以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
この実施の形態は、画像処理装置としてのクライアントコンピュータによって制御可能なプリンタを用いて所定の記録媒体に対して印刷を行う、本発明の印刷データ作成方法を適用した印刷システムである。
まず、本発明の第1の実施の形態として示す印刷システムについて説明する。
印刷システムは、図1に示すように、画像処理装置としてのクライアントコンピュータ10と、このクライアントコンピュータ10によって作成された印刷データに基づく印刷を行うプリンタ20とを備える。
クライアントコンピュータ10は、アプリケーションデータを作成する所定のアプリケーションプログラム11と、このアプリケーションプログラム11によって作成されたアプリケーションデータを印刷データに変換するプリンタドライバ12と、プリンタ20のユーザ毎の権限を設定登録する権限設定部13と、可変データの入力を行うための設定情報入力部14と、この設定情報入力部14を介して設定された内容に基づいて印刷データに付加情報を挿入する付加情報挿入部15と、各種情報を記憶する記憶部16と、プリンタ20との間で通信を行う通信部17とを有する。
なお、クライアントコンピュータ10は、OS(Operating System)としてUNIX(登録商標)が採用されている。すなわち、クライアントコンピュータ10は、図2(A)に示すように、印刷データ作成部としてのプリンタドライバ12によって作成された印刷データをDevやLPTのような送信部としての入出力ポート18を介してプリンタ20に対して出力するUNIX(登録商標)ベースの印刷システムに適用されるものである。クライアントコンピュータ10においては、本発明を実現するための所定のソフトウェアをインストールすることにより、図2(B)に示すように、設定部としての権限設定部13及び設定情報入力部14、並びに、判断部及びデータ付加部としての付加情報挿入部15の機能が追加され、当該機能が使用可能となる。
アプリケーションプログラム11は、例えば文書データを作成する文書アプリケーションプログラムや画像データを作成する画像アプリケーションプログラム等であり、文書データや画像データ等のアプリケーションデータを作成する。このアプリケーションプログラム11によって作成されたアプリケーションデータは、プリンタドライバ12に供給される。
プリンタドライバ12は、アプリケーションプログラム11によって作成されたアプリケーションデータを、プリンタ20が識別可能な言語に翻訳して印刷データを作成する。このプリンタドライバ12によって作成された印刷データは、記憶部16に一時的に記憶される。
権限設定部13は、印刷システムの管理者がキーボードやマウス等を用いて任意の文字列を入力して使用するアプリケーションプログラムであり、プリンタ20のユーザ毎の権限を設定登録する。具体的には、管理者は、印刷システムの使用に先立って、クライアントコンピュータ10を操作して権限設定部13を起動させ、例えば図3(A)に示すような権限設定登録画面をクライアントコンピュータ10の所定の表示部に表示させ、この権限設定登録画面を介して、ユーザ名毎に後述するID印刷機能の許否を権限として設定登録する。権限設定部13は、管理者によって設定登録された内容を、例えば図3(B)に示すように、ユーザ名と権限内容とを対応付けた権限情報として記憶部16に記憶させる。なお、この権限設定部13を介して設定登録された内容は、設定情報入力部14の表示内容に影響し、ID印刷機能の利用ができないユーザについては、ID印刷を行うための設定入力が不可となる。
設定情報入力部14は、プリンタ20を利用する一般ユーザがキーボードやマウス等を用いて任意の文字列を入力して使用するアプリケーションプログラムであり、プリンタドライバ12によって提供されるGUI(Graphical User Interface)によっては入力することができないパスワード等の可変データの入力を行うために設けられる。具体的には、ユーザは、クライアントコンピュータ10を操作して設定情報入力部14を起動させ、例えば図4(A)に示すような設定情報入力画面をクライアントコンピュータ10の所定の表示部に表示させ、この設定情報入力画面を介して、自己のユーザ名とパスワードとともに、ID印刷を行うか否かの種別を入力する。なお、設定情報入力部14は、上述したように、ID印刷機能の利用ができないユーザとして権限設定部13を介して設定登録されているユーザについては、ID印刷機能の利用種別の入力ができないように表示制御する。設定情報入力部14は、ユーザによって入力された内容を、例えば図4(B)に示すように、ユーザ名とパスワードとID印刷機能の利用種別とを対応付けた設定情報として記憶部16に記憶させる。
付加情報挿入部15は、設定情報入力部14を介して設定されて記憶部16に記憶されている設定情報に基づいて、印刷データにウォーターマークとしての付加情報を挿入する。なお、付加情報は、ユーザ名(ユーザID)、パスワード、ドキュメント名、印刷日付等、少なくともユーザを特定できる印刷者情報を含む情報である。付加情報挿入部15は、付加情報を挿入して加工した印刷データを通信部17に供給する。
記憶部16は、プリンタドライバ12から供給された印刷データの他、権限設定部13によって設定登録された権限情報や設定情報入力部14を介して設定された設定情報をはじめとする各種情報を記憶する。この記憶部16に記憶された印刷データは、付加情報挿入部15によって読み出される。
通信部17は、所定の有線通信又は無線通信によってプリンタ20との間でデータの授受を行うインターフェースであり、上述した入出力ポート18を含んで構成される。通信部17は、付加情報挿入部15から印刷データが供給されると、その印刷データをプリンタ20に対して送信する。
このようなクライアントコンピュータ10は、アプリケーションプログラム11から印刷指示が出されると、プリンタドライバ12によってアプリケーションデータを印刷データに変換し、記憶部16に一時的に記憶させる。そして、クライアントコンピュータ10は、通信部17を介して、記憶部16に記憶されている印刷データをプリンタ20に対して送信する。これは、一般的なUNIX(登録商標)環境における印刷動作である。このとき、クライアントコンピュータ10は、記憶部16に一時的に記憶されたプリンタドライバ12の出力を付加情報挿入部15によって加工した後に、通信部17に供給する。クライアントコンピュータ10は、上述したように、このような処理を行うためのソフトウェアをUNIX(登録商標)環境にインストールすることにより、権限設定部13、設定情報入力部14、及び付加情報挿入部15の機能を実現する。
一方、クライアントコンピュータ10によって作成された印刷データに基づく印刷を行うプリンタ20は、図1に示すように、当該プリンタ20を統括的に制御するパスワード判定部としての制御部21と、クライアントコンピュータ10との間で通信を行う受信部としての通信部22と、印刷データに基づいて印刷を行う印刷部23と、パスワードの入力を行うための入力部24と、各種情報を記憶する記憶部25とを有する。
制御部21は、CPU(Central Processing Unit)等から構成され、当該プリンタ20の全体を統括的に制御する。
通信部22は、所定の有線通信又は無線通信によってクライアントコンピュータ10との間でデータの授受を行うインターフェースであり、クライアントコンピュータ10から送信された印刷データを受信する。通信部22は、受信した印刷データを制御部21に供給する。
印刷部23は、クライアントコンピュータ10から送信された印刷データに基づいて、用紙等の所定の記録媒体に対する印刷を行う。例えば、印刷部23は、電子写真方式の印刷処理を行うものである場合には、帯電させたトナーを用いて記録媒体上に画像形成を行い、当該記録媒体上に形成されたトナー像を熱定着することによって印刷物を作製する一連の機構として構成される。また、印刷部23は、インクジェット方式の印刷処理を行うものである場合には、記録媒体に対してインク液滴を吐出することによって印刷物を作製する一連の機構として構成される。
入力部24は、パスワード入力のためのキーを有するオペレータパネルであり、当該プリンタ20のユーザが、設定情報入力部14を介して入力したパスワードを入力するために設けられる。入力部24は、入力されたパスワードを制御部24に供給する。
記憶部25は、クライアントコンピュータ10から送信された印刷データを一時的に記憶する。この記憶部25に記憶された印刷データは、制御部21によって読み出され、印刷部23に供給される。
このようなプリンタ20は、クライアントコンピュータ10によって作成された印刷データに基づく印刷を行う際に、当該印刷データにパスワードが含まれている場合には、後述するように、入力部24を介して入力されたパスワードと一致した場合にのみ、制御部21の制御のもとに印刷を行う。
さて、このようなクライアントコンピュータ10及びプリンタ20を備える印刷システムにおいては、初期設定として以下の処理を行う。この初期設定は、クライアントコンピュータ10をユーザに配布する前に、管理者がクライアントコンピュータ10を起動することによって行われる。
