JP5531065B2 - エピタキシャル膜形成用配向基板 - Google Patents

エピタキシャル膜形成用配向基板 Download PDF

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Description

本発明は、エピタキシャル膜形成用の配向基板において、その薄膜形成面に適用される配向基板に関する。詳しくは、配向性、平滑度が更に改善された配向基板に関する。
近年、エピタキシャル結晶組織が有する特異的な性質に着目した材料が様々な分野で用いられている。その代表的なものとして、各種電力機器に適用される超電導導体、超電導シールド等を構成する酸化物超電導材料がある。このエピタキシャル結晶組織を有する材料は、一般に加工性に乏しく、また、バルク材を製造するとコスト面で不利となることがあるため、通常、その薄膜を所定の基板上に形成して利用されることが多い。
エピタキシャル膜形成用の基板は、配向組織を有するエピタキシャル結晶を成長させるため、その表面についても配向組織を有することが必要である。このような基板としては、銅、銀、ニッケル、又はこれらの合金等からなり、2軸配向された{100}<001>立方体集合組織を有する配向化金属層を備える配向基板が用いられている(例えば、非特許文献1、2、及び、特許文献1、2)。これら配向基板は、配向化された銅等の金属板(配向化金属層)に、基板としての取り扱い性を確保するための補強材として、ステンレス等の金属基材を接合したものである。
"Biaxially textured copper and copper-iron alloy substrates for usein YBa[2]Cu[3]O[7][-][x]" (Superconductor science and technology ISSN0953-2048,2006,vol.19,pp.85-95) "Control of texture in Ag and Ag-alloy substrates for superconductingtapes" by TA Gladstone, JC Moore, B M Henry, S Speller, C J Salter, A J Wilkinson and C RM Grovenor, Department of Materials, University of Oxford, Supecond.Sci.Techno. 13(2000) 1399-1407, printed in the UK
特表2001−518564号公報 特表2006−513553号公報
配向基板の品質は、配向化金属層の配向度(Δφ、Δω)により評価されることが多い。配向度とは、配向化金属層を構成する金属の所定の結晶面及びその結晶軸の、基板に対するずれ角を意味するものである。これらの配向度は、配向基板のX線回折分析において、φスキャン及びωスキャンを行い、その半値幅(FWHM)を測定することにより求められる。
また、上記配向基板において、配向化金属層は、銅等の板材(箔材)を、冷間加工又は熱間加工し、熱処理して再結晶させることで形成するのが一般的である。そして、以上のような加工・熱処理により、配向化金属層のΔφを改善することが可能であり、構成金属の種類によって異なるが、比較的配向化が容易である銅のΔφは5°程度であり、ニッケルや銀のΔφは6°、9°程度までにすることが可能である。
しかしながら、配向度Δφの改善は、その加工条件、熱処理条件を調整しても上記の値にするのが限界であり、これ以上の改善は困難であるとされていた。また、Δφは調整可能であるが、Δωについては加工条件、熱処理条件を如何に調整しても改善することが困難であるとされてきた。
配向化金属層の配向度Δφ、Δωは、いずれも、その上に形成されるエピタキシャル薄膜の配向性に影響を与え、ひいてはエピタキシャル薄膜の特性を左右するものである。そして、これらをわずかでも改善することは、超電導材料等のエピタキシャル成長材料の実用化を促進するものである。
そこで、本発明はエピタキシャル薄膜成長用の配向基板において、表面の配向度がより改善されたもの、及び、配向基板の配向度の改善法を提示することを目的とする。そして、従来以上に特性に優れたエピタキシャル薄膜を製造することができる配向基板を提供する。
