JP5522570B2 - キーボード装置及びこれを用いた電子機器 - Google Patents
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Description
このようなタッチパネルは、銀行等の現金自動預け払い機やカーナビゲータ等においては以前から普及しており、また携帯情報端末、電子辞書等の小型電子機器でも盛んに使われるようになってきた。
なお、タッチパネルを用いるがLCD等の表示装置を使用せずに情報の入力操作を行なう入力装置も開発されている(特許文献3,4)。
しかし特許文献3に記載の入力装置では、上面側から下面側に向かって表示シート(操作表示部:記号印刷フィルム)、面発光層(又はタッチパネル)及びタッチパネル(又は面発光層)の順で積層配置されている。また特許文献4に記載の入力装置では、上面側から下面側に向かって基材フィルム(記号印刷フィルム)、タッチパネル及び面発光層の順で積層配置されている。このため、次のような問題が生じた。すなわち、上記積層配置構成のうち、タッチパネルの下面に面発光層が配置される構成では、タッチパネルの信号配線群が入力操作面上から見えやすくなって記号の視認性が低下し操作性や見栄えを低下させた。また、タッチパネルの操作感度が低下し、比較的強めにタッチしなければそのタッチを検知しない等の問題があった。
また、特許文献4に記載の入力装置では、完成品としては装置最上面、つまり入力操作面が凹凸面となっている。このため、清掃がし難い上に、特に凹凸箇所の隅部にまで清掃が行き届かず、塵埃や人体油脂分等の汚れが固着し易くなり、見栄えが低下するばかりか、清潔な状態を保つことができず、特に医療現場やクリーンルーム等では使用できない等の問題もあった。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のキーボード装置において、前記ハーフミラーは、可視光線透過率が20%以上30%以下の金属光沢調ナノ積層PETフィルムからなることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のキーボード装置において、前記透光性パネルは、透光性を有するアクリル板又はポリカーボネート板からなることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のうちのいずれか1の項に記載のキーボード装置において、前記記号印刷フィルムは、前記記号がネガ状態にて印刷されたネガ記号印刷フィルムからなることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のうちのいずれか1の項に記載のキーボード装置において、前記タッチパネルは、静電容量方式のタッチパネルからなることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のうちのいずれか1の項に記載のキーボード装置において、前記タッチパネルへのタッチの検知に連動して作動する振動モータを備えることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項1〜4及び6のうちのいずれか1の項に記載のキーボード装置において、前記記号印刷フィルム及び前記面発光層の対向部分の一部に各々開口を有し、該開口領域内にて前記透光性のタッチパネルを通して記号を表示可能に蛍光表示管又は液晶表示装置が組み込み配置されたことを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、パーソナルコンピュータ用キーボード装置において、請求項1〜7のうちのいずれか1の項に記載のキーボード装置を用いたことを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、電子機器コントローラにおいて、請求項1〜7のうちのいずれか1の項に記載のキーボード装置を用いたことを特徴とする。
請求項10に記載の発明は、電子卓上計算機において、請求項1〜7のうちのいずれか1の項に記載のキーボード装置を用いたことを特徴とする。
また、請求項1に係る発明によれば、タッチパネルの上面を透光性のカバーパネルで覆って(タッチパネルの上面に透光性のカバーパネルを積層配置して)入力操作面を形成したので、タッチパネルと記号印刷フィルムと面発光層との積層体がなす基本構成に制約されずに入力操作面(装置最上面)を形成できる。したがって、入力操作面を十分にフラットに形成して一層容易に清掃可能となし得る。