まず、管理者は、図5に示すように、ステップS1において、権限設定部13を介して、ユーザ名毎に権限情報を登録する。具体的には、管理者は、先に図3(A)に示したような権限設定登録画面を介して、ユーザ名毎にID印刷機能の許否を権限として設定登録する。すなわち、権限設定部13を介して設定登録される権限は、ID印刷機能をオフにすることができる権限をユーザに与えるか否かという情報である。なお、図3(A)には、ユーザ名「YAMADA」について、ID印刷機能をオフにする許可を与えない設定とするとともに、ユーザ名「SATO」について、ID印刷機能をオフにする許可を与える設定とした例を示している。
そして、権限設定部13は、ステップS2において、先に図3(B)に示したように、ユーザ名と権限内容とを対応付けた権限情報を記憶部16に記憶させ、管理者による一連の初期設定処理を終了する。その後、権限情報が設定登録されたクライアントコンピュータ10は、ユーザに配布され、使用可能状態となる。
一方、クライアントコンピュータ10が配布されたユーザは、図6に示すように、ステップS11において、設定情報入力部14を介して、自己のユーザ名(ユーザID)やパスワードの登録を行う。ここで、パスワードは、プリンタ20の入力部24を介してパスワードを入力することにより、当該プリンタ20の記憶部25に一時的に記憶された印刷データに基づく印刷物を作製するために設定される。
続いて、設定情報入力部14は、ステップS12において、記憶部16に記憶されている権限情報を参照し、ステップS11にて入力されたユーザ名に対応するユーザがID印刷機能の利用権限を有するユーザであるか否かを判定する。なお、ID印刷機能とは、例えば図7に示すように、ユーザ名(ユーザID)やドキュメント名、印刷日付等の付加情報を、印刷物に重畳させて印刷する機能である。
設定情報入力部14は、ID印刷機能の利用権限を有するユーザである場合には、ID印刷を行うか否かの種別を入力する項目を入力可能に表示してステップS13へと処理を移行する。具体的には、設定情報入力部14は、先に図4(A)に示したように、ユーザ名「SATO」については、権限設定部13を介してID印刷機能をオフにする許可が与えられていることから、ID印刷を行うか否かの種別を入力する項目を入力可能に表示する。そして、ユーザは、ステップS13において、ID印刷を行うか否かの種別、すなわち、ID印刷機能をオフした状熊で印刷させるか否かを設定する。
一方、設定情報入力部14は、ID印刷機能の利用権限を有するユーザでない場合には、ID印刷を行うか否かの種別を入力する項目を非表示としてステップS14へと処理を移行する。具体的には、設定情報入力部14は、先に図4(A)に示したように、ユーザ名「YAMADA」については、権限設定部13を介してID印刷機能をオフにする許可が与えられていないことから、ID印刷を行うか否かの種別を入力する項目をグレイアウトさせて入力不可能とし、必ずID印刷を行う設定とする。
そして、設定情報入力部14は、ステップS14において、先に図4(B)に示したように、クライアントコンピュータ10にログインしているユーザのユーザ名とパスワードとID印刷機能の利用種別とを対応付けた設定情報を記憶部16に記憶させ、ユーザによる一連の初期設定処理を終了する。
なお、この図6に示した一連の処理は、ユーザがクライアントコンピュータ10を起動していればいつでも実行可能であるが、例えばユーザがログインした後に、当該ユーザについての設定情報が未登録であった場合に、自動的に実行されるのが望ましい。
印刷システムにおいては、このような初期設定を行うと、クライアントコンピュータ10によって印刷データを作成可能となる。
すなわち、クライアントコンピュータ10は、図8に示すように、ステップS21において、アプリケーションプログラム11から印刷指示が出されると、ステップS22において、プリンタドライバ12により、アプリケーシヨンデータをプリンタ20が識別可能な言語に翻訳し、ステップS23において、作成した印刷データを記憶部16に一時的に記憶させる。
続いて、付加情報挿入部15は、ステップS24において、先に図4(B)に示したような設定情報が記憶部16に記憶されているか否かを判定する。ここで、付加情報挿入部15は、記憶部16に設定情報が記憶されていない場合には、ステップS25において、記憶部16に記憶されている印刷データに対して何も処理を施さずに、そのまま通信部17を介してプリンタ20に対して送信し、一連の処理を終了する。
一方、付加情報挿入部15は、記憶部16に設定情報が記憶されている場合には、必要に応じて印刷データに付加情報を挿入し、加工した印刷データを、通信部17を介してプリンタ20に対して送信する。印刷データの加工は次のように行う。
まず、付加情報挿入部15は、記憶部16に設定情報が記憶されている場合には、ステップS26において、先に図4(B)に示したように、ID印刷機能をオフにする許可が与えられているか否かの権限に依存した設定情報が記憶部16に記憶されているか否かを判定する。
ここで、付加情報挿入部15は、権限に依存した設定情報が記憶部16に記憶されていない場合には、ステップS27において、記憶部16に記憶されている設定情報からログインしたユーザに対応する情報を読み出し、ステップS32へと処理を移行する。一方、付加情報挿入部15は、権限に依存した設定情報が記憶部16に記憶されている場合には、ステップS28において、記憶部16から、ユーザ名に対応する設定情報を読み出す。そして、付加情報挿入部15は、ステップS29において、設定情報入力部14を介して予めID印刷機能のオフ指定がされているか否かを判定し、オフ指定されていない場合には、ステップS31へと処理を移行する一方で、オフ指定されている場合には、ステップS30において、ID印刷機能をオフした状態に設定する。
そして、付加情報挿入部15は、ステップS31において、印刷するドキュメント名や印刷日付等、ユーザ名のように記憶部16には記憶されていない情報をシステムから読み出し、ステップS32において、接続されているプリンタ20の機種に応じて、記憶部16やシステムから読み出した情報を当該プリンタ20が識別可能な形式に変換し、変換した結果を、付加情報として印刷データにおける所定位置に挿入する。これにより、印刷データには、ID印刷のオン又はオフ設定、ユーザ名、パスワード、ドキュメント名、及び印刷日時等の情報が付加情報として挿入される。付加情報挿入部15は、ステップS33において、付加情報を挿入した印刷データを通信部17に供給する。これに応じて、通信部17は、プリンタ20に接続された形態にしたがって、印刷データをプリンタ20に対して送信し、一連の処理を終了する。
印刷システムにおいては、このような一連の処理を行うことにより、クライアントコンピュータ10によって付加情報が挿入された印刷データを作成することができる。
一方、プリンタ20は、クライアントコンピュータ10によって作成された印刷データに基づいて、図9に示すような一連の処理を行う。
まず、プリンタ20は、図9に示すように、ステップS41において、通信部22によって印刷データを受信すると、その印刷データを制御部21に供給する。制御部21は、ステップS42において、受信した印刷データにパスワードが含まれているか否かを判定する。
ここで、制御部21は、印刷データにパスワードが含まれていない場合には、ステップS46へと処理を移行し、印刷部23を制御して書式にしたがって印刷イメージを生成し、印刷を実行させる。一方、制御部21は、印刷データにパスワードが含まれている場合には、ステップS43において、印刷データを記憶部25に一時的に記憶させ、ステップS44において、入力部24を介してユーザによってパスワードが入力されるまで待機する。
続いて、制御部21は、パスワード入力を確認すると、ステップS45において、そのパスワードの内容を判定する。制御部21は、判定したパスワードが、設定情報入力部14を介して入力されたパスワードと一致しない場合には、何も処理を行わずに再度パスワードが入力されるまで待機する。
そして、制御部21は、パスワードが一致した場合には、ステップS46へと処理を移行し、印刷部23を制御して書式にしたがって印刷イメージを生成し、印刷を実行させ、一連の処理を終了する。このとき、制御部21は、印刷データに含まれるID印刷のオン又はオフ設定がオンの場合には、印刷データに挿入されたユーザ名を含む付加情報を、印刷出力するデータ対象とする。
プリンタ20は、このような一連の処理を行うことにより、印刷データに付加情報が含まれている場合には、その付加情報を重畳させた印刷物を作製することができる。
以上説明したように、本発明の第1の実施の形態として示す印刷システムにおいては、印刷を行う度に、ユーザがプリンタドライバ12上でユーザ名等のウォーターマークとしての付加情報を逐一指定することがないことから、ユーザに煩雑な作業を強いることなく、任意の文字列等を印刷出力させることができる。
つぎに、第2の実施の形態として示す印刷システムについて説明する。