上記課題を解決する本発明は、配向化された銅からなる配向化金属層に補強材である金属基材をクラッドしてなるエピタキシャル膜形成用配向基板において、前記配向化金属層は、配向度Δφ、Δωがいずれも5〜9°である配向性を有する金属であり、前記配向化金属層の表面上に、ニッケルめっき膜からなり100〜5000nmの厚さの配向性改善層を備え、前記配向化金属層表面における配向度(Δφ及びΔω)と、前記配向性改善層表面における配向度(Δφ及びΔω)との差が、いずれも0.1〜3.0°であることを特徴とするエピタキシャル膜形成用配向基板である。
本発明者らは、配向化金属層を有する基板上に、一定膜厚以下の金属薄膜を形成したとき、その表面における配向度が下地である配向化金属層よりも配向度が改善される現象を見出した。そして、基板の配向化金属層自体の配向度を向上させることは困難であっても、この現象を利用して金属薄膜を配向性改善層として形成することで、基板表面の配向度を向上させるのが本願発明の要旨である。以下、本発明につき詳細に説明する。
本発明は、その前提として、配向化された銅からなる配向化金属層を備える配向基板に適用される。この配向化金属層を構成する金属は、結晶組織の配向化が可能なものであれば特に限定されるものではない。また、その結晶方位は、面心立方構造である銅においては、{100}<001>立方体集合組織である。そして、配向化金属層の配向度Δφ、Δωは、いずれもできるだけ小さい値であることが好ましいことから、5〜9°である。配向性改善層は、配向化金属層の配向度を基準としてこれを改善するものだからである。
そして、本発明においては、配向性改善層の膜厚は、100〜5000nmである。これ以上の膜厚とした場合、配向性改善層の成膜方法に依存する優先方位で成長するため、その目的が達成されない。そして、配向化改善層の膜厚は、100〜3000nmとするのがより好ましい。この範囲のものが最も配向度の改善効果が高いからである。
配向性改善層である金属薄膜の構成としては、その下地となる配向化金属層と同一の結晶構造を有する金属からなるものが好ましい。後述の通り、配向性改善層は、エピタキシャル成長により形成されるものであるが、配向化金属層と同一の結晶方位を維持しつつ配向性を改善するためには、これと同じ結晶構造であることが好ましい。従って、配向化金属層が銅等の面心立方構造の金属からなる場合、同じく面心立方構造の金属の薄膜を形成することが好ましい。より好ましくは、配向性改善層を構成する金属は、結晶構造の同一性に加えて、更に、格子定数の相違が20%以下であるものが好ましい。
そして、上記結晶構造、格子定数に関する条件から、配向性改善層を構成する金属はニッケルである。配向度改善効果の観点から特に好ましいからである。そして、以上で説明した配向性改善層は、後述するようにエピタキシャル成長による方法であるめっきで形成されるものが好ましい。配向基板の配向性を維持するためである。
以上説明した配向性改善層を備える配向基板は、その表面における配向度が配向化金属層よりも0.1〜3.0°の範囲で向上する。この配向度の改善幅については、Δφ及びΔωの双方が0.1〜3.0°低下するものである。
ところで、本発明者等によれば、エピタキシャル成長により形成した配向性改善層は、その表面にサブミクロンオーダーの極めて細かな凹凸が生じる場合がある。これは、その成長機構によるものと考えられる。即ち、エピタキシャル成長では金属結晶が一定の成長方位を指向しつつ、下地に対してcube on cubeの関係で積層するため、最表面においてその成長面と成長方位に応じた凹凸が生じることによる。この凹凸は、極めて細かなものであるが、その上に超電導材料等をエピタキシャル成長させる場合において、微小なひずみを生じさせ、その特性に影響を及ぼすおそれがある。
そこで、配向性改善層上に、より高品質のエピタキシャル膜を形成するためには、上記のような細かな凹凸さえも存在しない配向性改善層を有する基板の適用が好ましい。具体的には、その表面粗さが20nm以下のものが好ましい。これにより配向性改善層上に、より高品質のエピタキシャル膜を形成することを可能とする。尚、本発明での表面粗さとは、算術平均粗さ(Ra)を示す。また、表面粗さの好ましい下限値は0.1nmである。