更に、請求項1に係る発明では、カバーパネルを、透光性パネルとハーフミラーとの積層体で形成した。カバーパネルをハーフミラーを含んで形成したことによれば、入力操作する際に記号印刷フィルムに印刷された記号が、面発光層の非発光時(消灯時:キーボード装置不使用時)には隠され、発光時(点灯時:キーボード装置使用時)には浮かび上がって見える効果を、単なる透光性のみを有するカバーパネルを用いた場合に比べて大きく得ることができる。また、カバーパネルを透光性パネルとハーフミラーとの積層体で形成したことによれば、多種多様なハーフミラー(色や可視光線吸収率等を異にした多種の金属光沢調ナノ積層PETフィルム)及び透光性パネルを選択でき、カバーパネル自体をハーフミラーで形成した場合に比べてカバーパネルの特性を様々に変更設定できる。例えば、カバーパネルを形成する透光性パネルに、種々の材質、色、デザイン等の選択が可能となり、入力操作面における耐久性や装飾性を向上することが可能である。なお、ハーフミラーをタッチパネル側に向けて配置したのは、ハーフミラーを保護するためである。
更にまた、請求項1に係る発明によれば、ハーフミラーを金属膜によるハーフミラーではなく、金属光沢調ナノ積層PETフィルムによって形成したので、タッチパネルとして静電容量方式のタッチパネルを用いることができる。また本キーボード装置を、タッチパネルは非動作状態とし、面発光層のみを動作状態とする、つまり発光させることにより、金属光沢調ナノ積層PETフィルムの特性(表面染色が可能等)に応じて色づけされた鏡面が得られ、大なる装飾効果を発揮できる。金属光沢調ナノ積層PETフィルムを用いたハーフミラーによれば、装置内部構造、例えばタッチパネルの配線群や、記号印刷フィルム自体あるいはその記号印刷領域の輪郭等のような入力操作とは無関係な部分を見えなくする目隠し効果も発揮できる。
また、金属光沢調ナノ積層PETからなるハーフミラーによれば、面発光層の非動作(非発光)時における、入力操作面をなす装置最上面が鏡面に見える効果が他のハーフミラー材、特に内部での光拡散が生じやすいハーフミラー材に比べて顕著になる。すなわち、上記の鏡面の光沢度が極めて高く、金属調の鏡面としての効果が他のハーフミラー材に比べて著しく大きくなる。
ハーフミラーによる装飾効果は、ハーフミラーを誘電体多層膜で形成することによってもある程度得られる。しかし、このような膜によるハーフミラー形成では、蒸着やスパッタリング等を要するので工程の簡易化が図れず、特に連続生産工程の適用が困難であり、手間や時間がかかるという問題が生じる。請求項1に係る発明のように、フィルムによるハーフミラー形成によれば、ロールツーロール方式や連続打抜き等の連続生産工程が適用できるので、膜によるハーフミラー形成における上記の問題を解消できる。なお、ハーフミラーをアルミニウム膜等の金属膜で形成することによれば、大なる装飾効果が得られるが、上記の誘電体多層膜でハーフミラーを形成した場合と同様の問題が生じ、また、タッチパネルとして静電容量方式のタッチパネルが使用できなくなる。
上記において、金属光沢調ナノ積層PETフィルムは、光の屈折率が異なる極薄のポリマーを多層、例えば数百〜千層以上積層した樹脂フィルム、主にポリエステルフィルムであり、光が高輝度で反射することによって金属を使用せずに金属調の光沢と質感(高級感)を与えることが可能なフィルムを指す。この金属光沢調ナノ積層PETフィルムは、製造に当たって可視光線の透過率や光沢度等の設定が可能であり、また表面染色が可能である。したがって、上記のハーフミラーとして用いた場合に、面発光層の非発光時において入力操作面を見た際の外光の反射による明るさ、光沢、質感、色等の装飾効果の調整が可能である。この金属光沢調ナノ積層PETフィルムが、面発光層の非発光時において上記目隠し効果を発揮でき、同発光時において同目隠し効果が消失することは通常のハーフミラーと同様である。この金属光沢調ナノ積層PETフィルムは携帯電話の外装等に使用されている。