この第2の実施の形態として示す印刷システムは、第1の実施の形態として示した印刷システムを改良し、権限情報をサーバによって一元管理するようにしたものである。したがって、この第2の実施の形態の説明においては、第1の実施の形態の説明と同様の構成については同一符号を付し、その詳細な説明を省略するものとする。
第1の実施の形態として示した印刷システムにおいては、管理者が全てのクライアントコンピュータに権限情報を登録する必要があったが、クライアントコンピュータの台数が多い大規模なネットワーク環境では、管理者の負担が大きく、また、メンテナンスも工数がかかるという問題がある。
そこで、第2の実施の形態として示す印刷システムにおいては、権限情報をサーバによって一元管理する。
印刷システムは、図10に示すように、画像処理装置としてのクライアントコンピュータ10'と、このクライアントコンピュータ10'によって作成された印刷データに基づく印刷を行うプリンタ20と、権限情報を管理するプリントサーバ30とを備える。
クライアントコンピュータ10'は、上述したアプリケーションプログラム11と、プリンタドライバ12と、設定情報入力部14と、付加情報挿入部15と、記憶部16と、通信部17とを有する。すなわち、クライアントコンピュータ10'は、クライアントコンピュータ10における権限設定部13を有しない構成とされる。
なお、クライアントコンピュータ10'は、クライアントコンピュータ10と同様に、OSとしてUNIX(登録商標)が採用されている。すなわち、クライアントコンピュータ10'は、図11(A)に示すように、プリンタドライバ12によって作成された印刷データを入出力ポート18'を介してプリントサーバ30に対して出力するUNIX(登録商標)ベースの印刷システムに適用されるものである。クライアントコンピュータ10'においては、本発明を実現するための所定のソフトウェアをインストールすることにより、図11(B)に示すように、設定情報入力部14及び付加情報挿入部15の機能が追加され、当該機能が使用可能となる。
このようなクライアントコンピュータ10'は、アプリケーションプログラム11から印刷指示が出されると、プリンタドライバ12によってアプリケーションデータを印刷データに変換し、記憶部16に一時的に記憶させる。そして、クライアントコンピュータ10'は、通信部17を介して、記憶部16に記憶されている印刷データをプリントサーバ30に対して送信する。これは、一般的なUNIX(登録商標)環境における印刷動作である。このとき、クライアントコンピュータ10'は、記憶部16に一時的に記憶されたプリンタドライバ12の出力を付加情報挿入部15によって加工した後に、通信部17に供給する。
プリントサーバ30は、プリンタ20のユーザ毎の権限を設定登録する権限設定部31と、各種情報を記憶する記憶部32と、クライアントコンピュータ10'及びプリンタ20との間で通信を行う通信部33とを有する。
なお、プリントサーバ30は、OSとしてUNIX(登録商標)が採用されており、図11(A)に示すように、クライアントコンピュータ10'から送信された印刷データをスプーラ34によってスプールし、DevやLPTのような入出力ポート35を介してプリンタ20に対して出力するUNIX(登録商標)ベースの印刷システムに適用されるものである。プリントサーバ30においては、本発明を実現するための所定のソフトウェアをインストールすることにより、図11(B)に示すように、権限設定部31の機能が追加され、当該機能が使用可能となる。
権限設定部31は、上述した権限設定部13と同様に、印刷システムの管理者がキーボードやマウス等を用いて任意の文字列を入力して使用するアプリケーションプログラムであり、プリンタ20のユーザ毎の権限を設定登録する。具体的には、管理者は、印刷システムの使用に先立って、プリントサーバ30を操作して権限設定部31を起動させ、先に図3(A)に示したような権限設定登録画面をプリントサーバ30の所定の表示部に表示させ、この権限設定登録画面を介して、ユーザ名毎にID印刷機能の許否を権限として設定登録する。権限設定部31は、管理者によって設定登録された内容を、先に図3(B)に示したように、ユーザ名と権限内容とを対応付けた権限情報として記憶部32に記憶させる。なお、この権限設定部31を介して設定登録された内容は、クライアントコンピュータ10'における設定情報入力部14の表示内容に影響し、ID印刷機能の利用ができないユーザについては、ID印刷を行うための設定入力が不可となる。
記憶部32は、クライアントコンピュータ10'から送信された印刷データを一時的に記憶するとともに、権限設定部31によって設定登録された権限情報をはじめとする各種情報を記憶する。この記憶部32に記憶された印刷データは、通信部33を介してプリンタ20に対して送信される。
通信部33は、所定の有線通信又は無線通信によってクライアントコンピュータ10'及びプリンタ20との間でデータの授受を行うインターフェースであり、上述したスプーラ34及び入出力ポート35を含んで構成される。通信部33は、クライアントコンピュータ10'から送信された印刷データを受信すると、その印刷データを記憶部32に一時的に記憶させた後、プリンタ20に対して送信する。また、通信部35は、記憶部32に記憶されている権限情報を読み出し、その権限情報をクライアントコンピュータ10'に対して送信する。
このようなプリントサーバ30は、通信部33を介してクライアントコンピュータ10'から印刷データを受信すると、記憶部32に一時的に記憶させる。そして、プリントサーバ30は、通信部33を介して、記憶部32に記憶されている印刷データをプリンタ20に対して送信する。これは、一般的なUNIX(登録商標)環境における印刷動作である。また、プリントサーバ30は、権限設定部31を介して管理者によって設定登録された権限情報を記憶部32に記憶しておき、クライアントコンピュータ10'からの問い合わせに応じて、記憶部32に記憶している権限情報を読み出し、通信部33を介してクライアントコンピュータ10'に対して送信する。プリントサーバ30は、上述したように、このような処理を行うためのソフトウェアをUNIX(登録商標)環境にインストールすることにより、権限設定部31の機能を実現する。
さて、このようなクライアントコンピュータ10'、プリンタ20、及びプリントサーバ30を備える印刷システムにおいては、初期設定として以下の処理を行う。この初期設定は、印刷システムの構築にあたり、管理者がプリントサーバ30を起動することによって行われる。
まず、管理者は、図12に示すように、ステップS51において、権限設定部31を介して、ユーザ名毎に権限情報を登録する。具体的には、管理者は、先に図3(A)に示したような権限設定登録画面を介して、ユーザ名毎にID印刷機能の許否を権限として設定登録する。
そして、権限設定部31は、ステップS52において、先に図3(B)に示したように、ユーザ名と権限内容とを対応付けた権限情報を記憶部32に記憶させ、管理者による一連の初期設定処理を終了する。
一方、クライアントコンピュータ10'が配布されたユーザは、図13に示すように、ステップS61において、設定情報入力部14を介して、自己のユーザ名(ユーザID)やパスワードの登録を行う。
続いて、設定情報入力部14は、ステップS62において、ステップS61にて入力されたユーザ名に対応するユーザがID印刷機能の利用権限を有するユーザであるか否かをプリントサーバ30に対して問い合わせ、ステップS63において、問い合わせの結果に基づいて、当該ユーザがID印刷機能の利用権限を有するユーザであるか否かを判定する。
設定情報入力部14は、ID印刷機能の利用権限を有するユーザである場合には、先に図4(A)に示したように、ID印刷を行うか否かの種別を入力する項目を入力可能に表示してステップS64へと処理を移行する。そして、ユーザは、ステップS64において、ID印刷を行うか否かの種別、すなわち、ID印刷機能をオフした状熊で印刷させるか否かを設定する。
一方、設定情報入力部14は、ID印刷機能の利用権限を有するユーザでない場合には、先に図4(A)に示したように、ID印刷を行うか否かの種別を入力する項目を非表示としてステップS65へと処理を移行する。
そして、設定情報入力部14は、ステップS65において、先に図4(B)に示したように、クライアントコンピュータ10'にログインしているユーザのユーザ名とパスワードとID印刷機能の利用種別とを対応付けた設定情報を記憶部16に記憶させ、ユーザによる一連の初期設定処理を終了する。
なお、この図13に示した一連の処理も、図6に示した一連の処理と同様に、ユーザがクライアントコンピュータ10'を起動していればいつでも実行可能であるが、例えばユーザがログインした後に、当該ユーザについての設定情報が未登録であった場合に、自動的に実行されるのが望ましい。
印刷システムにおいては、このような初期設定を行うと、クライアントコンピュータ10'によって印刷データを作成可能となる。
すなわち、クライアントコンピュータ10'は、図14に示すように、ステップS71において、アプリケーションプログラム11から印刷指示が出されると、ステップS72において、プリンタドライバ12により、アプリケーシヨンデータをプリンタ20が識別可能な言語に翻訳し、ステップS73において、作成した印刷データを記憶部16に一時的に記憶させる。
