JP5522450B2 - 金属酸化促進方法 - Google Patents
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Description
Mg+H2O→MgO+H2
酸化マグネシウムは、酸化還元反応により表面のマグネシウム金属が電子を失ってマグネシウムイオン化し、金属面から脱落してマグネシウム金属が腐食した後、生じたマグネシウムイオンが酸素と結合して生成される。酸化マグネシウムは、マグネシウムを例えば燃焼させて酸化させることにより生成する。
Mg+CO2→MgO+CO
本発明者らは、前記金属の酸化処理を促進する物質を鋭意検討したところ、本発明のように白金・金のうち少なくとも1つの貴金属を組成に有する酸化促進剤を添加すれば、前記金属の酸化を大幅に促進できることを見出した。後述の実施例1で示したように、当該酸化促進剤の添加の有無で当該金属の酸化量を比較したところ、当該酸化促進剤を添加すれば前記金属の酸化効率が約4.4倍程度にまで向上することが判明している。即ち、本発明の金属酸化促進方法によれば、単位時間あたりの金属の酸化量を大幅に増大させることができる。
従って、本構成のように二酸化炭素を通気することで酸化促進剤の効果が維持され、前記金属の酸化の際に使用する酸化促進剤に要する量を低減できるため、金属を酸化させるコストを抑制することができる。
本発明で使用する金属がマグネシウムである場合、迅速かつ安全に酸化させることができる。例えば、マグネシウム切削屑は、切削加工現場においてドラム缶に入れて貯蔵されることがある。このような場合、単に、水および本発明の酸化促進剤を当該ドラム缶に投入するだけで、マグネシウムを酸化することができるため、安全、簡便かつ迅速にな酸化方法となる。
本発明の金属酸化促進方法は、水より低電位の金属を迅速に酸化させる方法であり、水溶液に、白金・金のうち少なくとも1つの貴金属を組成に有する酸化促進剤を添加し、好ましくは、水溶液に二酸化炭素ガスを通気する。
当該金属酸化促進方法は、例えば図1に示したように、水より低電位の金属を水に接触させる金属接触工程と、酸化促進剤を添加する酸化促進剤添加工程と、二酸化炭素ガスを通気する通気工程を行う。
尚、これら各工程を実施する順番については、この順に限られるものではない。
当該低電位金属を水中に投入するなどにより水に接触させることで、金属表面で酸化還元反応により表面の金属が電子を失ってイオン化し金属面から金属イオンが溶出する。
マグネシウムは酸素と結合しやすい(酸化しやすい)金属である。酸化の際には、激しい閃光を伴って燃焼する。また、例えばマグネシウム合金を切削加工して成形する際に発生したマグネシウム切削屑は、水と反応して水素を発生する。このように、マグネシウムは金属単体で取り扱うには危険が伴うため、マグネシウム単体よりも化学的・熱的に安定な酸化マグネシウムとして取り扱うのがよい。また、酸化処理時の安全上、マグネシウム切削屑から酸化マグネシウムの状態への移行は、できるだけ迅速であるのが望ましい。
マグネシウム切削屑と水との接触割合は特に限定されないが、効率よくマグネシウム切削屑を酸化させるために、例えばマグネシウム切削屑が水中に完全に浸漬するようにすればよい。
塩化白金酸六水和物(H2PtCl6・6H2O)が好ましく使用できる。
れる。この塩化金酸のうち、特に塩化金酸四水和物(HAuCl4・4H2O)が好ましく使用できる。
これら酸化促進剤は、単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
近年の地球環境の温暖化の進行をできるだけ防ぐためには、大気中に放出される二酸化炭素の量を抑制することが重要である。本発明の金属酸化促進方法によれば、二酸化炭素を液中に吸収できるため、二酸化炭素固定技術の一つとして利用できる。