そして、本発明に係る配向基板の配向性改善層は、その表面に配向性改善層を構成する金属と異なる他の金属を含むものであり、その量として膜厚相当で30nm以下である。この他の金属は、後述するように配向性改善層表面を平滑化するために付加された金属由来ものである。また、その存在量として膜厚相当で30nm以下とする。「膜厚相当」とは、配向性改善層の表面積と、他の金属の存在量(重量)及び密度より算出されるものである。このような表現を用いるのは、他の金属は、その存在量が極めて少ないものであるため、完全な均一層を形成して配向性改善層を被覆するとは限らず、配向性改善層表面上に点在することがあるからである。この配向性改善層に付加される他の金属としては、白金、金、銀、パラジウム、ロジウム、イリジウム等の貴金属が好ましい。
また、配向性改善層に他の金属を付加する処理を行って、平滑性の改善がなされた基板は、その配向性改善層が、配向化金属層を構成する金属元素を含んだ合金となる。これは、後述のように平滑性改善の処理は、他の金属を付加した後に熱処理を行うものであり、この熱処理により配向化金属層を構成する金属元素が配向性改善層に拡散するためである。例えば、配向化金属層である銅上に配向性改善層としてニッケルを形成し、これにパラジウム等を付加して熱処理した場合、配向性改善層は銅を含むニッケル−銅合金となる。但し、このような合金化が生じても、基板表面の配向性、平滑性には影響は生じない。
尚、本発明に係るエピタキシャル膜成長用の配向基板は、上記した従来技術のように、強度確保のための基材をクラッドしたものである。この場合、配向基板に用いる基材は、ステンレス、ニッケル合金(ハステロイ合金、インコネル合金、インコロイ合金、モネル合金等)のいずれかよりなるものが好ましい。また、配向基板の厚さ、形状については特に限定はなく、板状、箔状、テープ状等、用途に応じた形状が適用できる。クラッド材を用いる場合、その両面に配向化金属層が接合されていても良い。
そして、本発明に係るエピタキシャル膜形成用配向基板の製造方法、即ち、配向化金属層の配向性を改善する表面改質方法は、配向基板の配向化金属層の表面に100〜5000nmの厚さの金属薄膜をエピタキシャル成長させるものである。
配向度改善のための金属薄膜をエピタキシャル成長させる方法としては、特に限定されるものではなく、PLD(パルスレーザー蒸着法)、CVD(化学気相蒸着法)、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、イオンビーム蒸着法、スピンコーティング法、MBE(分子線エピタキシー法)、めっき法等の各種の薄膜製造プロセスが挙げられる。本発明では、金属薄膜の形成方法はめっきによるものである。
一方、配向性改善層の表面の平滑化の方法としては、その表面についてナノオーダーレベルの研磨を行っても良い。この研磨は機械的なものの他、化学的研磨、或いは両者が複合した研磨であっても良い。但し、研磨による平滑化は可能ではあるが、その場合、数μmオーダーで配向性改善層が削り落とされることとなり、配向性改善層の性能を発揮するための膜厚を制御しつつ研磨することは困難である。そこで、本発明者等は、研磨によらずに配向性改善層表面を平滑化する方法を見出した。
この配向性改善層表面の平滑化法は、配向性改善層形成後、その表面に、配向性改善層を構成する金属と異なる他の金属を、膜厚相当で30nm以下付加し、その後、熱処理を行うものである。
このように金属配向性改善層表面に、異なる金属を微量付加し、更に熱処理を行うことで配向性改善層表面の平滑性が向上する理由については必ずしも明らかではない。本発明者等の考察では、エピタキシャル成長で形成された凹凸のある配向性改善層表面は、表面エネルギーが高いため、本来、熱処理により平滑となって安定化しようとする傾向にある。そして、この過程において付加された微量の異種金属は、配向性改善層を構成する金属に固溶することで平滑化を促進する、いわば触媒的な作用を有し、これによりナノオーダーの凹凸が消失するものと考えている。付加金属の量を「膜厚相当」としたのは、上記の通り、その量が極めて少ないものであるからである。この付加量の下限値は、0.5nmである。