続いて、付加情報挿入部15は、ステップS74において、先に図4(B)に示したような設定情報が記憶部16に記憶されているか否かを判定する。ここで、付加情報挿入部15は、記憶部16に設定情報が記憶されていない場合には、ステップS75において、記憶部16に記憶されている印刷データに対して何も処理を施さずに、そのまま通信部17を介してプリンタ20に対して送信し、一連の処理を終了する。
一方、付加情報挿入部15は、記憶部16に設定情報が記憶されている場合には、必要に応じて印刷データに付加情報を挿入し、加工した印刷データを、通信部17を介してプリンタ20に対して送信する。印刷データの加工は次のように行う。
まず、付加情報挿入部15は、記憶部16に設定情報が記憶されている場合には、ステップS76において、先に図4(B)に示したように、ID印刷機能をオフにする許可が与えられているか否かの権限に依存した設定情報が記憶部16に記憶されているか否かを判定する。
ここで、付加情報挿入部15は、権限に依存した設定情報が記憶部16に記憶されていない場合には、ステップS77において、記憶部16に記憶されている設定情報からログインしたユーザに対応する情報を読み出し、ステップS82へと処理を移行する。一方、付加情報挿入部15は、権限に依存する設定情報が記憶部16に記憶されている場合には、ステップS78において、記憶部16から、ユーザ名に対応する設定情報を読み出す。そして、付加情報挿入部15は、ステップS79において、設定情報入力部14を介して予めID印刷機能のオフ指定がされているか否かを判定し、オフ指定されていない場合には、ステップS81へと処理を移行する一方で、オフ指定されている場合には、ステップS80において、ID印刷機能をオフした状態に設定する。
そして、付加情報挿入部15は、ステップS81において、印刷するドキュメント名や印刷日付等、ユーザ名のように記憶部16には記憶されていない情報をシステムから読み出し、ステップS82において、接続されているプリンタ20の機種に応じて、記憶部16やシステムから読み出した情報を当該プリンタ20が識別可能な形式に変換し、変換した結果を、付加情報として印刷データにおける所定位置に挿入する。これにより、印刷データには、ID印刷のオン又はオフ設定、ユーザ名、パスワード、ドキュメント名、及び印刷日時等の情報が付加情報として挿入される。付加情報挿入部15は、ステップS83において、付加情報を挿入した印刷データを通信部17に供給する。これに応じて、通信部17は、プリントサーバ30に接続された形態にしたがって、印刷データをプリントサーバ30に対して送信し、一連の処理を終了する。
印刷システムにおいては、このような一連の処理を行うことにより、クライアントコンピュータ10'によって付加情報が挿入された印刷データを作成することができる。
また、プリントサーバ30は、クライアントコンピュータ10'によって印刷データが作成されると、図15に示すような一連の処理を行う。
まず、プリントサーバ30は、図15に示すように、ステップS91において、通信部33によって印刷データを受信すると、ステップS92において、その印刷データを記憶部32に記憶させる。
続いて、プリントサーバ30は、ステップS93において、プリンタ20が待機状態であるか否かを確認し、待機状態でない場合には、待機状態となるまで待機する。
そして、プリントサーバ30は、プリンタ20が待機状態となったことを確認すると、ステップS94において、記憶部32に記憶している印刷データを読み出し、通信部33を介してプリンタ20に対して送信する。
プリントサーバ30は、このような一連の処理を行うことにより、クライアントコンピュータ10'によって作成された印刷データをプリンタ20に対して中継転送することができる。
そして、プリンタ20は、クライアントコンピュータ10によって作成された印刷データに基づいて、図16に示すような一連の処理を行う。
まず、プリンタ20は、図16に示すように、ステップS101において、通信部22によって印刷データを受信すると、その印刷データを制御部21に供給する。制御部21は、ステップS102において、受信した印刷データにパスワードが含まれているか否かを判定する。
ここで、制御部21は、印刷データにパスワードが含まれていない場合には、ステップS106へと処理を移行し、印刷部23を制御して書式にしたがって印刷イメージを生成し、印刷を実行させる。一方、制御部21は、印刷データにパスワードが含まれている場合には、ステップS103において、印刷データを記憶部25に一時的に記憶させ、ステップS104において、入力部24を介してユーザによってパスワードが入力されるまで待機する。
続いて、制御部21は、パスワード入力を確認すると、ステップS105において、そのパスワードの内容を判定する。制御部21は、判定したパスワードが、設定情報入力部14を介して入力されたパスワードと一致しない場合には、何も処理を行わずに再度パスワードが入力されるまで待機する。
そして、制御部21は、パスワードが一致した場合には、ステップS106へと処理を移行し、印刷部23を制御して書式にしたがって印刷イメージを生成し、印刷を実行させ、一連の処理を終了する。このとき、制御部21は、印刷データに含まれるID印刷のオン又はオフ設定がオンの場合には、印刷データに挿入されたユーザ名を含む付加情報を、印刷出力するデータ対象とする。
プリンタ20は、このような一連の処理を行うことにより、印刷データに付加情報が含まれている場合には、その付加情報を重畳させた印刷物を作製することができる。
以上説明したように、本発明の第2の実施の形態として示す印刷システムにおいては、権限情報をプリントサーバ30によって一元管理することにより、管理者が全てのクライアントコンピュータ10'に権限情報を登録する必要がなくなり、管理者の負担を大幅に低減し且つメンテナンスも工数の削減を図ることができる。
つぎに、第3の実施の形態として示す印刷システムについて説明する。
この第3の実施の形態として示す印刷システムは、第1の実施の形態として示した印刷システムを改良し、印刷データを暗号化して作成するようにしたものである。したがって、この第3の実施の形態の説明においては、第1の実施の形態の説明と同様の構成については同一符号を付し、その詳細な説明を省略するものとする。
近年、情報漏洩の防止に関する市場要求があり、ネットワーク上のデータに対するセキュリティも考慮したシステム設計を行う必要がある。
そこで、第3の実施の形態として示す印刷システムにおいては、所定の暗号化を施した印刷データを作成する。
印刷システムは、図17に示すように、画像処理装置としてのクライアントコンピュータ10''と、このクライアントコンピュータ10''によって作成された印刷データに基づく印刷を行うプリンタ20''とを備える。
クライアントコンピュータ10''は、上述したアプリケーションプログラム11と、プリンタドライバ12と、付加情報挿入部15と、記憶部16と、通信部17との他に、プリンタ20''のユーザ毎の権限を設定登録する権限設定部13''と、可変データの入力や暗号化印刷機能のオン又はオフ設定を行うための設定情報入力部14''と、印刷データを暗号化する暗号変換部41とを有する。すなわち、クライアントコンピュータ10''は、クライアントコンピュータ10における権限設定部13及び設定情報入力部14に代えて、権限設定部13''及び設定情報入力部14''を有するとともに、新たに暗号変換部41を追加した構成とされる。
なお、クライアントコンピュータ10''は、クライアントコンピュータ10と同様に、OSとしてUNIX(登録商標)が採用されている。すなわち、クライアントコンピュータ10''は、図18(A)に示すように、プリンタドライバ12によって作成された印刷データを入出力ポート18''を介してプリンタ20''に対して出力するUNIX(登録商標)ベースの印刷システムに適用されるものである。クライアントコンピュータ10''においては、本発明を実現するための所定のソフトウェアをインストールすることにより、図18(B)に示すように、権限設定部13''、設定情報入力部14''、付加情報挿入部15、及び暗号変換部41の機能が追加され、当該機能が使用可能となる。
権限設定部13''は、権限設定部13と同様に、印刷システムの管理者がキーボードやマウス等を用いて任意の文字列を入力して使用するアプリケーションプログラムであり、プリンタ20''のユーザ毎の権限を設定登録する。具体的には、管理者は、印刷システムの使用に先立って、クライアントコンピュータ10''を操作して権限設定部13''を起動させ、例えば図19(A)に示すような権限設定登録画面をクライアントコンピュータ10''の所定の表示部に表示させ、この権限設定登録画面を介して、ユーザ名毎にID印刷機能や暗号化印刷機能の許否を権限として設定登録する。権限設定部13''は、管理者によって設定登録された内容を、例えば図19(B)に示すように、ユーザ名と権限内容とを対応付けた権限情報として記憶部16に記憶させる。なお、この権限設定部13''を介して設定登録された内容は、設定情報入力部14''の表示内容に影響し、ID印刷機能及び暗号化印刷機能の利用ができないユーザについては、ID印刷及び暗号化印刷を行うための設定入力が不可となる。