水500mLに、マグネシウム切削屑2gを投入した。マグネシウム切削屑はマグネシウム製品の切削屑(およそ5mm角)であり、切削油が50%程度付着していた。上記溶液に塩化白金酸として塩化白金酸六水和物を0.3g添加した。
結果を図2に示した。
過酸化水素を添加した比較例2に比べて、塩化白金酸を添加した実施例1の方がマグネシウムイオン濃度が高いのは、過酸化水素は酸化剤として作用するためマグネシウム表面に酸化膜を形成するためマグネシウム腐食が抑制されるが、塩化白金酸は一旦形成された酸化膜を侵食する作用があるためマグネシウム表面の腐食が進行するためであると考えられる。
実施例2として、水中にマグネシウム切削屑、塩化白金酸を添加し、さらに二酸化炭素ガス(10vol%CO2、90vol%N2)を1L/分の割合で導入した。
二酸化炭素ガスの導入後、0.5、1、3、15、30、60分経過後にマグネシウム溶出液を10mL採取し、公知のキレート滴定により、マグネシウムイオン濃度を測定した(本発明実施例2)。実施例1および実施例2のマグネシウムイオン濃度の測定結果を比較した(図3)。
水500mLに、マグネシウム切削屑を大気中で燃焼したマグネシウム燃焼生成物(MgO)2gを水に投入し(比較例3)、実施例1と同様にマグネシウムイオン濃度を測定した。実施例2および比較例3のマグネシウムイオン濃度の測定結果を比較した(図4)。
実施例2のように水中に二酸化炭素ガスを通気した場合、30分経過後、マグネシウムイオン濃度を測定したところ、0.027mol/Lであった(一回目測定)。その後、直ちに溶液を50℃で加熱した。このとき、炭酸マグネシウムの溶解度が減少して炭酸マグネシウムが析出した。その後、析出した炭酸マグネシウムを濾紙(No.5、ADVANTEC東洋社製)にて濾過して溶液と分離した。炭酸マグネシウムを分離した濾液に、マグネシウム切削屑2gを投入し、同様の条件で二酸化炭素ガスを導入した。30分後、マグネシウムイオン濃度を測定したところ、0.025mol/Lであった(二回目測定)。このようにしてマグネシウムイオン濃度の測定を五回行なった結果を図5に示す。
マグネシウムを酸化するに際し、最適な酸化促進剤(塩化白金酸:塩化白金酸六水和物)の濃度を調べた。実施例1のように水中にマグネシウム切削屑を加えて塩化白金酸六水和物を添加した後、二酸化炭素を導入した。このとき塩化白金酸六水和物の濃度を種々変更し、60分経過時のマグネシウムイオン濃度を測定した。
この結果、塩化白金酸六水和物が0.001mol/L以上であれば、マグネシウムイオン濃度が0.011mol/L以上となることが判明した(図6)。このマグネシウムイオン濃度は、当該酸化促進剤を添加せずに酸化させた場合(比較例1)のマグネシウムイオン濃度の約4.4倍程度の値を示している(実施例1参照)。従って、本発明で使用する酸化促進剤の濃度を0.001mol/L以上とすることにより、高い酸化効率を維持して迅速にマグネシウムを酸化できる。
Claims (7)
- 水より低電位の金属を水溶液に接触させて酸化させる金属酸化促進方法において、
前記水溶液に、白金・金のうち少なくとも1つの貴金属を組成に有する酸化促進剤を添加してある金属酸化促進方法。 - 前記水溶液に、二酸化炭素ガスを通気する請求項1に記載の金属酸化促進方法。
- 前記酸化促進剤が白金および塩素を含有する組成物である請求項1又は2に記載の金属酸化促進方法。
- 前記酸化促進剤が塩化白金酸である請求項3に記載の金属酸化促進方法。
- 前記塩化白金酸が塩化白金酸六水和物である請求項4に記載の金属酸化促進方法。
- 前記塩化白金酸六水和物の濃度が0.001mol/L以上である請求項5に記載の金属酸化促進方法。
- 前記金属がマグネシウムである請求項1〜6の何れか一項に記載の金属酸化促進方法。
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