50Bの回転塗布時の薬液に対する抵抗の均一化効果が得られないので、Bのカラーフィルタ50Bの膜厚の均一化効果を得ることができない。しかし、この場合であっても、ダミー層50WによるRのカラーフィルタ50Rの回転塗布時の薬液に対する抵抗の均一化効果が得られるので、Rのカラーフィルタ50Rの膜厚の均一化効果は得ることができる。よって、この場合であっても、前記比較例よりも高い画質の画像信号を得ることができる。
また、Gのカラーフィルタ50Gの形成→Rのカラーフィルタ50Rの形成→ダミー層50Wの形成→Bのカラーフィルタ50Bの形成の順序で、これらを行ってもよい。この場合には、ダミー層50WによるRのカラーフィルタ50Rの回転塗布時の薬液に対する抵抗の均一化効果が得られないので、Rのカラーフィルタ50Rの膜厚の均一化効果を得ることができない。しかし、この場合であっても、ダミー層50WによるBのカラーフィルタ50Bの回転塗布時の薬液に対する抵抗の均一化効果が得られるので、Bのカラーフィルタ50Bの膜厚の均一化効果は得ることができる。よって、この場合であっても、前記比較例よりも高い画質の画像信号を得ることができる。
[第3の実施の形態]
図19は、本発明の第3の実施の形態による製造方法により製造される固体撮像素子203の一部を模式的に示す概略断面図であり、図10及び図16に対応している。図19において、図10及び図16中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
図19に示す固体撮像素子203が図16に示す固体撮像素子103と異なる所は、撮像用画素20Aのカラーフィルタ50R,50Bの断面形状である。その断面形状について説明すると、図16に示す固体撮像素子103では、AF用画素20Fから遠い位置のR,Bの撮像用画素20Aのカラーフィルタ50R,50Bの厚さはほぼ一定であるものの、AF用画素20Fの周辺のR,Bの撮像用画素20Aのカラーフィルタ50R,50Bの厚さは、AF用画素20Fに近づくにつれて薄くなっている。これに対し、図19に示す固体撮像素子203では、AF用画素20Fから遠い位置のR,Bの撮像用画素20Aのカラーフィルタ50R,50Bのみならず、AF用画素20Fの周辺のR,Bの撮像用画素20Aのカラーフィルタ50Rのカラーフィルタ50R,50Bも、厚さがほぼ一定である。図16及び図19にはそれぞれ、各固体撮像素子103,203における、AF用画素20Fの両側(+Y側と−Y側)に隣接する2つのRの撮像用画素20Aのカラーフィルタ50Rの断面形状が現れている。
次に、本発明の第3の実施の形態による製造方法として、図19に示す固体撮像素子203の製造方法について、図20を参照して説明する。図20は、本実施の形態による製造方法の主要な工程を模式的に示す概略断面図であり、図19に対応している。ただし、図20では、カラーフィルタ50R,50G及びダミー層50Wの断面形状は、図19に比べて簡略化して示している。
本実施の形態による製造方法では、まず、固体撮像素子3の前述した製造方法で説明した、図15(c)に示す工程の直前の工程まで(すなわち、Rのカラーフィルタ50Rの形成工程後のBのカラーフィルタ50Bの形成工程まで)行う。
次に、ダミー層50W以外の領域を覆うようにレジスト300を形成し、レジスト300をマスクにしてドライエッチングを行うことで、ダミー層50Wを除去する(図20(a))。次いで、レジスト300を除去する(図20(b))。
引き続いて、カラーフィルタ50R,50G,50B、及び平坦化層45の露出部分を覆うように、平坦化層46を形成する(図20(c))。
その後、熱リフロー法やエッチバック法などによって、平坦化層46上に、各画素20に対応してマイクロレンズ42を形成する。最後に、この基板を個々のチップに分離することで、図19に示す固体撮像素子203が完成する。
本実施の形態によっても、前記第2の実施の形態と同様の理由で、前記第2の実施の形態と同様の利点が得られる。本実施の形態により製造した図19に示す固体撮像素子203は、前記第1の実施の形態による電子カメラ1において、固体撮像素子3の代わりに用いることができる。
ところで、本実施の形態では、前記第2の実施の形態と異なり、ダミー層50Wは、最終的に除去されて、図19に示す固体撮像素子203において残らない。したがって、本実施の形態では、ダミー層50Wの光透過特性は全く問題にならない。よって、本実施の形態では、例えば、コストや加工精度の点のみを考慮して、ダミー層50Wの材料を選択すればよい。その観点から、例えば、通常のフォトリソグラフィに使用されるポジ型レジスト膜は、ダミー層50Wとして好適である。
本実施の形態による製造方法は、例えば、次のように変形してもよい。すなわち、Rのカラーフィルタ50Rの形成工程と、Bのカラーフィルタ50Rの形成工程との順序は、逆にしてもよい。また、Gのカラーフィルタ50Gの形成→Bのカラーフィルタ50Bの形成→ダミー層50Wの形成→Rのカラーフィルタ50Rの形成→ダミー層50Wの除去の順序で、これらを行ってもよい。さらに、Gのカラーフィルタ50Gの形成→Rのカラーフィルタ50Rの形成→ダミー層50Wの形成→Bのカラーフィルタ50Bの形成→ダミー層50Wの除去の順序で、これらを行ってもよい。
[第4の実施の形態]