金属光沢調ナノ積層PETフィルムとしては、例えば、無金属で金属調の光沢を発現させたナノ積層PETフィルム「ピカサス(PICASUS)」(商品名。東レ社製)が挙げられる。この「ピカサス」に代表される金属光沢調ナノ積層PETフィルムは、耐熱性や耐薬品性に優れ、樹脂とのなじみがよくて製造時に樹脂と一体成型が可能であり、金属を蒸着する従来の塗装よりも安価に作製できる。また、材料に金属成分を含まないためさびが発生しない、製造時の環境負荷が低い、高い電波透過性により電子機器のデザインの自由度を高めることができる等の特徴を有する。また、ハードコート、染色等、デザインに応じて様々な表面加工が可能で、加飾性に優れる特徴も有する。
このような金属光沢調ナノ積層PETフィルムの物性を、例としてナノ積層PETフィルム「ピカサス」について述べると、標準金属調(「GM」グレード)を発現させる場合において可視光線透過率が約26%、光沢度が780%程度であり、また低金属調(「GL」グレード)の発現においては、可視光線透過率が約66%、光沢度が500%程度であるとされている。つまり、可視光線透過率が高くなると光沢度が低下し、金属調が低く、換言すれば高級感(装飾効果)が低くなる。したがって、所望の装飾効果を得るためには上記可視光線透過率に一定の上限値が求められる。
発明者等によれば、金属光沢調ナノ積層PETフィルムの上記物性及びその研究に基づいて、次のような結論を得るに至った。すなわち、上記金属光沢調ナノ積層PETフィルムが、面発光層の非発光時に外光を反射し、その表面に発現する金属調光沢が所望の装飾効果を得るほどに高くなるためには、その可視光線透過率が40%以下、好ましくは30%以下であるという結論を得るに至った。
また、可視光線透過率が上限値40%を超えると、上記金属光沢調ナノ積層PETフィルムの表面、つまり鏡面の光沢度が低下するので、所望の装飾効果が得にくくなった。そして、可視光線透過率が低くなるほど鏡面の明るさが増すが、必要以上に増すとかえって高級(荘重)感が低下することを見い出した。
そして、可視光線透過率が20%以上、40%以下であれば、装飾効果が得られることを見い出し、請求項1に係る発明をするに至った。
また以上述べた、可視光線透過率が20%以上であれば装飾効果が得られ、そして、上記金属調光沢が所望の装飾効果を得るほどに高くなるためには、可視光線透過率が30%以下であるという上述した結論から、請求項2に係る発明をするに至った。
なお、「ピカサス(PICASUS)」が掲載されたインターネットのホームページアドレス(URL)としては、<http://www.toray.jp/films/printing/product/picasus.html>、<http://www.toray.co.jp/news/film/nr080821.html>、<http://www.sankyo-plus.co.jp/japanese/picasus.html>等(平成22年1月21日調べ)が挙げられる。
請求項3に係る発明によれば、透光性パネルを、透光性を有するアクリル板又はポリカーボネート板で形成したので、透光性パネルの耐久性、耐衝撃性、絶縁性を高めることができる。また、透光性パネルの下面側のハーフミラー、タッチパネル、記号印刷フィルム及び面発光層を電気的、機械的に保護できる。また、透光性を有するアクリル板又はポリカーボネート板によれば、記号印刷フィルム上の記号の視認性も高く、また十分に平坦面を形成できるので、本発明に係るキーボード装置最上面の入力操作面を形成する透光性パネルとして最適である。
請求項4に係る発明によれば、記号印刷フィルムを記号がネガ状態にて印刷されたネガ記号印刷フィルムで形成したので、多数の記号(記号群)や、ネガ記号印刷上、フィルム面に表われる記号群の印刷領域の外枠部分が浮かび上がり、視認性や見栄えがよくなる。また、記号印刷部分以外(地の部分)は光が透過しにくい黒色等の暗色になるので、記号印刷フィルム(ネガ記号印刷フィルム)より下面側の配線や記号印刷時に生じたタッチアップの跡等を隠すことができる。
請求項5に係る発明によれば、タッチパネルを静電容量方式のタッチパネルで形成したので、透光性に優れたタッチパネルを例えば抵抗膜方式等に比べて簡単に構成できる。したがって、タッチパネルを記号印刷フィルムの上面側に配置する構成においても、比較的簡単な構成で記号印刷フィルムに印刷された記号の視認性を低下させないキーボード装置を提供できる。
請求項6に係る発明によれば、タッチパネルへのタッチの検知に連動して作動する振動モータを備えるので、必要以上に大きな音を周囲に放出することなく、入力操作面にタッチされたことを操作者に報知できる。