このような触媒的作用を有する金属は、上記した配向性改善層の構成金属と異なるものであれば限定されるものではない。好ましくは、配向性改善層の構成金属に対して、固溶可能である金属であり、配向性改善層の構成金属に対して全率固溶もしくは1%以上の固溶限を有する金属である。好ましい具体例としては、白金、金、銀、パラジウム、イリジウム、ロジウム等の貴金属が好ましい。これら貴金属、特に、白金、金、パラジウムは平滑化のための触媒作用が強く、表面の改質性が大きいからである。
異種金属を付加する方法は、膜厚相当で30nm以下という微量の金属を制御しつつ付加可能な方法であれば特に限定されない。好ましい方法は、PLD、CVD、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、イオンビーム蒸着法、スピンコーティング法、MBE、めっき法等の成膜製造プロセスによるものであり、特に好ましい方法としては、めっき法である。
熱処理温度は400℃以上で、付加する金属の融点以下とするのが好ましい。400℃以下であると、表面を平滑にするための原子の移動が遅くなるからである。また、熱処理の時間は、10分間〜2時間とするのが好ましい。熱処理時間が10分以下であると、表面を平滑にするための原子の移動が不十分となるからであり、2時間以上熱処理しても効果に差異が生じないからである。熱処理の雰囲気は、非酸化性雰囲気であれば特に限定されない。
以上説明したように、本発明に係るエピタキシャル膜形成用配向基板は、従来の方法で最大限に配向度を向上させた基板について、更に配向度を向上させたものである。また、その表面粗さをナノオーダーで規制することで、高い配向性を有し、期待する特性を発揮する高品質のエピタキシャル膜を形成することができる。本発明を利用して形成するエピタキシャル膜については、エピタキシャル成長により形成されるものであれば特に限定されることはなく、例えば、酸化物超伝導体に好適に利用でき、配向性の良好な超伝導体層を形成することができる。
第1実施形態に係る配向基板(Ni:500nm)の極点図。 パラジウムを微量(5nm)めっきしたときの基板の表面形態を示す写真。
以下、本発明における最良の実施形態について説明する。
第1実施形態
<配向性改善層の形成・検討>
まず、板厚1000μmのテープ状の銅板を用意し、これを圧延ロールで加工率95%に設定して、室温で冷間圧延し50μmのテープ材とした。圧延後、銅板を熱処理して結晶組織を配向化した。この熱処理は、窒素ガス95%と水素ガス5%とからなる雰囲気中で温度750℃、2時間加熱することにより行った。
以上の配向化処理を行った銅基板に配向性改善層としてニッケルをめっきした。ニッケルめっきに際しては、基板を酸脱脂、電解脱脂した後ニッケルめっき浴(ワット浴)中で電解めっきを行った。めっき条件は、温度40℃、電流密度1A/dmとし、めっき時間を種々変更することで膜厚を調製し、500nm、1000nmのニッケルをめっきした。尚、配向性改善層としてニッケルをめっきで形成する場合においては、電流密度1〜5A/dm、浴温度40〜60℃の範囲内で条件を設定するのが好ましい。
そして、ニッケルからなる配向性改善層を備える配向基板の配向性を評価した。この評価は、X線回折分析によるものであり、極点図測定、φスキャン、ωスキャンを行った。そして、φスキャン、ωスキャンのそれぞれについて半値幅を測定してΔφ、Δωを求めた(Δωについては板幅方向(TD),圧延方向(RD)の双方について測定した)。図1は、極点図を示す。また、表1に各値について示す。尚、これらの結果については、めっき前の基板についての測定結果を比較例1として示している。
図1から、いずれの基板も{100}<001>立方体集合組織であり、良好な配向組織を有することがわかる。そして、表1から、配向性改善層としてニッケルをめっきしたものは、Δφが0.5°以上改善されている。また、Δωについては、改善幅がより大きく1°以上の向上が見られる。このように、本実施形態においては、Δφの改善に加えて、従来は困難であったΔωの改善も見られた。また、実施例2のように双方の値を4°台とすることは、その上に形成するエピタキシャル膜の特性を確保する上で好ましいものである。