設定情報入力部14''は、設定情報入力部14と同様に、プリンタ20''を利用する一般ユーザがキーボードやマウス等を用いて任意の文字列を入力して使用するアプリケーションプログラムであり、プリンタドライバ12によって提供されるGUIによっては入力することができないパスワード等の可変データの入力や暗号化印刷機能のオン又はオフ設定を行うために設けられる。具体的には、ユーザは、クライアントコンピュータ10''を操作して設定情報入力部14''を起動させ、例えば図20(A)に示すような設定情報入力画面をクライアントコンピュータ10''の所定の表示部に表示させ、この設定情報入力画面を介して、自己のユーザ名とパスワードとともに、ID印刷及び暗号化印刷を行うか否かの種別を入力する。なお、設定情報入力部14''は、上述したように、ID印刷機能及び暗号化印刷機能の利用ができないユーザとして権限設定部13''を介して設定登録されているユーザについては、ID印刷機能及び暗号化印刷機能の利用種別の入力ができないように表示制御する。設定情報入力部14''は、ユーザによって入力された内容を、例えば図20(B)に示すように、ユーザ名とパスワードとID印刷機能及び暗号化印刷機能の利用種別とを対応付けた設定情報として記憶部16に記憶させる。
暗号変換部41は、暗号化印刷機能がオンである場合に、付加情報挿入部15から供給された印刷データを所定の暗号化方式にしたがって暗号化する。暗号変換部41は、暗号化した印刷データを通信部17に供給する。
このようなクライアントコンピュータ10''は、アプリケーションプログラム11から印刷指示が出されると、プリンタドライバ12によってアプリケーションデータを印刷データに変換し、記憶部16に一時的に記憶させる。そして、クライアントコンピュータ10''は、通信部17を介して、記憶部16に記憶されている印刷データをプリンタ20''に対して送信する。これは、一般的なUNIX(登録商標)環境における印刷動作である。このとき、クライアントコンピュータ10''は、記憶部16に一時的に記憶されたプリンタドライバ12の出力を付加情報挿入部15によって加工するとともに、暗号変換部41によって必要に応じて暗号化した後に、通信部17に供給する。
一方、クライアントコンピュータ10''によって作成された印刷データに基づく印刷を行うプリンタ20''は、図17に示すように、上述した制御部21と、通信部22と、印刷部23と、入力部24と、記憶部25との他に、暗号化された印刷データを復号する復号部42を有する。すなわち、プリンタ20''は、プリンタ20に対して新たに復号部42を追加した構成とされる。
復号部42は、クライアントコンピュータ10''から送信されて記憶部25に記憶された印刷データのうち、暗号化された印刷データを復号する。復号部42は、復号した印刷データを記憶部25に一時的に記憶させる。
このようなプリンタ20''は、クライアントコンピュータ10''によって作成された印刷データに基づく印刷を行う際に、当該印刷データにパスワードが含まれている場合には、入力部24を介して入力されたパスワードと一致した場合にのみ、制御部21の制御のもとに印刷を行う。また、プリンタ20''は、印刷データが暗号化されたものである場合には、復号部42によって復号し、印刷可能なデータを再現する。
さて、このようなクライアントコンピュータ10''及びプリンタ20''を備える印刷システムにおいては、初期設定として以下の処理を行う。この初期設定は、クライアントコンピュータ10''をユーザに配布する前に、管理者がクライアントコンピュータ10''を起動することによって行われる。
まず、管理者は、図21に示すように、ステップS111において、権限設定部13''を介して、ユーザ名毎に権限情報を登録する。具体的には、管理者は、先に図19(A)に示したような権限設定登録画面を介して、ユーザ名毎にID印刷機能及び暗号化印刷機能の許否を権限として設定登録する。すなわち、権限設定部13''を介して設定登録される権限は、ID印刷機能をオフにすることができる権限をユーザに与えるか否かという情報と、暗号化印刷を行うことができる権限をユーザに与えるか否かという情報である。なお、図19(A)には、ユーザ名「YAMADA」について、ID印刷機能をオフにする許可を与えず且つ暗号化印刷機能を行う許可を与えない設定とするとともに、ユーザ名「SATO」について、ID印刷機能をオフにする許可を与え且つ暗号化印刷機能を行う許可を与える設定とした例を示している。
そして、権限設定部13''は、ステップS112において、先に図19(B)に示したように、ユーザ名と権限内容とを対応付けた権限情報を記憶部16に記憶させ、管理者による一連の初期設定処理を終了する。その後、権限情報が設定登録されたクライアントコンピュータ10''は、ユーザに配布され、使用可能状態となる。
一方、クライアントコンピュータ10''が配布されたユーザは、図22に示すように、ステップS121において、設定情報入力部14''を介して、自己のユーザ名(ユーザID)やパスワードの登録を行う。
続いて、設定情報入力部14''は、ステップS122において、記憶部16に記憶されている権限情報を参照し、ステップS121にて入力されたユーザ名に対応するユーザがID印刷機能の利用権限を有するユーザであるか否かを判定する。
設定情報入力部14''は、ID印刷機能の利用権限を有するユーザである場合には、先に図20(A)に示したように、ID印刷を行うか否かの種別を入力する項目を入力可能に表示してステップS123へと処理を移行する。そして、ユーザは、ステップS123において、ID印刷を行うか否かの種別、すなわち、ID印刷機能をオフした状熊で印刷させるか否かを設定する。
一方、設定情報入力部14''は、ID印刷機能の利用権限を有するユーザでない場合には、先に図20(A)に示したように、ID印刷を行うか否かの種別を入力する項目を非表示としてステップS124へと処理を移行する。そして、設定情報入力部14''は、ステップS124において、記憶部16に記憶されている権限情報を参照し、ステップS121にて入力されたユーザ名に対応するユーザが暗号化印刷機能の利用権限を有するユーザであるか否かを判定する。
設定情報入力部14''は、暗号化印刷機能の利用権限を有するユーザである場合には、先に図20(A)に示したように、暗号化印刷を行うか否かの種別を入力する項目を入力可能に表示してステップS125へと処理を移行する。そして、ユーザは、ステップS125において、暗号化印刷を行うか否かの種別を設定する。
一方、設定情報入力部14''は、暗号化印刷機能の利用権限を有するユーザでない場合には、先に図20(A)に示したように、暗号化印刷を行うか否かの種別を入力する項目を非表示としてステップS126へと処理を移行する。
そして、設定情報入力部14''は、ステップS126において、先に図20(B)に示したように、クライアントコンピュータ10''にログインしているユーザのユーザ名とパスワードとID印刷機能及び暗号化印刷機能の利用種別とを対応付けた設定情報を記憶部16に記憶させ、ユーザによる一連の初期設定処理を終了する。
なお、この図22に示した一連の処理も、図6に示した一連の処理と同様に、ユーザがクライアントコンピュータ10''を起動していればいつでも実行可能であるが、例えばユーザがログインした後に、当該ユーザについての設定情報が未登録であった場合に、自動的に実行されるのが望ましい。
印刷システムにおいては、このような初期設定を行うと、クライアントコンピュータ10''によって印刷データを作成可能となる。
すなわち、クライアントコンピュータ10''は、図23に示すように、ステップS131において、アプリケーションプログラム11から印刷指示が出されると、ステップS132において、プリンタドライバ12により、アプリケーシヨンデータをプリンタ20''が識別可能な言語に翻訳し、ステップS133において、作成した印刷データを記憶部16に一時的に記憶させる。
続いて、付加情報挿入部15は、ステップS134において、先に図20(B)に示したような設定情報が記憶部16に記憶されているか否かを判定する。ここで、付加情報挿入部15は、記憶部16に設定情報が記憶されていない場合には、ステップS135において、記憶部16に記憶されている印刷データに対して何も処理を施さずに、そのまま通信部17を介してプリンタ20''に対して送信し、一連の処理を終了する。
一方、付加情報挿入部15は、記憶部16に設定情報が記憶されている場合には、必要に応じて印刷データに付加情報を挿入し、加工した印刷データを、通信部17を介してプリンタ20''に対して送信する。印刷データの加工は次のように行う。
まず、付加情報挿入部15は、記憶部16に設定情報が記憶されている場合には、ステップS136において、先に図20(B)に示したように、ID印刷機能をオフにする許可が与えられているか否かの権限に依存した設定情報が記憶部16に記憶されているか否かを判定する。