請求項7に係る発明によれば、入力操作面の主要部については請求項1〜4及び6の発明の効果を発揮させながら、一部(記号印刷フィルムの開口領域内)については蛍光表示管や液晶表示装置による効果、例えば大文字、小文字相互間における表示変更等のような記号表示内容の変更が容易に可能となる。
請求項8、9及び10の発明によれば、各々請求項1〜7に記載のキーボード装置における上記効果を発揮できるパーソナルコンピュータ用キーボード装置、電子機器コントローラ及び電子卓上計算機を提供できる。
図1は、本発明の一実施形態に係るキーボード装置、具体的にはパーソナルコンピュータ(以下、パソコンと記す。)用キーボード装置を示す図で、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は右側面図である。図2は、図1(a)中のA−A´線断面矢視図、図3は図2における断面構造を模式的に示す図である。図2中には、一部(一点鎖線で囲んだ部分)を抜き出し拡大した図を付記している。
この下ケース1内には、後述するタッチによって情報、具体的には記号の入力操作を行なうキーボード装置の主要部が収納されている。
すなわち、図2及び図3に示すように下ケース1内には、透光性のタッチパネル2と、任意の記号3a(図1参照)が印刷された記号印刷フィルム3と、この記号印刷フィルム3を照明する面発光層であるバックライトデバイス4との積層体5が収納されている。この場合、タッチパネル2は記号印刷フィルム3の上面側、図示例では上面に配置され、バックライトデバイス4は記号印刷フィルム3の下面側、図示例では下面に配置されている。
また、本実施形態に係るキーボード装置においては、装置最上面に位置する入力操作面6は凹凸のない平坦面とされている。
すなわち、上記タッチパネル2の上面側、本実施形態ではタッチパネル2上面には、透光性を有するカバーパネル7が積層配置されている。
このカバーパネル7は、下ケース1の上面開口を蓋するように、この下ケース1の内側壁上端部に填め込み固定されていて、装置最上部に位置する。つまり、カバーパネル7の上面は入力操作面6をなすもので、凹凸のない平坦面とされている。
本実施形態において、上記透光性パネル8は透明アクリル板又は透明ポリカーボネート板からなる。また、上記ハーフミラー9は透光性パネル8に被着してカバーパネル7を構成する。
すなわち、透光性パネル8を装置上面側に向けて配置した場合、装置最上面、つまり入力操作面6は透光性パネル8の上面となる。そして、透光性パネル8を形成するアクリル板やポリカーボネート板は、いずれも耐久性、耐衝撃性、絶縁性等に優れ、その下面側に配置されたキーボード装置構成部材、つまりハーフミラー9、タッチパネル2、記号印刷フィルム3及びバックライトデバイス4等を、特に入力操作面6近くに位置するハーフミラー9及びタッチパネル2を機械的、電気的に保護できるからである。
とすると、以下の関係式が成立する。すなわち、
Tm+Rm<1
T1=A×Tm
R1=A×Rm
また、ハーフミラー9の後方部で反射する光線TRがハーフミラー9を通過する時の透過率をTR2とすると、
TR2=T1×Rs=A×Tm×Rs
R2=TR2×Tm=T1×Rs×Tm=A×Rs×Tm2
R1とR2のコントラスト比CRは、
CR=R1/R2=A×Rm/(A×Rs×Tm2)=Rm/(Rs×Tm2)
Tm=0.3、Rm=0.7、Rs=0.5の場合、
CR=15.5
となり、R1とR2の比が10以上であれば、面発光層の非発光時に外光を反射し、表面(入力操作面6をなす装置最上面)に発現する金属調光沢が所望の装飾効果を得られる。
このタッチパネル2は、本実施形態では静電容量方式のタッチパネルからなる。静電容量方式のタッチパネル2は、他の代表的な抵抗膜方式のタッチパネルに比べて、透光性に優れたタッチパネルを簡単に構成できるからである。
図7又は図8に示す測定値に基づいた装置によれば、可視光線の透過率が20%以上、40%以下、反射率が60%以上、75%以下であれば、本発明の効果は得られる。
また、可視光線透過率が上限値40%を超えると、上記金属光沢調積層樹脂フィルムの表面、つまり鏡面の光沢度が低下するので、所望の装飾効果が得にくくなった。そして、可視光線透過率が低くなるほど鏡面の明るさが増すが、必要以上に増すとかえって高級(荘重)感が低下することを見い出すに至った。