<表面平滑性の改善・検討>
次に、配向性改善層の平滑性の改善について検討した。上記でニッケル500nmをめっきした基板に、パラジウム、金、銀、白金、ロジウムをめっきした。めっき後、熱処理を行った。めっきはいずれも市販のめっき液を用い、浴温30〜50℃、電流密度1〜3A/dmめっき時間を調整して膜厚相当の付加量を調整した。また、熱処理条件は、700℃で1時間とし、非酸化性雰囲気中で行った。
以上の処理により製造した配向基板について、金属付加前後の表面形態の観察(SEM)及び表面粗さの評価(AFM)を行った。この検討は、パラジウムをめっきする前のニッケル中間層表面についても行っている。表面形態の観察結果を図2に、表面粗さの測定結果を表2に示す。
図1から、ニッケル配向性改善層形成後の表面には、極めて微小な凹凸が生じていることがわかる。その表面粗さは、測定結果から30nmであった(実施例1)。そして、このニッケル層にパラジウムを5nm相当めっきした参考例1では、熱処理後の中間層表面の粗さは改善され(5nm)、平滑となっていることがわかる。
表2から、配向性改善層表面に金属を微量めっきしたことによる平滑性改善の効果は、他の金属でも発揮されることがわかる。但し、パラジウムを50nmと比較的厚くめっきした場合(比較例2)、逆に表面の凹凸が顕著となり平滑化の効果がないことがわかる。尚、この表面平滑性向上の処理は、基板表面の配向性を大きく変化させるものではない。
第2実施形態
ここでは、第1実施形態と同様の銅基板について、他の金属(Ag、Au)をその厚さを変更しつつ配向性改善層として形成した。表2にその結果を示す。
そして、第1実施形態と同様、微量金属をめっきして平滑性の改善効果について検討した。その結果を表4に示す。
表3から、金、銀を配向化改善層とした場合においてもΔφ及びΔφの改善効果がみられた。また、この場合もΔωの改善幅の方が大きく、試料によっては2°以上改善するものがあった。また、表4から、金、銀を配向化改善層としたとき、その形成直後の表面粗さがニッケルと比べて良好なものであったが、これにパラジウムを微量めっきして熱処理することで、より平滑性の良好な基板となることが確認された。
第3実施形態:本実施形態では、配向基板として、他の金属を適用した場合について検討した。板厚2000μmのテープ状のニッケル板を用意し、これを圧延ロールで加工率95%に設定して、室温で冷間圧延し100μmのテープ材とした。圧延後、第1実施形態と同様の混合ガス雰囲気で温度700℃、1時間加熱することにより行った。そして、配向化処理を行ったニッケル基板に配向性改善層として銀をめっきした。銀めっきに際しては、銀めっき浴中で、温度30℃、電流密度1A/dmで500nm、1000nmの銀をめっきした。そして、上記と同様に配向性の評価を行った。その結果を表5に示す。
また、ここでも第1実施形態と同様、微量金属をめっきして平滑性の改善効果について検討した。その結果を表6に示す。
表5から、基板の種類をニッケルとした場合であっても、配向化改善層として薄膜を形成することにより、基板の配向度Δφ、Δωの双方を改善する効果があることが確認された。また、微量金属添加による表面平滑性の改善効果もみられた。

Claims (2)

  1. 配向化された銅からなる配向化金属層に補強材である金属基材をクラッドしてなるエピタキシャル膜形成用配向基板において、
    前記配向化金属層は、配向度Δφ、Δωがいずれも5〜9°である配向性を有する金属であり、
    前記配向化金属層の表面上に、ニッケルめっき膜からなり100〜5000nmの厚さの配向性改善層を備え、
    前記配向化金属層表面における配向度(Δφ及びΔω)と、前記配向性改善層表面における配向度(Δφ及びΔω)との差が、いずれも0.1〜3.0°であることを特徴とするエピタキシャル膜形成用配向基板。
  2. 金属基材は、ステンレス又はニッケル合金のいずれかよりなる請求項1に記載のエピタキシャル膜形成用配向基板。
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