ここで、付加情報挿入部15は、権限に依存した設定情報が記憶部16に記憶されていない場合には、ステップS137において、記憶部16に記憶されている設定情報からログインしたユーザに対応する情報を読み出し、ステップS142へと処理を移行する。一方、付加情報挿入部15は、権限に依存する設定情報が記憶部16に記憶されている場合には、ステップS138において、記憶部16から、ユーザ名に対応する設定情報を読み出す。そして、付加情報挿入部15は、ステップS139において、設定情報入力部14''を介して予めID印刷機能のオフ指定がされているか否かを判定し、オフ指定されていない場合には、ステップS141へと処理を移行する一方で、オフ指定されている場合には、ステップS140において、ID印刷機能をオフした状態に設定する。
そして、付加情報挿入部15は、ステップS141において、印刷するドキュメント名や印刷日付等、ユーザ名のように記憶部16には記憶されていない情報をシステムから読み出し、ステップS142において、接続されているプリンタ20''の機種に応じて、記憶部16やシステムから読み出した情報を当該プリンタ20''が識別可能な形式に変換し、変換した結果を、付加情報として印刷データにおける所定位置に挿入する。これにより、印刷データには、ID印刷のオン又はオフ設定、ユーザ名、パスワード、ドキュメント名、及び印刷日時等の情報が付加情報として挿入される。
続いて、付加情報挿入部15は、ステップS143において、設定情報入力部14''を介して予め暗号化印刷機能の指定がされているか否かを判定し、暗号化印刷機能の指定がされていない場合には、ステップS145へと処理を移行し、付加情報を挿入した印刷データを通信部17に供給する。一方、付加情報挿入部15は、暗号化印刷機能の指定がされている場合には、付加情報を挿入した印刷データを暗号変換部41に供給し、暗号変換部41は、ステップS144において、印刷データを暗号化し、ステップS145において、暗号化した印刷データを通信部17に供給する。これに応じて、通信部17は、プリンタ20''に接続された形態にしたがって、印刷データをプリンタ20''に対して送信し、一連の処理を終了する。
印刷システムにおいては、このような一連の処理を行うことにより、クライアントコンピュータ10''によって付加情報が挿入され且つ必要に応じて暗号化された印刷データを作成することができる。
一方、プリンタ20''は、クライアントコンピュータ10''によって作成された印刷データに基づいて、図24に示すような一連の処理を行う。
まず、プリンタ20''は、図24に示すように、ステップS151において、通信部22によって印刷データを受信すると、その印刷データを制御部21に供給する。制御部21は、ステップS152において、受信した印刷データにパスワードが含まれているか否かを判定する。
ここで、制御部21は、印刷データにパスワードが含まれていない場合には、ステップS156へと処理を移行する一方で、印刷データにパスワードが含まれている場合には、ステップS153において、印刷データを記憶部25に一時的に記憶させ、ステップS154において、入力部24を介してユーザによってパスワードが入力されるまで待機する。
続いて、制御部21は、パスワード入力を確認すると、ステップS155において、そのパスワードの内容を判定する。制御部21は、判定したパスワードが、設定情報入力部14''を介して入力されたパスワードと一致しない場合には、何も処理を行わずに再度パスワードが入力されるまで待機する。
そして、制御部21は、パスワードが一致した場合には、ステップS156へと処理を移行し、暗号化印刷機能の指定がされている印刷データであるか否かを判定する。制御部21は、暗号化印刷機能の指定がされていない場合には、ステップS158へと処理を移行し、印刷部23を制御して書式にしたがって印刷イメージを生成し、印刷を実行させる。一方、制御部21は、暗号化印刷機能の指定がされている場合には、ステップS157において、復号部42を制御して印刷データを復号させる。そして、制御部21は、ステップS158において、印刷部23を制御して書式にしたがって印刷イメージを生成し、印刷を実行させ、一連の処理を終了する。このとき、制御部21は、印刷データに含まれるID印刷のオン又はオフ設定がオンの場合には、印刷データに挿入されたユーザ名を含む付加情報を、印刷出力するデータ対象とする。
プリンタ20''は、このような一連の処理を行うことにより、印刷データが暗号化されている場合には適切に復号した上で、印刷物を作製することができる。
以上説明したように、本発明の第3の実施の形態として示す印刷システムにおいては、クライアントコンピュータ10''によって所定の暗号化を施した印刷データを作成し、暗号化された印刷データをプリンタ20''によって復号することにより、印刷データの通信におけるセキュリティ性を高めることができ、情報漏洩を防止することができる。
最後に、第4の実施の形態として示す印刷システムについて説明する。
この第4の実施の形態として示す印刷システムは、第3の実施の形態として示した印刷システムと同様にネットワーク上のデータに対するセキュリティ性を高めることを目的として第1の実施の形態として示した印刷システムを改良し、印刷データをPDF(Portable Document Format)形式のデータに変換するようにしたものである。したがって、この第4の実施の形態の説明においては、第1の実施の形態の説明と同様の構成については同一符号を付し、その詳細な説明を省略するものとする。
第4の実施の形態として示す印刷システムは、図25に示すように、画像処理装置としてのクライアントコンピュータ10'''と、このクライアントコンピュータ10'''によって作成された印刷データに基づく印刷を行うプリンタ20'''とを備える。
クライアントコンピュータ10'''は、上述したアプリケーションプログラム11と、プリンタドライバ12と、付加情報挿入部15と、記憶部16と、通信部17との他に、プリンタ20'''のユーザ毎の権限を設定登録する権限設定部13'''と、可変データの入力やPDF印刷機能のオン又はオフ設定を行うための設定情報入力部14'''と、印刷デー夕をPDF形式のデータに変換するPDF変換部51と、プリンタ20'''に記憶されているPDF形式の印刷データを取得するPDF取得部52とを有する。すなわち、クライアントコンピュータ10'''は、クライアントコンピュータ10における権限設定部13及び設定情報入力部14に代えて、権限設定部13'''及び設定情報入力部14'''を有するとともに、新たにPDF変換部51及びPDF取得部52を追加した構成とされる。
なお、クライアントコンピュータ10'''は、クライアントコンピュータ10と同様に、OSとしてUNIX(登録商標)が採用されている。すなわち、クライアントコンピュータ10'''は、図26(A)に示すように、プリンタドライバ12によって作成された印刷データを入出力ポート18'''を介してプリンタ20'''に対して出力するUNIX(登録商標)ベースの印刷システムに適用されるものである。クライアントコンピュータ10'''においては、本発明を実現するための所定のソフトウェアをインストールすることにより、図26(B)に示すように、権限設定部13'''、設定情報入力部14'''、付加情報挿入部15、PDF変換部51、及びPDF取得部52の機能が追加され、当該機能が使用可能となる。
権限設定部13'''は、権限設定部13と同様に、印刷システムの管理者がキーボードやマウス等を用いて任意の文字列を入力して使用するアプリケーションプログラムであり、プリンタ20'''のユーザ毎の権限を設定登録する。具体的には、管理者は、印刷システムの使用に先立って、クライアントコンピュータ10'''を操作して権限設定部13'''を起動させ、例えば図27(A)に示すような権限設定登録画面をクライアントコンピュータ10'''の所定の表示部に表示させ、この権限設定登録画面を介して、ユーザ名毎にID印刷機能やPDF印刷機能の許否を権限として設定登録する。権限設定部13'''は、管理者によって設定登録された内容を、例えば図27(B)に示すように、ユーザ名と権限内容とを対応付けた権限情報として記憶部16に記憶させる。なお、この権限設定部13'''を介して設定登録された内容は、設定情報入力部14'''の表示内容に影響し、ID印刷機能及びPDF印刷機能の利用ができないユーザについては、ID印刷及びPDF印刷を行うための設定入力が不可となる。