本実施形態では、記号3a部分には光が透過して記号3aのみが高輝度で現われるパターンで印刷を行い、例えば記号3aの輪郭のみの印刷を行い、地(背景)の部分には黒色等の暗色にて一様な印刷を行なうネガ記号印刷フィルムを記号印刷フィルム3として用いている。これは、記号3a(記号群11)及び、ネガ記号印刷上、記号印刷フィルム面に表われる記号群11の印刷領域の外枠部分のみが浮かび上がり、視認性や見栄えがよくなることが主な理由である。
記号印刷フィルム3への印刷は、基材フィルムの表面(タッチパネル2側)若しくは裏面(バックライトデバイス4側)、又は表,裏両面のいずれに行なってもよいが、表面に行なったほうが入力操作面6から文字が浮かび上がって見える効果をより高めることができる。また、表,裏いずれか一方の面に行なったほうが低コスト化が図れる。
なお記号とは、文字、数字及びその他の記号を指すことは既に述べたが、パソコン用キーボード装置においては、英数字、ファンクションキー記号、その他の特殊記号等、所定のキー配列に係る各種の記号を指す。この記号は、予め定められたキー配列に従って配列されている。
LEDと導光板からなるサイドライト方式のバックライトデバイスに代えて、無機EL発光素子からなるバックライトデバイスを使用してもよく、これによればキーボード装置をより薄型にすることができる。
上記タッチパネル駆動回路は、カバーパネル7上面の入力操作面6、換言すればタッチパネル2面のタッチ位置をタッチパネル2と協働してキーボード装置としての機能を実現する、つまりタッチにより指示された記号3aに応じた情報を出力する電子回路である。具体的には、タッチパネル2の位置検知機能により、操作者がタッチした(実際には入力操作面6を介してタッチした)タッチパネル2面上の位置の信号を受け、この位置信号と記号印刷フィルム3面上の記号3aとの予め定められた対応付けに基づく特定の信号を、タッチにより指示した記号3aとして生成し、出力する電子回路である。
なお本実施形態においては、図示しないがタッチパネル2へのタッチの検知に連動して作動する振動モータ(Haptics)を備えている。必要以上に大きな音を周囲に放出することなく、入力操作面6にタッチされたことを操作者に報知するためである。
また、タッチパネル2とバックライトデバイス4との間に記号印刷フィルム3が介在するので、タッチパネル2の下面にバックライトデバイス4が配置される構成に比べて、入力操作面6上からタッチパネル2の配線群が見え難くなり、操作性及び見栄えが向上する。
またタッチパネル2は、このタッチパネル2と記号印刷フィルム3とバックライトデバイス4との積層体5の最上面(最も入力操作面6に近い積層位置)に配置されているので、バックライトデバイス4の下面に配置された場合に比べてタッチパネル2の操作感度が向上する。
更に、装置最上面に位置する入力操作面6が平坦面とされているので、清掃がし易く、隅部にまで清掃が行き届き、塵埃や人体油脂分等の汚れが固着し難くなる。したがって、見栄えが向上する上に、清潔な状態を保つことができ、特に医療現場やクリーンルーム等での使用に適するという利点もある。
また、バックライトデバイス4の消灯時には、金属光沢調ナノ積層PETフィルムによるハーフミラー9によって、入力操作面6をなす装置最上面が光沢度の高い金属調の鏡面状態になり、金属膜を用いた鏡におけるような大なる装飾効果を発揮できる。同時に、装置内部構造、例えばタッチパネル2の配線群や、記号印刷フィルム3自体あるいはその記号印刷領域の輪郭等のような入力操作とは無関係な部分を見えなくする目隠し効果も発揮できる。
ハーフミラー9として、色や可視光線吸収率等を異にした多種の金属光沢調ナノ積層PETフィルム中から任意の金属光沢調ナノ積層PETフィルムを選択するだけで、バックライトデバイス消灯時において装置最上面に現われる鏡面イメージが全く違ったキーボード装置、特にパソコン用キーボード装置を容易に作製できる。
なお、ハーフミラー9をタッチパネル2側に向けて配置したのは、ハーフミラー9を保護するためである。この保護効果は、本実施形態のようにフィルム状のハーフミラー9を透光性パネル8に被着して構成する場合に大きい。ハーフミラー9の材質は、透光性パネル8として通常用いられる材質に比べ弱いからである。