図21は、本発明の第4の実施の形態による電子カメラで用いられている固体撮像素子303の画素の配置を模式的に示す一部拡大概略平面図であり、図4に対応している。図19において、図4中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
本実施の形態が前記第1の実施の形態と異なる所は、基本的に、固体撮像素子3に代えて固体撮像素子303が用いられている点のみである。固体撮像素子303が固体撮像素子3と異なる所は、以下に説明する点のみである。
固体撮像素子303では、固体撮像素子3において、全てのAF用画素20R,20LがそれぞれAF用画素20Hで置き換えられ、全てのAF用画素20U,20DがそれぞれAF用画素20Vで置き換えられている。
図22(a)はAF用画素20Hの主要部を模式的に示す概略平面図、図22(b)は図22(a)中のX7−X8線に沿った概略断面図である。図23(a)はAF用画素20Vの主要部を模式的に示す概略平面図、図23(b)は図23(a)中のY5−Y6線に沿った概略断面図である。図24は、固体撮像素子303の2×2個の画素を示す回路図である。図24が示す2×2個の画素は、焦点検出領域33(図21参照)の一部を含んでおり、2個のAF用画素20F(ここでは、2個のAF用画素20V)及び2個の撮像用画素20Aである。図22乃至図24において、図5、図6及び図11中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
AF用画素20HとAF用画素20Vは、同一の回路構成を有している。AF用画素20H,20Vが撮像用画素20Aと回路構成上異なる所は、1つのフォトダイオード41に代えて、それを2つに分割したような2つのフォトダイオード41a,41bを有する点と、これに伴い、1つの転送トランジスタ83に代えて、互いに独立して作動し得る2つの転送トランジスタ83a,83bを有する点のみである。転送トランジスタ83aはフォトダイオード41aからFD81へ電荷を転送し、転送トランジスタ83bはフォトダイオード41bからFD81へ電荷を転送する。
図22、図23及び図5から理解される通り、AF用画素20Hでは、フォトダイオード41a,41bは、フォトダイオード41に相当するフォトダイオードを−X側と+X側に2分割することによって構成されている。AF用画素20Vでは、フォトダイオード41a,41bは、フォトダイオード41に相当するフォトダイオードを+Y側と−Y側に2分割することによって構成されている。
図22及び図23に示すように、AF用画素20H,20Vには、AF用画素20R,20L,20U,20Dと同じく、ダミー層50Wが設けられている。
撮像用画素20Aの転送トランジスタ83及びAF用画素20V,20Hの一方の転送トランジスタ83aのゲート電極は、画素行ごとに共通に接続されて、垂直走査回路21から駆動配線23を介して駆動信号φTGAが供給される。AF用画素20V,20Hの他方の転送トランジスタ83bのゲート電極は、画素行毎に共通に接続されて、垂直走査回路21から駆動配線23を介して駆動信号φTGBが供給される。
図25は、固体撮像素子303の動作例を示すタイミングチャートである。この例は、ローリングシャッタの場合に、撮像用信号を得る例を示している。この動作例は、前記第1の実施の形態において説明した図12に示す動作と同様である。φTGAを図12中のφTGと同一にしている。この例では、AF用画素20H,20Vからの信号は使用せず意味を持たないため、φTGBは任意でよい。したがって、図25にはφTGBを記載していない。
図26は、固体撮像素子303の他の動作例を示すタイミングチャートである。この例は、ローリングシャッタの場合に、焦点検出用信号を得る例を示している。図26に示す動作が図25に示す動作と異なる所は、2つのフォトダイオード41a,41bから信号を別々に読み出す点である。すなわち、図26に示す動作では、φSがハイとなり選択されている間は、AF用画素20H,20Vに関しては、一方のフォトダイオード41aの電荷を読み、次いで他方のフォトダイオード41bの電荷を読むようになっている。
本実施の形態によっても、前記第1の実施の形態と同様の利点が得られる。また、本実施の形態によれば、AF用画素として、それぞれ2つのフォトダイオード41a,41bを持つAF用画素20H,20Vが用いられているので、焦点検出用信号を得る場所の分布密度が高まる。したがって、焦点検出の精度がより高まる。
なお、固体撮像素子303も、前述した固体撮像素子3の製造方法と同様の製造方法によって製造することができる。また、前記第3の実施の形態による製造方法と同様の製造方法によって、前記固体撮像素子303においてAF用画素20H,20Vにおいてダミー層50Wを取り除いたような固体撮像素子を製造することができる。その固体撮像素子は、本実施の形態による電子カメラ1において固体撮像素子303に代えて用いることができる。
以上、本発明の各実施の形態及びその変形例について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。例えば、本発明は、撮像用画素20Aのカラーフィルタとして、補色系のカラーフィルタが用いられた固体撮像素子及びその製造方法についても、適用することができる。