設定情報入力部14'''は、設定情報入力部14と同様に、プリンタ20'''を利用する一般ユーザがキーボードやマウス等を用いて任意の文字列を入力して使用するアプリケーションプログラムであり、プリンタドライバ12によって提供されるGUIによっては入力することができないパスワード等の可変データの入力やPDF印刷機能のオン又はオフ設定を行うために設けられる。具体的には、ユーザは、クライアントコンピュータ10'''を操作して設定情報入力部14'''を起動させ、例えば図28(A)に示すような設定情報入力画面をクライアントコンピュータ10'''の所定の表示部に表示させ、この設定情報入力画面を介して、自己のユーザ名とパスワードとともに、ID印刷及びPDF印刷を行うか否かの種別を入力する。なお、設定情報入力部14'''は、上述したように、ID印刷機能及びPDF印刷機能の利用ができないユーザとして権限設定部13'''を介して設定登録されているユーザについては、ID印刷機能及びPDF印刷機能の利用種別の入力ができないように表示制御する。設定情報入力部14'''は、ユーザによって入力された内容を、例えば図28(B)に示すように、ユーザ名とパスワードとID印刷機能及びPDF印刷機能の利用種別とを対応付けた設定情報として記憶部16に記憶させる。
PDF変換部51は、PDF印刷機能がオンである場合に、付加情報挿入部15から供給された印刷データをPDF形式のデータに変換する。PDF変換部51は、PDF形式に変換した印刷データを通信部17に供給する。
PDF取得部52は、プリンタ20'''における記憶部25に記憶されているPDF形式の印刷データを当該クライアントコンピュータ10'''上に取得する。具体的には、ユーザは、クライアントコンピュータ10'''を操作してPDF取得部52を起動させ、例えば図29に示すような問い合わせ画面をクライアントコンピュータ10'''の所定の表示部に表示させ、この問い合わせ画面を介して、自己のユーザ名とパスワードを入力し、所定の取得ボタンを押下する。これに応じて、PDF取得部52は、当該ユーザ名のもとにプリンタ20'''に対して送信したPDF形式の印刷データがあるか否かを、通信部17を介してプリンタ20'''に対して問い合わせ、その結果として印刷データの一覧データを取得する。そして、PDF取得部52は、取得した一覧データを問い合わせ画面上に表示させる。ユーザは、問い合わせ画面に表示された一覧データの中から取得したいファイル名を指定し、取得ボタンを押下することにより、当該ファイル名の印刷データをプリンタ20'''から取得し、クライアントコンピュータ10'''上にコピーすることができる。
このようなクライアントコンピュータ10'''は、アプリケーションプログラム11から印刷指示が出されると、プリンタドライバ12によってアプリケーションデータを印刷データに変換し、記憶部16に一時的に記憶させる。そして、クライアントコンピュータ10'''は、通信部17を介して、記憶部16に記憶されている印刷データをプリンタ20'''に対して送信する。これは、一般的なUNIX(登録商標)環境における印刷動作である。このとき、クライアントコンピュータ10'''は、記憶部16に一時的に記憶されたプリンタドライバ12の出力を付加情報挿入部15によって加工するとともに、PDF変換部51によって必要に応じてPDF形式のデータに変換した後に、通信部17に供給する。
一方、クライアントコンピュータ10'''によって作成された印刷データに基づく印刷を行うプリンタ20'''は、図25に示すように、上述した制御部21と、通信部22と、印刷部23と、入力部24と、記憶部25との他に、PDF形式の印刷データの描画を行うPDF描画部53を有する。すなわち、プリンタ20'''は、プリンタ20に対して新たにPDF描画部53を追加した構成とされる。
PDF描画部53は、クライアントコンピュータ10'''から送信されて記憶部25に記憶された印刷データのうち、PDF形式の印刷データを当該プリンタ20'''が印刷可能な形式のデータに変換して描画する。PDF描画部53は、描画した印刷データを記憶部25に一時的に記憶させる。
このようなプリンタ20'''は、クライアントコンピュータ10'''によって作成された印刷データに基づく印刷を行う際に、当該印刷データにパスワードが含まれている場合には、入力部24を介して入力されたパスワードと一致した場合にのみ、制御部21の制御のもとに印刷を行う。また、プリンタ20'''は、印刷データがPDF形式のデータである場合には、PDF描画部53によって描画し、印刷可能なデータを再現する。
さて、このようなクライアントコンピュータ10'''及びプリンタ20'''を備える印刷システムにおいては、初期設定として以下の処理を行う。この初期設定は、クライアントコンピュータ10'''をユーザに配布する前に、管理者がクライアントコンピュータ10'''を起動することによって行われる。
まず、管理者は、図30に示すように、ステップS161において、権限設定部13'''を介して、ユーザ名毎に権限情報を登録する。具体的には、管理者は、先に図27(A)に示したような権限設定登録画面を介して、ユーザ名毎にID印刷機能及びPDF印刷機能の許否を権限として設定登録する。すなわち、権限設定部13'''を介して設定登録される権限は、ID印刷機能をオフにすることができる権限をユーザに与えるか否かという情報と、PDF印刷を行うことができる権限をユーザに与えるか否かという情報である。なお、図27(A)には、ユーザ名「YAMADA」について、ID印刷機能をオフにする許可を与えず且つPDF印刷機能を行う許可を与えない設定とするとともに、ユーザ名「SATO」について、ID印刷機能をオフにする許可を与え且つPDF印刷機能を行う許可を与える設定とした例を示している。
そして、権限設定部13'''は、ステップS162において、先に図27(B)に示したように、ユーザ名と権限内容とを対応付けた権限情報を記憶部16に記憶させ、管理者による一連の初期設定処理を終了する。その後、権限情報が設定登録されたクライアントコンピュータ10'''は、ユーザに配布され、使用可能状態となる。
一方、クライアントコンピュータ10'''が配布されたユーザは、図31に示すように、ステップS171において、設定情報入力部14'''を介して、自己のユーザ名(ユーザID)やパスワードの登録を行う。
続いて、設定情報入力部14'''は、ステップS172において、記憶部16に記憶されている権限情報を参照し、ステップS171にて入力されたユーザ名に対応するユーザがID印刷機能の利用権限を有するユーザであるか否かを判定する。
設定情報入力部14'''は、ID印刷機能の利用権限を有するユーザである場合には、先に図28(A)に示したように、ID印刷を行うか否かの種別を入力する項目を入力可能に表示してステップS173へと処理を移行する。そして、ユーザは、ステップS173において、ID印刷を行うか否かの種別、すなわち、ID印刷機能をオフした状熊で印刷させるか否かを設定する。
一方、設定情報入力部14'''は、ID印刷機能の利用権限を有するユーザでない場合には、先に図28(A)に示したように、ID印刷を行うか否かの種別を入力する項目を非表示としてステップS174へと処理を移行する。そして、設定情報入力部14'''は、ステップS174において、記憶部16に記憶されている権限情報を参照し、ステップS171にて入力されたユーザ名に対応するユーザがPDF印刷機能の利用権限を有するユーザであるか否かを判定する。
設定情報入力部14'''は、PDF印刷機能の利用権限を有するユーザである場合には、先に図28(A)に示したように、PDF印刷を行うか否かの種別を入力する項目を入力可能に表示してステップS175へと処理を移行する。そして、ユーザは、ステップS175において、PDF印刷を行うか否かの種別を設定する。
一方、設定情報入力部14'''は、PDF印刷機能の利用権限を有するユーザでない場合には、先に図28(A)に示したように、PDF印刷を行うか否かの種別を入力する項目を非表示としてステップS176へと処理を移行する。
そして、設定情報入力部14'''は、ステップS176において、先に図28(B)に示したように、クライアントコンピュータ10'''にログインしているユーザのユーザ名とパスワードとID印刷機能及びPDF印刷機能の利用種別とを対応付けた設定情報を記憶部16に記憶させ、ユーザによる一連の初期設定処理を終了する。
なお、この図31に示した一連の処理も、図6に示した一連の処理と同様に、ユーザがクライアントコンピュータ10'''を起動していればいつでも実行可能であるが、例えばユーザがログインした後に、当該ユーザについての設定情報が未登録であった場合に、自動的に実行されるのが望ましい。
印刷システムにおいては、このような初期設定を行うと、クライアントコンピュータ10'''によって印刷データを作成可能となる。
すなわち、クライアントコンピュータ10'''は、図32に示すように、ステップS181において、アプリケーションプログラム11から印刷指示が出されると、ステップS182において、プリンタドライバ12により、アプリケーシヨンデータをプリンタ20'''が識別可能な言語に翻訳し、ステップS183において、作成した印刷データを記憶部16に一時的に記憶させる。
続いて、付加情報挿入部15は、ステップS184において、先に図28(B)に示したような設定情報が記憶部16に記憶されているか否かを判定する。ここで、付加情報挿入部15は、記憶部16に設定情報が記憶されていない場合には、ステップS185において、記憶部16に記憶されている印刷データに対して何も処理を施さずに、そのまま通信部17を介してプリンタ20'''に対して送信し、一連の処理を終了する。