タッチパネル2として静電容量方式のタッチパネルを用いる場合には、フィルム状のハーフミラーが金属成分を含有していたり、金属膜によるハーフミラーを用いると、タッチパネルとしての動作に支障を来たす。したがって、金属成分を含有したフィルム状のハーフミラーや金属膜によるハーフミラーは用いない。本実施形態のハーフミラー9は、金属成分を含有しない金属光沢調ナノ積層PETフィルムによるハーフミラーであり、静電容量方式のタッチパネル2を、その動作に支障をもたらすことなく使用できる。
更に、ハーフミラー9として金属光沢調ナノ積層PETフィルムを用いたことによれば、本実施形態に係るパソコン用キーボード装置を、情報の入力操作を行なう入力装置として動作させず(タッチパネル2を非動作状態として)、バックライトデバイス4のみを動作状態とした場合に、入力操作面6をなす装置最上面にて金属光沢調ナノ積層PETフィルムの特性(表面染色が可能等)に応じて色づけされた鏡面が得られ、大なる装飾効果を発揮できる。パソコン用キーボード装置は、他の電子機器のキーボード装置に比べて入力操作面6が広いので、上記の鏡面により得られる装飾効果は大きい。
また、バックライトデバイス4の消灯時には、入力操作面6をなす装置最上面が光沢度の高い金属調の鏡面状態になり、金属膜を用いた鏡におけるような大なる装飾効果を発揮できる。
また、記号印刷部分以外(地の部分)は光が透過しにくい黒色等の暗色になるので、記号印刷フィルム(ネガ記号印刷フィルム)3より下面側に配置された部品や配線、あるいは印刷時に生じたピンホール等のタッチアップの跡等を見えなくすることができる。
すなわち、タッチパネル2等とは別部品とした記号印刷フィルム3を用いるほうが、生産ラインにおける加工や組立時の歩留等を考慮した場合に結果的(総合的)には低コスト化を実現できる。また、色やデザイン等の異なる多品種への対応も容易になる。更に、各種の記号印刷パターンを用意しておき、基材フィルムに記号3aを印刷する際に所望の記号印刷パターンを選択するだけで別記号が表示されるキーボード装置を作製できる。したがって、キーボード装置の作製に当たり、各国の言語や各種のキー配列への対応、所望の特殊文字の加減、文字の大きさやフォントの変更等につき容易に対処できる等の利点があり、したがって上記のような記号印刷フィルム3を用いた。
静電容量方式のタッチパネル2は、指先と電極との間での静電容量の変化を捉えて位置を検出する方式であるので電極は片側だけですみ、またこの電極は近年透明化が進んでいる。したがって、タッチパネル2として静電容量方式のタッチパネルを用いたことによれば、他の代表的なタッチパネルである抵抗膜方式のタッチパネルを用いた場合に比べて透光性に優れたタッチパネルを簡単に作製できる。すなわち、タッチパネル2を記号印刷フィルム3の上面側に配置する構成であっても、透光性に優れた静電容量方式のタッチパネル2を用いれば、記号印刷フィルム3上の記号3aの入力操作面6からの視認性を低下させない。そして、このように視認性を低下させないタッチパネル2、ひいてはキーボード装置を比較的簡単に作製できるという利点がある。
また、ネガ記号印刷フィルムに代えてポジ記号印刷フィルムを用いてもよい。本発明では、記号印刷フィルムを替えるだけでポジ状態又はネガ状態の何れの記号印刷フィルムに変えることができ、趣の変わった入力操作面を現わすことができる。
更に、入力操作面へのタッチの報知を振動モータに代えてタッチ音発生器を設けてもよい。
すなわち、上述した実施形態において、記号印刷フィルム及びバックライトデバイス(面発光層)の対向部分の一部に各々開口を形成する。そして、この開口領域内にて透光性のタッチパネルを通して記号を表示可能に、蛍光表示管〔VFD(Vacuum Fluorescent Display)〕又は液晶表示装置を組み込み配置してもよい。
このようなキーボード装置によれば、入力操作面の要部(透光性のタッチパネル、記号印刷フィルム及びバックライトデバイスによる積層体に対応する入力操作面)については、上述した実施形態(タッチパネルに静電容量方式のタッチパネルを使用した構成を除く。)と同様の効果を有する。その一方で、入力操作面の一部(記号印刷フィルム及びバックライトデバイスの開口領域に対応する入力操作面部分)については、蛍光表示管や液晶表示装置を用いたことによる効果、例えば大文字、小文字相互間における表示変更等のような記号表示内容の変更が容易に可能となるという効果を有する。