一方、付加情報挿入部15は、記憶部16に設定情報が記憶されている場合には、必要に応じて印刷データに付加情報を挿入し、加工した印刷データを、通信部17を介してプリンタ20'''に対して送信する。印刷データの加工は次のように行う。
まず、付加情報挿入部15は、記憶部16に設定情報が記憶されている場合には、ステップS186において、先に図28(B)に示したように、ID印刷機能をオフにする許可が与えられているか否かの権限に依存した設定情報が記憶部16に記憶されているか否かを判定する。
ここで、付加情報挿入部15は、権限に依存した設定情報が記憶部16に記憶されていない場合には、ステップS187において、記憶部16に記憶されている設定情報からログインしたユーザに対応する情報を読み出し、ステップS192へと処理を移行する。一方、付加情報挿入部15は、権限に依存する設定情報が記憶部16に記憶されている場合には、ステップS188において、記憶部16から、ユーザ名に対応する設定情報を読み出す。そして、付加情報挿入部15は、ステップS189において、設定情報入力部14'''を介して予めID印刷機能のオフ指定がされているか否かを判定し、オフ指定されていない場合には、ステップS191へと処理を移行する一方で、オフ指定されている場合には、ステップS190において、ID印刷機能をオフした状態に設定する。
そして、付加情報挿入部15は、ステップS191において、印刷するドキュメント名や印刷日付等、ユーザ名のように記憶部16には記憶されていない情報をシステムから読み出し、ステップS192において、接続されているプリンタ20'''の機種に応じて、記憶部16やシステムから読み出した情報を当該プリンタ20'''が識別可能な形式に変換し、変換した結果を、付加情報として印刷データにおける所定位置に挿入する。これにより、印刷データには、ID印刷のオン又はオフ設定、ユーザ名、パスワード、ドキュメント名、及び印刷日時等の情報が付加情報として挿入される。
続いて、付加情報挿入部15は、ステップS193において、設定情報入力部14'''を介して予めPDF印刷機能の指定がされているか否かを判定し、PDF印刷機能の指定がされていない場合には、ステップS195へと処理を移行し、付加情報を挿入した印刷データを通信部17に供給する。一方、付加情報挿入部15は、PDF印刷機能の指定がされている場合には、付加情報を挿入した印刷データをPDF変換部51に供給し、PDF変換部51は、ステップS194において、印刷データをPDF形式のデータに変換する。このとき、PDF変換部51は、付加情報についても予め設定された内容にしたがってPDF形式のデータに挿入する。
そして、PDF変換部51は、ステップS195において、PDF形式に変換した印刷データを通信部17に供給する。これに応じて、通信部17は、プリンタ20'''に接続された形態にしたがって、印刷データをプリンタ20'''に対して送信し、一連の処理を終了する。
印刷システムにおいては、このような一連の処理を行うことにより、クライアントコンピュータ10'''によって付加情報が挿入され且つ必要に応じてPDF形式に変換された印刷データを作成することができる。
一方、プリンタ20'''は、クライアントコンピュータ10'''によって作成された印刷データに基づいて、図33に示すような一連の処理を行う。
まず、プリンタ20'''は、図33に示すように、ステップS201において、通信部22によって印刷データを受信すると、その印刷データを制御部21に供給する。制御部21は、ステップS202において、受信した印刷データがPDF形式のデータであるか否かを判定する。
ここで、制御部21は、PDF形式の印刷データでないものと判定した場合には、ステップS204へと処理を移行する一方で、PDF形式の印刷データであるものと判定した場合には、ステップS203において、ユーザ名とともに印刷データを記憶部25に一時的に記憶させる。
続いて、制御部21は、ステップS204において、印刷データにパスワードが含まれているか否かを判定する。ここで、制御部21は、印刷データにパスワードが含まれていない場合には、ステップS208へと処理を移行する一方で、印刷データにパスワードが含まれている場合には、ステップS205において、印刷データを記憶部25に一時的に記憶させ、ステップS206において、入力部24を介してユーザによってパスワードが入力されるまで待機する。
続いて、制御部21は、パスワード入力を確認すると、ステップS207において、そのパスワードの内容を判定する。制御部21は、判定したパスワードが、設定情報入力部14'''を介して入力されたパスワードと一致しない場合には、何も処理を行わずに再度パスワードが入力されるまで待機する。
そして、制御部21は、パスワードが一致した場合には、ステップS208へと処理を移行し、PDF印刷機能の指定がされている印刷データであるか否かを判定する。制御部21は、PDF印刷機能の指定がされていない場合には、ステップS210へと処理を移行し、印刷部23を制御して書式にしたがって印刷イメージを生成し、印刷を実行させる。一方、制御部21は、PDF印刷機能の指定がされている場合には、ステップS209において、PDF描画部53を制御してPDF形式のデータを当該プリンタ20'''が印刷可能な形式の印刷データに変換させる。そして、制御部21は、ステップS210において、印刷部23を制御して書式にしたがって印刷イメージを生成し、印刷を実行させ、一連の処理を終了する。このとき、制御部21は、印刷データに含まれるID印刷のオン又はオフ設定がオンの場合には、印刷データに挿入されたユーザ名を含む付加情報を、印刷出力するデータ対象とする。
プリンタ20'''は、このような一連の処理を行うことにより、印刷データがPDF形式のデータである場合には、当該プリンタ20'''が印刷可能な形式のデータに適切に変換した上で、印刷物を作製することができる。
つぎに、プリンタ20'''に記憶されているPDF形式の印刷データをクライアントコンピュータ10'''上に読み出す処理について説明する。
この場合、クライアントコンピュータ10'''におけるPDF取得部52は、図34に示すように、ステップS211において、先に図29に示したような問い合わせ画面を介してユーザ名やパスワードが入力されるのに応じて、プリンタ20'''における記憶部25にPDF形式の印刷データが記憶されているか否かを問い合わせる。
これに応じて、プリンタ20'''における制御部21は、ステップS212において、PDF形式の印刷データが記憶部25に記憶されているか否かを確認する。
ここで、制御部21は、記憶部25にPDF形式の印刷データが記憶されていない場合には、そのまま一連の処理を終了する。一方、制御部21は、記憶部25にPDF形式の印刷データが記憶されている場合には、ステップS213において、問い合わせがあったユーザ名に一致するユーザ名の印刷データが存在するか否かを確認する。制御部21は、かかる印刷データが存在しない場合には、そのまま一連の処理を終了する一方で、かかる印刷データが存在する場合には、ステップS214において、存在する印刷データのファイル名の一覧データを、通信部22を介してクライアントコンピュータ10'''に対して送信する。
そして、クライアントコンピュータ10'''におけるPDF取得部52は、ステップS215において、取得した一覧データを問い合わせ画面上に表示させる。PDF取得部52は、ステップS216において、問い合わせ画面を介してユーザが所望のファイル名を指定するのに応じて、当該ファイル名の情報をプリンタ20'''に対して送信し、当該ファイル名の印刷データを取得することができる。
印刷システムにおいては、このような一連の処理を行うことにより、プリンタ20'''に既に送信して記憶部25に記憶されているPDF形式の印刷データを、クライアントコンピュータ10'''上に取得することができる。
以上説明したように、本発明の第4の実施の形態として示す印刷システムにおいては、クライアントコンピュータ10'''によってPDF形式のデータに変換した印刷データを作成し、その印刷データに基づいてプリンタ20'''によって印刷することにより、印刷データの通信におけるセキュリティ性を高めることができ、情報漏洩を防止することができる。
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではない。
例えば、上述した第3の実施の形態及び第4の実施の形態では、クライアントコンピュータとプリンタとを直接接続している場合について説明したが、本発明は、第2の実施の形態のようにプリントサーバを設けた場合において、第3の実施の形態又は第4の実施の形態を適用した場合にも適用することができる。
また、上述した実施の形態では、印刷物を作製する装置がプリンタであるものとして説明したが、本発明は、複写装置、ファクシミリ装置、及びMFP(Multifunction Peripheral)等にも適用することができる。
このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能であることはいうまでもない。