図4は、本発明に係るキーボード装置が適用された電子機器コントローラ、具体的にはTVリモコン装置の一例を示す図で、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は右側面図、(d)は(a)図中のA−A´線断面図である。図4(d)中には、一部(一点鎖線で囲んだ部分)を抜き出し拡大した図を付記している。
図5は、本発明に係るキーボード装置が適用された電卓の一例を示す図で、(a)は平面図、(b)は右側面図、(c)は(a)図中のA−A´線断面図である。図5(c)中には、一部(一点鎖線で囲んだ部分)を抜き出し拡大した図を付記している。
図4及び図5において、図1〜図3と同一符号は同一又は相当部分を示す。
すなわち、装置上面側から順に、透光性のタッチパネル2と記号印刷フィルム3とバックライトデバイス4とが積層された積層体5を基本構成として備え、この積層体5上面(タッチパネル2上面)に透光性のカバーパネル7が配置されてなる。そして、最上面に位置する入力操作面が平坦面であるキーボード装置が用いられている。図示例では、図1〜図3に示すキーボード装置と同様に、透光性のカバーパネル7は、透光性パネル8と金属光沢調ナノ積層PETフィルムからなるハーフミラー9とが積層されてなり、そのハーフミラー9がタッチパネル2側に向けて配置されている。
図4に示すTVリモコン装置及び図5に示す電卓は、各々TVリモコン装置及び電卓として機能するように、回路等の電子的構成及び部品配置構造等の機械的構成を備えていることは勿論である。
なお、図4において、42は赤外線出射窓を指し、図5において、51は太陽電池、52はLCD(液晶表示装置)を指す。
Claims (10)
- 透光性のタッチパネルと、任意の記号が印刷された記号印刷フィルムと、該記号印刷フィルムを照明する面発光層との積層体を備えてなるキーボード装置において、
前記タッチパネルは前記記号印刷フィルムの上面側に配置され、
前記面発光層は前記記号印刷フィルムの下面側に配置され、
最上面に位置する入力操作面は平坦面とされ、
前記タッチパネルの上面に透光性のカバーパネルが積層配置され、該カバーパネル上面が前記入力操作面をなし、かつ、
前記カバーパネルは、透光性パネルと前記タッチパネル側に向けて配置したハーフミラーとの積層体からなり、
前記ハーフミラーは、可視光線透過率が20%以上40%以下の金属光沢調ナノ積層PETフィルムからなることを特徴とするキーボード装置。 - 前記ハーフミラーは、可視光線透過率が20%以上30%以下の金属光沢調ナノ積層PETフィルムからなることを特徴とする請求項1に記載のキーボード装置。
- 前記透光性パネルは、透光性を有するアクリル板又はポリカーボネート板からなることを特徴とする請求項1又は2に記載のキーボード装置。
- 前記記号印刷フィルムは、前記記号がネガ状態にて印刷されたネガ記号印刷フィルムからなることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか1の項に記載のキーボード装置。
- 前記タッチパネルは、静電容量方式のタッチパネルからなることを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか1の項に記載のキーボード装置。
- 前記タッチパネルへのタッチの検知に連動して作動する振動モータを備えることを特徴とする請求項1〜5のうちのいずれか1の項に記載のキーボード装置。
- 前記記号印刷フィルム及び前記面発光層の対向部分の一部に各々開口を有し、該開口領域内にて前記透光性のタッチパネルを通して記号を表示可能に蛍光表示管又は液晶表示装置が組み込み配置されたことを特徴とする請求項1〜4及び6のうちのいずれか1の項に記載のキーボード装置。
- 請求項1〜7のうちのいずれか1の項に記載のキーボード装置を用いたことを特徴とするパーソナルコンピュータ用キーボード装置。
- 請求項1〜7のうちのいずれか1の項に記載のキーボード装置を用いたことを特徴とする電子機器コントローラ。
- 請求項1〜7のうちのいずれか1の項に記載のキーボード装置を用いたことを特徴とする電子卓上計算機。
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JP2010019400A JP5522570B2 (ja) | 2010-01-29 | 2010-01-29 | キーボード装置及びこれを用いた電子機器 |
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